#秋葉原通り魔事件
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我が国の未来を見通す(90)
『強靭な国家』を造る(27)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その17)
宗像久男(元陸将)
─────────────────────
□はじめに
パレスチナ情勢については、10月22日、日本
を除くG7の6カ国からイスラエルの自衛権を支持
する一方でガザの民間人の人道支援を求める共同声
明が出されるなど、人道支援要求の世論、それにイ
スラエル国内の人質解放優先世論の力、それに欧米
首脳などの説得工作などが功を奏して、イスラエル
の本格的な地上攻撃開始は、当初計画よりかなり遅
れているようです。
イスラエルの歴史からすると珍しい決断だったと考
えますが、それだけ、今回のガザ地区への地上攻撃
の持つ意味がこれまでとは違ってきている証拠でも
ある��でしょう。極めつけが、24日、国連安保理
の場で、米国ブリンケン国務長官の「人道目的の一
時停戦が検討されなくてはならない」との発言でし
た。
一方、グテーレス国連事務総長がイスラエルのパレ
スチナ占領を批判する発言をしたり、いつもながら、
国連安保理が決議案を否決しあう形で“機能不全”
に陥っているなど、イスラエルの国連不信が限界に
達しているように見えます。イランを含むアラブ諸
国自体も反イスラエルという立場で必ずしも一枚板
ではないようなので、今後も、状況は刻々変わって
くることから、安易な予測は禁物でしょう。
その上で想像するに、イスラエルは、いかに人質解
放をするか、そして500キロに及ぼうとする地下
トンネルをいかに(できれば民間人に被害を与えな
い方法で)攻略するか、その作戦を練って、その上
で一部限定的な作戦を遂行しているのでしょう。
また、地上攻撃の代わりなのか、連日激しい空爆が
繰り返されていますが、それによる民間人犠牲者の
6割は、避難先であるガザ地区南部だったとの報道
もあります。国連事務総長のような発言もイスラエ
ルを追い込むだけで逆効果だと思いますが、無差別
に近い空爆もイスラエルが自らの首を絞める結果と
なって、やがて自制心のタガが外れ、“後に引けな
くなる”ことが懸念されます。
数年前、ベトナムを旅行した際、ベトナム戦争時に
使用されたサイゴン(現ホーチミン)市西側に広が
る巨大な地下施設「クチトンネル」を見学し、その
巧妙な造りに驚いたことがあります。アメリカは、
空から枯葉剤を含む絨毯(じゅうたん)爆撃を繰り
返しても攻略できず、ついには南ベトナムから撤退
する結果になったのでした。
「クチトンネル」は総延長約250キロといわれて
いましたが、その倍ほどの長さに及び、映像を見る
限り、長い時間をかけて極めて堅固に建造されてい
る地下トンネルを実際に攻略しようとすれば、多大
な時間を要し、犠牲者も半端でないことでしょう。
イスラエルが保有する最新の軍事技術をどのように
駆使するのかを含め、(不謹慎ではありますが)注
目しています。
ところで、今回のG6声明から外された我が国は、
文字通り“孤立国”になっ��しまいました。23日
の岸田首相の所信表明演説において、「経済」を連
呼する中での「人間の尊厳」とか「核兵器のない世
界」などの発言は、もちろん、理想であり、間違っ
てはいないとは思いますが、いかにも“空虚”に聞
こえるのは私だけでしょうか。
▼「国家戦略」をだれが作るか
いよいよ「国家戦略」指針の私案を提示したいと考
えますが、その前に、「国家戦略」を誰がつくるの
か、について一案を提言したいと考えます。
戦前の歴史を勉強しない人、あるいは軍国主義など
といって昭和の軍人たちにその責任を負わせること
のみを追求している歴史家たちには到底信じられな
いことだろうと思いますが、歴史をつぶさに学べば、
戦前の我が国の方が、現在よりはるかにダイナミッ
クで柔軟な国家運営をしていたことがわかります。
その典型的な組織が「陸軍省戦争経済研究班」(通
称「秋丸機関」と呼称)でした。少し補足しますと、
第1次世界大戦の頃から、戦争は単に軍事力だけで
はなく、経済、産業、教育、宣伝など「国力」のす
べてをもって遂行される「国家総力戦」の様相を呈
し、当時、欧州において身をもってその体験をした
永田鉄山あたりはその必要性を声高に唱えていまし
た(永田は陸軍の抗争の犠牲となって殺害されまし
た)。
この流れをうけて、我が国の経済力がないことを知
っていた陸軍は、日本における総力戦の実態と戦争
遂行の可能性などを研究するため、昭和14年春、
当時の我が国の最高頭脳を集めた本格的なシンクタ
ン「陸軍省戦争経済研究班」をスタートさせたので
す。
設立を提唱したのは、当時の政府や陸軍の首脳では
なく、「陸軍中野学校」の設立者、戦後は京都産業
大学の設立者として名を馳せた岩畔豪雄(いわくろ・
ひでお)大佐でした。このあたりにも目を見張る
ものがありますが、岩畔は、そのトップに、(軍政
とか作戦畑ではなく)経理畑の俊才、当時まだ41
歳の秋丸次朗中佐を指名し、組織造りを含めて全権
を委任しました。
秋丸は、実質的な研究リーダーとして、治安維持法
違反で検挙され保釈中の身であった東大経済学部助
教授のマルクス経済学者・有沢広巳を招きました。
それ以外に大学教授、企画院・外務省・農林省・文
部省などの少壮官僚、さら��は民間企業・業界団体・
金融機関・民間調査機関・研究所などの精鋭たち
を集めて総勢200名程度の組織を作り上げて、昭
和16年まで約2年間、多士多才のメンバーをもっ
て様々な角度から研究に没頭したのです。
研究成果の細部は省略しますが、本研究班が導いた
開戦に至るシミュレーションについては、当時、東
條英機首相や杉山元参謀総長などとも共有しており、
その研究成果は、昭和16年11月15日に開催さ
れた大本営政府連絡会議で「対米英蘭蒋戦争終末促
進に関する腹案」(「腹案」と呼称)として決定さ
れたのでした。
私自身は、この「腹案」のような戦いを遂行してお
れば大東亜戦争はまた違った結果になったと考えて
いますが、「腹案」と実際の戦いはかなり違ってし
まいました。その原因も分かっていますが、ここで
は省略しましょう。
ここで問いかけたいのは、今の日本に、「国家戦略」
のような重要案件を策定するために、「秋丸機関」
のようなシンクタンクを作り、少壮の官僚、学者、
自衛官、民間企業人などの精鋭を一堂に会して時間
をかけて研究させるようなダイナミズムがあるだろ
うかということです。
私は、ここにあえて政治家を加えませんでしたが、
国の重要なテーマについて、いつも“専門家や官僚
に丸投げして足れり”として自ら問題意識も持たず、
必要性も感じず、学ぼうとしないような人たちは
“最初から戦力にならない”と思って外しただけで、
適任者がおられたら、当然、シンクタンクのリーダ
ー格になっていただくことを拒むものではありませ
ん。
一つだけ注文を付けるとすれば、「秋丸機関」の設
立に尽力した岩畔大佐のごとく、力のある政治家な
どでこのようなシンクタンクを作る必要性を唱える
人(たち)は、シンクタンク設立のために奔走し、
必要な基盤や経費は提供しても、当初から口を出す
のは厳に慎み、「若い世代に託す」ことが重要と考
えます。官民を含む各界には、若くても優秀でかつ
柔軟性があり、物事の本質を的確に見極めることが
できる優秀な人たちがたくさんおられると確信しま
す。
なお、前回紹介した『日本戦略論』(鎌田徹著)で
は、「戦略国家になるための人づくり」を提唱して
いますが、だいぶ時が経ったこともあり、残念なが
ら、今はそのような“時間的余裕”はないと考えま
す。仮に多少の問題はあっても、“今ある人材”を
最大限に活用するしかないと思うのです。
次いでながらもう少し補足しておきましょう。前に
も引用したように、『国民安全保障国家論』(船橋
洋一著)の冒頭には、コロナ禍やウクライナ戦争を
経験した結果として、「自分たちでみんなを守るこ
とができない社会は生き残れない」「自分の国を自
分たちで守れない国は生き残れない」「天(世界)
は自ら助くる者を助く」ということがわかったと紹
介されてい���す。
著者は、それでも「国家」ではなく「国民」という
言葉にこだわっていますが、“利益の受容者である
「国民」目線を重視すべき”ことを強く意識してい
ると考えられ、本書に書かれているのは「“国家”
のあり様(形)」であることが理解できます。
私などの立場からすると、(元朝日新聞記者の)著
者のような立場の人が「ようやくここに気がついて
くれたか」と安堵する一方で、内外情勢の急激な変
化や「国力」が下降期にある“現時点”こそ、将来
のため、国家としての「打ち手」を真剣に議論する
時が来たことを国のリーダーたちに早く気づいてほ
しいと願うばかりです。だれかが問題意識と勇気を
もって、重い腰を上げて、“旗振り役”を演ずるこ
とを切に願っております。
繰り返しますが、「手遅れになる前に」です。様々
な思惑から場当たり的な所信表明演説とそれに対す
る質疑応答などで論戦を交わしている余裕はないと
思うのですが・・・。
▼「国家戦略」の指針の一案
さて、私も高齢世代です。「若い世代に託すべし」
と言った手前、過度な物言いは邪魔になると自覚し
つつも、本メルマガをここまで書き続けてきた以上、
