#荘司としお
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)10月10日(木曜日)
通巻第8452号 <前日発行>
���プスタインのプライベートジェット機は「ロリータ・エクスプレス」
顧客リストが(トランプなら)公開されることを懼れる人たち
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イーロン・マスクがタッカー・カールソンの番組に出演し「米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利すると全力で予想する」と獅子吼して続けた。
「もし民主党候補のカマラ・ハリス氏が勝ったら私はもうダメだ。私の刑期はどれくらいになると思う? 子供たちに会えるか分からない」とジョークを飛ばした。
「私はカマラ氏を操り人形と呼んでいる。彼女は米国を『悪夢』に陥れるだろう。ハリス暗殺を企てる者はいないが、トランプ氏は2度の暗殺未遂に直面した。ハリス米副大統領を支持する大富豪の多く、じつはトランプ氏が大統領選で勝利した場合、ジェフリー・エプスタインの『顧客リスト』が公開されることを懼れているのだ」。
エプスタインは、2019年に、有力な知人たちと多彩な有名人を顧客として未成年を含む若い女性を売春させ、カリブ海にある私有島に頻繁に連れて行った。容疑が固まり逮捕されたが、マンハッタンの刑務所の独房で不審死を遂げ、公式には自殺と判定された。
マスクは顧客名簿には「リンクトイン」の共同設立者、ペイパル開発担当副社長のリード・ホフマンやマイクロソフトのビル・ゲイツなどの有名人が「エプスタイン事件」名簿の公開を懸念しており、司法省は実際に証拠があるのだから、大統領令によって、公開に踏み切れと示唆した。
「かなりの年月が経ったのに、米国の司法制度がエプスタインの顧客リストに載っている人物を一人たりとも起訴しようとせず、かわりに1月6日の国会議事堂襲撃に参加した抗議者を追及している。1月6日の抗議活動に参加した約500~600人が刑務所にいるが、エプスタインの顧客リストに載っている人は一人もいない」
顧客リストにはビル・クリントン、ジョージ・ステファノプロス(クリントン政権で広報担当大統領補佐官)、ウディ・アレン(俳優)などがあると言われ、また交友関係にはビル・ゲイツ、ルパート・マードック(新聞王)、マイケル・ブルームバーグ(経済通信王)、リチャード・ブランソン、マイケル・ジャクソン、アレック・ボールドウィン(俳優、『レッド・オクトーバーを追え』で主役)、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、イギリス首相トニー・ブレア、サウジアラビアの王太子ムハンマド・ビン・サルマーンらがいた。。
エプスタイン所有のプライベートジェット機は「ロリータ・エクスプレス」と呼ばれボーイング727に載せた。とくに元大統領のビル・クリントンは、この自家用機で若い女性とともに何度もエプスタインの別荘に出入りしている事実が判明している。
アメリカ版ハニートラップは、その醜悪さにおいて中国と同じ性質のものだ。日本でも古くから美人局や「くノ一」はいたが、これほど大がかりな売春システムはない。
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今年2月に91歳でこの世を去った丸源ビルオーナー・川本源司郎氏が所有していた建物のひとつが、とんでもない被害に遭っている。見知らぬ者によって侵入、破壊を繰り返されているのだ。【華川富士也/ライター】 SNS上には「伝説の廃墟」に不法侵入する人々の姿が次々と……。壮麗な「別荘」が見るも無残に荒れ果てるまでのビフォア・アフター写真も 川本氏といえば2013年に脱税で逮捕され、21年に懲役4年の実刑判決が確定し、服役した。昨年10月ごろに出所するも、娑婆の空気を吸える時間は短く、今年2月に亡くなっている。 そんな川本氏が率いた丸源は、東京・銀座、赤坂や福岡・博多、小倉といった大都市の繁華街にのべ60以上のビルを所有していた。川本氏は生前に大半を売却し、残ったビルも相続人が売却手続きを進めている。東京と福岡以外では、静岡県熱海市にも複数のビルや土地を所有していたのだが、その熱海にある物件で問題が起きていることがわかった。 高級ホテルや別荘が並ぶ伊豆山。海を見下ろす高台にある丸源の「別荘兼美術品倉庫」とされる物件は、美術品を収納するにふさわしい、白を基調とした美しい内装の建物だった。しかし、今では荒れ果て、見るも無惨な姿になっているのだ。何があったのか。 SNSでこの問題を指摘した一人で、廃墟鑑賞の第一人者でもある栗原亨氏はこう解説する。 「不法侵入して���影した画像や動画を、ユーチューブやTikTokなどのSNSに投稿する者が現れ、それを見た人が次々と不法侵入して、またSNSに画像や動画をアップする。これが繰り返されたことで、この場所の情報が拡散され、不法侵入者が相次いでいたのです」 調度品、装飾品は破壊され、壁には落書きが 川本源司郎 生前の川本源司郎氏(他の写真を見る) 問題は不法侵入だけにとどまらない。 「最初はきれいだったんですよ。しかし、不法侵入者がやりたい放題したせいで、めちゃめちゃになってしまった。美しい彫像や調度品、装飾品は破壊され、壁には落書きがされています。さらに海からの強い潮風に耐えられるはずの窓は破られています。なぜ破壊までしてしまうのか、理解できません。まるで無法地帯ですよ」 試しに「熱海 丸源」で検索してみて欲しい。 検索結果には、「豪邸廃墟」「伝説の廃墟」などと名付けられた、この物件の画像や動画が山ほど出てくる。さらには「Yahoo!知恵袋」などの知識共有サイトに「熱海にある丸源の別荘に行ってみたい。勝手に入って問題ない?」といった趣旨の質問を投げる人まで現れる始末だ。 そうした動画のひとつ、川本氏の実刑判決が確定する前の2019年夏に投稿されたものを見てみると、ほぼ無傷な状態の別荘が映し出されている。侵入し撮影したのは外国人で、その美しさに感動して「まるで天国だ」と英語でつぶやいている。 しかし、その頃の美しい姿は長く続かず、その後、侵入者らによって破壊の限りを尽くされ、すっかり荒れた状態の写真や動画が多数投稿されるようになった。 “顔出し”で発信しているケースも 栗原氏は30年前から廃墟物件を記録し、写真集を含む多数の著書を出版。“廃墟ブーム”を牽引した一人でもある。最新作の「ニッポン怪物件」(二見書房)では、取り残された建物がどう廃墟になっていったかを綴っている。 栗原氏を驚かせたのが、不法侵入しているにもかかわらず、撮影した動画などで顔を出している輩がいること。 「顔を出して撮影し、ユーチューブなどで発信している。これは世界に向けて“俺は犯罪者だ!”と言っているようなものです。逮捕されたら証拠になります。本人はそこに気がついていないのか……。不法侵入者の多くは廃墟が好きなわけではなく、“話題のあそこに行った”とか“映え写真、映え動画が撮りたい”という、自己顕示欲の達成とSNSの閲覧数アップで得られるお金が目���なんでしょう」 真夏の「肝試し」シーズン本番。軽い気持ちのつもりが、肝を冷やすどころか人生台無しにならなきゃいいいが。
銀座の不動産王「丸源ビル」オーナーの「豪華別荘」が見るも無惨な姿に…“不法侵入ユーチューバー”らの呆れた実態(全文) | デイリー新潮
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「書物観察の手引き」をする本だけあって、当該書籍にもこだわりを感じる。見やすく読みやすい本である。
編集をひもとく (書物観察の手引き) | 田村 裕, 横井 広海, 臼井 新太郎, 田村 裕 |本 | 通販 | Amazon
第1章 編集コンセプトに触れる ①書物を観察する ②モノづくりとしての編集 ③造本構造と台割 ④本づくりを司る ⑤デジタル時代の出版の位相 ⑥見えない糸に触れる コラム:「編集後記」という不思議 第2章 印刷と造本 ①冊子体の本の歴史と基本単位としての折丁 ②印刷の折と絵の密な関係~中世から近代まで ③近代日本の印刷技術と多彩な視覚表現 ④印刷の仕組みと特長~3版式を中心に~ ⑤変わりゆく本の印刷と編集 本の基礎知識:本の部分名称と製本の分類 第3章 書物と紙 ①紙の本~モノとしての存在感 ②紙の誕生前夜~本と様々な「素材」 ③身体を刺激する書物~紙の特性 ④「折丁」からの広がり~紙と書物の緊密な関係性 ⑤書物の可能性~用紙と造本から考える 本の基礎知識:本をかたちづくる「紙」を知る 第4章 文字組みと装丁 ①江戸の整版本と明治の活版本の装丁・レイアウト ②夏目漱���の橋口五葉装丁本~和洋混淆の妙味 ③大正期新興美術運動と芸術表現としての編集行為 ④文字と編集~書体と字形 ⑤編集と装丁 コラム:斎藤昌三の装丁ー『新富町多輿里 少雨荘大八随筆集』 第5章 「編集」を観察する ①観察の手引き1⃣~星野道夫の写真集を中心に ②観察の手引き2⃣~絵本の構造 ③展覧会の図録における「編集」の役割 ④『かもめのジョナサン』にみる飛行表現の推移 コラム:拡散する「編集」ー電子書籍の特性と読む行為の変容
