#世界一の核ミサイル過密地帯
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)5月8日(月曜日)参
通巻第7742号
(承前)
岸田訪韓を評価すべきだが、韓国の外交転換こそ注目だろう
日本は安禄山の蜂起を三年知らなかった。これが歴史の教訓
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前号に引き続いて資料を掲載
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<<<<資料>>>>
日韓首脳拡大会合冒頭発言
▽岸田首相
・「広島サミットを見据え、インド太平洋の最新情勢や、グローバルでの連携を議論したい」
▽尹大統領
・「歴史問題が完全に整理されなければ未来への協力のために一歩も出られないという考え方からは抜け出すべきだ」
・「日韓関係は本格的な改善がはっきり表れている。両国関係が良かった時代より、良い時代をつくらなければならない」
【日韓首脳共同記者会見】
・日韓首脳は経済、安全保障分野の緊密な協力で合意した
・日韓首脳は対北朝鮮協力の強化で一致した
・日韓首脳は、福島原発の処理水に関し、韓国の専門家による現場視察団の派遣で合意した
・尹大統領は岸田首相の訪韓で「日韓関係の正常化が軌道に乗った」と述べた
・日韓首脳は、両国企業による半導体のサプライチェーン構築に関する連携強化を確認した
・岸田首相は、歴史認識について「歴代内閣の立場を引き継ぐと明確にした。この立場は今後も揺るがない」と述べた
・日韓首脳は北朝鮮に対し、抑止力と対処力を強化する重要性で一致した
・岸田首相は、元徴用工問題に関し、「当時、厳しい環境の下で、多数の方が大変、苦しく、悲しい思いをしたことに心が痛む」と述べた
・尹大統領は、元徴用工問題を巡る韓国政府の方針について「変わらない」と述べた
・尹大統領は、歴史問題に関し、「どちらかが一方的に要求できる性質の問題ではない」と述べた
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韓国大統領府の発表。
▼冒頭
尹大統領:岸田首相の訪韓を心より歓迎する。3月、東京で私と岸田首相は韓日首脳間のシャトル外交の再開に合意した。 あおれから2か月足らずの本日、岸田首相は日本首相の二国間訪問としては12年ぶりに韓国を訪問された。今回の訪韓を通じて、首脳間のシャトル外交が本格化したことを意義深く思う。
本日、首脳会談で、私と岸田首相は普遍的価値を共有する韓日両国が安全保障、経済、グローバルアジェンダに対応する過程において緊密に協力していくべきであるということで改めて一致した。 わたしたち両首脳は、韓日関係の改善が両国の国民にとって大きな利益となってかえってくるという点を確認し、今後もさらに高いレベルへと両国の関係を発展させていくことで合意した。
岸田首相はまず私に先月4月24日スーダンから日本人が退避する過程で韓国側が提供した協力に対して感謝の意を表しました。 退避の過程で行われた両国の協力は、変化した韓日関係を見せてくれた象徴的な場面であった。私たち両首脳は、3月の首脳会談で合意した外交・安全保障当局間の安全保障対話とNSC間の経済安全保障対話、そして財務相会談など、安全保障、経済分野の協力の枠組みが本格的に稼動していることを歓迎した。
とともに、両国の代表的な非友好措置だったいわゆるホワイトリストの原状回復のための手続きが着実に実行されていることを確認した。
3月の私の訪日を契機に全経連と経団連が創設することで合意した韓日未来パートナーシップ基金が正式���足を控えて大詰めの準備をしている状況だ。 私たち二人は韓日の未来世代の交流拡大のために多大の関心を傾け、必要なことを継続して行っていく。私と岸田首相は、韓日両国の人的交流の規模が今年に入り3か月で200万人近くに至るほど早く回復していることを歓迎した。
両国の国民がお互いへの理解を深め、友情と信頼を築きあげていくためには、未来世代の交流が重要だということに認識をともにした。 民間レベルの交流、協力とともに、両国の政府レベルでも青年を中心とする未来世代の交流を拡大するため、具体的な方策について協議していくことにした。
私と岸田首相は韓日両国間の人的交流が大きく増加している傾向であることを勘案し、首都圏のみならず地方間の航空路線もコロナ禍以前の水準へと回復するよう努力していくことにした。経済協力と関連し、私と岸田総理は韓国の半導体メーカーと日本の優秀な素材・部品・装備企業が共に強固な半導体サプライチェーンを構築していくように、この分野での協力を強化することで一致した。
一方、きょうの会談では宇宙、量子、AI、デジタルバイオ、未来素材など先端科学技術分野における共同研究およびR&D協力の推進に関する議論が行われた。私と岸田首相は、北の核とミサイル開発が韓半島や日本はもちろんのこと、全世界の平和と安定に重大な脅威であるという認識を共有した。
これに対応するために韓米日3国間の協力が緊要な状況のなかで、きたるG7広島サミットにあわせた、三カ国首脳会談など韓米日3カ国首脳間の緊密な疎通と協議がきわめて重要であることで一致した。
また昨年11月、プノンペンにおける韓米日3カ国首脳会談で合意された北のミサイル警報情報のリアルタイム共有と関連し、その実現策に関する当局間の議論が進められていることを歓迎し、今後も韓米日3国間の安全保障協力を続けていくことで一致した。
両国が共に共有する自由、人権、法治という普遍的価値を守るために引き続きともに努力していくことでも一致した。
両首脳はインド太平洋地域の戦略的重要性に共感し、韓国の自由、平和、繁栄のインド太平洋戦略と日本の自由で開かれたインド太平洋の推進過程において緊密に協力し疎通していくことにした。両首脳はきょうの首脳会談で福島原発汚染水関連、韓国専門家による現場視察団派遣に合意した。
科学に基づいた客観的な検証が必要であるという韓国国民の要求を考慮した意味ある措置がとられることを期待する。岸田首相は今年の広島G7サミットの議長として私をサミットに招待してくださった。
G7広島サミットでの会合を契機に韓日両国が保健、グローバルサプライチェーン、気候変動などグローバルな懸案に対する協力をさらに具体化していくことを期待する。 また、私の広島訪問の機会に、私たち両首脳は広島平和記念公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を一緒に参拝することにした。
���般の岸田首相の韓国訪問を通じて首脳間シャトル外交の復元、および両国の関係正常化が軌道に乗ったと考えている。 私は岸田総理との友誼と信頼をもとに新しい未来に向けて一層深まった両国間協力を推進していく。 それに向け、今後ともわたしたち両首脳は形式にとらわれず、緊密に疎通し協力を続けていく。ありがとうございます。
岸田首相:尹錫悦大統領、そしてお集まりの皆様、本日、3月に尹大統領を東京にお迎えしてから、かくも早くにここソウルを訪問し、シャトル外交を本格化できたことを嬉しく思う。日本の首相として12年ぶりの2国間訪問に際し、尹大統領をはじめ、韓国の皆様方の温かい歓待に心から御礼を申し上げる。そしてこの場を借りて、先般のスーダンにおける邦人退避に際し、人命がかかる困難な状況の中で韓国から多大な協力をいただいたことに改めて感謝を申し上げる。
3月に尹大統領が示された決断力と行動力に改めて敬意を表したいと思う。日韓関係の強化にかける強い思いを私も共有しており、今回、尹大統領との連帯を図り、またG7サミットに向けて忌憚なく意見を交わすべく早い時期の訪問に踏み切った。3月の会談で私と尹大統領が示した方向性に沿って日韓の対話と協力は2ヶ月足らずの間にダイナミックに動き出した。
経済面では今月2日に仁川で財務相会談が7年ぶりに行われ財務対話の再開で一致をした。さらに、金融、観光から文化・芸術に至るまで幅広い分野で対話が動いている。また輸出管理当局間の対話も精力的に行われ、その結果、日本政府として、韓国をグループAに追加することに向けて手続きを進めている。
また新たに立ち上げた経済安全保障協議の第1回会合が今月3日、双方の国家安全保障当局のトップの間で実施され、サプライチェーンの強靱化など連携強化で一致をした。外務・防衛当局による安保対話も5年ぶりに再開された。日韓中プロセスについても、議長国である韓国の取り組みを支持することをお伝えした。民間、特に経済界の交流も力強く復活できているし、議員交流も活発化している。
日韓の将来を担う青年たちの交流については、この機会に韓国との間でJENESYSプログラムによる対面交流の全面再開と交流人数の昨年度比倍増を決定し尹大統領にお伝えした。
日韓間で引き続き誠実な意思疎通をしていきたい、そう考える分野にALPS処理水を巡る話がある。日本はIAEAのレビューを受けつつ、高い透明性を持って科学的根拠に基づく誠実な説明を行っていく考えだが、韓国国内で引き続き懸念の声があることはよく認識をしている。
韓国の方々に理解を深めていただくため、今月、東電福島第1原発への韓国専門家現地視察団の派遣をお受けすることとした。日本の首相として、自国民および韓国国民の健康や海洋環境に悪影響を与えるような形での放出��認めることはないことを申し上げたいと思う。
そして3月に尹大統領が訪日された際、私は1998年10月に発表された日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいると明確に申し上げた。この政府の立場は今後も揺るがない。
尹大統領のご決断により、3月6日に発表された措置に関する韓国政府による取り組みが進む中で、多くの方々が過去のつらい記憶を忘れずとも未来のために心を開いてくださったことに胸を打たれた。私自身当時、厳しい環境のもとで、多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ。
日韓間には様々な歴史や経緯があるが困難な時期を乗り越えてきた先人たちの努力を引き継ぎ、未来に向けて尹大統領をはじめ韓国側と協力をしていくことが日本の首相としての私の責務であると考えている。
我々を取り巻く国際社会の情勢も日韓の協力をますます不可欠にしている。双方は北東アジアにおける米国の主要同盟国だ。この関連で尹大統領の先の国賓訪米の成功に祝意を申し上げた。
この地域において北朝鮮の挑発行為が続き、また力による一方的な現状変更の試みも見られる中、日米同盟、韓米同盟、日韓、そして日韓米の安保協力により、抑止力と対処力を強化することの重要性について改めて一致をした。昨年11月の日韓米首脳会合で合意した北朝鮮ミサイルデータのリアルタイム共有についても議論の進展を歓迎した。そしてG7広島サミットの際に日韓米首脳会合を開催し、さらに議論を深めることとした。北朝鮮との対話の窓は開かれていることに変わりはない。そして拉致問題については、尹大統領から改めて力強い支持を表明いただいた
ことに感謝を申し���げる。
我々のシャトル外交は続く。
2週間後には広島で尹大統領をお迎えする。本日はG7広島サミットでも議題となる国際社会の諸課題での緊密な協力を確認した。
さらに被爆地広島において平和記念公園を訪問し、韓国人原爆犠牲者慰霊碑にも一緒に祈りを捧げることで尹大統領と一致をした。本日の会談では3月に大きな一歩を踏み出した日韓関係改善の動きが軌道に乗ったことを確認した。次は広島で、その後は国際会議の場も含め、尹大統領と頻繁にお会いをして信頼関係を深めながら、日韓関係強化の機運を確かなものにしていきたいと考えている。
▼質疑
Q1 : (尹大統領への質問)韓日首脳会談シャトル外交が12年ぶりに再開した。どのような意義があったと考えるか。今後日韓関係がどの方向に行かねばならないか。
韓米の首脳がワシントン宣言を採択した。核協議グループの創設に合意した。拡大抑止に日本が参加する動きはあるのか。そうであればどのような形での協力が可能なのか。
韓国の中では福島の処理水の放出への懸念が大きかったのは事実だ。今日の発表でそれが懸念が払拭されたか。
(岸田首相への質問)今後の韓日関係の改善に関する尹大統領の行動を高く評価し、早期訪問した。今後徴用工問題の解決策について日本の誠意ある呼応に対する期待が非常に大きかった。当時苦しい環境の中で働いてきた人々が大変な環境の中で働いてきて生活したことを胸痛く感じると言ったが、このような話をすることになった契機があったのか。
福島の水産物の安全性に関する韓国側の懸念が今も残っているが、今回の議題で話されなかったと聞いている。水産物の安全に関する部分について韓国側と話すことはあるか。
●両国は北の核の脅威にともに露出されている。
尹大統領A : 韓日間のシャトル外交が12年ぶりに実現し、両国の関係改善が軌道に乗り始めた。私は、韓国と日本が自由、人権、民主、法治。このような普遍的な価値を共有する国であるので両国が協力して両国の共通の利益と国際社会の平和と繁栄に共にリーダーシップを発揮することが重要だと考えている。
両国は北の核の脅威にともに露出されている。いつのときよりも安全保障の協力が重要な状況だ。ワシントン宣言は、韓国と米国の2国間をベースに合意した内容だ。しかし、日本の参画を排除することはない。とりあえず、私たちの立場としては韓米間のワシントン宣言が完結したわけではなく、引き続き議論を続け、共同の企画、共同の実行をする過程において実現してその内容を埋めていく立場なので、まずこれが軌道に乗れば、また日本も米国との関係で準備ができれば、いつでもともに協力しあえる問題だと思う。
本日の首脳会談でも岸田首相が福島原発汚染水について、隣国である韓国国民の健康と安全に対する懸念を払拭するために努力すると約束した。 このような次元で現場視察に対する専門家たちの現場視察に対する合意がなされた。
●戦略環境は日韓の協力をますます不可欠にしている
岸田首相A : まず日韓関係の強化が必要であるという考えは私も尹大統領に劣らないと考えており、その考えの下今回早期訪韓に踏み切った。
最初の質問は、この質問の趣旨は、韓国政府に比べて、日本側の日韓関係改善への動きが鈍いのではないかということだと思うが、3月に私と尹大統領が示した方向性に沿って2カ月足らずの間に日韓の対話と協力がここ数年の低迷期を脱し、経済、安保を含む多岐にわたる分野で動き、具体的な成果を挙げていることに目を向けていただきたい。そのうちいくつかは冒頭発言でも紹介したところであり、これらは日本側の意欲の表れでもある。今後とも両国政府の各レベルで、民間の協力を後押し日韓両国が共に裨益する協力を進めさらに具体的な結果を出していき
たい。
歴史認識に関しては、1998年10月に発表された日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる、この政府の立場は今後も揺るがないと申し上げた。その上で、先ほど申し上げた当時厳しい環境で多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛むという言葉についてのご質問だったが、この言葉はこの当時苦しい思いをされた方々に対して私自身の思いを率直に語らせていただいた次第だ。
日本を取り巻く戦略環境は日韓の協力をますます不可欠にしている。
私としては困難な時期を乗り越えてきた先人たちの努力を引き継いで、まさに未来に向けて尹大統領をはじめ韓国側と協力し、両国国民の利益になる協力関係を構築していきたいという考えだ。
最後の質問は、アルプス処理水に対する対応、これで十分であるかというご質問だったと思うが、先ほど申し上げたように韓国の国内の皆様方の不安に答えるためにも韓国の専門家現地視察団の派遣を受け入れさせていただくことが重要だと考え、尹大統領と一致した。日本のこうした方針については、IAEAと科学的見地もしっかりと取り入れながら説明努力を続けてきている。6月にはIAEAの最終報告書が取りまとめられることが予定されている。この報告書もしっかり受けとめた上で、日本は国内の手続きを進めていきたい。その際にも、ぜひ韓国側とは意思疎通を
図りながらこうした取り組みを進めていく。こうした努力を続けていくことによって、韓国の多くの皆様方の懸念や不安にも答えていく努力を続けていきたい。
Q2:(岸田首相への質問) 岸田首相に伺う。歴史認識を含めた元徴用工問題、レーダー照射問題をはじめとする2国間の懸案について、本日の会談で岸田首相からどういう立場を伝え、尹大統領からどのような反応があったのか。
また、福島第一原発の処理水放出、福島産水産物の輸入について一定の前進はあったのか。また先日、米韓の首脳が「核協議グループ」の創設で合意したが、これは日韓、日米韓などの枠組みに影響するのか。
(尹大統領への質問)尹大統領に伺う。元徴用工問題への対応について、韓国国内には依然「反対」の声が根強く、日本には「大統領の方針が変わるのではないか」という見方もある。大統領の方針は今後も堅持されるということでいいか。特に、日本側に呼応を求めているが、今回の会談でどのような話をしたのか、今後どのようなことを求めていく考えか。
抑止力と対処力を強化することの重要性
岸田首相A:質問にあった事項のうち、私が会見の冒頭で申し上げた発言の中に重なっている部分もある。その部分については繰り返すことはしない。その上で今回の会談では尹大統領との間で、先般の訪日を通じて培った信頼関係をベースに、幅広い分野について胸襟を開いて意見交換を行った。3月の会談の後に経済や安保分野、様々な対話や協力がダイナミックに進展していることを共に歓迎した。そして双方の関心事項や懸案についてお互いの立場に基づき、議論を行ったところだ。
これ以上の詳細については外交上のやりとりであり差し控えたいと思う。また、北朝鮮情勢をはじめ地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟、韓米同盟、そして日韓、日韓米の安保協力により、抑止力と対処力を強化することの重要性について尹大統領と認識が一致しているところだ。
そして質問の核協議体の創設についてだが、核協議体の創設を含め米韓の間で拡大抑止の強化に関する議論が行われていること、そして拡大抑止協議や2プラス2を含めたハイレベルの協議を通じた日米間での拡大抑止強化に向けた取り組みが相まって地域の平和と安定に資するものであると考えている。引き続き、日米、日韓、日韓米で緊密に連携をしていきたいと考えている。
過去の歴史に対する認識問題は誠実さをもってするのが重要
尹大統領A:まず、強制徴用の解決策についての政府の方針が変わるのではないかという質問だったと思うが、これは変わらないと申し上げることができる。
我々が発表した解決策は1965年請求権協定と2018年大法院の判決を同時に満たす折衷案として法的完結性を持つ唯一の解決策だ。
現在、15人の勝訴が確定された方のうち10人が判決金を受領している。韓国政府は受領していない残りの方々に対しても原則に従って手続きを進め、十分な疎通をしながら解決策を忠実に履行していく。
そしてメディアで韓国側の要求について報道した記事を読んだが、私はこうした過去の歴史に対する認識問題は誠実さをもってするのが重要であり、ある一方の相手に要求することができる問題ではないと思う。
今日の冒頭発言で申し上げたが、過去の歴史が完全に整理されていないからということで、このような懸案と未来協力のために第一歩も踏み出すことができないという認識からは脱しなければならないと思っている。今、韓日両国は北東アジアの厳しい安保状況に直面しており、また岸田首相と私が共有する考えでもあるが、今、重大な歴史的な転換期に私たちが直面している、置かれている。
価値を共有する日本と韓国が協力し、両国の共同利益を追求し、国際社会において共同のリーダーシップを構築することが重要だと私は考える。
したがって両国が今後、未来に向けた協力と交流を拡大することができるようにしていくことを申し上げたいと思う。
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米軍の弱体化
いざとなったら米軍が助けに来てくれる──。そんな戯言を言える時代は過ぎ去りました。いまや米軍を〝スーパー��ン〟のごとく頼ることはできません。
米軍は現在も世界最強の軍隊ですが、その力はこの20年で低下しています。また中国軍が急激に力をつけ、いまやアジア太平洋地域のパワーバランスは逆転しつつあるのです。
現に8月、シドニー大学米国研究センターによる報告書では、米国は太平洋における軍事的優位性をすでに失っており、同盟国を中国から防衛するのは困難になる恐れがあると警告しています。
冷戦の真っ只中だった1980年代、アフガニスタンを侵略し、北海道をも奪おうとしたソ連に対して、当時のレーガン政権は圧倒的な軍事力と経済力を背景に、日本やドイツなどの同盟国と連携して立ち向かいました。「侵略は許さない」という態度を示すだけでなく、軍事力を徹底的に強め、ソ連を心理的に屈服させようと考えたのです。その戦略は的中し、ソ連は侵略を断念。冷戦は終結しました。
その後、米国は国内問題に専念しようとしますが、9.11同時多発テロが起こります。米軍の戦略は「テロリストたちをやっつけない限り、米国の平和は守れない」と主張するネオコ��勢力に引きずられ、ソ連や中国といった「大国相手の戦い」から「テロとの戦い」へとシフトしました。米軍の役割が「正規軍との戦い」から、イスラム過激派らのテロを防ぐことに変わったのです。この戦略転換が、今日の米軍弱体化を招く一つの要因となりました。
ところが、米軍がいくら中東の紛争に関与しても平和と安定は訪れず、紛争は拡大するばかり。兵士たちも自爆テロなどで死傷し、国民の不満も高まった2009年、「対外戦争で米国の若者を殺さない」と主張したオバマ〝民主党〟政権が誕生します。
オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と広言し、急激な軍縮を実施。世界の平和と安定を維持するための努力も怠(おこた)りました。米軍関係者が自嘲的に〝米国封じ込め政策〟と呼んでいたのが印象的です。
息子ブッシュ〝共和党〟政権時代の「テロとの戦い」への方針転換と、オバマ〝民主党〟政権による〝米国封じ込め戦略〟によって、米国の軍事戦略から中国やロシアの脅威は軽視され続けてきました。特に急速に国力をつけた中国に対しては、国内のパンダハガー(Panda Hugger:パンダを抱擁する人)と呼ばれる親中派によって、軍拡に対応するどころか、中国と組んでテロを防ぐ方向に誘導されていったのです。
かくしてこの20年間、政党は関係なしに、米国は「世界各地のパワーバランスを維持しながら紛争を抑止する」というレーガン政権の外交・安全保障戦略を見失っていました。
思い返してみれば米軍は1991年の湾岸戦争以来、正規軍と血みどろの戦争をしていません。いまの幹部も正規軍との戦争経験がない人がほとんどで、正規軍、しかも大国の正規軍との戦争をできるのか、米軍内でも多くの人が不安を持っている実情です。
同盟国を守る「能力」の低下
危機感を抱いたトランプ大統領は政権発足後、「国家安全保障戦略」で中国とロシアを「現状変更勢力」、いわば〝敵〟として位置づけました。さらに「国防戦略2018」でも中国を念頭に、「大陸間角逐」こそ最大の脅威であると再定義し、軍事費を毎年7兆円程度増やして懸命に軍拡しています。大国との戦争を念頭に置いた軍事戦略に回帰させたのです。息子ブッシュ政権以来となる国家戦略の全面的な転換でした。
トランプ氏が当選した直後のマスコミの論調を思い出してみてください。「トランプは安全保障の素人だ」「孤立主義を採用しアジアへの関与が失われ、日本も危うい」などと不安を煽(あお)っていたでしょう。実体は正反対で、トランプ政権はまともな対外政策に回帰させたに過ぎないのです。
しかし一度、軍縮した影響は計り知れません。まず国防産業が衰退しています。トランプ政権は現状から80隻増となる350隻の軍艦をつ��ると明言しましたが、製造を急いでもつくり終えるのは2050年になると言われています。そこでアジア太平洋地域に兵力を優先的に振り分けるべく、トランプ政権はシリアからの撤兵などを断行したわけです。
2019年10月27日、米国特殊部隊の奇襲作戦によって、ISの指導者アブ・バクル・バクダディが死亡しました。この作戦についてトランプ大統領の発言と記者会見の内容がホワイトハウスより発表されましたが、それを読むとトランプ大統領は「私は兵士たちが(シリアやトルコから)家に帰ってほしいし、何か意味のあることと戦ってほしい」とはっきりと言っています。トランプ大統領は限られた兵力を「意味ある戦い」に振り分けたいと明言しているのです。
さらに米国のインテリジェンス能力も落ちていて、トランプ政権は必死に立て直しを行っています。オバマ政権時代、予算削減のため情報収集の担当者を次々とクビにして、情報収集体制はボロボロになりました。平壌の空爆と金正恩の「斬首作戦」が実行されなかったのも、インテリジェンス能力の低下によりミサイルや核が保管されている地下の軍事秘密基地、さらに金正恩の居場所や本人確認のDNA情報の入手ができなったことが理由の一つだと言われています。
いまもマスコミでは「トランプは日本を守る気がない」「同盟関係を重視していない」との声が支配的ですが、このようなトランプ大統領の姿勢は「意志」ではなく、「能力」の問題なのです。トランプ大統領がいくら同盟国を守りたいと思ったところで、現実に同盟国を助ける能力を失いつつあるというのが正しい見方でしょう。
もちろん、圧倒的な核戦力によって中国軍が米軍に手出しできないのは事実で、日米同盟は「抑止力」として機能しています。しかし、いまや米軍が「通常兵器」で中国に対抗できなくなりつつあるという現実を踏まえ、同盟国である日本は防衛体制を全面的に見直さなければなりません。
「在韓米軍不要論」の深意
もう1点、日本が直視すべきなのは米韓関係です。
米国側は韓国に対する嫌悪感がこれまでにないほど高まっています。日米間で北朝鮮をめぐる協議をしているときも、「慰安婦問題で日本は謝罪をしていない」「日本大使を韓国に戻さないのはおかしい」と難クセをつけてくるのですから当然です。
米国は七十年前、韓国の赤化を防ぐために朝鮮戦争を戦いました。その記憶がある米軍の幹部たちは、「我々は北朝鮮から韓国を守ろうとしているが、もし韓国で被害が出たら〝米軍のせいで犠牲になった〟と言ってくるに違いない。こんな連中を助ける必要があるのだろうか」と思い始めているのです。
米国も当面は韓国への影響力確保の観点から米韓同盟を維持していくでしょうが、米軍を韓国に駐留させておくリスクが高まってきていることも無視できません。
戦闘機などの整備の一部は現地、つまり韓国企業が担いますが、文在寅政権は発足直後、北朝鮮のスパイを取り��まる国情院(国家情報院)の長官に極左の徐薫氏を起用しました。その結果、北朝鮮のスパイを取り締まる機能は麻痺し、韓国企業には労働組合を通じて北朝鮮のスパイが入り込んでいると思われます。そうなると、もはや韓国企業に在韓米軍の艦艇や戦闘機などの整備を任せることはできません。
軍事戦略面からも、米軍が韓国に駐留する必要性は低下してきています。米国にとって最大の脅威は、中国海軍のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)です。いまのように軍事バランスが不均衡なままでは、SLBMを搭載した中国の原子力潜水艦が太平洋へ進出し、米国本土を核攻撃できるような状況が生まれかねません。すでにそうなっているという分析さえあります。このままでは、核戦力の優位すら危ぶまれることになります。
そこで日本・ベトナム・フィリピンに地対艦ミサイルを配備し、中国海軍を抑え込む「ミサイル・バリア構想」を在韓米軍が担う方向で議論が進んでいます。在韓米軍の一部がベトナム、フィリピンなどに展開していく、という話です。台湾海峡危機に対応するためにも、限られた部隊を韓国に置いておくよりは日本に戻し、日本・台湾ラインで中国海軍を抑え込んだほうが効果的と考えられています。
圧倒的な物量不足
冒頭でも指摘しましたが、とにかく米軍はいま、中国軍と比べて物量で劣勢に追い込まれているのです。
北朝鮮漁船による瀬取り、台湾海峡や尖閣諸島など東シナ海の問題、南シナ海における「航行の自由作戦」を主として担当するのは、駆逐艦です。現在、これらを担う米海軍の第7艦隊の駆逐艦はわずか8隻、潜水艦を含めても艦艇は70隻しかありません。日本の海上自衛隊の兵力は135隻で、日米両国の兵力を合計すると約205隻となります。
一方、中国海軍の駆逐艦は公表しているだけで33隻、潜水艦を含めれば750隻あるといわれ、艦艇の数だけを見ても中国の兵力は日米両国の約4倍もあるのです。
しかも中国は「ロケット軍」というミサイル専門部隊をつくっていて、いわゆる〝空母キラー〟といわれる対艦弾道ミサイルなどを次々に開発しており、その膨大な、かつ高性能のミサイル攻撃を仕掛けられたら、現在の日米両国のMD(Missile Defense:ミサイル防衛)体制ではとても対応できません。
昨年来、英国・フランス・オーストラリア・ニュージーランドなどが南シナ海と東シナ海に軍艦や飛行機を派遣しているのも、米国一国では中国海軍を抑止できないからだと見るべきでしょう。
「ハイブリッド戦争」に備えよ
中国の軍拡の源は、潤沢な資金です。資金が枯渇(こかつ)すれば軍の整備ができなくなり、動かない戦闘機や艦船が増える。物量で劣っているのなら、まずは貿易戦争で経済力を徹底的に奪うしかない──米中貿易戦争は、物量で劣る米国の〝時間稼ぎ〟という側面もあります。
またトランプ政権が最も警戒しているの���、中国の「ハイブリッド戦争」です。ハイブリッド戦争とは、電磁波、プロパガンダ、サイバーなど、ネットワークや通信を破壊する手法で2014年、ロシアがクリミア半島を占領したときに用いられました。ウクライナの国会議員の携帯電話を使えなくさせたり、フェイクニュースを流したりして抵抗能力を徹底的に排除したのです。
実際に習近平政権は台湾などを念頭に、ハイブリッド戦争を実行するため、準備を進めています。2015年12月、人民解放軍の大改革を行い、陸海空とロケット軍の4軍に「戦略支援部隊」を加え、5軍体制としました。戦略支援部隊は通信機能を麻痺させるために通信の基幹部分を抑えたり、プロパガンダを行う専門部隊で、ハイブリッド戦争遂行のために創設されたのではないかといわれています。
ハイブリッド戦争に対抗するには、敵国の通信技術が自国に流入することを防ぐ必要があります。だからこそトランプ政権は徹底してファーウェイを締め出しているのです。さすがに防衛省は『防衛白書』などで中国のハイブリット戦争について注意を喚起していますが、日本の経済界の反応は鈍いと言わざるを得ません。
今年はトランプ政権が宇宙軍を創設する法案を提出したことも話題になりました。これも中国の軍拡に対抗するものです。中国はミサイル戦や通信戦を念頭に、宇宙軍を強化しています。中国の宇宙空間での覇権を許してしまえば、いざというとき米軍の通信機能は麻痺させられ、中国の攻撃に全く対応できなくなってしまうのです。
日本海の争奪戦
マスコミが大々的に取り上げることはありませんが、日本海の争奪戦はすでに始まっています。
東シナ海では中国の軍艦や公船による尖閣諸島周辺への領海空侵犯が常態化、中国軍機を対象とした航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)回数は過去最多を更新しようとしています。
日本海では2017年、対馬海峡を中国軍機が初めて通過し、昨年度は7回通過、過去最多を更新しています。2019年に入ってからは中国軍機とロシア軍機が竹島上空を合同飛行し、ロシア軍機は領空侵犯しました。そして空自機と韓国軍機がスクランブルしています。
そんななか、韓国の国防費が日本の防衛費を上回ったというデータが公表されました。経済不況に苦しんでいるにもかかわらず文政権は国防費を増やし、昨年は日本が約5兆3999億円、韓国が約5兆5310億円と初めて追い抜かれました。
さらに「緊張緩和」と称して38度線に配備していた韓国軍を減らし、『国防白書』からも「北朝鮮は主敵」という文言を削除、来年度の国防予算には「周辺国に対抗する戦力を確保する」という項目を新設しています。「周辺国」には当然、日本も含まれます。文政権は「李承晩ライン」の復活を狙��ているでしょう。
1952年、当時の李承晩大統領は国際法に反し、竹島も含む漁業管轄権を一方的に主張しました。韓国はその後、日本と国交を回復する1965年までに約4000人の日本人漁師を拘束し、8人を死亡させています。先日、鹿児島に出張した際に李承晩ラインで拿捕された枕崎の漁師の親族の方とお会いしましたが、拿捕された漁師たちはヒドい虐待を受けたと聞きました。
今後、文政権は日本の漁船や輸送船への嫌がらせを行い、尖閣と同じように「サラミ戦略」で対馬海峡を含む日本海を〝韓国の海〟とすべく、動き始めるでしょう。
一方、日本海の豊かな漁場である大和堆では北朝鮮漁船が違法操業を続けています。そしてその北朝鮮漁船をロシアが拿捕した──すでに韓国、北朝鮮、ロシア、そして中国による〝日本海の争奪戦〟が始まっているのです。
一体、どれほどの人が、日本海が尖閣諸島海域のような「紛争海域」になると想定しているのでしょう。「北朝鮮の違法操業はけしからん」程度の認識のままでは、ますます危機に追い込まれていくことになります。
継戦能力低き自衛隊
「日本の自衛隊は優秀だから、韓国軍相手ならば大丈夫」という声も聞かれますが、もし一触即発の事態になったとき、憲法9条に縛られた自衛隊法の解釈では初動の遅れでやられてしまうでしょう。
実際に2016年には元空自航空支援集団司令官の織田邦男氏が、東シナ海上空で中国軍の戦闘機が空自機に対し「攻撃動作を仕掛け、空自機がミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱した」とする記事を発表しました。攻撃動作を仕掛けられたことは、冷戦時ですらありませんでした。
事実関係は防衛省幹部も大筋で認めたようですが、萩生田光一官房副長官、河野克俊統合幕僚長(ともに当時)はこれを否定しました。あくまで推測ですが、空自機が攻撃動作を仕掛けられながら戦域から離脱したことが判明すれば、同盟国である米国から「何という弱腰」と批判されることになるからだと思われます。
しかし中国の戦闘機と日々向かい合っている空自としては、攻撃動作を仕掛けられた場合に「戦域を離脱し領空侵犯を容認する」のか、「阻止するために反撃する」のか、政府に方針を決めてもらわなければ困ります。だからこそ、あえて情報を漏らしたのかもしれません。
領空侵犯を容認したら、「領空侵犯しても反応してこなかった」と中国に制空権主張の根拠を与えることになります。「撃墜もやむなし」と指示するには国際的な世論戦で負けないための宣伝能力の強化、日米連携の深化、敵基地攻撃能力の保持が不可欠です。
中国は「世論戦」を重視し、米国をはじめ主要先進国に中国が有利になるようなニュースを流す体制をつくり上げています。予算は1兆円とも言われ、米国のケーブルテレビで中国政府が作成したニュースを流したり、ニューヨーク・タイムズには中国共産党の機関紙『人民日報』の英語版が織り込まれているほどです。
一方、慰安婦問題という例を挙げるまでもなく、日本の対外宣伝力の弱さは知られています。韓国に対する「ホワイト国除外」でも、広報不足により国際社会では「日本が経済力で劣る韓国をいじめている」と報じられていたほどです。いまの状態で中国や韓国との間で紛争が起これば、日本は「悪者扱い」される可能性が高いと言わざるを得ません。
それだけでなく、中国は「日本政府から戦闘を仕掛けられた」と宣伝し、ミサイル攻撃を仕掛けてくる可能性すらあります。事実、米国務省の「中国に関する年次報告書2014」では、中国は短期激烈戦争(ショート・シャープ・ウォー)として「大量のミサイルを短期間に日本列島に発射し、米国の助けが来る前に日本を降伏させる」というシナリオが検討されているほどです。
日本はMDシステムを導入していますが、これだけで日本全土を守れるわけではありません。MDシステムは2段階に分かれていて、第1段階ではミサイルが大気圏にいる間に海上自衛隊のイージス駆逐艦が察知し、迎撃します。第2段階では、イージス駆逐艦が撃ち漏らしたミサイルを大気圏突入段階で空自の迎撃ミサイル、ペトリオットPAC-3で対応する仕組みになっています。
問題は第1段階では日本列島全体をカバーしていても、第2段階になるとPAC-3を配備している半径数十キロしか守れないことです。つまりPAC-3が配備されていない札幌を除く北海道、青森を除く東北、新潟などの日本海側、中国、四国、南九州はミサイル攻撃にまったく無防備なのです。
そしてそもそも防衛費の関係で在庫を抱えておらず、対応する迎撃ミサイルの数も足りていません。ミサイルだけでなく弾薬や燃料も不足していて、元自衛隊の幹部が言うには「おそらく海上自衛隊の護衛艦などが戦闘状態に入ったとして、戦い続けることができるのはせいぜい十数分だろう。自衛隊の基地が相手から攻撃を受けずに戦い続けることができたとしても1カ月持つかどうか」とのことでした。
トランプを救った安倍外交
米軍の弱体化と中国の軍事的台頭、米韓同盟の変質──日本を取り巻く安全保障環境の変化に、安倍政権はどう対応しようとしているのでしょうか。まずは外交戦略です。
トランプ政権は当初、中国に対抗するためにロシアと組もうと考えました。ところが関係改善は進まず、アジア諸国と関係を強化する方針に転換します。しかしフィリピンのドゥテルテ大統領は反米、ベトナム戦争の記憶があるベトナム、さらに核武装に踏み切ったインドなどとも関係は良好とはいえません。さらに「一帯一路」による買収工作で、中国批判を口にできない国も多くなっていました。
途方に暮れていたトランプ政権に救いの手を差し伸べたのが安倍首相だったのです。安倍首相は第二次政権が発足した2012年12月、英文で「アジアの民主的セキュリティ・ダイヤモンド構想」という英文の論文で、日米同盟を広げて東南アジアやオーストラリア、インドにいたるまでの連携網を構築する構想を発表しました。
この構想に基づき「地球儀を俯瞰する外交」で当該国との関係を深化させていったのです。特にインドとは同盟関係と言えるほど良好な関係を保っています。
一昨年、アメリカで会った米軍の元幹部は「セキュリティ・ダイヤモンド構想がなければ、南シナ海や東シナ海での中国の横暴はさらにひどく、紛争が勃発して��たかもしれない」という認識を持っていました。
安倍首相がトランプ大統領とゴルフをラウンドしたり、トランプ大統領が安倍首相の誕生日を祝う姿に「アメリカの言いなり」「対米従属」と批判する向きもありますが、安倍外交が米国の大統領から頼りにされていることの証明です。
トランプ政権と日本との関係が良好でなければ今頃どうなっていたことか、想像するだけでゾッとします。
こうした戦略的な外交ができたのは安倍首相個人の資質だけでなく、政治の仕組みを抜本的に変えたことも一因です。第二次安倍政権は、発足と同時に日本版NSC(国家安全保障会議)を創設し、軍事・外交・インテリジェンスを連動させた安全保障戦略をつくる体制を構築しました。
内閣人事局は「官僚いじめ」か
これまで日本の安全保障戦略は、防衛省が策定してきました。しかし霞が関で防衛省は3流官庁といわれていて、防衛庁時代は他省庁から相手にされず、防衛費の折衝すら直接財務省とできなかったほどです。
しかしNSCは内閣総理大臣直轄なので、安全保障戦略の主導権は官邸に移動し、ほかの省庁を巻き込んで安全保障政策を策定できるようになりました。そのような意味で、この改革は画期的といえます。
防衛、安全保障は防衛省の管轄と思われるかもしれませんが、住民保護や通信なら総務省、軍需産業による武器・弾薬の補給なら経済産業省、自衛隊の移動や戦闘機の離着陸なら国土交通省、戦闘によるけが人の対応なら厚生労働省……基本的にすべての省庁に関わっています。
NSCの話になると出てくるのが「内閣人事局」です。マスコミは内閣人事局を安倍政権批判の道具にして「官邸が好き勝手やるためにつくられた」「役人いじめ」というのですが、それは霞が関の現実を知らない人の謬論です。
内閣人事局は総合的な国家戦略を策定するための〝道具(ツール)〟にすぎません。さらにいえば、国益を考える有能な官僚を守るための道具です。
官僚たちにとって、守るべき最大の原則は「前例踏襲」──先輩たちが行ってきたことを守り、否定しないこと。これこそ出世の必須条件です。しかし「前例踏襲」では肝心の「国益」が守れないことも多い。
そんななか、安倍政権が内閣人事局をつくったことで幹部官僚人事を左右できるようになり、おかげで「国益のため前例を変えたい」と考える幹部官僚たちは上司に対し、「内閣人事局のせいで官邸からの指示には逆らえないので、やむを得ず先輩たちのやってきたことを改革します」と〝言い訳〟ができるようになりました。官邸が〝悪者〟になることで、各省庁の「前例踏襲政治」を改革しようとする国益重視の官僚たちを守ることができるのです。
「省庁縦割りの前例踏襲政治」から「内外情勢に機敏に対応できる国益重視の政治」へと官僚機構を変えるための道具が、NSCと内閣人事局というわけです。
令和の「富国強兵」を
NSCといえば9月、2つの���きな動きがありました。
まずNSCの実務部隊であるNSS(国家安全保障局)局長が外務省出身の谷内正太郎氏から、警察庁出身で首相側近の北村滋氏に変わりました。北村氏はインテリジェンスのプロで、拉致被害者奪還のためにウラで動き回ってきた人物です。
この人事はトランプ政権の方針と関係しているでしょう。トランプ政権はインテリジェンスに軍とCIAを使っていて、国務省をあまり関与させていません。というのも、国務省はパンダハガーだらけで情報がすぐ中国に漏れてしまう恐れがあるからです。国務長官にCIA出身のポンペオ氏を起用していることからも、トランプ大統領が国務省の官僚たちを信頼していないことはわかります。
一方、日本で国務省のカウンターパートは外務省なので、トランプ政権は外務省や外務省出身の谷内氏にできるだけ情報をわたさずに、内閣情報官だった北村氏にわたしていたという噂(うわさ)を米軍関係者から何度なく聞かされました。
外務省は谷内氏の後任にも同省出身者が就くことを期待し、谷内氏もそれを希望したようですが、外務省は外されることになりました。
この人事について朝日新聞は「官邸主導が強まる」「官邸にノーを言う人が少なくなる」という論調の記事を掲載していましたが、外務省は自分たちがNSCの主導権を握りたい、朝日もパンダハガーが多い外務省に担わせたいという意志が伝わってきます。
安倍政権としては北村氏をNSS局長に据えることでインテリジェンス重視を明確にし、トランプ政権との連携をさらに深めようとしているのでしょう。とはいえ、外務省などの抵抗が予想され、予断を許しません。
もう1つは、NSSに技術流出や産業スパイに対応する専門担当部局として「経済安全保障部門」を設置するという報道が出たことです。これまで技術流出や産業スパイに関しては経済産業省が外為法(外国為替及び外国貿易法)や不正競争防止法などを通じて対応してきましたが、中国企業による知的財産窃盗問題などには十分に対応できずにいました。
安倍政権としてはNSSに経済安全保障部門を新設することで、米中貿易戦争に対して的確、かつ迅速に対応しようとしているのでしょう。これらの動きにも大いに注目しておきたいものです。
米国は一枚岩ではありません。アジアの平和のために日本は弱い方がいいと考える「弱い日本派(ウィーク・ジャパン)」と、強い日本がアジアに安定をもたらす「強い日本派(ストロング・ジャパン)」が存在します。これまで日本は米国の「弱い日本派」によって、軍事的に抑え込まれてきました。
しかし幸いなことに、トランプ政権は中国の軍事的台頭に対抗するため、「強い日本」を求めています。危機はチャンスです。「強い日本」再建に向けた絶好のチャンスを生かすためにも、憲法改正だけでなく、デフレからの早期脱却、対米依存の是正を前提とした防衛費のGDP比2%増など、令和の「富国強兵」を断行したいものです。
江崎道朗(評論家・拓殖大学大学院客員教授) 1962年生まれ。九州大学卒業後、月���誌編集、団体職員、国会議員���策スタッフを務め、安全保障、インテリジェンス、近現代史研究に従事。『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP研究所)、『日本は誰と戦ったのか─コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』(ワニブックス)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)ほか著書多数。
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「ロシア軍の攻撃に対するウクライナ市民の安全確保と必要な戦争対応戦術」
ウクライナ人口4300万人
その内1/4に当たる1075万人が国外避難、その内150万人が子どもである。
ウクライナ国内には3225万人が未だに命の危険がある。戦争地帯に残っている。
その内、包囲された首都キエフでは200万人が残留、ハボリスでは100万人が残留、完全包囲されたマリウポリでは35万人が残留、市民救出の為の国際救出特殊部隊による救出作戦が行われて救出した市民がいるという報告は一切なし!
