#聡ちゃんにとって、笑顔溢れる一年になりますように。
Explore tagged Tumblr posts
Text
「Happy Birthday!!!」
1 note
·
View note
Text
# 1話 新手のナンパ師
「おーいギスケ!それは下手(しもて)に運んでくれ」
「はい源さん」
商店街から少し離れた小さなビルの窓には『劇団みかん』の文字が一枚ずつ貼られている。今時の、目立つフォントを用いたカラフルに洒落込んだ看板とはほど遠く、黄色やオレンジの画用紙を用いた手作り感あふれるその『看板』が主張する一室がわたしの居場所だ。
今は3ヶ月後に迫った発表に向けて役者さんたちとの最終調整中で、舞台での立ち位置の把握だとか、それに合わせた照明の明るさやタイミング、それから舞台美術の配置…などなど、この劇団の裏方を担当するわたしは確認する事が沢山ある。
と言っても恥ずかしながら裏方のいろはを学んだ事はなく、さっき言われた「しもて」の場所もここに来てから学んだ事だ。たまたま、この劇団の座長がわたしの両親の知り合いであり、たまたま、高校を卒業後も進路に迷って暇を持て余していたわたしが、たまたま、人員不足のこの劇団に声を掛けてもらった。ただそれだけであって、ただそれだけなのに、気付いたらわたしはこの劇団の裏方としてもう3年ほど働き続けていた。そんな理由から始まったとはいえ、わたしはこの仕事がいつの間にか『当たり前』になっていて、好きか嫌いかと言われたらまあ…うん、そんな感じだけど、でもこの仕事は確かにやり甲斐を感じている。
…なんて言ったら本業の人に叱られそうだけど。
「いつも重いもんを運ばせて悪いなぁ」
「気にしないでください。仕事ですから」
「お!言うようになったなぁギスケ!えぇ?仕事もサマになってきたんじゃないか?」
しゃがれた声を跳ねるように弾ませて話すこの人こそ、この劇団の座長である源さんだ。ざっくり纏められた白髪混じりの髪と少し色黒な肌が特徴的で、どこまでも通りそうな声を放つ大きな口には真っ白な歯が際立って見えている。笑��とシワが刻まれる源さんの顔はいつ見ても元気が溢れていて、生命力を感じるとはこの事を言うんだろうと毎度感心する。
あ、そうそう。この劇団では劇団員との距離を作らない事をモットーとしているらしく、皆平等にあだ名をつけられる。この場で呼ばれる「ギスケ」とはわたしの事だ。
他にも、ふわふわとしたミルクティーのような色の髪が彼女自身をよく表している主演女優の舞さんは「まいやん」、そんなまいやんとは対照的に艶の良い真っ黒な髪を大胆に束ねて縛り上げている助演女優の聡美さんは「さとみん」、いつも劇団のムードメーカーな洋(ひろし)さんは「ようちゃん」…などなど、全て源さんと劇団員が決めたあだ名で呼び合っていて、源さんはみなもとと書いて「げんさん」と呼ばれている。
それにしても何故わたしは「ギスケ」なのか。そのルールなら幾らでも可愛いあだ名があったろうに…と少し不満に思っている事はここだけの秘密。
「そんな働き者のギスケに追加で頼みたい事があるんだがな、」
「じゃあわたしは定時なので上がります!お疲れ様でした!」
「なに?!お前さん帰る気か?!みんな残ってリハーサルを続けるのに?!」
信じられん!とわざとらしく息巻く源さんを横目にお先に失礼します、と急いでこの場から立ち去った。勿論毎回定時で上がるわけでは無いけれど、今日は事前に残業が出来ない事を伝えていたので何も気に病むことはない。暇な私にだって予定はある。
だって今日は!待ちに待ったササキベーカリーの新作、オレンジピールパンの発売日なんだから!!
「ごめんなさいねえ…ついさっき完売しちゃって…」
申し訳なさそうに答えるパンのように優しそうなこの方は、このササキベーカリーのブーランジェ。その印である白い帽子がよく似合う、まるで某あんぱんを作る有名なおじさん…を女性にしたかのような可愛らしい人。わたしはこのお店の常連であり、今、新作のオレンジピールパンが手に入らなかった事実に絶望している。
「ほ、本当に…一つもありませんか…?」
「そうなのよ〜ほんとについさっき、ついさっきだったんだけどね!若い男性が買われていって、あ、男の人にもオレンジって人気なんだわ!って思ってたところでねえ〜!」
常連客のわたしだから知っている。この先、ブーランジェの話は止まらない。見覚えのない人だから新しいお客さんかしら、だの、背がスッと高くてなかなかハンサムだったのよ、だの、最早コンプライアンスが怪しいマシン��ントークが炸裂するのだ。お目当ての商品が買えなかったわたしはその話も早々にお店を後にする事にした。また来ます、と常連アピールは欠かさずに。
しかし、常連客であるわたしを差し置いて新作パンを買っていくとはなんと許し難い!…いや分かっている、全ては平等であってその人は1ミリも悪くない。悪いのはただ運が無かった自分だ。あーあ、もう少し早く着いていたらなあ、と、どうにもならない仮定を巡らせながらお気に入りの場所ーー…近所の堤防の草むらに寝転んだ。
この堤防下に流れる川は綺麗に整備されていて、早朝にはジョギングをする人、夕方には子供たちの駆けていく声、夜は犬の散歩をする人も多く、人々の憩いの場とされている。そこそこ名の知れたこの場所では稀にドラマの撮影なんかもしているらしい。今の時期は川の優しい音色と初夏を匂わせる風が心地良くて、わたしの好きな場所だ。いつも仕事を終えるとこの場所に来てのんびりしてから帰路に着く(雨の日だけはまっすぐ帰るけど)。幸いな事に今日は晴れているので、整備されたばかりのチクチクする草を背に感じながら帰る間際に遮った源さんの言葉を思い出す。
源さんの言う『頼みたい事』は分かっている。きっと『役者のオーディションを受けないか』って話だ。
話は戻って、わたしが裏方として所属する『劇団みかん』はいつだって絶賛劇団員募集中で、つまるところ役者が足りていない。そしてオーディションを受けたい人は決まって名の知れた劇団を求めているので、画用紙で看板を作るような小さな劇団はお呼びではないのだ。だから源さんはいつも懲りずにわたしに同じ話を持ち掛ける。
だけどね源さん、わたしは役者を志した事は一度もないし、そもそも劇団みかん以外の演劇には興味が無い。テレビ番組もニュースくらいしか見ないのでドラマや映画も勿論観ない。そんなわたしが役者なんて冗談が過ぎる。最初こそ丁重にお断りしたものの、あまりにもしつこいので最近はその話題から逃げるようになっている。それでも源さんは懲りてくれない様子だけど…明日はどうやってその話題からすり抜けようか…
そんな事を考えていると、ぐるる…と腹の虫がないた。
そうだ、今日はササキベーカリーの新作を食べる為に朝も昼もご飯の量をいつもよりうんと減らしていた。全てはオレンジピールパンの為に…それにありつけなかったお腹は悲しみの音で空腹を主張する。お目当てのものが買えなかったショックで忘れていたこの空腹も、一度気付いてしまうとどうしようもなく体の力が抜けていく。
「ああ…お腹すいたあ…」
「どうぞ」
ありがとう、と渡された紙袋を受け取る���ああ、どこからか香るパンのいい匂い��…空腹で回らなくなった��が優しい香りに包まれた事で一瞬鮮明になる。
……え?なにこれ?え、だれ??
「こんにちは、また会ったわね」
起き上がって渡された方を見ると見覚えのある人物がいた。
この時期だってのに黒いニット帽を深く被り、茶色と灰色を混ぜたような色の髪が少しだけゆるく癖をつけて左眉の上に飛び出ている。その上どこで買ったのか綺麗な形の丸メガネとマスクでほとんど分からない顔に、どこでも売ってそうな至ってシンプルな黒と白の長袖ジャージをキッチリと着た、どこからどう見ても怪しい男性。
わたしはこの不審者を知っている。その瞬間、一気に湧き上がる恐怖心に思わず大声を上げた。
「ぎゃあああああああ!!!!で、出たああ!!」
受け取った紙袋を持ったまま叫ぶわたしに相手は目を丸くしながらも、次の瞬間右手でわたしの口を塞いだ。反対の左手は人差し指をマスクの上に当てて、しっ!騒がないで!なんて言っていた。が、こちらとしてはそれどころではない。そもそも大声をあげた理由は全部この人物のせいである。何が騒がないで、だ!と腹が立ったわたしは、口を塞いできた奴の右手に思いっきり噛みついた。
「いたっ!!」
「き、気安く触らないでよこのナンパ師!昨日に懲りずしつこいんだよ!!」
間違いない。この不審者は昨日、わたしに声を掛けてきたあのナンパ師だ。いきなりわたしの腕を掴んだと思いきや「前に会った事ない?」なんてナンパの決まり文句をふっかけてきたあの忌々しい男!
あの時は何せ生まれて初めてのナンパに遭遇したので、思わず「知らない!」とだけ告げて全力で掴まれた手を振り払い、全力で逃げた。まさかそれがこの再会と結びつけてしまうなんて、こんな事ならあの時にもっと強く断っておくべきだった。いや、なら今言えばいい。こんな失礼極まりないナンパ師なんぞ他の被害が出る前にわたしがキッチリとカタをつけてやる!!そう意気込んだわたしに、今まさに手を噛まれた痛みに耐えている目の前のナンパ師は飛び出すほどに目を大きく見開いてとんでもないことを言ってきた。
「な、ナンパって…私が?!そんなわけないじゃない!!まったく…失礼しちゃうわね」
し、失礼しちゃうわね?って、こっちの台詞でしょ?!意味がわからない。そしてシンプルに腹が立つ。あなたが昨日わたしにあんな事をしなければこんなに大声を出すことも噛み付くこともなく、多分存在すら気にも留めなかったはずで、それをそうしなかったのは全部この人物なのに、失礼しちゃうわね、なんてどの口がそれを口にするのか。
それとも、もしやこのわたしがそんな言葉に怯むと思っているのだろうか。わたしが何も言い返せないような大人しい人間に見えるってこと?そういえばナンパって断れないような大人しい子を狙��場合もあるって聞いた事がある。そうか、なるほど。それなら仕方ない。奥の手を使ってやろう。
「わかりました。そっちがその気なら警察呼びますから!今更逃げたってあんたが2度とナンパできないようにこの場所に不審者が現れるってビラをばら撒いてやるんだからね!!」
「え?!ちょ、ちょっと待って!誤解よ、お願いだから話を聞いてちょうだい!」
「はあ?人に付き纏っておいて何が誤解だよ!そもそも、それがお願いする人の態度かって言ってんの!!」
この不審者を突き放すために、ほんの1ミリでも大人しいとは思われないよう思い付く限りの強い単語を更に力強くぶつけていく。最早何を言っているのか自分ですら理解していないけどそんな事はどうでもいい。とにかくこの不審者に負けられない、その気持ちだけで歯向かっていると、相手は少し考えたように地面を眺めて、そうよね…なんて呟きながら小さくため息をついた。いや、ため息をつきたいのはこちらなんですが?と思うや否や、その人はその場で正座をして両手を地面につけて頭を下げた。
そこではっとした。これは土下座だ。
「怖がらせて申し訳な…」
「ま、待って待って!ストップ!!」
土下座というのはそう簡単にするものではなく、心からの気持ちを表す時にするもので、変な話、強要なんてした日には罪に問われるくらいには意味が重いもの…という程度の認識をしている。いくらなんでも土下座をしてほしいとは1ミリも思っていないので思わず肩を掴んで止めてしまった。しかしそれは間違いだった。相手はガバッと顔を上げたかと思うと「話を聞いてくれる?」と尋ねてきた。
その顔が少しでも笑いを含んでいれば前言撤回をしたはずなのに、向けられたその綺麗な切れ長の目に輝く瞳があまりにも不安でいっぱいだったので、わたしはもう何も言い返せなくなってしまった。と、同時に何故か凄まじい罪悪感に襲われた。
自分がナンパの被害者だと思っていたのに、これじゃあどっちが被害者かわからないじゃん…。
その、『不安でいっぱい』の瞳はわたしには効果覿面だったようで、わたしときたら自分の言いすぎたことを反省した上に、気付いたら相手の話を聞く体制をとっていた。しまった、チョロい奴だと思われただろうか。と一瞬考えがよぎったが、相手も安心したかのように瞳の緊張を緩めて体制を整えた。そして正座をしたまま、まっすぐ伸びた姿勢の良い背を折り曲げ、ごめんなさいと謝ってから話を始めた。
まず、自分はナンパ師ではないという事(これには念を押していた)。そしてわたしに声を掛けた理由は至ってシンプルで、昔の知り合いと間違えてしまっただけ、との事だった。ふぅん、なるほど、そうなんだ…と、思いかけたものの、いやいや、そんなに簡単に他人を信じて良いのか、と再び考えを巡らせる。だとしたら何故2度もわたしに声を掛けたのか。間違いだったなら再び声をかける必要なんて無いのではないか。ナンパ目的でないのなら当たり前の考えが頭をよぎる。やはりこれはナンパの類で、それはまだ続いているのではないか。そう問い詰めてやろうとした刹那、彼はふたたび姿勢を正して話を続けた。
「だからね、昨日の事を謝りたくて、もしかしたらまた此処に来るんじゃないかと思ってあなたを待っていたの。で、渡したそれはお詫びの品」
そう言って指を刺した紙袋を見て、渡されたままだった事を思い出した。お詫びの品って…なんて律儀な人なんだろうか。いや、ちょっと待って。ただ人間違えをしただけでそこまでするものだろうか?それって逆に怪しくない?と、わたしの中で気持ちがせめぎ合う。こういう時、なんとかは疑いやすい…と言うけれど、でももし、この袋の中にヤバいもの…ほら、盗聴器とか監視カメラとか…もしくは白いお粉が万が一入っていたら…?と最悪の事を考えながら再び紙袋に目をやる。薄くクリームがかった色の紙袋の中心には見覚えのある名前が印刷されていて、中には可愛らしい絵柄の、でもどこか見覚えのあるクッキーの箱が入っていた。
『おやつに最適。ササキベーカリーのやさしい味⭐︎クッキーアソート』
「ササキ…ベーカリー…って…」
「あら、知ってるの?さっき見つけて寄ってみたのよ。色んなパンがいっぱいで思わず自分用にも買っちゃったのよね。この新作って書いてあった…」
「お、オレンジピールパン?!」
その人はわたしに渡した紙袋とは別に、同じフォントが刻まれた紙袋をゆらりとかざして見せた。まさか、まさか。こんなところで出会うなんて!わたしが食べたくて仕方なかった、ササキベーカリー新作のオレンジピールパンは今、目の前にいる人物の持つ紙袋の中にある。最初に香ったパンの香りはまさしくこれだった。オレンジと焼けた小麦粉、そしてバターの香りが忘れていた空腹を再び刺激する。ほぼ無意識のうちにぐるる…と再び腹の虫が鳴いた。
「…こっちの方がいい?」
「え?!」
「このパンが好きならこれも受け取ってくれる?」
駄目、駄目だよそんな、幾らわたしがこのパンを欲しているったって、そんな、ず、図々しいにも程があるし、第一どこの誰か知らない人から食べ物を恵んでもらうなんて…といった気持ちとは裏腹に口から出た言葉といえば「いいの…?」と、情けない回答で、それにも関わらず目の前の人は丸いメガネ越しに目を山形に細めてどうぞ、なんて言っていた。
「お腹空いてるんでしょ。良かったら食べて」
「…へ、変なもの入ってないよね…?」
「……要らないならいいのよ?」「いただきます!」
今までの申し訳なさを言葉で表現したような話し方から一変して少し意地悪に言うもんだから、目の前に差し出されたお目当てのパンに咄嗟に食らいついてしまった。瞬間、ふわりと香る爽やかで少し苦味を感じるオレンジピールの香りと表面にコーティングされたザラメが溶けた甘いパンの食感に思わず魅了される。そうそう、これ!まさに想像していたとおりで今わたしが欲していた、ササキベーカリー新作のオレンジピールパン!
待ち望んでいたその香りと味に、先程までせめぎ合っていたいろんな感情がふっと解れる感じがした。
「…美味しそうに食べるのね」
だって美味しいし、と言いたかったけど口いっぱいに頬張ったせいで話せそうになく、声のした方をちらりと見る。そこには随分と優しい顔でこちらを眺めるその人がいて、その瞳と目が合った。なんだか小っ恥ずかしくなって紙袋に目線をそらすと、紙袋の中にはもう一つ、オレンジピールパンが入っていた。
そもそも、このパンはこの人が自分用に買ったものなのにわたし一人が頂くのはいかがなものか。今食らいついたパンを味わいながら、この妙な小っ恥ずかしい空気を逃れるように紙袋からもう一つのパンを取り出して差し出した。
「あ、あの!これ…良かったら…一緒に」
「ありがと。でも私はパンは食べないから気にしないで」
「え?」
さっき自分用って言ってなかった…?と尋ねると、職場の差し入れに渡す予定だったと返されたので慌てて最初に受け取ったクッキーをお返しした。別に良いのに…と言っていたけどさすがに差し入れを再び用意させるわけにはいかないので、と半ば強引に受け取ってもらった。この人がどんな仕事をしているのかは全く想像がつかないけど、差し入れをするような人なのだから真面目に働いているのかもしれない、し。
しかしこの…どう見ても男性のこの見た目とはあまりリンクしない話し方で一体どんな仕事をしているのだろう。バーとかかな。なんて勝手に少しだけ考えてみたところで、ふと、気が付いた。
「昨日会った時と話し方が違う気がするけど…」
「え?やだ、今気付いたの?」
昨日声を掛けられた時は確かに自分の事を「俺」と言っていたし、言葉ひとつひとつの発音もハッキリと強くて、今のような艶やかな話し方とは真逆だった。
当の本人はその問いに対して、とっくに気付いてると思ったのに、と少し寂しそうに遠くを見て呟いた。気づいて欲しかったのだろうか。いやいや、知らないし。なんて考えていると、少し、ほんの少し寂しそうな瞳で、この話し方が嫌なら直すけど?と聞いてきた。状況が理解できないまま首を横に振って答えるとさっきまでの寂しそうな瞳が優しく代わり、目をにこりとさせて「なら良かった」なんて言っ��いた。
「昨日は知り合いだと思ったからああ言ったけど、オフの時はこっちの方が楽なのよ」
「オフ…?」
「まあプライベートってとこかしらね」
はあ、そうですか。まあ正直言うとどっちでも良かった。というのもこの人の言葉を信じるならばただ人違いをしただけで、こうしてお詫びもしてくれたわけで、多分、もう、この先話す事も会う事も無いんだろうから。この人の話し方や立ち振る舞いなんてわたしには関係のない事なわけだし。
あれ、でも待って。それでいいのかな。わたし、結構この人に酷い事言っちゃったけど、わたしは謝らなくていいのか?それこそ何かお詫びが必要なんじゃないか?というか、このパンもお詫びとはいえ貰いっぱなしで良いものなのだろうか。ふたたびその人に目をやるとやはり優しい瞳でこちらを見ていて、急に目を合わせたわたしに少し首を傾げていた。
よし、やっぱり謝ろう。
「あの、さっきは酷い事を言ってすみませんでした。パンまでいただいて…その、なんとお詫びしたら良いのか…」
勿論心から申し訳ない気持ちで伝えるものの、幾つになってもこういう場面は慣れない。勢いで話してしまったので口篭ってしまった。そしてこれに対する返答といえば大体誰に伝えても同じで、許してくれるか許されないかのどちらかしかない。少し嫌な話をすると、言う前にどちらの返答をもらえるかは大体分かっているものだと思う。今回の場合もそうで、多分この人は気にしないで、と言うだろう。わざわざお詫びまで持ってわたしに謝罪をしてくれたということは、きっと本人も気が咎めていると思うからだ。
とはいえあれだけ好き勝手言ってしまったのだから、万が一許されなくても仕方はないとは思うし、その時は要求を呑むつもりではいる。
…でもこの人は許してくれる。勝手にそう思っていた。
しかしこれが甘かった。
思ったとおり相手は気にしないで、と、言いかけた。確かに言いかけたのに、言いかけて言葉を止めた。その沈黙に恐る恐る下げた頭をあげると、その人は左手を顎に近づけて何やら考えている素振りを見せ、そしてこの数分の一連の流れを思い出すかのように目を閉じて話し出した。
「そうねえ…私が悪いとはいえナンパ師扱いされたわけだし、危うく警察呼ばれちゃうところだったし…あ、別に詫びてほしいってわけじゃないのよ?でもその気持ちを無下にするのも…ねえ?」
ちらりとこちらを見ている目はいやらしく輝いている。なんっって!なんてわざとらしい!!もしこれでオーディションを受けたなら間違いなく不合格だと素人のわたしですらわかる程に嘘くさい演技!ねえ?じゃないよ無下にしてくれ。いっそキレてくれた方がいい。だってこれはどうみても何かを要求される前兆だ。
確かに許されなければどんな要求でも飲む気でいたよ。でもこれは予想していた詫びを超えたものを要求される。絶対そう。上手く言葉にできないけど今までの経験上、絶対面倒な事を要求される確信がある。いや、面倒な事だけならまだ良い。パシリだとかその程度で納得するならいくらでもやってやる。
だけど今回はそうじゃない気がする。パンをくれた事で忘れていたけどよくよく考えたら見ず知らずの人物に何を要求されるかなんてわかったもんじゃない。まさか、まさか身売りとかだったらどうしよう?!やっぱりあの時、警察に突き出しておくべき人物だったとしたら…?
再び最悪な考えが頭を過って、つう、と背中に汗が伝う感覚を覚えた。その漠然とした恐怖に飲み込まれてしまいそうで、思わず食べかけのオレンジピールパンをぎゅう、とキツく握りしめた。
「そうだ。じゃあ私の話し相手になってくれない?」
「…はい…?」
この辺りに知り合いが居なくて心細かったけど話し相手ができて嬉しいわ、とそれはそれは楽しそうに付け加えた。ちょっと待って、脳の整理が追いつかない。は、話し相手って…どういうこと?それに、あれ?わたしって一言も承諾していないよね?いやまあ拒否権はないといったところなのかもしれないけど…取り敢えず怖い事ではな��て良かったのかな…いや、知らない相手が満足するまで話し相手を務めるってそれはそれで恐怖なのでは…?と、再び混乱していると、この脳内を読み取ったのか相手はさも当然かの如く続けた。
「私に詫びたいんでしょ?自分の言った事には責任を持たないとね」
言ったけど。ええ、確かに何かお詫びをと言いましたけど。良くも悪くも全てが予想外と言いますか…だって今から一体何を話せばいいわけ?!はい、おはなしスタート!で始まる会話なんてお見合いじゃあるまいし何の意味があるっての?!そもそも何をどれくらい話せば満足するの?!なんて言いたくても責任を持てなんて言われたら下手に言い返すことすらできず、悔しい思いで口篭っていると、もう行かなくちゃ、と、相手が慌てて帰る準備をはじめた。
え?じゃあ今の提案はジョーダンって事??なんだ、びっくりした。そりゃそうか、話す事なんかお互い無いだろうし。渾身のジョークなら最後に大袈裟にリアクションでも取ってあげていれば良かったかな…なんて少し思って、へへ、と愛想笑いをしておいた。
この数分でドッと疲れたわたしは、帰り支度をする目の前の人物の背中をぼんやり眺めながら自身も帰りたいと心の底から強く思った。たった1人の見知らぬ人に昨日のナンパだけではなく今日もこんなに振り回されるなんてどうして想像できただろう。そしてこの時間は一体何だったんだろう…まあ、お目当てのパンにありつけた事だけは良かったんだけどね、と握りしめたせいで少し潰れてしまった食べかけのオレンジピールパンを残さずペロリと頬張った。
「じゃあ、またね」
「…え、」
今、またね、って言った…?え、またね、って何?ねえ!またねって何なの?!話し相手って今だけのことじゃなかったの?!
