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Anytime, Ainutime!体験記②「湖の時間」後編
→前回のおはなしはこちら
阿寒湖畔で童心に帰る
アイヌは木を「地面から生えている」のではなく「大地をつかんでいる」と考えていたそう。木それぞれにカムイが宿り、大地を守り、数多の動植物の命を育んでいると。
だからこそ、無駄に切らず、必要な分だけ大切に使う。これは、今に生きる私たちも、強く意識しなければならないことだと思う。
倒れた木から、新たな芽が育ち世代交代する「倒木更新」のひとつ。
イオルの森にある看板。瀧口さんのガイドを受けた後だと、心にスッと入ってくる。
散策中に聞いた樹木トリビアは30個以上!エピソードいっぱい。書ききれなかった。
雄阿寒岳と阿寒湖が見えるスポットで、おもむろに歌い始めた瀧口さん。動揺してピンボケしちゃったが、ものすごくお上手でした…!
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瀧口さんが歌った「マリモの唄」は昭和28年に安藤まり子さんという歌手が歌ってヒット。阿寒湖観光の定番曲で、湖畔に歌碑もある。
散策路に捨てられていた、懐かしの「ファンタ」缶…。何十年経っても土に還ることはない、という教訓のために、あえて置いたままにしているそう。ポイ捨てダメゼッタイ。
イオルの森を抜けて、少し歩くといきなり視界がぱっと開けて阿寒湖畔へ出た。日本百名山のひとつ、雄阿寒岳がかっこいい。
景色に見とれていると、昔のアイヌの子どもたちがしていたという「カリプ遊び」が始まった。歩いているうちに、もはや普通に杖代わりに使っていた棒(テックワ)、こんな使い方もあったのですね。
「カリプ」というぶどうの蔓で作った輪による輪投げ遊びで、ひととき童心に返った。というか、今日は返りっぱなしだなあ。
帰る途中、瀧口さんの父、政満さん作の阿寒湖小学校(今春閉校)の門柱を見つけた。かわいい。
政満さんはシマフクロウをはじめ野生動物や女性の像などの木彫り作品が評価され、厚生大臣賞や道知事賞も受賞している名匠。2017年に亡くなられたが、こうして阿寒の随所で作品が見られるのだ。日常と、匠の作品が自然に融合しているぜいたくさよ。
ツアー後、ホテル「あかん悠久の里 鶴雅」の瀧口政満作品にも会いに行った。優しい風が感じられた。
こちらは瀧口さんの姉、夕美さんの著書。アイヌやウイルタなど先住民族ルーツの女性たちの人生を取材したルポルタージュ。今回のツアーのだいぶ前に出会っていた本。観光とアイヌの関係性、民族としてのアイデンティティについて考えさせられる。
<次回予告> アイヌ料理のフルコース!ふくれる腹を抱えながら「創る時間」に突入!刺繍を通して触れたアイヌスピリットとは!? 12月19日(日)更新予定。
▶️アイヌ文化ガイドツアー「Anytime, Ainutime!」あ++
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Anytime, Ainutime!体験記②「湖の時間」前編
→前回のおはなしはこちら
憧れのムックリ
「これから皆さんに、ムックリを作ってもらいます」 アイヌの自然ガイドで木彫り作家、瀧口健吾さんが告げる。
わー…学生時代、技術の授業が一番苦手だったんだよな…と、一瞬ひるむが、何のために自宅から100㎞の道のりをドライブしてきたのだ!と己に��を入れる。
ムックリは、竹製の薄い板についた紐を引いて弁を振動させ、口の中で共鳴させて音を出す口琴の一種。
簡単に作れるキットを用意していただいたので、振動させる部分の板(弁)を薄く削り、紐を通せば完成というシンプルな作業だ。
しかし、板の厚みで音の良し悪しが決まるので気は抜けない。どうしても恐る恐る削ってしまい、案の定、遅れをとってしまった。
瀧口さんにサポートしてもらって、なんとかムックリは完成。果たして、うまく鳴らせるのか。
まずは、瀧口さんが手本を見せてくれる。
「ミヨオォ〜〜〜ン…ビヨオォ〜〜〜ン」
これこれ。この、脳幹が揺さぶられるような音!