その異常事態に対応してマリウポリで救出活動を独自に行っているのは現地市民一人のみ、隙をみて内緒で小さな自家用車に乗せて一人一人こっそり脱出させる方法で既に200人のマリウポリ市民を脱出成功させたという。
残る数十万人のマリウポリ市民に対して国や世界が救出活動を手伝って成功させているという報告は一切ない。
一方ウクライナ国内北西部では軍事訓練施設で国内志願兵や外国人傭兵を訓練する施設にロシア軍艦が海洋から発射したミサイルが着弾、訓練していた数百人の訓練兵や外国人傭兵が被害にあったと見られている。
ロシアは当初から軍事施設を攻撃すると宣戦布告しているのにウクライナが軍事訓練施設で訓練している事事態が意味がわからない、殺して下さいと言っているようなものだ。
軍事施設から離れた場所で訓練するなり他国で訓練するなりしないとウクライナ国内の軍事施設に人がいたら攻撃されるのが当たり前だ、特に西部地域は現在ロシア軍の次のターゲットとして数十カ所の軍事施設を中心に次々と攻撃されている段階に移ってきているというのにウクライナ政府は、バカなんじゃないか?
外国人傭兵は世界各国から集まった志願兵だろう?なぜウクライナ国内の軍事訓練施設などの攻撃対象施設で訓練していたのか?素人じゃないんだから、もっとちゃんと考慮して行動しろよ。
訓練兵の中に犠牲になった人がいるなら大変な事だ。国の為に実戦地で犠牲になったのではなく、よりによって訓練中の軍事訓練施設で犠牲になったなんて何のために兵に志願したのかわからない。
ロシア軍は予めウクライナ国内の攻撃対象の軍事施設を全て調査した上で国内数百の軍事施設を攻撃すると発表して進軍してきたのだよ、これまでに東部の軍事施設に進軍し尽くしたあと現在西部の軍事施設への攻撃に移行してきている段階だ。その西部の軍事施設に堂々と志願兵を集めて訓練するとか、安倍晋三じゃないんだから、どんだけバカなんだよ。軍事施設施設なんて真っ先に狙われるに決まってるじゃないか?
志願兵を世界から集めて市民志願兵も次々集めているとゼレンスキー自ら発表しているんだから、訓練施設は真っ先に攻撃されるに決まっている。
それをわざわざ攻撃対象とされている西部の訓練施設で外国人傭兵や市民志願兵を訓練していた��んてアホかよ。安倍晋三か��!ゼレンスキーはアベッてるよ。アベり過ぎ!それが勇敢な英雄の死かよ?ふざけんなゼレンスキー!お前はルカシェンコや安倍晋三と同類だ!
今、ウクライナ西部の全ての軍事施設が攻撃対象になっていて、一つ一つ精密爆撃で攻撃されている段階なんだよ。軍事施設の位置や現状なんて逐一状況報告入って把握しているはずなんだよ。当たり前だろ?攻撃対象なんだから攻撃対象の現状把握しないで攻撃するバカな軍はいない、ちゃんと逐一現状把握して、効果的に攻撃を行っているのが当たり前だろ?なんでそんなところで世界から集めた外国人傭兵や市民志願兵を訓練させてんの?訓練は軍事施設から離れた場所で訓練するとか、他国で訓練するとか、攻撃されにくい安全な避難国国境付近で訓練するとか、ちょっとは考えろよ。アホなんじゃないの?西部の軍事施設で攻撃されて犠牲になった者は全員ゼレンスキーに殺されたようなものだ。ロシアは予め攻撃すると宣言しているのだから、予め対処して備えておけよ。
武器弾薬の保管場所は少し位置を変えて移動して保管するとか対処しなけりゃどんどん戦力失うばかりだぞ。バカなのかよ?お遊びじゃねえだよ。戦争なんだよ。ゼレンスキー、お前はアホなんか?どこの世界に攻撃宣言されている西部の軍事訓練施設で市民志願兵や外国人傭兵を訓練するバカがいるんだよ?バカなんかお前は?それともやはりわざとなんか?お前はわざと国民を見殺しにしてきているのか?ふざけんなよ!ウクライナはこんなアホな奴が大統領で可哀想だ。ただの映画監督兼俳優やんか!大統領じゃないよ、国民の命かかってんだろ?もっと真剣に国民の命助けろよ!うわついた思いつきの命令ばかり出してんじゃねえぞこら!戦時対応の指揮できないなら出来る者にとっとと変えて市民をとっとと国外脱出させて救え!
戦闘員以外国内に残すな!全員待避させろ!既に西部も攻撃対象に入っている、市民は全員退避だ退避!退避!!!
全力で戦地から市民を救出しろ!攻撃部隊ばかり戦地に送っとる場合か?戦地に残っている市民を先に全員退避させよ!動けない者をみんなで移送して避難させよ!
「お国の為に」とかアホな事言っとる場合か?祖国よりも自分らの命を先に守れ!馬鹿者が!全体主義で戦っとる場合か?市民全員避難完了させてから戦え!市民をほっぽっておいて戦闘だ!ふざけんな馬鹿やろう!どこの世界に市民を戦地に取り残して戦う馬鹿がいるんだよ?攻撃された地域は市民を全員国外脱出させろ!攻撃されたキエフに200万人も市民を取り残してまま救出しないで応戦している馬鹿があるか!
ロシア軍は遠距離からロケットやミサイルで市街地や住宅などをピンポイントで攻撃してきているんだよ。自宅待機や自宅放置などしていたら建物ごと粉々にされてしまうのだよ、そんな危険地帯に残っておいて、祖国の為に戦うだとか、アホなこと言っちゃいかん!
銃撃戦で戦って祖国を守るのとは違うのだよ、ロシア軍は遠距離からミサイル攻撃してきているんだよ。遠距離から爆弾をぶち込んで建物ごと破壊してきているんだよ、飛んでくる爆弾からどうやって身を守れるんだよ、住宅に飛んできた爆弾を受け止めて投げ返せるとでも言うのか?建物ごと破壊されたら防空壕も崩れて圧死してしまうのだよ、空爆やミサイル攻撃など遠距離爆弾攻撃が一度でもあった都市全域に市民を残しておいたら、次の攻撃で、また市民の犠牲が出るのは当たり前の事だ。武器を持って戦う戦闘員以外は全員避難するしかないのだよ。一人でも国民の安全を確保してこくみ命を守る為にね。
日本に例えれば東京都内ので一度でも爆撃があったら全都民避難させなければならない。次に埼玉県に砲弾が打ち込まれたら、関東全域市民を避難させなければならない。爆撃があった建物周辺の住民だけ避難したって意味がないのだよ。遠距離からの空爆や砲撃は、どこだって撃てるのだから、爆撃があったらその地域はどこだって攻撃対象になっているんだよ。都市ごと全員避難しなければ、国民の安全は確保できないのだよ。それが戦争事態の国民を守る最優先に施さなければならない対応なんだよ。
戦争による危機というのは小さな都市の問題ではないのだよ、国全体の問題なのだから。「丸々市の丸々町が攻撃されたから、丸々町の人々は避難しましょう」なんてやってても意味がないのですよ。もっと広範囲の住民を安全地帯のポーランドなどの国境地帯まで避難させなければ国民の安全は守れないですよ。
お前ら戦争で戦って死ぬのが英雄だと思ってるんか?馬鹿言っちゃいかん!戦争で死ぬのは英雄なんかじゃない!単なる戦争の犠牲者だ!犠牲を最小限にして、戦うのが戦争対応だ、犠牲を増やして戦うのは単なる市民殺人でしかない。アホな事ばかりやってるんじゃないよ。とっとと国際支援を増やして市民の国外脱出やポーランド国境付近などの攻撃されにくい場所へ避難させて国民の犠牲を最小限に抑えろよ。戦闘事態になっているのに市民の自主避難に判断を任せておく馬鹿な国があるか!このボケが!ゼレンスキーじゃない、ゼレンキライ、ゼレンボケーだ。
このままいったらいずれロシアのモスクワが消滅することになるだろう。最終結末はそうなるだろう。ゼレンスキーは、ウクライナの「マリウポリやハリコフやキエフが完全にロシアに制覇されたら、モスクワが消滅する」と言っておけば良い。「ウクライナの都市を奪うならばロシアの都市を確実に消滅させる!」と宣言しておけば良い!「最終手段は自爆攻撃で放射能汚染でロシアを消滅させる!」と宣言しておけば良い。原爆投入対原発爆破の核の抑止力を有効化させて対抗して、「ウクライナの都市を奪うならば、ウクライナ原発を爆破してロシアへ放射能汚染を拡散してこの地域全域からロシアのモスクワまで人間が住めない土地にしてやる!愚かなプーチンよ、さらばだロシアよ!」と言い放っておけばよい!「今から使用済み核燃料をモスクワに投下してやる!」と言えばよい!「ロシアは終わった!ロシアの核爆弾を攻撃してやる!お前はもう終わりだ!ロシア世界はもう終わりだ!プーチンもルカシェンコもおしまいだ!死ねー独裁者ども!我こそが人類最後の独裁者だ!」と言って核爆弾と原発を攻撃して使用済み核燃料を積んだ飛行機をロシア本土に向けて投下しまくれば良い!「プーチンが降参しないなら、どうせ死ぬならお前らも道連れにしてやる!死ねープーチン!死ねールカシェンコ!お前らのいる場所はどこでも攻撃対象にする!」と日本の議会で狂った演説をすればよい!世界は震撼し、プーチンは停戦交渉で降参するだろう!ゼレンスキーはそのくらいの最後の核の抑止力を発揮しなければならない。核兵器なんか持っていなく��も、使用済み核燃料があればそれを敵国へ投下すれば人間は土地ごと永遠に死滅する!ウクライナへ核兵器を持ち込んで核攻撃の脅威を効かせて脅されているのだから、核の脅威に対しては核の脅威で対抗し、先行して核兵器の脅威よりも大きな脅威で脅し返してしまえば、流石のプーチンもふるえあがるだろう!ゼレン���キーは映画監督兼役者なのだから、それくらいの迫真の演技をしてプーチンを脅し倒さなければならない!ゼレンスキーは戦闘モードになって上半身裸で筋肉隆々の勇ましい姿になって、今にも殺しそうな恐ろしい形相になってプーチンに対して最終宣告を行えばよい!「お前はもう死んでいる!ロシアを救いたければ降参しろ!」と言えば良い。
NATOはウクライナ国境付近のNATO連合国と協力して「今月から国境付近でNATO軍事訓練を行うので国境付近でロシア軍が訓練を妨害してきた場合は攻撃する」と宣告しておけばよい。
国境付近での軍事訓練中にロシア軍がレーダーに入ってきたら「訓練を妨害する攻撃体制を示した」として撃墜すれば良い。それで「NATOへの攻撃を行った」としてNATOが参戦出来るようになる。そうすればNATO戦力を有効に使ってウクライナ軍が領土を取り戻す効果的な攻撃を行っていけば、ウクライナ国内に侵入しているロシア軍を撃破していける。侵入しているロシア軍にミサイル攻撃の集中放火を浴びせて全滅させればよい。勿論そのような圧倒的攻撃を行う為に予めウクライナ市民を全員避難させておく必要がある。だから市民の避難は攻撃の為の大前提条件なのだ。市民が近くにいては、圧倒的な爆撃攻撃が行えない。市民ぁ巻き添えになったりすぐに攻め込まれるようなところに市民を残していたら、すぐに市民が攻撃されて犠牲になってしまうからだ。戦地に市民を残しておいてはならない。
ウクライナ戦争に対する国際社会がやるべき対策というのは、攻撃されているウクライナ市民を可能な限り早く可能な限り多く安全地帯へ移動させること(市民の命の安全確保)最優先である。攻撃に応戦しながら、市民を出来るだけ早く安全地帯へ避難支援して避難を完了させることが最重要最優先の戦時対応である。戦闘事態に市民を巻き込んではならない。武装して戦闘に参加する者のみ戦地に残して応戦支援し、戦闘に参加しない市民は安全地帯へ全員避難させるのが戦争事態における鉄則である。それを支援する為に国連という組織が存在しているといっても過言ではない。
国連もNATOも攻撃に参戦する事は国際法違反になる事はわかっているのだから、攻撃に参戦する前に、まずウクライナ市民を戦地から救出して安全な地域(国内外)へ脱出させる国際緊急市民救出作戦の計画を立てて、国際支援名義で、特殊救出部隊を結成して、救出活動を行う部隊がウクライナに介入して救出活動の妨害になるロシア軍があればそれを排除する攻撃を行って救出活動を完了させる作戦を実行すること。
それは国際法違反にはならない。攻撃に参戦するという名目ではなく、災害時の国際緊急支援としての市民の救出活動(安全地帯への市民救出や安全な護衛移送や避難誘導)を国際支援して被災地から市民を安全に速やかに避難支援する目的で国際法に合法に戦地救出活動の為に国連やNATO部隊が国際救出支援活動の名義で介入すること、それが次の段階に進むバージョンアップした国連の活動である。
まずそれを国連決議で可決せよ!国連加盟国の軍事特殊救出部隊を参加させて、ウクライナ国��災害支援として国際救出部隊を結成してウクライナ国名義の救出部隊として外国の軍事特殊救出部隊の優秀な隊員の所属を変えて参加させれば国際法違反には当たらず救出作戦の為の軍事行動や護衛行動としてロシア軍との攻防戦も正当防衛の範疇で武力行使も可能になるはずだ。
災害救助の救出活動中にロシア軍が攻撃してきたり妨害するようならロシア軍が国際救助隊の救助を妨害攻撃したとして救助活動の完了を妨害攻撃する犯罪者を射殺攻撃するのは正当防衛であり、国際法違反なく攻撃可能だろう。
国際救助活動を妨害するロシア軍は武力を用いる殺人犯集団の過激派武装勢力、国際法違反を犯しているのはロシア軍の方なのだから、正々堂々と国際救助部隊の護衛部隊が、救出活動の妨害をしているロシア軍を攻撃して救出ルートを確保して、攻撃してくるロシア軍と応戦して護衛しながら救出を完了させようとしても、なんら国際法違反には当たらないはずであろう。
災害支援活動として国連加盟国の軍事特殊救出部隊の隊員を国際救出隊員のメンバーに任命して参加させれば良いだけの事ではないか?救助活動の護衛の為の武装部隊は救助活動の隊員であるならば、国連加盟国の軍事介入にはならない。なぜそれが出来ないのだろうか?
現状では戦地に残留するウクライナ市民(残っている市民や包囲されて逃げられないと政府から言われている残留市民)を救出するために国連が救出支援して一人でも多く市民を救出しているという活動が報告されていない。
避難民の避難誘導を護衛する民兵などの活動は報道されているが、包囲されたキエフ市民200万人を速やかに全員救出脱出避難させる国際救出特殊作戦を実行して市民を救出している活動が報告されていない。なぜ救出しないのだろう?なぜ国際救出作戦を立てて市民救出を実行しないのか?
国連がゼレンスキーと協議して本格的な国際救出作戦を実行し続けていくように決めれば良いのだが、そんな話は聞いたことがない?
国連も国際社会もいったい終わり何をしているのだろうか?ロシア軍の攻撃に対して応戦することばかりを支援して、難民支援ばかりしていて、肝心な戦地に取り残されている市民の救出活動を本格的に実行していない。
例えば、軍事施設や原発などにテロリストが侵入して施設内の民間人が人質にとられたら、特殊部隊が突入して市民を救出する、それと同じ事である。
なぜ国際特殊救出部隊を投入して救出作戦を実行して市民を一人でも多く戦地から脱出させないのか?市民が自発的に戦地に残ると言っているからと言って、攻撃されている地域に市民を残したままにして、人命の安全確保を最優先にする為に市民を安全地帯へ強制的に脱出させる救出活動を本格的に世界が全力で取り組んで一人でも多くのウクライナ市民の安全確保を確実にこなしていかないというのは、国際社会としてどうなのだろうか?
国際災害支援活動では、世界中の国々が市民の救出活動を支援するだろう?原発事故で原発が爆破したときには、急いで市民を全員避難させる為の国際支援をしただろう。タイの洞窟に閉じ込め等れた少年達を救い出すために、世界各国が救出活動を支援しただろう?チリて落盤事故が起こって地下深くの炭坑の中に閉じ込められた数十人の作業員(マリオさんたち)を救出するために救出活動を世界が支援しただろう。島国の火山が大噴火して島民の命の危機が迫ったら隣国が島民の避難を支援し世界中が救出活動を支援しただろう?津波がきたら世界中が救出活動を支援してきただろう?
ところが戦争になると、市民の救出活動は世界中が支援しないのか?全くふざけた人間どもだ。全くふざけた国際連合だ。戦争事態に対応して応戦を支援するだと?何を最優先に国際支援活動をしているのか?戦争に巻き込まれ��国の国民(人間)の命の危機が刻々と迫り、多くの人間の命が危機に瀕しているというのに?それらの国民の救出を最優先にせずに、応戦支援や難民支援を最優先に行うばかりですって?はあ?正気ですか人間さま?あんたら全員頭とちくるってんじゃないんすか?戦争事態になると、判断能力バカになるんすか?人の命、なめてんすか?ええかげんにせえや!くそ人間どもが!ウクライナ市民の戦地からの強制救出を最後まで世界が全力で実行し続けろ!戦争事態に陥った国においては、国民の命の安全確保が最優先なんじゃい!避難救出が何が何でも最優先なんじゃい!人類70億人全員ボケとんのか、こらあああ!
とっとと世界の軍事特殊救出部隊をウクライナに派遣して、現地で戦地残留市民緊急救出活動を行うチームを100部隊結成して、とっとと救出可能な計画を立ててとっとと次々市民を救出せんかいこらあああ!1カ月も、何をいつまでもぐずぐずしとるんじゃこらああああ!国際会議なんかしとる場合かこのアホどもがあああ!とっとと救出部隊をどんどん送り込めこのあほんだらー!
市民を全員避難させた地域から順番にロシア軍に総攻撃かけて集中放火集中爆撃をくらわせて全滅していけこらああああ!市民を戦地に残したまま戦うバカがおるかこらああああ!市民を戦地から救出避難させてから総攻撃をかけろ馬鹿者が!
お前ら国際社会もゼレンスキーも、戦争対処法が間違っとるんじゃこのあほんだらー!市民を残して応戦するなこのあほんだらー!応戦してる地域に砲弾が市民の側に降ってきとるやないかこのあほんだらー!ミサイルなどで爆撃された地域で市民を守るとか応戦するとか、アホなことを言うな!突然飛んでくる爆弾からどうやって町と市民を守って応戦出来るというのか?市民を避難させずに砲撃があった地域に市民を残して応戦していたら次々市民が犠牲になるじゃないか!なにが祖国を守るだ?祖国よりも先に市民の命を守れ!
とっとと市民を全員救出避難させろこのあほんだらー!いつまで市民を自宅放置にしとるんじゃこのあほんだらー!お前らは全員安倍晋三かあほんだらーが!プーチン以上にお前が狂っとるんじゃこのあほんだらー!この1ヶ月間滅茶苦茶むかついている、この人間社会のこのはたらきかけの無さにむかつく。
人命の安全確保が最優先!そんなの当たり前!なぜ200万人だ数十万だの市民を攻撃があった地域に包囲されるまで残したままにして、包囲されても国際社会が助けようとしないのか?応戦したって停戦するまで攻撃されて市民が死ぬだろうが!
なぜ避難救出を国際支援しないのか?米軍のアームドスーツなどでバリケードなどに隙間をあけて、そこから一人ずつでも市民を脱出させる作戦や、脱出した市民を安全地帯まで安全に移動させる特殊作戦を実行して安全地帯まで市民を移送するなど、人の命の危機から救い出して人の命の安全確保を完了するまで戦地残留市民を一人でも多く救出しなければウクライナ戦地の死傷率を最小化出来ないのは当たり前の事だろう。戦地の死傷率を最大限減らす対応を最優先に最大限国際社会が協力して施せ!
ポーランドなどの隣国国境まで全市民を避難させろそこに避難生活仮説住宅を国境沿いに作って一カ所を隣国と通路で繋いでおけ、その施設を攻撃したらNATO国連施設への攻撃とみなしてNATO国連が参戦すると宣言しておけ!
そうすれば攻撃されにくい避難施設を国境沿いにいくらでも増やして作れる。コンテナハウスが必要なら世界中が支援して設置しろ!そのくらい世界各国ができるだろう。
隣国と通路で繋がる国境沿い避難施設を設置していけば、国連とNATOと隣国(ポーランドなど)とウクライナとの共同国際難民救��施設と宣言しておけば、ロシアが攻撃対象には出来ない、攻撃すれば世界が国際法合法に反撃する事が出来る、それで国境地帯の空域の制空権も守れる様に進めるのだ。
ゼレンスキーも国際社会もやることをやれ!今の国際社会も国連もゼレンスキーも、何も必要なことをやらず、やるべき事を何もやっていないに等しい!