「国家戦略」の指針のようなものの一案ぐらいは提
示しなければならないとの責任感にもかられます。
しかし、“指針のようなもの”といえども、そこに
含むべき内容の広さと深さを考えると、正直、いか
にまとめ上げるか、途方にくれます。
またしても、『日本の大戦略』のお力を借りて、ほ
ぼ一致している点を紹介しつつ、10年の歳月の変
化やアプローチの相違点などからの修正を加えて一
案としたいと考えます。なお紹介する順番などは私
の一存で本書を修正してあります。
まず本書が、平成23年の時点でこのような大胆な
「国家戦略」の指針なるものを考察し、提供してい
ることに対して改めて敬意を表したいと思います。
その第1には、「歴史的大変動に立ち向か覚悟を決
める」としていますが、当時より今の方が“歴史的
大変動”が顕著になっている国際社会そして我が国
ですから、ここに「立ち向か覚悟」が、国家として
も国民としても求められていると考えます。
本書は、具体的な「国家目標」などを考える前に、
このような「覚悟」をもって、「内向き志向、現状
維持志向を克服し、「『頼りがいのある日本』を目
指して国家アイデンティティを再構築する」ことを
提唱していますが、全く同意するものです。
「我が国がどのような未来を構築するか」、あるい
は「どこに向かっていくか」を明らかにするという
点でも全く同意です。なお本書では、目指す方向と
して「先進国安定化勢力日本」と呼称していますが、
そのような呼称を含めて議論が必要でしょう。
私は、この「歴史的大変動」の中には、「国力」が
下降期に入っている“我が国の国内事情”も含むと
考えていますので、具体的な指針の中には、「『国
力』の維持・増進のために国を挙げて立ち向かう」
旨の文言も挿入されるべきと考えます。
第2には、「安全」の国家目標として、「複層的な
課題に対応できる、実効性の高い安全保障政策を展
開する」ことです。
まさに、変動する国際社会の中で、我が国が「安定
化勢力」としての役割を果せるかどうか正念場でし
ょう。そのような視点をもって、現状から一歩踏み
込んで「安全保障政策を再構築する」ことが求めら
れており、具体的には、本書の「自国防衛/危機管
理の能力を強化する」「日米同盟の相互防衛的性格
を強め、同盟協力を総合化する」「グローバル・コ
モンズの安定化を図る」「同盟外の安全保障協力を
推進する」などの提唱は的を射ており、さらに強化
する必要があるでしょう。
実際に昨年末、「国家安全保障戦略」が策定されま
した。「安全保障」に絞れば、また表現こそ若干違
いますが、本書が提唱したような内容とおおむね一
致していると考えます。
しかし、すでに指摘したように、東アジア地域の
「核状況」が様変わりしつつあることから、日米両
国間の「核の傘」の信頼性の向上に加え、我が国独
自の核保有の議論を推進すべきと考えます。
また、「自国防衛/危機管理の能力を強化する」に
ついては、将来にわたって我が国迫って来る可能性
がある“脅威”については、短絡的に「南西正面」
などと決めつけないことも重要でしょう。将来戦は
「ハイブリッド戦」であることは間違いないとして
も、対象国が取り得る手段は多様であり、それらを
漏れなくすべて読み切った(見積もった)上で“一
寸の隙を見せない態勢”の構築が求められていると
考えます。
第3には、「富」を国家目標として、「先進的な経
済社会システムを構築する」ことを本書は紹介して
います。ここに「国力」の「ハード・パワ��」の要
素のかなりの部分が含まれていますが、第2の「安
全」とも関連し、それぞれの分野の専門家の最適解
をもって国家施策にするようなことは厳に戒めるべ
きで、そのような弊害を排除するためにこそ、「国
家戦略」を策定していることを理解する必要がある
のです。
何度も例示したように、「太陽光発電所の建設のた
めの外国資本の導入に特段のチェックがなく、国防
上重要な施設の近傍を含め、広島県ほどの面積の国
土がすでに外国資本に渡っている」ような“現状”
を即刻是正する必要があります。そのための法律改
正などは急務でしょう。
その上で、必要な要素を総合的に考察して、我が国
として新しい「繁栄の形」をどのように具体化する
かが焦点となると考えます。その中には、国家を次
世代に託すためにも、若者世代が「将来の夢と希望」
を抱くことができるような施策を含むべきことは申
すまでもありません。
とはいえ、少子高齢化の進展から社会保障給付費な
どが大幅に膨れ上がることを予測し、過度な“バラ
マキ”は厳に戒め、「国民一人一人の夢や希望の実
現」と「国家(社会)として『富』の蓄積」の両目
標の同時達成に向けて、“個人の努力の必要性を促
し、努力の中に生きがいを見い出せる”ようなバラ
ンスのとれた「配分」を主眼とする「福祉の再定義」
も必要となることでしょう。
第4には、「変動する国際社会のもとでの日本の対
外構想を確立する」ことです。「安全」はもちろん、
食料やエネルギーなどのほぼ海外に依存している
「富」の分野においても、我が国は、将来にわたっ
て「国家として存立するための対外構想」には高い
優先順位を掲げて計画・実行する必要があります。
「頼りがいのある日本」をめざし(“孤立国・日
本”の存在感を発揮し)、本書でいう「大国間の協
調形成に尽力すること」「グローバルな課題に結果
を出す貢献をすること」「アジア諸国と深く交わり、
その不安定要因を抑制すること」などの提唱に異存
はありません。
前回述べたように、“自ら原則を立て、それに基づ
いて行動し、他国や他のアクターとも協力してい
く”という「自律」の重要性を理解した上で、「日
米同盟」をはじめ、」「クアッド」「自由で開かれ
たインド太平洋」などようやく“産声”を上げた枠
組みを一層深化する覚悟と「自律」の細部をしっか
り議論する必要があるでしょう。
第5に、「新しい『統治のかたち』をつくる」ため
の議論を推進することです。本書では、そのために
���安定した政権基盤を確立する」「官��における外
交・安全保障戦略の司令塔を創出する」「戦略形成
の前提となるインテリジェンス機能を強化する」
「対外的な情報発信を刷新する」、そして最後に
「政治不信を克服し、有権者のオーナーシップ意識
を高める」として、国民の参加意識を高めるために、
NPOやシンクタンクなど政治と国民をつなぐ中間
組織の役割も重要であると結んでいます。
「戦略は統治を超えられない」という言葉も紹介し
ましたが、「国家戦略」を議論し、策定し、実行し
ようとすれば、現在の我が国の「統治のかたち」が
そこに“立ちはだかる障害”となる可能性は否定で
きないでしょう。
紹介しました『国民安全保障国家論』も、その終章
で「日本には『国家安全保障』という『国の形』が
ない。そして、その『国の形』をつくるのを阻んで
きた『戦後の形』がある」として、「『戦後の形』
のままでは日本は新しい時代の挑戦対応できない」
と訴え、新たに「国の形」を作る必要性を強調して
います。
私は、5つの指針の中で第5の「統治のかたち」の
議論が最も難しいと考えます。一方で、戦前戦後を
通じて一内閣の寿命が平均1.4年に満たないよう
な“現状”では、一貫した中長期的な「国家戦略」
の策定はおろか、導き出された国家目標に向かって
(たとえ、苦しくても)各種政策を推進し続けるこ
とは困難であることは明白でしょう。
「では、どうすべきか」については大議論を呼ぶこと
でしょう。しかし、ぜひともこのテーマまで踏み込
んで議論してほしいと願っています。
「国の形」についてはのちほど再び触れることにし
て、次回、「国家戦略」を総括し、その後に「ソフ
ト・パワー」のもう一つの要素である「国家意思」
を取り上げます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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『「空気」と「世間」』 鴻上 尚史 著 (講談社)
まったくその通り。
第1章 「空気を読め!」はなぜ無敵か? お笑い番組の「空気」/「順番に来るいじめ」/日常というテレビ番組/ 司会者がいない場の空気に怯えるな etc. 第2章 世間とは何か 席取りをするおばさんの「世間」と「社会」/ 「しようがない」の意味/ インテリが無視する「世間」/西洋にも「世間」はあった/ 神と「世間」の役割は同じ etc. 第3章 「世間」と「空気」 「世間」が流動化したものが「空気」/日本人がパーティーが苦手な理由/ 差別意識のない差別の道徳etc. 第4章 「空気」に対抗する方法 絶対化に対抗する相対的な視点/ 「多数決」さえ絶対化する日本人/ 議論を拒否する「空気」の支配/「空気」の世界は理屈のない世界etc. 第5章 「世間」が壊れ「空気」が流行る時代 中途半端に壊れている「世間」/精神的なグローバル化/ 不安と共に急速に壊れ始めた/超格差社会を生きる個人を支えるキリスト教/ 空気で手に入るのは「共同体の匂い」/抑圧としての「世間」にうんざりする人々etc. 第6章 あなたを支えるもの 資本主義の「中世」化/「世間」を感じるために他者を攻撃する/ ほんの少し強い「個人」になるetc. 第7章 「社会」と出会う方法 「世間」に向けて発信した秋葉原連続通り魔事件の被告/「社会」に向かって書くということ/ 「社会」と出会うための日本語/複数の共同体にゆるやかに所属するetc.
