#ベルトにゴムは使いません
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クロネコは商標だったのかも知れないが、ローカルな製造所の製品もクロネコと呼ばれた。写真の様にサッポーターと言う表示があってもクロネコと呼んでいたのだろう。卸カタログでは水泳褌などと書かれていた様だ。
この後出回ったゴム布製のathletic supporterは当時の体育会系、陸上やサッカー部では強制的に着けさせた。今より厚く丈夫なゴム布製で、フロントも同じ布だった。
形は今と同じだがゴムが太くて収縮力が強く着用感強烈。全体が激しく下腹部に押し付けられた。後ろベルトは2本合わせてもフロントよりずっと幅が狭いので後ろばかり伸びてフロントポーチ��伸びず、着けたとたんに強力に引き上げられ、時間が経つほどにどんどん激しく釣れ上がった。
そのためキンツリやキンツレと言って恐れられた。全盛期にはクロネコもまとめてそう呼ばれた。サッポーターと言う言葉も両方に使われ、キンヅリ、キンヅレともいった。
区別するには旧型は当然クロネコで、ゴム布製はVバックだけどゴムふんと言った様だ。写真は見た所はクロネコだが、パッケージにはゴム付と書かれていて、ウエストがゴム紐かも知れない。過渡期の製品か?
情報の多い時代ではなかったので、地方や学校で呼び方に違いがあったかも知れない。
画像(上3枚)引用元:ヤフーオークション
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Lot 6045 MEN'S SPRING SUSPENDERS
こんにちは 名古屋店 コジャです。
サスペンダーが再入荷しております。
WAREHOUSE & CO. Lot 6045 MEN'S SPRING SUSPENDERS \31.350-(with tax)
ジーンズがまだ「ウェストオーバーオール」(ウエスト丈のオーバーオール)と呼ばれていた1920年代までは、紳士服のパンツにはサスペンダーボタンがついており、「吊りズボン」として着用していました。ワークウェアとして酷使されるワークサスペンダーは、ゴムが伸び切ったり、革がちぎれたりして、現存するものは多くありません。そのような状況のなか、当時「NEWWAY」としてそれまでのサスペンダーにはないアイデアの反映されたサスペンダーが生まれました。その特徴は一目瞭然ですが、「伸縮性はあるが、伸びやすいゴムではなく、スプリングでキックパックを作り、背面がスライドすることで動きのハードは労働者のストレスを解消したもの」 1920年代のカントリージェントルマンという雑誌の広告には「ニューウェイはゴムなしで伸縮します��巧妙に隠され肩が擦れたり縛られたりすることはありません。曲げたりひねったりすると、それぞれの長さが独立してスライドし、調節されます。」とあります。
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以前御案内した下記パンツとも相性◎
GREENEBAUM Lot 1229 1900 4POCKET HEAVY LEATHER BOUND OVERALL \37.400-(with tax) ※ONE WASHは\1.100- UP
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GREENEBAUM Lot 1228 1874 3POCKET HEAVY LEATHER BOUND OVERALL \35.200-(with tax) ※ONE WASHは\1.100- UP
こういったパンツを手にしたら吊りたくなるところ。
OLDなパンツにはOLDなサスペンダーが良く合います。 この変わり種サスペンダーも再入荷しているので是非合わせてみて下さいね。
PRESS 藤木の記事(INSTGRAM)も引用しておりますの���、是非ご一読下さい。
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サスペンダーについて話す前に、まずはそのライバルであるベルトがいつから使用されたかを知る必要があるだろう。 ベルトが必要になったきっかけは、第一次世界大戦の軍服である。 ウエスト位置が低く、身体にフィットしたパンツが必要となった戦闘服がきっかけとなり、さらにはウエスト廻りに装備品を提げることができるベルトが台頭した。 そして戦後1920 年代にはローウエストのパンツが台頭し、その結果ベルトは労働着にも使用されるようになった。 デニムをはじめとするワークウエアにベルトループが付いたのも1920年代といわれている。 それまで、ベルトループのないパンツに腰ひもやキドニーベルトを締めて穿いていた者はカウボーイである。 彼らは決してオーバーオールを着ないので、「ウエストレングスオーバーオール」と呼ばれるパンツを好んで穿いたことから、ウエストを絞る必要があった。 それでもまだ労働者にはサスペンダーが不動の人気であったようで、ベルトループが付いてからも、しばらくの間はサスペンダー���タンがパンツのウエストバンドから外されることはなかった。
