#悪女は砂時計をひっくり返す
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oka-akina · 1 year ago
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0721
 昨日は財布とスマホを忘れて労働に出かけてしまった。気づいたのは電車の中で、あちゃーとは思ったけどまあでもパスモ(クレカと一体型のやつ)があるからべつに平気だなと思ってすぐあきらめた。待ち合わせの予定とかもなかったし。こういうときに限って何か緊急の連絡が…とはちょっと思ったけど、一月に義父が亡くなったばかりだからしばらくそういうことはあるまいと思った。またそういうことがあるかもとはあんまり考えない。こういうのって性格なのかな。誰からも何も来ないに千円と頭の中で賭けた。  つまりわたしは労働に遅刻しないよう、わざわざ引き返さなくたって平気だと自分に言い聞かせているのだろうかとちょっと思った。そんなに遅刻をおそれているのか。ちょっとくらい遅刻したって気にしない感じの方がいいのになと思う。自分も周囲も。わたしは電車とか待ち合わせとか映画の上映開始時間とか、いつもいろんなことがギリギリで、ギリギリまで仕度ができないタイプなんだから大手を振って遅刻しちゃえばいいのに毎度バタバタ走って大汗をかいている。悪あがき。一生こうやって走っているんだろうかとときどき恥ずかしくなる。
 さっき電車に乗り込むとき、ホームと電車のすきまに靴を落としてしまった人がいた。すきまにかかとを引っかけて転んでしまったようで、一瞬迷ったけどわたしも電車を降り、大丈夫ですかと声をかけた。このときはまだ自分が財布とスマホを忘れてきたことに気づいていないのが、なんか昔話の正直者っぽいムーブだな……。人助けってほどのことでもないけど、うっかり者で正直者のなんとか太郎的な。  でもそんなんではないな、昔話の無償の正直さではないな。自分も乗りたい電車に遅れそうでしょっちゅう走っているタイプだから味方したくなったってだけかもしれない。自分ももうずっと前、学生時代、靴をホームのすきまに落としたことがあって、東中野の駅で足を踏み外して体ごと落っこちかけたのを近くにいた人がすぐ引っ張り上げてくれた。そのときは演劇のフライヤーを業者に届けに行く用事でかなり重たい紙袋を持っていた。よく引っ張ってもらえたなと思った。そういう善意の循環……みたいなことを考えるとなんかちょっと気味が悪いような気もする。これはわたしがひねくれているだけかも。  転んだ人は声をかけられてかえって恥ずかしいかもしれないと思って、駅員さんが来るまでなんとな���近くで見守り、駅員さんはすぐ来たので車輌ひとつぶんくらい離れたところに移動した。そして、電車一本くらい見送ったっていいや、多少遅刻してもいいやという判断をした自分に酔っていないか?みたいなことも思った。多少の遅刻は気にならない自分をやりたかったんではないか。なんだか心臓がばくばくし、さっきその人が転んで尻もちをついたとき、プリキュアみたいな絵面と一瞬重なった。スカートが広がった感じと手に握ったままのハンディ扇風機がなんか魔法少女みたいだなと思った。それがうしろめたくて声をかけたのかもしれない……とかも考えた。  なので財布もスマホも忘れてきたと気づいたときちょっとほっとした気持ちもあった。慣れない善意のようなことをしたからそれと釣り合いがとれているような気がした。バチが当たるの逆みたいな。
 そういうことを考えていたら電車はすぐ着いて、財布もスマホも持っていないのに水筒と読みかけの本は持って会社に出かけるのなんか優雅だな…と思った。あとタオルと日傘と飴。リュックの中で水筒の氷がカラカラ鳴って、このごろ水筒には冷たいお茶を入れているから、歩くたび遠足の子どもみたいな音がする。  読みかけの本はレアード・ハント『インディアナ、インディアナ』。柴田元幸訳。柴田元幸だから読んでみるというのは武豊が乗るから買っておくみたいな感じ? わかんない。インディアナ〜は難解な小説ではないと思うんだけど、ゆっくり読まないとすぐなんだかよくわからなくなる小説。もうあと少しで読み終わるんだけど、読み落としているところがたくさんある気がして行きつ戻りつ読んでいて、今はもっかい最初からゆっくり読み直している。 「ヴァージルの死ぬ間際にノアはもう緑の印は見つかったかとヴァージルに訊いて見つかったならどこにあるのか教えてくれと頼んだがヴァージルは長いあいだノアの顔を見てそれから眠りに落ちそれから目ざめてノアの顔を見てそれからまた眠りに落ちた。」だいたいこういう感じ。辛抱強く話を聞くみたいな小説で、いつかこういうの書きたいな、書けたらなあと思う。このそれからが3回続くの、自分だと書くのに勇気がいると思うし、書いたとしても書いたぞってあざとさが出てしまう気がする。
 お昼は会社の横に来ていたフードトラックでタコスを食べた。パスモで支払えた。白いタコスには鶏肉、ピンクの生地には牛肉の赤ワイン煮込み、黒っぽい生地にはサボテン?を何か和えたやつ。三個入り。キウイのサルサが辛くて美味しかった。スマホを持っていたらぜったい写真を撮っていたなと思った。  並んでいるとき、トラックに据えた鉄板の火が消えてしまったようで店の人が五分くらい格闘していた。しばらくチャッカマンをカチカチやっていたけどたぶんチャッカマンも燃料切れのようで、ぜんぜん火がつかない。ライターでやろうとしてなかなかうまくいかず、昼休みの五分くらいってけっこう長く感じるしかなり人も並んでいたんだけど、その人はまるで焦らず黙々とやっていたのですごいなーと思った。焦りが顔に出ないタイプなだけかもしれないけど。べつに誰にも謝らず、普通に注文を受け普通にタコスを包んでとやっていて、そうだよなあと思った。
 労働を終えまっすぐ帰宅したらスマホにはやはり誰からも連絡は来ていなくて、千円勝ったと思った。千円くらい何か食べようと思った。わざわざ夜出かけるのめんどくさいなとは思ったけど、金曜の夜でほんとは寄り道したかったのだから出かけたい気持ちが勝った。  ぶらっと出てみたらいつもより涼しくて、どこまでも散歩できそうな気持ちのいい晩だった。ぶらぶら歩き、なんとなく電車に乗っていた。夜だから上り電車は空いていて、定期圏内の、でもあまり降りる用事がない駅のちょっと歩いたところにある中華料理屋というか定食屋というか、カツカレーが美味しいらしいので前から行ってみたかった。ふだんぜんぜん用事のない、買い物に行くような街でもない、誰も知り合いもいない駅。ここでわたしが何か交通事故とかにあって死んじゃったりしたら、なんであんなところにいたんだろうと家族は不思議に思うんだろうな……とあまり行かない場所に出かけるたび思う。  駅を降りたら書店があったので覗いてみた。雑誌と漫画と学参の棚が大きい、ちょっと広めの店舗の懐かしい感じの書店。気になっている本のリストを頭に浮かべながら物色し、目当てのいくつかは置いていないようだったけど、そういえばしゃしゃさんの本が今日発売日じゃなかったっけと思って探した。『蒼き太陽の詩』。1,2巻は棚に差してあったけど今日発売の3巻はなかった。レジに持って行って、これの3巻もありますかと尋ねたら奥から出してきてくれた。ラスト一冊でしたと教えてくれた。あっ善意と思った。カツカレーを食べながら読んだ。  『蒼き太陽の詩』は、アラビアンファンタジーというのかな、双子の王子が国王の座をめぐって殺し合う……というワクワクハラハラする物語。砂漠の王国が舞台の大長編で、読みやすくてぐいぐい進んだ。『インディアナ、インディアナ』を読んでいたから余計にそう思うのかも。壮麗な織物みたいな物語で、読んでいるとキャラクターたちの声が聞こえてくるし人や周りの風景が目に浮かぶ。生き生きとしている。これアニメになったらいいなーと思った。赤将軍のユングヴィはファイルーズあいさんがいいな……。
 カツカレーの店は、客はわたしだけで、店のおじいさんは座敷でテレビを見ていた。テーブルにハイボールのコップとつまみがいくつか並んでいて、わたしが来たのでおじいさんはちょっと慌てたようすで、でもにこやかに注文をとってくれた。すっかりすり減った畳が赤くなっていて、ちょっと緊張した。あまりきれいでない状態に緊張するのもあるし、よそものが入ってきてすみませんみたいな緊張感もある。テーブルはきれいに拭かれていた。揚げたてのカツが大きくて、油と肉汁がジュワッと溢れてきてすごく美味しかった。カレーは濃くて、柔らかくほぐれた牛肉もけっこう大きいしたくさん入っていた。たしかにうまい。がつがつ食べるうちにだんだん体のこわばりがほどけた。  テレビの音がものすごく大きくて閉口したけど、カツを揚げ終えたおじいさんが汗をぬぐいながら夢中で見ているのがなんかよかった。『チコちゃんに叱られる』というやつ?初めて見た。音が大きいから見てしまう。ボーッと生きてるんじゃねえよってこれかと思った。Vtuberっぽい。おじいさんが何度もはははと笑った。どうしてゴルフボールの表面にでこぼこがあるのかというのをとても真剣に見ているので、ひととおり解説が終わるのを待って会計を頼んだ。
 家に帰ったら板垣さんがツイッターでスペースをやっていたので、洗い物や洗濯物などを片付けながら聞いた。どうやら同じ大学出身だったことがわかって思わず話しかけてしまった。一日いろいろカラフルでなんか気持ちが興奮していたのか、やけにたくさんしゃべってしまって、恥ずかしくなって寝た。文フリの話とか小説の話。  千葉雅也『エレクトリック』、わたしは父親がエロいのがいいと思った。と言ったんだけど、なんていうの、エロいって言い方はちょっとちがう気もするんだけどエロく書くことのすごさがあってそれをそう受け取りたいというか……。これは『サバービアの憂鬱』で読んだんだったかな、「男性は会社(仕事)に嫁ぐ」というのを思い出したの。大場正明『サバービアの憂鬱 「郊外」の誕生とその爆発的発展の過程』。うろおぼえだからちょっとちがうかもだけど、男性が会社(仕事)に対して「嫁」になってしまう、みたいな。父親の人妻的な感じ。そういうエロさ。舞台の宇都宮も郊外(サバービア)だなと思った。そしてそういう小説の、文章自体がヘテロでない感じがあって、すごくよかった。多くの小説の文章が意識的にも無意識的にも備えている、当然の「調べ」みたいなものがあんまりない文章だと思った。
 『エレクトリック』の前後で読んでいた、数年前の文藝賞の作品が、なんかこうすごくどヘテロだったのもあってそう思ったんだと思う。ヘテロが悪いわけではもちろんないけどよくもわるくもどヘテロ、ザ・調べという感じで、この作品のどこらへんがわたしは苦手だったのかを語ろうとすると、そこに糸口があるみたいな話。  なんていうの、村上春樹に文句言ってる場合じゃないく���い若い作家の新しい作品がめちゃめちゃ古いジェンダー観で、読んでいて作品の面白さとかすごさはわかるような気はしたんだけど、でもこれをよしとするんだなあ、帯に誰々氏が激賞と書いてあるけどそうなんだ?!みたいな驚きは、やはりあった。ジェンダー観もそうだし、地方や精神障害者への偏見を強化するような感じもあって気になった。「壮大な作品」「圧倒的な熱量」「知識と想像力を駆使し」と帯に書かれていたけど、わたしは読んでいて小ささや狭さの方が目についた。  いやわざとそう書いている、いかにもなステレオタイプをやることに意味がある作品なんだろうとは思った。仕掛けというか。でも意味があるんですよと書くずるさというか……。ステレオタイプをなぞり続けたい、そのようにして書けるものに作家は意味を見出したいし、どうしても興味がある。それってフェチではあるよなあと思うんだけど、ステレオタイプをフェチと指摘されることってあんまりない気がする。  偏見の強化によって生まれる痛み、それを感じない場所に作家は立っていて、痛みを感じる人のこともあまり見えない。いや見えてはいるかもしんないけど、自分の書くこの作品とはさほど関係ないと思っている? それは別の作家、何かそれにふさわしい属性を持った作家がやることであって自分の作品では関係ない。おそらくは無自覚な特権があり、特権って言うと反発したくなると思うけど……みたいなことを思って、うーーんとなった。やつあたりかもしんないけど。作品名出さずに書いてるからなんのこっちゃって感じだ��思うけど。  まあ小説ってそんなに読まれないんだろうなと思った。読む人そんなにいないから、これのここってどうなのみたいな話題にのぼることってあんまりない。漫画とはそこがちがう。あとまあわたしが純文学、文芸誌とその賞にそれなりに夢をもっている(もっちゃっている)ふしはあるな…。
 そしてこの作品の直後にC・パム・ジャン『その丘が黄金ならば』を読んであーーーこういうのが好きだ〜〜と思って、なんかそういう不満のようなものはふっとんだ。大きい。大きい小説。こういうのがいい。小さい小説がだめなわけではぜんぜんないけど、大きい話を書こうとしたものが狭苦しく感じられるのはやはりつらい。あと長さもよかった。四六版で384ページ。父親が亡くなり子どもたちが埋葬の旅に出る…という筋書きで、本のけっこう前半で埋葬は済んじゃう。その後が長いのがよかった。純文学系の賞はちょっと短いのかもしれない。「自分の書くこの作品とはさほど関係ない」と書いたけど、まあだって短いもんなー。読む人にも書く人にも。この長さの話はもうちょっと掘り下げたい。日記に書きたいことっていろいろあるな。長くなったのでまた今度。
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gupaooooon · 1 year ago
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NoBarbenheimer
今回の件、原爆投下/原水爆をミーム化/ネタ化する動きの加速に対して。フェミニズムな作品であることがとても楽しみだったバービーの……“公式アカウント”が乗っかっていたという事実。そのショックについて。自分も抗議を送ったりTwitter/Tumblrでタグを使ったひとりですが、
「日本のみ」が被爆国ではないし、「日本人とされれる人々のみ」が被爆被害者ではない。
凡ゆる国と地域で被爆被害があり、凡ゆる国や地域の人々が、被害者が、世界中にいること。
“戦争被爆国”としての日本においては、戦時下で、軍国主義/差別主義の中で更に更にマイノリティとして虐げられた人々が、植民地支配/強制連行による被害者や、捕虜として収容されていた人々が、沢山、犠牲になっているし、その後も苦しみ続けている。日本/政府による迫害と差別に晒されている。その存在が、事実が、���史が、蔑ろにされ続けている。
原爆/原水爆の犠牲者が、被害者が、いまも、世界で、さまざまな場所で、苦しみ続けていること。その歴史について。
それらを踏みにじるような言葉も、それらについて誤った認識を与える言葉も、Twitter上では多く(差別主義者/ネトウヨ/極右なども、バービーという作品そのものとそこにあるフェミニズムや多様性に対する一方的な揶揄/叩きや、韓国へのデマ/ヘイトや、他の悲惨な歴史や事件を更にミームにして茶化し出すという……醜悪な最低最悪な行いをぶち撒けながら、この抗議タグをTwitter上で利用してきていることもあり、)かなり蔓延してきてるようなので。
Twitterで今回自分がRTさせて頂いた……さまざまな方々が紹介していた記事やアーカイブ/今までTwitter上で自分がRTしてきたり引用してきたりした記事なども、自分用と兼ねて、いくつか、改めて、此方にも引用してみます。
また、再度、強調したいのですが、
日本は、今なお、戦争責任/加害の歴史に向き合おうとしない。戦争の責任と記録と歴史を忘却し、捻じ曲げようとする歴史修正主義が、まさにいま、どんどん勢いを増し続けている現状。核廃絶について背を向けるばかりか、核武装について“柔軟な議論”などとほざいて嬉々として語り出す連中が、差別主義者の糞どもが、万年与党であること。
そこを無視することこそ、恐ろしいことで、忘れてはならないこと。(これもほんと繰り返しだが、この現状だからこそ、戦争/核を軽視しないための抗議の責任があること、強調したい)
・日本だけではない、被爆国
「核兵器を開発するためには実験が必要です。1945年、アメリカのニューメキシコ州で世界で初めての核実験が行われてから、これまで2,050回以上の核実験が行われきました。
アメリカはネバダ砂漠や太平洋でロシアはカザフスタンや北極海で、イギリスはオーストラリアや太平洋の島国で、フランスはアルジェリアや南太平洋の仏領ポリネシア・タヒチで中国は新疆ウイグル自治区で実施しました。ワシントンや��スクワなどの大都市から遠く離れ、多くの場合は植民地や先住民族の暮らしている土地でした。(川崎 哲「核兵器はなくせる」、岩波ジュニア新書、2018)」
・Hiroshima and Nagasaki: A Multilingual Bibliography
「ABOUT US: The Aim of Our Project
In 2014, a year before the 70th anniversary of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, we started our survey and research into the multilingual publication of atomic bomb literature. Our goal is to make a comprehensive survey into the process of worldwide acknowledgment of Hiroshima and Nagasaki for 70 years.」