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例えば秋葉原通り魔事件や京アニ襲撃事件の動機は、恐らくほとんどの人が「大量殺戮の理由」とは納得できるようなものではないだろうけど、現実的には起こっているのだから仕方ないよね、という。視聴者に都合のいい理由で大事件を起こしてくれるのは、フィクションの仕事ですよ。
RPMさんはTwitterを使っています
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372 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2023/08/11(金) 18:50:01.01 ID:fIb3W3d80 [1/4]あんまり怖くないかもしれないけど不思議な話を一つ私が中学生のとき、実家に母方の叔父が居候してたんだけど、その叔父が今週の日曜日に秋葉原へカーナビ買いに行くから、一緒に行かないか?と誘って来た。実家は下町の方なので秋葉は近い部類だったが限られた小遣いで頻繁に行ける場所ではなく、当時アニメとかゲームにハマってた私と弟は狂喜乱舞して、二つ返事でOKをした。母も誘ってみたところ、歩行者天国に前から興味があったらしく、結局叔父と母、私と弟が行くことに。混雑する日曜日ともなると、駐車できる場所が少なくなるため、当日は午前の早い時間帯に出ることで決まった。373 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2023/08/11(金) 18:50:47.05 ID:fIb3W3d80 [2/4]待ちに待った当日、叔父と私と弟は早起きして出発する準備を着々と進めていたが、母がしきりに「気分が乗らない」と言う。母は、出掛けの準備に時間がかかるタイプで、母以外の3人はまたやってるよみたいな感じで母を急かしたが、全く動こうとせず、挙句の果てには午後から行かない?と言い出したのには、みんな呆れ果てたが、あまりにも言うので渋々従うことにした。とはいえ、母以外は準備が完了していたので、母の気が乗るまでテレビを見て暇を潰すことにした。12時を過ぎた頃だったかな、突然ニュース速報で「秋葉原の歩行者天国でトラックが突っ込み怪我人多数」というテロップが流れた。そう、その日というのが2008年6月8日(日)だったんだ。秋葉原通り魔殺人事件があったあの日。もし、時間通りに出発してたらどうなっていたか、想像すると今でも鳥肌が立つ。374 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2023/08/11(金) 18:51:23.43 ID:fIb3W3d80 [3/4]母に当時のことを聞いて見たところ、なんだか朝から気分が乗らず、行って見たかった秋葉原にどうしても行きたくなくなったと言っていた。ただ当時のことを思い出そうとすると頭にモヤがかかったみたいになって、あまり詳細を覚えていないとのこと。うちの母親にはこういう話が多くある。例えば中学2年生のとき、母と高校見学しに行ったところ、校門から出てきた制服を着た生徒を見て母親がふと「あなたこの高校通うことになると思う」と変なことを言う。詳しく聞いてみると、今の制服着た生徒を見て、同じ制服を着て学校に行く私のイメージが突然湧いたのだという。件の高校は、別に志望度が高い訳ではなかったので、何言ってるんだか、とスルーしたのだが、高校受験の結果、その高校以外に全て落ちたため、母の予言通りにその高校に通うことになった、とか。虫の知らせって本当にあるのかなと思う。以上、取り留めのない話ですまん。
続・妄想的日常
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秋葉原通り魔サツジン事件の加藤智大の気持ち、すごくわかるわ
1: 修羅場まとめ速報 2024/12/19(木) 08:20:35.215 ID:ruNdajyR0 おそらく俺が間違ってるのもわかる 続きを読む 秋葉原通り魔サツジン事件の加藤智大の気持ち、すごくわかるわ Source: 修羅場まとめ速報
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秋葉原通り魔事件(2008年)ですら死者7人。車ではねて死者35人はヤバい。規模が違い過ぎる。
[B! 中国] 中国の車暴走 35人が死亡 43人がけが | NHK
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「秋葉原で人を殺します、車でつっこんで、車がつかえなくなったらナイフを使います みんなさようなら」事件はその20分後に起こった。
#秋葉原通り魔事件 #秋葉原無差別殺傷事件 #加藤智大 #死刑
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猫ミームで学ぶ秋葉原通り魔事件 #猫マニ #猫ミーム 今回の動画では秋葉原通り魔事件の全貌に迫ります。 秋葉原通り魔事件ってどんな事件なの?? 秋葉原通り魔事件は何故起きた? via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=4hhs7d65lBQ
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秋葉原通り魔事件の真犯人説どう思う?
