#sklt02
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Skyrim:ガイコツさんの冒険16.5
昨日は一日中雨だったが、今朝はよく晴れていた。外で作業をするのにうってつけである。 晴れた日の光のもとで見てみると、なかなか立派な橋だ。私自身にとっても、岸に行くのに中洲までだけ足を濡らせばいいというのはありがたい。 さて、中洲の金床は昨夜さっさと撤去してしまったため、私はさっそくリバーウッドに渡り、改めて自前の金床を作るための用意をした。 しかし、小屋も小さいが、それが建っている場所も、島というよりは中洲で、実に小さな敷地だ。あれこれと置くようなスペースはないに等しい。 吟味した上で、とりあえず金床は火の傍のほうが良かろうし、鉱石などは、どうせ収納の大きさなど関係ないのだから、その傍に袋でも置けばいいだろうと結論した。
これなら邪魔にもならないし、使い勝手もいい。 何故か砥石だけは最初からあったから、こうなると防具を補強するための作業台もほしくなるが、残念ながらあれだけの大きさのものを置くスペースはどう見ても存在しない。まあいいだろう。鍛冶屋はたいていの町にある。なにも自宅ですべてこなす必要もあるまい。 それにしても、アルヴォアの言っていたことは本当だろうか。 ホワイトランの正門脇に不思議な扉があり、その中には、こんな具合に自由に設置できる様々なものが用意されているという。そこには何種類ものテーブルや椅子、タペストリーや敷物の他、大きなものでは橋や塔のようなものまであるらしい。正確にはそれを呼び出すための召喚の巻物だそうだが……。 半信半疑ながら私は、この機会に見に行ってみることにした。 我ながらこの小さな小屋は、必要なものはすべて揃っているとはいえ、少し殺風景なのも否めない。それに、塔や建物まで呼び出せるなら、あの中洲の代わりになる小さな島はムリなのだろうか? 勝手に川の中に中洲を作るのもどうかとは思うが、橋が突然現れるような世界なのだから、それくらいではなにも問題ないのではなかろうか。
ともあれホワイトランに向かい、正門を入ったすぐ右へ脇のほうへ回り込む、というアルヴォアのうろ覚えに従って見てみると、そこに大きな扉があった。 中はがらんとしているが立派な建物で、入り口の左右にはいくつかの収納箱が並んでいた。 そしてその中には、驚くほど様々な巻物がおさめられていた。 家具や収納、キャンプ用品だけでなく、明かりや壁、垂れ幕、そして本当に建物の一部などが呼び出せるのである。 しかし……あの場所に塔など立てては周囲との調和もなにもあったものではないし、私がほしいのは、小さな中洲のようなものだ。 あいにくとそれはなかったが、床になるものはあったので、試しに持っていくことにした。
他には、ドゥーマー風の様々な家具や、これは……布巾だろうか? こんな模様の入ったものであれば、主婦などが喜びそうである。
それに、今まで見たことのないような色と模様のベッドもあった。私は使いたいと思わないが、こういった派手な家具で室内を統一するのが好きな人もいそうである。 各地の要塞へテレポートできるという謎のドアまであったが、……こんなものを使って本当に大丈夫なのだろうか。私は利用したいと思わないが、スカイリム中を常に飛び回るような冒険者であれば、便利なのだろう。 いくつか気になったものを引き出して荷物に仕舞いこむ。壁を飾るもの、収納、明かりなどだ。 そうして家に引き返すと、私はさっそくあれこれ試してみることにした。
焚き火と調理鍋の前に座れるようにしてみたが……鍋をいじるときに座るならともかく、何事もないのに座っているには少し似合わないような気がする。
それよりはここだろうか。天気のいい今日のような日に、こうして腰掛けていると気持ちがいい。
逆側もいい感じだ。これで釣りでもできれば言うことはない。 それにしてもあの橋……私が数日でかけている間にできたにしては、立派なものだ。一瞬で建物まで呼び出せるような道具を使っている私が言うのも変だろうが。
……たしかに敷地は増やしたいが、これは違う。思ったよりずっと綺麗だし、重なるように置けば継ぎ目が分からないように接合されて実に見事なものの、この景色の中では明らかに違和感がある。 残念だがこれは、街の中など、もっと相応しい場所がある。
テーブルは、小さな島、中洲のせいで傾いてしまう。 家の中の小窓は、椅子の正面からはズレているしとても小さいので、外にテーブルセットでも置ければいいと思ったのだが、平地がないこの中州では、違和感を忘れないかぎりには無理だった。諦めよう���
それなら屋根を敷物で覆えば少しは雨が防げるか、せめて防いだ気分になれるだろうかと思ったが、そもそもが穴だらけの屋根なので、まっすぐ敷かれてくれない。 平らにしようと設置用の道具をいじっていると、穴から落ちてしまうのだからどうしようもない。
島のようなものが作れるなら、そこに置いたら屋根代わりになるだろうかと持ってきたものである。地面に設置してもこの高さだ。これは塔そのものと一対で使うものなのだろう。 しかも、きっちり接合するためには、寸前の狂いもなく同じ地点に置かないといけないのではないだろうか。はたしてそんなことができるのかどうか……。 私は、複数の業者のこういった道具を使っていると混乱することもあり、Potable Toolsから、より種類の豊富なこちら、ANA Interior Editorに替えることにしたのだが、思った場所に設置するのには非常に骨が折れるのだ。……骨しかないこの体で骨が折れたらどうなるか、などとくだらないことが今頭をよぎったが、それはさておき。 今まで使っていた金庫やポーチを置き換えようとして、設置用の道具を出した瞬間に跳ねて裏返ってしまったり、向きの調整がうまくいかない、思った位置にいかないと何度も何度もやり直した。 面白そうだからと持ってきたものの中には、「これとこれは、同じ地点に設置して起動してください」というものもあったが、無理である。最初に置いたものを起動すれば、後に置こうとしたものはそもそも、その設置物の「内部」に置かないといけなくなってしまう。よって、あらかじめ二つ置いてから起動するしかないのだが、完璧にぴったり重ねることなど、どうかんばっても無理だった。上に置こうとしたもののせいで、下に置いてあるマーカーが動いてしまうのだからどうしようもない。 少なくとも私のようにこの世界の中にいて、道具を掴み、自力でずりずりと動かすようなやり方ではほぼ不可能なのではないだろうか。 それとも、私が知らないだけでもっと良い設置の仕方、動かし方があるのだろうか。
また、松明をかける金具があったので、家の外につけたらどうだろうかと思ったものの、これは���に固定されず、設置用の道具が落ちてきてしまう。これはおそらく、壁につけるものであるのに関わらず「設置物を起動する」タイプであるのが間違いなので、一種の不具合なのだろう。
……家よりも立派なサイズの馬屋だ。島を作れればの話ではあったが、そのうえで馬屋がもっと小さくて、いい感じに設置できるなら、ここに鍛冶設備を置くのもいいかと思ったのだが。
彩りを加えるのもいいかもしれないと思ったものの、壁にめり込んでしまう。 家の外側に飾りをつけてみたりもしたが、鹿の頭のトロフィーだけで十分に感じてしまった。
地面が傾いているため、どうしても斜めになってしまう金床を何度も置き直している内に、真夜中になっていた。ちらちらと雪まで舞っている。 (注:ちなみに、PTのほうは自動的に水平に置かれるため、足が浮くかあるいは土にめり込むようになる。ANAは設置用アイテムの向きや傾きが反映されるため、置いた場所、起動した瞬間の傾きがそのまま反映される。しかも金床は、設置用小道具よりかなり奥に出現するため、SSの場所で妥協がいくまでに20個くらい破壊しているw) 結局私のしたことは、もともとあった金床、金庫(飲料入れ)、ポーチ(錬金台の上の素材入れ)をPTのものと入れ替えることと、ベッドサイドに小さなサイドテーブルを置くこと、家の両脇の岩の上に座れるようにすることくらいだった。
こうしていろいろと置いてはどけてを繰り返していて、私はつくづくと思った。 私はこの小さな小屋、本当に小さくて質素で、ともすると粗末なこの家を、本当に気に入っているのだと。 人によっては、戸口にリースがあったほうがいいと感じるだろう。ここに椅子を置いてもいいと思うだろう。しかし私はどうやら、この質素さが心から気に入っているらしい。だから、彩りや飾りをと思ったところで、実際に飾ってみるとしっくりこなかった。 もちろん、これならと思えるものをまだ試していないだけかもしれないから、これからもなにか思いついたら試してみようとは思う。 しかし今は、この小さな家にいくつかの必要なものを、邪魔にならない程度に追加して、それで満足している。作業台や付呪台��ら、慌てなくてもリバーウッドやホワイトランに行ったついででいいし、むしろ、それを���由に村の人たちの顔を見に行くのも楽しみになる。 ―――生前の私は、どんな家に住んでいたのだろうか。やはりこういった、小さな小屋のような場所だったのだろうか。そういったことはまだなにも思い出せない。今の私は、かつての私とどれくらい同じで、どれくらい違うのだろう。 そんなことは考えても仕方がなない。 サイドテーブルになにを置くかなどはおいおい考えるとして、今夜はもう寝なければ。
そういえば、昼に裏手でいろいろと試していたとき、水中に古い遺跡の跡のようなものを見つけた。入り口などはない、ただの残骸だ。こんなものがあるとは今までまったく気付いていなかった。 あいにく、水中では召喚という行動そのものができないので無理なのだが、ここに宝箱を隠せても面白いと思ってしまった。とはいえ、物好きな冒険者ならばもぐって宝探しもするだろうか。
……さすがに眠くなってきた。 明日は特に予定もないし、少し寝坊するとしようか……。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険16
翌朝は少し早めに起きた。 少しは歩き慣れたホワイトランやリバーウッドの近くとは勝手が違う。道に迷うこともあるだろうと思うと、あまり遅くまでは寝ていられなかったのだ。 しかし夢も見ずに眠ったおかげか目覚めは爽快だった。天気がよければいいがと思いながら部屋を出ると、宿の女将はひどく顔色が悪かった。 聞けば、ここのところドーンスターの人々は、ほとんど例外なく悪夢に悩まされているという。昨日、マーラの司祭だというダークエルフが人々を宥めていたのは、それに関してのことらしい。不思議と旅人には影響がないそうで、女将はそれがせめてもの幸いだと言って、力ない笑顔を見せてくれた。 私がもう少しこのあたりの土地に慣れていれば、いくらかの力になれるかもしれないと思っただろう。しかし、少しなりとも見知った場所から離れているせいか、「では私が」とは言い出せなかった。我ながら不甲斐ないものだ。 だがもし―――誰かが早く解決してくれるに越したことはないが、もしまた私が訪れるときにまだこの悪夢が続いているようであれば、なにかできることはないか考えてみるとしよう。
出発前に今一度町の様子を見て回ろうとして、妙な男を見つけた。暁のなんとやらはどうでもいいが、何故この北国の、しかもその中でも北にある場所で、裸なんだろうか……。これは絶対に関わらないほうがいい気がする。 声をかけられたのは聞こえないふりをして、私はそそくさと町の入り口へ向かった。 昨日も思ったことだが、このあたりの道はうっすらと積もった雪のせいで非常に見分けづらい。獣道なのか街道なのかすら覚束なく、私は案内板を見落とさないよう、かなりゆっくり馬を歩ませた。
土地に慣れない私のような者には、ところどころに立つこの案内板が心強い。 ホワイトランを示す板はずいぶん古びており、ドーンスターなどの名前はまだ新しいところを見ると、小さな町のものは後になって追加されたのだろう。(mod) ともあれ、途中まではウィンドヘルムに向かう道と同じということは、どこかで南下する道に分かれるのだろう。
争いのあった砦は、さすがに今日はもう静かだった。だがそこかしこに死体が転がったままで、事後処理はまだ済んでいないらしい。 通り抜けても大丈夫なのか心配だったが、止められることはなかった。 この戦争が我が事であればなにかを考えるべきなのだろう。しかし今の私にはどうしても他人事だ。そのためか、痛ましいとは思うが憤りは感じない。感じるとすれば、できるだけ関わりたくない、巻き込まれたらどうしようかという不安くらいだ。 当事者、少なくともスカイリムに生まれ育った者であれば、国の行く末や戦争の成り行き、どちらに味方するかはもっと身近な、重大な問題なのだろう。それはリバーウッドのような小さな村でも時折感じることがある。 戦火が大きくならなければよいのだが。
無事に雪道を抜けて南へ向かい、ホワイトランの城塞が見えてきたところで、突然、3頭ものクマに襲われた。いったいなにが起こったのか、それは分からない。彼等の巣でも知らずに刺激してしまったのだろうか? だが私は道を逸れてはいないはずだ。 考えても仕方がない。私は怯えて暴れる馬から飛び降りると、応戦することにした。
これくらい大��の野生動物となると、並の賊よりもはるかに手強い。しかし私には、生前に培った戦闘経験がある。それが、血肉をなくしたこの身にもまだ強く残っているようだ。 無傷でとはいかないがまずは一頭。
そして二頭目。 三頭目は、仲間を殺された怒りなのかしぶとかったが、これも大過なく仕留めることができた。 怖がって離れていた馬も戻ってくる。召喚している以上生身、あるいは本物ではないはずだか、行動はどこまでも普通の馬たちと同じようだ。 事情は分からないが、殺してしまったものは仕方がない。捨て置くよりは、せめて活用してやることが野生に対する供養だろう。私は3頭からそれぞれに毛皮や爪、肉をいだたくと、持ちきれない分は馬の鞍にくくりつけた。 家に戻る前に、ホワイトランで荷物を整理してこよう。
ホワイトランに立ち寄ったとしても、まだ時刻は昼だ。このまま家に帰っても時間を持て余しそうだと思った私は、ふと見た山のほうでも探検してこようと決めた。洞窟の一つや二つはありそうである。
ホワイトランに着いた頃には雨になっていた。 心なしか、町に草花が増えている気がする。(modを変更したためである) こう天気が悪くなければ、明るくて活気のある町だ。こんなふうに彩りが増すのも嬉しい。雨ではなんとなくくすんで見えてしまうが、きっと晴れた日の昼間であればきれいだろう。今度ゆっくりと町を歩きまわってみるとしよう。 ともあれ、まずは荷物の整理だ。 鍛冶屋と、そして雑貨店に寄って武具や小道具などを処分すると、ようやく軽くなった。 気がつけば野菜や草花、薬などといったこまごましたものが増え、そのせいで思いがけず かさばっていたらしい。持ち歩ける荷物を少し増やすような便利なバッグはないだろうかと思ったが、こういった不自由も楽しみと言えば楽しみかもしれない。
ベレソアの雑貨店を出ると、途端に激しい雨の音が耳を覆った。店主と少しばかり無駄話をして��る間に雨脚が強くなったようだ。 この雨の中を探検というのもどうかとは思ったが、では他になにをして過ごすかとなると、なにもない。手に入れてきた本を読むなりすることで時が過ぎるならいいのに、不思議とまったく時間が経過しないのだから困る。晴れているなら魚釣りもいい。私の家なら、裏手に腰でも下ろせばそれで良さそうだ。しかし釣り道具はあるのに釣りはできないとは……。(筆者の叫び:TES6ではぜひぜひぜひ~~~っ!!) 雨と言っても、それで凍える体でもないことだ。視界が悪いことだけが気がかりだが、昼の内、しかもこの近郊ならば開けてもいるし大丈夫だろう。 ホワイトランを出て、醸造所の前を通って橋を渡り、山に向かう。
思ったとおり、洞窟はあった。ご多分に漏れず山賊つきだ。幸い、このあたりの山賊は装備も整っておらず、下っ端は特に他愛もない。 それにしても、思ったより生活感があって驚いた。住み着いて長いのだろう。これだけホワイトランに近いというのに、衛兵たちはなにもしないのだろうか?