・外国人戦争犠牲者追悼核廃絶人類不戦碑
「この戦争の末期、長崎では数次にわたる米軍の空襲、潜水艦攻撃、そして八月九日の原爆 によって七万余の日本人、数千の朝鮮人、中国人労働者、華僑、留学生、連合軍捕虜(イギ リス、アメリカ、オーストラリア、オランダ、インドネシア等)が犠牲となった。
特に浦上刑務所のあった隣接する丘では、三十二名の中国人、十三名の朝鮮人が、日本人 受刑者とともに爆死し、また香焼や幸町の捕虜収容所では、被爆前に病気や事故などによ って数百名の連合軍兵士が死亡した」
「碑の建立に力を注いだのは、戦時中に収容所の職員だった田島治太夫さん(九九年死去)。一緒に運動した鎌田信子さん(72)は「日本人だけでなく、多くの外国人が犠牲になったことを知ってもらいたい」と語る。」(2005/07/15 掲載記事)
・被爆2世、女性として直面した複合差別 ――「韓国のヒロシマ」陜川から
「2023年2月7日、被爆者の援護を定めた法の対象外となっているのは不当だとして、被爆2世が国を訴えていた裁判の判決が広島地裁で言い渡された。「不当な差別とは評価できない」などとして、原告の訴えは棄却された。被爆2世に対しては、厚生労働省が定めた要綱に基づく健康診断が実施されているものの、がん検診はそこに含まれず、各種手当の交付なども受けられない。」
「原爆被害に加え、それ以前からの植民地支配に翻弄されてきた韓国人被爆者の次世代も、「線引きの外側」に置かれ、公的な支えを受けられずに生きてきた。」
・80歳を過ぎて語り始めた被爆体験――福島へ手渡したい思いとは
「切明さんの話は、「あの日」から始まるのではなく、軍都「廣島」の話から始まる。
「広島は今、平和を守ることや、核兵器廃絶を掲げていますが、77年前までは軍国主義の街でした」
切明さんが国民学校2年生の時、満州事変が起きる。広島城の周辺には陸軍の師団が置かれており、宇品港は中国大陸や、その後の東南アジアの国々侵略のための出発港だった。」
・「存在しない」とされた残留放射線、内部被ばくの被害を認めない政府
「こうした政府の態度の根底にあるのは、残留放射線による内部被ばくの否定だ。放射性物質を体内に取り込む危険性から目を背ける、その姿勢の源流を知るためには、日米の歴史を紐解く必要がある。
『原水爆時代〈上〉―現代史の証言』(今堀誠二)や 『核の戦後史:Q&Aで学ぶ原爆・原発・被ばくの真実』(木村朗、高橋博子)でも示されているが、原爆投下から1ヵ月後、マンハッタン計画の副責任者であるトーマス・ファーレル氏は、下記のような声明を発表したとされる。
「広島・長崎では、死ぬべきものは死んでしまい、9月上旬において、原爆放射能の余燼ために苦しんでいる者は皆無だ」
残留放射能が存在しないとした理由について記者からの質問を受け、ファーレル氏は「相当の高度で爆発させた」ことを挙げていた。
なぜこうした声明を出すに至ったのか。『核の戦後史』の他、『封印されたヒロシマ・ナガサキ』などの著者でもある奈良大学の高橋博子教授は、占領を円滑に進める必要がある米国側の意図を指摘する。
「声明には、原爆投下が国際法違反であることを否定し、広島を取材した連合国軍記者による報道を打ち消す狙いがあったと思われます」 」
「 「日本政府は核兵器の残酷さや非人道性を訴えるどころか、その“威力”を重視し、原爆攻撃をした米国と一緒になって、核兵器の有効性を世界に向けて訴えてきたといえます。核の“パワー”の肯定的イメージを拡散してきた、世界に対する責任は重いと思います」 」
・«さもしいといって下さいますな» 福田須磨子さんの思い 原爆を背負って(30)
「 《何も彼(か)も いやになりました 原子野に屹立(きつりつ)する巨大な平和像 それはいい それはいいけど そのお金で何とかならなかった���しら “石の像は食えぬし腹の足しにならぬ” さもしいといって下さいますな 原爆後十年をぎりぎりに生きる 被災者の偽らぬ心境です》
 1955年8月、被爆詩人・福田須磨子さん=74年に52歳で死去=が詠んだ詩「ひとりごと」です。須磨子さんは23歳のとき、爆心地から1・8キロ地点で被爆。高熱や脱毛など後遺症に苦しみ、紅斑症にもかかります。身体的、精神的苦痛と生活苦にさいなまれる日々…。3千万円の巨費を投じて造られた平和祈念像を見て、この詩を詠みました。」
・問われる空襲被害者の戦後補償
この記事は2020年放送のNHKスペシャル「忘れられた戦後補償」を下地にした2021年放送のクローズアップ現代の記事です。もとのNHKスペシャルを記事化したページは……もう削除されてしまい、この別番組の記事しか残っていない状況です。
被爆被害とは違った話なのですが、日本が戦後も、ずっと、いかに、国内外問わず、戦争責任に向き合っていない国であるか。民間人/市民を切り捨て、権力者/軍部を優遇してきたか。それがわかりやすい記事のひとつとして、引用します。
以下はNHKスペシャルの特集記事から当時引用した文面です。
「大将経験者の遺族には、戦犯であっても、兵の6.5倍の補償を実施。閣僚経験者に対しては、現在の貨幣価値で年1000万円前後が支払われていた。その一方で、旧植民地出身の将兵は、恩給の対象から外された。」
「国家が総動員体制で遂行し、破滅への道をたどった日本の戦争。犠牲となった民間人は80万人。戦後、国家補償を求めた民間被害者の訴えは一貫して退けられてきた。」
「ドイツやイタリアと違い、軍と民の格差が時代とともに拡大していった日本の戦後補償」
(しかしNHKの戦争責任を問う特集関係の読みやすいWEB記事や記録は……数年しか残さない、消されてしまうし。オンデマンド配信に��て入る訳ではないようだしで。戦争の真実シリーズの731部隊の特集の書籍化は何年も延期が続き、今年やっと……出版されそう……?である現状(何かしらの検閲を受けていないかが、不安である)、本当に不気味で、最悪だ)
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xf-2 · 1 year ago
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住民の間で、クルド人の評判は悪すぎる。何も悪いことをしていない普通の生活を送る日本人が、勝手に居着いて問題行為���繰り返す外国人、この場合はトルコ国籍のクルド人に迷惑行為を受けて、恐怖、憤り(いきどおり)を感じている。これをおかしい、止めなければならないと、思わない日本人はいないだろう。
9人の意見を上下に分けて掲載する。掲載で連絡が取れなかった人もいるので、修正、削除などが必要な方は、ご一報いただきたい。また身元を明らかにしないなどの配慮から、事実の改変や修正をした部分が少しある。
そして外国人による迷惑行為は移民を拡大する岸田政権の下で、日本のどの地域の人も直面しかねない問題だ。読者の方は「明日は我が身」として、この問題を考えてほしい。日本政府、埼玉県、埼玉県警は国民を守らない。一体何をやっているのか。
目次
女性が拉致の恐怖に直面する
止まない車の暴走行為
日本人を「ヘンナガイジンガイル」と威嚇する子供
公園で放尿、脱糞する幼児
女性が拉致の恐怖に直面する
【20代、女性、大学生、川口市在住、メー��】
父の転勤で川口市に高校2年の時から住んでいます。高校は変わりませんでした。引越しした直後に土曜日と週2日ぐらいの約束で、お小遣いのために、××(川口市内の地名)のコンビニで、アルバイトで働くことにしました。3年前(2020年)のことです
当時、街を歩くと中東系の人が多いな程度の感じでしたが、ネットで全く情報がないため、彼らがクルド人ということを知りませんでした。親も街の状況をよく知りませんでした。昼間は彼らの姿は今もあまり見ません。バイト初出勤の時に中東系の男たちが駐車場に集まっていて、気味悪いなあと思いました。そのうち数人が私の方をジロジロ見るのです。新型コロナが流行中でしたがマスクをしていませんでした。
そしていきなりお酒を買いにコンビニに入ってきて、2人が私に「トシハ」「ドコスンデルノ」とレジに立っている私に聞きました。酔っ払っているようでした。日本語は下手でした。私は会計だけを処理して会話をしませんでした。
高校生だったので、6時に勤務時間を切り上げることになっていました。仕事が終わり、自転車で外に出て少し走ると、横に白い乗用車が停められ、一人の男が車を降りて、前に立ち「コンバンワ」と話してきました。車には一人乗っていました。つけてきたのでしょう。おそらく、バイト先で見た男のようでした。前に男がいて右に車があり、横は原っぱで、動けない状況になりました。
秋だったので、すでに日は落ちて暗かったです。私は怖くなって「誰か助けて」と大声で叫びました。すると日本人の運転する車が止まって「どうしましたか」と、窓から顔を出して、声をかけました。2人は「ナンデモナイヨ」と言って、車に乗って走り去りました。私は運良く助かりましたが、もしかしたら拉致されたかもしれません。本当に怖いです。
警察には通報したのですが、話を聞いて、何度か安全確認の電話があって終わりでした。「事件にするのはこれだけでは難しい」と言われました。車のナンバーは、覚えていませんでした。とても怖かったし、バイトは翌日から行くのをやめました。その後のストーカーなどはありませんでした。バイト先と家は離れているので、この男たちはその後、見たことがありません。防犯カメラに顔は写っているはずなので、なんで捕まえられないのか、不思議に思いました。
思い出すたびに今でも腹が立ちますし、怖いです。このような話はあまりしたくなかったのですが、高校の女性の友人に数ヶ月後にすると「私もクルド人らしい中東の男に追い回され、怖い目に遭った」という話が次々に出てきました。
止まない車の暴走行為
【30代、男性、自営業、川口市前川在住、取材】
生まれた時から川口市の前川に住んでいます。私一人で暮らすのはいいのですが、家族が心配です。引越しを考えてい��す。もともと静かな街で、私の家の一画にはクルド人は住んでいないのですが、街中での違法、暴走運転が怖いです。警察のパトロールは増えたのですが(インタビューは9月)、彼らのひどい運転は変わりません。現地では「クルドカー」と言う言葉もあります。クルド人らしい人が危険運転をする車です。
悪いことしているのは、いつも同じ車のようです。道路には監視カメラがあるのですが、なぜ警察は逮捕しないのか不思議です。前川地区は、まっすぐな道が多いのでスピードを出しやすいのです。昔は日本人がスピード違反をして、警察が待ち伏せし、すぐ捕まえていました。ところが今、警察はクルド人の暴走をなぜか捕まえません。
クルド人は、地域から孤立していて、コミュニケーションがありません。自分の住んでいる場所だからか、この近辺で盗みなどはしないようですが、騒音でトラブルになっている家の話は聞きます。何度言っても変わらないようです。解体業で儲けている人はいるようですが、大半の人はあまり生活が良さそうには思えません。それなのに、車だけは高級車、もしくは型落ちの高級車に乗っています。
クルド人の車の暴走が目立つようになったのは2年ぐらい前に思えます。ただ、その前から変わった人たちでした。
5年ほど前、歩きながらキャンデーを食べていて余ったので、クルド人の小学生ぐらいの男の子たち4人が公園にいたので、「あげるよ」と言い、年長の男の子に袋を渡しました。深い考えはありませんでした。日本人の感覚だとみんなで分けようとするでしょう。すると年長の子が独占をしようとして、よこせと他の子が騒ぎ、異国の言葉で掴み合いを始めたのです。そして年長の男の子が、袋を持って走り去りました。小さい頃から協力したり、他人に配慮することを知らないのだと、驚きました。不思議な人たちです。
日本人を「ヘンナガイジンガイル」と威嚇する子供
【60代男性、川口市芝在住、メール】
私は離れたところで警察に状況を説明しました。それで終わりです。帰りがけに、公園をのぞくといなくなっていました。ただし、翌週、公園を遠くから見ると、また子供たちがたむろしていました。同じグループでしょう。
クルド人の子供たちが学校に行かずに、川口市内を集団でうろうろしています。何をしているのかはわかりません。この近辺では、クルド人らしい子供による商店、コンビニでの万引きの話を聞きます。子供たちが放置されています。こんな子供たちが成人になっても、日本に居着くことが心配です。フランスで移民による暴動が今年7月にあったでしょう。暴動を起こしたのは、同化しなかった2世、3世と、石井さん(筆者)の記事で知りました。同じことが川口で起きてほしくありません。
公園で放尿、脱糞する幼児
【30代女性、川口市在住、取材】
クルド人の母親たちが変わっています。20歳前後の若い人が子沢山でいます。そして男は片言の日本語が話せますが、女の人は話しかけても無視し、また日本語がほとんど話せないことが多いです。家にこもっています。
近くの〇〇公園(蕨市内の公園)では、クルド人の小さい子供たちが砂場を独占したり、日本人の子供のおもちゃを奪ったり、公園内で放尿や脱糞をするので、困っています。親がその場にいない時もあるのです。それで私たち日本人の母親がクルド人の若い母親に抗議をすると「ニホンゴワカラナイ」と言って抗議を無視します。躾(しつけ)をしていないのです。
日本人の数が多くなると、クルド人たちはいなくなってしまいます。この1年では、日本人がいなくなる夕方遅くから夜の8時ごろまで、クルド人の子供と母親たちが公園に出てくるようになりました。そこで子供も大人もゴミをポイ捨てします。
以前は、母親たちが夜、子供と公園に集まって、夜10時ごろまでべちゃくちゃしゃべっていました。うるさく迷惑でした。石井さん(筆者)の報道と、市議会の外国人犯罪の取り締まり強化の決議の後の7月ごろから警察がパトロールするようになって、謎の夜のピクニックは見なくなりました。
この公園では、クルド人のボランティアが、清掃活動をしたことがあります。変だなと思ったのが、その掃除の翌日に、クルド人の母子たちがゴミを散らかしていたのです。日本人だったら、そうしたことを気遣いますよね。クルド人同士で連絡が取れていないのか、他人の良い行動に関心がないのか、不思議な人たちです。
はっきり言うと、困った人たちです。政府は川口市の私たちにクルド人を押し付けるのではなく、入国を止めてほしいです。
「教育が壊れる(下)」に続く。
石井孝明 経済記者 with ENERGY運営 ツイッター:@ishiitakaaki メール:[email protected]
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tutai-k · 1 year ago
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伸びやかに砂浜を歩く
しばらくブログをサボっていた。書こうかな…と思うようなことはいくつもあったのだが、体調があまり良くなかったので書けなかった。 こういうとき、どうにもならない持病を持っているとイライラする。
9/10 仕事が終わってから大阪へ。『銀河英雄伝説』を読み返していて、大阪にある銀英伝のコンセプトバーへ行きたいという気分になり……友達の朝凪空也さんを誘ってバーへ。 繁華街の雑居ビル…! こんなところへいくことは田舎に住んでいたらほぼないので、めちゃくちゃどきどきしながらお邪魔した。 ロイエン��ールとミッターマイヤーをイメージしたカクテルを頼んだら、店主さんがロイエンタールとミッターマイヤーの透明なパネルを出してくれて撮影を楽しむ。歌織さんの概念として、ゾンビモルカーを空也さんが連れてきてくれていた。
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9/11 文フリ大阪。いつもより開場が早くなるかも? というメールが流れてきたので早めにOMMビルへ。とはいうものの30分まえだし……とカフェでスコーンとコーヒーを飲んでいたら空也さんが現れる。二人でモーニング(?)をして、開場へいくとびっくりするくらい長蛇の列ができていた。10時入場開始だが、入れたのは10時20分くらいで、さらに開場が早まったので、開場に準備が間に合っていないサークルがたくさんあったように思う。 再録だから出ないかな…と思っていた新刊『いづくにか、遠き道より』をお求めのお客さんが多かった。この本はKindleもよく読まれている。日々詩編集室から出た『ゆけ、この広い広い大通りを』も、文フリの価格帯にしてみれば高い方だと思うが、たくさん手に取ってもらえた。 本は、楽しみにしていた朝凪空也さんの第二歌集「滅びに向かう場所にて」と、出会ったときから出版社で本が出ることを心待ちにしていた詩人の海老名絢さんの『あかるい身体で』が買えたのでとてもうれしかった。 おかさんがちいかわちゃんの「うさぎ」のパックをくれたので、とっておきの日に「うさぎ」になろうと思っている。 帰りに隣接だった八束さんとたこ焼きを食べて帰る。タコご飯がおいしかった。
特筆を要することはこの二日くらいかな。
最近読んだ本で印象深かった本をいくつか。