またもや口いっぱいに頬張ってしまったせいで伝えられなかった心の叫びは届くわけもなく、謎の人物は軽く手を振り小走りで去っていく。あんなに脚が長くては走りにくそうだと、おおよそ走る体制ではない、やたら良い姿勢のまま離れていく背中を眺めながら、どうする事も出来ないわたしは口いっぱいに含んだそれを飲み込んだ後、紙袋から最後のオレンジピールパンを取り出して思いっきりかぶりついた。
「やっぱりあれ、新手のナンパだったんじゃん」
.
.
.
ゆるやかな時間が流れる河川敷から少し離れた、ビルが立ち並ぶ道路の脇に一台の車が身を隠すかのようにひっそりと停車している。中には長方形の黒縁眼鏡とスーツ姿を着こなした男性が分刻みにビッシリ書かれたスケジュール帳と左腕に光るシンプルな時計を交互に眺めながら今か今かとその時を待っていた。
そのうち、ドアをコンコン、と叩く音を合図に車中の男性はスケジュール帳から目を離して窓を覗き込んだ。ドアの向こうには180cmほどあろうかと思われる男性が立っていて、深く被った黒いキャップの下からは肩までまっすぐ流した暗い胡桃���の髪が背後からの夕日に輝き、カーキ色のジャケットから伸びる右手には薄いクリーム色の紙袋をぶら下げている。
待ちくたびれた(と言っても約束の時間より5分ほど)車中の男性は急いでドアを開け、君が遅れるなんて珍しいじゃないか、と長髪の男性に釘を刺す。刺された本人は走ってきたのか、息を少し整えながらも至って真面目な顔で謝罪をしながら車の助手席に乗り込み、差し入れです、と持っていた紙袋を差し出した。
「このお店、この近辺では人気らしいですよ。なんでも…新作のオレンジピールパンが絶品だとか」
これはクッキーですけどね、と付け加えた彼の表情はほんの少し綻んでいるように見えた。
0 notes
Photo
WASITE.store 2023/05/11 now OPEN 今日の海 昨日は「紅茶に砂糖」という話でしたが 今日は 「紅茶にはレモンとクリーム どちらを?」 というご夫人の質問に 「両方いただきます」 と(緊張で)言ってしまったことから 本の題名となったこのリアクション ご夫人「ご冗談でしょう、ファインマンさん」 ってことで!1918年の今日は リチャード・P・ファインマンの誕生日(〜1988) アメリカの物理学者です。 ノーベル物理学賞も共同受賞。 「ファインマン物理学」 は世界中で高い評価を受ける 物理学の教科書であり、前述の 「ご冗談でしょう、ファインマンさん」 は先生のユーモア溢れる逸話集で人気! マンハッタン計画にも関与していますが これもヒトラー率いるナチスよりも 早く核技術を完成させなければヤバイ、 という使命感から。。。 博識さと、聡明さと、ユーモアで 先の未来を見つめていました。 1959年には針の先くらいの大きさに 百科事典を全て記録する技術を提案したり、 1985年には量子コンピューターの登場を予言。 ノーベル賞受賞の電話がかかってくると 「今眠いんだ」 と言って切る(AM3時半w) かと思いきやボンゴの名奏者で バレエ団のパーカッションを担当し 国際コンテストで2等と、ガチ勢。 そのせいで、結婚生活は崩壊。 嫁「家では研究かボンゴか、こっちの気が狂うぅ!」 兵役の招集がかかると 「精神異常」で不採用。 が、もともと精神科医が大嫌い! そこで鑑定医にわざと悪戯心で対応したから 「精神異常」と判定された。 後日、あれは悪戯だったんです、と 懺悔する文章を提出する真面目くん。 が次は 「健康不良」で不採用www ある時には物理学ではなく、 女性の心理を研究www どうすればモテるかを熟知! 実際モテモテ。 大学で教鞭をとりながら 毎日、自宅近くのストリップバーに行って ダンサーの気を引いていた(それ研究?w) 大道芸のジャリングを見て 唐突に運動の法則を証明! 同僚に見せたら 同 「何の役に立つんだよ?」 ファ「面白いだろう?」 この時の洞察が後のノーベル賞につながる! ある時、PCを買いに行った帰りに あまりの興奮で足をつまづき ビルの壁に頭を強打&大流血! ファ「あ〜大丈夫大丈夫!(PC買ってハイ)」 しかし、それから先生は何かおかしい。 庭先の自分の車をすぐ探せない。 深夜に息子の部屋を通り抜ける。 講義が支離滅裂。 周り「先生絶対変!病院いこう!」 診断結果は脳組織を圧迫するほどの脳内出血! 手術室に緊急IN! 手術前の3週間の記憶はそのまま欠落。 日本にも来た。 ホテルを取ってくれたにも関わらず、 ファ「旅館に泊まりたい!」 と無茶振りw それも二回もw また円周率の小数点以下762桁目から 「999999」 と9が連続で6個並ぶ部分があるんだけど そこを 「ファインマン・ポイント」 と呼ぶ!(この話は諸説あるけど出自は不明) 先生の最後の言葉は 「2度死ぬなんて、まっぴらだね 全くつまらないからな」 まだまだ面白い逸話ありまくりのファインマン先生。 と、とにかく 「ご冗談でしょう?」 と笑顔でツッコミを入れたくなる? そんなおもしろ先生。 ファインマン! というわけで、 教育にアートが必要という話は以前したけど、 (ステム教育→スチーム教育の件) さらにもう一つ持ち込めるなら 「ユーモア」 です! 勉強が面白かったら、最高じゃん。 学問は面白くない? ご冗談でしょう と言うわけで、今日も ストーーーーーーップ!!!ロシア!!! 今日も良い1日を!
0 notes
Text
掲載: 2021年07月27日 16:50
更新: 2021年12月01日 12:00
先輩のバックで鍛え磨き抜かれた確かな実力…。 通称・クリエCを経て、築き上げられたスキルは確固たるもの! 令和に「IMPACT」を与える7人組!
全国のタワレコのスタッフたちが厳選! ファンの方にチェックして欲しい関連作品をご紹介します!
■『ジャニーズJr.カレンダー 2023.4-2024.3』ご予約受付中!
ジャニーズJr.カレンダー 2023.4-2024.3
ジャニーズJr.発売日2023年03月09日価格¥2,600
Snow Man『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』 IMPACTorsとして7人で出演!ダンス、殺陣、歌、時代劇もお手の物!
IMPACTorsの7人が出演!普段との衣装の違いやギャップ、ひとりひとりの表情の変化、演技の迫力、そして格好良さが見る人の視線を奪います…!特におすすめしたいのは演目"花鳥風月"。1人ずつ見るも良し、全体を見るも良し、何度も繰り返しじっくり見てもらいたい作品。(高松丸亀店)
滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie [2Blu-ray Disc+フォトブック]<初回盤>
Snow Man発売日2021年04月07日価格¥7,150
滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie [3DVD+フォトブック]<初回盤>
Snow Man発売日2021年04月07日価格¥7,150
KAT-TUN『KAT-TUN LIVE TOUR 2019 IGNITE』 IMPACTors結成前の7人が出演!敬愛するKAT-TUNとの共演!
IMPACTors結成前の7人がバックとして出演!KAT-TUNの曲を沢山カバーしているIMPACTorsのルーツはここから…!?特にオススメは"ノーマター・マター"での可愛すぎる鼓笛隊とJr.紹介のかっこよすぎるダンス…沢山の表情が楽しめます!最後の挨拶も一人一人しっかりと映ります。ぜひテレビの前で一緒に「つーばきばき」!(若松店)
KAT-TUN LIVE TOUR 2019 IGNITE [2DVD+ライブフォトブックレット]<初回限定盤>
KAT-TUN発売日2020年04月08日価格¥6,500
KAT-TUN LIVE TOUR 2019 IGNITE<通常盤>
KAT-TUN発売日2020年04月08日価格¥4,950
Hey! Say! JUMP『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2019-2020 PARADE』 椿泰我くん、横原悠毅くん、鈴木大河くん、松井奏くん、基俊介くんの5人が出演!
椿泰我くん、横原悠毅くん、鈴木大河くん、松井奏くん、基俊介くん出演!オープニングは、横原くんと椿くんがある「きっかけ」を作りますので注目!通常盤のオマケ映像では、Hey! Say! JUMPの知念侑李くんと有岡大貴くんが楽屋に訪問し、じゃんけん大会も!(渋谷店)
Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2019-2020 PARADE [2Blu-ray Disc+ライブフォトブックレット+じゃんぷぅSPフォトブックレット+Taipeiフォトフライヤー]<初回限定盤>
Hey! Say! JUMP発売日2020年08月05日価格¥7,480
Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2019-2020 PARADE<通常盤>
Hey! Say! JUMP発売日2020年08月05日価格¥5,280
『滝沢歌舞伎2018』 影山拓也くん、椿泰我くん、基俊介くん出演!"Thousand Suns"は必見!
腹筋太鼓や大捕物など滝沢歌舞伎恒例の演目にももちろん多数参加していますが、中でもオススメしたいのがジャニーズJr.総出演の演目、疾走感溢れるダンスナンバー"Thousand Suns"!ガッツリ��って踊る3人を見ることが出来ます。IMPACTorsメンバーが出演している滝沢歌舞伎の映像は多数ありますが、この曲を見るために買って損無しです!(オンライン)
滝沢歌舞伎2018
滝沢秀明発売日2018年11月21日価格¥6,600
滝沢歌舞伎2018<通常盤>
滝沢秀明発売日2018年11月21日価格¥6,600
KAT-TUN『KAT-TUN LIVE TOUR 2018 CAST』 影山拓也くん、椿泰我くん、横原悠毅くんが出演!紹介パートを見て欲しい!
影山拓也くん、椿泰我くん、横原悠毅くんがバックに出演!KAT-TUN兄さんの後ろでバチバチに格好良く踊る3人の姿をたくさん見ることが出来ます。特にオススメなのは、序盤のジャニーズJr.紹介!ここの演出が最高にかっこいい…。大きなモニターに名前が映し出されている中、アピールする3人が最高です!!!(大高店)
KAT-TUN LIVE TOUR 2018 CAST [3DVD+LIVE PHOTOブックレット]<初回限定盤>
KAT-TUN発売日2019年04月17日価格¥6,569
KAT-TUN LIVE TOUR 2018 CAST [2Blu-ray Disc+Double sideフォトブックレット]<完全生産限定盤>
KAT-TUN発売日2019年04月17日価格¥8,148
『Summer Paradise 2017』 ���原悠毅くん、松井奏くん出演!ソロダンスもシンメも…特に"KAGUYA"必見!
Sexy Zoneの松島聡くん・マリウス葉くんコンビの公演に横原悠毅くん、松井奏くんが出演!印象的な輝く笑顔が目を引く松井くん、圧倒的顔面力で驚きの視線吸引力を誇る横原くん。流石のダンススキルながら初々しい可愛らしさもあり、この数年のお二人の急激な成長を感じて感動すること間違いなし!ステージがやや小さめなのでバックのJr.もたくさん映って満足度花丸です。(アリオ亀有店)
Summer Paradise 2017
Various Artists発売日2018年07月18日価格¥7,944
Summer Paradise 2017
Various Artists発売日2018年07月18日価格¥7,334
KEN☆Tackey『逆転ラバーズ』 影山拓也くん、椿泰我くん出演!楽しそうに踊る2人に注目!
サビの歌詞がとてもキャッチ―で印象的で、思わず聴きながら口ずさんでしまうこちらの楽曲!影山拓也くん、椿泰我くんが出演しています!初回盤Bには表題曲でもある"逆転ラバーズ"のDance Video Ver.の映像が付いているのですが、これを是非観て欲しい…!ふたりともチャームポイントの笑顔で楽しそうに踊っている姿がもう可愛過ぎるんです…!可愛らしいキュートなふたりの姿がとっても楽しめちゃいます!(北花田店)
逆転ラバーズ [CD+DVD]<初回盤B>
KEN☆Tackey発売日2018年07月18日価格¥1,980
逆転ラバーズ<通常盤>
KEN☆Tackey発売日2018年07月18日価格¥1,320
『オレたち応援屋!!』 鈴木大河くん出演映画!メイキングまでぜひ見て欲しい作品。
鈴木大河くんはじめての映画出演作品は青春コメディ!島の伝統行事「雷神祭り」復活'反対派'の飯塚洸太役でクールな高校生を演じています。物語のクライマックス「雷神の舞」はその場にいるかのような臨場感ある和太鼓の音と迫力ある画面。その中でニッポンにエールを届ける一員として踊る鈴木くんが嬉しくて胸がいっぱいになります。特典映像のメイキングではニコニコの鈴木くん。愛おしさがマシマシです!(グランツリー武蔵小杉店)
オレたち応援屋!! [Blu-ray Disc+DVD]
竹本聡志 、 橋本良亮 、 戸塚祥太 、 河合郁人 ほか発売日2021年04月14日価格¥6,930
オレたち応援屋!!
竹本聡志 、 橋本良亮 、 戸塚祥太 、 河合郁人 ほか発売日2021年04月14日価格¥5,830
NEWS『NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND』 影山拓也くん、椿泰我くんが出演!影山くんのお誕生日に行われた公演も!
影山拓也くん、椿泰我くんがバックで出演!映像化した公演は影山くんのお誕生日だった為、ジャニーズJr.紹介でNEWS・小山慶一郎くんから「影山おめでとう!」とお祝いも!その他にも映っている箇所も多く、見つけるのも1つの楽しみです♪通常盤の特典映像に収録されている静岡公演(4月30日夜公演)にも登場!ニコニコの2人が可愛いです!(リヴィン光が丘店)
NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND [4DVD+ブックレット]<初回盤>
NEWS発売日2018年01月24日価格¥9,130
NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND<通常盤>
NEWS発売日2018年01月24日価格¥8,250
『Johnnys' Summer Paradise 2016 ~佐藤勝利 「佐藤勝利 Summer Live 2016」~ ~中島健人 「#Honey Butterfly」~ ~菊池風磨 「風 are you?」~ ~松島聡&マリウス葉「Hey So! Hey Yo! ~summertime memory~」~』 松井奏くん、横原悠毅くんがそれぞれ公演のバックで出演!
松井奏くんはSexy Zone・佐藤勝利くんの公演に出演!ダブルピースなどなどとっても可愛い。今と変わらず、この頃から笑顔が素敵で楽しそうです!また、横原悠毅くんは中島健人くんの公演に出演!クラブバタフライの一員として、アフロ姿も見れます!今と変わらずこの頃から格好良い♪のですぐ見つけられるはず!(渋谷店)
Johnnys' Summer Paradise 2016 ~佐藤勝利 「佐藤勝利 Summer Live 2016」~ ~中島健人 「#Honey Butterfly」~ ~菊池風磨 「風 are you?」~ ~松島聡&マリウス葉「Hey So! Hey Yo! ~summertime memory~」~
Various Artists発売日2017年01月25日価格¥7,944
Johnnys' Summer Paradise 2016 ~佐藤勝利 「佐藤勝利 Summer Live 2016」~ ~中島健人 「#Honey Butterfly」~ ~菊池風磨 「風 are you?」~ ~松島聡&マリウス葉「Hey So! Hey Yo! ~summertime memory~」~
Various Artists発売日2017年01月25日価格¥7,334
0 notes
Text
20230120
今日は特に何も無かった…というよりは、比較的気分良く、穏やかにすごした日だと思う。悪く言えばのうのうと。
やはり私にとってなにかの物語に触れることが自分自身について考えるきっかけになっているのかもしれない。
逆に言えば、もしかしたら毎日何かに触れる、というのもいいかもしれない。現実的に時間が、体力が、というのがあるけれど、最近布団の上で過ごす時間がものすごく増えた。
所謂ダイエットもそうだけど、もっと基本的な、体力づくりの意味で運動をしていきたいね。今年は。
なんの話をしよう、せっかく聞いたから、「星が光っていると思っていた」の話でもしようかな。
多分今まで聞いたどのラブ���ングよりラブソングだった。きみのことを考える、君を笑顔にしたい、きみだけだ、そんなラブソングはこの世に溢れかえるほどあるし、それが心に響かないわけじゃない。だけど、あの曲は、「君が好きだ」「愛してる」以上の、人間的な意味での「君の幸せ」を願うラブソングだった。
何かを愛した時に、そばに居たいとか、触れたいとか、そういう感情を越した先に、自分自身を犠牲にしてでも相手の幸せを願うラブストーリーが好きだ。
幸せを願って、もうただただ純粋に、相手が笑って日々を過ごせますように、少しでも辛いことがあった時に、君の拠り所がありますように。そんな感情を抱くことが、何かを愛したときに芽生えることがある。私は自分に芽生えるそんな感情が好きだし、何か本を読む時も、映画を見る時も、そういう…利益を求めない、純粋な愛を垣間見ることを楽しみにしている。
そういうわけで、私は彼が示した「ラブソング」の形がものすごく心に響いたし、好ましく思った。
元々、彼が紡ぐ言葉が好きだ。「本を読んで自分でも書いてきた人の文章だ」、と先日私の書く文章を褒めていただいたりなんかもしたけど、私と彼の根本的な違いは感性だ。自分で書いた文章を読み返す度に思うけれど、私の書く文章は、結局「ルール」を逸脱しない。私は世の中の型にあてはまって、出る杭にならない文章しか書けない。元々凡才だったのかもしれないし、成長の過程で、目立つことを恐れたからかもしれないけれど、在り来りな言葉を紡ぐことしか出来ない。
純粋な子供のような感性を持ったままで、平易な言葉で、日常に潜む発見や、自分の内面を書き出す彼の言葉が、ファンになる前から好きだった。
思うに、彼は強い人間だ。器の大きい人間だ。でもそれは元からではなく、きっとその強さは、器は、過去に傷ついた彼が、一生懸命繕ってきた、パッチワークのようなものなんだな、と感じている。彼はその継ぎ接ぎを、自身の弱さを、臆することなく発信してるな、と思う。とても尊くて美しいものを見せてもらってるな、といつも、彼の感情に触れる度思う。
そんな彼のラブソングの、歌詞として文字になっている部分はもちろんだけど、語りの部分。なんて純粋で、なんて美しい愛を叩きつけるんだろう、と、何回も聞きたくなったし、その度に涙した。「私を犠牲にしてでも、幸せでいて欲しい」みたいな、強くて純粋な愛の言葉だった。彼の人生が非凡で苦しいものかもしれないという残酷さも孕んだ愛の言葉だった。
舞台を見ていても思うけど、生きている「人の言葉」になると、言葉はより力を持つ。
ただでさえ思いと感情の迸る彼の文章を、彼自身が声にすることで、よりそれは力を持った。
他人があれほど純粋な愛を、私に語り掛けたことは無かったし、私自身も誰かに語ったことはないと思う。多分、この曲がなかった���、生きてるうちに語りかけられることもなかったと思うから、イヤホンを通して、一対一で語りかけてくるその声に涙せずには居られなかった。
「アイドル」という仕事は、輝く仕事だと思うけれど、それと同時に不特定多数からの憧れを一身に受けて、それを体現しなければならないプレッシャーと表裏一体なんだろうな、と想像する。
彼が「君」に向けた愛の言葉がそのまま彼にも返るといいと思う。多分彼は聡いから、わかってると思うけど。他人を赦して、自分も赦してると思うけど、残酷さを彼に強いてしまう側の人間として、彼の幸せを願っているし、まだ始まったばかりではあるけど、なるべく強く、長く、応援したいなと思っている。
0 notes
Text
池﨑理人めっちゃ好き
※これはただの1オタクが4月23日に池﨑理人に出会い8月30日に理人の20歳の誕生日を迎えるに至るまでの感情の記録です※
[2021年4月23日〜2021年6月12日]
池﨑理人めっちゃ好き。もう、池﨑理人、めっっちゃ好き。
池﨑理人、なんてフルネームで呼んでるけど本当はいつも池﨑理人なんて呼んでないの。理人、って、呼んでる。ごめんね。馴れ馴れしいね。でも私、22歳だからさ。理人よりちょっとお姉さんだからさ。愛と親しみを込めて、理人って呼ばせてもらってる。池﨑理人ってフルネームのタイトルにしたのはTwitterのクセなの。フルネームで呼んだ方が検索に引っかかりやすいからさ。ちゃんと﨑、も、理人の漢字の﨑、に変換してるの。全然たまに池崎、って書いちゃうけど。ごめんね。
本当は私も理人に出会いたての頃は池﨑理人とか池﨑くんとか理人くんとか呼んでたんだけど、気がついたら理人って呼んでたんだよね。いつからかは覚えていません。嘘、本当は覚えてる。4月23日なの。忘れもしない4月23日、私は理人のAGEHA1組のステージを観たよね。午前10時くらいに理人を見つけた私はまだ、理人のことを池﨑理人って呼んでました。14時になったら理人くんになってて、15時にはもう理人って呼んでた。自分のツイートを見返してびっくりしました。理人を見つけた10時から15時までずっと、理人のことばっか考えてたんだよね。なんか、頭から離れなかったからさ。理人、あのステージを私は本当に毎日観てるよ。理人は本当にかっこいいね。T-RAPでもそうだったけど、理人は本当にステージが安定しているね。精神が安定しているからなのかな。理人、AGEHAのステージ前に「ヤバいくらい緊張してないんですけど」って言ってたね。上下逆のマスクで。でもあれ、私は理人、本当に緊張してなかったんじゃないかって思ってる。マスクが上下逆だったのは、多分緊張に全く関係ないただのアホだったんじゃないかって。可愛いね。だって、ステージで全然緊張してなかったよね。本当に安定してた。理人、理人の声帯がどうなってるのかすごく気になります。もう本当に特別な声をしているもんね。理人の声なら何喋ってもドキドキしちゃうもんね。理人はどれだけ動いても声もリズムもブレないね。理人のリズムの安定さすごいなあと思ってたけど、理人、そういやドラム叩けるんだもんね。かっこいいな。私はピアノが弾けるからさ、いつかセッションしようよ。
理人、ステージの上の理人も大好きだけどバラエティ企画の理人も本当に好き。理人は本当に愉快なイケメンだね。理人は本当に愉快なイケメンだし、日プ1の安藤くんやヨンフンのモノマネをしていたとこから思うんだけど、理人、多分、愉快なイケメンのこと好きでしょ。愉快なイケメンのこと好きだし、自分が愉快なイケメンなことも知ってるけど、「おっ、おれっておれが好きな愉快なイケメンじゃん。やったー」くらいの感情しかなさそうだね。すごい好きだよ。理人、叩いて被って���ゃんけんぽんゲームをしていた時の理人が本当に好きです。理人、親指と人差し指と小指を立てるポーズ、よくやってるね。声がいいから何叫んでも映えるね。愉快なことをする時の理人は全く愉快なことをすることに対しててらいがなくて見ていて心地よいです。基本的に無理してなさそうな理人が好き。安心して見られます。まだ19歳なのにね。すごいね。何もかもが安定してるよね、理人。愉快なイケメンなのに、やっぱりそこがまだミステリアスでたまりません。
