#鈴虫カフェ
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各地句会報
花鳥誌 令和6年9月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和6年6月1日 零の会 坊城俊樹選 特選句
切り通し省線吹きし若葉風 軽象 蜘蛛の囲に閉ざす社の狐たち きみよ ことごとく夏蝶となる水飛沫 緋路 白あぢさゐ女ばか��に愛でられて 和子 黴の間の亡者に点るシャンデリア 光子 夏の子はジャングルジムに天下とる きみよ 飛鳥山生まれ育ちの蟻の列 三郎
岡田順子選 特選句
乾きたる蛇口の先は夏の雲 緋路 黒南風やおづおづ開くみくじ歌 昌文 南天の花棲み古りし街の隅 美紀 黴の間の亡者に点るシャンデリア 光子 途切れなき列車音聴く四葩かな 風頭 ががんぼ来オルガンの鳴り止みてより 緋路 葉脈の青き稲荷の額の花 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月1日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
たてがみに綺羅したゝらせ競べ馬 かおり 負馬の負けを恥ぢざる眼の涼し たかし ユーミンの曲初夏の競馬場 美穂 負馬の誰にともなく息一つ 成子 鬼瓦の鼻ふくらめる若葉風 愛 熱砂駆け鼻息荒し佐賀競馬 たかし 競べ馬シャガールの馬天を駆く 修二 薔薇園にダイヤモンドのやうに雨 愛 勝馬に寄り添ふ笑顔女騎手 久美子 楽屋口より美しき絽の裾捌き かおり バンクシー赤い風船追ふ少女 修二 萍の沈黙にある水一枚 朝子 鞍壺に託す一戦競べ馬 久美子 蟻は蛾を人は柩をかかげゆく 睦子 早苗田の水の世界を行く列車 愛 紫陽花やすこしはなれて宇宙船 睦子 ひつそりと咲くこと知らず濃紫陽花 たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月3日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
短夜の沖に生活の灯のともり かづを 短夜や和尚偲びて尽きぬ宿 笑子 黒南風の精舎を昏め沈めをり 希子 十薬や花明りして父祖の墓地 匠 網を引く明易き浜声合はす 同 悠久の光を溜めて滴りぬ 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月6日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
麦の秋鳥の旋回しばし見ん 喜代子 黄金を刈り取る如き麦の秋 由季子 短夜に一夜の旅の用意せる 都 麦秋の大地を分ける鉄路かな 同 逝きし人思ひ起せる虹の橋 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
体内のおほかたは水田水張る 都 湯上りの鏡を閉ぢて蛍見に 美智子 麦秋の金波を運ぶ風頰に 宇太郎 春雨にすつかり濡れて泣黒子 悦子 杜深し��だまの降らす花樗 美智子 校庭に名札を付けたミニトマト 佐代子 南天咲く早世力士悼みては すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
空晴れて植田始まる農学部 亜栄子 一村に水ゆきわたり植田かな 百合子 としあつ師偲ぶ薄暑の石仏 教子 枡形の山気を吸ひて蝸牛 三無 下闇や気づけば猫の傍に 白陶 紫陽花の青き滴を受ける句碑 三無 月光をのせて十薬母の逝く 幸子 奥信濃瀬音まじりに河鹿鳴く 美枝子 故郷は懐深く初夏の旅 教子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月10日 なかみち句会
老鶯の声高らかに姿なく 廸子 老鶯や森の静けさ澄み亘る 聰 網戸開け小さき一匹逃しけり 貴薫 書を開く網戸の風の良き加減 三無 緑陰の間の光踏み遊ぶ のりこ 緑陰や刹那休らふ盲導犬 美貴 緑陰の森歩す空気異次元へ ます江 緑陰に入れば降るもの香るもの 怜
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令和6年6月10日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
風鈴を今年は出さうかと思ふ 昭子 石庭の砂紋に僧や水を打つ 時江 麦秋や己は小作小百姓 世詩明 万緑の真つ只中で友となる 三四郎 玻璃に付く守宮の目玉大きかり ただし ぬけぬけと嘘吐く男草虱 世詩明 堰音の六月の水裏返す ただし 田植済み静かな寝息一村に みす枝 一望の青田や下校チャイム鳴る 時江 野仏の一重まぶたや著莪の花 ただし サングラス外して白き歯を見せる 昭子 音もなく崩れる雲の峰一つ ただし 僧逝きて幾年寺の木下闇 英美子 緑蔭の不開の門や鐘響む 時江 菖蒲の湯頭脳ゆつくり休ませり みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月11日 萩花鳥会
久々の娘とのドライヴ花菖蒲 祐子 夢誘う伊豆の旅寝の夕河鹿 健雄 薫風に一味添へてウイスキー 俊文 能登思ふ絆の祭始まりて ゆかり 太陽の恵み包みし枇杷すゝる 吉之 夕立の雲が覆ひし我が旅程 明子 鮎解禁河原で塩焼き白むすび 美恵子
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令和6年6月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
黒い線行つたり来たり蟻の道 紀子 内緒話浜昼顔がそつと聞き 同 初夏や日々の葛藤過ぎゆきて 光子 畳紙に包まれし物黴にほふ あけみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月16日 ���月句会 坊城俊樹選 特選句
紫陽花のしづくを朝日移ろへる 千種 木道の谷戸田の隅に余り苗 幸風 木下闇これより先は獣道 慶月 夏草や弥生時代の息遣ひ 三無 水無月の木霊に道を迷はされ 千種 里山の道標なる立葵 ます江 濃あぢさゐ彩を増す夜半の雨 幸風 半夏生白く人声遠くせり 千種 夏蝶の白の大きく森に消ゆ 慶月 木道に釣り糸垂らす夏帽子 経彦
栗林圭魚選 特選句
鳴き交はす鴉に梅雨の森深く 要 滑り台順番を待つ夏帽子 経彦 今年竹撓ひて風の行方追ひ 三無 雨上るもりの朝やねむの花 芙佐子 紫陽花や森の匂ひに深呼吸 ます江 万緑や森に命を繋ぐ雨 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月17日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
露草に一輪挿の織部かな 雪 白鳳の野々宮廃寺跡 同 僧偲ぶ僧の手描きに絵団扇に 同 夏蝶の祈るが如し辻地蔵 同 終電の汽笛編戸を通し聞く 英美子 竹落葉散る音を聞く真昼時 同 毛虫焼く南無阿弥陀仏唱へつつ みす枝 咲いてをり咲きかけてをり七変化 かづを 白寿まで闘志抱きて更衣 清女 鷺一羽思考してをり青田中 やす香 売れ残る金魚に疲れ見えにけり 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月19日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
青葉木菟夜を鳴かねばならぬかに 雪 五右衛門の煙管煙を吐ける山車 同 籠枕夫の遺せし油の香 清女 短夜を添ひ寝の犬に鼾きく 同 蜘蛛の囲の細きにかかるものは何 啓子 懐しき人に逢ふ夢明易し 笑子 風鈴の音とはならぬほどの揺れ 希子 短夜や星を眺めて聴く話 隆司 浴衣着て祭囃子の音に酔ふ 同 風鈴もそれぞれの色兄妹 和子 雨欲しきあぢさゐに色無かりけり 同 今夜だけ風鈴しづか話さうよ 令子 短夜や時の静かに広ごりて 千加江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月21日 さきたま花鳥句会
刺身盛り紫蘇一枚の境界線 月惑 路地裏の暮色に媚びる七変化 八草 夏見舞幼き文字に磯の風 裕章 草刈りの終へて現はる地平線 紀花 麦秋の風入れカフェの読書会 康子 梅漬けの重石に亡夫の酒の瓶 恵美子 たまゆらの時をあづけて啼く河鹿 みのり 麦の秋うねる大地の広々と 彩香 地に影を一瞬黒く夏つばめ 良江
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令和6年6月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
白鬼女の渡しと伝へ草茂る 雪 欠け初めし月に崩るる白牡丹 同 尻重な返事のいまだ梅雨に入る 同 山笑ふ声に呑まれてしまひさう 同 高層のビルに飛び込む夜這星 世詩明 夏旅に背中合せの駅の椅子 同 風遊ぶままに青田の百面相 同 極楽の風吹く寺に夕端居 ただし 朝倉の水の音する青蛙 同 音もなくむくりむくりと雲の峰 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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マジでいつぶり?2年前は飽きるくらいしてたのに…もう2年前か…。俺が定期で荒れてるから拾ってくれたんだよね、わかるよ。いつもありがとう。お互い「何に病んでる?」「病んでないよ」状態で笑ったけど、最近のモヤモヤ話したら強気な鈴木に元気もらえました。なんでそんなに俺の事わかる?ってくらい見透かされててウケた。でも、鈴木が幸せそうで俺も嬉しかったし、もっと幸せにしてもらえよーって思いながら話聞いてたよ。直接は言ってやんねーけどな!ツイートとか見てないようで見てるよね、おまえ。「あ、それツイートしてたよね」「見たよ」とかドキッとするからやめて欲しい。でも嬉しい。俺が返信してなさすぎてなんの予定も立てれてないけど、9月こそは!鈴木の月にする!ミスド食べ放題と!スイパラと!パンケーキ!爬虫類カフェはどうなった?俺ちゃんとお前が行きたいって言ってたの覚えてるからね。送ったボイメ毎日聞いてから寝てください。しょーもないことで2人で一生笑って、どっちかが飽きて冷めてるの通常運転でおもろかった。また近いうちにしよう。いっぱいありがちゅ。
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お年玉ー!自慢したいが為に載せる俺ってやっぱり可愛い。鈴木ありがとね。俺が変なムーブ入ってる時にいつも何となく寄り添ってくれる鈴木は今年も優しかった。全然話せてないし(俺のせい)あんなにしてた通話もずっっっっっっとしてないし(俺のせい)全然遊びに行けてないし(俺のせい)、なのにこうやって気遣って貰えるの嬉しいね。ま、せっかく話せた時もアホみたいな会話しかしてないんだけどさ。
見返して思ったわ、何だこれ。会話をしろ会話を!それだけ仲良しってことでね、いい感じに纏めときます。あ、今年こそパンケーキと爬虫類カフェ行こね。2022年に引き続き支え合いの2023でやってきましょう。今年もよろしくね。ありがとう。
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睡眠学習?