『銀河英雄伝説』(田中芳樹・らいとすたっふ) 数年前に読んで、めちゃくちゃ面白くて「なんでもっと早く出会わなかったんだ…!」と思いつつ、あれより若かったらこの物語をちゃんと咀嚼できなかっただろうなとも思った。台風で労働を休んだので読み返した。相変わらずロイエンタールとシェーンコップがいとしい。そして、前回読んだときには未読の銀英伝がこの世から消えてしまうのがもったいなくてたいせつにとっておいた外伝も全部読む。 ヤンがユリアンを愛している姿、ロイエンタールがミッターマイヤーを信頼しているその深い情念、キルヒアイスとラインハルトの友情、その全てが、壊れてしまいませんようにと祈ってしまうほどうつくしく、愛おしかった。 そしてやっぱり、政治の問題と言うことをすごく考えたよね。政治的な言動を放棄してわたしたちは生きられない。生きることはそもそも政治的な行動だし、値上げをぼやくのも政治的な行動だし、沈黙も、逆に「楽しい話だけしかしない」のも政治的な行動だと思う。そして戦争を賛美し、戦争をしたがるひとたちほど、実際の前線には立たないと言うこと。わたしは「公文書に効力がある」という地点がすごくつらいですね。
『覇王愛人』(新條まゆ・小学館) 銀英伝8巻の傷に打ちひしがれていた誕生日、勧められて(?)読んだ。くるみちゃん、そんな男はやめとけ! と読者に言わせるいとまも与えず次々と襲いくる黒龍くんの横暴に一生減速しないジェットコースターに乗ってる気分だった。中華料理屋の息子が最後に報われて(?)良かったと思う…。
『滅びに向かう場所にて』(朝凪空也・ウェルウィッチア) 空也さんの短歌は、日常のしんどさや、ふんわりとわたしたちをとりまく理不尽がどんなものかを、目を逸らさずにしっかりと書いているところがすごく魅力的でそれはわたしが「いつのまにか」踏み越えていたり、踏み付けにしていることに気づかずにいた「誰か」の足だったり大切な物だったりすることに気づかせてくれるなといつも思う。生きているって、誰にとっても楽なことではないのに、「わたし」以外の人はなんか楽にうまいこと生きてるな〜と思えちゃうような傲慢さが私にはあるんだけど、誰にだって生きる地獄があり、「そこ」に立たねばわからんよ、見えないまま想像で断じるな、という強さと言えばいいのか。 強さ、と書いたけど、上からではなくて、同じ地平に立って指差して視線をそちらへ向けてくれるような、そういうねばりづよさ。 「無意識に使う両手は無意識に誰かに不便を強いている手だ」という短歌が私はとても好きなんだけど、「なに」という具体的なものを指さず、でも、自分の行動や、「両手が使えること」をはっきりと「どういうものか」を示してくれていたりとか。 こういう眼差しを持ち、それを言語化し、静かに丁寧に、複雑で難解な言葉ではなく音を巧みに使って心にするっと入り込みやすく表現してくれる稀有な表現者/歌集だと思う。 同時代に読めることがとても嬉しい。
『私と夫と夫の彼氏』(綾野綾乃・タタンコミックス) あらためてブログに書きたいと思っているんだけど、とても……とても良かった。ある日夫がゲイだと知ってしまった主人公美咲、夫悠生の浮気相手は実は主人公の過去の教え子周平で……しかも周平は、悠生だけでなく、美咲にも好意を抱いていた……。 この三角関係に対して、美咲は最初、悠生や周平を責めるんだけど、二人と対話や生活をしている内に、「三人で」関係をつくっていこうと同棲を始め���ことに……。 人間関係と「愛情」の書き方がとてもいい。「愛」というものが衝動的な一方通行ではなく、それまでに培ってきた信頼関係や一緒にしてきた経験を元にしているところに安心感がある。中心になる三人だけでなく、いろいろな「生き方」を選択している登場人物が丁寧に・肯定的に描かれていて、だからこそ衝突するし問題だらけで、ピンチが重なり続けるんだけど、そのつど言葉を重ねて、語られる言葉を聞いて、一緒に生活や行動をして、解決したり、すぐに解決できないことも、大切にしているのがいい。最新刊の9巻までを読んだんだけど、優しさと罪悪感から悠生が自分も周囲もつらい行動をとってしまったり、契機になりそうな出来事があったりと、もうとにかくつづきが早く読みたい……! めちゃくちゃ面白い。ドラマもU-NEXTで見られるようなので、タイミングを見計らって絶対見たい! と思っている。おすすめ。 パンセクシュアル・ポリアモリーという、偏見や好奇心で見られがちな属性について丁寧に書かれているのがすごくいいなと思ったし、わたしはポリアモリー的な感覚を強く持っているので、そして「どう関係を構築していくか」を肯定的に、真摯に物語の中で模索してくれていることがありがたくてうれしい。取りこぼされていないと思うし、物語のなかに居場所があるとも思う。このお話のまえに読んだ『ミモザの告白』という小説でも、悪者のように書かれていたポリアモリーの男子生徒への偏見が、最後に主人公の気づきによって完全な「悪」にされてしまわなかったことにも安心した。もっとこういうお話しが増えればいいな~と思う。
『鋼鉄紅女』(シーラン・ジェイ・ジャオ 早川書房) こっちもめちゃくちゃおもしろかった! 最近読んだ本の中で『私と夫と夫の彼氏』と双璧として並べたい本! 男女のペアが乗って操るロボット的なもので、未知の存在と戦うSFなんだが、これがもう~~~~~~最高!!! とにかく主人公の武則天がかっこいい……最初のペアの男を殺して「悪夢へようこそ」と告げる場面からもうずっと「アアアアアアアアアアアア!!!!!!! もっと!!!! もっとおねがいしますうううううう」ってなった。 この物語も「男女で一個の安定した関係」という通念に疑問を投げかけてくれるお話しだった���、家父長制につよく異議を唱える芯が通っていたのがすごく良かった! 人生のお守りにしていきたい……。 いろんなひとにすすめたいな~~~。 観た映画 『バービー』 『覇王別姫』
9月一ヶ月分のまとめみたいなブログになったな。 10月~11月がかなり忙しいので、生き延びられるのかどうかがわからない。とにかく頑張って生きようと思う。
次は『若槻菊枝 女の一生 新潟、新宿ノアノアから水俣へ』を読もうと思っている。本が読める時期らしいので、読める内に読んでおきたい。
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elle-p · 1 year ago
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P3xP4 World Analyze pages 36-37 transcription.
停滞する時の中で過去を垣間見る “時の狭間”
異なる時空の歪み
ニュクスとの戦いが終わって2ヶ月。リーダーを失った特別課外活動部は影時間がなくなったことでその活動目的も喪失していたが、別の異変によって寮に閉じ込められることとなった。
3月31日が延々と繰り返され、“次の日” がこない。寮は外界と時空そのものが隔絶した状態となり、外にも出られない。寮のロビーに出現した階段を降りると砂漠のような空間が広がり、いくつも立ち並ぶ扉からは “時の狭間” と呼ばれる不可思議な空間へと繋がっており、進んでゆくと特別課外活動部のメンバーそれぞれがペルソナ能力を獲得した過去の記憶を目の当たりにすることとなる。
異変の始まりとともに現れた自称 “アイギスの妹” メティスとともに、特別課外活動部は探索を始める。そこにはやはりシャドウたちが存在し、彼らは再び戦いに身を投じることになったのである。
“時の狭間” は、扉を通じて7つの異なる時空へと通じている。階段で降りていくことで、先へと進むことができる。
異変の原因
リーダーの立場となって、特別課外活動部を率いることになるのは、アイギスである。リーダーを失ったことで悲しみを感じていた彼女は、ただのロボットでいたほうがよかったとさえ思っていた。そこに現れた “妹” と戦いになったとき、出現したペルソナはリーダーと同じオルフェウスであり、“ワイルド” の力に目覚めた者としてベルベットルームにも招待される。メティスの協力もあって、アイギスは新たな装備を追加されるが、オルギアモードは使えなくなった。その代わり、同行するメティスにリーダーとしてオルギアモードを指示することができるようになった。
“妹” メティスが現れたことがこの探索行の始まりであり、ベルベットルームの主人イゴールが言った通り “命のこたえ” を見つけることが目的となる。“時の狭間” はアイギスに起こったさまざまな変化と繋がった、いわばアイギス自身が原因となって生まれた空間である。
寮から出ることはできないが、ポロニアンモールと直結していて、アイテムなどを購入することはできる。
ダンテ『神曲』
行く先々の名称などはメティスが教えてくそれらは13世紀イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの『神曲』が元になっている。この三部構成の長編叙情詩では、著者であるダンテ自身が地獄、煉獄、天国を巡る旅をする。ダンテが幼少期��出会ったあこがれの少女ベアトリーチェが案内役として登場するが、実在したベアトリーチェは『神曲』が書かれたときすでに死んでおり、その悲しみから神格化し、登場させたとされている。“時の狭間” でアイギスたちが感じる、リーダーを失った悲しみと符合する要素である。
ダンテは敬虔なカトリック教徒であり、キリスト教神学をベースに地獄を描いているが、その描写にはギリシア神話からの影響も強い。地獄の入口はギリシアに実在するアケロン川を渡ったところにあり、渡し守はニュクスの子であるカロン。ミノス王やケルベロスなども登場している。“時の狭間” では9つある地獄の8番目以降の名称が使われている。
造られた “姉妹”
アイギスは桐条のラボで造られた最後の対シャドウ兵器であり、その完成とともに開発計画は終了している。アイギス以降に新たなタイプは造られていないし、アイギスより前に実働可能な機体も存在しなかった。アイギス以上の性能を持ち、しかもより人間的な感情も持ったメティスは、同型機種としての姉妹ではありえない。アイギスの心から生まれた分身 (シャドウ)と言うべき存在である。
[プシュケイ]
人間の王の娘でありながら、美の女神アフロディーテに嫉妬されるほどの美しさを持つプシュケイ。母を裏切り、身分を隠して愛し合った夫クピドを自らの手で殺してしまい、取り戻すため冥界へ下ることになる。こうしたタイプの神話には珍しく、プシュケイは冥界の協力を受け、夫を取り戻すことに成功する。神々の王ゼウスやアフロディーテらにも認められ、プシュケイ自身も神に等しい永遠の命を得たとされる。
時の狭間より接続された8つの “時空”
古の路マレボルゼ
ボルサとはイタリア語でカバンを意味する言葉で、『神曲』に描かれる8つ目の地獄には10の “悪の袋 (マレボルゼ)” があって、罪人は罪の種類によって振り分けられ焼かれたり切り裂かれるなどの責め苦を受ける。その中には、聖職売買などで神聖なるものを目流した者が入れられる袋もある。
罪の路コキュトス
ギリシア神話の異界を取り巻くように流れる川のひとつで、三途の川ステュクスの支流。冥界の最下層を流れ “嘆き悲しむ” という意味の名を持っている。『神曲』では9つ目の地獄として最も重い罪 “裏切り” を罰する場所となる。カイーナからジュデッカまでは、それぞれコキュトスの一部。
力の路カイーナ
コキュトスは4重の円で構成されていて、一番外側にあるのがカイーナ。肉親に対する裏切りを罰する地獄で、『創世記』で弟アベルを殺害したカインから名付けられた。『神曲』では、父アーサー王を殺したモードレッドの名も挙げられ、氷��けになっている悪人の罪状が語られる。
夜の路アンテノラ
コキュトスの2番目の円で、祖国に対する裏切りを罰する地獄。ギリシア神話の『トロイア戦争』で、トロイア王の助言役でありながら門を開いてギリシア軍を手引きした人物が、裏切り者として地獄の名前の元となった。ただし、本当に裏切っていたのかは神話上はっきりとは描かれていない。
哀の路トロメイア
コキュトスの3番目の円で、客人に対する裏切りを罰する地獄。迎え入れた客 (マレビト) を眠らせてから殺すという物語は日本でも “ヤマンバ” と呼ばれる存在としてよく描かれるが、古代パレスチナのエリコの王が客として訪れたイスラエルの祭司シモン・マカパイを殺したことに由来する。
業の路ジュデッカ
コキュトスの4番目の円で、主人に対する裏切り者を罰する地獄。イエス・キリストの弟子でありながら裏切ったイスカリオテのユダの名がつけられており、最も重い罪として地獄の最奥部にある。この中心には、悪魔ルシフェルが氷漬けになっており、ユダはその口に咥えられている。
王居エンピレオ
地獄と煉獄を巡ったダンテが最後に訪れた場所で、天国の中でも至高の場所。キリストをはじめ数多くの聖人や聖母マリアが暮らす平和な地で、ダンテは神が空に描いた光の文字で “愛” を知る。ダンテの愛したベアトリーチェが “愛” そのものであったように、リーダーもそうだったのだろうか。
コロッセオ・プルガトリオ
『神曲』第二部の煉獄にあたる場所で、罪人たちが浄罪の炎で清められる山のこと。“七つの大罪” それぞれを浄罪する場所があり、それぞれの罪に応じた責め苦を負わされ、罪を悔い改める。山頂は天国にもっとも近い楽園で、アダムとイヴが無垢な時代に暮らした場所とされる。
繋ぎ留められた “記憶”
トロメイアでは、幼き美鶴がペルソナ能力を獲得し、父親とともに浄罪を始める姿を見ることができる。
カイーナでは、中学生時代の美鶴と明彦が出会った時を見ることができる。美鶴の過去は “時の狭間” の鍵でもある。
最後の試練の扉 “エレボス”
“暗黒” を意味するギリシア神話の神のひとり。ニュクスの兄弟であると同時に夫でもあり、夜の空であるニュクスに対する地の闇にあたる。ギリシア神話において “地獄” の意味で使われる言葉のひとつでもあり、地獄の最も深い部分を指すとされることが多い。神々の系統上の役割を考えると、“大地” ガイアや “冥府” ハデスとともに、“奈落” タルタロスをも含めた “地の領域” 全体を表すものとも取れる。
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shintani24 · 3 months ago
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2024年10月7日
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ガザ戦闘から1年 現地通信員が見た戦場(朝日新聞 10月7日)
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「世界は僕たちが死ぬのを見ていただけ」 だれも止めぬガザ侵攻1年(朝日新聞 10月7日)
パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘開始から7日で1年経つが、終わりが見えない。死者4万1千人超――。街が破壊されたガザの人は何を見て、何を感じてきたのか。朝日新聞のムハンマド・マンスール通信員が報告する。
友人に「見てくれ」と促され、スマートフォンに表示されている動画に目をやった。9月19日のことだ。見たことのある光景があった。パレスチナ自治区ガザ南部ラファ。私が住んでいた街だ。
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戦闘が始まって1年近く経ったパレスチナ自治区ガザ南部では空爆や砲撃を完全に免れている建物は少ない=2024年9月25日、ハンユニス、ムハンマド・マンスール撮影
マンスール通信員が語るガザ 食料不足に加えて、衛生状況も悪化しているガザで、市民たちはどう生きているのか。記事の後半に出てくる、もう一つの動画では、朝日新聞のムハンマド・マンスール通信員が、街を歩き、テントを訪れ、人々の生活を追いました。
次の瞬間、動画の中で爆発音がして、煙が上がった。
「ここにあるの、お前の家だろ!」
友人が泣き出しそうな声で叫んでいる。その通りだった。
動画はイスラエルの極右グループのテレグラムチャンネルに投稿されていた。イスラエル兵と思われる男の声がした後、建物や地上に仕掛けられた爆弾が爆発した。ヘブライ語で視聴者にこう話していた。
〈このラファでの爆発をあなたたちに贈ります〉
隣で心配そうに私の顔をのぞき込む友人の声が、とても遠くに聞こえた。
私の家が完成したのはこの戦闘が始まる直前だった。借金を背負い、少しずつ建てた家の完成には4年間かかった。
壁は明るい白を基調にして、居心地のいい空間になるよう、内装の細部にまでこだわった。自分たちのルーツであるアラブと、暮らしやすい西洋の様式を組み合わせたような雰囲気で、壁には馬や鳥の絵画を飾った。
イスラエルに周囲を壁やフェンスで封鎖されて「天井のない監獄」と呼ばれるガザの環境下でも、昨年8月に結婚した妻と一緒に、なんとか穏やかで幸せな生活を求めて暮らそう。そんな願いと、覚悟の詰まった家だった。
だが、そのすべてが完全に破壊された。
奪われることがこれほどの痛みを伴うのならば、初めからなかったらよかったのに、と思う。
ここガザでは、「ただ生きるということ」には大きな代償が必要とされるらしい。
生きるため、転居5回
私は、生まれ育ったラファから今住むハンユニスのテントまで、この1年間で何回住む場所を変えたのかを数えてみた。