c_img_param=[‘max’,’6′,’3′,’80’,’normal’,’FFFFFF’,’on’,’sp’,’9′]; //img-c.net/output/site/202.js c_img_param=[‘max’,’3′,’1′,’0′,’list’,’0009FF’,’off’,’pc’,’14’]; //img-c.net/output/site/292.js 1: 以下、名無しにかわりましてネギ速がお送りします 2021/07/04(日) 01:09:06.758 ID:dejhD1A40 たったの2~3分で12人も刺してる…
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我が国の未来を見通す(90)
『強靭な国家』を造る(27)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その17)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
パレスチナ情勢については、10月22日、日本
を除くG7の6カ国からイスラエルの自衛権を支持
する一方でガザの民間人の人道支援を求める共同声
明が出されるなど、人道支援要求の世論、それにイ
スラエル国内の人質解放優先世論の力、それに欧米
首脳などの説得工作などが功を奏して、イスラエル
の本格的な地上攻撃開始は、当初計画よりかなり遅
れているようです。
イスラエルの歴史からすると珍しい決断だったと考
えますが、それだけ、今回のガザ地区への地上攻撃
の持つ意味がこれまでとは違ってきている証拠でも
あるのでしょう。極めつけが、24日、国連安保理
の場で、米国ブリンケン国務長官の「人道目的の一
時停戦が検討されなくてはならない」との発言でし
た。
一方、グテーレス国連事務総長がイスラエルのパレ
スチナ占領を批判する発言をしたり、いつもながら、
国連安保理が決議案を否決しあう形で“機能不全”
に陥っているなど、イスラエルの国連不信が限界に
達しているように見えます。イランを含むアラブ諸
国自体も反イスラエルという立場で必ずしも一枚板
ではないようなので、今後も、状況は刻々変わって
くることから、安易な予測は禁物でしょう。
その上で想像するに、イスラエルは、いかに人質解
放をするか、そして500キロに及ぼうとする地下
トンネルをいかに(できれば民間人に被害を与えな
い方法で)攻略するか、その作戦を練って、その上
で一部限定的な作戦を遂行しているのでしょう。
また、地上攻撃の代わりなのか、連日激しい空爆が
繰り返されていますが、それによる民間人犠牲者の
6割は、避難先であるガザ地区南部だったとの報道
もあります。国連事務総長のような発言もイスラエ
ルを追い込むだけで逆効果だと思いますが、無差別
に近い空爆もイスラエルが自らの首を絞める結果と
なって、やがて自制心のタガが外れ、“後に引けな
くなる”ことが懸念されます。
数年前、ベトナムを旅行した際、ベトナム戦争時に
使用されたサイゴン(現ホーチミン)市西側に広が
る巨大な地下施設「クチトンネル」を見学し、その
巧妙な造りに驚いたことがあります。アメリカは、
空から枯葉剤を含む絨毯(じゅうたん)爆撃を繰り
返しても攻略できず、ついには南ベトナムから撤退
する結果になったのでした。
「クチトンネル」は総延長約250キロといわれて
いましたが、その倍ほどの長さに及び、映像を見る
限り、長い時間をかけて極めて堅固に建造されてい
る地下トンネルを実際に攻略しようとすれば、多大
な時間を要し、犠牲者も半端でないことでしょう。
イスラエルが保有する最新の軍事技術をどのように
駆使するのかを含め、(不謹慎ではありますが)注
目しています。
ところで、今回のG6声明から外された我が国は、
文字通り“孤立国”になってしまいました。23日
の岸田首相の所信表明演説において、「経済」を連
呼する中での「人間の尊厳」とか「核兵器のない世
界」などの発言は、もちろん、理想であり、間違っ
てはいないとは思いますが、いかにも“空虚”に聞
こえるのは私だけでしょうか。
▼「国家戦略」をだれが作るか
いよいよ「国家戦略」指針の私案を提示したいと考
えますが、その前に、「国家戦略」を誰がつくるの
か、について一案を提言したいと考えます。
戦前の歴史を勉強しない人、あるいは軍国主義など
といって昭和の軍人たちにその責任を負わせること
のみを追求している歴史家たちには到底信じられな
いことだろうと思いますが、歴史をつぶさに学べば、
戦前の我が国の方が、現在よりはるかにダイナミッ
クで柔軟な国家運営をしていたことがわかります。
その典型的な組織が「陸軍省戦争経済研究班」(通
称「秋丸機関」と呼称)でした。少し補足しますと、
第1次世界大戦の頃から、戦争は単に軍事力だけで
はなく、経済、産業、教育、宣伝など「国力」のす
べてをもって遂行される「国家総力戦」の様相を呈
し、当時、欧州において身をもってその体験をした
永田鉄山あたりはその必要性を声高に唱えていまし
た(永田は陸軍の抗争の犠牲となって殺害されまし
た)。
この流れをうけて、我が国の経済力がないことを知
っていた陸軍は、日本における総力戦の実態と戦争
遂行の可能性などを研究するため、昭和14年春、
当時の我が国の最高頭脳を集めた本格的なシンクタ
ン「陸軍省戦争経済研究班」をスタートさせたので
す。
設立を提唱したのは、当時の政府や陸軍の首脳では
なく、「陸軍中野学校」の設立者、戦後は京都産業
大学の設立者として名を馳せた岩畔豪雄(いわくろ・
ひでお)大佐でした。このあたりにも目を見張る
ものがありますが、岩畔は、そのトップに、(軍政
とか作戦畑ではなく)経理畑の俊才、当時まだ41
歳の秋丸次朗中佐を指名し、組織造りを含めて全権
を委任しました。
秋丸は、実質的な研究リーダーとして、治安維持法
違反で検挙され保釈中の身であった東大経済学部助
教授のマルクス経済学者・有沢広巳を招きました。
それ以外に大学教授、企画院・外務省・農林省・文
部省などの少壮官僚、さらには民間企業・業界団体・
金融機関・民間調査機関・研究所などの精鋭たち
を集めて総勢200名程度の組織を作り上げて、昭
和16年まで約2年間、多士多才のメンバーをもっ
て様々な角度から研究に没頭したのです。
研究成果の細部は省略しますが、本研究班が導いた
開戦に至るシミュレーションについては、当時、東
條英機首相や杉山元参謀総長などとも共有しており、
その研究成果は、昭和16年11月15日に開催さ
れた大本営政府連絡会議で「対米英蘭蒋戦争終末促
進に関する腹案」(「腹案」と呼称)として決定さ
れたのでした。
私自身は、この「腹案」のような戦いを遂行してお
れば大東亜戦争はまた違った結果になったと考えて
いますが、「腹案」と実際の戦いはかなり違ってし
まいました。その原因も分かっていますが、ここで
は省略しましょう。
ここで問いかけたいのは、今の日本に、「国家戦略」
のような重要案件を策定するために、「秋丸機関」
のようなシンクタンクを作り、少壮の官僚、学者、
自衛官、民間企業人などの精鋭を一堂に会して時間
をかけて研究させるようなダイナミズムがあるだろ
うかということです。
私は、ここにあえて政治家を加えませんでしたが、
国の重要なテーマについて、いつも“専門家や官僚
に丸投げして足れり”として自ら問題意識も持たず、
必要性も感じず、学ぼうとしないような人たちは
“最初から戦力にならない”と思って外しただけで、
適任者がおられたら、当然、シンクタンクのリーダ
ー格になっていただくことを拒むものではありませ
ん。
一つだけ注文を付けるとすれば、「秋丸機関」の設
立に尽力した岩畔大佐のごとく、力のある政治家な
どでこのようなシンクタンクを作る必要性を唱える
人(たち)は、シンクタンク設立のために奔走し、
必要な基盤や経費は提供しても、当初から口を出す
のは厳に慎み、「若い世代に託す」ことが重要と考
えます。官民を含む各界には、若くても優秀でかつ
柔軟性があり、物事の本質を的確に見極めることが
できる優秀な人たちがたくさんおられると確信しま
す。
なお、前回紹介した『日本戦略論』(鎌田徹著)で
は、「戦略国家になるための人づくり」を提唱して
いますが、だいぶ時が経ったこともあり、残念なが
ら、今はそのような“時間的余裕”はないと考えま
す。仮に多少の問題はあっても、“今ある人材”を
最大限に活用するしかないと思うのです。
次いでながらもう少し補足しておきましょう。前に
も引用したように、『国民安全保障国家論』(船橋
洋一著)の冒頭には、コロナ禍やウクライナ戦争を
経験した結果として、「自分たちでみんなを守るこ
とができない社会は生き残れない」「自分の国を自
分たちで守れない国は生き残れない」「天(世界)
は自ら助くる者を助く」ということがわかったと紹
介されています。
著者は、それでも「国家」ではなく「国民」という
言葉にこだわっていますが、“利益の受容者である
「国民」目線を重視すべき”ことを強く意識してい