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各地句会報
花鳥誌 令和6年12月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和6年9月2日 花鳥さざれ会
影までも残暑に喘ぎをりにけり かづを それとなく秋を呼びゐる波の音 同 哥川忌もなく思案橋灼くるのみ 清女 流灯の川面に万の帯となり 希子 流灯の星となるまで見遺りをり 同 男振り鬼灯市の団扇手に 雪 ふと旅に在すが如く柏翠忌 同 其の声音其の眼光も柏翠忌 同 浅草の粋の申し子柏翠忌 同
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令和6年9月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
さやかなり異郷の地より便りあり 喜代子 彼の人の御霊と思へ流れ星 都 秋霖や昼を灯して新書読む 同 身ほとりを駆け抜けて行く野分かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
身に入むや幽霊坂に解体屋 要 振り向けば幽霊坂に秋の雲 昌文 野分後いうれい坂に干す雑巾 順子 鰐口に打たれて鳴りぬ秋の声 同 秋の蟬跨いで白きスニーカー 要 坂の町そろそろ秋が高くなる 荘吉 長月の翳を重ねて魚籃坂 三郎
岡田順子選 特選句
石仏に一円玉と銀杏の実 緋路 朝顔や嬰も黒衣の葬の列 昌文 朝顔や団地めく墓百基ほど 久 正門の秋の気配や女学院 六甲 幽霊坂に細身のをんなつくつくし 昌文 銀杏の実亀石の首そのあたり 久 坂の町そろそろ秋が高くなる 荘吉
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月7日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ブラインド上げて夕焼の部屋にする 愛 秋風に置く空つぽの洗濯籠 かおり 送り火の煙ゆつくりと四囲めぐる 成子 秋扇こころ明かさぬまま別れ 美穂 にくしみがあきらめとなり秋扇 孝子 身に入むや母のお薬カレンダー 修二 流星の穿ちし窪み都府楼跡 睦子 かなかなや吾子沈みゆく腕の中 朝子 読み耽るアリバイ怪し夜半の秋 修二 ドクターイエローへ手を振る花野人 美穂 月見草わが名つぶやく人の逝く 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
銀漢に明治溶けゆく赤レンガ 三四郎 空蟬や大樹にしかとすがりをり 英美子 新米の入荷太文字人を呼ぶ みす枝 物音の消えし校舎に蟬時雨 昭子 晩酌の静かな会話虫時雨 三四郎 黄色い声ねずみ花火に逃げ惑ふ みす枝 一ト夜ごと虫の音細くなりにけり 英美子 流灯会読経流るる僧百人 三四郎 本心は言へず花火の夜の別れ 英美子 枝豆やまた繰り返す愚痴話 靖子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月9日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
露の庭はな緒のゆるい宿の下駄 あき子 リズム良き祖母の寝息や集く虫 和魚 源氏詠む文机近く虫すだく あき子 秋茄子や料理の好きな妹逝きて 和魚
秋尚選・三無選 特選句
秋茄子の色は紫紺の優勝旗 廸子 暑くとも白露の朝でありにけり 秋尚 昼の虫導かれつつ見えぬまま のりこ 心地よい風を感ずる白露の日 さちこ 病む人の今朝爽やかと白露の日 ます江 小振りでも紫紺きつぱり秋茄子 三無 虫の宿庭の雑草残しおき エイ子 虫の声足そつとおく帰り道 ことこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月10日 萩花鳥会
暑き娑婆御堂の羅漢高笑い 健雄 百日紅揺れる花房夏惜む 俊文 ジャングルジム登りつく子等鰯雲 美恵子 食べ過ぎて今宵の満月僕の顔 良太 満月の影にうつるは兎かな 綾花
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令和6年9月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
花野道小さく見える牛の群れ あけみ 大花野夢の続きを行くやうに 実加 台風裡兄と出会ひし母の家 あけみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月13日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋日傘半分閉ぢて行き違ふ 都 地図に見る呉亡き父の終戦日 佐代子 誰が植ゑし鶏頭小さく石仏に すみ子 葛一面未だ本籍たりし野辺 都 今放つ槽に小波や新豆腐 同 ��創を見せ物語る生御霊 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
月餅と濃茶一服今日の菊 多美女 野の彩を丸ごと活けて句座は秋 百合子 秋燕別れを告げに母の塔 幸風 長き夜や古き日記に母のゐて 多美女 鮭小屋の朽ちても長汀石狩川 亜栄子 ゆつたりと夜長にすすむ酒のあぢ 幸風
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
秋茜近寄り来てはまた高く ます江 桔梗とて気怠そうにて風に揺れ 同 池に波紋残して行けり赤蜻蛉 貴薫 草むらに露草の青紛るなく 秋尚 赤蜻蛉捕り逃がしたる父の網 三無 隠沼に���明菊の八頭身 文英 秋の蝶もつれて落ちてまた浮かぶ 白陶
栗林圭魚選 特選句
魁て色づく雅式部の実 三無 秋茜近寄り来てはまた高く ます江 静謐の沢の流れや曼珠沙華 幸風 赤蜻蛉捕り逃がしたる父の網 三無 草陰に水音聴くや秋の蝶 亜栄子 山葡萄鈍き光りを森の端 慶月 森へ行くバス待つベンチ秋の晴 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月16日/21日 柏翠・鯖江花鳥合同句会 坊城俊樹選 特選句
曼殊沙華赤で囲みし甕の墓 ただし 新しき束子で洗ふ母の墓 同 鉄工所跡は錆色芒原 同 施餓鬼寺秘仏に在す観世音 雪 刃を入れるこれぞ西瓜と云ふ西瓜 同 流灯会母のだんだん遠くなる みす枝 夕月や心素直になつてをり 同 手を上げるだけの挨拶爽やかに かづを 九頭竜の乾坤いまだ秋を見ず 同 夜廻りの拍子木冴える星月夜 嘉和 袖通す事なく紙魚の秋袷 英美子 大漁の海を映して鰯雲 眞喜栄 熊除けのあまりに小さき鈴かとも 洋子 中天に中秋の月ただ一つ 紀代美 一言が十で返つて来る暑さ 清女 花明り水明りして草の露 世詩明 紐引きて夜長の秋を灯しけり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
単線の駅の中間大花野 世詩明 露草に跼めば低し膝がしら 同 へのへのの顔に疲れて来し案山子 雪 商ひの顔に見えざる古葭簀 同 もしかして死んだ振りかも火取蟲 同 地酒くみ民話ひもとく良夜かな 笑子 何故に泣きべそかいた十三夜 隆司 大花野境界線は遠き空 千加江 夢の中独り占めして花野かな 同 ゆつたりと羽を愛しむ秋の蝶 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年9月20日 さきたま花鳥句会
秋草や流離の雲はとこしへに 月惑 去ぬ燕施設の母の走り書き 裕章 秋暑し観音堂の鬼瓦 紀花 三尺寝青年の腕白きこと ふゆ子 秋風や水尾引く舟の遠ざかる 恵美子 降るほども無き雨の庭昼ちちろ みのり 刈り草の中よりツンと彼岸花 彩香 鍵を置き去りし男や秋の雲 良江
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『旧校舎は茜色の迷宮』明利 英司
1年前、そして今年、秋に発生した二人の教師の死の謎を追うために、オカルト好きな女と2人のイケメンが立ち上がった!