(白馬グリーンプラザのガーデン)
鈴虫の合唱がすごくなってきました🦗
昨日はちょっと疲れていて
近くのカフェで勉強☕️
今日は図書館まで歩けたけど
講義を聞きながら
気づくと寝てました😂
また聞かなきゃ💦
教会でメッセージ聞きながら
寝ていた自分を思い出しました💤
牧師から2mくらいの近さで
寝てたこともあります。
なんて大胆なんでしょう😁
2021.09.07
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ゆうべのまとめ 鈴虫はほんもの❤️ OちゃんとKぴん 3人で女子会 ❤️ #ありんこ東京日和 #ありんこ東京生活 #プリンスパークタワー #鈴虫カフェ #浴衣 (ザ プリンス パーク タワー)
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カフェ営業を終えてやしまーるから駐車場まで歩いて戻る時、一軒の茶店に目が留まる。夜がいい店は、やっぱり良い。いつか仕事上がりにここでソフトクリームを食べたいな。でもよく考えたらそんなに日数がないんだよな。急がないと。#TurtleIslandFoodAndThings のカフェ営業は折り返し、残り2週間ちょっと。あついあついって日中はくたばっているけれど、夜は鈴虫が鳴きはじめた屋島。秋は近いですね。 明日は10:00-16:30で営業します。ラムフルーツのスコーン、たぶんご用意できます。緊張するぜ。よろしければおためしください。おやすみなさい。 (屋島展望台) https://www.instagram.com/p/ChhdDJjv_yo/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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『夜にあやまってくれ』鈴木晴香 悲しいと言ってしまえばそれだけの 夜なら夜にあやまってくれ この一首を読んだ時の衝撃はいまだに 忘れられません。 まず感じたのはとてつもない力強さで、 突き放されているような抵抗感。 それなのに不思議と優しく 包み込んでくれるような あたたかい余韻がどこまでも続くのです。 短歌は31文字で構成されるので よくわからない、難しいといったイメージを 持たれがちですがその余白には無限の世界が 拡がっています。自由なんです。 この新鋭短歌シリーズは現代の歌人により 日々の愛おしさや切なさ、孤独、 あらゆる感情を瑞々しい言葉で 気付かせてくれます。 staff のぞみ #夜にあやまってくれ #鈴木晴香 #書肆侃侃房 #新鋭短歌シリーズ #森の図書室 #渋谷 #渋谷カフェ #ブックカフェ #読了 #本 #読書 #読書好き #小説 #小説好き #読書好きな人と繋がりたい #小説好きな人と繋がりたい #読書記録 #読書垢 #読書垢さんと繋がりたい #活字中毒 #本の虫 #book #books #bookcafe #bookstagram #booklover https://ift.tt/3pPokHT
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2021/5/15
朝、目覚ましより一時間ほど早く目が覚め、もういちど眠りに就き、目覚ましで目が覚める。ちょっと左目が開かない感じ、昨夜は早寝すればよかったと反省。時間がけっこうギリギリめ、大慌てで支度をして、スニーカーをけんけんしながら玄関から外に飛び出す。夏の空気感に胸がそわそわ、ひりひり。
偶然の奇跡的な出会い方はできるのに、何故か待ち合わせはできない僕たち私たち。30分近く駅構内を彷徨って、ようやくN、それからTと再会することができる。二人と会うまでは左目が開かなくて、テンション上がらんって感じだったのが、二人の顔を見たらふつうに元気になっている。青の羽衣を羽織る季節でもなくなって、シャツはいちおう青系統だけども、今日はちょっと青みが足りないかも~と思っていたら、Nの指に小さなブルーが光っているし、Tの目尻にもブルーが光っていて、なんだか嬉しいな~。Tの本日のアニマルはシマウマ、アニマルシリーズをコンプリートしたい。Nの紙袋の中から、さいきんそれのことばかり考えていて、何なら今日どこかのおもちゃ売り場で買おうと思っていたマジックテープのキャッチボールセットが出てきて腰を抜かしそうになる。えー、超能力ですか!
夏の陽射しのはなしをしていたら、さらに元気モリモリでてくる。上りも下りもしない大好きな床滑りのエスカレーター。スイスイ歩く~。
世界の珍しアニマル展示・販売会の会場に到着。動物園みたいな匂いがしてきて、気持ちが盛り上がってくる。ヒョウモントカゲモドキがいて、かわいいな~って眺めていたら、視界の隅のほうに黒色の足に毛の生えた昆虫のお仲間がいて、ぎゃっとからだが宙に浮かぶ。さらに砂漠在住の尻尾に特徴のある昆虫のお仲間がいて、ぎゃーっと変な声がでる。ヘビに睨まれたカエルのように身動きがとれなくなる。愉快な仲間たちは色んなところに潜んでいるらしくて、びっくりし過ぎて絶叫してしまうから、なるべく視界の隅をシャットアウトするように努める。足が百本ある愉快なお仲間が視界の隅にいて、硬直しながら真っ直ぐに目のまえを見据える。でも、なんでこんなにびっくりしちゃうんだろう。べつにきらいなわけではないのにからだが勝手に反応してしまう。じぶんの七不思議のなかでも、かなり大きな不思議である。Tがフェレットを抱っこ、さすがに慣れた手付き、フェレットのお股に金玉のようなのがあって、この子は男の子なんだろうかって思っていたら、飼育員さんがその金玉のようなのを摘み取って捨ててしまう。どうやらうんこがこびりついていただけだったらしい。Nも抱っこ、たまにNが見せるびっくりして顔が硬直するときの表情になっている。なんか流れでじぶんも抱っこすることになり、Nの表情が乗り移ったみたいに硬直していたと思う。でかめのカメレオン?がふつうに野放しになっている。左右の目の動き方がバラバラで、いったいどんなふうに景色が見えているんだろうと不思議になる。顔のまえで指をぐるぐるしてみると、びっくりして仰け反るような仕草。やい、びっくりするじゃねえかってNがカメレオンの気持ちをアフレコする。カゴの中のコウモリが仲良さそうにもつれ合っている。が緑のインコ、ルリコンゴウインコに名前が似ているけど親戚だろうか。ミーアキャット、飼育員さんの目がさっきのカメレオンみたいでなんか混乱してくる。数種類の大型のフクロウ、飼育員さんもフクロウのようにからだが大きくて、なんか顔や佇まいもフクロウみたいで、このフクロウさんたちの長老みたいに見える。
電車で大移動。Tのタトゥーのはなしから、その文字に込められた意味のはなし。thousand summerは千夏。千夏というのは、いまでは疎遠になっている高校時代に大好きだった友達の名前。この数行の言葉で言い表せてしまう小さなしるしに、じぶんの大事にしていることの核みたいなものが完璧に刻まれていると思った。窓から夏の白い雲がずっと遠くに見える。このあいだのHの幻聴のはなしといい、Tの千夏��ゃんのはなしといい、いちばん聞けて嬉しかったことをどちらともNがしれっと聞き出していて、あとからいま何のはなししてたの? っ���、なんとなく気になって聞くケースが続く。
駅に着いて、ほとんどオンタイムでHと合流。HのTシャツ姿を見て夏仕様だっとT。錨のあるコンビニで、すっかり気に入ってしまった言い表し空気清浄機ことYちゃんを待つ。待ち切れなくって、マジックテープのキャッチボールセットを出してもらう。コンビニのまえで投げ合う。楽しい……、楽しすぎる! なんて楽しいんだぁ~! なんて、なんて楽しいんだぁ~!!!! Yちゃんがなんか弱っているというか項垂れながら到着、PVで見ているからかもしれないけど初対面という感じはまったくしなくて、聞いたことのない声もすでに知っているような感じがする。似たような顔の骨格のひとを知っていて、その声を知っているからかもしれない。華奢でかわいらしくて、道端に咲いている花みたいに風が吹いたら飛んでっちゃいそうなんだけども、なんか仕草の端々にどっしりしているというか、でーんとしたような粗野さのあるのが可笑しな感じ。
中華街でご飯を買って、公園に行くことにする。ふつうの中華ちまきと、王さんの中華ちまきとかいうのを食べ比べることにする。ふつうの中華ちまきを持って、王さんのお店に行くと、店番の王さん?にカタコトの日本語でずいぶん可愛らしい中華ちまきねって言われる。たしかに出てきた王さんの中華ちまきはでかい。Yは餃子みたいのを買いもとめ、その場に立ったまま軽く背中を丸めてぱくぱく餃子みたいのを箸で食べはじめている。YとNも王さんの中華ちまきを買いもとめる。中華ちまきって大好き。子どもの頃、朝ごはんが中華ちまきだと嬉しかったことを思い出す。
