#鬼太郎茶屋を応援する
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#鬼太郎茶屋 #鬼太郎茶屋お絵描きキャンペーン #鬼太郎 #鬼太郎茶屋を応援する #鬼太郎茶屋開店19周年 #鬼太郎茶屋深大寺 #鬼太郎茶屋妖怪喫茶 #鬼太郎茶屋で記念撮影 #鬼太郎茶屋で一休み (鬼太郎茶屋) https://www.instagram.com/p/Co1gV_HJQHT/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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2023年4月30日
日本豊受自然農|オーガニック野菜作ってますさん「日本のお米が本当に危ない…!!😱😰😱😰 とらこ先生が、最近報道されたお米のニュースで、緊急性の高い「2つの事例」をピックアップします。 ①放射線育種米 放射線をかけて遺伝子の突然変異を起こすことで、品種改良が行われたお米です。」 https://twitter.com/ToyoukeOrganics/status/1651403262489415680
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』鬼太郎の父&水木が主人公、目玉おやじの過去の秘密も明らかに - ファッションプレス https://www.fashion-press.net/news/102841 子供の頃鬼太郎のひみつみたいなハードカバーの本で水木しげるさんが著者の文章��ったと思うんだけど 鬼太郎誕生エピソードを読んだんだよね。 お父さんはミイラ男みたいな人でお母さんはお岩さんとか貞子みたいだった記憶が それとは内容が違ってるのかな? どうやって目玉の親父になったのかも書いてあったし 鬼太郎は墓場で生まれた直後目玉の親父さんが連れて行って育てる それを見届けたのが水木しげるさんてことになってた
サーティワン初“きなこ風味アイス”「抹茶きなこ とろ~り黒蜜」発売、日本上陸50周年記念・5月の新作フレーバー | 食品産業新聞社ニュースWEB https://www.ssnp.co.jp/foodservice/509029/
Z世代に超人気「なかやまきんに君」が“令和のCM王”にまで上り詰めたワケ(1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット) https://dot.asahi.com/dot/2023042600080.html?page=1 出て来ただけで笑ってしまうw
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「【御知らせ】 山岡トモタケ氏(s o t t o / ex.WHITE ASH)作詞作曲 藤井敬之さん(音速ライン)編曲 による福島ユナイテッドFC(@fufc_staff)の応援歌「まなざし」の整音を担当させて頂きました。 ボーカルrec/ディレクションは柴崎あゆみさん。 素敵なチームでの制作に御一緒させて頂き感無量です♪」 https://twitter.com/lucy_peter/status/1651879604016287746
ハイスタ新曲、“盟友”NOFXファット・マイクがパッケージ化 全収益を恒岡さん家族へ寄付 | ORICON NEWS https://www.oricon.co.jp/news/2277026/full/ NOFX懐かしい。めっちゃ震えるわこの話。
名古屋刑務所13人書類送検 所長ら33人処分―受刑者暴行で法務省発表:時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042800876&g=soc
車50台以上にカセットボンベ置かれる 一部に釘、横浜のマンション:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR4X4F81R4XULOB00H.html
YOSHIKI、米グラミーミュージアムで世界規模の発表 | BARKS https://www.barks.jp/news/?id=1000233333
オジー・オズボー���、夢のスーパー・グループのラインナップを明かす | BARKS https://www.barks.jp/news/?id=1000233326
魚がぜいたく品になる未来 日本が他国に「買い負ける」日 | 日経BOOKプラス https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/022700209/022700003/index.html
偽物買わせるネット通販、「代引き」悪用急増 “返金不可”狙う - ITmedia NEWS https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/28/news158.html
EBY介さん「Sister MAYO with カラテブラボー かなり久しぶりのLIVE! 2023/6/4(SUN) 小岩ライブシアターオルフェウス Open 17:30 Start 18:00 前売り ¥3,000+1drink ¥600 当日 ¥3,500+1drink ¥600 チケット予約用 アドレス [email protected] https://t.co/6sDuIOsGuy」https://twitter.com/EbyTama/status/1651897547835981824
[email protected]’S PUNXさん「昔と今・・・I. JOE https://t.co/83ePIVlNhw」https://twitter.com/satui_joefromgi/status/1651912311186259970
@amiblottsさん「一発目の納品完了@千曲。 今のところ上手いこと買う(トラックを停めてまで)タイミングがなかったのでアンパンのみでやり過ごしています。 いや、そっちのんじゃなくて。 ぶぅ〜🐷」https://twitter.com/amiblotts/status/1651921227148316679
Koujiさん「【CLOSE Live】 明日!! 2023.4.29 @大阪RUIDO いつも足を運んでくれる皆も、明日が再始動後初めてのCLOSEの皆も!! とにかく良い1日にしよう🎶 こちらは巨大なCLOSEパワーを轟かせる準備オッケー!! 明日、会場でお待ちしています^_^✨ Yay!!🍻 https://t.co/r60MUuIfsC https://t.co/cC8t8iCJjR」https://twitter.com/Kouji_NAM/status/1651904171610898432
内山ショート/シンガーズハイさん「恐らく何もかもが許せなかったんだと思う、これ以上酷いことはもう言えないかもしれない 間違いなく自分の中で1つの到達点だと思ってるし、どうかこの曲を少しでも強く長く歴史に残してほしいです https://t.co/ZfhKvgBezV https://t.co/TWl5TF9iwL」https://twitter.com/_make_inu/status/1623680083096633347
YOUさん「4/28(金) 吉祥寺 Tribute Band Party Vol. 1 -Donni’s Fuckin’ Birthday- ◆前売 3500円+D(※webチケットのみ / バンド予約無し) 4/8(土)22時~発売開始! ◆当日 4000円+D(※受付にて現金決済) https://t.co/led65hBAaR ◆配信 2500円 https://t.co/yteb53HxNq ◆投げ銭 https://t.co/IHzk6ndjVY https://t.co/0G5imlcU6j」https://twitter.com/YOU_official/status/1650311632634146816
Kiyoshiさん「一回でいいから 石塚智明に これを持たせたい 爆😂 https://t.co/vOG5v9WdCv」https://twitter.com/kiyoshi_freeman/status/1014843380407234560
だっちー【4/30M3 k-22b】【5/1高円寺Club Roots】さん「そろそろ5/1のアコースティックライブイベントも迫ってきました! 席数には限りがありますので、お早めにご予約いけただけますとっ! grace periodのオフィシャルから予約も受け付けしております! 乞うご期待っ! https://t.co/1ckt492dBQ」https://twitter.com/gp92191846/status/1646129124484976640
Marilyn Marathon ✙ 5/4(木祝) 目黒 THE LIVE STATION 👻さん「5/4 カミングスーン」https://twitter.com/M_Marathon_JP/status/1648890212511277056
Marilyn Marathon ✙ 5/4(木祝) 目黒 THE LIVE STATION 👻さん「電光石火の起死回生来日公演!!! 絶賛ご予約受付中です!!🏃♀️🏃🤼 https://t.co/W2gxwnE7nY」https://twitter.com/M_Marathon_JP/status/1648922616772820992
惑@MSDVさん「『夜伽』 作曲,作曲,映像:惑 なんとなく突発的に思いついて1時間半程度で仕上げました。(第2弾) 今まで作らなかったタイプの エッ…な曲です🫠 https://t.co/I4djv4k7Lq」https://twitter.com/MSDV_infomation/status/1649754190879813635
惑@MSDVさん「音源、完成しました! 惑さんの空間系への拘りが色んな所に爆発してる作品となりました🫠 動画が出来たら投稿します🙆♂️」https://twitter.com/MSDV_infomation/status/1651832956753940480
BODILさん「おかげ様で今年でBODILは20周年を迎えることとなりました! これは「お祭り」なので、クラブ常連からクラブ久し��り、クラブ初めましての方も是非是非是非、遊びに来て下さい!!! ーBODY + MINIMAL, BODIL !! 5.03 (Wed) 「20 zwanzig -BODIL 20th Anniversary-」 at METRO https://t.co/RgNFuMpKww」https://twitter.com/bodyandminimal/status/1648212585714679808
Borisさん「Boris EURO & UK Tour 2023 “Heavy Rock Breakfast” Start on 29th April! Special guest with @PupilSlicer & @asunojokei Ticket details here Don’t miss! https://t.co/EfvqWd2Kb3 https://t.co/TBSc7BkB0N」https://twitter.com/Borisheavyrocks/status/1644631100118138880
ユナイト公式 / 5~6月 ZEAL LiNkun TOUR 2023さん「||◤ LIVE INFO ◢|| ハク フィーチャーイベント「Green Monster!! Vol.3」 チケットSOLD OUT!&配信チケット発売! 2023.06.24(土)Spotify O-Crest OPEN 19:00 / START 19:30 ※チケット一般発売はございません。 【ツイキャス配信】 配信チケットご購入はこちら https://t.co/ur4Cixt7g6 https://t.co/OWiwMudS0q」https://twitter.com/official_unite/status/1651858795273027586
Petit Brabanconさん「🎊U-NEXTにて独占ライヴ配信決定🎊 #PetitBrabancon EXPLODE -01- 1月・豊洲公演の模様を ライヴ配信スタイルでいち早くお届け⚡️ 📆配信日時:5/28(日)18:30~ https://t.co/rObuoa2HrU 6/14発売🆕EP「Automata」 完全限定盤付属Blu-rayとは 一部内容が異なるオリジナルコンテンツ🐶 @watch_UNEXT https://t.co/e88UgXNvkp」https://twitter.com/PetitBra_staff/status/1651873899007598593
umbrella.officialさん「【NEW SCHEDULE】 2023/07/22(土)京都 都雅都雅 魑魅魍魎2 【出演】 umbrella メリー 開場 17:30 / 開演 18:00 前売 ¥7,000 【チケット】 [CORE・ONLINE先行・プレイガイド先行]イープラス [一般発売] イープラス https://t.co/6Jyw5OzcBC https://t.co/jA3IzlTElk」https://twitter.com/umbrella_DATA/status/1651874121586982917
中西祐二 / Drummer & cajon playerさん「55年前の今日亡くなった祖父へ。 その10年後の命日に生まれた自分は今日45歳になりました。会ったこともないけど、あなたがいてくれたお陰で自分が今生きてます。 じいちゃんありがとう。 と報告しに愛犬連れてお墓参りへ。 中西祐二45歳。 皆様今後ともよろしくお願いします。 https://t.co/uTSnyEJN36」https://twitter.com/dmk_yuji_dmk/status/1651827312437137409
V系って知ってる?さん「【Mr.JACKからお知らせ】 毎月配信中の #MrJACKが斬る! 次回は特別にYouTubeでもリアルタイム限定配信! 必ず見てくれ! ━━━ 5/5(金)20時🔥 ゲスト:nurié (@nurie_official) ▼YouTube(アーカイブ✖) https://t.co/dvzoYIjpoS ▼ニコ���(MAVERICKチャンネル会員限定) https://t.co/eDE7CDdWsR https://t.co/OlCujSWmxU」https://twitter.com/vkei_jp/status/1651873890736676871
DEAD ENDさん「「DEAD END ~The first four works~ Vinyl Collection」発売記念インストアイベント開催決定! 日付:7/23(日) 時間:13:00 会場:タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO 参加メンバー:MORRIE & "CRAZY"COOL-JOE 内容:サイン会 (私物可) ▼詳しくはこちら! https://t.co/8y3FGSVXJa」https://twitter.com/DEADENDofficial/status/1651799250077114368
凛として時雨さん「【TK × suzuki takayuki collaboration items vol.8】 完売しております"embroidered blouson《night gypsophila》"につきまして、たくさんの再入荷希望のご連絡を頂き、再販売を決定致しました。 下記日時より予約を再開致します。 予約期間:4/29 12:00〜5/1(月) 23:59 https://t.co/fRoMAOyJzd https://t.co/EknFsuETGG」https://twitter.com/sigure_official/status/1651798394107580417
ROCK_AND_READさん「【RR106名言集その6( #有村竜太朗 )】 「せっかくの声出し解禁一発目となるライブなのに、基本的にどれも暗い曲ばっかりなんですけど(笑)」 (ライヴMCより) 続きはこちら👇 アマゾン https://t.co/DHEJe6XTZN タワー https://t.co/AuCi4M9d1N https://t.co/B0qiB8BosT」https://twitter.com/rock_and_read/status/1651785707487375360
SUIさん「現状の最新シングルがあと少し?買えます。 手元の分はもうないので是非。 Messiah -新約主- (通常盤) https://t.co/tDjbuNgb10 #Amazon @Amazonより」https://twitter.com/_David_SUI/status/1651822975266742272
男闘呼組さん「偽アカウントからのURLには、絶対にアクセスしないでください。 フォローされている方はフォローを外し、ブロックをお願いいたします。 #男闘呼組LASTLIVE #男闘呼組 #2023THELASTLIVE」https://twitter.com/otokogumi_tokyo/status/1651832248340213760
男闘呼組さん「本日、明日の大阪公演は生放送/生配信はございません。 これらを謳う投稿やフィッシング詐欺を行う偽アカウントにご注意下さい。 #男闘呼組LASTLIVE #男闘呼組 #2023THELASTLIVE」https://twitter.com/otokogumi_tokyo/status/1651824959705206784
ROCK_AND_READさん「【RR106名言集その1-5( #ヤガミトール / #BUCKTICK )】 「最近スネアを買ったんです、全面あたりの。もともとデビューしたときは全面だったので、60歳にして原点回帰ですよ」 続きはこちら👇 タワー https://t.co/AuCi4M9d1N アマゾン https://t.co/DHEJe6XTZN https://t.co/g71hGhxmZT」https://twitter.com/rock_and_read/status/1651785463131410432
武瑠さん「下劣 久しぶりに清春さんに会えて嬉しかった😭 声の密度がより凄みを増していて圧倒されたし サックスやジャンベで大人の匂いも醸し出しつつ、'ロック'だった zepp新宿音良い感じ https://t.co/GG1o6N7928」https://twitter.com/ta_streetgothic/status/1651802267283230721
Crack6 officialさん「Crack6 New album 『カナリア最終楽章:CODA 』 「通常盤」「Fly away盤」DDJ公式ショップにて受注受付開始🚩 【受付期間】 4/28(金)12:00~5/10(水)23:59 【URL】 https://t.co/ezYIBiWH6J 「通常盤」はCDショップでご購入いただける商品と同一です。 「Fly away盤」は一般流通はございません。 https://t.co/ogF2JWmqsG」https://twitter.com/Crack6_info/status/1651783303664488450
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々…… 1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。 いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があ��両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。 ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。 ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。 当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時��の女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。 ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。 夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。 その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。 辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、���局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。 そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。 さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。 ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛���機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4 持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代 当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。 ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。 さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン ガ 誌 時 代 に 突 入 実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。 初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~ 後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。 この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~ 上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。 「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~ 久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録] エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。 この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集��」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~ この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々] この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示���」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「��ラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ] この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~ なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。 この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。 この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~ 美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻���」で一回やっただけなので���ろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。 掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中] この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3 ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。 この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあ��、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド! 本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精��ーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~ 「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。 またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~ くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Fr��e!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結 前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。 10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~ この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。 「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。 「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南��陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~ さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~ 「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。 TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。 この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~ ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。 短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ! 「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~ この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。 「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3 「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。 この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か��しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの���果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。 いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。 この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない? この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5 ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。 ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。 この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~ 美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。 「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。 「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」] 「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7 同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。 今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、こ���同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMI���」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。 さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。 今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語] こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・ 燃 え よ ペ ン ! なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
http://www.rx.sakura.ne.jp/~dirty/gurafty.html
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191101 バカのハロウィン
うろおぼえなので全てニュアンスです
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ぶうさん…ダパンプキン太郎
ミドさん…狼男A
Joeさん…おじいさんおばあさん
クラオカさん…吸血鬼A
たかぴーさん…第15宇宙を統べる森羅万象を支配する神
華凛ちゃんさん…メイドさん
豪さん…フランケンシュタイン
小川さん…パンプキン太郎
ジョジョさん…吸血鬼B
アンディさん…戸愚呂弟
ノヴさん…狼男B
カエデさん…おじいさん
ワジョウさん…戸愚呂兄
▷舞台は仮装した人々が暴徒化し、街を破壊し尽くしてしまうようになった世界の渋谷
▷魔法使いのおじいさん(カエデさん)と魔女のおじいさんおばあさん(Joeさん)はそんな渋谷を嘆いている
カ「仮装してスピッツ歌ってるような人もいましたからね」
美魔女おじいさんおばあさんさんは魔法で荒廃した渋谷を癒している。
Joe「誰が定年退職したあんたのためにこんな短いスカート履いてやってると思ってんのよ!!」
舞台下手に大きなジャックオランタンを見つけ、切って煮付けにしよう云々で口論になる。メンヘラ気味のおじいさんおばあさんさん(既に手にリスカ跡が何本もある)、おじいさんのスマホ(手作りのiPhone11 ちゃんとカメラのとこ再現されてたすごい)を胸元から出し、マッチングアプリを発見してしまう。突き飛ばされたおじいさんおばあさんさんが大きなかぼちゃにぶつかると、中から赤ん坊が出てくる
おじいさんおばあさんさんはこの子をパンプキン太郎と名付けて可愛がりはじめるが、育てる育てないでまた口論した末にでかいカッターでおじいさんおばあさんさんはおじいさんを刺し、パンプキン太郎を一人で育てることにする。パンプキン太郎は「うわ〜〜こいつと暮らすの嫌やな…」みたいなことを既に思っていた
▷1年後のハロウィンには立派に成長したパンプキン太郎(小川さん)は、南🎃瓜って書かれた鉢巻をした姿で渋谷のハロウィンを奪還しようと仲間探しの旅に出る。おじいさんおばあさんからきびだんごではなくなんかの目(生臭い)を授けられる
Joe「なんでお母さんも一緒にって言ってくれないのよお!!!!」
小川「オトンはオカンのこういうところ嫌やったんやろな…」
▷最初に出会ったのが狼男A(ミドさん)と竹から生まれた竹太郎もといフランケンシュタイン(豪さん)
僕、分身ができるんです!と言う狼男Aが呼ぶと、狼男B(ノヴさん)(バイトで雇われている)が出てくる。分身とは そして狼男の牙は着脱できる仕様
ノ「時給はもう最低賃金で!」
狼男ABがくるくる回りながら本物はどっちでしょうかクイズをパンプキン太郎に出題しながら4人で旅にでる
問題出すときに逐一テテン!って言うノヴさん可愛くて困った
▷一方、ダパンプキン太郎(スヌーピー)(ぶうさん)、何も喋らない人(たかぴーさん)戸愚呂兄弟の兄(ワジョウさん)、弟(アンディさん)の仮装集団と、吸血鬼A(クラオカさん)吸血鬼B(ジョジョさん)(浦飯幽助)、メイドちゃん(華凛ちゃんさん)率いる自警団が対立していた。
ダパンプキン太郎、衝撃的すぎて一周回って誰だかわかんなかった メイドちゃん、吸血鬼ABにめちゃくちゃ抱きついてて大変大変可愛かった
吸血鬼Aが「フリーハグ」って書かれたダンボール持って暴れてた 面白かった
ぶ「こいつ酒よりやばいもんやってんじゃねえか?」
「フリーハグってカタカナで書いてるけど普通英語じゃねえのか!?」 トイレットペーパーが入っていたダンボールの裏を使っていたのも指摘されてたな
▷対立が激化して戸愚呂兄の攻撃!戸愚呂兄が戸愚呂弟の肩から降りようとして死んでしまう。
人が死ぬたびにライトが真っ赤になって「○○は死んだ その魂は平和の礎となったのだ」みたいなこと(もっと長かった気がする)がナレーションで流れる
続けて吸血鬼Bは戸愚呂弟に首をバキバキ折られてしまう 霊丸〜〜!
ジョ「台詞が少なかった!」確かに二言三言しかなかった
クラオカさんによる「Janne Da Arcを歌って相手を魅了しているところを嫉妬したメンヘラメイドが刺してくれる」的な必殺攻撃で戸愚呂弟さんメイドちゃんに刺されてやられてしまう。
ア「やるねえ…」
ここでおじいさんおばあさんさんも何故か刺しに来る そして去る
ク「あれも昔の俺の女」 さすが
▷そこにパンプキン太郎御一行が到着。その時メイドちゃんが「私は仮装してイケメンに会ってお持ち帰りされる目的でここに来たの!」と言い出しイケメン探しになる→ぶうさんによるモノボケ大会が始まった みんなペンから機材からいろんなものをぶうさんに渡してた 華凛ちゃんさん割と普通に役を忘れて大爆笑してる
その後イケメン狼男Bがメイドちゃんお持ち帰りしてホテルへGO
▷ぶ「ドンキで買ってきたやつそのまま着やがって!」
吸血鬼Aがまた必殺技を繰り出そうとした時フランケンシュタインが攻撃する。「技を出そうとしてるときに攻撃するのはルール違反!」「仮面ライダー見てないのか!」「ちゃんと頭に釘さしてこいっていたでしょうが!」と非難されたあまりに死んでしまう。
ミ「たまごボーロぐらいの脳みそしかないから……」
その後メイドちゃんと狼男Bが帰ってくる
華「あなたの名前を教えて♡」
ぶ「!? 聞いてなかったのか!?」
ノ「狼男Bです!」
華「そうじゃなくてあなたの本当の名前が知りたいの〜!」
狼男B、何かに気づいてスマホを取り出したところ突然倒れてしまう。
ミ「え〜!?豪さんほどバカじゃないと思うんだけど…」 ←!?
狼男Aが見てみるとSNSで寝顔等々が晒されてるのを見てショック死したことがわかる
華「先に寝る方が悪いんだもん」
そういうメイドちゃんをどこからか現れたおじいさんおばあさんさんが刺す、それを実は生きていたおじいさんが刺す
カ「我が生涯に一片の悔いなし!」
ぶ「今日一おっかねえアドリブだった」
▷ダパンプキン太郎の抱腹絶倒物真似100連発コーナーで狼男Aが面白くなさに耐えかねて倒れる
その上ダパンプキン太郎には恐るべき力があり、死人に跨って犬小屋で温めると生き返らせて意のままに操ることができるのだっだ その力で抱腹絶倒物真似100連発を舞台に転がってる人たちから選んでて、Joeさん ワジョウさん 豪さんがやってた(ミドさんにもやってたけど起きなかった) その後ダパンプキン太郎に再び斬られる
▷パンプキン太郎がダパンプキン太郎とお酒を飲んで和解しようとする
ぶ「やっぱほろよいは桃だよなあ!」
と見せかけてほろよいに青酸カリを混ぜてダパンプキン太郎もやられてしまう。犬小屋のままステージ中央で鎮座するように死ぬ
ぶ「でかくてごめんね…」
小「青酸カリめっちゃ入れたからなあ…俺のはウーロン茶や…これでハロウィンを制覇したんや」
と言ったところでそれまで何も喋らなかったたかぴーさんがパンプキン太郎さんを刺す。実はたかぴーさんは第15宇宙を統べる森羅万象を支配する神だった ここしかない台詞なのに飛んだ!って言っててみんなで神を応援した
「折角箱庭を与えてやったのに!たった2、3万年で人間たち自ら滅んでしまうとは!」
「「「そして 全員死んだ」」」
暗転
最後「翼をください」を合唱してカーテンコー�� 劇団みたいなことになっていた 楽しかった
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2021年の記録
2021年の記録です。
◆お芝居・イベント
3/19 『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』完成披露上映イベント@TOHOシネマズ日比谷 4/3 「Rejet Fes.2021 TRY!」昼@立川ステージガーデン 4/3 「Rejet Fes.2021 TRY!」夜@立川ステージガーデン 4/4 『ネオロマンス♥フェスタ 遙か二十年《鬼》祭』 昼 @神奈川県民ホール大ホール 4/4 『ネオロマンス♥フェスタ 遙か二十年《鬼》祭』 夜 @神奈川県民ホール大ホール 5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』昼@KT Zepp Yokohama 5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』夜@KT Zepp Yokohama 9/4 『リョーマ!prince of tennis 新生劇場版テニスの王子様』舞台挨拶12:40回@TOHOシネマズ日比谷 11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』 昼 @カルッツかわさき 11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』 夜 @カルッツかわさき 12/2 『眠れぬ夜のライブストーリー』ゲスト@紀伊國屋ホール
◆配信
1/27 ツイキャス『置鮎龍太郎の道2021 #ぺらゆる32』 3/14 『夢100 6周年プリンスパレード』配信昼 3/14 『夢100 6周年プリンスパレード』配信夜 5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』昼 5/29 『ネオロマンス・ダンディズムLIVE ~この愛の歌を君に~』夜 5/31 テニチャ 6/2 ツイキャス 『ぺらゆるR』 6/12 『ときめきメモリアル Girl's Side DAYS 2021』昼 6/16 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』 6/30 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』 7/11 『スーパーロボット大戦 鋼の超感謝祭2021』配信 7/14 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』 7/28 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』 8/11 ツイキャス『置鮎龍太郎のゆるとーく』 8/21 ヘロQ・DVD発売記念ツイキャス 配���『バレタアトノハナシ』 8/26 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 9/9 ツイキャス配信『置鮎龍太郎のゆるとーく』 9/15 ニコ生『古谷徹のハッピーガチャVol.3 キュンキュンデートの秋編』ゲスト 9/17 『聖闘士星矢RC一周年記念生放送』配信 9/18 ニコ生『置鮎龍太郎のくじメイト特番~ツンデレクール編~#01』 9/19 『TALES OF READING LIVE -ONLINE- テイルズ オブ デスティニー』 9/25 ニコ生 『置鮎龍太郎のくじメイト特番~ツンデレクール編~#2』 10/10 『テニプリ 20th Anniversary Event -Future-』 10/13 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 10/20 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 10/28 新ディズニープラス スタート記念!ディズニーっコらぢおウィーク『マーベル特番』 11/1 『燈の守り人』明治開国編 第一夜 11/2 『燈の守り人』明治開国編 第二夜 11/23 『召喚IP!~社畜とヴァンプ~』夜 11/27 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/3 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/8 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/18 『JUMP FESTA'22 ジャンプスーパーステージ「新テニスの王子様」』配信 12/18 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/21 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/25 『BLEACH Brave Souls “卍解” 生放送X’masスペシャル2021!!』配信 12/26 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』 12/30 ツイキャス配信 『置鮎龍太郎のゆるとーく』
◆ほか
1/29 (TV)『Mr.都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』 6/5 (映画)『劇場版Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット後編』挨拶付き上映 6/13 (映画)『劇場版Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット後編』 6/20 (TV)『青天を衝け』 7/18 (TV)『青天を衝け』 9/11 (映画)『リョーマ!』応援上映 9/17 (映画)『リョーマ!』応援上映 9/27 (TV)ネプリーグ
◆ドラマCD
『ストレンジ・プラス』2、『忍たま』、『Clock over ORQUESTA』など。聞いたの以外に、『新・オフィス遊佐浩二』、『朗読喫茶噺の籠』、『遙かなる時空の中で4~橿原宮炎上~』などあれこれ積んでます。
◆ゲーム
(ソシャゲ)『テニスの王子様 Rising Beat』、『Fate/Grand Order』、『ラングリッサーモバイル』、『剣が刻』、『夢王国と眠れる100人の王子様』、『刀剣乱舞』、『聖闘士星矢 ライジングコスモ』、『Sdorica』 (PS4)『無双OROCHI 3 Ultimate』、『新サクラ大戦』、『キャッスルヴァニア 〜暁月の円舞曲〜』 (Switch)『ポケモンスナップ』
◆アニメ・ラジオ・など
『ゴジラSP』、「荒野のスノー」(Love, Death and Robots S2E4 "Snow"吹替)、『忍たま乱太郎』、『名探偵コナン』、『しろくまカフェ』、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』、『スラムダンク』、『新テニスの王子様オン・ザ・レイディオ』、日本ラグビー応援TV『ONEラグビー』
◆キャラソン
10曲くらい増えました
今年も、チケットは取っていたのに中止になってしまったイベントがありました。8/15に川口で開催予定だった『おじさんだけで遊びたい!』。それから、第三波まっただ中+下北沢の狭い小劇場という条件に、さすがに諦めたのが1月の『タチヨミ』。売れ残ってるチケットを買っておいて行かないという、闇のクラウドファンディングみたいなことをしました。そうでもしないと気持ちのもってきどころがなくて。逆に、感染の波の間を縫って、クロケスタのポップアップストアとコラボカフェと、ガンダムカフェには行けました。
印象に残っているのは『ダンディズム』です。新装Zepp、柿落としからのコロナ禍、初の有観客。本来なら、ただの建築物であった空間に、観客が入り、���ールとして呼吸を始める、特別で、お祝いのはずの日。なのに、席はひと席あけ、マスク着用、発声禁止。100%じゃない…いや、あの日はあれが100%だったんですが、限られた100%だった。あの日にあの空間の観客であることを、光栄に思うと同時に、もどかしさもとても強く感じました。私にできることは客席で観客をしていることだけだけど、それでは足りなすぎた。
『リジェフェス』も印象に残っています。久々のペンライト系のイベント。ステージに出てきて、カラフルな光に彩られた観客席という光景を目にした、ある声優さんの表情。トークによれば、そのかたはコロナ以降初めての観客の入ったイベントだったそうなんですが、それを聞かなくてもわかるくらいに、心が動いてるのが見えた。声優という職業の人たち、特にイベント出演中も活動の内であるような声優さんたちがライブ・イベントがほぼ全滅した時期に何を思われていたのか、もちろん私には知るよしもないんですが、「その場に集う」ということの大きさを感じました。
ふだんだったらーーつまり「コロナ前」だったら、『リジェフェス』の感想はきっとこうです。置鮎さんが縁に声をあてているところを初めて見た。イラストがあって、言葉があって、置鮎さんの声がある。どこにも「縁」という存在はいないのに、それでもあの短いライブ朗読の時間、縁が「いる」と思ったーー私もそこにいた。「ゲームで聞くのと同じ声だ」という同一性の確認とは根底から異なる、キャラの実在。それはこれまでのキャラという存在(とその成立のメカニズム)についての認識が覆されるような体験だった。
そういうことが意味をもたなくなったとはまったく思ってないんです。アニメ、ゲーム、キャラ、演技、その仕組み、成果、みんな面白いと思うし、すごいと思います。少しずつ少しずつでも理解していくのは楽しい。ただ、いままで考えなくて済んでいた、いろんな前提のようなものがいちどに消えて、また手探りで集めて、積み直しているような感じがします。同じイベントであっても、かつてイベントという名前で呼ばれていたものをもう一度作り直した何かのように思えるときも。「そうだった、こんな感じだった」という感覚のあとに、「戻ってきた」が続くのか、「でも…」が続くのか。別のフレーズが続くのか。「またこれをできるんだ」かもしれないし、「これじゃない気がする」かもしれない。あの感覚を言い表してくれる言葉が見つかる前に、違和感のほうがなくなるのかも。どうなんでしょうね。
こうして今年の置鮎さん活動(どういう呼称だ)を書き出してみても、正直、どう思ったらいいのかわからないところがあります。行けなかったライブ・イベントは、感染リスクの高さを考慮してパスした『タチヨミ』と、チケットを取るのを完全に忘れていた『テニプリ』記念イベント。配信では、ヘロQのライブ配信2作品を見ていません。好みに合わないので。なので、『タチヨミ』以外は、自分の側に��由があって見ていないわけです。でも、それは私が東京近郊に済んでいて、体が健康で、そして今年もかなりの時期を在宅で過ごしていたから。もし私が地方に住んでいたり、自分や家族の健康に条件があったり、週5で出勤して不特定多数の人に接する仕事をしていたら、つまり生活上の感染する・させるリスクが違ったら、ぜんぜんちがうリストになってたわけですよね。だから、職や収入のことを無視してさえ、これはとても特権的なリスト。でも同時に、私のような人間すら参加を控えていたら、企画が、コンテンツが、業界が、本当に力を失ってしまう。会場に行きたいし、行くことはできるし、行けば楽しかったけど、どこかで絶対に自由じゃなかった。常に選択だったし、リスクのことを考えてた。そんな一年でした。
現地参加以外での行動の変化としては、「現地参加したのに配信も買う」というのをふつうにやるようになりました。リストで現地・配信に重複があるのはそのせいです。配信のあるイベント、よかったイベントだけですが。ちょろい。
散財でいうと忘れてはならないのはくじメイトですね。ボイスなどが当たるオンラインの抽選です。楽しかったな。おみくじみたいに毎日引いたりして。サインは、ニコ生配信にゲストで出演された緑川さんとのダブルサインの色紙が当たってました。開封したときは何が書いてあるのか真剣にわかりませんでしたが。自分の部屋に、置鮎さんと緑川さんがサインをされた、自分の本名入りの色紙があるかと思うと、なんだか面白くてときどき笑っちゃいます。なんでこんなことに。もちろん私がくじを引いたからなんですが。なんでこんなことに。本名を呼ばれるボイスのほうは、親しげな演技+本名のコンボから生まれる距離感のなさが苦手で無理でした。宝の持ち腐れとはまさにこのこと。
あとは、『テニプリ』記念イベントのアフタートークの小野坂さんの言動があまりにひどかったのでtwitterで批判したら、マシュマロ(という名前の匿名メッセージ送信サービスのメッセージ)がめっちゃきました。中身は、ほとんどが賛成、たまに反論という感じ。いろんな意見を聞かせてもらえたので、届いたマシュマロにはすべて感謝しているんですが、声優さんにどはまりして4年、いろんなことが起きるものです。
そう、置鮎さんにはまって4年です。せいぜい数ヶ月はまって飽きるのかと思いきや、1年程度はまって収まるのかと思いきや、パンデミックのあおりでそれどころではなくなるのかと思いきや、4年!なんと。そのうち2年がコロナ期間なことに、それなりに深い恨みを抱えています。どこにももってきようのない恨みを。上に書いたように、そんなことを恨んでいられる時点でなんにも恨む必要なんてない時代なんですが。にしてもコロナ許すまじ。
振り返れば4年ということもあり、今回もあれを…そもそもなぜこのコーナー(コーナー???)が書かれることになるのかいまだに意味不明だと思っていますが、いちおうこの一年の記録として書いておきますと、置鮎さんとの距離感が自分の中でちょっと変わったかな~と思ってます。「慣れた」?かなあ。
たとえば、置鮎さんがされてる配信で、私はいまだに毎回表示名を変えていて(最初は思うところあってそうしていたのですが今は完全に飽きてます)、置鮎さんは毎回私のtwitterのアカウント名前を呼ぶとか。しかも、私は最近twitterのアカウント名を以前とは別のものにしていることが多いので、もはや「旧」アカウント名。SNSで、名前を変えても、前の名前のときに知り合った人は前の名前で呼び続ける現象ってあるじゃないですか。ほぼあれを、どはまりした声優さんとやっている。なんで?