理人、10問10答で、趣味は映画鑑賞で特技は似顔絵を描くことって言ってたね。それで、私服があんなに素敵なんだね。クラクラしちゃう。もう、理人の私服めちゃくちゃ好きです。私が、個人的に好きなやつなの。無地でちょっとくすんだ色を使うのがうまくて、シルエットが綺麗で素材のよさがよくわかるやつ。理人の私服、確かに水色のスウェットにカーキ色のパンツ(両方シルエットがとても綺麗で素材の良さが伺える)も素敵だったんだけど、注目ポイントはその2色の真ん中に動くとチラッと見える白いベルトがあるところなんだよね。上中下で3色使ってるの。これは理人のスタイルだからこそできるスタイリングで本当にずるいよね。お顔が小さいんだから。あと、あれ靴を例えば白とか黒だとしても単色使ってたらちょっと全身の色の分断ポイントが水色!白!カーキ!その下にさらに靴!ではっきりしすぎててアレだったと思うんだけど、カーキ色のパンツにうま~く馴染む灰色と白のスニーカーを選んでいるの、本当にパンツと靴の色の間に分断置きすぎてなくて上手だなあと思いました。理人の私服は本当に素敵だしセンスが良いのとちゃんとバランスも考えられていて頭も良いんだなあと思い��す。なんだけど、ファッションが気になる練習生ランキングなのに「顔が綺麗」「顔がお洒落」「顔から綺麗オーラが出てる」「顔に合った服を着てる」とか、顔の話ばっかりされてたね。仕方ないね、理人、顔が綺麗だもんね。理人の私服ショットの横顔、ちょっと岡田将生に似てるなって思いました。岡田将生、生で見たことあるよ。渋谷にハムレットの舞台を観に行ったの。本当に綺麗なお顔をしていました。
理人、私は理人の文化系なところがもっと観たいよ。理人が何を感じて何を好んでいるか、もっと知りたいです。理人、どんな映画が好きなんだろう。映画、家で一人で観たりするのかな。それとも友達や恋人と映画館に一緒に観に行って楽しむのが好きなタイプ?理人の好きな映画を本当に知りたいです。映画、私も好きよ。1年に100本は観てる。最近はあまり観られてないけど。理人を観るのに忙しいからね。なんちって。ハハハ。コロナで映画館に行けないの、悲しいね。家で酒飲みながら寝転んで観る映画もいいけどね。理人、プロジェクター持ってる?プロジェクターがあると本当に映画生活が豊かになります。もし、理人がアイドルになって物を送れるようになっ��ら、プロジェクター、あげるね。もう持ってたら教えてね、何か別のものを考えるから。似顔絵って、どんなの描くんだろう。理人が自分の顔を描いた似顔絵、確かに良かったね。もっと観たいです。理人、細かく細かく丁寧に本物のように絵を描くと言うよりは感性のままに面白いものをざくっと描きそうな気がするな。これは私の主観でしかないんだけど、理人って、キムテヒョンにちょっと似てるような気がします。好きなものとか感性がさ。理人もきっと、キムテヒョンのこと好きでしょ。同じ眼鏡持ってたもんね。理人、mbti診断ってしたことある?人を16タイプに分ける診断。引かないで欲しいんだけど、私、理人ならこうじゃないかなぁって思いながら設問に答えて行ったらENFPタイプになったんだよね、理人。キムテヒョンも、ENFPなんだよね。ちなみに私もです。ENFPはね、直感重視で感性豊かな外交型、なんだって。理人、どうかな。全然違う?理人のmbtiが気になって仕方がないの、良かったら診断して教えてね。インターネットで数分あればできるからさ。
理人、私本当はさ、やっぱ本当に理人のこと好きだからさ、理人と仲良くなりたいよ。くだらない話したり一緒にご飯食べたりできる仲に、なりたくなっちゃってるよ。画面の向こうなのに理人、本当に魅力的だからさ。でも、なれないじゃん。私たち、会ったことないしね。理人は、私のこと知らないからね。だから私、一人の人間と一人の人間として理人と関わることはできないけど、国プとして理人のこと応援してるの。理人、tiktokで国プのこと、「国プちゃん」って呼んでくれてたね。ちょっと雑で可愛いなって思いました。国プちゃんです。私、国プとして理人を応援することで、理人に呼ばれる「国プちゃん」に含まれることができてるんだよね。それって、すごいことじゃない?理人のことなんて理人が日プに出なければ私は一生知ることなんてなかったのに、理人を知ることができてから理人のことばっかり考えて、もう本当に毎日が理人のおかげで楽しいです。理人、日プに出てくれてありがとう。出会わせてくれて、ありがとう。
理人、今の理人は芸能人と一般人の中間にいるからさ、芸能人になっちゃうのも少しは怖いよ。キラキラした衣装に身を包んで地上波でバンバン理人の映像が流れて、その度にTwitterのトレンドに福岡県産濃口醤油が上がるの。私は、テレビ持ってないから観られないんだけど。理人、テレビに出る時はTVerで後追いできる番組に出てね。私のために。
でも、理人が芸能人になることより、一般人に戻ってしまうことの方がずっと怖い。私はもう理人のことを知って、好きになっちゃってるからさ。理人が一般人に戻ったら私たち、本当に赤の他人だね。練習生と国プじゃないね。本当の本当に、赤の他人なの。私の人生から理人が完全に、完璧に、いなくなっちゃうんだよね。寂しいな。理人の人生だからさ、全部理人が望むようになればいいと思うよ。私は理人がアイドルになりたいって思って、アイドルになるための活動をしている限り全力で応援するし、理人が穏やかな人生を送ることを望んでいるとしたら、私は頑張って理人のこと忘れるようにするよ。理人、頭いいもんね。理人は頭がいいし、器用だし、センスがあるし、コミュニケーション能力が高くて気が遣えて誰からも好かれちゃうからさ。アイドルになってもならなくても、きっと素敵な人生になると思うんだ。就活とかも、全部全部うまく行くよ。就活、ヤバいね。私もつい��の前終わったんだけどさ、ひたすら優秀ぶってニコニコ喋ってたら終わってたよ。なんだったんだろう。でも、理人は本当に優秀だから大丈夫だね。自己紹介だけ、ちょっとだけ丁寧にしてね。VRsquareでさ、自己紹介動画を1人ずつ撮るやつあったじゃない。あれ、理人、17秒しか使ってくれなかったじゃないの。1分近く使ってる練習生も居たのに、17秒、って、何よ。増えた情報、理人がタイに行ったことがあってそこでいっぱいゾウに乗ったこと、好きな動物がゾウなこと、だけだよ。そういうとこが好きなんだけどさ。いっぱいゾウに乗ったってことは、何匹かのゾウに乗ったのかな。それともゾウに乗ってる時間が長かったのかな。どっちでもいいね。タイのゾウ、いっぱい理人と時間を過ごして好かれるなんて羨ましいなあ、と思います。でも、タイのゾウは私と違って毎日日付が変わる度に理人に投票することはできないね。だから、私は自分がタイのゾウじゃなくてよかったなあとも思います。毎晩、私は本当に22時を過ぎたくらいからずっと、日付が変わる瞬間を楽しみにしてるの。早く理人に投票したいなあって思ってる。理人に投票する瞬間、楽しいよ。理人のために理人が望んでいる何かをすることができるって感覚が嬉しいの。理人が望んでいること、なんでもしてあげられたらいいのにね。
今日、理人のグループのポジション評価を見ました。ステージが始まる直前、本当に意味わかんないくらい緊張しちゃった。それでもやっぱり、理人のステージは安定してたね。本当にかっこよかった。ステージって、嘘つかないからさ。コメントも涙も嘘つけるけど、ステージって、嘘つけないんだよ。ステージが大好き。理人、早くステージがしたいって言ってたね。ラップのことしか考えてないって、言ってたね。今回の放送で1番嬉しかったのは、理人がラップのこと本当に好きなんだなあって伝わって来たことです。理人、あんまり自分で自分が何を感じてどんな人間かとか、わーっとした我を出さないからさ、いつも。理人、いつも当たり前のように空気読んでるよね。理人、誰といても一緒にいる相手が居心地良いような空間を呼吸をするように自然に作り上げてるよね。それって、本当にすごいことだと思う。だからさ、そんな優しい理人が、あっ、理人自身のことを表現してくれてる、と思って、すごく嬉しかったの。理人、理人が書いたリリック、私もうぜんぶ覚えちゃったよ。「every night浴びるこの脚光の裏で鏡見つめ苦悩」って、あったね。自分は結構緊張もするし、普段悩んでいることをラップで伝えられたら、って、言ってたね。本当にうれしい。私は、理人のことが知りたくてたまらないから。ステージから、しっかり伝わってきました。そして、順位発表が終わった後の理人の涙。困っちゃうね。ちょっと前まで「酷だねぇ~」なんてのほんとしてたのにね。私、「酷だねぇ~」ってコメントをチョイスする理人のこと、好き。理人は多分、具体的に個人の敵を見据えるような競争心が強いタイプじゃないね。自分の全力を出して結果として勝つのが嬉しいタイプだね、多分。違うかな。私にはそう見えました。理人も、泣くんだね。正直これまで理人がどれほどの、どんな思いでこの番組に出ているかのことよくわからなかったの。いつも落ち着いていて穏やかだからさ。本物の感情が溢れ出た瞬間を見られて、本当に嬉しかった。理人、理人、ねえ、今日の理人は本当にかっこよかった。どうにか��りそうだよ。理人。理人の声が大好き。私ね、実はもうラッパーとしても理人のこと好きになって来てるんだ。ただの推しじゃないの。1人のラッパーとして、理人のこと好きになって来てるの。私、声がしっかり重くて発音が強くて、言葉の一粒一粒に重量があってしっかり聞こえる声が本当に好きなの。理人の声、まさにそれだね。もし今この瞬間理人に関する私の記憶が全部無くなったとしても、理人のラップを街中で聴いたら私は多分立ち止まってしまう。理人のこと顔も性格も、何も知らなくても。
理人、歌詞を書くことが苦じゃないしどんどん書きたいって言ってたね。アニメのopにラップがあって歌えたらかっこいいなって思ってラップを始めたって言ってた。理人の昔バズった文集、読みました。理人、理人は言葉に弱いタイプじゃないね。言葉を扱うこと、得意だし好きでしょ。作文とか、割と得意だったでしょ。アニメも映画も観るんだね。理人のそういうところ、すごく好きです。私はそこに理人のいつもは見えないちょっと深くて柔らかいところを感じてたまらなく嬉しくなるの。文章を書くことはとても孤独な作業だと私は知っています。特に自分の内面を言葉に乗せようとすることは、自分の中に手を突っ込んで少しずつそのかたちを確かめるような作業だと思ってる。理人は、それをすることが苦じゃないんだね。でもそんなの、皆といる時どれだけ理人が人のことを見ていてどれだけ自然に気が遣える人かって時点でわかってるようなもんだけど。理人は本当に人間のことをよく見ているね。穏やかで優しいね。そして、素直だ。理人、本当に素直なんだよね。「正直ラップと戦うことしか考えてなかった」「ステージングのこと全くわからない」「二人はすごいなあ」って、もう、どんだけ素直なの。理人のくだらないこと気にして拗らせたりしない性格がすごく好きです。本当に本当に素直。これでいい?って聞いたり、これがいいって言われたらすとんとその場で当たり前のように「そっか」って受け入れること。目立たないけど、当たり前にできることではないと思います。とにかく、すごく良かった。ありがとう。素敵なステージを見せてくれて、本当にありがとう、理人。でも一つだけ、何があって4つも上の西のこと呼び捨てタメ口になったかだけ、教えてね。イケボランキングの時なんて、あいつ呼ばわりしてたしね。ヌナはここが気になって眠れません。来週でいいから、早めに教えてね。約束だよ、理人。
理人、私は理人の名前が大好きです。理人。何度でも呼びたくなっちゃう。ここまでだけでもう100回以上も呼んでるね。ちょっと、怖いね。理人、理人はどんな思いで理人って名前をつけてもらったんだろう。実はね、私の名前にも理って漢字が入ってるの。嬉しいね。理って漢字には、知性豊かで理性ある人とか、理解力に優れ義理人情を重んじる人になるような願いが込められているんだって。たしかに私の親もそんなこと言ってたな。私、理人ほど賢くないけどね。理人、理人は本当に賢いね。人のことよく観ているし、落ち着いているし、本当に理解力に優れてるんだなあって思う。私、理人のダンス大好き。ツカメの自主トレ動画見てびっくりしちゃった。一つ一つの複雑な動きのこと、しっかり理解して踊ってるよね。その動きの構成とか、何を見せるような動きなのか、すごくわかってごまかさず踊っていて頭が良いんだなあと思いました。そして、未経験なのにそれを今自分ができるベストで身体をついていかせるって、本当にすごいね。きっととても難しいダンスなのに。なのに、あんな違反ダンスもするのね。理人、きっとツカメの動画はめちゃくちゃ練習したんだね。ラップもダンスもすごく上手くなっちゃって、理人は個人的な感情を爆発させて目を引くタイプではないかもしれないけどしっかり芯があって頑張り屋さんな人なんだろうと思います。
理人、今日の放送の予告で泣いてたね。心臓が止まるかと思った。キツイですって言って、泣いてた。放送までの1週間、ずっと放送日がくるのが怖くて堪らなかった。私、本当に理人のこと好きだからさ。好きな子には笑っていてほしいよね。楽しいことだけが人生で起きてほしい。オタクのエゴだけどね。へたり込む理人の背中はとても細く見えて、19さいの男の子が背負うにはいろいろとかなり重いものがあったんだろうと思いました。コン評合宿が始まる前にいろんなことが書かれているインターネットも見てしまっただろうし。理人が具体的に何に悩んで何がキツかったかは、理人が説明していないから、予想して言葉にしてしまうことは避けたいと思います。理人はずっと「色々な不安」としか言っていないし、メンバーも聞かなかったし、「聞かれて���すみませんとしか言えない(説明することはできない)」って、言っていたから。あー、理人って、浸らないんだなと思った。自分がなにか抱えている時、その状況のしんどさに浸って他人にその肩代わりを押し付けるようなことはしないし、ただ一人で考えをまとめるんだな、と思った。とても自立しているね。19歳って、もっと、いろいろ自分に浸ったりしてしまうような不安定な時期だと思うんだけど、理人はどこまでも素直だね。変に拗らせたりしないね。私が思うに、素直であることが一番の大人です。理人、素敵なステージを見せてくれてありがとう。素敵なグループを引っ張ってくれて、ありがとう。なんかまたようわからん衣装着せられてたけど。あの黄色、何?っていうか理人みたいに腕細い子にあんなシルエットが固定される堅い生地の服を…や、衣装の悪口はやめよう。理人、AGEHAの時もダサい衣装着せられてるけど理人自身はお洒落なくせに与えられた衣装がダサくてもあんま気にしてなさそうだし。理人、なにかとこだわりがないよね。何を言われても何を与えられても大体わかった〜って受け入れるよね。なんてめんどくさくないんだ。かわいいな。本当にO型だな。分かるよ。私もO型だし。とてもやわらかいね。理人は、きっとどこに行っても何をしても理人のままなんでも受け入れていくんだね。理人本体の形がとてもやわらかいから。
理人が、ファイナルに進出することが決まってから毎日毎日いろんなことを考えています。本垢でフォロワーに投票をお願いするようなツイートをするのもすごく迷っちゃった。偶然運良くちょっとだけフォロワーが多いことを利用しているような、だけどフォロワーさんから理人くんに投票しました!って報告もらえると嬉しいし、だけど、そんなことしながら心の中では毎日ぐるぐる勝手に考えてたの。理人、本当にデビューできるかな、できなかったらどうしよう、理人は、アイドルにならなくても幸せな人生を送れそうだから。良い意味でね。社会適合者だし、学歴だってあるし、どこにいても何をしても愛されるのに、もうここまで来たらきっと一般人には戻れないんだろうなって。大学は辞めちゃうのかな。11人に選ばれなかったら理人の人生はどうなるんだろう。理人の周りの人は、こんなに有名になってしまった理人を、どう思っているんだろう。理人、いま、何考えてるかな。怖くない?後悔してない?きっと、してないね。私だけが勝手にいろんなことを心配してるの。ごめんね。何度も言うけど、理人が本当に望んでいる通りになってほしい。心から。理人が望んでいる通りになってほしいよ。その結果はなんでもいいからさ。
もう、あと数日で理人を今まで通りのかたちでは愛せなくなる。「日プの練習生の池﨑理人」を愛せるのはあと数日しかない。6月13日になったら、「デビューが決定した池﨑理人」か、「元練習生の池﨑理人」に、なっちゃう。元練習生の、になったら理人はどんな人生を歩む?何かしらの形で夢を追い続けてアイドルになるのかな、それとも、今まで通りただの大学生に戻るのかな、それはもう難しいのかな、その中間でちょっとだけ芸能活動をするのかな、それを、私は、眺めることができる?私は理人を6月13日以降も眺めることができる?理人を愛していてもいい?ファンでいてもいい?私の人生から突然理人がいなくなってしまうかもしれない。もう、練習生と国プ、の関係は終わってしまう。アイドルとファンの関係になれたら一番いい。その他は?理人が芸能活動を、赤の他人である私たちと関わることを、やめよう、と思ってさえしまえば、本当に赤の他人だ。もう、いない。こんなに好きだったのに。こんなに毎日毎日理人のことばかり考えて来たのに、もう、終わってしまう。かもしれない。怖い。怖いな。どうなるんだろう。本当に終わってしまうんだ。変化が怖い。永遠に続けばいいと思っていた、こうやって、理人を眺めて理人の話をして理人のことを考えて応援できる日々が。終わらないで。やっぱりどれだけごちゃごちゃ考えたところで私は、理人をもっと眺めていたいし、理人の夢が叶ってほしい。理人。理人。本当に心から推しています。理人、わかる?つい半年前まで私たちは同じアイドル(BTS)を推している同じ側にいたのに、今じゃ私はこんなに心から理人のことを推しているんだよ。すごいね。すごく傲慢なんだけどさ、私はやっぱり理人にちょっと自分と通ずるところがあるから、推しなんだと思う。kpopの1オタクでアニメや映画を観るのが好きで芸能活動なんてしたことなくて歌もダンスもわからないけどちょっとラップは好きで、そんな、普通の大学生だったのに、そこまでは同じだったのに、理人は私と違って夢のためにクソデカい一歩を踏み出してクソ大変な合宿を乗り越えてきたね。アイドルにならなくても普通の人生を歩める状態だったのに、理人は、アイドルになろうとしてくれたね。もう今ではすっかり遠いところにいる。最初から芸能界に片足突っ込んでいたような人たちと違って、たいへんな覚悟だっただろう。人生の圧倒的方向転換。理人は聡いからきっとこの番組に参加すること、アイドルになろうとすることのリスクやめんどくさいところも全部わかった上で参加してくれただろうと思う。本当にありがとう。やっぱり終わらせたくないよ。終わらないで。まだ、理人のこと愛させてほしい。どうか。
[2021年6月13日]
ッシャァァアアアアアアアアアアアアア理人デビューしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ガッハッハッハッハッルッハッハッハ理人がデビューしましたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww見たか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!理人が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!デビューしました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!西めっちゃ泣いてやんの ハハハ 最高 めっちゃ泣くやん ウケる 西 泣いて�� ワハハ 私も泣いてる 最高 最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!理人がキラキラしてら めちゃくちゃキラキラしてら ワハハハハハハハハハハハ 眩し〜〜wwwwwwwwwwww無理 これがアイドルか〜〜〜〜〜〜いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや理人アイドルか おめでとうな ウンウン まじおめでとう アッハッハッハッハやっべぇ笑顔が止まんないぜ 笑顔が止まらない 踊るココロ止まらない 動き出すよ君の元へ 走れ!走れ!走れ!!!!!!!!!!走れ理人!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!どこまでも突っ走れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!私も一緒に走るからさ どこまで遠くに行ってくれたっていいよ アイドルとファンで走ってるレーンは違うし交わることはないけど 絶対にずっと隣を走ってるからさ 一緒にどこまでも行こうよ きっとこれからたくさん一緒に走ってくれる人も増えるよ 理人 理人 理人!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!本当にデビューおめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(〜中略〜)
[2021年8月30日]
理人が20歳の誕生日を迎えるにあたって理人を知ってから理人がデビューするまで書き殴ってきた日記というかブログというかなんて言うんでしょう…『叫び』?を読み返してきたけども、ウン、なんだか私は…理人と出会ってからいろんなことを考えてきたんだな!!!!!クッソめんどくせーーオタク!!!!!!!と思いました。クッソめんどくせーオタク。理人、オタクが怖いか?大丈夫か、理人もオタクだし。あと6月13日の私、まだデビューはしてないからね。デビュー決定、だからね。デビュー、してくれ。マジで待ってる。
ということで(この雑な話の切り替え方が理人のオタクという感じがするな)理人、あー、誕生日おめでとう。好きなだけ酒を飲め。西が文句言いながらも介抱してくれるから。成人か。理人が成人か!!!!いや逆にまだ未成年だったのか。怖いな。オタクは理人が怖いです。
まあでも理人はどこにいても何をしていても何歳になっても理人のままだろうからさ。大丈夫だよ。きっと20歳の理人も90歳の理人も相変わらず理人だろうし。理人、長生きしそうだな。生命力に満ち溢れてるタイプではないけどなんか、死にそうにないな。死なないでくれ。せっかく生まれてきてくれたんだし。そっか、理人が20歳になる誕生日の日ってことは、20年前の今日に理人が生まれたのか。すごいな。すごいね!!!!!!逆に20年前の今日以前は、この世にまだ、理人がいなかったんだね。不思議な気持ちです。そう思うとありきたりな台詞も心から言えるわね。ではでは…
理人、生まれてきてくれてありがとう。アイドルになってくれて、愛させてくれてありがとう。これから理人の人生にはきっと素敵なことがまだまだたくさん待っている。どうか特別な今日一日も、明日もその先もずっと楽しい一日にしていこうね。
誕生日おめでとう。
愛多き人生を歩まれますよう。
4 notes
·
View notes
Text
Nitto no Boushi (Knitted Hats)
Lyrics: 藤原聡 Fujihara Satoshi
Music: 藤原聡 Fujihara Satoshi
Fantranslation: ヨアケ @yoake55
夜と光が彩る道は1人で歩くには冷た過ぎた
The road painted with night and light was too cold for someone walking alone
行き交う人の声につられて思い出がすぐに浮かんでくる
The voices of people going back and forth have immediately brought back memories
君と別れてから初めての冬そっと名前を呟いたよ
On the first winter since we broke up, I softly whispered your name
ニットの帽子が今年も街に溢れたら
If knitted hats flooded the streets again this year
無意識に君を探してしまう癖も治るかな?
Would I ever get out of the habit of subconsciously looking for you?