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5回までは覚えていた。だが、その後は記憶にない。戦闘が激しくなるたびに、私は家族と一緒に、時に家族とばらばらに生活した。避難所、知人の家、そしてテント。目的は「生きること」だった。
一方、「死」は大安売りだ。そこら中に転がっている。私たちは生きていくため、水やパンを手に入れるために何時間も長蛇の列に並ぶ。浄水施設は空爆で破壊され、きれいな水は手に入らない。
そのため、どこならそれなりに「使える」水が手に入るのかを知人たちと情報交換しながら探す。無料で手に入れられるはずの支援物資の食料も、今や市場で高値がつく。高騰した価格をみると、私たちの命より高いのではないかと思う。
【動画】ルポ「侵攻から1年 ガザで暮らす人々の今」=ムハンマド・マンスール撮影
ガザでイスラエルとハマスの戦闘は過去に何度も繰り返されてきた。2014年の戦闘では、50日間でパレスチナ側で2千人以上、イスラエル側で71人が死亡、21年の戦闘では11日間でパレスチナ側で約250人、イスラエル側で13人の死者が出た。
だが、今回の戦闘の発端となった昨年10月7日のハマスの越境攻撃では、イスラエル側で約1200人が死亡した。イスラエルの報復がこれまで経験したことがないものになることは想像できた。戦闘は長く、苦しいものになるだろう。私だけではない。ガザの人たちの多くはそう思っていた。
それでも戦闘が1年も続き、4万1千人以上が殺されることは予想できなかった。国際社会がここまで止められなかったことも。
パレスチナ人だから、しかたないということなのだろうか。もう、私は世界を信じられない。それでも信じるべきだと言うならば、その方法を教えてほしい。ただ、それでも、私は言葉を書き、写真を撮り続けるしかない。他にできることがないのだ。(ハンユニス=ムハンマド・マンスール、構成・エルサレム=高久潤)
孫たちが嫌う「豆ごはん」
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避難所になっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校で、食事を作るマリヤム・ディーブさん=2024年9月9日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス、ムハンマド・マンスール撮影
どこにも逃げることができない。イスラエル軍の攻撃にさらされるガザの人たちはこの1年、どんな生活を強いられてきたのか。
ガザ南部ハンユニスの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校で、8人の孫と避難生活を送るマリヤム・ディーブさん(54)は、毎朝午前4時ごろ起床する。
家族の命をつなぐ水を手に入れるためには、長蛇の列に並ぶ必要があるからだ。
待つこと、数時間。水を持って戻ると、太陽はすでに空高く昇っている。
一休みしながら考え始めることは、その日の食事をどうしようか、ということだ。ただ、それは平和な土地に暮らす親たちの悩みとはかなり異なる。
まず、献立には悩む余地がない。今のガザで手に入るのはたいてい、豆の缶詰だ。次に手に入るのは米だ。炒めた米に、豆を付け合わせる。おいしいとは言いにくい代物で、その証拠に孫たちはその「料理」を非常に嫌っている。
孫たちは「豆ごはん」を前にするたびに、けわしい顔をしながら食べる。ディーブさんは言う。
「おいしいものをおなかいっぱい食べさせてあげたい。でも今、私にできることはこれ以外にない」
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避難所になっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校で暮らすマリヤム・ディーブさん(左から2人目)と孫たち=2024年9月9日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス、ムハンマド・マンスール撮影
避難所の衛生状態も深刻だ。利用できる公衆トイレが見つからない。男性は物陰で用をたすのが当たり前になっているが、女性はそうもいかない。何時間も公衆トイレを探す人も少なくない。
トイレを見つけたとしても非常に汚い。そんな環境で、孫たちはバケツの中で用を足し、父親が離れた場所まで処分しに行っているという。
居住空間と排泄などの空間が交わり合っていることで、人々は常に、病気に感染しやすい状況にさらされている。
「石器時代みたいな生活」
そこから北に3キロ。地中海沿いの海岸で家族とともにテント暮らしをしているショルク・ダワスさん(19)は、ガザ北部からここに移り住んできた。ダワスさんは自身の生活を「石器時代みたいだ」と語り、涙を流した。
海岸で父親が立てたテントに小さい妹たちと暮らす。眠るのは、使い古されたマットレス。「どこの誰のものかは知らない。避難をしているとき、空爆で破壊された建物の跡で拾った。海岸の砂の上だと硬くて眠れないから」とダワスさんは言う。
最近4歳の妹が成長して靴のサイズが合わなくなった。そこで父親が廃材を使って、妹用のサンダルをつくった。
ダワスさんは、戦闘が始まる前までガザの海が好きだったと語る。だが、今は嫌いだという。空爆の音が風にのってよく響くからだ。「1年経っても、この音は慣れない」
ガザは、「物があまりない」生活に残念ながら慣れている地域だ。
イスラエル軍が2007年にガザを封鎖し、人や物の行き来を徹底的に管理するようになった後、私たちはできるだけ自分たちの地域の内部で採れる農産物や、国際機関による外から入ってきた支援物資で生計をたてることが日常になっている。しかし、この1年は農地が破壊され、検問所がほぼ閉鎖され、210万人の人口の9割以上が食料不安に陥っている。
ダワスさんのテントの近くには夜になると、いい香りがする場所がある。
地元でおなじみの料理ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)などの露店が並ぶ。ガスはなく、まきをみんなで割って分け合いながら運営している。「食事」と呼ぶには、一人前は少量なのだが、安い値段でありつくことができ、人々の笑顔が見える。
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家族の生活を支えるため、露店を始めたフサム・ナイムさん=2024年9月8日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス、ムハンマド・マンスール撮影
店を出している人たちのなかで、ひときわ若い少年がいた。フサム・ナイムさん(14)。自分で作った木のテーブルに、菓子などの食品を並べた簡素なものだ。この1年について、「まるで何千年も経っているような感じだ」と疲れ果てた表情で話した。
ナイムさんの言う通りだ。ガザの人々は、人間が到底耐えることができない量の死と、恐怖と、苦しみにさいなまれてきた。
私は日本の新聞で伝えるジャーナリストだ、と彼に伝えた。最後に聞きたい。世界の人々に、伝えたい言葉はある?
ナイムさんは、少しの沈黙のあと、首を横に振った。
「みんな、僕たちが死んでいくのを無慈悲に見ていた。誰もこの戦争を止めてくれはしない。伝えたいことも、伝えるべきことも何もない」(ハンユニス=ムハンマド・マンスール、構成・エルサレム=高久潤)
生産能力を奪い、外部依存を強いる「反開発」
「ガザはこの1年だけで破壊されたのではない。破壊され続けてきた」。米ハーバード大中東研究センターのサラ・ロイ上級研究員は、今回のガザ戦闘について、イスラエルの60年近い軍事占領の歴史的な文脈から考えるべきだと指摘する。
ロイ氏は、ガザでの現地調査を踏まえ、1980年代からガザの占領問題の政治経済学的研究を手がけてきたことで知られる。両親は第2次世界大戦のホロコースト(ナチスドイツのユダヤ人大虐殺)の生存者で、親族もイスラエルにいる。イスラム組織ハマスの攻撃でイスラエル側で約1200人が殺され、ガザに200人以上が拉致されたことに「耐えがたい感情をかき立てられた」と振り返り、「ハマスの残虐行為は責任を問われるべき戦争犯罪だ」と批判する。
一方でハマスが実効支配するといわれるガザは、イスラエルが実質的に支配し、抑圧を強めてきた現実を無視するべきではないと言う。
イスラエルは67年の第3次中東戦争で、ガザを占領した。その後、2005年にイスラエル軍と入植者はガザから撤退。ハマスがパレスチナ自治政府内��権力争いの末、この地域を掌握して07年から統治し、イスラエル側は安全保障上の理由で、ガザの四方を封鎖し、人やモノの行き来を厳しく制限してきた。
ロイ氏は、イスラエルのガザ支配の特徴を「反開発」という言葉で説明する。低い開発レベルの貧困を意味する「低開発」に対して、開発をできないよう生産能力を意図的に奪うことを意味するという。パレスチナの人たちが、自らの力で自分たちの未来を形づくる能力を奪い、生活を外部に依存する状態を強いる支配だ。
「反開発」の支配が完成に向かうきっかけになったのは、封鎖が行われた07年前後だという。封鎖で、ガザの経済の民間部門は壊滅的な打撃を受けた。ロイ氏によると、英NGOのデータで、燃料の搬入制限を通じてガザの約3900の工場のうち95%が閉鎖に追い込まれた。封鎖前に雇用者数の58%を占めていた民間部門が21%に減少した。自分たちで経済を発展させられない構造になっていったという。
ガザは今回の戦闘が始まる前の時点で、人口の8割が国際機関の支援に頼り、失業率も5割近くに上った。こうした状況はとりわけ、移動や貿易の緩やかな制限も含めると、90年代から始まり、「時間をかけてつくられてきた」と指摘する。
イスラエルは今回の戦闘が始まって以降、自分たちはかつてはガザに入植していたもののすでに撤退しており、ガザとは関わりないのに、ハマスが攻撃してきたと強調する。ロイ氏は、「イスラエルがその後もガザの領空、通信、海上・陸上交通を支配している。徹底的な境界管理も続けている現実は占領」とし、イスラエルの説明は誤りだと指摘する。
この1年の戦闘で、ガザ全域が破壊された。ロイ氏は、もう一つのパレスチナ自治区のヨルダン川西岸でユダヤ人入植者たちがパレスチナ人を襲撃し、さらに入植地を拡大させようとする動きにも警鐘を鳴らす。今回の戦闘で破壊されたガザに加え、西岸でもパレスチナ人が住める場所が年々小さくなっているからだ。
「欧米は(イスラエルとパレスチナが将来的に国家として共存する)『2国家解決』を主張しているものの、実際はパレスチナの人たちが住む場所が失われつつあることに対抗できていない」という。
今後のこの地域に平和をもたらすことはできるのか。「とても難しい」としつつ、「パレスチナ人に自分たちの命や生活に関する決定権を保障することが最低限の条件だ」と話す。そのためには、イスラエルの軍事占領を終わらせることが不可欠だ、と述べた。
Sara Roy 1955年、米国生まれ。米ハーバード大中東研究センター上級研究員。パレスチナ自治区ガザで、80年代から現地調査を繰り返し、ガザの政治経済の構造分析で知られる。著書に「ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学」「なぜガザなのか パレスチナの分断、孤立化、反開発」(いずれも編訳岡真理・小田切拓・早尾貴紀、青土社)がある。
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コメントプラス
平尾剛(スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)【視点】 心がかきむしられて冷静に読むことが難しい記事だった。
フサム・ナイムさんの「みんな、僕たちが死んでいくのを無慈悲に見ていた。誰もこの戦争を止めてくれはしない。伝えたいことも、伝えるべきことも何もない」という言葉に、途方もない後ろめたさを覚える。彼が言う「みんな」と、記事のテーマにある「世界」には、当然のことながら「私」も「私たち」も含まれているから。どうしようもない無力感とともに、各国首脳など権力を有する個人や団体への憤りが同時に湧いてくる。たまらない。
いまの私には虐殺の現実をこうして伝えたり、授業やゼミで学生たちに伝えることくらいしかできない。あまりの悲惨さにたじろぎ、何の役にも立たない自らへの苛立ちを抱えながら、地道に伝えていくことにはほとんど意味がないかもしれない。それでも私はこうして伝えていく。
ともに生を営むこの地球上で、目も当てられない事態が引き起こされている。まずはこの現実を知ること、そしてこの現実に心を痛める人を増やしていかなければ、解決には至らない。たとえささやかな抵抗であってもそれを表明し続けたい。イスラエルを受け入れることは、私にはどう逆立ちしてもできない。ガザで暮らす人たちの苦悩が、1日でも早く霧消することを心より願っている。
浅倉拓也(朝日新聞記者=移民問題)【視点】 ガザやシリアと言えば、ついコンクリートが崩れ落ちた街を想像してしまう。でも、破壊されたマンスール記者の自宅は、4年がかりで借金をして、内装の細部にもこだわって、戦争が始まる直前についに完成したものだったという。また、ある4歳の女の子はこの1年間で足が大きくなって靴が合わなくなり、父親が廃材でサンダルを作ったという。被弾で子どもが大けがをして血だらけになったわけではないけれど、4歳の子の新しい靴が手に入らないのは確かに大問題だ。ニュース映像で��らっと見る彼らは私たちで、私たちは彼らなのだと思い知らされる記事です。
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chilchilmischie2 · 5 months ago
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60
ボケクエ7の練習お題の結果が出たので記録記録。
お題
謝罪相手が最前列に座っている会見で起こったこと
62位 56票
[No.79] 4点0 3点6 2点19 ミスチルさんの作品
後ろから「あいつだけ私服で来てる」と言われながらキレ続けていた
ということで、前の記事に書いたとおり爆死した。
4票0って!
今こうして見返してみると、このネタの核となる部分は前半部分なんだけど、それを後半の文章が殺してしまっている感がある。もうちょっと違う表現があるか模索するべきだった。
実は当初のネタは「後ろの席の方から「あの人だけ私服で来てる」って言われてて恥ずかしそうだった」というもので、これを会議用CGIに出していたのだけど、謝罪会見という要素が抜けてるかなと思い、上記のネタを作った次第。
ただ、会議場で意見を聞いた際に、Nagomiさんから元の方が好きという意見を、またshamanさんからもすんなり入ってこない感があるという指摘があり、もうこの時点で危ないことに気付くべきだった。会議の意見大事。
次は穴埋めお題。
名人維新の穴埋めとなると、この悪夢をどうしても思い出してしまう。今回は絶対にこんな事にならないから!
では前回大会に続いて他の候補の紹介。
【他にこんなネタ出してました】
そうじゃないかなと思いつつ「キレてます?」って聞いたら、めちゃくちゃキレられた
止めどない非難に対して謝罪するしかなかったけど、「なんで謝ってんだよ!」に対しては首傾げるしかなかった
後ろの席の方から「あの人だけ私服で来てる」って言われてて恥ずかしそうだった
一番後ろのメガネ忘れてきた人の視線が一番怖かった
暑くて空調も効いてないのに、その人の席に置かれてる伊右衛門全然結露してなくて笑いそうになった
という事で5つ出して、メンバー内でも一番多く出していたのだけど、どれも評価がイマイチだったのでなんか恥ずかしかった。というか全体的に説明調過ぎる。なんか大喜利始めたての頃もこんな感じだった気がする。
久々の投稿だったからと言い訳したいけど、もう次からはそんな事言ってられないので、本当に大喜利の勘所を養わないといけない。
さて、あとは今回のツボ上げと、勝手ながらチームスクルトのメンバー紹介をしたい(怒られたら消す)。
(ツボ上げ)
【地下鉄を初めて見たお嬢様】
・メソッドさんの作品
これ以上進んだらやばいって思った地点がかなり手前
世慣れしてない感がすごい。
・ネオさんの作品
脱いだ靴をホームに揃えたら大騒ぎになった
周りもお嬢様も「え?え?」ってなりそう。
・まさゆめさんの作品
私が2人居たとしたら2人とも乗らない
・出雲螢さんの作品
ダイヤが乱れてると聞いて首元を見た
・おだンゴさんの作品
すれ違う顔が怖くて、帰りは手を繋ぐことにした
世慣れしてない感がすごい。(2回目)
【変態を育てる専門学校の卒業生は何をしている】
・かすとろさんの作品
短編小説をハガキに書いて、自分の住所に送ってる
変態っていうか狂気を感じた。
・てこもとさんの作品
頭を撫でながら、想像の中で脳みそを撫でている
変態っていうか狂気を感じた。(2回目)
・板野さんの作品
どうなっても知らねえからなと思うくらいには大事な仕事を任されている
・ギャルさんの作品
「痴漢、アカン」のポスターを見かけるたびに、ギッと睨む
【未来の自分から来た手紙に書いてあったこと】
・guniguniさんの作品
気を付けようがないけど、蛍光灯を丸呑みする日がある
避けられないのか...