見張りを倒して中に入った途端、私はぎょっとした。すぐそこに、男が一人腰掛けていたからだ。 しかし彼は私の存在に気がつくと、そこにいるのは誰かと誰何したついでに別人の名前を呼んだ。どうやら彼は目が見えないらしい。 であれば物音や気配にも敏感で、それで相手を感じ分けるくらいのことをする者もいそうだが、盲目になって日が浅いのかもしれない。私が曖昧に「そうだ」と答えると、少しも疑う様子もなく、呼ばれているから早く上に行けと言った。
男の前には本が一冊あった。盲目の男が読む本? 怪訝な顔をされたが、そっとページを開いてみると、中は真っ白だった。 読めないのだから、なにか書いてあっても無駄なのは分かる。だが、であれば本そのものが不要だろうに、何故白紙の本など置いているのだろうか。まだ目が見えていた頃、読書家だったのかもしれない。読めずとも心が、本の手触りや存在を求める、そんなこともあるだろう。 彼も賊の仲間ではあるが、盲目で、私を敵だと思っていない者を殺すのは忍びない。私はこの男のことは後に残し、洞窟を奥へと進んだ。 強くはないが、10人近い数はいた。腕に自信はいくらか出てきたとはいえ、乱戦は得策ではない。弓と隠密の稽古も兼ねて、できるだけ数を減らしつつ進んでみる。
だいぶ慣れてきた。あの小屋に残されていた素朴なこの弓も、いくらかは手に馴染んできたようだ。
彼等は狼を手懐けて番犬代わりにしようとしていたようだ。私がなにげなく引いた鎖がその檻の扉を開けるものだったせいで、女山賊は狼に噛み殺さた。この山賊たちは自業自得だが、捕まえられ、ろくに食い物も与えられず飢えていた狼は憐れだ。さすがに2人、3人と仕留めるほど強くもなく、傍にいた男に殺されたらしい。 もし生きていても、残念ながら私も飢えた狼にとってはただの獲物だ。私にできることといえば、やはりその死を無駄にしないことくらいである。 幾人かの山賊を退けて洞窟の中を登っていくと、やがて外に出た。 そこに見晴らしの良い展望台のようになっていて、ホワイトランの丘陵地帯が一望できた。晴れていればなかなかの眺望だっただろう。 無論、私にはそれを眺める暇はない。そこにいた山賊のリーダーらしき男は、私を見るなり剣を抜いて襲いかかってきた。 半裸のようだった手下たちとは違い、その男は鋼鉄の鎧に身を固めていた。さすがに弱くはない。 だが、苦戦することもなかった。
(筆者より:突然のゴア失礼……柵の間際だったためこんなドアップにw)
つい刎ね飛ばした首が低い柵の向こうへ落ち、崖を転がり落ちるかと思えば、岩場にとどまってこちらを向いた。苦痛よりも驚きを感じたまま時が止まったかのような表情だ。 テーブルにあった日記を読むかぎり―――マメな山賊だ―――、このあたりを通る旅人や商人を頻繁に襲っていたらしい。しかしドラゴン騒動のせいで衛兵が引き上げてきて、稼ぎにくくなったとボヤいている。 懐が厳しくなると、��ういった連中は簡単に仲間割れする。彼等も反乱する者がいて、ある者は出ていき、ある者は殺されたらしい。 私にとっては、数が減っていたのはただ幸いだというだけだ。真っ当に働いて暮らしている者から強奪して生きるような連中に、同情の余地はない。
崖からそのまま降りられないこともなさそうだったが、雨とあっては足元も滑りやすい。私は中へと引き返し―――あの盲目の男はどうするべきかと悩んだ。 生まれつきの盲人や、長年そうして生きてきた者であれば、一人になろうとどうとでも生きていくだろう。彼等にはもうそれが「当たり前」だ。だがこの男はどうなのだろうか。仲間の助けがなくては生きられないとしたら、私がこのまま出て行った後、彼はどうする、どうなるのか。 さりとて彼もまた賊の一味なら、あれこれと助けてやる必要もないように思う。 迷った私は、声をかけることにした。それでもし彼が、一人になっては仕方もないから、これからはたとえ物乞いでもして、人様の情けにすがって慎ましく生きていくと言うのであれば、見逃しもしたし、手近な町、ホワイトランかリバーウッドにでも連れて行ってやるのもやぶさかではなかった。 だが結局は、私は一人で洞窟を出た。そういうことだ。 リバーウッドへ向かう曲がりくねった丘の道は、雨ともなるとほとんど見通しがきかない。篠突く雨とは、こういったものをさすのだろうか。
そうして村に渡る橋を越えたとき、白い雨の向こうに私は、見慣れないものを見たような気がして馬を止めた。 ほんの僅かに……対岸に見える褐色のあれは、屋根? それともテントだろうか?(注:橋の屋根のすぐ脇に2つ見えてます)
なんなのだろうと思って製材所の脇から対岸に向かうと、そこには以前なかった家があった。どうやらこれもまた、現れては消える不思議の一つらしい。 しかも家の前には、こんな雨だというのに女の子が一人、所在無げに腰掛けている。 いったいどうしたのかと尋ねると、家の鍵を犬がおもちゃにし、どこかへ持って行ってしまったという。(注:というミニクエストつきの家mod) Kobeという名のその犬は、牛のいるところで遊んでくるらしい。探しに行こうとした少女だったが、この雨のせいでどうしようかと迷っているうちに、私が来たようだ。 リバーウッドで牛といえば……製材所の女主であるジャルデュルの家にいなかっただろうか。
そう思って彼女の家の前庭に行くと、いつもこのへんをうろついているこの家の飼い犬とは別の一匹が、軒下に座っていた。そしてその足元にきらりと、雨空の僅かな光を弾いて、金色の鍵が落ちていた。 私はそれを手に入れて戻り、少女に渡した。(注:無論 実際には渡せません。そのまま家に入って自分のものにしましょう) そうして私はリバーウッドに係留した小舟を使い、ようやく我が家へと戻ってきた。
降りしきる雨とはいえ、やはり我が家はいい。大きな街の賑わいや人混みよりも、私にはこの小さな小屋が本当に性に合っているようだ。 ……が、やがて思いがけないものを見つけた。
い、いつの間に橋がかかったのだろう? 私の家の前、薪割り台のあった小さな中洲に、左右の岸から橋がかかっていたのだ。(mod。今まで使っていた橋modの代わりに、それの他に2つほど複合したものを入れた。SSは中洲から小屋のほうを見てる) 幸い、私が置いた金床や収納箱はそのままだったが……いや、もとからここは私の私有地でもなんでもなく、勝手に使っていただけなのだからいいのだが……こうなっては、ここに私物を置いておくのはよしたほうがいい。 とりあえず、鉱物やインゴットは回収し、いったんどこかへ仕舞っておくしかあるまい。明日はまた収納についてでも考えるとしようか。
スカイリムの東をぐるりと回ってきたが、その間に手に入れたニンジンはほんの12本だ。こんなありふれた野菜が、これほど希少だとは思いもしなかった。
雑多なものを整理していてふと手に触れたこの奇妙な玉、そういえば、ブリークフォール墓地で見つけて以来ずっとほったらかしだが、これはなんなのだろうか。重いわけでもないし、何故か手放せないのでいつも荷物に入っているが……。 手に入れたとき、なにやらあれこれ頭のなかに語りかけられたが……たしかメリディアと言っていたろうか。メリディアならば、デイドラではあるが、我々にとって特に危険というわけではない。少なくとも、生者にとっては。しかし私の場合はどうなのだろう。デイドラから見れば、私が実際には死んでいるということが分かるのではないか? だとすれば私は、メリディアの忌み嫌うアンデッドなのだから、とてもかのデイドラのところになど行けそうもないし、行きたくもない。 邪魔にはならないが、さてどうしようか……。
そんなことを思いつつ、チーズスープと鹿肉のグリル、ノルドハチミツ酒で一息つく。気がつけば22時を回り、いい時間だ。 明日はとりあえず、金床などをこの近くに置けないか考えてみるとしよう。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・15
翌朝6時。パンとキジ肉のロースト、ミルクで軽く腹ごしらえをし、ウィンドヘルムを出た。 薄曇りの空にはちらほらと雪が舞っている。 街の人たちの中には、この時間にもう働きに出る者もいるらしい。
昨日、間一髪のところを助けた馬屋の婦人もその中にいた。こうして何事もなく仕事に出向けるのも、仕事の愚痴を言えるのも、命あっての物種だろう。 ここからドーンスターへ向かうのであれば、川沿いの街道を西へと辿ればいいらしい。川の名も教えてもらったはずだが、馴染みのない名前で、もう忘れてしまった。 途中、対岸への橋を見つけ、渡るべきなのかどうなのか迷ったが、このまま川の南岸を進んでも道らしい道はないようだ。
渡った先を少し行くと、木材工場があった。第一次産業の朝は早い。もう薪割りをしている青年がいた。ふと見ると、彼の使うものとは別の斧が傍らに置かれている。ここで少し薪を作っていこうかとも思ったが、道中なにがあるかも分からないし、荷物になるだけだと思い直した。
このあたりの水辺は、リバーウッドの近くやリフテンの傍とはだいぶ違った風情だ。やはり色彩の変化に乏しいのが、私にはどうしても陰鬱に見えてしまう。決して嫌いな味わいではないが、毎日この景色を眺めて暮らそうとは到底思えない。
道なりに行くと、小屋というには少し立派な、小さな建物が見えた。民家だろうか?