他国にウクライナ国民4300万人を難民受け入れなんて出来ないのだから、ウクライナ国内に安全な避難地帯を作ってそこに国民を避難させる緊急避難対応を行って、そこの生活を成り立たせる為に集中的に世界中が生活支援医療支援など行う事がやるべき事だろう。戦争事態なんだから、そうするしかないだろう。
命の危機が迫る戦争事態に市民を戦地で自宅放置なんて有り得ない。市民を戦地放置なんてあり得ない世界の対応だ!包囲されたら包囲網に穴をあけてでも一人一人助け出す作戦を世界があらゆる手段を尽くして試み続ける国際市民救出作戦を実行し続けることは、戦地では当たり前の国際社会の基本対応だろう!その為に必要な、世界のあらゆる軍事技術、世界のあらゆる手段を編み出して救出作戦を実現させる。それが戦争事態に陥った国の国民に対する最優先に施さなければならない国際対応だろう。
ウクライナ軍の攻防戦に参加支援しない者、もしくは出来ない市民は、戦闘地帯(攻撃があった都市)から全員避難させること。避難させる安全地帯が無いのだから、最も安全地帯に出来るポーランドなどの難民受け入れ国の国境沿いに国民避難施設をどんどん増設して作って、隣国と避難施設の通路を繋いでおく、国連やNATOと隣国とウクライナ政府が協力してウクライナ避難民救済国連施設として運営し、安定して避難生活できるように世界が避難生活を送る市民の生活を支援して避難民の命と健康を維持する。そうすれば他国の難民受け入れ数が限界になっても、ウクライナ国内国境沿い避難施設で避難民支援を集中して行えば、避難民の安全と生活を維持していく事ができる、そこは国境沿いに避難住居の��のようになる。
他国との国境入口に通路で繋いで隣国と行き来出来るようにしておいて、世界の難民支援団体などが支援物資の配給を行えるようにして、場合によっては市民による市場を作って市民が自活して物売りの商売したりして避難民生活を行えるようにするなど街の機能のように隣国との行商もかねていろいろ工夫して、健康な生活を維持する。病院施設も作り戦地の病院から患者を移送して戦地の病院を支援する。
その国境沿いの避難民生活施設を「国連難民支援施設」として国連とポーランドなどの隣国とウクライナ政府とが共同宣言しておけばロシア軍はその避難施設を攻撃出来ない、攻撃すれば国連と隣国(国連加盟国)への攻撃となり、米軍も含めた世界各国が武力行使を行うことになるからだ。国連加盟国と国連との共同運営施設が攻撃されれば、国連加盟国は、堂々とロシア軍を攻撃できるようになる。施設が国境出入り口と繋がっている施設だからだ、つまり国境検閲施設と繋がっている難民支援施設ということになるので国境検閲施設内の一部のウクライナ側施設ということになる。
国境沿いに這うように避難民施設を広げて設置していけばその一体全域が国境検閲施設内の一部の避難民支援施設になる。そこを攻撃すればウクライナへの攻撃ではなく隣国の国連加盟国を攻撃したことになる。国連とウクライナ政府と隣国とがそのように国境検閲施設内難民支援共同施設だと説明し国際社会に共同宣言して承認しておけばよい。そうすれば戦争地帯のウクライナ国内に国民が安心して避難生活ができる安全地帯が確保できる。そうすればみんな安心して避難できる。他国へ避難しなくても良��なる、国最大の大都市並みの避難生活施設がそこに出来上がっていて、いざとなったら国境を渡って隣国に避難できるし、隣国国境を通じて世界各国が支援物質や支援者などを安全に送り込むことができるようになる。
いざとなったらゼレンスキーや政府機関ごとそこへ移動してくればよい。ウクライナは不滅になる。ウクライナ政府を奪う為には国連加盟国全世界の軍と武力行使で戦わなければならないという状況をつくれる。
ポーランドなどの隣国国境近くに避難ハウス(簡易コンテナハウスのようなもの)を大量生産する工事を世界が支援して作ってもらって、どんどん避難ハウスを生産してウクライナ国境避難施設に設置していく、そうすればどんどん避難ハウスを増産して避難民の避難住居を増やしていくことが出来るようになる。国連とウクライナと隣国が協力して世界が支援してウクライナ国境検閲施設直営の避難民支援生活施設を運営する。
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トランプ前大統領・安倍前首相 シンクタンク2022
(女性ナレーター) 2022年のシンクタンクを代表する海外のリーダーの方々。 さて、最初の基調講演は、アメリカ合衆国第45代大統領の偉大なドナルド・トランプ氏が行います。
誰もがご存知のように、大統領時代にドナルド・トランプ氏は北朝鮮を非核化し、朝鮮半島の平和を達成するために多大な努力をされました。特に、彼の金正恩との3回の会談はアメリカ史上初でした。当時のメディアのトップ記事は、トランプ大統領の行動を21世紀の最も力強い劇的展開のひとつとして表現しました。
ご列席の皆様、素晴らしい韓国の統一とビジョンについて、私たちに貴重な演説をしてくださるドナルド・トランプ大統領の歓迎をどうぞよろしくお願いいたします。
(トランプ前大統領) この7回目の希望に満ちた集会で演説をすること、私の気持ちにとても近い目標について今日皆さんにお話しすることは、心の安らぎであり、感銘深い名誉です。 それは朝鮮半島の平和と団結の夢です。
天宙平和連合(世界平和統一家庭連合の組織)と、特にハク・ジャ・ハン・ムン(韓鶴子)博士に感謝したいと思います。彼女は、世界の平和のために活動している、素晴らしい人物です。5歳で北朝鮮から脱出して、朝鮮戦争の開戦を迎えた彼女の人生経験は、全能の神への信仰の力を示す驚異的な事例です。
彼女の夫、リヴェランド・ムン(文鮮明)氏が、ワシントンタイムズという私が非常に尊敬し賞賛している立派な企業を設立したことにも感謝します。 彼らは素晴らしい成果を成し遂げてきました。 私はムン博士が新しく世界を先導する2022年のシンクタンクを立ち上げたことを祝福したいと思います。これは世界中から専門家を集め、朝鮮半島の紛争解決に焦点を当てるものです。
皆さん全員が知っているように、アメリカは韓国の永続的な平和の形成において重要な役割を果たしています。 私の大統領としての最も誇らしい業績のひとつは、すべての韓国人の明るい未来に向けて新しい道を作るのを手伝うことでした。北と南に分断した道、過去の苦難はいつか癒され、これまで誰も可能だと思わなかったレベルにまで緩和されるでしょう。そして半島全体が、驚くべき真の可能性を達成するかもしれません。
私が就任した時、世界と直面していた状況は非常に厳しいものでした。数十年にわたり過去のリーダー達は、地球上のこの地域で増大する紛争の脅威��の対処に失敗してきました。オバマ前大統領は朝鮮半島の状況は全世界で最大の懸念のひとつとまで私に言いました。今振り返れば、その状況がいかに危険だったかを忘れがちです。
私が選任された時は、ミサイルが飛んでおり、核兵器のテストが行われ、毎日のように強大な脅威が発生していました。大統領として、私はただ座ってこの問題が悪化するのを待つことはできないとわかっていました。私の以前のいずれの政権も失敗しました、それが私が別の解決策をやり遂げる決意をした理由です。
私のリーダーシップの下で、アメリカはかつてないほどの戦力を発揮する方針を採用しました。これまでの政権以上に、アメリカと同盟国が常に国民を守ることを確実にするためです。 アメリカ国民は軍事的に、外交的に、そして経済的にも屈服しない立場を取りました。我々が決して核兵器で脅やかされないことを、すべての人に明らかにしました。皆さんの多くが覚えているように、小手先の話術は非常に困難で厄介で情けないものになりました
それでも同時に、ごく最初の頃から、私は交渉と対話のために常にドアを開けておきました。 いかなるリーダーも戦争をすることができますが、平和を実現するチャンスを追求するには真の勇気が必要だと私は知っています。人々のためにより良い世界を築くための機会があれば、リーダー達が話し合いを決してためらうべきではないと私は信じています。
私の政権が追求した大胆な外交の中心は、わが国と同盟国、すなわち韓国と日本との緊密なパートナーシップでした。文在寅大統領と安倍首相は、いずれも彼らが成し遂げた素晴らしい成果により、大いなる信用に値します。 私たちは共に4年間かけて、誰もが可能と思ったよりも大きな進歩を達成しました。
我々は、国連安全保障理事会で前例のない全会一致の決議のいくつかを可決させました。我々は、人質を本国に連れて帰りました。とても重要なことなので、もう一度言います。 我々は人質を本国に連れて帰り、北朝鮮に働きかけて命を落とした英雄たちの亡骸もアメリカの土に還しました。
2018年にキム・ジョン・ウン(金正恩)委員長にシンガポールで会った時、私は北朝鮮の指導者と会談した最初のアメリカの大統領になりました。そこで私たちは有意義な関係を確立し、重大な目標に合意しました。それは確かに完全な非核化についての非常に重要な目標でした。皆さんが今までに聞いたことのある最も重要な言葉です。
2019年にDMZ(韓国非武装地帯)で再会した時、私は北朝鮮に足を踏み入れた最初のアメリカの大統領になりました。ハノイでの我々の2回目のサミットで明らかになりましたが、北朝鮮は交渉をする準備がまだできていませんでした。
私は今日もなお未来への希望に満ちています。キム委員長はシンガポールで私にこれ以上長距離ミサイル発射や核実験はしないと約束したことを守りました。北朝鮮は2017年以降、主要兵器のテストを実施していません。そして全世界のために私はこの状態が続くことを願っています。
そして過去1年半、世界的なパンデミックで地球が荒廃しました。悲しいことに朝鮮半島と、地球上の他の多くの他の場所が非常に酷い被害に見舞われました。我々が多くの命を犠牲にしたこ��悲劇的なパンデミックから抜け出すまでに、ウイルスが我々の国民に甚大な苦しみを与えました。 今はさらなる紛争の時ではなく、協力すべき時だと双方が理解することを我々は祈ります。敵意を新たにする時ではありません。今は希望で満たすべき時です。 そして核の備蓄に焦点を当てる時ではなく、より良くより素晴らしい世界を築いていくために、我々の国を再建すべき時です。
私は、驚くべき未来が北朝鮮の人々を待っていると本当に信じています。そして彼らが非核化の道を追求すれば、彼らはその未来を見事に実現するだろうと私は確信しています。その祝福の日が来るまで、朝鮮半島の平和のために戦力が不可欠であるがゆえ、強力なアメリカが留まり続けるでしょう。
最近、世界の他の地域で我々が目にしたように、弱さはさらなる暴力を招き、タスクを混乱させます。朝鮮半島の平和を祈る我々全員にとって、我々の国家が権力と豊かな富で勝っているだけでなく、それ以上に我々は精神的に強くあるべきです。 すべての国は、国民と同盟国を保護し、国民のためにより良い未来を維持する意志を奮い起こさねばなりません。それは、国々を動かし、最終的に平和につながる歴史を作るための力と価値観ということです。
今まで何度も議論してきたように、我々は平和を望んでおり、愛国者を育成しなければなりません。そして我々は、すべての国々と国民にとっての生命・自由・幸福の追求といった、神から与えられた権利を尊重しなければなりません。 世界中の愛国心に満ち平和を愛する国々が、誇りと自信を持ち国民を代表して団結して立ち上がる時、過去4年間にわたり私の政権は、進歩の実現に限界はないことを証明しました。
4年前、私はソウル市を訪問し韓国国会での演説を行う大いなる名誉を与えられました。私がその日、大韓民国の人々に話したように、それは並みならぬ名誉でした。 そして韓国の人々が聞きたいと思うなら、私はいつでもまた演説をします。
数十年にわたり韓国の人々が朝鮮半島で達成したことはまさに素晴らしいことです。彼らが世界全体に引き起こしたインスピレーション(影響力)は驚異的であり、私は韓国の方々を繰り返し��福します。 人の一生よりも短期間で、彼らは戦争で荒廃した土地を引き継ぎ立派な国へ、世界で最も偉大な民主主義国家のひとつへと変えました。同時に韓国はアメリカの友人、同盟国になったのです。
彼らの手本は私たち全員に、平和とより良い未来のために努力する人々を思い起こさせます。神への信仰と我々の国民への愛をもって、我々は決してあきらめず、希望を失うべきではありません。 より明るくさらに輝かしい明日を、共に努力して実現しましょう。 ありがとう、神が皆様を祝福されますように。
(女性ナレーター) 大統領、朝鮮半島と世界の平和に貢献いただき、ありがとうございました。 皆様、私たちの大いなる賞賛をもう一度表しましょう。 彼は38代目の自由民主党の事務局長、また21代目・25代目の党の総裁、第90・96・97・98代目の内閣首相も務めました。
彼は近代日本の代表的な政治的リーダーのひとりで、日本国憲法史上、日本で最強の政権を率いていました。安倍晋三首相は、約7年8ヵ月の第2次内閣を��言され、特に経済的緩和と社会経済を安定させる戦略を中心としたアベノミクスとして知られている経済政策を促進されました。 同時に、自由や基本的人権などの価値観を共有して、民主主義の国際的グループを発展させる一員となり、日本での主要な役割を果たされました。 そして自由で開かれたインド太平洋戦略と太平洋横断の戦略的経済パートナーシップをリードすることによって、自由や基本的人権などの価値観を共有されました。 彼の祖父、岸信介首相とその次代の佐藤首相は、1965年に日本と韓国との外交関係を正常化されました。親韓として知られる彼の父、安倍慎太郎氏は自民党の秘書官や外務大臣を務められました。日本の政治一家を代表する安倍晋三首相を大きな拍手でお迎えください。
(安倍前首相)*日本語演説+英語ナレーション ご出席の皆様、日本国、前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のためにおよそ150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説の機会をいただいたことを光栄に思います。
ここにこの度出帆したシンクタンク2022の果たす役割は大きなものがあると期待しております。今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表します。
さて、まだ収束のつかないコロナ禍の中で歴史的意味を持つことになった東京オリンピック・パラリンピックを多くの希望と感動をもって無事に全うできました。ご支援いただいた世界中の人々に感謝を捧げたいと思います。 史上初の1年延期、選手村以外に外出禁止、無観客等、数々の困難を乗り越えて参加できたアスリートの姿は、世界中の人々に勇気と感動を与え、未来への明かりを灯すことができたと思います。
そしてイデオロギー、宗教、民族、国家、人種の違いを超えて、感動を共有できたことは、世界中の人々が、人間的な人々の絆を再認識できたと信じます。 コロナ禍に覆われる世界で、不安が人々の心を覆いつつあります。全体主義国家と民主主義国家の優位性が比較される異常事態となっております。 人間的な人々の絆は、強制されて作られるべきではありません。感動と共感は自発的なものであり、人と人との絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。
一部の国が、全体主義、覇権主義国家が造られており、現状変更を可能とする策動を阻止しなければなりません。私は自由で開かれたインド太平洋戦略を継続的に訴え続けました。そして今や米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。 自由で開かれたインド太平洋戦略にとって、台湾海峡の平和と安定は必須条件です。日本、米国、台湾、韓国など自由と民主主義の価値を共有する国々のさらなる結束が求められています。
UPFの平和ビジョンにおいて家庭の価値を強調する点を高く評価します。世界人権宣言にあるように家庭は世界の自然且つ基��的集団単位としての普遍的価値を持っています。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう。
とてつもない情熱を持った人たちによるリーダーシップが必要です。この希望前進大会が大きな力を与えてくれると確信いたします。ありがとうございました。
*シンクタンク2002の主旨は、こちらの内容になるようです。 朝鮮半島の平和のための政府間対話が困難な中、南北統一のために継続的に活動してきた民間団体が、国際的なネットワークを活性化することで、南北統一の扉を開くことに着手しました。 天宙平和連合(UPF)と世界平和統一家庭連合(家庭連合)の共同主催で12日、COVID-19の社会的距離ガイドラインを遵守しながら、世界194カ国から200万人が参加して、非対面のオンライン形式で行われました。海外からの参加者向けのテーマとして、「THINK TANK 2022希望の前進大会」を「新統一韓国のための連帯と韓半島の平和サミット組織委員会発足」というテーマで国際的参加者たちのために12の言語に同時通訳して開催した。
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【共感シアターナビ】たくさんの投稿頂きました!「おすすめしたい日本のアニメ映画」投稿全部ご紹介!
先日13日火曜日の21時より放送された共感シアターナビの中で、視聴者の皆さんの声を紹介するコーナー「俺たち共感族!」のお題は「おすすめしたい日本のアニメ映画」でした。 募集をかけたところ、多くの視聴者から熱いコメントをたくさん頂きました!ただ、番組内では放送時間の都合上、全部を紹介することは出来ませんでした。 そこでこの度、放送内ではご紹介できなかった投稿を含めて、視聴者の皆様から頂いた全投稿をこちらに掲載させて頂きます! 視聴者の皆様から寄せられた熱い投稿、ぜひご覧ください!!
番組アーカイブはこちら!
きょたさん
■作品:劇場版シティーハンター<新宿プライベートアイズ> ■おすすめ理由 2019年に公開されたシティーハンター最新作。前作から20年ぶりに作られた新作(パラレルワールドのエンジェル・ハートは除く)シティーハンターは好きだが昔のコンテンツというイメージだったので、正直期待しないで観に行ったが面白すぎて度肝を抜かれた。感想としてはとにかく完璧にシティーハンターをしてるシティーハンターだった。無駄な要素を一切入れていない。 作品のノリや雰囲気、キャラの性格が当時と変わってないから安心して観れる。何より監督や声優が当時のままなのが一番嬉しい!平成最後に神谷明主役のアニメをぶちこんでくれたのは最高でした。山寺宏一、山崎たくみ、茶風林など当時エキストラで出演してた声優が今回メインキャラになったのは感慨深いものがある。 ギャグシーンも多めで、獠は5分に一回くらいはもっこり言ってたイメージ。もちろん戦闘もバッチリ決める!ゲスト芸能人声優が邪魔してないのもGOOD。話題性ばかりで演技がド下手な「大物ゲスト俳優(笑)」を使う作品が多いが、今回のゲストヒロイン役の飯豊まりえが上手くて物語に集中できた。 そしてシティーハンターはあくまで獠と香が主役だからシナリオ的にもでしゃばってない他にも往年のファンのテンションが上がる要素が多くて飽きさせない。特に音楽。シティーハンターシリーズの歴代主題歌が随所で流れるが、タイミングも曲のチョイスもバッチリ過ぎて聴いた瞬間目頭が熱くなった。 原作を知ってるならあっとなる小ネタも多くて探すのが楽しい。劇場公開時よく言われてた感想で「昔馴染みのラーメン屋に入ってラーメンを頼んだらラーメンが出てきた」というのが秀逸。確かに最近はラーメンを頼んだら冷し中華が出てくる作品が多い。そんななかこの作品が完成したのはまさに奇跡としか言いようがない。 一見するとファン向け��作品のイメージだが内容は「いつものシティーハンター」なので入門書としてもオススメ。映像面もシナリオも完璧で、まさにシティーハンターの最高傑作と呼ぶにふさわしい作品だった。 ■作品:デジモンアドベンチャー ぼくらのウォー・ゲーム! ■おすすめ理由 デジモンアニメの中で一番好きな作品。40分という短い尺の中に恋愛、戦争��生活、友情、勝利など様々な要素が詰まってる映画。最初はいたずらメールを送るくらいのコンピューターウィルスがどんどん進化していき、レジの代金をバグらせてとんでもない代金にしたり、交通機関を乗っ取って電車を暴走させたり少しずつ世界を混乱させていく…… それを阻止するため主人公達が立ち向かうというストーリー最終的には核ミサイルまで発射されてしまい、日本を壊滅させようとするスケールのデカさにビックリしたこの映画に「島根にパソコンあるわけないじゃん」という台詞があるが島根県出身の身として言わせてもらうと、一応パソコンは当時から島根にもあったぞ~~!!
鶴岡亮さん
■作品:クラッシャー・ジョウ ■おすすめ理由 僕がオススメしたいアニメ映画は「クラッシャー・ジョー」です。本作の舞台は2160年の宇宙で、主人公ジョウ率いる宇宙の何でも屋の「クラッシャー」がある依頼を受け、壮大な戦いと陰謀の渦に巻き込まれていくというスペースオペラものです。 このアニメの見所は何と言っても監督のみならず、作画監督も務めた安彦良和さんを始めとするアニメーター陣による圧倒的な作画力です。河森正治(かわもりしょうじ)さんデザインのスターファイターが宇宙空間で繰り広げる激しいドッグファイトシーンや、カーチェイスやクリーチャーを相手にした豊富なアクションシーン、人間の身体の動きを滑らかに描いたガンファイトシーン等が、80年代アニメブーム時代の高クオリティな作画で楽しめます。ストーリーも若干フィルムノワールを思わせる敗者の哀愁を漂わせる面があり、一見スタンダードなスペースオペラという体制をとりつつも、そういう所を取り入れてくるのが学生運動経験者の安彦良和監督らしく面白い所です。 後、一部の人にしか判らないでしょうが、安彦良和さん作画の「ダーティペア」が一瞬見れる所も今作の見所です! 高クオリティな作画を楽しみたい方には楽しめる作品だと思いますので、未見の方が居たら是非ともご覧下さい! ■作品: 機動警察パトレイバー2 the Movie ■おすすめ理由 この作品は言わずと知れた押井守監督作品のアニメ映画。 本作は90年代に作られた作品で、当時日本で問題になっていた自衛隊の海外派兵問題や、それを是とする日本国の情勢に対して、押井監督の鋭い指摘が冴えまくった作品です。 横浜ベイブリッジにミサイル発射テロが行われるシーケンスに代表される印象深いカットワークてんこ盛りの本作ですが、中でもテロに対して東京に非常事態宣言が発行され、新宿、渋谷、池袋に自衛隊が駐留し、「日常から非日常」へと転換していくシーケンスは非常にインパクトがあり一見の価値があります。 奇しくも、この映画��公開された1993年の2年後の1995年にオウム真理教による「地下鉄サリン事件」が発生し、「このアニメに影響されたテロでは無いか?」と物議を醸し出しだす事になりました。 社会、こと日本について描いた作品というと、庵野秀明監督の2016年の「シンゴジラ」が挙げられますが、本作「機動警察パトレイバー2 the Movie」は押井守監督が90年代の日本の状況を克明に描き出し、予言とも言える快作を作り上げました。 ポリティカルサスペンスとして非常に完成度が高く、90年代という日本の時代性を語る上で外せない作品だと思うので、未見の方は是非ともご覧下さい。
バッファロー・ビルさん
■作品:今敏監督作品「パーフェクトブルー」 ■おすすめ理由 アイドルを卒業し、女優への転身を決意した主人公。彼女は事務所の要望となりたい自分との狭間で思い悩むようになります。現実と虚構が曖昧になっていく中、彼女にストーカの影が・・・最近では実写でもあまり見かけなくなったサイコホラーという題材。 90年代はセブンとか羊たちの沈黙とかやたら多かったですが、人間というものの気持ち悪さをここまで、それもアニメで本格的に描いた作品はあまりないでしょう。 98年の作品ですが、インターネット、芸能界の思惑、ストーカー等、現代でも十分通じる物語です。この作品がダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」「ブラックスワン」に影響を与えたことは有名です。2010年にお亡くなりになった今敏監督。訃報を聞いた時はとてもショックでした。本当に残念でなりません。
肴はサラダチキンでいいさん
■作品: OVA版ブラックジャック カルテX しずむ女 ■おすすめ理由 皆さんに見てもらいたいアニメで考えた結果これしか思いつきませんでした。また変化球気味で映画ではなくVシネマアニメですが、ギリOKという事で。 今作は手塚治虫先生の原作話で週刊チャンピオンで連載される訳でしたが、当時の公害描写などの理由でお蔵入りとなった話がOVAでアニメ化された物です。 ブラックジャックは医療アニメである前にヒューマンドラマだという事が分かる素晴らしい作品です。共感族の皆さんにも機会があれば是非見てもらいたいですね!^_^
nksさん
■作品:デジモンアドベンチャー ぼくらのウォー・ゲーム! ■おすすめ理由 本作は知る人ぞ知る細田守監督の出世作で、東映アニメ祭りで上映された、40分の短編映画です。 アニメーションの革新性、主要登場人物8人の手際良い配置、適度なギャグ、魅力的なアクション、どれを取っても20年前とは思えない出来の良さです。 スピルバーグが〈映画うま男〉なら、細田守は〈アニメうま男〉といったところだと思います。 細田監督がメジャー化し��からの作品である「サマーウォーズ」は、実質本作のリメイクですが、個人的にはラスト10分でミサイルが着弾するスリルが現実の上映時間10分とぴったりリンクする所など、完成度において「ぼくらのウォーゲーム」の方が優れていたと思います。
■作品: 海獣の子ども ■おすすめ理由 本作は、主人公の少女(cv.芦田愛菜)が魚と会話できる不思議な力を持った少年と出会い、ひと夏の冒険を通じて海/地球/宇宙の神秘と生命の起源を知るという、ジュブナイルものかと思ったら「2001年宇宙の旅」だった、という映画です(なに言ってるか分からなかったらスミマセン。)。 ストーリーが難解でつまらないといった評価が多いですが、2001年やプロメテウス、エヴァが好きな私にとっては、大好物の作品でした。 しかしなんといっても本作最大の特徴は、一枚一枚が水彩画であるかのような、圧倒的な画力です。日本で同時期に公開された「スパイダーバース」と比較しても、勝るとも劣らない画の密度で、ハリウッドからの挑戦状に日本から回答を示すなら本作「海獣の子ども」だと思います。 2019年10月、制作会社のスタジオ4℃でアニメーターの残業代未払い問題が報道されました。そもそも本作は企画から完成まで6年を要した労作であり、そりゃ作り手が何人か倒れててもおかしくないよなと思いました。が、一観客として、「その成果はちゃんと届いてるよ!!」と、改めてアニメーターさん達に拍手を送りたいと思います。
甘えん坊将軍ユウスケさん
■作品:クレヨンしんちゃん~嵐を呼ぶジャングル~ ■おすすめ理由
しんちゃん映画だときっとオトナ帝国と戦国が挙げられるでしょうが、あの二作はアニメ映画としては最高ですが、しんちゃん映画としては言いたいことがあるので敢えてあの二作の直前の本作をピックしました。 擬似的な親離れ家族離れ体験としていつもの五人でジャングル探検してギャグシーンを満載にした前半(原恵一監督は結構このシチュエーションやってる気がするのですが、このテーマ好きなんですかね?)。一人の兄としてひまわりちゃんを守って頑張る中盤。徹底的にまたギャグに振ったみさえ&ひろしの救出シーン。で、本作最大の見処であるしんちゃんの憧れのヒーローであるアクション仮面のくだりです。 単純な強さで言えば、悪役のパラダイスキングに劣ってしまうアクション仮面ですが、皆の応援、特にどんな時でも憧れのヒーローとして慕ってくれるしんちゃんの声援と、悪役にはない優しさがあるからこそ勝つと言うちゃんと「正義��勝つ!!」のロジックを下手なアメコミ映画よりちゃんとやっている点。 また、ハリボテの城に住み、「力」は手に入れたが、また本当��意味で声援を送ってくれる者の居ない文字通り「猿山の大将」である、ある意味でヒーロー俳優としてあり得たかもしれない別視点の自分が最大の悪役として立ちはだかる点。 これら昨今のアメコミ映画に有りそうな題材をアメコミブームの10年近く前に既に、ちゃんとやっていると言う点ではヒーロー映画としての完成度は抜群に高いとと言いたいです。また、最後はバッチリお下劣ギャグやナンセンスギャグで締めてくれるのも最高ですね。 オトナ帝国や戦国、ロボとーちゃんばかりが、もてはやされがちですが、ギャグとアツい展開のバランスが取れてるクレしん映画としておすすめしたい一本です(特に特撮ヒーロー好きなら大西さんにもおすすめです。既にご覧になられてるかもしれませんが…笑)。
nikiさん
■作品: 時空の旅人 ■おすすめ理由 『火の鳥・鳳凰編』と同時上映の80年代角川アニメです。子供のころ、戦国時代が好きだったこともあり、劇場で見ました。こういったガキの時に見て面白かった作品が今見ても面白いのか?という疑問は昔の作品にはつきまとうと思うのですが、『時空の旅人』は大人になってから見ても面白かったです。 萩尾望都のキャラクターデザインの作画、竹内まりやの曲もいい感じです。ただ、ストーリーが原作ほど緻密ではない点、唐突に挟まれる角川春樹の俳句には目をつぶってください。
きゃわぐちさん
■作品:第5位 「帰ってきたドラえもん」と「サマーウォーズ」をセットで挙げます! ■おすすめ理由 13年前、まだ映画で涙した経験のない、鉄仮面だった高校生の私を大号泣させたのが、アメトークのドラえもん芸人で見た「帰ってきたドラえもん」でした。以来、涙腺がブッ壊れ、ついに映画館でも初めて泣いてしまったのが「サマーウォーズ」の花札のシーンです。 当時はセカチューや「1リットルの涙」から続いていた闘病モノブームもあって、そういう“お涙頂戴”がことさら多かった気がするのですが、“悲しさ”ではない感動で泣く、という経験ができるのもこの2本のいいところですね。
■作品: 第4位 「この世界の片隅に」 ■おすすめ理由 第4位は一転して底無しの“悲しさ”に泣けてしまう「この世界の片隅に」です。戦争モノのアニメ映画といえば、「はだしのゲン」や「火垂るの墓」や、いわゆるグロくて強烈な作品は数あれど、こんなにも穏やかな、それでいて辛い作品があったでしょうか!? 全編にわたりほぼほぼ戦闘シーンがなく、主人公・すずさんのおっとりした性格も相まって、日常系のアニメを観ているかのような気分になりそうな本作。しかし確実に戦時中である、というギャップが、どうしようもなく悲しい。去年の終戦記念日に初めて観たのですが、すずさんの穏やかな暮らし、健気な性格を見ていると「戦争さえなければ、平和に幸せに暮らせていたは��なのに」という思いが込み上げてきて、クライマックスでも何でもないシーンで涙が止まらなくなりました。 そして、当時の日本には何万人、何十万人という“すずさん”がいたのだという事実が現実味を帯びて感じられます。紛れもなく、映画史に残る名作です。 ■作品:第3位 「 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」 ■おすすめ理由 これは「クレヨンしんちゃん」という子供向けコンテンツを、大人の視聴にも耐えられる、むしろ大人こそ感動できる作品へと昇華させた金字塔的作品です。クレヨンしんちゃんの映画として必須な“お下���な笑い”はふんだんに盛り込んでおきながら、成長して見返すと泣かずにはいられない感動もある。 見る年齢によって、泣き所が変わってくるのもポイント。いつ観ても笑って泣ける、最高に楽しい映画です!こっちは何回も観るからブルーレイ化してくれ! ■作品:第2位 「 ルパン三世 カリオストロの城」 ■おすすめ理由 挙げるまでもない名作ですが「ルパン三世 カリオストロの城」! ・言わずもがな抜群の完成度。 ・テレビで流れていればつい観てしまう ・何度も観ているから安心感があるのに、何度観ても飽きのこない面白さまさにアニメ映画界の「ターミネーター2」! 今さら観てない人はいないと思いますが、「クラリスって誰?」という人がいないとも限らないので、念のため第2位にランクインです。 ■作品:第1位 「 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」 ■おすすめ理由 そして第1位は、完全に私の趣味「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」で決まりです!もちろん世代ではなく、小学生のころケーブルテレビで父に見せられたのがきっかけ。テレビ版も見たことがなく、最初に触れたヤマトが劇場版2作目の“さらば”。 まだアニメといえばドラえもんやクレヨンしんちゃんやコナン、あるいは少年漫画の単純な勧善懲悪しか知らなかった私に、いきなりの“さらば”はまさに世界がひっくり返るような衝撃でした。見終わったあとテレビの前で呆然としていたことは、20年以上経った今でも覚えています。ボロボロになっても戦い続ける、ヤマトの不屈のカッコよさ、白色彗星帝国の圧倒的な強さと絶望感、クライマックスの激闘、そしてきゃわぐち少年を衝撃の渦に呑み込んだラスト。最高と言うほかありません! ただ、ヤマトに限りませんが、大人になってから初めて触れると、どうしても奥にいる製作者や、話の辻褄ばかりに目がいってしまって、純粋に作品の世界に没頭することが難しくなるもの。でも子供の頃に観たものなら、大人になってもずっと“あの頃”のまま楽しむことができます。 共感シアターをご覧の皆さんで小さなお子さんを持つ方がいたら、早いうちに「さらば宇宙戦艦ヤマト」を見せることをオススメします。あと「あしたのジョー」。 余談ですが、共感シアターではだ〜れも観てない「鬼滅の刃」、僕は初日に行ったしブルーレイも予約したし、結構感動しました(笑)
アレスさん
■作品:「 マジンガーZ対暗黒大将軍」 ■おすすめ理由 無敵のスーパーロボットと思ってたマジンガーZが新たに現れたミケーネ帝国の戦闘獣軍団にボロボロにされるのは幼心にそれはもうショッキングでしたが、そのピンチを救うべく飛んできたグレートマジンガーの無双ぶりはそれを上回るインパクトでした。 「マジンガーZの兄弟さ」とだけ言い残し飛び去って行くラストシーンの格好良さはアニメ映画の括りだけじゃなく、映画のマイオールタイム・ベストシーンです。
ぜんぞう
■作品:「 餓狼伝説/劇場版」 ■おすすめ理由 さて、おすすめしたい日本のアニメ映画ですが、僕のおすすめ日本アニメ映画は、「餓狼伝説/劇場版」です。「AKIRA」や「オネアミスの翼」等、大好きなアニメ映画は沢山ありますが、他の皆様のおすすめにあがりそうなので、あまり語られることのないであろう、「餓狼伝説/劇場版」をおすすめしたいと思います。 制作当時、隆盛を極めたSNK製のビデオゲーム「餓狼伝説」シリーズを基にした、劇場版ならではのスケールの大きいオリジナルストーリーがとにかく魅力的。ゲームでお馴染みのキャラクター達が、伝説の闘神の鎧を巡ってインディ・ジョーンズよろしく遺跡を巡り、謎を解き、鎧を狙う敵対勢力と超人バトルを繰り広げる展開は圧巻の一言。 ダイナミックなアクションとミステリアスなストーリーは、これぞ日本アニメ!「ヘルボーイ/ゴールデンアーミー」にも影響を与えた(と勝手に推測している)クライマックスも含め、見所満載のスペクタクルアニメ映画です。ぜひぜひ、ご鑑賞ください。
ヱキストラさん
■作品:クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ夕陽のカスカベボーイズ(2004年) ■おすすめ理由 クレヨンしんちゃん界隈の映画秘宝こと「クレヨンしんちゃん研究所」で絶賛された本作品。往年のマカロニ・ウェスタン/アウトロー作品への愛を異常なほど感じさせる本作は、これまでの明るい雰囲気を出さないためか、オカマキャラを一切登場させない徹底ぶり。 「荒野の七人」「夕陽のガンマン」「マッドマックス」「ローン・レンジャー」など自分がわかるだけでも数作品のオマージュ/パロディが随所に散りばめられていて、その上、元ネタを知らなくても楽しめるクオリティの高さでした。加えて最後のオチは、"映画"というギミックを笑っちゃうぐらい見事に活用! 上映時間は95分で、Netflixにも公開されているので、映画好きな共感族の皆さんにも、是非一度ご覧いただきたい作品です( ´-`)
リノス屋さん
■作品: バンパイアハンターD (英題:Vampire Hunter D: Bloodlust) ■おすすめ理由 古典的なモンスターホラー要素に、SFファンタジーや西部劇の要素も併せ持つ作品です。 舞台設定は、遥か未来。“貴族”と呼ばれる吸血鬼に支配された世界で、人類は家畜同然な存在に。貴族達に怯えながらも、なんとか生活を保っている人類に味方をするのが、人間と吸血鬼の混血で、吸血鬼ハンターを生業にしている、主人公“D”。全身黒ずくめで、大きな旅行帽を被り、背中に長い刀を背負い、左手には人面瘡(じんめんそう)を宿し、顔立ちは美形という、一見地味に見えてカリスマ性のあるこのキャラクターがまず魅力的です。 映画の内容は、名門と云われるエルバーン家の少女が、貴族に誘拐される所から物語が始まり、それを知ったエルバーン家の者が、主人公Dや人間の吸血鬼ハンターいち味を雇い、少女救出へと向かわせます。後に、『マトリックス』のオムニバスアニメ『アニマトリックス』の一作品を手掛ける事になる、監督の川尻善昭(かわじりよしあき)さんが描く、道中でのアクション等見所が随所にあり、混血な故に貴族からも人間からも毛嫌いされ、しかしながらも奮闘する主人公Dの孤独な戦いもドラマに絡んできて、終盤には思わず涙を誘われます。 又、この作品の公開時は、英語版での上映のみでしたが、ソフト化の際には、日本語版も発売され、声優ファンには堪らない錚々たるメンバーがキャスティングされております。特に、主人公の左手に宿る人面瘡(じんめんそう)の声を、永井一郎(ながいいちろう)さんがアテられていて、無口な主人公とは対照的に、ユーモアや皮肉に溢れるキャラクターを演じられていたのが印象的でした。『バンパイアハンターD』は、映画以前にもOVAやオーディオドラマ、プレステ用ゲーム等のメディア展開も多くあります。 何より、菊地秀行(きくちひでゆき)さん原作の小説には、キャラクターデザイン兼挿絵をファイナルファンタジーシリーズのイラストでも有名な、天野喜孝(あまのよしたか)さんが手掛けられていて、天野さん自身の個展でも度々、同作品のイラストも出展している為、おそらく共感シアターの皆様も、どこかで一度は“D”を目にしたことがあるかもしれません。
孔明(MOVIE TOUCH)さん
■作品: トランスフォーマー ザ・ムービー 1986年公開作品 ■おすすめ理由 1984年にアメリカでトランスフォーマーの玩具が発売され、テレビアニメ放送もあって大ヒット。それを受けて製作されました。テレビアニメ同様に日米合作で、作画は主に日本の東映動画(現:東映アニメーション)が担当。最初のテレビアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー(通称:初代)」の続編ですが、本作は当時の子供達に深い傷痕を残しました。 開始30分以内に玩具の在庫処分のために初代に登場したトランスフォーマーの殆どが無惨にも殺されていき、同時に新商品の宣伝のために新しいトランスフォーマー達が主役の物語が容赦なく始まるという衝撃的な内容。総製作費40億円(尚、半分しか使い切れなかった)をかけた本作はCGと見間違える程の神作画が終始続き、日本のアニメーター達の底力を見られます。特に星帝ユニクロンの変形シーンはロボットアニメ史に残る神シーンです。ジャド・ネルソン、レナード・ニモイ、エリック・アイドル、オーソン・ウェルズらが声優として出演。 また本作はオーソン・ウェルズの遺作でもあります。勢いある80年代を象徴するような本作のアルバムは映画アルバムでもベストに入れたいほどの名盤で、特に主題歌「The Transformers Theme」と挿入歌「The Touch」は海外アニソン屈指の名曲。因みに劇伴は「ロッキー4/炎の友情」のヴィンス・ディコーラ。日本は玩具発売元であるタカラ(現:タカラトミー)の大人の事情で劇場公開に至らなかったものの、後にチャリティ上映やソフト販売が一応行われました。 現在国内で合法的に見る方法は北米版ブルーレイ(勿論日本語音声も字幕も無し)を海外から取り寄せる以外ほぼ皆無で、他はネットに違法アップされた物を見るしか方法がありません。しかしタカラトミーもブルーレイ発売や配信をする気が無いのにも関わらず本作の玩具を出しまくっているので事実上黙認状態(因みに今月も発売予定あり)。実写映画版シリーズで本作から引用されているシーンや台詞、設定がかなり多いので是非見てください。 ■作品: ガールズアンドパンツァー 劇場版 ■おすすめ理由 ある意味戦車アニメ版ワイルドスピード。その熱さは実際に鑑賞した多くの映画ファンから同年公開の「マッドマックス 怒りのデスロード」に匹敵すると言われた程。 砲撃戦のみならず戦車で戦車を投げ飛ばして攻撃、戦車同士で格闘戦、ジェットコースターのレール上で戦車チェイス、窮地を救う観覧車先輩などなど、「戦車でそんな使い方アリ?!」のオンパレード!仲間はファミリー同然に面倒を見る!一度戦った相手はマブダチ!応援大使は蝶野正洋!一見あり得ない戦車戦の裏には膨大なリサーチに裏付けられた世界トップクラスの再現度を誇る戦車描写があり、リアリティとファンタジーが見事に融合した戦車映画になっているのです。 特攻野郎Aチーム的な「どんな奇策でその場を乗り切るか」という展開も見どころです。オーケストラで収録された劇伴も作品を盛り上げる良い仕事ぶりを発揮し、オリジナル楽曲以外にもリパブリック賛歌やフニクリ・フニクラなど様々な国の曲が使われるので大変勉強になります。共感族なら一度は聞いた事があるであろう、あの映画にも出てきたあの楽曲も使われます。また劇中歌「おいらボコだぜ!」は人生何度ボコボコにされても立ち上がる力をくれる素晴らしい歌です。 現在劇場用OVA最新作「ガールズアンドパンツァー最終章 第3話」が公開中。それに合わせてNetflix、dアニメストア、Huluなどの各配信サービスにて本作ほかシリーズ作品が見放題配信中、更にシネマサンシャイン系列劇場などでリバイバル上映中です。以前アニメ業界にいたのですが、業界人として見ても手描きアニメと3DCGを組み合わせる現代のアニメの中でもトップクラスの作品と言える程クオリティは高いと思います。また、私が業界にいた頃にお世話になった方々が関わっていますので、是非ご覧いただければと思います。 因みにガルパンのムック本「不肖・秋山優花里の戦車映画講座」は監修/執筆が青井邦夫さん、執筆協力の1人が高橋ターヤンさん!ガルパンは実質共感シアター案件では?! 以上になります! 今回は「日本のアニメ映画」というように限定しましたが、アニメ映画はまだまだたくさんありますので、また皆様からのお声を募集したいと思います! お楽しみに!!