ると考えられ、本書に書かれているのは「“国家”
のあり様(形)」であることが理解できます。
私などの立場からすると、(元朝日新聞記者の)著
者のような立場の人が「ようやくここに気がついて
くれたか」と安堵する一方で、内外情勢の急激な変
化や「国力」が下降期にある“現時点”こそ、将来
のため、国家としての「打ち手」を真剣に議論する
時が来たことを国のリーダーたちに早く気づいてほ
しいと願うばかりです。だれかが問題意識と勇気を
もって、重い腰を上げて、“旗振り役”を演ずるこ
とを切に願っております。
繰り返しますが、「手遅れになる前に」です。様々
な思惑から場当たり的な所信表明演説とそれに対す
る質疑応答などで論戦を交わしている余裕はないと
思うのですが・・・。
▼「国家戦略」の指針の一案
さて、私も高齢世代です。「若い世代に託すべし」
と言った手前、過度な物言いは邪魔になると自覚し
つつも、本メルマガをここまで書き続けてきた以上、
「国家戦略」の指針のようなものの一案ぐらいは提
示しなければならないとの責任感にもかられます。
しかし、“指針のようなもの”といえども、そこに
含むべき内容の広さと深さを考えると、正直、いか
にまとめ上げるか、途方にくれます。
またしても、『日本の大戦略』のお力を借りて、ほ
ぼ一致している点を紹介しつつ、10年の歳月の変
化やアプローチの相違点などからの修正を加えて一
案としたいと考えます。なお紹介する順番などは私
の一存で本書を修正してあります。
まず本書が、平成23年の時点でこのような大胆な
「国家戦略」の指針なるものを考察し、提供してい
ることに対して改めて敬意を表したいと思います。
その第1には、「歴史的大変動に立ち向か覚悟を決
める」としていますが、当時より今の方が“歴史的
大変動”が顕著になっている国際社会そして我が国
ですから、ここに「立ち向か覚悟」が、国家として
も国民としても求められていると考えます。
本書は、具体的な「国家目標」などを考える前に、
このような「覚悟」をもって、「内向き志向、現状
維持志向を克服し、「『頼りがいのある日本』を目
指して国家アイデンティティを再構築する」ことを
提唱していますが、全く同意するものです。
「我が国がどのような未来を構築するか」、あるい
は「どこに向かっていくか」を明らかにするという
点でも全く同意です。なお本書では、目指す方向と
して「先進国安定化勢力日本」と呼称していますが、
そのような呼称を含めて議論が必要でしょう。
私は、この「歴史的大変動」の中には、「国力」が
下降期に入っている“我が国の国内事情”も含むと
考えていますので、具体的な指針の中には、「『国
力』の維持・増進のために国を挙げて立ち向かう」
旨の文言も挿入されるべきと考えます。
第2には、「安全」の国家目標として、「複層的な
課題に対応できる、実効性の高い安全保障政策を展
開する」ことです。
まさに、変動する国際社会の中で、我が国が「安定
化勢力」としての役割を果せるかどうか正念場でし
ょう。そのような視点をもって、現状から一歩踏み
込んで「安全保障政策を再構築する」ことが求めら
れており、具体的には、本書の「自国防衛/危機管
理の能力を強化する」「日米同盟の相互防衛的性格
を強め、同盟協力を総合化する」「グローバル・コ
モンズの安定化を図る」「同盟外の安全保障協力を
推進する」などの提唱は的を射ており、さらに強化
する必要があるでしょう。
実際に昨年末、「国家安全保障戦略」が策定されま
した。「安全保障」に絞れば、また表現こそ若干違
いますが、本書が提唱したような内容とおおむね一
致していると考えます。
しかし、すでに指摘したように、東アジア地域の
「核状況」が様変わりしつつあることから、日米両
国間の「核の傘」の信頼性の向上に加え、我が国独
自の核保有の議論を推進すべきと考えます。
また、「自国防衛/危機管理の能力を強化する」に
ついては、将来にわたって我が国迫って来る可能性
がある“脅威”については、短絡的に「南西正面」
などと決めつけないことも重要でしょう。将来戦は
「ハイブリッド戦」であることは間違いないとして
も、対象国が取り得る手段は多様であり、それらを
漏れなくすべて読み切った(見積もった)上で“一
寸の隙を見せない態勢”の構築が求められていると
考えます。
第3には、「富」を国家目標として、「先進的な経
済社会システムを構築する」ことを本書は紹介して
います。ここに「国力」の「ハード・パワー」の要
素のかなりの部分が含まれていますが、第2の「安
全」とも関連し、それぞれの分野の専門家の最適解
をもって国家施策にするようなことは厳に戒めるべ
きで、そのような弊害を排除するためにこそ、「国
家戦略」を策定していることを理解する必要がある
のです。
何度も例示したように、「太陽光発電所の建設のた
めの外国資本の導入に特段のチェックがなく、国防
上重要な施設の近傍を含め、広島県ほどの面積の国
土がすでに外国資本に渡っている」ような“現状”
を即刻是正する必要があります。そのための法律改
正などは急務でしょう。
その上で、必要な要素を総合的に考察して、我が国
として新しい「繁栄の形」をどのように具体化する
かが焦点となると考えます。その中には、国家を次
世代に託すためにも、若者世代が「将来の夢と希望」
を抱くことができるような施策を含むべきことは申
すまでもありません。
とはいえ、少子高齢化の進展から社会保障給付費な
どが大幅に膨れ上がることを予測し、過度な“バラ
マキ”は厳に戒め、「国民一人一人の夢や希望の実
現」と「国家(社会)として『富』の蓄積」の両目
標の同時達成に向けて、“個人の努力の必要性を促
し、努力の中に生きがいを見い出せる”ようなバラ
ンスのとれた「配分」を主眼とする「福祉の再定義」
も必要となることでしょう。
第4には、「変動する国際社会のもとでの日本の対
外構想を確立する」ことです。「安全」はもちろん、
食料やエネルギーなどのほぼ海外に依存している
「富」の分野においても、我が国は、将来にわたっ
て「国家として存立するための対外構想」には高い
優先順位を掲げて計画・実行する必要があります。
「頼りがいのある日本」をめざし(“孤立国・日
本”の存在感を発揮し)、本書でいう「大国間の協
調形成に尽力すること」「グローバルな課題に結果
を出す貢献をすること」「アジア諸国と深く交わり、
その不安定要因を抑制すること」などの提唱に異存
はありません。
前回述べたように、“自ら原則を立て、それに基づ
いて行動し、他国や他のアクターとも協力してい
く”という「自律」の重要性を理解した上で、「日
米同盟」をはじめ、」「クアッド」「自由で開かれ
たインド太平洋」などようやく“産声”を上げた枠
組みを一層深化する覚悟と「自律」の細部をしっか
り議論する必要があるでしょう。
第5に、「新しい『統治のかたち』をつくる」ため
の議論を推進することです。本書では、そのために
「安定した政権基盤を確立する」「官邸における外
交・安全保障戦略の司令塔を創出する」「戦略形成
の前提となるインテリジェンス機能を強化する」
「対外的な情報発信を刷新する」、そして最後に
「政治不信を克服し、有権者のオーナーシップ意識
を高める」として、国民の参加意識を高めるために、
NPOやシンクタンクなど政治と国民をつなぐ中間
組織の役割も重要であると結んでいます。
「戦略は統治を超えられない」という言葉も紹介し
ましたが、「国家戦略」を議論し、策定し、実行し
ようとすれば、現在の我が国の「統治のかたち」が
そこに“立ちはだかる障害”となる可能性は否定で
きないでしょう。
紹介しました『国民安全保障国家論』も、その終章
で「日本には『国家安全保障』という『国の形』が
ない。そして、その『国の形』をつくるのを阻んで
きた『戦後の形』がある」として、「『戦後の形』
のままでは日本は新しい時代の挑戦対応できない」
と訴え、新たに「国の形」を作る必要性を強調して
います。
私は、5つの指針の中で第5の「統治のかたち」の
議論が最も難しいと考えます。一方で、戦前戦後を
通じて一内閣の寿命が平均1.4年に満たないよう
な“現状”では、一貫した中長期的な「国家戦略」
の策定はおろか、導き出された国家目標に向かって
(たとえ、苦しくても)各種政策を推進し続けるこ
とは困難であることは明白でしょう。
「では、どうすべきか」については大議論を呼ぶこと
でしょう。しかし、ぜひともこのテーマまで踏み込
んで議論してほしいと願っています。
「国の形」についてはのちほど再び触れることにし
て、次回、「国家戦略」を総括し、その後に「ソフ
ト・パワー」のもう一つの要素である「国家意思」
を取り上げます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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2023/06/08
BGM: Speech - Ask Somebody Who Ain't (If You Think The System's Workin' ...)