気になったので近づいてみると、なんと、こんなところに宿屋とは驚いた。正直に言って、客など来るのだろうか? しかしこんな小さな宿屋にも掲示板はあった。 ところで今更気づいたが、この依頼、受けてみるまではいくらもらえるか不明なのだな……。損になることはないようなので構いはしないが。
辺鄙な場所だ��思ったが、意外に客がいる。(注:modで改装+複数のmodでフォロワー候補が追加されてるっぽくて、尚更人が多いw) 宿の主に話を聞いてみると、曽祖父の代からここで宿を経営しているらしい。主人の口ぶりでは、老人が一人飲んだくれているのと、長期滞在のオークがいるくらいのようなのだが、だとすれば他は一見の旅人ばかりということだろうか。 宿屋ナイトゲートを出て進むうち、進んでいるのが街道なのかどうなのか、はなはだ心もとなくなってきた。雪が石畳を覆い隠し、獣道にも見えるのだ。
進むうちに帝国兵とストームクローク兵の争いに遭遇した。戦争のどちらかに加担するつもりはないが、地図を見るかぎり、この砦を北へと抜けるのが、ドーンスターへの道のように思える。しかしいくらなんでも、血みどろの殺し合いを脇に見て通り過ぎるというのは……。 さりとてどちらかに味方して決着させるのも言語道断で、私は仕方なく、砦を大きく迂回することにした。
こうなると、街道なのか林道なのかも分からないが、だいたいの方角だけ間違いがなければ、いずれは海岸線に出るだろう。
その目算に誤りはなく、11時少し前にドーンスターに辿り着いた。 北の寒村と聞いていたが、石の外壁に物見の塔らしきものも備えた、なかなか立派な街のようだ。(注:Hold Capitalsというシリーズの、地方要塞改修modのため)
ウィンドピークという名の宿屋も大盛況のようである。(注:宿屋改修mod、人口増加mod、Hold Capitalなど複数の影響下にあります) ただ、奥のほうでなにやら輪になっている一団は、和気藹々と食事や会話を楽しんでいるという様子ではない。立ち入ったことであれば、無闇に首を突っ込まないほうがいいだろう。 首長の長屋の前では、意志の強そうな中年の女性と、身なりのいい壮年……老年にさしかかりつつありそうな男とがなにやら言い争いをしていた。どうやら内乱に関わることのようだ。 その間を通っていく無神経さは持ち合わせていないので、適当に降りられるところを探して水辺に出ると、目の前には何艘かの船がもやってある。
東帝都社の事務所もあるところからして、北の貿易港としてそれなりに賑わっている様子だ。 鍛冶屋は夫婦経営で、なにげなく街のこと、鍛冶のことなど聞いていると、レッドガードである妻の慰めとするのに、『センチネルに落ちる夜』ていう書物を見つたら譲ってほしいと頼まれた。故郷から遠く離れて感じる郷愁、か。あいにく私には故郷以前に蘇る前の記憶がないので、セレンという婦人の気持ちを察することはできない。しかし、勝手の違う土地と風習の中では、どんなに良い夫に労られて過ごしても、時に寂しくもなるのかもしれない。 その本は手元にはなかったが、もし見つけることがあれば届けようと約束し、近くに見える錬金店に向かった。こちらは老婦人が店番をしていた。闊達だが優しげな、世話好きな婦人のようだ。昔は乳鉢と乳棒で調合したもんだよ、などと語るのを聞いていると、どことなく懐かしいような感覚も覚える。まさかかつての知人でもあるまい。きっと、私の脳裏にある良き母、あるいは祖母のイメージに重なるせいだろう。 フルダという老婦人は、先ほど見かけたあの首長がまだ子供の時分からここに住んでいる、と言った。首長が老けて見えるだけなのか、この婦人が見かけよりも更に長生きをしているのか。私も、女性に対して年齢を話題にするほど愚かではない。売り物を見せてもらうと、ありがたいことにトロールの脂肪を2つ扱っていた。
聞いていた話では、寂れた漁村といった様子だったが、実際に訪れてみると随分違う。おそらく、貿易港としてはソリチュードというもう少し西の都市、首長たちのリーダー格だという上級王がいる、いわば首都には劣るのだろう。しかし漁業もあり、鉄と水銀2つの鉱山を抱え、だいぶ潤っているのではないだろうか。決して寒村などではない。 そんな具合に街の散策を楽しんでいた私は、思いがけないものを見つけてしまった。 山側にある鉱山の脇あたりを登っていったところに、民家と思しきものがあった。(注:要塞改修modで追加される自宅) 薪割りをする男がいたので、なにげなく彼の家だろうと思って通りすぎ、灯台らしき背の高い石造りの建造物を見上げた後で、ふと、そこにあったタルが目についた。 こういったタルの中のものは、特に所有者がなく、必要な者が好きに手に入れても良いことになっている。野菜などは畑よりもタルの中に備蓄されているものをもらうほうがいいと言われて以来、なんとなく気をつけるようにしていた。するといくらか目につくようになったのだが(注:タルなどをなくす軽量化modを抜いた)、今私が見つけたのは、りんごとともに突っ込まれた一枚の紙片だった。
『 Iへ 襲撃するには、防備についての情報がもっと必要だ。 街の東の洞窟の中にキャンプを張っている。夕刻6時にそこで会おう。 エージェント・X』
誰かの悪戯だろうか? 子供たちの秘密基地ごっこ? いや。この筆跡は大人のものだろう。 首長か衛兵に届けようかと思ったが、一方で、ただの悪戯だった場合には無駄な騒ぎを引き起こすことになる。 私はしばし迷い、この街の中にいるに違いない「 I 」を探し、様子をうかがってみることにした。 さりげなく街に戻り、さて、どうやって頭文字「 I 」を探せばいいのだろうか。なにせ今日、つい先ほど着いたばかりの街では、知っている名前もろくにない。ただぼんやりと、宿屋で話し合いをしていた中の一人、女性がイグ……あるいはイルグなんとか、と呼ばれていたような覚えがあるくらいだ。 だいぶ悩んだが、人の良さそうな鍛冶屋の夫婦や錬金店の婦人に、「落し物を拾ってもらったんだが、名前を聞きそびれてしまった。去り際に、イ……なんとかと呼ばれていたのを聞いたんだが」と白々しく尋ねてみると、イルグニールか、イーディス、そうでなければイグマンドだろうと見当がついた。 イルグニールとイーディスは女性、イグマンドは男性だ。 怪しまれない程度に彼等の人となりを尋ねてみると、イルグニールは最近、悪夢に悩まされて気もそぞろ。イーディスは水銀鉱山の労働者で、この2人はそれなりに長くドーンスターに住み暮らしているらしい。しかしイグマンドという男は少し前、要塞の修繕の前後に越してきた男で、人当たりはいいがどこか胡乱なところがあるという。妙に人懐っこいかと思うと、よそよそしいこともあるとか……。 おそらく、イグマンドだろう。しかもその男は、高台の新しい家に住んでいるというあの薪割りの男に違いない。タルを見つけたのもすぐその近くだである。 私は、18時を待ってみることにした。
ぶらぶらと街を散策し、時間を潰し、そろそろかと高台の家を覗きに行くと、イグマンドが階段を登り裏山のほうへ行くのを目撃した。隠密���動は得意ではないが、できるだけ気づかれないように後を尾けるとしよう。
いったいどこへ行くのだろう。エージェントXなる者は、東の洞窟にキャンプを設営したと書いていたが……。 それとも彼はただ、裏山に狩りにでも来ただけなのだろうか? そう思いそっと後を追っていくと……
どうやらイグマンドが「 I 」で間違いないようだ。 さて―――引き返して衛兵たちに報告してもいいが、そうなると、その隙に何事かないとは言えないし、勘付かれて逃亡されても、根本的な解決にはならない。しかし中に何人いるのかも分からないとなると、私一人で手に負えるのだろうか。 逡巡の末、私はこのまま突入することにした。手紙の文面からして、エージェントXはあくまでも情報の受け渡し役であり、洞窟にあるキャンプは襲撃グループのアジトではなく、X個人の一時的な起居の場所にすぎないように見えたからだ。 気づかれずに一矢でも、と思っていたが、彼等は洞窟の入り口付近で立ち話をしていた。不意をつかれた形で私はあっさりと見つかってしまい、一対二の戦いになった。 しかもエージェントXは氷の付呪がついた戦槌を振り回すため、いくら寒さには強いといっても、スタミナが奪われていく。左手の盾が思うように扱えず、剣も渾身の一撃を繰り出すには覚束ない。
それでも幸いに、彼等は戦闘員ではなかったらしく、苦戦することなく倒すことができた。 なにか襲撃の証拠になるようなものはないかと彼等の懐を探り、洞窟の中を捜索する。 あいにくとメモの一枚もなかったが、イグマンドの懐から家の鍵を手に入れた。もしかするとあの家の中に、なんらかの証拠でもあるだろうか。 ともあれ首長に報告を、と、エージェントXからイグマンドへの手紙と、家の鍵を届けたが―――まるで相手にされなかった。(注:そういうイベントはありませんw) しかし一応、イグマンドの家は私の好きにしていい、といったような流れだったので、これが礼のつもりなのかもしれない。(注:鍵さえ手に入れれば、家はアナタのもの❤ スリ取ることもできるのですが、その場合どうなるのかは確かめてません。ただ、盗品にせず、犯罪を犯さずに鍵と家を手に入れるなら、これが正式なルートです)
入ってみると、なかなかに立派な家だった。
錬金器具も付呪の道具もあり、鍛冶設備も多少は揃っている。
しかし私には広すぎるし、やはりあのリバーウッドの家に愛着があった。そう長いこと住んでもいないのに、本当に私はあの小さな我が家が気に入っているらしい。 そしてふと、明日は寄り道せず家に帰ろうという気になった。 寝床も、宿屋のほうが気楽でいい。使うつもりもない家の寝台に、勝手に寝転がるのはどうも気が咎める。
まだ20時半と、寝るには少し早かったので、薪割りでもして少し時間をつぶすことにした。薪割り用の斧は、たまたま鍛冶屋で取り扱っているのを見て購入してしまったのだ。たしか中洲の道具箱に入れておいたと思ったが、記憶は定かでないし、高い買い物でもない。もし既に一本持っていたら、掲示板の預かり箱にでも入れておくと便利だろう。 20本ほど割ったところで、とてもラクには持ち運べなくなったが、宿屋の前までは馬ででも移動すればいい。黙々と50本割り続けた。 そうして薪の納品を終え、依頼にあったと覚えている品物をいくつかと斧を掲示板の預かり箱の中に入れると、もう23時前だった。 さすがに空腹だ。宿は昼よりもなお人で溢れ、座る場所もないほどの繁盛ぶりだった。それでもなんとか席を見つけ、パンとビーフシチュー、チーズ、ノルド蜂蜜酒で食欲を満たす。
一晩の部屋を頼むと、質素ではあるが一応の間仕切りでプライベートの保たれた、なかなかに居心地の良さそうな一室に案内された。 吟遊詩人の女性が奏でる歌が、ほんのりとした酔いとともに心地好い眠りへと誘ってくれる。 明日は、ここからホワイトラン、リバーウッドに戻る道をまず確認して、ともかく一度は帰ることだ。 昔の私がどうかは分からないが、少なくとも今の私には、決まった住処も持たず旅から旅という生活はできそうにない。こんな数日の遠出でも、もう里心がついてしまった。 そんなことをつらつらと考えながら、私はあたたかい眠りの中に落ちていったのだった。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・14
(注:今回は、ウィンドヘルムにおける連続殺人事件捜査の、結末までのネタバレになっているので、万一プレイ中かつこのクエストは未プレイのかたがいれば、どうかすっ飛ばしていただきたい!)
今日の予定では、ウィンドヘルム泊まりも考えていた。そのため起きたのは朝6時と、遠出をするならば少し遅い時間だ。だが今日は行ってもドーンスターまでのつもりでいた。 しかし、パンとチーズで朝食を取りながらふと、ロッジの家に伝わる盾を探しに行こうかと思いついた。とはいえ、心当たりの場所というのがここからあまりにも遠くては困る。ロストナイフ洞窟というのはどこにあるのだろうか。こういったことは、宿の主に尋ねれば��いてい分かる。もし彼等が知らないとしたら、かなり遠くにあると見て間違いない。 聞けば、ミックスウォーター川の南、アモル砦の傍だと言う。そう言われても、そもそもの名前をまだ覚えていない私にはよく分からない。地図に印をつけてもらうと、直接向かうには少し遠いようにも感じた。ホワイトランとの中間地点あたりとなると、ドーンスター回りで帰ろうかと考えている旅程にもそぐわない。 急ぎではないことだし、今日はまずウィンドヘルムに向かうとしよう。 そう決めて外に出ると、薄曇りの空が広がっていた。
ウィンドヘルムまでは、馬であればものの10分ほどだった。 以前に訪れたときは深夜で、ゆっくりと門前を眺めることもできなかった。改めて見ると、頑丈そうな石造りの橋と門は、いかにも堅牢な印象だった。そして同時に、寒々しくもある。ホワイトランやリバーウッドにあるような、スカイリムなりのあたたかみのようなものは感じられない。佇む衛兵たちは、むき出しの二の腕が寒くはないのだろうか。
明け方の街はまだ静まり返っている。 正面に見えるのが宿屋だ。7時では商店も開いているまいし、大半の人々もまだ活動していないだろう。私はまず、宿の中でもゆっくりと見てみることにした。 そういえば、ここの掲示板はどこにあるのだろうか。
おお、あれだ。少し見つけづらいが、見つかって良かった。さて、ここの依頼はどんな内容なのだろうか。 オオカミの毛皮や、ニルンルート、牛の肉、薪、といったものか……。さすがに100本もの薪を割るのは時間がもったいない気もしてしまう。とりあえずは、引き受けた依頼をこなしてからでいいだろう。 だが幸い、オオカミの毛皮の手持ちが8枚ほどあった。丁度いい、これを納品してみよう。 報酬は100ゴールドのはずだったが、なんと181ゴールドも得ることができた。ありがたいことだ。 薪のほうは約束報酬500ゴールドで、専門の買取人に売るよりも高額だ。これにもいくらかのボーナスがつくとしたら、多少の時間を割いてもいいかもしれない。
キャンドルハースという名のこの宿には立派な二階があった。ほとんどの宿では一階が食堂やサロンになっているが、ここは二階が��れに当たるらしい。大きな暖炉には赤々と火が燃え、早朝にも関わらず幾人かの人たちが寛いでいた。アルコーヴには二人がけ程度の小さなテーブルもある。友人とゆっくり食事をするのにも良さそうな宿だ。もっとも、常連であれば一階のカウンター席で、女将と歓談したりするものなのかもしれない。 そんなことを考えているうちに、8時半を回った。そろそろ市場や商店も動き出す頃だろう。それらがどこにあるのか、適当に見て回るとしようか。
ふむ……大きくて立派な街のようだが、高い石壁のせいで見通しが悪く、狭い路地が続くと街自体も狭く感じてしまう。このあたりは、灰色地区と呼ばれるダークエルフたちの居住区のようだ。そういえば前に訪れたとき、なにやら言い争っていたはずだ。あいにくとこちらにも事情があり、ろくに聞きもせず宿に飛び込んでしまったが、ダークエルフたちが暮らすことを快く思わない者がいるのは、なんとなく覚えている。
看板からすると、雑貨屋だろうか。その前で二人の男が立ち話をしていた。 壮年、禿頭の男は、ストームクロークのリーダーであるウルフリックにいくらか意見を言える立場にいるらしい。その彼に、この地区についてもう少しなんとかしてほしいと頼んでいるようだ。冷たい石造りの街自体がなじまないせいか、私にはここがそれほど寂れているようには見えないが、スラムと言えばスラムなのかもしれない。 店はサドリというダークエルフが経営していた。 私はどうやらエルフ―――ウッドエルフは別のようだが―――に好意的な感情を持っていないらしく、ここにある品物が真っ当な手段で手に入れたものなのかどうか、ふと疑う気持ちがわいた。しかし、そんなことを言ってどうなるだろう。恥じるところのない取引で手に入れたものであれば、疑いをかけられていい気はするまいし、後ろ暗いところがあれば敵意を向けられるだけだ。不安ならば、私が売買しなければそれでいい。