・スカーさんの作品
今日から楽しくない勉強をしろ
・ニャン志さんの作品
親指を鍛えてフランスパンの時代に備えろ
絶対にそんな時代来ないからw
・6さんの作品
氷業者よ、夏は好きか? 夏は氷がよく売れるだろう 今年の夏は特に暑くなるからな 皆涼みを求めている、忙しくなるだろうが... お前の氷が頼りだ 夏はお前の季節だ 任せたぞ
毛虫より
・日高さんの作品
お疲れ様です!ぶっ壊れスーパーの開店でお買い物上手だった俺はただの凡人へ
【日本掃除協会が腐ってると言われる理由】
・マイマイルさんの作品
おもちゃを宝物と呼ぶ子供に驚く
・じゃーさんの作品
「街をきれいに」というポスターを倒れた自販機に貼ってる
腐っているのは協会だけなのだろうか。
・キツルさんの作品
啓発ポスターの子役は飼い犬の糞を拾ったことがない
��いつは起用にあたって汚いお金絡んでますね間違いない
【服を着ると死刑になる国】
・クロレラサイダーさんの作品
顔つきで巫女だとわかる
なんか本当に分かりそう
・Hsさんの作品
痴漢ですと叫んだら、もっと痴漢みたいな人が来た
・リトラ文庫さんの作品
「服部」が「毒島」みたいな扱いを受ける
・磯野ワイニーしようぜさんの作品
野球観戦が本当に面白い
このネタ自体おもしろいけど、このHNで野球ネタぶっこんできてることで2度笑ってしまった。
・ゆう☆ポンデさんの作品
のりピーがちょっと着てた気がする
・みくもさんの作品
高架下の柱にダウンジャケット着たカー��ィがスプレーで描かれている
ワルの要素にカービィというファンシーな単語を使っててめっちゃおもしろい。これすごい好き。
・ファイアードラゴンさんの作品
換気扇の掃除をしていたら舞ったホコリがおヘソに入って惜しくも死んでしまった
・生命の輝きさんの作品
出してもらったご飯に対して必ず満足できる。というか不満に思っている自分をそもそも想像できない
はい、お腹いっぱいです。
・たんじぇんとさんの作品
テレビ見てたら服着てる総理大臣が一瞬中指立てた
(番外編)
・マグレ巡洋艦さんの作品
包茎は服に含まれますか?
なんでいるんだよ!?
【ミシュラン三ツ星のメガネ屋がやってるサービス】
・照れてるてるてるさんの作品
絶対に誰にでも見える大きさのCが置いてある
・風呂つんくさんの作品
らっしゃいモード
一気に入店しやすくなった
・あやまって!さんの作品
俺が大事に持って来たコップがクソ遠くに投げられたあと、クソ遠くに投げられたことが分かった
・ホテル関本さんの作品
燻製された眼鏡は臭い
・弦之介さんの作品
とびっきりの笑顔かと思ったら裸眼で頭わいてるだけだった
・布石さんの作品
お通しです あーはい、 飲食店じゃないのにミシュラン取っちゃって
以来、とりあえずお通しでマヨネーズ出してます 間違ってたら言ってください
・未々さんの作品
こちら、ご注文のメガネみしゅ。
たまたまだけど、採点するとき一番上のネタがこれで油断した。
・美化委員さんの作品
キリスト(本人)が、スッスッ(十字架) スチャ…(メガネ)
確かに十字架作ってたけど、そんな工程聖書に載ってないぞ!
【お尻が大きい人はこんなことでも悩んでいる】
・新大さんの作品
その透明なのは何を飲んでいるのか聞かれた
タネも仕掛けもありません。
・たたかうさんの作品
工業高校の一年が初めての授業で私の椅子を作る
・きまぐれさんの作品
自分の尻を経由してゴールに入ったのに、ボール蹴った人の得点になってる
・モノカルチャーさんの作品
小さい駅で皆降りた
・クドウヒロオさんの作品
車椅子のマークを見ると泣きたくなる
・床屋みの竜レグナードさんの作品
集合写真でパノラマモードになったの見えた
・チンカス本舗さんの作品
外歩いてるとポケットに小銭入れられる
・荒瀬さんの作品
ヴィーガンなのにヴィーガンに見えない
でしょうよ。
・ひまじんのかなづちさんの作品
プリクラ撮ると加工でもっとデカくなる
【謝罪相手が最前列に座っている会見で起こったこと】
・音鳴ヨチさんの作品
全部知ってるのに一番質問してきた
・shamanさんの作品
終わろうとするたびに砂時計をひっくり返された
圧が凄い。ちなみにshamanさんのは他の候補もおもしろかった
・noodleさんの作品
本気を出せば壊せる柵が設置された
投票できてたら4点入れていた。
・泣きゾーマさんの作品
頭が真っ白になって、ハライチ岩井の結婚とかを謝ってしまった
・高浜さんの作品
相手の出すカンペを読んだ結果、予備校に通うことになった
・マドハンペさんの作品
警備がザルすぎて、ライフル向けられてる
後ろからは見えないっていうアプローチの取り方、ネタ作り中にあったけど、これがその理想形かな。(途中で考えるの諦めた)
・いさむさんの作品
俺だよ孫だよ、ともう一度だましてみる
・げらさんの作品
視線が合う度にどんどん早口になる
・さとしきさんの作品
えーこの度は世間をお騒がせしてしまい、大変申し訳ございません はい今回謝罪させていただくのは、このことについてです(謝罪相手の頭についてる赤い大きなボタンを押す)
以上。3点、4点入れたネタのご紹介でした。
多すぎ。なんだこの量は。こんなの毎回出来んぞ。
(雑なチームスクルト紹介)
せっかくチームメンバーとして一緒になったのに、後になって「どんな人たちだったっけ?」となるのは寂しいので、本当に勝手ながら紹介をさせていただく。
勝手なこと書くなって怒られたら消します。
本当はこの人のこのネタが好き!というのを幾つか紹介したいけど、ログを漁れていないので、茶屋で見かけておもしろかったものを一つだけ挙げる。
Nagomiさん
チーム結成時にいち早くtwitterに会議場をセッティングし、CGIに練習お題の準備もしてくれた。かつて初対面にもかかわらずいきなりCGIに訳の分からないお題を作ってメンバーを困惑させたバカがいたけど、そんな奴とは違ってしっかりとチームが機能するようにしてくれた。
大喜利茶屋で活動している他、どうやら生大喜利のことにも詳しいみたい。ネット大喜利と生大喜利、どっちの雰囲気も知っているというのは大きな武器になるのではないだろうか。あと短歌も嗜んでいる様子。その短歌からもおもしろさを滲ませてる。
(好きなネタ) 【第335回】夜の茶屋
このアイドル、時代に逆行しているなと思った理由
女性のADのことは女ADって呼ぶ
味しらべさん
今回の大会出場にあたりtwitterのアカウントを開設した様子。最近になってプロフィール画像の変更を覚えた模様。
主戦場は大喜利茶屋のよう。というかtwitterのプロフィールにも「やってます!」って書いてあるので間違いない。twitter始めたてだし投稿歴は浅めなのかなと最初勝手に思っていたが、茶屋で滅茶苦茶投稿してた。最近ではb!g!r!の企画に参加していたようで、もしかしたら他のサイトでも活動しているかもしれない。
会議場では「みんなどう考えてるんだろう?」と引っ込み思案な自分とは違い、ルールやネタに関して疑問に思ったことをしっかりと確認してくれる。大会規定やネタのアプローチなどの情報共有の機会にもなるので、この姿勢見習わなくちゃなと思う。
(好きなネタ)
【第425回】夜の茶屋
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(画像で一言)
所々にあるナルト面白すぎる
shamanさん
大喜利茶屋の第一線で活躍中の人。過去の投稿記録など見たらすごい好成績を残している。また、ネタボケライフでも活動中。レートが上がり調子であり、多分近いうちに自分のレート1777も越されるだろう。今大会でも既に練習お題で上位に食い込む活躍を見せており、本チームのエースとなることは間違いない。
会議中もお題とネタに対する考察は鋭く、しっかりとした意見を出してくれる。また、自身のネタ出しについても締め切りギリギリまで考え抜いていた。その結果が上位なので、本当にすごいと思う。
また、投稿・投票のタイムキーパーまでしてくれた。shamanさんに言われなかったら、投稿締め切り時間を23時と勘違いしていたので、本当に危なかった。
(好きなネタ)
【2024-04-06】日めくり
お題:萎える走馬灯
最後に「YOU LOSE」と出る
ミスチル
ネット大喜利界隈の隅っこで長年コソコソしている経歴詐欺の大喜利素人。私生活でもお笑いとは縁遠く、ヨーヨーとか絵を描くのが趣味(両方とも下手)。最近ではハイパーヨーヨーを子どもに買ってあげた上司に、ヨーヨー知識マウントをしてドン引かせた。
今回もなんとなくで参加したが、「え、名人維新終わっちゃうの!?」とか「チームサマルトリアでの雪辱を果たしたい」との理由もあって、しっかりやりたい所存。
活動歴が無駄に長いこともあるので、過去に多少まあまあな成績を残したことが多分何度かあったような気がするけど、今大会で「今が全盛期」と言えるよう、過去現在全ての経験を基に思考力・想像力を養っている最中。マジでなんとかして。
こんな感じ。
初めまして同士だけど、会議場でもみなさん優しくてワイワイやれており、このチームになれて良かったなと思う。
ここからが本番だから、チームの為に一所懸命やらなくては。
4人でガッツリ勝負して、ガッツリ勝ち上がってやるのだ!
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mobsprooftheweb · 6 months ago
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幻のカルト・ムービー『アクション・ミュタンテ 4K』初のリバイバル&4K上映決定
美しいものは悪だ!全員ぶっ飛ばせ!
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スペインの鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアの衝撃的なデビュー作にして、幻のカルト・ムービー『アクション・ミュタンテ 4K』の初のリバイバル上映、初の4K版での上映が決定! 8/23(金)より新宿シネマカリテほか全国順次でロードショーが決定した。
舞台は美しさが優先され、人々が美容に励む近未来。 醜悪な容貌や障害ゆえに迫害を受け虐待を受けてきた7人からなるテロリスト集団<アクション・ミュタンテ>は社会に復讐を誓い、誘拐や殺人を繰り返していた。
ある日、監獄から出所したボスのラモンを迎えてパン製造業の大富豪オルホの娘、パトリシアの誘拐を企てる。 パトリシアの結婚パーティーに潜入したミュタンテたちは客を皆殺しにして彼女を宇宙船へ拉致、身代金の引き換え場所である惑星に向かうのだが…。
ゴヤとピカソとダリを産んだ芸術の国スペイン出身、のちの『ビースト獣の日』(95)でスペイン版アカデミー賞といわれるゴヤ賞を受賞、『気狂いピエロの決闘』(2010)はクエンティン・タランティーノが絶賛、第67回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。 異端の者たちの闘いと血と愛を描き続ける鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアの記念すべきデビュー作であり、その才能にひれ伏した巨匠ペドロ・アルモドバルが製作を務めた本作は、『ハイルミュタンテ! 電撃XX作戦』さらには『未来世紀ミュータント』といった邦題での日本公開から30年の時を経て、あらたに『アクション・ミュタンテ 4K』とタイトルを更新し、初の4K版で生まれ変わりスクリーンに投影される!
『未来世紀ブラジル』的カルトSF映画の魅力や『時計じかけのオレンジ』もびっくりのバイオレンス描写に『スパイ大作戦』のオマージュ(!?)まで、あらゆるジャンルとブラックユーモアと血をミキサーにかけ、惑星もろともぶっ飛ばす勢いで疾風怒濤、奈落の底まで突き進む、アナーキーSF超怪作の復活だ。
物語を彩るのは次から次に現れる強烈な個性のキャラクターたち、キッチュでポップな衣装、広大な砂漠の惑星、猥雑なバーのロケーション…。
4K版で蘇るそのディティールは<宇宙芸術>とも呼ぶべき素晴らしさ。
そして、強烈なバイオレンス描写と、モラルに揺さぶりをかけるユーモアが全開ながら、根底に流れるのは既存の<美しさ>と体制、権力にとことん牙をむき、あざ笑う反逆精神だ。
狂っているのは社会か、ミュタンテか、我々か?
<イイ感じ>にコーティングされた世界をぶっ飛ばした先に奇妙な感動が待っている、世紀の怪作を今こそお見逃しなく!!
『アクション・ミュタンテ 4K』 1993年/スペイン=フランス合作/95分/スコープサイズ 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア 脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア、ホルヘ・ゲリカエチェバァリア 製作:ペドロ・アルモドバル、アウグスティン・アルモドバル 撮影:カルレス・グシ 音楽:ファン・カルロス・クエリョ 出演:アントニオ・レシネス、フェルナンド・ギーエン、フレデリケ・フェデール、アレックス・アングロ、フアン・ヴィアダス、サテュリアーノ・ガルシア、カラ・エレハルデ キングレコード提供|フリークスムービー配給 🄫 EL DESEO, S.A. – CIBY 2000 - 1992 公式X:@accionmutantejp   8/23(金)より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー!