さて、このサスペンダー、ワークウエアの大切な装備品であったはずなのに、現存して見つかるものはほとんどない。 100年前のジーンズよりもその数は少ないといってよいくらいだ。その理由は明確である。サスペンダーは紛れもない「消耗品」なのである。 上半身と常に摩擦し、「吊りズボン」状態でサスペンダーには常に一定のテンションがかかる。このような酷使と、消耗した後の二次利用の用途の無さから、その現存数を少なくしているのだろう。
アメリカのビクトリア時代といわれる20世紀初頭には、3ピースにあわせる正装はベルトではなく、サスペンダー(ブレース)であった。 この時代の紳士は、必ずジャケットのしたにベストを着る。 そしてパンツの折り目(センタークリース)をきれいに保つためには、ベルトではなくこのサスペンダーが好都合であったのだ。
サスペンダーはその用途に合わせて、素材や強度も様々であるが、デニムのウエストオーバーオールを「吊る」サスペンダーは、やはり最も強度のあるものが必要となる。 ワークウェアとして酷使されるワークサスペンダーは、ゴムが伸び切ったり、革がちぎれたりして、やがて使えなくなってしまった。 そのような状況のなか、当時「NEWWAY」としてそれまでのサスペンダーにはないアイデアの反映されたサスペンダーが生まれた。 その特徴は一目瞭然だ。 「伸縮性はあるが、伸びやすいゴムではなく、スプリングでキックパックを作り、背面がスライドすることで動きのハードは労働者のストレスを解消したもの」1920年代のカントリージェントルマンという雑誌の広告には「ニューウェイはゴムなしで伸縮します。 巧妙に隠され肩が擦れたり縛られたりすることはありません。曲げたりひねったりするとそれぞれの長さが独立してスライドし、調節されます」と記載されている。
このようなサスペンダーがあらわれ、労働者の上半身は少しそのストレスから解放されたことだろう。 そして労働着とはいえ、長時間身を委ねるのだから、 このようにドレッシーなドビーストライプ柄を合わせる機会も生まれた。 それは彼ら労働者の仕事にたいするプライドの顕れでもある。
グリーンバウムオーバーオールの1870も、ベルトループは付かないモデル。ジャストサイズで本来の目的であるヒップ上のバックルを絞って穿くスタイル。 またオーバーサイズをサスペンダーで吊って穿くスタイルも「DADS」世代にはぜひ楽しんでもらいたい。
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こちらも度々御案内しておりますが、 WAREHOUSEホームページの【STYLE PHOTO】にて、 大阪店 土屋によるGREENBUM + SUSPENDERSを取り入れたスナップも掲載されておりますので、こちらもご参考下さい。 【STYLE PHOTO】:https://ware-house.jp/styles/
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髙木からもGREENBUM + SUSPENDERSを取り入れたスナップを。
Lot 1229 1900 4POCKET HEAVY LEATHER BOUND OVERALL
173cm,60kg SIZE:34(ONE WASH)
また髙木はLot 2214 1880 HEAVY LEATHER BOUND BROWSEを愛用しております。
173cm,60kg SIZE:40(私物 ONE WASH)
髙木はGREENBAUMで揃えず、その都度穿いているJeansなりカラーパンツで楽しんでおりますよ。
アメカジでも様々な楽しみ方があるので、「チャレンジ精神」で楽しむのも一興。色々と取り入れて遊んでいきましょうっ。 では失礼いたします。
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今後の営業時間等の変更につきましては改めて当ブログにてお知らせ致します。 お客様におかれましてはご不便をお掛けいたしますが御ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
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弊社直営店で行っておりますジーンズ等のリペアの受付を休止させて頂いております。 ※ご郵送に関しても同様に休止させて頂いております。再開の日程は未定です。