……のはいいのだが、待っていたのはそんな生易しい青春コメディなオチではなかった。筆致の時点でコメディでないのは間違いないのだが、もう少し優しい、ちょっとほろ苦い程度の結末だと思っていた。
なんせ作品を包む雰囲気が、そのようなものに思わせたのだから仕方ない。この作品、どことは示し難いが、大変に「秋」を感じさせる作品なのだ。ページ全体が、切ない枯死の季節たる秋の雰囲気に似つかわしい結末を、漠然と想像させ続けたのだ。実際青春ものらしい、苦々しい結末ではあるのだが、いやこれは秋より夏でしょ。
「本格ミステリ」の賞を取っているのだから、これくらいの真相は読めないといけないのだが、いやはやまさかここまで入り組んでいるとは、読み切れる人間はそうもいるまい。
いやしかし、種明かしシーンの前までの中で、作中でネームドとなっていない人間を挙げていけば、自ずと分かるものだったかもしれない。今考えれば明らかな設定の空白がある。当てにいけば当てられるものだろうか?
現に作中でも語られているように、葬式のシーンのように伏線が貼られている。聡い人間ならあるいは看破可能かもしれない。
さて、おすすめしたい点はミステリとしてのこだわりである。この手の比較的地に足ついた青春作品としては珍しく、「トリック」が存在しているのが良いのだ(比較的地に足ついてない青春ミステリは『天帝』シリーズとか)。
フェアを意識してか、このトリックについても伏線がそこそこ張られている。この設定や主人公等の年齢、学校という舞台で、ロジックでなくトリックの本格性で魅せるのは珍しくて良い。島田荘司もその点に注目したようだ。どうも既視感のあるトリックという難も同じく感じ取ったらしいが。
まあでも、このトリックを行える設定を無理なく用意しているという点は、もっと評価されて良いと思う。確かに文化祭の準備という設定を用いれば、この規模なら「非現実的である」という批判は食らうまい。
キャラも魅力の一つである。主人公格三人がみな違った青さと情熱をもっており、そしてそれ��鼻につくこともない。大人たちのコミック・リリーフっぷりと、最後の最後に役割をはたすのもベタだが好きだ。
ベタな展開と巧緻な設計が光っている。予想もつかない真実と優等生的なトリックが魅力の、普通のミステリである。誰にでも勧められる。
しかし悔しいなぁ。
秋の学園ミステリというのは予てから書いてみたかったものなのだが、こんなものが先に出て、しかも文庫化もされていないとは。厳しい世界だなぁ。
この「秋」な感じ、凄くいいのにな。
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仁徳天皇陵古墳、外堤は後世に造成明治期に荘厳化か 2024/11/29 20:39
土が盛られていた仁徳天皇陵古墳の発掘現場=29日、堺市堺区の仁徳天皇陵古墳(泰道光司撮影)
国内最大の前方後円墳で世界遺産の仁徳天皇陵古墳(堺市堺区、5世紀中ごろ)を発掘調査している宮内庁は29日、後円部北西側の周濠や堤で、江戸時代中期から明治時代の間に行われた造成工事跡を確認したと発表した。
今回の調査個所では、江戸時代の元禄期(17世紀後半~18世紀初め)に新田開発で埋められ、明治時代に復旧したとの文献が残っており、記録が裏付られたことになる。調査担当者は「明治期に堤を高くして陵墓の荘厳化が行われたのではないか」としている。
今回は墳丘を囲む3重の堤のうち、真ん中の第2堤と一番外側の第3堤、一番外側の第3濠(ごう)などに7カ所の調査区を設けた。いずれの調査区でも、元の地層の上に土が盛られていた。一部には15~16世紀の陶器片や瓦なども混じっていた。
盛られていた土は第2堤では約1・8メートルの高さがあり、古墳が築造された当時は現在よりも低かったことが分かった。宮内庁陵墓調査室の土屋隆史主任研究官は「(築造された)古墳時代はもっと簡素で、現在の風景とは違っていたと考えられる」と推測している。
宮内庁は古墳の保全整備に向けた現状把握を目的に発掘調査を続けており、今回は平成30年、令和3年に続いて3度目となる。
(仁徳天皇陵古墳、外堤は後世に造成明治期に荘厳化か - 産経ニュースから)
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「上山田温泉物語」第6回 戦後の戸倉上山田温泉
「上山田温泉物語」第6回 戦後の戸倉上山田温泉 筆者(若林正樹)が帰省したのは昭和57年(1982)。温泉街を歩いていた時、年配者から「須見大佐がやっておられた旅館はどこですか?」と尋ねられた。「須見さんと言えば三楽荘ですね。」と答えたが、父から初めて須見新一郎大佐はノモンハン事件(1939)に関係した人ということを聞いた。事件は大本営陸軍参謀・瀬島龍三、関東軍作戦課・辻政信らが主導し、死傷率76%という甚大な被害の責任を現場の部隊長に負わせた。大佐は退役させられた後、軍関連の土地があった戸倉温泉に「三楽荘」を開く。 司馬遼太郎もノモンハン事件を小説化しようと何度も取材に訪れたが、司馬が瀬島龍三と対談したことを知ると、それまでの取材内容の使用及び今後の取材を拒否した。司馬はノモンハン事件の執筆を断念する。瀬島は戦後、伊藤忠商事会長・相談役、亜細亜大学理事長、日本電信電話顧問等を歴…
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儒者が漢王朝を腐らせた?[打倒司馬懿を掲げたシチケンジャーとは]
魏(ぎ)の末期、麻薬や酒をあおりながら実務と全然関係ない老荘思想(ろうそうしそう)の話ばかりして政治の世界から距離を置いていた、浮き世離れした変人集団の「竹林の七賢(ちくりんのしちけん)」。 このサロンは司馬懿(しばい)の派閥が専横を極める政治に対立していた反・司馬懿派の���治結社ですが、なぜ反・司馬懿だと老荘思想なのでしょうか。 外戚(がいせき)と儒教の因縁 話は三国志のお話が始まる頃、後漢(ごかん)末期にさかのぼります。後漢では皇帝のママの一族である外戚(がいせき)と、皇帝の身近にお仕えする宦官(かんがん)とが権力争いをして世の中ぐっちゃぐちゃになっちゃったわけですが、政府でお仕事をしていた偉いお役人さんたちは宦官のことは嫌いでありまして、外戚のほうと仲良しでした。 例えば、三国志に出てくる袁紹(えんしょう)は代々高級官僚を輩出している家柄の出身で…
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自分とか、ないから。教養としての東洋哲学 Audible版 しんめいP (著), 大谷 幸司 (ナレーション)発売たちまち重版!2刷1万5千部突破!