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zo-sunz · 9 months ago
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エスカレートする「倫理的狂気」
 倫理的狂気に陥るのは、時間がたってからだ。戦争開始直後から起こわけではない。時間がたち、いくつもの出来事を経るうちに、どんどんエスカレートしていく。誰も都市に空から爆弾を落とす第一号になどなりたくなかった。しかし、敵が攻撃してきたので仕返しをした。最初は軍事目標だけを狙うつもりだったが、昼間では敵の戦闘機に攻撃されてしまう。そのため夜間に爆撃を行うことにした。問題は、昼間でも標的に命中させることができなかったことだ。にもかかわらず夜に爆撃機を飛ばすことは、都市に��差別に爆弾を落とすのを、闇に認めていたということだ。
「倫理的には、彼らは昼間でも正確に狙えなかった標的を爆撃しようとしていた」と、レン・デイトンはドイツの戦略の変化について書いている。「実際には彼らは英国空軍爆撃機軍団がしていたのと同じようにしていた。大きな市の中心部を見つけてそこに火を放ったのだ」
 1941年6月、イギリスは敵国の労働者の士気とコミュニティの破壊を目的として、爆撃は夜間に行なうと公言した(ドイツが行なったのは“脅威を与えるための爆撃”で、イギリスが行なったのは、“士気を挫く爆撃”だった)。イギリスにとっては、それは当時ドイツとの戦争において、彼らが持っていた数少ない貴重な戦法の一つだった。
 ドイツの作家ヨルグ・フリードリッヒは複合爆撃機攻撃の航空隊を「人間に向けられた最も不気味な兵器」と呼んだ(この取り組みを監督していた空軍元帥のハリスは戦後も、これがイギリス人兵士一世代分を丸ごと救ったと固く信じていた)。
 ドイツ空軍のヘルマン・ルメイまで、第一次世界大戦のころにパイロットや兵士として戦った軍の指揮官たちにとっては、何があろうと20年前に前線で経験したことよりはるかにましだった。第一次世界大戦では英国海軍が約80万人のドイツ人(大半が非戦闘員)を餓死させたと思われているが──すべてイギリスが海上封鎖している間の戦争の原則のもと──それは西部戦線で戦っていた兵士の命を救うためだったので、倫理的に受け入れられていたと、ハリスは主張した。(もちろん誰もが受け入れていたわけではない。ドイツの姿勢はイギリスとは著しく違っていたが、それは当然だろう)。
 タミ・デイヴィス・ビドルは自らのエッセー『空軍力』で「自国の兵士の命と敵国の民間人の命を、どう比較するのだろうか?」と問うた。また、イギリスがドイツへの空爆を始めたときには、平和主義の聖職者たちが、戦争に勝つためにモラル上の一線を超えるよりも、負けるほうがいいのはどういう場合かと問いかけた。
 米軍空軍司令官のヘンリー・“ハップ”・アーノルドは、何十万人もの市民が死んだあとで、「適切な理解とともに使用すれば、爆撃は、事実上、すべての兵器の中で最も人道的なものになる」と述べた。最悪な大量殺戮はまさに最適な条件で起きた。(爆撃される国からすると、誤った条件下かもしれない。)ある一定の条件の下では、爆撃で火炎旋風と呼ばれる現象が起きる。ある範囲(この場合は町)にいくつもの火炎があがり、それが一つに合わさって大きな火炎となる。これが起きると熱い上昇気流が大量に発生し、地上の冷たい空気が渦を巻いて、ハリケーン級の超高温の風を生じさせる。
 このような状況では、人がいろいろな原因で死んでいく。ある人は爆風で死ぬ──肺が破裂し、血管等神経が衝撃を受けて死が訪れる。炎が燃え移って焼死する人もいれば、コンクリートの塊や建物に押しつぶされて死ぬ人もいる(個人が致命傷を負う弾丸と違って、爆弾は犠牲者の周囲の世界も破界する)。防空壕に流れ込んできた一酸化炭素による中毒、あるいは火炎旋風で部屋の空気がなくなって、窒息した犠牲者も多かった。
 ドイツ軍の爆撃が最も激しかった晩は火炎旋風が生じ、1666年のロンドン大火以来、最悪の大火災となった。しかしそれも、ドイツの都市への報復の爆撃に比べれば見劣りがする。(ドイツ空軍は、当初はあまり考えずに戦略爆撃を重視する原則を採用していたが、戦争が始まるころには戦術空爆を中心としたやり方に切り替えていった。戦術攻撃とは、都市全体ではなくその戦場だけに攻撃を絞る手法である。急降下爆撃機(Ju87ストゥーカ)で戦車を爆撃するのが、戦術攻撃の例である)。最初の激しい攻撃は1943年のハンブルクだった。おそらく4万から5万人が焼死した。
 1943年に19歳だったケイト・ホフマイスターは、爆撃を生き延びた一人だった。グウィン・ダイアーが著書『戦争(War)』に彼女の経験を書いている。そこには人間の経験として想像を超える極限状態が描かれている。防空壕を出たホフマイスターの目の前には、燃え上がる地獄が広がっていた。ガスマスクが溶けて顔にはりついている人が転がっていた。ダイアーはホフマイスターの話を引用している。「アイフェ通りの向こうには行けませんでした。道路には人がいて、すでに死んでいる人も、生きているけどアスファルトにくっついて動けなくなっている人もいました。きっとあわてて何も考えずに道に出てきたのでしょう。足がくっついて、抜け出そうとして手をついたんです。手と膝をついて四つん這いの状態で叫んでいました」
 火炎旋風が起これば、次に何が起こるかは決まっていた。ロンドン大空襲では、8ヶ月を超える期間で4万人が死んだ(これは近代以前のほとんどの軍隊が、一度の戦争全体で失う数よりも多い)。ハンブルクではひと晩でそれだけの数のドイツ人が命を落とした。それは地獄の底をのぞき見て、目を背ける経験だったのかもしれない。
 地獄をのぞき見た人はごくわずかだったが、英国首相はその一人だったと思われる。ウィンストン・チャーチルは、飛行機の先につけたカメラで撮影した、爆撃されたドイツ都市の被害現場の映像を見て、恐ろしさのあまり震え上がってもおかしくはなかった。当時彼と一緒にいたオーストラリア駐在武官によると、チャーチルは腰掛けた背を伸ばして、大声でこう言ったのだ。「われわれは野獣か? ここまでやってしまったのか?」。その同じチャーチルが、1940年にはこう言っていた。「自分の裏庭に火が付けば、ヒトラーは交代せざるをえなくなる。そして我々はドイツを砂漠にしてやる。そう砂漠だ」
 チャーチルはまた、爆撃で失われるヨーロッパの遺産を心配していた。戦争で直接の被害を受けた人々が死んでいなくなったあとも、ローマ時代までさかのぼれる遺産の喪失は、子々孫々にわたり影響を受けることになる。文化遺産が、倫理的狂気によって破壊されるのだ。そしてそれはヨーロッパに限らない。日本、中国をはじめ多くの國で起こっていた。(たとえばイラクへの爆撃で、古代バビロニアやアッシリアの遺跡が損傷した。)
 フランクリン・ローズベルト大統領は、敵の都市の爆撃について、二つの違う立場をとった。公的には反対、非公式には賛成だ。1941年8月4日の彼の発言を、米国財務長官ヘンリー・モーゲンソーが録音していたが、その内容は次のようなものだった(コンラッド・クレーンによる引用)。「ヒトラーに勝つ方法をイギリス人に伝え続けているが、彼らは聞く耳を持たない。軍事施設を狙って百機の飛行機をドイツに飛ばすなら、そのうち十機は前に爆撃されたことのない小さな町を爆撃するべきだと、繰り返して提言した。どの町にも何らかの工場があるはずだドイツ人の士気を挫くにはそれしかない」
 1943年になると、死者の数が恐ろしい勢いで増え始め、それがずっと続いた。米国は、戦争最後の1年で、それまでの累計より多くの死者を出すことになる。
 ダグラス・カッカーサー将軍は焼夷弾攻撃を非常に嫌っていた。補佐官の一人(基本的に彼を代弁する立場)は、それを「これまでの歴史の中でも最も容赦のない野蛮な非戦闘員の殺戮だ」と述べた。マッカーサーは実際に、市民を守るために民間施設を爆撃しなかったせいで自分の部隊を危険な目にあわせて死なせたことがある。現在でもそれは間違っていたという声がある。
 世界で最も大きな力を持つ人々でも、こうした非道が行われる勢いを止めることができなかったようだ。戦争を率いた陸軍のジョージ・マーシャル元帥と陸軍長官ヘンリー・スティムソンも、その時起きていることを気に入らなかったが、止めることはできなかった。スティムソンの言によるとマンハッタン計画に参加した物理学者J・ロバート・オッペンハイマーは、焼夷弾攻撃と民間人への攻撃に対して米国の一般大衆があまり怒っていないことを不安視していた。オッペンハイマーは必ずしも攻撃を止めることを望んではいなかった。ただそれについて起こる人が少ないのが気に入らなかったのだ。
 これはその時期の狂気を示すものだった。戦前の世論が女や子どもを標的にすることを許さなかったために精密に標的を狙う空軍力をつくった、まさにその当事者らが、1944年には一般大衆が怒らないという懸念を表明していたのだから。しかし都市には多くの軍事施設があるので、町全体を消滅させてしまえば、多くの軍事施設を破壊できる。
 日本は産業を民間人の移住地域に移す決定をして、計り知れないほどの代償を払うことになった。一か所に集中させて爆撃を受けないよう、地域ごとに小さな工場をつくった。これが、当然と言えば当然だが、すべてを消滅させることを都合よく正当化��せる要因となった。
 技術の発達で、離れたところから標的を攻撃できるようにもなっていた。陸軍中佐で軍事心理学の専門家であるデイヴ・グロスマンは、距離があると殺人ができるようになる理由、そして標的との距離が遠いほど簡単に殺せることについて書いている。日本とドイツに対して行なわれたこと、あるいはドイツがイギリスに行なったこと、そのどれも、兵士が敵の顔を見て手を下さなければならなかったら、起こっていなかった可能性は高い。
 グロスマンは7万人の犠牲者を出したある夜の空爆について「七万人の女子供にひとりずつ火炎放射器を向けるとしたら、いや、なお悪いことにひとりひとりの喉を掻き切らなねばならなかったのなら、その行為のむごたらしさとトラウマはけたはずれに大きく、誰にもそんなことはできなかっただろう。しかし、何千フィートもの上空からなら、悲鳴は聞こえず、焼け焦げる身体は見えない。だからだれにでも簡単にできてしまうのである」と書いている。日本で空襲を行なって戻ってきたアメリカの爆撃機の搭乗員には、焦げた人間のようなにおいがした。彼らの飛行機の底は焦げていた。そして彼らは戦果報告書を、握手して手渡していたと言われる。
 コンラッド・クレーンは民間人を標的とした空爆について、米国のある当局者の話を引用している。「それは地上部隊に、戦っているときすべての民間人を殺し、すべての建物を破壊せよと命令するのと同じではないのか」
 たしかにそうかもしれないが、前述したとおり、陸軍には海軍と同じように、戦時中に取るべき行動と、何が許容できて何ができないのかについての理解を、何千年もかけて体系的にまとめた指針がある。
3億人を救うためなら1億人を殺戮していいのか?
 1945年2月にら、ドイツにはもう爆撃するものは残っていないので、連合軍はがれきを揺らしているだけだという不満が出ていたが、それでも爆撃は継続された。戦後、ニュルンベルク裁判で、被告は──ほとんどが人道に対する罪で絞首刑になる──連合軍のドイツの都市の爆撃を非難していた。連合軍の法律顧問の一人は、空爆は「すべての国が実行するようになり、近代戦争の一部として認められるようになった」と述べた。倫理的な問題を問うには遅すぎる、というわけだ。
 連合軍からすると、事実上の敗北が決まったドイツへの爆撃を止めないのであれば、それよりは兵力が残っている日本がいる、太平洋戦域での攻撃を止めることは誰も考えなかっただろう。(ドイツ・ファースト政策によって、連合軍は第三帝国への攻撃を優先した。1945年初頭、ドイツはまだ侵攻されていない日本よりはるかに不安定な状況にあった。複数の敵国軍がドイツ国内で戦い、ドイツの大都市はどこも廃墟と化していた)さらに1945年8月、“空からのとどめ”という、ドイツに対する攻撃として想定されていたものが再び浮上した。その時点で、毎日の死傷者の数は恐ろしいほどで、終戦が1日早まるごとに、何千人もの命を救うことができた。
 日本に2発の原子爆弾が落とされてから完全に降伏するまでの間に、千機の飛行機が東京に焼夷弾を落とした。まだやるのか、という話である。
 しかし連合軍の爆撃だけに注目するのは、敵の危険性と性質を無視することだ。空軍の歴史を研究していたブルース・ホッパーは、1945年4月にブーヘンヴァルトの強制収容所を訪ねたあと、次のように書いている。「そこらじゅうで悪臭がした。人骨の残骸が炉の近くに山積みになっている。戦略爆撃を行なったことについての良心の呵責は、これを見れば和らげられる」。1899年のハーグ平和会議で、爆撃機はいずれ標的を狙う精度が高まって、市民を殺さずにすむ人道的な兵器になると言ったのは、米国の代表団だった。米国はまた、多くの非戦闘員を無差別に殺す軍部の策に耐えられないと感じていた。その米国が原子爆弾という、おそらくは世界史上最悪の無差別大量殺人兵器を使用した、唯一の国になるというのは、なんとも皮肉な話である。
 総力戦の論理は矛盾だらけだ。
 話は飛んで15年後、爆弾と高高度爆発物を民間人居住地域に使用することは合法である──なにしろどの国も使っていた──と成分化されたことで、米国自身が冷戦の間、核兵器の標的となる可能性を受け入れた。世界の指導者が3億人の命を救うために一億人を殺戮することは、倫理的に受け入れられるかという話を始めると、倫理的狂気はいっそう激しくなる。
 死者の総数を最小限にとどめようとするのは、それで3億人を救えるのであれば、たしかに論理的である。しかし自分たちが使用した兵器が引き起こした1億の人間の無残な死に、健全で有益だった部分もあるというのは、どんな理由をこじつけようと無理がある。
 人類が世界的な熱核戦争に突入し、再び暗黒時代を引き起こすようなことがあれば、私たちはきっと映画『猿の惑星』のチャールトン・ヘストンのように「バカども! このザマは何だ!」と叫びたくなるだろう。しかしそれは我々が招いた結末ではあっても、誰かが好き好んで起こしたことではないはずだ。
『危機の世界史』ダン・カールソン著 渡会圭子訳 2021年2月25日文藝春秋発行
THE END IS ALWAYS NEAR:
Humanity vs the Apocalypse. from the Bronze Age to Today
by Dan Carlin
Copyright © Dan Carlin 2019
Japanese translation rights reserved by Bungei Skunju Ltd.
By arrangement with Harper, an inprint of HarperCollins Publishers.
through Japan UNI Agency Inc., Tokyo.
ダン・カーリン
Dan Carlin
1965年生まれ。ポッドキャストのパイオニア的ジャーナリスト。かつてはテレビレポーター、ラジオパーソナリティ、コラムニストとして活動していたが、やがて活躍の場をインターネットに移し、彼がひとりで世界史のさまざまなテーマを、1エピソード数時間にわたって語る「だけ」のポッドキャスト番組『ハードコア・ヒストリー』を開設。そのドラマチックなテーマ選びと語り口で人気が爆発し、“Alexander versus Hitler(アレクサンドロス対ヒトラー)”、“Death Throes of the Republic(共和国の断末魔)”シリーズ、“Blueprint for Armageddon(最終戦争の青写真)”シリーズ、日本を扱った“Supernova in the East(東の超新星)”シリーズなど、60本以上のエピソードで累計1億ダウンロードを誇る。2015年の「ベスト教育ポッドキャスト賞」、2018年の「ベスト歴史ポッドキャスト賞」などを受賞。本書が初の著書となる。
渡会圭子
Keiko Watarai
1963年生まれ。翻訳家。上智大学文学部卒。おもな訳書に『the four GAFA-四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ)、『習慣の力』(チャールズ・デュヒッグ)、『悪について』(エーリッヒ・フロム)、『かくて行動経済学は生まれり』(マイケル・ルイス)、『フラッシュ・ボーイズ』(マイケル・ルイス、東江一紀共訳)、『人口で語る世界史』(ポール・モーランド)など。
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kachoushi · 9 months ago
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虚子自選揮毫『虚子百句』を読む Ⅳ
花鳥誌2024年4月号より転載
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日本文学研究者
井上 泰至
6 葛城の神臠はせ青き踏む
 大正六年二月十日、松山に帰省の途中で京阪に寄った。白鳥吟社主催堺俳句会(於開口神社)で出句。西山泊雲・野村泊月・岩木躑躅・原田濱人・島村はじめ・久保田九品太・青木月斗・大橋櫻坡子らが出席。『ホトトギス』の同年三月号「堺俳句会の記」に詳しい。
 この句会は、大阪の『ホトトギス』派の旗揚げに位置する記念碑的な一件で、その詳細は櫻坡子の『大正の大阪俳壇』に詳しい。この句は『新歳時記』にも登録された、虚子の自信作である。大和と河内の国境に位置する葛城山の神一言主は醜貌の女体と言い習わされ、夜しかお出ましにならなかったと謡曲にも出てくる(「葛城」)。
 その引きこもった神に向かって、麓の春を足で確かめて野遊びしております。「山の上からせめて密かに御覧ぜられ度い」(虚子自注「俳句朗読原文」)と悪戯っぽく詠んでみせたのである。「みそなはす」とは、「ご覧になる」の最上級敬語表現で、これまた謡曲に神を主体とした用例がある(「高砂」など)。
 「臠」の字は画数も多く、呪術的なイメージを本来持つが、虚子の字は軽く「糸」の二か所が崩されていて、内容の「滑稽」と対応している。これは活字でなく、虚子の書によってこそ鑑賞が可能で、「臠」は一句の眼目であったことが了解される。
 神や霊魂に命令形を以て呼びかける表現は、江戸俳諧からある。
  塚も動け我泣声は秋の風 芭蕉
  五月雨の空吹き落せ大井川 芭蕉
  笈も太刀も五月にかざれ紙幟 芭蕉
 これらの芭蕉句は、痛切な哀しみや祈りが託されているが、虚子は次にあげる蕪村の例などに学んだか(『蕪村句集講義』)。
  裸身に神うつりませ夏神楽 蕪村