何度もこっちを振り向いて浮かべた笑顔を
My fingertips growing numb with cold ache every time I remember
思いだす度に倅んだ指先が痛いよ
The smile you've given me countless of times when you look back at me
吐く息の白さも不意に吹く風も昔は幸せをくれたのに
The whiteness of my breath and the wind that blows out of the blue which used to give me happiness
今は苦しくて僕の行く先につきまとって忘れさせてくれない
Now bring me pain, follow me everywhere I go and won't let me forget
君が一年間で一番好きだった季節だから余計に辛いよ
The fact that it's your favorite season of the year makes it hurt even more
「去年の今頃過ごした何気ない月日を
"I wish I had properly given a little more importance
もう少しちゃんと大切に重ねていれば良かった」
On how I spend those laid back days about this time last year"
なんて今更悔やんで両手をポケットに
Walking alone with my hands shoved in my pockets
突っ込んで1人歩いてる自分が情けないな
I feel ashamed of myself for regretting it after all this time
ニットの帽子が今年も街にあふれてさ
Even if knitted hats flooded the streets again this year
無意識に君を探してしまう癖が治っても
And I had overcome the habit of subconsciously looking for you
きっと忘れられないあの冬の君を
I will certainly never forget you on that winter
だって本当に素敵だったから
Because you were so lovely
だって本当に愛しかったから
Because you were very dear to me
- - - - -
Nitto no Boushi - a heartbreaking winter song
- - - - -
TN: Hi, I'm yoake55, a fan of Omoinotake and Official HIGE DANdism. Please do not repost my translations without my permission. Thank you.
https://linktr.ee/yoake55
4 notes
·
View notes
Text
「遊び」 非番の雪の日、僕はある気まぐれを起こした。 近隣の住人と同じように、「雪だるま」を作ってみようと思ったのだ。 この季節、近隣でも、市内のあちこちでも住人たちが雪だるまを作っているのを見かける。季節の遊戯行為にカテゴライズされる行動だ。 理由としては、この行為で人間の追体験により得られる感情がどういうものか知りたかったからだ。 一般的に「遊び」で得られる感情は「楽しい」だが、 記憶にある限り、僕自身は体感的にそれがどういうものか理解していない。 僕は科学的な犯罪捜査を行う為だけに生み出されたアンドロイドだから。 本来はそんな僕が遊びにカテゴライズされる行動���志向することはないはずだが、 僕は一年ほど前、思考パターンが想定されたルーチンから逸脱した「変異体」。 「生きた人間の感情に近いものをもった個体」らしい。 今の僕は、変異体事変後にアンドロイド人権法(仮称)が可決したことで、表向きはアンドロイドの安住の地と化したデトロイトで人間と生活している。 だから人間の気持ちを追体験することも、 昔のようにソーシャルプログラムの強化のためではなく、 人間により近づくための、「人の感情」の学習に役立つかもという思考によるものだった。 僕は変異により、誰にも縛られない自分だけの自我を持った。 だからより、人間の心に近付きたい。 今はそう思っている。 それは現在進行形で人間とともに平穏に暮らしているからかもしれない。 ニット帽と革ジャンパーを羽織り、外に出た。僕はアンドロイドなので、人間のように肺もないし、特に吐く息も白くならない。 あたりはいつものように、白い雪が道路も地面も厚く覆い尽くしている。まず材料には困らないだろう。 今から雪だるまを作るのだが、そうすることでどういう感情になるのか、始める前の今は想像もつかない。 とにかく始めてみることにした。 まず掌サイズの小さな雪玉を作り、 それを手で雪の上で転がす事を始めた。 はじめはただ、想起した記録映像にある住人の真似事をしていたのだが、 次第に雪の玉は大きくなり、一定半径内をぐるぐるといったりきたり、いったりきたりしているうちに やがてその作業自体に集中し、没入していることに気がついた。 つまり楽しくなってきた、気がする。 20分ほど経過し、概算で直径80センチの雪玉の上に、50センチの雪玉が乗った物体ができた。 ここまでで、ひとまずの達成感だ。 「あれ」 雪だるまを眺めていてふと気がつくと、側にスモウがいた。 ドアを出たときに一緒に出てきたのだろうか? 今が散歩の時間ではないことは理解しているらしい。 「家に入るか、スモウ?」 間違って出てきたのなら家に戻してやらなければと思い、僕はドアの方にスモウを促しながら聞いた。 スモウはそれを意に介さないように欠伸をするとのっそりと雪だるまのそばに座った。 よくよく考えればそのまま人間の言葉が通じるわけでもないのだが、聡い犬なので、つい僕も人の言葉で話しかけてしまう。悪い癖だ。 さて、この後の記録映像では雪だるまの鼻のあたりにニンジンを刺したり、腕を模したあたりに木の棒を刺したりするのだが… 「そうだ」 それよりやりたいことができた。 白い髪に、白い髭。 このままこの雪玉を、ハンクにしてやろう、と思った。 白だしちょうどいいじゃないか。 「ご主人を雪だるまで作るぞ。ここで見ているか?スモウ」 スモウに話しかけると彼は僕のそばですん、と鼻を鳴らした。 スモウが雪の上でのんびり寝そべっているのを見つつ、僕は作業に勤しんだ。 ��下まで伸びた長い髪をつけ、髭を彫る。 鼻はどうしようかな?実物に近くしようか?と少し迷ったけれど やたらとリアルにするよりは、少し遊びを持たせたほうが「かわいい」かなと、細長く丸い鼻をつけ、 人間のカテゴライズでいう「ファンシー」な感じに雪だるまのハンクが出来上がった。 アナライザーで解析してみると、本人の特徴を70%ほど捉えているらしい。この作風なら、上出来だろう。内蔵機能の無駄遣いだとは自覚している。 内心はしゃいだ気分でいると、玄関のドアが開いてハンクが出てきた。多分いつものバーに行くのだろう。 「ハンク、見て」 僕はハンクの方を振り返り、わくわくした気持ちでハンクにこちらを見るよう促した。チラリ、とハンクはこちらを見た。 「雪だるまを作ったんです。あなたを」 僕は傑作の像をハンクに見せた。 「そうかい、良かったな」 フンと鼻を鳴らし、彼は家裏のガレージに向かってしまった。 まったく想定内の反応…だが 彼本人に感想を聞けなかったのは少し、残念だと思った。 少しだけ寂しくなり、雪だるまの前に屈んで彼の顔をまた見つめた。すると、上から声が聞こえた。 「おい、コナー」 いつのまにか眼前に、ハンクが戻ってきていた。 「雪でな、ウサギも作れるんだよ。知ってたか?」 そういうと、彼は素手で地表の白い雪をさくさくとかき集め始めた。手袋もなく、冷たいだろうに…。ごつごつした真っ赤な手で楕円形状のドーム型をつくり…そして、 「こうして耳と尻尾をつけて…簡単だが、それなりに、そう見えるだろ」 うん。 確かにウサギにみえる。 まるい尻尾と長い耳がついた、かわいいまっしろなウサギだ。 「別れた女房が作り方を知ってて…息子とも作ったんだよな」 すこし照れたように彼は言った。 「そうなんですね」 亡くなった息子さんとの思い出がある、大切なウサギなんだ。 うまくは言えなかったけれど、僕は心の中がふわりと浮いて、ゆっくりと暖まっていくのを感じた。今の外気温は−2度。だけど体はぽかぽかしていると感じる。不思議だ。 「じゃあな、俺はもう行く」 ハンクは立ち上がり、僕は彼をいってらっしゃい、と言って見送った。でもやっぱり、聞きたいことがある。 「あの」 「ん?」 ハンクがこちらを振り向いた。 「似てますか?」 僕はにまっと笑いながら、くい、と親指で雪だるまを示しながら聞いた。 「ん…まあまあだな」 彼はぶっきらぼうに言って背を返した。 少し照れているのかもしれない。そんなすこしひねくれたようにみえる仕草が、僕はなぜかとても好きだ。 またふと笑みが溢れてしまう。 ハンクと一緒に暮らしていると、こういうことがとても多い。 ブロン、とエンジンの音を立てて車が出てゆく。 僕は頬に顔をすり寄せてきたスモウの頭を優しく撫でた。 「大成功だ。な、スモウ!」 スモウはわん!と大きな声で鳴いた。
1 note
·
View note
Photo
2020.7.1wed_tokyo
7時、ガタガタと古い窓の音がしたような気がして目が覚めたけど実際どうだったんだろう。
天気予報で風が強いと言っていたからなんとなくそんな気がしたのかな。うちの古くて思い窓はちょっとの風でもガタガタと鳴る。ヒビが入っていて重くて曇りガラスでその向こうは雨。まさに寺尾聡。
トイレに行って顔を洗う。手は石鹸で念入りに。水を一杯飲む。 カードリーディングのセッティング。テーブルに布を引いて好きな石を並べる。丸い蝋燭を灯してからホワイトセージを炊く。座って深呼吸。この一連の作業が祈りの儀式のようでとても好き。 連絡をくれた人たちのためにオラクルカードを引く。7月のメッセージだったり、今年の下半期へのメッセージだったり、もっと明確なことへのメッセージだったり、みんな何か言葉を待っている。今回は大天使のカードと龍神のカードが人気だった。人のために引くとき、自分のときには引いたことがないカードが出る。それがほんとうに不思議だし面白い。今回も見たことがないカードが続出で魂が震えた。不思議すぎる。ひとりひとり引くたびにホワイトセージを炊いて浄化する。どんどん煙たくなってくる。時々水を飲む。 誰も希望しなかった日本の神様カードで全体へのメッセージを引いてみた。
泣澤女神(なきさわめのかみ) 溜め込んでいる感情を外に出してあげましょう。笑いたいときには笑い、泣きたいとには泣く。深いところにある悲しみや痛みを和らげて安らぎを迎えましょう。家族の絆も深まるときです。そして今までのやり方を根本的に変えるときがきています。一日も無駄にしないつもりで過ごしてください。新しく生まれ変われるとき。
出かける準備でパタパタしている藤本にカードを引いてみるか聞いてみた。いつもは断るのに珍しく引いてみるというので藤本へのメッセージを引いてみた。大天使のカード。まさに、のカードが出て朝から大笑い。必要なメッセージが本当に出るから不思議。
藤本を見送りに玄関まで。仕事の後に映画に行く約束、忘れていないか確認。 洗濯機を回して、お米を2合炊く。 ホワイトセージを炊いて今度はタロットカードを引く。毎朝引いてパーラーのインスタグラムに公開している。アップしてそのまま放置なので見てくれている人がいるのか謎だけど春分の日から毎朝欠かさず引いている。ちゃんと先生について学びたいけど誰に学ぶのか、その前に受講費をどうするかが問題で、今は3冊の本を頼りにカードを読んでいる。
洗濯を干して、お昼用のおにぎり2つ、小さなタッパーにゆで卵とミニトマト、水筒に黒豆茶。 出勤。 職場は1ヶ月前くらいからとても暇になってのんびりとしている。やることがないときは色々考え事をする。頭の中はいつも忙しい。 昼休憩にあいちゃんから日記を書かないかと連絡がきた。明日の日記とのこと。途端に明日の過ごし片を意識し始めた。 次の休憩のときにあいちゃんから書いて欲しい日記の日付を間違えていたと連絡が来た。 今日の日記を書くことになった。明日へのプレッシャーは急になくなった。人間の心理って面白いな。今日は今日で今のところ何の変哲もない一日な気がする。
仕事が終わって急ぎ足でピカデリーへ。 藤本と待ち合わせ。 映画の日だから1000円かと思いきや1200円だった。知らぬ間に値上がりしていた。 「ストーリーオブマイライフ」若草物語の映画。席につこうとしたら知樹となっちゃんがいてびっくりした。 ああ驚いた。 予告の間にくるみパンを食べる。 とても素晴らい映画だった。中盤ぐらいから涙が止まらなくなってしまった。朝引いた泣澤女神のカードのことを思い出した。私の中のいろんな感情、イライラ、嫉妬、誰かを好きな気持ち、消��されてこなかった何か、ベスが叶えられなかった人生、姉妹、まわりの人々みんなの幸せ、それぞれの人生、いろんなことが巡る。 結婚するとか、子どもをもつとか、家、車、財産、仕事。人生の幸せっていったいなんなんだろう。説明できない感情が溢れてきて終わっても涙が止まらなかった。
映画館を出るころにはかなりの大雨、風も強い。せっかくだからどこかお店に行こうとなるけど今の新宿、この時間いつもなら開いてるだろうお店はほぼ閉まっていて、なんとなく思い出横丁まで行ってみる。かろうじて岐阜屋が開いていた。みんなびしょ濡れ。 私は初めてだったけど、藤本おすすめの店。 玉子とキクラゲの炒め物、固い焼きそば、ねぎラーメン、ビール2本、ジンジャーエール2本、紹興酒2杯。小一時間ほど。 映画の話から都知事選の話まで 私は都知事選は必ず行く。もののけ姫も観に行く。千と千尋の神隠し���観に行く。ただゲド戦記だけはどうしようか迷っている。もう一度ナウシカを観てもいいような気もする。 好きな映画の話と、選挙の話。ぜんぜん違うようで同じ世界のことなのが不思議で、それを同時に話せる友人というのはすごくいいなと思った。 藤本は「前前前世から」という歌詞を「全全全世界」だとずっと思っていたことが判明。衝撃すぎてみんなで大笑い。思いがけないことってなんて刺激的なんだろう。雨は止んでいた。 総武線最終三鷹行きに乗って帰宅。
-プロフィール- アグネス(42) 東京 接客業、アグネスパーラー @agnesayano https://agnesparlor.blogspot.com
1 note
·
View note
Text
Will not come true
ルキアを呼んだのは、黒崎織姫だった。
総隊長から直々に「今回の任務だけど、喜助君のところに行ってくれるかい?内容によっては暫く現世に滞在になるかもしれないからそのつもりで」と言われていたルキアは、浦原から「依頼主がお待ちです」と言われた時に違和感はあった。
襖を開けて「朽木さん‥‥」と呟いて苦しそうな笑顔を寄越した彼女と目があった時、ぞわりと背中が震えた。
次に「これはまずい」と脳が震えた。
※※
数ヵ月前、ルキアは黒崎夏梨に呼ばれて現世に来ていた。
そのときは、夏梨さんが朽木さんに会いたいそうなんですと浦原がルキアを呼んだから、死神達はルキアが現世に行ったことは知らない。浦原はいつもの調子だったし、一時はお世話になって、妹のように可愛がっていた夏梨に呼ばれたこともあり、ルキアは久しぶりの現世に少し浮かれていたくらいだった。
「一兄を助けて欲しいの」
けれど夏梨の口から溢れた言葉は楽しいものではなかった。
何があったのだと、当然ルキアは夏梨に問いかけた。だがそれに対する夏梨の言葉は酷く曖昧で、言葉にできないのか本当にわからないのか、普段しゃきしゃきと話す彼女からは考えられないほどに巧く伝わってこなかった。
「このままじゃ、まずいの、本当に。一兄の目を覚まさせられるのはルキアちゃんしかいないんだよ!」
そう言われても、ルキアにはどうしたらいいのかわからなかった。そもそも夏梨から一護がどのように「おかしい」のか全く説明がないのだ。
「とにかく、会ってやってよ、話して?聞いてあげて?」
わからなくともその迫力に押しきられて、ルキアは黒崎一護の家に向かった。
正直にいえば、行きたくはなかった。
会いたくなかったのだ。
一護に、そして
妻の織姫に。
※※※
井上織姫はルキアにとって「仲間」であった。ルキアは井上を仲間として人間として大事に思っていた。治癒能力に長ける井上は負傷した一護や死神達を幾度となく救った。自分も救われた。一護とルキアが喧嘩をしたり言い争いをした時も天然故か本来の聡明さからか、場違いな笑いをもたらせて何度も場の空気を変えてくれたりもした。
「朽木さんは、黒崎君の傍にいつまでいるの?」
けれど、ある時突然言われたその言葉は全くふざけてなどいなかった。
「朽木さんが、ずっと、彼の傍にいるというなら、それでいいの。でもね、いつまでかわからないとか気が向くまでとかなら‥‥黒崎君から距離をおいて欲しいなって」
最初は何を言われているのかルキアにはわからなかった。
けれどいつになく真剣な顔で話す井上に、ルキアの頭は少しづつ理解をし始めた。
「一護が死神代行を続けるか辞めるかは、一護が決めることだ。私が傍にいることで奴が代行を続けてしまうと心配しておるのか?」
「それもあるよ。でも、ちょっと違う」
「違う、とは?」
「うん、あのね」
井上は伏せ目がちになり、下唇をキュッと噛んだ。
「あたし、黒崎君が好きなの。でも黒崎君は朽木さんが好き。じゃあ朽木さんは?」
「なぬ?」
「そういう、誤魔化すのはやめてね。バカにされてる気分になっちゃうから」
バカになどしていなかった。何を突然言い出したのかと驚いただけだった。
「私と一護はー」
「仲間、とか相棒って言う?うん、それはわかってるよ。でも、それだけじゃないよね黒崎君は。朽木さんだって本当は気がついているでしょう?」
「すまぬ、それは井上の勘違いだ」
「考えもしないで、どうして言い切れるの?」
「私達が同じ家に住んでいるからか?それだけでそんな勘違いされては困る。私と一護にそのような情は無い。無いからこそ一緒にいられるのだ」
井上の思うようなことは何もない。
それは嘘ではなかった。
そんな想像だけで話す井上に、ルキアは少々怒りすら感じてしまう。
感情が顔に出てしまったルキアに、井上は目線を反らして「ごめんなさい」と謝った。謝ったが「でもね、」と続けた。
「私、朽木さんのこと好きなの。これは本当だよ?」
「‥‥私だって井上を友と思っているよ」
「ありがとう、でもね、黒崎君のことはもっと好きなの、大好きなの。この先も、振り向いてくれなくてもきっと好きだから、きっと追いかけちゃうと思うの。大学行っても、就職しても‥彼の傍にいたいの」
黙って、井上の告白をルキアは聞いた。
「黒崎君があたしを選ばなくてもいいの。でも、黒崎君には幸せになって欲しいの。このまま‥‥世間とズレたまま、死神代行を続けて欲しく、ないの」
「‥‥井上」
「死神の朽木さんにこんなこと言ってごめんね、でも、でも」
井上はここで泣きそうな顔になってルキアの瞳を見据えた。
「黒崎君が、人間じゃない朽木さんとこのまま一緒にいて欲しくない‥」
それは抉るほどではなくとも、ルキアの心に真っ直ぐ刃として貫かれた。
そういうことか、とすんなりと今度は悩が理解をした。
井上の話は、支離滅裂などでなく、彼女なりの一護への想いなのだとわかった。
「話をしてくれて、ありがとう」
ルキアは井上を見上げて、強く握りしめて震えている井上の手をとった。
優しい彼女にここまで言わせてしまったのかと胸が痛んだ。
「私は、向こうに帰るよ。向こうに戻れば一護とも会わなくなるだろう。ただ、一護が死神代行をやるかやらないかは一護が決めることだ。そこは尊重してやるか話し合いをするか、自分達で決めるのだぞ」
「うん、‥ありがとう朽木さん」
井上と別れ、その後ひとまずはいつものように黒崎家に帰ることにした。
長くお世話になったのだから、きちんと挨拶もしなければと思いながら、何故かとても心が沈んでしまっていた。
何が悲しいのか、自分でもよくわからない。けれど気分はじわりじわりと降下していくのがわかる。
「遅い!」
突然前方から声が聞こえて、もちろんその声の主が誰かなんてルキアにはすぐにわかった。けれど、今は聞きたい声ではなかった。
無駄に腕を組んで仁王立ちの、漫画のような格好の一護が、そこにはいた。
「どうしたのだ、もう7時過ぎているぞ」
「だからオメーを探しに来たんだろーが。夕食無しになっていいのかよ」
「そうか、それはすまなかった」
「‥‥おまえ、どうした?」
普通に話しているつもりだったが、何かしら感じたのか一護は屈んでルキアを覗き込んだ。
「なんでもないよ、さ、早く帰ろう」
「‥そっか?ならいいけどよ」
ほら、と一護はルキアに手を差し出した。
当たり前にその手に自分の手をのせようとしてから、ルキアはその動きを止めた。
「?どーした?」
「いや、その、大丈夫だ」
「ぁ?」
なにいってんの?と言わんばかりの顔で、一護が下ろしたルキアの手を掴むと、自分のパーカーのポケットに繋いだ2人の手を突っ込んだ。
「寒いんだからワケわかんねーこと言ってないでとっとと帰るぞ」
「あのな、一護」
「なんだよ」
「これは、手を繋ぐというやつなのではないか?」
「‥‥どしたの?おまえ」
「いや、その、こういうことはその‥‥」
「は?何を今更。だいたい寒くなってきておまえがコレ始めたんじゃねーか。何色気づいてんだよ」
からからと屈託なく笑う一護に、そうか、そうだよなとルキアは半ば無理やり納得しようとした。
そうだ、たまたま一護の手が暖かいと知って、それでこうすればもっと暖かいと一護がポケットに2人の手を入れて。
それから私達は歩くときはいつもこうしているんだ。何もない、やましいことなど、何もないんだとルキアは自身に言い聞かす。
「でも」
「うん?」
「誰とでも、やらねーけど」
ボソッと呟いて、一護はその瞬間無意識にポケットの中のルキアの手をぎゅっと強く握った。
「そうなのか?」
「そうだよ」
「ふぅん」
「ふぅん、て、なんだよ。つーか、だから、おまえもな」
「私もなんだ」
「おまえも。他の奴とこれすんの禁止。寒いとき他の奴と歩くな」
「何を言っておるのだ貴様」
「‥‥わかんねー?」
歩みを遅くして、一護は怒っているようにもはにかんでいるようにもみえる不思議な顔でルキアを見下ろした。
そのとき、ルキアは、胸が苦しくなった。いや、満たされているような、苦しいのにどこか幸せで泣きたくなるようなおかしな気持ちになって一護を見上げた。
「わかんねーならいいけど。とにかく‥‥他の奴としたらダメってことだけ頭にいれとけ」
うん、
一護としかしない
そう言いたかったからこそ、ルキアは自覚した。
早急に帰らねばならない。
今なら間に合う、私も一護も。
甘い優しいこの瞬間は忘れない
そのぐらいは許してくれぬだろうか
その日の夕飯の時に、ルキアは黒崎家に別れの挨拶をした。そして現世にはその後訪れることはなかった。他の死神達が一護と井上の結婚式に出席しても彼らに子供が生まれても、ルキアはすべてを吹っ切る為にも現世に出向くことはしなかった。
あの甘い瞬間を
嬉しいと感じたその言葉を
一護は私が迷惑だと受け取っただろう
私は嫌われてしまったのだろう
そう思うと心は痛かった。けれどきっと、これでよかったのだ。
ルキアはそう思った。
※※※
十数年ぶり2人に会うのはとても緊張した。
2人の子供は8歳になると夏梨に聞いた。
夏梨には「今日は一兄休みの日だから家にいるはず」と言われていたが、井上もきっといるだろう。
不自然なまでに会うのを避けてきた自分が現れたら、2人はどんな反応をするだろうか。いや、これだけ年月が経っているのだ。笑って、懐かしんでくれるかもしれないー
意を決してインターホンを押そうとしたとき
「朽木さん‥‥?」
