#妖艶毒婦伝 般若のお百
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Poster for Female Demon Ohyaku (Yoen Dokufuden Hannya No Ohyaku, 妖艶毒婦伝 般若のお百), 1968, directed by Yoshihiro Ishikawa (石川義寛) and starring Junko Miyazono (宮園純子) and Tomisaburo Wakayama (若山富三郎).
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Ohyaku: The Female Demon (1968)
妖艶毒婦伝 般若のお百 Ohyaku: The Female Demon (1968) directed by Yoshihiro Ishikawa cinematography by Nagaki Yamagishi
#妖艶毒婦伝 般若のお百#ohyaku: the female demon#yoshihiro ishikawa#heroine#stills#japanese cinema#japanese film#1960s#junko miyazono#asian film
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馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月
新宿駅の東南口にはダメ人間の吹き溜まりのような喫煙スペースがありましたが、いつの間にか移転していておどろきつつ、新しいダメ人間の隔���空間で一服してのち、これまた初めて歩く地下通路をとおって副都心線に乗り、明治神宮前で降りて5番出口を目指すとアラふしぎ、うっぜー竹下通りや表参道をおおむねスルーして太田記念美術館の間近にワープできちゃうんですねえ。ヤッタネ。原宿に勝利。おしゃれキッズどもザマアミロ! などと卑屈に忌避すべきものではなく、いまやわが日本の誇るkawaii文化発信地として四海にとどろくHarajukuでございますが、さる6月20日、太田記念美術館で開催の「馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月」なる展覧会を見学してきた次第です。この企画にはあまりkawaii要素はないですが、若い外国のかたもけっこう来てました。まあsamurai特集ではありますな。 滝沢さんの『南総里見八犬伝』と『椿説弓張月』はどちらも背のびして原文で読んでおり、内容はあまりおぼえてませんでした。特に弓張月は崇徳上皇がいわゆる「闇堕ち」して大天狗になる場面の描写が超かっこよかったのと、主人公の為朝という人はたびたび切腹を言い出してハラキリハラキリ詐欺を繰り返すくせに旅の先々でちゃっかり子どもをこしらえるのな! いい商売だな! と思ったことくらいしかおぼえてません。でも絵を見てたらあれこれ思い出せました。「はっちょうつぶてのきへいじ」とかいたなあ。石を投げるのが得意という地味戦闘スキルのおじさんだ。トルネコっぽい存在感だけども、ゆうしゃ為朝はちゃんと彼を馬車待機でなくパーティーに入れてあげてました。 で、展示作品のほうは、当然なのかもしれませんが、役者絵が多かったですね。滝沢さんの小説に取材したというより、歌舞伎の演目としての八犬伝や弓張月というおもむきが強く、あくまでも何代目なにがしが演じる犬塚信乃とかになってしまうことが多かったです。これは残念なことだろうかと考えてみましたが、たとえば「本郷猛のライダーカード」と「本郷猛のかっこうをした藤岡弘、のブロマイド」とを比較したとき、見た目はまったく同じいわけですから、べつだん拘泥する必要はないと結論したものです。いま考え直すとよくわからない理論ですが、当日はなにしろ陽射が強かったので。 今回の展でチェックしたかったのは、どの犬士の絵が多いか、という点です。幕末明治のころには、まだデモクラシーが進んでないので、現在のようにアイドルも超人も猫も杓子も「総選挙」をやりたがる風潮がない。人気のバロメーターは当時のキャラクターグッズの代表格である錦絵でしょう。ただし、pixivなどでアマチュアの「絵師」たちが活動できる現在とちがって、ご本家の絵師たち━━国芳さんや国貞さんたちはプロですので、商業的な活動としてキャラの絵を描いていた。すなわち役者絵であり、けっきょくのところ歌舞伎で頻繁に演じられるような名場面に出ている犬士が、数としては多くなります。これはこれで、まあ人気の高さを測定できるデータとはなるでしょう。