ご迷惑お掛け致しますが、ご理解下さいます様お願い致します。 ※弊社製品であればボトムスの裾上げは無料にてお受けしております。お預かり期間は各店舗により異なりますのでお問合せ下さい。
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TEL:052-261-7889
《2024.11.5.現在の営業時間》
【営業時間:平日 12時~19時、土日祝 12時~19時】水曜定休日
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コピーブランド vogvip.com/brand-18-c0.html PHILIPP PLEINコピーブランド
耐久性に優れ PHILIPP PLEIN フィリッププレインコピ ー フラットシューズ スニーカー メンズ 2022 キャンバスシューズ カジュアルシューズ 靴 PHILIPP PLEINのこのカジュアルなフラットシューズはファッションと快適さの面で再度アップグレードして、あなたに全く新しい着用体験をもたらします。見た目がおしゃれなだけでなく、履き心地も良いのでデイリーにも理想的です。デザインを見ると、PHILIPP PLEINのカジュアルなフラットシューズは、シンプルで堂々としていて、それでいてスタイリッシュです。アッパーには上質な革やファブリック素材が使われており、質感も十分です。アッパーには、ブランドのシンボルであるリベットや刺繡、プリントなどの装飾が施されているかもし��ません。カラーバリエーションも豊富です。定番の黒、白、グレーからおしゃれなカラー系まで、それぞれの色が個性やスタイルを演出してくれます。カジュアルにもスーツにも合わせやすい、おしゃれで快適なスタイルになります。 コピ ーブランド vogvip.com/brand-18-c0.html PHILIPP PLEINコピ ーブランド 材質はPHILIPP PLEINカジュアルシューズをより上質なものにし、快適性と耐久性を確保しました。靴底は一般的に柔らかいゴム材質を採用して、良好な滑り止め性能と制振性能を持って、あなたが歩く時更に快適で安全です。細部にこだわっています。靴の縫い目はきれいに整えられていて、何もはみ出していません。シューズ内のインソールには、より柔らかく快適な素材を採用しており、足にフィット感とフィット感を提供しています。ブランドのアイコンであるロゴマークは、靴のサイドやかかとにあることが多く、控えめでスタイリッシュな印象を与えます。合わせては、PHILIPP PLEINのカジュアルパンプスがぴったりです。ジーパン、カジュアルパンツ、ショートパンツなどと合わせて、自由気ままなファッションスタイルを見せることができます。ワンピースやミニスカートなどにも合わせて、甘めのおしゃれ感を演出できます。スニーカーや他の靴に合わせても、おしゃれさと快適さをプラスしてくれるフラットシューズです。要するに、PHILIPP PLEINのこのカジュアルなフラットシューズはファッションと快適さの面で再度アップグレードして、デザイン、材質や色の選択に関わらず、すべてブランドの高品質と革新精神を体現しました。普段の着こなしに理想的で、快適でありながらスタイリッシュな着こなしが魅力です。 ブランドスーパーコピ ー 激安専門店 vogvip.com VOGコピ ー 商品番号:vogvip2022pp199 在庫状況: 100 会員価格:19500円 商品ブランド:フィリッププレイン PHILIPP PLEIN 出品時間:2022-09-23 商品カテゴリ:メンズ スニーカー、靴 PHILIPP PLEINメンズ スニーカースーパーコピ ー 代引 vogvip.com/goods-4437.html フィリッププレインコピ ーブランド vogvip.com へようこそ。 ▲新規会員登録された方に色々な割引サービスを差し上げます。 ▲当店ではご注文日から翌営業日までに当店よりお客様宛てに必ずご注文のお礼メール・ご注文確認メールを送信させて頂いております。 ▲当店メールアドレスが届いていないお客様の中には、サーバーにて迷惑メールと判断され、迷惑メールフォルダにメールが届。 ▲もし本当に届かなかった場合には[email protected]までご連絡くださいませ。 vogvip.com専門店(2024年モデル入荷 フィリッププレイン 半袖Tシャツ ブランド 偽物 通販):主にブランド コピ ー フィリッププレイン コピ ー通販販売の2024最新作から定番人気 靴,服,パーカー,スウェットシャツ,ジャケット,ベルト,デニム,雑貨小物,フィリッププレイン 通販,フィリッププレイン 半袖Tシャツコピ ー, フィリッププレインスーパーコピ ー 激安,ブランド 偽物 通販,フィリッププレイン スウェットシャツスーパーコピ ーなどを提供しております,品質保証,安心してご購入ください! フィリッププレイン半袖Tシャツコピ ー vogvip.com/brand-18-c0.html PHILIPPPLEINブランドコピ ー