 蕪村の敬語表現「うつりませ」は、祈りとともに一種の滑稽というか余裕があって、そこが夏の禊を「裸身」で具象化する視線と対応している。虚子も、「野遊」の軽々と晴れやかな気分を、この敬語の命令形に託した。命令形は、祈りではあるが、痛切なそれと、軽い挨拶の二種があって、この句は山本健吉の言う俳句の本質「滑稽と挨拶」の典型例と言ってよい。
 ちなみに水原秋櫻子系の俳人の命令形には、自己に執着し、自己に言い聞かせる気分の命令形が多い。
  木の葉降りやまず急ぐな急ぐなよ 加藤楸邨 
  柿若葉多忙を口実となすな 藤田湘子 
  逝く吾子に万葉の露みなはしれ 能村登四郎
 このあたり、命令形の二系統は、俳人の質や俳句観をも照らしだす「鏡」と言ったら言い過ぎだろうか(井上『俳句のマナー、俳句のスタイル』)。
7 雨の中に立春大吉の光あり
 大正七年二月十日、『ホトトギス』発行所句会のものと『五百句』に注記される。
 実景は雨だが、「立春大吉」の御札とその文字に、心中春の光を予感し、見て取る主観句である。もちろん、雨や雨粒にはわずかな光はあるかもしれない。だとしても、それを読み取ろうとする構えから生まれた心象を詠んだ句であることに変わりはない。特にこの句で詠まれた「光」に対する予感は、「立春大吉」の文字から触発されたものであることは、肚にとめておく必要があろう。
 虚子の揮毫では、この「立春大吉」をことさら御札めいて、黒々と墨書したりはしていない。ただし、注意深く見ると「大吉」の「大」の撥ねと、後に来る「光」の字の撥ねとは、対応している。
 そもそも「大」の字の運筆は、先に左に筆先を払い、取って返して右に払うもので、本来撥る字ではない。ところがこの句の虚子の「大」は右の払いの最後が若干撥ねていて、後にくる「光」の右撥ねの呼び出しになっている。こうして一句の眼目は、「光」であることが視覚的にも確認できるところに、虚子の揮毫で句を鑑賞する醍醐味が出てくる。
 「立春大吉」とは、立春の時期に玄関や部屋の入口に張る厄除け札のことである。あたりは雨だが、外界との通路である門口に貼られた「字」から、眼には見えない「光」を感じた。その意味で中七を字余りにする「の」はこの句の重要なレトリックである。
 一般に「中八」の言葉通り、字余りの中でも、中七を字余りにするのは禁忌とされる。俳句のリズムの研究は、五七五が実は休拍・無音の一拍を加えて、六八六であること、さらに前と後の六は伸びる傾向にあることを計測・実証した(別宮貞徳『日本語のリズム』)。これを前提にすれば、中七は延ばして詠まないものなので、ここでの字余りは、おおむねダレるのである。
 ただし、上五で既に字余りがある場合、続く中八は字余りの反復となり、このダレが感じられない。所詮リズムとは反復と同義なのである。
  春や昔十五万石の城下哉 子規
 掲句も上五・中七の連続の字余りだが、掲句の「立春大吉」に、わざわざ「の」を加えた意図は何だったのだろう?類例を挙げよう。
  春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎
 やはり「中八」を、堂々とやっているばかりか、上五に字余りはない。しかし、この句は「槍投げ槍に」ではいけない。あえて「て」を入れ、ひと呼吸を置くことで、投げた槍に歩み寄る主人公に焦点があたる。「槍」の繰り返しが独自のリズムを作っており、中八も気にならない(井上『俳句のマナー、俳句のスタイル』)。
 掲句で言えば、まず上五に「雨の中に」と「の」が用意周到に置かれている点が注目される。この字余りを際立たせる「の」の印象を引き継いで、「立春大吉の」の「の」があることが了解される。
 加えて、「の」の繰り返しは、求心性をもたらす。
  ゆく秋の大和の国の薬師寺の      塔の上なる一ひらの雲 佐佐木信綱
  この庭の遅日の石のいつまでも 虚子
 掲句も字余りの「の」の反復を行うことで、光など一切ない春の雨の中、「立春大吉」の文字にのみ「光」を感じたことを焦点化して見せたのである。
 最後に、先の「葛城」の句との関係で言えば、神仏への祈りというテーマのつながりもある。このあたりに編集の妙を認めることも可能かと思う。
『虚子百句』より虚子揮毫
7 雨の中に立春大吉の光あり 
8 さしくれし春雨傘を受取りし
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国立国会図書館デジタルコレクションより
___________________________
井上 泰至(いのうえ・やすし)   1961年京都市生まれ 日本伝統俳句協会常務理事・防衛大学校教授。 専攻、江戸文学・近代俳句
著書に 『子規の内なる江戸』(角川学芸出版) 『近代俳句の誕生』 (日本伝統俳句協会) 『改訂雨月物語』 (角川ソフィア文庫) 『恋愛小説の誕生』 (笠間書院)など 多数
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bearbench-tokaido · 9 months ago
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四篇 上 その五
また、別の女中が、お茶をくんできた。 「もし、お客さん。お淋しけりゃ、女郎さんでも、お呼びなさいませ。」 弥次郎兵衛は、女中をキッとにらんで、 「ばかいうな。どうせ、石地蔵を抱いて寝ることになるんだろう。」 「ホホホ。変なことをおっしゃります。」 北八は、仕方がないというしぐさで、 「そんなら先に、風呂に入ってこよう。」 と、湯殿へ行く。
また、亭主が部屋に入ってきた。 「ところで、お客さま。今晩は、私どもに祝事がございまして、祝い酒でございます。一つお召し上がりくださいませ。」 と、言いながら、台所より、酒と肴を持ってくる。 弥次郎兵衛は、 「おかまいなさるな。で、どんなめでたいことがあるんだ。」 「はい、私の甥が、嫁を貰いまして、今晩が、婚礼でございます。 まあ、少々、やかましいかもしれませんが、なにぶんめでたいことですので、お察し下さい。」 と、いいすてて、立っていく。
そのうちに、北八が風呂からでてきた。 「なんだこりゃ。ここの計らいか。」 「ああ、なんでも、この家で、今夜婚礼があるということだ。 こりゃいよいよ、狐が本性をあらわしてきやがった。 やっぱり、水風呂へは、入らないでおこう。」 弥次郎兵衛は、腕を組んで一人でうなずいている。 「まったく、疑り深いもんだ。もう、いい加減にしなせえ。」 弥次郎兵衛は、そういう北八をじろりとにらんで、 「いやいや、油断大敵。どうせこの肴もこんなにうまそうに見えているが、大方、馬のくそや犬のくそだろう。」 「ああ、そうだそうだ。お前は、そこで見てろ。一人で食ってしまおう。 こいつはいい。遠慮なしにやろう。」 と、北八は、手酌で、さっさと飲み食いを始める。
弥次郎兵衛は、その様子を疑り深く見ていたが、北八があまりうまそうに食べるので、本来の食い意地がおこって、さすがに黙ってみていられなくなり瞬きしながら、 「いまいましい。美味そうにくいやがる。」 北八は、 「心配いらねえ。さあ、弥次さん。一杯飲みな。」 弥次郎兵衛は、我慢が出来ずに、 「いやいや、馬の小便だということはわかっているが、どれ、匂いをかいでみよう。」 と、北八から、盃を受け取ると、鼻に近づけて、 「どうやら、匂いは本物のようだ。むう、我慢が出来ん。ええ、飲んでみよう。」 と、ぐいっと飲んでしまう。 「酒だ。酒だ。こりゃ、美味い。どれどれ、肴はどうだ。 おっと、この玉子はどうも色合いが気にくわない。こっちの、海老にしよう。」 と、弥次郎兵衛は、かりかりと食べてしまう。 「こいつは、本物の海老だ。美味い。」 と、ひっかけひっかけ、差しつ押さえつさっさっとのみかける。
そのうち、台所のほうから、ガチャガチャと騒がしい音が聞こえてきた。 どうやら、例の婚礼が離れの座敷で始まったらしい。 高砂の声も聞こえてきた。 「四海波静かにて、国も治まる時つ風、枝を鳴らさぬ御代(みよ)なれや、あひに相生の松こそめでたかりけれ。」 「やんや、やんや。」 と、北八は、手を叩いて囃し立てている。 「いや、こりゃ、やかましい。」 弥次郎兵衛は、手に持っている盃をぐいっとあおると、手酌で継ぎ足しながら言う。
「やかましいはいいが、お前は、さっきから盃を持ったままだ。 ちっとはこっちへ回しな。さっきは馬のくそだの、小便だのと言ってたのに、今は独り占めしてやがる。」 北八が、弥次郎衛衛から、酒を取ろうとする。 「いや、俺は、本当に化された気になっていたんだ。 今思えば、そうでもね。とんだ、苦労をしたもんだ。」 「ふん、お前の苦労に比べたら、俺は、縛られてへんてこなめにあったわ。」 と、二人は顔を見合わせて笑いあう。
また、台所から、膳が出てきた。 支度をする女中をみていると、又、奥の座敷から歌が聞こえてきた。 「千代もかわらじいく千代も、栄え栄えうる松香の、ふたばの竹のよをこめて、老となるまでと結ぶぞ楽しかりける。 めでたいめでたい。天下一の嫁を取りました。」 と、手を打ち叩き、騒ぎ立てる。
そのうち、女中がやってきて、 「あなたがた、もう、お床を敷いときましょうか。」 と、その辺りを片付け出す。 弥次郎兵衛は、残った酒をあおり、 「そうだな。そうするか。」 と、北八のほうを見る。 北八も、うなずいて、 「ところで、女中さん。祝言は、もう済んだのかい。 お嫁さんは、さぞ美しいんだろうな。」 と、聞く。 「ええ、そりゃもう。それに、婿様もいいおとこなんですよ、これが。 嫁様も美人だし、もう言うことなしですよ。でも、お客様はお気の毒ですね。」 弥次郎兵衛は、怪訝な様子で、 「へ、なんで、美男美女の婚礼が俺の不運になる。」 「だって、あちらの座敷で、寝ることになりますから、聞きたくなくても、聞こえてきますよ。」 弥次郎兵衛は、顔をしかめて、 「なんだ、なんだ。そんな連中と隣りあわせか。閉口する。」 北八も。 「こりゃ、寝られないかも知れないぞ。大変大変。」 「おめでたいことですから、どうぞ、我慢してくださいな。ホホホ。」 と、女中は、おかしくて仕方がないと言うふうで、出て行く。
しょうがない。 早く寝てしまおうと、二人は、横になったのだが、隣の座敷から音がこきこえてきた。 どうやら、例の婿と嫁が寝にきたようだ。 ひそひそと小さな声で話をしているらしい。 この二人は、昔から付き合っていたのか、いちゃついている様だ。 時々、嬌声を上げたりしている。 その様子が、手にとるように聞こえ��弥次郎兵衛と北八は、寝ていられず、 「まったく、お前は、とんでもない目にあわせる。」 弥次郎兵衛は、小さな声で、北八をなじる。 北八も、弥次郎兵衛の非難にこたえる気にもならなくて、 「本当だ。悪い宿を取ったもんだ。人の気持ちも知らないで、なんだか、仲睦まじい声が聞こえてくる。畜生め。」
と、急に静かになった。弥次郎兵衛は、 「さあ、話し声がやんでしまったぞ。いよいよか。」 と、だんだん、布団から這い出してきて、隣の様子に聞き耳をたてていた。 そのうち、どうせ寝られないのならと、弥次郎兵衛は、そっと起き出してふすまの隙間から、隣を覗いてみる。
北八も、その様子に裸のまま起きてきて、 「おい。弥次さん、嫁さんは、美しいか。俺にもちょっと見せてくれ。」 と、弥次郎兵衛を押さえこもうとしながら言う。 「こりゃ、静かにしろ。これからが、肝心なところなんだから。」 北八は、肝心な所ときいて、きがきではなく、 「どれどれ、俺にも、見せろ。」 と、ひっぱる。弥次郎兵衛は、 「おい、引っ張るな。」 と、頑として動かない。 「いいから、ちょっと、どいてくれ。」 と、夢中になっている弥次郎兵衛をどけようとして引っ張るが、ますます力を入れて、意地を張る。 引いてもだめなら押してみようとすると、それでも、弥次郎兵衛は、どかない。 そうこうしているうちにはずみで、ばったりと隣の座敷に、ふすまごと倒れこんでしまった。 二人は、ふすまの上で転げまわっていたがはっと、我に返ると自分たちが倒れこんだふすまの下で、もごもご動いてる婿と嫁に気がついた。
「アイタタタ。なんだ。こりや。いったい誰じゃ。なぜ、ふすまを倒したんだ。」 と、跳ね起きたが、運の悪いことに、灯りをひっくり返してしまった。 そのため、辺りは、真っ暗闇になってしまった。 弥次郎兵衛は、チャンスとばかりに、自分の寝床にさっさともぐりこむ。 北八の方は、まごついて、かの婿に捕まり、仕方なく、 「いや、ごめんなさい。便所に行こうと思って、つい、つまずいた。 だいたいここの女中が悪い。 座敷の真ん中に灯りをおいておくから、それにけつまずいて、本当に悪いことをした。 ああ、小便がもりそうだ。 はやく、行ってこよう。ここをはなしてください。」 黙って聞いていた婿は、 「いやはや、あきれたお人じゃ。嘘をつくならもうっちょとましな嘘をつけばいいものを。 ほれ、寝巻きも布団も、油だらけになった。おおい誰か、来てくれ。」 と、大声で呼び立てる。
その声に台所から女中が、火をともして来て、そこらを片付けると北八もすることもなく、倒してししまったふすまを元に戻すと、平謝りしてやっとのことで許してもらい、もとの寝床におさまる。 弥次郎兵衛は、その様子を見ていて、おかしくふきだして、
寝て聞けば やたらおかしや ふすまらと 共に外れし あごの掛け金
北八も夜着うちかぶりながら
新婚の 寝ているところを かぎまわり 我は面目 失いしとて
などと、言って、二人で笑いあった。 そのうち、双方とも、静まり、ただ、いびきの音だけが、響いてきた。 夜も更けていった。
四篇 下へつづく。
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canarycradle · 11 months ago
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鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
事前情報
水木という片目に傷のある男と、身長がでら高い着流しの男がいる(愛妻家らしい)
私が好きそうな男が出てくるらしい(オサダ?)
感じたこと、覚えてることだけ。まとまりはない。
出だしは正直あんまりよくわからなかった。猫娘が今風のキャラデザだったから、あ、1番新しい方の鬼太郎なんだな〜とは思った。
野沢さんの目玉親父初めて聞いたのでびびったけどそんなに違和感はなかった。
過去編。まず水木の声が生身の男っぽくていいなと思った。
そりゃあもういい声なんだけど、何というか、絶妙な「身近なところにそう」感。
等身も高すぎないし、絵柄は新しいんだけど昭和みを感じる。いい。
親父が出てきたら声が良すぎて、またその対比が良い。めちゃくちゃに異界。際立つ。ありがとうキャスティング。
電車の中の女の子が人形を持ってて、あれ冒頭のやつじゃんと思う。えっこの子…大丈夫ですか???
沙代お嬢様。木陰で立ってる。あっなんかここ二次創作で見たことある気がする。
出世するために来た水木に頬を染めるお嬢様かわええなあと思ったら急に真顔になる。何……?横溝正史感じる。
トンネルを潜る時、屋敷の敷居を跨ぐ時の足元のカットが印象的。境界を跨ぐ瞬間の演出なのかな〜。
立派な屋敷だけど斜めに写すのが気持ち悪くていい感じ。
まあ、こんな迷信深い山奥の名家で、入婿は跡は継げないわな。知ってた。タイプの違う三人姉妹。仲悪そう。横溝正史じゃん(二度目)
時麿が当主に決まって号泣してる時、左目がピクピクっと痙攣?したのが気になった。気のせいか?沙代お嬢様に向けてる目が嫌だわ〜。直前に「妻も取れずに…」って言ってたからあーこいつなんかやらかすなと思った。
被害者が片目を抉られまくってるのを見て、あー、隻眼やら片足やらは異界の住人の象徴だったなと思う。そういえば鬼太郎もゲゲ郎もそうだわね。あ、そう思うと、水木が片目に傷を負ってるのもそっちに片足踏み入れてるって暗喩なのかな。
時ちゃん可愛すぎる。ゲゲ郎に「ごめんなさい、わからない」って謝るのを見てめーちゃくちゃ賢い子じゃんと思った。わからないで、拗ねる怒る泣くみたいな大人いくらでもいる。めちゃくちゃ未来志向。めっちゃいい子。こんな村にいちゃいけねえ…
私は妻を溺愛している男が大好きなので、ゲゲ郎のおのろけだけを無限に聞いていたい。
水木とゲゲ郎が墓場で話してるシーン。ゲゲ郎がいいやつすぎてにこにこしたし、なんだったらこのシーンが1番好きだったかもしれない。ゲゲ郎のおのろけだけを無限に聞いていたい。
ゲゲ郎が裏鬼道集と戦ってるシーン、線がぬるっとしててめちゃくちゃ動いて気持ちよかった。1番好みなのは水木とゲゲ郎の墓場で酒盛りシーンだけど、ワクワクしたのはこのシーン。ゲゲ郎がなんかすごい力を発揮するんじゃなくて肉体戦闘派なのがすごく良かった。手摺で刀を受けるのかっこよすぎんか?狡い。これは嫁も惚れる。
そのあとはなんか記憶が曖昧である。
地下であの人形を見かけて、ウワあの電車に乗ってた人たちもここで亡者にされてるの…?どうやって…?とモヤモヤした。
沙代ちゃんのくだりはやっぱ横溝正史じゃん(三回目)ってなった。トンネルに置いてくればよかった…という気持ちと、置いてきたらみんな死んでたな…という気持ちで葛藤している。なんとかして幸せになれるルートはなかったんか?沙代ちゃんの肩身だけでも外に連れ出してくれ、とも思ったがそれも俺(水木)のエゴなのかもしれない。というか水木はやらなそう。
血で染まった桜がCGでゆらゆらするの、気持ち悪くてとてもシーンにあってた。なんか全体的に、逆光とか顔に照り返す赤とか青とかのライティングがめちゃくちゃ好みだった。1番印象に残ってるのは禁域の島のシーンかなあ…と思い出しながら見ていた。
水木が斧でめちゃくちゃ根っこ切ってるけど大丈夫?それ、めちゃくちゃ流血してるけど。囚われてるゲゲ郎の奥さんにダメージ行かない?と心配になるなどする。まあ、夫が止めてないし大丈夫か。
地下研究所のシーンといい、井戸の底のシーンといい、展開がやや早くて飲み込みにくい。土蔵での会話とか、墓場での酒盛りとか、川辺での幽霊族の歴史についての話とかその辺が丁寧に描かれているから余計になんか…温度差を感じる。(だから親父と水木のカップリングが人気になるのか〜)(他人事)
個人的には既婚者が絡むカップリングを好んで摂取しないのでその辺はわからない。ゲゲ郎と嫁の話が欲しい。
この辺りで、なるほど!水木はボロボロだけど、ここでMの血液製剤飲んで時貞に対抗するのか!奥さんや村の人を犠牲にしたアイテム…でも時貞を倒すためには…?!とか思っていた。違った。
時貞翁が狂骨に飲み込まれて、すり潰される時、「それ時ちゃんの身体……!!!!」って思った。内心、お願いだからビビり散らかして時ちゃんの体から離れてくれ、なんとか時ちゃんを救ってくれと願っている自分がいた。
ブレスレットが急にちゃんちゃんこになってびびる。それそんな由来だったんです?「ご先祖様…」のセリフはなんか唐突感あるなと思った。
ゲゲ郎は水木に「これがあれば大丈夫」ってちゃんちゃんこ着せてて(着せてたよね?)、水木は嫁さんに着せてあげてたのでこいつらの優しさ好き。男前。と思った。
水木はこの件の記憶無くすんですね…。何で…?ひどくない…?