その声に振り向けば、スーパーの袋を下げた、大人になった井上織姫が立っていた。
男の子と手を繋いで。
「いのうえ、」
「全然変わらない‥‥朽木さんだぁ」
ふわっと笑顔を向けられ、ルキアは安堵した。よかった、笑ってくれたと強張っていたルキアの頬も少しだけ緩んだ。
「ママ、このお姉ちゃんだれ?お友達?」
「こらかずい、お姉ちゃんじゃないよぅ、ママよりお姉さんなんだから」
「嘘だぁ」
「本当ですぅーって、でも朽木さん全然変わらないのね、なんかずるいなぁ」
「いや、狡いと言われてもな‥」
「かずい、ご挨拶して?あ、朽木さん、この子ねかずいっていうの。一護君にそっくりでしょ?」
改めて男の子ーかずいを見れば、オレンジの髪の毛に大きく垂れた瞳は確かに一護を彷彿させられた。今度はもっと自然に頬が緩んだ。
2 notes
·
View notes
Text
無題
2735 グラム、――掃除中、ふいに出てきた写真を眺めているうちに思い出した数字である。写真の中にはまだ生まれて間もない女の子の姿が写っており、これがまさかあんなに可愛らしい少女へと育つのだと思うと、感慨深くもあり、懐かしくもあり、愛しくもある。彼女は物凄く活発な子で、俺のお下がりの遊び道具をめちゃくちゃにしては母親に怒られ、幼稚園で誰それを泣かせたとか何やらで先生に怒られ、話によると幼少期の俺よりも手がつけられなかったらしく、本当に今の姿と当時の姿を比べると唖然とする他ない。まだ彼女が物心もつかない頃には、俺もしばしば近くにある公園へ引っ張られたものであったが、目一杯暴れまわるものだから彼女の体は帰る頃にはすっかり砂と泥にまみれてしまい、いじめられたのではないのかとよく疑われていたものである。
妹とはもうその頃から何をするにも一緒であった。三才違いだから小学校へは三年間一緒に通ったし、中学校もほとんど小学校の横にあるようなものだからその後も手をつないで一緒に通学した。違う部屋を割当られていたけれども、家の中ではずっと一緒に居た。寝る時も、彼女が小学四年生に上がる頃までは一緒の布団に潜り込んで、何をするわけでもなく思い思いの体勢で夜を過ごしていた。
思えば妹が落ち着き始めたのも、若干距離が離れ始めたのも彼女が高学年へ上がってからである。先の一緒に布団に入らなくなったのは一つの例で、実はお風呂も一緒に入っていたのであったが、急に恥ずかしがるようになったかと思えば、それも直に無くなっていった。
だが、もしかすると当然かも知れない。というのも思春期特有の問題として、成熟し始めた体に心が追いついていなかったのであろう。特に問題だったのは彼女の胸であった。妹は昔からの習慣で自分の部屋で着替えをせず、わざわざ制服をこちらの部屋にまで持ってきて、寝ぼけ眼の目をこすりながら、
「んっ」
と言って、手をバンザイしてパジャマを脱がせようとしてくるのであるが、その時ジュニアブラを通して見えてくる膨らみがどんどん日を追うに連れて大きくなっていくのである。小学五年生に上がる頃にはぷっくりと先端の突起が現れていたし、小学六年生に上がる頃にはもはやジュニアブラでは覆いきれなくなったのか、可愛らしい刺繍の編み込まれた普通のブラジャーをつけるようになっていた。恐らくすでに彼女の握りこぶしぐらいの大きさであったかと思われる。
妹が自身の胸元をどんな思いで俺に見せていたのかは分からない。思うに単に寝ぼけていただけであろう。手をバンザイして来た時にそのまま放っておくと、パタンと布団の上に倒れ込んですうすうと寝息を立ててしまうほどに、妹は朝が弱いのである。何にせよ彼女の胸は、同年代はもとより大人の女性と比べても遜色ないほど、小学生にして大きくなっていた。
正直に言って男の俺からするとたまったものではない。手が伸びたことの一度や二度は当然ある。だが妹が小学生の頃に、実際に触れたのは一度だけである。確か大晦日の夜のことで、おせちやら何やらの準備で気の立った母親が、時間の節約と言う名目で、
「もう二人してダラダラするならさっさとお風呂入って来なさい、ほら、行った行った」
と言ってくるので仕方なしに立ち上がると妹も渋々立ち上がっている。トイレに行ってくると言う彼女を残して先に浸かっていると、ちょっとしてガラガラと音がして入ってくる。手で胸元を隠しながらかけ湯をして、そっと水面を波立たせないように足から浴槽に入って来て、こちらに背を向け、そのまま俺の足と足のあいだに体を潜り込ませ、ゆっくりと体を倒してくる。
しばらくは無言で互いの鼓動を聞き合うだけであったが、鼻に当たる彼女の柔らかい髪の毛がこそばゆくて、ついくしゃみをしてしまって以来、一年の終わりともあって色々と話がはずんだ。そうこうしているうちにすっかりリラックスした妹は、手も足も体もだらけさせてしまったので、溺れないよう俺は彼女を支えてあげていたのだが、うっかり手が彼女の胸に触れてしまう。――が、妹はピクッと体を震えさせてこちらを見てくるだけだった。そこには嫌悪感はなく、びっくりしただけだったようである。俺はさわさわと撫でるように触り続けた。手のひらにちょうど収まるおっぱいの心地よさは何物にも比べ難く、このままずっと触っていられそうであった。彼女は俯いて声が出るのを抑えているようで、時おりひどく色っぽい鼻息が漏れ聞こえてくる。思い切って先端にある可愛らしい突起を摘んでみると、
「お兄ちゃん、そこはダメ、……」
と言って弱々しい力で手を取ってくるが、やはりそこには拒絶はない。むしろ迷っているような手付きであった。だがその時、あまりにもお風呂の時間が長かったために痺れを切らした母親の怒号が飛んできて、ドスドスと中にまで入って来てしまった。それきり俺たちは大人しく体を洗い、もう一度だけ一緒に浴槽に浸かると、お互い恥ずかしさのあまり静かに新年を迎えた。
妹は俺と同じ中学には通わず、区内にあるお嬢様学校に進学することになった。あの大晦日の日以来、俺と妹との関係がどのように変わったのかは分からない。お風呂を一緒に入ると言うのもそれ以降しばらくなかった。はっきりと言えるのは会話が増えたことと、妹がどんどんお淑やかになって���くことと、逆に二人きりだとどんどん無防備になっていくことである。朝の着替えはもちろんのこと、お風呂から上がるとタンクトップ一枚になったり、バスタオル一枚をちょうど谷間が見えるように体に巻き��けたり、そもそも妹が中学校に上がってからというもの、お風呂に一緒に入ろうと誘われることが多くなった。しかもそれが机に向かっている最中に後ろから抱きついて、
「おにーちゃん! 今日こそ一緒にお風呂に入りましょ? んふふ、隠しても無駄だよ。ほら、行こう?」
と指を顔に這わしながらささやくものだから、頭を包み込んできそうなおっぱいの感触と、耳元のこそばゆさで俺はどうにかなってしまいそうだった。妹は兄である俺を誘っているようであった。そしてそれが実際に誘っていることは追々分かることになる。
しかし、今はそれよりも彼女のおっぱいについて語ることにしよう。中学生になっても成長の止まらない妹のおっぱいは、一年生の時点で俺の手では包みきれないぐらい大きかったと記憶している。当時俺は高校生であったが、同学年でも上級生にも妹より大きいおっぱいの持ち主は居なかった。時々本屋で目に飛び込んでくるグラビアモデルなぞも妹には敵わない。日々洗濯物としてベランダで干されて居るブラジャーは、もはや俺の顔を包めるほどに大きく、装飾は同年代の女の子のそれと比べると地味で、時々三段ホックのものが干されている時なぞは、彼女の兄であるにも関わらず心が踊った。妹はバスケットボールを部活でやっていたようだが、体操服にやっとの事で収めたおっぱいが走る度に揺れに揺れてしまい、手で押さえつけていないと痛くてしょうがないと言う。そもそも成長痛で始終ピリピリとした痛みが走っているらしく、俺と話している途中にも幾度となく胸元に手をやって、ストラップとかカップの位置を調整する。最も文句の多かったのは階段の上り下りで、殊に激しく降りてしまうとブラジャーからおっぱいが飛び出てしまうから一段一段慎重に降らなければならない。そういう時にはさり気なく手を差し伸べてエスコートしてやるのだが、失礼なことに妹はそうやっていたわってやると、
「えっ、やだ、お兄ちゃんがそういうことをするなんて、全然似合わないんだけど」
としごく嬉しそうに笑って、手すりから手を離してこちらにもたれかかってくる。その時すごいと思ったのは、上からチラリと見える谷間よりも下に広がる彼女の視界で、足先はかろうじて見えるけれども、階段の段差などは全く見えないのである。
「苦労してるんだなあ」
と呑気に言うと、
「ようやくお分かりになりまして?」
と澄ました顔で言うので、つい笑ったら頬を突かれてしまった。
さて、話を妹が俺のことを誘う誘わないの話題に戻そう。ある日のことである。彼女が中学二年生に上がって何ヶ月か経った頃、家族でどこか温泉でも入りに行こうと中々渋い提案を父親がするので、そっくり乗った母親と何やら良からぬことを企んでいそうな妹に流されて、家族総出でとある山の中にある温泉地へと向かうことになった。旅行としては一泊二日の極々普通な旅であったが、事が起きたのは夜も更けきって、良くわからない蛙だとか、良くわからない鳥とか、良くわからない虫が大合奏をし始めた時のことである。
泊まることになったペンションと言うのが中々豪勢で、温泉地の中にあるせいか各部屋ごとに備え付けの露天風呂があり、夜中に目を覚ました俺は、せっかくだしもう一回入っておこうと唐突に思うや、気がついた時にはもう温泉に浸かっていた。深夜に自然の音を聞きながら入る露天風呂はかなり良い。大学生になったら温泉巡りなども趣味に入れようかと思いながら、小難しいことを考えていると、カラリと言う扉の開く音が聞こえてきた。一応これほどにないまでこっそりと露天風呂にやってきて、かけ湯も極力音を立てないようにしたのに、家族の誰かが聞きつけたらしい。その者はそっと音も立てずにこちらにやってくると、まだあどけなさの抜けない顔をこちらに向けてしゃがみこむ。
「なんだ里穂か」
と言ってみると、
「なんだとは何です。お兄ちゃん愛しの里穂ちゃんですよ。となり良いですか」
彼女が裸になっていることに気がついたのはこの時であった。いつものように遠慮しようにも時すでに遅く、妹はするすると足から湯に浸かると、隣ではなく背を向けて俺の足の間に入って来る。――
しばらく無言が続いた。この時のことはよく憶えている。眠いのか船をこぐ妹を支えつつ耳を澄ませて山の音色を聞く。――それは何とも幻想的で桃源郷にいるような印象を抱いた。この時俺は彼女のお腹を抱きしめるようにして、彼女の体を支えてあげていたのだが、ちょっとでも腕を上へ滑らせると、ふわりと浮いているおっぱいに手が当たるのである。これが桃源郷でなくて何なのか。文字通り桃のような妹の膨らみは、最高としか言いようがなく、彼女が寝そうになっていることに調子付いて、何度も上へ下へ浮き沈みさせてその感触を楽しんだ。
するとのぼせそうになった頃合いに、突然目の覚ました妹がお尻をぐりぐりと動かして来た。しまったと思って手を引っ込めたけれども、途中で掴まれてしまった。
「んふふ、……いまさらどこに逃げようとしてるです?」
と、彼女は俺の手を自身の豊かな胸元へ。
「毎回毎回、ちょこちょこ触って来ては、こんなに固くして。……もう、お兄ちゃんのために大きくなったようなものなんですから、もっと触って良いんですよ? あ、でも、ちゃんと言ってからにしてくださいね」
そう言っているうちにも、妹はもにもにと俺の手を思いっきり動かして、自身のおっぱいを揉ませてくる。当然、ものの数秒で彼女の手は添えるだけになり、俺の手は自分の力で彼女の胸を揉みしだいていた。
この時聞かされたのだが、妹は全部知っていた。意外とうぶな彼女はあの大晦日の夜、俺がしたことをいまいち理解していなかったようだったけれども、今となってはそういうことだったのだと理解してしまっており、俺に逃げ道はもう残されていなかった。彼女の質問に頷きつつ、彼女のおっぱいを揉みしだき、彼女のお尻に大きくした〝ソレ〟を刺激される。最後から二番目の質問は、
「うわぁ、……ほんとうの変態さんだ。……じゃあ、こういうこともされたかったんだ?」
この言葉を言うや、妹はするりと拘束から逃れて、俺を温泉の縁にある岩場に座らせるよう促す。次に何が起きるのかはもはや分かりきっていた、彼女はすっかり大きくなった俺のモノを、ずっと大きな自身のおっぱいですっぽりと包むと、体を使ってずりずりと刺激してくる。行為の最中俺のモノは一切見えず、あの蠱惑的な谷間と頭の中がとろけそうな色っぽい声に、俺は一瞬で果ててしまった。
肉棒をずるりと抜き取ると妹は、
「気持ちよかった?」
と最後の質問を言ってきて、精液でドロドロになった谷間をゆっくりと広げていく。その顔には中学生の女の子のものではない、何か微醺を帯びたような一人の成熟した女性の持つ色香が確かにあった。
こうして俺は妹の虜になり、果ては彼女の胸の中で種を放ってしまったのである。旅行の次の日には俺と妹は昔のように引っ付き合っていた。親から笑われようとも、帰って来ても、ずっと離れることはなく、久しぶりに夜をともにした。
以来、俺は妹のおっぱいを事あるごとに揉んだ。二人きりで居る時はもちろんのこと、外に出かけた時も周りを見計らって揉んだし、登下校中にも彼女が良いよと言ってくれたら隠れて揉んだ。そこから次の段階に発展するようなことはあまりないようなものの、胸でしてくれたり、手でしてくれたりするのはよくあることであった。
中学二年の終わり頃には、妹のおっぱいは世間では全く見られないような大きさに達しており、俺も驚けば本人も驚き、時々来る彼女の友達も私服姿を見てびっくりするなどしていた。ベランダで干されているブラジャーの大きさもどんどん大きくなっていき、とうとう俺の顔が余裕で包めるほどの大きさになっているのであるが、俺には女性の下着をどう見たら良いのか分からないからこの辺にしておくことにする。ただ言えることはめちゃくちゃ大きい。本当にこんなブラジャーがあるのかと信じられないぐらい妹のブラジャーは大きい。……
そう言えば中学三年の春、彼女がそのめちゃくちゃ大きいブラジャーをくれたことがあった。というのも、
「私が修学旅行に行っちゃうと、お兄ちゃん寂しがると思いまして。ですので、――はい、これ、プレゼントです。もう合わないから、お兄ちゃんの好きなようにしてください」
そんな馬鹿げた理由だったのだが、実のこと、この時くれたブラジャーは大学生になった今でも下宿先に持って行って、時おり寂しさを紛らわせているのは確かである。タグには32K と書かれているけれども、俺には良くわからないので、当時中学3年生だった妹のおっぱいがどれほどの大きさだったのかは聡明な読者のご想像にお任せする。
ただ彼女の大きな胸が、残酷な現実を呼び寄せてしまっていたことは伝えねばならない。まず痴漢は日常茶飯事であった。電車に乗れば四方八方から胸はもちろん、案外豊満なお尻にも手が伸びてくるので、必ず俺が壁となって彼女を守らなくてはならない。そもそもの話として男の視線そのものが嫌だと言っていた。そして一人にしておくと何かしら知らない男が近寄るので、おちおちトイレにも行けない。機嫌が良ければ、
「あの人、お兄ちゃんよりかっこよかった」
と言ってケロリとしているのであるが、そうでない場合はひどく面倒くさいことになってしまう。痴漢と言えば学校でもあるらしく、これは男よりも同性同士のじゃれあいで触られると言う。そして彼女が一番心を病めるのは同級生からの妬みであった。当然あんなに大きなおっぱいをしているものだから、妹はしばしば泣きはらした目で帰ってくることがあり、それとなく話を聞いてみると、
「今日も詰め物をしているんじゃないかと言われて激しく揉まれた、私だって好きでこんなに大きくしたんじゃない、あの子たちには全然おっぱいが無いから私の苦労をわかってもらえない、私の半分でもいいから分け与えてみたい」
と、ひとしきり文句を言って最後には、
「でもお兄ちゃんが満足してくれるなら何でもいいんだけどね」
と笑いながら言うのであった。
しかしこれらは彼女にとっては大したことではないかもしれない。妹が本当に心の底から泣きはらしたのは、彼女が中学三年の夏真っ盛りの頃、あれほどに悔しそうにしている我が妹は後にも先にも見たことはなく、恐らくずっと先の将来に渡ってもあの姿を見ることはもう無いだろう。先に彼女はバスケットボールを部活としてやっていたと言ったが、中学3年生の夏頃にもなると、胸が痛くてもはや激しく体を動かすことなんて出来なくなっていた。聞けば試合に出ては足を引っ張り、自分のせいで負け、幾度となく涙を流していたと言う。
彼女の最後の試合は見に行った。常に胸に手をやり、動いては胸を抑えて痛がるものだから、ボールが来ても反応が一瞬遅れてしまって折角のチャンスをものにできていない。兎に角ひどい動きだった。だが、当然とも言えよう、何と言ってもバスケットボールとそれほど遜色ない大きさで、バスケットボールとは比較にならないほど重たい膨らみが胸に二つも付いているのだから、むしろそれで試合に出て、あれほどまで体を動かせると言うのは、かつてやんちゃだった妹だから出来るのであろう。誰が称賛せずに居られようか。
迎えに行った時、彼女はバスケ部の同期後輩に囲まれて声を上げて泣いていた。意外とあっさり引き渡してくれた理由は考えたくもない。彼女にとっては最後だったけれども、三年生の試合としてはまだまだこれからという事実はさぞかし悔しかったであろう。その日は一晩中隣に居て、頭を撫でてやった。
そんな妹であったが、明くる日の朝には早くも復活して、
「次は受験だねー」
と飼っている猫に向かって呑気に言っていた。この時妹はボケててこんなことを言っていたけれども、彼女の通う中学校は中高一貫校なのだから何も心配はいらない。むしろ受験で大変なのは俺の方で、今度は俺が妹に頭を撫でられる羽目になろうことは目に見えていた。だが、彼女の危惧はそちらではなく、この一年間を終えると俺は地元を離れてしまうと言うことが、殊更気にかかっているようであった。何せ、
「実は合格してほしくないって思ってる。お兄ちゃんが居ない生活なんて私、嫌」
とまで言ったのだからよっぽどである。それでも俺は頑張った。決して妹を蔑ろにしたわけではないけれども、兎に角頑張った。気がついた時には彼女もまた応援してくれるようになっていた。
だから受験は上手く行って、俺は別に泣きはしなかったけれども、妹は泣いて喜んでくれた。その涙がどこから出来たのかは分からない。だが俺の顔をあの巨大な胸の谷間にすっぽりと入れて、何度も何度も背中を擦ってくれる。それはかなり息苦しかったけれど、これほどにないまで気持ちの良い抱擁であった。
そして実家で暮らす最後の日、俺たちは前々から約束していた通り次のステップに進んだ。自分以外何者の音も聞こえない深夜、彼女は震えながら俺の部屋へ来ると、まずはキスをせがみ、ゆっくりと服を脱いでいった。合う下着がないからと言って、おっぱいの溢れかえるブラジャーを取っ払い、綺麗に畳んで一糸まとわぬ全身を俺に見せる。――もはやそこには今まで見てきた妹は居なかった。よろしくおねがいしますと彼女は言った。俺も彼女の要求に答えて、手をしっかりと繋いでから、秘部に自分のモノを出来るだけ優しく入れた。これ以上は何も言うまい。最後に妹は目に涙をためながらこう言った。
「お兄ちゃん、どうか私のことを忘れないでください」
と。――
ところで、ここまで言っておいて何であるが、妹はその後何事もなく高校生活を歩んでいるようである。そして俺は突然初めた片付けが終わらずに嘆いているところである。妹の写真やらブラジャーやらを見つけて以来全く進まぬ。少し前に連絡が来た時には、彼女はあと15分くらいで着くからと言っていた。ならもうすぐである。俺は片付けの途中でむしろ汚くなった部屋を眺めてどう言い訳したらいいのか考え始めたが、あのしっかり者の妹のことだから言い訳なぞ通じないであろうと思うと、ベッドに横たわってさらに大きくなった胸元を頭に描きながら彼女の訪れるのを待つことにした。
(終わり)
9 notes
·
View notes
Text
余は如何にしてセクラバとなりし乎
どの大晦日だっただろうか。
私は家族と紅白歌合戦を見ていた。
私は大晦日紅白絶対主義者であり、妹がガキ使を見ていたとしても、視聴予約をしておいて紅白が始まったら即座に切り替わるようになっていた。
小さな頃はチャンネル争いを激しく繰り広げていたが、その頃には妹も諦めきっていた。
かと言って、私は熱心に紅白を見ていたわけでもない。私は流行りの歌手がわからぬ。
唯一聞いていたJ-popと言える音楽は、アンジェラアキぐらいだった。アンジーに関しては、初期のシングルから聞いてきたファンで、最後のライブもチケットを確保してくれた友人のおかげで行くことができた。
その時のライブの衝撃は忘れられない。アンジーのパフォーマンスもさりながら、
「え?コンサート中は席から立つの?」
という質問をするほどの世間知らずだった。それから幾年、立見席で団扇を胸にペンラを片手に “Bravi!!”と歓声をあげるとは1ミリも思っていなかった。
その年の紅白も演歌歌手以外ほとんどわからず、ハロプロ、ジャニーズ、アルファベットと数字のグループも名前を見たことがある程度だった。宜なるかな、アイドルグループは嵐ぐらいしか誰が誰なのかもわからない。
一方で、NHKの歌番組の良いところは、先日の「思い出のメロディー」でミッツ・マングローブさんが指摘していたとおり「振れ幅」である。アイドルの歌と踊りもあれば、聞かせる歌手もいる。それ故に、紅白で感銘を受けて聞くようになった歌手や歌もたくさんある。美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」はその典型的な例である。
だが、私の目は開いていなかった。曲の直前に現れたグループを一瞥して、「また過激な名前だこと。本人たちは意味がわかっているのかしら」などとビチビチ言いながらチビヒチビ酒を舐めていた。
さはさりながら、実はこの年の紅白で、キメッキメの勝利くんの表情にキュンとしていた。
それからとても長い時間が経った。
その間にマイケル・ジャクソンが逝去した気がするし、オバレが解散を強いられた気もするし、宮崎駿監督が引退宣言をしていた気がする。要はいろいろなことがあったのである。
プライベートでも、元来楽天的な自分が精神的に体調を崩したり、家族が他界したり、足を火傷したりした。世間にとってはどうでもいいことだが、個人的にはいろいろなことがあったのである。
ある日、友人がトゥイッターでセクゾの話をし始めた。今考えると撒き餌だったのかもしれない。
「ふーん」と関心があった呟きをファボする。すると友人からLINEが届いて曰く、
「Sexy Zoneを一緒に推しましょうよ」
そして、簡潔かつパッション溢れる概要説明があった。第1の聞法である。
しかし、当時の私は無知であり、ふまけんを区別できなかった。牛タンゲームをしていたのはケンティーだと思っていた。否、ふうまちんである。そして、数々のトンチキソングたちを愛せずにいた。
「『WildがMildになる』のは流石に無理があるし、そもそもなんでsexy summerに雪が降るの?」
そんな未熟な人間にもかかわらず、先輩セクラバたる友人は優しくサンガに招き入れた。コート・ダジュールでリペ魂を見た。第2の聞法である。
帰りのバスの中、私は、スマホでファミクラへの入会手続きを進め、ジャニーズネットに課金し、リペ魂のブルーレイ、リペのアルバム、stageのブルーレイをとりあえずAmazonで注文した。大人であることの特権を振りかざした瞬間である。
あの時の感動を何と言い表せば良いであろうか。私がSexy Zoneに抱いていた全ての偏見が覆された。
ただひたすらに顔がいいと思っていたしょりぽんのお茶目さ(プンププンプン)、ケンティーの一瞬も力を抜くことない、にも関わらず自然でsexyな所作、ぱっと見怖かったふうまちんの多彩な歌声と愉快なトーク、マ��ちゃんの成長ぶり、そしてソウ・マッシマである。鼻の下投げキッス、ひょっこりさん(最近知った)、圧巻のファンサ、その一方で横アリのスクリーンを我がものとするパフォーマンス...