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キャノンデール クイックサドルバッグ(Lサイズ)
アクセサリーは純正で揃えたい病を患っているので(これ書くの何回目や)、サドルバッグはキャノンデールのを使うてた。正確にはfabricの製品にキャノンデールのロゴをプリントしたものやと思うけど、ベルトにつけられたロゴはただのプリントやなくてゴム製の立体感のあるものやったり微妙に凝ってた。
いくつかサイズにラインアップがあって、買うたのは底面のファスナーを開放することで容量が増やせる一番大きなモデル。 携帯ポンプはフレームにくくりつけるのではなく隠したかったから、ギリギリ収納できたこれにした。
他には工具とか替えチューブとかカギとかを入れてた。もうパンパン。
今でこそ、何も持たないぐらいの身軽さが楽でサドルバッグも使うてへんのやけど、サドルバッグを取り付けた状態のバイクのたたずまいも結構好きなんよな。ロードバイク独特のスタイルの匂いがするからなんかな。 サドルバッグはダサい、みたいに言う人もいるみたいやけど。
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【小説】The day I say good-bye (3/4)【再録】
(2/4)はこちらから→(https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/647000556094849024/)
「あー、もー、やんなっちゃうよなー」
河野帆高はシャーペンをノートの上に投げ出しながらそう言って、後ろに大きく伸びをした。
「だいたいさー、宿題とか課題って意味がわからないんだよねー。勉強って自分のためにするもんじゃーん。先生に提出するためじゃないじゃーん。ちゃんと勉強してれば宿題なんて出さなくてもいいじゃーん」
「いや、よくないと思う」
「つーか何この問題集。分厚いくせにわかりにくい問題ばっか載せてさー。勉強すんのは俺らなんだから、問題集くらい選ばせてくれたっていーじゃんね」
「そんなこと言われても……」
僕の前には一冊の問題集があった。
夏休みの宿題として課されていたものだ。その大半は解答欄が未だ空白のまま。言うまでもないが、僕のものではない。帆高のものだ。どういう訳か僕は、やつの問題集を解いている。
その帆高はというと、また別の問題集をさっきまでせっせと解いていた。そっちは先日のテストが終わったら提出するはずだったものだ。毎回、テスト範囲だったページの問題を全て解いて、テスト後に提出するのが決まりなのだ。帆高はかかとを踏み潰して上履きを履いている両足をばたつかせ、子供みたいに駄々をこねている。
「ちゃんと期限までにこつこつやっていればこんなことには……」
「しぬー」
「…………」
つい三十分前のことだ。放課後、さっさと帰ろうと教室で荷物をまとめていた僕のところに、帆高は解答欄が真っ白なままの問題集を七冊も抱えてやってきた。激しく嫌な予感がしたが、僕は逃げきれずやつに捕らえられてしまった。さすが、毎日バスケに勤しんでいる人間は、同じ昼休みを昼寝で過ごす僕とは俊敏さが違う。
帆高は夏休みの課題を何ひとつやっていなかった。テスト後に提出する課題も、だ。そのことを教師に叱責され、全ての課題を提出するまで、昼休みのバスケ禁止令と来月の文化祭参加禁止令が出されたのだという。
それに困った帆高はようやく課題に着手しようと決意したらしいが、僕はそこに巻き込まれたという訳だ。一体どうして僕なのだろうか。そんな帆高だが、この間のテストでは学年三位の成績だというので、教師が激怒するのもわかるような気がする。
「…………どうして、保健室で勉強してるの」
ベッドを覆うカーテンの隙間から頭の先を覗かせてそう訊いてきたのは、河野ミナモだった。帆高とは同じ屋根の下で暮らすはとこ同士だというが、先程から全くやつの方を見ようとしていない。
そう、ここは保健室だ。養護教諭は今日も席を外している。並んだベッドで休んでいるのは保健室登校児のミナモだけだ。
「教室は文化祭の準備で忙しくて追い出されてさ。あ、ミナモ、俺にも夏休みの絵、描いてよ。なんでもいいからさ」
帆高は鞄からひしゃげて折れ曲がった白紙の画用紙を取り出すと、ミナモへ手渡す。ミナモはしばらく黙っていたが、やがて帆高の方を見もしないまま、画用紙をひったくるように取るとカーテンの内側へと消えた。