あるいは、置鮎さんのエゴサの対象範囲にいることに疲れて、置鮎さんのアカウントをブロックしたり。ブロックするほうもするほうですが、そもそもなんでそんなことが必要に?と考えるなら、そもそもあの頻繁で継続的なエゴサはいったい?冷静に考えて、「置鮎さんだから許されてるけど別の人だったらやばい」って感じじゃないですか??(それなのになぜ置鮎さんだと面白くなってしまうのか…)
上に「意味不明」と書きましたが、たぶん納得いってなかったんだと思うんですよね。なんというか、完全に自分のペースじゃなかったので。確かに置鮎さんは面白いし、かわいいし、リプライをいただいたらめっちゃテンション上がります。これでも人間なので、物理的に舞い上がるのはちょっと無理ですけど、気持ちは舞い上がります。元気がないときはほんとーーに効きます。それは今でも変わらない。でも疲れるときもある。光が強すぎるときが。
で、そこまで含めて慣れてきた。twitter上で置鮎さんに私を私と認識されてることとか、twitter上じゃなくても顔を覚えられてることとか、受け入れるのにだいぶ時間がかかったんですけど、いまは平気。いや平気ではないんですが(平気なわけがあるかーーー!!!)、平気ではないことまで含めて平気に。なった?あらためて書くとやっぱり平気ではないかもしれませんね…。なんだろう、「慣れた」…「受け入れた」…悟りを開いた??
私は私で、置鮎さんは置鮎さんで、私は置鮎さんにどはまりして、あとはときに起きることが起きる、ことがある。なんか、人間と人間のコミュニケーションなんだからそりゃそうだろうというような、だからなんでここにそのコミュニケーションがあることになってるのよというような、いっそ運命のような。不思議ですね。ひらたく言うとわけわかんないですね。
でも、先のわからない、わけのわからないこの一年で、置鮎さんはハッピーなびっくり箱みたいで、私のこの一年に置鮎さんの存在…置鮎さんにどはまりしたという状況があってよかったなと思います。
去年と同じフレーズを書きます。どうか来年は、みなさんにとって良い一年でありますように。
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【小説】JOKER 第一部
プロローグ
〈1〉
深夜零時。
ロレックスに目を落とした緒方進(おがたすすむ)はブリーフケースを手に、生ぬるい海風を受けながら水銀灯の明かりで照らされた新庄市郊外の公園に立っている。
海に面した絶好のデートスポットなのだが、残念な事に交通の便が悪い上に駐車場すらなく、昼間でも子供でさえロクに遊びに来る事が無い。
緒方の両隣りに二人、公園の入り口と四メートル道路に停めたベンツに運転手代わりが一人貼りついている。
全員原色のスーツに金ネックレスならプロ野球選手の夜遊びと言えない事も無いだろうが、広域指定暴力団矢沢組の組員は落ち着いたビジネススーツが常だ。
そしてブリーフケースには二百万円分のメタンフェタミン――覚醒剤が入っている。
取り引き相手は調子に乗っている街の半グレ。
昔で言うストリートギャングだ。
半グレ���言っても若者ではない。若い頃にやんちゃをしたがいいが足抜けに失敗し、ヤクザになる器量も無いチンピラだ。
麻薬が若者に蔓延している、というのは半分正解で半分間違いだ。
昨今の若造は非正規労働などで麻薬に金を渋るどころか、タバコにさえ金を落とさない。
麻薬を使っているのは女を薬で縛って風俗で働かせるか、末端の構成員を薬で縛り付けるかのどちらかだ。
スポーツ選手や芸能人は大金を落とすが、それは表沙汰にしない為の口止め料としての意味合いが強く、普通に流通している薬はそこまで高くない。
そんな価格設定をしたら麻薬依存症患者は年収五千万円以上に限られてしまうだろう。
そしてスポーツ選手や芸能人などの成り上がりはともかく、そんな高所得者は基本的に麻薬など嗜む事は無い。
麻薬というのは貧乏人を貧乏人に縛り付け、思うがままに操る道具なのだ。
緒方がそれでも月収に相当する額のブリーフケースの重みを感じていると、年甲斐もなくスウェットを来た男が軽のワゴンで公園に乗りつけた。
逆向きにかぶった野球帽はヤンキースなのに、スウェットはボストン大学という統一性の無い男の後ろに三人の若造が続く。
間違いなくアメリカのストリートギャングを意識しているが、残念ながらエミネムにもJAY-Zにも見えない。
オーバーサイズの服をだらしなく来た日本人だ。
「緒方さん、金持って来ました」
ヤンキース帽がポケットから雑に札束を出して見せる。
それでクールだと思っているのだからタチが悪い。
「ブツはある」
緒方が顎をしゃくると若い衆がヤンキース帽の札束を確認する。
帯どめしてある訳でもなく、おおよそでしか金額は分からない。
しかし、金額が違っていれば差額を血肉で支払う事になる事はヤンキース帽も理解しているだろう。
若い衆がざっと金を数えた所で、水銀灯の下にトレンチコートの男が忽然と姿を現した。
紫色のどぎついトレンチコートに西洋風のピエロのマスク。
「ハッピー、ハロウィーン」
おどけたような合成音声が響いた時、緒方は背筋から嫌な汗が滲むのを感じた。
遭遇するのは初めてだが、ヤクザや半グレをターゲットにしたハッピートリガーの噂は緒方も聞いた事がある。
トレンチコートに突っ込んだ手が引き抜かれた瞬間、銃声と共に足下と背後の遊具で火花が爆ぜる。
「緒方さん!」
若い衆の一人が銃を抜いてピエロ――ジョーカーに応戦しようとする。
ジョーカーのトレンチコートが開いて、内側から���画でしか見た事の無いショットガンより大振りな銃器――グレネードランチャーが姿を現す。
「ハロウィーン? 失敬、まだ五月だ」
ジョーカーのグレネードが火を噴くと同時に地面が爆発して公園に身体が投げ出される。
半グレがへっぴり腰で公園の外に出ようとした瞬間、ジョーカーのもう一方の手に自動小銃が握られていた。
「屋根よぉーり高い、鯉のーぼーりー」
自動小銃が瞬き、公園の出口付近に無数の弾丸がばら撒かれる。
隙を突いて緒方は裏手に停めたベンツに向かって走る。
初対面とはいえ、こんな火器を狂ったように撃ちまくる狂人を相手になどしていられない。
自動小銃が向きを変え、ベンツの防弾ガラスに傷が穿たれる。
それでも緒方がベンツに戻る間に、半グレの連中は軽のワゴンに向けて疾走している。
ジョーカーのグレネードがベンツに向けられる。
助手席に転がり込んだ緒方は叫んだ。
「出せ!」
猛スピードで走り出すベンツをジョーカーは追って来なかった。
緒方はあの猛烈な砲火の中、生き延びた事を奇跡のように感じていた。
〈2〉
午後八時。
没個性的なダークスーツに身を包んだ三浦清史郎(みうらきよしろう)は新庄市駅前にある新庄商店街の場末のバー『サイレントヴォイス』を訪れている。
新庄市は首都圏のベッドタウンとして栄えている太平洋に面した、人口八十万の町だ。
駅前の商店街では二百を超える店舗が活況を呈しており、湾岸という事もあり工場地帯も存在する。
耳に心地よいJAZZが流れる中、清史郎がショットを二杯開けた所でパリッとしたスーツを粋に着こなした慶田盛弁護士事務所の慶田盛敦(けだもりあつし)が現れた。
互いに若手と呼ばれる頃に知り合い、今では二十年の付き合いになる。
「待たせたようだな。今幾つか案件を抱えていてね」
慶田盛弁護士事務所は警察の冤罪事件を扱う事で、その道では知られている弁護士事務所だ。
日本では警察が立件した裁判では99%の確率で検察が勝利している。
その検察がでっち上げたものを、証拠を積み上げ無罪に、更には真犯人を警察に突き出して解決する。
それが慶田盛弁護士事務所の仕事であり、清史郎の三浦探偵事務所は裁判の為の情報である事件の調査依頼を受けている。
売れ筋である浮気調査などはしていない為、懐には常に隙間風が吹いている。
「最近はこっちも忙しくてね」
清四郎はスコッチを注文した慶田盛とグラスを合わせる。
『サイレントヴォイス』のマスターは、以前ヤクザに恐喝されていた所をジョーカーに扮して助けたという経緯がある。
もっとも通い続けて十五年だから隠す事もありはしない。
気のおけない古い友人のようなものだ。
「吉祥寺の死体遺棄事件の件は進展はあったのか?」
吉祥寺の死体遺棄事件とは、富山純也二十五才宅で、川上千尋二十二才が自傷行為で死んでいたというものだ。
死後二日後に近所の人間に通報された事から、警察は富山を死体遺棄事件の容疑者として逮捕。書類送検した。
富山は無罪を主張し、慶田盛弁護士事務所に泣きつき、慶田盛が三浦探偵事務所に調査を依頼したのだ。
「川上は富山と同棲していた。富山の証言では自傷行為など考えられない」
同棲していた富山が被害者の死亡時に出張で家を空けていた事はアリバイとして記録に残っている。
「それは本人から直接聞いている」
慶田盛の言葉に清史郎は頷く。
「川上は都内の建築会社で事務をしていたが、実は裏で足つぼマッサージをしていた。これは歩合給で明細書も無い手渡しだ。小遣い稼ぎには丁度良かったんだろう」
清史郎は店舗の写真を慶田盛に見せる。
富山も都内の広告代理店に勤務していたが収入はお世辞にも良いとは言えず、川上としては将来を考えても副収入が欲しかったという所だろう。
その辺りの事情はマッサージ店の同僚から聴取住みだ。
「富山は言っていなかった。どうやって調べたんだ」
慶田盛が驚いた様子で写真を手に取る。
「足で稼いだんだよ。で、マッサージ店には川上に執着している、大野正則という客がいた。この男は二十歳でコンビニでアルバイトをしていたが、その給料のほとんどをマッサージ店の指名につぎ込んでいる」
清史郎は大野と、彼がコンビニで働いている写真を見せる。
大野という男が川上に執着し、横恋慕していた事は他の店員からも話が聞けている。
「じゃあ、そいつがストーカー化して川上を殺したのか?」
やりきれないといった様子で慶田盛がスコッチに口をつける。
「このコンビニには別に野原椎名という二十五才のアルバイト店員がいる。この女は大野と交際していると公言しており、ストーカーの気質もあるようだ。大野は全面的に否定しているけどな」
清史郎は野原と、野原が大野を尾行している写真をカウンターに乗せる。
追っている者は追われている事は忘れがちなものだが、大野が川上を付け回し、その大野を野原が追い回していたという訳だ。
そして道ならぬ恋に破れた野原は凶行に出た。
「じゃあ、野原が大野と川上の関係を勘違いして……」
話を整理するようにして慶田盛が言う。
「川上の切創は手首と腕に集中している。これは自傷行為というより防御創だ。更に他に傷跡も無い事から自傷行為の常習という事も考えられない。仮に大野が殺したとするなら、体格差から刺殺になった事だろう。つまり傷跡から考えても同程度の体格の相手から切り付けられたと考えないと成立しないんだ」
警察から入手した傷跡の写真には古い傷跡は一つも無い。自傷行為が常習性を持つという事を考えれば自殺の線は消えたと考えていい。
「川上は外に助けを求めに出ようとは思わなかったのか?」
「手のひらも切られていたんだ。普通の神経ではドアノブを握る事もためられただろうし、本人も富山が帰ってくれば助かると思ったんだろう」
富山は残業や出張が多く、帰宅時間は一定していなかった。
富山が出張を被害者に伝えていなかった事も証言から明らかにな��ている。
清史郎は資料の束を慶田盛に渡す。
「毎度仕事が早くて助かるよ。これで検察の容疑を晴らして真犯人を起訴できる」
慶田盛が満足そうに言う。探偵業をしていて良かったと思える一瞬だ。
「で、娘の学費の件なんだが……」
清史郎は慶田盛に話を切り出す。
大学を卒業してすぐに結婚し、娘ができて半年と経たずに妻が離婚を申し出た。
不倫である事は分かっていたが、彼女の名誉の為に黙って養育費を受け入れた。
とはいえ、慶田盛弁護士事務所の依頼者の多くは金銭的に厳しい者が多く、その仕事を更に下請けする三浦探偵事務所の実入りはとても良いとは言えない。
一年で五十件の冤罪事件を解決した年もあったが、その年の収入でさえ四百万を少し上回る程度だったのだ。
テナント料と養育費を払ってしまえば食費もロクに残らない。
半ば商店街の好意で事務所を置かせてもらっていると言っても過言ではない。
そしてようやく養育費を払い終わったと思ったら、元嫁が娘の学費を請求して来たのだ。
慶田盛いわく法的には支払いの義務は無いとの事だが、娘を大学に進学させてやりたいという思いはある。
「示談にするのが一番じゃないか? 向こうも本気で学費を巻き上げられるなんて思ってない」
「敏腕弁護士が中途半端な事を言うじゃないか」
「君の元奥さんは金が欲しいだけで最初から娘を大学に行かそうなんて思っていない」
慶田盛の言葉に清史郎は石を飲んだような気分になる。
「私が支払うと言えば嫌でも大学に行かせなくてはならなくなるだろう」
元嫁に対する愛情など欠片も無いが、娘に対する愛情は残っている。
「そんな金が君のどこにあるって言うんだ。夕食を場末のバーボンで済ませる男の食生活がこれ以上荒むのは見るに堪えない」
慶田盛の言葉に清史郎はため息をつく。
確かに慶田盛の言う事に間違いは無い。
――あの女のせいで自分も娘も……――
ジョーカーとして稼いだ金を出せば解決可能だが、帳簿に乗らない金を出したなら国税局に乗り込まれる事になる。
結局私生活は何一つ変わっていないのだ。
「しばらくしたら仕事の量を増やすさ」
ジョーカーを演じ始めたのは与党と矢沢組が推し進める新庄市再開発計画を阻止する為だ。
その行方を占う知事選挙が四か月後に控えている。
「もう歳なんだ。いい加減町を騒がすハッピートリガーなんてやってられないだろう」
「これはそこいらの冤罪なんてモンとは次元が違う。新庄市に生きる人々の生活がかかっているんだ」
清史郎が言うと慶田盛が苦笑する。
「相変わらず正義感だけは人一倍だな」
「皮肉を言うならお前も大手の弁護士事務所に転職したらどうだ?」
清史郎の言葉に慶田盛が笑みを浮かべる。
「それこそ真っ平だ」
清史郎は笑みを交し合うとグラスの底に残ったバーボンを飲み干した。
慶田盛も自分も世間で言う所の真っ当な大人にはなりきれていないのだ。
〈3〉
今年で二十七才になる円山健司はマンションの部屋のボタンを適当に押していた。
『はい、どちら様ですか』
「amazon様からの御届け物です」
本物のamazonの箱を抱え、配達員の服装をしているのだから疑う者も無いだろう。
――注文客以外は――
マンションのオートロックをパスしようと思ったら、住人について行くのが一番手っ取り早い。
しかし、それ以上に手堅いのが郵便物の配達員になりすますという方法だ。
amazonであればほとんどと言って良い人間が利用しており、世帯主では無くてもファミリー向けマンションなら家族が注文している可能性もある。
そしてオートロックをパスしてしまえば、実際にその部屋にものを届ける必要など無いのだ。
健司はオートロックをパスすると非常階段で配達員の服装を箱に収め、ビジネススーツに身を包んだ。
どこに居ても違和感を感じさせないという点で、ビジネススーツはほぼ最強のアイテムと言える。
健司は時刻が二十二時になるのを待って、十四階の廊下にクリスマス用のランプを天井から垂れ下がるように飾り付けた。
全て両面テープで一瞬で剥がせるようにしてある。
更に待つ事一時間、程よく酔ったスーツ姿の男がエレベーターから出て来る。
健司は息を飲んで男の背後につけ、クリスマスの飾りつけを一斉に点灯させる。
男の胡乱な目と意識が飾り付けに向いた瞬間、健司は男の両足を抱えるようにして廊下から外に向かって放り出していた。
悲鳴を上げる間も無く、鈍い音が階下から響く。
八階以下なら死亡の確認も行うが、十四階で生きている事はまず無い。
飾り付けの一方を引っ張って仕掛けを回収し、箱に収めてエレベーターで悠々とマンションを後にする。
明日には会社員自殺の報が流れるかも知れないし、流れないかも知れない。
いずれにせよ、目的を果たした健司は『殺し屋』へと足を向けた。
『殺し屋』は歌舞伎町の風俗ビルの一室にある。
夜更かししてまで仕事をする気は無い為、殺し屋と書かれた看板の電源を入れ、のれんをかけるのは明日の朝九時になってからだ。
ボックス席が二つにカウンターが六脚。
お品書きには殺し方のメニューが書かれている。
客はその中から死因や死体の放置の有無などを選択し、健司は見積もりを出してターゲットを殺す。
ごくごくシンプルなビジネスだ。
今日のターゲットはヤクザに貸し渋りをした銀行の支店長で、死因は自殺で死体は放置で良いという事なので仕事としては楽なものだった。
とはいえ、調査に四日かけて二百万の報酬。
ヤクザが稼ぐ額に比べれば雀の涙だが、踏み倒される事を考えれば前払いでささやかに仕事をする方が余程いい。
殺し屋も楽な仕事ではないのだ。
〈4〉
渋谷のクラブ『クイーンメイブ』で、三浦清史郎は所在無げに立っていた。
本日のDJはKENこと前田健だ。
アップテンポのR&Bと若い男女の支配する空間で、中年の疲れたサラリーマンといった体の清史郎は明らかに浮いている。
健がボックスのVIP席を用意してくれているが、一人でそんな所に座っていても落ち着かないだけだ。
健のパフォーマンスが一段落した所で、清史郎は二十歳過ぎのTシャツにデニムのショートパンツといった服装の女性に声をかけられた。
「ジョーカー、何疲れてんの?」
「仕事とここの空気のダブルパンチだ」
声をかけて来たのは長い髪を茶色に染めた飯島加奈というコンビニの店員だ。
快活な女性で、見ている限り店長より仕事をテキパキとこなしているように見える。
仕事さえ違えば有能なのかも知れないが、このご時世では仕事があるだけでも儲けものだ。
「ノれば楽しいって」
加奈がしなやかな身体を動かしてダンスらしきものを踊って見せるが、清史郎には真似をする事もできそうにない。
「俺の頃、ダンスは学校の授業に無かったからな」
清史郎はカウンターでアーリータイムズを注文する。
酒屋ではボトルで買っても千円程度なのに、クラブではショットで四百円取られるのだから暴利もいい所だ。
「私の頃だって無かったってば」
加奈がカシスオレンジを注文しているとパフォーマンスを終えた健が近づいて来た。
「どォよ、俺のパフォーマンスはよ」
「毎度疲れるよ」
清史郎は肩を竦めて答える。
「釣れねぇ態度、クイーンはどうだった?」
健が加奈――クイーンに話題を振る。
「いいんじゃない? ここではナンバーワンなんでしょ?」
楽しんではいたが加奈もDJの良し悪しは良く分かっていないようだ。
「だろ? 俺、最高にクールだったよな?」
言って健がスクリュードライバーを注文する。
健だけは店舗でDJをしている為にドリンクが無料だ。
「センスがいいのは認めるけど、ここのクラブで一番でも他所で一番って事にはならないから」
ぴしゃりとした口調で加奈が言う。
「これだけで食っていけるとは思ってねぇよ」
悄然とした口調で健が肩を落とす。
DJを優先している為、不規則な生活の彼は普段は日雇いのバイトをしている。
全員が飲み物を手にした所でダンスフロアを横切ってボックス席に向かう。
「に、してもよジョーク、昨日のヤクザ連中のビビりっぷりは最高だったな」
楽しそうな口調で健が合皮のソファーに腰を下ろす。
「エースは機械いじってただけでしょ? 仕込みをしたのはあたしとジョーカーなんだから」
加奈が健――エースを叱責するような口調で言う。
「俺は俺で神経使ってんだって。第一お前らだけじゃWi-Fiのクラッキングもままならねぇだろ」
「その危険地帯にジョーカーが踏み込んで機材を仕掛けてるんじゃない」
清史郎はITに関しては門外漢だが、昔ながらの盗聴や盗撮、ピッキングといった技術は職業柄身につけている。
しかし、大手の情報企業と契約していない為、早いという利点は存在しない。
現在一般的な興信所は大手情報企業と契約しており、端末の通信履歴からクレジットの支払い履歴まで二十万円から六十万円でパッケージで購入している。
ETCの履歴まで買えるのだから、全て現金で賄い、更に携帯電話もスマートフォンも持たないので無ければ市民の生活は筒抜けだ。
だが、情報企業に頼るという事は、利害が密接に絡んでいる対象を調査できなくなるという事も意味している。
従って検察を敵に回している清史郎は情報企業を利用できないのだ。
その清史郎がジョーカーという仕事をするに当たって健をスカウトしたのは、単にDJは複雑な機材を器用に使っているという思い込みだけだった。
最初はヤクザに嫌がらせをするただの乱射魔演出という構想だったのだが、健のITスキルが想像以上に高く、健の元同級生で実務能力に長けた加奈が加わり、神出鬼没のハッピートリガー、ジョーカーが誕生する事になったのだ。
「そこはWINWINじゃね? 俺の真似は二人ともできないんだろ?」
勝ち誇った様子で健が笑みを浮かべる。
「現金回収したの私なんだからね」
封筒を手にした加奈が健に向かって言う。
昨夜のヤクザの取り引きでジョーカーが登場した時、どさくさに紛れて半グレの落とした金を拾ったのは加奈なのだ。
「で、幾らになったんだよ」
「がっつかないの。バラけてたので百十一万。ジョーカーが三十一万でいいって言ってるから四十万」
「あざーっす!」
健が笑顔で加奈から封筒を受け取る。
「に、してもボれぇよな。俺なんて一日工事現場で働いても七千円だぜ」
「私だって八時間みっちりシフト入って八千円行かないんだから。あんたは税金の天引きが無いだろうけど、私はガッツリ取られるんだから」
加奈が小さくため息をついて言う。
「私は確定申告で青息吐息だよ」
清史郎は苦笑を浮かべる。
本業の探偵は労力の割に儲かっているとは言い難い。
その中で臨時でも帳簿に乗らない収入があるのはありがたい事だった。
「ジョーク、辛気臭ぇ話は無しにしようぜ! 今日は俺のおごりだ」
健がバーテンにボトルを注文する。
――今日の所は好意に甘えておこう――
清史郎は明日から始まる地道な仕事に思いを馳せた。
第一章 殺し屋VSジョーカー
〈1〉
「まさかお前まで手玉に取られるとはな」
純和風の邸宅の四十畳ほどの上座から、矢沢組組長矢沢栄作の声が響く。
矢沢は東大出身で大手の組の金庫番をしていた経済ヤクザだったが、���腕を見込まれて盃を受けて新庄市を任された男だ。
大型カジノ施設と契約し、建設費用だけで二千億円を超える大規模開発事業に着手。
地域活性を謳ってケツモチをしている与党の知事を、市民公園を作ると言って与党の市長を当選させ、財務局を握って人口八十万程度の町である新庄市の経済活性としてカジノ施設を呼び込む段階まで運び込んだ。
しかし、新庄市には古くからの商店街があり、カジノ施設に一斉に反対。
この動きを野党が連合して支援した事で、矢沢組の工作虚しく市会議員選挙でまさかの野党大勝与党過半数割れとなった。
そこで組として商店街に圧力をかけ、一方で麻薬や売春で治安を悪化させて風紀を乱すという策に出た。
そこに商店街からの刺客のように出現したのがジョーカーだ。
従って、今回の取り引きでたかだか百万程度の損失を出した事は問題ではない。
手足となる半グレが震えあがり、商店街が盛り返してしまう事の方が問題なのだ。
ジョーカーは確実にドラッグか銃のある時にしか出現せず、空取り引きで警察を使って捕えようとしても決して出て来ない。
支配下にある警察でも公安とマル暴がジョーカーを追っているがかすりもしない。
「完全に俺の失態です」
緒方は畳に額をこすりつける。ジョーカーが来るかも知れないと備えていても、圧倒的な火力を見せられて対応できる組員など存在しなかった。
「お前で駄目なら誰が行っても同じだろう。幸いヤクは複数のルートでさばいている。一か所の取り引きが潰れたくらいでプランに変更は無い」
矢沢の言葉に緒方は頭を下げ続ける。
ジョーカーに遭遇すれば十中八九取引どころではなくなるし、組員の士気の低下につながるだろう。
しかも、ジョーカーの正体はまるで分らない。
ヤクザが取引の現場に発砲魔が現れたと被害届を出せば、警察と幾ら緊密な関係にあるとはいえジョーカー逮捕の前に麻薬取引や銃刀法で御用となる。
警察が味方と言っても、捜査させる理屈が見つからないのだ。
従って、科捜研を動かしてジョーカーを特定するという事もできない。
かと言って、ジョーカーらしき人物は大手の情報企業のデータベースにも存在しない。
そもそも個人が特定できていないのだから、企業から情報を購入しようが無い。
「カジノ施設反対派は金で分断しろ。一億二億なら建設の際に財務局の法で水増しできる」
矢沢の言葉を緒方は脳裏で反芻する。
これは緒方の裁量で動かして良いのが二億円程度という話だ。
商店街含め、新庄市でカジノ施設に反対している事業者は七百に上る。
二十万円づつ配ったところで効果は見込めないし、家業と住み慣れた町を捨てさせるには最低でも二千万は必要になり、十人買収したところで七百の事業者から見れば雀の涙だ。
二億という金をどう効果的に使うか。
麻薬の売買で風紀と治安を乱そうとしたところで、商店街が機能して失業者も少ないという環境にあっては大きな効果を見込めない。
警察は見逃してくれても市民に監視されているようなものなのだ。
――いつまでもこの状況を引き延ばす訳には行かない――
半年後の知事選で知事が敗れ、反対派の知事が誕生すればカジノ施設誘致契約が破談となり、二千億を超える金が利益ではなく損失として計上される事になるのだ。
それは矢沢組の滅亡を意味していた。
〈2〉
午前八時半。
『殺し屋』に出勤した健司は店舗の掃除を始める。
明るく綺麗な店舗は客商売の基本中の基本だ。
『殺し屋』を訪れる客は決して多くはないが、だからと言って手を抜いて良い理由にはならない。
風俗ビルの一室というどうにもならない立地上の限界はあるにせよ、一国一城の主として近隣の風俗店や飲食店と比較して店舗が清潔かつ快適であるという自負がある。
カウンターとボックス席を磨き上げ、店の前に出した看板の電源を入れて暖簾をかける。
健司はカウンターの中で客の訪れを待つ。
健司が『殺し屋』を始めたのは大学卒業から四か月が過ぎてからだ。
在籍中に内定を取る事ができず、無職のまま卒業を迎えて露頭に迷う事になった。
住んでいたアパートも追い出され、頼ったのは風俗嬢になった同級生。
働いているという店舗を訪れ、偶然奥のテナントが空いているのに気付いたのだ。
幸運な事に鍵は開いたままで、住む所の無かった健司はそのままそのテナントを利用する事にした。
しかし、いつまでも居座る訳にも行かず、就職する必要があったが卒業した後では求人がほとんど無かった。
そこでテナントを利用して自営業を始めようと考えたのだ。
偶然町で見かけた『冷やし中華はじめました』という張り紙をヒントに、テナントのドアに『殺し屋はじめました』というビラを貼ったのだ。
それまで人間を殺した事は一度もなかったが、どんな仕事にも初めては存在すると割り切った。
最初の客は風俗ビルで働く風俗嬢だった。
ターゲットはストーカー化した客。
苦労はしたものの、一か月で痕跡を残さずに殺す事に成功した。
以後、口コミで話題となり、多くの人が『殺し屋』を訪れるようになった。
依頼を二百もこなす頃にはだいぶ勝手が分かってきて効率的に殺す事ができるようになってきた。
四年が過ぎた今ではオプションサービスも充実させ、店もリフォームした。