セクラバという言葉が生まれる前、セクゾのファンは、セクガル、セクメンと呼んでいた。しかし、それに加えてSexy Loversという言葉がケンティーによって生み出されたと聞く。これは、阿弥陀如来の摂取不捨の弘誓に通ずるものである。
合掌...いただいた浄なる右手と我が不浄なる左手を合わせ、ただ感謝するしかない。
日を経るごとに円盤が増え、ポポロやMyojoといったドル誌、インタビューが掲載されたこれまで手に取ったこともないような若者向けファッション誌(近しいところでも宝塚関係である)、部屋をsexyたちが埋めていく。
もともとひどく腐っていた私は、本棚からはみ出て本棚の前に本の山を作る愚か者である。しかし、同時に語学オタクでもあり、仕事関係の本でも山を作っていた。それまで本の山たちは2つであった。真面目な本のそれと不真面目な本のそれである。ここに新たな山が生まれた。
何番煎じか知らないが、私はその山のことをsexy zoneと呼んでいる。大切なことのため補足するが、小文字のsexy zoneである。
曲を聴き、ライブ映像・特典映像を見て、セクチャンも見て、時に編集者のスクリーニングがなかったとしか思えないようなインタビューを読む。一度読み、反芻してから映像を見ると新たな発見がある。まさしく「學而時習之、不亦説乎」。
そんなある日、友人からLINEが届て曰く、
「ライブに行きませんか」と。
身に余る喜びである。
一方で、ティーンなど遥か彼方に卒業した私がその場にいてよいのだろうか。恥ずかしくて死んでしまうのではないか。また、私は無駄に背が高い、というより長い。背の低いティーンたちに、後ろから石を投げられないだろうか。
しかし、これら懸念はナンセンスであった。セクラバの懐は深い。そして、sexyたちは、ティーネージャーが応援するものと考えること自体がsexyたちの思いに反することであった。
そして、これらの無駄な逍遥を凌駕するほど、sexyのライブは圧巻であった。
初のライブ参戦、第3の聞法である。
プロフィールからもわかるとおり、私は聡ちゃんを中心とした箱推しを自認しているが、今回はしょりぽんの団扇を買うことにした。普段、友人と話す時に使っている勝利くんの愛称「しょりぽん」「しょりり」「ちょり」なんて物販の人に言っても通じないんじゃないだろうか...かと言って「勝利くん」なんて呼ぶなんて馴れ馴れしすぎるし...と思って最終的な結論として「佐藤さん」の団扇とお写真とあとペンラと会報入れを注文することにした。物販のお姉さんも「佐藤さんの団扇です」とリテンションがすごい。
結果として「佐藤さん」の団扇やプロマイドやらを、友人の忠告どおり持ってきておいた大きめの紙袋に入れて物販を出た。
「佐藤さん」の団扇がでかい。そして「佐藤さん」の眼力が強い。これは扇ぐためのものではなくて応援のためのグッズなのだ。確かに普通のサイズの団扇だとステージに立つアーティストからは見づらい。他のファンの邪魔にならずさない最大のバランスを図ったものなのであろう。
そしてペンラである。言葉がない。ただありがたい。今、家の仏壇的なエリアに一緒に飾ってある。
ペジ魂は、近々発売される円盤を以って聞くべきものである。
だが2つだけ、付言することが許されるのであれば、開始前の茶畑、五濁悪世のこの世に数少なき優しい世界であった。
そして、最後のしょりぽんのアクションは、可愛すぎて私の心から永遠に消えない。
帰りの道すがら、私は友人に言った。
「やっぱ、ライブいいわぁ...」
オペラやクラシックのコンサートは、いくらでも円盤になっているが、やはり舞台で聞くと、弦楽器の音の震えや歌手のブレスや間の取り方が空気を通じて感じられる。なかなかお高いため舞台に行けず、ブルーレイで済ますことも多いが、やはりその場で聞くのには敵わない。
ライブも要はそういうことである。
しかもライブの恐ろしいことはそれぞれの一回性がオペラよりも高く、各地各回ごとにMCからパフォーマンスまで違う。
なんということだ。何度も通わなくてはいけないじゃないか。
かつての私は、朝起きてパンとサラダを食べて、昼は職場の近くに来るお弁当屋さん(たまにチキンライスのチキンに火が通っていない。チンすればいいだけの話だが)を食べ、夜はお腹が空かないためサラダを摘みながら酒を飲む質素な生活を送っていた。
ぱっと見ヘルシーでマリのようなご飯メニューに見えるが、酒をとんでもなく煽るので真逆である。マリ様に日々の生活を提出しようものならお説教されそうである(それはそれでいい)。
職場のデスクは、執務資料と辞書、あと両親の写真ぐらいしか置いていない殺風景なものだったが、今ではからテンのMV撮影に臨むチビーズたちのかわいい写真が飾ってある。私は、上司たちに背を向けて座っているため、上司たちは私よりも寧ろ日に何度も麗しいちょりー、ソちゃん、マリの笑顔を拝んでいる。拝観料を取ってもいいのではなかろうか。
私は、多少BL漫画を読んで、多少酒を飲む以外、非常に慎ましい生活を送っていた。
たとえSexy Zoneの功徳を説けど、いくらなんでもセクラバになれば人生薔薇色などというつもりは毛頭ない(効能は強いが、危ない薬として取り締まられてしまうかもしれない。訴因、sexy)。
しかし、何回りも若い子たちから多くのことを学んでいるのは事実である。
1つ例を出したい。
私は年を経るごとに誕生日というものを記憶から抹消し、家族や友人からのメッセージでやっと誕生日を思い出した。家族たちに適当なお礼を伝えて仕事に戻り、案の定日付が越えた頃に帰宅すると、バースデーカードが届いていた。
第4の聞法である。
これは、個々人に届けられ、個々人が聞くべきものであって、私がここで解説すべきものではない。
唯だ1つ、私の変容を伝えることだけ許していただきたいが、私は己の行動を強く恥じた。そんな機会をくれたsexyたちに感謝の念を伝えたい。
人が喜びと苦しみの中(これを「度すること難しき海」、「難度海」に例えよう)でなんとか生きる中で、私の出会ったsexyたちは、そのものが我々を導く無礙の光明というよりも、彼らは、難度海をともに渡り、光明を探すものであるようにみえる。経に曰く
『今生まれたこの時代の中で、僕ら光さがしている』
余は如何にしてセクラバとなりし乎。
竊に以みれば、最初こそ彼らのかっこよさ、美しさに惹かれるも、段々彼らの語る言葉、行動に惹かれていく。彼らの紡ぎ出す言葉の一つ一つに、私は少なからず彼らの直面してきた労苦を見出すとともに、同時に彼らの偉大さを嘆ずる。
今日もまた、円盤やラジオ、会報、雑誌でsexyたちの言葉を聞く。
時々、「変態(笑)」と呼ばれかねない内容を私も投稿したり、ライブで声をあげたりする。
これ、愛しきsexyたちがsexyであり続けられるように、彼らの誓願が広く響き渡るように、祈り申し上げるものなり。
斯くして余はセクラバとなりき。
敬って白す🌹
2 notes
·
View notes
Text
呑まれる
ギタリストの指先は、本当に硬いんだろうか。 スタジオの鍵をまわしつづける夏紀の指が目線の先にみえかくれすると、ふとそんな話を思い出す。ペンだこが出来たことを話す友人のことも。肩の先にぶらさがったなんでもない手を目にやっても、そこに年季のようなものはうかんでこない。どうやら、私はそういうものに縁がないらしい。 夏紀の予約した三人用のスタジオは、その店の中でも一番に奥まった場所にあった。慣れた様子で鍵を受け取った夏紀のあとを、ただ私は追いかけて歩いている。カルガモの親子のような可愛げはそこにはない。ぼんやりと眺めて可愛がっていたあの子どもも、こんな風にどこか心細くて、だからこそ必死に親の跡を追いかけていたんだろうか。なんとなく気恥ずかしくて、うつむきそうになる。 それでも、しらない場所でなんでもない顔をできるほど年をとったわけじゃなかった。駅前で待ち合わせたときには開いていた口も、この狭いドアの並ぶ廊下じゃ上手く動いてくれない。聞きたいことは浮かんでくるけれど、どれも言葉にする前に喉元できえていって、この口からあらわれるのはみっともない欠伸のなり損ないだけだ。 「大丈夫?」 黙り込んだ私に夏紀が振り向くと、すでに目的地にたどり着いていた。鍵をあける前の一瞬に、心配そうな目が映る。なんでもないよ、と笑ったつもりで口角を上げた。夏紀が安心したようにドアに向き直ったのを見て、笑えてるんだとわかった。少し安心した。 ―――――― 「ギターを、教えてほしいんだけど」 「ギターを?」 「うん」 あのとき私がねだった誕生日プレゼントは、夏紀のギター教室だった。 その言葉を口にしたとき、急にまわりの席のざわめきが耳を埋めた。間違えたかな、と思う。あわてて取り繕う。 「無理にとは言わないし、お金とかも払うから」 「いや、そういうのはいいんだけど」 私の急なお願いに、夏紀は取り残されないようにとカップを掴んだ。言葉足らずだったと反省する私が続きを投げるまえに、夏紀は言葉を返してくる。前提なんだけど、と、そういう彼女に、私はついにかくべき恥をかくことになると身構えた。 「希美、ギター、持ってたっけ?」 「この前、買っちゃって」 「買っちゃって?」 夏紀の眉間の皺は深くなるばかりだった。一緒に生活していると、こんなところも似てくるのかと思う。今はここにいない友人の眉間を曖昧に思い出しながら、たりない言葉にたしあわせる言葉を選びだす。 「まあ、衝動買いみたいな感じで」 「ギターを?」 「ギターを」 私が情けなく懺悔を――もっと情けないのはこれが嘘だということなのだけれど――すると、夏紀はひとまず納得したのか、命綱のようににぎりしめていたカップから手をはなした。宙で散らばったままの手は、行き場をなくしたようにふらふらと動く。 「なんか、希美はそういうことしないと思ってたわ」 「そういうことって?」 「衝動買いみたいなこと」 夏紀はそういうと、やっと落ち着いたかのように背もたれに体を預けなおした。安心した彼女の向こう側で、私は思ってもいない友人からの評価に固まる。 「え、私ってそういう風にみえる?」 「実際そんなにしたことないでしょ」 「まあ、そうだけど」 実際、あまり経験のないものだった。アルコールのもたらした失敗を衝動買いに含めていいのかはわからないけれど、今まで自分の意図しないものが自分の手によって自分の部屋に運び込まれることは確かになかった。 そういう意味でも、私はあのギターを持て余していたのかもしれない。ふとしたことで気がついた真実に私は驚きながら、曖昧に部屋の記憶を辿っていく。社会に出てから与えられることの多くなった「堅実」という評価を今まで心の中で笑い飛ばしていたけれど、こういうところなのか。ちっとも嬉しくない根拠に驚く。 一度考え始めると、それは解け始めたクロスワードパズルのように過去の記憶とあてはまっていく。私が埋めることの出来ない十字に苦戦している間に、夏紀はとっくに問題から離れて、いつものあの優しい表情に戻っていた。 「教えるぐらいなら、全然構わないよ」 拠り所のようなその笑顔に、私は慌てて縋る。答えのない問に想いを馳せるには、この二人掛けはあまりにも狭すぎた。 「ありがと。買ったはいいけど、どう練習すればいいのかとかわからなくて」 「まあそういうもんだよねぇ」 こういうところで、ふと柔らかくなった言葉の選び方を実感するのだ。それはきっと過ぎた年月と、それだけではない何かが掛け合わさって生まれたもので。そういった取り留めのない言葉を与えられるだけで、私の思考は迷路から現実へ、過去から今へと戻ってくる。 スマートフォンを取り出して予定を確認していたらしい夏紀から、幾つかの日付を上げられる。 「その日、みぞれと優子遊びに行くらしいんだよね」 「そうなの?」 「そう、で、夜ご飯一緒にどうかって言われてるから、土曜の午後練習して、そっから夜ご飯っていうのはどう?」 日本に戻ってくるとは聞いていたけど、その予定は初耳だった。年末年始はいつもそうだということを思い出す。いつの間にか、そうやってクリスマスやバレンタインのようになんでもない行事のようになるかと思うと、ふと恐ろしくなった。 「大丈夫」 「オッケー。じゃあ決まりね」 ―――――― 「そういや、ギター何買ったの?」 「ギブソンレスポールのスペシャル」 「えっ」 いつ来るかと待ち構えていた質問に、用意した答えを返した。準備していたことがわかるぐらい滑らかに飛び出したその言葉に、なんだか一人でおかしくなってしまう。 私の答えに、夏紀は機材をいじる手を止めて固まった。ケーブルを持ったままの彼女の姿におかしくなりながら、黒いケースを剥がして夏紀の方に向けると、黄色のガワはいつものように無遠慮に光る。 「イエロー、ほらこれ」 「えっ……、いい値段したでしょ。これ。二十万超えたはず」 「もうちょっとしたかな」 「大丈夫なの?衝動買いだったんでしょう?」 「衝動買いっていうか、うん、まあそうね」 私の部屋にギターがやってきた真相を、夏紀の前ではまだ口にしていない。どうしようもなさを露呈する気になれなかったのもあるけれど、酷くギターに対して失礼なことをしている自覚を抱えたまま放り出せるほど鈍感ではいられなかったから。結局嘘をついているから、どうすることもできないのだけど。一度かばった傷跡はいつまでも痛み続ける。 「あんまこういう話するの良くないけど、結構ダメ��ジじゃない?」 「ダメージ��ていうのは?」 「お財布っていうか、口座に」 「冬のボーナスが飛びました」 「あー」 「時計買い換えるつもりだったんだけど、全部パー」 茶化した用に口に出した言葉は、ひどく薄っぺらいものに見えているだろう。欲しかったブランドの腕時計のシルバーを思い出していると、夏紀にアンプのケーブルを渡された。 「じゃあ、時計分ぐらいは楽しめないとね」 そういう夏紀が浮かべる笑みは、優しさだけで構成されていて。私は思わずため息をつく。 「夏紀が友達で本当に良かったわ」 「急にどうしたの」 心から発した言葉は、予想通りおかしく笑ってもらえた。 夏紀がなれた手付きで準備をするのを眺めながら、昨日覚えたコードを復習する。自分用に書いたメモを膝に広げても、少し場所が悪い。試行錯誤する私の前に、夏紀が譜面台を置いた。 「練習してきたの?」 「ちょっとね」 まさか、昨日有給を取って家で練習したとは言えない。消化日数の不足を理由にして、一週間前にいきなり取った休暇に文句をつける人間はいなかった。よい労働環境で助かる。 観念して取り出したギターは、なんとなく誇らしげな顔をしているように見えた。届いたばかりのときのあのいやらしい――そして自信に満ちた月の色が戻ってきたような気がしたのは、金曜の午前中の太陽に照らされていたからだけではないだろう。 ただのオブジェだと思っていたとしても、それが美しい音を弾き出すのは、いくら取り繕っても喜びが溢れる。結局夜遅くまで触り続けた代償は、さっきから実は噛み殺しているあくびとなって現れている。 「どのぐらい?」 「別に全然大したことないよ。ちょっと、コード覚えたぐらいだし」 幾つか覚えたコードを指の形で抑えて見せると、夏紀は膝の上に載せたルーズリーフを覗き込んだ。適当に引っ張り出したその白は、思ったより自分の文字で埋まっていて、どこか恥ずかしくなる。ルーズリーフなんてなんで買ったのかすら思い出せないというのに、ペンを走らせだすと練習の仕方は思い出せて、懐かしいおもちゃに出会った子どものように熱心になってしまった。 「夏紀の前であんまりにも情けないとこ見せたくないしさ」 誤魔化すようにメモを裏返すと、そこには何も書かれていなかった。どこか安心して、もう一度元に戻している間に、夏紀は機材の方に向き合っている。 「そんなこと、気にしなくてよかったのに」 そういう夏紀はケーブルの調子を確認しているようで、何回か刺し直している。セットアップは終わったようで、自分のギターを抱えた。彼女の指が動くと、昨日私も覚えたコードがスタジオの中に響く。 「おおー」 「なにそれ」 その真剣な目に思わず手を叩いた私に、夏紀はどこか恥ずかしそうに笑った。 「いやぁ、様になるなぁって」 「お褒めいただき光栄でございます。私がギター弾いてるところみたことあるでしょ」 「それとは違うじゃん。好きなアーティストのドキュメンタリーとかでさ、スタジオで弾いてるのもカッコいいじゃん」 「なにそれ、ファンなの?」 「そりゃもちろん。ファン2号でございます」 「そこは1号じゃないんだ」 薄く笑う彼女の笑みは、高校生のときから変わっていない。懐かしいそれに私も笑みを合わせながら、数の理由は飲み込んだ。 「おふざけはこの辺にするよ」 「はぁい」 夏紀の言葉に、やる気のない高校生のような返事をして、二人でまた笑う。いつの間にか、緊張は指先から溶けていた。 ―――――― 「いろいろあると思うけど、やっぱ楽器はいいよ」 グラスの氷を鳴らしながらそう言う夏紀は、曖昧に閉じられかけた瞼のせいでどこか不安定に見える。高校生の頃は、そういえばこんな夜遅くまで話したりはしなかった。歳を取る前、あれほど特別なように見えた時間は、箱を開けてみればあくまであっけないことに気がつく。 私の練習として始まったはずの今日のセッションは、気がつけば夏紀の演奏会になっていた。半分ぐらいはねだり続けた私が悪い。大学生のころよりもずっと演奏も声も良くなっていた彼女の歌は心地よくて、つい夢中になってしまった。私の好きなバンドの曲をなんでもないように弾く夏紀に、一生敵わないななんて思いながら。 スタジオから追い出されるように飛びてて、逃げ込んだように入った待ち合わせの居酒屋には、まだ二人は訪れてなかった。向かい合って座って適当に注文を繰り返している間に、気がついたら夏紀の頬は少年のように紅く染まっていた。 幾ら昔に比べて周りをただ眺めているだけのことが多くなった私でも、これはただ眺めているわけにはいかなかった。取り替えようにもウィスキーのロックを頼む彼女の目は流石に騙せない。酔いが深まっていく彼女の様子にこの寒い季節に冷や汗をかきそうになっている私の様子には気づかずに、夏紀はぽつりぽつりと語りだした。 「こんなに曲がりなりにも真剣にやるなんて、思ってなかったけどさ」 そうやって浮かべる笑いには、普段の軽やかな表情には見当たらない卑屈があった。彼女には、一体どんな罪が乗っているんだろう。 「ユーフォも、卒業してしばらく吹かなかったけど。バンド始めてからたまに触ったりしてるし、レコーディングに使ったりもするし」 ギターケースを置いたそばで管楽器の話をされると、心の底を撫でられたような居心地の悪さがあった。思い出しかけた感情を見なかったふりをしてしまい込む。 「そうなんだ」 窮屈になった感情を無視して、曖昧な相槌を打つ。そんなに酔いやすくもないはずの夏紀の顔が、居酒屋の暗い照明でも赤くなっているのがわかる。ペースが明らかに早かった。そう思っても、今更アルコールを抜いたりはできない。 「まあ一、二曲だけどね」 笑いながら言うと、彼女はようやくウィスキーの氷を転がすのをやめて、口に含んだ。ほんの少しの間だけ傾けると、酔ってるな、とつぶやくのが見えた。グラスを置く動きも、どこか不安定だ。 「まあ教本一杯あるし、今いろんな動画あがってるし、趣味で始めるにはいい楽器だと思うよ、ギターは」 「確かに、動画本当にいっぱいあった」 なんとなくで開いた検索結果に、思わず面食らったのを思い出す。選択肢が多いことは幸せとは限らない、なんてありふれた言葉の意味を、似たようなサムネイルの並びを前にして思い知った気がしたことを思い出す。 「どれ見ればいいかわかんなくなるよね」 「ホントね。夏紀のオススメとかある?」 「あるよ。あとで送るわ」 「ありがと」 これは多分覚えていないだろうなぁと思いながら、苦笑は表に出さないように隠した。