帆高が僕の耳元で囁く。
「こないだ、あんたと仲良くなったって話をしたら、少しは俺と向き合ってくれるようになったんだ。ミナモ、あんたのことは結構信頼してるんだな」
へぇ、そうだったのか。僕がベッドへ目を向けた時、ミナモは既にカーテンを閉め切ってその中に閉じこもってしまっていた。耳を澄ませれば鉛筆を走らせる音が微かに聞こえてくる。
「そう言えば、あんたのクラスは文化祭で何やんのー?」
「なんだったかな……確か、男女逆転メイド・執事喫茶?」
「はー? まじでー?」
帆高はけらけらと笑った。
「男女逆転ってことは、あんたもメイド服とか着る訳?」
「……そういうことなんじゃない?」
「うひゃー、そりゃ見物だなーっ!」
「あんたのとこは?」
「俺のとこはお化け屋敷」
それはまた無難なところだな。こいつはお化けの恰好が似合いそうだ、と考えていると、
「そういやさ、クラスで思い出したんだけど、」
と帆高は言った。
「あんたのとこ、クラスでいじめとかあったりする?」
「さぁ、どうだろ……。僕はよく知らないけど」
いじめ、と聞いて思い出すのは、あーちゃんのこと、ひーちゃんのこと。
「なんか三組やばいみたいでさー。クラスメイト全員から無視されてる子がいるんだってさ」
「ふうん」
「興味なさそうだなー」
「興味ないなぁ」
他人の心配をする余裕が、僕にはないのだから仕方ない。
そうだ、僕はいつだって、自分のことで精いっぱいだった。
「透明人間になったこと、ある?」
あの最後の冬、あーちゃんはそう僕に尋ねた。
あーちゃんは���屋の窓から、遠い空を見上げていた。ここじゃないどこかを見��めていた。どこか遠くを、見つめていた。蛍光灯の光が眼鏡のレンズに反射して、その目元は見えなかったけれど、彼はあの時、泣きそうな顔をしていたのかもしれない。
僕はその時、彼が発した言葉の意味がわからなかった。わかろうともしなかった。その言葉の本当の意味を知ったのは、あーちゃんが死んだ後のことだ。
僕は考えなかったのだ。声を上げて笑うことも、大きな声で怒ることも、人前で泣くこともなかった、口数の少ない、いつも無表情の、僕の大事な友人が、何を考え、何を思っていたのか、考えようともしなかった。
透明人間という、あの言葉が、あーちゃんが最後に、僕へ伸ばした手だった。
あーちゃんの、誰にも理解されない寂しさだった。
「――くん? 鉛筆止まってますよ?」
名前を呼ばれた気がして、はっとした。
いけない、やつの前で物思いにふけってしまった。
「ぼーっとして、どした? その問題わかんないなら、飛ばしてもいいよ」
いつの間にか帆高は問題集を解く作業を再開していた。流れるような筆致で数式が解き明かされていく。さすが、学年三位の優等生だ。問題を解くスピードが僕とは全然違う。
「……この問題集、あんたのなんだけどね」
僕がそう言うと帆高はまたけらけらと笑ったので、僕は溜め息をついてみせた。
「最近はどうだい? 少年」
相談室の椅子にふんぞり返るように腰を降ろし、長い脚を大胆に組んで、日褄先生は僕を見ていた。
「担任の先生に聞いたよ」
彼女はにやりと笑った。
「少年のクラス、文化祭で男がメイド服を着るんだろう?」
「…………」
僕は担任の顔を思い浮かべ、どうして一番知られてはいけない人間にこの話をしたのだろうかと呪った。
「少年ももちろん着るんだろ? メイド服」
「…………」
「最近の中学生は面白いこと考えるなぁ。男女逆転メイド・執事喫茶って」
「…………」
「ちゃんとカメラ用意しないとなー」
「…………先生、」
「せんせーって呼ぶなっつってんだろ」
「カウンセリングして下さい」
「なに、なんか話したいことあるの?」
「いや、ないですけど」
「じゃあ、いーじゃん」
「真面目に仕事して下さい」
そもそも、今日は日褄先生の方から、カウンセリングに来いと呼び出してきたのだ。てっきり何か僕に話したいことがあるのかと思っていたのに、ただの雑談の相手が欲しかっただけなんだろうか。
「昨日は市野谷んち行ってきた」
「そうですか」
「久しぶりに会ったよ、あの子に」
僕は床を見つめていた目線を、日褄先生に向けた。彼女は真剣な表情をしている。
「……会ったんですか、ひーちゃんに」
日褄先生のことを嫌い、その名を耳にすることも口にすること嫌い、会うことを拒み続けていた、あのひーちゃんに。
「なーんであの子はあたしを見ると花瓶やら皿やら投げつけてくるのかねぇ」
不思議だ不思議だ、とちっとも不思議に思っていなそうな声で言う。
「あの子は、変わらないね」
ありとあらゆるものが破壊され、時が止まったままの部屋で、二度と帰ってくることのない人を待ち続けているひーちゃん。
「あの子はまるで変わらない。小さい子供と同じだよ。自分の玩具を取り上げられてすねて泣いているのと同じだ」
「……ひーちゃんをそういう風に言わないで下さい」
「どうしてあの子をかばうんだい、少年」