さて自分といえば、もう悲しいほど鳴らない。 紐を引っ張る音だけが、ビン!ビン!と虚しく響く。
「ブルース・リーの拳法のような手つきで、素早く引っ張って」 「親の仇をとるくらい、左手はムックリをガッツリ掴んで」
瀧口さん独特の指導に従って頑張るうちに、わずかながら音が鳴るようになった。
実は、ムックリ演奏はアイヌコタンの姉妹音楽ユニット「カピウ&アパッポ」のライブなどで聴いて以来、密かに憧れていたのだ。
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▲ウタサ祭り2021 - GOMA×阿寒口琴の会(カピウ&アパッポの二人も含む)の演奏
本当に上手い人の音色には力強いビートが感じられ、心地よさに軽くトリップしてしまう。
「ムックリは、おもに女性が演奏し、恋しい男性に向かって夜に鳴らしていたそうです。風の音や、子グマなど動物の鳴き声、屋根からの雨だれの音なども表現するんです。音色で誰なのかわかり、���帯電話の呼び出し音みたいな感じ」と、瀧口さん。
カムイ(神)が宿る自然の風景を、音で描く。それは、アイヌの精神そのもの。
アイヌにとって音楽を奏でることは、日常生活の一部なのだなあ。歌も、踊りも、手工芸品づくりも。
イオルの森で怒濤の樹木レヴュー
続いて、アイヌシアターから出てすぐ近くの「イオルの森」へ。
ここで、少し瀧口さんの紹介をさせていただきたい。
瀧口健吾さんは、阿寒湖三大巨匠のひとりである木彫作家・瀧口政満さんとアイヌ民族の百合子さんの間に生まれ、政満さんの跡を継ぎ、阿寒湖アイヌコタン内の民芸品店「イチンゲの店」を営みながら、自然ガイドも行っている。オーストラリアへの留学経験もあり、英語も堪能だ。
そんなルーツを持つ瀧口さんとの森歩きは、いつもと違ったものになるはず。いやがおうにも期待が高まる。
▼森の手前に置いてあった大きな丸太。チプ(アイヌ語で丸木舟)になるらしい。
▲丸太の両脇の木。「まじないで丸太を守っている」そうで、こういう光景が普通に見られる。
ちなみに「イオルの森」の「イオル」とは、アイヌ語で「狩場」を意味する。
衣食住に関する物の材料をまかなうため、動物の狩猟や植物の採取をしてきたアイヌ民族にとって、森はスペシャルな場所なのだ。
▼森に入る前の、オンカミ(礼拝)。手をこすり合わせ、前へ…右へ左へ…上下させる…自然と厳かな気持ちになる。
▲長い棒「テックワ」を持たされる。杖にしたり、先端に荷物をかけたり、木の実を採取するときなど、幅広く重宝された散策の道具なのだそう。
まず、瀧口さんは森の神様へ挨拶し、自分たちの安全を祈願する儀式「カムイノミ」を行う。「イナウ」という木の祭具を地面に刺し、アイヌの言葉を唱えながら塩と米、刻んだタバコの葉をカムイに捧げた。少しの緊張とともにワクワク感が増幅する。
ここからが瀧口さんの本領発揮、歩きながら怒濤の樹木レヴューが始まる。
「ナナカマドは独特のにおいがあるので、扉に立てて病魔を追い払ったり、木くずを湿布代わりに使ったりもしました」
「ヤナギはイナウを作るため、特にまりも祭り(特別天然記念物のまりもの保護を願う祭り)ではたくさん使われます。飢えに苦しむ人々をカムイ��哀れんでヤナギの葉を川に放つと、シシャモになって帰ってきたというアイヌの伝説もあります」
「ヤチダモはとても固いので、家具づくりや子グマの檻などに使われました。野球のバットの材料としても活用されるんですよ」
▲シケレペはキハダの実。柑橘系の味がした。腹痛や二日酔いの薬として食べたり、煎じてお茶にもするそう。森を歩くだけで、こうしたアイヌの生活の知恵に無限に触れられる。
メモを取る手が追いつかないほどの情報の嵐、いや、暴風雪。一つひとつの樹木に対し、アイヌの生活と密着したストーリーがあり、どれも興味深い。
ネイチャーツアー自体は知床でも経験済みだが、今回のガイド、瀧口さんがアイヌの木彫作家ということもあり「この木がアイヌ語でどんな名と由来を持ち、何に使われるのか」にポイントを置いた解説は新鮮だった。
<ボリュームありすぎで後半に続く〜〜!! 12/12(日)更新予定>
▶️アイヌ文化ガイドツアー「Anytime, Ainutime!」
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