思い出す……今から15年前の今日、この国で痛ましい事件が起きた。秋葉原通り魔事件だ。Discordでそのことを知って、改めてそうした事件が起きた背景について考える。もちろんぼくは殺人を肯定するつもりはまったくもってない。ただ、大げさかもしれないけれどぼくだって一歩間違っていればその犯人のようになっていたはずだ。いや、そう確信さえする。もしかしたら、過去のトラウマや今の劣等感を自分の中で消化したり乗り越えたりすることもできずにくすぶらせ続けて生きていたかもしれない。ぼくは今でも自分の中で、この世の中に確かな憎悪を煮えたぎらせて生きていた時期のことを生々しく思い出せる。世の中のあらゆる人が幸せな人生、あるいは自分よりもずっと裕福な人生を送��ているように思われて、そこから「どうして自分だけがいじめに遭ったり、こんなどん詰まりのような町で生きたりしなければならないんだ」と考えてしまったりしたっけ。みだりに殺人犯の心理をわかったつもりになるのは端的にはしたないことではある。ぼく自身、そうして動機を「わかること」(あるいは「わかろうと試みること」)と、そこから「実際に人を殺めること」の間にある距離について考えてしまう。
いつも書いていることだけど、ぼくはコロナ禍が始まった頃から(だから、具体的には今から3年ほど前から)英語でメモを書き始めるようになった。これは少しでも英語の練習にならないかと思って始めたことなのだけれど、今はかなりスムーズに英語が出てくるようになったと感じられて、「継続は力なり」という言葉の意味について改めて考えさせられてしまった。そして、そうして英語を学び続けることで自分の中で何が変わり続けているのかについても考えてしまった。ぼくの好きな映画『メッセージ』を思い出す。地球外知的生命体(俗に言う「エイリアン」だ)の言葉を解読することを試みる言語学者が、その読み解きの過程で否応なしに世界の認識のあり方を変化させられるという内容だったと記憶している。英語を学ぶことはぼくにとって、そうして「自分が依拠しているこの思考回路自体がドラスティックに変わってしまう」ことを意味する。でも、ぼくは果たして変わり続けているだろうか……前に向かって進めていればいいと思う。もっとも、この日記では確かにぼくは「十年一日」で同じことを書き続けているように思うけれど。
午前中、Facebookを通じてZOOMでの英会話関係のミーティングに参加する。そこでインドのメンバーから英語を教わる。話題はぼくの母語である日本語の話になり、そのメンバーが学んでいる日本語がネイティブのぼくたちから見てもいかに繊細で難しいかという話になった。そこから日本語と英語の違いについて話に花が咲き、そしてぼくや他のメンバーの個人的な���とがら(どこに住んでいるか、仕事は何をしているか)で盛り上がる。ホストの方もぼくのことを気にかけて下さって、その心遣いに感謝する。ぼくが「海外に行くとしたら、アメリカやイギリスに興味があります」と言うとそのインドの方から「インドもいいところですよ!」とおっしゃったので、ついついぼく自身が乏しい認識で「西洋」「ヨーロッパ」だけを海外と見なしていたことを反省してしまった。思えばインドについてぼくの中には何の知識もない。辛うじて知っていた、これまたぼくの好きな映画である『スラムドッグ・ミリオネア』の話をしたらよかっただろうかと思ってしまった(もっともこの映画が描くインドは紋切り型だという批判もあるようだけれど)。
夜、ZOOMで友だちとミーティングを楽しむ。春頃にこの町で行われた選挙の話から政治の話になり、あとはざっくばらんに雑談としてぼくが通う英会話教室や他のメンバーが参加する考古学関係のイベントの話をする。その後clubhouseで友だちが開いたルームに入り、先に書いた英語のメモの習慣の話をする……なんともまあ! ここ最近、こんなふうに英語関係のアクティビティが充実してきているのを感じる。とはいえぼくはただちに「英語は日本語よりクールだ」「英語こそ至上」と考えたくない。巷では「英語は単純な言語だから抽象的な思考能力を養えない」「いや、日本語こそ非論理的な言語だ」なんて極論が飛び交っているみたいが、ぼくはそんな言葉を信じたくない。ぼくはぼくなりに言葉を誠実に学んで、できるだけねばり強くていねいに考え続けたいと思っている……と書いて、なんだか我ながら「まじめすぎる」とも思ってしまった。軽やかに言葉を越境していくエンターテイメント精神、もっと言えば「道化師に徹すること」が必要なのかなとも思う。例えば、それこそ現在人気をかっさらっているとにかく明るい安村のように。
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6月8日のツイート
RT @itmedia_news: 杉並区、委託先サーバにランサムウェア攻撃 学童利用者のデータなど暗号化される www.itmedia.co.jp/news/articles/…
posted at 12:44:38
RT @ko81818: 変身スカイミラージュがおもちゃ大賞優秀賞をとった共遊玩具部門、ハンディキャップの有無によらず楽しめる配慮のある玩具に与えられる賞なんだね。 授賞理由読むと自分の気付いていない工夫がたくさんあって衝撃だった。 #precure #nitiasa #ひろプリ pic.twitter.com/Hcc5Wphpgu
posted at 12:44:20
RT @gerogeroR: 「私たちの言葉は差別じゃないんですよ!!!」じゃないくて「武器商人なんてゴミは差別されて人殺し呼ばわりされて当然で私たちは職業差別する!!!」ってはっきり言えばいいんですよ。
posted at 12:41:45
RT @gerogeroR: 東京新聞様「死の商人という言葉を使う是非は100年前からつかわれいる擁護だから問題ない」ってあたまおかしいのか。差別用語とか批判してるとき反論で「100年前から使われてましたよ」で納得するの? 単純に「武器商人でもなんて死の商人と呼ばれても仕方ない人殺しどもだ!!!」って言えばいいのよ pic.twitter.com/TZ8cJxqfqA
posted at 12:41:42
RT @wadamasamune: 参院法務委員会での入管法改正案の討論時に、東京新聞の望月衣塑子記者が何度も大声で言葉を発し、静粛な委員会進行を妨げた。 新聞記者が国会での法案の討論・採決を妨害する重大事案。 理事会協議事項となり、まず法務委理事会で対応を協議することになるが、東京新聞は社としてどう対応するのか。
posted at 12:41:10
道新公式では記事全文読めるのは会員限定だったが、Yahoo!ニュースに全文掲載されてた。
posted at 12:38:29
>同館の屋外敷地に静態保存している電気機関車「ED75」と「ED76」の変圧器に、PCBが含まれていることが判明した。処理するには一定の作業スペースが必要だが、2両の周囲には重機などを設置する広さの確保が難しいという。8月にも今の展示場所で解体し、変圧器も処分する。 news.yahoo.co.jp/articles/adea4…
posted at 12:36:06
正式発表。おめでとうございます。 >RT
posted at 12:08:08
RT @TomoyoKurosawa: 【ご報告】 この度、弊社所属女優の黒沢ともよが結婚したことをご報告させていただきます。 突然の発表で恐縮ではございますが、温かく見守っていただけますと幸いです。 今後とも、黒沢ともよを何卒宜しくお願い申し上げます。 2023年6月8日 東宝芸能株式会社 pic.twitter.com/aqIFaKThSB
posted at 12:04:22
RT @kaztsu: 2008年6月8日、日曜日の昼過ぎ、秋葉原・中央通りで通り魔事件が発生。歩行者天国をトラックで侵入しひとを跳ね、その後ナイフで無差別に通行人を刺して殺害していった事件。あれから十五年 pic.twitter.com/rUHU7TR0FP
posted at 08:42:05
RT @kamikitafutago: 💗おはようございます💗 キュアグレース/花寺のどか #ヒープリ #precure pic.twitter.com/UNo9SuwOcm
posted at 08:31:07
RT @usarin_marutama: 6月8日は「闇の日」。 田村ゆかりのいたずら黒うさぎ#7(2003年5月17日放送分)で、 「6月に祝日があったら」の流れで誕生した祝日。 この日を記念日とする方もいらっしゃるようです。 今年も闇入ろう!
posted at 07:33:11
RT @gerogeroR: ヒトラー「キャンセルされるべき側の民族が・・・・」 とか言ったら怖いやろ。なんでかリベラルは堂々というけど。 pic.twitter.com/AybVgXLqPZ
posted at 00:32:55
RT @gerogeroR: いや真面目に左派とかリベラルって「どんな思想や表現でも犯罪や個人の尊厳を棄損しない限りどんなものでもキャンセルされるべきではない」って言うべきだと思ってたんだが、「キャンセルされるべき奴らが・・・」とか新聞で堂々とリベラルを自称する教授が語るって狂気以外のなんなんです?
posted at 00:32:45
p-bandai.jp/item/item-1000… デパプリ以前の私服コーデも出しません?