Hと小説のはなしをしながら公園の方面へ。公園に行けども落ち着けそうな場所がなく、うろうろと歩きまわる。噴水に虹ができている。芝生のあるらしいエリアが立入禁止になっていて、ふ頭のほうに行ってみる。さすがに待ち切れなくなって、小さいほうの中華ちまきの笹の包みをといて歩きながら食べはじめる。Yも歩きながら箸で餃子みたいのを食べている。ふ頭の手前の広場みたいなところに腰を落ち着かせる。小さいほうの中華ちまきは笹の包みが一枚だけだったのに、王さんの中華ちまきは何重にも笹に包まれていて、脱いでも脱いでもパンツをはいている人みたいに、なかなか肝心の中身がでてこない。箸で笹の葉をほじくるように食べる。おいし、朝ごはんに食べたい。早くキャッチボールしたくて、モリモリ食べる。キャッチボールしようよって誘うけれど、みんなまだ王さんを食べている。先に食べ終わって海を見ながら煙草を吸っているHに相手になってもらう。ちょっとずつ距離を広げてゆく。楽しいよぉ、楽しすぎるよぉ、今日なにかあって死んでしまってももはや思い残すことないくらい楽しい。Hが休憩タイムで、Tに代わる。このあいだの石投げのときTの投げた石があり得ない方向にとんでいったのを思い出して、ちょっと不安になったけども、意外にもいい球が真っ直ぐとんでくる。陽射しに汗が滲んでくる。ボールにはいちおうシームがあって、スライダーの握りで投げてみると、ちょっとだけククッと曲がる。山なりのカーブも投げてみる。ためしにチェンジアップの握りで投げてみると、それまでとおなじ軌道でボールがこないからかTがキャッチし損ねる。ごめんって思いながらもちょっとうれしい。
汗じっとりの喉カラカラでふ頭に行く。自販機で買った麦茶が美味しくって、美味しくって、ひと息に半分くらい飲んでしまう。急に眠たくなってきて、大あくびが止まらなくなる。図書館に寄ってきたというYのトートがべらぼうに重い。ふ頭の内部の静かな廊下みたいなところでYが鈴の音に気がつく。ふ頭から海を眺める。窓に映る雲とじぶんたちの姿。風景にあまり興味のなさそうなHが海の写真を撮っていて、ちょっと意外に思う。ふ頭の高いところにのぼる。双眼鏡に100えんを入れる。覗く。間近に青い海がゆらんゆらん波打っていて、海だ! って思う。代わるがわる双眼鏡を覗くみんなも海だ! って反応する。客船に乗っているひとの顔まで見える。飛行機に乗ってるひとも見えるかなって誰か、あいにく飛行機はとんでいない。柵に身をあずけながら海を眺める。YとNがサザエさんのオープニングをなんか唐突に歌いはじめて、サビ前のホーンから伴奏で参加する。ふたりの歌声がぴったりユニゾンしている、ルール ルッル ルー 今日もいい天気~。すごい楽しくって、またしても今日なにかあって死んでしまっても思い残すことなしって思う。エンディングも歌う。たしかにぜんぜんちがう曲なのに、なんか似ているような気がして、どっちを歌っているのかわからなくなる。東京湾にひとを沈めるはなしから、この海にどれくらいひとが沈まっているいるか、千人はくだらないんじゃないって。トンビが華麗に空中でバランスをとって餌を狙っている、餌になりそうなものは何にも持っていないし、他人事のように思っていたら、背後から急降下でペットボトルを狙われて思わず尻もちをつく。すごい! ものすごく近くてびっくり! トンビはまた空中にいる、尻尾の羽を微妙に左右に傾けながらバランスをとっている様子が宮崎駿のアニメとか当時の映像でみる昔の飛行機の様子と重なる。
徒歩で映画へ。波止場の入口辺りに波止場会館というカフェみたいのがある。大あくびをしながら、疲れたし眠いから映画寝ちゃうかもな~って言っていたら、Tがプール帰りみたいに身体が火照ってるって言い、それ、それ、まさにそれ! ってなる。Yの大量の本が入ったトートをNが持ってあげる。重みから解放されたYは信号待ちのところで股を割り、肩を入れる。ハッと驚いて、目が覚める。これが映画なら泣いているなっと思う。
2度めの『コントラ』。みんなもいることだし序盤はどうにか堪えていたけれど、すぐに堰が切れて顔とマスクがびちゃびちゃになる。日記を書くように全ショットを文字起こししたい衝動に駆られている。
マスクで顔面を隠しながら退場。もう、へなへなで真っ直ぐ立つこともできません。めいめいに感想を言い合いながら駅までの道のりを歩く。名残り惜しい。駅がちょっと遠くてよかった。ひとりだけ逆方向のYを見送る。あんまり話せなかったけれど、また会いたいね。お母さんとの関係のはなしがとても印象に残っている。ついで、電車の窓からHとサヨナラ。ふだんは猫背で俯きぎみのHの姿がこのときだけ大きく花を咲かせる。サヨナラが絶望的に下手くそだったじぶんたち、数か月まえは目も当てられない惨状だったのに、Hからの素晴らしき影響のおかげで、こんなにも変わっている。
SSラインのボックス席で帰りたい。Nは前に住んでいた土地柄的にボックス席に対する愛着がとくにはないよう。乗換駅のホームに上がったところでちょうど電車が来て、その電車に飛び乗る。真ん中あたりの車両に乗ってしまったからボックス席のある端の車両を目指す。そしたら、まさかのボックス席のないタイプの列車で、残念すぎて絶望していたら、まさか、まさかの逆方面の電車にまちがって乗っていることが発覚する。SSラインの通らない小規模な駅をやり過ごし、川の流れる駅で乗り換える。ほかの車線には快速AやO原行きの列車もある。貨車が通過し、あの荷台にこっそり乗っていきたい。図らずも距離を水増ししてSSラインのボックス席に乗ることができる。数十分して、ようやっともとの駅まで帰ってきて、そのまま通過する。
宇宙人のはなしになる。会えないのは次元が違うからという推論。たとえば人間は、宇宙というこの果てしのないものに対して、衝力を差し向けるようなかたちで五感を発達させてきた。なかでも視覚から得られるイマージュは人間にとってのこの地球、この宇宙の姿そのものであるように思われる。けれども、じっさいには視覚で見たこの宇宙は、果てしのないものに対してわずかながらの衝力を差し向けたものにすぎないから、私たちはあくまでも人間仕様の見方で勝手に壮大な宇宙の一部分を切り取って、それをあたかも総体のように眺めている。
たとえば、犬の視覚は色彩感覚が人間のそれよりはるかに希薄で白黒に近いと言われる。誰も犬になったことはないからほんとうのところは誰にもわからないけれど、こういうことがあり得るなら、私たちには漆黒の暗闇にしか見えない宇宙の彼方に色を見出す種族がどこかにいても何ら不思議ではないし、そもそも五感という切り口とはまったく違っ��宇宙の捉え方をしている可能性のほうがはるかに高そうに思われる。
次元が違うっていうのは、こういうことなのかなって。それはもしかするとすぐ近くにいて日々すれ違っているかもしれなくて、ただ、おたがいにこの宇宙の捉え方が違うばかりに、私たちの視覚の範疇からそれは外れていて、向こうの何かしら感覚の範疇からも私たちは外れている。
こういうことを考えていくと、私たち自身もおたがいに同じものを見ているようで、その捉え方はぜんぜん違っている。となり合って散歩をしていても、あなたの目から見えるこの世界には道端に咲いている小さな青い花は存在していないかもしれないし、そのとき、あなたが見ていた電柱の可笑しな落書きは私の目から見えるこの世界には存在していないかもしれない。そう考えると、私たち自身も次元を介しておたがいにすれ違う宇宙人同士かもしれなくて、そんな宇宙人同士がおなじものを見て、おなじように感動したりすることがあるのなら、それはそれこそ宇宙人に遭遇してしまったような驚くべき世紀の大発見なのだと思う。
ラインやってないばなしにもなる。とくに深い意味もなく頑なに拒んできたライン。なんでだろうと今更ながらそのことについて考えてみる。たぶん、究極的には紙に書く手紙にもどりたいのだとお思う。手紙は面倒だし、手間がかかるし、相手に届くまでに時間もかかる。でも、だからこそ手心を加えようと思うし、手紙をひとつ出すのには気持ちの上で手続きを踏んで越えなければならない覚悟というと重々しいけれど、何か気持ちの整理のようなものを経由する必要があるように思う。
ライン、やったことがないからわからないんだけども、手紙の時代にはあった手続きみたいなものがポロッと抜け落ちてしまうような気がして、それはなんだかもったいないように思ってしまう。たとえば、旅行の楽しみには、計画や準備、目的地に行くまでの移動の時間なんかも含まれると思うけれど、どこでもドアで瞬間移動ができちゃえば旅も味気なくなってしまうような予感に近いものをラインにも感じているのかもしれない。
ほかにも色々なはなし、そんな楽しい帰りの時間もあっという間に過ぎて、下車の駅に着いてしまう。Nがいままででイチバンのボックス席の思い出になったと言って、それがとてもうれしい。これからも積極的にボックス席に座っていこうね。
階段のところでNをお見送り。はじめは前を向いて振り返り、振り返りしていたNがコントラの真似をするように後ろ向きに階段を上りはじめる。その姿がコントラにそっくりで、転んじゃうところまでそっくりで、あれはわざと物真似しているのか、素で転んでしまったのかわからない。どっちでもいいけども、Nは何にしてもあらゆる物真似が上手だなって思う。そういえばシンジくんの物真似も上手だった。高さの差異でおたがいの姿が見えなくなる。でも、そんなとき、どうしたらいいかはHがすでに教えてくれていて、屈んでみれば、あとちょっとだけおたがいの姿が見ることができる。
とうとうふたりだけになってしまい、駅に向かっている��中、Tが出し抜けに言う、こういう関係もいつかは疎遠になっちゃうのかなぁ。そうだねぇ、みんな引っ込み思案だからねぇって応えながら「かくれてばっかり」のことを思い出している。でも、だからって、たぶんTもじぶんも未来を悲観しているわけではなくて、それは決められた約束事なんか何もないってことで、だからこそ未来はいつもわからなくて、いまのこの瞬間は奇跡的なんだって思う。でもな〜、みんながヨボヨボのおじいちゃんやおばあちゃんになった姿を見たいからな〜、誰よりも長生きしてみんなの骨も拾いに行ってやるぞ〜!