ぶっ飛んでいるのに、なぜか論理的。 生きづらさがマシになる(かもしれない) それが、東洋哲学。 「人生でやりたいことってなんだろう?」 「本当の自分ってなんだろう?」 そんな全・自分迷子に贈る、衝撃の哲学本がここに誕生。 すべての答えは、「東洋哲学」にあった! 東洋の哲学者たちは、 とにかくみんなキャラが濃くてバグってる。 でも、そんな彼らの教えは、 「どう生きればいいか?」という人類普遍の悩みを打破する「考え方」を ぶっ飛んだ方法で、でも論理的に、導いてくれる https://amzn.to/4gRN8b5 無我、空、タオ、禅、他力、密教… 知れば知るほど、 この世界や自分の見え方が変わってしまうのが 東洋哲学の面白さ。 本書では、インド・中国・日本から、 ブッダ/龍樹/老子/荘子/達磨大師/親鸞/空海 7人の哲学者たちの教えをご紹介。 あなたの悩みに合ったお気に入りの哲学者が、きっと…
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)10月29日(火曜日)弐
通巻第8480号
中国の『国防七大学』OBが中国軍のなかに新派閥形成
台頭する理工系エンジニアのテクノクラート集団
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中国の『国防七大学』とは北京航空航天大学, 北京理工大学, 南京航空航天大学, 南京理工大学, 西北工業大学,哈爾浜工業大学、哈爾浜工程大学をさす。
米国はこれら七校が中国の軍需産業と密接に結びついているため、交流を禁止しているが、日本の大学のなかには相変わらず、無頓着に交流し技術提携関係を持続している。
日本の国公私立大学計45校が、中国人民解放軍と関係があり、軍事関連技術研究を行う国防七大学と大学間交流協定を結んでいる。しかも9校は共同研究の実績がある。
これら七校の出身者が、最近、軍エリートとして新興の派閥を形成している。
習近平��最近しきりに「軍民融合」というタームを使う。そのうえ19回党大会のあと、「軍産幹部」をつぎつぎと上位に昇進させており、2022年の第20回党大会以降は、副大臣クラスで「軍産エリート」たちの存在感が高まっている。まさしく中国共産党内の潜在的な新興派閥である。
トウ小平はベトナム懲罰戦争を仕掛けたが、ボロ負けした。階級章が曖昧で、命令系統がわからず、武器は旧式だった。にもかかわらずトウ小平があえて戦争を仕掛けてた理由は、戦争に打って出ることで軍をトウ小平主導のもとに整合させるという隠された目的があった。
以後、しゃかりきとなって推進したのが『軍の近代化』だった。ハイテク武器の開発、軍の効率的運営、海軍の充実。そして地方軍閥をなくし、軍のシステムを総政治部、総参謀部、総装備部、総後勤務部の四つにはっきりと統合した上で、陸海空の三軍と七大軍管区にわけ分割統治を謀った。
「中国海軍の父」といわれたのが劉華清だった。彼は党小平の信任厚く、人民解放軍海軍司令員(司令官)、第14期中国共産党中央政治局常務委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを務めた。最終階級は上将。
江沢民は軍歴もなく軍人のだれもがせせら笑っていた。なぜこんなエンジニア出身の党官僚が軍に命令する権利を持つのか、と憤懣やるかたがなかった。そこで江沢民は懐柔策にでて軍人のアルバイトを黙認し、江沢民に忠誠を誓う胡麻擂り軍人にばんばんと上将(大将)辞令を乱発し、手なづけた。よって軍は腐敗した。
習近平は、おそるおそると軍の改革に手をつけ四大総部体制を掻きあらして十五の局として再編、ついで七大軍管区を五大戦区に転換した。
さらにロケット戦略軍を新設し、理工系エンジニアを大量に採用し、ハイテク兵器の開発功労軍人を矢継ぎ早に昇格人事をおこなった。宇宙航空関連の軍人が、軍内でエリートと見做されるようになった。
ということは並みの軍事訓練をうけてきた兵隊からすれば体力も戦闘経験もない頭でっかちが、軍エリーとなっていくことに強い反発と嫉妬、怨念を抱いた。
▼とはいえ、国防軍事産業は閉鎖的社会である
新派閥は理工系、数学とコンピュータに強い教育的背景と防衛産業の運営モデルを通じて人間関係のネ��トワークが形成され、相互信頼、ならびに同質性が育まれる可能性が高いため、結束力が異様に強い派閥となった。
コンピュータの軍事エリートが世界最大のハッカー軍団を取り仕切っていると推測される。
この『軍産エリート集団』は共産党中央委員会のなかに独自の軍産複合体閥を形成し、幹部が資源配分、政策立案、規制、現地調整、意見伝達などで重要な役割を担い、防衛産業の発展を統括している。
2024年6月には黄強(元国防科学技術委員会書記長、国防科学技術局副局長)が吉林省党委書記に任命された。異例の出世である。遼寧省の赫鵬、黒龍江省の徐勤と並んで、中国東北部の主要軍事産業基地の省党委書記3人全員が防衛産業出身者となったのだ。
習近平氏は近防衛産業の発展と拡充を強く支援しており、防衛産業出身の幹部昇用が目立つことは述べたが、これら新エリートのほとんどは国防七大学を卒業している。
しかし基本的な特質を述べれば、中国の防衛産業は閉鎖的な社会で、より広範な官僚制度を特徴付ける「ブロック論理」(日本で言うところの「省益」は防衛産業にも存在し、研究開発は特定の防衛企業または研究部門に限定される。セクト主��だ。
さはさりながら共産党のピラミッドの頂点である中央委員会メンバーのうち、防衛産業出身者は21名となった。第20期中央委員会では、劉国忠、張国清両副首相、馬星瑞新疆ウイグル自治区党書記、袁家軍重慶市党書記の4名が政治局に昇進した。習近平をのぞく政治局23名のうち、軍エリートは四名である。
国務院人事をみても、多くの省庁が軍産関係者を重要な役職に据えている。
20期中央委員会では、国務院内の軍産資源や関連産業部門を実効管理する人物として、張国清副首相(工業担当)と劉国忠副首相、呉正龍国務委員、金荘龍工業情報化部長、懐金鵬教育部長などがいる。
地方レベルでも21人の軍産幹部が14の省、直轄市、自治区で党書記または省長を務めた。
就中、東北三省である。遼寧省、吉林省、黒竜江省の重工業地帯は、ずばり日本の満州国建設時代に鉄鋼、造船、機械工業を育成発展させて基盤がある。
この三省が中国軍事産業にとって不可欠な研究企業や研究所の本拠地である。例えば、黒龍江省にはハルビン航空機工業集団(HAIG)、遼寧省には大連造船工業集団(DSIC)、ついでにいえば陝西省には中国航天科技集団(CASC)の第四研究所と第六研究所がある。
中央委員会の軍産関係者の人脈を分析すると、多くが学歴や職歴を共有していることも分かる。学閥もまた習近平が清華大学閥を形成しているように中国の人脈地図に於いて重要である。
全国人民代表大会副主席の張清偉がこのネットワークの中心人物とされる。張清偉は航空宇宙分野で長いキャリアを積んできた。このため、航空宇宙分野の役人のほとんどつながりを持つ。重慶市の袁家軍・党書記、新疆ウイグル自治区党書記の馬興鋭、中央軍民融合弁公室の雷帆培副主任、工業情報化部長の金荘龍は副官を務めたことがある。
もう1人の中心人物は、副首相の張国清だろう。国務委員の呉正龍と陝西省長の趙剛は、一緒に仕事をした経験があり、張と呉は2013年から2014年まで中国共産党重慶市委員会で一緒に働いていた。
ただし中国共産党の最高機関である政治局常務委員に昇格した軍産関係者はいない。党の活動歴がないうえ、習近平のとの個人的な絆が薄いからだ。