posted at 00:15:01
RT @BANDAI_AP: 『ひろがるスカイ!プリキュア』のなりきり私服コーデ登場!! どっちを着ようかまよっちゃう…✨ お友達と一緒に着てもステキ♡ 7月お届けで予約受付中!↓ info.bandai-fashion.jp/news/detail.ph… ※準備数に達した場合、販売を終了させていただくことがあります。 #precure #ひろプリ #なりきり私服 pic.twitter.com/OltgNEfSUp
posted at 00:10:55
「地番」は法務局、「住居表示」は市町村が定めた表示。管轄が分かれてるから調査の為にたらい回��されまくった経験有り。
posted at 00:09:08
両親や祖父母が土地所有している場合、元気なうちに地番と住所については把握しておく事を強く薦めたい。相続の手続きで時間を取られない為に。
posted at 00:06:56
小樽市総合博物館にて2014年9月に撮影。ED75 501は車両修復中。ED76 509は室内にも入れたのだが。ED75 501は北海道電化のパイオニアだし歴史的価値あるのにな。 pic.twitter.com/TnAnNKHnXy
posted at 00:03:28
from TOJHO(@misttimes) - Twilog https://ift.tt/gBtfqxN via https://ift.tt/4iLEpWA
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『秋葉原通り魔事件』現場付近にあるお供え物をX民が「アキバの無料ドリンク」扱いにする → 大炎上
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元は母親が病弱で祖母に養育を任せ自分は勉強を強要する立場だったんだな。
結局秋葉原通り魔事件の加藤智大の母親と同じ毒親だったんだろう。
やはり母親なんてもんは二面性で三浦兄弟の場合みたいに我が子を海外にでも留学させるなり小学校卒業時点で寄宿制の学校に送るなりしたほうが良かった。
“■<東京・目黒>中学生が一家殺害 昭和63年7月8日、目黒区東が丘の会社社長(44)宅で1人息子の中学2年の少年(14)が寝ていた両親、祖母を包丁で滅多刺しにする事件が起こった。 午後2時に少年の通う目黒区立第十中学から届出があって判明した。午後3時53分、少年は逮捕された。事件は午前4時30分、かねてより私立高への進学を 強く勧め「勉強しろ」と言い、試験の成績で小遣いをゼロにするなどした父に不満を抱いていた少年が母に腹痛を訴えたところ邪険にされたため逆上して金属 バットで母を襲った。それを父が取り上げたところ少年は一旦、部屋へ戻り包丁を手に引き返して父を殺害、さらに電話をかけようとした母も殺害、2階に寝て いた祖母も殺害した。旅行中の祖父は無事だった。午前7時には少年は家の近くに友人を呼び出し事情を打ち明けたが信用されないため、凄惨な事件現場を見せ るなどしていた。この友人がクラス担任に相談して事件は発覚、少年は盗み出した20万円を使い切ったら自殺する積もりだったなどと供述した。”
— 誰か昭和を想わざる 昭和ラプソディ(昭和63年7~9月)
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蜃気楼の境界 編(五六七)
蜃気楼の境界 編(一二三四)から
「渦とチェリー新聞」寄稿小説
蜃気楼の境界 編(五)
界縫
正嘉元年紅葉舞い、青い炎地割れから立ち昇る。音大きく山崩れ水湧き出し、神社仏閣ことごとく倒壊す。鎌倉は中下馬橋の燃える家屋と黒い煙かき分けて家族の手を引きなんとか生き延びた六角義綱という男、後日殺生も構わぬ暮露と成り果て武士を襲えば刀を得、民を襲えば銭を得て、やがて辿り着いた河川で暮露同士語らうわけでもなく集まり暮らす。或る夜、幾度目のことか絶食にふらつき目を血走らせ六角義綱、血に汚れた刀片手に道行く一人の者を殺めようとするが、嗚咽を漏らし立ち竦みそのまま胸からあ��日の紅葉のごとき血を流し膝から崩れ落ちる。道行くその者、男に扮した歩き巫女だが手には妖しげな小刀、その去る様を地べたから見届けんとした六角義綱のすぐ背後、甚目寺南大門に後ろを向けて立つ闇霙(あんえい)と名乗る男あり。みぞれ降りだして、人とも呼び難いなりの六角義綱を一瞥し、闇霙���口開かず問いかける、そなたの闇は斯様な俗識さえ飼えぬのか。六角義綱、正嘉地震から甚目寺までの道中で妻を殺され、涙つたい、儂には女は切れん、と息絶える。その一通りを見ていた青年、六角源内、父を殺した女を浅井千代能と突き止めて敵討ちを企てるが、知られていたか検非違使に捕らえられ夷島に流され、以後誰とも交流を持たずに僻地の小屋で巻物を記したという。それから七五九年の時が経ち、二〇一六年、仟燕色馨を内に潜める二重人格の高校生市川忍とその同級生渡邉咲が、慧探偵事務所を相手に朔密教門前また内部にて些細な一悶着あった、その同日晩、奇妙な殺人事件が起こる。場所は百人町四丁目の平素な住宅区域、被害者女性、五藤珊瑚(三〇)の遺言は、残酷な苦を前に千年二千年なんて。戸塚警察署に直ちに捜査本部が設置され、その捜査とは別に警部補の高橋定蔵、市川忍の前に立つ。何故おれなんかに事情徴収を、と忍。事件当日、校門の監視カメラに映っていたきみが何か普段と違うものを見てなかったかと思ってね、若き警部補が爽やかに答え、それで市川忍、脳裏の人格に声を送る、一顛末あった日だ厄介だね。対し仟燕色馨、おそらくこの警部補、謎多き朔密教を疑っている、ならばこの事件あの探偵にも捜査の手が伸びる、ところで気づいているか探偵事務所の探偵に見張られている。
小料理屋点々とある裏通りの角に螺旋階段へ繋がるアーチ状の古い門を持つ築古スナックビルの入り口で刈り上げマッシュショートにゆるめパーマの少年のような青年がただ立っていると突然背後から強面の男がどこに突っ立っとんじゃと怒鳴ってきたので青年は冴え冴えとした眼差しで振り返り、幻を見てたんじゃないですか、俺はずっとこの位置でスマホを見てました、俺の輪郭と色、背後の風景と俺のいる光景をもっと目に焼きつけてくださ��。男は動転し不愉快な目の前にいる青年を忘れないようじっと食い入って見る。だが、その光景はすでに幻で、スマホを見ていた青年はもういない。走り去っていたのだ。朝のホームルーム直前にその青年、六角凍夏(むすみとうか)が現れ席につく。振り返り、後ろの席の渡邉咲に聞く、きみ、部活入ってるの。隣席美術部員中河原津久見が聞き耳を立てている。渡邉咲は初めて話しかけてきた六角凍夏が先々で勧誘しているのを知っていて、文芸部でしょ、と冷えた目を送ると、文化琳三部だよ、と。咲が琳三って何という顔で惑うと、清山琳三ね、俺らの界隈で知らぬ者はいないよ、とくるが、咲はどこの界隈の話なのと内心いよいよ戸惑う。だが、聞き耳を立てていた中河原津久見はピクシブなどで目にする虚無僧キャラねと気づくが話に加わらない。きみ、机の上の本、和楽器好きでしょ、清山琳三は気鋭の尺八奏者。私、渡邉咲、と口にしながら、尺八ね。放課後、六角凍夏は一人、文芸部部室の小さな教室に入って電気をつけるとドアを閉め、密室と成る。中央辺りの机に、鞄から取り出した古びた筒を置く。目を閉じる。刹那、周囲にぼろぼろの布団が幾枚とどさっと落ちてき動きだす。それは天明四年鳥山石燕刊行妖怪画集「百器徒然袋」に見られる暮露暮露団(ぼろぼろとん)だが現実に現れたわけではなく、六角凍夏の想像力は小さな空間で全能となり百器徒然袋の界隈と接続し、今回ならばそこに記された妖怪があたかも姿を見せたかのような気分になったのだ。密室に、江戸の布団の香りが充満する。ときに、異界からの香りが漂ってくることもある。翌、静かな夜、百人町四丁目にて更なる殺人事件が起こる。被害者は志那成斗美(四〇)遺言は、潔く煮ろうか。魔の香りも、又、此処に。
蜃気楼の境界 編(六)
五鬼