じぶんの下りる駅がきて、車窓を挟んでTともサヨナラ。その向かい合ったときの真っ直ぐな視線は心なしかまえよりも柔らかにくだけたものになっているような気がする。列車が発車する、その窓を追いかけて走ってみる、手を振るTの姿がもうちょびっとだけ見える。わあッ、前を向いて走っている。コントラを観ていたばっかりに前を向いて走っているじぶんに驚く。
今日はいちごの日かぁ~。誕生日おめでとう!! 何にもない日もプレゼントの交換しようよ、大人になったね。
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【「マナーの悪い外国人」が消えた観光地で、ゴミのポイ捨て被害が続く真の理由】 - ダイヤモンド・オンライン : https://diamond.jp/articles/-/268455 : https://diamond.jp/articles/-/268455?page=2 : https://diamond.jp/articles/-/268455?page=3 : https://diamond.jp/articles/-/268455?page=4 : https://diamond.jp/articles/-/268455?page=5 : https://diamond.jp/articles/-/268455?page=6 : https://archive.is/20Hyd : https://archive.is/ZzZrM : https://archive.is/riDSw : https://archive.is/4Nivf : https://archive.is/mPgLo : https://archive.is/qZUOa 窪田順生:ノンフィクションライター 2021.4.15 4:40
{{ 図版 : 食べ歩きグルメの容器や串などのポイ捨てが深刻な問題となっている新大久保。被害は住宅街にも及ぶ Photo:SOPA Images/gettyimages }}
■《観光業にとって泣き面に蜂 深刻化する「ゴミのポイ捨て」》
緊急事態宣言からの「まん延防止措置」という流れで、さまざまな業界から悲鳴が上がっているが、中でも深刻な打撃を受けているのが観光業だ。GWに入っていた宿泊予約のキャンセルが、各地で相次いでいるというのだ。
東京商工リサーチによれば、2020年の宿泊業の倒産は前年度比71.6%増の127件。13年(101件)と比べて7年ぶりに高い水準だというが、今の自粛ムードが続けば、今年はさらに倒産が増えていくかもしれない。
そんな苦境に立たされる観光業にとって泣き面に蜂というべきか、コロナ自粛とは別に頭の痛い問題が持ち上がっている。
それは、ゴミのポイ捨てだ。
観光業にとって、コロナ禍の中でも訪れてくれる観光客はありがたいこと��の上ない存在なのだが、その中にゴミを撒き散らす者も増えているというのだ。そのため、周辺住民や自治体からクレームが殺到。ゴミからコロナウィルスが感染するのではという懸念の声もあり、観光業が「災い」を地域に呼び込む鼻つまみ者扱いになってしまっているのだ。
その代表が、今や首都圏の女子中高生の間では原宿をしのぐほどの人気となった、新大久保だ。ここでは食べ歩きグルメの容器や串などのポイ捨てが深刻な問題となっており、転居を検討する人も出始めていると、『AERA dot.』(4月7日)が報じている。4月11日に放映された『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)でも、住宅街に座り込んで食事をし、ポイ捨てをする若い女性たちの姿が放送され、反響を呼んだ。
また、鹿で有名な奈良公園も同様だ。落ちているビニール袋などのゴミを食べた鹿が死ぬという悲劇が多発。昨年12月2日の『BuzzFeedJAPAN』は、観光客自体の数は減っていても、道には多くのゴミが捨てられているとレポートし、ゴミ拾いをするボランティアの方はこんなことを述べている。
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「弁当のトレイや食後のごみをそのままビニール袋に入れ、ドライブ中に車の窓から捨てていったり、ベンチなどにポイ捨てしていったりする人もいる」(同上)
という話を聞くと、なんだかモヤモヤする人も多いのではないか。観光地から「外国人観光客」が姿を消したにもかかわらず、なぜ相変わらずこのような問題が起きるのか、と。
今さら言うまでもなく、コロナ前の日本社会では、観光地でのゴミのポイ捨ては「マナーの悪い外国人観光客」の仕業、ということでコンセンサスが取れていた。
SNSでは外国人観光客の迷惑行為の目撃情報が溢れ、「日本に来たいなら日本のルールに従え」という憎悪の声が溢れていたものだ。
そんな「社会の鼻つまみ者」はコロナ禍になってから激減している。日本政府観光局(JNTO)が発表している訪日外国人旅行者数(推計値)によれば、20年11月は前年同月比97.7%減の5万6700人、12月も97.7%減の5万8700人である。全体でこれだけ減れば、その中の���ナーの悪い外国人観光客は絶滅危惧種になっているはずだ。
■《外国人観光客が激減しても なぜ観光公害は続くのか》
しかし、観光地では相変わらずゴミのポイ捨てが続いている。これは一体どういうことか。
「わずかながら日本に入ってきている外国人観光客の仕業だ」「いや、観光客ではなくて日本に住んでいる外国人のせいだ」などということを言い出す人たちもいるかもしれないが、冷静に考えれば、導き出せる答えは1つしかない。
ゴミのポイ捨て問題を「マナーの悪い外国人観光客」ばかりに押しつけてきたが、実はその問題には、かなりの割合で「マナーの悪い日本人観光客」が関与している可能性がある。つまり、我々は自分たちのマナーの悪さをゴマかすため、あとからやってきて反論の機会もない外国人を、スケープゴートにしていた恐れがあるのだ。
「そんなバカな」と思うかもしれないが、バブル期くらいまでは世界の観光地で「マナーが悪い」と言えば、日本人と相場が決まっていた。1987年の『タイム』誌では、日本人観光客を「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」として特集している。
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■《「マナー」という精神論では 解決できないポイ捨て問題》
国内でも同様だ。以前当連載の記事『石垣島のラーメン店を「日本人お断り営業」に追い込んだ観光公害の深刻』という記事で詳しく述べたが、沖縄の離島などは外国人観光客がほとんど来ない時代から、国内観光客のマナーの悪さやゴミのポイ捨てに悩まされてきたという、歴史的事実があるのだ。
なんてことを口走ってしまうと、「みんなで一致団結をしなければいけないこの時期に、日本人の悪口を言うようなヤツは日本から出ていけ」というように、非国民のレッテルを貼られるかもしれないが、筆者は日本人を貶めたいとか、外国人観光客のマナーがそれほど悪くないなどと持ち上げたいという意図は全くない。
ゴミのポイ捨てのような社会の課題は、「マナー」という精神論では解決できないということが言いたいのだ。
日本人だろうが、中国人だろうが、アメリカ人だろうが、マナーの良い人はいるし、マナーの悪い人はいる。結局、人それぞれである。「だからこそ、呼びかけや啓発でマナー教育するのだ」という話になるが、自国民に対してすら、何十年たってもポイ捨てをやめさせられていないのだ。外国人、しかも観光で短期間しか日本にいない人たちを教育することなど、不可能だ。
そういう無謀な精神論を振りかざすより、マナーの悪い人たちが100人いたら、その半分くらいがゴミのポイ捨てをするのを思いとどまるような「システム」を整備する方が、はるかに現実的ではないかと申し上げたいのである。
では、具体的にどうすればいいのか。よく聞かれるのは、シンガポールのようにポイ捨てに罰金を科すなどの厳罰化だ。マナーの悪い外国人観光客に腹を立てている方からすれば、胸がスカッとする施策かもしれない。しかし前述のように、これが実現すればかなりの日本人観光客も厳罰の対象となるだろう。当然、声を荒らげてゴネるような輩も出てくるので���警察や自治体のマンパワーが足りない中で、いったい誰がきちんと取り締まるのか、法的強制力をどこまでにするか、といった問題が山積だ。
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■《なぜ日本の観光地では ゴミ箱が異常に少ないのか》
一方、「ゴミ箱を増やせ」という意見もよく聞く。実は日本の観光地は、諸外国と比べて異常なほどゴミ箱が少ない。コロナ以前に調査された2019年度の『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート』でも、外国人旅行者が日本滞在中に「困ったこと」として最も多く回答したのが、「ゴミ箱の少なさ」(23.4%)だった。
観光客がゴミのポイ捨てをするのは、目に入るところにゴミ箱がないからだとも考えられる。その意味では、ゴミ箱を増やすという施策はかなり効果がありそうだが、これも現実的にはかなりハードルが高い。オウム真理教のテロ以降、日本では危険物を入れられないよう、街中のゴミ箱はできる限り減らすということになっているが、そこに加えて「火災」の恐れがあるからだ。
日本の観光地には、神社仏閣など古い木造建築がたくさんあるので、火気は厳禁だ。そんなところにゴミ箱をたくさん設置した結果、もしその中に吸い殻でも入れられたら――。沖縄の首里城のように、国宝指定の木造建造物が大炎上するなどという、最悪の事態が起きてしまうかもしれないのだ。
このような状況を踏まえると、個人的には、「ゴミのデボジット」が現実的ではないかと思っている。皆さんも観光地などにおいて、稀に自動販売機の横などに、空き缶を入れると10円が戻ってくる容器回収機を見たことがないだろうか。あれの「ゴミバー��ョン」をつくるのだ。
たとえば、食べ歩きできるようなものを売るお店では予め代金の10%くらいを「デボジット」として上乗せしておく。観光客は、食べた後に出たプラ容器やスプーンなどのゴミを容器回収機に持っていくと、10%が返金される。ゴミをたくさん持っていけばいくほど還元もされてお得なのだから、消費も活性化される。
このように「デポジットによって観光客にゴミを捨てるインセンティブをつけてやる」ことで、ポイ捨てをする人を少しでも減らしていくという試みである。
「そんなものは机上の空論だ」と鼻で笑う人も多いだろうが、日本人が机上の空論と感じることを、よその国では着々と現実のものとして形にしているのだ。