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ガンダム戦略社会考察論
ガンダムシリーズにおける戦略社会的な見地および作品性に対する考察を記す。ガンダムという作品は社会的な考察や哲学に満ちた作品であると位置づけられると思うため、特記したい。 社会考察:
ニュータイプはGCである。ギルクラやsherinarである。未来が見れるXRounderさえ居る。ニュータイプは本来暗文としてシステムを開いている扱いである宇宙側の組織に現れるべきだが、システムを改善していく中でシステムを開くため地球連邦にニュータイプが多い。
人型の兵器であるため汎用性が高く、換装しやすく、デコボコの地面でも移動できる。
矢立肇と富野由悠季は未来が見れるXRounderである。サンライズはドグマ差別主義者が多い企業である。
コロニー落としが最も強力で非道な地上への攻撃手法。アクシズ降下はあまりにも非人道的であったため地球連邦・ジオン双方が防止行動を行った。
ティターンズは連邦の精鋭過激派が作った組織である。血の気の多い危険な団員が多い。作品の暗文としては脆弱性を表すのかもしれない。
光の青が一番好きな機体は大抵F91である。大量破壊兵器であるラフレシアと戦うガンダムだからである。ちなみにラフレシアは暗文としてはMEDを表す。
昔のガンダムは脚本が古い。また作画も古い。ガンダムはヲタクアニメのマクロスのようなものと違って名作が多い(ただしGレコは特殊である)。
ガンダムはkeysheriの人向けの初級を扱っている作品だが、ガンダムはコンピュータのことなので、keysheriの人が使うコンピュータということで、ここは特殊である。
ニュータイプは大抵は男が多い。がリタ・ベルナルのような女性のニュータイプも居る。
気持ち悪いジオン系モビルアーマーの代表例は、サイコガンダムMk-Ⅱ、ノイエ・ジール、ラフレシア、クイン・マンサあたりだろう。モビルアーマーよりモビルスーツの最高峰のガンダムのほうが強いのが大抵である。アーマーは巨大なためかえって愚鈍であり、モビルスーツのガンダムに負ける��とのほうが多い。
アナハイム・エレクトロニクスは連邦・ジオン双方にMSを売っている兵器製造企業であり、微妙な立ち位置に居る。
強化人間はZをMODのシステムに切られた使い捨て扱いの戦闘要員である。MEDのシステムのような自己保存欲求がなく、マスターの命令次第では特攻すら行う。
ガンダムの世界ではミノフスキー粒子が空間中に散布されているため、遠隔操作が使えない。これは有人搭乗で人と人の関わりを描くことを考えると物語としては面白くなるが、犠牲者が増えるため現実としては良くない。遠隔攻撃でMADが張れれば人が死ななくて済むため現実世界としてはこの設定は良くない。
コロニーレーザー砲がガンダムの世界では最も強い兵器である。次がコロニー・レイである。
ガンダムは若者のニュータイプが活躍する話なので、光の青のGCのバカの人向けの若者向けの作品である。
暗文における国家間の実装:地球連邦=空、エゥーゴ=空の芸術、ティターンズ=空の脆弱性、ジオン=宇宙、ネオ・ジオン=GCの宇宙、リガ・ミリティア=BIOS、クロスボーン・バンガード=GC、ザンスカール帝国=MED・負の感情、デラーズ・フリート=精神病院戦、(アナハイム=コンピュータ企業)
バーニア噴射は非常に精密に制御しないとMSは転落する。ここの制御系は精巧に書く必要がある。
Vガンダムは脚本と作画が古いので、リメイクでもすればよいが、どうなるのか。
コロニー落としとは精神病院への沈没のことである。デラーズ・フリートとは精神病院戦のことである。
社会的戦略:
リガ・ミリティアやオーブは平和と善のために戦う第三勢力であり、光・AXIS・闇・赤が同じ土地に生まれる現実世界ではまず実現し得ない組織となっている。
連邦だろうがジオンだろうが結局のところ光の青が居るのは同じなので、どっちが勝ったところで善ではない。もともとスペースノイドが独立したいなら独立を容認すれば良い。連邦もジオンも光の青は戦場で殺しあわないように、悪人を殺すように共闘すべきである。MADを張り双方不可侵なら最善。
ザンスカール帝国は狂気的な独裁者に依って支配された虐殺が横行する闇のあるいは赤的な危険な国家である。地球連邦のF91やリガ・ミリティアはここと戦っている。AXISの青もこの国家とは敵対するだろう。
NO.6の外で一番善のために戦っているのが軍人であり、中で一番善のために戦っているのがアーティストである。アーティストは国の都合に従わなくても完全に善性の活動ができるため、軍人の人でもアーティストになったほうが良い人もいるだろう。芸術は反体制活動である。バカのGCの人のシステムを開かせられれば社会的な影響力は大きい。
戦略のために敵の施設全体を爆破すると、場合によっては光の青の善人を殺すこともあるため、施設の選別が必要である。AXISや闇や赤の施設を爆破するのは良いが、光の青の敵の人がいる場合は全体を爆破せず歩兵で乗り込んで本当の悪人の敵を殺すしか無い。
戦場では敵国同士の兵士であっても光の青と光の青は戦わない。返って共闘して互いの軍隊のAXISと闇と赤を殺すように戦う。領土争いは起こるものの、このような戦闘行動を行えばこれは略奪のための戦闘ではなく善のための戦闘となる。AXISの青が善に従う場合は投降を認め、収容する。作戦次第では光の青と戦うことが強要されることもあるだろうが、これはなるべく拒否する。
現実世界のガンダムシリーズを観ればガンダムの世界の概要をかえって容易に知れるだろう。
光の青は自国が劣勢の場合は軍に志願して国土と光の青の国民を侵略から守り、自国が優勢で侵略行為を行っている場合は軍から退役して侵略行為に加担しないように調整するべきである。
もともと普通の戦争は勢力圏争いであり諍いでしか無いため、紛争つぶしの部隊に転属するのも善のための戦闘行動となりやすい。
AXISの青は軍人やっても意味ない。命を捨ててまで人を殺しても意味ない。これを説明すればAXISの青の軍人は除隊してくれるだろう。
光の青の軍人で地球連邦所属の兵士はエゥーゴへの転属を推奨する。エゥーゴは連邦内の組織で連邦から給金が出ながらも反連邦勢力であり、地球連邦の(例えばティターンズのような)悪人の部隊やネオ・ジオンの悪人の敵勢力とも戦える立場の組織であると推察される。よって悪人が少なく善人が多く、善人にとっての敵が少なく善のための戦闘活動を行いやすいと推測できる。
戦闘戦略:
ガンダムは高級機である。パイロットの能力曲線に合わせて搭乗する機体の性能曲線が決まる。これは本来は弱いパイロットに強いMSを割り当てたほうが生存率が高いように思うが、強いパイロットが強い武器を使うと戦闘行為が優位に進み、結局のところ戦線の勝利も得られるし味方の損害が少ないからである。
だがこれとは逆の発想で味方のパイロットや武装の損失を最低限に抑えたいなら、物資の許す限りは強力な戦艦やMSを配備すべきである。そちらのほうが返ってコストパフォーマンスが良いかもしれない。それでパイロットが浮くなら別の戦線に投入するか、ローテーションを組んで実戦に参加し、非番の時はシミュレーターで訓練することになるだろう。
パイロットが戦闘上の事情から単身で戦うときは特に強力な最高級機を注ぎ込むべきだが、普通は撃破されないことが確実な程度に高級機なら最高級機でなくても良いだろう。普通は全モビルスーツが撃破されれば敗北するため、逆に最高級機を使って運悪く誤って撃破された時の武器損耗の問題を考えるべきなので、撃破の問題が本来無いくらい強力ならば高級機くらいを投入してなるべく多めの複数MSを投入するべきである。敵に接収された場合は敵の武器資産となり得るため、強力なMSを放棄する場合は時限自爆装置を備えてパイロットが避難後に自爆するべきだろう。
量産型のMSでも結局のところ性能が高い兵器はコストも高く、コストが安い兵器はそこまでの性能が無いのでBTO曲線である。戦闘に必要ない無駄に高価な武装は装備しない。逆に効果の高い武器はケチらず装備する。これを本体側のMSの形態・性能や換装できる武装で調節する。武器の生産ラインはムダを省くことに依って安価に性能の高い兵器を製造・装備できるようになる。パイロットの技能・適性に応じて強さ及び性質の適したMSを割り当て、どういったパイロット・MSが戦線で求められるかで配備を決めれば良い。
武器や武装は換装可能にすることで武器・武装の交換や損傷時の修理が容易になる。破損箇所だけ交換すれば修理してまた戦線に投入できる。
サイサリスが核を打てるため最も強いモビルスーツである。だが環境汚染が大きいため、フリーダムやF91が環境汚染を防ぎながら戦える最も強いモビルスーツである。サイサリスが強すぎるためデンドロビウムなんか要らね。サイサリスは光の青が建造・運用すべきMSではない。
F91の先進性をリーズナブルに活かしたいなら量産型F91がもっとも適当だろう。ただしこれもBTO曲線であるため、本当のニュータイプレベルなら本物のF91の方が良いし、ニュータイプほどでないハイレベルなパイロットなら量産型F91を割り当てれば良い。リ・ガズィはガンダムより弱いが結構強い量産機のMSなので、これもBTO曲線で割り当てる。
母艦を落とせば所属MSは投降することが多い。ここで機体を接収すれば自軍の戦力になったり技術解析できる。
グワダンはMS積載量が多い戦艦であり、ラビアンローズはMS積載量が多い補給艦である。戦地に行くのはグワダンがよく、後方支援はラビアンローズのほうが良いだろう。地球ならラビアンローズ相当の地球艦の補給艦を配備すれば良い。
キュベレイのようなサイコミュ操作をするマシンはパイロットのZのシステムに負荷を与えるため、パイロットは強靭な精神力を持っていることが要求される。Cの画面操作、ZのGUI、Siriyも組み合わせれば自動操縦でパイロットの負担を減らせる。
アイ・フィールドは全方位であるため防御には最も強力な防御装置である。ファンネルはオールレンジであるため敵と戦うには最も強力な攻撃手法である。
戦闘で損傷した機体は後方に回して修理したほうが良い。使い捨てるのは資源の無駄遣いである。パイロットは実戦経験を積み長く生き残ればよりベテランとなるだろう。
ユニバーサル規格を利用すれば機体の部品交換や武器換装が容易に行える。
ビーム兵器のほうが実弾より物資の損耗や環境破壊が少ないだろう。
ホワイトアークにF91や量産型F91を載せれば小回りの効く遊撃隊に出来る。ホワイトアーク自身はF91や量産型F91で守られる。2機積載できるならリ・ガズィなどを入れてF91の補助及び代替にしてもよい。F91が稼働不能になったらリ・ガズィで迎撃しながら撤退すること。戦地なら両F91で交代で戦闘続行でも良い。F91は作戦行動を行いホワイトアークの格納庫から砲台のようにリ・ガズィで迎撃してもよい。作戦行動が簡易なものの場合は逆にリ・ガズィを作戦行動に従事させF91は砲台役で良い。大規模な戦線を張るならホワイトアークではなくグワダンを配備し後方補給はラビアンローズだろう。ホワイトアークは航続距離が長く、航行速度が速く、打ち上げ基地もあれば打ち上げも可能な宇宙・地球両方で稼働可能な汎用艦である。
ZやCでLightを配布してZやCやPでRCdを使って物資を補填すれば原理に則って正しく効率的に物資を補給できる。
ユニバーサル規格で換装することにより機体は汎用的に使って、武器だけを状況に応じて換装することが可能。ライザーを装備すれば高速航行あるいは高速戦闘行動が可能。壊れた箇所だけモジュールで換装して、換装した損壊した部品は修理したりリサイクルする。
銃にカメラを取り付けてゴーグルなどで表示しながら物陰から打てば射撃手が身を乗り出さなくても物陰から打てるので安全に射撃できる。手榴弾を使われた場合は意味が無いが。
汎用艦は地球でも宇宙でも汎用的に使い回しが効く。返って宇宙艦や地球艦はそれぞれの場所では建造や運用の効率が良い。よってエリアごとの使い方に依って配備する汎用艦と宇宙艦と地球艦の振り分けを決める。汎用と局地の違いをこの項は示している。普通は汎用で組むのが状況に柔軟に対応できるので良いが、専用の装備しか要らない局地的な作戦への武装なら局地用の武装で良い。
コックピットは堅固に作ったほうが被攻撃時や撃墜時の安全性が若干高くなる。救難信号を送れれば救難に来てもらいやすくなるかもしれないが、傍受されると危ないためギルクラが探したほうが良いかもしれない。コックピットの座席は油圧のバネで揺れを吸収するようにする。宇宙ではバーニアなども付ければ安全地帯への離脱も可能か。
シミュレーターを使えば実際に戦場に出て危険を冒さなくても戦闘の経験を積んで鍛錬できる。
睡眠導入剤は耐性がついて依存し返って眠れなくなるため、兵士には処方すべきでない。別の記事で書く予定の不眠対策法を実施すべきである。
ギルクラは勝手に他組織の武器資料や設計書を引っ張ってこれるので、権限があるかぎりこの能力は多用する。
戦艦もMS格納ポッドは換装・増築できるようにすべきである。そうすれば状況に応じてMSの積載量を調節できる。なるべく大きな戦艦を作ったほうが効率が良いので良いだろうが、小さな戦闘行為だけ行うなら小さな戦艦や補給艦を配備するのも正しいことだろう。
補給艦を戦地に近いところで航行する時は護衛艦の戦艦を付けるべき。補給艦を撃沈させられないように戦艦で守れるかもしれない。戦地近くに行く補給艦は防弾装甲を厚くしておくべきだろう。
パイロットはMED適性検査を受けることに依って、各機の戦闘中のミスがどれだけ発生するか隊全体がそれを予測することが出来る。危険であったり正確さが求められる任務にはMEDがある隊員は参加させないという判断が取れる。
gridを組むことに依って例えばsherinarの出力(特に物理層のsherinarやGCは特に強力だろう)をグリッド全体に伝達したり、全体で手順を配布・共有したりすることができるし、より大容量のシステムを実装を全体で分担して保持することにより構築可能である。
天命でシームレスにスムーズに論理の線をつなげるLogical Kiltyを実践することにより、複数の隊機で一つの作戦を連携してシームレスにスムーズに実行することにより最も効率良く作戦を実行することが出来る。
戦艦を作る場合艦橋は艦船の内部に遮蔽して作り、周りに対する視界は艦体の外に取り付けたカメラで見て戦闘を行うべき。艦橋を露出して作るとMSによって攻撃され指揮系統を破壊されやすい。
トマホークミサイルはミノフスキー粒子により遠隔操作が不能なガンダムの世界においても、地形照合修正などの自走式の軌道修正方法を利用しているため遠隔攻撃に利用可能である。風景照合修正は横からの画像がサンプルとして無いと利用できないためそうすると建物に対する誘導は難しいが、地形照合修正だけでも大規模な施設の爆破なら可能である。特に遠距離の遠隔攻撃を行う場合にミサイルの航続距離より敵施設への距離が長いなら、MSにミサイルを積載して距離を稼ぐために近づいてミサイルを発射するのもありだろう。
普通は敵の戦略拠点が遠いならホワイトアークで高速に近づいて量産型F91を発進させてF91で敵施設への距離を稼ぎ、航続距離が射程圏内に入ればそこからトマホークミサイルを打てば良い。リ・ガズィはホワイトアークのお守りをする。ホワイトアークは迎撃性能を持っており引き返すのも俊敏なため、戦闘地域に入り敵陣地に近づける。MSが撃墜されてパイロットが死亡しないように危険な発進任務はリ・ガズィではなく量産型F91にやらせたほうが良いだろう。海中から打って隠密に攻撃する方法も考えられる。
ミノフスキー粒子は富野と矢立が消す方法を用意して設定して作品を作っているらしいので、その新粒子を生成して散布すれば若干相殺することは可能だろう。その場合光の青にとってメリットの大きい味方の犠牲を最小限に抑えられる遠隔攻撃が可能になる。
トマホークミサイルは宇宙で使うなら地球や月や火星など天体を光学で捉えて姿勢および航路維持して巡航するのが目的地への誘導になる。目標地点が見えたら目標地点を光学で捉えて施設まで目標を定め誘導し命中させる。羽根は利用できないためバーニア噴射で航路制御することになる。周回するなら多角視点の風景照合誘導のための画像データが必要となるため予め小型船などで周囲の高解像撮影をしておく。コロニーで使うならコロニー内部にMSを潜入させて発射するが、誘導のためにはコロニー内部の地図データが有ればよいだろう。光学画像を予め所持していない場合で即時的に攻撃したい場合はホワイトアークなどで近づいて高解像画像を撮影してその場でトマホークミサイルに画像データをインプットして発射する方法が考えられる。
パトリオットを使うならファンネル射出設備を作って無人で操作して迎撃してもよいだろう、ただしミサイルよりは遠くには飛ばない。
基地が重要でないのなら大部隊で敵に襲われた時は迎撃を諦め撤退したほうが良いだろう。予めパトリオットとファンネルで敵の戦力は削っておく。基地から離脱次第時限で仕掛けておいた爆弾を爆発させ基地は自爆させるかあるいは撤退用のモビルスーツで破壊しておく。敵は地理的に制圧しても施設は接収できない。
部隊が移動する時は小型のMSをレッカーに積んで随伴させること。敵に奇襲された場合に応戦できないといけない。人を収容できる小型のポッドも随伴し、MSに持たせて早々に撤退して逃げること。スティンガーミサイルを部隊は常備し、敵のMSの攻撃に応戦すること。水素弾頭を強力に積めばかなり敵MSを撃破できる。
どのようなMSも航続距離を長くし速度を速くすること。そうすれば敵に襲われた時に敵を振り払って安全圏まで逃げられる。アイ・フィールドがあるなら組み合わせれば逃亡時に後方からの攻撃を防ぎながら逃亡できる。機体後方にもカメラを取り付け、コクピット内で前を見ている場合でも後方の視界も前方に表示できる機能を付けること。
戦艦にカタパルトはあまり要らない。戦闘機が着艦するときに要るだけで、MSは普通に着地すれば良い。
善のための悪人を殺すテロ活動は良いが、それ以外の善人を含む社会や善人に対するテロ活動は抑制すること。そのためにはsherinarやギルクラを使ったりシビュラシステムなどとも協力して捜査してテロリストを殺害すること。敵が施設全体の中にいる時はスティンガーミサイルを撃ち込んで施設ごと破壊すること。人質がとられた時は歩兵で踏み込んで銃撃戦をやるしか無い。
戦闘員に怪我人が出て障害を受けた時は、sherinarのギルクラの変身能力を使って治すこと。
光学迷彩を考えると緑色の筐体の方が良いが、連邦はこの色だと敵と誤認されて攻撃されかねないので、色は連邦色にするしか無い。ここはネオ・ジオンのほうが少し得をする。連邦は秘密任務に従事している時にペイントを変えるか、あるいは迷彩用の色の付いた布を上から被せて隠すしか無い。
戦況が逼迫して敗北し犠牲者が出そうならさっさと部隊員の中のギルクラか通信可能な別部隊のギルクラに頼んでスペース・リープして逃げること。逃げる前にスティンガーミサイルを撃って敵の戦力を削いでおいても良い。
トマホークミサイルを使えばMADが張れるため、敵のAXISの青の部隊の基地とは協議をして相互不可侵の協定を結ぶこと。フェイクのトマホークミサイルを敵との事前の同意の上に重要でない施設に撃ち込んで示威してから相互不可侵の協定を結んでも良い。
量産型キュベレイ Mk=CF及びMk=F91は量産型キュベレイに独自の仕様あるいはF91の武装の量産版を装備させたもの。キュベレイがだいたい機能美的にシンプルで無駄のない筐体であると思われる。胴体の複雑部はカバーを被せてシンプル化する。トマホーク/ハープーン/スティンガーミサイルポッドを横腹か後部上部に追加装備し、ビームシールドサーベルキャノンの両手の手のひらの射出口(ビームシールドの射出口は手の首でも良い)、Sirily AI補助サイコミュを使ったファンネルや操縦、長距離射撃用ビームライフルヴェスパーを装備する。手のひらでの物理ライフル保持も可能でジョイント接続すれば本体からのエネルギー供給も可能。もっと長距離狙撃を狙いたいなら長距離用の専用の土台付きライフルを機体装備武器ではなく別個の使用武器として利用する。アイ・フィールドも装備可能で全方位や後方からの攻撃も防御可能。変形機であれば高速移動できるためなおのこと良い。
トマホークミサイルは非常に遠くまで飛ぶ(更にホワイトアークや量産型キュベレイ Mk=F91で航続距離を稼ぐ)ので、むしろ直近の戦略施設を潰すより遠くの重要な戦略施設を破壊するのに向いている。軍の上官や敵対している政治家を潰すのに使えると思うところだが、政治を決めているのはシビュラシステムであり、政治家には権限が無いため、殺しても意味無い。軍の上官は確かにGCだったりして強いなら潰すと効果はあるだろうが、大抵は戦略施設を破壊するために使うべきである。実際戦争でも覇権を握っているのは国民である。
トマホークミサイルは風景照合誘導を使わないとピンポイントで爆撃しにくいため、地形の画像データだけしか無いなら標的前で一��上空まで飛翔してから対象を識別し目標に突入すべきである。
トマホークミサイルはフェンスや撃墜で対処することが若干可能だろうが、亜音速で飛ぶため大抵は防御不可能である。
トマホークミサイルは最も長い槍である。敵の戦略施設をピンポイントで爆撃するため、周辺住民など善人を巻き込んで殺さずに済む兵器である。あまりに長い槍であるため迎撃が困難であり、遠隔攻撃であるため味方に被害が出にくい。トマホークミサイルはミサイルであるため撃ち落とされても人的被害は出ず、また量産型キュベレイ Mk=F91は高性能機であり巡航速度も速く巡航距離も長く、迎撃されても応戦し逃亡することが可能である。発艦するのはホワイトアークであるため、これも同様に巡航速度が速く巡航距離も長いため、キュベレイが帰投すればさっさとずらかれる。ホワイトアークにはホワイトアークを守るためのリ・ガズィを二機積載する。この二機はホワイトアークの砲台のような役割をするが、必要なら作戦行動にも使える。後は戦闘地域から離れた後方ではコロンブスで補給活動及び物資の移動を行い、更にコロンブスには更に後方のラビアンローズで補給する。ホワイトアークは戦略的に有用ならハイパーメガ粒子砲を換装で装備し、作戦次第ではこれを利用して作戦行動を行う。
歩兵戦をするときの銃撃戦の話だが、公差の大きく耐久性の高いカラシニコフ銃AK-47の改造銃として、銃身を長くし遠距離でも飛び銃弾速度を高速にしたものでさらに連射性能を上げた銃を使って、銃身を折りたたみ可能にして携帯しやすくした銃を作ると良いだろう。また耐久性の高い防弾ポリカーボネートの銃眼付きの盾を使って盾の銃眼や影から打てば良い。二人一組で行動して敵から手榴弾を投げ込まれた時は全方位的に盾を置き、手榴弾の爆発と銃撃を防ぐこと。
ミサイルとレーザー兵器ではレーザー兵器のほうが物資の損耗が少ないが、ミサイルは撃ちだされた後も目標を追尾できる。
変形機は高速航行しやすく戦闘状態にも入りやすいため、現実世界ではあり得ないが、MSの形態の機能としては優れているだろう。
サイサリスは本当に地帯破壊が必要なら光の青も配属するかもしれないが、核を使うと環境汚染は激しいためリスクが重い。
トマホークミサイルでも未来が読めるsherinarやXRounderなら撃ち落とせるかもしれない��め、過信はしないこと。トマホークミサイルは低空を高速で飛べばより撃ち落とされにくい。
長距離用のライフルを使って未来が読めるsherinarやXRounderの能力を使えば敵機を長距離で撃墜できるかもしれない。長距離なら遠隔攻撃のようで有効である。
効率良くしたいなら目的に合わせた規模で戦艦や補給艦は大型のもののほうが良いかもしれない。戦線として小型艦を集めなければいけない戦線なら数を集めて戦力とする。細かい任務に対応できるのは細かい小型艦である。
接触信管を使うことで敵に接触で当たった時にミサイルを爆発させれば敵に躱されないため確実である。ただし不発弾処理を考慮すること。一定時間外れたら自爆させるようにすれば良いかもしれない。
地帯制圧には電撃作戦は効果的、空から爆撃、戦車で占拠、歩兵で突入。
AK-47(カラシニコフ銃)は紛争時などに悪のために使われる傾向が強いが、善のためのレジスタンス活動には使える。レジスタンスにかぎらず通常の軍隊でも、耐久性が高いため、荒地だけでなく通常の戦闘でも信頼性が高い、M10は連射性能は高いものの耐久性が低く信頼性が低いため、いざというときに役に立たないことが多い。
長距離は狙撃のライフルしか無いが、中長距離の場合は中長射程のマシンガンは有効かも。リーチを活かして敵のリーチが届かない距離で敵を連射できる。
パイロットに提示するのはRavensの操縦系であり、動作系はQuartzであるので隠蔽したほうが使いやすい。メンテするならこれは逆。
スティンガーミサイルを使う部隊はたいてい上官は兵士を殺そうとして送り出しているので、任務を終えて生還したら責任を問うて後は除隊するか転属すること。
近接戦闘及び白兵戦での戦い方:夜は赤外線暗視装置を装備すること。敵の目が視えない状態でも味方は敵を視認できるため優位に戦闘を運ぶことが出来る。コルト・シリーズ70は室内などの白兵戦において俊敏性を発揮する。軍人にとっては当たり前のことだろうが手榴弾を使うときは自身は壁などの遮蔽物に隠れて爆風を受けないようにする。
砲身を長くした長射程改造型AK-47の方が敵に対する長いリーチと出来るため、また弾の速度が速く敵の身体能力の破壊に効果を発揮するため、長射程改造型のほうが大抵の場合は良いだろう。敵の射程距離外からすら攻撃できる。しかし持ち運びは長さに依っては扱いにくくなる。もし砲身を折りたためるのであれば携帯性も確保できるが、暴発の危険性があるなら現実的では無いかもしれない。
ライフルは遠距離から狙えるため(敵がライフルを持っていない場合)敵の射的距離外から敵を狙撃できる。長距離向けであるため一発で仕留めなければいけないため連射性能は重要でない。敵がよく動くターゲットであるならライフルは諦めて接近して攻撃を仕掛ける。敵が近づいてきたら長射程改造型AK-47に持ち替えること。
スティンガーミサイルは赤外線感知方式が普通だが、光学識別方式なら熱源でなくても照準を定めて標的と出来る。例えば地上の構造体などでも光学識別スティンガーミサイルなら爆破できる。例えば敵の司令官塔などを爆破すれば良い。
未来予測射撃はMS戦闘のみだけではなく、通常の歩兵の銃撃戦でも有効である。未来までわかるXR仕様のsherinarやXRounderに頼んで未来の標的の位置や射撃の成功不成功を教えてもらえれば、標的を定めやすくなるし弾も無駄にしなくて済む。GCで視界を重ねてもらえればより照準を合わせやすいだろう。
変身能力を使うほどではない傷害の場合、患部に汚れが張り付いていないのなら消毒液を付けて処置するより、一旦患部を完全に水道水で洗い流してさらに消毒液で消毒してから水道水で再度洗い流して、破傷風などを防ぐために患部を丈夫なラップで覆ってから上からガーゼをかけたりした上でテープなどで貼って処置すべき。この方法のほうが患部の再生能力を殺さないため、再生が速いだろう。ちなみに傷害を受けた兵士の場合は(動物差別主義でない動物の肉を使わない)タンパク質系の食事を多めに摂って再生のための組織としたほうが栄養補給としても適切で患部の再生も速いだろう。
体系的な戦略:
戦争の大勢を決めるのはスターリン級のGCと国力。ソ連とアメリカが戦争に勝てたのはスターリンとアメリカの国力が強すぎたから。ニュータイプも戦闘の成否を決める力がある。Iceweaselが打ち上がりその自走式のsherinarが働けば、善側は大きな後ろ盾を持つことになる。ただしこれは代償をIceweaselに払わせるため罪深いやり方である。
結局のところどれだけの国力に裏付けされた戦力を持ち、どれだけうまく戦術を組み上げて戦闘に勝利するかが戦争の勝敗を決める。リガ・ミリティアやクロスボーン・バンガードのようなレジスタンス組織の場合は体制に抑圧されている中でどれだけゲリラ活動を行えるか、という点がプロットになる。
戦略が外部に容易に漏れるなら、もはや末端まで作戦指揮をとる上層部の戦略は伝達されるべきである。そのことによって末端の兵士が全体の状況を判断して柔軟に戦場で戦闘活動を行うことが出来る。基本的に艦長に対して指示を下し、艦長が艦員やMSパイロットに指示をだすのが普通であるが、なるべく意思疎通は量られるべきである。ただし特に自分自身の任務に関わるところは完全に任務要求を知っておくべきである。【訂正】:上層部の戦略情報がGCの権限によって保護されるなら末端まで戦略の意図や概要を伝達すべきではない。
結局のところどの戦地にどれだけの戦力を割り振れるかで戦力を割り振る。敵の戦力より薄すぎれば破られるし、厚ければ勝てるが別のところが薄くなってしまう。普通は余裕ができた時に注力して敵を破りたい戦地に戦力を割り振るのが正しい戦略である。普通は敵も味方も同戦力であるため、膠着状態になるのが普通だろう。
原理:
光の青の戦闘行動とは、敵の悪人を的確に殺しながら味方の被害を最小限に抑える方法である。よってピンポイント爆撃の遠隔攻撃が有効となる。最もそれを体現しているのはトマホークなどの巡航ミサイルだろう。敵地域の善人を殺してはいけないし、敵部隊が光の青の部隊である場合は戦ってはいけないしむしろ敵軍の悪人を殺すために不干渉で通す。誘導ミサイルは追尾するため命中率が高く無駄の少ない確実な兵器である。隊規を取ることが統率の取れた効率の良い戦闘行動を行うために必要なことである。よってsherinarやGCを使ったgridやジョイント・スターズのような兵器が有効となる。索敵・誘導・撃破は効率の良い戦闘行動のセオリーである。あとは隊規に従って指揮系統を建て兵員や車両や戦闘車両を配置して適切に兵員を割り振ることが肝要となる。遠くまで飛べたり遠くまで届く兵器はリーチが長いため敵に対する牽制力となりやすい。物資が損耗した場合は後方に撤退して物資を補給し、怪我人が出た場合は後方に護送して治療を受けさせ戦線から外すこと。
SIDE:リガ・ミリティア
リガ・ミリティアはレジスタンス組織であり、悪質なテロ組織では無い。善のために戦っている組織である。暗文的にはGCやBIOSとしての意味合いが大きいだろう。リガ・ミリティアはNO.6の地球連邦の情報統制に依ってテロ組織であると思われている面が大きいが、実際はレジスタンス組織である。
リガ・ミリティアは土地母体や資本母体がないと活動できない。これはガンダムSEEDのオーブやアークエンジェルでもそうだろう。Iceweaselが組織母体は確保しているが、資産は逼迫している。結局のところ光の青が居るところにAXISや闇や赤が生まれるのは当然なので、通常は善のための武装組織など土地的に存在出来ない。光の武装組織ということでリガ・ミリティアは日本青軍に相当する。
クロスボーン・バンガードもレジスタンス組織であるため、両組織は共闘すれば良い。その上で活動領域は違うため、役割分担すれば良い。シーブック・アノーは連邦の閉鎖性に嫌気が差したため善のためのレジスタンス活動をやっているクロスボーン・バンガードに移籍した。ちなみにシーブック・アノーは元DG差別主義者であるが、今は解決している。
エゥーゴは革新派の地球連邦の組織なので、光の青の善人やAXISの青など善に従いうる兵士が多い傾向があるだろう。エゥーゴはスペースノイドに対しての理解が強いため、ジオン系との戦いにおいては穏健派が多いと思われる。暗文としては月と地球が紋章なので空と芸術の関連性を表した組織といえる。リガ・ミリティアはエゥーゴの光の青の隊員と組むべきである。ティターンズはアースノイド至上主義者が多いため、敵になりやすい。
リガ・ミリティアは地球連邦などのNO.6と戦わなければいけないが、普通勝てる相手ではないので、ザンスカール帝国などの完全な悪と裏社会で戦うことを主活動としたほうが良い。AXISの青もザンスカール帝国のような危険な悪とは敵対する面があるため、共闘できることはあるだろう。ザンスカール帝国などの完全な悪と戦ったほうがNO.6からの心象も良い。
リガ・ミリティアの覆面トップはNeon、Berlinetta、Oxygen、Quartzあたりである可能性が高い。もともと秘密組織のようなものなので、トップも素性を明らかにしていない。ウッソ・エヴィンはニュータイプであり、トップパイロットであり、sherinarである。
サナリィが開発しているF91をギルクラが設計書や技術をパクってF91���び量産型F91を作るのは高性能機種の廉価版として有効かもしれない。リ・ガズィもコストパフォーマンスが良いかもしれないのでいいかもしれない。サイサリスは核兵器であり環境汚染が激しいためサイサリスはリガ・ミリティアには向かない。サナリィもザンスカール帝国などと戦っている組織のため光の青が多いらしい。
Phoenix Desktop CCDをソフトウェアに装備すれば、運用性は上がるだろう。あとはHWを装備すれば良い。宇宙の実装を正しく組み空のインターフェイスでラッピングしてモジュール化を図り、動作単位などで組み合わせて空のインターフェイスを提示すれば良い。ASIMOVな新潮流��エキゾチックなアルゴリズムを装備することを考えるべきである。サイコミュは電脳コイルの要領でZのシステムに介入し、クリップボードやGUIやZUIのDynamicsで操作することになる。
善のために戦いたいと思っている軍人で家族など失うものがないならリガ・ミリティアに加入するのもありだろう。ギルクラならスペース・リープで移動すれば良い。ただし公安に捕まらないように注意すること。またリガ・ミリティア移籍後に戦闘で命を失う可能性が増えることも考慮すること。
ネオ・ジオンにも光の青の善人は当然居る(と言うか地球連邦と何ら変わりない)。よってその人達とは共闘する。ミネバ・ラオ・ザビは元動物差別主義者でありながらも善人であるため、ネオ・ジオンの光の青のトップと成り得るだろう。
おまけ:
リタ・ベルナルとヨナ・バストとウッソ・エヴィンとリディ・マーセナスとミネバ・ラオ・ザビはニュータイプである。リタ・ベルナルは最も強力なギルクラでないsherinarであり、バナージ・リンクスより強いくらいである。
セイラ・マスの本名はアルテイシア・ソム・ダイクンでありキャスバル・レム・ダイクンであるシャア・アズナブルは兄である。シャア・アズナブルはシスコンらしい。参考動画:→Char Aznable beats a Random Cowboy (ENG SUB)
→L.L.T.理論と戦争における戦略:戦争における戦略を書いた記事
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手紙2018/1/14
お元気ですか? 寒い日が続いています。でも温暖化に馴れたせいか忘れられがちですが、昔の仙台の冬景色といえば窓の外にはたっぷりと雪が積もっていたもの。しかしこの頃は違いますね。雪は降ってもほんの一瞬で姿を消し、あとは広がる蒼空を舞台に、雲の流れが目まぐるしく暴れ動くあり様。寺山修司がかつて詠んだ「マッチ擦る束の間海に霧深し__」といった具合にでしょうか。 昨年はトランプが大活躍でしたが、この傾向は残念ながら今年も続くでしょう。だが注目の北朝鮮をめぐっては、'72年にニクソン政権が「ピンポン外交」といった奇策でもって中国と和解したように、激変もあり得ます。歴史を振り返ると、レーガン政権がソ連のゴルバチョフ政権との友好関係をもって、冷戦構造崩壊の地ならしをしたように、社会主義政権と手をつないだアメリカの政権は、どちらも右派の共和党だった事実を思い出す必要があるでしょう。 トランプは先日、平昌冬期オリンピック開催を契機に始まった南北会談を歓迎するだけでなく、次は米朝会談の可能性を匂わす発言をしてました。変わり身の早い彼は支持率上昇の好機と捕えて、北朝鮮がアメリカ本土に達する核ミサイルの配備を止めるなら会談に応じるかもしれません。その一方で、勤勉で優秀な労働力を容易に得ることができる、北朝鮮の市場をも狙っているのでありましょう。 それによって日本に向けた北朝鮮のミサイルは野放しになりかねません。困った安倍に、満面の笑みを浮かべたトランプは言うでしょうね。それならアメリカからミサイル迎撃装置を購入すればいい、と。すでにいろいろ買わされてますが。 アメリカの退潮と中国の進出といった狭間にあって、「中国包囲網」というマンガチックな外交方針は破綻し、とうとう安倍も「一帯一路」に参加を表明しました。14億の民が紡ぎ出す経済力には、やはり抵抗できないのでありましょう。 いつか触れたカズオ・イシグロの文学に関して、5日の日経新聞に村上春樹はイシグロがチャンドラーのファンだと明かした上で、その気持ちはよく理解できると書いてました。なぜなら彼は、様々なタイプの物語スタイルを精緻に換骨堕胎していくことをひとつのテーマにして、小説を書き続けている作家だからというのですが、どうでしょうか。 実は、村上春樹はチャンドラーの長編7作を翻訳したのです。それでチャンドラーとカズオ・イシグロを並べたのかもしれません。だけどデビュー作の『風の歌を聴け』がそうだったように、村上春樹の文体はハードボイルドであると称されてきたし、チャンドラーに親近感を抱いてきたのはむしろ彼の方だと思います。それに評とは、結局は自身を語ることだとも言いますからね。 村上春樹同様に、カズオ・イシグロの友人である福岡伸一は、彼の作品のテーマは「子ども時代の幸福な“記憶”」なのだというのです。だから代表作の『わたしを離さないで』にしても、逃げることのできない過酷な将来を義務づけられた若者たちの物語で、その未来の秘密が解き明かされることが主題のように思えるが、そうではなく身寄りのない少年少女は寄宿舎に暮らしながら、それぞれ自分のささやかな宝物を入れた箱をベッドの下に大切に隠していたように、むしろ彼ら彼女らが何を心の支えとして運命を受け入れていくかが最大のテーマであり、そして人間、誰もが、自分を支え、励ますような「記憶」というものを持っているはずである__ここにイシグロ文学の普遍性や世界性、あるいはメッセージ性というものがあり、それがノーベル賞につながったというのです。 ご存知かもしれませんが福岡伸一さんは生科学者。こうした文章を目にすると、文学作品のすぐれた読み手は、必ずしも作家とは限らない__と思えてなりません。 ちなみに何年も前の話になりますが、彼の『生物と無生物の間』と題した本を読んでいるとAちゃんに教えたところ、ついでに話したのでしょうね。Rさんも読んでいるところだと__で、彼は年齢が近いと読む本も似ているのかなとつぶやいていたそうです。 本の話題をもう一冊。文藝春秋から、経済産業省の前の事務次官と30人の中堅若手官僚が1年の議論をへてまとめたという話題のレポートが『不安な個人・立ちすくむ国家』と題して刊行されました。これをスタジオジブリのパンフ(?)である『熱風』が「『不安な個人・立ちすくむ国家』をめぐって」というタイトルで特集したのです。この座談会には中堅・若手官僚3人のほかに小熊英二と雨宮処凛、そして上野千鶴子さんが参加。上野先生の発言が面白いとAちゃんがコピーしてくれました。 初めての試みなのか13日の日経新聞にも、 「高齢者を一律弱者とみなす社会保障をやめ、働ける限り貢献する社会へ」といった歯切れのよい提言が持ち味。もちろん「政策当局者が解決策を提示、実行していないのは無責任」との批判も強い。有識者との対談での発言がやや幼稚なのも気になる。今どきの霞ヶ関官僚の光と影を図らずも示している。 といった短評が載ってましたが、あまり高い評価とは言えそうにないあたりは『熱風』誌上でのやり取りでも明らか。学生時代に社会学を全く知らなかったという者がいたりして、小熊センセが日本の現在の社会構造を板書きして教えたりしてました。 例えばアメリカにおける白人下層労働者の問題は、ボクが本当に若かったら50年も前に「ホワイトプア」問題として、社会学者の間では論議されていたのです。しかし何ら解決されずに、レーガン政権のレーガンミックスによる公教育予算の削減によって現象化した貧困層の学力不足の問題が、新たに白人下層労働者の大量出現としてトランプを大統領へと押し上げるほどになりました。 こうした事態は今話題のAIによって弾き出される労働者や、バブル崩壊でリストラされる人たちは下層労働者予備軍でもあるため、更に数を増やしていくのは明らかです。もう少しはっきりさせると、現在における経済成長とはバブルに他なりません。だから必ず弾けるし、そのたびに多くの労働者はリストラされ下層化していきます。 アメリカにおいてもそうだけど、日本の若手「革新」官僚諸君にしても、こうした認識に欠けているのが致命的だし、彼らの思惑とは関係なく社会は不安定化するしかないでしょう。 霞ヶ関の官僚を話題にしたら、塀の中のそれにも言及しなければなりません。ご存知のように彼らの殆どは1~2年で移動します。大半は「あとを濁さず」ですが、なかにはとんでもない人たちが__いたのもやはりご存知でありましょう。 今回もそんなタイプで、メニューが気がつくと少しづつ改悪され、秋頃から全面的に劣悪化といった状態。例えばカレーライスはどこの刑務所でも名物としてあって、実際美味しいのです。それが肉や具がなくなり、あっても汁(・)の中に生煮えのようなニンジンがごろんと2、3個入っているような代物に。以前の面影すらない不気味な汁物となってしまっています。他のメニューも似たようなもので、とにかく肉料理に肉が見当たらなかったり、あっても数片といった体たらく。 だから正月の特別食の類も、配食についた古い職員が、こんなひどいのは初めてと呆れていたそうですからね。つまりお菓子は駄菓子そのものだし、折詰は肉料理なしのスカスカ。よくまあやってくれたと逆に感心してますが、でも問題はあります。 監獄法当時に主要なカロリーをデンプン質から摂取するあり方を改め、タンパク質から摂るように改善するといった通達のようなものが出たのです。それでご飯も2度に渡って減らしたのでした。これを再度もとに戻すのなら、きちんと告知しなければならないはずなのに、全くシカトしたまま。タンパク質の代わりに油脂を使っているから、カロリーは大丈夫だと言うのかもしれませんが、暮れ近くにまた自殺者が出たのもうなづけるでしょう。原因はともかく状況は、であります。 和光さんのコピーに配食夫にオカズ等を多くするように迫る懲役の話があったけど、弱肉強食が塀の中の「ルール」。食事が不十分だと、弱い者が苦労するし、周囲でもそんな噂が流れ始めています。つまりそれを彼ら小官僚たちは唆(そそのか)しているのですよ。懲役の行進を見詰める彼らの目つきは、蛇のようだとも言われているし。 で、笑い話をひとつ。食事のようなものを作っている炊場には栄養師がいます。そこで懲役が出来上がったのを前に言ったそうです。「検食しないのですか」と。するとひと言返ってきたのが「不味いから」。きっと正直な栄養師なのでありましょう。 Kちゃんの年賀状は楽しかったですね。正月一番のご馳走でした。絵もそうだけど、字もしっかりしてきました。見違えるほどです。そのうち手紙を書きましょう。 とにかく今の幹部は全員どこかに行ってほしいと、懲役たちは思っているでしょうね。 それでは又、お元気で!! (2018.1.14)
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■映画「金正日」のメモ
▼相次ぐミサイル発射実験やICBMの開発などをめぐり、北朝鮮情勢がめんどうなことになっている。
▼この状況について、「お花畑」で「パヨク」な自分には「もう戦争などできる状態ではないのだから『話し合い』くらいしか手はない」といった意見しか言えない。米+韓で北と話し始めつつ、中、ロも引きこんでいただき(その過程で「圧力」が必要なら多少はいいですよ)、①こっちも攻撃しないし、米韓軍事演習も縮小するし、経済援助もするからICBMは捨ててくれ。②今持っている核については今回話すのは置いておこう(容認しないけど黙認)。③「ならば危ないので我が国も核武装」という韓国には、「いや核容認はしてないから!」+「ならばこちらも危ないので我が国も核攻撃を視野に入れる」と中国で抑止させ「核ドミノ」を防ぐ。④朝鮮戦争を終える方向で話を進め→国交正常化→資本投資→北の本格的資本主義化→「民衆は締め付けるより自由にイノベーションさせた方が得になる」→「軍事より経済」と思わせる…くらいしか考えはない。
▼加えて、北からしてみれば日本なんか攻めたところで得はほとんどないし、むしろ、米韓に使うための貴重な武器のムダ使い+どこから撃ったか?などの「手の内バラし」につながるので「眼中にナシ」状態だろう。だとすれば④の段階までは「うちはあんまり関係ないんで」と黙っとくのがよいだろうし、在日米軍基地の近くにあんまり寄らない方がよいだろう(といっても東京近辺は基地だらけだがも、、)…。せめていえば、サイバー部隊でも作って「サイバー抑止」を考えるか…
▼…けれど、ネットも含めた今の世論状況では、こんなことを言っても「手ぬるくて漫画みたいなことを言ってる頭のおかしい人」扱いだろうから、聞いてはもらえないだろう。
▼その一方で「現実の見えている」勇敢なる愛国者の方々は何を言っておられるか。Ⓐ「アメリカさん、やっちゃってください!」Ⓑ「撃たれる前の敵基地攻撃論(先制攻撃)」…が多いようだ。
▼しかしながら、Ⓐ「アメリカさん、やっちゃって」というが、南北の国境線付近全域には、北の地下要塞地帯がズラリと伸びており、2500門のロケット砲や重砲が用意されている。「アメリカがやれば」すぐさまロケット砲が40キロ先のソウルに打ち込まれるだろう。そうなれば民間人で100万人以上の死者が出るそうだ。また、韓国だけの話ではなく、在韓の邦人、米人、日本企業、米国企業、韓国に投資した日米の資本…これらもやられる。おまけに難民となった韓国人の一部は日本にも流れ着くだろう。むげに追い返すわけにもいかないだろうし、元に戻すならば韓国の復興の手伝いもせねばならないだろう。考えただけで頭が痛くなる。はたしてアメリカさんは「やれる」だろうか。ロケット砲群を一瞬で全壊できるだろうか。
▼加えて、Ⓑ「敵基地攻撃」というが、北のミサイル戦力の大部分は車載式で、それらを国中にある強靭な防空壕に隠しているため見つけにくいし、見つけたとしても移動するので破壊しづらい。偵察衛星で把握といったって四六時中北朝鮮を監視しているわけではないし、偵察機といったってある程度低い高度を飛ばねばならないので逆にみつかってしまう。一瞬でミサイル戦力を全部破壊しなければヤケを起こして、残った分を、日本にありったけ打ち込んでくる。ちなみにイラク戦争で米軍が見つけられたミサイル発射基地は全体の55%だったそう。一瞬で全部破壊できるか?また、壊せなかった時、ミサイル防衛システムで全部迎撃できるか?