いや、沙代さんにとってはこれは救いなのかも。
アナログ風漫画のエンディングがとても良かった。ちょっとよくわからなかったんだけど、記憶がない水木がゲゲ郎夫妻に出会う→一旦は逃げる→なぜか気になって戻ってくる→夫婦は死んでる→妻だけ埋葬する(何故?)→妻の亡骸から鬼太郎が生まれる の流れ…?
伏線いっぱいだし、明言しない範囲でしっかり回収してくれてて気持ちよかった。すごく好き…?と言われると難しい。別の作品追ってる人だったらもっと楽しいんだろうなと思った。昔の砂かけ婆とか一反木綿とかが出てくる時代の鬼太郎しか知らんのよ。機会があったら別の作品も読んでみたいなくらいの気持ち。
そういえば長田あれか。胡散臭い細目だったら好きと思われてるのか私?!なんかいちいち長女を庇うシーンが目について、時貞の命令で三女と番ったけど、実は長女の方に情があったのでは?という印象を受けた。知らんけど。長田が実は妻のこと愛していたみたいな話があったらそれはそれで好きです(現金)
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takahashicleaning · 1 year ago
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TEDにて
アラン・セイボリー:砂漠を緑地化させ気候変動を逆転させる方法
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
「砂漠化は、陸地が砂漠になることを表すしゃれた言葉に過ぎません」アラン・セイボリーは静かな口調で、この力強いトークを切り出します。
恐ろしいことに、砂漠化は世界中の草原地帯の3分の2の地域で進んでおり気候変動と伝統的な放牧民の社会崩壊を引き起こしています。
セイボリー氏は砂漠化を止めることに一生を捧げています。
彼が提唱し、実証が進む手法は驚くべき要素を取り入れて、草原の環境保全と砂漠地帯の緑化に効果を発揮しようとしています。
それは、単に放牧を散発的におこなうのではなく、何万頭の群の状態にしてから自然を真似た放牧を計画的にすることだけで、自然と草原が生い茂る土地に急激に変貌していくそうです。
この試みは、すでに五大陸の各地域で行われており、たとえ化石燃料をなくしたとしても、動物を頼りにするこの方法以外には、土地が自然と緑化していくということは絶対にありません。
また、二酸化炭素の専門家に聞いたところによると、この草原を復活させることで何千年分もの二酸化炭素を草原が吸収してくれるようになることで産業革命以前に戻れるようにもなるとも言っています。
砂漠化は、乾燥帯と乾燥帯だけで起きており、このような多雨地帯の草原には影響がないと言われます。しかし、草原の土壌を見てみるとその大部分は荒地で藻に覆われていることがわかります。
水が流出し蒸発しやすい状態です。実はこれが砂漠化の元凶です!
手遅れになるまで気付きません!
砂漠化の原因は家畜と考えられます。牛、羊、山羊などが植物を食べ尽くし、露出した土壌からメタンガスが発生します。ほぼ、誰もが知っています。
ノーベル賞受賞者も私もそう思っていました。
アメリカに来て非常に驚いたことに���のような国立公園がアフリカ同様に砂漠化しているのです。この地域には70年以上。家畜は放牧されていません。
そして、アメリカの科学者は荒涼とした自然という以外はその理由を説明できませんでした。アメリカ合衆国西部全体で調査可能なあらゆる地域について調査してみました。
砂漠化を止める目的で牛の放牧を止めた結果をみると逆に悪化していました。例えば、この調査地点では1961年には緑が濃かったのに、2002年にはこうなってしまいました。
写真を引用した気候変動報告書を執筆した方々の見解は、単に「原因不明」でした。
多くの文明を破壊し、今や世界的危機の砂漠化の原因は何なのか?
私たちは、理解していなかったことは明らかです。
私たちが、理解できなかったのは・・・
なぜ?砂漠化が、1万年前から起きはじめて、最近、顕著になったか!です。
古代エジプトに始まり、太古から全く無知だったのです。それを解明しました。
見過ごしていたことは、世界中の季節的な湿度の変化や土壌。
そして、植生を保つのは莫大な数の草食動物であり。それらの草食動物を捕食する肉食動物だということです。
肉食動物から身を守るために草食動物は群を作ります。群は大きければ大きいほど安全です。大きな群は自分たちの食べ物の上に排泄します。
そのため常に移動しなければなりません。その移動のおかげで植物を食べ尽くすことがありません。そして、定期的に踏みつけられた地域の土壌は草で覆われます。群が通過した場所を見ると分かります。
では、乾燥化が進んだこの草原を見てみましょう。
どうすれば健全な状態にできるでしょうか?
これは世界中の地域で起きていることです。
動物の生息数を減らしても砂漠化と気候変動が進むだけです!
野焼きしても、砂漠化と気候変動が進むだけです!
どうすればいいのでしょうか?
選択肢は、ただひとつです!
繰り返します。気象学者と科学者に残された選択肢は、ただひとつです!
その考えもしなかった方法とは、家畜を使い群にして遊牧して、以前の群や肉食動物のような自然を真似するのです!
人類に残された選択肢は他にありません。
他の世界中の地域も同様に私たちの運命を握っているのです。世界で最も危険な地域を含めてです。そんな地域の95%では、動物に頼らないと人間が食べていけないのです。
世界中で人間の活動が化石燃料と同じ位!
あるいは、それ以上の規模で気候変動をひき起こしています!
さらに悪いことに、飢饉、貧困、銃の暴力、社会崩壊。そして、戦争をひき起こしています。
何百万もの老若男女が苦しみ死んでいます。
その状況が続けば、たとえ、再生可能エネルギーを推進し、化石燃料を排除したとしても、平和的な原子力発電を用いても、生活が維持。生活向上しますが、気候変動を止めることはないでしょう。
お見せしたのは自然を真似ることにより、とても安価にこの傾向を逆転することです。
この取組みは、既に、五大陸、1千5百万ヘクタールの地域で始まっており、私よりもはるかに二酸化炭素に詳しい方々が、この手法を実行すれば、大気中から何千年分もの二酸化炭素を草原に吸収させて貯蔵する効果があると試算しています。
お見せしたことを世界中にある草原地帯の大半で行えば、産業革命以前の水準に戻せるし、食糧事情も改善します。私たちの地球、子供たちやその子孫。そして、人類にとり、私たちの地球。
子供たちやその子孫。そして、人類にとり、これ以上の希望を与えることは他にないと思います。
マイケルサンデルは、メリトクラシー(能力主義)の陳腐さを警告し、諌め(いさめ)ています!
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。権力濫用の口実に注意!
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて国家や権力者は透明性を究極にして個人のプライバシーも考慮)
(個人的なアイデア)
プラネタリー・バウンダリー提唱者のヨハン・ロックストロームもSDGsに採用されてる。
SDGsは、一神教での法人倫理を統合し数値化している可能性もあります。
多神教ではブッダの八正道です。
SDGsや気候変動対策は、再生可能エネルギーのことではありません。パンデミック対策の一環です!それ以外の活動は派生物。具体的にSDGsの数値を示さない権力濫用の口実に注意!
これらの源流は、Spaceship Earth(宇宙船地球号)のバックミンスターフラー。
バックミンスターフラーは、思想家というか製品デザイナー?
ガイア理論の方が馴染みがあって、こっちの方が腑に落ちるが、それがスティーブジョブズに継承し、今のAppleParkに繋がる影響を与えた。
AppleParkは、バックミンスターフラーの弟子が建築しています。
飢饉、貧困、銃の暴力、社会崩壊。
そして、戦争をひき起こしている砂漠化により、森林内に古代から押さえ込まれていた未知のウイルス、細菌が、荒廃した森林から解き放たれて、航空網やサプライチェーン網で増幅されてパンデミックを引き起こしやすくなります。
これが、ビルゲイツやラリーブリリアントたちが警告していたことの本質です!
これらが、パンデミックを引き起こしやすくします。そのための予防として、SDGsや気候変動対策があるのです!
専門家が警告していますが、もう一度。今回の新型コロナウイルスは、始まりにすぎません!
<おすすめサイト>
クリスティー・エビ:気候変動がどのように食物の栄養価を下げるのか
ジョン・フランソワ・バスタン:地球に1兆本多く木があったら?
ジェームス・ハンセン:なぜ気候変動について叫ばなければならなかったか!
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レイ・カーツワイル:今後現れるシンギュラリティ(技術的特異点)を学ぶ大学
Solar Roadways(道路としても敷き詰めて活用できる太陽光発電パネル)
「考えるクルマ」が世界を変える―アーバン・モビリティの革命
Powerwall 2 & Solar Roof Launch - Teala Motors
デイビッド・マッケイ: 再生可能エネルギーの現実
ベティーナ・ウォーバーグ: ブロックチェーンが経済にもたらす劇的な変化
量子コンピューターの基本素子である超電導磁束量子ビットについて2019
<提供>
東京都北区神谷の高橋クリーニングプレゼント
独自サービス展開中!服の高橋クリーニング店は職人による手仕上げ。お手頃50ですよ。往復送料、曲Song購入可。詳細は、今すぐ電話。東京都内限定。北部、東部、渋谷区周囲。地元周辺区もOKです
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amrgamata · 1 year ago
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被虐系少年くさりくん 『彼女』
ぺたぺたぺた、と私は自分の顔を触る。面は今、被っていなかった。
鏡を見るたび、私は自分の顔に嫌悪感を覚える。そして、「くさりの顔はあんなにも整っているのに」と思うことをやめられない。
くさりが言うには、私の顔は醜くないのだという。むしろ整った方だとさえ言われた。記憶をたどれば、過去にも似たようなことを言われた思い出がある。
その人物は、遠い昔に息絶えた私の恋人だった。
優しい眼で、柔らかな言葉で、私と私の恋人は話をした。身体の関係はなかった。清い関係だったのだろう、と私は思う。
黒い髪に、黒い目。それは、くさりの特徴と一致する。
そこまで思い出して、私は息を吐いた。納得したのだ。くさりは彼女に似ている。私と過ごした時間など砂時計の一粒の砂程度しかなかった、私の恋人に。
私は永く生きている。くさりも恐らく、私から解放された後に私と同じような人生を歩むのだろう。周りの、親しかった人物に死なれながら。
ーー彼女の名前は、なんと言ったのだっけ。ぼんやりと長く考えて、私は一つの単語に行き当たった。
「……鴫」
ぼそりと呟いてみれば、その名前はよりしっくりくる。なぜ今まで忘れていたのだろう、と思うほどに。
あまり表に出ない漢字だけど、と、彼女ーー鴫は言っていた。苦笑して、「名付けた祖父が、鳥類が好きだったから」、「だから私の母の名も、自分の名も鳥類の名なのだ」と。
深夜二時頃と、夕方四時頃。決まって、私は無情にも名前を忘れていた鴫のことを思い出す。
もう会うこともできない鴫のことを、その二つの時間、繰り返し、繰り返し思い出す。
誰そ彼時と、逢魔が時。私があげた時間はその別名を持つ。
『あれは誰だろうか』と、夕刻の暗さで目絵の前にいる人物が分からない「誰そ彼時」。書いて字の如く『魔に逢う』、「逢魔が時」。もう生きていない人間のことを思い出すのに、これほどまでに絶好の時間はない。
じゅっ、と音を立て、三十二回にもなるくさりの身体へ煙草の火を押し付ける行為を終わらせると、くさりは気絶した。
ふと、時計を見る。短針が今の時刻は今の時刻は二時頃であることを示していた。
『ひとでなし』。
不意に、鴫の声がよみがえる。いたずらっぽく歪んだ目許と、楽し気な鴫の声。
「……鴫」
そうだ。今の私は『ひとでなし』だ。やっていることも、生き様も。
鴫といる時は、私が自分が「死神である」ことを悟られないように生きていた。直接聞いたことはないが、カンの鋭い鴫は私が「死神である」ことに気付いていただろう。
どんなにうまく「ひとでなし」の気配を消したとて、目に宿した死の気配、身体から感じられる血のにおいは消せはしないから。
「考逸、さん……?」
はた、と私は思考をとめる。振り返って、私は息が止まりそうになった。
鴫が立っていると、そう思った。けれど、そんな筈がない。鴫はもうーー。
「……くさりか」
はぁっ、と私は安堵の息を吐く。くさりと鴫は本当によく似ている。それこそ、私が見間違えたりするほどに。
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ichinichi-okure · 1 year ago
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2023.8.27sun_tokyo
カニに挟まれた
毎年8月になると自分が営んでいる古着屋のスタッフ全員で葉山に1泊、ちょっとした慰安旅行にいっている。
高円寺に集合してみんなでレンタカーに乗り込み、いつもどおりSUMMER JAM(それぞれの好きな夏曲プレイリストをかけあう)しながら葉山の森戸海岸に向かった。
無事に海に到着し、飲んだり食べたり泳いだりと、最高な夏時間を過ごしていた
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水辺で飲んでいると、カニを見つけて捕まえた女性がいる事に気がついた。 興味本位でそれを見にいくと、その女性は『どうぞ〜』とカニを僕の手にのせてくれた。
その瞬間、そのカニは両方のはさみで手のひらを思いっきり挟んだ。ものすごい力で。
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その女性は爆笑してその場を去っていった。 引っ張っても離れない。力ずくで剥がそうとすれば、たぶん皮膚がちぎれる。
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どうしようか、、、 砂をかけたらすこし落ちついて離れてくれるかも?と思い、砂浜の砂をひと掴みカニにかけてみた。その瞬間、カニは余計に挟む力を増した。全力で挟んできた。 信じられないほどの激痛に、思わず絶叫してしまった。
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その時僕の周りにいてくれたスタッフに『両手でハサミを広げてみてくれないか』と頼み、トライしてもらったがそれも失敗。またもカニは余計に強く挟み、また絶叫。
その後も、海にカニを浸してみたり、対処法をググってもらったり、色々試すも全て無理、事あるごとに彼は挟む力を増し、その度に僕が絶叫するの繰り返し。 中年の男の絶叫がなん度もビーチに響きわたった。
その時周りにいた知らないレディ2人組も何事?とこっちを見ている。 彼女たちに『え〜見た〜い』などと言われて、カニに挟まれ続ける自分の手を見せたところ、スマホで写真を撮って笑っている。
なんなんだこれは。。。
どれくらいの時間が過ぎたかわからない。
もう、これからタトゥーのようにこのカニと一緒に生きていくしかないのか?カニと共に生きる人生も悪くないんじゃないか?とさえ思えてきた。
少し冷静になってきたので、一旦カニと対話してみようと思った。
『お前の気持ちもわかるよ。びっくりしたんだよな?こわいんだよな?ただ、おれもびっくりしてる。パニックだな。 まじで大丈夫だから、まじで何にもしないから、落ちついて少しハサミを緩めてもらっていいかな?その方がお互い、いいとおもうんだよ。 だって今日はいい日だろ?』
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そんな会話をして、カニに挟まれた手を砂浜の上にそっと置いてみた。
すると、ハサミを片方ずつゆっくりと緩め、カニは去っていった。
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なぜか僕はカニに『一緒にいてくれてありがとね』と言っていた。。。
その後は酒と夏にヤられて記憶がほとんど無い
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-プロフィール- 新保泰治 47歳 東京都 古着屋 黒BENZ / ガイジン / 川 insta: @taiji_shimbo
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awafujiko · 1 year ago
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