サドリの店の隣には、ニュー……なんとかクラブという、酒場のようなものがあった。
思いがけず賑わっていたが、なるほど、いるのはダークエルフとアルゴニアンだけだ。店主に話しかけて少し事情を聞いてみた。隣のサドリ氏が言うこととそれほど変わらない。 ただ、ノルドの女性が殺されているというのに、ダークエルフでないならどうでもいい、というのはどうだろうか。……いや、粗雑な扱いを受けているからこそ、そう言いたくもなるの��ろう。もしノルドと平等に扱われていれば、また違った��度になるに違いない。 悪意は悪意を生み、その悪意がまた悪意を生む。一度誕生した悪循環は、なかなかに断ちがたい。それをなんとかしようとする者もいるようだが、そのためには相手に歩み寄らせるばかりではなく、互いに歩み寄らねばならないだろう。 ところで、私がここで敵意を向けられないということは、やはりノルドではないようだ。ブレトンであればもっと小柄なのだから、レッドガードか、あるいはインペリアルに違いない。そして、見た目でノルドとはっきり区別がつくとしたら、レッドガードの可能性が高くなってきた。 ともあれ、店主は私を特にどう思うこともない様子で、ダークエルフの酒があるぞと勧めてきた。(注:宿屋改修mod効果) シェインだの、スジャンマだのという名前にはまるで馴染みがない。どんな酒なのか見当もつかないが、とりあえず一杯飲んでみたくはある。 ……飲んでみれば分かるかと思い、飲みやすいだろうと勧められたシェインを味わってみたが、残念ながら、原料などは見当もつかず、どうも私の口には合わなかった。
クラブを出、狭い路地を抜けると、右手に王宮らしき建物が見つかった。内乱の只中であることを考えると、気軽に訪問していい場所でもあるまい。なにか理由があれば入ってみるのもいいかもしれないが、今のところはなにもない。
なにげなく散策していたが、これは血の痕ではないか……? クラブの主が言っていた、ノルドの女性殺しというあれだろうか。見れば、装飾のされた石畳にもところどころ血が落ちている。
辿って行くと、墓地らしき場所に辿り着いた。途端、私の目に女性の亡骸が飛び込んできた。 衛兵と何人かの野次馬、あるいは発見者だろうか、遺体を取り囲んでいる。なんということだとつい近寄ると、衛兵に厳しく止められた。現場を荒らされぬよう守るためだろう。 いったいなにがあったのかと尋ね、一連の殺人事件について聞いた。ウィンドヘルムではこのところ、若い女性が何人も殺されているらしい。無論衛兵たちも捜査はしたいようだが、戦争のせいで手が足りないという。 では、ろくに捜査もされないまま今に至り、何人もの犠牲者を出しているということか? 殺されているのがノルドであれダークエルフであれ、関係ない。放っておいていいことではない。 なにか手伝えることはないかと申し出ると、まずはそこにいる目撃者や野次馬から話を聞いてくれ��頼まれた。 犯人らしき者を目撃した男は、走り去るところを見ただけだと言う。それから、埋葬に取り掛かれるようになるのを待つ女性は、祭司なのだろう。もう一人の女性は特に何ということもない市民か。大した手がかりは得られなかったが、聞いた話を衛兵に伝えると、本格的に捜査してくれるというなら、執政のヨルレイフから公的な許可を得るようにと言われた。 ということは、あの王宮に行かねばならないということか。政治的な揉め事には近づきたくないが、仕方ない。殺人事件の捜査のためだ。 中に入ると、声高に議論する男たちの声が聞こえたが、私が会うべき執政は、どうやら食事中のようだ。邪魔をしてすまないがと声をかけると、意外にも邪険に扱われることはなかった。温厚で思慮深い人物のようである。そのまま彼に、殺人事件に手を貸したい旨を伝えると、願ってもないことだと信任してくれた。
さて、事件の調査は現場からだ。犯行現場はあの墓場として、そうだ。先ほどの衛兵に、正式に依頼されたことを伝えておいたほうがいいだろう。 そう思い引き返し、話をすると、先ほどいた司祭ヘルグリッドから遺体について聞くことと、血痕をたどってみることを提案された。 血痕のほうは、私は逆に辿ってここまで来たのだから、引き返せばいい。ヘルグリッドという司祭は、すぐそこの死者の間へと遺体を運んだという。 死者の間は、ノルドの伝統的な埋葬場所だ。中に入ると独特の乾いた死臭に包まれる。常日頃、死者と死に触れているヘルグリッドにはどこか常軌を逸したところがあったが、まともに話ができないほどではなかった。
無残な死体は、曲刃で切りつけられているという。ミイラを作るときに使うもので、日用品ではない。それこそ、ヘルグリッドのように死者と深く関わる者ならばともかく、普通の人は持っていないだろうと言う。
外に出て血痕を辿り直すと、着いたのは立派な家屋の前だった。もちろん施錠されている。私も、洞窟などを探検したときに簡単な鍵ならば外したことはあるが、ここの鍵はとても手に負えそうもない。さて、どうしたものだろう。衛兵か、ヨルレイフに話せば、なんとかなるだろうか? 衛兵は墓地を去りかけていたが、呼び止めると、あの家は殺されたフリガ・シャッターシールドのもので、母親が鍵を持っているはずだということと、少し前に市場のほうへ行くのを見たことを教えてくれた。(注:実際にはマーカー頼りで市場に向かっ��いることは言うまでもないw)
街の荘厳さのわりにこじんまりとした市場だが、露店とは別に鍛冶屋、錬金店も揃っている、なかなかの便のいい市場のようだ。そこにいた身なりのいい女性がドヴァだった。 彼女に話しかけると、疲れ果てたような声で応じられた。無理もない。娘さんの事件の捜査を手伝っていることと、家を調べたいので鍵を貸してほしいことを伝えると、あまり期待はしない様子だったものの、快く鍵を譲ってくれた。 鍛冶屋や錬金店、市場のいくつかの露店も気にはなるが、そんな気楽なものはまた後でもいい。まずは調べられるだけのことを調べてしまおうと、私はヒジェリムという名らしいあの家に引き返した。
廃屋には、独特の雰囲気がある。しかもそこが殺人のあった場となると、やはりいい気分はしない。 血のついた宝箱やひっくり返った椅子、置き去りにされたままの家財道具―――特に手がかりらしい手がかりもないが、この事件の犯人、ブッチャーと呼ばれる者について書かれたビラが、やけに大量に突っ込まれた棚があった。 ビラの主は、ヴィオラ・ジョルダノという名らしい。他に手がかりと思えるものもないことだし、この人物を探してみようか。 とは言っても、顔見知りもろくにない街で、当然、ヴィオラという女性、名前からして女性だろうと思うが、彼女のこともまったく分からない。どんな姿で、いくつくらいの人なのか。 困ったときは、街について詳しい者に頼るべきだ。とすると、宿の主や商店の販売人、衛兵といったところだろう。あるいは、あの執政も、事件になにか関わる人物ということでよく知っているかもしれない。 捜査の進捗報告も兼ねてヨルレイフのもとを訪ねると、ヴィオラという女性がこのビラを街中に貼って回り、誰かがそれを片っ端から剥がしているのだと教えられた。それ以上のことは、ヴィオラ本人に聞いてみるといいと、おおまかな人相や年格好を教わった。 ヴィオラは今、街ではブッチャー狂の変人のように扱われているらしく、通りかかった者に尋ねると、あそこにいるのがそうだと示された。 彼女は犯人を追跡するほどのことはできないが、せめて皆に注意してもらおうと、このビラを作ったらしい。理解者のいない中で私が彼女を頼ったことがよほど嬉しかったのか、一緒にヒジェリムを調べようと提案された。 そうこうしている間に、道路の血痕はきれいに掃除されていた。さすがに、街の中に血が散乱しているのを喜ぶ権力者はいないと見える。
ヴィオラはヒジェリムに入ると精力的にあちこち調べまわった。 そして奥まった場所の戸棚をがたがたやっていたかと思うと、なにかおかしいと言ってきた。ただのタンスだろうと思ったが、調べてみると、横板がすっぽりとはずれ、背板の隙間からおぼろげな光が洩れていた。 ヴィオラは私に、調べてみてと言って距離をとった。無理もない。なにかあったとき、戦う力のない女性ではただ恐怖するしかないのだ。私は下がっているように言い、背板を何度か押したり引いたりしてみた。すると、なにかがカタンとはずれるような感触がして、背板が横に滑ったではないか。
その奥には、なんともおぞましい光景が待ち受けていた。 散乱した人骨。しかしテーブルの上に寝かせられたものには、どこか儀式めいたところがある。木の板も、呪術的な用途で使われれば一種の祭壇だ。その上に、それほど古びてもいない手帳が置かれていた。 内容はよく理解できなかったが、死霊術の手法か何かだろうか。殺された遺体は切り裂かれ、一部が持ち去られていた。それはこの"儀式"のためだったのか。 なんの目的で行われているかは分からないが、こういったことは魔術の知識なしにできることではない。しかも相応に専門的で、複雑なはずだ。 ヴィオラは、魔術師が関わっているのではないかと告げると、王宮魔術師のウーンファースが怪しい、執政に話してみるといいと言ったが……王宮魔術師ともなれば、多少は政治的な、あるいは都市的な内部事情にも通じているはずだ。それならばもう少し隠密に進められるのではないだろうか? 私はむしろ、直接そのウーンファースという人物に尋ねたほうがいいように思った。彼が無実であれば、魔術を扱う者として捨て置きはすまいし、そういった正義感はなかったとしても、適切な助言を得られるだろう。そしてもし後ろ暗いところがあれば、私を危険視し、なんらかの行動に出る可能性がある。確証もない、思いつきに等しい疑惑を執政に告げるよりは賢明なはずだ。
再び王宮を訪れると、さすぐに衛兵からは胡散臭げな顔で睨まれた。弁明しておきたいのもあって、彼に簡単な事情を告げ、魔術的な助言がほしいので王宮魔術師を探しているのだがと告げると、疑い深い眼差しは変わらなかったものの、西棟の研究室にいるだろうと教えてくれた。 ウーンファースという老人に死霊術について尋ねると、彼は私が一抹の疑惑を抱いていることを察したのか、真っ当な魔術師として、死霊術に手を出すことなど断じてないと言い切った。 そして、この一連の殺人に死霊術が関係しているとすれば、次の殺人の日時をかなり正確に割り出すことができると、しばし難しい顔でなにやら考え込んだ。やがて、明日の晩、石地区―――市場などのあるあたりのことだそうだ―――が危険だと断言した。
では今夜はこ��の宿に泊まり、明日の晩には市場で張り込みをしよう。 そう決めると、荷物の整理と下見を兼ねて、もう一度市場に行くことにした。 ところがだ。 まだ日暮れどきだというのに、そしてまだ「明日」にはなっていないというのに、更に言えば多くの人目があるというのに、男がナイフを片手に、一人の女性のほうへと向かっていた。 気づいた女性が悲鳴を上げる。男がナイフを振り上げる。
私はとっさに剣を抜くと、その男を切りつけた。
幸い、狙われた女性を守ることはできたが、市場は騒然となり、衛兵が駆けつけた。(注:普通駆けつけるょね……実際にはなんにも起こらないけど……(´・ω・`)) もちろん私は、ひとまずの殺人犯だ。だが事情を伝えると、思いの外あっさりと解放された。人目があったのが幸いだった。誰もがカリクスト―――犯人が走り去るのを見たと言っていたあの男だ!―――が婦人を殺そうとしているのを見た。一人として、それ以外の理由でナイフを手に近づいたようには見なかった。私はそれを止めて婦人を助けたのだと、皆が保証してくれた。執政から正式に依頼もされていることを伝えると、衛兵たちは報告するようにと念を押すだけで、あとは事後処理にとりかかってしまった。 私はまた王宮にヨルレイフを訪ね、そして事の顛末を報告した。ウーンファースにも伝えるべきかと思ったが、それは同時に、彼の計算が外れたことも伝えることになってしまう。だとしても、関心を持っていれば事情は遠からず耳に入るだろう。それならば、私から直接話したほうがいいかもしれない。 そう思ったのだが……まるでもう無関心な様子だったので(注:事後の特殊な会話は存在しない)、わざわざ話題にするのはよしておいた。
―――それにしても、何ヶ月も未解決だった連続殺人事件が、まさか一日で解決するとは思わなかった。事件に首を突っ込んで一日過ごしたのは想定外だが、それが一日で済んでしまったことほどの想定外ではない。 ともあれ、今日はここに泊まって、明日はドーンスターを目指そう。 たった一日とはいえ、人の死を背負って、慣れない街をあちこち駆けまわったのだからだいぶ疲れていた。今日は早く休もうと、市場から宿屋のほうへと向かう。幸い私はこういった方向感覚には優れていて、おかげで知らない街でもあまり迷うことはない。 宿に向かう途次、路地脇に薪割りのできそうな場所を見つけたが、……あいにくと専用の斧は自宅の中洲に置いた道具箱の中だ。それに、もし手元にあったとしても、今日はもうなにか労働をしようという余力はなかった。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・13-1
昨夜は早く休み過ぎたせいか、目が覚めたのは朝の4時だった。 さすがにあたりはまだ暗い。だが今日は、少なくともリフテンにまでは行くつもりでいる。少し早めの出発は歓迎すべきところだろう。 地図で見ると、リバーウッドはスカイリム南の中央あたりだ。リフテンはそこからはるか東にある。街道はどうなっているのかと見てみると、ホワイトラン領の東にそびえる高い山の、北側を行くルートと南側を抜けるルートがあるようだった。 見た感じ、近道なのは南のルートだろう。それに、北回りの道はいずれなにかのおりに通ると思われる。それに比べて南の道は、リバーウッドからリフテンへ直接向かうとき以外、あまり利用しないのではないだろうか。もちろん、道沿いに有用な施設などがあれば別だが、私はまだそれをなにも知らない。 そこで私は、とりあえず今日は南の山越えを試みることにした。
荷物は、昼食のパンとチーズ、ワインの他に、念のための寝袋、テントに明かりだ。万一野宿することになっても、最低限これらがあれば大丈夫だろう。 それから……ベッドロールを作るために必要なツンドラの綿が、あまりなかったはずだ。野草なのでどこかで採れるとは思うが、もし店で見かけたら購入してもいい。明かりを作ることはまたありそうなので、トロールの脂肪ももう少しストックしたいところだ。リフテンにある店はもちろん覗くとして、道中で旅商人に出会うようなことがあれば、品物を見せてもらうことにしよう。 それから、忘れてはならないのが(あくまで私個人としてだが)、ブラックブライアのハチミツ酒のことだ。リフテンに行けば、醸造所について知ることができるだろうか。 そういった諸々の楽しみとともに、私は呼び出した馬で湖を南岸に渡った。
地図によると、リフテンへ向かう道の脇にヘルゲンという村があるらしい。リバーウッドからは、徒歩でも行き来できそうな距離だ。辿り着いたときにはまだ早朝だろうが、宿があるなら見てみる価値はあるだろう。 それにしても、早立ちは旅には便利だが、夜行性の存在がまだうろつく時間帯であるのも事実だった。
いきなり山賊に襲われたただけでなく、そこから更に吸血鬼、ストームクロークが入れ乱れての大乱闘になってしまった。 ストームクローク兵は、こちらが帝国の軍属でないかぎりは敵対することはない。現状の私にとっては心強い味方となった。だが彼等も、上級吸血鬼を一人で相手にできるほど強いわ���ではないらしい。
ともあれ無事にヘルゲンに着いた。思っていたより広そうで驚いた。立派な外壁に守られてもいるし、門には両開きの扉も設えられている。 リバーウッド側の入り口傍には立派な鍛冶屋、逆側には雑貨屋があった。だが案の定、朝6時では営業していない。我が家から遠いわけでもないので、いずれ日を改めてゆっくりと訪問しなければなるまい。 (注:言うまでもなく、ヘルゲン復興modです。ワイヤー顔だけどオススメ!)