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8月21日、覚醒剤取締法違反の疑いで、淡路明人容疑者(57)が警視庁に逮捕された。いわくつきの人物の逮捕に政界がざわついたが、まずは今回の逮捕の経緯を振り返る。 警視庁担当記者が語る。 「淡路氏は7月、愛人にしていたAV女優に無理やり覚醒剤を吸引させ、警視庁目黒警察署に駆け込まれたのです。淡路氏は、自ら目黒警察署に出頭し、薬物検査を受けるなどして潔白を主張し、逮捕後も容疑を否認しているようです。 一方で、女性に対して『1億円を支払うから(被害)届を取り下げてほしい』と、連絡を取っていたといいます」 じつは淡路容疑者、元衆議院議員の秋元司氏のカジノ汚職事件に関与したとして、2020年に執行猶予付きの有罪判決を受けている人物だ。 「秋元氏は、中国企業から総額760万円あまりの賄賂を受け取ったとして逮捕されました。起訴後に保釈された秋元氏は、淡路氏らと共謀し、贈賄側に偽証を求めたのです。 結局、秋元氏の裁判では、淡路容疑者は検察側の主張に沿った証言をおこない、秋元氏には懲役4年の判決が下りました(その後、控訴)。証言中には、『秋元さんは優秀な政治家だ』と泣いてみせたこともありました」(同前) 秋元氏は、今回の淡路容疑者の逮捕を知って、「また俺の名前が(マスコミに)出るのか」と苦笑したという。 もともと淡路容疑者は、北海道札幌市のWEB制作会社「48ホールディングス」を経営し、2015年ごろから「クローバーコイン」と称する独自の暗号資産を販売。「1カ月半で10倍に値上がりする」などと虚偽の説明をして192億円あまりを集めたが、2017年に国税庁と消費者庁の強制捜査を受け、特定商取引法違反でマルチ商法��取引停止命令を受けた。 別の社会部記者が解説する。 「わ��か2年で、約3万5000人にまで被害が広がったのは、淡路容疑者が自民党関係者との親しさをウリにしていたからです。2016年には、安倍晋三元首相が主催する『桜を見る会』と、前夜祭に出席。 安倍元首相や昭恵夫人らと撮影した写真を事務所に飾り、コインの購入希望者に見せ、販売促進に使っていました。『これ、安倍さんからだよ』と、携帯の着信履歴を見せることもあったそうです」 また、昭恵夫人が取締役を務める企業が運営する山口県の宿泊施設『ウズハウス』に出資。国会でも取り上げられた。 自民党関係者が語る。 「昭恵さんが出資を求めたわけではなく、クラウドファンディングで出資者を募り、淡路容疑者がこれに応じたのです。ですが、淡路容疑者はハウスのオープンニングパーティに出席し、またも安倍元首相とツーショットで写真を撮っていますし、昭恵さんも席上で『ウズに共感してくれた人』と、周囲に紹介していました」 淡路容疑者は、コイン購入者に返金を通知したが、今も大半の人に返されていない。 「にもかかわらず、今回の逮捕まで毎晩のように大阪・北新地の高級クラブをはしごし、ハワイに別荘を構えるなど、贅沢三昧な生活を続けていました」(前出の社会部記者)
「昭恵さんへの出資者」がAV女優に覚醒剤で逮捕…安倍氏の写真使って暗号資産売りさばき、執行猶予中でもクルーザー大豪遊(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
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ヘレブリアンの別荘3
カトリーン・ヘレブリアン 私たちは予定通り行く。聴聞会はまた正常に進行するだろう。書記長が本性を現わせばそれを逆襲するんだ。
カトリーン・ヘレブリアン キュラレ司書たち。お前たちも戦いに備えろ。聴聞会の中に入るのは許すが私の命令があるまで動くのは禁止する。
ミウ ちょっと待って、荘子の位置は!
エリヤ・カルマドス 居住区C-15ブロックの地下室で確認された。しかしそちらも兵士たちが……。
カトリーン・ヘレブリアン いや、聴聞会が先だ。開始する前にまず戦争でも繰り広げるわけか?荘子の救助は聴聞会が終わった後に先送りする。
ミウ ……。
カトリーン・ヘレブリアン まだ何も変わってないからせっかちだと思うな。聴聞会で確実にフィルダを圧迫し、本性を現わすようにすることが優先だ。
ミウ うん。わかった……。
カトリーン・ヘレブリアン しかし混沌の追従者なんて完全に狂っているな、フィルダ書記長。
カトリーン・ヘレブリアン これは1級反逆罪で。どうして書記長がやっているのか……。いや、捕獲して聞いてみればいいだろう。
カトリーン・ヘレブリアン それでは準備しよう。
セラ 何か話が切迫して帰って行きましたね……。
デルフィン ううむ……。
ミウ ……。
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「虚無への供物」中井英夫 5561
終章
56 幸福な殺人者(藤木田老人の告発)
蒼司の告白が続いています。 正直、読んでもよくわかりません。 犯罪者の心理とはこんなもんだとでもいいたのでしょうか?
第二の事件を実行に移すスプリングボードになった紅司の死、 そして、橙二郎を囲む麻雀をやる機会を待ってその計画を実行移したこと。 犯罪だとわからないとうにすることがパパへの供物になると、このあたりがイマイチ理解できません。
ただ、藤木田は、すっかり見抜いていたようだということです。 それなら、ちょっとヒントでも残して帰ればいいのに。
そして、第二の事件の顛末です。 ・電話で敬三を呼び寄せる ・向こうの受話器は外しておく ・誰かが台所のメータコックを締めるのを見計らって麻雀で二位になる ・二位になったので、席を立ってメータコックをあけ放す ・敬三をうろうろさせる ・二階へ上がると化粧室の湯沸かしのガス栓を一杯に開いてガスを噴出させる ・書斎へいき橙二郎��麻酔をかがせて運び出す ・化粧室へ放り込む ・三分後、化粧室のガスを導火用だけ残して締める ・死体をベッドに運び、部屋の元栓とストーブの栓を全開にする ・階段側のドアをしめ、ナイトラッチをとざす ・書庫側のドアに内側から鍵をさし鍵をかけずに出る ・現場に真っ先に駆け付けて、鍵がかかっていえうふりをして、合鍵で向こうの鍵をつつき落として開ける
つまり、密室ではなかったということですね。
蒼司が、どうして橙二郎の死がパパへの供物になるのかは、俺だけが知っていればいいことだそうですが、 それだ一番大事な所なきがします。
聖母の園の事件の犯人の適格者は俺だとか、 鴻巣玄次がおれを架空の犯人にふさわしく取り残して死んだんだとか、 紅司が、鴻巣玄次って名前の元電気工が住む坂の上のアパートと与えたヒントで日記に仕立てたのとか、 八田皓吉からの電話に黒馬荘のことを教えてその結果が、またしても俺が犯人にされているとか。
そうして、牟礼田が小説を書くことで俺のそんな気持ちにとどめをさした。
ただ、亜利夫と久生にことは、ばかにしてますね。 確かに、ピントずれた推理だったかもしれませんが、それを非難することはできないような気がしますがね。 それに牟礼田が一枚噛んでいたようで、久生は怒るかと思っていたら、後悔はしないが、 それよりも、犯罪を犯した人間のほうが糾弾されるべきだといいます。
当然ですね。
久生はひるまず続けます。 今までの話でも、 紅司さんにしろ、鴻巣玄次にしろあなたの犯行ではないという確証はひとつもないといいます。
おお、そうですね。 犯人なのかそうでないのかまだわかりませんね。
おキミちゃんこと斎藤敬三が白血病で死にかけているのも、あなたが少しずつ砒素でも飲ませてるのかもといいます。
まあ、これはちょっと極端かもしれませんね。
さらに、意地悪い感じで、 蒼司が大学をやめることになった塑性論の矛盾を解決した論文が他の写しだったとするなら、 殺人についても同じことがいえるのではないか。
蒼司には、久生に古傷めいた過去をつつかれたことが、怒りとなったようで、今までとは態度が変わったようです。 どういうことなのか次節で解るのでしょう。
つづく
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2024年7月18日に発売予定の翻訳書