「ひーちゃんにとって、あーちゃんは全てだったんですよ。そのあーちゃんが死んだんです。ショックを受けるのは、当然でしょう」
「違うね」
それは即答だった。ぴしゃりとした声音。
暖かい空気が遮断されたように。ガラス戸が閉められたように。
世界が遮断されたかのように。
世界が否定されたかのように。
「少年はそう思っているのかもしれないが、それは違う。あの子にとって、直正はそんなに大きな存在ではない」
「そんな訳、ないじゃないですか!」
「少年だって、本当はわかっているんだろ?」
「わかりません、そんなこと僕には――」
僕を見る日褄先生の目は、冷たかった。
そうだ。彼女はそうなのだ。相変わらずだ。彼女はカウンセラーには不向きだと思うほど、優しく、そして乱暴だ。
「少年はわかっているはずだ、直正がどうして死んだのか」
「…………先生、」
「せんせーって呼ぶなって」
「僕は、どうすればよかったんですか?」
「少年はよく頑張ったよ」
「そんな言葉で誤魔化さないで下さい、僕はどうすれば、ひーちゃんをあんな風にしなくても、済んだんですか」
忘れられない。いつ会っても空っぽのひーちゃんの表情。彼女が以前のように笑ったり泣いたりするには、どうしても必要な彼はもういない。
「後悔してるの? 直正は死んでないって、嘘をついたこと」
「…………」
「でもね少年、あの子はこれから変わるつもりみたいだよ」
「え……?」
ひーちゃんが、変わる?
「どういう、ことですか……?」
「市野谷が、学校に行くって言い出したんだよ」
「え?」
ひーちゃんが、学校に来る?
あーちゃんが帰って来ないのにどうして学校に通えるの、と尋ねていたひーちゃんが、あーちゃんがいない毎日に怯えていたひーちゃんが、学校に来る?
あーちゃんが死んだこの学校に?
あーちゃんはもう、いないのに?
「今すぐって訳じゃない。入学式さえ来なかったような不登校児がいきなり登校するって言っても、まずは受け入れる体勢を整えてやらないといけない。カウンセラーをもうひとり導入するとかね」
「でも、一体どうして……」
「それはあたしにもわからない。本当に唐突だったからね」
「そんな……」
待つんじゃなかったのか。
あーちゃんが帰って来るまで、ずっと。
ずっとそこで。去年のあの日で。
「あたしは、それがどんな理由であろうとも、あの子にとって良いことになればそれでいいと思うんだよ」
日褄先生はまっすぐ僕を見ていた。脚を組み替えながら、言う。
「少年は、どう思う?」
僕の腕時計の針が止まったのは、半月後に文化祭が迫ってきていた、九月も終わりの頃だった。そしてそれに気付いたのは、僕ではなく、帆高だった。
「ありゃ、時計止まってるじゃん、それ」
「え?」
帆高の課題は未だに終わっておらず、その日も保健室で問題集を広げて向き合っていた。何気なく僕の解答を覗き込んだ帆高が、そう指摘したのだ。
言われて見てみれば、今は放課後だというのに、時計の針は昼休みの時間で止まっていた。ただいつ止まったのかはわからない。僕は普段、その時計の文字盤に注意を向けることがほとんどないのだ。
「電池切れかな」
「そーじゃん? ちょっと貸してみ」
帆高がシャープペンシルを置いて手を差し出してきたので、僕はそっと時計のベルトを外し、その手に乗せる。時計を外した手首の内側がやつに見えないように気を付ける。
黒い、プラスチックの四角い僕の時計。
僕の左手首の傷を隠すための道具。
帆高はペンケースから細いドライバーを取り出すと、文字盤の裏の小さなネジをくるくると器用に外していた。それにしてもどうして、こんな細いドライバーを持ち歩いているんだろうか、こいつは。
「あれ?」
問題集のページの上に転がったネジを、なくさないように消しゴムとシャーペンの間に並べていると、文字盤裏のカバーを外した帆高が妙な声を上げる。
そちらに目をやると、ちょうど何かが宙を舞っているところだった。それは小さな白いものだった。重力に逆らえるはずもなく、ひらひらと落下していく。帆高の手から逃れたそれは、机の上に落ちた。
「なんだこれ」
それは紙切れだった。ほんとうに小さな紙切れだ。時計のカバーの内側に貼り付いていたものらしい。僕はそれを中指で摘まんだ。摘まんで、
「…………え?」
摘まんで、ゴミかと思っていた僕はそれを捨てようと思って、そしてそれに気が付いた。その小さな紙切れには、もっと小さな文字が記されている。
図書室 日本の野生のラン
「……図書室?」
どくん、と。
突然、自分の心臓の鼓動がやけに耳に響いた。なぜか急に息苦しい気分になる。嫌な胸騒ぎがした。
――うーくん、
誰かが僕の名を呼んでいる。
「どうした?」
僕の異変に気付いた帆高が身を乗り出して、僕の指先の紙を見やる。
「……日本の野生のラン?」
――うーくん、
僕のことを呼んでいる。
「なんだこれ? なんかの暗号?」
暗号?