今では年収一千万を超えている。
ヤクザに比べればささやかなものだが、悪事を働いているわけではないから商店主としてはこの不景気にあって良い方ではないかとも思っている。
健司がカウンターに立っていると、一人の客が暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお申しつけください」
言って冷茶を注いだグラスをカウンターに座ったビジネスマン風の男の前に出す。
男がお品書きを見て目を細める。
「殺しの注文というのは相手の氏名が分からないと無理なのか?」
「素行調査であれば興信所を使われるのが一番です。当店では速やかな仕事を心がけておりますので本業以外の仕事は見合わせております」
健司は男の様子を観察する。一見するとビジネスマンに見えるが、作り笑いに慣れていない、否、笑わない職業である事が見て取れる。
能面のような顔の裏に押し殺した暴力的な雰囲気は、警察か暴力団員かそれに近い者だろう。
「前金で二千万」
男がにこりともせずに言う。
「当店は誠実がモットーでございます。確実に殺せないターゲットをお引き受けする事はできません」
「それなら総理大臣でも殺せるのか?」
「名前と住所どころか一日のスケジュールまで手に入りますから、さほど難しく無いターゲットだと考えております。ただし知られている通り警備も厳重ですから時間も必要となり費用も高くなります」
健司が言うと男が低く唸る。
「総理大臣でも不可能ではないと?」
「もちろん、オーダーが首つり自殺などですと難しい案件にはなります」
「首つり自殺は難しいか……面白い事を言う」
男の口元に小さな笑みが浮かぶ。
「二千万はターゲットの調査費用という事��どうだ? 成功報酬は四千万」
健司は小さく息を飲む。
金払いがいい相手である事は確かだが、それだけの力の持ち主でもあるという事だ。
――失敗すれば命は無い――
しかし、ヤクザを敵に回せばテナントから追い出されるだけでは済まないだろう。
「繰り返しになりますが当店は殺し屋でして、興信所ではありません。ターゲットの補足は素人のようなものです。その二千万円でターゲットを補足されましたら確実に殺させていただきますが、二千万円を頂いてもターゲットを補足できるとは限りません」
「二千万を手に高跳びとは考えないのか?」
「飛んだ先で失業すれば同じ事です。地域の皆様に愛される店づくりが当店のモットーです」
健司の言葉に男が破顔する。
「俺は矢沢組の緒方。二千万はここに置いていく。ターゲットはジョーカーと言われている銃の乱射魔だ。俺はお前が気に入った」
言って冷茶を飲み干した緒方が席を立つ。
――これは大変な事になってしまった――
健司はジョーカーという謎の相手を探るために、出したばかりの看板と暖簾を引っ込めた。
〈3〉
午前五時。
健は薄汚れた作業服を着て、年季の入った肉体労働者の列に混じっている。
ホームレスも珍しくないが、ホームレスでもとび職になると一日に二万円以上稼いでホテルに泊まっていたりするから、定住しないのは税金対策といった事情が大きいだろう。
午前六時半、一台のワゴンが健の前に停車する。
「おい、若ぇの、乗れ」
「うぃっす」
筋肉隆々といった古参の肉体労働者に囲まれていると既にやる気が萎えてくる。
労働者ですし詰めのワゴンで移動する事小一時間、朝日が白々と空を照らす中健は自分には一生縁の無さそうな高級マンションの現場にいた。
現場監督のどうでもいいような話に続き、ラジオ体操をさせられる。
眠いだけならまだいい、ラジオ体操が終わってからが地獄だ。
「コンパネ運んで来い! トラック入れねぇじゃねぇか!」
自分に向けられた言葉と気付いた時には、組まされるらしい土工の目が険悪になっている。
男がコンパネと呼ばれる90cm×180cmの板を十枚程抱えて通用口に出ていく。
健の腕力では精一杯頑張った所で三枚だ。
この板を敷いてその上をトラックが走れるようにするのだが並べるだけでも容易ではない。
健はもともと運動神経が良い方ではない。
高校では情報科学部でLinuxを使用してITの全国コンテストで優秀賞を手にした生粋のインドア派だったのだ。
PCの扱いと音楽好きなのとでDJには一定の技術も知識もあったが、一般科目では赤点スレスレで奨学金がもらえるような成績でも無かった。
そんな中、PCを触れて音楽もできるDJという職種を選んだ。
しかし、一晩パフォーマンスをしても六千円程度にしかならないし、他にもDJはいるのだから毎日入る事などできはしない。
従って一人暮らしのワンルームの家賃を払っていく為には、DJの仕事を妨げない、時間にゆとりのある職業に就くしかなかった。
「チンタラ運んでんじゃねぇ! 三枚しか運ばねぇってタマついてやがんのか」
年���の作業員がヤニの混ざった唾を吐き捨てる。
健が運んだコンパネをトラックの通路に並べていると、いら立った様子の作業員が近づいて来る。
「シャベル持って付いて来い」
「シャベルってどこにあるんスか?」
「ふざけてんのか! テメェで見つけろ! 遅れたら承知しねぇからな」
健は屈辱にも似た気分に耐えながら、建設現場をうろついて乗ってきたワゴンでシャベルを見つける。
今日拾われた工務店はどうやらマンションの裏手に穴を掘っているらしい。
「ここに管通すんだからな、掘れたら石詰めだ」
幅は四十センチ程、深さは六十センチは掘らなくてはならない。
総延長は二十メートルにはなるだろう。
小型のユンボを使って欲しいが、既に他の管と入り組んでおり不可能らしい。
配管の順序が逆になるという事は設計ミスの可能性も高いだろう。
健はだるくなる腕を支えるようにして必至でシャベルで穴を掘る。
要領の良し悪しなど分からない。分かるのは掘らなければ怒号と罵声が飛んでくるという事だけだ。
昼過ぎに作業が終わったと思いきや、
「ネコでガラ片付けて来い」
「ネコって何っスか」
反射的に首を竦めながら健は尋ねる。
「手押しの一輪車だ! この使えねぇボンボンが……」
健は奥歯を噛みしめながらネコを探して歩きまわる。
ネコを見つけてもガラ運びという重労働が待っている。
健は暗澹とした気分で工事現場を歩き回る。
――俺だってジョーカーの一員だってのに――
〈4〉
「暑っつ~い! ったく、エースのヤツ今日は土建屋だなんて……」
加奈がマイナスドライバーで水銀灯にへばり付いたガムを剥がしながら言う。
ガムの中には火薬と小さな信管が仕込まれている。
「休みがお前だけだったんだから仕方ないだろう」
清史郎はシャベルで地面に埋まった火薬を穿りながら言う。
乱射魔ジョーカーには秘密がある。
それは実際にはモデルガンしか持っていないということだ。
そこで、予め花火で集めた火薬をセットしておき、ヤクザが商売をしようという所で爆破して妨害する訳だ。
モデルガンには赤外線カメラが搭載されており、Bluetoothで健の端末とつながっている。
清史郎が引き金を引くと同時に健が火薬にセットされた信管を反応させ、銃撃のように見せかけているというだけなのだ。
だからグレネードランチャーの爆発と言っても、実際には大きな花火が地面の下で爆発しているだけで殺傷能力など存在しない。
とはいえ、撃たなかった方向にも埋め込んだ火薬はあり、子供などがうっかり触って怪我をしてしまう可能性もある。
従ってジョーカーとしての仕事の後は必ず後始末が必要になるのだ。
「まぁ、ジョーカー一人に炎天下で作業させるわけにも行かないし。歳だし」
加奈の言葉に清史郎は苦笑する。
加奈と健は二十一歳だが、清史郎は四十五歳だ。
肉体的に無理のきかない歳という事は重々承知の上だ。
炎天下でひたすら火薬を撤去する事四時間。
仕事を終え、加奈と一緒にたこ焼き屋の店先で麦茶を飲む。
近年おおだこが当たり前になっているが、清史郎が行きつけにしている昔ながらのたこ焼きはピンポン玉より少し小さい程度で味も良く、言えば店のおばちゃんが麦茶を出してくれるというサービスがついてくる。
「おばちゃん、最近ヤクザはどうだい?」
清史郎は店主兼店員の初老の女性に声をかける。
「あんたに相談したらそれっきりだよ。派手なドンパチがあったみたいだけどね」
おばちゃんの言葉に清史郎は笑顔を返す。
警察や興信所に相談してもヤクザ絡みの事件は解決しないが、しがらみの無い三浦探偵事務所とジョーカーなら不可能も可能になるのだ。
商店街や商工会の中でも事情は不明だが、清史郎に依頼をすればヤクザが引っ込むという都市伝説めいた話が広がっている。
だが、あまりに知られ過ぎると清史郎がマークされ、ジョーカーを出現させられないという事になる。
従って三浦探偵事務所は慶田盛弁護士事務所とは緊密な関係にあるが、地元の商店街とは付かず離れずの関係を続けているのだ。
加奈と一緒にたこ焼きを食べているとスマートフォンが着信を告げる。
健が清史郎が仕掛けた無線wifiのクラックシステムで、ヤクザの新たな取引を察知したのだ。
――健が稼ぎたがるのも分かるがな――
火薬を調達し、設置し、身体を晒す身としては、ヤクザが本腰を入れない為にもジョーカーの出番は抑えておきたいところだった。
〈5〉
健司は朝のラッシュアワーで意図的に駆け込み乗車に失敗した。
健司に乗車を妨害された形のスーツ姿の男性が、苛立った様子で最前列に立つ。
山手線の次の列車が来るのは四分後だ。
健司はポケットからsimフリーのスマートフォンを取り出す。
simフリーではあるがsimも入れていなければ、個人情報にかかわる情報も一つとしてインストールしていない。
健司はスマートフォンを操作するフリをして考える。
ジョーカーは新庄市から出ていない。
矢沢組から健司の得た情報は散文的なものだった。
ヤクザが取引をしようとする、もしくは刀や銃で武装した状態で市民を脅そうとする。
ヤクザが警察に通報できない時に、狙ったようにジョーカーが出現している。
単純に考えて情報が筒抜けになっているという事だろう。
乱射魔と支離滅裂な口調という仮面が狂人を作り上げているが、警察を巧みに避けている事からもジョーカーが充分過ぎる程に理性的な人物である事が分かる。
相手は狂気の人間ではない。恐ろしい程の知能犯だ。
健司は矢沢組から入手したドライブレコーダーの映像を繰り返し『殺し屋』のカウンター内のPCで再生した。
ヤクザが出ていき、しばらくして銃火がひらめき、慌てふためいたヤクザが逃げてくる。
どの映像も流れは同じだ。ヤクザがドライブレコーダーを使っているというのは不思議なものだが、ヤクザも交通事故では警察の世話になりたくないという事だろう。
ジョーカーの紫のトレンチコートとピエロの仮面にはモデルが存在する。
アメコミ最高の悪役とも言えるバットマンに出てくるジョーカーだ。
相手の頭脳から推し量ってもそれくらいの事は分かってやっているのだろう。
敵を混乱させるという意味ではジョーカーは最高の仕事をしていると言っていい。
では、ジョーカーの行動にロジックは存在しないのだろうか。
その最大の理由は新庄市に活動を絞り、矢沢組と戦っているという点に存在するだろう。
ジョーカーの動機が判明すればその正体を絞り込めるはずだ。
健司の後ろに列ができ、周囲が人垣と言っても良い程になる。
ほとんどの人が急いでいるかスマートフォンを操作している。
毎日このような息苦しい思いをするのが分かっていて、どこの会社も出社時刻を一緒にしているのか謎だが、このような状況が起きる事で仕事を円滑に進められるのも事実だ。
駅のホームは渋谷のスクランブル交差点のように混雑しており、点在する監視カメラからも死角になっている。
列車が見えた所で健司はsimフリーのスマートフォンを線路に放り投げた。
「落ちましたよ」
健司の言葉に周囲の人間の視線が線路に落ちるスマートフォンにくぎ付けになる。
健司が乗車を邪魔した男が慌てた様子で胸ポケットに手を当てる。
健司はスマートフォンを拾おうとするかのように踏み出しながら、素早く男の背を押す。
男が線路に転がり落ちるのと列車が到着するのは同時だった。
ブレーキ音と悲鳴が駅のホームを支配する。
――これで今日もお客様を笑顔にできた――
健司は動揺を装いながら駅員の誘導に従って満足感と共にホームを後にした。
〈6〉
潮風が香る深夜の埠頭の倉庫街。
緒方は三十人の組員を伏せさせ、更に暴走族を張り込ませて取引に臨んだ。
捌くドラッグの金額は一千万。
ジョーカーが金を狙っているならこの好機を逃すはずが無い。
半グレの三団体の代表が��ンツで乗り付け、ヘッドライトの光を背に向かってくる。
――どうするジョーカー――
傍から見ればこれ以上のカモは無いだろう。
しかし周囲には銃で武装した構成員と、それに数倍する人数の暴走族がいるのだ。
仮に強襲に成功したとしてもこの包囲網を抜け出る事は不可能だろう。
金をアタッシュケースに入れた男たちが近づいて来る。
ジョーカーは金を見せた時に最も多く出現する。
緒方はドラッグの詰まったスーツケースを手にヘッドライトに身を晒す。
「緒方さん、ご苦労様です」
半グレの代表のスーツ姿の男が言う。
アタッシュケースが開かれ、帯どめされた札束が姿を現す。
緒方もスーツケースを開いてロシア経由の最高級品を見せる。
と、緒方は場違いな程騒々しいエンジン音を聞きつけた。
『奢れるヤクザもコンバンハ』
拡声器の声と共に波を蹴ったボートが一直線に突っ込んでくる。
船首に立ったジョーカーが銃を抜いて問答無用で撃ち始める。
緒方の周囲で火花が散り、半グレが慌てた様子でアタッシュケースを取り落とす。
伏せていた緒方の部下がジョーカーに向かって応射を開始する。
ジョーカーがグレネードランチャーを構えて砲火を閃かせる。
ベンツの車体が火を噴いて浮き上がる。
倉庫街の至る所で爆発が起こり、火の手が上がる。
ただの撃ち合いなら警察も黙っているが、火災が発生したのでは消防が動き追って警察も出動を余儀なくされる。
ボートが埠頭の岸壁を掠め、ジョーカーが猛火の中を歩んでいく。
「今宵のコテツは鉛に飢えて、オイラの引き金も軽くなるゥ~」
相変わらずの意味不明な言葉でジョーカーが戦場となった埠頭を蹂躙する。
雄たけびを上げた半グレの一人が鉄パイプを振り上げてジョーカーに向かっていく。
鉄パイプの一撃を受けたジョーカーの動きが鈍る。
「あの世の旅も道連れ世は情け、痛いの痛いの焼死体」
ジョーカーが鉄パイプを奪い取って半グレを路上に蹴り飛ばす。
ジョーカーが怒り狂ったようにグレネードを乱射する。
緒方は炎で崩れ落ちる倉庫を避けて部下のベンツに向かって走る。
この乱射の中では同士討ちが危ぶまれるどころではない。
まずは消防がやって来る前に現場を離脱しなければならない。
取り残される組員や半グレには悪いが、矢沢組としても幹部が尻を蹴飛ばされたままブタ箱に入る訳には行かないのだ。
〈7〉
「……ッ」
清史郎は左腕を押さえたままボートの床に腰かけている。
夜の海から見えるのは照明で浮かび上がる工場の幻想的とも言える光景。
酔狂なカップルなら観光に来るのかも知れないが、現在の清史郎にその余裕は無い。
ボートが揺れる度に左腕が痛み、肩から背中までもが痛むように感じられる。
――腕を折られたか――
折れたと言っても粉砕骨折では無いだろう。
粉砕骨折なら幾ら警察OBの探偵から護身術を習っているとはいえ、鉄パイプを奪って蹴り飛ばす事などできてはいない。
問題なのは常識的に考えて鉄パイプを持った敵に対してなぜ発砲しなかったかという事だ。
客観的に見ればこれほど奇妙な事は無いだろう。
狂気の道化師、ジョーカーなのだからと見逃してくれる輩ばかりではないだろう。
「ジョーカー、大丈夫?」
気遣う様子で加奈が声をかけてくる。
「今回の作戦はリスクは織り込み済みだったんだ。鉛弾を食らわなかっただけでもいいってモンだ」
清史郎は虚勢を張って言う。
健が入手した情報は矢沢組が最も警戒している取引、もしくはジョーカーをおびき出そうとしている作戦だった。
当然もっと楽なターゲットを探す事も可能。
しかし、健がこの難度の高い作戦にこだわり、清史郎もジョーカーの名を上げる為に乗ったのだ。
「ジョークには悪かったけど今日だけで六百万だぜ? 一人二百万ってすごくね?」
ボートを運転しながら健が言う。
百人以上が動員されている取引を強襲する為に海路を選んだのは正解だった。
通常は予め現場に潜んでいるが、今回はヤクザが張り込む事が分かっていた。
脱出の目途もたたないのに予め潜むという手段は使えない。
と、なれば相手が考えてもいない方向から強襲して、対応されるより早く逃げるという方法だ。
「アタッシュケース拾って来るのも命がけだったんだから。あんたは安全な所でPCたたいてるだけだからいいかもしれないけど」
加奈がボートでPCを操作していた健に向かって言う。
清史郎が派手に暴れている隙に半グレが落としたアタッシュケースを回収したのは加奈だ。
ヤクザが銃で応戦して来る中で拾ったのだから、生きた心地がしなかったのであろう事は想像に難くない。
「ジョークだって腕を切り落とされたとかじゃねぇんだし、保険証が使えねぇなら金あんだし海外で手術とかもアリじゃね?」
楽観的な口調で健が言う。確かに健の案もいいが致命的な欠陥がある。
「ジョーカーは左腕を殴られている。保険の記録に残らなくても俺が左腕をギプスで吊っていたら正体を宣伝してまわるのと同じことだ」
「あ、そうか」
「あ、そうかじゃないでしょ! だいたいあんたが怪我してるわけじゃないんだから」
加奈が虚を突かれた様子の健に向かって言う。
「腕は町の獣医に頼んで治してもらうよ。問題は探偵事務所の方だな」
町の獣医であれば顔なじみだし、保険の記録に残る事も無い。
「事務所はほとんど客来ねぇからOKじゃね?」
相変わらず楽観的な様子で健が言う。
「エースってば本当に失礼なんだから」
「本当の事だからいいんだけどな。でも選挙が近づいているからカジノ反対派の人たちが現職知事の裏情報を求めてくるかもしれない」
情報が盗まれたものなら裁判では証拠にならないが、盗み出して内部告発の形をとって匿名でばらまくという事は可能だ。
「与党の現職知事って矢沢組がカジノ呼ぶ為に当選させたんだろ?」
健の言葉に清史郎は頷く。
元々災害避難地域指定だった公園の指定を解除し財務省に許可を発行させ、企業が進出できるよう実際に動いたのは与党だ。
暴力団が本体か与党が本体かというのは、鶏と卵のパラドクスを解くに等しい。
「でも物的証拠が無い。音声データやメールは改ざん可能だから決定打にはなり得ない」
「手書きのサインの入った書類が無いと証拠にならないって訳ね」
加奈が話を要約して言う。
「それって探偵とかの仕事じゃねぇのか?」
健の言葉に清史郎は痛みを感じながらもため息をつく。
「私はその探偵なんだよ。儲かっていないだけで」
「とりあえず一人二百万入ったし、ジョーカーはひとまずお休みするしかないわよね」
加奈は状況を落ち着いて観察できているようだ。
「でもよ、選挙が終わって反対派が勝ったら出番も無いんじゃね?」
「そもそも反対派を勝たせる為に始めたんだよ。目的を忘れないでくれ」
商店街と探偵事務所を守る為のジョーカーなのだから脅威が消えれば戦う必要は無い。
もともと町を守る為の義賊として、健も同意して始めた事なのだ。
「あ~、キャデラックに乗りたかったぁ~」
船の縁に寄りかかって健が空に目を向ける。
「外車ディーラーで試乗でもすればいいでしょ」
「そういう事じゃねぇんだよ。こう、リッチな気分でパーッとやりたかったって言うかさ」
「気持ちは分からなくも無いけどさ、私らもともと何千円で一喜一憂してたんだからね」
「へぇ~い」
加奈に言われた健がため息をつく。
二人のやり取りを聞きながら清史郎は考える。腕を折られたジョーカーが休養すれば、不死身の化け物のようなイメージが揺らぐ事になる。
双方の総力戦の様相を呈した今回の戦いで、相手もジョーカーが手傷を負った事は分かっているはずだ。
――大人しく休養というわけには行かないか――
清史郎は加奈に目を向ける。
IT機器を素早く操作できない以上、空白期間にジョーカーを演じられるのは加奈だけだ。
〈8〉
ジョーカーは手傷を負った。
店内の観葉植物の葉を丁寧に拭いながら、健司は緒方からの情報の意味を考える。
���倒的な火力を持ちながら、鉄パイプを手に向かって来る敵に対してジョーカーは無策と言っても良い状態だったのだ。
これはこれまで一人も死者を出していないというジョーカーの姿勢と符合する。
その後の乱射により埠頭は混沌と化し有益な情報は集まっていないが、ジョーカーが現金の入ったアタッシュケースだけを手に海に逃れた事は間違いない。
――ジョーカーは人を殺さないという前提で考えたら――
単純にヤクザを驚かせたいという、愉快犯の姿が浮かび上がる。
だが、愉快犯ならリスクの高いヤクザを狙う理由は少ない。
銃器を振り回さなくても、健司のような一般市民相手に全裸になって見せるだけで充分に他人を不快にする事ができる。
ヤクザに警察に通報できないという弱みがあったとしても、それ以上にリスクは大きいはずだ。
ヤクザに恨みがあるのだとしても、それならば落ちた金だけ拾うという点では実質的にダメージはほとんど与えられていない。
収入として考えているなら猶更ジョーカーの行動は不可解過ぎる。
愉快犯でありながらそれは副次的なものでしかなく、目的の為の手段に過ぎない。
だが、愉快犯である事を手段とする目的とは一体何だろうか。
――僕のような常識人では手が届かないと言うのだろうか――
健司は観葉植物の葉に霧吹きで水をかけながら考える。
矢沢組は一体誰に何をし、その結果ジョーカーを生み出したのだろうか。
健司は店内の照明を切り、暖簾と看板を店内にしまう。
店を出て新宿のチェーン店の居酒屋に向かう。
健司が一杯のビールと焼き鳥を二本腹に収めていると、三人の男が連れ立って店内に入ってきた。
健司は三人組がボックス席に入るのを確認してアタッシュケースを手にトイレに向かう。
三人組が毎回このチェーン店を使う事と、最初にビールを注文する事は分かっている。
健司はスーツを脱ぎネクタイを外してケースに収め、代わりにエプロンを身に着ける。
保冷剤で冷やしておいた缶に入ったビールを、同じく冷やしておいた100均で買ったグラスに注ぐ。
そのうち一つにはシアナミドを混入してある。
シアナミドは無色透明の抗酒剤で、副飲する事でアルコールアレルギー反応を引き起こす禁酒用の薬品。
一言で言えば一口飲む事で急性アルコール中毒症状を引き起こすのだ。
健司は三人の席におしぼりが置かれ、店員が去るのを待ってビールジョッキを手に席に向かう。
「お待たせしました」
健司はターゲットにシアナミドを混入したビールを手渡し、両手にビニールの手袋を嵌めてトイレの傍に潜む。
ややあって鍵をかけていないトイレに青ざめ、脂汗を流したターゲットの靴が覗いた。
健司は入れ替わるようにしてすれ違いながら様子を確認する。
シアナミドにより意識は朦朧としているようだ。
「介抱しますよ」
健司は男を抱きかかえるようにしてトイレのドアを後ろ手に閉じる。
男が便器に前のめりになって嘔吐する。
健司は男の頭を掴んで便器に押し込むと首の頸動脈にシャープペンシルを突き刺す。
男の首から血が噴き出すのに合わせてトイレの水を流す。
音消し水とはよく言ったものだ。
窒息と出血の双方で男が瞬く間に衰弱して行く。
相手がプロレスラーだろうとこの状態で健司に抗する事はできはしない。
健司は男の脈を取って死亡を確認するとエプロンとシャープペンシルを放置し、元通りスーツに身を包んで会計を済ませて店を出た。
殺害方法は分かっても誰が殺したのかは目撃されていない限り分からないだろう。
――小さな仕事でも手を抜かない事が顧客満足度につながるんだ――
第二章 二人目のジョーカー
〈1〉
「矢沢組のヤツら慎重になってやがんな。もう大口取引はしねぇらしい」
清史郎の耳には爆音と左程変わらない音が響いている、クイーンメイブのボックス席で健が言う。
清史郎は獣医に頼んでギブスなしで左腕を固定している。
診断は骨にヒビが入っているとの事で、二週間は安静にする必要があるらしい。
「そりゃ百人集めて失敗したなら、もう大口でジョーカーを誘おうなんて思わないでしょ」
言って加奈がカクテルで唇を湿らせる。
「一回の取引でせいぜい百万円。しかも街中でやってやがる」
健がラップトップを開いて矢沢組の予定表を表示させる。
「儲けが少ないからやらないって話にはしない約束でしょ?」
加奈が健に睨みをきかせる。前回の襲撃は加奈は反対だったのだ。
「でもよ、ジョークは骨折してるし、街中でグレネードはさすがにヤベェだろ」
カクテルをチビチビ飲みながら健が言う。
確かに街中では自動小銃がせいぜいといったところだ。
仮にグレネードを使ったとしても、見た目が派手なだけで破壊力が無い事が露呈する。
「自動小銃でも相手を驚かすような事はできるだろう。演出次第だ」
清史郎は頭を巡らせながら言う。
今となっては拳銃を抜いて撃つくらいではヤクザは驚かない。
下手をすれば一人二人射殺されても驚かないかも知れない。
と、なればどうやって驚かせるかが問題になってくる。
「演出って言うけど、ジョーカーは左手が使えないんでしょ��」
「そこだ。連中は俺が腕を怪我するのを見ている。ここで動きを止めればジョーカーというキャラクターの怪物性が損なわれてしまう。そこで今回は加奈にジョーカーを依頼したい」
清史郎の言葉に加奈が驚いたような表情を浮かべる。
「町の人たちがカジノに反対できているのは、ヤクザがジョーカーを恐れているという漠然として安心感があるからだ。ジョーカーが怪我で動けないとなったらヤクザを恐れて寝返る住人が出てくるかもしれない」
清史郎の言葉に加奈が思案顔になる。
「……そういう事なら……でも策はあるの? 私はジョーカーみたいに相手を脅せないよ?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「喋るのはマイクで私が担当する。元々ボイスチェンジャーを使ってるからスピーカーから音を出してもヤクザには分からないだろう」
清史郎は矢沢組のリストの一つを指さす。
雑居ビルの屋上での取引。
金額は百万だが人が多く割かれている訳ではない。
そしていざとなれば清史郎も右腕一本で戦うのだ。
〈2〉
「ありがとうございました」
客の手に両手を添えるようにしてつり銭を渡す。
我ながら流れるような動作だと加奈は思っている。
品物は働き出してから一週間で覚えたし、二か月で発注も任されるようになった。
オーナーが発注していた頃に比べて売り上げは八%上昇している。
業者のパレットに乗った商品が運び込まれ、そこに緩慢な動作で大塚という中年女性が向かっていく。
大塚はこのコンビニに長く勤めているが、何をするにも動きが遅く、やる事が雑だ。
加奈は母子家庭ではあったが高校時代は生徒会長を務めていた。
生徒会の切り盛りでは過去最高の生徒会長だったという自負もある。
奨学金を借りて大学に入学したいと何度思った事か分からない。
しかし、その度に返済の目途が立たないという現実で踏みとどまった。
加奈が借りる金額では返済する頃には五十代。
キャリアウーマンとしてバリバリ働いて行けるならいいだろうが、男社会の中で目立っても左遷されるのがオチだ。
奨学金を諦め、近所のファミレスとコンビニの双方を天秤にかけた時、ファミレスの厨房は嫌だったし、発注のような頭を使う仕事がしたかった事からコンビニで働く事にした。