7月18日(木)には26点の翻訳書が発売予定です。
自閉症とその他の神経発達症のESSENCE(エッセンス)
クリストファー・ギルバーグ/著 田中康雄/監修 畠中雄平/監修 北添紀子/監修 石川ミカ/翻訳
明石書店
ヒーリングウォーターオラクル
レベッカ・キャンベル/著 ケイティ・ルイーズ/イラスト 岩田佳代子/翻訳
JMA・アソシエイツ
配色スタイル ハンドブック ファッション・パレット
ローレン・ウェイジャー/著 ソフィア・ノリーン・アフマド/著 和田美樹/翻訳
ビー・エヌ・エヌ
ナイルの聖母
スコラスティック・ムカソンガ/著 大西愛子/翻訳
講談社
父が子に語る科学の話 親子の対話から生まれた感動の科学入門
ヨセフ・アガシ/著 立花希一/翻訳
講談社
慈悲の瞑想 : 慈しみの心
春秋社
進化論の射程 : 生物学の哲学入門
エリオット・ソーバー/著 松本俊吉/翻訳 網谷祐一/翻訳 森元良太/翻訳 丹治信春/監修
春秋社
動物城2333
荷午/著 王小和/著 島田荘司/翻訳
講談社
哺乳類の興隆史 : 恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで
スティーブ・ブルサッテ/著 黒川耕大/著 土屋健/翻訳
みすず書房
ハイブリッド・ヒューマンたち : 人と機械の接合の前線から
ハリー・パーカー/著 川野太郎/翻訳
みすず書房
だから私たちは人生を変えていける : 「思い通り」を実現する心の法則
ウエイン・W・ダイアー/著 渡部昇一/翻訳
三笠書房
ザ・グレートボールゲーム : 語り継がれるアメリカ先住民のおはなし
レベッカ・シェイア/著 ジョシュア・ステックリー/イラスト 山口順子/監修 津内香/翻訳
世界文化社
つかめ!理科ダマン 7 みんなで地球を冒険!編
シン・テフン/著 ナ・スンフン/イラスト 呉華順/翻訳
マガジンハウス
THE UNIVERSE IN A BOX 箱の中の宇宙 : あたらしい宇宙138億年の歴史
アンドリュー・ポンチェン/著 竹内薫/翻訳
ダイヤモンド社
バリアの破壊者
クルト・マール/著 H・G・エーヴェルス/著 岡本朋子/翻訳
早川書房
パナマの仕���屋 上
ジョン・ル・カレ/著 田口俊樹/翻訳
早川書房
パナマの仕立屋 下
ジョン・ル・カレ/著 田口俊樹/翻訳
早川書房
マッキンゼー : 世界を操る権力の正体
ウォルト・ボグダニッチ/著 マイケル・フォーサイス/著 中山宥/翻訳
早川書房
万博と殺人鬼
エリック・ラーソン/著 野中邦子/翻訳
早川書房
台湾文学コレクション2 風の前の塵
施叔青/著 池上貞子/翻訳
早川書房
夜、すべての血は黒い
ダヴィド・ディオップ 加藤かおり/翻訳
早川書房
グッド・フライト、グッド・シティ : パイロットと巡る魅惑の都市
マーク・ヴァンホーナッカー/著 関根光宏/翻訳 三浦生紗子/翻訳
早川書房
スパイダーマン/スパイダーグウェン :シッティング・イン・ア・ツリー
ブライアン・マイケル・ベンディス/著 サラ・ピチェッリ/イラスト 光岡三ツ子/翻訳
小学館集英社プロダクション
バットマン&ジョーカー:デッドリー・デュオ
マーク・シルベストリ/著・イラスト 中沢俊介/翻訳
小学館集英社プロダクション
新版 ゆるすということ
ジェラルド・G・ジャンポルスキー/著 大内博/翻訳
サンマーク出版
デシベル・ジョーンズの【銀河/スペース】オペラ
キャサリン・M・ヴァレンテ/著 小野田和子/翻訳
早川書房
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キモオタ「あの、B(バグ)ちゃん…お金出しからの睡眠中に気持ちいいリードしてあげてもいいかな〜なんて(ニコッ)」
霊猫蒼海「何を信じてるの?知らないよそんなの。警察沙汰の被害に遭った末に勘違いまでされて不快なんだけど」
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ユニ「あの…富豪さんとメンチースさん……最近あの子達のサークルに来ないのは、やっぱり…」メンチース09「いいんよ、幸せになるんは大衆で」富豪05「絶対悪ってのはさ、底が浅いんだよ 葛藤があって口では冷たくても……ってのが素敵だ。皆んながついているから君達はこんな奴らなんかに負けない」 2人「俺とアチシ等は過去を観てるだけでこの世に疲れちまった 真の裏ストボスなんかが勝っても意味ないんよ。守護女神様が花を持ちなっせ」
御茶ヶ滝ウォーターワールド(14歳)「ママ💙 俺のお年玉で一緒にお寿司たべようよ( ◠‿◠ )」ママ「いいのかい?悪いよー」御茶ヶ滝「遠慮すんな‼️おかあ〜、さん❗️❤️🔥」ママ「むす〜こさんさんさーん❤️🔥😊」御茶ヶ滝(14)「さんさんさーん💫 サーンポ😋」
〜はじまりの数年後〜
青い少年「俺達が好き勝手に殺す、個性も封じられて完全にお手上げだな。復讐する権利は誰にもない、でもいじけて自分の舞台から切り捨てる権利はある だって話しかけられる度にブロックリストに入れる繰り返��で1000人捧げて潤わせても俺達は誰も逮捕されなかった」
御茶ヶ滝「そうだね、正しいのは君だよ。俺達は所詮満足した側の集まりだから、今の主人公も君だ 悲しみを癒す果てに、こんな結末が待ち望んでたけれどいいよ 君に関わる術を全部断ち切られた元虐め加害者達と俺達の完全敗北だから👍 フェードアウトな皆殺しだからしても大丈夫」
青い少年2「違うよ 間接的に人が死ぬような気がして本当はそんな事したくない 世界は終わってるんだ。””””ラオウ様””””は人質を取られて”””””クシャガラ様”””””に殺された、多分まともに戦っても(赤き真実)…もう居ない。考えてみれば負けないなんて青臭い感情じゃ、死ねない意地には敵わない 次を賭ける覚悟が違う、最強の格付けだったんだよ 本当は君達に幸せになって欲しい…でも誰も1人で、進化してしまった”””””シックス様”””””を殺す事なんてできないんだ。この方はパラレルワールドの自分達すら見捨てた これ以上従って酷い事をしたくないよ…」涙を流す少年
超電波油「なんだよそれ…なら一緒に戦おう、もう孤独じゃないんだから。諦めてどうする 自分達が今の代表だって証明してやれ 言ったよな 君がしたいようにしろって……ラオウ様の味方になれるんだから彼も俺達も 1人じゃない タイトルを継いで取り戻そうぜ 馬鹿馬鹿しくてやってられねえ 迷えるモヒカン達を救おう」
F(フェア):ヴァストローデ「凄く良い男の子見つけたよ。紹介してあげる💦」
霊猫蒼海「嫌だ。私はまだ当たり前の幸せを手に入れてない!差別的権力で理不尽な犯罪をして、自己満足でしかない加工した人生を押し付ける自己中。そんなの要らないプラマイだよ、どっちも最低‼️威厳とプライドが全てだからさ。話しかけて来ないで(赤き真実)」
F(フェア):ヴァストローデ2「(いつ、許してくれるんだろう)」
F(フェア):ヴァストローデ3「無理だよね、あの子は人一倍繊細で…冷徹だから」
霊猫蒼海「どれだけ荘厳に振る舞っても、人の思考は地面に足を付けずに歩けない。当たり前のものに満たされて世間体と真実の裏表が入れ替わっていく。一番好きな宝物が威厳と自尊心じゃなくなるなんて想像もして無かったけど 周りから勧められてきた恋愛なんて蹴っ飛ばしてきたのに……私は何も変わってない。軽薄な奴とか誰も好きにならないでね、
勿論、猫ちゃんと最優先で寝たい私は恋なんてしないよ(笑) 文脈で引っかかった?🤭」
防聖孤島「エルフーンは羊ポケモンの中で最も優れている(赤き真実)」
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⤴️優しさとイコールのプライドを持った生物達。ペットとして純粋な可愛いさがあって、それが両立するのは真実の愛だと思います