錬金術店の前には小さな花壇があった。しかもここに生えている草花は、自由に採取していいらしい。今の私には使い道のよく分からない素材もあるが、ツンドラの輪たニンジンのように、思いがけず必要になることもあるかもしれない。せっかくなのでいただいておこう。 リフテンに向かうためには、この錬金術店の前の門から出れば良さそうである。だが宿屋の品揃えくらいは先に見ておこうか。
それにしてもここは、いったいどのような村……町なのだろうか。 リバーウッドよりは広い。敷地だけならばファルクリースと同じくらいかもしれないが、こちらは街路が広いせいか、より広く感じる。 立派な監視塔のようなものもある。あまり賑わった様子はないものの、地理的に、南のシロディールとの交易が盛んなのかもしれない。―――シロディール。ふむ。私はその名前は当たり前に知っている。スカイリムという地名を知っていたのと同じようにだ。そしておそらく……おそらくだが、私が本来所属していたのは、シロディールのような気がした。 確信は持てないが、そんな気はする。曖昧な思いのまま、「ブラッディ・ソード」という物騒な名前の宿に入った。だが主は他の宿と同じく気さくな男で、陽気に歓迎してくれた。 ここではブラックブライアとホニングブリュー、双方のハチミツ酒を扱っている。しかも、なんだろうか、これは。
ジュニパーベリー入りのハチミツ酒……? しかも安い。ホニングブリューやブラックブライアが40~60ゴールドほどのところ、これはたったの11ゴールドだ。買うしかないではないか。 まずは試しに一本。……さっそく飲んで見ようか。もし気に入ったら、ぜひもう少し買って行きたい。 ……うむ、これはなかなかいい。まず、同じくらいの価格のノルドハチミツ酒に比べてやや弱めだ。果実の酸味、甘みとハチミツの持つ苦味、甘みとがいい具合に調和している。ただ、酔いは少し長引きそうだ。 デザート酒、あるいは食前酒として飲むのに良さそうである。そう思って、更に2本追加で買っていくことにした。
どんな店でも、買い物をし、そしてまた来てくれそうな客には愛想がいいものだ。 宿の主から話を聞くと、この町はほんの少し前まで、廃墟だったという。それがようやく復興し、人々も戻ってきたり、新たに住み着いたりしたらしい。 いったいなにがあったのかと問うと、ドラゴン!? ドラゴンに襲われて、破壊されたのだと店主は言う。私をからかっているのかと思ったが、彼の顔は真剣で、シマもまた不意に屋根を焼かれるのではない��というように天井をうかがう顔は、本物の恐れと不安に翳っていた。 ドラゴン―――。 なんだろうか。妙な感覚だ。まさかそんなものが、という思いは、店主の話を聞いたときに反射的に感じた。しかし、……そうだ。それはあくまでも、そんなものがすぐ傍にいるとは、といった驚きや疑いでしかない。私は―――。 なにかを思いかけたが、店主から「どうかしたのか」と声をかけられ、私は現実に立ち返った。それきり、考えかけていたものの断片は遠くに消え去ってしまう。 まあいい。……まあいい。まあいい、というか……考えるはよそう。このことについて考えると、旅も冒険も、なにもかもが台無しになってしまいそうな気がした。
ヘルゲンを出たときには、7時半になっていた。 うららかな良い日和だ。快晴とまでは言えないが、山間の道では鳥のさえずる声も聞こえてくる。今日はこのまま天気が崩れないでいてくれると嬉しいのだが、さて、どうなることやら。
山越えの間天気はもってくれたが、代わりに吸血鬼の集団に襲われた。しかも、ガーゴイルを2頭も召喚していた三人組だ。 何度か危うい局面もあった。しかし回復の薬に頼りながらどうにか切り抜けることができた。
リーダーらしき男は仲間から名前を呼ばれていたが(注:名有りだった)……いったいどういう連中なのか。デイドラの矢は強力で便利そうなのでいただいていくとして、ただの狩猟弓も、氷の付呪があるとなるといくらか高値で売れるだろう。だが相変わらず、身ぐるみ剥ごうという気にはなれない。特に衣類は、よほどのことがないかぎりは、相手が吸血鬼だろうと手を出そうとは思わない。 それにしても彼等はいったいなんなのか。すぐ近くに洞窟の入り口がある。もしかするとここから出てきた、あるいはここに住んでいるのだろうか。少なくとも今の私には、無目的に突入するつもりはない。 ところで、私がつい切り飛ばしたリーダーの頭だが……私が下る道を先導でもするかのようにころころと転がり続けていて、さすがに不気味で仕方がなかったな……。
さて、山道を抜けて関所らしきところを通り抜けたとき、いきなり激しい争いの音が聞こえてきた。 何事かと思えば、道の脇に佇む小屋の前で、衛兵がオークの女戦士と狼、そして霊体の狼と戦っていた。 衛兵が必ずしも善人だとは思わないが、多勢に無勢だ。とっさに加勢する。どうやら��の女戦士が獣使いらしい。 2人がかりとなれば、それほど手こずる相手でもなかった。獣使いの所持品については手助けの礼代わりに好きに処分していいと言われたので少し見てみると、500ゴールドという大金を所持していた。ありがたい。 この小屋はどうやら、錬金術士の住まいだったらしい。しかし今は無人で、関所に近いこともあって衛兵たちがたまに様子を見に来ているらしい。 ……しかしその衛兵が、やってきた帝国兵3人にいきなり斬りかかられ殺されてしまった。いったいなんなんだ。リフテンははっきりとストームクローク側についていて、帝国側とは敵だというのだろうか。
少し進んだ先で、瓦礫の間に挟まった本を見つけた。 手にとってみると、どうやら戯曲のようだ。革鎧を着たまま優雅に踊る女たらしの男の話で……こんなものを読んでも、軽装鎧の扱いのコツがいくらか分かった気がするのが不思議である。
リフト地方というのは、まるで秋の木立の中のような、風光明媚な場所だ。 近くを流れる川の彩りも美しい。対岸に塔か砦のようなものが見えたが、おそらくは賊どものアジトにでもなっているに違いない。ああいうものが本来の目的で運用されているのを見たことがない。内乱まっただ中ともなると、治安も悪くなるのだろうか。
それにしても幸い(?)なのは、トロールが現れたことだ。今の私であればトロール程度を恐れる必要はなく、ほしいと思っていた脂肪を手に入れることができた。 そういえば、馬を手に入れたおかげで旅の距離は伸びたが、道端にある草花を摘みとっていくことは難しくなってしまった。それでは必要な素材を手に入れる機会も減ってしまう。時には、ここと決めた町の周囲を、徒歩でのんびりと探索することも必要かもしれない。
見えてきた。あれがリフテンの街だろう。湖の傍にあるとは、なかなか優雅な街ではないか。 ―――と思ったが、やけにガラの悪い衛兵に、入りたければ北門へ行けと追い払われてしまった。理由を聞いても「それが命令だ」としか言わない。職務上の必要から仕方なしに通行止めにしている、といった様子ではなく、むしろチンピラと変わりないような印象を受けた私は、無理に説得するのはやめておいた。うまくいったとしても、どうせあまりいい気分はしないのだ。 さて、回りこむには湖につかるか、さもなければ外壁に沿って進んで見��かだ。わざわざ濡れることもあるまいと壁に沿って進んでいくと、やがてその北門に辿り着いた。
馬屋もあるし、例の"ボス"とやらの荷物置き場らしき場所もある。 時刻はまだ12時を過ぎたところで、これならばゆっくりと街を見て回れそうだ。 と楽しみに思っていたのだが、こちらの門番にまで止められた。 訪問者税を払えなどと言う。ホワイトランでもファルクリースでも、そんなものは要求されなかったというのに。つまり、私が感じたとおり、この衛兵たちはゴロツキと大差ないということか。 鮮やかな黄色に色づいた木々と、ゆったりと流れる川、広い湖と、実に美しい場所にあるというのに、少しも「優雅な街」などではないに違いない。 もちろん、言われるままに金を払うつもりなどない。入れないというならそれもいいだろう。だが、こんなものはただの強請だろうがと不機嫌に言い返すだけで、衛兵は引き下がった。腕に覚えがありそうだ、あるいは、言い合うと負けそうだというだけで通すなら、それもそれで実に卑怯で卑屈な所業と言わざるをえない。 通してもらえるようにはなったが、正直なところ私には、入る気はまったく失せていた。 そもそもリフテンに特別な用事はないのだ。醸造所があるか、それともその場所を知れるだろうかとは思っていたが、それだけである。チンピラかゴロツキのような衛兵が歩きまわるような場所に、それだけの理由で入ろうとは思わない。 ここに来るのは、いずれもし、否応なく立ち入る必要に迫られることがあれば、そのときでいい。そのときに入ってみれば、この町の良さも見えるのかもしれない。だとしてもそれは、今でなくてもいい。 せっかくまだ日が高いのだ。どうせならば、今日はこのままカイネスグローブを目指そう。 今から行けば夕方くらいには着けるように思う。もちろん、道中何事もなければの話だ。しかし野宿になったとしても、悪くはない。少し前までは、よく知らない土地でもあったし、私自身のことさえよく分からず、野宿などとてもできそうになかったが……。 ともあれ私はリフテンの北門で踵を返し、そのまま北を目指すことにしたのだった。
(馬のおかげで一日に移動できる距離が増えたため、つい前後編にw)
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・12
翌朝はどんよりとした曇天だった。時刻は5時半。好天に恵まれなかったのは惜しいが、このひとつきばかりの滞在で、私はスカイリムの天気が非常に変わりやすいことをよく知っていた。昼頃にはすっかり晴れる可能性もある。なにより、雨に濡れたからといって寒さも感じないし風邪もひくまい。 そういえばふと思ったのだが、私は料理の味も分かればものの香りも分かる、痛みも感じるのに、なぜ暑さ寒さを感じないのだろうか? 死者だから、というなら、味も匂いも分からないのではないだろうか? ……現れたり消えたりする家屋と同様に、考えても仕方のないことなのだろうか。
今日の予定はまだなにも決めていなかったが、パンとウサギ肉のグリルで朝食をとりながら、ふと、せっかく馬を手に入れたのだし、昨日は市場に寄れなかったのだから、今日はリバーウッド、ファルクリース、ホワイトランを回って、商店や市場を見てこようと思いついた。 歩きでは一日がかりになったイリナルタ湖一周は、馬がいるとどれくらいで済むのか。それを確かめるのにも丁度いい。
そう決めると、私はまず、出かける前に食料庫の中を確認し、ジャガイモとリーキ、キャベツはそれなりにあるが、やはりニンジンが1本もないことを確かめた。バターもとぼしい。 もちろん、朝まだ6時半とあっては、リバーウッド・トレーダーは開いていなかった。だが宿は24時間営業だ。オーグナーの売っている食材はかなり少なかったと思うが、旅の商人が滞在していることもある。 そう思ってスリーピング・ジャイアントに向かうと……入り口脇のベンチに堂々とダークエルフのスクゥーマー売人が腰掛けていたのには朝から嫌な気分になった。しかも隣には、ジャルデュル婦人の息子が腰掛けていた。なにを思ってのことか、聡いようでもよく分かっていないのか、どちらにせよ、こんな田舎町にまで麻薬の密売人がいるとは嘆かわしいことだ。 さりとて、正規の衛兵たちも相手にせず無視しているものを、私が騒ぎ立てても仕方ない。
しかしそんな不快な気分は、中に入った途端に消し飛んだ。 いったいどうしたことか。ほんの数日の間に、大掛かりな改装をしたらしい!(筆者より:mod【Small Modified Inns】&【Modified City Inns】 ) 大きな炉に向かい合ったテーブルは、壁に向かって食事をするよりも断然いい。カウンター前は大きなテーブルが向かい合わせになり、皆で囲めるようになっている。 商品を見せてもらうついでに、オーグナーに尋ねてみると、朝起きたらこうなっていたと言われた。……そ、それでいいのか……? 住民たちもまるでいつもと変わりない様子だ。突然の改築などは普通はもっと騒動になったり驚かれたりするものだと思うが、日常化すると話題にも出なくなるのだろうか……。
あいにくオーグナーの取り扱っているものには変わりがなかったし、スリーピング・ジャイアントにはこれといった商人も訪れていなかったので、私はさっそく、ファルクリースを目指すことにした。 うむ、馬での移動は実に快適だ。私がせっせと小走りするより何倍も速い。スカイリムの馬は速度に劣る分スタミナが優れていると聞いていたが、かなりのスピードではないか?(注:mod適用済w)
街道を行けば、案内板を見つけることができる。ファルクリースの名を記したボードを確認し、馬首をそちらに向けた。
いくらか進んだところで、帝国兵たちの死体を見つけた。おそらくはストームクロークとの小競り合いだろう。彼等の姿はどこにもなかったし、近づくまでの間に剣戟の音も聞かなかったから、ここで殺し合いが行われたのはだいぶ前のことらしい。 見慣れてしまうと、いちいち心も動かなくなる。だが彼等にも家族や友人たちはいたはずだ。 だからといって私にできることはなにもない。そっとしておけば、やがて土地の衛兵あるいは帝国軍の同胞たち��見つけ、しかるべく埋葬してくれるに違いない。
街道の少し脇から我が家が見えると、沈んだ気分もいくらか上向きになった。 反面、こうしてしっかり見えているということは、同じように道を行く人も目にしているということだ。そのわりに、ふらりと冒険者や旅人が来たことはないし、帰ったときになにかがなくなっていたこともない。盗人ならば、誰かの所持品だろうが気にしないと思うのだが……まあ、ありがたいことだと思っておこう。
街道でも突然襲われることはある。これまでに二度、カジートの盗賊に絡まれたが、今度はインペリアルの……盗賊というわけでもないようだし、傭兵でもない。理由はよく分からないが、襲われたので返り討ちにしておいた。 襲撃の理由が分かるメモでも持っていないかと懐を見てみたが、なにもない。 エルフの手斧は重量のわりに高額で売れる。これだけいただいていくことにした。