しかし、今現在、視線の先では大塚が商品を手前から、しかも違う棚に並べている。
新しい品物を後ろに、古い品物を前にしなければ賞味期限切れで廃棄になる。
それはコストとすら呼べるものではない。
注意した事は一度や二度ではないが、返ってくるのは「今時の若い子は」という恨みがましい言葉だけだ。
仕方なく業務の合間を縫って品物を並べなおす。
そうすると今度はレジに長蛇の列ができる。
大塚はバーコードの読み込みも遅ければ、テンキーの打ち込みもできない。
公共料金などの支払いも一々店長にやらせている。
店長は一体何の弱みがあってこの女を雇っているのか分からない。
それでも、このリスクを織り込んだ発注で収益を上げたのは自分の手腕だ。
「飯島くん、これじゃ困るよ。お客さんを待たせているじゃないか」
抜き打ちでやって来たマネージャーの言葉に加奈はため息をつきたくなる。
自分がレジにいればこのような現象は起きないのだ。
そして、レジにいれば大量の食品を廃棄しなくてはならなくなる。
「分かりました。棚の商品を並べなおしてもらえますか」
チクリと言い返し、立ち仕事で痛む足を引きずって加奈はレジに向かう。
こんな事をこの先何年続けて行けばいいと言うのか。
少なくとも大塚がクビにならない限りは、ただでさえハードなコンビニの仕事すらまともにこなす事ができないのだ。
――ジョーカーとしてならもう少し有能に働けるのに――
〈3〉
深夜、ビルの屋上に銃声が響き火花が散る。
ビルの給水塔の上で清史郎が見ている下で、四人の男たちが手にしたバッグを胸に抱える。
「迷えるヤクザよコンバンハァ!」
二階分高いビルの屋上から、ワイヤーを伝って自動小銃を乱射しながらジョーカーが降下して来る。
ヤクザの一人が屋内に逃れようとした所でジョーカーの自動小銃が火を噴いてドアを蜂の巣にする。
恐慌状態に陥ったヤクザの前に、床の上で一回転したジョーカーが立つ。
この辺りの動きは加奈の方が本家よりいいと言える。
ジョーカーの自動小銃が火を噴き、ヤクザたちの動きが止まる。
清史郎はありあわせの材料で作った分銅でヤクザの手からケースを叩き落す。
「金は天下の猿回しぃ~、回る回るよ目が回るぅ~」
床を滑ったケースがジョーカーの足元で止まる。
ジョーカーがケースを手に屋上のフェンスを乗り越える。
「それでは諸君ごきげんようそろ、面舵一杯腹八分目ぇ~」
ジョーカーがフェンスを乗り越えてビルの外に姿を消す姿をヤクザたちは茫然と眺めている。
加奈はほぼ完ぺきに、運動神経という面では清史郎以上にジョーカーを演じて見せた。
ヤクザたちがスマートフォンを取り出して連絡を取りながら屋内へと消えていく。
加奈は当初隣のビルの屋上に潜んでおり、ヤクザの取引するビルとの間にはワイヤーが取り付けてあった。
清史郎の合図で火薬を爆発させ、加奈は小型の滑車を使ってビルの屋上に降り立った。
予定通り混乱に乗じて清史郎がヤクザの金のアタッシュケースを叩き落し、それを回収した加奈は予め用意されていた脱出用のワイヤーで一目散に逃げ去ったという訳だ。
清史郎がヤクザの去っていった通用口を見ていると、二人のヤクザが姿を現した。
痕跡を確認するか、ジョーカーを追跡しようという考えかもしれない。
��イナイイイナイバウアアァァァァッ!」
万が一に備えてジョーカーに扮していた清史郎は、咄嗟の判断でショットガンを手にヤクザたちの前に飛び降りる。
銃声と共にドアを吹き飛ばす。
今度こそ恐慌状態に陥ったヤクザたちは階下へと消えていった。
〈4〉
健司は『殺し屋』のカウンターでグラスを磨きながら考える。
ヤクザは取引を分散させるという戦術を取ったが、ジョーカーは確実に一か所一か所を狙い撃ちにしている。
被害総額は大きくないのだろうが、心理的な影響は大きい。
――ここで敵の目的は明らかになったと言っていい――
これは心理戦なのだ。
矢沢組が恐れるに足りない存在だと思わせる為のデモンストレーションなのだ。
実際矢沢組の構成員たちも明日は我が身と必要以上に警戒しており、結果として街中での暴行などで警察に捕縛されるケースも散見し始めている。
警察もヤクザと事を構える事はしたくないだろうが、暴行は立派な犯罪だ。
矢沢組を弱体化、もしくは弱体化して見せている目的。
これは幾つかのケースが考えられる。
例えば同格の田畑組がシマを狙っているケース。
しかし、これでは全面戦争がしたいと言っているようなものであり、そうなれば別の第三の組が弱った二つの組を併合してしまうだろう。
更に言えば『本物』の銃器を使っているのだとしたら、これまでに過失で殺してしまった人間が居てもおかしくはないはずだ。
これまであれだけ派手に銃を乱射していて軽度のやけどくらいしか負傷者がいないというのは、空砲かモデルガンかのどちらかだろう。
そして犯人がヤクザであるなら、モデルガンなどという恥ずかしいものは持ち歩かないだろう。
第二の敵が政治結社だ。
現在矢沢組の推す現職与党の代議士が知事を務めている。
三か月後には知事選が予定されており、野党は連合して対立候補を立てている。
現在新庄市には土地の価値だけで二千億を超える空き地が存在し、そこに巨大カジノカジノを誘致するか、市民公園にするかで市民の世論が割れている。
カジノが実現すれば莫大な金額が動く事になり、矢沢組は軽く数百億は稼ぐ事になるだろう。
一方、野党が勝利してしまえば議会も野党に握られた事から市民公園が確定。
造園業者や、スタンド付きの運動公園を造る建築業者がいくらか儲かるにせよ、利権はほとんど存在しない事になる。
本来矢沢組こそが野党を攻撃しそうなものだが、野党のカルト的な集団ないし、狂信的な人間が矢沢組を狙っている可能性は否定できない。
しかし、カルトや狂信的な人間がここまで綿密な計画を練り、実行に移せるだろうか。
そこが政治結社を敵に想定した場合のボトルネックとなってくる。
第三の相手は想定が難しいがカジノに反対している市民だ。
市民の大半は再開発計画に興味を持っていないが、商店街や商工会は地場産業が脅かされるとして強硬に反対している。
矢沢組はこの商店街の切り崩しを行っていたのだが、その矢先にジョーカーが出現するようになり、商店街を攻略するどころではなくなってしまったのだ。
そう考えると、人のいい商店街の人々こそが実は矢沢組の最大の敵という事になる。
――商店街がジョーカーの可能性――
だが、それなら情報漏洩が少なからずあるはずだ。
――もし商店街の誰かがジョーカーで、他の人間は知らないのだとしたら――
ジョーカーは一方的に守るだけで損をしているように見えるが、最終的には商店街が守られるのだから自分の仕事も守る事になる。
――商店街の何物かが、か――
健司はPCで商店街の店舗の情報を検索する。ほとんどが個人事業主でHPもまともに作れているとは言い難い。
そんな中、健司は気になる存在を発見した。
――人権派弁護士、慶田盛敦――
直接の関与の有無は別にして、慶田盛が商店街や町を守ろうとするのはありそうな事だった。
〈5〉
「急な訪問で恐れ入ります。慶田盛先生の事務所は意外と質素なんですね」
新庄市の雑居ビルの一室を訪れた健司は慶田盛敦に向かって言う。
「君は……殺し屋との事だが……」
当惑した様子で慶田盛が応接用の合皮のソファーに腰かけて言う。
「屋号のようなものです。ただの飲食店ですよ。保健所で営業許可も取っています」
健司は爽やかな笑みを浮かべる。
「で、歌舞伎町の飲食店がここに一体何の相談なんだい?」
敏腕弁護士という割にはお人よしなのだろう、慶田盛が問うて来る。
「店が襲われたんです」
健司の言葉に慶田盛の視線が険しくなる。
「それは警察に訴えるべき案件なんじゃないのかい?」
「歌舞伎町で店が襲われた程度で警察が動くと思いますか?」
健司が言うと慶田盛が思案気な表情を浮かべる。
「相手に目星はついているのかい? 組関係だと厄介だぞ?」
歌舞伎町という事を意識しているのか慶田盛が言う。
「ピエロのマスクに紫のトレンチコート、銃撃で店は蜂の巣です」
慶田盛の表情が一瞬硬直する。
――慶田盛はジョーカーを知っている――
「最近はそういった愉快犯が流行っているようだね」
「慶田盛先生はご存知ないのですか? ジョーカーと呼ばれているようなのですが」
慶田盛の顔がポーカーフェイスに変わるが遅すぎだ。
今更表情を消した所で知っていると言っているようなものだ。
健司はさり気なくソファーの隙間に盗聴器を滑り込ませる。
「噂で聞いている程度だね。でも、弁護士だからといって探偵の真似事ができる訳じゃない」
「慶田盛先生は懇意にしている探偵などはおられないのですか?」
「古い付き合いの探偵はいるけどね。彼を紹介するにはそれなりの理由が必要だよ」
慶田盛が慎重に言葉を選ぶ。
「店が襲撃された以上の理由が、ですか?」
「僕はその破壊された店舗の写真すら見ていないんだよ? 被害実態が明らかではないのに探偵の手を煩わせると思うかい?」
「随分と庇われるんですね。逆に興味が湧いてきましたよ」
健司は切り上げどころと判断してソファーから立ち上がる。
「貴重なお時間を頂きありがとうございました」
健司は慶田盛と握手しながら唇の端が吊り上がりそうになるのを堪える。
――これで慶田盛が探偵に連絡を取ればその相手がジョーカーである可能性は高い――
〈6〉
「いやぁ~俺たちマジ凄くね? もうハリウッドレベルだって」
クイーンメイブのボックス席で健がいつものように能天気な口調で言う。
「たちじゃなくて身体張ってる私たちが凄いの」
「お前PCなんて触れないだろ」
健が加奈に言い返す。
「PCコンビニの使えてるし!」
「ンなの使えてるうちに入らねーよ。な、ジョーク」
健の言葉に清史郎は肩を竦める。加奈と比較すればPCを使える方だろうが、ITというレベルには程遠い。
ヤクザの事務所に仕掛けた盗聴器をBluetoothで飛ばしたり、WIFIでデータを引き抜いたりといった芸当は清史郎には不可能だ。
しかも従来の興信所の盗聴器探知は電波の周波数帯で探っている為、健のカスタムした機材を探知する事ができない。
健は新庄市のヤクザの誰よりも彼らの動きに詳しいと言っても過言ではないのだ。
その中から清史郎が獲物になりそうな案件を選び出し、加奈と下準備を行っているのだ。
「なぁ~んか納得行かない」
加奈が口をとがらせるが、こればかりは健の能力を素直に認めるしかない。
「エースの情報収集能力がなければ火薬を仕掛けにも行けないだろ」
「土建屋の癖に何かムカつく」
「土建屋じゃなくてDJだっつーの」
「DJで食ってる訳じゃないでしょ? なら土建屋じゃない」
「ンだとコラァ!」
声を荒げる健を清史郎は慌てて宥める。
手を挙げるような青年ではないが、つまらない事で耳目を引くのは得策ではない。
「俺は二人におんぶにだっこだ。二人がいなければジョーカーなんてやってられない。そうだろう?」
「私もジョーカーやったしね。やってないのはエースだけ」
「俺がいなかったら起爆できねぇじゃねぇか」
むっつりとした口調で健が言う。
「裏方の仕事があっての晴れ舞台って事もあるんだ。もっとも、舞台役者が良くなかったらどんなに裏方の仕事が良くても芝居にはならない」
清史郎の言葉に加奈がため息をつく。
「ジョーカー人間できてるわ」
「単に口の上手いオッサンってだけかもな」
健が悪童のような笑みを浮かべる。
「多分エースの言う通りだろう。で、いよいよ選挙まで三か月を切った訳だ。矢沢組だけじゃない、カジノ関連の企業が再開発計画に群がってきている」
清史郎は話を本来の筋道に戻す。
「それは分かるけどさ、ヤクザは脅せても民間企業はどうにもならないんじゃない?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「そこは商店街と市民の手に委ねる。俺たちが考えなきゃいけないのは、矢沢組をあと三か月どう騙し抜くかって事なんだ」
最終的にカジノ施設を選ぶか、市民公園を選ぶかは市民の手に委ねられるべきだ。
ジョーカーはそこに介入しようとする矢沢組をけん制しているに過ぎない。
��一年以上見破られてねぇんだし、今更どうって事も無いんじゃね?」
健が楽観的な口調で言う。
「一年って言っても綱渡りだったじゃない。ジョーカーも怪我したんだし」
常に現場を見て来た加奈が健に向かって言う。
「人生にはスリルがつきものだろ」
「必要ないのにスリルをつける必要ないでしょ?」
「人生にはロマンが必要だよ。なぁ、ジョーカー」
「私の人生にはロマンらしいロマンは無かったよ」
明らかに会話を楽しんでいる健に清史郎は苦笑する。
「人生堅実が一番なの。あんたみたいのが一番ホームレスに近いんだから」
「お前だってコンビニ店員以外何ができるよ」
「ちょっとジョーカー、何とか言ってやってよ」
怒った様子の加奈が話を振ってくる。
「景気が良くなったら事務所で求人でも出すよ。それより今は仕事をやり抜く時だ」
清史郎の真剣な言葉に二人が頷く。
――後三か月――
この凸凹コンビと一緒に駆け抜けなければならない。
〈6〉
「ここの探偵事務所では人探しをしたりはしないんですか?」
健司は三浦探偵事務所の安普請の椅子に腰かけて、所長兼調査員の三浦清史郎と向かい合っている。
慶田盛は健司が面会した翌日に同じく新庄市に居を構えている三浦に連絡を取った。
探られている事を多少は警戒しているだろうが、昨日の今日で会いに来るとは思っていないだろう。
「今の所請け負ってはいないね。知っているかどうか知らないが、日本の年間行方不明者は二十万人。警察が民事だと言ってサジを投げるレベルだ。うち毎年六千人前後が死体で発見される。これが日本の行方不明の実情だ」
四十五歳、探偵というより疲れたサラリーマンを思わせる風貌だが、どこにでもなじめるという点ではこの風貌は役に立っている事だろう。
「携帯電話の通信記録を探ったりしないんですか?」
「そういう情報は大手の情報企業が握っているんだ。契約していなければ盗み出すしかないだろうし、それをすれば犯罪だ」
「企業が形はどうあれ本人の同意なしに情報を持っている事は犯罪ではないと」
「正当だと思えば契約している、と、答えたら君に私の考えは分かってもらえるかな」
清史郎はかなり真っ当な昔気質の探偵であるらしい。
三浦探偵事務所は商店街の噂では浮気調査などではパッとしないが、事件性のある案件だと警察を出し抜く腕前なのだと言う。
「独り言だと思って聞いてもらえればいいんですが、ジョーカーという男をご存知ではないですか?」
「知っているよ。少なくとも片手には余るほどね」
掴みどころのない口調で清史郎が言う。
――だが、他の商店街の人間はジョーカーと聞けば逆に動揺したものだ――
「ヤクザ相手にモデルガンを振り回す愉快犯。前金で一千万。正体が分かれば更に一千万」
健司はリュックサックから帯留めされた札束の入った紙袋を押し出す。
「これだけ流行らない事務所だ。一千万を受け取って私が雲隠れするとは考えないのかい?」
「見つけられなくても差し上げますよ」
健司は内心で清史郎がジョーカーであるとの確信を強めながら言う。
「そういう事であれば遠慮なく預かろう。所でジョーカーについてもう少し詳しく話を聞けないかな? さすがに名前だけでは調査にならない」
「僕もまた聞きでしか知らないんですが、ヤクザが武装しているか麻薬を所持している時に出現し、モデルガンを利用してあたかも本物のように見せかけて驚かせ、ヤクザが金を落としていけばそれを拾っていく。そういう話です。被害に遭っているのは主に矢沢組で、矢沢組は現職与党知事のケツモチをしている」
「つまり、君の推理が正しければ現職知事と利害関係にある人物が選挙で優位に立つべく矢沢組を攻撃している、攻撃しているように見せかけているという事だね?」
「そう、その人物の特定が難しいんですよ。ヤクザの情報を自分の家のPCのように自在に覗き見て、常に有利な状況でモデルガンによる脅迫を行っている」
そこが健司が最も解せない所だ。
この三浦清史郎という男は探偵としては優れているように察せられるが、ITに強いようには見えない。
情報を買っている訳でも無いのだとしたら、一体どのようにして情報を得ているのか。
更に情報を得たとしてそれを整理し、取捨選択する事も必要になる。
事務員の一人もいないこの事務所のどこに実務を取り仕切る人間がいるというのか。
自分はこの男の何かを見落としているとでも言うのだろうか。
「つまり、ジョーカーという人物にはハッカーとしての側面もあるという事だね?」
「そう考えないと辻褄が合いません」
「では、ハッカーであり、モデルガンでヤクザを脅すジョーカーという愉快犯を特定してほしいという事だね」
「結論としてそういう事になるかと」
「プライバシーに踏み込むつもりはないが、そのジョーカーという人物の特定にどういった動機があるか聞かせてもらえるかな? 参考までにという事で構わないが」
「僕が矢沢組に依頼されたからですよ。でも僕の力だけでは見つけられそうに無い」
健司はチェスを指すかのような心境で言葉を選ぶ。
目の前の男がジョーカーである可能性は限りなく大きいのだ。
「君も探偵なのか?」
清史郎の言葉に健司は肩を竦めて名刺を差し出す。
「歌舞伎町で殺し屋を営んでおります円山健司と言います」
言った瞬間、清史郎の顔に何かグロテスクなものでも見たかのような表情が浮かぶ。
健司はその表情をこれまで嫌という程見てきたのだった。
第三章 殺し屋
〈1〉
清史郎は拙いとは知りつつ、円山健司を尾行していた。
尾行を知られたとしても、探偵が依頼者の事を知ろうとする事に問題は無い。
そもそもがジョーカーなどという得体の知れない人物を探せという無理難題なのだ。
例え自分がジョーカーであったとしてもだ。
電車を乗り継ぎSUICAのチャージマネーが尽きそうになった時、円山は新宿の歌舞伎町にある『殺し屋』という店舗に入っていった。
信じられない事だが、冗談でないとするなら殺人を生業とする人間が看板を出して店を営業しているのだ。
円山は自ら隠れるという事が無い。
本当に殺人が生業なのだとしたら、その手段に余程自信を持っているという事なのだろう。
清史郎は逡巡しながらも暖簾を潜る。
相手にその気があればビルに入った瞬間から監視カメラで自分を監視していても不思議ではないからだ。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお気軽にお申しつけ下さい」
円山が人が違ったような口調で声をかけてくる。
「さっき会ったばかりだろう? それよりこのお品書きというのは本当なのか?」
お品書きには殺人方法や死体を残すのか残さないのかなど様々なオプションサービスが書き込まれている。
「はい、迅速丁寧をモットーに確実にターゲットを殺させて頂いております」
「例えば、この絞殺で死体を残すというオプションにした場合、警察に犯人特定されやすいんじゃないのか?」
「企業秘密にはなりますが、TPOに応じて柔軟に対応させていただいております」
「ジョーカーはどうやって殺す事になっているんだ?」
「お客様の情報を開示する訳には行きませんが、強いて言うなら殺し方は問わないとの事です」
円山の言葉が事実なら矢沢組はなりふり構っていないという事だろう。
ジョーカーは確実に矢沢組に打撃を与えているのだ。
「じゃあ俺も注文したいんだが構わないか?」
「どのようなご注文でしょうか?」
爽やかな笑顔で円山が言う。
「ジョーカーをオプションサービスで九月三十一日に殺してほしい」
清史郎の言葉に円山の目が見開かれる。
「前金で一千万。不足なら五百万を追加する」
清史郎は受け取ったばかりの一千万をカウンターに乗せる。
「ジョーカー殺害日時の指定は確かにオプションで追加可能ですが……」
「ジョーカーを殺す日時の指定は矢沢組からは無かったんだろう?」
清史郎が言うと円山が顎に指を当てて思案気な表情を浮かべる。
「依頼が重複した事は初めてで、対応致しかねます」
「いや、重複していない。私が矢沢組の手先で、追加でオプションを申し込んでいるとしたならどうなんだ? 君は依頼主の事をどれだけ調査しているんだ?」
清史郎の言葉に円山の表情が曇る。
「お客様のプライバシーを優先して営業しております。業務上必要な情報は収集致しますが……」
「九月三十一日、ジョーカーは新庄市商店街の外れ、たこ焼き屋千夏の前に現れる」
清史郎の言葉に円山の表情が強張る。
「もしお客様がジョーカーだった場合……」
「自分を殺してくれという依頼はこれまでなかったのか?」
円山が何かを試すような視線を向けてくる。
「もちろん、そういった依頼もございました」
「なら問題は無いだろう?」
「……つまり、あなたは探偵としての任務を全うし、殺し屋に仕事を依頼しに来た。そういう事ですね」
「そういう事になるな」
清史郎が笑みを浮かべると円山の口元に笑みが浮かぶ。
「矢沢組がそれ以前の日時を指定して来たら?」
「それこそ二重契約は無効だと言えばいいだろう?」
「矢沢組がジョーカーの正体を教えろと言ってきたら?」
「ここは興信所ではないのだろう? それに私は九月三十一日にジョーカーが現れるとは言ったが、私がジョーカーだとは一言も言っていないぞ」
円山は殺しという商売にプライドを持っている。
そのプライドに反する行為はできないはずだ。
「了解しました。九月三十一日に現れるジョーカーを殺します。しかし、他に機会がある場合もありますので悪しからず」
円山が一千万の入った紙袋を掴んでカウンターの内側に置く。
これで円山の精神には一つのストッパーがかかった事になる。
後はいかに円山を寄せ付けないように立ち回れるかだ。
〈2〉
してやられた。
健司は先制に成功したつもりが、乗り込まれて悪条件を飲まされた事を今更ながらに実感していた。
三浦の期日を守れば選挙は終わってしまうだろう。
矢沢組は選挙で勝利する為にジョーカーを殺したいのだから、仮に殺せたとしても契約違反と言いかねない。
そもそも条件は問わないという話だったのだから構わないと言えば構わないのだが、ヤクザがそのような道理を飲むとは思えない。
――そもそも乗り気な仕事では無かったのだ――
とはいえ、呑気に構えていてはヤクザに消される事になる。
九月三十一日に殺せたとしても、それは報復の意味しか持たない。
そして九月には三十日までしか存在しない。
十月一日を無理やり九月三十一日と解釈できない事も無いが、完全に手玉に取られたとの感を禁じ得ない。
緒方が猶予として見るのは何週間だろうか。
幸い緒方は���司が三浦と接触した事を知らない。
まだジョーカーを探していると言えば時間稼ぎはできるだろう。
最悪二千万はドブに捨てたのだと言うくらいの器量は緒方にはあるだろう。
しかし、それでは殺し屋の看板に傷がつく。
創業四年、地道に仕事を続けて来た実績に泥がつくのだ。
――三浦清史郎を殺すか――
それを考えて健司は三浦の余裕が気にかかる。
三浦がジョーカー本人だというならそれで構わないだろう。
しかし、ただの連絡役だったり複数犯だったりした場合はどうなるだろうか。
ジョーカーは死んでも蘇る。
その事の方が矢沢組にとって脅威だろう。
ジョーカーのテンプレートが商店街で共有される事にでもなったら、矢沢組は人的物量的に無数のジョーカーに襲われて新庄市を撤退しなくてはならなくなるだろう。
その時、ジョーカーを殺せと依頼されたなら、一体何人を殺せばよいのか分からず、それだけの数を連続で殺せば証拠を残す事になりかねない。
そうなれば警察に捕らえられて全てが水の泡だ。
――そう、殺すのは三浦清史郎ではなくジョーカーである必要がある――
その為にはジョーカーの仕事の実態を掴まなくてはならない。
これまでのジョーカーの襲撃箇所と状況を再確認する。
ジョーカーは神出鬼没のように見えるが、確実な逃走経路のある場合以外は出現していない。
ジョーカーは矢沢組の取引の全てを俯瞰し、最も有利な形を作り出している。
と、なれば健司も事前に情報を収集しなくてはならない。
以前緒方が入店した時、店内のシステムでスマートフォンはクラックしてある。
緒方のスマートフォンを経由して矢沢組組長矢沢栄作の端末に潜入する。
ホストを掌握して矢沢の端末から矢沢組の取引データを吸い上げる。
半グレたちは無料WIFIに接続している者が多く、セキュリティも糞も無い。
健司は新庄市の地図を広げ三浦の心理を読もうとする。
正面切っての対決の後で、あの食わせ物が仕掛ける事は間違いないのだ。
〈3〉
始発電車で歌舞伎町を訪れた清史郎は街路を歩き回りながら、人通りの少ない場所や人目につかない場所にトランプのジョーカーのカードを置いていく。
『殺し屋』がテナントに入ったビルの前の壁にはスマートフォンと接続したラズベリーパイの監視カメラを設置した。
監視カメラの映像は近場の喫茶店でタブレット端末で見ようと思ったのだが、歌舞伎町には静かに端末を見る事のできるような喫茶店が見当たらなかった。
仕方なく新宿駅前のコーヒーの不味いチェーン店に足を向けた。
電波は良好、通勤前の客も訪れておりタブレット端末を見ていても不審には思われない。
スマートフォンを操作して朝のニュースをチェックするが、特に気になるような情報は無い。
八時二十四分、円山が風俗ビルにスーツ姿でやって来た。
一見地味なスーツ姿に見えるがバーバリーにリーガルのシューズといったいで立ちだ。
見る人間が見れば逆に趣味が良いと答えるだろう。
屋内の監視カメラを警戒して清史郎はビルには監視カメラを仕掛けていない。
九時きっかりにスーツ姿にアタッシュケース姿の円山がビルから出てくる。
清史郎は円山が新宿駅に向かったのを見て小走りに店を出る。
円山を捕捉し、充分に金をチャージしたSUICAで改札を潜る。
円山を尾行する事二十分、新庄駅で円山は列車を降りた。
チャージマネーで改札が通れて良かったと思える一瞬だ。
昔なら駅によっては乗り越し清算をしなくてはならないところだ。
円山は商店街を突っ切り、三浦探偵事務所にほど近い喫茶店に入っていく。
清史郎は更に離れた喫茶店で画像を喫茶店のものに切り替える。
商店街の店にはセキュリティの名目で三浦探偵事務所の監視カメラが取り付けられているのだ。
円山が注文するより早く、店員がコーヒーにトランプのジョーカーを添えて差し出している。
円山の表情が一瞬硬直する。
清史郎は商店街の店に予めジョーカーのカードを配り、前払いで商品を出すよう話をつけておいたのだ。
これで円山は自らが監視対象である事を知る。
コーヒーを飲み干した円山が喫茶店を出て周囲を見回す。
――追われる気分はどうだ、円山――
円山は午後六時になると歌舞伎町のビルに戻り、吉祥寺の自宅であるらしいマンションに帰宅した。
清史郎は吉祥寺界隈の店に金とトランプのジョーカーを配り、路地裏などにカードを仕掛けて帰路についた。
〈4〉
「って事は正体バレちまったのかよ」
相変わらず騒々しいクイーンメイブのボックス席で健が声を上げる。
「殺し屋って名刺出してる殺し屋って狂ってるとしか思えないけど」
「腕に余程の自信があるんだろう。今の日本じゃ老衰や自殺や病死や事故死以外の異常死が毎年十七万件発生しているんだ。死体なんかあった所で警察の手が回る状態じゃない」
「ジョークと話してて思うんだけどさ、警察って何してんだ?」
「総資産一億円以上の人間の事は守ってるだろうさ。後は交通違反の取り締まりだな」