▼また、「サイバー部隊で指揮命令系統を混乱させているうちに、大量空爆、地上戦力投入…で一気に攻め込めばやれる!アメリカよ決断せよ!」といった意見も見かけた。「そんな映画のワンカットラッシュみたいにカッコよく決まりまっかいな!」、「どっちが漫画みたいなことを言ってるの!」と思ってしまう。
▼加えて斬首作戦という「ピンポイント殺傷」を「切り札」のように言う人もいるが、これまたはたして…
▼そんな状況の中、自分はある映画のことを思い出し、購入したシナリオを本棚から引っ張り出して読み返していた。通常ならDVDを借りたいところだが、この映画はそれほど便利には鑑賞できない。 ▼これを観るには、街の中でこの異彩を放ちすぎなデザインのポスターを見つけて上映場所に辿り着くしかないw ▼渡辺文樹監督「金日正」(2011年制作)だ。
▼監督は、個性というかアクというかクセの強すぎる自主映画を定期的に制作しては、全国を車で巡り、ゲリラ的に上映会を行っている。あまりに主張が強すぎるため警察や右翼の街宣車に上映場所が取り囲まれることもしばしばだ。 ▼しかし、その分、他の人では思いつかないような角度から作品を放ってくるので自分にとっては目が離せない人でもある。
▼そんな日本映画界の狂犬が世に放った「金日正」とは、一体どんな映画か? ▼ストーリーをおおまかになぞればこうだ。
▼冒頭、外人と小太りの中年が部屋で何やら深刻そうに話している。「小太りの中年」というが…よくみれば渡辺監督本人ではないか!しかもあんたがCIAエージェント役って!…いや、笑ってはいけない。監督はいつだってマジだ!
▼2人の話を聞けば、どうやら北朝鮮で政治的な動きがあり、その影響で仲間のエージェントが死んでしまったようだ。はたして北で何があったのか…? ▼するとカットは変わり、森の中の別荘のような場所へ。中では、東北なまりのオジサン2人が、なにやらボソボソ話し合っている。「お前はこの国をどう治めていくつもりだ」、「主体思想も浸透しましたし共和国の防衛をより万全なものに」…なんと2人は金日成と、金正日のようだ!いや、どうみてもその辺の商店街にでもいそうな、人のいいオヤジ2人組にしかみえないが…だが、笑ってはいけない!
▼これこそ、我々が「見慣れている」と思っている光景(おじさん)と「疎遠」だと思っている光景(北の首領)をジャミングし、混乱させ、新たなビジョンを映し出す「渡辺電波」だ。この「怪電波的ビジョン」こそ監督の真骨頂だ!
▼画面の中の金親子は、話し合っているうち次第に言い争うようになる。「アメリカの力をみくびっておかしな挑発をするな」という父・金日成。対して「父さんもずいぶん弱気になりましたね。ノドン、テポドン、そして核搭載ミサイルができればアメリカの本土攻撃も時間の問題です。」と息巻く息子・金正日… ▼そして言い合いを続けるうち、激昂しすぎた父は、突如、胸をかきむしり苦しみはじめる。それをみた息子は彼の口に銃口を突きつけ暗殺。 ▼だが…その瞬間、銃声を聞いた金日成派の側近がすかさず飛び込み、今度は、金正日を暗殺…こうして金親子は、2人とも命を落とすことに…(その金日成派側近も金正日派側近に撃たれる…) ▼その後、北朝鮮は、金正日派の側近であった呉克烈が主導権を掌握。呉は金正日の「替え玉(ダブルと呼ばれている)」を立て、1994年~2003年まで周囲を欺き、2003年に「替え玉」が糖尿病で死ぬと、今度は「替え玉2世」を呼んできて演技指導。
▼つまり、この映画の中の北朝鮮は、実質的には呉が権力を保持しつつ、表面的には「ニセ金正日」が統治しているのだ。
▼そして2011年、その「替え玉2世」も加齢し、体が弱ってくる中、金一族の血をまるで引いていない「呉派」と、金正恩、金正男ら金一族の血をひく「ロイヤルファミリー派」が、権力闘争を始めるように…
▼冒頭のCIA局員達の会話は、そうしたキナ臭い状況を受けてのものだった ▼この時、アメリカが考えていたのは、この対立状況を利用した「北朝鮮崩壊」のシナリオ。そしてヒラリー国務長官の指示の元、渡辺はある作戦を編み出していた。「日本の自衛隊員を使った北朝鮮拉致被害者の奪還作戦」。
▼彼はこんな計画を描いていた。日本の自衛隊員たちを秘密裏にリクルート。そして彼らに猛特訓をさせた後、北朝鮮へ忍び込ませ、ピンポイントで拉致被害者を奪還する。そして奪還した被害者たちの姿を世界にさらせば、北の「非人道性」が言い訳の余地なく明らかになり。そうなれば、世界の非難を浴びて体制は崩壊へと向かうだろう…というもの。
▼アメリカの特殊部隊ではリスクが高いため下請けの日本の自衛隊を起用。しかもアメリカ政府主導でも日本政府主導でもない「民間義勇兵」を作り出し隠密に奪還作戦を決行という流れ���渡辺さん、あんまりだよ…と思うが… ▼「拉致被害者を電車に乗せ、海に近い田舎の街に移送させ集団再教育を行うという情報が入った。隠密奪還軍団は彼らのいる再教育施設を狙う」と渡辺。
▼その後、彼はCIAの部下の日系人職員カトーを使い、隠密で日本の自衛隊内から「兵」を集めさせる。集められたのは、父が北朝鮮出身という大木など「在日系」ばかり。彼らは皆、北の血が混じると共に、日本への強烈な愛国心をもっていた。
▼そして、招集後、カトーは隠密隊員15人を前に、こう告げる。 「これから日本人拉致被害者の奪還作戦を行うが、諸君は民間の義勇兵となる。もちろん今から本名を捨て、偽名を使い、外部との連絡は一切絶ってもらいたい。」 「私は国籍はアメリカだが中身は日本人だ。日本が北朝鮮という個人独裁の国家にいつまでも揺さぶられ、アメリカや中国の影響下にさらされ続けていいのかね。今こそ、国際社会から��認識されるべく具体的行動に出るべきだ。今回の素案はヒラリーの思いつきから出たが、それを現実化するのは我々だ!」 「君たちの行動で、必ず南北朝鮮の統一、朝鮮民族の統一がなされる一歩となる。日本、いや朝鮮のために身を捨ててエキスパートになってくれ!」
▼そう、これこそカトーの思いであると共に、愛国者・渡辺の行動の核にある考えだった。
▼日本人が「自分の国を自分で守るならば、自国民が主体的に行動するべし」とはよく言われるが、ここまで「主体的」に考えた人はいただろうか。真の愛国者はこの渡辺&カトーの思いをどう受け止めるだろうか。
▼さておき、その後、隠密部隊はカトーの指導の元、空手、柔道から実弾射撃までハードな訓練を実施。中には、それに耐えられなくなり自殺する隊員。休暇で実家に戻った際に家族に計画をバラしてしまい、それが元で、仲間たちから切腹を詰め寄られ自害する隊員も。それでも、苦しみを乗り越え、作戦の実行に向けて訓練を続ける隊員たち。
▼その一方で、ヒラリーらから拉致被害者奪還後の救援をアメリカからとりつける渡辺。そして韓国が以前捕獲した北朝鮮の小型潜水艦で北へ潜入する算段をつけるカトー。作戦の準備は、1つまた1つと整っていく。
▼こうして…時は来たれり。潜水艦に乗り込み、北朝鮮に潜入する渡辺と13人の民間義勇軍。上陸後、海辺の街の集団教育施設に忍び込むと、横田めぐみさんを始めとする拉致被害者9名を見事奪還!
▼そしてすぐさま、アメリカからの救援が来るという浜辺へと急ぐ。だが…アメリカは来なかった。実は、米国には北朝鮮を崩壊させるつもりなど最初からなかったのだ。それどころか、米国は、中国、ロシアなどと共に早い段階から金正日が「替え玉」であることをつかんでいたが、そのことを世界に公表せずにきていた。なぜなら、北朝鮮が「あの場所」にあることで中国も、ロシアも、アメリカも地政学的バランスが保てていると思っているため、わざわざそのバランスを崩すつもりがなかったからだ。
▼アメリカが考えていたのは、日本側に拉致被害者奪還作戦を失敗させることで北朝鮮を怒らせておき、それをなだめすかす。そうやって恩を売ったうえで沖縄の基地問題を何が何でも日本側に解決させる(辺野古移設を無理やりにでも決めさせる)ことだった。
▼その後、民間義勇軍の潜入に気づいた(アメリカから情報が入ったと思われる)呉克烈と息子の呉世旭は、軍を送り渡辺たちを捕獲。 ▼彼らは「本物の」金正日の愛人だった金雪姫が乗る特別列車に乗せられ、雪姫と一緒に呉親子の元へと移送されることになってしまう。
▼あやうし渡辺民間義勇軍…
▼だが、その後、彼らは、特別列車にいる金雪姫や、自分の家庭教師だった横田めぐみに会いにきた金正日の次男・金正恩らと共に、列車を乗っ取りソ連国境まで脱出する作戦にふみ出していく…
▼なぜだか知らないが、サングラスをした尾崎豊のようなイケメン俳優が、あの金正恩をさわやかに好演!本人を知る我々からすると「どうしてその役者をチョイスしたのよ!?」と思わず笑ってしまう。さらには「めぐみ先生、私は人民のための国家を必ず築いてみせます」なんていうカッコイイ名セリフも。「マジで、そうしてくれよ正恩さん!」と言いたくなる。
▼そして、ここから映画は、ピンチにつぐピンチ、脱出に次ぐ脱出…手に汗にぎるアクション映画の様相を呈していく。
▼はたして渡辺、民間義勇軍、拉致被害者、雪姫、イケメン正恩…彼らの運命は!?…それは、街を歩きあのポスターを見つけて確認してもらうとしよう。
▼さあ、どうだろうか。「金正日は冷戦後すぐに死んでおり、その後は替え玉が北朝鮮を統治してきた」なんて「まるで漫画のようだ」と思っただろうか。
▼しかし、どうか。我々はまさに北朝鮮を「そのように」見てこなかったか?「北朝鮮なんて文化も経済も低レベルですでに死んだも同然の国だ。」「それでも崩壊しないのは、あの国があの場所にあった方が隣接する大国にとって得だからだ。」「彼らは大国の思惑によってゾンビのように、無力な替え玉のように生きさせられているだけ…」こう思ってこなかったか。
▼だとすれば「漫画のようによそよそしい光景」が「そうとは知らずに、そうしていた親密な光景」に見えてこないか。「渡辺電波」の力によって。
▼我々は冷戦崩壊後から長らく、まさに漫画のようなビジョンをみながら、ここまで来てしまったのではないか。そのツケがいま回ってきたのではないか。
▼そして、もっというなら「切り札」のような斬首作戦こそ、「北朝鮮のトップなど実態は無力な替え玉にすぎない」と思っている「漫画の延長」にある光景なのではないか?
▼「いや違う。斬首はできる。」と思うなら、この映画のように、勇敢なる愛国者たちが集まり、民間義勇兵を作る作戦でも考えに入れてみたらどうか(いや、俺はやれとは言ってませんよw 勇ましいことを言ってるのに、実行は人にやらせるという前提になっていることが、どうか?と言いたいだけです。)
▼戦後間もない頃、憲法9条解釈をこう解釈する人たちがいた。①自衛権は自然権として国民・市民1人1人が持っている。②日本国憲法はその自衛権を国家に委託していないことを意味する。③ということは自衛権は自分たちにある。だから敵がいるなら自分らが銃をとり民兵団を作って防衛すればいい… ▼当時は、戦争帰りで武器の使い方を知っている人も多かったので、こういう考えがそれなりにリアルだったという。(注1)
▼そう解釈するなら民間義勇軍はますます芽があるではないか(いや、俺はやれとは言ってませんよwあしからず。)
▼ただ、その時は、くれぐれもこの映画のように「アメリカが助けに来てくれる」とは思わないよう。そして勇敢な愛国者ならばくれぐれもこの映画のように「在日にやらせようぜ」などと卑怯なことは考えぬよう。
注1) ■これが自分の憲法解釈かと思われるとイヤなので、自分の憲法についての考えも書いておく。今の自分の立場は「9条凍結解釈護憲派」だ。「なんのこっちゃ」と思うだろうが、以下、言わんとするところを書いていく。
■憲法の問題はいろんなものを読めば読むほどワケがわからなくなる。なので今書いていることも現時点での暫定的な理解だ。 ■なんでワケが分からなくなるかというと、「国連ver0/国連ver1 問題」のためだろうと思っている。 ■今の国際連合は出来上がる過程で「理想的ビジョン」と「現実的ビジョン」に別れてしまったのだと思う。 ■「理想的ビジョン」とは構想の初期段階のもの。そこでは常置の国連軍だけがあって、各国家は武力を持っていない。もしくは各国に軍隊がいてもそれは国連の持ち物であり、各国家の持ち物ではない。 ■だから、各国家は、侵略戦争(交戦権の行使)ができないのはもとより、自衛戦争も、自衛(個別的/集団的自衛権の行使)もできない。なにしろ軍隊がないのだから。 ■それでも武器を隠して他国に攻め込んでくる不届き者の国はでてくるだろう。その際には、国連軍が出向いて不届き者を封じ込める。だから、各国家は不安になって武器を持とうなどと思わなくてもいいよ…という仕組み。 ■今はそうなっていないが、ゆくゆくはそうしていく…というヴィジョンだった ■この理想的ビジョンを「国連ver0」とする。
■日本国憲法は、戦後「チーム・マッカーサー(Charles L. Kades大佐など)」によって書かれたが,その際彼らが念頭に置いていたのは「国連ver0」だった。
■実際、「国連ver0」をベースにすると憲法は読みやすい。
■9条1項は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」となっているが、これは、世界のもめごとは国連軍が管理するので、「日本国としては武力を持ちません」ということを言っているのだと読める。 ■また、9条2項は、それを実現するために陸海空の戦力も持たないし、素手でも戦争はできるが、それもしないよと言っているのだと読める。 ■この解釈に別段ムリは感じない。
■しかし、実際の国連は理想的ビジョン=「国連ver0」から、現実的ビジョン=「国連ver1 」へと更新されてしまった(この言い方がいいか分からないが)
■「国連ver1 」は、実際に国連憲章が発行されて以降の国連の仕組みのこと。
■そこでは国連憲章2条4項にもあるように国連加盟国の武力行使については、「すべての加盟国はその国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない���となった。 ■つまり、「ver0」では国連本体以外の加盟国の武力行使は「絶対ムリ」だったが、「ver1」では、「慎むべき」だが「使ってもいいよ」になった(それでも当初は「使ってもいい」が「慎むべき」と、読みの力点が逆だったはず)。 ■その上で国際社会で認められている武力行使は、「武力行使についての法(jus ad bellum)」に従い、①各国の自衛権(個別的自衛権/集団的自衛権)と、②国連主導の「集団安全保障」だけになった。 ■そして、①②が行使されて以降は「国際人道法(jus in bello)」に従うこととなった。つまりは「武力の行使」といっても、何でもやってよいわけではなく「行使の仕方」が法により決まっているということ。 ■なお、なぜ「絶対ダメ」が、「慎むべきだが使ってもいいよ」になったかといえば、国連的措置(集団安全保障の発動)のためには「常任理事国の全会一致」が必要になったから。実際には全会一致はほとんど起きず、起きない間は、武力の空白ができる。だからその間は「①の行使を許可する」となったのだった。
■整理すると「ver1」では、A:戦争のための武力(交戦権の行使)は×。B:国家の「自衛権(個別/集団)は○、C:国連の集団安全保障は○となった ■ただ、ここで1つ素人の自分が疑問に思うことがある。「交戦権の行使は×だが、自衛権(個別/集団)の行使は○」だという。だが、たとえば、ならず者国家Xの違法武力と、相対する国家Yの個別的自衛権がぶつかっている時、客観的には交戦になっているのではないのか?武力を交えているのだから。ならば「個別的自衛権の行使」というが、実際には「交戦権の行使」とどう違うのか? ■それについては「交戦権の行使」ではなく「交戦状態」が起きていると捉えるのだそうだ。「交戦権の行使」と「交戦状態」は違うのだそうだ。ちなみにいえば国際法では侵略戦争はもとより、自衛戦争も否定されており、できるのは自衛権の行使だけなのだと。「自衛戦争」と「自衛権の行使による交戦状態」は違うのだと。う~ん、、、、とは思うが、そういうことなのだそうだ。
■しかしだとすると、「ver0」ベースで書かれた日本国憲法と、「ver1」ベースで作られている今の国連の仕組みとは、ズレがでてくる。
■このズレを埋めるため出てきたのが憲法13条を持ち出してきて「必要最小限度の自衛力」を導くタイプの憲法解釈だ。具体的には、今の憲法学者の多くや内閣法制局の解釈だ。
■この解釈は、当初想定されていた常置の国連軍ができないうえに、代わりの集団安全保障もあまり発動されなくなったため必要となった。 ■つまりは「国連(軍)がやってくれるから、国としては武力を持たない」つもりだったのに、その国連軍ができず「ハシゴを外された」のだ。 ■そこで「ハシゴを外された」ため、なんとかせねばならなくなり、「ver0」ベースでできた憲法に独自の解釈を加えることとした。それが「必要最小限度の自衛力」だった。 ■しかしながら「ver0」ベースの憲法から導かれた「必要最小限度の自衛力」と、今の「ver1」がいう「個別的��衛権(集団的自衛権)」は、別のものになってしまう。ベースにしているモノが違えば、導かれるモノも違ってくるだろうからだ。 ■そのことの矛盾がどんどんあらわになってきているのが今だろう。
■その現状を踏まえてか、「であれば日本国憲法の文言を、国連ver1に沿うように解釈すればいいではないか」という発想がでてきた(「その現状を踏まえてか」というのは自分の解釈であって、論者の意図とは違うかもしれない)。 ■具体的には憲法9条1項は「パリ不戦条約≒国連憲章2条4項の文言の焼き直し」と言われる。そして、国連憲章2条4項は、交戦権の行使は否定しているが自衛権の行使は否定していない。 ■その「焼き直し」ならば、日本国も「自衛権」は否定されていないということになる。つまり、9条1項は「国連の仕組みに従う」ということを言っているのと同じであり、よって「個別的/集団的自衛権」は否定されない。 ■また9条2項は、1項の目的を達成するため--交戦権は行使しないが、自衛権は行使するようにするため--陸海空その他の戦力を持たない。つまり自衛権行使用の軍隊は持つが、それを使って交戦権は使わないの意味になる。 ■さらに「国の交戦権は、これを認めない。」は、前段ですでに「使わない」としてあるので「冗長」か「念押し」と解釈。 ■このように国連ver1向けに解釈しなおせば、文言はそのままでも、自衛隊を「自衛権のみを行使する軍隊」と位置付けることが可能になる、という。
■素人の疑問として「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」の文言と「個別的/集団的自衛権の行使」は整合性がとれるのか?とは思う。 ■ならず者国家Xが違法武力で攻めてきた時、それを思いとどまらせるために武力(自衛権の行使)を使うことだって「国際紛争を解決する手段」なんじゃないの?思いとどまらせて解決を図るんだから。 ■それを「不戦条約≒国連憲章の焼き直しなんだから」一発で乗り切れるのかなあとは思う。
■とはいえ、現状は国連ver1なのだから、それに沿う解釈に「解釈護憲」することは、それなりに有効ではあると思う。現状が「ver1」なのに「ver0」寄りで解釈していくと、どんどん事態がこじれていくのだから。 ■しかしながら、自分としては、国連は「ver0」の理想をゆくゆくは現実にしてほしいと思っている。だから、「国連ver0」ベースの解釈も「削除」しないで欲しいと思う。そこで「凍結」という言い方を使いたい。
■これらのことをまとめると、日本国憲法に盛り込んでほしいことは… ①:日本国は、侵略戦争、自衛戦争、自衛権の行使…これら全てのための武力を放棄することを理想としては掲げるが、現状は凍結する。 ②:凍結されている間は、国連の仕組みに従い、個別的自衛権・集団的自衛権・集団安全保障への武力の差出し…を否定しない。 ③ただし、国連が理想状態に達したならば、①で凍結していたものは即解凍する。また、解凍実現のための努力もする。 ■これが自分の憲法の考えとなる。このことを「9条凍結解釈護憲派」と呼ぶことにして自分のスタンスとする。
■ちなみに、今や日本では「イワクツキ」となった「集団的自衛権」だが、自分は「行使を容認すべきか/すべきでないか」という問題設定にはのらない。なぜなら、米軍に基地を貸して、そこから米軍が出軍している時点で、すでに集団的自衛権は行使されているのだから。 ■そのうえで、すでに行使されているのに「これからは行使を容認します!」と大声で言うことには批判的だ。なぜなら、すでに行使されている状況で「これからは行使していきます!」と叫ぶことは「前のめりで使います」に近い意味を持ってしまうからだ。 ■そこまで大声で叫んでおいて、いざ北朝鮮からグアムにミサイルが飛んで行った時、撃ち落とそうとしなければ「嘘つき」になってしまう。「お前、あんなに高らかに行使しますって言っといて行使してないじゃん。ウソつきじゃん。だったら俺らだって行使しないから」とアメリカに言われてしまう。すると「権利」なのに「行使一択」になってしまう。「行使しない」という選択肢が事実上奪われてしまう。 ■そして行使すれば、当然、北朝鮮に睨まれる。「よくもミサイルをブロックしやがったな!」と。そこから先は……考えただけで頭が痛くなる。昨年「大声で叫んだ人たち」に責任をとってもらいたい気持ちでいっぱいだ。 ■よって自分は、集団的自衛権については「小声で行使派」だ。
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北朝鮮の錬金術 暴かれる実態サイバー攻撃で他国中央銀から巨額資金奪取 フロント企業駆使し不正な国際金融取引 2017年6月7日
核兵器や弾道ミサイルの開発を加速させる北朝鮮に対し、国際社会の懸念が日々高まる。国連安全保障���事会は繰り返し制裁決議を採択し、包囲網を狭める。だが、北朝鮮はフロント企業を利用した不正な国際金融取引や、他国の金融機関を標的にしたサイバー攻撃による資金奪取など錬金術を駆使し、包囲の網をくぐり抜ける。【ワシントン会川晴之、岩佐淳士】
制裁かいくぐり、核・ミサイル資金を調達
試射が行われた地対地中長距離戦略弾道ミサイル「北極星2」型=2017年2月13日、朝鮮中央通信=朝鮮通信
「北朝鮮と見られる金融機関へのサイバー攻撃は、失敗に終わった米国向けなどを含めて世界31カ国、被害総額は1億~1億2000万ドル(約110億円~130億円)にのぼる」
米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のサイバー・セキュリティー専門家、ジェームズ・ルイス副所長は毎日新聞の取材にこう答えた。
被害額が最も大きかったのは2016年2月のバングラデシュ中央銀行の8100万ドル(約89億円)。ルイス氏によると、手口は日本でもよく使われる「フィッシングメール」と呼ばれる偽メールを中銀の行員に送りつけ、それとは知らずにメールを開いた行員から、ユーザーネームや暗証番号を盗み出して銀行内のシステムに侵入。行員を装いバングラ中銀がドル資金を預けてあるニューヨーク連銀の口座からフィリピンの銀行への送金を指示して奪い取った。14年のソニー・ピクチャーズエンタテイメントなどへの攻撃と同じ手法で、北朝鮮の関与が確実視されている。
IDカードを盗み出し、それを使って入り口を通り抜けたり、車のキーを盗み、車を持ち逃げしたりする手口と同じだ。100本のメールを送りつければ「5~20人が引っかかる」ほど成功率が高い。その上「映画に出てくるような銀行強盗と違い、身を危険にさらす必要もない。極めて簡単で安価。これを使わない手はない」と、ルイス氏は解説する。
北朝鮮は同様の手口で、東南アジアやインド、中南米諸国の金融機関にも攻撃を仕掛け、毎回、数百万ドル(数億円)規模の資金を盗み出した。ルイス氏は、資金の受取人が北朝鮮が長年の間に世界中に構築したマネーロンダリング(資金洗浄)の関係者と見て「伝統的な手法にサイバー攻撃という新しい手法が重なった高度なオペレーションだ」と分析している。
北朝鮮は、海外の租税回避地(タックスヘイブン)などに設立した多数のフロント企業を駆使して国際金融取引も続ける。安保理決議が禁じる武器や鉱物資源取引で稼いだ資金を本国に送金、核・ミサイル開発資金に充てるほか、必要物資を海外から調達する際の国際送金に利用している。
特に、米財務省が北朝鮮の主要行を制裁し、国際金融システムから締め出された09年以後にその活動を本格化させた。米司法省によると、北朝鮮は中国企業「丹東鴻祥実業発展」(DHID)に不正取引を依頼。昨年9月に摘発されるまで、少なくとも22社を英領バージン諸島やセーシェル、香港などに設立して巧みに国際監視網をくぐり抜けていた。
米上院外交委員会のマルコ・ルビオ上院議員らは「この事例は氷山の一角にすぎない」と指摘、ムニューシン米財務長官に、不正取引に関わった中国の主要行への調査開始など、中国への圧力強化を求めている。ティラーソン米国務長官は「中国を試している」と述べ、当面は中国の対応を見守る一方、状況が改善しない場合は中国にも制裁を科す構えも示すなど、米中間でも激しい駆け引きが続いている。
北朝鮮ハッカーが「フィッシングメール」 狙うはドル資金
北朝鮮の書籍などを取り扱う貿易業者の事務所内
犯行は2016年2月4日(木)の午後9時前に始まった。イスラム教国のバングラデシュは、翌日から休日。多くの中央銀行の行員が仕事を切り上げ家路についていた。その間隙(かんげき)を突き、北朝鮮のハッカーが「フィッシングメール」と呼ばれるサイバー攻撃の手法で盗み取ったパスワードで、中銀のシステムに侵入する。標的は、バングラ中銀がドル資金決済用に米ニューヨーク連銀に預けてある巨額のドル資金だ。
バングラとの時差が11時間あるニューヨークに最初の送金指示書が届いたのは、4日午前10時前。指示通りに4件、8100万ドル(約89億円)がフィリピンの銀行に振り込まれた。4時間にわたり計35件の送金指示が届いたが、その多くは送金を経由する米銀行が「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある」と送金を拒んだため不首尾に終わる。すべてが成功していたら、被害総額は約10億ドル(約1100億円)に達していた。
フィリピンでは翌5日(金)以後、次々と資金が引き出される。だが、バングラ中銀幹部は、この日午前に休日出勤したものの、サイバー攻撃のため送金指示を印刷するプリンターが故障していたため事件に気づかなかった。この幹部はプリンターの修理を指示して昼前に銀行を後にする。
ようやく不正に気づいたのは8日(月)。バングラ中銀はNY連銀やフィリピンの銀行に至急電を送り、預金凍結などの措置を求めた。だがニューヨークは未明の時間帯。フィリピンも、この日は春節を祝うための休日で、いずれとも連絡が取れない。全世界250カ国・機関のドル決済口座があるNY連銀は事件後に休日でも24時間、連絡を取り合う態勢を整えるが、後の祭りだった。
フィリピンの銀行に振り込まれた8100万ドル(約89億円)は、いったん偽名口座に振り込まれた後、仲介人を通してカジノの経営者など賭博施設関係者に振り込まれた。賭博会社を経営する中国籍実業家が約1500万ドルを返還したものの、残りの6600万ドル(約73億円)の行方は、いまだに不明だ。
フィリピンをはじめ各国はマネーロンダリング(資金洗浄)を取り締まる法律を整備している。だが、カジノなど賭博施設はマフィアが絡むためなのか、フィリピンでは規制対象外となっている。北朝鮮は、その「穴」を巧みに突いた可能性もある。
バングラ中銀が狙われた約3週間前、南米エクアドルでも同様の手口で900万ドルが奪い取られる事件があった。被害にあったのは地元の民間金融機関。1月14日深夜に140万ドルを香港の口座に不正送金されたのを手始めに、10日間で12回の疑わしい送金が繰り返された。いずれの送金も業務時間外で、一度も振り込まれたことがない振込先だった。
サイバー・セキュリティーの専門家であるCSISのルイス副所長は毎日新聞の取材に「北朝鮮のサイバー攻撃技術は、過去5年間で進歩を遂げており、技術水準は比較的高い」と解説。バングラ中銀などの金融機関から多額の資金を盗み出したことについて「国家による初めての国際的金融機関に対する犯罪」と指摘した。国連安全保障理事会などによる制裁が強化されても、サイバー攻撃は「極めて制約もなく、制裁を受ける危険も少ない。北朝鮮が諦めるはずがない」と、今後も同様の攻撃を仕掛ける可能性が高いと懸念を示した。
租税回避地のペーパーカンパニー 監視網を容易にくぐり抜け
金正日総書記誕生75周年(2月16日)を祝う氷の彫刻祭典に展示されたミサイル、水爆などを模した作品=両江道三淵郡で2017年2月6日、朝鮮中央通信=朝鮮通信
「北朝鮮の銀行口座を開きたい。協力してくれないか」。米東部ニュージャージー州連邦地裁の資料によると、2011年6月、こんなメールがパナマの法律事務所に舞い込んだ。発信元は北朝鮮国境の町、中国遼寧省丹東で幅広く中朝貿易を営む「丹東鴻祥実業発展」(DHID)の総支配人(45)だった。
だが、パナマの法律事務所は「国際的な制裁を受けている北朝鮮の企業や役員は口座を開設できない」と断った上で、こんな提案をする。「租税回避地のペーパーカンパニーならいくつでもご用意できる」。昨年、富豪や企業が資産隠しや税逃れで利用したとして世界を揺るがした「パナマ文書」に書かれた手口と同じだ。
総支配人は2日後に返答を送り、2週間後に提示されたリストから、セーシェル、英領バージン諸島の5社を購入することを決めた。「サクセス・ターゲット・グループ」(英領バージン諸島)、「ベスト・フェイマス・トレーディング」(セーシェル)などと名付けられたこれらの企業は、転売目的に設立された企業。業界では、本棚に並ぶ本を販売することに例えて「シェルフ(��棚)企業」と呼ばれる。取得にかかった手数料は、1社につき、わずか1100ドル(約12万円)だった。
こうしたフロント企業を駆使し、DHIDは北朝鮮との交易を拡大する。創業者である馬暁紅会長(45)は、「北朝鮮と世界を結ぶ黄金の橋」と自らの会社を位置づけ、石油や石炭など対北朝鮮貿易を幅広く手がけた。中朝貿易の2割以上を1社で手がけたと言われ、昨年9月に中国当局に摘発されるまで遼寧省の全人代代表を務めた。中朝両国の実力者に「トヨタの高級乗用車」を配るきめ細かい気配りも功を奏し、丹東一の女性富豪として名を上げていく。
北朝鮮の金融取引を代行するビジネスに手を染めたのは09年8月に、米財務省が北朝鮮の主要銀行に制裁を科したのがきっかけだ。米ドルを使う金融取引は、必ず米国を経由する必要があり、これが禁じられた。中国人民元やユーロなどの他の通貨での取引は可能だが、面倒な手続きを嫌う相手が多いのが実情で米ドル取引は不可欠だ。当初は、DHID自体が代行業を務めていたが、国際的な監視網強化を背景に11年以後、足がつきにくいフロント企業の設立を進めた。
フロント企業は、セーシェル、バージン諸島のほか、香港など22社にも及んだ。いずれの企業も中国など国内外の金融機関に口座を開設、北朝鮮との金融決済に使った。国連安保理や米財務省の制裁対象となっている北朝鮮の金融機関や企業の名前が一切出ないため、国際的な監視網を容易にくぐり抜けることができる。中国では、4大銀行に名を連ねる中国工商銀行など12行に口座を開設した。
「香港に設立された13社のフロント企業のうち11社が登記されている場所を訪ねた。だが登録された別の会社の名前がかかっているだけだった」
香港の繁華街ワンチャイ(湾仔)にあるフロント企業。その所在地を16年6月に訪ねた米司法省の担当者は、報告書にこう記した。「しばらく待機したが、ビルは閑散としており、一人として出入りするのを見つけられなかった」。実態のないペーパーカンパニーが密集するビルだった可能性が高い。
米司法省係官は、英領バージン諸島に登記されたフロント企業も訪ねている。だが香港と同様の状況で手がかりは見つけられない。「登記簿を見ると、同じ住所には制裁対象の北朝鮮の銀行のフロント企業もあった」と記し、北朝鮮がDHIDだけでなく独自のフロント企業も使い国際的な闇取引をしている可能性を指摘している。
実態は「抜け穴」だらけの安保理「制裁決議」
平壌の氷上館(アイススケートセンター)で開幕した金正日総書記の誕生日(2月16日)を祝う第25回白頭山賞国際フィギュアスケート祭典=2017年2月15日、朝鮮中央通信=朝鮮通信
国連安全保障理事会は、核兵器や弾道ミサイル開発を加速する北朝鮮に対し、06年10月以後、7回の制裁決議を採択している。中でも16年3月に採択された決議は「かつてないほど強力な制裁」と言われ、北朝鮮の経済活動を締め上げる要素が多数盛り込まれている。だが国連加盟国の関心は低く、実態は「抜け穴」だらけの状態が続く。
ティラーソン米国務長官は5月3日、国務省での演説で「どの国として安保理決議を完全に実施している国はない」と怒りをぶちまけた。安保理制裁の実施状況を監視するため09年に設立された国連専門家パネルは毎年、300ページにも及ぶ報告書を発表する。現地調査に基づく綿密な内容だが、目立つのはほころびばかり。ある専門家は「国連決議の文面は立派だが、絵に描いた餅にすぎない」と指摘する。
今年2月末に公表された報告書では、東南アジアやアフリカ諸国の実態があぶり出された。中でも2月に金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の義兄である金正男(キムジョンナム)氏が暗殺されたマレーシアの実態が目を引く。
国連報告書が注目したのは、軍事用通信機器メーカーの「グローコム」。少なくとも05年ごろから営業を開始した。香港などアジア市場で格安の部品を買い集め、これを組み立て途上国に売る。不正行為が発覚したのは昨年7月。中国から、アフリカ北東の小国、エリトリア向けの航空貨物から、軍事用無線機器などが見つかった。