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少し前に、使い捨てのプラスチックやポリスチレン製容器の流通を禁止する政令案が可決されたドイツでは、カフェやレストランなど外食のテイクアウト用容器で、デポジット制のものが普及し始めている。食べ終えた後に容器を店に持っていけば一定の保証金が戻ってくる。ちなみに、この容器は100%リサイクル可能な素材でできているという。
環境に対する意識はまったく違うが、ドイツでここまでできているのだから、技術的にも制度的にも日本にできない理由はない���
■《観光客に対して「ゴミ捨て」の インセンティブを設けるべき》
また、デポジットまではいかなくても、日本の観光地でも「観光客にゴミを捨てないインセンティブをつけてやる」というトレンドは、少しずつ広がってきているのだ。
たとえば、埼玉・川越の一番街商店街だ。ここは伝統的な蔵作りの美しい街並みから「小江戸」と呼ばれ、関東の人気観光スポットの1つとして、コロナ禍でも多くの観光客が訪れている。その一方で、ゴミのポイ捨ても深刻な問題になっていた。
そんな川越一番商店街が、昨年8月29日、興味深いゴミ収集イベントを行なった。
まず、商店街の店で食べ物などを買うと、ゴミ袋が配布される。観光客は街並みを散策しながら、食べ歩きで出たゴミをその袋に入れる。そして最後には、指定されたゴミ収集場所にそれを持っていく。そこには多数の風鈴が設置してあって、ちょっとしたフォトスポットになっており、そこで写真を撮影してSNSに投稿をした人には、冷たいドリンクがプレゼントされるというものだ。
このイベントの様子を紹介した地元のNPO法人のメディア『カワゴエ・マス・メディア』の記事によれば、開始5時間でかなりのゴミが回収されており、SNS投稿してくれた観光客が109人、ゴミのみを置いていった観光客も34人いたという。
店でゴミ袋を渡せば、自発的にゴミをそこに入れて収集場所まで持っていってくれる、マナーの良い観光客が34人もいたというのは、それはそれで素晴らしいことだが、フォトスポットで撮影してジュースをもらえるというインセンティブをつけた方が3倍以上も多いという事実は、注目すべきだ。
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マナーという精神論を押し付けるのではなく、「人は自分の得になることがあれば動く」という行動心理学を活用した「システム」でゴミのポイ捨てを減らそうというこの試みには、個人的には大きな可能性を感じる。
日本人はコミュニティ内で喜ばしくない問題が起きると、脊髄反射で「マナーが悪い」「たるんでいる」などと、個人の性根に問題があるという議論に流れがちだ。
■《日本人がコロナ禍で思い知った 事態を悪化させるだけの「運動部ノリ」》
だが、残念ながらそのような運動部のようなノリは、実際にはそれほど効果がなく、むしろ事態をどんどん悪化させていくということを、我々はこの1年間で思い知ったはずだ。
「この感染者数を見る限り、もっと気を引き締めなくてはいけませんね」「やはり一部の若者たちの気が緩んできているのが、原因ですね」
政府の専門家会議やワイドショーで連日のように語られる「コロナ精神主義」で、果たして事態はどれだけ改善されたのか。「医療崩壊だ」と叫んで自粛に従わない人々を叩いていた昨年の今頃と、1年経過しても状況はほとんど変わっていないではないか。
社会の課題を解決するには、社会の体制を変えなくてはいけない。コロナで言えばそれは医療体制にあたるが、そこはどういうわけかビタッと動かさず、国や自治体��ただひたすら個人に対して「心を入れ替えろ」と説教をする。諸外国と比べてケタ外れに少ない感染者で医療崩壊する「システム」の欠陥を棚上げしたまま、この未曾有の危機を乗り切ろうなどというのは、虫が良すぎる。
社会へのダメージは異なるが、経済活動によって「害」が広がるという構図においては、実は観光公害とコロナはよく似ている。だから、解決策も基本的には変わらない。
「もっと頑張れ」「気を引き締めろ」という根性論を掲げるだけでは、そろそろ限界だ。これまでの体制を維持したままどうにか乗り切ろうという甘い考えを捨てて、日本という「システム」を根本から見直すべき時期にきているのではないか。
(ノンフィクションライター 窪田順生)
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夏も終わり、タコスをツマミにこの夏最後のモヒート。 今回はアルコール入りのもモヒートを頂いた。 アルコール入りになるとレモンジュースと塩気が効いているのか、ジュースのようにゴクゴク飲めるが、後でアルコールがガツンと効いてくる。 窓の外からトタンを叩く音がし、見てみると外はザザぶりの雨だった。 雨が止むまで、漫画「無能の人・日の戯れ」を読みつつ雨宿り。 雨が止み外に出ると、まだ6時前だというのに薄暗くなっていた。 随分、日が落ちるのが早くなった。 カフェの植木鉢や茂みからは鈴虫の鳴き声が聴こた。 #モヒート #タコス (Cafe Windy) https://www.instagram.com/p/CFMXBHcj4xZ/?igshid=jy6phpue298h
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2017年の出来事と読んだ本と観た映画と年末と
2017年もいよいよ終わる。今年は5月25日に母が63で亡くなるなどしたが、それ以前になにが起こったかまったく記憶にない。8時半(たまに11時)から21時やら23時やらまで働いたりしているせいだろうか。どうやら『ベルリン・アレクサンダー広場』のDVDboxや『サイタマノラッパー』ドラマ版のDVDboxを買ったまま一度も観ていないのは憶えている。 『文藝』のアンケート企画に「来たるべき作家」の一人として前の筆名で載っていたことも、春ぐらいのことかと思ったら7月だった。時期の記憶がだんだんいい加減になってくるのであった。 広島旅行やら島根旅行やら、あと『白鴉』30号を出して「アゴアク」という作品を載せ、先日ようやく同人誌評に取り上げられたが、褒められていない、というかそれ以前の問題。まあ、『白鴉』に載せた私の作品がこれまで全作品どこかしらで取り上げられつづけているという記録をまた更新できたのでこれでいいとする。そんなことよりもいま書いている作品が無事に仕上がることを祈る。 「アゴアク」についていただいた感想に、相変わらず主人公はどこまでも僻みっぽい、でもどことなく品位がある、というのがあったのを昨日思い出して、それはたぶん、私の描き出す主人公の、まわりの世界や世間に対するプロテストなのだろうなあ、などと考え���り。 あと、2017年の文学フリマ大阪に参加した『白鴉』では来年1月21日の文学フリマ京都と5月6日の文学フリマ東京へ参加することがすでに決定しております。両方とも言い出したのは私であり、私がいるのは確実です。
読書関係だと内藤千珠子氏の著書がとても面白かったことや、長年の課題であったベケットがようやく読めるようになってきたこと、詩を読みはじめたことが大きい。ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』もようやく読みはじめ、なんとか人間へ近づいていっている。来年早々に読んでしまって、長年の課題であるドゥルーズ『意味の論理学』に挑みたい。詩集であるていど稼いだ割に読了冊数73冊というのはどうかと思うが。冊数など関係ないと言われるだろうが、読みの浅い人間がせめて冊数がなければどうすればいいというのか。どうやら一般的に本をよく読むと言われている人物は年間300とか400とか読んでおられるらしいので、100にも満たない人間のベストなど不要だろう。 映画は毎年のことながら前半期になにを観ていたかすっかり忘れる。『アトミック・ブロンド』をもう一回ぐらいは観ておきたかった。これも映画好きを自称している人は年間平均500本は観ているようなので、本数ではなく回数にすることによって数字を稼ぐなどといういじましいことをしてもなお141などという、てんでお話にならない数字を出してしまう私などのベストになんの価値があるだろうか、ということでやらない。
といったところで、来年もよろしくお��いします。
最近読み終えた本 ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック) 勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育=金田淳子=二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田)
最近観た映画 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド) 『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
2017年の本と映画の記録。2016年はこちら。
読了本73冊
松浦寿輝『BB/PP』(講談社) 二村ヒトシ/岡田育/金田淳子『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWAメディアファクトリー) パスカル・キニャール『アマリアの別荘』(青土社) 赤木昭夫『漱石のこころ──その哲学と文学』(岩波新書) 町山智浩『映画と本の意外な関係!』(集英社インターナショナル新書) 津島佑子『半減期を祝って』(講談社) トーマス・ベルンハルト『ある子供』(松籟社) 三宅隆太『スクリプトドクターの脚本教室・中級篇』(新書館) トーマス・ベルンハルト『石灰工場』(早川書房)通算4回。 内藤千珠子『愛国的無関心──「見えない他者」と物語の暴力』(新曜社)
ウィリアム・シェイクスピア『シンベリン』(ちくま文庫) 山本貴光『文体の科学』(新潮社) 『北の文学2016──北海道新聞文学賞、短歌賞、俳句賞』(北海道新聞社) 『シリーズ言語態(4)記憶と記録』(東京大学出版会) 小平麻衣子=内藤千珠子『21世紀日本文学ガイドブック(7)田村俊子』(ひつじ書房) 杉田敦『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房) 内藤千珠子『小説の恋愛感触』(みすず書房) 内藤千珠子『帝国と暗殺──ジェンダーからみる近代日本のメディア編成』(新曜社) アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』(河出書房新社) アルフレート・デブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場──フランツ・ビーバーコプフの物語』(ぷねうま舎)
ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』(新潮文庫)2回。通算3回。 橋本陽介『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ) アルフレート・デーブリーン『たんぽぽ殺し』(河出書房新社) ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』(白水uブックス) カルロ・エミーリオ・ガッダ『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』(水声社) チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(河出書房新社) トーマス・ベルンハルト『消去──ある崩壊 新装版』(みすず書房)通算5回。 ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』(亜紀書房) エルフリーデ・イェリネク『汝、気にすることなかれ』(論創社) 通算2回。 李珍景『不穏なるものたちの存在論──人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないものたちの価値と意味』(インパクト出版会)
アーサー・ミラー『セールスマンの死』(ハヤカワ演劇文庫) 梁英聖『日本型ヘイトスピーチとは何か』(影書房) 山代巴 編『この世界の片隅で』(岩波新書) 岡本雅享『民族の創出──まつろわぬ人々、隠された多様性』(岩波書店) 岡本雅享 監修・編著『日本の民族差別──人種差別撤廃条約からみた課題』(明石書店) サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』(白水uブックス) 疋田龍乃介『歯車VS丙午』(思潮社) 稲川方人『形式は反動の階級に属している』(書肆子午線) サミュエル・ベケット『モロイ』(白水社) 辺見庸=目取真俊『沖縄と国家』(角川新書)
尹東柱『空と風と星と詩』(岩波文庫) サミュエル・ベケット『マロウンは死ぬ』(白水社) 稲川方人『封印』(思潮社) サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』(白水社) サミュエル・ベケット『伴侶』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『見ちがい言いちがい』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『また終わるために』(書肆山田 りぶるどるしおる) サミュエル・ベケット『いざ最悪の方へ』(書肆山田 りぶるどるしおる) 『白鴉』30号 『星座盤』11号
『babel』創刊号 松浦寿輝『鳥の計画』(思潮社) 『時刻表』創刊号 田原『石の記憶』(思潮社) 田原『夢の蛇』(思潮社) 田原『そうして岸が誕生した』(思潮社) サミュエル・ベケット『蹴り損の棘もうけ』(白水社) 平田俊子『手紙、 のち雨』(思潮社) 高橋康也『サミュエル・ベケット』(白水uブックス) 平田俊子『戯れ言の自由』(思潮社)
ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『新訳 カフカ──マイナー文学のために』(法政大学出版局) 小野十三郎『冥王星で』(エンプティ) 稲川方人『2000光年のコノテーション』(思潮社) 川田絢音『白夜』(書肆子午線) 平田俊子『詩七日』(思潮社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(上)』(河出文庫) 丁章『在日詩集 詩碑』(新幹社) トーマス・ベルンハルト『原因 一つの示唆』(松籟社) ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー──資本主義と分裂症(中)』(河出文庫) 平田俊子編『詩、ってなに?』(小学館SJムック)
勝嶋啓太『今夜はいつもより星が多いみたいだ』(コールサック社) 岡田育/金田淳子/二村ヒトシ『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫) 平田俊子『アトランティスは水くさい!』(書肆山田) 映画観賞回数141回
『この世界の片隅に』(片渕���直)3回。通算5回。 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(ロバート・ゼメキス) 『ベストセラー──編集者パーキンズに捧ぐ』(マイケル・グランデージ) 『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太) 『死闘の伝説』(木下恵介) 『マイマイ新子と千年の魔法』(片渕須直) 『ザ・コンサルタント』(ギャビン・オコナー) 『手紙は憶えている』(アトム・エゴヤン) 『マダム・フローレンス!──夢見るふたり』(スティーブン・フリアーズ) 『戦火の馬』(マリアンヌ・エリオット、トム・モリス)
『破門──ふたりのヤクビョーガミ』(小林聖太郎) 『ドント・ブリーズ』(フェデ・アルバレス) 『ドラゴン×マッハ!』(ソイ・チェン) 『ミス・シェパードをお手本に』(ニコラス・ハイトナー) 『92歳のパリジェンヌ』(パスカル・プザドゥー) 『マイ・ファーザー 死の天使──アウシュヴィッツ収容所人体実験医師』(エジディオ・エローニコ) 『MILES AHEAD──マイルス・デイヴィス 空白の5年間』(ドン・チードル) 『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』(マテイ・ミナーチュ) 『こころに剣士を』(クラウス・ハロ) 『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー)
『ヒトラーの忘れもの』(マーチン・ピータ・サンフリト) 『MERU メルー』(ジミー・チン、 エリザベス・チャイ・バサヒリイー) 『沈黙 サイレンス』(マーティン・スコセッシ)2回。 『アイ・イン・ザ・スカイ──世界一安全な戦場』(ギャヴィン・フッド) 『クラッシャージョウ』(安彦良和) 『オアシス:スーパーソニック』(マット・ホワイトクロス) 『その街のこども』(井上剛) 『疾風スプリンター』(ダンテ・ラム) 『アリーテ姫』(片渕須直) 『アイヒマンを追え!──ナチスがもっとも畏れた男』(ラース・クラウメ)
『モアナと伝説の海』(ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー) 『AKIRA』(大友克洋) 『SING』(ガース・ジェニングス)2回。 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(押井守)2回。 『キングコング──髑髏島の巨神』(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ) 『ショコラ──君がいて、僕がいる』(ロシュディ・ゼム) 『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン) 『殺しの烙印』(鈴木清順) 『ゴースト・イン・���・シェル』(ルパート・サンダース) 『東京流れ者』(鈴木清順)
『ラ・ラ・ランド』(デミアン・チャゼル) 『未来を花束にして』(サラ・ガブロン) 『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン) 『マグニフィセント・セブン』(アントワーン・フーク) 『美女と野獣』(ビル・コンドン) 『ナイスガイズ!』(シェーン・ブラック) 『ラビング──愛という名前のふたり』(ジェフ・ニコルズ) 『乱』(黒澤明) 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(ジャン=マルク・ヴァレ) 『お嬢さん』(パク・チャヌク)
『たかが世界の終わり』(グザヴィエ・ドラン) 『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』(ファイト・ヘルマー) 『哭声』(ナ・ホンジン) 『わたしは、ダニエル・ブレイク』(ケン・ローチ) 『ライオン──25年目のただいま』(ガース・デイヴィス) 『彼らが本気で編むときは、』(荻上直子) 『アシュラ』(キム・ソンス) 『ゆれる』(西川美和) 『花戦さ』(篠原哲雄) 『ディア・ドクター』(西川美和)
『ジャッキー──ファーストレディ最後の使命』(パブロ・ラライン) 『エンディングノート』(砂田麻美) 『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス)2回。 『百万円と苦虫女』 (タナダユキ) 『溺れるナイフ』(山戸結希) 『ウルトラミラクルラブストーリー』(横浜聡子) 『はらはらなのか。』(酒井麻衣) 『美しい星』(吉田大八) 『T2 トレインスポッティング』(ダニー・ボイル) 『未来よ、こんにちは』(ミア・ハンセン=ラブ)
『カフェ・ソサエティ』(ウディ・アレン) 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン) 『光』(河瀬直美) 『武国』(熊切和嘉) 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(ガブリエーレ・マイネッティ) 『ハクソー・リッジ』(メル・ギブソン) 『セールスマン』(アスガル・ファルハーディー) 『海辺のリア』(小林政広) 『おとなの恋の測り方』(ローラン・ティラール) 『海辺の生と死』(越川道夫)
『ヒトラーへの285枚の葉書』(ヴァンサン・ペレーズ) 『ダンケルク』(クリストファー・ノーラン) 『ジョン・ウィック:チャプター2』(チャド・スタエルスキー) 『ベイビー・ドライバー』(エドガー・ライト) 『ザ・ドライバー』(ウォルター・ヒル) 『彼女の人生は間違いじゃない』(廣木隆一) 『ファウンダー──ハンバーガー帝国のヒミツ』(ジョン・リー・ハンコック) 『ボブという名の猫──幸せのハイタッチ』(ロジャー・スポティスウッド) 『ライフ』(ダニエル・エスピノーサ) 『ありがとう、トニ・エルドマン』(マーレン・アデ)