清史郎は答える。実際警察が殺人や行方不明を事件化する基準は分からないのだ。
確かなのは毎年日本では殺人事件は百件前後しか起こってはならず、検挙率は96%を下回ってはならないという暗黙の了解があるという事だ。
「どっちみち最初から警察は味方じゃないでしょ。矢沢組が商店街に嫌がらせをしても見て見ぬふりだったんだし」
「だよな。俺たちジョーカーが正義の味方なんだ。そうだろ」
「多少稼がせてもらってるけどね」
健も加奈もジョーカーという仕事には少なからず誇りは持っている。
士気が高いという点では矢沢組と戦っていく上で大きなアドバンテージになるだろう。
殺し屋円山健司がジョーカーの核心に近づいたとは言っても、健と加奈まで特定している訳ではないのだ。
そして健のITを見て警戒していた為、あの新宿の風俗ビルにはスマートフォンも時計も持ち込んでいない。
顔は間違いなく撮影されているだろうが、顔認証は広範なエリアから自在に情報を引き抜けるようなものではない。
いつ、どのカメラに映っているのか分からなければどのカメラをハッキングすれば良いのか分からない。
本当の所は分からないが、公には警察でも店舗など個人のカメラの映像は捜査協力や令状で記録を閲覧しているのだ。
健のIT技術にした所でカメラを特定し、通信可能な距離で『物理接触』しない事にはデータを閲覧する事などできないのだ。
「円山って野郎の鼻を明かしてやろうぜ。こっちは天下御免のジョーカーなんだ」
「でもさ、ジョーカーを探り当てたって事は相���の切れ者なんじゃない? 殺し方だって一つや二つじゃないからこれまで捕まってないんでしょ?」
加奈が慎重論を述べる。この慎重さがチームの要になっていると言ってもいい。
「じゃあどうするってんだよ。まさか止めるとは言わねぇよな」
「多少趣向を変える必要はあるだろうな」
清史郎はカバンからジョーカーマスクをのぞかせる。
「マスク……一体何枚あんだ? 量産して成功すんのは北朝鮮のモロコシくらいだろ」
「そっか……これをこれまで被害に遭った半グレに匿名で送り付ければ……」
ITには弱くても頭の回転の早い加奈には分かったようだ。
「確実な取引情報を手にした本物の銃を持ったジョーカーが出現するんだ」
清史郎の言葉に健が唖然とした表情を浮かべる。
「さっすがジョーカー。でもよ、俺たちと鉢合わせにはならねぇのか?」
「一応発信機は取り付けてある。合成音声のスイッチを入れれば起動する仕組みだ」
「じゃあ信号がなかったら作戦決行って訳ね」
「それに送り付ける相手はこっちが選べるんだ。事前に動きを掴む事も難しくないだろう」
清史郎はこれまでの取引の状況から矢沢組に逆らいそうな半グレをリストアップしている。
表立って逆らう事はしないだろうが、ジョーカーとしてなら薬をガメるくらいの事はしかねない連中だ。
「でも、それって少ししたら矢沢組に露見するんじゃない?」
「ああ。でも矢沢組は確実に疑心暗鬼に陥るし、本物の銃弾が飛んでけが人でも出ればジョーカーに対して慎重にもなるだろう」
「最高にクールだぜジョーカー! ジョーカーが犯罪者だったら今頃大金持ちだぜ」
健の笑みに清史郎も笑みで答える。
「じゃあ今日の仕事もクールに決めましょ」
加奈の突き出した拳に三人の拳がぶつかる。
本家ジョーカーは最高のチームなのだ。
〈5〉
自宅まで嗅ぎつけられたとは。
午前七時、健司は朝食を食べようと吉祥寺の喫茶店に入った所で、ジョーカーのカードと対面する事となった。
もっとも、ずっと尾行されていたなら自宅が特定されるのは不思議でも何でもない。
一番の問題は探偵に四六時中張り込まれたらジョーカーどころではなく、他の仕事も一切できないという事だ。
動揺を押し隠し、それでも周囲を警戒しながら歌舞伎町の店舗に向かう。
ドアに挟んだ髪の毛が落ちた様子は無く、侵入者はいないようだ。
店内に入り、一通り掃除を終えると鋭利に削ったシャープペンシルをカウンターから取り出す。
殺しの方法はいくらでもある。
相手が尾行しているなら、人通りの少ない所に誘い込んで始末するという方法も取れるのだ。
健司は尾行のプロである三浦を警戒する事を止め、路地裏へと足を踏み入れる。
一定歩いた所で振り向き、シャープペンシルを引き抜く。
が、そこには三浦の影も形も無かった。
四六時中張り込んでいるという訳ではないという事だろうか。
健司が安堵しかけた瞬間、路上に落ちているトランプのカードに気付いた。
――ジョーカー!――
三浦はこちらの考えを見抜いて行動に出ているのだ。
と、言う事は人通りの少ない所は三浦本人に監視されない反面、ヤクザを監視しているような遠隔装置で監視している可能性が高いだろう。
――この僕が身動き一つ取れないと言うのか――
健司は拾い上げたトランプのジョーカーを握りつぶした。
〈6〉
深夜の路地裏、半沢芳樹はジョーカーマスクと紫色のどぎついトレンチコートに身を包んで、汗が出るほどにトカレフを握りしめている。
部下二人が矢沢組とヤクの取引をする事になっており、そこをジョーカーのフリをして襲撃するのだ。
成功すればタダでドラッグ��手に入り、失敗してもジョーカーのせいだ。
うだつの上がらない半グレの四十代、ヤクザに昇格できる見込みも無い。
忠義を示せと言う方が無理というものだ。
視線の先には金を手にした部下の姿、ヘッドライトで周囲を照らす矢沢組のベンツがある。
部下が金を出し、組員がスーツケースを開いてドラッグを見せる。
半沢はそのドラッグを見ているだけで身体にアドレナリンが駆け回ったような気分になる���
「動くんじゃねぇ! こっちにヤクを寄越せ」
取引成立の寸前に半沢は銃を手に飛び出す。
矢沢組の構成員がスーツの内側から銃を抜く。
「金もヤクも俺のモンだっつってんだ!」
半沢は先制して引き金を引く。轟音が響き矢沢組の構成員が気圧されたように見える。
立て続けに引き金を引いて距離を詰める。
矢沢組の構成員が引き金を引き、半沢の頬を掠める。
ジョーカーの姿で出ていけば怯むと思っていたのだが、反撃は想定外だ。
それでもここが正念場と半沢は引き金を引く。
一発の弾丸が矢沢組の構成員の鎖骨の辺りを貫く。
凶悪な一瞥をくれて矢沢組の構成員たちが引き上げていく。
半沢は両手でヤクを掴んで高笑いする。
こんなにチョロい商売にこれまでどうして気付かなかったのだろう。
――ジョーカーを続ける限り俺は無敵だ――
〈7〉
事務所に次々に凶報が舞い込む中、矢沢組の緒方は状況の変化を理解していた。
ジョーカーの模倣犯は自然発生的に生まれたものではない。
本当に模倣する脳があるなら金や麻薬を要求する訳が無い。
と、すれば中身は町の半グレや暴走族と察しがつく。
とはいえ、数は厄介であり、ジョーカーの真似をすれば処刑だと言った所で本物のジョーカーもどこかにいるのだろうから半グレは高をくくって矢沢組の命令に従おうとはしないだろう。
そして更に厄介なのはちゃんとジョーカーを模倣できている者もいるという事だ。
ジョーカーを見たら撃てというのは簡単だが、半グレが連合して矢沢組に反旗を翻したら手足を失った矢沢組に抵抗する術は無い。
矢沢組は権力と金と麻薬は持っているが、マンパワーが多いという訳ではないのだ。
ジョーカーはその弱点を的確に突いて来たのだ。
「緒方、考えは無ぇか?」
電話越しの矢沢の言葉に緒方は頭を巡らせる。
「ジョーカーマスクに百万の懸賞金をかけてはいかがでしょう?」
マスクをつけている人間の罪を問わず、マスクを差し出せば百万やると言えばわざわざ危ない橋を渡ろうという連中は少なくなるだろう。
その上でジョーカーの撃滅を図ればいいのだ。
「その手は使えそうだな。問題はマスクがどれだけ出回っているかだが」
「数は多くないと考えます。そもそも同時多発的にジョーカーが出現したという事は、誰かが創意工夫して模倣されたのではなく、何者かが意図的に行ったと考える方が自然です」
言って緒方は組員たちに通達を出し、ついでに警察にも懸賞を知らせておく。
公権力が銃刀法で取り締まりを開始すれば半グレは震えあがってジョーカーの真似などしていられなくなるだろう。
〈8〉
健司は新庄市のホテルの床に落ちた髪の毛を拾いながら、事態の急変と自分の読みが正しかった事を知る。
三浦は健司に捕捉された事で作戦変更を余儀なくされた。
健司も身動きできなくなったが、それはお互い様なのだ。
そこで今回のジョーカー量産化計画を演出したのだろう。
しばらくの間町中にはジョーカーがあふれる事になる。
矢沢組が引き締めを行っているものの、偽ジョーカーの模倣犯も出現し本来の偽ジョーカーより多くのジョーカーが出現しているのが現状だ。
――でもこの狂騒はすぐに終わる――
健司は日が暮れるのを待ってアタッシュケースを手にホテルを出る。
三浦が四六時中張り付いている訳ではない事も分かっている。
いずれにせよ仕事を迅速に済ませれば証拠も残りはしないのだ。
深夜の人気の消えたオフィス街を歩きながら手に手術用のビニール手袋をはめる。
靴のサイズは自分の標準よりワンサイズ大きく、髪型は大きく変えていないが頭にはカツラをかぶっている。
一般で売られているカツラには、インドの仏教徒やヒンズー教徒が出家する時の髪の毛が使われている。
そして、インド人の髪の断面は日本人が楕円であるのに対し正円に近い。
仮に髪が現場に落ち、科捜研が調査したところで出てくるのは謎のインド人という事になるのだ。
健司は予定していた地点にたどり着くと、持ってきたボルトを電柱の穴に差して二・五メートル程の高さにまで登って電柱に寄り添うようにして立つ。
予定通りスポーツバッグを手にしたジョーカーが走ってくる。
中身は半沢という三下の半グレだ。
正面だけに注意を向け、自分の身長より上には注意が向いていないらしい。
健司はボルトに引っ掛けたテグスを引っ張る。
ジョーカーの首にテグスが食い込み、仰向けに倒れかかる。
アイスピックを手にした健司はジョーカーに圧し掛かるようにして飛び降りる。
アイスピックがジョーカーのマスクと頭蓋骨を貫き、脳を攪拌する。
健司はアイスピックをその場に放り捨てて、テグスもそのままに歩き去る。
アイスピックもテグスも殺人犯を特定する決定的な証拠とはなり得ない。
少し歩いた所で歩きやすい靴に履き替え、手袋を脱いでしまえば何一つ痕跡は残らない。
意識していたが三浦に行動を監視されていた様子は無い。
三浦はマスクをばらまいた事でジョーカー業を一定退いたのかも知れない。
それならそれで……
――ジョーカーを名乗れば問答無用の死が訪れる――
それでもジョーカーを続けられる者がいるだろうか。
健司の受けた依頼はジョーカーの殺害であって三浦清史郎の暗殺ではないのだ。
〈7〉
緒方は苦い気分で事務所でTVを見ている。
一週間で九人のジョーカーが殺され、四人のジョーカー、三人の組員が射殺された。
ワイドショーは死体にピエロのマスクをかぶせる愉快犯として報道している。
常識的に考えればそうなのだろう。
だが、現実にはジョーカーの模倣犯が跋扈し、殺し屋円山がジョーカーを殺しまくっているのだ。
この問題の裏が表ざたになれば矢沢組に捜査の手が伸びる。
組長が事情徴収という事にでもなれば、知事選敗北は必至だ。
この銃弾飛び交い殺し屋が闊歩する状況は、客観的に見れば矢沢組の内部抗争なのだ。
――やってくれたなジョーカー――
日用品を用いて鮮やかに殺しを遂行する健司に対する恐怖は広がっており、それなりの数のジョーカーマスクが届いてもいるが、それでも自分だけは大丈夫と考えるのが人間の性であるらしい。
「兄貴、県警本部長が来ています」
部下の言葉に緒方は舌打ちしたくなるのを堪える。
何人か人身御供に出す必要はあるだろうが、それでジョーカー問題が片付く訳でも無い。
���の新庄市はさながらギャングの蔓延る六十年代のニューヨークだ。
このネガティブイメージの中ではカジノ施設の誘致も集客の為だなどという言葉で誤魔化せない。
――だが、商店街も打撃を受けているはずだ――
緒方は次善の手を考えながら県警本部長を待たせてある応接室に向かう。
「緒方です。この度はお騒がせしております」
「いや、そうかしこまらんでくれたまえ。私がこうしておれるのも矢沢組あっての事だ」
県警本部長の茨木義男が本革張りのソファーから腰を上げて言う。
茨木は東大卒のキャリアで矢沢の後輩に当たり、同じゼミを受講していた間柄だ。
「殺人事件は起こせない。それが警察の不文律でしょう?」
「今回のカジノ施設建設は内閣肝いりでもあるんだよ。情報操作で反対派が工作しているように演出する事は可能だろうよ」
転んでもタダで起きないのが政治家やエリートというものであるらしい。
「つまりはカジノ施設反対派が、賛成派の人間を殺してピエロのマスクをつけていると?」
「そういう報道になっているだろう?」
茨木の言葉に緒方は唖然とする。
当事者としての立場で見ていた為に気付かなかったが、一般視聴者の目線で見るとそういう風に見えるのだ。
「で、私の在任中にこれだけの死者を出しているんだ。票は囲い込めているんだろうね」
「固定票は押さえております」
実際の所、矢沢組は内紛に近い状態で票を囲い込めるような状態ではない。
大手のチェーン店などでは本部通達で票の取り込みができているが、個人事業主は依然として反対の姿勢を崩していない。
――やる事成す事裏目に出る――
「死人は出る、カジノ施設はできないでは私の本庁復帰が危うくなるんだよ。その意味は分かっているだろうな」
「はい」
不満げな茨木に緒方は短く答える。
――県警本部長が殺害されれば流れが変わるかもな――
緒方は脳裏にあのとらえ所のない殺し屋の姿を思い描いた。
第四章 トリックスター
〈1〉
「最近俺たちが出てもヤクザもビビらねぇのな」
クイーンメイブのボックス席で健がぼやく。
本物の銃を撃つジョーカーもいれば、ジョーカーを狙い撃ちにする殺人鬼も存在する。
実際に死人も出ているのだから今更驚かす程度ではヤクザも怯みはしないだろう。
「銃で撃たれるって不安。前より遠慮なく撃たれてる感じ」
加奈が沈んだ様子でカクテルに口をつける。
「おいおい、私たちの本来の目的を忘れたんじゃないだろうな。私たちの目的はカジノ施設誘致の妨害だ。今の状況でカジノ施設がオープンしたとして誰がテナントに入るんだ? 暴力がこれだけ蔓延る状況を許した現職知事は窮地に立たされている。住民の安全と地域の活性に誠実に取り組む人物が取って代わらなければ市民が納得しない」
ショットのバーボンを口に運んで清史郎は言う。
「いや、確かにジョーカーの言う事は分かるんだけどさ、昔は良かったっつーか、実入りが少ないのは我慢するとしてもよ」
「私たちの本当の目的に近づいているんだから喜んでいいはずなんだけどね」
「選挙の公示まで三日、世襲できそうな人間がいない以上与党は今更候補者を変更できない��、現職のまま選挙を戦う事になる。野党には追及の材料が掃いて捨てるほどある。これで負けるようなら本当に世の中が腐りきってるってだけだ」
健と加奈の気持ちを察しながらも清史郎は言う。
「もう少しで全部終わっちまうんだよなぁ~。何か微妙だぜ」
「コンビニも忙しいって言えば忙しいんだけど、税金は取られるのに退職金も無いし年金のアテもないし」
健が仕事にやりがいを感じられないのも、加奈がお先真っ暗だと言うのも理解できる。
「そうは言っても九月三十一日にはジョーカーは死ぬんだ」
「してやられましたよ。九月に三十一日なんて無いじゃないですか」
ボックス席に当たり前のように現れた円山が言う。
「誰だテメェ!」
健が身を乗り出す。
「歌舞伎町で殺し屋を経営している円山健司と言います。ここが三浦さんの本当の事務所だったんですね」
「まさか一週間で九人も殺したのって……」
「やだなぁ~僕はもっと殺してますよ。警察だって報道内容には気を遣うんです」
涼しい表情でグラスを手にした円山がボックス席に座る。
「人殺しだってバラすぞ、テメェ」
健が円山に向かって噛みつきそうな声と表情を向ける。
「ご自由にどうぞ。何か一つでも証拠が存在するならね」
「で、その殺し屋さんがここに何の用?」
「いや、本家のジョーカーはどうしているのかと思ってね。偽物でもこれだけ殺せば本家も仮面を捨てるんじゃないかって思って」
「おたくの言う通りだ。こんな凄腕の殺し屋がいるならジョーカーなんてやるだけ損だ」
「本当にそう思っていますか? 本家はまだ何か隠し玉を持っているんじゃないかって思うんですけど」
「随分と余裕かましてんじゃねぇか。ジョークを殺ったらテメェを殺す」
「殺しはしたくないけどジョーカーを殺させる事は絶対にしない」
「人望があるんですね。いっそ事務所でこの二人を雇ったらどうです? 今より金回りはよくなるんじゃないですか?」
「殺し屋より儲かるとは思えないね」
「それはリスクを負っていますから」
「テメェは嫌味を言いに来たのか。悪いが俺たちはテメェになんざ負けねぇ」
頭に血の上った健が言う。
「そうそう、一つプレゼントがあるんです」
「あんたがくれるものなんてロクなものじゃないと思うんだけど」
「野党連合の候補を殺すように県警本部長から依頼を受けたんです」
笑顔で言った円山がグラスを空ける。
突然の事に健と加奈が硬直する。
選挙期間中に候補が殺されてしまったら票が分散して現職が有利となる。
どれだけ黒い噂があったとしてもだ。
「それは俺たちに守って見せろと言っているのか?」
「さぁ、気まぐれですよ。僕はこれでもあなたの事が嫌いではないんですよ」
言った円山が席を立って去っていく。
加奈と健が茫然とその背を見送る。
「私たちと候補者をまとめて葬るつもりか……」
清史郎は思案する。候補者を守る為に張り付けば二人まとめて殺される可能性がある。
しかし、候補者を放置しておけば間違いなく殺されるだろう。
具体的な殺人予告という訳ではなく、あったとしても警察はアテにはならない。
市民は自衛するしか無いのだ。
――どうする……――
「なぁ、ジョーク、どうすんだ?」
「あんたも少しは考えなさいよ」
「考えてるって。頭の中じゃあの野郎を三十回は殺してる」
非生産的な事を考えている健が言う。
「ジョーカー、私、どうしていいか……」
加奈は追い詰められた様子だ。
「こうなったらお望み通りにしてやろう。ジョーカーの最期を見せてやるんだ」
清史郎は一抹の寂しさを感じながら笑みを浮かべて見せた。
円山を前にして取れる手は一つしか無いと言っていい。
――あの男はこの結果を望んでいたのだろうか――
〈2〉
『……皆さん、この町の惨状は突然起きたのでしょうか? その根幹には市の中央にある広大な県の土地があります。この土地は江戸時代に火災の延焼を避ける為に作られた防災の為の土地でした。しかし新庄市が栄えるに従い、土地の価格が上がり莫大な利益が生まれる事が分かってきました。ヤクザやギャング、財界の人間はその利権に群がっているんです。もし、彼らの思い通りにさせるなら彼らの存在を容認する事になります。二百年前の先人の知恵に従い、ここを防災を兼ねた市民公園にする事こそが行政の成すべき事です……』
夕暮れの新庄市の駅前で野党候補の峰山春香が声を上げる。
聴衆はさほど多くはないが商店街や青年団が集まって盛り上げようと四苦八苦している。
清史郎はオープンカーのハンドルを握りながらタイミングを計っている。
『ジョーカー、スタンバイOKよ』
イヤホンから加奈の声が聞こえてくる。
『警察は野党の候補に人は割いちゃいねぇ、殺るなら今だ』
健の声を受けて清史郎は紫のどぎついトレンチコートを羽織り、ピエロのマスクをかぶる。
「そこのお前……」
演説を警備していた警官が警棒を手に近づいて来る。
「制服ギャングも久しからず」
清史郎は銃を引き抜く。
警官の足元で火花が爆ぜる。
聴衆だけでなく、夕暮れの帰宅ラッシュの人々の足が止まる。
「綺麗ごとでマニィをロンダリィ! 俺はハッピーにトリガー、堅実な人生が諸行無常!」
清史郎は自動小銃を抜いて選挙カーに銃弾を浴びせかける。
銃声が響き至る所で火花が散る。
ガードマンに守られて逃れようとする峰山の背に向けて引き金を引く。
血を噴出させた野党候補が倒れる。
「こんな時には正露丸! キャベジンがあれば国士無双ゥ! ユンケル飲んだら夜金棒!」
峰山が選挙カーに運び込まれ、現場から離脱しようとする。
『ジョーク、サツが動いた。射殺してもいいって言ってやがる』
健の言葉に清史郎は生唾を飲む。想定してはいたが、想像以上に警察もなりふり構っていないらしい。
清史郎はオープンカーで選挙カーを追い、グレネードランチャーで後ろ半分を吹き飛ばす。
煙を上げた選挙カーが路肩で停止する。
清史郎は高笑いしながら選挙カーの脇をすり抜け、オープンカーで町を駆け抜ける。
無数のパトカーが清史郎のオープンカーを追う。
『ジョーク、法定速度は無視してくれ、俺がナビゲートしてんだし、今更ネズミ捕りが怖いって訳でもねぇだろ』
健のナビゲーションでパトカーを避けて清史郎は埠頭へと向かう。
銃声が響き、音速より早く飛んだ弾丸がオープンカーに襲い掛かる。
警察が矢沢組の懸賞を狙っている事は健のハッキングで知っている。
制止する警官の声と銃撃を受けながら、フルスロットルのまま岸壁から海上へと車体を躍らせる。
肩と背中に銃弾を受けた清史郎は冷たくなり始めた海の中へと沈んでいく。
清史郎が意識を失いかけた時、淀んだ海の中にウェットスーツに身を包んだ加奈が姿を現した。
〈3〉
警察が捜査した結果、海で手に入れる事ができたのは一台の盗難車とピエロの仮面と紫色のトレンチコートだけだった。
知事候補が襲撃された事もあり、今後清史郎がジョーカーの扮装をすれば正体が露見する可能性は極めて高くなるだろう。
――本家ジョーカーは死亡した――
健司は病院の廊下を歩きながらポケットの中のビニール手袋の感触を確かめる。
野党候補は銃創を負って病院に入院している。
実際には銃創など負っていないのだろうが、ジョーカーと候補が一芝居打つのだとしても病院は避けて通れない。
���――悪いけど僕は殺しの依頼は完遂する――
健司は候補の部屋の前のボディガードの様子を観察する。
「すみません。新庄市後援会の青年団の円山と言います。先生はご無事でしょうか?」
「先生はご無事だ」
鉄面皮のボディガードが返答する。
「それを聞いて安心しました。一言無事をお祝い申し上げたいのですが構いませんか?」
「十分だ」
ボディガードの言葉に笑みを返して健司は一人部屋に足を踏み入れる。
両手にビニール手袋をはめ、小銭袋を握りこむ。
「やぁ、先生、ご無事なようで何よりです」
「無事なものか。ポリの弾丸を四発も食らったんだ」
そこで見た光景に健司は言葉を失った。
「お陰で選挙が終わるまで退院できそうにない」
三浦が笑みを向けてくる。
「バカな……あなたは……」
身を隠さなくてはならないはずだ。
治療する為にも……。
――治療する為に候補に成りすましたと言うのか――
入院している間は世間の目は避けられる。
それでは候補はどこに消えたと言うのか。
「お前は野党候補を殺せというオーダーを受けたはずだ。今彼女は立候補しているが、生死不明で野党の統一候補ではない。今は慶田盛弁護士事務所で事務の手伝いはしているが選挙活動はしていない。それでもお前は殺すのか?」
健司は清史郎の言葉に笑いがこみあげてくるのを感じた。
「詭弁にも程がありますよ。ほとんど屁理屈じゃないですか」
「屁理屈でも君は依頼に忠実なんだろう? あと面会は手短に頼むよ。これでも歳でね、銃創って言うのは堪えるんだ」
銃創が堪えているのは本当らしい。
「それでも最後には候補は復活しなきゃならない」
「死んでいなければね」
カーテンの影から姿を現した女性がグレネードランチャーを構える。
「まさか……」
「ジョーカーは死んだ、ヒットマンは来た。これで充分だ。なぁ、ジョーク」
ラップトップコンピューターを小脇に抱えた青年が言う。
「ゲームオーバーだ」
清史郎が不敵な笑みを向けてくる。
健司は小銭袋を窓に投げつける。
砕けたガラスの破片を拾い上げて身構えながら退路を探る。
ガラスの破片で候補の命を絶つつもりだったが今三浦を殺した所で意味が無い。
今は割れた窓の外に逃れる隙さえあればいい。
女性の指がグレネードランチャーの引き金にかかる。
猛烈な爆音と閃光が室内に満ちる。
健司は窓の外に身体を躍らせた。
――これで知事候補が殺された事になるのか――
健司は地面を転がり、人目を避けながらバッグから出した白衣を羽織る。
――僕は最期までジョーカーに踊らされたって訳か――
敗北感より、どこか清々しさを感じながら健司は病院を後���した。
〈3〉
「慶田盛弁護士事務所では峰山候補を歓迎しますよ」
新庄市にある、冤罪に強いと噂の弁護士事務所で峰山春香は未だに自分の身に起きた事が信じられないでいる。
峰山が候補に決まったのは公示二日前、そこから慌ただしく野党の党首などと会談を交わし、選挙戦の流れになったのだが、その直後に慶田盛敦という弁護士が現れたのだ。
慶田盛の噂は峰山も聞いており、信頼できる人物であるとは感じていたが、話の内容は想像のはるか斜め上を行くものだった。
新庄市の乱射魔ジョーカーの本家は、冤罪事件の解決を主に行っている三浦探偵事務所の所長三浦清史郎だったのだ。
三浦は知事選を前に町に大量のジョーカーマスクをバラまいて一時的に身を引いた。
しかし、ジョーカーと野党知事候補は確実にターゲットを仕留める円山という男に命を狙われているのだ。
更には矢沢組がジョーカーに懸賞首をかけており、警察も生死を問わないという条件でジョーカーを狙っているという。
そこで三浦が出して来た案がジョーカーに候補者が襲われて入院、ジョーカーは警察に追われて死亡、更に候補者の運び込まれた市民病院に現れる円山を三浦が撃退するというものだったのだ。
三浦は警察に追われて手傷を負う事は間違いなく、それならば知事候補と入れ替わって入院してもゆっくりと治療ができる。
一方春香は慶田盛弁護士事務所で投票日三日前まで、事務職として短期採用される。
円山のターゲットは知事候補であり、事務員殺害ではなく、その一線を越えてこないのも円山という男なのだという事だった。
「何もかもが信じられないわ。生死不明で選挙戦を戦うなんて……」
「野党の党首が連日新庄入りするって話になったじゃないですか」
春香は慶田盛弁護士事務所の安普請の椅子に腰かける。
「それはいいとしても、いいえ、大きな借りを作る事になりますし……」
「市民に対して不誠実だと?」
春香の心中を察した慶田盛が言う。
「その通りよ。三日前に復活なんて話が良すぎるし」
「でも、実際問題あなたを救う手立ては他に無かった」
事務所の電話が鳴り、慶田盛が受話器を手に取る。
ボタンを押してスピーカーに切り替える。
「私だ。円山が知事候補殺害に現れたよ。こっちで見かけだけは派手な爆薬を爆発させて追い出した。これで知事はテロリストにまで襲われた事になるわけだ。しばらく身を隠さなきゃならない理由が増えたんじゃないか?」
「三浦さんですね? あなたが身体に銃創を負ったという話は聞いています。あなたはどうしてここまでやったんですか?」
「若い連中と付き合いがあると、柄にもない正義感なんてものも持つものなのさ」
三浦の言葉に春香はため息をつく。
実際の傷はどうあれ、体面上知事候補は集中治療室にかくまわれるだろう。
「市民病院が告発したらどうするつもり?」