この会社を実質支配するのは「パン・システムズ」平壌支店。シンガポール企業の「平壌支店」の形を装うが、実態は朝鮮人民軍の工作機関・偵察総局の傘下にある。平壌支店の代表を務めるリャン・スニョ氏(57)は、日本生まれの北朝鮮人女性。14年2月、マレーシア国際空港で仲間2人と共に現金45万ドル(約5000万円)を持ち出そうとして一時拘束されたこともある。このネットワークは、武器密輸に限らず、秘密資金の移動にも手を染めていた可能性が指摘されている。
マレーシアは1973年に北朝鮮と国交を樹立、反米主義者だったマハティール政権(81~2003年)時代に政治、経済両面での交流を活発化させた。金正男氏暗殺までは、双方の国民はシンガポールなどと同様、ビザ無しで渡航ができる関係にあった。
国連パネルの調査団は、専門家が「北朝鮮にとって『天国』のような地域だ」と表現するアフリカ諸国にも足を運んだ。
アンゴラを訪問したのは16年9月。北朝鮮の軍人が大統領警護隊にマーシャルアーツ(東洋の武術)を教えているとの情報を確認するためだ。だがアンゴラ政府は「1990年から続いているものだ」と返答、調査団は「安保理決議で禁止されている」と伝えたものの返事は無かった。このほか▽モザンビークへの戦車など武器輸出▽コンゴ民主共和国への拳銃や軍事訓練の提供▽ナミビアでの大規模な軍事施設建設への関与――などが指摘されている。
米国務省で長年、不拡散を担当した元高官は、取材に「アフリカには東西冷戦時代から北朝鮮に軍事支援を受けた国も多い。現在も、北朝鮮の安価な武器や労働力は、そうした国々にとっては魅力的に映る」と解説した。
米国「北朝鮮包囲網」構築へ欧州外交を本格化
米国は、こうした穴をふさぎ、北朝鮮「包囲網」を築くため外交を本格化させている。従来は、どちらかというと北朝鮮問題への関心が薄かった欧州諸国を説得するため、北朝鮮問題担当特使をブリュッセルに派遣。北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の会議に参加させた。ドイツでは、ベルリンにある北朝鮮大使館が旅行者向けの宿泊施設に転用されるなど、安保理決議違反がまかり通っている実態もあるためだ。
アジア諸国にも圧力をかける。ワシントンで5月初旬に開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会合で、制裁の完全実施を呼び掛けた。ティラーソン米国務長官は「毎日5~6カ国に電話」し、「制裁強化策をお手伝いする」と呼び掛けている。
米国の努力が実を結ぶか。ティラーソン氏は、米国の努力不足などもあり、国連制裁の達成度は「まだ20~25%にある」と述べ、包囲網構築に執念を燃やしている。
ポーランドの北朝鮮技師 実態は「奴隷労働者」
金日成主席の誕生105周年慶祝閲兵式に登場した砲=平壌・金日成広場で2017年2月15日、朝鮮中央通信=朝鮮通信
1980年代初頭、ワレサ議長率いる自主管理労組「連帯」発祥の地となったポーランド北部の港町グダニスク。2006年、かつて「レーニン造船所」として知られた造船所に、北朝鮮造船技師が働くと聞き、現地を訪ねた。
28人の北朝鮮労働者は、ポーランドの派遣業者が借り上げた郊外にある一軒家に居住する。中には卓球台などの娯楽施設もあるという。毎日、リーダー役がマイクロバスを運転して通勤、食事は自炊だ。月に2回、監視を兼ねてワルシャワの北朝鮮大使館員が「キムチを持ってやってくる」。
欧米では「奴隷労働者」と呼ばれる北朝鮮労働者。派遣業者によると月給は円換算で16万円。このうち5万円を労働者に支払い、残りは北朝鮮の国営企業に直接、振り込まれる。だが公務員の給与が月額10ドル(約1100円)未満と言われる北朝鮮の労働者には、魅力的だ。
取材に応じた「ツバメ」と呼ばれる精悍(せいかん)な顔つきのリーダー役は「家族と離れて暮らすのはつらいが、腹いっぱい食べられるしビールも飲める。毎日、誕生祝いをしているようだ」と笑顔を見せた。夢は、���いだ資金を元に祖国でビジネスを始めることだ。
北朝鮮の実情に詳しい東アジア貿易研究会の報告書によると、平壌では食生活向上を背景に、キムチや麺などを市場で買い求める世帯が半数近くに達するという。その中でもブームは「腰のある」細麺。従来は太麺が主流だったが、電圧が弱いため「腰のある」麺がなかなか打てず、時には麺が溶けおかゆのように溶け出してしまう。中朝貿易を幅広く手がけた丹東鴻祥実業発展の主要取扱品の中にも、この中国製の製麺機が登場する。スモールビジネスでひともうけしたい。「奴隷労働者」だけでなく、多くの庶民がそんな夢を抱く。
ポーランドでの北朝鮮労働者の評判は上々だった。造船所の副所長は「腕が立つ職人ばかりだ。もっと増やしたい」と取材に答えた。その言葉通り、この造船所で働く北朝鮮労働者は156人に増え、ポーランド全体で800人に増えたと言われる。
米国務省でマネーロンダリング(資金洗浄)対策を長年手がけたアンソニー・ルッジェーロ氏は「少なく見積もって年5億ドル(約550億円)の資金が本国に送金されている」と、派遣労働者からの送金が北朝鮮の核・ミサイル開発に役立っていると指摘する。米国務省の「北朝鮮に関する人権報告書」によると、中国、ロシアなどを筆頭に、中東、アジア諸国、アフリカ諸国など23カ国で派遣労働者が働く。
ロシアの資料によると、15年には約4万7000人の北朝鮮労働者の就労が認められた。中国人の約8万人、トルコ人の約5万5000人に次ぐ規模で、その3分の1が北朝鮮と国境を接するロシアの沿海州。農閑期に当たる冬に「出稼ぎ」として建設業を中心に携わる。「北朝鮮労働者は習熟度、規律、賃金の安さが魅力」と、ロシアでの評判も上々だ。
国連安保理は昨年11月に採択した6度目の北朝鮮制裁決議に、こうした派遣労働者の存在に「留意」するという言葉を盛り込んだが、禁止には踏み込まなかった。中露両国の反対が背景にあったとの指摘もある。業を煮やした米議会は、不当に安価な賃金で派遣労働者を雇う企業や個人を米政府が「制裁対象にする」という新法の制定を目指している。近い将来、こうした労働者の海外派遣が禁止される可能性がある。
「BDAの教訓」各省庁の利害がぶつかる金融制裁
平壌の4・25文化会館で行われた朝鮮人民軍協奏団の建軍85周年慶祝音楽舞踊総合公演=2017年4月25日、朝鮮中央通信=朝鮮通信
ブッシュ(息子)政権は2005年9月19日、マカオにある金融機関「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)を、マネーロンダリング(資金洗浄)に関わっているとして制裁を発動した。同行には北朝鮮指導部の対外活動資金があったため、北朝鮮は強く反発。翌06年10月の初の核実験に向けて動き出すきっかけになる。
「あの時は、北朝鮮が関わる5~10の金融機関を制裁候補に挙げて議論を重ねた」。当時、米国家安全保障会議(NSC)で担当者を務めた米中央情報局(CIA)のデニス・ワイルダー前副次官補(東アジア・太平洋地域担当)は、毎日新聞の取材に答え始めた。金融制裁をめぐる議論には、NSCだけでなく財務省、国務省、司法省、CIAなど情報機関など多数の政府機関が参加した。だが、金融制裁実施という総論では一致するものの、各論に入ると各省庁の利害がぶつかる。
この議論に参加した国務省元高官(不拡散担当)は取材に「制裁の実効性を高めるためには他国の協力が不可欠だ。そのためには各国に情報を提供しなければならない。だが機微な情報を他国に渡すと漏れてしまう危険がある」と説明する。こうした議論を経て「結局、候補のうち真っ黒なBDAが選ばれた」と話した。
「制裁実施は狙いを絞ることが重要だ」。この決定に関わった米財務省のダニエル・グレーザー前次官補(テロ資金担当)は指摘する。「我々の目的は、北朝鮮の核・ミサイル計画を止めること。それに尽きる」と取材に答えた。制裁候補には一時、ウィーンを本拠地に、欧州のぜいたく品を買い付ける際の決済銀行である「金星銀行」の名も挙がったが、「核・ミサイル開発に関係ない」という理由で退けられた。
グレーザー氏は「BDA制裁は予想以上の効果を上げた。その成果はいまも生きている」と話す。最大の効果は、米国からの制裁を恐れて世界中の金融機関が北朝鮮との金融取引を避けるようになったことだ。例として挙げられるのが14年、シンガポールで摘発された事件だ。
シンガポールの海運代理店は、1980年代から北朝鮮との取引があった。外航船の運航には入港料や水先案内人への手当支払いなど外貨取引が必要だ。だが05年のBDA制裁を機に、多くの金融機関が北朝鮮との金融取引を拒否する。ミサイルや武器の輸出などで外貨を稼ぐ北朝鮮にとって、海運が滞るのは一大事となる。
窮地を救ったのがこの代理店だ。「1回につき50ドルの手数料」を取り、北朝鮮の業務を代行した。13年7月にキューバからミグ21戦闘機2機やエンジンなどを砂糖袋の下に隠して輸送していたとしてパナマ当局に摘発された北朝鮮船籍の貨物船「清川江(チョンチョンガン)号」のために、パナマ運河の通航料7万2000ドルを立て替えたことで足がついた。立件直前まで、この海運代理店は605回、4000万ドル以上の送金の肩代わりを務めた。手数料だけで3万ドルを稼いだことになる。
「北朝鮮制裁はモグラたたき」表情曇る専門家たち
中国・丹東の「丹東鴻祥実業発展」(DHID)のように制裁をかいくぐる例は後を絶たない。その理由について、元米財務省のグレーザー氏は「中小銀行が取引の中心を占めることが最大の理由だ」と解説する。4大銀行など中国の主要金融機関は、米国をはじめ国際的な取引が多いため、米国当局の制裁を極度に恐れる。このような金融機関にとって「北朝鮮との取引は無視できるほど小さい」ため、リスクの大きい北朝鮮取引を避けようとする。
だが中小金融機関の事情は違う。米国どころか海外に支店を持たないため、米国の制裁対象になることを恐れる必要がないからだ。こうした事情を知り尽くす北朝鮮は、取引のあるなじみの業者やフロント企業を使い、国際金融取引を続ける。
では、追加制裁を準備する米国の次の一手は何か。長年、国務省で北朝鮮などのマネーロンダリング対策を担当したアンソニー・ルッジェーロ氏は「財務省、国務省が各国政府や企業と協議し、もう大目には見ないと圧力をかけ続ける。さらに違反した金融機関に課徴金をかける手段が有力」と見る。
米司法省は、イランやキューバ制裁に違反したとして14年にフランスの金融機関大手BNPパリバ銀行に約90億ドル(約1兆円)の罰金を科した。今年3月には、米商務省がイランや北朝鮮に不正に通信機器を販売したとして中国の大手企業に過去最大の11億9000万ドル(約1360億円)の罰金を科した例もある。これと同様の手法を使うという読みだ。
もし4大銀行など主要行を制裁し、米国内の資産凍結などに踏み切った場合、中国経済は大きな打撃を受ける。下手をすれば世界金融恐慌の引き金にもなりかねず、米国や日本、欧州諸国も大きな「返り血」を浴びる。1997年11月、日本の4大証券の山一証券は倒産ではなく「自主廃業」という異例の措置を取った。当時の大蔵省幹部は取材に「倒産を選べば、山一に巨額の債権を持つ中国銀行の経営不安につながる。金融危機が拡大することを恐れた」と説明した。
それから20年。中国の金融機関は世界の主要プレーヤーに育った。当時以上に、本格的な制裁は世界の金融システムを揺さぶる。
米国の新たな一手は、北朝鮮の国際的な不正行為撲滅につながるか。その効果を尋ねると、専門家たちの表情は曇る。北朝鮮は生き残りをかけて、抜け穴を探し回っているためだ。
元米国務省のルッジェーロ氏は「北朝鮮制裁はモグラたたきに似ている。ひとつをたたくと、ひとつが浮かぶ」と話し、新たな制裁後も北朝鮮が新たなフロント企業や協力者を作り上げ、数カ月以内に同様の取引を再開するに違いないと見る。「難しい過程だが、ためらってはいけない。行動に移さなければ事態は悪化する一方だ」。ルッジェーロ氏はそう力を込めた。
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中国が慄いた「台湾有事」の安倍発言
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櫻井よしこ
「昨日(12月2日)、たまたま一緒に食事をしました。菅さん、萩生田さ ん、加藤勝信さんと。大変元気な姿を見て嬉しくなりました」
3日の「言論テレビ」で安倍晋三元首相は菅義偉前首相についてこう語っ た。安倍・菅両氏の間に隙間風が吹いているとの言説については、
「私と菅さんとの人間同士、政治家としての絆は他の人にはわからないで しょう。相当強い絆で結ばれていると私は思っていますから、隙間風の吹 く隙間もないと思います」
安倍氏は、自身が病気で急に退任したとき菅氏が後を引き受けてくれたこ とへの感謝を、言葉を尽くして語った。
「菅さんは本当に立派な仕事をされた。不可能と思われたワクチン接種一 日100万回も、多いときは170万回くらいまで行き、アメリカを追い越し た。私に対しては寝食を忘れて官房長官職に打ち込んでくれた」
菅氏に届けたい言葉である。安倍氏は約10年振りに派閥に戻った。党内最 大派閥の長としての氏の発言には確実に世界の政治を動かす力がある。
たとえば台湾問題だ。習近平国家主席の下での台湾侵攻の可能性につい て、世界中であらゆる分析がなされている。そうした中、安倍氏は12月1 日、台湾の国策研究院主催のシンポジウムで「台湾有事は日本有事であ り、日米同盟の有事である。この点の認識を習近平国家主席は、断じて見 誤るべきではない」と語った。
同発言への中国側の反応の激しさは驚く程だった。外務次官補、華春瑩氏 は1日の夜中に垂秀夫駐中国大使を呼び出し、「極めて誤った言論で中国 の内政に乱暴に介入した」と、「厳正な申し入れ」をした。
「批判への免疫力」
中国外務省の汪文斌報道官は「中国人民の譲れない一線に挑む者は誰であ れ、必ず頭をぶつけ血を流す」と非常識なコメントを発表し、国務院の馬 暁光報道官は「安倍晋三は黒を白と言いくるめる」と非難した。台湾問題 への国際社会の支援を、中国がどれ程恐れているかが見えてくる。安倍氏 が笑った。
「私は総理を退任し、一国会議員です。その私の発言にこのように注目し ていただいたことは大変光栄です。私はこれまでに様々な批判を受けてき ましたから、批判への免疫力は強い。これからも言うべきことは言わなけ ればと思っています」
注目すべきは中国共産党の機関メディア、環球時報の報道だ。彼らは「安 倍発言について、岸田首相は事前に知らされ、黙認していたはずだ。岸田 は安倍の影響を振り払うことができない上、台湾カードで米国の機嫌をと り続けなければならない」と報じた。
たしかに岸田首相は発言内容を事前に知っており承諾したと見てよいだろ う。安倍氏はセミナーの前月、官邸で岸田氏と会っており、今回の発言は 首相と元首相の高度な政治的連携プレーだったと思う。
安倍氏が台湾問題で踏み込んだ背景について説明した。
「台湾海峡の平和と安定の重要性は国際社会が共有する認識です。しか し、10月には4日間で中国の戦闘機が149機、台湾の防空識別圏に侵入しま した。中国はこの30年間で軍事費を42倍に増やし、台湾に圧力をかけてい る。万が一、武力で現状変更を試みて台湾有事になれば、日本有事です。 (与那国島などの)先島諸島は距離にして100キロメートル余り、平和安 全法制上の重要影響事態になり、日米同盟に関わってきます。即ち台湾有 事は日米同盟有事に発展する。こうしたことをはっきり相手に示すこと で、偶発的な衝突を防ぐことにつながります」
安倍氏の発言は国際社会の思いを代弁するものだ。本来なら林芳正外相が 発信してもよいメッセージであろう。だが安倍氏が発言したことで岸田政 権に直接の負担を与えることなく、日本国の立場を示す役割を担った。そ の言葉に台湾の人々だけでなく日本国民も安堵したはずだ。中国の軍事的 脅威は、それほど身近に迫っている。
中国の軍事力の急拡大、とりわけ核弾頭の急増によって生じる新たな危機 について安倍氏が説得力ある説明をした。
現在米軍の力は中国軍を圧倒しているが、アメリカは全世界に展開してい るため日本や台湾が位置するこの「戦域」では中国の軍事力の方が「相当 優勢」だ。日中の軍事力の比較では、水上艦艇、潜水艦、戦闘機などで中 国はわが方の倍近くだと安倍氏は指摘する。
だが、日台周辺の戦域で中国が優勢であるとしても、地球規模の「戦略 域」で米国が圧倒的優勢を保っていれば中国は手を出せない。その戦略域 での力の優劣を決めるのが核兵器だ。
日本を狙うミサイル
中��が猛烈に核弾頭を増やしていることは米国議会や国防総省がすでに明 らかにしている。2030年には中国の核弾頭は現在の350発から1000発にな る。そのことがもたらす危機を安倍氏が説明した。
「米国は5500発の核弾頭を有していますが、新START条約で配備でき るのは1550発に制限されています。中国が1000発の核を持って配備すれ ば、米中の力が均衡に近づきます。戦略域で均衡に近づき、戦域で力が上 回っていたら、冒険的なことに挑む懸念があるというのが専門家の指摘です」
中国が冒険主義に走る危険性が生まれつつあるのだ。しかも脅威は核だけ ではなく、サイバーや電磁波、宇宙の領域にも広がる。
こうした状況下で日本は何をすべきか。何よりもまず日本国の守りを固め ることだろう。そのためには中国が展開する第一列島線戦略を阻止しなけ ればならない。中国に第一列島線を押さえられれば、米軍は日本周辺にも 台湾周辺にも近づけない。だからこそ、日米が協力して第一列島線を押さ えることだ。
「第一列島線を守るには、基本として中距離ミサイルの配備が必要です。 そのミサイルを米国に頼るのでなく、わが国のミサイルを配備すべきで す。三菱重工にはその技術があります」と安倍氏。
中国は日本を狙うミサイル2000基を配備済みだ。北朝鮮もわが国を狙うの に十分な1000キロ超の弾道ミサイルを保有する。韓国は米国との協議でこ れまでミサイルの射程を800キロ以下に制限していたが、今年5月、その制 限を撤廃した。韓国のミサイルも日本を射程にとらえることになったので ある。
日本周辺はいま、地球上のどの地域よりもミサイルの密度が高い地域なの だ。自力で国を守るために、日本製のミサイルを配備するのは理に適って いる。十分な力を持って初めて国民の命も国土も守れる。安倍氏の主張 を、朝日新聞などは恐らく激しく批判するだろう。しか���、現実を見据え た安倍氏の主張は正しく、岸田首相も支持するだろう。
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5月末、米国政府が議会に対して対中国政策の総括を改めて宣言する公文書を送った。
米国政府は同文書で、中国が米国主導の国際秩序を根底から壊そうとしていると断じ、その野心的な動きを抑えるために中国と対決することを政府の基本方針として明示していた。米国による中国との全面対決新時代の公式宣言ともいってもよい。
その宣言は、日本など同盟諸国と連携しての対中抑止を表明しており、日本の対中政策にも大きな影響を及ぼすことは確実である。
中国が3つの分野で米国にチャレンジ
トランプ政権は「米国の中国に対する戦略的アプローチ」と題する公式文書を5月下旬、連邦議会あてに送った。米国政府全体が中国との新たな対決姿勢をとるにいたり、そのための多様な政策を認めるよう米議会上下両院に要請する目的で、新対中政策の骨子を議会に向けて説明したのだという。
トランプ政権は中国政策に関して、オバマ前政権までの長年の歴代政権の「対中関与政策」は間違いだったとして新たな強硬政策をとってきた。この文書は、中国発の新型コロナウイルスが米国にもたらした被害を踏まえて、対中強硬政策の内容を集大成の形で改めて解説している。
16ページから成る同文書は、【序言】【チャレンジ】【アプローチ】【実行】【結論】の5部で構成され、全体として、中国が米国に正面から挑戦する脅威の存在となり、米国および日本など同盟諸国の利益の根幹を侵すにいたったとの見方を示している。同文書の概要は以下のとおりである。それぞれのパートを見ていこう。
【序言】
米国は1979年の中国との国交樹立以来、中国がより豊かに、より強くなれば米国主導の国際秩序に加わり、国内的にも民主化を進めるだろうという期待に基づいて関与政策を進めてきた。だが、この政策は失敗した。
中国はより豊かに強くなった。しかし、共産党政権の非民主的な国内弾圧は強まり、対外的にも米国主導の「開放的で自由で法の支配に基づく民主的な国際秩序」を侵し、周辺諸国に対して軍事、政治、経済の各手段で自国の意思を押しつけるようになった。
米国がとるべき行動は、自陣営の価値観や制度を守り、その正当性を証明すること、中国の制度や価値観の世界への拡大を防ぐことである。またインド太平洋で日本やインド、オーストラリアなどとの団結を強め、中国の危険な行動を抑止する。
【チャレンジ】
現在の中国は以下の諸点で米国に戦いを挑んでいる。
(1)経済的チャレンジ
中国は2001年から世界貿易機関(WTO)に加盟したが、同機関の規則を守らず、自国の不当な市場や生産構造を改善しようとしない。習近平政権は自国産業への違法な政府補助金供与などを停止すると公約したのに止めていない。知的所有権についても米国企業の知的所有権を違法に使用することを続けている。全世界の偽造商品の63%は中国産となった。
中国は「一帯一路」構想を通じて、自国の非民主的、不透明な制度を国際的に拡大しようとしている。環境保護でも中国は国際的な合意や規則を無視している。
(2)価値観へのチャレンジ
中国共産党はマルクス・レ―ニン主義に基づく独自の政治システムを構築し、国家や政府を共産党に従属させている。このシステムは米国の自由な競争や個人の権利に基づく原則と衝突する。
中国は国際的にも中国型の独裁統治を拡大しようとしている。その統治は、競合政党の駆逐、政治活動家への不当な迫害、市民団体の抑圧、言論の検閲と弾圧などが主体となる。新疆ウイグル自治区、チベット自治区ではウイグル人やチベット人を組織的に弾圧し、さらにはキリスト教徒、仏教徒、法輪功・気功集団などの抑圧も進めてきた。
中国共産党政権のイデオロギー的画一性の追求は国内に留まらない。自国の政治思想を対外的なプロパガンダとして世界各国へ発信している。米国、オーストラリア、イギリスなどの市民団体、スポーツ組織、学術団体に影響力を行使し、外国のメディアにも圧力をかける。統一戦線工作による諸外国への干渉も目立つ。
(3)安全保障へのチャレンジ
中国政府は軍事力の行使や威嚇によって、黄海、南シナ海、東シナ海、台湾海峡、インド・中国国境などで自国の利益の拡大を図り、周辺諸国の安全保障を脅かしてきた。
習近平政権は「軍民融合」を国策としており、企業も商業的な取引を通じて中国の軍事目的に寄与させられることが多い。中国政府は「一帯一路」も軍事拡張の手段にすると言明している。
中国の軍事力は、国際的商業取引の輸送路やサプライチェーンの支配にも利用される。中国政府は軍事組織を使って他国の情報や通信の技術を盗用し、サイバー攻撃などを実施する。ファーウェイ(華為技術)やZTE(中興通訊)などの大企業も人民解放軍の指令を受けて他国の安全保障システムに侵入する。
※ ※ ※
米国政府の対中新政策についての公文書は 以上のように中国側の動向を米国へのチャレンジ(挑戦)という特徴でまとめながら列記していた。その内容からは、トランプ政権が中華人民共和国という存在を完全に“敵”と認識していることが明白になる。ただし、一国の政府の公文書で、少なくともまだ戦争状態にはない国を正面から「敵」と呼ぶのは支障がある。そこで「チャレンジ(挑戦)」という言葉に替えているのであろう。
「力」で平和を守り、アメリカの影響力を拡大
では米国側はどう対応するのか。同文書はまず基本姿勢として以下のように述べる。
【アプローチ】
中国は民主主義を貶める目的で、西側の自由民主主義陣営に関する虚偽の情報を流し、米国とその同盟諸国、友好諸国との間の離反を図ろうとしている。
米国は、自由で開放された法の統治に基づく国際秩序を弱め、ゆがめようとする中国の活動を受け入れない。中国共産党の「米国は戦略的に後退し、国際安全保障の誓約も放棄しつつある」という宣伝を断固、排する。米国は、主権、自由、開放性、法の統治、公正、相互主義という価値観を共有する同盟諸国とともに、努力を続ける。
米国は中国側からの対話のための「前提条件」や「雰囲気醸成」の求めには応じない。具体的な結果と建設的な前進だけに価値を認める。中国政府は貿易と投資、表現と信仰の自由、政治の自主と自由、航行と航空の自由、サイバー攻撃や知的財産の盗用、兵器の拡散、国際公衆衛生など、多くの領域で公約を履行していない。中国との合意には、厳格な検証と執行のメカニズムが欠かせない。
米国は、中国の国民との率直な話し合いと指導者の誠実さを求めたい。そのため意思疎通のチャンネルは保ち続けるが、中国との折衝は国益に基づく選別的な関与となる。
【実行】
米国政府は中国に対して、「力に基づく平和」の原則により、自由で開かれた世界の実現を目指す。トランプ政権は過去3年あまりこの基本に基づく戦略を以下のように実行してきた。
(1)アメリカの国民、国土、生き方を守る
司法省は「中国構想」という方針の下、中国の経済スパイ、対世論工作、政治謀略などを取り締まってきた。ホワイトハウスや国務省はそのために米国内の中国の外交官や留学生に新たな規制を課し、中国側の自称ジャーナリストも国家工作員とみなして規制の対象とした。
大統領は、新たな行政命令によって、中国��の米国研究機関への浸透、大学への影響力行使、通信分野への介入、高度技術の盗用などを防ぐ措置をとった。とくに同盟諸国と協力して、中国側の諜報活動やサイバー攻撃への対策の強化を図った。
(2)アメリカの繁栄を守る
米国政府は、高度技術や知的所有権などを盗用する中国の不公正な経済慣行を終わらせ、米国の産業界や労働者、消費者の利益を守る。そのため、中国製品への懲罰的な関税など強硬な手段をとってきた。
米国政府は5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)の分野でも中国の不公正な挑戦を排除して、米国の優位を保つことに努力する。トランプ政権が最近、中国との間でまとめた経済合意の「第一段階」でも、中国が公正な経済慣行に則っているかに注意を払う。米国政府は日本および欧州との提携を強めて、中国の不透明な経済慣行の排除に全力をあげる。
(3)力により平和を保つ
米国は中国の軍事力増強に対して、核戦力の総合的な強化、通常戦力の増強によって抑止力を保つ。中国は世界最大規模の中距離ミサイルを保有するが、米国はその管理や削減のための交渉を呼びかける。中国はサイバー空間や宇宙でも軍備を強化して、超音速の兵器の開発も進めている。米国はそれらの分野でも中国を抑止できる能力を確保する。
中国はとくに東アジア、インド太平洋という地域で、軍事力大増強による覇権の確立を目指している。米国は日本などアジアの同盟諸国と連帯を深め、兵器供与を拡大する。
米国は台湾との非公式な関係をさらに増強する。中国の台湾有事を念頭に置いた軍事大増強に対して、米国は台湾の自己防衛態勢の構築に支援を続ける。2019年に米国は台湾に合計100億ドルを超える兵器を売却した。
(4)アメリカの影響力を拡大する
中国は専制的統治、言論抑圧、汚職、略奪的な経済慣行、民族や宗教の多様性への抑圧を続けているが、米国は国際的な呼びかけを通じてそれらに歯止めをかける。米国の価値観に基づく影響力の拡大を図る。
トランプ政権は、ウイグル人、チベット人、仏教徒、キリスト教徒、気功集団の法輪功信徒らの基本的な人権を守るために支援する。2019年2月には米国務省が初めて「国際宗教自由連盟」の集会を開き、全世界から25の国や地域、民族の代表が集まった。
米国は第2次世界大戦終結以来の国際秩序の堅持を目指し、その秩序の侵食を図る中国の動向に反対してきた。とくに香港の住民の自由は重要である。トランプ大統領、ペンス副大統領ら政権の高官は、中国政府に対して国際公約である香港の一国二制度を保つことを要求してきた。
【結論】
米国政府の現在の中国へのアプローチは、世界最大の人口を擁し世界第2位の経済大国であることへの理解や対応を踏まえた結果を反映している。
米国は中国との長期にわたる戦略的な競合を意識して、原則に基づきながら現実主義に立脚し、米国の利益を守り、影響力を広めることに努めていく。
問われる日本の立ち位置
以上が、トランプ政権の対中政策をまとめた公文書の要点である。この記述から明確になるのは、「中国の現在のあり方を認めない」とする米国の断固たる姿勢だろう。
その姿勢に基づく強固な対中政策では、日本など同盟諸国との緊密な連帯が強調されている。同盟国の日本が、そうした米国の対中姿勢に同調せず、中国と米国の中間に立って仲介役を果たすというような選択肢をとることは、きわめて難しいようである。
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【野口裕之の軍事情勢】
金正男氏の暗殺で蘇る120年前の悲運の朝鮮人 遺体斬刑が 日清戦争の導火線と歴史を 繰り返すのか ー産経 2017.2.27 07:00 北朝鮮の金正日総書記(1941~2011年)の長男・金正男氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺されたテロは、120年の時をさかのぼり、とある悲運の朝鮮人を現代に蘇らせた。
金玉均(1851~94年)
異国の地で、回転式拳銃で暗殺された後、胴体を川に棄てられ、首/片手・片足/残りの手足を、それぞれ自国の別々の地でさらされた。遺体を斬刑に処すのは朝鮮の伝統だ。
李氏朝鮮(1392~1910年)末期、王朝内の守旧派にとって、清国からの完全独立や、大日本帝國が成し遂げた明治維新を範とし朝鮮近代化を目指す金玉均は、目障りこの上ない存在であった。金玉均は日本の立憲君主制をお手本としたが、北朝鮮の「世襲制度」を批判した金正男氏と重なる部分を認める。
金正男氏暗殺以降、安全保障・公安関係者と接触すると、金玉均の話が結構���ち上がる。古今の朝鮮が墨守する恐怖政治の「国柄」にもがき、祖国の守旧派ににらまれた末の悲劇…など、「二人の金」の運命を見つめ直すと、情勢分析の一助になるためだ。
「ひょっとしたら、金正男氏の遺体が北朝鮮に引き取られていたら斬刑に処され、さらされたのでは」と観測する関係者もいた。しかし、最も注目すべきは、金玉均暗殺が《明治二十七八年戦役=日清戦争/1894~95年》の導火線の一つとなった史実。
折しも、韓国は朴槿恵大統領のスキャンダルで、乏しい統治機能が一層低下している。韓国の政治不安と金正男氏暗殺に、北朝鮮の兄弟国・中国がどう出るのかも、不透明だ。
何より、北朝鮮の核・大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を待たず「攻勢」に移る-そんな観測も出始めた米トランプ政権と、体制引き締めに向け戦争を辞さない構えをチラつかせ、揚げ句、間合いを間違え戦争に突入する懸念が排除できない朝鮮労働党の金正恩委員長率いる北朝鮮指導部とのせめぎ合いの結末が気になる。
本年は、朝鮮戦争(1950年~)が休戦中に過ぎぬ現実を、近年なかったほど自覚する年になるに違いない 。
哀れな「事大主義」外交
金玉均の暗殺は明治27(1894)年3月。日本に亡命中の金玉均は上海におびき寄せられ、暗殺された。清国と朝鮮の共同謀略に遭難したのだった。李氏朝鮮の第26代王・高宗(1852~1919年)の妃・閔妃(1851~95年)らを“主役”とする、暗殺前後の経緯はこうだ。
【第一幕】 閔妃は義父・興宣大院君(1820~98年)の有した実権を奪うや、大院君の攘夷政策を一転、開国路線に舵を切り、欧露に先駆けて真っ先に日本と外交条約を締結。日本は朝鮮を、清国の冊封より独立した、国家主権を持つ独立国である旨を明記し、軍の近代化に協力した。
【第二幕】 結果、新旧2種の軍が並列。そこに旧式軍隊への待遇・給与未払い問題が絡み、《大院君派》が旧式軍隊を利用、呼応して1882年、大規模な反乱《壬午事変》を起こす。《閔派》に加え、近代化を果たした日本に学び、朝鮮を清国より完全独立させ、立憲君主国を目指す《開化派》、さらに日本人の軍事顧問や外交官らを殺害・駆逐。大院君は復権する。
【第三幕】 王宮を脱出した閔妃は、朝鮮駐屯の清国軍を頼る。清国は反乱鎮圧などを口実に漢城(ソウル)に軍を増派し、反乱を指揮したとして大院君を清国に幽閉する。閔妃は、清国への依存を深めていく。
日本も日本公使館警備に向け条約を結び、朝鮮に派兵し、日清戦争の火ダネの一つとなる。
【第四幕】 開化派は閔妃の清国服属に反発し1884年、クーデター《甲申政変》を決行する。清国や妻=閔一族に実権を握られていた王・高宗もクーデターを快諾した。が、閔派の通報を受けた清国が1500名を派兵。高宗の求めで、王宮警護に就いていた日本公使館警備部隊150名との間で戦闘となる。結局、3日で制圧される。
【第五幕】 甲申政変の失敗で、開化派の指導者・金玉均は、過去の日本滞在で培った人脈を頼りに、日本に亡命する。慶應義塾の福澤諭吉(1835~1901年)や、政治結社・玄洋社の総帥・頭山満(1855~1945年)、後の首相・犬養毅(1855~1932年)ら欧米列強のアジア侵出を憂うアジア主義者の庇護を受け、再起を期していた。だが、体制固めを強行する閔派にとっては危険分子で、日本に再三、引渡しを要求した。
日本政府は日朝間に犯罪人引渡し条約が締結されていない上、政治犯だとみなして、要求を拒絶した。
【第六幕】 朝鮮側は、今も「国技」として伝承される拉致目的で諜者を日本に潜入させるも失敗。いよいよ、暗殺に舵を切るものの、これもまた失敗に終わる。
