Tumgik
#francisledwidge
Text
Ireland (Francis Ledwidge)
原文はこちらを参照。
おまえを森と渓谷のうつくしい名で呼んだとき 幼かったわたしの声におまえは応えず 古代の英雄に熱狂し 大神率いる軍勢を求める声にばかり耳を傾けていた
わたしは風の高さまで飛び嘆き叫んだが おまえは風に耳を傾けず 飛び立つ小さな船や 残された丘の嘆きに耳を傾けるばかりだった
わたしはすすんで武器を取り おまえから離れ、言われるがままに戦場を彷徨った その先におまえを見出し おまえの魂を守り死ねればと
いまおまえがわたし達を呼ぶ 遠くから近くから 歳月の大海のむこうから冠を運ばせるために わたしは悲しみに暮れている こんなに遠く離れておまえの声が聞こえない   **
第一パラグラフ、「おまえを森と渓谷のうつくしい名で呼んだとき」は"I called you by sweet names by wood and linn"。国名アイルランドは英語名であり、アイルランド語ではÉireが国名となります。意味は諸説あるようですが、緑の水という意味があるという説をネットで見かけました。
第一パラグラフ3、4行目は
And you were listening for the hounds of Finn And the long hosts of Lugh.
Finnとは、神話上の(悲劇の)英雄フィン・マックールのこと。彼及び彼の率いるフィアナ騎士団の功績を主題とする散文と韻文の集合をフィン物語群またはフィニアンサイクルと言います。オイシンは彼の息子の吟遊詩人。(参考)
一方、秘密結社フィニアン(Fenian,フィアンナの戦士団の意。正式名称はアイルランド共和主義者同盟(Irish Republican Brotherhood、略称IRB)は19世紀後半からアイルランド独立運動を進めた秘密組織の名でもあります。1867年の放棄失敗により弾圧されましたがその後も後進グループの活動は続き、アイルランド民族主義の象徴でもあり、作者としては恐らくこちらも念頭にあったでしょう。(参考)
Lughはアイルランド神話の太陽神。wikitionaryでは"as a hero and High King of the distant past"と説明されています。hostsはここでは軍隊の意味として取りました。(参考)
第二パラグラフ3行目は”For you were listening to small ships in flight”ここでいうsmall shipsは恐らく飛行機ではないかな? と思います。作者の従軍した第一次大戦において、イギリスは世界最初の雷撃機を製造しています。
第3パラグラフ3、4行目の原文は以下の通り。
To find you at the last free as of yore, Or die to save your soul.
3行目、直訳すると往時の最後の自由にお前を見出すために、といった感じになりますが、ここでの往時は戦場に行っていたころ、なので、その頃の主体の自由、last freeとは兵士になるか否かの選択の自由ということではないかと解釈しました。
民族主義の時代であった第一次大戦前夜、アイルランドもまた宗主国イギリスからの独立運動が激しくなっていました。第一次大戦勃発に際しアイルランド自治法が成立(ただし施行は保留)しますが、宗主国の大戦への参加に際し、アイルランドがどのような態度を取るか(協力して従軍するか、協力を拒否するか)については意見が割れます。そもそも当時、独立運動が盛んであったとはいえ多くのアイルランド人にとって宗主国イギリスは遠い敵国ではなく、自身の生まれ育った国という意識もあったでしょう。作者Francis Ledwidgeは自身の従軍がアイルランドの地位向上に繋がるものと考えていたようです。
第4パラグラフ、1、2行目の原文は以下の通り。
And then you called to us from far and near To bring your crown from out the deeps of time,
3行目の"the deep"は詩語でわだつみ、海原の意味です。 ここでの"crown"は国家独立、歳月の海の向こうから(from out of)それがやってくるのはアイルランドの宗主国が海の向こうにあり、かつ独立が遠い昔のことだからだろうと解釈しています。
7 notes · View notes
thepoetryapp · 7 years
Photo
Tumblr media
Night tells her rosary of stars full soon, They drop from out her dark hand to her knees. Upon a silhouette of woods the moon Leans on one horn as if beseeching ease from "Evening in England" by Francis Ledwidge https://www.texts.at/oUG
0 notes
poem-today · 5 years
Photo
Tumblr media
"Francis Ledwidge Laments a Fallen Marine in Vietnam", part of a sequence entitled "A Travelogue of Irish Poets", was first published in the "New Irish Writing" section of the now-defunct Sunday Tribune. #poetry #poetsofinstagram #poetrycommunity #poet #poem #poems #poetsofig #poetryisnotdead #instapoet #instapoetry #poets #poetryofinstagram #poemsofinstagram #instapoem #bymepoetry #irishpoetry #francisledwidge #vietnam #vietnamwar #travelogue #irishpoets #sundaytribune #newirishwriting — view on Instagram http://bit.ly/2LLEIrc
0 notes
Text
My songs shall rise 作曲:Michael McGlynn 作詞:Francis Ledwidge
歌詞はこちら。
友なるパイプを置き 愛する花を散らされ眠るとき わたしの心に兆したうたは 自然のなかにあらわれる
ここに心やさしき詩人が眠り その歌われなかったうたをわたしは聞く 吹く風に花々が揺れ
アリウムの花房が鳴るときに
歌詞は第一次大戦で亡くなったアイルランドの戦争詩人Francis Ledwidgeの詩「At A Poet's Grave」。詩人の墓にて、とかそんな感じでしょうか。 曲のタイトル「My songs shall rise」は詩の第一パラグラフ3���4行目から引かれています。原文は以下の通り。
My songs shall rise in wilding things Whose roots are in my heart.
動詞riseはのぼる、上昇するといった意味合いですが、神学用語では死者などが蘇るという意味合いもあるそうです。文脈からこちらのニュアンスも意識しているのかな、と推測していますが、とはいえMy songsの「roots are in my heart」なので、上昇というニュアンスも皆無ではないのだろうな……という気もします。 (拙訳では兆すとしていますが兆すは萌すとも書き、根を持つ植物が地上に芽生くというニュアンスもあります) 拙訳では上記2行を
わたしの心に兆したうたは 自然のなかにあらわれる
としていますが、曲のタイトルが「My songs shall rise」であることを重要視し、歌詞とも統一するならば第一パラグラフは
友なるパイプを置き 愛する花を散らされ眠るとき わが心から自然のなかに うたは蘇る
などとしてもいい気がします。
亡くなったのは詩人、poetですが彼が遺したものも、作者自身が亡くなった時にあらわれるだろうものもいずれも歌われるもの、songsであるというのが面白いなと思います。
なおアリウムは原文ではsummer bells。ネギ科の花の名で、インスタグラムで検索すると写真が出ます。summer bells だからrung、鳴らされる。 余談ですが第一行目、When I leave down this pipe my friendのpipeは楽器でも煙草でもどちらでも読めるように思います。
0 notes