「それは無いさ。与党の市長になってから予算を削減されて、市民病院では上から下まで味方しようなんてヤツはいないんだから」
慶田盛が肩を竦めて見せる。
「あと、仕事柄マスコミの相手をするのは苦手じゃないんだ」
「ああ、こいつは口先だけは有能だからな」
二人の言葉を聞いていた春香は苦笑する。
悪だくらみのような作戦だが、この二人にとってはこれは健全な正義のスポーツのようなものなのだ。
〈4〉
野党候補の入院先で爆破テロが起こった事で、与党候補に対する疑惑は大きなものとなった。
野党候補は生死の境を彷徨っていると報道されている。
清史郎は病院で何不自由なく治療生活を送っている。
のだが……。
「なぁ、ジョーク、ここで寝てるってのは何かの冗談だろ?」
「怪我してるのは事実なんだから無茶言わないの」
健と加奈は連日競うようにして病室を訪れている。
「お前ら、もうジョーカーの出番は無いんだぞ? 知事選も候補が無事を表明すれば一発で決まる。もうやる事は無いんだ」
清史郎が言うと健が叱られた犬のような表情を浮かべる。
「いやさジョーク、俺、土建屋辞めたんだ」
「私も……その、コンビニ辞めたんだ」
清史郎は二人の言葉に唖然とする。
このご時世に仕事を自ら捨ててどうしようと言うのか。
「ジョーク、儲からないっつってるけどよ、俺が手伝ったら何とかなんじゃね?」
「先に言わないでよ。採用するなら私の方が得なんだから。多分」
清史郎は額に手を当ててこみ上げてくる笑い声を抑える。
傷に響くが笑いたくなるのだから仕方がない。
「お前ら、馬鹿じゃないのか? こんなオッサンと組んだって心中するようなモンだろ」
「それでもいいくらい楽しかったんだよ」
「またスリル、くれるんでしょ?」
清史郎は笑い声をあげて身体を起こす。
傷が引きつるが痛みなど気にならない。
「資本金はお前らと合わせて裏金三千万円。社員は三人。一人はオッサン。ジョーカー探偵事務所とでもするか」
「何かダセェ。中年は変に英語にするから逆にカッコ悪いんだよ。三浦探偵事務所でいいだろ」
「中年のセンスが悪いのは今に始まった事じゃない」
清史郎は憮然として健に言い返す。
「じゃあ新しい門出に」
加奈がバッグからワインのボトルを取り出す。
若い二人は自分に老ける暇を与えてくれないらしい。
清史郎はコップに注がれたワインを掲げる。
「乾杯」
紙コップが音もなく打ち合わされ、新しい何かが動き始めた。
エピローグ
清史郎は健と加奈を引き連れて病院の廊下を歩いている。
向かいからスーツ姿の峰山春香が歩いてくる。
握手しようと峰山が手を差し出してくるのを無視して清史郎は右手を軽く上げる。
峰山が応じて右手を挙げてハイタッチすると、清史郎と峰山は入れ替わるように方向を変える。
清史郎の背後でフラッシュが瞬き、峰山が光とシャッター音に包まれる。
生死不明から無傷での生還。
これほどの宣伝も無いだろう。
ジョーカーはカジノ施設を阻止するというその使命を果たしたのだ。
選挙戦は野党党首が連日交代で訪れるという形で、野党が攻勢を強めていた。
そして投票日三日前に野党候補が無傷で出現。
暗殺者に狙われていた事を告げ、改めて支持を訴えた。
緒方は事務所で出来の悪すぎる茶番劇を見せられたような気分を味わっている。
ジョーカーという乱射魔が出現、殺し屋に依頼をしたらジョーカーの模倣犯が大量に出現。野党候補を狙ったら本家ジョーカーに命を狙われ、生死不明から一転蘇った。
市民の心理を考えるまでもなくこの選挙は完敗だ。
何処で何を間違えたのかなど分からない。
否、最初からこの町には矢沢組を受け入れない何かが存在していたのだ。
近々上層の組から矢沢更迭が告げられるだろう。
だが、緒方は矢沢にとって代わろうなどとは思わない。
――この町にはジョーカーという化け物が存在するのだから――
十月一日、健司はいつものように殺し屋のカウンターの内側にアルコールを吹きかけている。
もしも、九月に三十一日が存在しているならジョーカーが殺されてやると言っていた日。
新庄市では市民の支持を得た新知事の誕生でお祭り騒ぎらしい。
と、殺し屋の戸口に宅急便の配達員が現れた。
「殺し屋様ですか? Amazon様からのお届けものです」
記憶には無いが健司は笑顔で箱を受け取り、伝票にサインする。
ナイフで慎重に箱の封を開けるとそこにはピエロのマスクが収まっていた。
健司は口元に笑みが浮かぶのを感じた。
――確かにジョーカーは死んだ――
健司はその自然な笑みを機械的な笑みの後ろに隠し、カウンターを磨き始めた。
今日も新たな客がやって来るに違いないのだ。
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13.13
第2話導入
影丸は満員電車でZARDを聴きながら出勤(痴漢えん罪に巻き込まれないように手と荷物を頭に乗せてる) 13課のドアを開けると先輩と明金が殴り合いをしているのに遭遇。割って止めようとするが巻き込まれ失神。 目を覚ますと課長から事件の発生を告げられる。 2人の力で解決するようにとのこと。 先輩は別の捜査をするらしい。 そのことに明金が文句を言うと逆に挑発され売り言葉に買い言葉で明金は1人血気盛んに現場へ向かう、それを影丸が待ってくださいよ〜と追いかけていく。 その様子を見て課長が 「いやぁ〜にしてもあの2人は似ているねぇ あの頃の君たちに」 先輩「……。さぁてあたしも外出ますか、課長例の件よろしくお願いしまーす」 そのまま事務所を出ていく 課長(……。僕は彼らが彼女の救いになってくれることを願うよ。) 明金は現場に着いた。事件の概要はこうだ。公園で不可思議な焼死体が見つかりガソリンはおろか火元も火の気も全くないところで起きた火災ということもあり事件は難航していた。また死体に不可思議な魔術に用いられそうな紋様があったこともあり13課が担当することになったということらしい。 明金の後を追い影丸が現場に着く。そこには影丸が前に属していた捜査一課と鑑識が現場検証をちょうど終えたタイミングだった。 影丸は一課の刑事に声を掛けられる、振り向くと影丸の前のバディである叩き上げのおっさん刑事と現在そのパートナーであろうメガネをかけた警察学校でエリートと噂されていた新米刑事であった(おっさん刑事がよく影丸の話をするので年下の彼はなにかと影丸にたて突いてくる) 13課はどうだ?だのいい加減結婚しろだのどうでもいい話もされつつ事件を引き継ぐ影丸。 明金はその中に加わらず血眼になってなにか証拠を探そうとしている。 そんな2人を見てそのエリート刑事が「これが先輩がいう出来のいい後輩刑事とそのパートナーですかぁ?全然息合ってるように見えませんけどぉ」と鼻で笑ってくる。 影丸は苦笑い。明金は一瞬ガン飛ばすが無視。(殴りかかるんじゃないかとヒヤヒヤしている影丸) ビビる新米。 そして最近不可解なオカルトじみた事件が増えているらしいことを聞かされる。 そんな感じで証拠や身元確認を済ませていくのだが明金が野次馬で集まった人の中から怪しい人物を見つけ出し明金を見て逃げ出したため追いかける。 影丸も後を追い、明金に追いつく頃にはその逃げ出した人物はすでに鉄拳制裁によって完全に伸びていた。その人物は過去に明金に逮捕されたことのあるチンピラだった(ボコボコにされながら) その男は事件には関与しておらずアリバイもありただ明金にびびって逃げただけだと供述。 この件によって2人は一般人を殴ってしまったことの始末書を書く羽目になり、先輩から説教される。 全く息の合わない様子に影丸が「ちゃんと力を合わせて捜査しましょうよ」というが明金は聞く耳持たず。どこかへいってしまう。 困り果てた影丸はその日の夜、一課の先輩刑事の元を訪れる。一杯やることになり先輩に思い切って相談。すると 影丸「実は今のバディ、明金さんとうまくいかないというか、もちろんじぶんの力不足のせいなのですが…彼女は行動力もあるしとても優秀です。気弱な僕なんかがパートナーじゃ足を引っ張っているだけにしかならなく感じてしまって。。」 先輩「いいか影丸。人間っつーのは弱点だらけよ。喉にみぞおち、目なんか潰されちゃあおしまいよ。おっ店員さん生もう一杯、お嬢ちゃん可愛いねぇ… ゴホンッ あーーーーえーなんだ しかも人によっては精神的に弱いとこだってある。そのよえーところを全部庇うなんざ物理的に不可能っつーわけよ。おれたちゃ前しか向けねーからな、いくら意識したって後ろはガラ空き。不意打ちで終わりよ。 これはかんけーねぇ話をしてるわけじゃねぇ。 バディってのはいうならばこのビールと焼き鳥よ、片方だけでも十分だが両方揃えば無敵よ。最強よ。そのおめーのバディを無敵にしてやれんのは影丸。お前しかいねーんだよ。明金くんの背中を守ってやんのは相性でも能力でもねぇ。パートナーを命がけで守りたいって奴にしかできねえんだ。まっ、これはおれの長年の経験だがな。」 影丸「先輩…相変わらず…例え話下手ですね。。」(この人の後輩でよかったなと控えめに笑いながら) 先輩「ふん、かげ、オメーも言うようになったなっがっはっは。まあ今日は一杯引っ掛けて明日からまた気張れや! おっ、影丸みてみろ 新メニューだってよ!なになに?ハバネロ明太手羽餃子?一体どんな味すんだろうな!頼もうぜ!いやぁ〜昔っから新メニューってのに弱くてな、こう新しいものってなんでもどんなものか確認したくなるよなぁ〜」 影丸「先輩それ絶対やばいやつですって!食べない方が…ん?…新しいもの…確認…」(何かに気付く) 先輩「ん?どうした?」 影丸「先輩…すみません!!!今から戻って調べ直さなきゃならないことが!!あと明金さんのことも」 先輩「んー?そうか!おうっ行ってこい」 影丸「ほんとすみません!今度埋め合わせするので!!失礼します!!」 先輩「……。ふぅ、おれも後輩に置いてきぼり食らう歳になっちまうとはなぁ…案外良いもんだ。(新メニューを食べる)うん、かれぇわ。染みるなぁこれ。。」 次の日明金は気まずさから朝事務所に顔を出さない、影丸は目にクマを作ってギリギリに出勤してくる。そしてそのまま課長に犯人の目星がついたことを伝えそのまま張り込みにいくと出て行ってしまう。 影丸がいなくなったのを確認した明金はそーっと出勤。 課長は影丸が犯人の元へ行ったこと、影丸が明金くんに応援を頼んだことを伝える。 明金は私の力なんて必要なかったのかよ…ふんっもうひとりで解決できるだろと少し僻んでいると課長が「おやおや、影丸くん、ノートを忘れていったみたいだねぇ、事件のことととか書いてあるんだろうから困るんじゃないかなぁ」とぼやき部屋を出ていく。 明金は数分無視したが結局気になってしまいノートを見る。 課長は部屋の外で待っていたところ 明金は勢いよく部屋を飛び出していく。課長にも気付かずどこかへいってしまう彼女を見て課長は 「うぅん、いいねぇ若さだねぇ」 そこに先輩も居合わせて 「ったく、世話が焼けるわ」 明金はつむじ風を起こしそうな速度で走っていく。その姿に迷いや憂いはない吹っ切れた表情をしていた。 明金が走るとこの回想シーン 明金が影丸のノートを開くと 中には事件についてまとめられた資料が事細かに書かれている。 明金は几帳面に書き並べられたメモに若干の嫌悪感を抱きながらそれとは別に後ろの方に書きまとめられたそれに気付く。 明金サラ について は? 明金は面食らう。 そしてその次の項をめくっていく。 その1 イライラすると物や人に当たることがある その2 聞き込みは苦手。挑発や喧嘩っぽくなってしまう可能性がある。 なんだこれは。こいつは私の悪口を書き殴っているのか?よし殺そう。 その3 腕っぷしはかなり強い。 ※身をもって実証済み 〜〜その35 思い切りがよい。 (活かせる方法を模索する) 〜その64 運転は荒そうで意外と乗り心地が良い 〜その70 意外と可愛いキャラクターがすき おいおい。意外とが多いな。 パラパラと斜め読みしながら最終ページにたどり着く。 その100 正義感がつよい。この人になら背中を預けられる。 絶対に彼女を理解し、活かすことができればどんな怪事件も解決できる。先輩を見返してみせます! 最後の文字はとても力強く書かれていた。 明金「ちくしょう。あいつに文句言わねーとどーにもむしゃくしゃしやがる、あたしが行くまでくたばんじゃねぇぞ!こた!!」 全速力で明金は合流に向かうのであった。 人気のない寂れた工場を走る夕日色の長髪をなびかせた人物。それを追いかける黒いフードをきた男たち。 逃げ切ろうとするが行き止まりで追い詰められてしまう ???「ねーちゃんどうやら鬼ごっこはここまでみてーだな」 フードを取ったその人物の1人はなんとこの前、明金の鉄拳で伸びたチンピラだった。 チンピラ「この前は大変お世話になりましたねぇ、今日はたっぷりと可愛がってやるよへっへっへ」 追い詰められ観念したのか直ちに戦闘態勢をとり刃物を振り回し襲いかかってくるそのフードの男たちを慣れた動作でいなしていく女性姿はまるでつむじ風。 ひとり、またひとりと丁寧な一撃で沈めていく。 その様子に困惑する男たち。 あっという間にチンピラだけになってしまう チンピラ「てめぇ!」 詰め寄ると後ずさりするチンピラ。しかしながらその男はニタリと笑う。 突然、彼の前から��が立ち上がる。 いち早くそれに気付きギリギリのところでかわすことには成功。 チンピラ「ヘッヘッヘ。俺たちを追い詰めたつもりだったろうが実は誘い込んでいたんだよ。どうだ?マジックみたいだろ? ここには仕掛けをたんまり仕込んどいたんだ。 まああんたがたが睨んだ通り、あの焼死体の事件はこういうタネだったつーわけよケッケッ」 工場内を見るといたるところに魔法陣のようなものが描かれており、先程炎が上がった場所にもそれはあった。 そしてその工場の二階部分にひとり、フードをかぶり何か分厚い本を持つ人物がいることがわかる。 チンピラ「彼の力はすごいよ〜?簡単に人を燃やしちゃうんだから。 でもまさかあの人だかりから俺を見つけるとは思わなかったなぁ。すごいすごい。まああれはあんたがたを誘い出す為の事件だったんだけどね。見事に引っかかってくれて笑いが止まらないよはっはっはっ」 絶体絶命。 男は突然強気に殴りかかってくる。 不意を突かれかわし損ね1発もらってしまう。 そして その栗色の長髪が宙を舞う。 それを見てチンピラは驚く。 チンピラ「!?!? なんだてめぇ!? あのヤンキーねーちゃんじゃねぇだと!???」 そう。チンピラが明金サラだと思って追い詰めたその女性は女性ですらなく なんとも気弱そうな男だった。 ???「ははっ。バレてしまいましたか。」 その人物は着ていた上着を脱ぎ立ち上がる。 「残念ながら僕は明金サラさんではありません。僕は影丸虎太郎。彼女のバディです。」 影丸と名乗るその人物は殴られた頬をぬぐい手慣れた手つきで合気道の構えを取る。 影丸「あなたが今回の事件に深く関係していたんですね。僕の推理はこうです。 まず最近怪事件が突然増えだしたこと。そして本来我々13課は警察外部では存在していないことになっていること。極め付けは前回の化け物を使った殺人事件。あなた方の狙いは僕たちだった。今回の魔術を用いた焼死体。現場に魔法陣、火元なしとなれば我々が動くことになることはあなた方には容易に想像がついたはず。そこでそこの男。顔の割れていた明金さんに恨みのある人物を利用した。事件を起こし、彼を野次馬に紛れさせ、わざと捕まえさせ我々の体制を確認しようとした。新設されたばかりの13課があなた方の脅威になるか試したんですよね? (これは先輩が新メニューを頼まずにはいられないっていうので気づいた) そして間違った方に誘導し評価を下げさせ、あわよくば内部分裂も狙いだった。 彼が明金さんに恨みがあるのは色々と調べて簡単にわかりました。そもそもあの朝早い時間にあなたの活動区域である繁華街から離れたあの公園の事件現場に現れるなんて流石に違和感がありますよね? あなたはそういったものには興味がないことも調べはついています。あなた方は利害の一致、つまり明金さんに復讐したいチンピラさんと我々の動��を探りたいそこの黒フードの組織の仕業だったのですね。 いやー見事にはまってしまいました。危うく明金さんと13課を失うところでした。 なので今度はこちらから仕掛けさせてもらいました。明金さんの格好を真似てあなたを尾行しておけば繋がっているあなた方はすぐに気づいて逆にこちらを狙ってくるはずだと。」 チンピラとフードの人物は動揺しながらも チンピラ「ちっ。だからなんだ!!結局お前ひとり追い詰められてることに変わりはねーだろが!! 最悪な状況から抜け出すことなんてできねーんだよクソが!おい!!やっちまえ!派手に燃えて死んじまえぇ!!!ギャッハッハ」 ドサッ 「……。」 チンピラ「おい!どうした!はやく燃やして…あっ」 チンピラは二階に目をやると黒フードは倒れており 代わりになんとも艶やかな栗色の髪をなびかせた女性が仁王立ちしていた。女はとてつもない眼光でチンピラを睨んでおり、その姿からは何かオーラのようなものが見えるほどその空間を圧倒していた。 その人物は明金サラ。その人だった。 その姿を見てホッとした様子の影丸。 影丸「(ふぅ…良かったぁ。) ゴホンッ、あなたは先程僕に最悪な状況だって言いましたね。 でも残念ながらその 最悪な想定 は済んでました。」 チンピラ「あいつが来るように仕向けたってことかぁ!?」 影丸「いえ、それは少し違います。僕は信じただけです。バディを。」 影丸「あなた方の 失敗 はこの最悪な状況を想定できなかったこと。それはつまり13課を、僕たちを」 影丸がそう話していると 明金は二階から飛び降りチンピラに向かって全速力で駆けてくる。 そしてその握りしめた鉄拳をチンピラめがけて勢いよく放ちながら 明金&影丸「「舐めんじゃねえ!!!!」ってことです!!」 その怒りのこもった一撃は鈍い音を放ちチンピラを気絶させるのにはあまりにも充分過ぎる威力だった。 影丸はそのままチンピラの身柄を押さえ 「10時48分、公務執行妨害罪及び、公園で起きた焼死体殺人事件の容疑者として逮捕します!」 ガチャリ。 チンピラは完全に伸びていたが 手錠は男の両腕にしっかりと付けられた。 影丸「ふぅ。これにて一件落着ですね。あ、明金さん!ありが…ゴフッ…!!」 影丸は明金に礼を言おうと振り返ると綺麗な右ストレートを頬にもらった。 明金「ふぅ〜〜スカッとした!! おい、こた!言いたいことは山ほどあるがひとまずこれでチャラにしてやんよ! まずなーに勝手に1人突っ走ってんだばーかっ それと無断で私に成りすまそうとはどーゆーことだよ!」 影丸「殴ってチャラにした上で文句もちゃんと言うんですね…」 影丸は完全にその最悪の想定ができておらず右ストレートをもろに喰らい後方に倒れピクピクしている。 明金「まったく。あたしが駆けつけたからいいもののもし間に合わなかったらどーしてたんだよ、アホこたっ」 影丸「いててっ…そ、それは必ず来てくれるって信じてましたから。」 明金「おめーはよくそーゆーことを恥ずかしげもなく言えんなったく。そーじゃなくてお前がよく言う最悪の想定はしてなかったのかって聞いてんだよ」 心なしか明金の顔は少しずつ赤みを帯びてくる。 影丸「あっ、ほんとだ。全く考えてなかった。もしこなかったらどうしたらよかったんでしょう??」 明金「知るかばーかっ」 明金は耐えられなくなりそっぽを向く。 ここにあの女がいなくて良かった。こんな顔見られたら何言われるかわかったもんじゃない。 明金はそう思った。 影丸「でも多分なんとかなりましたよ。明金さんは僕の想定なんて軽々しく超えちゃう人ですもん。」 影丸はハハハと笑う。 影丸「さてと、まだ先輩は来てないみたいですし。今のうちにやれることやっちゃいますか」 影丸は伸びたチンピラを強引に水をぶっかけ起こす。 明金「やることぉ?あ、そうかあの女がいると手柄取られる上に全然教えてくんねーもんな!こたのくせに考えてんじゃねえか〜〜!」 影丸「はは、それ褒めてるんですよね…?まあいいやとりあえずこいつとあっちで伸びてる奴を起こして話を聞き…」 影丸がそう言いながら二階に目をやるとそこには黒フードの男はいなくなっていた。それどころか影丸が倒したはず他の手下さえ消えていた。 影丸「そんなバカな…!?いつのまに??」 影丸が動揺していると突然チンピラが苦しみだす。 チンピラ「うっ…!?熱い!ひぃ熱いあちぃよおぉ苦しいあああっあああああああああ」 影丸「どうしました!?しっかりしてください!!」 男は苦しそうに着ていたアロハシャツを破く。 するとそこには魔法陣が描かれておりそれが赤く蒸気をあげながら光輝いていた。 影丸は触ろうとしますがあまりの熱さに男から遠ざかる。 男はさらに苦しそうに暴れまわる。 そしてみるみる蒸気が上がっていきついに着火しだした。そうなるとその男は一瞬で火だるまに。 チンピラ「がぁぁぁあああああああたずげでぐれ゛ぇぇあぁぁぁあ」 影丸「明金さん!み、水を!今水を持ってきます!!しっかりしてください!」 明金「お、おう!」 チンピラは影丸に何かを伝えようと口を動かしている 「つ つ つとぅ ぐぁ」 影丸「えっ?何ですか?」 「つ づぐよみ の がらず ぎょうだん 」 「づ とぅぐあ」 影丸「しっかりして!」 明金はバケツに水を汲んできた。 明金「おい!持ってきたぞ!」 しかしその頃には男はぴくりとも動かなくなっておりそこには真っ黒に焦げた人だった物がまだ炎を上げてある��けだった。 影丸「くそぅ!口封じを仕掛けておくなんてなんでそんな簡単なことに気づけなかったんだ僕は!!」 影丸は拳を地面に強く叩きつける。 明金「こた…」 明金は落ち込む影丸にかける言葉を探すが何も思いつかなかった。そうしているとそれに気付いた。 明金「こた!まずい!あちこちから蒸気が!外に出るぞ!!」 明金は影丸の手を引き外に出る。 出ると同時だった。 建物は勢いよく燃え盛り爆発にも似た音を立てて崩れ落ちていった。 そこに大量のパトカーがなだれ込んでくる。 その中に課長と先輩。 先輩「おい、無事か!」 明金「お、おう。。でも…」 明金は燃え崩れる建物を見る。 影丸「すみません。犯人を追い詰めたのに。。こんな結果に。ほんとすみません。」 明金「い、いや!こたは悪くねぇ!あたしが」 明金が弁解しようとすると先輩が食い気味に話し出す。 先輩「私はお前たちに無事かって聞いたんだ。その様子なら大した怪我はないな。なら良いよ。」 課長「うん、2人が無事で何よりだよぉ、しかしながら、これはとても大きな陰謀が渦巻いているようだねぇ…」 課長は燃え広がる炎の先を見続けながら言った。 それに呼応するように皆その炎を見る。 落ち込む影丸にはその炎を見ることもできなかった。 影丸、彼の手には火だるまになった男が身につけていた指輪型のペンダントが握られ、炎が消し止められるまでそれに視点を落としてい��。 その炎は何かの始まりを不穏に予感させる何かがあった。消火活動は日が落ちるまで続き、我々はただただ立ち尽くすしかなかった。 影丸は今日もいつも通りZARDを聴きながら出勤。 影丸「おはようございまーす!」 扉を開けると今日も今日とて先輩と明金が取っ組み合いをしていた。 2人は龍と虎にも似たオーラを放っている。 影丸は割って止めようとする。 そうすると影丸がターゲットになるのが最近のパターンだ。 影丸「2人ともやめいででででちょっ待って…息!息できなっゔっ」 手足を明金に抑えられ首を先輩に決められた影丸は一瞬天国の両親に会ったそう(後日談) 影丸「ハッ」 目を覚ますと先程とはそこまで時間が経っていないようだが完全に気を失っていたようだ。2人は満足したのかお菓子を頬張っていた。 影丸(はぁ…最近わざとやられているような気がしてならないな…ほんと最悪な想定を超えてくるよこの2人は…) あの事件の後、犯人は逃したものの13課の功績が認められ少し予算が良くなったそうで課長は嬉しそうにぽたぽた焼きを頬張っている。先輩は相変わらず無愛想だけど時折僕達の近況を気にしてくれているようだ。明金さんはというと… 明金「おいこた!聞いてくれよこの前街を歩いてたら中国系とロシア系のマフィアの対抗してるとこに出くわしちまってよぉ〜〜」 明金は嬉々として話しているがそれは全く笑いごとじゃないことに気づいているのだろうか。いやダメだ。完全に楽しい時の顔だこれ。 こんな感じで以前より自分のことを話してくれるようになった。少しずつだけど13課の雰囲気も良くなってきている気がする。それは良かった。良かったけど… 僕はあの事件のことがどうにも引っかかっている。 これを後悔と言うのだろう。 きっと今こうしてる間にもまた事件は起ころうとしている…そんな気がしてならない。 影丸は引き出しを開け煤けた指輪を眺める。 僕たちはとても大きな悪意の中にもう巻き込まれているのかもしれない。もしそうなら僕達はなんとかしなくてはならない。たとえ命を落とそうとも。 影丸が前を見るとみんなが影丸の方を見ていた。 彼は思う。この人達となら大丈夫な気がする。確証なんてないはずだけれど。少し明金さんに似てきたのかな。 影丸「ん? あれないな。そういえば僕のノート知りませんか?」 明金「んー?ああ、これのことか」 明金は自分の机の引き出しを開けて影丸のノートを取り出す。 影丸の顔の血の気が一気に引いていく。 影丸「なん…で?あ、明金さささんが僕のノートを?あの、ま、まさかですけど中身見てませんよよよよね…?」 明金はニヤリとする 明金「ああーこれねぇーお前あたしがいくら魅力的だからってこれはどーなのぉ?」 そう言いながら明金は 明金サラについての項を開く。そして読み上げる。 その25 乾き物よりチョコレートとかの方が好き その34 意外と後輩の婦人警官の間ではファンが多い 課長「明金くんそうだったのぉ!?ぽたぽた焼きも美味しいよぉ??」 少しショックを受ける課長。 明金「こた、お前意外と使いすぎな。罰として昼飯奢れ!」 影丸「…さい」 明金「ん?」 影丸「返してください!!!」 影丸は取ろうとするが明金はヒラリと交わす 明金「おっと〜もう別にいいだろ〜〜ほとんど見ちまったぞ?」 影丸「全部…全部は見てないんですね…?」 明金「ん?何?その言い方だとなーんかまずいこと書きやがったなー?」 明金は楽しそうにペラペラめくっていく 影丸は構えを取り、いままで見せたことのない速さでノートを奪い取る。 明金「あっ!こらこた!まてぇ!!」 影丸「だめだめだめだめ…絶対だめ〜〜!!!」 2人は署内を走り回る。そして2人揃って怒られることになるがそれは少し後のおはなし。 こんな感じで13課は毎日破茶滅茶!最悪の想定が追いつかないです…この人達とこれからどうなっちゃうんだろう、ふ、不安だーーーー こた、まてーーーーーーー 影丸が持って逃げているノート 明金サラについて その91 笑った顔はかわいい。 彼はこのノートを死守すると心に誓うのだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 影丸「課長、少し話が。」 課長「どうしたんだぃ?」 影丸「今回の事件、犯人側に僕らの素性がバレてました。」 課長「ほぅ。それはつまり」 影丸「確定とは言えません。ですが警察内部から情報が漏えいしている可能性は高いと僕は考えます。」 課長「うん…あまり考えたくないが。。そうか…」 影丸「明金さんや他の人には言っていません。変に疑心暗鬼になるのはまずいので。」 課長「そうだねぇ、今のところはそうしておこうか。こちらでも調べてみるよ。報告ご苦労様。」 影丸「ありがとうございます。では失礼します。」 課長「内通者…ね。」 その日は力強い雨が一日中降っており 不穏な雷が鳴っていたーーーー