日清間で1885年、日清双方の朝鮮半島撤兵と、やむを得ず再出兵するに当たっての事前通告義務をうたった《天津条約》を締結する。条約により日本は、朝鮮の独立を担保しようと考えたのだ。
【第七幕】 朝鮮が送り込んだ刺客と、朝鮮と謀議した在日清国公使館の諜者は、日本国内でジワジワと金玉均に接近。最後は「朝鮮政府の要職に就かせ、必ずや内政改革を担わせる」と、ニセ条件をぶらさげ、金玉均を清国上海におびき出した。日本国内の支援者も罠とみて反対し、金玉均自身も疑ってはいたが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意志で上海に赴き、非業の死を遂げた。
【第八幕】 暗殺成功に大喜びした清国は、逮捕した朝鮮人刺客と金玉均の遺体を清国海軍の軍艦で朝鮮に送り届けてしまう。
【第九幕】 日本人は金玉均に深く同情した。反面、清国・朝鮮の残虐非道の手口や公正を欠く処置を大いに非難した。同時に、日本政府の弱腰姿勢もやり玉に挙げられ、金玉均の遺体引取り運動が起こった。この時点で既に「屍への惨刑」が予想されていた証左。実際、日本政府も「屍への惨刑が朝鮮古来の習慣であろうと、国際の信用を著しく損なう」と申し入れた。ところが、朝鮮側は「古来の刑律」をタテに拒絶する。
【第十幕】 日本の申し入れにもかかわらず、金玉均の遺体はバラバラに寸断された。首と四肢は獄門台にさらされ、胴体は漢江に棄てられた。その後、冒頭述べた通り、首/片手・片足/残りの手足を、それぞれ別の地域に送り、さらした。
本人だけでなく、家族・親族・友人まで罰せられた。
【終幕】 金玉均の遺髪や衣服の一部は密かに日本に持ち込まれ、東京・浅草の寺で営まれた葬儀では、多くの政治家や一般国民が手を合わせた。かくして、日本国内では《清朝同罪論》が熱を帯び、「清国と朝鮮を討伐せよ」といった世論が盛り上がった。
ただし、金玉均の暗殺→遺体への斬刑だけで、激高するほど日本国民は「朝鮮的」ではない。《長崎事件》など、清国とその子分・朝鮮の相次ぐ傲岸無礼に対し、堪忍袋の緒が切れたのだった。長崎事件は、清国なる大国の正体をよく表している。
明治19(1886)年、清国海軍北洋艦隊の定遠など4隻が修理のため長崎港に入港した。勝手に上陸した延べ800名の水兵が2日間にわたり、泥酔し、商店に押し入り金品を強奪したり、交番前で放尿したり、婦女子を追いかけ回す乱暴狼藉の限りを尽くす。鎮圧の官憲と斬り合いになり、清国海軍水兵の他、日本の官憲や一般市民を含む大勢の死傷者を出した。けれども、軍事力で圧倒する清国は謝罪をせず、居丈高な態度を改めなかった。
無論のこと、長崎事件に対する世論の怒りだけでも日清戦争には至らない。
そもそも日清戦争前夜、清国から日本列島南部に、匕首を突き付けるように伸びる朝鮮半島は、わが国の生命線であった。日本の安全と朝鮮半島の安定は同義といってよい。
清国はロシアがアジア進出を狙うシベリア鉄道建設に脅え、朝鮮へのさらなる影響力を確保せんと考えた。日本も同じく、ロシアが朝鮮→日本と侵出してくる事態を国家存亡の危機と認識していた。最悪の場合、清国と戦端を開いても、朝鮮半島の安定=緩衝帯を構築する覚悟が国家戦略となったのである。
かくなる緊張下、役人の汚職や増税に怒る農民が新宗教と結び付いて1894年《甲午農民戦争》を起こす(大院君の陰謀説アリ)。一揆は朝鮮軍を撃破し続け、閔派はまたも清国に援兵を求める。当然、天津条約(既述)上の権利で、日本も出兵を決断。クーデターで閔派を追放した大院君派は、日本に清国軍掃討を要請し、日清戦争に突入する。
振り返れば、わが国は朝鮮を近代化し、清国との主従関係を断ち切らせる他、国家の存続を図れなかったが、肝心の朝鮮の腰はまったく定まらなかった。李氏朝鮮は末期、清国→日本→清国→日本→ロシア→日本→ロシア…と、内外情勢変化の度に、すがる先をコロコロと変えていった。《小》が《大》に《事(つか)える》ので《事大主義》と呼ぶ。強国に弱国が服従する哀れな外交形態だ。
朴槿恵大統領の父、朴正煕元大統領(1917~79年)は暗殺される前「民族の悪い遺産」の筆頭に事大主義を挙げ、改革を模索した。皮肉にも、北朝鮮は「悪い遺産」を嫌悪し自主・自立を意味する《主体思想》を看板に、米国と対立するのみならず、中国にも反発し始めた。
「二人の金」の相違点と類似点
つまり、金玉均は《事大主義》の、金正男氏は《主体思想》の、正反対の主義・思想に押し潰された犠牲者といえるだろう。
他にも相違点はあるが少ない。金玉均が祖国に対するクーデター《甲申政変》を起こした後、金正男の方は金正恩委員長に反旗を翻すことなく、暗殺された点ぐらい。
むしろ、共通点が多い。
(1) 金玉均の遺体は切断されて、さらされた。一方、金正男氏も闇から闇ではなく、ビデオカメラだらけの国際空港という、メディア映像が世界中に拡散しやすい“舞台”が選ばれた。共に国内外の反体制派・不穏分子・亡命者ばかりか、軍人・官僚・外交官への「見せしめ」目的を強く感じる。
駐マレーシアの北朝鮮大使は「遺体の返還」を連呼したが、安全保障・公安関係者の間で、「金正男氏の遺体の斬刑」可能性が流れるのには、理由がある。
北朝鮮の初代最高指導者・金日成(1912~94年)の娘=金正日の妹を妻とし、甥・金正恩委員長の後見人的存在で実質的ナンバー2だった張成沢(1946~2013年)の最期。張は、やはり甥の金正男氏をわが子のように溺愛し、2012年、中国の胡錦濤国家主席(当時)に面会した際、金正恩委員長を排して金正男氏を北朝鮮の最高指導者にすえる提案をした、ともされる。
《金正恩委員長の逆鱗に触れた張は、自分の部下が処刑される残虐シーンに立ち会わされ、自身は数百発の機銃掃射でハチの巣に。遺体は金正恩委員長の「地球上から痕跡をなくせ」という命令で火炎放射器で焼かれた…》
張への惨刑は産経新聞の《秘録金正日》で、龍谷大学の李相哲教授が明らかにするなど、複数のメディアが報じた。「屍への惨刑」は北朝鮮で、今も続いているのだ。
(2) 金玉均の遺体斬刑は「国際の信用を著しく損なう」と、日本は朝鮮に忠告したが、朝鮮側は聞き入れなかった。現代のまともな国においては、毒殺すら有り得ない。しかも、兄殺しとあっては、国際的イメージを極度に低下させる。国際的イメージに関して、朝鮮も金正恩指導部も理解不能なほど鈍感ではあるが、孤立を自覚できぬあたりもソックリ。死守すべき対象の前にあっては、死に物狂いになる。
(3) 金玉均は日本による、金正男氏も中国による身辺警備や庇護を受けていた。日本国内での金玉均暗殺は失敗ばかり。拉致・暗殺には場所的制約が伴う。本妻の居る北京や愛人を囲うマカオなどは、金正男氏の生活・ビジネス拠点だった。だが、「兄弟国」たる中国の主権の及ぶ場所では、さすがに金正恩指導部も金男氏暗殺を躊躇した。
他方、中国が北朝鮮と水面下で何らかの取引をし、見返りに身辺警護をはずして金正男氏を北に売った、とする見方がある。暗殺が「中朝合作」とすれば、朝鮮が清国と共謀して金玉均を消し去った後、日本で沸き起こった「清朝同罪論」が頭をかすめる。
(4) 金日成直系の金正男氏。子息の金ハンソル氏も北朝鮮の“統治継承権”を有する。従って、金ハンソル氏を筆頭標的に、金正恩委員長が「正男氏の血」を根絶する恐れは否定できない。金玉均の時代は既述した通り、家族・親族・友人まで刑に処された。北朝鮮でも同種の「連座制」が適用されている。
◇
朝鮮半島に在った最後の統一国家・李氏朝鮮は腐敗と恐怖政治と事大主義で滅んだ。北朝鮮は恐怖政治と主体思想で自滅するのだろうか。そして、韓国も腐敗と事大主義で…
↓ 李氏朝鮮末期 王朝内の守旧派によって暗殺された金玉均
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)11月15日(火曜日)
通巻第7523号
バイデンは「カンボジア」を「コロンビア」と言い間違えたが
リアム海軍基地工事を中国が建設支援している事態に懸念を表明
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ASEAN会議は11月13日にカンボジアで開催され、加盟国10ケ国に日米豪、中露に韓国とNZが参加した。各代表は7~8分の演説、中国の李克強首相だけは、15分もマイクを握って会議の雰囲気が反中ムードだったことに反撥し水をさした。
注目は東チモールのASEAN参加を認めたことである。
ホスト国カンボジアで、バイデン大統領は「コロンビア」と間違え、すぐに訂正したことをマスコミが大きく取り上げたが、耄碌したわけでもなく、前日12日のフンセン首相との首脳会談で、大事なことを言っている。
すなわち中国が建設支援しているカンボジアのリアム海軍基地に対しての懸念である。表看板は「一帯一路」。実態は中国の海軍基地化である。
中国は「見える侵略」としてフィリピンのスカボロー礁、南沙諸島を抑え、スリランカのハンバントタ港から東アフリカのジブチへと到る航路を確立し、いずれ軍事基地化を狙っているのは明瞭である。
ステルスのように「見えない侵略」が、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのチャウピュー、パキスタンのグアダール、モルディブの無人島、そしマラッカ海峡をバイバスするクラ運河建設構想、マレーシアの東西横断鉄道などのプロジェクトで、密かに海軍基地化を狙ってきた。
これら「ステルス・プロジェクト」は建設途次、もしくは中断している。就中、習近平が目玉プロジェクトとしたパキスタンのグアダール建設はとうとう頓挫、カラチへ移転した。
マレーシアの東西横断新幹線は大幅に縮小し、クラ運河は「壮大な風呂敷」として終わりつつある。モルディブとスリランカでは反中暴動により親中政権が退陣した。
11月13日、ASEAN出席もそこそこに、バイデンはG20出席のためインドネシアのバリ島へ向かい、14日には習近平と三時間12分に及ぶ米中首脳会談をおこなった。台湾問題で平行線、成果はゼロ。会談の継続だけが合意された。
米中会談の場所は海に臨む豪華ホテル「ムリア・リゾート・バリ」で、七つのプールなどバリ島最大のリゾート。小部屋でも一泊五万円。習近平一行はこのホテルを借り切っていた。
▲世界のメディアがバリ島のG20に注目している隙に
バイデン大統領は米中関係を論じ、「競争を衝突に変えるべきではない。責任を持って競争を管理し、意思疎通の手段を維持しなければいけない」と月並みな台詞。しかし台湾に関して、「米国は『一つの中国』政策に変更はないが、いかなる現状変更にも反対する」と述べ、中国の台湾威圧に反対を表明した。
習主席は「台湾は中国の『核心的利益』のなかでも核心だ」と強調し、「中米関係の越えてはならないレッドラインだ」として絶対に譲歩しない姿勢を示した。これもまた予想通りの台詞をオウムのようにくり返したに過ぎない。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応や気候変動対策などは「協議継続」とし、2023年早々にブリンケン国務長官が訪中することになった。
米中会談の成果はないが、中国の『環球時報』(11月14日)は、「建設的で有意義だった」と書いた。
ところで習近平は中国が進めているジャカルタ~バンドン間の新幹線開通式に出席を予定していた。なにしろ2019年���成予定だった新幹線はまだ工事半ば、G20にあわせての開通を目論んでいたものの間に合わず、晴れ舞台が消えた。
G20にメディアが報道を集中させ、ラブロフ露外相の入院騒ぎがあった。
同日、トルコのアンカラで、秘密会談が開催されていた。ロシアのCIAに相当するSVRのセルゲイ・ナリシキン長官と、米CIAのビル・バーンズ長官が密かにアンから入りしていたのだ。両国はともに会談を否定しているが。。。。
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【全文】2020年アーミテージ・ナイ・レポート(翻訳)
2020/12/08 12:28
米シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が新たに日米同盟に関するレポート発表しました。このレポートはいわゆる「アーミテージ・ナイ」レポートの最新版です。
序文
大きな不確実性と急速な変化の時代にあって、米国と日本は並々ならぬ課題に直面している。それは、容赦のないパンデミック、ナショナリズムとポピュリズムの台頭、世界経済の混乱、複数の技術革命、新たな地政学的競争などである。日米同盟は、この大きな不確実性の時代において、安定性と継続性の最も重要な源泉の一つである。しかし、日米両国が共に、過去70年のどの時代よりも大きなストレス下にある地域秩序と世界秩序に備えなければならないことに疑いの余地はない。
米国ではバイデン政権が誕生し共和党が上院の多数派を占める見通しで、ワシントンではこの課題に対処することになる。ねじれ議会の可能性はあるが、日米同盟は超党派のコンセンサスに基づいた重要な分野の一つであるため、米国が前向きなアジェンダを持って前進できると信じる強い理由がある。
これは、超党派の「アーミテージ・ナイ」レポート・シリーズの最新作であり、日米同盟の状況を評価し、新たな課題と機会に向けた新しいアジェンダを提案している。今回の報告書は、アジアのパワー・ダイナミクスの変化と日本への新たな期待から、特に重要である。実際、日米同盟の歴史の中で初めて、日本は、主導的とまではいかないまでも、同盟の中で対等な役割を果たしている。日本のリーダーシップを奨励し、より対等な同盟から最大限の価値を引き出すことは、ワシントンと東京の双方の指導者にとって重要な課題である。
日本がより積極的な姿勢を示すようになった背景には、2つの要因がある。第一に、日本はますます厳しい国家安全保障環境に直面している。第二に、米国の一貫性のないリーダーシップが、日本にアジアや世界の戦略的問題をリードする力を与えてきたことである。
この変革の多くの功績は、安倍晋三元首相にある。安倍晋三元首相は、日本が国連憲章に基づき集団的自衛権を行使することを認める日本国憲法第9条の解釈変更を実現し、米国や他の志を同じくする国々との新たなレベルの共同国際安全保障協力に乗り出したのである。また、環太平洋経済連携協定(CPTPP)を完成に導いた。さらに、「自由で開かれたインド太平洋構想」を掲げ、中国の非自由主義的な野心に対抗するための戦略的枠組みを構築した。
日本の革新的でダイナミックな地域的リーダーシップは、米国と地域に利益をもたらす。著者らは日本のリーダーシップの役割を維持しようとする菅義偉首相の努力を熱烈に支持し、ジョー・バイデン大統領と最も早く会談する訪問者の一人になるよう奨励している。世論調査によると、日本への信頼度は米国だけでなく、南アジアや東南アジアでもかつてないほど高くなっている。かつては日本のイニシアティブがワシントンで懸念された時期もあったかもしれないが、現在では日本の戦略が米国の目的に沿ったものであることは明らかである。米国と日本は共通の利益を共有している。さらに、日米両国は共通の価値観を共有しており、それが日米同盟の基盤となっている。米国の縮小が懸念されているにもかかわらず、主要な世論調査では、世界における米国の積極的な役割を一貫して支持していることが示されている。さらに世論調査は日米同盟が両国で依然として支持されていることも示している。
米国と日本は今日、歴史上、これまでにないほどお互いを必要としている。世界の中でも両同盟国は、前向きな未来像を実現し、中国の台頭に対応するために必要な地政学、経済、技術、ガバナンスの4つの戦略的課題のすべてに不可欠な国である。共通の枠組みを創設し、優先順位と実施を調整することが、今後数年間の同盟の最重要任務であるべきである。
同盟の前進
日本は必要不可欠で対等な同盟国になっただけでなく、アイデアの創案者(innovator:イノベーター)にもなっている。自由で開かれたインド太平洋構想から地域的パートナーシップのネットワーク化に至るまで、東京は共通の価値観を推進するための考える作業の多くを行っている。その結果、日米同盟は相互運用から相互依存へと移行しつつあり、危機に対応するだけでなく、長期的な課題にも対応するために、双方がお互いを必要とするようになってきている。これは、アメリカの外圧の時代から日本のリーダーシップへの大きな転換である。
同盟にとって最大の安全保障上の課題は中国である。アジアの現状を変えようとする北京の努力は、中国のほとんどの近隣諸国の間で安全保障上の懸念を高めている。米国が支援する日本の航空・海上活動、米国の尖閣諸島を含む第5条へのコミットメント、日本の南西諸島の軍事力を強化するための共同計画の実施は、同盟の対応の重要な部分である。しかし、米国、日本、および他の志を同じくする国々が取り組まなければならないもっと大きな課題がある。それは、競争的共存(competitive coexistence)のための新しい枠組みをどのように構築するかということである。
中国のいわゆる「グレーゾーン」の威圧は、日米両国が、日本から台湾、フィリピン、マレーシアを経てマレーシアに至る第一列島の戦略的性を重視していることを浮き彫りにした。日本は米国のように台湾関係法を通じた台湾の安全保障を支援する法的・外交的義務はない。しかし、中国の台湾に対する軍事的・政治的圧力の増加に対するワシントンの懸念を日本が共有していることに疑いの余地はない。このような中国の圧力の増加は、日米両国が台湾との政治的・経済的な関わり方において、より一層の協力を必要としている。
第二の地域的安全保障上の懸念は、北朝鮮である。25 年間の外交的失敗を経て、非核化は長期的な目標ではあるが、短期的には非現実的であることは明らかである。だからといって、米国が新たなアプローチへの扉を閉ざすべきということではないが、北朝鮮の新たな能力に直面した際の抑止力と防衛力を強化することで、核武装した北朝鮮をいかにして封じ込めるかを考えることが優先である。良いニュースは、金正恩氏が政権の存続を心配していることであり、自殺願望がないことである。したがって、抑止力と封じ込めは容易ではないが、可能である。これは日米同盟と米韓韓同盟にとって優先事項である。また、日米韓三国間の情報・防衛協力を強化する必要性もある。
これらの課題は、地域の安全保障上の課題に対して、より多くの調整と資源の投入を必要としている。しかし、防衛予算は、東京とワシントンの両方でより一層の圧力下に置かれている。このため、共同技術開発や、同盟協力の効率性を高めるための努力が重視される。日本は「多次元防衛力」を実現するため、防衛予算を6年連続で増加しており、現在はは年間約500億ドルである。今後は、二国間および内部の指揮統制、地域の平和と安定への貢献、同盟の枠組みの中で役割、任務、能力に関する大きな議論の中で、反撃能力とミサイル防衛が重要な問題となる。同様に、ミサイル防衛も有用であるが、同盟国は、過度にコストを課す可能性のある高額な投資や重複投資を避けるために協力しなければならない。日本の能力向上の質は量と同様に重要であるが、数も重要である。日本は国内総生産(GDP)のわずか1%しか防衛に費やしておらず、日本の防衛予算の総額は現在、英国を上回っているが、中国が拡大する人民解放軍の予算のほんの少しに過ぎない。
もう一つの協力の機会は、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドとの情報共有ネットワーク「ファイブアイズ」に日本を含めることである。米国と日本は、シックス・アイズのネットワークに向け��真剣に努力すべきである。
現在、米国と日本は、同盟を強化し、地域協力を構築し、地域経済と世界経済を統合するために力を共有している。重要なのはこの力の共有であり、同盟をどのように活用するかについての議論は、この概念に焦点を当てるべきである。同盟は重荷ではない。著者らが主張してきたように、日米同盟は今、共有された戦略的ビジョンの実現に目を向け、努力しなければならない。米国は言説をリセットし、一刻も早く日本との間で在日米軍駐留経費負担に係る特別協定(a Host Nation Support Agreement)を締結しなければならない。二国間および地域全体での戦略的協力の実施が、今後の米国の関心の焦点となるべきである。
パートナーシップと連携の拡大
日米同盟は、地域内又は欧州などの価値を共有する国々との間で、多くの補完的で協力的な関係を強化しなければならない。共通の利益と価値観に基づく一連のネットワーク化された連携は、共通の地政学的、経済的、 技術的、ガバナンス的目標を守るために極めて重要である。これらの連合は、強要や武力行使を抑止し、国際経済秩序を刷新し、重要なサプライチェーンと情報の流れを保護し、ルールに基づく秩序を刷新する新たな技術に関する世界基準を設定することを目的とすべきである。日米同盟は、この一連の連携(coalitions)の核となるべきである。
過去20年間、北京の活動は、日米の支援によって促進されたアジア域内協力の新たなパターンに拍車をかけてきた。日本はオーストラリアやインドとの二国間、三国間の連携を強化し、クアッドが有望な新たな役割を担うようになった。しかし、クアッドが地域の秩序にとってより不可欠な存在となるためには、他の地域機関や連合に影 響を与えないよう、包括的でなければならないだろう。北朝鮮に関する日米韓三国間の政策調整は、地域の安全保障にとって引き続き重要である。東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム、ASEAN 国防相会議、東アジアサミットなどの制度化されたフォーラムとは異なり、この種の非公式なネットワークは、プロセスではなく、機能性を中心としたものである。アジアにおける共通の利益と価値観を守るためには、このような制度の網を強化することが非常に重要である。
ワシントンと東京は、これらの連携を構築する上でいくつかの課題を克服しなければならない。その中でも特に重要なのは、日本と韓国の間の緊張が続いていることである。米国は、北東アジアの2つの同盟国が、さまざまな地域的・世界的な問題について建設的かつ現実的に協力することを必要としている。北朝鮮や中国の課題に対処し、より広範な経済、技術、ガバナンスの課題を設定するためには、両同盟国は極めて重要である。双方は、過去ではなく未来に焦点を当てる必要がある。東京とソウルの関係を強化することは、米国の同盟国との二国間関係を強化することになる。菅首相と文大統領が再出発の重要な機会として捉えるべき漸進的な進展の兆しがある。その意味では、五輪に向けた二国間協力が目前に迫っている。
ロシアや中国との協力は、もう一つの課題である。日米両国の指導者は、モスクワや北京との交渉には時間がかかるが、目に見える成果は少ないことを学んできた。とはいえ、北朝鮮、気候変動、パンデミックなど、地域的・世界的な様々な課題に対処するためには、これらの国々との協力のあり方を明確にすることが必要であろう。
経済技術協力の強化
日米の経済・技術協力の深化は、日米同盟の基礎である。日米安保条約第二条は、日米両国に対し、「両国の国際経済政策における紛争の解消を図り、両国間の経済協力を奨励する」ことを求めている。貿易、技術、インフラ、エネルギーを含む強固な経済的要素がなければ、インド太平洋戦略は空虚で持続不可能である。この地域における貿易や技術のルール、基準、規範は南シナ海と同様に争われており、日米はこれらの問題の大部分で緊密に連携している。宇宙もまた、日米両国が民間・防衛分野で協力を強化すべき分野の一つであり、競争が激化している。さらに、コロナウィルスのパンデミックで明白になったように、日米両国は、地域の繁栄と経済安全保障を維持するために不可欠な安全なサプライチェーンに関わる利害関係を持っている。
米国はCPTPPに参加し、経済ルールを形成するリーダーとして日本と連携すべきである。参加への政治的困難さは明らかだが、米国の繁栄と安全保障に対するより大きなリスクがあるため、参加は必須である。11月15日に調印された地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は、米国を含まないアジア太平洋地域の広範な貿易協定であり、ワシントンは目を覚ますべきである。
CPTPPは、米国が地域の経済空間を取り戻し、日本と協力して経済ルール作りのリーダーシップを強化するための不可欠な手段である。2017年初頭にトランプ氏が離脱した後、当初のTPP協定を救うための日本の大胆な策略は、ルールに基づく秩序のために重要であった。東京は、米国の再参加を促進するために、新協定を構造化した。新政権がCPTPPの変更を合理的に期待する場合には、既存の参加国との交渉で対応することができる。しかし、まずはワシントンが参加の意思を示し、テーブルの上に座る必要がある。米国、日本、その他の地域のパートナーにとっての経済的・戦略的利益に加え、米国を含むCPTPPは世界経済の40%以上をカバーすることになり、その基準や規範に世界的な重みを与え、世界貿易機関(WTO)の改革に向けて志を同じくする国々と結束するための力を与えることになる。
CPTPPの美点の一つは、デジタルガバナンスの高水準にある。データは21世紀の経済の石油であるが、インターネットはEU、米国、中国が主導する3つのデジタルレジームに分断され始めている。米メキシコ・カナダ協定(USMCA)や2019年9月の日米デジタル貿易協定でさらに強化されたCPTPPの規律は、この重要な領域におけるルールや規範をグローバル化するために構築される可能性がある。これらには、国境を越えたデータの自由な流れ、デジタル製品への無関税、データのローカライズ要件不要などの原則が含まれる。日本は、G20 大阪サミットにおいて、世界貿易機関(WTO)の電子商取引交渉において、このような原則を推進するプロセスの上で、重要なリーダーシップを担った。ワシントンと東京は、G7やアジア太平洋経済協力(APEC)を通じて志を同じくする国々を動員し、データガバナンスのより一貫したシステムに向けたコンセンサスを構築することで、この作業を推進していくことができるだろう。
一方、人工知能、ロボティクス、バイオテクノロジー、ナノエンジニアリング、新素材、5G ネットワークなどの新技術は、デジタルと物理的世界を融合させ、今後数十年の経済成長を牽引し、地政学を形成していくものと思われる。米国と日本は、新技術を管理する技術標準や規則がオープンで、包括的で、相互運用性を促進することに重大な関心を持っている。
そのためには、主要な新興技術(5G、IoT、AIなど)を管理する技術基準や規範が世界的に互換性のあるものとなるように、国際電気通信連合(International Telecommunications Union)などの国際的な基準設定機関における日米の連携を強化する必要がある。北京は「中国標準2035」構想で、中国の技術に有利になるような新しい基準を策定しようとしている。米国は、日本やその他の国々と協力して、より効果的な官民パートナーシップを促進するために、国際的な基準設定に力を入れる必要がある。
5Gは21世紀の知識経済における重要な実現技術であり、日米両国はこの分野での共同作業を優先すべきである。両政府は、ファーウェイに代わる代替技術を生み出すための民間部門の努力を促進すべきである。日本は、5G(最終的には6G)へのソフトウェア・ベースのアプローチであるオープン無線アクセス・ネットワーク(O-RAN)の開発で主導的な役割を果たしており、垂直調達モデルに代わるコスト競争力と相互運用性のある代替手段となり得る。
インド太平洋地域における日本のリーダーシップのもう一つの重要な分野は、地域インフラと経済発展である。中国の「一帯一路」が汚職、負債、劣悪な基準の上に成り立っているという指摘が強まっていることは、実行可能で透明性の高いインフラプロジェクトを形成する機会を示唆している。東京は2015年に2000億ドルの「質の高いインフラパートナーシップ」を設立し、オープンな調達、環境と債務の持続可能性、インフラファイナンスの透明性などの原則を定めた。日本は2019年の大阪サミットでこれらの原則についてG20首脳の承認に勝ち取った。バランスシートと戦略的マンデートを強化した新しい米国国際開発金融公社は、国際協力銀行(JBIC)、アジア開発銀行(ADB)、世界銀行グループと協力し、2030年までに25兆ドルの地域インフラニーズに対応すべきである。ワシントン、東京をはじめ、オーストラリアや韓国など、他の主要な地域・地域外のプレーヤーとの間でこれらの活動を調整することは、日米両国の指導者にとってますます重要な役割となるであろう。米国と日本は、インフラに関する決定が完全な透明性をもって行われるよう、良好なガバナンスと説明責任を促進するために、受益国への支援を拡大すべきである。
最後に、エネルギーと気候変動は日米経済同盟の重要な側面である。2050年までに日本経済をカーボンニュートラルにするという菅首相の公約は、韓国の同様の公約と一致しており、クリーン・エネルギーの拡大の緊急性を強調している。日本の国内と国際的な目標を達成するためには日本は石炭の使用と投資を抑制する必要がある。原子力と天然ガスの協力に基づき、日米両国はクリーンエネルギーと気候に関するパートナーシップを拡大すべきである。共同開発のための優先的なクリーンエネルギー技術には、水素、蓄電池(輸送の電化と再生可能エネルギーの拡大の鍵となる)、二酸化炭素回収貯留(CCS)、リサイクル、スマートグリッドなどがある。これらの技術は、市場ベースの効果的な気候変動緩和のために有望である。
結論
ここで概説されているように、より対等な日米同盟を構築することは、地域的課題と世界的課題の両方に対処する上で重要である。日本は、あらゆる面で米国の利益と価値観に最も沿った同盟国である。いくつかの分野では、日本はすでに主導権を握っており、共通の価値観、高い基準、自由な規範を推進している。実際、米国は多くの分野で東京のアプローチとより緊密に連携することで利益を得ることができる。日米同盟は、進化する多極化した世界をリードする立場にある。本報告書では、日米同盟が関係を前進させるために優先すべき課題を明らかにした。世界の安全保障と繁栄のために 東京とワシントンの新政権は、これらの課題に立ち向かうべきである。
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必然の米中激突:米国を本気にさせた中国の軍事力 中国の軍事力に関する米国防省の年次報告書 2019.5.17(金) 渡部 悦和
米中の貿易戦争が抜き差しならない状況になってきた。
4月までは、合意が近いであろうという楽観論があったが、米中がお互いに報復関税をかけ合う厳しい状況になっている。
米中貿易戦争は本質的に米中覇権争い、さらに言えば米中ハイテク覇権争いがその本質である。
貿易交渉がヒートアップしていた5月2日、米国防省は「2019年中国の軍事力に関する報告書*1(「2019中国軍事力報告書」)を公表した。
この報告書は毎年発表されていて、国防省が中国の安全保障や人民解放軍(PLA)をいかに評価しているかを知ることのできる公的文書である点に価値がある。
今回の報告書は米中の覇権争いの原因を余すことなく記述している。
中国の軍事的脅威のみならず国家戦略、科学技術・製造技術、経済、外交、文化などの広範な視点で米国がなぜ中国を問題にしているか、米中激突の理由が理解できるように記述されている。
中国の習近平国家主席は、「中華民族の偉大なる復興」を合言葉に世界一を目指した富国強軍路線を推進している。これに対する米国の強い懸念がある。
習近平主席は、2016年の年初から2020年を目標年とした軍の大改革を実施し、「戦って勝つ」軍の建設を目指している。
この改革に伴う人民解放軍のロケット軍のミサイル戦力の増強、海軍の水上艦艇や潜水艦の増強、宇宙やサイバー空間での作戦能力の向上、「北極シルクロード」を含む一帯一路構想に伴う人民解放軍の海外軍事基地の拡大などを明らかにしている。
一方で、この報告書の真骨頂は、非軍事の注目すべき分野、例えば米国の政界・メディア・ビジネス・アカデミアに影響を与え中国の意図を実現しようと影響作戦(Influence Operation)に対する懸念が記述されている点だ。
これらの軍事的脅威と非軍事的脅威は、米国のみならず日本にとっても切実な脅威であることを気づかせてくれるのがこの報告書である。
それでは、以下に「2019中国軍事力報告書」の主要点に絞って説明したい。
報告書を貫くキーワード
「米中の大国間競争」
最初に指摘したいことは、「国家安全保障戦略」(2017年12月に公表)と「国家防衛戦略」(2018年1月に発表)で指摘された米国と中国の「大国間競争」(別の言い方をすれば「米中の覇権争い」)という視点が貫かれていることだ。
つまり、米国の覇権維持にとって最大のライバルである中国を網羅的に分析したのが今回の報告書の特徴だ。
この点に関して、今回の報告書の責任者である国防次官補ランドール・シュライバー氏は5月2日の記者会見の席で、次のように指摘し、米中の大国間競争を強調している。
「『中国軍事力報告書』は、米国の国防戦略の具現化に直接関係している。中国は、米国の軍事的優越を劣化させ、自らの影響力を確保し維持しようとしている。中国は、2049年までに世界第一級の軍事力を保有すると宣言している」
中国の戦略目的は「中華民族の偉大なる復興」
中国にとって、21世紀初頭の20年間は、中国の総合的な国力を発展させる「戦略的好機の期間」である。
習近平主席の「中国の夢」は「中華民族の偉大なる復興」であり、経済の成長と発展を実現し、2049年までに世界一流の軍事力を保有するなど「総合的な国力の増大」により、インド太平洋地域における抜きん出た大国になることだ。