街道を道なりに進んでいくと、いったんファルクリースの北側を素通りし、西側から南へと回りこむルートになるらそい。 道の脇にある古びた遺跡では山賊らしき男たちとスプリガンが戦っていた。石造りの建造物の小窓から、中に射た山賊がスプリガンにとどめをさすのが見えた。途端に私に気付いたらしく襲ってきたので、これも撃退しておいた。 遺跡の中には宝箱が一つだ。中身はいくらかのお金と鉱石で、スプリガンが遺跡、あるいは森の中のテリトリーを守ろうと命をかけるのは分かるが、人間が命をかけて手に入れるようとする宝ではない気がしてならない。 そうしてようやくファルクリースに到着した。
入り口の手前にあるキャンプ地は、リバーウッドにある小舟の主と同じ人物の管理下にあるらしい。彼等のボスとはどんな男、あるいは女なのだ��う。スカイリム各地にこんな拠点を用意し、しかもそれらは旅人が望めば自由に利用できる。国のインフラを整えるとなると相当な財力がないと不可能なはずだ。しかもそれを公共の馬車などと同じ価格で提供してくれるとは、太っ腹である。
街の入り口では、衛兵から犬を見なかったかと尋ねられた。いったいどういう事情でか、ロッドという鍛冶屋が賞金をかけたらしい。面白い話だが、首を突っ込むのはまた今度でいいだろう。 街の入口のすぐ傍に雑貨屋があった。あいにくと食材はあまり扱っていなかったが、道中で手に入れたいくつかの戦利品を売却して荷物を軽くする。若い青年店主によると、彼の兄弟というのが街にいるが、かなり愛想が悪いから、気にしないでくれとのことだった。見知��ぬ人を警戒する人たちがいるのはよく分かる。誰も彼もが自分をあたたかく歓迎してくれるはずだ、などというのは幻想というより妄想だ。素っ気なくそれるのも、ごく当たり前にあることだろう。幸い私は、それを理解していないほど子供ではない……あるいは、若いとしても旅慣れてはいるようだ。 さて、雑貨屋の次は宿屋だ。食材を取り扱っているとなると、農場でなければ宿である。生活用品の店などよりは期待できる。
ファルクリースの宿に入るなり、戸口付近にいたウェイトレスからさっそく注文を聞かれた。何事かと驚いてつい断ってしまったが、ここの宿はずいぶん変わった間取りのようだ。(注:上記mod) エントランスのテーブルについていた商人に話しかけてみるが、目当てのものはなかった。それにしても……販売品にスクゥーマとムーンシュガーがあるのだが……もしかして、これを麻薬だ、人間の居住地では違法だと思っているのは、ひょっとして私だけなのか? 合法になったのであれば、売人にしてもカジートたちにしても、なにも悪いことをしていないことになるが……。
デッドマンズ・ドリンクというこの宿には、小さなロフト、二階席があった。ファルクリースには有名な墓地があるとのことで、死にちなんだ名前の店が多いらしい。だが食堂は明るく、炉のうえでは大型の串焼きが行われている。 女将も気さくな人で、やっと彼女からニンジンを買うことができた。しかし1本しかないとは……スカイリムでは育ちにくいのだろうか? そのわりに値段は安いのだが。 ところで、女将は今、街の住民たちが行方知れずになっていることを気に病んでいた。ヴァルドルという名の狩人たちも、この数日戻ってきてないという。 狩場はこの北で、道を引き返せばすぐに辿り着けそうだった。 善良な住民たちが困っているというのであれば、見過ごすことはできない。幸い時刻はまだ昼だ。それに、旅人や冒険者という立場で街の人たちと親しくなるためには、悪党ではない、信頼のできる者だ、ということを行動で証明するのが一番である。
向かう途中で狩人たちの小屋を見つけた。 同じ狩人としてなにか知らないかと思って尋ねてみたが、どうやら彼等は密猟者らしい。首長の許可無くこのあたりで狩りをしているようだ。しかし……これを私は、悪党だとは感じない。彼等の言う「このあたりの鹿を首長一人で食べられるとでも?」というのはただの屁理屈だと思うが、……そうか。おそらく私にとって、誰かの領地、所有している土地��いうのは、「街」なのだ。だからこういう、野山は誰のものでもない気がする。 ホワイトランを田舎町だと感じたりするのもそうだが、私は間違いなく、都市部の出身か、そこで人生の大半を過ごしていたのだろう。だから、狩りや漁といったものの道徳については実感がないに違いない。
ところで、ここにいた狩人の商人は、かなり珍しい素材を大量に取り扱っていた。 デイドラの心臓など500ゴールド以上もする珍品だ。私の錬金術し「せっかくなので少しやってみよう」程度だから、素材に金を出すつもりはないが、錬金術師であれば垂涎の品揃えかもしれない。この商人のことを覚えておけば、いつか、素材を探す錬金術師に教えてやれるかもしれない。
狩人の小屋を離れて少し探しまわり、ようやくヴァルドルを見つけた。
仲間たちとともにクマを追って洞窟に入ったが、そこで3体のスプリガンに出くわしたという。皆で逃げ出したものの、仲間2人は殺されてしまったらしい。 怪我はしたものの、帰ろうと思えば帰れたに違いない。しかし仲間、友達の遺体をそのままにして街に戻り、食い荒らされるのがしのびなく、決死の覚悟で引き返すかどうか、迷っていたようだった。 友達思いの青年を助けてやりたいのは山々でも、スプリガンが3体か。 とりあえず私は、ヴァルドルに薬を渡し、ここで待つように伝えた。見知らぬ人間のために命をかけてくれるなんて、と彼は感激したが、手に追えるだろうと思えばこそだ。だが、私一人で行ってみて、もし手に余るようであれば加勢を頼むかもしれない。そう言うと、もちろんだ、それに備えてしっかり休ませてもらうとヴァルドル請け合ってくれた。 中には仕留められたクマの死骸と、ヴァルドルの話していたアリという女狩人の遺体があった。 それに気をとられている隙に、どこからか現れたスプリガンに襲われた。不意打ちをうけて慌てて武器を構えると、絡まりあった木の根が人の形をしたような生き物がそこにいた。 応戦に時間はかからなかった。手に負えないということはないし、一人で型がつくだろう。
だが、不意打ちでもらった一発は思いの外強力で―――私の場合、これはどれくらいの重傷なんだろうか? 骨しかないのに骨折なのだから相当まずいのではないかと思うが、感覚的には大したことがないようにも思える。熱ぽいせいで疲れやすくはなったが、治るまでは動けないというほどでもある���い。
ただ、問題はスプリガンが普段は見えないということだ。 ニールスという青年の遺体を見つけた奥が広い空間になっていた。しかしここには今、なんの気配もないし、あったとしても私には感じ取れない。スプリガンは普段、樹木と一体化して隠れているためだ。このどこにいるのか……。 隠密が得意であれば、姿を隠し、スプリガンが怪しんで出てくるのを釣るという手もある。しかし今の私の腕ではまったく役に立つまい。 となれば―――ヴァルドルは3体のスプリガンと言っていた。他に隠れていて出てこなかったのがいるのでないかぎり、1体と倒したのだから残りは2体。同時に襲われないよう、慎重に進むしかない。 周囲を警戒しながらじりじりと歩を進めると、正面近くの大木から1体、スプリガンが現れた。強くないのは幸いだ。 そして、右手奥、池を見下ろすあたりの老木から、主らしきオレンジ色の輝きを持つ者が出現した。
スプリガンたちからすれば、森に入る人間のほうが身勝手で、敵なのだろう。だが話し合いの余地もなく殺しにかかってくるのでは、譲りあうこともできない。 もし、「勝手だ」と言うなら、それはどちらも同じだ。だから、少しばかりすまないとは思うが、私はヴァルドルたちの味方をする。それは(今はどうか微妙だが)私自身が人間だからだ。
3体のスプリガンを倒し、洞窟の安全を確保できたか見て回った。 金の鉱脈があったので、これ幸いと掘り出してから外に出、ヴァルドルに報告した。彼はこれで仲間の遺体を弔ってやれると喜び、ファルクリースに来たときにはぜひ声をかけてくれと言ってくれた。 さて、時刻は15時くらいか。場所的には、このままホワイトランを目指すのに具合がいい。宿の女将に報告をしにいったほうがいいのかもしれないが、間もなくヴァルドルが戻れば無事は知れることになる。私はこのまま、街道に戻ってホワイトランを目指すことにした (筆者より:実は、ヴァルドルに遭遇するなら勝手にクエストが進んでしまい、薬を渡しても回復魔法をかけてもいません。そのためか、最後の「ヴァルドルに報告する」が達成できなくなっていたので、ダガーだけもらってそのまま放置することにしましたw)
帰り道で、街道を行くカジートキャラバンを見かけた。彼等は……カジートの顔がなかなか覚えられないのだが、進んでいる方向からシても、ホワイトランにいたグループだろう。護���らしき装いの者もいるとはいえ、商人だけの旅は危険も多かろうに、彼等の商魂には恐れ入る。 ところで、ヴァルドルたちのいた洞窟からホワイトランまで、馬だとどれくらいで戻れるのか、私は太陽の位置をよく気にしながら引き返した。 徒歩だと2時間ほどはかかった道のりが、馬であれば30分だ。そもそも、朝出かけて、ファルクリースに行き、そこで一仕事してもまだ昼というのは素晴らしい。 これならすべての商店、市場の露店が営業している。 食品があるとしても肉類だけだろうとは思いつつ、まずは入り口近くの狩猟品店、「酔いどれハンツマン」だ。
実は入るのは初めてだったが、なかなか面白い内装である。……と言っていいのかどうか。あの牢屋みたいな小部屋はなんなのだろう……。 宿屋ではないし、食堂でもないが、ちょっとしたクラブではあるらしく、飲食スペースもあるし、何人かの人たちが訪れていることもあるらしい。 あいにくと私のほしいものはなかったが、そういえば、もう少しいい矢があると便利のかもしれない。ドワーフ金属製の矢を少しまとめて買っておくことにした。
一番期待していたのが生鮮食品の露店だったのだが、ここでもニンジンは1本きり……。そんなにレアなんだろうか? しかしバナード・メアのフルダが、珍しく2本売っていた。 (筆者より:バナードメアも改築されています。しかし見た目としてはそれほど大きく変化していません。手前にもロフトが作られているのが一番目立つ変化かも。そんなわけでスクショは省略!) ニンジンを探していると言うと、変わったものでも見るような目で見られた。しかし、そういえば自分で栽培するのは難しいし(注:肥沃度に植えられないし畑もない)、あらためて手に入れようとすると大変なのかもしれないと納得してもらえた。 一般的にはどうやって手に入れているのだろうか。フルダは、タルなどに保管されているもので、ご自由にどうぞというものがそれなりにあるからもらえばいいのではないかと言っていたが……タル? 町中ではあまり見かけないような?(注:modで消しているせい) ただ、基本的なメニューでニンジンが必要なのはビーフシチューくらいで、特別なメニューを試したいのでないなら、特別必要にならない野菜のはずなのだがとも言われた。
たかがニンジン、されどニンジン。夕日が眩しい。
今日一番の収穫は、馬の速度を実感できたことだろう。もちろん、ヴァルドルに手を貸せたのもいいことだが、それは、できることですべきことならばする、という当然のことであって、私自身の手に入れたものではない。 ぐるりと湖の周りを巡り、寄り道をしても、帰り着いたときにはまだ夕方だ。
弓の練習をする時間もある。もちろん弓は、この小屋とともに残されていた先人のものだ。もっと強力な弓があるとしても、私もまたこの弓を……先人たちのような熟練の使い手ではないが、私なりに愛用し、そしていつかもしここを離れるときが来たら、次のタレかのために残して行きたい。 ところで、的を射れば矢を回収できるという利点はあるが、腕は上がらないようだ。 そしてスカイリムに来てはじめて、夜の時間帯で、「まだ寝るには早いがなにをしようか」と迷うことになった。 フルダの話題に出たビーフしシチューとパン、ノルドサラダで夕飯を済ませ、悩む。 せっかくだからと本を読むことにしたが、ほとんど時間が過ぎない。こんな水辺にいるのだから、釣りでもできれば楽しいと思うのだが……。 結局私がしたのは、これほどに時間をたっぷり使えるようになったのだから、明日はなにをしようか考える、ということだった。 壁に貼られた地図を見て、一日に移動できそうな距離を考え……。 そうだ。ブラックブライアのハチミツ酒を作っているというリフテンに行き、そこから北上してカイネスグローブで例の約束を果たすというのはどうだろう。もし時間が足りなくても、そのときにはウィンドヘルムで一泊すればいい。あそこの宿には一度泊まっているが、あのときは気が急いていたのでろくに見て回りもしなかった。 もしウィンドヘルム泊になったら、その翌日は……ドーンスターという町があるらしいから、そこを経由して帰ってきてもいい。 念のためベッドロールは作って持って行こう。折りたたみ式のテントと、明かりも一応あったほうがいいかもしれない。手作りの収納もほうだが、これらは破壊しないかぎり消えないという妙な召喚魔法なので、荷物にしてもかさばらないのがありがたい。
そんなことをあれこれ考え、せっせと作製している間に、ようやくいい時間になった。 22時はまだ少し早いが、リフト地方に行くのは初めてなのだ。明日に備えて、たっぷりと休んでおくことにした。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・11
翌朝も雨は降り続いていた。遠雷も聞こえてくるが、その中に鳥の声も混じっている。 さて、今日は南岸からぐるりとイリナルタ湖の岸辺を回ってみるとしよう。そろそろファルクリース方面にも出かけたいところだが、町は湖岸というわけではないようだ。町を探すのはまた後日でいいだろう。 朝食はサーモンステーキとノルド・サラダで済ませ、さて、出発だ。
家から南岸に渡ると、すぐ正面あたりにどうやら小屋があるようである。 たどり着いてみれば、パインウォッチという名らしいが、鍵がかかっている。見たところ畑と薪割り台があり、木こりか狩人の一家でも住んでいそうだ。ここも我が家のご近所さんと言える場所だ。またいずれ見に来てみよう。