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安倍のバカっぷりはとうとうグローバルに(笑)2018年、安倍首相のバカ丸出し&人格破綻発言集 豪雨、地震、森友加計で信じがたい冷酷と厚顔! 2018年、安倍首相のバカ丸出し&人格破綻発言集
litera(前編)https://lite-ra.com/2018/12/post-4460.html litera(後編)https://lite-ra.com/2018/12/post-4462.html 28日に「2018年、安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり」をお届けしたが、今回は、「え? この人、ホントに総理大臣なの?」と耳を疑った唖然茫然発言と「よくそんなこと言えたな!」とツッコまざるを得なかった無神経発言を厳選した。 これまで、さんざん無知、無教養をさらし、民主主義を全く理解していない、国民をバカにした発言を連発してきた安倍首相だが、今年はそのバカっぷりを外交でもいかんなく発揮。海外メディアからツッコミを受ける事態まで起きた。 題して「安倍首相バカ丸出し&人格破綻発言集」。そのひどさ、恥ずかしさに思わず頭を抱えてしまうかもしれないが、こんな人物を総理大臣に戴いているのが日本の現実だ。まずは前編の7本を公開するので、大いに笑い、そして怒りに震えてほしい。 ◎バカ&人格破綻発言その1 (トランプ大統領の)歴史的な勝利に対してお祝いを申し上げたい」 11月30日、日米首脳会談の冒頭に ご存じのとおり、11月にアメリカでおこなわれた中間選挙では下院で民主党が大幅に議席を伸ばして過半数を奪還した。──にもかかわらず、すっかりトランプ大統領へのご機嫌取りが板についた安倍首相は、臆面もなく“フェイクニュース”で祝福。これに失笑したのは海外メディアで、CNNコメンテーターのアクセルロッド元大統領上級顧問は「安倍氏は中間選挙に関してきちんとした説明を受けていないか、トランプ氏の精神構造についてきちんとした説明を受けたかのどちらかだ」(朝日新聞デジタル12��1日付)と皮肉り、民主党のリュー下院議員も「日本大使館の方、事実は違うと首相にお伝えください」とTwitterに投稿。“kiss ass外交”で世界に恥を晒すのは、もう勘弁してください…。 ◎バカ&人格破綻発言その2 「(プーチン大統領とは)ウニなどについて合意しましたよ!」 9月14日、日本記者クラブでの総裁選討論会で で、次もトランプにつづいて安倍首相が都合のいい御用聞きに成り下がっているプーチン大統領とのロシア外交問題。9月にウラジオストクでおこなわれた東方経済フォーラムでは、プーチン大統領に“北方領土返還の前提条件を一切抜きにした平和条約締結”を突きつけられ、焦ったときに必ず浮かべてしまうニヤニヤ笑いしかできなかった安倍首相だが、総裁選の討論会でも記者から「国民に期待をもたせているのに無責任では」などと質問が飛ぶと、キレ気味に「私が意欲を見せないかぎり動かないんですよ。いままで1ミリも動いていなかったじゃないですか」と主張。一体どんな成果を誇るのかと固唾を呑んで見守っていたら、出てきた言葉はなんと「ウニで合意した!」 (笑)。……いまは「2島返還プラスアルファ」で交渉が加速するかのように必死で喧伝しているが、「ウニ」を成果だと叫ぶ人間がプーチンから2島返還を取り付けるなど、夢のまた夢の話である。 ◎バカ&人格破綻発言その3 「背後(せいご)には、1980年代以降、日本からこれら諸国に向かった大規模な直接投資がありました」 9月26日、国連総会一般討論演説 せ、せいご??? 国連総会での一般討論演説を観ていた人は、誰もが首を傾げたことだろう。安倍首相は昨年も「云々」を「でんでん」と読み間違えたことが話題になったが、「せいご」も「でんでん」も、そう読み間違えるほうが難しいだろうに……。 だが、読み間違えは誰にでもあるものだと百歩譲ったとして、聞き捨てならないのは、安倍首相が今年も性懲りもなく自分のことを「立法府の長」と言い間違えたことのほうだ(11月2日衆院予算委)。安倍首相は2016年にも「私が立法府の長」「立法府の私がお答えのしようがない」などと3回も国会で答弁。さんざん問題になったのに、まだ繰り返すか、という話だ。 これは、わたしたちの想像の域をはるかに超えたおたんこなす宰相の証拠であるような気もするが、もうひとつ可能性がある。それは、この総理が自分は事実上の「立法府の長」だと思っている、ということだ。いや、三権分立などを超えて、本気でこの人はあらゆる権力を握っていると盲信しているのではないか──。頼むから、小学校の社会(と国語)からやり直してくれないだろうか。 ◎バカ&人格破綻発言その4 「(エンゲル係数の上昇は)物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれているものと思います」 1月31日、参院予算委員会 エンゲル係数は家計の消費支出総額中に占める食料費の割合のことで、一般に高ければ高いほど生活水準の低さ(生活の苦しさ)を表している。この数値が、第二次安倍政権のもとで急上昇している──。国会でそう突きつけられた安倍首相は、何を血迷ったのか「生活スタイルの変化だ」と強弁したのである。 不都合な記録は改ざん・捏造・隠蔽するのが安倍政権の常套手段と考えれば、アベノミクスで庶民の生活が苦しくなっていることを端的に示すデータもなんとかねじ曲げようとしたのだろうが、さすがに中学生でも知っているエンゲルの法則までごまかそうとするとは…。開いた口が塞がらない。 しかし、もっと驚く珍事が起こったのである。 このバカ答弁の翌日、ユーザー参加型のインターネット百科事典「Wikipedia」における「エンゲル係数」の項目が、まるで安倍首相の主張に合わせるかのように書き換えられたのである。何者による改変なのかは不明だが、「事実」すらも安倍政権に都合よく改ざんされるーー。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を彷彿とさせる空恐ろしい一件であった。 ◎バカ&人格破綻発言その5 「柚木議員の話は、まるで高プロを導入すると、過労死が増えるかのごときのお話」 5月23日、衆院厚労委員会 昨年2月、安倍首相は過労自殺した電通の高橋まつりさんの母親と面会し、まつりさんとの思い出話を涙ぐみながら聞きいて、長時間労働の是正を「なんとしてでもやります」と述べたという。ところが、長時間労働や過労死を助長する「高度プロフェッショナル制度の創設を打ち出した挙げ句、「全国過労死を考える家族の会」が安倍首相との面談を希望すると、これを拒否。その日、過労死遺族が傍聴するなか、国民民主党の柚木道義議員が「直接、安倍総理とお会いしたいとおっしゃっているんです。加計理事長と同じ15分でも、せめて15分でも会えないんですか」と安倍首相に訴えると、安倍首相は事も無げに上記のとおり言い放ったのだ。 しかも、この日の夜、安倍首相は銀座の料亭で、高プロ創設を宿願としてきた経団連の今井敬、御手洗冨士夫・両名誉会長らと会食。高プロの創設が目前に近づき、経団連のお歴々と祝杯をあげたことは想像に難しくない。 高橋まつりさんの過労自殺を「働き方改革」の宣伝として使い倒し、時間外労働の上限規制と高プロ創設をセットにすることで本質をはぐらかし、過労で死に追い詰められたまつりさんの事件を過労を合法化するために利用した上、そのことに批判が高まると面会を拒絶して経済界の大物たちと乾杯する──。どこをどうとっても「人でなし」としか言いようがないだろう。 ◎バカ&人格破綻発言その6 「(遊説から帰国し)時差が激しく残っているなかにおいて、明日は(参院)法務委員会、2時間出て、ややこしい質問を受ける」 12月5日、「年末エコノミスト懇親会」挨拶で 臨時国会で最重要法案に位置づけられた「外国人材拡大」法案は、中身が空っぽな上に土台となる外国人技能実習生の劣悪な労働環境の実態を“捏造”していたことが発覚するなど、実態の見直しをおこなってから法案をつくり直すほかないことが明々白々に。というのに、安倍首相は法案審議じたいを「ややこしい質問を受ける」などと挨拶して、会場の笑いを取ろうとするという醜態を晒したのだ。 しかも、その参院法務委では、法務省がようやく出してきた技能実習生の「死亡事案一覧」で、2015?17年のあいだに技能実習生がじつに69人も死亡していたことについて質問が飛んだが、安倍首相は「亡くなられた例については、私はいまここで初めてお伺いをしたわけでありまして、ですから私は答えようがない」と、法務省資料にさえ目を通さないという自身の怠慢を正当化。ほかの質問でも「お答えのしようがない」と繰り返した。 あきらかになっていく技能実習生の非人道的な実態についての追及を「ややこしい質問」と呼び、その質問に答えた結果が、これ。そして、安倍首相はこのまま法案を通してしまったのである。 ◎バカ&人格破綻発言その7 「自衛隊が合憲であることは一貫した(政府の)立場で、自衛隊を明記することが(憲法改正の)国民投票でたとえ否定されても変わらない」 2月5日、衆院予算委員会 だったら改憲する意味も国民投票する必要なんかないじゃん! とツッコまざるを得ないだろう。そもそも、安倍首相は他方で「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打つことはいまを生きる私たちの責務だ」と言いふらしてきた。ようするに、「違憲論争云々というのが改憲の目的などではなく、平和主義を具体化した9条の戦争放棄と戦力不保持を骨抜きにし、改憲によってフルスペックの集団的自衛権の行使を可能にすることを目指しているのである。 しかも、姑息なことに、9月1日に掲載された読売新聞のインタビューでは「(国民投票は)政権選択の投票ではないと、明確にしないといけない」と発言。国民投票で過半数の賛成票を得られず改憲案が否決されたとしても、それによって自分が退陣することはない、といまの段階からすでに保険を打っているのだ。 国民が望んでいる景気回復や雇用、社会保障の問題よりも改憲を最優先課題にあげて、否決されても総理は辞めないと宣う──。この無責任ぶりに、来年はどこまで拍車がかかるのだろうか。 前編では世界規模に鳴り響いた安倍首相のバカっぷりをお届けしたが、後編では、人格破綻としか思えない、詭弁、開き直り、冷酷発言を紹介しよう。国民が危機に瀕しているとき、自らに疑惑が降りかかったとき、安倍首相はどんなとんでもない言動に走ったのか。笑いは一切なし、怒りしか呼ばない、国民無視の7つの言葉をしかと心に刻んでほしい! ◎バカ&人格破綻発言その8 「(赤坂自民亭は)和気あいあいでよかった」 7月5日、西日本豪雨のさなか「赤坂自民亭後の��らさがりで この日、7月5日には西日本を豪雨災害が襲っていた。14時には気象庁が「厳重な警戒が必要」と異例の緊急会見を開き、実際に同日には避難勧告が数十万人におよんでいた。ところが、自民党は左藤章議員いわく「酒飲んで、ワァーっというだけ」の「赤坂自民亭」なる内輪の宴会を開催。安倍首相も総裁選対策として参加し、宴が終わると、記者にこんなノーテンキな感想を口にしたのだった。 しかも、酷かったのはこのあと。翌6日には被害はどんどんと拡大していったのに、安倍首相は7日の午前中に関係閣僚会議を15分間開いただけで、その後は私邸に帰宅。非常災害対策本部を立ち上げたのは8日午前8時。あきらかに初動が遅れに遅れたというのに「救命救助、避難は時間との戦い」と言い出し、その後も初動対応の遅さを指摘されると「政府として一丸となって、発災以来、全力で取り組んでまいりました」などとうそぶいたのだ。 安倍首相はこれまでも、頻発してきた災害に対して毎度毎度、信じがたい対応をとってきたが、今回はとくに酷い。救えたはずの命が初動対応の遅れにより失われたのではないか。──そうした声もあがるなか、しかし安倍首相は、またも信じられない行動に出た。それが、次の発言だ。 ◎バカ&人格破綻発言その9 「(虎ノ門ニュースを見たこと?)密かにありますね」 9月6日放送、『虎ノ門ニュース』で 今年9月6日午前3時すぎ、北海道胆振地方を最大震度7の大きな揺れが襲った。そんな緊迫した状況のなか、なんと同日、朝8時から放送されたネトウヨ向け番組『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に安倍首相が登場したのである。 しかもその中身は、インタビュアーの有本香らに同番組の“隠れ視聴者”であることを告白したり、収録にスタッフとして参加した百田尚樹の姿を見つけて顔をほころばせながら手を挙げて挨拶するなど、安倍首相は“応援団”に囲まれて終始ご満悦��最後には再び番組に出演することを約束したほどだった。 収録済みのVTR出演だったとはいえ、放送は災害が発生してわずか5時間後のこと。安倍首相は2016年にも『ワイドナショー』(フジテレビ)の収録に参加したあとに熊本地震が発生、そのときは安倍首相出演回の放送は延期されるという処置がとられたが、このときの放送延期は官邸からの申し入れによるものだったという。だが、この日の『虎ノ門ニュース』にはそうした対応をとらず、国民の神経をわざわざ逆撫でするような放送を許したのだ。 その理由もまた酷い。じつは、この放送翌日は自民党総裁選の告示日。総裁選は公選法の範囲ではないが、対抗馬である石破茂氏の単独メディア露出を封じるため自民党は新聞・通信各社に対して総裁選での「公平・公正な報道」を求める文書を配布するなど圧力をかけていた。その手前、告示日前のこの日に放送するしかなかったのである。 ようするに、北海道で発生した大地震で被災し不安の只中にある国民がどう思うかという感情や、総理大臣としての態度よりも、総裁選を控えてネトウヨにアピールするためのネット番組のインタビュー放送のほうを安倍首相は選んだ。しかも、沖縄ヘイトを垂れ流して放送倫理・番組向上機構(BPO)から「重大な放送倫理違反があった」「人種差別を扇動」と認定された『ニュース女子』を制作するDHCテレビによるネット番組に、である。まさに“ネトウヨ宰相”と呼ぶにふさわしいだろう。 ◎バカ&人格破綻発言その10 「(杉田水脈議員に)『もう辞めろ』と言うのではなく、まだ若いですから、注意をしながら、仕事をしてもらいたい」 9月17日、『NEWS23』(TBS)出演時に 性的マイノリティには”「生産性」がない”と「新潮45」(新潮社)8月号の寄稿文で主張したことが大きな問題となったものの、いまだに何の説明も公の場でおこなっていない杉田水脈議員。批判が高まるなか、しかし安倍首相は50歳を過ぎる立派な中年である杉田議員を「まだ若いから」と擁護し、「党としても、多様性について尊重する党であります」とつづけたのだ。 差別発言を容認する党のあり方を「多様性」だと言い張る……。これだけでも唖然とさせられるが、もっと驚かされたのは、自民党がかたちばかりの見解と処分を下さない旨を公表した8月2日の夜、安倍首相が出席した赤坂の中華料理店でおこなわれた自民党山口県連青年部・青年局の会合に杉田議員が参加していたこと。「週刊文春」(文藝春秋)8月16・23日合併号によると、杉田議員はこの会合に「すみませーん、お騒がせしています」と笑顔で登場したという。しかも、安倍首相は杉田議員の辞職を求めるデモに対して、「彼女はそんなに有名じゃないのに、なんでみんな騒いでいるんだろうね」と語っていたという。 杉田議員は慰安婦問題を否定したり朝日バッシングを繰り広げたことで極右政治家として名をあげ、安倍首相はそうした言動を「素晴らしい」と評価して自民党に引き入れた張本人。 稲田朋美議員や和田政宗議員らと同様、総理大臣という立場上、自分では言えない歴史修正や報道バッシングなどの“本音”をズバズバと発言・発信してくれる人物として自民党に招き入れた。つまり、安倍首相のガス抜き要員であり、ネトウヨの支持拡大要員である杉田議員を辞めさせるような考えは、安倍首相にはハナからないのだ。 国会議員として絶対にあってはならない差別発言を容認する、その自民党の態度の元凶は安倍首相にほかならないのである。 ◎バカ&人格破綻発言その11 「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」 2月6日、自民党・和田政宗議員のFacebook投稿へのコメント まず、このおよそ品性が見当たらないFBコメントにいたる経緯について簡単に紹介すると、籠池泰典前理事長が財務省に提出した設置趣意書に「安倍晋三記念小学校」と記したと朝日新聞の取材に証言したことについて、財務省が開示した趣意書では「開成小学校」となっていたことを鬼の首を取ったかのように問題視し、「朝日新聞は籠池容疑者が言ったことを鵜呑みにした」「ファクトが根本から違っている」「朝日新聞の報道は真っ赤な嘘」などとがなり立ててきた安倍首相。対して朝日は紙面で報道の経緯を伝えたのだが、これに和田議員が噛みつき、〈謝れない朝日新聞〉などと投稿した。すると、この和田議員の投稿に、なんと安倍首相が〈哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした〉とコメントをつけたのだった。 一国の首相ともあろう人物が、SNSでいちメディアを叩く……。しかも、このあと約1カ月後に朝日のスクープによって決裁文書改ざん問題が明るみに出たのだが、公開された交渉記録では近畿財務局とのやりとりのなかで、大阪府私学・大学課の職員が「小学校名『安倍晋三記念小学校』として本当に進捗できるのか、取り扱いに苦慮している」と話していたことが記録されている。つまり、「安倍晋三記念小学校」という名から“総理案件”であることを、近畿財務局と大阪府は承知していたのである。この交渉記録を見たあとでは、「哀れですね。安倍首相らしい惨めな言い訳。予想通りでした」とお返しするほかないだろう。 だが、この交渉記録をめぐっても、安倍首相は信じられない発言をおこなっている。それが、次だ。 ◎バカ&人格破綻発言その12 「(公開した交渉記録について)3000ページをちゃんと真面目によく精読していただければ(わかる)」 「みんな3000ページ読んでるわけがない。3000ページは大変なんですから」 5月28日、参院予算委員会 あのー、したり顔で説教かましてますが、財務省が公開した交渉記録は約1000ページ。約3000ページというのは改ざん前の決裁文書のほうなんですが……。ようするに、安倍首相は説教をぶちながら、自分は交渉記録を読んでいないどころか、交渉記録と決裁文書の区別さえついていないことを自らバラしてしまった、というわけなのである。 いや、じつのところ“肝心な部分”は読んでいるだろう。実際、昭恵夫人の「いい土地ですから、前に進めてください」発言が出た2014年4月28日の交渉記録は、いまなお出されていないままだ。一体、誰がこの交渉記録を消し去ったのか。真相を闇に葬らせるわけにはいかない。 ◎バカ&人格破綻発言その13 「私が(加計孝太郎理事長に)食事をごちそうしてもらいたいから国家戦略特区で特別にやるって、たとえば焼肉をごちそうしてもらいたいからそんなことするって、これ、考えられないですよ!」 5月28日、衆院予算委 いやいや、誰も「焼肉をゴチになったから、そのお返しに」というかたちで特区が決まったなんて言っていないし、思うわけがない。しかも安倍首相は「こちら側も相当ごちそうしている」「焼肉屋の場合はこちらが払ってる場合もありますし」と証拠も何もないままざっくりした記憶を並べ立て、「贈収賄になるとはとても考えられない」と強弁。何をトチ狂ったのか、ついには「(会食の)その後も、家でもう1回食べるってことも(ある)」などと言い出したのだった。接待を受けたあとに家でシメのお茶漬けをかき込めば贈収賄にならないって、それはどんな理屈なのか……。 むしろ、「加計さんは長年の友人だ」と強調し、あたかも学生同士のカジュアルな付き合いのなかでおごってもらったかのように「印象操作」しているのは、安倍首相のほう。そして、安倍首相と加計理事長の仲はそんな「焼肉をおごる・おごられる」というような庶民的なものではけっしてなく、実際に「週刊文春」(文藝春秋)2017年4月27日号では、加計理事長が「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ」と口にしていたと報じられている。「焼肉」をもち出して矮小化しようとは、姑息すぎるだろう。 ◎バカ&人格破綻発言その14 妻が名誉校長を務めているところは数多ある」→(「一体どこの学校や保育園なのか」と問われて) 「これはあのー、学校としては御影インターナショナルとですね、えー、あ、あの、み、瑞穂の國記念小學院ですか? はい」 3月26日と28日、ともに参院予算委員会 端的に「アホなんじゃないだろうか」と言うほかない。3月26日、安倍首相は国会で「妻が名誉校長を務めているところは数多あるが、それが行政等に影響を及ぼしたことはない」と断言したのだが、その2日後に共産党の小池晃議員が「数多あるという名誉校長を務めている学校は一体どこか」と質問。すると安倍首相はしどろもどろになって「名誉校長ではなく名誉職に訂正したい」「名誉職は相当な数がある」「そのほとんどは辞退することになっている」「ちょっと待って下さい……えーっと、校長と園長ということでは現在の段階ではありませんが」「おそらく校長とか園長はない」などとごまかしつづけた挙げ句、「すでに……えー、現在はですね、それはあと2つあったわけでございますが……すでに辞めているというわけでございます」と答弁。無論、「それはどこなんですか」という声があがり、安倍首相がしぶしぶ答えたのが「御影インターナショナルと「瑞穂の國記念小學院」だったのだ。 言うまでもなく、瑞穂の國記念小學院は森友学園で、御影インターナショナルこども園は加計学園が運営する学校。ようするに、「名誉校長を務めているところは数多ある」というのも嘘、さらには「行政に影響を及ぼしたことはない」というのも真っ赤な嘘だった、という見事なオチがついたのである。 自ら蒔いた種で墓穴を掘るとはなかなかできない芸当だが、同時にこの嘘は、モリカケがいかに「アベゲート」であるかを物語っているだろう。 ◎バカ&人格破綻発言その15 「ゴルフに偏見を持っておられると思います。ゴルフはいまオリンピックの種目にもなってますから。ゴルフがダメでですね、テニスはいいのか、将棋はいいのか、ということなんだろうと思いますよ?」 9月17日、『NEWS23』(TBS)出演時に 数ある今年の発言のなかでも、思わず目がテンになってしまったキング・オブ・バカ発言といえば、やはりこれだろう。 総裁選を控えて石破氏とともに『NEWS23』に出演した際、キャスターの星浩氏が加計問題を追及。許認可を与える立場の安倍首相が利害関係者である加計孝太郎理事長とゴルフや会食を繰り返すことは適切ではないと指摘すると、安倍首相は「加計さんとは利害関係者になってからの付き合いではなく、学生時代からの長年の付き合いだ」と反論したが、星氏が“たとえば利害関係者である金融庁の幹部とメガバンクの頭取は学生時代からの友人であってもゴルフをしちゃいけませんよ”とごく当然のツッコミを入れると、安倍首相はいつものムキになったときの口調で、上記のようにまくし立てたのだ。 テニスだろうが、将棋だろうが、利害関係者と交友をもつことが問題だと言っているのに、なぜかゴルフ擁護をおっぱじめた安倍首相。挙げ句「テニスならいいのか」って……。これぞまさに今年の流行語・新語に選ばれた「ご飯論法」、いや、遠足のおやつ持参を禁止されて「だったらバナナはおやつに入るんですかぁ?」などと言い出す小学生そのものではないか。 総理大臣という最高権力者が、利害関係者と頻繁にゴルフや会食をすることの不適切性をまったく理解せず、小学生メンタリティで幼稚な反論をテレビで繰り出す。これぞ、この国の恥ずかしい実情なのである。 ---------------------------------------------------- ここまで読んだ読者は、「どうしてこんな人物が総理なの……」 と溜息をつかずにはいられないだろう。今年の発言を振り返って確実に言えることは、国民の命を守ることに関心がなく、お仲間を優遇し、国民を欺き、フェイクを垂れ流し、つねに詭弁を弄する、そういう総理大臣だということだ。そして、公文書改ざんという国家的大犯罪が発覚したというのに、いまだ居座っているという信じがたい現実──。ぜひ、来年の年末こそは、このような発言をまとめなくても済むよう退陣を願いたいものである。 litera(前編)https://lite-ra.com/2018/12/post-4460.html litera(後編)https://lite-ra.com/2018/12/post-4462.html
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■「カメラを止めるな」のメモ
▼「低予算にもかかわらず傑作!」と話題の「ゾンビ映画」、上田慎一郎監督「カメラを止めるな」を観た。
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▼俺が観るような映画はたいがいが当日、ふらっと映画館に足を運んでも席がゆうゆう空いているようなものばかりだが、今回は「どの時間も満席です!」状態で、ふらっと行って撃沈してしまった…。
▼それくらい人気のある映画だが後日、観てみたところ、やはりバズる作品というのは時代の空気をうまくとらえているんだなあ、と痛感させられた。
▼その意味するところはこれから書いていくが、まず言っておけば、他の多くの人たちがいうとおり、脚本や演出などは文句なくよくできた作品だと思う。だから映画自体には特に反感はない。
▼だが、映画とは別にそれを受け止める人たちの反応をみて複雑な気持ちになっている。
▼何が言いたいのか?その前にストーリーを追ってみる。 ▼俺は「ネタバレ配慮」みたいなことを全くしないが、この映画ばっかりは、しておかないと怒られるかもしれない。というわけで…
▼以下、ネタバレ500%で行く!
▼あとは各自で判断して読む/読まないを決めてもらえればと思う。
■ストーリー
▼ストーリーは山奥の廃墟から幕を開ける。なお、以後37分にわたり映像はワンカットで流れ続ける。
▼そこでは、ある「ゾンビ映画」の撮影��行われていた。撮影隊を前に演技をしているのは、主人公の女子・松本逢花(秋山ゆずき)と、彼女を襲うゾンビの青年・神谷和明(長屋和彰)。どうやらゾンビ青年は女子の彼氏だったよう
▼恐怖に顔をゆがませながらも愛する彼氏に食われることを受け入れる女子。そして映画は…と思いきや、「ハイ、カットーー!」と怒号が!