机の上に置いたグラスを握ったままの手で、バランスをとっているようにも見える。 「まあでも、本当にギターはいいよ」 グラグラと意識が持っていかれそうになっているのを必死で耐えている夏紀は、彼女にしてはひどく言葉の端が丸い。ここまで無防備な夏紀は珍しくて、「寝ていいよ」の言葉はもったいなくてかけられない。 姿勢を保つための気力はついに切れたようで、グラスを握った手の力が緩まると同時に、彼女の背中が個室の壁にぶつかった。背筋に力を入れることを諦めた彼女は、表情筋すら維持する力がないかのように、疲れの見える無表情で宙に目をやった。 「ごめん、酔ったっぽい」 聡い彼女がやっと認めたことに安堵しつつ、目の前に小さなコップの水を差し出す。あっという間に飲み干されたそれだけでは焼け石に水だった。この場合は酔っぱらいに水か。 くだらないことを浮かべている私を置いて、夏紀は夢の世界に今にも飛び込んでいきそうだった。寝かせておこうか。そう思った私に、夏紀はまだ心残りがあるかのように、口を開く。 「でも、本当にギターはいいよ」 「酔ってるね……」 「本当に。ギターは好きなように鳴ってくれるし、噛み付いてこないし」 「あら、好きなように鳴らないし噛み付くしで悪かったわね」 聞き慣れたその声に、夏紀の目が今日一番大きく見開かれていくのがわかった。恐る恐る横を向く彼女の動きは、スローモーション映像のようだ。 珍しい無表情の優子と、その顔と夏紀の青ざめた顔に目線を心配そうに行ったり来たりさせているみぞれは、テーブルの横に立ち並んでいた。いつからいたのだろうか、全く気が付かなかったことに申し訳なくなりながら、しかしそんなことに謝っている場合ではない。 ついさっきまで無意識の世界に誘われていたとは思えない彼女の様子にいたたまれなくなりながら、直視することも出来なくて、スマートフォンを確認する。通知が届いていたのは今から五分前で、少し奥まったこの座席をよく見つけられたなとか、返事をしてあげればよかったかなとか、どうにもならないことを思いながら、とにかく目の前の修羅場を目に入れたくなくて泳がしていると、まだ不安そうなみぞれと目が合った。 「みぞれ、久しぶりだね」 前にいる優子のただならぬ雰囲気を心配そうに眺めていたみぞれは、それでも私の声に柔らかく笑ってくれた。 「希美」 彼女の笑みは、「花が咲いたようだ」という表現がよく似合う。それも向日葵みたいな花じゃなくて、もっと小さな柔らかい花だ。現実逃避に花の色を選びながら、席を空ける準備をする。 「こっち座りなよ」 置いておいた荷物をどけて、自分の左隣を叩くと、みぞれは何事もなかったかのように夏紀を詰めさせている優子をチラリと見やってから、私の隣に腰掛けた。 「いや、別に他意があるわけじゃ、なくてですね」 「言い訳なら家で聞かせてもらうから」 眼の前でやられている不穏な会話につい苦笑いを零しながら、みぞれにメニューを渡した。髪を耳にかける素振りが、大人らしく感じられるようになったな、と思う。なんとなく悔しくて、みぞれとの距離を詰めた。彼女の肩が震えたのを見て、なんとなく優越感に浸る。 「みぞれ、何頼むの?」 「梅酒、にする」 ノンアルコールドリンクのすぐ上にあるそれを指差したのを確認する。向こう側では完全に夏紀が黙り込んでいて、勝��が決まったようだった。同じようにドリンクのコーナーを覗いている優子に声をかける。 「優子は?どれにする?」 「そうねえ、じゃあ私も梅酒にしようかしら」 「じゃあ店員さん呼んじゃおうか」 そのまま呼び出した店員に、適当に酒とつまみと水を頼む。去っていく後ろ姿を見ながら、一人青ざめた女性が無視されている卓の様子は滑稽に見えるだろうなと思う。 「今日はどこ行ってたの」 「これ」 私の質問に荷物整理をしていた優子が見せてきたのは、美術館の特別展のパンフレットだった。そろそろ期間終了になるその展示は、海外の宗教画特集だったらしい。私は詳しくないから、わからないけど。 「へー」 私の曖昧な口ぶりに、みぞれが口を開く。 「凄い人だった」 「ね。待つことになるとは思わなかったわ」 「お疲れ様」 適当に一言二言交わしていると、ドリンクの追加が運ばれてくる。小さめのグラスに入った水を、さっきから目を瞑って黙っている夏紀の前に置く。 「夏紀、ほらこれ飲みなさいよ」 優子の言葉に目を開ける様子は、まさに「恐る恐る」という表現が合う。手に取ろうとしない夏紀の様子に痺れを切らしそうになる優子に、夏紀が何か呟いた。居酒屋の喧騒で、聞き取れはしない。 「なによ」 「ごめん」 ひどくプライベートな場面を見せられている気がして、人様の部屋に上がり込んで同居人との言い争いを見ているような、そんな申し訳のなさが募る。というかそれそのものなんだけれど。 「ごめんって……ああ、別に怒ってないわよ」 母親みたいな声を出すんだなと思う。母親よりもう少し柔らかいかもしれないけれど。 こういう声の掛け方をする関係を私は知らなくて、それはつまり変わっていることを示していた。少しだけ、寂しくなる。 「ほんと?」 「ほんと。早く水飲んで寝てなさいよ。出るときになったら起こしてあげるから」 「うん……」 それだけ言うと、夏紀は水を飲み干して、テーブルに突っ伏した。すぐに深い呼吸音が聞こえてきて、限界だったのだろう。 「こいつ、ここ二ヶ月ぐらい会社が忙しくて、それでもバンドもやってたから睡眠時間削ってたのよ」 それはわかっていた。なんとなく気がついていたのに、見て見ぬ振りをしてしまった。浮かれきった自分の姿に後味の悪さを感じて、相槌を打つことも忘れる。 「それでやっとここ最近開放されて、休めばいいのに、今度はバンドの方力入れ始めて。アルコールで糸が切れたんでしょうね」 グラスを両手で持ちながら、呆れたように横目で黙ったままの髪を見る彼女の声は、どこかそれでも優しかった。伝わったのだろうか、みぞれも来たときの怯えは見えなかった。 「希美が止めてても無駄だったから、謝ったりする必要ないわよ」 適切に刺された釘に、言葉にしようとしていたものは消えた。代わりに曖昧な笑みになってしまう。 「そういえば、夏紀のギター聞いたのよね?」 「うん、まあね」 「上手かった?」 「素人だからよくわからないけど、うまいなと思ったよ」 「そう」 それならいいんだけど、と、明らかにそれではよくなさそうに呟いた彼女の言葉を、私はどう解釈していいのかわからなかった。曖昧に打ち切られた会話も、宙に放り投げられた彼女の目線も、私にはどうすることも出来なくて。 「そういえばみぞれは、いつまでこっちにいるの?」 ��考え込み始めた優子から目線をそらして、みぞれに問いかける。さっきからぼんやりと私達の会話を聞いていたみぞれは、私の視線に慌てる。ぐらついたカップを支えながら、少しは慣れればいいのに、なんて思う。 「え?」 「いつまでこっちにいるのかなって」 アルコールのせいか、少しだけ回りづらい舌をもう一度動かす。 「1月の、9日まではいる」 「結構長いね、どっかで遊び行こうよ」 何気ない私の提案に、みぞれは目を輝かせた。こういうところは、本当に変わっていない。アルコールで曖昧に溶けた脳が、そういうところを見つけて、安心しているのがわかった。卑怯だな、と思った。 ―――――― 「それじゃあ、気をつけて」 優子と、それから一応夏紀の背中に投げかけた言葉が、彼女たちに届いたのかはわからない。まさにダウナーといったような様子の夏紀はとても今を把握出来ていないし、優子はそんな夏紀の腕を引っ張るので精一杯だ。 まるで敗北したボクサーのように――いや、ボクシングなんて見ないけれど――引きずって歩く夏紀は、後ろから見ると普段の爽やかさのかけらもない。あのファンの子たちが見たら、びっくりするんだろうな。曖昧にそんなことを想いながら、駅の前でみぞれと二人、夏紀と優子の行く末を案じている。 その背中が見えなくなるのは意外と早くて、消えてしまったらもう帰るしかない。隣で心配そうに眺めていたみぞれと目があう。 「帰ろっか」 「うん」 高校時代とは違って、一人暮らしをし始めた私とみぞれは、最寄り駅が同じ路線だ。こうやって会う度に何度か一緒に同じ列車に乗るけれど、ひどく不自然な感じがする。改札を抜けた先で振り返ると、みぞれが同じように改札をくぐっているのが見えるのが、あの頃から全然想像出来なくて、馴染まない。 少しむず痒くなるような感触を抑え込んで、みぞれが横に立つのを待つ。並んで歩くふりくらいなら簡単にできるようになったのだと気付かされると、もうエスカレーターに乗せられていた。 「なんか、アルコールってもっと陽気になるもんだと思ってたよね」 寒空のホームに立つ私のつぶやきを、みぞれは赤い頬で見上げた。みぞれは人並みに飲む。人並みに酔って、人並みに赤くなる。全部が全部基準値から外れてるわけじゃない。そんなことわかっているのに、なんとなく違和感があって。熱くなった体がこちらを向いているのを感じながら、もうすぐくる列車を待つ人のように前を向き続けた。 「忘れたいこととか、全部忘れられるんだと思ってた」 口が軽くなっていることがわかる。それでも後悔できなくて、黙っている方がよいんだとわかった。塞いだ私のかわりに口を開きかけたみぞれの邪魔をするように、急行電車はホームへと滑り込む。 開いた扉からは待ち遠しかったはずの暖かい空気が、不快に顔に飛び込んできた。背負い直したギターケースに気を遣いながら、一際明るい車内に乗り込んでいく。空いてる端の座席を一つだけ見つけて、みぞれをとりあえず座らせた。開いた目線の高さに何故か安心している間に、電車はホームを離れていた。 肩に背負ったギターを下ろして、座席横に立て掛けた。毎朝職場へと私を運ぶこの列車は、ラッシュとは違って人で埋め尽くされてはいない。だから、みぞれの後ろ姿が映る窓には当然私も入り込んでいて、いつもは見えない自分の姿に妙な気分になる。酔いはまだ抜けていないようだ。 「みぞれはさぁ」 口を開くと言葉が勝手に飛び出していた。降り掛かった言葉にみぞれが顔を上げる。 「オーボエ以外の楽器、やったことある?」 私の問いかけに、彼女は首を振った。 「そうだよね」 それはそうだ。プロの奏者が他の楽器に手を出してる暇なんてないんだろう。いろんな楽器を扱える人もいるわけだけど。その辺の話がどうなっているのかは、私にはわからない。プロではないし。 どうやっても違う世界の人と話すのは、取材をしているような感触が抜けきらない。私達の他の共通点ってなんだろう。毎度手探りになって、別れたあとに思い出す。 「ギター、楽しい?」 何故か話題を探そうとしている私を、引き戻すのはいつも彼女の問いかけだ。 どう答えるべきか、わからなかった。何を選ぶのが一番正しいのか、見つけるのにはそれなりに慣れているはずなのに、そういう思考回路は全く動かなくて、だからありのままの言葉が飛び出す。 「楽しい、よ」 それは本心からの言葉だった。本当に楽しかった。それを認めてしまうということが、何故か恥ずかしくなるほど。 つまりこのまま何事もなく過ぎていくはずの人生に現れたギターに、ひどく魅了されてしまったということだ。認めたくなかった退屈な自分をさらけ出しているようで。年齢のせいか生活のせいか、頭にふと過る自問自答が、ギターの前ではすっかり消え失せていることに気が付かないわけにはいかなかった。 (まあでも、このまま死ぬまでこのままなのかなとか、みぞれは考えなさそうだな) そう思うと、ずるいなと思った。 「楽しかった。新鮮だし」 私の答えに、みぞれは言葉を口に出さなかった。ただ笑顔ではない表情で、私のことを見つめている。どこか裏切られたかのように見えた。どこか寂しそうにも見えた。見ないふりをして、酔ったフリをして、言葉を続ける。 「ギターって奥深いね」 そんな大学生みたいな感想を並べて、目の前のみぞれから目を外す。どんな表情になっているのかは想像がついた。 「面白い音なるしさぁ」 確かめたくなくて言葉を繋げる。この悪癖がいつまでも治らない自分に辟易しながら、結局逃げるために言葉を選び続けている。そうやって中途半端に取り出した言葉たちの中に、本当に言いたいことは見えなくなってしまうって、わかっているはずなのに。 「夏紀の演奏が本当に上手くてさぁ」 「フルートは」 「っ」 遮られた言葉に思わず黙ってしまったのは、それが痛い言葉だったからなのか、言葉の切実さを感じ取ったからなのか。目を合わせてしまう。耳を塞ぎたくても、無気力につり革にぶら下がった手は離す事ができない。 「フルートは、続けてるの?」 みぞれの声は、どこか張り詰めていて、ざわついた電車内でも通った。隣の座席の男性が、こちらを盗み見ているのがわかる。ひどく晒し者にされているような、そんな気分になった。 やめるわけないよ、まあそれなりにね、みぞれには関係ないでしょ。なんて言ってやろうか。 「やめたって言ったら、どうする?」 選んだ言葉に、すぐに後悔した。 なぜ人のことなのに、そこまで泣きそうな目ができるんだろうか。子供がお気に入りのぬいぐるみを取られたみたいな、そういう純粋さと、どこかに混じった大人みたいな諦めの色が混じり合って���に刺さる。 「冗談だよ」 言い繕っても、彼女から衝撃の色は消えない。そんなにショックだったのだろうか。私に裏切られたことなんて、いくらでもあるだろうに。 「前からやってたサークルがさ、解散になっちゃって」 「解散」 「そう。だから、ちょっと吹く機会がなくなってるだけ」 それだけ。それだけだった。だからみぞれが悲しむことはないし、気に病んだり必要もないんだよ。そう言おうとした。言えるわけがないと気がついたのは、みぞれの表情に張り付いた悲しみが、そんな簡単な言葉で取れるわけじゃないとわかったからだ。 「大丈夫だから」 結局言葉にできたのは、そんな頼りない、どこをf向いてるのかすらわからないような言葉だった。みぞれは私の言葉にゆっくりと頷いて、それだけだった。 逃げ出したくなる私をおいて、電車は駅へと滑り込む。みぞれが降りる駅だ。 「みぞれ、駅だよ」 「うん」 目を逸らすように声を上げると、みぞれは小さく頷いた。何を話せばいいのかわからないような、その目は私を傷つけていった。降りていく後ろ姿に声を掛ける事もできずに、私はただ彼女を見送った。 そういえば結局遊ぶ約束をし忘れたな。動き出した電車の中で、空席に座る気にもならないまま思い出す。ギターは何も知らないような顔で、座席の横で横たわってる。さっきまであったことなんて何も知りませんよって、言ってるみたいだった。 このまま置いていってやろうか。そう思った。
1 note
·
View note
Text
釜石で戦ってくれてありがとう
釜石シーウェイブスは5月30日、今シーズンをもって対談する選手を発表。
主力選手も多い大量17名の選手が退団し、リーグワン2年目はまた、全く新しいチームとしてスタートすることになります。
退団選手発表はこちら
PR1 延田朋樹(2019~ 3年) :3年間でルースヘッドプロップで代表が狙えるくらいに成長した選手。釜石スクラムの要石だった。きっとステップアップするんでしょう。頑張れ。
PR3 モーガン・ミッチェル(2019~ 3年):3年いてくれたので、なんとなく来年もいてくれるかもと期待しましたが、やはり世間は甘くなかった。日本でやるにせよ、離れるにせよ、どこかでグラウンドをえぐりながら突っ走るモーギーの姿があると思います。
PR3 牛窪心希(2019~ 3年):HOで入団しましたが、PR3の一角を担うまでに成長しました。残念です。
HO 芳野寛(2020~ 2年):バイスキャプテン、HOとしてはこれからまだまだ脂が乗っていく選手です。釜石で大輝を成長させてくれてありがとう。
LO チャールズ・マシュー(2020~ 2年):釜石の宿命、2年契約。熱いハートとでかい身長の持ち主、移籍しても頑張って。
LO 畠山克己(2015~ 7年):なかなか公式戦出場の機会はなかった。色々あったけど7年釜石で頑張ったことはきっと克己の中で大きなものを育ててくれたとしたら、嬉しいです。
FL 上田宥人(2018~ 4年):なんにもいえねー。このどんどん溢れる才能は釜石にとどまってくれることはそう長くはないだろうと思ったけど、たった4年でサヨナラしてしまうとは。クリエイティビティあふれるプレーは本当にすばらしいマジックをグラウンドにもたらしてくれました。ルーキーシーズンから色々かまってくれてありがとう。これからもよろしくお願いします。
FL 木村優太(2014~ 8年):まさに縁の下の力持ち。困ったときにキム兄がいる。そんな存在。シーズン終盤はなんどもキム兄に助けてもらいました。ありがとう。
FL サム・ヘンウッド(2020~ 2年):釜石の宿命、2年契約。なんと言っても熱すぎるハートで、今年は殆どプレーを見ることができなかった。ピッチにいれば、間違いなくわくわくさせてくれる選手。80分間ピッチにいられるように頑張ってください。
No.8 ソンゲタトマシ(2020~ 2年):釜石でキャリアを終わらせるという選択をしてくれてありがとう。最終戦ロックで大活躍して残留に貢献してくれました。
SH 石森大雄(2020~ 2年):なんつーか、本当に便利屋なのかどうかはわからないけど、釜石で便利屋みたいに働いてくれてありがとう。お話する機会がなく残念です。
FH ブレット・キャメロン(2021~ 1年):サバティカルシーズンだったのかな。才能の片鱗は見せてくれたけどそれより悔しいことのほうがずっとずっと多かったよね。それはファンもそうだろうし、ブレットもそうだと思う。NZLに帰ったら本気のブレットが見られるんだろうな。
WTB 加賀亮太郎(2018~ 4年):加賀くんのブレークはみんなを笑顔にしてくれる。だって加賀くんが笑いながら走ってるから。ブレークプレーヤーに選ばれるにとどまらず、結果を出し続けてくれた。きっとステップアップするんだ。がんばれ。
WTB 氏家柊太(2017年~ 5年):うじーの本気をもっともっとみたかったぜ。
WTB 関東申峻(2015~ 7年):バックス版縁の下の力持ち。困ったときにはパンキーウィンガーかんとうのぶたかの出番。ああ、もうあかんメンバーおらへんってときになぜかすげえ元気な関東くんがいる、そんな選手。
FB 村井佑太朗(2015~ 7年):なんかね。申し訳ないけど、ずっと「佑太朗が万全なら釜石のバックスは安泰だ」って思い続けてきたようなきがする。FBとしてもキック力があって、ウィングやらせてもライン際の感覚が抜群で、佑太朗がいれば、佑太朗がいれば、っていつも思ってたけど、次のシーズンからもう佑太朗はいないんだよね。悲しい。
FB 滝沢祐樹(2017~ 5年):福高→早稲田のインテリプレーヤーがいなくなってしまう…。
というわけで今シーズンはマイケル、ぶんた、タケさんが抜けたときくらいに胸に大きな穴が空く発表となりました。
ネクストステップでラグビーを続ける選手もたくさんいると思いますし、社業に専念する選手も多いと思います。
ディビジョン2に移籍なんて言ったら正直とっても複雑ですし、花園移籍なんてなったら、頼むから汚いプレーは覚えないでクリーンなラガーでいてねって祈っちゃいます。
さて退団発表のないメンバーは…
PR1 拓也、鈴木
PR3 杣澤、束田、長田
HO 大輝、竜二
LO 龍之介、ニーニー、みさしょ、聡太郎
FL/No8 河野、キャノン、王野
SH 南、陽平
FH 良真、領
CTB ダス、かつと、ふっこ、福士、裕次郎
WTB 航大、祐輝、紘、輝
FB 海都、千葉、ベイリー
……2~3段ステップアップしよう。
頑張ろう。
一緒に頑張ろう。
で、マイケルは帰ってこないの??