圧倒的に多かった場面はやはり、八犬士のリーダー格である犬塚さんと、敵方として登場する犬飼さんが屋根の上で決闘するシーン(上図は国芳)。歌舞伎の舞台をえがいた役者絵も多かったですが、個人的にうれしかったのは、月岡芳年の『芳涼閣両雄動』(下図)が見れたことでした。犬飼現八をやたら大きくかっこよくえがく一方、いちおうメインであるはずの犬塚信乃はコッソリ小さくえがかれ、犬飼さんはむしろ鬼瓦とにらみ合ってるかのような図になっている。修羅場の緊張感と滑稽味が混在しているステキな絵だと思います。
次に多かったのは犬坂さんの仇討ち。これは犬坂毛野というキャラクターを象徴する「女装」がともなうので、見た目も華やかだし、いかにも歌舞伎に向いてるかんじですね。滝沢さんといえば、美少年、しかもいまで言うところの「男の娘」に強いこだわりがあるご様子ですが、この手の趣味は現代よりも江戸時代のほうが一般的かつ人気があったのでしょう。kawaiiはないがhentaiはなくもなし、といったところです。 ほかは犬村さんの化け猫退治と、犬山さんと犬川さんが犬塚さんの刀を取り合うやつが目立ちました。犬村大角の見せ場には犬飼さんも参加してるので出演数を余計にかせいでます。犬山道節はこの時点では火属性魔法が使えた(のちに邪法だからと封印しちゃってキャラが薄まる)ので画面が派手でした。 絵の枚数で順位をつけると、犬飼、犬塚、犬坂、犬山、犬村、犬江、犬川、犬田といったかんじでした。犬江くんよりも、叔父の犬田小文吾と大苦労人の犬川荘助が少ないのは納得がゆかない。 そもそも八犬伝を読んでいて不満だったのが犬江親兵衛の特別あつかいです。彼は最後に参加するのですが、神隠しにあったあと、犬士たちの霊的な母親である伏姫の神霊に育てられたということで、サラブレッドな天才少年として、真の主人公登場!といったノリでわりと急に出てきた印象でした。特撮ヒーロー物でテコ入れのために追加された新ヒーローのごとき風格であり、すでに七犬士たちの苦難やブロマンスに熱くなってきた読者としては、いくら作者の趣味とはいえ、いまさらショタなどお呼びでないよと思わざるえなかった。しかも彼単独のエピソードが、関羽の千里行のオマージュなのだけども退屈で長かった。馬琴としては、それで温室育ちの犬江くんに苦労させて株を高めようとがんばったのでしょうが、失敗していたと私は考えます。実際、千里行の絵を見たおぼえはありません。 こころひそかに、犬江くんが最下位でありますようにと願っていたのに、この選挙結果は無念でした。ただ、絵を見てみとめざるをえなかったのは、犬川さんも犬田さんも、キャラ設定上、服装がみすぼらしい。犬田さんは旅籠の息子で一介の町人だし、犬川さんに至っては犬塚さんちの下男である。社会的地位が限りなく「モブキャラ」に近いわけで、こりゃあピンでは描かれにくいわなあと納得したものです。もしpixivがあってもふたりのタグは最下位をあらそってそうですね。 もうひとつ残念だったのが、八犬伝に妖艶ないろどりを添える悪女たちの影が薄かったことです。さすがに物語の発端を作った玉梓やラスボスの妙椿は数枚ありましたが、たびたび犬士たちを困らせた中ボス級の毒婦・舟虫は双六の1マスにしかえがかれてなかった。彼女がもっと注目されていれば、犬田さん��出番も増えたろう。まだ幕末明治の人びとには「ヤンデレ」の魅力が認知されてなかったと見てよさそうです。 なにはともあれ、Japanese pop cultureの古典に触れた有意義な展覧会でした。八犬伝の原文版は図書館で借りて急ぎ足に読んだので、ちゃんと買ってじっくり読み直したいと思いました。滝沢さんの作品は文章に言葉あそびが盛りだくさんなので、現代語訳は絶対よして背のびしたほうがいいです。 なお太田記念美術館では、7月29日から8月27日まで「月岡芳年 妖怪百物語」と題して芳年のお化け特集がもよおされるもよう。同じ会期で横浜市歴史博物館では「丹波コレクションの世界Ⅱ 歴史×妖×芳年」なる類似企画もなされるとか。この夏は芳年ブームがきてる。できればどちらも観にゆきたい。
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Poster for Female Demon Ohyaku (Yoen Dokufuden Hannya No Ohyaku, 妖艶毒婦伝 般若のお百), 1968, directed by Yoshihiro Ishikawa (石川義寛) and starring Junko Miyazono (宮園純子) and Tomisaburo Wakayama (若山富三郎).
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