『20センチュリーウーマン』(マイク・ミルズ) 『ロックンロール・ハイスクール』(アラン・アーカッシュ) 『少女ファニーと運命の旅』(ローラ・ドワイヨン) 『新感染』(ヨン・サンホ) 『ローマの休日』(ウィリアム・ワイラー) 『���したは最高のはじまり』(ユーゴ・ジェラン) 『ザ・ウォール』(ダグ・リーマン) 『スペース・レイダース』(ハワード・R・コーエン) 『麗しのサブリナ』(ビリー・ワイルダー) 『アンタッチャブル』(ブライアン・デ・パルマ)
『おしゃれ泥棒』(ウィリアム・ワイラー) 『メッセージ』 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ) 『デス・レース2000年』(ポール・バーテル) 『夜明けの祈り』(アンヌ・フォンテーヌ) 『幼な子われらに生まれ』(三島有紀子) 『RE:BORN』(下村勇二) 『エタニティ──永遠の花たち』(トラン・アン・ユン) 『50年後のボクたちは』(ファティ・アキン) 『パターソン』(ジム・ジャームッシュ)3回。 『コーヒー&シガレッツ』(ジム・ジャームッシュ)
『ドリーム』(セオドア・メルフィ) 『ハイドリヒを撃て!──「ナチの野獣」暗殺作戦』(ショーン・エリス) 『ブルーム・オブ・イエスタデイ』(クリス・クラウス) 『スイス・アーミー・マン』(ダニエル・シュナイナート/ダニエル・クワン) 『ロスト・イン・パリ』(ドミニク・アベル/フィオナ・ゴードン) 『リングサイド・ストーリー』(武正晴) 『はじまりのうた』(ジョン・カーニー) 『ELLE』(ポール・バーホーベン) 『散歩する侵略者』(黒沢清) 『アトミック・ブロンド』(デヴィッド・リーチ)
『審判』(オーソン・ウェルズ)通算2回。 『バリー・シール──アメリカをはめた男』(ダグ・リーマン) 『三度目の殺人』(是枝裕和) 『セザンヌと過ごした時間』(ダニエル・トンプソン) 『スモーク』(ウェイン・ワン) 『ゲット・アウト』(ジョーダン・ピール) 『鉱 ARAGANE』(小田香)2回。 『すばらしき映画音楽たち』(マット・シュレーダー) 『KUBO──二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト) 『シンクロナイズドモンスター』(ナチョ・ビガロンド)
『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー)
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Shingoster LIVINGも通常営業に戻りました。 この週末より本格始動です。
まずはお隣り千葉県のみなさま、 この度の台風で被害に遭われた方々に 心よりお見舞い申し上げます。 千葉の君津市から友人のご両親がつくばに 避難されてきたと聞き、はじめて事の重大さに 気づかされました。 せめて今日のような涼しさが 続いてくれますようにと願うばかりです。 畑や田んぼも、この一番の実りの 時期にどうなったことでしょう。 十五夜お月様も今宵は姿が見えませんが 鈴虫の声を聞きながら、 携わるみなさまの心中お察しします。 さてShingoster LIVINGではご紹介したい ものがたくさん並びました。 長袖のシャツに袖を通す喜びを感じます。 白や秋色のシャツがいろいろ、 パンツも揃いました。 coxもりんごの黒糖バターのケイク、 久しぶりにダッコワーズ・カフェなど登場します。
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BUBKA (ブブカ) 2017年10月号
【表紙】 乃木坂46 秋元真夏×齋藤飛鳥 【付録】 秋元真夏&齋藤飛鳥(乃木坂46) 特大両面ポスター 【特集】 ●乃木坂46総力特集「これが時代のど真ん中! 」 ・秋元真夏×齋藤飛鳥 夢の絵日記グラビア&インタビュー「乃木坂46の品格」 ・星野みなみ「空蝉グラビア」 ・井上小百合×若月佑美「変わらない色」 ・寺田蘭世×山崎怜奈「言霊の力」 ・伊藤理々杏×久保史緒里「負けず嫌いです」 ●AKB48グループ特集「ニューヒロインたちの逆襲」 ・福岡聖菜(AKB48)「祝! 初ソロ水着」 ・北野瑠華×髙寺沙菜(SKE48)「はち切れビキニ」 ・江籠裕奈(SKE48)「涙の理由」 ・上西怜(NMB48)「最強遺伝子SEXY」 ・太田夢莉 連載「“夢"百景」【第十七回 爬虫類カフェ ROCK STAR】 ・下青木香鈴(AKB48・チーム8)「自分の部屋から世界へ」 ・NMB48 涙のツアーレポート「すべての悲しみを乗り越えた難波愛」 ・HKT48熱狂ライブレポート! 「笑顔を封じた制圧 松岡はなの4分間」 【アイドル企画】 ●ももいろクローバーZ「高城れに“沖縄の奇跡"」 ●Negicco ROAD TO BUDOKAN「突きつけられた残酷な現実」 ●Negicco音楽プロデューサーconnieが語る「14年の青春」 ●あの(ゆるめるモ!) インタビュー ●BUBKAアイドルグラビア……平嶋夏海・RaMu 【BBKレポート】 ●新シリーズ『サンシャイン!!』第二期放送直前! ヨーソロー! 今こそ『ラブライブ! 』を観るべき理由 伝説は終わらない! 激筆レビュー&ラブライバー緊急座談会 ●吉田豪インタビュー/平松伸二「ド外道漫画家」 【人気コラム陣】 天龍源一郎・愛甲猛・宇多丸・前山田健一・辛酸なめ子・丸山ゴンザレス
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8月3日(土)絵本の旅@カフェ 「夏休み図鑑★スペシャル」
図鑑は身近なものから、遠い世界のことまで教えてくれます。 ページを開けば、自分の好みにしたがって、物語が広がります。 小さな虫の国を訪ねたり、見えない地球の裏側を探検したり、身体の中を冒険したり…。 今週は世界を広げてくれる、とっておきの図鑑絵本を揃えました。
☆海 作、絵:加古里子 みんながよく知っている波打ちぎわから、 少し深い海「たいりくだな」、光が届かない深海や海底山脈… そこにはどんな生き物がいるのかな?
☆庭に咲く花えほん 作、絵:前田まゆみ 春はバラ、チューリップ、ヒヤシンス、 夏にかけては、あじさい、ヒマワリ、あさがお、ハーブなど。 お庭の草花の育て方を季節ごとに紹介した植物図鑑えほんです。
☆「しごとば」シリーズ 作、絵:鈴木のりたけ 様々なお仕事の現場を見たり、働く人の1日を追ってみよう。 おみせやさん、先生、消防士さん、整備士さん、美容師さん… みんなのなりたい職業はあるかな?
などなど…
【お申込み方法】 劇場HPからお申し込みください。 担当からご予約についてメールをお送りします。 当日のお問合せは、お電話でお願いします。 ※この回は大変ご好評を頂いており、定員に達しています。
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🐍 蛇になり 萌花をギュッと ハグしたい ☁️🌈 #鈴木萌花 #もえちん #アメフラっシ #あいらもえか #bubka #へび #ヘビ #蛇 #moekasuzuki #suzukimoeka #amefurasshi #snake (はちゅカフェ(爬虫類カフェ)) https://www.instagram.com/p/BufR_4DhRTR/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=co6axrafmhr0
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二〇一五年秋、小豆島
九月十八日、五〇CC原付で五時半に世田谷区を出て、国道二四六号線を西に向かった。九時ごろ、静岡県の御殿場でひどい雨に降られて濡れた。雨宿りのために閉店した本屋の軒を借りようとしたら入口に張られた鎖に引っかかって原付ごと転倒した。幸いエンジンなどに損傷はなかった。雨のなか沼津で国道一号線に出たらひたすら西へ。静岡市葵区のあたりで晴れ間が見えた。途中の休憩は、ローソンの駐車場で干し芋をかじり水を飲むだけにして十分に休まずにいたら脱水で頭痛がした。十六時半には国道一号線を逸れて愛知県の岡崎美合郵便局にて結社へ投句する葉書を出した。句は道中に作った。豊明を通っていたときにはもう学校の下校時間になっていて多くの女子高生を見た。名古屋に着いたのは十九時になっていた。東京から名古屋まで約十三時間半、給油は二回で計七.三リットル。
九月十九日、名古屋を七時半に出て国道一号線をひたすら西へ。三重県桑名から鈴鹿、亀山、甲賀、滋賀県を抜け京都を経て大日交差点から守口を通り大阪に到着したのは十四時半。西九条と九条を間違えたあと、中崎町のバイク置き場に原付を置いた。一日置いて二百円。葉ね文庫へ行ったあと中崎町の朱夏、そのソファ置き場のような部屋でポエトリーリーディンガーのソニックナースと会った。十八時にはコモンカフェへ移動し、ポエトリーリーディング大阪の設営を手伝った。前日に泉由良から「オープンマイク出ませんか」と誘いがあり誘いに乗ったので会場で泉由良から紙をもらい急遽読み上げ用のノートを作った。自作俳句と高浜虚子の俳句を交互に読む内容。少し笑いがあった。本職のポエトリーリーディンガーの朗読は地獄か海の底へ引きずり込む力がある。そのコモンカフェで小柳日向と上住断靭の連れと遭遇した。二十二時を回っていたけど梅田へ移動し福岡から来た矢野錆助と大阪在住の琳譜と日向と断靭と私で会食。博多弁二名と関西弁二名の訛りがよく聞き取れず軽い疎外感を得た。日付を越えてから日向、錆助と断靭宅付近へ移動し麺工房で夜食。そのまま 断靭宅へ泊まる。日向は断靭の部屋に、三人はリビングに雑魚寝した。
九月二〇日、断靭宅で六時に起きて銅座公園前でコンビニオニギリを食べる。麺工房前で猿川西瓜と合流、そのまま第三回文学フリマ大阪へ行く連中と別れた。八時半には中崎町で原付を回収し国道二号線を西へ。尼崎、西宮、神戸、明石、姫路、相生、備前を経て新岡山港。高架の多い国道一号線に比べ平地が多く走りやすかった。フェリー乗り場では十五時のフェリーを逃したので一時間待って十六時のフェリーに乗り小豆島へ渡った。原付と人で千六百七十円。時間は一時間と十分。瀬戸内海を航るのは初めて。予約していた旭屋旅館に投宿。ところで春の季語「島四国」は小豆島八十八箇所のお遍路のことを言うらしい。入浴してから原付で土町の中心部を走る。夕食は島唯一のファミレス、ジョイフルで食べた。夜のエンジェルロードは気後れし行かなかったが、小豆島ラーメンを見つけた。薬局やホームセンターやスーパーがあり小豆島で生活できるかもと思った。ハローワーク土庄の小冊子には空き家バンク制度や職業訓練制度を利用した移住の提案が載っていた。もし人生に俳句しかなくなったら小豆島へ移住したい。