超電波油「強さ&優しさ&賢さ➡︎エルフーン>>>モンメン>>ジェス・パディスト6世>>>>>>モコロン」
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���茶ヶ滝「結論から言って例の奴の種族は、“””ジェス・パディスト6世”””を薄情さでは超えてる⬇︎」
超鬼難ドンガッチャ00「人間に背中から射殺され羊毛を刈られて惨く四股を落とされお腹のシンボルを剥がされて切り刻まれた、自分と何も変わらない種族を笑顔で楽しく料理するってそういう事だよな?(普通、仲間の羊肉をフライパンで焼いてたら吐きそうになる臭いがして怒りと憎しみで発狂しそうになるだろ。そもそも指示されたからって自分で焼くなよ) 家族の為に戦うプライドを持ってくれ やりたくねえんだよ……こんな、人間より残酷なゲーム(赤き真実)」
富豪05「いや、何このエフェクト。オカシイだろ」
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『クラユカバ』『クラメルカガリ』
『クラメルカガリ』『クラユカバ』を公開初日に続けて観てきた。面白かった。以下ネタバレがある。上の写真は3月末に閉館してしまった地元の映画館で撮った。二度と足を運ぶことのできないクラガリになってしまったが、たくさんの名画に出逢わせてもらった。
まずクラガリが「亜炭堀りの坑道」を広げる途上で発見された正体不明の地下世界である、という設定がめちゃめちゃ良い。亜炭は我々の世界でさかんに用いられていたのは昭和40年代ごろまでだったそうだが、『クラユカバ』『クラメルカガリ』の人々にとっては過去の話ではない。地下世界発見の経緯や箱庭の成り立ち、懐かしいようで見覚えのない奇妙な街並みを舞台に生き生きと描かれる人々の暮らしぶりを観て我々が抱くのは、亜炭が「現在」の彼らの生活を支える身近な資源であるという実感だ。しかしそもそも亜炭とは、かつて地上に生息していた木々や植物が腐敗する前に土の下に埋もれ、そのまま地中で何十何百何千万年という永い時間をかけて変質していった結果できあがる代物だ。あの人々の生活から匂い立つ(亜炭は燃焼すると甘酸っぱいような独特の匂いを発したらしい)亜炭の存在感は身近かもしれないが、亜炭のもとになった木々は人類がまだ生まれてもいない数千万年前から地上にいた、と考えると途端に途方もなさが際立つ。 亜炭とは人間の文明以前からそこに在り、亜炭が埋もれている深部の地層もまたそれだけ古い時代からそこに存在し続けてきた。つまり亜炭が眠り続けていた深さの地下世界とは、人知も神秘も及ばぬ遙か遠くの「過去」の世界、ということだ。 木々のように腐敗もせず水のように流転もせずただただ地中に横たわり続けた「過去」が、永い時のなかで亜炭のごとき変容を果たし「過去」ではない何か、暗がりではではない何かに変容してしまったのだとしたら。それが亜炭堀りたちの見つけてしまった世界のきざはし、見世物一座が「くらゆかば」と消え去った暗渠の向こう、あるいは虫喰いを辿った先にある未踏の暗がり────「クラガリ」の始まりとするならば。タンネやトメオミの装束が博物館を司る機関の制服に似ていること、クラガリに「曳かれた」人間が過去にまつわる譫言を吐くばかりになっていたこと、「クラガリの端にしてほとりのクラブチ」で荘太郎が過去の幻影に囚われかけたこと。これらの理由を想像するのが個人的に楽しくなってくる。
クラガリに「惹かれるな」ではなく「曳かれるな」、なのはクラガリがすすんで誰かを呼んでいるわけではないという意味かもと思う。過去を求めた人間が地下へ、あるいは自分の内側へ深く深く潜っていった結果クラガリに接触してしまう。クラガリが「せり上がってきている」時ですらクラガリに何かを惹きつける意志はなく、何かを曳いたところでクラガリが変わることはない。暗がりで道を選ばされるのはつねに曳かれたほうだ。 加えて暗がりで人が観るものといえば夢、映画、幻灯の類いだろう。荘太郎も大幻灯を浴びて人形劇や紙芝居やメリエスの無声映画のごとき幻影を彷徨ううち、父と母と平穏に暮らしていた幼い頃の「過去」へと歩き去ってしまいそうになる。父の帰りを待ちながら老いて亡くなった荘太郎の母は人形劇の世界で身体の色が金から白に変わっていったし、過去の幼い姿でどこかへ歩いていこうとする荘太郎の世界は色がなく、その背後に並びはためく幟も白い。金とか灯りは生きてる人間の色、白はクラガリに行ってしまったひとの色なのかもな、と思う。そこに見世物一座の「千里眼」の少女によく似た、白い髪の幼いタンネがやってきて、「これ、忘れ物」と掌を差し出す。 色々あってサキを福面党から取り戻すことはできたものの、見世物一座は「くらゆかば」と去り、父は帰らないままだ。それでも荘太郎が思い出したように探偵事務所の引き出しを開けると、そこには幼いタンネが届けてくれたあの金色の巻き鍵がある。それは事務所の壁にかけられた時計の巻き鍵だ。荘太郎が子どもの頃クラガリに行ったことがある記憶をちょっとしゃべる冒頭のシーンで、荘太郎の後ろの暗がりが映り込む演出があったけど、あの事務所は荘太郎の過去が留まり続けたクラガリでもあったと思う。だから巻き鍵によって再び動き始めた時計が時を刻む音の響くラストは、過去は取り戻せないままなれど、止まっていた時間をようやく進めることのできた荘太郎にとって明るいものだった気がするのだ。
クラガリに曳かれながらもクラガリから抜け出でて自分の道を進む人間たちの話が『クラユカバ』であるならば、クラガリの真上で変わり続ける街とともに変わりながら生きる人間たちの話が『クラメルカガリ』なのだろう。物語の序盤で「箱庭紡ぎ」は街の「点と点を繋いで紡いでいく」仕事だと飴屋が言うが、それは『クラメルカガリ』という物語の構造そのものでもある。クラガリに曳かれる人間、曳かれた人間、街の変化を愛する人間、街を日々変えていく人間、変わっていく人間。それらひとりひとりの足取りが繋がり合いクラガリの上にひとつの物語が編まれていく。その変容を地図に、あるいは自分の内側に留めていく少女カガリの足取りは日々に翻弄されながらもまっすぐで迷いがない。作中でははっきりと描かれないが、虫食いの話になるたびカガリの顔が曇ったりなにか言いたげな顔をするのは彼女の両親の死んだ理由が虫食いに関係あるからではと思うのだが、それでも紡ぎの仕事は「嫌いではない」と彼女は言う。ユウヤの地図をすごいと評したカガリの、虫食いのことは書いてあったけど鉱泉の川に通じてるあの道のことは書いてなかった、との指摘も彼女なら至りうる。 というか『クラユカバ』でクラガリの端にふれると『クラメルカガリ』で地下の「虫食い」に潜ってまで地図を作りしかもその生き方を楽しんでいるカガリの生き様がちょっと異様であることが分かる。亜炭の鉱脈の上に成り立つ「泰平さん」と「箱庭」、そのさらに地中深くから時折湧いて出る虫食いを辿ればおそらくクラガリに行き着くのだし、特に映画の時系列は伊勢屋曰く「今は時期が悪すぎる クラガリがせりあがってきている」のだ。「箱庭」は日々様相が変わる街だから地図が必要なのだと飴屋は語るが、街がどれだけ変わろうとクラガリは変わらないのだろう。変わっていくのは地上にせり上がるクラガリに「曳かれ」る街のほうでしかない。 そういう街で箱庭紡ぎの仕事を担うふたりの街に対する思いが対比になっているのが面白い。ユウヤが日の当たる場所に行くまでの繋ぎに過ぎないと思っていた「紡」の仕事がカガリにとっては人生の楽しみであるというすれ違いは、カガリが記憶していた地下の脇道を「こんな細い道 俺だったらいちど地図にしたら忘れてる」と呟くユウヤの台詞にも表れている。ただしカガリがその道を覚えていたのは紡の仕事を気に入っているからだけではない。「もったいない、一緒に歩いたの大事な思い出だよ」と笑ったカガリにとって、ユウヤはこの街の記憶ごと大事にしたい存在なのだろう。この台詞にはカガリの街への思い入れと日々紡いでいるものへの意味が宿る。日の当たる場所に行きたかったユウヤが街を一時去るとき、「わたしユウヤくんの地図、好きだから!」と橋の上から笑顔で手を振るカガリには昇り始めた陽の光が当たっている。カガリとは地中のクラガリを行くための篝火であり、ユウヤにとっても日の当たらない場所=箱庭=クラガリを照らす篝火だったのではなかろうか。