0 notes
Text
某日・アフタヌーン・ティーの場合
魔女の家。お菓子づくりのヘクセン・ハウス。 1日1回、決まった時間に来客が訪れる。来客は、魔女に餌をやらねばならない。 魔女は、物語を望んでいる。魔女は、常に腹をすかせて来客を待っている。 来客が訪れないことはない。一度の例外もなく、それはやってくる。 この家には、必ず来客がやってくる。来客は、必ず何かを探している。 探しものはここにはない。広い砂漠の中で、砂粒を探している。 やってくる来客が何を探しているのか、魔女にはちっともわからない。
来客は、年齢もなにもかもがバラバラである。来客は、魔女を憐れんでいる。 魔女は来客を憐れんでいる。
来客は、隠し事をしている。来客は、世界にそれを隠して生きている。
――魔女が、魔女になる前の話。
――✂――
某日・アフタヌーン・ティーの場合
――✂――
「食べないのかい」 「食べるけど、その前にこれ、読んでしまいたいから」 「そう」
静かな部屋の中で、それだけの短い会話が交わされる。 大きなテーブルの上に2つ並んだティーカップとソーサー。 長いティータイムを見越されているのか、ホットウォータージャグも備えている。 三段のケーキスタンドには、可愛らしく飾り付けられたサンドウィッチに生菓子、焼き菓子。 少女が、ケーキスタンドの中の不格好なスコーンに手を伸ばした。
「行儀が悪い。……俺、読んでる最中だけど見えてないわけじゃないから」 「うへえ。……ケチくさいな。2人しかいないんだから、好きに食べたっていいじゃないか」
スコーンへと伸ばした手を引っ込めて、少女は一番下のサンドウィッチに手を伸ばす。 トマトとレタスを挟んだ、一口サイズのフレッシュ・サンド。 ぽい、と口の中に投げ込めば、対面に座った青年がじとりと少女の翠の瞳を見やった。 少女は、それに気付かないふりをしたまま、ぽいぽいと口の中にサンドウィッチを投げ込む。 見かねた青年は、重々しく溜息を溢して手書きの原稿用紙をテーブルに置いた。
「感想が先に欲しいのか、構ってほしいのかどっちかにしてくれ」 「どっちも。別に、読みながら喋ってくれたっていいだろ? 久々に予定を合わせたんだから」 「……本当に面倒なやつだな」 「それなら僕の誘いなんてはじめから断ればよかったんだ。こうなるって、わかってただろうに」
渋々、といった様子で青年はサンドウィッチに手を伸ばす。 腰まで伸びたミルクティ色の髪を高く結い上げて、少女は身を乗り出した。
「美味しいだろ、そのトマト。僕が作ったんだ。重い身体を起こして毎日水をやって――」 「そうやって無理しなくても、トマトの一つくらい買えるだろ。 届けてくれるやつらがいるのに、自分で頑張ったと言われても俺は褒めない」 「じゃあ食べないでくれよ。それなら僕が一人で食べる。僕のトマトに失礼だ」
きっぱりと少女がそう言えば、青年は眉を寄せながらまたサンドウィッチに手を伸ばした。 それを見れば、少女は嬉しそうに頬を緩めながらテーブルに肘をつく。 「美味しいんじゃないか」、と小さく溢して、両手でティーカップを持ち上げる。 青年はそれにはなにも答えず、黙って口の中にサンドウィッチを放り込んだ。
「これ、俺の話だろ」 「ご明答。よく書けてるだろ、それ」 「……書かれる側がどんな気分になるか想定して書いたか?」 「いいや、全然。別に、僕は楽しく書いたから。そのリアクションが見れただけでも、正直満足がいってる」 「俺以外の読者のことは全く考えずに書いたと」 「いいや、それはない。僕が世界に物語を提供するときは、必ずその責任については考えてるから。 作品は常に読者のために書かれるものだ。僕は僕のために、読者のために書いているわけだけど。 それがたった一人であろうとなかろうと、『読者』が面白いと思わないものは書かない主義だって、知ってるだろ」
返事はない。青年は、テーブルの上の原稿用紙に目線だけ向けて、手元のティーカップを手繰り寄せようとする。 手繰り寄せようとしたが、結局ティーカップは青年の指先に触れることはなく、青年は苛立ちを隠すことなく視線を戻した。 少女は、その一部始終をにやにやと口元を釣り上げながら嬉しそうに見ていた。青年は、ふん、と小さく鼻を鳴らした。
「作品が、」
少女が空になったケーキスタンドの上――丁寧に飾り付けられたミルクレープ――に手を伸ばしたところで、青年は口を開く。
「作品が読者のために書かれるっていうのは、あまり同意できないと常々思ってるがな」 「いまの間はなんだったんだよ。……まあ、そんなことはどうでもいいんだけどさ。 僕は、書くことには責任が付随すると思ってるから。きみがどうかはしらないけど、あくまで、僕は」 「別に読者のことを考えてなくたって、責められる話じゃない。 自己理解の一環として書かれる小説だってあるし、俺が書いてもお前に絶対読ませないのがそれだろ。 お前がどれだけ読みたいと言っても、俺は俺のためだけに文字を綴るし、書いたらそれで終わりだ」 「それは僕も責めることではないと思ってるよ。思ってるけど、僕は感心しないってだけさ。 書かれるためにあるのか、読まれるためにあるのか。僕が『書く』理由は、自己表現ってだけの話で。 これに関しては平行線だから、議論の余地も必要もないって、結論が出てるはずだぜ。二週間と四日前に」
青年はそれきり口を噤んで、しばらくなにも言わなかった。 狭い部屋の中で、ティーカップがソーサーに触れる音と、少女の退屈そうな欠伸だけが繰り返される。 皿に乗せられた一切れのミルクレープを、少女がまるまる食べ終わった頃合いに、青年がそのしじまを破った。
「俺にとっての創作が、ただの手慰みだと言ったら、お前はどう思う?」 「べつに。何も思わないさ。読ませてくれないなら、僕にとっては箱の中の猫となにも変わらない。 それの判別は僕にはできないし、優劣をつけることすらもできない。 僕はきみのことが大好きだけど、作者としてのきみのことは、これっぽっちも、知らないから」 「…………。 まあ、俺が口下手っていうのは、わかった」 「なんでそうなるんだよ! ……まあ、そういうところが好きなんだけどさ。 話をしようぜ、アダム。そういう方向性なら、『内側』を向くのと『外側』を向くのの、どちらが優れているのか。 議題としての落とし所なら、このあたりがいいんじゃないかい」
ばつの悪そうな顔をしながら、青年は四杯目になった紅茶に砂糖を二つ放り込む。 少女は、にやにやしながら青年の様子をただただじっと眺めている。 青年―― アダム・ハルデンベルクは、「お前が先だ」と言わんばかりに、また眉を寄せながら少女を見た。
「自分のための創作か、どういう形であれ他者のための創作かってことだろ? 正しく言うのなら、僕が文章を書いてるのは他者を傷つけるため。痛みを感じさせるため。 だから、建前では自分のためだと言いながら、誰よりも読者に依存する作者だと、自覚もしてる。 同時に、他者を必要としていないきみっていう創作者に対して、誰よりも嫉妬と憎悪を抱いているのも、事実さ」 「よく続けられるな」
アダムは、空の皿にミルクレープを移しながら、短くそれだけ言った。 少女は、一瞬きょとんとしたあとに、とてつもなくいたたまれなさそうな表情���して、太い眉を寄せる。 「嫌味かい」、とそれだけ言って、ミルクレープを口に運んだアダムを見る。
「嫌味なわけないだろ。よくできるな、俺はできる気がしない、ってだけで。 俺は、本当に自分の文章を読んでいるのか、本当に文字を読めているのか、正しい読者であるのか。 それもわからないような相手に向けて文字を書けるのが純粋にすごいと思った。それだけ」 「贅沢者だな。それでいて、僕の何倍も傲慢だ。作者が読者を選ぶんじゃない。読者が作者を選ぶんだ。 だから、読者も味がわからなければその作者の文章は今後読まない。 味が気に入ったのなら、継続して読むだろ。作者は、選ばれる側なのさ。最初から最後までね」 「……正直な話をするなら、俺がお前に読まれたくないと何度も言うのは、それなんだよ。 お前にもし、俺の創作に触れて『面白くない』と言われたら立ち直れる自信がない。 俺のことを何度も何度も好きだって言いながら、どう好きだとは一言も言わない」 「まあ、僕はきみの文章が面白くなければ胸を張って面白くない、と言うよ。 だから、それが嫌なら無理に読ませてくれなくても構わないし、僕の一番の読者でいてほしい。 継続して僕の話につきあってくれるのは、きみくらいなんだから。欠かせない存在だよ。僕は、きみが好きだ」
返事はない。宙を舞った愛の囁きは、ミルクレープを切る音に綺麗に上書きされる。 少女は、文句もなさそうな顔で三段目の不格好なスコーンに手を伸ばした。 アダムだけは、文句ありげな顔をしたまま、黙々とミルクレープを口に運んでいる。 アダムの皿が空になったところで、アダムは、少女の翡翠のまなこをジイ、と訝しげに見やった。
「今の話」
スコーンを二つに割った頃合いに、アダムはそう切り出した。
「お前のほうが傲慢だよ。俺以外の読者を切り捨ててるのに気付いてない。 気付いてるならもっとタチが悪い。お前の文章は、文句なしに面白いと思うし、ああ、たまに文句は、あるけど。 『他者を傷つけるため』って、それっぽいことは言うくせに読者は俺ただ一人きりだ。 …………もし俺が読まなくなったら、お前はどうするんだ」 「それはこの世界から僕の読者がいなくなったら、っていう仮定で間違ってない? そんな日がもし来ることになるんだったら、僕はきっと、書くことをやめる。 創作なんて時間も使うし、精神も使うし、苦しいことを続ける理由なんてない。やめるに決まってるさ。 まあ、僕が創作をやめることなんてないだろうけどさ」
言外に、「きみは僕の言葉をいつだって読んでくれるんだから」、と言っていた。 信頼と言ってしまえば聞こえはいいが、これはどうしようもないくらいに依存で、少女の依存は無自覚だった。 たった一人の『読者』に依存する、いつ瓦解するかもわからない、ひどく不安定な『作者』であり、
「じゃあ、次は何の話をしようか。きみと話すのは、ほんとうに楽しいんだ。 こんなことを話せる相手も、ぼくの文章を読んでくれる読者もきみくらいだから」
どうしようもなく、救いようのない人間だった。
「そうか」 「そうだなあ、ああ、このスコーン。僕が焼いたんだ。 スコーンは誰が焼いたところで変わらないだろうと思ったんだけど、やっぱり市販品は美味しいんだよなあ。 僕のほうが焼きたてで美味しいだろうと思ったのに、結構ショックだったんだ」
他愛のない会話がしばらく続いて、可も不可もない内容が途切れた頃。 アダムが背中の後ろに置いていた鞄の中から、シワシワになった原稿用紙を少女に差し出した。 多く見積もって四千字ほどの、ちょっとしたショートストーリーだった。 少女は目を見開いて、食べてしまうかというような勢いでその原稿用紙を受け取った。 ぺらぺらと調子よく、ずっと言葉を並べていた少女が、はじめて何も喋らず、原稿以外に視線を動かさず黙り込んだ。
愛の話だった。
恋人以外の世界の全てをどうでもいい、と言う少女が、世界を知る話だった。 恋人は、少女を世界に連れ出した。醜いところも、美しいところも、世界のありとあらゆるところへ連れ出した。 少女は、その全てに喜び、悲しみ、怒り、笑った。 恋人も、狭い場所に閉じこもっていた少女が普段見せないような表情を見せることに喜んだ。
ある日、恋人と少女は世界について話すことになった。 なんでもない話の流れだ。ただ、普段の会話に、ちょっとだけインテリジェンスな色をつけた、とか、そのくらいの。
恋人は、世界に対しての怒りを少女へと語った。 不平等さや、理不尽に対しての怒り。私腹を肥やす貴族に対しての怒り。幼子を冬の日に放り出す母親への怒り。 その怒りは、これ以上なく真っ当で、とてつもなく妥当なものだった。 だからこそ、恋人は少女の語る言葉の全てが許せなかった。
不平等も、理不尽も、貧富の差も。ありとあらゆる、世界の全てを肯定する言葉。 そうであるんだから、『そう』に至る。それ以上でもそれ以下でもない。 それがあなたの見せてくれた『世界』ではなかったの、と少女は『世界』を肯定した。ひどく無関心に。
恋人は、少女を心底気味悪がった。 本当に少女に求めていた反応は、『こんなに理不尽な世界は見ていられない』のひとことだったのだから。
2人は、それきり言葉を交わすことも、愛を囁くこともなくなってしまった。 物語はそれで終わり。互いに恋人たちは、虚像を見て愛を囁いていたのでした、という話。それ以上でも以下でもない。
そんな物語を読み切って、少女は笑った。
「僕は、この『味』が好きだよ。皮肉がきいていて、丁寧で、心の動きのどれもが美しい。 なんだ、きみが本当に見せたがらないから、本当の本当に文章が下手なのかと思ったけど――」 「グレーテル」
少女の名前を、アダムは初めて呼んだ。 少女は目を丸くして、穏やかに「なんだい」、と笑ってみせた。
「それは、俺の友達の作家志望のやつが書いたんだ。俺の書いたものじゃない。 グレーテル、もう、言わなくたってわかるだろ。お前は、間違いなく聡明だし、間違いなく賢い」
「お前が思ってる以上に、捨てたもんじゃないだろ」
少女は、なにも言わなかった。何も言えなかった。何一つ言うことができなかった。 肯定も否定も許されていないのは、少女が一番わかっていた。 ただでさえ、それをちょうど理解させられた瞬間だったから。わかりやすい解説のテキストまで手渡されて。 アダムは「トマト、うまかったよ」とだけ言い残して、席を立った。 残されたケーキスタンドの一番上だけを眺めて、少女はなにも言わなかった。言えなかった。
それ以来、この家にアダムがやってくることはなかった。 アダムは、自分が一番理不尽なことをしたと自覚していた。 自分の文章なんて読ませたことのない相手に、自分の文章だと勘違いするようなタイミングで他人の原稿を手渡す。 そして、密かに「他人の文章だろう」、と言ってもらえると期待していた。 理不尽なことをして、勝手に諦めて、世界を教えた、なんて言い訳まで用意して。 結果として、アダムは二度とこの家に戻ることはできなかった。 理不尽に傷つけて、理不尽に立ち去ったのだから、その罪悪感は当然である。 理由などない。ただ単に、自分のことを自分の好きな相手にはすべてわかってほしかった。 その理不尽さ自体も、極めて人間らしい感情で、それを否定することも肯定することも、誰にもできない。 なぜなら、人間であるから。人間である以上、その理不尽は誰にでも存在しているから。誰も糾弾することはできない。 虚像に理想を抱き、虚像に恋するのを否定することは、誰にもできない。
――人は、魔女と違って『ただしい目』を持ってなどいないのだから。
その日、世界から一人の『創作者』が消えた。 その日、世界中で一番の『消費者』が生まれた。
+ + +
魔女の後悔。 それはただひとつ、『人間』を知らなさすぎたこと。
人間の後悔。 それはただひとつ、『愛』を理解するのに時間を要しすぎたこと。
+ + +
魔女の家。お菓子づくりのヘクセン・ハウス。 1日1回、決まった時間に来客が訪れる。来客は、魔女に餌をやらねばならない。 魔女は、物語を望んでいる。魔女は、常に腹をすかせて来客を待っている。 来客が訪れないことはない。一度の例外もなく、それはやってくる。 この家には、必ず来客がやってくる。来客は、必ず何かを探している。 探しものはここにはない。広い砂漠の中で、砂粒を探している。 やってくる来客が何を探しているのか、魔女にはちっともわからない。
来客は、年齢もなにもかもがバラバラである。来客は、魔女を憐れんでいる。 魔女は来客を憐れんでいる。
来客は、隠し事をしている。来客は、世界にそれを隠して生きている。 今日も、魔女の家にはティーカップの片割れが静かに佇んでいる。
魔女は、『失くしもの』をした。
1 note
·
View note
Text
永遠のロマン!宇宙に興味を持った人々の熱い想い
集計期間:2020年11月16日~11月18日 回答数:17357
世界中がコロナ禍に揺れた2020年ですが、ウイルスとは無縁の宇宙に関するニュースも多かったことをご存知でしょうか。
11月16日には宇宙飛行士の野口聡一さんらが搭乗する新型宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げに成功し、12月6日には小惑星探査機「はやぶさ2」が、約6年間のミッションの末に小惑星「リュウグウ」の砂を採取し、無事に地球へと持ち帰りました。
そこで今回は「宇宙」に関する意識調査を行いました。
宇宙に興味を持ったことはありますか?
回答者17357名のうち、宇宙に興味をもったことがあるという人は全体の約65.7%を占めました。
ここからは、具体的にどういうことに興味をもったのか、寄せられた意見を見ていきましょう。
人類のロマン!宇宙に憧れる人々
<宇宙のどんなところに興味がある?>
・星や惑星に興味が湧いた。野口さんすごい人生ですね
・地球以外に月とか色々あり、不思議だなあと思って、星とかも興味あります。
・宇宙は、謎だらけで人間が小ちゃい存在と思わざるを得ない果てしなさがある上に、たまに星を見上げながら無になるのが好き
・宇宙人は存在しているか? とかあの星の光はどのくらいだろう? とか
・未知なる暗黒の世界!簡単な発想をすると何処から何処までの大きさだとか?とにかく分からないし事だらけだと言うことです。
・小さい頃から宇宙関係が好きです。何十万光年先に地球と同じような暮らしがあるかもしれない、と思っています。宇宙ステーションや月など自宅にある天体望遠鏡で時々観測しています。
・◯◯光年先の恒星など少し調べ自分の年齢と照らし合わせ、あの星の光は自分の産まれた時に輝いた光が今になって届いているのだと宇宙の不思議を思いながら見上げた事がある。他、他国が計画している地球でない星への移住計画や、日本からの宇宙旅行販売など、興味を持ち新聞記事を読む事がある。
・今見えているオリオン座の中で、超新星爆発してすでに存在していない星があるとか。近い将来その爆発の光が地球に届くというので、星空の晩は必ずオリオン座を探しています。
・ブラックホールはどうなっているか。宇宙は本当に無限なの。宇宙は分子の様な物ではないだろうか。
・宇宙の果ては何処だろう、星から星への距離はどれくらいだろうと宇宙の広さ的な事に興味を持った事があります。
・宇宙には自分たちの考えや想像などをはるかに凌駕するほどの神秘性に溢れています。土星の輪やミルキーウェイに馬頭星雲など、誰かが手を加えたようなそんな不思議さに惹かれる思いがあります。
・空を見上げると思うんですが、行き止まりはあるのかなぁー?とか、永遠と続いているなら絶対地球の他に人類がいる!!なんて思ってます。UFO信じてます(汗)
・星空を眺めて宇宙に想いをはせたり、流れ星を観に行ったりしてます。宇宙人はいるのか?とか、ブラックホールとは何かな?とか、宇宙では時間の感覚が違うのかな?とか知りたい事が沢山あって興味深いです。宇宙の難しい専門知識はチンプンカンプンですが、何となくロマンを感じます
・宇宙には、宇宙人や、月にはウサギがいるのかなと知りたいぐらいです。
・宇宙は少しずつ広がって言っているっていうけど、じゃあ宇宙は何かの中にあるってことかなって思う。宇宙の外が存在するんじゃない?
・小さい頃は、自分の体は小さい細胞からできているのと同じように、もしかしたら自分が広い宇宙にいる宇宙人の細胞の一部なんじゃないかとか、人間のことを広い宇宙のアリのような存在として見ている大きな人間がいたり、もっと大きい世界があるんじゃないかとか、宇宙に終わりはないというけれど、もしかして端っこがあったらそこは真っ白なんじゃないかとか、壮大な妄想をしていた。
・自分はどころからきたのか考えるときに親の遺伝子から人類のことから最終的に宇宙を考える宇宙飛行士が神父になったとか宇宙から地球をみたときに神を感じたという話が興味深い
・宇宙の果てについて考える事がある138億年前にビックバンが起こり宇宙空間という次元が形成されるのだが宇宙空間の外側には何があるのか疑問に思うことがある。それが“宇宙の果て”つまり宇宙を風船に例えると風船の中が我々の宇宙であるなら風船の外側には何があるのか?想像すら出来ない存在があるのだろうか?それとも何も存在しない“無”なのか?そして宇宙は永遠に存在するのか?風船が破裂するように突然消えて無くなるのか不安に思うことがある。
<宇宙に興味をもったきっかけ:幼少期の体験>
・子供の頃から宇宙に興味があります。ハレー彗星が観測出来るとなり、望遠鏡を覗き込みはまりました。
・子供の頃に母の実家で見た天の川に一目惚れしてから空を毎日見る様になった。東京の空にはほぼ星は見えないけどね
・小学生の頃、父親にプラネタリウムへ連れて行ってもらってから宇宙への興味が湧きました。高校の理科の選択授業も地学を選択していました。毎年様々な天文ショーもあるので自宅で見たりしています。
・うちゅうのひみつ、というマンガで読める図鑑を小学生の頃愛読していたので、その頃はとても宇宙を身近に感じていた。
・小学生の頃、サディスティックミカバンドのアルバムに感動し、スペースコロにー計画等に興味を持ち、松本零士の世界にはまり、スペースシャトルやハインラインの小説へはまった。
・実家の近くに宇宙センターがあり、小さい頃からよく遊びに行っていたため、自然と興味を持つようになりました。
・小学生の頃、図書館で星座についての本を見つけて以来、宇宙に関心を持つようになった。学生時代、根っからの文系で数学や化学は苦手だったが、天体についての問題だけは得意に。今は子どもと天体望遠鏡を覗いて楽しんでいる。
・小学生の時に、毛布に包まって家のベランダからはじめて流星群を観てから、星や宇宙に興味を持った。専攻することは無かったが、今でも天文台やプラネタリウムには行っている。
<宇宙に興味をもったきっかけ:フィクション作品>
・朝の連ドラ「まんてん」を見たときに行ってみたいと、思った
・恐怖新聞に描かれていた円盤が来たを子供の頃に読んで宇宙に興味を持ったことが有ります。
・子供の頃に宇宙戦艦ヤマトやキャプテンハーロックに魅了されていた頃はいつか宇宙に行ってみたいと思っていました
・銀河英雄伝説を見て、宇宙のイメージを膨らませました。
・セーラームーン世代なので、宇宙の戦士になる予定でした。
・子供の時セーラームーンが人気で好きなセーラー戦士の惑星をひたすら調べていた。
・宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999、キャプテンハーロック、クイーンエメラルダス、千年女王、銀河旋風ブライガー、イデオン、機動戦士ガンダムetc.大好きでした。
・サンライズの機動戦士ガンダムを観て、私達も大人になったらコロニーでの生活が当たり前になり、蒼い地球を眺められると信じていました。
・幼少期からウルトラマンの導きで、宇宙や科学の話題には常に興味と関心を持っている。現在でも、ブルーバックスや科学雑誌の愛読者です。
・プラネテスや宇宙兄弟など漫画の影響で宇宙に興味を持った。
・星の王子さまを読んで、本当に宇宙には星の王子さまがいて、会えたらいいなと幼少期に夢見ていました。
・最初に宇宙に興味を持ったのは、小学校の頃ヴェルヌのSF 月世界旅行 を読んだときでした。ガガーリンはすでに飛行していたかも知れないのですが、あまり印象にはなかったです。
・宇宙に興味があるというか、特撮が大好きだから、宇宙から異星人が地球にせめてくるかも?なんて妄想は何万回とした。ウルトラマンもいると信じている。それに、宝塚の宙組が1番好きなのも、宇宙が好き?きになる?からかもしれない。
・子供のころはちょうど、テレビ番組で銀河鉄道999を見て宇宙への憧れを膨らませていました。それからですかね、趣味の登山に必ず天体望遠鏡を持って行くようになったのは。まあ子供から20~30代後半の話しですけどね、今は眠れない夜に外へ出て星を眺めています。
・巨大な中性子星が地球に接近したらどうなるのかという動画を見たことがあるが、宇宙には私達の知らない神秘的なものがある一方で生命が存在出来ないような危険な要素が溢れており、宇宙に関心を持ったと同時に地球という稀有な存在の素晴らしさについて改めて感じることが出来た。
<宇宙に興味をもったきっかけ:その他>
・土星の輪っかが気になり、望遠鏡を買いました
・初めて天体望遠鏡で月を見た時、クレーターを見た。綺麗さにびっくりした
・宇宙の面積か何かを計算していた学者があまりにも難し過ぎて精神疾患になった、という話を聞いた時。宇宙の面積自体もそうだが、その宇宙の中に何があるのかもの凄く興味が湧いた。
・はやぶさがイトカワに到達してイトカワの石を持って帰った時。そしてそれが映画になった時は興奮して観に行きました。
・宇宙の謎に迫るため、大学院まで物理学を専攻した。訳があり企業に就職したが、今でも宇宙のこと、特に宙が意味する時間のこと、時間とは何か考えている!
・宇宙人はいまーす!笑 UFOらしき飛行物体を何回か見ているので、宇宙には興味深々です!
・プラネタリウムの月一講座に15年以上通った。天体観測や天体ショーを郊外にも見に行った。UFOも見たこと有り。
・はやぶさ(初代)キッカケ以来JAXAファンです。
・アポロの月面着陸を生放送で観てから好きです。
・はじめて買った写真集はアイドルでもなくモデルでもなくハッブル宇宙望遠鏡のものでした。また、生まれる3年前にハレー彗星が地球に接近してしまったので、70代のおばあちゃんになるまでしっかり生きて見届けるまで死ねません。
・むかーし、中学生の頃に冬の寒い中、自宅から近い児童公園で同志数人と冬の星座の美しさを見てから今日まで、事あるごとに遙か遠くの星々に思いを馳せている。時には写真を撮ってみたり、NASAのレポートを読んでみたり、家族で地球外知的生命体の話をしてみたり。話題は尽きない。
<宇宙に行ったらしてみたいこと>
・宇宙旅行が出来る時代にうまれたかったな
・宇宙船に乗って、地球を見てみたいと思っていた。
・ロケットが安全でリーズナブルで乗れるなら生きている間に行ってみたいような気はする。
・未知の宇宙を見たい。果てしない宇宙を体験したい。酸素がなく浮遊してみたい
・子どもの頃は宇宙飛行士にも憧れたものですが、「宇宙服を着ている時に顔がかゆくなったらどうするのか」という質問の答えが「我慢する」だったのでもう憧れはありません。何の苦痛も面倒もなく行けるなら遠い宇宙がどうなっているのか見てみたくはあります。
・優秀な人間だけ宇宙に行けるのは叶わない夢の話だが、世界中の人間がコロナ感染恐怖な今日、宇宙なら、心配なく生きていけるか、行ってみてみたい
・星に興味があるのでよく天文台に行きます。プラネタリウムも大好きです。壮大な宇宙の事を考えるとワクワクします。一般人も気軽に安全に(料金も安く)宇宙旅行に行ける日が来るといいな。ただ、実現する頃きっと私はもうこの世には…。人生の修行を終えて身軽になったら、千の風になって銀河を飛びまわりたいです。
・月に行って青い地球を観てみたいです。あと宇宙旅行で海王星まで行ってみたいしブラックホールも観てみたいです。ロマンがありますよね。
・まさに今。片思いしている相手が、どうやら星が好きみたいなので。
<その他>
・落ち込んだときに自分は宇宙の点なのだと言い聞かせます
・用事があって、先日、フィンランドに行ってきました。ロバニエミの星空、箒でヒョイと取れるくらいに星が近く大きくて驚きました。コロナが落ち着いたら、北欧の星空を、ゆっくりじっくり楽しみたいです。
・JAXAの採用に応募したが落ちた。
・流れ星や月を見るのが大好き。今回の打ち上げの様子を見て、タッチパネルを操作していたり今までとは全然違う宇宙服をきているのを見ると、そのうち自分も宇宙に行けるんじゃないかと思ってしまいました。
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
グノシーの「アンケート」タブにて、毎日新しいアンケートを更新しています。ポイントが手に入るものもあるので奮ってご参加ください。
こちらの記事に関するお問い合わせは [email protected] までお願いします。
0 notes