九月二十一日、旭屋旅館でヨーグルトをワンパック食べて原付に跨り出掛けた。まずは宝生院の真柏を見た。小豆島は応神天皇伝説があちこちにありその真柏は帝のお手植えである。真柏はまさに倒れんばかりに繁っていた。それから彼岸花の咲く中山千枚田と歌舞伎舞台を見て、道の駅オリーブ公園。オリーブ記念館でオリーブソフトクリームを食べ、オリーブサイダーを飲んだ。オリーブ成分が入っているからだろう、お腹が緩くなった。ギリシア風車やオリーブの林を見たあと醤油の匂いを切り抜けながら二十四の瞳映画村へ。壷井栄が島で味わった「文学的雰囲気」とは何だったのだろうか、郵便局での黒島伝治との出会いのキッカケとなった村での回し読み同人誌など、島ならではの文学の現場が気になった。映画村から戻る途中で作兵衛にてつけ素麺を食べた。土庄郵便局のゆうゆう窓口で葉書を四枚購入。尾崎放哉記念館へ赴いた。放哉記念館は、迷路のまちの外れにある小さな庵で眼鏡美女が応対してくれた。土渕海峡を渡った尾崎放哉資料館へも赴いた。 眼鏡美女が、資料館は鍵が閉まっているが係の人が来て開けてくれると言っていた。行ってみると中学生が資料館前の階段に腰掛けていたので「資料館を開けてくださる方ですか」と訊いたら「いえ、違います」と答えた。中学生は親の車に乗ってどこかへ去った。入れかわるようにして日焼けした男性が車でやってきて資料館を開けてくれた。私が見終わって去ると日焼けした男性も帰った。若者で島の人かそうでないかはひと目で分かる。日焼けしていれば島の人、していなければ観光客。それから高原の展望台や寒霞渓を経て小豆島ラーメンで醤そばを食し〆とした。小豆島の主要観光地である寒霞渓・映画村・オリーブ公園を全て見た。あとは残念石の遺跡と三都半島の潮耳荘くらいだ。
秋冷の中心として洗濯場 鯨
九月二十二日、小豆島で二回目の朝。朝食を済ませてから旅館の洗濯機を回した。十分くらいで済むと思ったら三十分以上かかってしまい、脱水の途中で取り出して乾燥機にもかけず部屋の縁に吊るしてすぐに原付で旅館を飛び出した。旅館をバタバタと出たのは八時三十五分、豊島ゆきのフェリーが土庄港から出るのは八時四十分。旅館が近かったのでなんとか間に合い出港できた。八時十分ごろに切符を買ってあったのが良かったのだ。フェリーで向かうのは豊島の唐櫃港。
唐櫃港へはすぐに着いた。唐櫃港から原付で二五五号線を南へ進んだ。甲生の首なし地蔵を経て家浦港へ。家浦にある豊島横尾館は面白かった。横尾忠則はよく知らないが、印象に残ったのは赤い岩があり青と黄のタイルが敷き詰められた池のある日本庭園、鯉が泳いでいた。納屋の塔も宙に浮いているようで楽しめた。他にも島のあちこちに作品が点在している。家浦港にあるイルヴェントの「あなたを愛するものはあなたを泣かせもする」( トビアス・レーベルガー )を訪れ、なかにあるカフェでは豊島みかんのホットミカンを飲んだ。家浦から二五五号線を東へ、森のなかの池にあった「トムナフーリ」(森万里子)は赤蜻蛉が飛んでいて生命の流転を少し感じた。それから豊島美術館へ。白いコクーンでは小さな穴から湧き出る水を水銀のような物質として感じたし、落ちる水が金属めいた音をたててコクーンのなかを反響しているのに聞き入った。
秋蝶は首なし地蔵のてのひらへ 鯨
美術館から西に引き返し海のレストランでランチを済ました。チヌは美味しかったがすぐに食べてしまった。それから唐櫃岡に点在している作品を見た。「ストームハウス」(ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラ)は嵐を迎えた家を再現。外は秋晴れでもなかはいつでも颱風圏だ。ちゃんと雨漏りもしていた。島キッチン裏の「あなたの最初の色」(ピピロッティ・リスト)は〈色彩はやがて混ざらん水遊び/鯨〉を想起させた。人はどうしても野生の本能で色で獣の形と性質を把握してしまうのだ。唐櫃の海辺にあるクリスチャン・ボルタンスキーの心臓音のアーカイブ。録音できるというのでMURE KUDIRA、登録番号18421で心音を登録した。ぜひ豊島を訪れた際は私の心音でハートルームを体験して欲しい。たぶん他の人より電球は明るい。豊島を満喫した。物価が高いなと感じた。フェリーで土庄港に帰ってから西海や小瀬の方を回って旅館に帰った。明日は三都半島を中心に行けたら大部や福田の方へ行く。
タラップをただの男が降りて秋 鯨
九月二十三日、小豆島三日目は三都半島で開催中の三都半島アートプロジェクト2015潮耳荘を訪れた。小豆島ふるさと村でアートマップを貰い、二五〇号線を南下する。吉野地区、蒲野地区、神浦地区と順に回った。
吉野地区
プルメリアシー、プルメリアボール。吉田夏奈 廃倉庫のなか、宙に吊るされた球体状の花と床に置かれた花の一対。もしかしたら球体の真ん中に神性が宿るかもしれない。宇宙の闇で波音のような花が開く、それが生命の共感だろう。
隣人の噂。筒井藍 廃屋に二つの部屋、それぞれに石膏の人形。ひとつは直立の人、もうひとつは胸腹下腹部を水疱のようなものに冒され横たわる人、病人。二つの部屋は声は聴こえるが相手を見ることはできない。でも聴こえる声は波音にかき消される。隔壁の分だけ悲しい。手を伸ばせば届くかもしれないのに。もどかしさの建築術。
空想と虫籠。尾身大輔 漁村の廃屋に巨大な木製の蟷螂。その蟷螂が何か巨虫を捕食している。日本全国の空き家にはこんな奇怪な生物がひそんでいるのかもしれない。侵入者として、あるいは元の家主が飼っていた生物の成れの果ての姿として。伝奇的な造形。
泥足。久保寛子 休耕地の真ん中に巨大な青い足。ダイダラボッチ伝説は山や沼を作り農村を助けた巨人の話だった。それは何の隠喩だったのだろう。たとえば原始共産主義的な大きな農へと突き進む集団の思想なのだろうか。その裏には国家の意志を感じる。秋の雲のなかに頭が見えた。
久保寛子、泥足、三都半島アートプロジェクト2015潮耳荘
蒲野地区
チョウジガマズミについて。黒田大祐 廃校になった三都小学校の奥にある暗がり。古い農具に飾られた彩りどりの電飾が回転する。二階には数多の扇風機の塊、その一部はやはり回転している。受像機の画面には校庭を何度も周回する女性の姿。回転しながら私たちは万物に類似項を見出していく。
Venus by the sea, too。チャールズ・ウォーゼン 赤錆だらけのドラム缶の上、ゴーグルをつけた女の頭部。髪にはヒトデ。海に戻ろうとしたヴィーナスにはしかし環境破壊された海しか残っていなかったのか。
島の誕生。友定睦 真っ暗な体育館のなかで国産みの映像を流す。切り貼りされた海の映像の上で小麦粉が塩水と混ぜられ、だんだんと形を成していく。神話の再現映像は、���を刻まない体育館の時計を介在させ、この体育館を聖化させた。〈古事記=体育館〉の生成だ。
神浦地区
神浦庵。友定睦 二人がかりで被って動かす牛頭が畳の部屋に鎮座している。綱で結界を張っている。受像機にはモノクロの映像、不穏な音楽が流れる。人の扮した牛は牛形であるがゆえに歩き続ける。でも牛の形を捨てたら人はバラバラに歩いていくしかない。〈牛=小豆島〉なら小豆島が一体でなくなれば小豆島人はどう生きるべきなのか。そう言えば豊島で牛を見た。造形神話である。
recording medium。粕谷優 鯨の耳垢は外れないので捕鯨船は耳垢栓で鯨の年齢を知るらしい。小豆島の各観光名所のパンフレットや各種団体のチラシ類を貼られて作られた、宙吊りの年輪は、この島の一つの記録媒体としてさらに増殖し続けるだろう。電子媒体の世に抗いながら。
水糸の参道。土井満治 皇子神社への水底の参道を歩む感覚に陥る。参道から直角の方向を見れば左右に平行に走る翠色の線、潮の音と相まって魚とともにいる。堤防にのぼれば船の模型が今歩いてきた水面を航行し、藁の島があり、後続の鑑賞者はみな水底にいる。しかもこれ風が吹けば水面が波立つんだ。彼岸と此岸を行き来した。
ともしびの家。入江早耶 個人宅の庭には造花の菊、蓄光し光る塗料が塗られている。夜に来れば良かったかな。池にはこのあたりにたくさん生息するという蟹がいた。掛け軸という二次元を三次元へ次元転移させるときに消しゴムのカスを使うという発想に魅了された。色を混ぜないために色ごとに消してカスを出すとか狂気とも言える。千手観音もそうだが、鯉と虎と女性の抜き出しちゃいました感がすごい、単なる消しゴムの消しカスなのに。
俳人は具象を十七音の詩にするのだが、造形作家も具体物を詩にするという点で似ている。潮耳荘を終えてオリーブ公園で昼食をとり、尾崎放哉が暮らしたという迷路のまちへ。MeiPAMの謎ときをしながら四つのギャラリーを回り、カフェで小休止した。絵描鬼の柳生忠平さんと妖怪造形が印象に残った。それから荒神明香率いる目がつくった「迷路のまち変幻自在の路地空間」を見た。普通の家なのに照明器具の位置だけで異空間になってしまう。
九月二十四日、小豆島で四回目の朝は旅立ち。四泊お世話になった旭屋旅館のご夫婦に見送られて七時の土庄港〜新岡山港のフェリーに乗りこんだ。秋雨だった。
秋雨に濡るる切符や定期船 鯨
新岡山港から国道二号線をひたすら東へ進んだ。中国大返しである。国道四十三号線への分岐となる岩屋付近で、どちらへ行くべきか迷い路肩に原付を寄せようとしたら転倒した。左膝を強打し手袋を失った。左の肋骨が痛んだ。気を取り直し国道四十三号線で大阪に入った。九条を経て京都へ向かった。国道一号線ではなく、高槻や日向町を経由した。大日あたりで高架の分岐を誤ったため。高架の分岐はよく間違える。名古屋でもそうだった。そして午後七時ごろに入京し三条河原町のVOXHallで行われた第二回ポエトリー・ナイトフライトに泉由良経由で当日エントリーした。演劇あり寸劇あり新作落語あり俳句あり詩ありギターありアカペラありの雑多なイベントだった。笑うたびに肋骨が痛んだ。
九月二十五日、肋骨がいたみ小雨降るなか京都市役所裏の二輪駐輪場から東京を目指す。
国道一号線をひたすら西へ。何度か渋滞にひっかかった。渋滞は人類の大きな損失だ。それにしても雨の日の原付はつらい。服もバックの中身もみんなびしょびしょだ。しかも今日は豊橋で一瞬晴れた他はずっと雨雲の下だった。そして夜にはヘルメットは曇るし雨粒で視界は遮られるしサイドミラーは見えないしで国道一号線のバイパスの高架は怖かった。なので掛川から旧道を通ってゆっくり東を目指した。体も冷えて精魂を使い果たしたので静岡県の島田で投宿した。走行距離三百キロ、やはり復路は往路より進まない。
九月二十六日、静岡県の島田を午前四時に出た。朝の四時と五時は原付旅行の黄金時間だ。交通量の少ないこの時間帯にどれだけ進めるかでその日全体の進捗がきまる。まだ小雨降るなか沼津まで国道一号線を通り、そこから国道二四六号へ。鮎沢パーキング上りの富士見食堂で朝食とした。そしてそのまま東京へ向かい、十二時半に瀬田交差点に到着した。東京と小豆島の往復千五百キロメートルの原付旅行は完結した。
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