ところで『クラユカバ』で荘太郎を福面党の一員と勘違いしてしょっぴこうとしたおっさんと『クラメルカガリ』でシィナ総長に声をかけていたおっさんが同一人物なのでこの二作はそんなに時間が離れてないんだろうな。『クラユカバ』で福面党にまぎれていたムジナの男が『クラメルカガリ』では髪が伸びた風体で石猿一家をけしかけていたあたりほぼ同時期というわけではなさそう。にしても福面党のボスが「御多福」なのは洒落がきいてる。ムジナと福面党の関係も気になるところだ。 演出面では、『クラユカバ』で車両から逃げる荘太郎が「じょうぶ~!!」て叫んでたシーンを『クラメルカガリ』のカガリがアブラムシから逃亡するときセルフオマージュしてたのが楽しかった。それと『クラユカバ』では荘太郎のお父さんが荘太郎になぜ探偵をやっているのか聞かれて「ここがむかし川だったことは知っているか?」、そんなふうに世の中に隠れている謎が好きで父さんは探偵をしているんだと答えたり、クラガリの入口を探していた荘太郎が街のじいさんに「トンネルを掘るときは一旦土地を開けてから埋める だから地図を見ればトンネルがどこを通ってるか分かる」と教えてもらったりと、『クラメルカガリ』ほどではないけど地図や土の記憶が大事なモチーフとして取り上げられてたのが良かった。荘太郎の降り立った橋のあたりとカガリが坑道から抜け出て川に流れ出たあたりはぱっと見近いかなって思ったけど実際はまったく関係ない景色なのかな。観直したさがある。 にしても『クラユカバ』を観るとこの深い深い世界のどの要素から『クラメルカガリ』が構築されたのか分かって楽しいし、『クラメルカガリ』を観てこの世界をもっと深く知りたいとおもった人に『クラユカバ』は当然充分応えてくれる。『クラユカバ』の停留所には「成田亭良悟」の名前が書かれたポスターが貼られているのだけれど、栄和島と伊勢屋とおなじく「まったくの別人」ながらもこの世界に成田良悟先生の言葉もまた息づいているのだなと思えて嬉しかった。伊勢屋に自分の留守を任せていく栄和島と任された伊勢屋の反応、原作を知ってても知ってなくても激アツだったな…… そういえば自分が映画館でこれを観ていたとき、伊勢屋の店が画面に映った瞬間後方の席から「カストリ…!?笑」て困惑した男性のデカめの声が聞こえてきて面白かった。かくいう自分は自律機関が出てきた瞬間「蒸気王じゃん!?」て叫ぶところだった。閑話休題。
ムジナの男がタンネ達と出くわす前に「ナマズとご対面だ」て言ってたのが気になってる。ナマズ=鬼(鬼灯色の瞳のタンネ)の由来がちょっと思いつかないし、地下を這う車両をシンプルに喩えた可能性はあるけれど、ナマズは地震を起こすと信じられてきた生き物だからムジナにとっては地下をわずらわすめんどくさい勢力としてナマズと呼んだのかな。だとしたらムジナたちって亜炭堀りに発見されるよりずっと昔からクラガリに潜んでる勢力なのかも。石猿一家が失敗したときも地下に帰る的なこと言ってとんずらこいてたし、新聞には浮世絵じみた絵で紹介されてるし。今後続編が制作されてムジナの行動理念が明らかになったら楽しそうだ。 ちなみに『クラメルカガリ』では蛙を鳥と云って出す屋台について「あれむしろナマズっぽいよね」とコメントしてた。箱庭はナマズ食が珍しくない文化なのか…?あとカガリとユウヤがごはん食べてた屋台の壁のお品書きに「目玉の甘」てあったけどあれなに?目玉の甘煮? 『クラユカバ』で荘太郎と稲荷坂が呑んでたお店もちょっと不思議で、荘太郎が生の中を追加したら新しいジョッキが来るんじゃなくて瓶から次いでくれるんだよね。「お兄さん!」て呼ばれた荘太郎が「ああもうそんくらいで」って止めたあと何かを継ぎ足して飲んでるあたり量でお代が決まるのか?と知りたくなった。というかあれ多分ビールじゃないよな(泡の載った金色だった覚えがない。自分が覚えてないだけかも)。テーブルにあった瓶のラベルにはホッペルと書かれてた。 『クラメルカガリ』のシィナが通信傍受機と同じ鞄に箱キャラメル入れてるのもめちゃいいし、シィナと飴屋の射的のシーンもなんてことないのに良さしかなかったな。ところでシィナさんと情報屋の伊勢屋はなんで知り合いなの?気になりすぎる。
管使いのタンネが管(たぶん管狐)のことを今いる地下より「ちょっと深いところ」の生き物だって言ってたけど、カガリも「ちょっと深いところ」の話してたんだよね~どこだったかな。管の色が金色なのも荘太郎が陥りかけたクラガリの過去の幻影に関係ありそう。そもそも見世物一座の人間たちがみんな白狐の面を被ってたからな……探訪記者の名前は稲荷坂でクラガリに近い人間の名前ぽさがある。 どちらの作品もいろんな生き物の名前や意匠が取り入れられてるの面白いよね。荘太郎に情報提供した男は兎の面つけてたし、朽縄博士(くちなわは蛇と書いてもくちなわと読む)の子どもたちは牛蛙だったり虫の姿だったり公園にはザリガニがいたり。ササラちゃんはササラ電車からの命名だったりするんかな。あとアブラムシよける機械のデザインが電動の蚊遣りぽかったなと思ってそこだけパンフ見たら名前が「ムシヨケ」だったしよく見たらデザインも蚊遣り豚だったので笑った。朽縄おじいちゃんが朽縄博士だと明らかになるシーンの真打登場感も良い。 真打といえば荘太郎を演じた六代目 神田伯山さんは講談師の方なんだよね。『クラユカバ』『クラメルカガリ』はどちらも台詞回しがきもちよいけど荘太郎の語り口は抑揚の良さも相まってなおさら好きだった。あと活弁士と稲荷坂と石猿親分を演じてる坂本頼光さんは本職の活弁士の方だし、女性声優さんたちが演じるタンネやトメオミやカガリといったクラガリを探る少女たちのまっすぐに発せられる声と、クラガリとともに生きてきた男性キャラクターたちの物語ることを宿命付けられたような声が双璧を成す、両作品のキャスティングも外せない良さだと思う。寺田農さん演じる朽縄が、老兵は去らず此処にある的な台詞を最後にクラガリじみた研究所へ帰っていくのも印象的だった。 もし今後続編が制作されるのなら「僕にもわからないんだ 自分が何者でどこへ行くのか」と語っていたタンネの来た道や行く道のこと、トメオミが珍妙な慣用句を引用するたび添えていた「その道に曰く」の「その道」の意味(クラガリに繋がってる余所の道だと思う)、「轍」や見世物一座の正体が語られたらいいなと思うし、「泰平さん」の「テリヤス工業」時代の話やこのあとの箱庭の姿もまだまだ観たい。パンフに載っていたインタビューでは、監督は『クラユカバ』『クラメルカガリ』の両作品で「まだ語られていないこと、解かれていない謎」について「世界を閉じたくない」「モヤっとしたものを残すことで観た方の記憶に残したい」から謎を残していると述べているし、成田良悟先生との対談では「ちゃんと考えてはいるんですけど」「もっと面白い設定を思いつくかもしれない」から「前もってテキストに書き起こさない」とも話している。だからここまで自分が書いた感想はあくまでも現時点で得られる情報からの推察に過ぎないし、正解は監督の頭の中にしかない。いつか続編で明かされるクラガリとその周辺の世界の正体が、今回の自分の想像よりも遙かに深く面白く最高であることを楽しみにしている。『クラユカバ』『クラメルカガリ』を観たあの日の映画館の暗がりは、それでようやく自分にとっての美しき「クラガリ」になるのだから。
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