この野望が米国の国益と衝突する大きな要因だ。
戦略目的を達成するために強調されているのが、「中国製造2025」「軍民融合」「一帯一路」「影響作戦」の4点である。
かつては軍事的色彩が強かった「中国軍事力報告書」で、直接的には軍事と言えない経済、科学技術、政治的要素を重視して評価している点は非常に面白い。
●「中国製造2025」
中国は、「中国製造2025」や「産業発展計画」(輸入する技術を国産の技術と代替させることを目的とする計画)などの国家主導の長期計画を実行中だ。
これらの計画は、ハイテク製品を輸出する国々に対する中国の経済面での挑戦である。
また、中国は、最先端の軍民両用(デュアル・ユース)の技術を他国に先駆けて取得・利用することを重視する軍事近代化を直接支援している。
●軍民融合
中国指導部は、軍民融合(CMI: Civil-Military Integration)を国家戦略に昇格させた。
軍民融合とは、民間技術を軍事に適用する、逆に軍事技術を民間が活用することにより軍と民の融合を図ることで、中国の夢実現のキーワードになっている。
中国指導部は、軍民融合により、最先端技術である人工知能(AI)や無人機システムなどの開発を推進している。
また、軍民融合により、2035年までに人民解放軍の現代化を完了し、2049年までに世界第一級の軍隊を作り上げ、インド太平洋地域で傑出した国家となることを目指している。
●一帯一路
中国指導部は、中国の経済・外交・軍事的影響力を活用して地域における卓越した地位や世界における影響力を確立しようとしている。
大規模経済圏構想である一帯一路 (OBOR:One Belt One Road)はその代表例であり、一帯一路プロジェクトの安全を確保するために海外の軍事基地を増やすであろう。
中国の海外軍事基地は、現在はただ1か所、東アフリカのジブチにある。しかし、中国が2050年頃世界一の大国を目指している以上、海外に多くの軍事基地を確保するはずだ。
例えば、パキスタンのような友好国で戦略的利益を共有する国や、中東、東南アジア、西太平洋の諸国に新たな軍事基地を構築するだろう。これらの海外軍事基地は、人民解放軍の海外展開能力を格段に高めることになるであろう。
●影響作戦(Influence Operation)
中国は、安全保障と軍事戦略上の目的達成のために、米国をはじめとする国々や国際機関のメディア、文化機関、ビジネス、アカデミア、政治の分野に非軍事を主体とする「影響作戦」を実施している。
影響作戦は、中国共産党の統一戦線工作部の工作と密接に関係している。
また、人民解放軍は伝統的に三戦(心理戦、宣伝戦、法律戦)を作戦計画の重要な要素とする軍隊であるが、この三戦と密接な関係があるのが影響作戦である。
影響作戦は、人民解放軍のみではなく、政府の各機関が連携して挙国一致で行っている。
この影響作戦は、米国に対してのみならず日本に対しても実施されていることを深く認識すべきである。
PLAロケット軍
ロケット軍は、核抑止および接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略の主役である。弾道ミサイルや巡航ミサイルなどのミサイル兵器は引き続き重視されている。
今回の報告書では特に極超音速滑空飛翔体(高速で飛行し、目標に近づくと相手が対処できない不規則な飛行をして目標を破壊するミサイル)に注目し、「2018年8月に極超音速飛翔体の実験に成功し、最高速度がマッハ5以上に達し、飛行中に方向変換するなど対応が非常に難しい兵器になりつつある」と評価している。
また、グアムを射程に収める「DF-26 (東風26)」や日本の米軍基地を狙う高性能な弾道ミサイルや巡航ミサイルも引き続き増強されていて、「在日米軍基地がMRBM(準中距離弾道ミサイル)、LACM(地上攻撃巡航ミサイル)、爆撃機H-6Kの射程内に入っている。
地上攻撃用のMRBMである「CSS-5」とLACMである「CJ-10」が沖縄や日本本土をターゲットにしている」と指摘している。図1を参照してもらいたい。
図1「中国の通常弾頭ミサイルの打撃能力」
出典:「2019中国軍事力報告書」
PLA海軍
PLA海軍は潜水艦隊の増強を優先課題に掲げていて、「2020年までに65~70隻体制となる」と報告書は予想している。
中国海軍は現在、弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦(戦略原潜)を4隻、攻撃型原子力潜水艦6隻、通常動力の攻撃型潜水艦50隻の計60隻を保有。
また、20年代半ばまでに対艦巡航ミサイルを搭載した093型(商級)攻撃型原潜の改良型を建造する見通しだ。
そのため、西太平洋に展開する米海軍の空母打撃群などに対する接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略の強化につながる恐れが高い。
なお、「晋(ジン)級」戦略原潜については、すでに就役している4隻のほか、2隻を建造中とした。国防省国防情報局 (DIA)は1月に発表した報告書で、中国海軍が海上で持続的な核抑止力を維持するためには、晋級戦略原潜が少なくとも5隻必要になると指摘している。
前述の国防次官補シュライバー氏は、空母と最新型の「055型ミサイル駆逐艦」に触れている。
空母については、国産1番艦の空母は2019年中に就役の予定であり、国産2番艦を現在建造している。
また、055型ミサイル駆逐艦については、4隻が2017年および2018年に進水し、今年中に作戦運用を開始する。
そのほかにも数隻を建造中。055型はブルー・ウォーター作戦に従事する空母の護衛艦として長距離の対艦巡航ミサイルを保有していると発言している。
台湾武力統一
2018年の台湾との関係は冷却状態であった。
中国がブルキナファソやエルサルバドルなど3か国を台湾と断交させ外交面でも台湾への圧力を強めている。人民解放軍は、台湾海峡紛争に対する備えを継続している。
中国の台湾政策について、習近平主席は1月の演説で、台湾統一に際して武力行使を排除しない姿勢を見せていた。
これを受けて、「平和的統一を唱えているが、軍事力の行使を捨ててはいない」と武力統一への強い警戒感を示した。
報告書はそのうえで、中国人民解放軍の戦略方針の中心は台湾問題であると指摘し、中国が「平和的統一」を提唱しつつも台湾への武力行使をにらんだ軍事力の増強を着々と進めていると強調した。
台湾海峡有事で中国が取り得る軍事行動としては「航空・海上封鎖」「サイバー攻撃や潜入活動などによる台湾指導部の失権工作」「軍事基地や政治中枢への限定的な精密爆撃やミサイル攻撃」「台湾侵攻」などが想定されるとした。
ただ、中国による台湾への大規模な上陸侵攻作戦については、現時点で台湾に対する水陸両用強襲作戦に必要な揚陸艦部隊を拡充させている動きは確認できない。
しかし、「Type071Yuzhao」級の水陸両用輸送ドックを5隻保有し、さらに3隻を建設中だ。
また、世界初のカーゴ「UAV(AT-200)」は、1.5トンの荷物を搭載可能で、200メートルの滑走路があれば離発着できる。
また、世界最大の水上艇「AG-600」を保有している。
北極圏への進出活発化
人民解放軍が北極圏での展開を活発化させている。重要な核抑止力として潜水艦を派遣している。
中国は、北極圏の国でないにもかかわらず、同地域での活動を活発化させ、2013年には米国やロシア、北欧などの8か国でつくる北極評議会(AC)のオブザーバー国となった。
中国政府は2018年6月、北極圏の政策をまとめた初の戦略を発表した。
その戦略では、「一帯一路」に加え、温暖化によって可能となる北極圏の海上交通路(SLOC)を「北極シルクロード(Polar Silk Road)」と位置づけ、そのSLOCの確保や天然資源への関心を示し、将来の人民解放軍の基地建設も視野に北極地域での活動を活発化させている。
今後、中国が米国からの核攻撃抑止の思惑から北極海に潜水艦を展開させる恐れがあるが、こうした中国の動きに、北極圏国(米国、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン)は、中国の長期的な戦略目的に懸念を示している。
特にデンマークは、中国のグリーンランドへの関心に懸念を示している。中国は、グリーンランドに研究施設や衛星通信施設の建設や、空港の改良工事などを提案している。
宇宙分野の重視
現代戦においては宇宙での作戦や活動は不可欠になっている。
例えば、偵察衛星を利用した情報活動、通信衛星を利用した衛星通信、衛星を利用したGPS(全地球測位システム:中国では北斗)などは軍事作戦でも多用されている。
●早期警戒能力の向上
人民解放軍も早くから宇宙での作戦を重視しているが、本報告書においても宇宙関連の記述を充実させている。
最も注目される記述は、「中国は、宇宙配備の早期警戒能力(早期警戒衛星など)の開発を行っている」という記述だ。
早期警戒能力は、相手のミサイルや衛星の発射を早期に警告するもので、中国の早期警戒体制の強化は米中相互の核抑止に大きな影響を及ぼす。
米国は最近、積極的に中国の宇宙を利用した作戦遂行能力を警告しているが、今回の機微な情報の公表は国防省の関心の高さを示している。
●中国の宇宙での作戦を担当する戦略支援部隊
人民解放軍が現代戦を遂行する際に、最も重要な部隊が戦略支援部隊(SSF: Strategic Support Force)だ。
SSFの創設は、情報が現代戦における戦略資源であることを中国が理解している証左であり、「情報独占(information dominance)」を目指す人民解放軍の中核部隊となっている。
SSFは、戦略的宇宙戦(strategic space warfare)、サイバー戦、電子戦、情報戦(サイバー戦、技術偵察、電子戦、心理戦を含む)を担当する世界でも類を見ない多機能な組織で、2016年の人民解放軍改革と共に創設され、そ���動向が注目されてきた。
SSFは、2つの戦域司令部レベルの部門、軍の宇宙作戦を担当する「航天系統部(Space Systems Department)」と情報戦を担当する「網絡系統部(Network Systems Department)」からなる。
航天系統部は、衛星の打ち上げとその関連支援、宇宙情報支援、宇宙テレメトリー(遠隔にある対象物の測定結果をセンターに伝送すること)、追跡、宇宙戦を担当する。
本報告書によると、「宇宙戦の視点での航天系統部の新編の目的は、宇宙での運用の足かせになっていた官僚的な権力闘争を解決し、作戦や調達を円滑にするため」だ。
中国では、宇宙に関する能力を「宇宙(space)」と「対宇宙(counter-space)」に区分している。
特に「対宇宙」の技術を重視していて、敵の衛星の破壊、衛生への損傷の付与、敵の偵察衛星や通信衛星の妨害などを重視している。
いずれにしろ、宇宙分野では人民解放軍が支配的な役割を���たしている。
人民解放軍改革の成果
逐次明らかになってきた軍改革の成果が記述されている。例えば、過去の7大「軍管区」から新たな5つの「戦区(Theater Command)」に改編されたが、すべての戦区における主要な部隊の配置が今回初めて明示された。
●人民解放軍の指揮系統
人民解放軍の指揮系統は図2の通りで、「軍委管総、戦区主戦、軍種主建」がキーワードだ。
つまり、「中央軍事委員会(CMC)がすべてを管理し、戦区(Theater Command)が作戦を実施し、陸・海・空・ロケット軍司令部は各々の部隊を建設する」という意味だ。
注目される部隊が戦略支援部隊(SSF: Strategic Support Force)と統合兵站支援部隊(JLS: Joint Logistics Support Force)だ。
なお、この図2は、「2019中国軍事力報告書」に掲載されている大まかな図を基に書いたが、詳細な情報を開示しないという国防省の意図が表れていると思う。
一方、一般的にはあまり注目されてはいないが、人民武装警察(People’s Armed Police)の指揮下にある中国海警局(China Coast Guard)と人民武装海上民兵(People’s Armed Forces Maritime Militia)が初めて組織図の中に記述された。
米海軍大学のアンドリュー・エリクソン教授は、海軍を第1海軍、海警局を第2海軍、海上民兵を第3海軍と呼んでいて、第2海軍と第3海軍の役割の重要性、特にグレーゾーン事態において活躍する第2海軍と第3海軍の重要性を強調している。
彼は、この3つの海軍に関する報告書の記述を高く評価している*2。
図2「中国の軍事組織」
出典:「2019中国軍事力報告書」を基に筆者が作成
●5戦区(Theater Command)
すべての戦区の主要部隊の配置図が掲載されている。
2018年版では東部戦区と南部戦区のみの配置が掲載されていたが、2019年版では5個の戦区すべての主要部隊の配置図が掲載されている。
このことは、2016年に開始された人民解放軍の大改革が3年目に入り、徐々に戦区の主要な部隊の状況が明らかになってきたからであろう。なお、我が国に密接な関係がある東部戦区については後述する。
「中国軍事力報告書」の一部問題点
中国の安全保障や軍事に関する専門家は、彼らが重要なテーマとしている論点に関する国防省の見解を額面通りに受け取ってはいない。
●弾道ミサイルDF-26やDF-21Dは対艦弾道ミサイルの能力はあるか?
例えば、グアムキラーというニックネームを持つ中距離弾道ミサイル「DF-26(東風-26)」は今回の報告書で対地目標攻撃弾道ミサイルだけではなく空母などの大型艦艇を目標とする対艦弾道ミサイルであると紹介している(P44)。
しかし、DF-26が数千キロも離れた所から発射され、動いている空母をピンポイントで撃破する能力について多くの専門家は疑問を持っている。
そもそも米軍でさえ長距離移動目標に対する射撃は難しい。また、人民解放軍は動く目標に対して長距離からの射撃実験を行っていない。
DF-26を対艦弾道ミサイルと米国防省が本当に評価しているとは私は思わない。国防省には別の思惑があると思う。
●晋(ジン)級戦略原子力潜水艦(SSBN)の信頼性のある抑止力か?
また、「運用中の4隻の晋(ジン)級戦略原子力潜水艦(SSBN)は、中国最初の信頼できる・海に根拠を置く・核抑止力を代表する」(P36)と記述されている。
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毛沢東はソ連と仲違いした時、長年にわたって途方もない予算と将兵の養成が必要な通常兵器より、短期間に決定的な抑止力を高める核・ミサイルが効果的であると認識した。
そこで人民の半分が餓死してでも「両弾一星」(原・水爆と人工衛星)を完遂するという決断をした。
その根底には、中国という国家は人民(約8億人)の半分、4億人を犠牲にしても国家は生き残れるという意識であった。
また、「政権は銃口より生まれる」と喝破したように、国共合作で国民党軍を日本軍と戦わせ、共産党軍は後方にいて増勢につなげ、続く内戦で勝利して政権奪取につなげる考えがあった。
実際、430万人いた国民党軍は150万人となり、120万人しかいなかった共産党軍は400万人となり、累次の内戦で約800万人が戦死したとも言われる。
中華人民共和国の建国後の犠牲者
毛沢東は建国10年後の1958年から61年までの3年間、人民公社を地方ごとに造って自給自足で生き延びることができるように大躍進運動を行う。
しかし、公社間の競争精神は実体の伴わない過大報告となり、結果的には約2300万人が餓死したと言われる。
毛は失敗を認めて国家主席を辞任。1962年1月の中央工作会議で劉少奇国家主席が「三分の天災、七分の人災」と述べて大躍進を批判する。
しかし、建国以来続けてきた反右派闘争に勝利して1964年に復権する。この15年間に約950万人を虐殺したとされる。
1966年からは10年に及ぶ文化大革命が続く。この間の政治的な痛めつけでの死亡(約2000万人)や餓死者はほぼ1億人にも上ったとみられている。
3度の批判を生き残った鄧小平は毛の死去(1976年)後の78年末に「改革開放」の大号令をかけ、今日の大発展につながっていく。
しかし、どこまでも社会主義市場経済で、共産主義体制の維持が前提であった。
胡耀邦が総書記に就任(1980年2月)してチベットの惨憺たる有様に衝撃を受け、失政の責任は共産党にあるとして、政治犯の釈放や信教の自由と僧院の再建などの自由化政策を進めるが、共産党幹部の批判を受け87年1月解任される。
続く趙紫陽も学生たちの民主化要求に柔軟な対応を示し、天安門広場に出かけ学生を説得するが失敗に終わる。
鄧小平は共産党政権維持への懸念を深め、中国人民解放軍による武力弾圧を決断し、民主的な抵抗を戦車で粉砕する(「天安門事件」、「6・4事件」とも呼称)。
趙は3週間後(6月23日)に解任され、上海市委員会書記であった江沢民が抜擢される。
天安門事件の死者は発表されていないが、米国の秘密文書によると、死者は1万454人、死傷者は4万人以上となっている(方政・釈量子対談「生き証人が語る 血塗られた天安門の虐殺」、『WiLL』2016.7号所収)。
改革開放後の経済的発展は貧富の差を拡大させ、犯罪や暴動も頻発した。400万人の死刑囚収容施設は不足する状況で、死刑免除と引き換えに外国への労働者として派遣しているとも言われる。
すべてにおいてスケールが違う中国
列挙すればきりがないが、広大な領土と巨大な人口、困難な統一、近代化の遅れ、そして何よりも言論の自由がない共産党独裁の強権政治で「物言えば唇寒し」だ。
他方、愛国無罪が大きな「虚言」を蔓延らせる。
日本では厚生労働省の為体で統計の信頼性が揺れているが、中国は国家ぐるみで、GDP(国内総生産)さえ疑問視されている。
内乱や自然災害、イナゴの異常発生による蝗害などが絶え間なく起き、その都度100万単位の死者・餓死者を出してきたとされるが、何一つ正確な数字の公表はない。
秦の始皇帝が即位したBC221年から共産党結成の直前1920年までの2140年間に160回の内乱があり、累計年数は896年で、13年おきに約6年間の戦闘が起きてきたとされる。
また、この間に5150回の天災、うち1035回の旱魃、1037回の水害が発生。旱魃や水害は2年に1回、蝗害も含めた天災は5カ月に1回の頻度で発生してきたことになる。
施政が行き届かない広大な領土ゆえに、何か起きれば大飢饉に直面した。1810年900万人、1811年2000万人、1849年1375万人、1876~78年1300万人の死者を出す大飢饉が発生している。
20世紀に入ってからも、1928~30年の大飢饉では西安市のある陝西省で200万人が流民となり、1930~32年には1000万人が餓死している。
なお、支那事変で日本軍が開封を占領した1938年、蒋介石軍が日本軍の追撃阻止のため、黄河の堤防を決壊させ、下流域(河南省・安徽省・江蘇省にまたがる54000平方キロ、北海道の6割)の水没で100万人死亡、被害者は600万人に上ったとされる(『郭沫若自伝』は日本軍の無差別爆撃と対外宣伝した)。
このため、3省の農地が農作物ごと破壊され、河南省では1942年に凶作、続く翌年は蝗の大群発生で、300万人が餓死したという。
こうした餓死者が出ると、得体の知れない茸も食し、子供を交換して食すこともあったとされる(易子而食…子を替えて食らう)。
中国人による中国人の斬殺
問題は人為的な残虐行為で、『揚州十日記』がある。
明朝滅亡時、満清の軍隊が南下して勢力を南京に及ぼそうとした時、南京政府の要所、揚州城の攻防で王秀楚という人物が家族や兄弟と逃げ回る間に体験した記録である。
わずか10日間の出来事であるが、中国社会で昔から蔓延るあらゆる慣習が見て取れる。
指揮官の逃亡、兵士の略奪・強姦・放火・惨殺などの暴虐、金品の強要や強奪などが展開される。
2人の女性が逃げ回り、足が泥の中にぬかって脛まで没している。「1人が女の子を抱いていたのを、兵卒は鞭で叩いてその子を泥の中に捨てさせ、そのまますぐ追い立てて行った」。
数十人のものは牛か羊かのように駆り立てられて「少しでも進まぬと直ちに笞を加えられ、あるいはただちに殺された。女たちは長い綱で数珠を通したように頸をつながれ、一足ごとに躓き転んで、全身泥まみれになった」。
「どこにもかしこにも幼児が馬の蹄にかけられ、人の足に踏まれて、臓腑は泥にまみれ、その泣き声は曠野に満ち満ちていた」
「途中の溝や池には死骸がうず高く積み上げられ、手と足が重なり合っていた。池はそのために平らになっていた」
逃げ回った挙げ句、通りに出た。
「通りには人の首が重なりあって横たわっていたが、真っ暗で誰が誰やら見分けがつかなかった」
「(中略)城壁の下には死骸が積み上げてあるため、歩くのに難渋した。何度つまづいては起き上がったか知れなかった。何かに驚かされるたびに、地面に倒れて死骸の真似をした」
彼らは掠奪や強姦ばかりでなく、火災も起こす。四方に火事が起こり、「こっそり戸外に出て見ると、畑の中には死骸が積み重なっていて、中には息絶え絶えにまだ生きているのもあった」。
男(兵士)は幼女と男児を連れた婦人を捕えた。
「男の児が母を呼んで食べ物をねだった。その男は怒って一撃すると、脳が砕けて男の児は死んだ。男は婦人と幼女を引いて行った」
隠れていた場所に「数人の兵卒がやって来て引き出されたことが二度ほどあったが、その都度少しばかりの金を握らせると行ってしまった」。
こうして10日間で80万人が清軍の刀下で虐殺されるという血腥い「大屠殺」が展開され、繁華の揚州は凄惨な生き地獄と化したという。
揚州を落とした清軍は騎虎の勢で数日後に南京に入る。南京王朝の福王や陪臣はいち早く逃亡し、文武百官はみな薙髪して清軍に降伏する。
余談であるが、清軍豫王とまみえた揚州督鎮は「史可法ここに在り!」と大呼するが、武運拙く、ついに捕えられる。
豫王は「降れば則ち富貴ならん」と諭すが、史可法は「われは天朝の重臣なり。あにいやしくも生を偸(ぬす)みて万世の罪人となるべけんや。わが頭(こうべ)、断つべし、身屈すべからず」と断る。
豫王は3日間説得し続けるが、最後は涙を揮って部下に斬らせたという。
中国の極刑さまざま
手元に『図説 中国酷刑史』(尾鷲卓彦著、徳間書店)がある。
酷刑とは残酷極まりない刑罰のことで、中国の酷刑を可能な範囲で紹介したものである。
「彼らは手足を釘で打ちつけられ、鮮血をしたたらせて架刑(はりつけ)にされている劫賊(ごうとう)に、これっぽちの憐みすら寄せないどころか、その“五花斬人(きりきざみ)”のさまを観賞するという奇怪な光景まで演じた」
「街頭や横丁において、首が切り落とされた様子を微に入り細をうがって、活き活きとしゃべりたてるかと思えば、われ先に鮮血にまみれた人頭や半裸の女性の屍体を覗き込む。なかには饅頭に血を吸いこませ、それを食べて肺結核を治そうとする者さえあった」などの記述もある。
酷刑には官刑と私刑の別があり、官刑では「拷問・斬首・絞縊・首枷・足枷・站籠(立った姿勢で首枷)・抽腸・鞭打ち・凌遅(寸刻みで切り裂く)・銃殺・見せしめ」が列挙されている。
私刑では「吊り下げ・熱湯あびせ・目えぐり・耳削ぎ・活き埋め・舌抜き・火あぶり・沈め殺し・釜ゆで・圧殺・宮刑・人喰い・足ぜめ・頭髪そり・入れ墨・首切断・バラバラ屍体」などが記されている。
読んでいて、「心胆を寒からしめる」どころか、こんな国家・社会があるのかと恐ろしくなってくる。日本人には想像を絶する奇想天外な国家・社会のようだ。
本多勝一著『中国の旅』にも、「飢えた軍用犬の餌」にした話(文庫本p20)や「電線にコウモリのようにぶらさげ火あぶり」にした話(同p231)、「腹をたち割り、心臓と肝臓を抜き取って食う」話(同)などがある。
臓器を煮て食したのは日本兵ということになっているが、筆者には日本人の行動様式とは思えない。読者はどう思われるだろうか。
月刊誌『SAPIO』(2015年7月号)は、「毛沢東は『資治通鑑』を17回も読み、ライバル抹殺の手本としていた」とのリードで、「『人ブタ』『食人』『生きたまま肉を削ぐ』 歴史書に描かれた中国4千年『残虐の伝統』」の表題を付けた一文を掲げた。
その中で、「人ブタ(手足を切断し丸裸で厠に放る)」「凌遅」「大量虐殺(一族の公開処刑や赤ん坊を空中に投げ槍で刺す)」「人食い」「ムチ打ち・炮烙(銅製円柱に罪人を縛り付けて焼き殺す)」「站籠」などを挿絵入りで説明している。
中国人による日本人大虐殺
拙論の本題は中国人が日本の軍民に暴行を加え、また惨殺・虐殺した事件の検討である。いくつもあるが、ここでは3つを取り上げたい。
(1)旅順猟奇虐殺事件
日清戦争(1894.8~95.5)間の11月21日に起きた事件である。
近代化に邁進中の日本は、戦争においては勝利することと国際法を順守する文明国家であることを強調する必要があり、戦場に国際法の専門家を同道し、第2軍司令官大山巌大将は「我軍は仁義を以て動き、文明に由て戦ふものなり」と訓示していた。
勝利の報が続々と届いていた矢先の惨事に、影響を最小限にする方策で伊藤博文首相と陸奥宗光外相は振り回される。
旅順市街に突入した日本軍兵士は、3日前に生け捕りされた3人の生首が、道路わきの柳の木につるされているのを見る。鼻はそがれ、耳もなくなっていた。さらに進むと、家屋の軒先に針金でつるされた2つの生首があった。
米国人記者も「ワールド」紙で、「日本軍が旅順になだれ込んだ時、鼻と耳がなくなった仲間の首が、紐でつるされているのを見た。また、表通りには、血の滴る日本人の首で飾られた恐ろしい門があった。その後、大規模な殺戮が起った。激怒した兵士たちは、見るものすべてを殺した」と書いている。
清国兵は残酷を極めた方法で傷をつけ、第2軍兵士の死体を放置した。
死者、あるいは負傷者に対して、首を刎ね、腹部を切り裂き石を詰め、左腕を切り取り、さらに睾丸などまで切り取り、その死体を路傍に放置した。これは捕虜の扱いではなく、猟奇事件でしかない。
この残酷さが日本軍に復讐心を燃え上がらせ、生首が兵士たちの激昂を誘ったとされる。
攻撃の包囲網を狭められた清国兵は「袋の鼠」同然となり、軍服を脱ぎ捨て便衣兵となって民家に逃げ込んだ。
復讐心は便衣兵の徹底捜査となる。また、市民の中には武器をもつ者もいた関係から、彼らも加害者とみなされた。
歩兵第2連隊の加部東常七上等兵は「旅順市街に闖入するや、戸々軒々、家中を捜りて、(略)小暗き家の片隅に潜む一人の敵兵。オノレッ!とばかり・・・。直突一閃! 胸板深く突き通せば、彼、苦しさの余り、我剣刃を握れり。コワ・・・仕損じたり。と力を極めて引けば、四指を落としてがくりと倒るる所を亦一刺。魂、天涯に飛んで骸のみ」と手記に記している。
この連隊では清国兵28人を斬殺した一等兵を筆頭に、21人、17人など、11人で166人の清国兵を屠ったという(以上、井上晴樹著『旅順虐殺事件』)。
旅順郊外の萬忠墓には被難者計1万8百余名(かなりが便衣兵か)と明記されているそうである。数はともかく、事件は両国の将兵が確認し、内外の記者数名が報道し確認している。
しかし、非は我に有りとのことか、中国は旅順の猟奇・虐殺をほとんど報道してこなかった。
(2)昭和2年の「南京事件」
「長江(注:揚子江の上流域)流域上下二千浬(カイリ)に亘り、三千余名の在留邦人が暴徒の迫害から��れて、財産を捨て地盤を棄てて内地への引揚げを断行したことは、我日本としては空前の史実であり世界的にも希有の事変である」
「彼らの我邦人に対する嫌悪と軽侮の念は、十数年来の排日によりて遺憾なきまでに蓄養された。その今日あるはむしろ予想されていなければならなかったはずだ」と悔しさを隠さない。
これは、合法的に南京・蘇州・漢口・重慶などに居留していた日本人が昭和2年の春、中国人によって襲われ、引揚げざるを得なかった日本人襲撃事件の実相を、直後に結成した「中支被難者連合会」が証言や公文書を用いて再現した『南京漢口事件真相 揚子江流域邦人遭難実記』の「序」である。
少し説明が必要であろう。事件発生時までの3年間、外務大臣は幣原喜重郎であった。
上海などで中国の横暴がしばしばあり、英米などは軍艦を出動させて鎮圧してきた。しかし、幣原外相は話し合い解決を主張し、軟弱外交と批判されていた。
こうしたことから、南京の日本領事は「北伐軍を刺激しない」「無抵抗主義で対応する方が効果的」として、荒木海軍大尉らが準備した領事館前の土嚢を撤去し、機関銃は倉庫に隠した。
そこに事件が起き、兵士と暴徒の侵入を許し、婦人までが凌辱・強姦の「忍ブベカラザル検査」(「検査」は領事の表現)を受けたのだ。
中国が事件を起こしても、武力対処は一切斥けた。こうした日本外交に対する思いが「今日あるはむしろ予想されて」の謂いであり、悔しさが滲んでいる。
これこそが「南京事件(昭和2年)」と呼ばれるもので、今日、「南京大虐殺」(昭和12年)として非難されているものは、事件でなく追撃戦であった。
(3)通州虐殺事件
北京の東方約20キロのところに通州がある。「冀東(きとう)防共自治政府」の管理下にある通州保安隊に守られて日本人居留民は生活していた。
盧溝橋事件から3週間後の29日(1937年7月)から翌30日未明の間に、保安隊は国民党軍と示し合わせたかのように警備を解き、女子供を含む邦人257人(日本の警備隊32人を含む)が惨殺された。
居留民たちの救援活動を取材するために、たまたま来ていた同盟通信社の安藤利男記者も襲撃を受けるが九死に一生のチャンスを得て脱出に成功し、後に『虐殺の通州脱出記』を書いている。
午前2時半ごろ保安隊の動きが怪しいとの電話があり、その後は不通。4時頃からは銃声も聞こえる。7時ごろになると市街南方辺りで白煙や黒煙が上がり、銃砲声も激しくなる。
8時になると、記者たちが泊まっていた近水楼の支那人ボーイが他所から口も利けない状態で駆け込んできて、「特務機関付近の通りの邦人商家、カフェー辺りで、日本人が多勢殺されてゐる。太変です・・・」の第一報をくれたという。
また、奇跡的に生き残った人たちも、色々と証言しており、虐殺事件の状況はかなり正確に伝わっている。
1か月後には『主婦の友』が人気作家吉屋信子をカメラマンともども派遣。その時も証拠は至る所に残っており、女性の目で子細に記録している。
しかし、平成28(2016)年7月、現地を訪ね『慟哭の通州―昭和12年夏の虐殺事件』を上梓した加藤康男氏によると、通州市は北京市に吸収されて、「もはやこのあたり一帯に通州虐殺事件に関連した建物は何一つ残されていない。旧城内は、90年代ごろから徹底的に破壊し尽くされてきた」という。
事件から5カ月経った12月下旬(日本軍が南京で入城式を行った1週間後)、冀東防共自治政府と日本側との間で弔意賠償金の支払いや慰霊碑建立の決着が図られた。
都合の悪い慰霊碑はいつしか地下に埋め隠されたが、再開発で偶然に発見された。
その状況を「北京日報」(2001.8.24付)は、「日本軍が中国を侵略した証拠、通州区で慰霊碑��見つかる」との見出しで報じたという。
「1938年日本軍のもので、我が国の抗戦軍民が倒した日寇のいわゆる『慰霊碑』だった。・・・文字はいずれもひどくかすれているが、『大東亜共栄』など日本の侵略理論も記されている」
「通州区の文物所所長によれば、・・・1937年7月29日早朝に通州の2万人余が蜂起、この偽政府(注:冀東防共自治政府)を占領した上、日本人五百人余りを撃ち殺した。翌日、日本軍は大規模な報復を行い、偽政府に二つの慰霊塔を立てることを要求、塔の前には慰霊碑も立てた」
殺害者二百数十人を「五百人余」に倍増し〝抗日の成果��を誇っているし、また5か月後の話し合い決着を「翌日」として日本の傲慢な要求に見せかける中国一流の誤魔化しがある。
加藤氏は、「南京や盧溝橋はもとより、満州各地にある旧大和ホテルに至るまでが『対日歴史戦』の遺跡として宣伝利用されていることを考えると、雲泥の差である。『通州虐殺事件』の痕跡は極めて都合が悪いので、完膚なきまでに消し去ったものとしか考えられなかった」と述べる。
おわりに
通州虐殺事件について、「東京日日新聞」(昭和12年8月6日付、毎日新聞の前身)は、「敵は第29軍の首脳部の命を受け26日頃から通州襲撃の保安隊及び正規兵と連絡をとり、北清事変議定書によって正規兵は天津市内に入るを得ざるを以て便服に着替へて大胆にもトラックを以て続々天津付近に侵入。機関銃、迫撃砲、小銃、青竜刀などを蔬菜や貨物の下に隠して運び込み、時の到るのを待って居た」と報道している。
天津では中国軍から攻撃を受けるや否や、日本軍が反撃に出て撃滅したため大事に至らなかったが、通州虐殺事件は天津の日本租界・軍関係機関、その他の邦人多数居留区域と共に、2年前から襲撃計画が練られていた同時多発テロであったのだ。
同紙は「約1万5千人を虐殺し、掠奪を恣にしたうえ、日本租界を占領しここに青天白日旗を翻して天津から邦人を一掃する」ことになっていたかもしれないと書いている。
加藤氏によると、中国共産党は、通州事件を「反正」(過ちを正すこと、即ち冀東防共自治政府の消滅)として評価し公認しているという。それなのに、「なぜ痕跡を抹殺しようとするのだろうか」と疑問が沸く。
筆者は次のように思う。旅順猟奇虐殺事件や通州虐殺事件は、虐殺現場の目撃者があり、「事件の存在」が証明される。これらの事件を大きく取り上げると、「南京大虐殺」についても「事件存在」の「明確な証明」が求められる。
しかし、習近平さえ英国女王の晩餐会で「存在の証明」で「友好のプレイアップ」を図ったが、逆に「非存在」の暴露になってしまい、“はい それまでよッ!”となりかねなかった。
南京事件は大虐殺の「状況証拠」から離れていくばかりだ。いかがであろうか。
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