違う、これは暗号じゃない。
これは。
――うーくん、
僕を呼んでいるのは、一体誰だ?
「日本の野生のラン、図書室……」
考えろ。
考えろ考えろ考えろ。
これは一体、どういうことだ?
――うーくん、
知っている。わかっている。これは、恐らく……。
「図書室……」
今になって?
今日になって?
どうしてあの日じゃないんだ。
どうしてあの時じゃないんだ。
これはそう、きっと最後の……。
――うーくん、この時計あげるよ。
「ああ……」
耳鳴り。世界が止まる音。夏のサイレン。蝉しぐれ。揺れる青色は空の色。記憶と思考の回路が全て繋がる。
「あーちゃんだ…………」
「英語の課題をするのに辞書を借りたいので、図書室を利用したいんですけど、鍵を借りていってもいいですかー?」
帆高がそう言うと、職員室にいた教師はたやすく図書室の鍵を貸してくれた。
「そういえば河野くん、まだ宿題提出してないんだって? 担任の先生怒ってたわよ」
通りすがりの他の教師がそう帆高に声をかける。やつは笑って答えなかった。
「じゃー、失礼しましたー」
けらけら笑いながら職員室を出てくると、入口の前で待っていた僕に、「じゃあ行こうぜ」と声をかけて歩き出す���僕はそれを追うように歩く。
「ほんとにそうな訳?」
階段を上りながら、振り返りもせずに帆高が問いかけてくる。
「なにが?」
「ほんとにさっきのメモ、あんたの自殺した友達が書いたもんなの?」
「…………恐らくは」
僕が頷くと、信じられないという声で帆高は言う。
「にしても、なんだよ、『野生の日本のラン』って」
「『日本の野生のラン』だよ」
「どっちも同じだろー」
放課後の校内は文化祭の準備で忙しい。廊下にせり出した各クラスの出し物の準備物やら、ダンボールでできた看板やらを踏まないようにして図書室へと急ぐ。途中、紙とビニール袋で作られたタコの着ぐるみを着た生徒とすれ違った。帆高がそのタコに仲良さげに声をかけているところを見ると、こいつの知り合いらしい。こいつにはタコの友人もいるのか。
この時期の廊下は毎年混沌としている。文化祭の開催時期がハロウィンに近いせいか、クラスの出し物等もハロウィンに感化されている。まるで仮装行列だ。そんな僕も文化祭当日にはクラスの女子が作ってくれたメイド服が待っている。まだタコの方がましだった。
がちゃがちゃ、と乱暴に鍵を回して帆高は図書室の扉を開けてくれた。
閉め切られた図書室の、生ぬるい空気が顔に触れる。埃のにおいがする。それはあーちゃんのにおいに似ていると思った。
「『日本の野生のラン』って、たぶん植物図鑑だろ? 図鑑ならこっちだぜ」
普段あまり図書室を利用しない僕を帆高がひょいひょいと手招きをした。
植物図鑑が並ぶ棚を見る。植物図鑑、野山の樹、雑草図鑑、遊べる草花、四季折々の庭の花、誕生花と花言葉……。
「あっ…………た」
日本の野生のラン。
色褪せてぼろぼろになっている、背表紙の消えかかった題字が僕の目に止まった。恐る恐る取り出す。小口の上に埃が積もっていた。色褪せていたのは日に晒されていた背表紙だけのようで、両側を園芸関係の本に挟まれていた表紙と裏表紙には、名前も知らないランの花の写真が鮮やかな色味のままだった。ぱらぱらとページをめくると、日本に自生しているランが写真付きで紹介されている本。古い本のようだ。ページの端の方が茶色くなっている。
「それがなんだっつーんだ?」
帆高が脇から覗き込む。
「普通の本じゃん」
「うん……」
最初から最後まで何度もページをめくってみるが、特に何かが挟まっていたり、ページに落書きされているようなこともない。本当に普通の本だ。