なんとなく更に南下した先で、山賊たちの住む小さなキャンプと、焼け焦げた小屋を見つけた。焼けた小屋のほうは、ドラゴンに焼かれたものかもしれない。この近くにいるらしい。……ドラゴンか……ドラゴン……。……いや、なにか気にかかった気がしたが、思い出せることはないようだ。 こちらから手を出さなければ襲ってこないだろう、などと書かれたメモを見つけたが、スカイリムにいる肉食獣は大型のものから小型のスキーヴァーまで、こちらが縄張りに入りさえすれば問答無用に襲ってくるというのに、どう考えればドラコンは大丈夫だという発想になるのだろうか。テリトリーにあって目障りだと思えば、焼かれるのが当たり前のように思うのだが。 巻き添えになった妻という女が憐れである。
丘を越えて湖岸に戻った頃には、雨が上が��晴れてきた。太陽の位置からして、だいたい8時半頃だろう。やはり朝は日が昇ったらすぐに活動するに限る。まだこんな時間だ、これからどこに行こうとかんがえられるのは、やはり心地よい。 イリナルタ湖はあの小屋を拠点にして以来毎日眺めているが、晴れた日は格別に美しい。曇り空の下では陰気にも見える景色が、鮮やかな青空と緑の樹木に囲まれた途端、深い青の湖面と、風に揺られるさざなみの白が実によく映える。 私は……そんな景色を見たことは、何度もあったはずだ。具体的には思い出せないが、まるで見たこともない景色だとは思わない。ただ……海、だろうか。湖ではなく、若草色の丘と広い空、それに接する水平線のイメージがある。それはきっと、スカイリムではない。地図を見るかぎり、スカイリム東西と南は山脈だ。そして北は厳しい冬の海である。緑の丘は期待できそうにない。
そんなことを思いながら眺めていると、石碑らしきものが目に留まった。 なんだろうかと気になって湖を渡ろうとしたとき、今度は、水面に付き出した柱のようなものを見つけた。目を凝らして水面下を見ると、1艘の船が沈んでいた。
ガイコツの体になってこれまで、便利だと思ったことはあっても不自由を感じたことはない。呼吸をしているようなつもりでも実はしていないから、水中でもまったく平気だ。 おかげでじっくりと船内を見ることができた。あるものといったら、船べりにはりついたフジツボや貝くらいのものだ。宝箱も一つ共に沈んでいたが、中身は一握りの金だった。 この浅い湖に浮かべるにしては大きな船である。場所によっては船底が湖底に触れただろう。そのせいで沈んだのかもしれないが、商用船、移送船というより、ただ浮かべて景色を楽しむための遊覧船だったのかもしれない。
さて、石碑を見つけて南の岸に向かうと、そこに立派な製材所を見つけた。 ノルドたちが働いていたが、工場の主は家にいるらしい。好きに見ていって構わないとのことなので見学してみたが……。
ここは獲物の解体小屋なのだろう。鹿肉や牛の肉が大量に積まれていたのも、冒険者なら持って行っていいと言われたので甘え���ことにした。しかし……台の下にある骨はどう見ても……いや、気のせい……では、ないよな……。しかしなんの証拠もなしに犯罪だと決めつけることもできない。 ……不安があるので、肉はそっと置いていくことにした。残念ながら私には、肉を見てそれがどんな動物のものなのか、確信できるほどの狩りの知識はないようである。
そのまま湖岸を散策していると、テントを張った漁師を見つけた。 テントの中にあった『炎と闇:死の同胞たち』という本は、もう自分には不要だからほしければ持って行けと言われた。暗殺結社同士の抗争について書かれた本のようだが、片手武器の扱いについて学ぶところがあるようだ。
昼近く、十字路の監視砦に差し掛かったところでまた雨模様になった。 ここからはマルカルスから戻るときに一度通ったことのある道だ。あのときは気になっても近づかずにおいた場所がいくつかある。せっかくなので立ち寄ってみるとしよう。
その一つは、ブローテッド・マンの洞窟というらしい。 洞窟とはいうが、中は空が見える風光明媚な場所で、狩人たちの狩場になっているのか、キャンプの跡も見受けられる。そんな場所に相応しく、大型のクマも何頭もかうろついていた。私としては、食用でも毛皮が必要なのでもないのに無闇に獣を殺したくはないが、気付かれずにやりすごせなかったからには仕方ない。 そろそろキャンプ用のベッドロールくらいは用意しておきたいし、倒したクマの素材はありがたく使わせてもらうとしよう。 奥に進んでいくと、タロス像があった。
さすがにこんな場所にまではサルモールもやって来るまい。今はまだ日も高く人通りが多いが、もう少し早い時間か、あるいは遅い時間になると、こっそりと参拝に来るノルドたちがいるのかもしれない。私は彼等の信仰についてどうこう言うつもりはまったくないが、見知らぬ者がうろついていれば警戒もするだろう。あまり長居するのはやめておこう。
だが、タロス像の前に備えられたこの剣が、どうしても気にかかった。銘は「ボラー」と掘られている。剣の名か持ち主の名かは分からない。これはプレイズのカタナだ。……ブレイズ? そうだ。ブレイズだ。だがこの武器は扱いにくい。手にとってみても、まるでなじまない。違和感がある。それは……初めての違和感ではなかった。 私は以前、つまり生前に、同じようなカタナを持ったことがあるのだろう。そしておそらくだが、これは使いづらいと感じ、今腰に提げている両刃の剣にした。確かだとはいえないが、そんな気がする。 いや……だが……。 考えていると、なにもかもがただの思いつき、なんの根拠もない気の迷いに思えてくる。 このカタナは、返しておこう。神像に捧げられたものならば、勝手に持ち出さないほうがいいだろう。ましてや、丁度いいと使う気もないのだから。
洞窟の奥地にはサーベルキャット、スプリガンもいた。蝶が飛び、青い花も咲いている。 静かで心地よい場所だ。人知れず物思いに耽りたいときにいいかもしれない。とはいえ、獲物を探す狩人や、タロス像に参るつもりの信者たちにとっては、私は歓迎されざる闖入者だろう。 特に用でもないかぎりには二度と来ることはあるまい。そう思えばこそ、私はのんびりと道を探して進み、そして、ぐるりと回り込む形で入り口に戻ってきた。
出ると、いつの間にか深い霧がかかっていた。10歩前もぼんやりと見えないような有様だ。敏感な獣たちには都合がいいだろうが、慣れない土地を探索する私にとっては、嬉しいとは言いがたい。
だがその霧の中に、遠目に見てもぼんやりと青く見える、奇妙な樹木を見つけた。 いったいなんだろうと近寄ってみれば、……毒ではないようだが、おかしな色の池に、おかしな色の樹木が生えていた。しかもその樹木の幹には、人工の蛇口が取り付けてあるのだから摩訶不思議だ。 これはいったいどういう場所なのか、人がいればぜひとも尋ねてみたかった。だが傍にいたのは巨人とマンモスである。 なにか手がかりになるようなものはないかと、彼等を刺激しないようにそっと見て回っていると、やがて洞窟を見つけた。 中に入った私は、すぐそこにいた巨人を驚かせてしまったらしい。激高した巨人に話は通じず、巨大な棍棒を振り上げられた。 勝手に入り込んだのは私のほうだが、殺される予感しかしないとあっては、応戦する他ない。……もう少し、隠密の技術を磨いたほうがいいだろうか。殺す必要のない、ただ普通に生きているだけの巨人や獣たちを、やたらと殺して回る趣味はないのだ。 後味の悪い、申し訳ないような思いを抱いて中を見回すと、先客らしい男の死体があった。巨人に殺されたのだろう。 無残に撲殺されたその懐に、紙切れが覗いていた。誰かからの、あるいは誰かへの手紙だろうか。ともすると、この哀れな侵入者の身元が分かるかもしれない。待っている人でもいるならば、せめて知らせてやれるといいのだが。 そう思って紙片を抜き取り開いてみると、それは、ホワイトランに住むイソルダからのメモだった。 ……彼女自身がスクゥーマを扱っているわけではないのかもしれないが、カジートキャラバンとのつながりを求めていたし、スクゥーマに絡んこのだ男とも取引をしていたらしい。そしてこの、危険な巨人の住処に"樹液"を取りに行かせたようだ。私には、真っ当な商売がしたいわけではないように見えてしまう。 迷惑をかけたという後ろめたさはあるが、今後はあまり関り合いにならないほうがいいかもしれない。
そんなことをしている間に、日はだいぶ西に傾いていた。 街道を目指す途中でオリハルコンの鉱脈を見つけた。今の私にはとても扱えない金属だが、まだ荷物に余裕はある。せっかくなので掘っていくことにした。
マッサーとセクンダが、暮れ始めた空にぼんやりと浮かんでいる。 月の名前……覚えているが、それは私が生きていた頃と同じなのだろうか。ほんのすこし前のことなのか、それともかなり昔のことなのかが分からない。さすがに、月の名はなんだと尋ねるのでは、何事かと思われるだろう。それともなく話題に出ることがないか、気にしている程度がいいに違いない。 そんなことを思いつつホワイトランに戻ってきた。 すっかり日は沈み、あたりは薄暗くなっている���だが、馬屋の傍の召喚馬商人は、まだそこにいた。
ううむ……高い。 しかし馬がいれば移動がラクになり、一日に動ける範囲も広くなる。もちろん、普通の馬にすれば1000ゴールドで買えるのだが……それでは危険な旅の途中で、失ってしまう可能性もある。召喚馬であればその心配はないわけで……つまり、買い直すことはないということだ。 そう考えてもなお往生際悪く迷ったが―――なにせ小屋をたった1000ゴールドで購入していてつい比較してしまうし、現在の私の所持金は7000ゴールド程度なわけで―――しかしついに、馬を購入した。
高い買い物だったが、手に入れてしまえば後悔はない。これからの旅の、頼れる足であり、相棒だ。なにより、死ぬことがないというのはいい。その安心感は深く、ともすると私は以前に、自分の愛馬を不幸にも亡くしているのかもしれないと思った。 さて、そんな満足感はさておき、もう21時だ。さすがに市場はもうやっていない。 だがイソルダを探して街に行くと、彼女はバナード・メアにいた。眠りの木の樹液そのものは麻薬というわけではないようだし、彼女自身は決して悪人ではないが、商売人としては真っ当なところを少しばかり踏み越えがちに思える。だが私の忠告など無用、余計なお節介だろう。話しかけられてまで無視する��もりはないが、おそらく今後、私から声をかけることはないように思う。
首長の館で解呪をすませていくらか荷物を軽くした後、私はリバーウッドへ戻った。深夜とあってはすっかり静まり返っているが、スリーピング・ジャイアントにはまだ客がいるらしい。 立ち寄ろうかとも思ったが、いや、懐具合も厳しくなったのだ。特に探してまで買いたいと思うものもない。オーグナーは人参を扱っていなかったはずだし、無駄遣いしないためにも、すぐに家に戻ろう。早く休まないと、せっかくの明日が短くなってしまう。 さて、明日はなにをしようか。それを考える前にあたためたハチミツ酒がほんのりと回ってきて、私はすっかり眠り込んでしまった。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険16.8
(筆者注:この話は、こちらの不動産案内の終盤から続いています。内容としては、ストーリーのつなぎと、ANAで最終的に追加したものの紹介って感じでw)
ジェインと白髪のエルフ(そういえば名前を聞かず終いだ)と別れた後、私はただ漫然と家の中の椅子に腰掛けて過ごした。なにかを考えていたというほども考えてはおらず、本当にただぼんやりと半日、どころか一日を過ごしたと言っていい。ともすると、初めて吸収したドラゴンソウルとやらのせいかもしれない。 なんとなく眠って起き、そういったことを考えられるようになったのは、翌日の昼頃だった。 私はどうしようかと迷った。 ドラゴンボーンについて調べてみたほうがいいだろうとは思う。しかし、調べる必要はあるのだろうか? 私がかつて何者であったにせよ、今の私は、今の私だ。たとえそれが骸骨の体で動き回っているという異様な状態だったとしても、私自身、思考や感性は人間と変わりない。であればなにも、過去の私がどうであったか、などということに囚われることはないのではないだろうか。 私は急に、自分の過去を知りたくないような心持ちになっていた。それが何故かを考えられるほども頭が働かず、私は半ば現実逃避のように、家の周りを黙々といじって過ごした。
人工物を置くと違和感があるのならと、試しに持ってきていた花を家の周りに植えてみた。
虫を寄せることもできるというので、蝶が来るようにもしてみた。(注:窓の下には、本来 花がないし、蝶も飛んでいない)
そしてふと、我ながら似合わないことをしているような気がして自嘲し、家の中で一服する。(注:サイドテーブルに本と酒瓶。ベッドの端に腰掛けマーカーを置くと、ベッドに座ることもできる。調べる位置でもちろん寝ることも可能なまま)
気がつけばもう夕暮れ時で、窓から見た空が鮮やかな色に染まっている。(注:窓枠にろうそく、窓の前のテーブルには手帳型の本と手紙、カップを置いている。しかも手紙はたまたま"サム"からのメモだったw)
私はどうすればいいのだろうか。そんな、墓場から目覚めたときにも考えたような、根本的な問いに舞い戻る。 そうだ。こんな異常な有り様は、まさに普通ではない。人間だったときと変わりないように暮らしてはいたが、それでいいのだろうか。私はもっと、何故生き返ったのか、何故スケルトンなのか、それには目的があるのかないのか、真剣に考えなければならないのではないだろうか。 そしてその手がかりの一つは、ドラゴンボーン―――なのかどうかは、正直に言って分からない。 なんにせよ、と私は、呼吸などしていないのに溜め息をつく。考えても始まらないなら、やること、できることで考えるしかない。 私の選択肢は大きく二つだ。 明日からも何事もなく、この近辺を思いつくままに散策し、探訪するか。 それとも、ドラゴンボーンについて調べる、という目的をもって行動するか。 どちらがいいのだろうと考えたとき、心惹かれるのは、無目的なその日暮らしのほうだった。そうして何事もない人間のように、目先のことと少しだけ先のことだけ考えて気楽に過ごせれば、心地好いだろう。 しかしそれではきっと私は、また何日かして「本当にこれでいいのだろうか」と考えるに違いない。 つまり私は、何故か気が進まないものの、ドラゴンボーンについて調べたほうが良いということだ。