▼声の主は、怒り混じりの顔で女優に食ってかかる。監督の日暮隆之(濱津隆之)だった。このシーンだけで42テイクを重ねているがまだ満足できぬ様子。どこにでもあるようなチープなゾンビ映画の1シーンなのに…
▼「恐怖っていうのは出すんじゃないんだよ!出るんだよ!」「お前がウソばっかりの人生だから本物がでないんだ!」「本物をくれよ!恐怖に染まった本物の顔、顔、顔!」
▼女優が泣きそうになるほど追い詰める日暮。だが、しばらくすると「屋上のシーンで使う血のりを撒きに行く」といって消えていく。
▼ここで一旦休憩。「何なの!?あの鬼監督は?」と、グチりはじめる主人公役の女優と、ゾンビ役の俳優。そしてメイクのおばさん(しゅまはるみ)も。
▼とはいえ、しばらくグチっていたが、話がもたなくなったのか、俳優はメイクのおばさんに趣味を聞く。「護身術にハマっててね」などと言うおばさん。そして、「やってみせましょうか?」と護身術を披露。俳優が試しに背後から覆いかぶさったのを「ポン!!」という大きな掛け声とともにはじきとばす。
▼だが、もうそろそろ別の展開に行けばいいものを、3人のグダグダなトークがこの後も続く。また、途中、廃墟のドアが「ドーン!」と不自然に音を立てるなど、違和感のある映像が続く。
▼「やっぱり低予算映画だからいろいろ雑なのかな?」と観ている人は、思うだろう。だが、これは後段に続く重要な伏線になっていく…
▼ともあれ、このグダグダトークが続いた後、メイクのおばさんはロケ場所であるこの廃墟にまつわる「ある噂話」をし始める。
▼なんでもここはかつて旧日本軍が人体実験をしていた場所で、屋上に血を撒くと実験中に死んだ霊が寄ってくるのだという。
▼それを聞き「まさか、あの鬼監督、リアルを追求するあまり本当に霊を呼ぼうとしてるんじゃ…」と、不安になる俳優&女優…。
▼すると時を同じくして、廃墟の外で異変が起きる。タバコを吸っている照明さん(市原洋)の元に、フラフラとゾンビメイクのおじさん(細井学)が。
▼「もう~、なんなんすか?もう演技してんすか?」などと半笑いの照明さん。どうやらおじさんは、この後のシーンで出てくるゾンビ役者のようだ。
▼だが、おじさんは「ゾンビの演技」をしているのかとおもいきや…ブハー…謎の体液を録音マンに吹き付ける。「えええっ!」。パニックになる照明さん。さらにゾンビオヤジは、彼の腕にかぶりつく。
▼「うわああ…」。たまらず、女優&俳優&おばさんのいる場所に逃げてくる照明さん。「どうしたんですか?」と、ポカンとする3人だったが、彼の片腕が食われていることに気付くと騒然。そして、倒れ込む照明さんをみて「死んでる…」
▼「廃墟にまつわる噂話は本当だったのか!?」。
▼焦る3人は「ここから逃げないとゾンビに襲われてしまう」と、脱出の準備をはじめ、廃墟から逃げ出して行く。
▼すると当時に、屋上に行っていた鬼監督もあわただしい感じで戻ってきた。 ▼さらになぜか、録音マン(山﨑俊太郎)も「もうダメだ~」と飛び出してきて、廃墟のドアをバンと開けて去って行く。
▼混乱する撮影現場…
▼そんな中、鬼監督はカメラ目線で「カメラを止めるな!」と、意味深なことを言いつつ、廃墟から逃げ出した女優&俳優&メイクのおばさんを追いかけていく…
▼この不思議なカメラ目線をみた観客は、どうやら「ゾンビ映画を撮っているうちに本当にゾンビが出てきた映画」以上の何かがあると察することになる。
▼だが映画は、その疑問をすぐに解消することなく、次の展開へ。カメラは廃墟を逃げ出した3人と、監督を追いかけていくことになる。
▼ここでも、途中から「ブレアウィッチプロジェクト」のようにカメラがゴロンと地面に置かれた状態で森の中をしばらく映していたり、3人を追うカメラが必要以上にユラユラしたり…と違和感のある映像が続く。
▼その後、廃墟を逃げ出した3人は、別の小屋をみつけ隠れることに。だが、不穏な事態に錯乱したメイクのおばさんが、女子の足に傷をみつけると「途中ゾンビに噛まれたんだろ?」と難癖をつけはじめ内ゲバ状態に。
▼「落ち着いて」という俳優を「ポン!!」とさっきの護身術で弾き飛ばし襲い掛かるおばさん…
▼��して、映画は、内ゲバ→女子の逃走→おばさんの気絶→ホントに男子がゾンビ化→監督もゾンビに捕食…と、急展開をたどる。
▼この間にも、「なんでこんなシーンなの?」と思わせる違和感ありありな映像がいくつも差し込まれる。
▼そして、映画はクライマックスへと向かい、女子とゾンビ化した男子が向かい合う映画冒頭と同じ光景に…。
▼だが、シナリオとは逆に、ここでは、女子が男子の首を斧でぶった切る。
▼そして血まみれの女子を空から俯瞰したようにカメラが抑え…映画は終了。
▼エンドロールとともに画面にはタイトルロゴである「ONE CUT OF THEDEAD」の文字が!ここまでで37分。
▼だが…「ああ、ゾンビ映画を撮っているうちにホントにゾンビに襲われる低予算のフェイクドキュメントだったのか…」と思うと、突如、次の展開が。
▼画面には「1か月前」の文字…
▼そしてカットが変わると、舞台は病院の屋上に。見れば、さっき照明さんに咬みついたオヤジゾンビ役の俳優(細井)が車いすに座っている。
▼どうやら別の作品のロケ風景のようだ。彼にささっと駆け寄り目薬を差す撮影隊。「あれ?俺なんで泣くことになるんだっけ?」と、おじさん俳優は戸惑うが、「大丈夫です。ここナレーションを被せますんで」などと、やっつけ気味にディレクターが言う。
▼だが、そのディレクターは…なんとあの鬼監督・日暮!とはいえ、その表情はなんとも弱弱しい。さっきの鬼ぶりが嘘のようだ。
▼そして「ハイ、スタート!」と撮影が進められていく…
▼「え?これは一体…?」と、突然の展開に混乱する。だが、映画を観ているうちに次第に事情が呑み込めてくる。
▼ストーリーを先取りしておけば、冒頭37分の「ONE CUT OF THE DEAD」は、フリーディレクターの日暮が「ある大人の事情」で撮影&出演することになった作品だった。
▼映画冒頭では鬼気迫る目をしていたが、あれは「演技」。普段の日暮は、「安い、早い、質はそこそこ」がウリのポリシーなき映像ディレクター。
▼依頼される「作品」も、テレビ番組のちゃちな「再現ドラマ」など「やっつけ仕事」ばかり。
▼そのため元女優の妻・晴美(しゅはまはるみ!そうあのメイクのおばさん!)からは、半ばあきれられ、自らも映像作家を目指す娘・真央(真魚)からは軽蔑に近い感情を抱かれていた。
▼家でテレビを観ていると、日暮が病院屋上で撮った「再現ドラマ」が流れるが、娘は即、チャンネルをチェンジ…
▼切り替えた先は、「情熱大陸」のような番組で、そこでは冒頭、ゾンビ男子役を演じていた俳優が滔々と「オレの俳優論」を語っている。「やっぱり映像に携わる人は情熱がないと…」という感じで、画面の俳優を見つめるまお。そんな娘を見る「やっつけパパ」の表情がなんとも���ない…
▼だが、そんな「やっつけディレクター」日暮にある日、仕事が舞い込む。
▼呼び出された場所は、先日できたばかりだという「ゾンビ映画専門チャンネル」のスタジオ。
▼それだけでもうさんくさいが、彼を呼び出したプロデューサーも、ワカメちゃんカットに大阪弁でかなりインパクト大。吉本新喜劇にでも出てきそうなオバハンキャラだ……(竹原芳子という人で本作が映画デビューのようだ)。
▼「これはアツアツの企画やで!」などとドヤ顔をしながら、オバハンは日暮に番組の撮影を依頼する。
▼それは「生放送!ワンカット!のゾンビ映画」…
▼ゾンビなど本当にいるはずがないのだから生放送にして臨場感を出す必要はないはず…しかもカットを割った方が特殊効果などいろいろテクニックも使えるはず…あまりに無謀な注文。編集にかける予算を削りたいためとしか思えない…
▼これには「いやいやいや冗談でしょ」と日暮も笑ってしまう。
▼だが、オバハンは本気だった…。で、結局、彼女らの圧に押され「やります」と言ってしまう日暮…
▼「護身術の番組鑑賞と、夫の書く台本を読むのが趣味」という妻も、シナリオを一読し、「大丈夫なの?」とあきれ顔…
▼それでも、他のディレクターが続々辞退したこともあり、「安い、早い、質はそこそこ」の日暮がやるしかなくなっていた。
▼こうして「ワンカット生放送のゾンビ映画」の撮影準備は進められていく。だが、もともとが予算を削る気マンマンの低予算映画。集まる俳優は、一癖も二癖もあるメンバーばかり。
「俺の俳優論」が好きで,台本の解釈ばかり聞く若手俳優(ゾンビ男子)
「泣けないかもなんで目薬用意しといてくださーい」などと、向上心のまるでないアイドル女優。「よろしくでーす」の口癖が腹立たしい。(女主人公)
セリフ合わせに子連れで来てしまうメイク役の女優と、そんな彼女とつきあいたい感満載の監督役俳優。
「水は常温って言ったじゃないですか?メールもしましたよ!」と水ばかり気にしている気難しい音声マン役の俳優。
そして、さっき屋上シーンにいたおじさんゾンビ役。彼はアル中気味で始終酒を飲んでいる。
▼これら面倒くさい人たちに囲まれ、板挟みとなりながら、必死の作り笑いで準備を進めていく日暮Dがなんとも切ない…。
▼それでもオンエア日は、刻一刻と近づいていく。そして生放送当日…事件が起きる。監督役の俳優とメイク役の女優が、現場に向かう途中交通事故に!
▼放送まで時間がない。脚本を換えるにも間に合わない。「無理です。何かと差し替えましょう!」と慌てる日暮。
▼それでも…「無理です。なんとか成立させてください。作品よりも番組です!日暮さん!」…現場プロデューサーの無常な宣告が。
▼追い詰められる日暮。父の仕事風景を見ようと妻も娘も観覧に来ていたが…
▼だが、時間が迫る中、土壇場で彼は決断する。「俺が監督役出ます!こう見えても高校時代演劇部なんで!」。さらに流れで「メイク役は妻で。元女優なんで!」
▼あまりにも無謀すぎるアイディアだが他に手はない。こうして日暮夫婦はキャストとして「ゾンビ映画を撮っているうちに本当にゾンビに襲われる生放送ワンカットのゾンビ映画」にキャストとして出演することになるのだった…
▼ここにきてようやく「ああ!そういうことか!」と全てがつながる。それだけでも関心するだろうが、その後の展開も、実によくできている。「ゾンビ映画を撮っているうちにゾンビに襲われる映画」ならば「ダイアリー・オブ・ザ・デット」など他にもあるが、「さらにその上を行くのね?」と感心させられる。
▼ネットを見回せば「絶賛」の声だらけなのも理解できる。
▼その後は、冒頭37分の「ONE CUT OF THE DEAD」が繰り替えされるのだが、そこでは先に感じた「違和感」の数々が「伏線回収」されていく。
▼たとえば… ◆「お前がウソばっかりの人生だから本物がでないんだ!」と罵声を浴びせる日暮の言葉は、アイドル女優の向上心なき姿を指していた。
◆3人の「ダラダラトーク」が続いていたのは、撮影の不手際をアドリブで時間稼ぎするためだった。
◆オヤジゾンビが吹きかけた「体液」は、アル中で吐いたゲロだった…。
◆鬼監督が不自然なカメラ目線で「カメラを止めるな!」と言ったのは生放送だったから。
◆途中音声さん俳優が「もうダメだ」と飛び出したのは、常温でない水を飲んで下痢になったから…
◆地面にカメラが転がった映像になっていたのは腰痛持ちのカメラマンがコケてギックリ腰になってしまったから…で、その後、カメラがゆらゆらしてたのは、彼についていた女子ADが代わりになったから・・・
…などなど、「あの違和感の正体はこれだったのか!?」とひざを打ちっぱなし!アルキメデスなら「ユリイカ!」を言いっぱなしの展開になる!
▼そして映画はラストに。だが、ここでもトラブルが。主人公の女の子を俯瞰で映すクレーンが動かなくなってしまうのだ。
▼そこで機転を利かせたのが、日暮の娘・真央。「やっつけディレクター」だと軽蔑していた父が、「カメラを止めまい」と全身全霊をかけ奮闘している。その姿に感化された彼女は、パパを助けるべく…一計を案じる。
▼彼女は突然、「みんなで人間ピラミッドを作るのよ!」と指揮。そして、スタッフ、キャストが全員力をあわせ、ピラミッドを作ると、まおはカメラを持ってその頂点に登って行く。
▼そしてカメラをかざすと…あの「ONE CUT OF THE DEAD」のラストカットが!
▼なんとバカバカしくも、ハートフルな展開…思わず心が満たされてしまう人も多いだろう。実際、俺が観に行った日は、映画が終わった後、館内では拍手が起きていた……。
▼いや、分かる。分かるのだが俺はその反応に複雑な気持ちになってしまう。「どうすればいいんだ、この夏 アンビバレントアバウト…」な気分になる。
▼何かこの流れに、非常に嫌なものを感じる。
▼いや、「カメラを止めるな」というが、その前になぜ「番組を止めろ!」と誰も言えなかったのか?
▼一歩引いて考えるなら、日暮も「いや、冗談でしょ」と笑うようにオバハンPの提示する「ゾンビ映画」は、どうにも無理筋だ。実際に、多くのディレクターが「やります」とは言えず、演出を辞退している。
▼さらに言えば、当日、役者も不在になってしまったのだから、何か別の素材で差し替えるべきだ。「ゾンビ映画専門チャンネル」なのだから、他のゾンビ映画を急きょ流しておけばよかったのではないか?
▼にもかかわらず、オンエアに至るまで誰も「おかしいよ」と言わず、本番でも「これはもう決まったことだから」として番組を止められなかった。
▼そして、次世代を担う若者を始め全てのスタッフが総動員され、いわばこの「茶番」を茶番でないものにすべく全身全霊を尽くさねばならなくなった。
▼そのうえ、それを「ハートフル」なものだとして観る人は100%心が満たされてしまっている。
▼これには、「わかる」と思いつつも「それでいいのか…」という気分になってしまう。 ▼「なぜこれをやる?」とか考えるな「止めない」と決めたら止めないんだ…
▼こうした事態を100%ハートフルに受け止めてしまっていいのか…
▼もちろん、人間生きていれば「こういうタイプの話」に巻き込まれ「止めないこと」に加担してしまうことはある。「僕はyesと言わない!」「首を縦にふらない!」なんて、カッコよく言えないことも多い。
▼それでも「マズかったんじゃなかろうか」と内省くらいはしないといけないのではないか。
▼その意味ではすごく今の空気をとらえていると思う。
▼たとえば、総理がうっかり嘘をついてしまった。嘘とは言わないまでも、国民からは大きな疑問符を突きつけられる「茶番な答弁」をしてしまった。
▼そんな中、側近や官僚たちが総動員され、全身全霊を尽くして「嘘が嘘にならないように」「茶番が茶番にならないように」奮闘する。
▼「安倍政権を止めれば代わりがいない」→「代わりがいなければ日本が止まる!」→「日本を止めるな!」とばかりに奮闘する。
▼こうして、なんとか事態を収拾するために、文書を書き換え、口裏を合わせ、「ご飯論法」で言質をとられないようにしていく…。知恵を出し合って、一見するとバカバカしい人間ピラミッドを完成させていく。
▼だが、そんな姿に国民は共感する。「ああ!あの人たちは日本を止めないために頑張っている!」
▼「なぜこれをやるの?」とか考えるな、「これを止めたらホントに日本が止まるの?」とか考えるな、「止めない」と決めたら止めないんだ…
▼法案の内容や、政策の有効性なんて二の次だ。日本経済を止めないために「働き方改革を全力でやっている」「金融緩和を全力でやっている」「賃上げを全力で企業に求めている」。とにかく「やる」とぶちあげたことを止めるな。止めないことが大事であって、止めずにやり遂げた後どうなるかなど今はどっちだっていい!日本経済を止めるな!
▼「この論文を認めたら日本から多様性がなくなる?」そんなことはどうだっていいんだよ!とにかくこの論文がおかしいとなったら現政権に穴が開く!穴が開いたら代わりがいないのだから日本が止まる。日本を止めるな!止めないためにはこの茶番な論文を茶番でなくするために全ての力を総動員しろ!
▼まずは「全部読まずに批判するのは言葉狩りだ!」とぶちあげて、時間稼ぎせよ。それから辞書で「生産性」を引いてきて、「生産性がない」=「価値がない」ではないことを主張していけ。
▼「日本ではLGBTの差別はないが、男女の性以外を認めると秩序が乱れる。だから、2つの性以外の趣味嗜好を持つ人は、差別がないからといって高校を卒業して���そんな趣味は続けないでほしいし、それでも続けている人には予算も支援も必要ない」という全体の論旨に触れさせないようにしろ。個別の言葉の意味に対する論戦に持ち込め。
▼そうやって泥仕合に持ち込んで、この論文はおかしくないという方向に持って行け。でないと日本が止まる。日本を止めるな!
▼こんな状況下で、シナリオの穴を指摘するようなことをしてもむしろ逆効果になるだろう。「ストーリーのあそこがおかしいだって?そんなことはどうだっていいんだよ!カメラを止めないことが大事なの!」「作品よりも番組なの!」
▼逆にいえば、今は、内容についての議論を骨抜きにしてしまう複雑な感情の動員回路ができてしまっている。
▼ともあれ。こうして政権が止まらなかった時、国民は心が満たされるだろう。「ああ、日本は止まらなかった」と。
▼そんな事態を100%ハートフルに受け止めてしまっていいのか…
▼いや、受け止めているから今こうなっているのだろう、と思う。
▼小林よしのり氏などは、自身のブログの中で、現政権を漫画家にたとえ「普通は読者が読みたくないといえば打ち切りなるのに、今は作者が続けたいからという理由で連載が続いてしまっている。これはおかしい」という。
▼しかし、言いたいことはよく分かるが、そうなのか?むしろ「続けてほしい」と思う読者がかなり多いのではないか?
▼俺は、それがなぜなのか、今までもうひとつ心の底からはピンと来ていなかったが、この映画を観て少し分かった気がする。単に「代わりがいないから」というよりも、彼らの奮闘ぶりが支持者にはどこか「ハートフル」に感じられるのだ。
▼そして、野党が攻めれば攻めるほど支持率が回復する理由も…
▼その意味で、本作は時代の空気をよく捉えた作品であるとともに、俺をなんともアンビバレントな気持ちにさせるのだった。
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明日のTVアニメ(地上波関東版)06/22
今日の一言:娼婦はれっきとした職業である。性を弄ぶ大人もそれを利用する子供も、その覚悟とプライドを知るべきだ
※今日の一言を募集しています。アニメと無関係でも全然OKですが、改行は削除して1行にまとめさせていただきますので、予めご了承ください。 投稿は http://form.mag2.com/koutrethec から。
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※メルマガ版ご購読の案内は http://www.mag2.com/m/0000064431.html まで。
~本日のnotes~ ・何か書けるといいんですがね~。 ・情報ソースはしょぼいカレンダーです。番組表はあくまで目安と言う事で、あとは購読者の皆さんの側でご確認ください。
※「本日のnotes」はあくまで雑記帳です。私が気が付かなかったことは書けないし、アニメとは無関係に言いたいことを書く時もあります。ご容赦を。
※この番組表は前日以前の発表に基づいて書かれています。正確な情報は当日の新聞や放送局サイトなどでご確認ください。
00:00 サクラクエスト #12 「夜明けのギルド」 [TOKYO MX]
00:00 【最終回】 まけるな!!あくのぐんだん! #12 [とちぎテレビ]
00:05 【最終回】 ラブ米 #12 [とちぎテレビ]
00:30 魔法科高校の劣等生 #25 「横浜騒乱編VII」 [TOKYO MX]
01:00 【最終回】 進撃の巨人(2) #37 「叫び」 [群馬テレビ]
01:05 終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか? #11 「どうか、忘れないで」 [TOKYO MX]
01:35 【最終回】 武装少女マキャヴェリズム #12 「少女達の「マキャヴェリズム」」 [TOKYO MX]
07:15 はなかっぱ バラの女王と黒バラの騎士/まわせ!フラフープ [NHK Eテレ]
16:00 マシーンブラスター #37 「死の人喰い花」 [TOKYO MX2]
17:00 アイシールド21 #90 「新たなる試練」 [チバテレビ]
17:00 ハートキャッチプリキュア! #39 「えりかピンチ!マリンタクトが奪われました!!」 [TOKYO MX2]
17:20 ピムとポムのちっちゃな冒険 #12 「さよならポッポ」 [NHK Eテレ]
17:30 キテレツ大百科 #303 「どーして?ボクたち臨時の八百八屋さん」 [チバテレビ]
17:45 キッチン戦隊クックルン(2) #204 「茶太郎スペシャル にんじゃをめざせ!」 [NHK Eテレ]
17:55 ヒミツのここたま #88 「気持ちさっぱり!前向きサリーヌ/あやかとウケローの野球教室」 [テレビ東京]
18:00 ゲゲゲの鬼太郎 #13 「奮闘!ぬりかべ用心棒」 [テレ玉]
18:25 アイカツスターズ! #62 「ゴーイング・マイウェイで♪」 [テレビ東京]
18:30 スペースコブラ #16 「地獄へ!ラグ・ボール」 [TOKYO MX2]
18:30 ハピネスチャージプリキュア! #8 「友情の危機!!ミスフォーチュンの不吉な予言!!」 [テレ玉]
18:30 幽☆遊☆白書 #48 「闇アイテム・死出の羽衣」 [チバテレビ]
18:55 ポケモン サン&ムーン #31 「ライチ登場!泣いて笑って、島クイーン!!」 [テレビ東京]
19:00 Go! プリンセスプリキュア #30 「未来へ!チカラの結晶、プリンセスパレス!」 [TOKYO MX]
19:25 スナックワールド #10 「新世代アイドル 赤ずきん48」 [テレビ東京]
22:00 【最終回】 ノーゲーム・ノーライフ #12 「収束法《ルール・ナンバー・10》」 [TOKYO MX]
23:00 咲-Saki- 全国編 #2 「応援」 [とちぎテレビ]
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日刊メルマ瞬報/碇本学の『碇のむきだし』2016年に読んだ新刊の彼ベスト
※『水道橋博士のメルマ旬報』Vol.109より
みなさま遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 新年一発目の連載です。去年は『岩井俊二と園子温の時代』というタイトルで書かせていただいていました。12月に最終章まで書いて次に何を書こうかなと考えていたのですが、次に書きたいと思っていることの準備があったりするのでしばらくは読んだ本について紹介するという感じで書かせていただこうと思ってます。 僕が読んでいる本なので偏っていたりするかもしれないですが、そういう本があったんだと思って手に取ってもらったり、タイトルだけでも脳裏の片隅に置いてもらえば、いつか読む機会に繋がったりすればいいなと思います。 去年2016年に読んだ新刊のマイベスト(小説)を挙げてみます。 第10位:長嶋有『三の隣は五号室』 これまで長嶋有さんの小説はほとんど読んでいなかったのですが、去年窪美澄さんのB&Bで行われているトークイベント「美澄の小部屋」に長嶋さんが出られることがあり、その時の新刊だった『愛のようだ』を最初に読みました。そこから過去作を振り返りながら知り合いの方々にオススメしてもらった何作かを手に取りました。
↑はイベントの時に『愛のようだ』にいただいたサインなのですが、サインしてもらいながら「うん、確かに」と納得してしまいました。 大きいとか小さいとか、形がいいだとか乳首や乳輪がどうだとか男ども言ってんじゃない、大事なことはこうだろ、とガツーンと言われたような気がしたんですが、書いてる長嶋さん見ていると「確かに小説にこういう件はありましたけど」と笑ってしまいました。 長嶋さんの小説はこういうニヤリとするユーモアとともにあり、微細な部分がとても丁寧に書かれています。 「ああ、そういうことってあるよね」という日常の中で感じるものがあり、読みながら再発見していくことで色あせていた日常が少しカラフルになるような作品が多いと思います。 『パラレル』『夕子ちゃんの近道』という作品から入るのもいいかもしれません。僕はこの二作品みたいな小説をいつか書いてみたいと思いました。なんだか優しいんですよ、人々や世界が。角がないというのかまろやかでちょうどいいあたたかさがあって、僕も小説に出てくるような人たちと出会いたいなと感じて、でもいなくもないんじゃないかなって何人かの友達のことが浮かんでくるとなんだか嬉しくなるのです。 『三の隣は五号室』という作品は、今あなたが住んでいる家や部屋が新築で初めて住んだのがあなたでない場合だと以前そこに誰かが住んでいたわけですよね。そんなある一部屋を舞台にかつてそこに住んでいた人たちを巡るお話です。 柱にある見知らぬ傷だとかシンクについたどうしても落ちない汚れだとか、自分が住む前に住んでいた人の残り香のようなものってありますよね。そういうものについて書かれた、いわばある空間に起きた時間の流れを書いた作品です。これって長嶋さんじゃないと書けないよなという作品だったりもします。なんだか読みながら笑みがこぼれてしまいます。他者の時間を想像し、自分の人生に繋げることができそうな気がする作品です。直接は交わらない人生がある同じ空間(アパートの一室)を共有している。その一部屋はとてもミニマムな空間かもしれないのですが、それがマキシマムになっているのが僕らのいるこの世界です。 09位:山白朝子『私のサイクロプス』 山白朝子という小説家を知っていますか? 知らない? では、映画された『百瀬、こっちを向いて。』や『吉祥寺の朝比奈くん』などを書いた中田永一さんを知っています���? ならば『ZOO』や『GOTH リストカット事件』や17歳の時に『夏と花火と私の死体』でデビューした乙一さんという作家を知っていますか? 実は山白朝子=中田永一=乙一さんなんです。一人の作家の別名義なんですね。ちなみに乙一さんの奥さんのお父さんは映画監督の押井守さんです。乙一さんはあとがきの文章も面白いのですが、彼があとがきだけを集めた本があったら読んでみたいと書かれていて激しく同意を覚えたことがありました。あとがきって大事ですよね。文庫とかだと是非入れて欲しい要素です。 僕の勝手な思いですが単行本が文庫化された時には、ぜひ装丁デザインを変えるか(これは単行本のデザインがよかった場合は変えなくてもいいとは思いますが)、あとがきを書いて欲しいです。あとは解説もぜひ。文庫になったら手に取る人が増えるのはまあ価格帯もあって当然の成り行きなのですが、単行本を持っていて尚且つその作家を応援するという目的で買っているファンが少なからずいるので、そこは著者の方や出版社さんめんどくさいとは思うんですけどやって欲しいです。僕は正直あとがきを読むためだけに単行本持っていても文庫化した作品を書うというタイプです。そんなわけで2月6日に発売になる園子温原案×碇本学著『リアル鬼ごっこJK』(文芸社文庫)は装丁も様変わりし、あとがきも書いてます。あとがき書いてみたかったです。編集者の方から「あとがきも書いてください」とか言われるものだと思ったら言われなかったんで、原稿を校正する時に勝手に書いて組み込みました。宣伝失礼しました。話を戻します。 たしか2000年前後ぐらいから僕は乙一さんの作品を読み始めました。その頃はラノベの作家さんというイメージでした。当時はすでに幻冬舎文庫でも書かれていましたが、角川スニーカー文庫で出た作品を読んでそれが面白くてファンになったのを覚えています。その頃の作品だと『さみしさの周波数』が僕はすごく好きです。 少し話が逸れるかもしれないのですが、あの当時いわゆるラノベから出てきた作家で印象的だったのはこの乙一さんと桜庭一樹さんでした。桜庭一樹さんはのちに2008年に『私の男』で直木賞受賞作家になりました。僕の感覚なので他の方には違うと言われるかもしれませんが、2000年前後にラノベを読んでいた10代の読者が成長して二十代になっていく中で、その読者が離れずに他の世代にも届くようになって売れっ子作家になっていったのが乙一さんや桜庭一樹さんという気がします。 十代の読者が二十代になっていく中で彼らはラノベから一般の文芸でも書くようになるというタイミングがあって、それらもうまくリンクしてブレイクしたのかなと思っています。そういう意味でラノベや今だとボカロ小説を書いている作家さんで数年後、読者が大人になっていく中で、お二人のように一気にブレイクしていろんな世代から支持される作家が出てくる可能性が高いはずです。 今回からメルマ旬報のま組に入団した木爾チレンさんもそういう作家になっていくんじゃないかなって前から思ってます。自分よりも下の世代、できれば十代の中頃ぐらいの読者に届いている作家は強いですし、僕もそうでしたがいろんな作家を読むようになっていく中で一度離れたり新作を読まない時期があったりはするのですが、その作家が書き続けていれば一周して戻ってきます。戻ってきた時には作家も充分に力をつけているので自分にとって大事な作家感が増します。乙一さんも僕にとってそういう作家さんの一人です。 『私のサイクロプス』は少し民俗学っぽい要素がある少し怖いというか不思議な話の短編集です。いきなり単行本は、という方はこの作品の前作であり一作目でもある『エムブリヲ奇譚』の文庫からお試ししてみてください。乙一さんでも中田永一さんの作品でも入りとしてはいいと思います。 08位:伊坂幸太郎『サブマリン』 僕は人に小説をプレゼントするのがわりと好きで、その人があまり本を読まない人だとたいていの場合は、伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』を選びます。伊坂さんの小説を選ぶ理由は読みやすさもあるのですが、伊坂さんの小説を読むと他の作品も読んでみたいと言われることが多く、小説を読むきっかけになりやすい作家さんだと思うからです。そうなればしめたものです。 伊坂作品はシェアワールドというか同一人物が様々な作品の中に出てきます。作品がリンクすることで読み手は「あっ、こいつってあの作品に出てきたやつだ!」とますます伊坂さんの小説を読みたくなるわけです。この『サブマリン』は『チルドレン』という以前に出た小説の続編です。 家裁調査官をしている陣内という周囲を振り回す男が出てきますが、無茶苦茶なことを言ってるのになぜか憎めなくて読んでいくと彼がいたらいいのにな、でも、やっぱり嫌だなとか思いながら気がつくとその世界に入り込んでしまいます。こちらもまずは『チルドレン』を読んで「これ好きだな」と思ったらこの作品も読んでもらえたらいいなと思います。伊坂さんも乙一さん同様に少しだけ新作が出ても読まない時期があったのですが、やっぱり読んだらいいなって思って読んでいる作家さんです。 07位:最果タヒ『渦森今日子は宇宙に期待しない。』 最果さんは詩人としても21歳の最年少で2008年に中原中也賞を受賞されていますが、近年は小説もどんどん書かれています。そのうち芥川賞を取るんじゃないかなって僕は思ってます。先に三島賞取りそうな気が勝手にしてますけど。 単行本として出ている詩集では『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』があり、小説では『星か獣になる季節』『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』『渦森今日子は宇宙に期待しない。』『少女ABCDEFGHIJKLMN』とタイトルも良くて印象的です。 また、メルマ旬報チームの九龍ジョーさん担当作品である大森靖子+最果タヒ『かけがえのないマグマ』という作品もあります。タヒさんの本は装丁がすごくいいんです。これは本当に大事です。
※続きは『水道橋博士のメルマ旬報』にて
https://bookstand.webdoku.jp/melma_box/page.php?k=s_hakase
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