出入りする者らの残り香も錯綜の果てに幻影さえ浮かべる夜の街。串揚げ並ぶコの字カウンター中程で束感ショートの若い警部補が驚きのあと声を潜め通話を切ると手話で勘定を頼み、さっぱりとした面立ちの探偵仲本慧に目をやり、五鬼事件だがまだ続いていたと輝きの瞳隠せないながらも声を落とし去っていく。百人町四丁目連続殺人事件の犯人佐々木幻弐が第二被害者志那成斗美の最期の正当防衛で刺され意識不明のまま病院で死亡したという話、監視カメラから犯行も明確、第一被害者五藤珊瑚への犯行とも繋がり既に報道もされた直後の第三事件発覚。カウンターに残された探偵仲本慧、ビールを追加し面白い事件だが依頼がきてないから何もできないね、と奥に座る長髪黒はオールバックの男に突然話しかける。その男、串揚げを齧りながらチラと目線を合わせる。慧、ビールを飲み干し、隣に座っていいかなと距離を詰め、そっと名刺を置き、歓楽街案内人の市川敬済だね仕事柄我々は抜け目ない、聞き耳を立ててたね、という。黙す市川敬済に、優秀な探偵の知り合いは二人と必要ないかなと強い声で独り言のように笑みを送る。店内、音楽なく、静かに食す客、座敷からの賑わい。この辺りで、青島ビールが飲める良いバーを探してる客がいたなそういえば、と市川敬済、懐から名刺を取りだし横に並べる。直後、和柄のマフラーをしたギャル僡逢里が現れた為、仲本慧、名刺を拾い、勘定を済まし去っていく。お知り合いさんなの、と尋ねつつ座る僡逢里に、池袋の二青龍で今は探偵の男だ知ってるか、と尋ね返す。誰よ、テリトリー渋谷だったし、今日はいないの。暗に警部補のことを口にする。僡逢里の耳元で、まだ続いてるらしい千代女のママ心配だな。食事の注文をしながら僡逢里、出勤前に縛られたい、と呟く。夜十一時、一人になった市川敬済の前を男女が横切る。片方の男が枯淡の趣ある着物姿でありながら凍風をただ浴びるがごとく静かであったため変に気にかかるが、気にするのをやめて電話をかける。あら敬済さん、と通話先、青藍に杉の木が描かれた着物の女、さっきまで警部補さんがいらしてたのよ、お店は営業してません、今朝三人目の不幸がありまして五鬼も残すところ二人なの。語るは浅井千代女である。
遥か彼方より朗々と木曽節が諏訪太鼓と絡まり聞こえる、それは五年前の、冬の宵、一人の女、吉祥寺の麻雀ラウンジ千代女の開店準備中、六人の女達を前に、肩に雪積もり震えている。浅井千代女が側に近づき、貴女の血に刻まれし鬼の禍、憎しと思うなら、受け継がれし技術でお金に変えて楽園を造るのよ、弐宮苺(にきゅういちご)の源氏名を授けるわ、そちらの西クロシヤ(五〇)引退で貴女の席があるの。語りかけてきた浅井千代女を取り囲む五人の女達、五鬼を見る。はい、と涙流し、生まれて初めての愉しい月日流れ、今、浅井千代女の周りに残る五鬼はその弐宮苺(三〇)と柵虹那奈(さくにじなな、四〇)だけだ。今朝殺害された紫矢弥衣潞(しややいろ、五〇)の遺言は、一路ゆくは三人迄。殺害現場で弐宮苺は両拳固く握りしめて言う。千代女さまを死なせはいたしません、次はこの私が千代女さまの匂いを身につけ犯人を誘いだし返り討ちにしてやります、これまで通り千代女さまは、五鬼にはできない私達鬼の禍の力を強める祈祷にどうか専念してください。浅井千代女の頬に涙が伝う。紫矢弥衣潞の形見の側に六歳の娘が一人。この災い突如訪れ、犯人の心当たりなく、志那成斗美が相打ちにし病院で死亡したという佐々木幻弐が何者なのかも分からない。不気味であったが浅井千代女は思う、そもそも私達がこの現世において得体知られていない存在なの、それに。相手は私達より強い、と震える。市川敬済に連絡を入れる。丑三つ時に市川敬済が女と帰宅、玄関騒がしく、津軽塗の黒地に白い桜が控えめに描かれた高さ一尺程のテーブルに女が横たわる音がする。自室でスマホを触っていた高校一年生の市川忍、悠里と帰ってきたのかあの女嫌いだな、と不機嫌になる。脳裏から仟燕色馨の声、きみの父だが今着信があり通話している。女といるのに別の女と喋ってるのそりゃあ母も出ていくよ。連続殺人の件だ探偵仲本慧の名前も出ている。いつも大人達は都合で何か企んでいて不快だよ。翌日、暑し。ホームルームの前に近寄ってきた同級生渡邉咲が、低血圧以外の何物でもないローテンションでいつもより元気な声で市川忍に話しかける。事件は解決してなかったのよ、貴方のお知り合いの探偵、仟燕色馨の出番じゃない?
蜃気楼の境界 編(七)
境迷
昼か、はた、ゆめの夜半にか、北原白秋「邪宗門」の一節に紛れ込んでいた六角凍夏は国語教師茨城潔に当てられて、地獄変の屏風の由来を申し上げましたから、芥川龍之介「邪宗門」冒頭付近をちらと見、朗読し始めるが、正義なく勝つ者の、勝利を無意味にする方法は、いまはただ一つ、直ちに教師が、むすみその「邪宗門」は高橋和巳だ、遮ってクラス騒然となる。六角、先生、界をまたぐは文学の真髄ですと逸らす。教室の窓から体育館でのバスケの授業を眺めていた市川忍に、脳裏から仟燕色馨の声、百人町四丁目連続殺人事件、慧探偵事務所の手にかかれば一日で解決する探偵はあの少女が呟く数字で結論を読みとるからだ朔密教での一件はそういう話だっただろう。それじゃあカジョウシキカ勝ち目が。否あの少女がいかなる原理で数字を読むか今わかった。その時、教室の背後から長い竹がぐんと伸び先端に括られた裂け目が口のごとき大きな提灯、生徒らの頭上でゆらゆら揺れる。「百器徒然袋」にある不落不落(ぶらぶら)を空想した六角凍夏の机の中に古びた筒。不落不落を唯一感じとった仟燕色馨、市川忍の瞳を借り生徒らを見回す。何者だ。その脳裏の声へ、何故だろう急に寒気がする。界か少女は先の「邪宗門」のごと��数多の界から特定している市川忍クンきみはこの連続殺人事件どう思う。昨夜の父の通話を聞くに麻雀ラウンジ千代女のスタッフが四度狙われるから張り込めばだけど犯人佐々木幻弐死んでも事件は続いたし組織か警察もそう考えるだろうから現場に近づけるかどうか。吊り下がる口のごとく裂けた提灯に教師も生徒も誰も気づかず授業続く。休み時間スマホで調べた麻雀ラウンジに通話。まだ朝だ、出ないよ、休業中だった筈だし。仟燕色馨は通話先を黙し耳に入れ続ける。浅井千代女らは、魔かそれに接する例えば鬼か、ならば逞しき彼女らが手を焼く犯人も、人ではないと推理できよう恐らく一人の犯行による。驚き市川忍、犯人が死んだというのに犯行は一人だって。きみは我が師仟燕白霞のサロンで幼少時千代女と会っていたことを忘れたか父と古く親しい女性は皆その筋だろう。側に、一人の同級生が近づいていたことに突然気づき、晴れてゆく霞、市川忍は動揺する。渡邉咲が、不思議そうに見ている。
柵虹那奈、と雀牌散らばりし休業続く麻雀ラウンジで浅井千代女が呼びかける。はい千代女さま。志那成斗美あの人の槍槓はいつだって可憐で美しかったわ、五藤珊瑚あの子の国士ができそうな配牌から清一色に染める気概にはいつも胸を打たれていたわ、紫矢弥衣潞あの方の徹底して振り込まない鬼の打ち筋には幾度も助けられたわ、三人とも亡くしてしまった、弐宮苺は私達を守ると意気込んでいるけどあの子を死なせたくないの。ラウンジを出て一人、浅井千代女は市川敬済から聞いた池袋北口の慧探偵事務所へ出向く。雑居ビル、銀行かと見紛うばかりの清潔な窓口が四つあり小柄の女性職員田中真凪にチェックシート渡され番号札を機械から取り座る。呼ばれると先の職員の姉、同じく小柄な三番窓口女性職員田中凪月が青森訛りで対応するがシート見てすぐ内線で通話し真凪を呼び千代女を奥へ案内させる。無人の応接間は中国人趣味濃厚で六堡茶を口にしながら十分程待つと仲本慧現れ、異様な話は耳にしている我が慧探偵事務所に未解決なしさ安心して、笑顔に厭らしさはない、依頼費は高くつくけどね。千代女は私達に似てるわと思う、職員は皆日本人名だが大陸の血を感じる、理由あってここに集い共同体と成っている、市川敬済とは昔SMサロン燕(えん)で業深き運営者は仟燕白霞に紹介された、世俗の裏側で通信し合うルートで辿り着いた此処は信用できる。受け応えを記録する仲本慧に着信が入り中国語で喋りだす。六堡茶を喉へ。探偵職員二名曰く、監視対象の市川忍が���退し校門前で謎の探偵仟燕色馨と通話していたという。仟燕色馨が仲本慧に仕掛けた誤情報だが、千代女を上海汽車メーカーの黒い車に乗せ吉祥寺の麻雀ラウンジへ。市川敬済はその謎の探偵にも件の連続殺人事件を探らせているのかなぜ子の市川忍が連絡を、空は雲一つない、SMサロン燕は五年前の二〇一一年に閉鎖し今は仟燕家のみその調査は容易ではないが必要かすぐ崔凪邸へ行くべきか。麻雀ラウンジのドア、鍵開き、僅かな灯火の雀卓で盲牌していた柵虹那奈、差し込む外光より、冷気識る。現れるは、病室で死に顔さえも確認した、佐々木幻弐である。上海汽車メーカーの黒い車は崔凪邸に着く。少女崔凪は、使用人二人と土笛づくりをして遊んでいる。
by _underline
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「渦とチェリー」チャンネル
【音版 渦とチェリー新聞】第27号 へ続く
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仟燕色馨シリーズ 全人物名リスト
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