そう決めてしまえば、億劫さは残ったものの、明日の計画を立てるのに苦労はしなかった。 ドラゴンの出現がそう珍しくはなくなった今のスカイリムで、しかもドラゴンボーンというのが一人ではないなら、ジェインのような者が他にもいるはずである���、その数がそれなりに多いのならば、彼等について知っている者も少なくないはずだ。 それなら調べ物の常道として、手近なところから聞き込みを開始すればいいだろう。リバーウッド、それからホワイトランだ。リバーウッドはともかく、ホワイトランには首長がいる。彼等は領主として、ドラゴンの出現とその被害に無関心ではあるまい。突然訪れて会ってくれるかどうかは分からないが、とりあえず行ってみることはできる。 それなら明日は、少し遅めに起きてリバーウッドで人々の話を聞き、手がかりがないようであればホワイトランで同じことをしてみよう。首長かその側近にでも会えれば、なんらかの緒くらいは得られるように思う。そうすればそこからまた、次の糸を手繰ればいい。
それにしても私は、過去を知りたいと思っていたはずなのにどうして、いつの間に、それが億劫になってしまったのだろうか。 それともそれは、”ドラゴンボーン”というものにでも関わりがあるのか。だから私は急に知りたくないと感じるようになったのだろうか。 だとすればその過去、あるいはドラゴンボーンというものは、私にとって歓迎できないものなのかもしれない。だから知りたくないと感じるのか。 だとしても、都合よく忘れてしまえる性分でもないようだ。 どこかですっぱりと思い切って、熱心に調べる心境にでもなれればラクなのだが。 そんなことを思いながら私は、だいぶ早いものの床につくことにした。
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Skyrim:ガイコツさんの冒険・13-2
リフテンからウィンドヘルム方面に向かうには、北門からそのまま北へと進めば良さそうだった。 サムとの騒動のとき、もしかするとこのあたりを通ったことがあるのかもしれないが、私の記憶にはまったく残っていない。なにより、短時間にあちこち移動していたのだから、徒歩や騎馬、あるいは馬車といった真っ当な移動手段ではなかったに違いない。 街道を少し進んだ私は、どうも「街道」らしき道と地図に描かれている道が違っていることに気付いた。地図に記されているのは、石畳の道ではなく、草地の合間を抜ける土の道のようなのだ。どちらを進んでも大した差はあるまいが、さてどうするかと迷っていると、雨が降りだした。 寒さは感じないと言っても、気分的に濡れて嬉しいことはない。思いつくまま土の道を選んで行くと、やがて、大きなホラアナグマの死体を見つけた。
傍に転がっていたのは、ドーンガードとかいう吸血鬼ハンターの死体だ。クマにも勝てないような兵士が、吸血鬼に勝てるのだろうか。下級吸血鬼よりはクマのほうが圧倒的に強くはあるが、上級吸血鬼ならばクマなどものともするまい。無残だが、これは彼、あるいは彼女に訪れる、遠からぬ未来、結末だったに違いあるまい。 このような遺体の懐を探る気にはなれず、私は軽い黙祷を捧げ、先を急ぐことにした。
ショールストーンという小さな鉱山村の傍で、突然 鹿たちに襲われた。 本来ならば人を見れば逃げていく鹿が、角を振り立てて向かってきたのだ。何事かと思い応戦すると、彼等の体には奇妙な緑色の光のようなものがうっすらとまとわりついていた。 殺してしまうとその光は消えたが、いったいなんだったのだろう。(注:おそらくなにかのmodによるものですが、どれかは私にも分かりません!w) ショールストーンのすぐ先で、道は石畳の街道とまじわっていた。ここから道なりに北へ進んでいけば良さそうである。
それにしても獣の多い土地だ。 野生動物は普通、積極的に人間を襲うことはなく、警戒の間合いを保って下がれば大丈夫だと言われている。それがスカイリムではまったく通じない。おそろしく警戒範囲が広いのか、見つかったということがイコール襲われるということだから困る。
街道の脇に気になる石段も見つけたが、気がつけばもう15時を回っていた。のんびり立ち寄っていると、カイネスグローブにも着けないかもしれないが……。 野宿の用意はしてきた。しかし雨が降っている。しかし石段の先が気になりもする……。 私はしばし立ち止まって迷い、騎馬のままで行けるだけは進んでみようと決めた。
石段は間もなく途切れ、土がむき出しの細く曲がりくねった道が続く。ジャイアントスパイダーを撃退しながら登っていくと、山道の先に見つけたのは、鉱山らしき入り口だった。(注:ノースウィンド鉱山) ここまで来たからには、入ってみるとしようか。ともすると、出てくる頃には雨が上がっているかもしれない。
中は薄暗く、カンテラの周囲だけがぼんやりと明るい。しかし松明などを掲げれば、賊の類がいたときにはすぐに見つかってしまう。私は慎重に歩を進めることにした。
人骨だ。どうやら鉱山としてはもう機能していないようである。
見れば、暗がりの中を徘徊するのは生ある者ではなく、スケルトンだ。 あいにく、自分を彼等の同類だとは思えない。見つかれば襲ってくるのも間違いあるまい。私は弓を構え、先制することにした。 私の隠密と弓の腕前でも一矢で仕留められるのだから、戦うことに不安はなく、剣を抜きまでもなく片付いたことにはほっとした。 それにしても、鉱山のそこかしこに落ちているつるはし、散乱した人骨、そして歩きまわるスケルトンを見ると、ここでいったいなにがあったのか、何故、いつからこうなったのかと思わずにいられなかった。探索すれば、その理由を知るよすがのようなものもでも見つかるだろうか。
鉱山の奥、そこにあったもう一つの出入り口の先にあったのは、大きな石段だった。鉱山を襲った惨劇の理由は、この先にあるのだろうか?
辿り着いた場所で数体のスケルトンを倒し、よく見��みると、そこは小さな山の頂上で、元はここに鉱夫たちの住む小さな集落があったように見受けられた。溶鉱炉があることからも、ここでかつて、人々が働いていたことがうかがえる。 しかし今は誰もいない。ベッドロールの上に人骨が散らばるのみだ。このあたりにいるスケルトンたちは、鉱夫の成れの果てなのかもしれない。 山肌のきわには大きな宝箱と、立派な石碑のようなものがあった。
近づくと、歌声のような掛け声のような、奇妙な声、あるいは音が頭のなかに響く。何事かと思ったが、私はすぐに、同じことを一度経験していると気付いた。そうだ。ブリークフォール墓地だ。私が墓場から目覚め、人里に降り、リバーウッドに立ち寄ったその夜に雑貨屋の店主から頼まれたこと。金の爪を取り戻しに向かった先で、この石壁と同じものを見つけた。そしてそのと��にも、同じように声が、言葉が、不意に私の中に閃いたのだ。 今度のそれは、まるで囁くような静けさとともに生まれた。しかしやはり同時に力強さを感じる言葉で、「命」を意味していた。 だがそれだけだ。この奇妙なイメージ、言葉そのものがいったいなんなのかは、まるで分からない。 (注:なお、西の監視塔を放置しているため、ドラゴンはまったく現れませんw) 考えても答えが出そうにもないなら、考えるだけ無駄だ。 それよりも、ここからどうしようか。時刻は17時を回っている。��の分では、馬を急がせてもカイネスグローブに着くのは夜になるだろう。それまで雨の中を駆けるよりは、たとえ暗がりだろうと、スケルトンを一掃した洞窟の中で一晩過ごすほうがいいように思える。ただしその場合は、まだ眠るにはだいぶ早いことが問題だ。 しばし考えて私は、頃合いの時間になるまでは、ともかくもう少し北を目指してみることにした。
山の北側は、人が見れば「断崖」と呼ぶような急斜面ではあったが、私は難なく降りることができた。 そうすると間もなく見つけた街道からの見晴らしは、なかなかに美しかった。雨とはいえ、雲越しの陽光は明るく、雨に煙る湿地帯を一望できる。 それにしてもこのあたりは獣が多い。ここまでの道中、クマ、サーベルキャットにも襲われ、今度はオオカミだ。大した相手ではないし、毛皮は武具や日用品に使うこともある。素材によっては錬金に使えるようだから、私にとってはなにも損はないが……敵いそうな相手かどうかを見極めて警戒する、野生の勘のようなものはないのだろうか?
挙げ句に、クマとオオカミ、そして暗殺者だ。
闇の一党とやらの指令書を持っていた。私を暗殺したいと思った者がいるというのか……。誰にそれほど恨まれているのかは見当もつかない。それほどの恨みを買うようなことをした覚えはないのだが私がなにげなくしたことが、どうしても許しがたいこともあるだろう。 私は決して無法なこと、悪辣なことをしようとは思わないし、したつもりもない。しかしそれでも、―――そうだ。潔癖だ、と言われたことがあるような気がする。そしてそれが理由で、人に敬遠されたこともあるような……。ともすると私は時に、他人に対して辛辣なこともあるのかもしれない。 しかしそのようなことは気にしても始まらない。私のなにを、誰がどう感じるのかなど分かるはずもない。それに、誰もが好む、具合のいい、あるいは都合のいい人間になどなってどうするのか。そんなものにはなれるはずがないし、仮になれたとしても、なる必要などないのだ。 誰が私の暗殺依頼を出したにせよ、不服があるならその前に、面と向かって言うがいい。話し合う用意ならばいつでもある。しかし、軽率で短絡的な暴力に訴える限りには、耳ではなく腕で応じるだけのことだ。 ―――ふむ。そう考える私は、実際にこの一件については気にせず忘れていけそうな感触だ。胸の内にわだかまる憤懣などはない。おそらく生前から、他人の思惑にはあまり振り回されないタイプだったのだろう。
さて、その後 私はいくらかの寄り道をし、古いドゥーマーの遺跡らしきものを見つけたりもしながら、街道を北へと進んでいった。
雨が小止みになったかと思えば、雪だ。時刻は19時を回っている。 ―――そのとき急に、私は妙な渇きを覚えた。今まで経験したことのない、切実な渇きだ。いったい何事だろうか。 喉を押さえ首を傾げていると、魔術師らしき装いの女性に呼び止められた。二人はステンダールの番人だと名乗り、浄化の必要な病にかかっているようだと教えてくれた。
私はこれ幸いと治療を頼むことにした。 神に仕える番人の力は確かなもので、彼女の祈祷にこうべを垂れていると、焼けつく渇きは嘘のように消え去った。 おそらくサングイネア吸血症にかかっていたのだろうと言われた。最近 吸血鬼と戦ったことはないかと。ある。まさに今朝、戦ったばかりだ。 その日の内にステンダールの番人と行き合い、重篤にならないうちに治療してもらえたとは、実に幸いだった。
私は彼女たちに礼を述べ、オーロラの輝き始めた空の下、すぐそこらしいカイネスグローブへと急いだ。
幸い、あのときの男、ロッジとは宿屋の前で会うことができた。 残念ながら彼はもう引き上げるところで、飲む約束はまた今度ということになったが、その代わり、彼の一族に伝わる盾のことを聞けた。もし旅のついでにでも取り戻してくれれば、盾の技をいくつか教えてくれるという。片手剣と盾を使う私にはありがたい申し出だ。私は、機会があればぜひ飲もうという約束と、そして、盾を見つけたら必ず届けるという2つの約束をして、ロッジと別れた。
そうして気がついたのだが……以前に来たとき、こんな掲示板があっただろうか?(mod:【Notice Board】) 見てみると、どうやらこれは近隣の人たちの頼みごとを貼りだしたものらしい。依頼の品を納品することで謝礼をもらえるようだ。 気になったので宿の主に尋ねてみると、最近になって各地の宿屋に置くようにしたものだという。 依頼を受けたい人は張り紙を取り、特に期限などはないから、都合のいいときに集めた品物を届ければいいらしい。依頼は各地で異なり、また、時間がたてば新しい依頼も出てくるようだ。 便利なことに、納品はどこの宿屋でも構わないという。それに、納品に使えそうなものを宿(注:実際にはこの掲示板)で預かり、それを各地の宿屋と共有して管理してくれるそうだ。つまり、カイネスグローブで薪を20本預ければ、その記録が各地の宿屋にも伝わり、リバーウッドで引き出すこともできる、ということのようである。(注:無理矢理に理屈をこじつければw)
それならさっそく試してみたいと思ったが、……ニンジンは、そもそも私がほしいくらいのものである。貝の肉はいくつか持っていた気がするが、人に分けるほどの数はない。鷹のくちばしなど手に入れたこともないはずだ。 だとすれば薪か。薪は、私の家のすぐ前、中洲に薪割りのできる場所があるし、そこからならリバーウッドに届けられる。50本割るのはなかなか大変そうだが、試してみるにはいいだろう。 改めて中に入り、依頼を試してみることにしたと話すついでに売り物を見せてもらうと、バター、ニンジンがあった。バターはそのへんで採取できるというものでもないし、塩のようにどこの宿にも少しはあるというものでもない。念のため、一緒に買っていくとしよう。。 一晩の寝床を頼むと、案内されたのはカウンターの奥の一��で、(注:各地の宿屋改装mod)
小さな村の宿のわりには広々として、居心地も良さそうだった。 ヤギ肉のロースト、パン、ノルドサラダ、そしてジュニパーのハチミツ酒でゆっくりと夕食を済ませる。 夜に商売はしない主義だ、というダークエルフの商人と無駄話などしながら時を過ごし、明日はどうしようかと考えた。 まずウィンドヘルムに向かい、先日はろくに見て回ることもなかった街を散策してみよう。ストームクロークの本拠地ということで、いささか気が立っている可能性もあるが、居づらそうであればすぐにドーンスターへ向かうだけのことだ。 それから、掲示板が各地にあるというなら、ウィンドヘルムに貼りだされている依頼も見ておこう。夜中に飛び込んで一眠りしただけの宿屋で、ゆっくり昼食にするのもいい。くつろげるような宿だといいのだが。 とすると、あまりに朝早く着いてしまっては、店もやっていないのだから……。 明日は6時くらいに起きればいいだろうか。少しくらい早く着いただけであれば、宿で朝食を頼んでもいいし、早朝の街を見て回ってもいい。そうこうしているうちに、すぐ昼になるだろう。 ならばそろそろ休むとしようか。 ……えーっと……この商人は、出て行かないのだろうか? というか、そもそも案内されたとき既にこの部屋にいたのだが……まさか、相部屋か? しかし……、……いや、女将! 少し聞きたいことがあるのだが、いいだろうか!?
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