「なんか挟まっていたとしても、もう抜き取られている可能性もあるぜ」
「うん……」
「にしても、この本がなんなんだ?」
腕時計。止まったままの秒針。切れた電池。小さな紙。残された言葉は、図書室 日本の野生のラン。書いたのはきっと、あーちゃんだ。
――うーくん、この時計あげるよ。
この時計をくれたのはあーちゃんだった。もともとは彼の弟、あっくんのものだったが、彼が気に入らなかったというのであーちゃんが僕に譲ってくれたものだ。
その時彼は言ったのだ、
「使いかけだから、電池はすぐなくなるかもしれない。でもそうしたら、僕が電池を交換してあげる」
と。
恐らくあーちゃんは、僕にこの時計をくれる前、時計の蓋を開け、紙を入れたのだ。こんなところに紙を仕込める人は、彼しかいない。
にしてもどういうことだろう、図書室 日本の野生のラン。この本がなんだと言うのだろう。
てっきりこの本に何か細工でもしてあるのかと思ったけれど、見たところそんな部位もなさそうだ。そもそも、本を大切にしていたあのあーちゃんが、図書室の本にそんなことをするとは思えない。でもどうして、わざわざ図書室の本のことを記したのだろう。図書室……。
「あ……」
図書室と言えば。
「貸出カード……」
本の一番後ろのページを開く。案の定そこには、貸出カードを仕舞うための、紙でできた小さなポケットが付いている。
中にはいかにも古そうな貸出カードが頭を覗かせている。それをそっと手に取って見てみると、そこには貸出記録ではない文字が記してあった。
資料準備室 右上 大学ノート
「……今度は資料準備室ねぇ」
ぽりぽりと頭を掻きながら、帆高は面倒そうに言う。
「一体、なんだって言うんだよ」
「……さぁ」
「行ってみる?」
「…………うん」
僕は本を棚に戻す。元通り鍵を閉め、僕らは図書室を後にした。
図書室の鍵は後で返せばいいだろ、という帆高の発言に僕も素直に頷いて、職員室には寄らずに、資料準備室へ向かうことにした。
またもや廊下でタコとすれ違った。しかも今度は歩くパイナップルと一緒だ。なんなんだ一体。映画の撮影のためにその恰好をしているらしいが、どんな映画になるのだろう。「戦え! パイナップルマン」と書かれたたすきをかけて、ビデオカメラを持った人たちがタコとパイナップルを追いかけるように速足で移動していった。
「そういえばさ、」
僕は彼らから帆高へ目線を移しながら尋ねた。
「資料準備室、鍵、いるんじゃない?」
「あー」
「借りて来なくていいの?」
「貸して下さいって言って、貸してくれるような場所じゃないだろ」
資料準備室の中には地球儀やら巨大な世界地図やら、あとはなんだかよくわからないものがいろいろ入っている。生徒が利用することはない。教師が利用することもあまりない。半分はただの物置になっているはずだ。そんな部屋に用事があると言ったところで、怪しまれるだけで貸してはくれないだろう。いや、この時期だし、文化祭の準備だと言えば、なんとかなるかもしれないけれど。
「じゃ、どうする気?」
「あんたの友達は、どうやってその部屋に入ったと思う?」
そう言われてみればそうだ。あーちゃんはそんな部屋に、一体何を隠したというのだ。そして、どうやって?
「良いこと教えてやるよ、――くん」
「……なに?」
帆高は僕の名を呼んだのだと思うが、聞き取れなかった。
やつは唇の端を吊り上げて、にやりと笑う。
「資料準備室って、窓の鍵壊れてるんだよ」
「はぁ……」
「だから窓から入れるの」
「資料準備室って、三階……」
「ベランダあんだろ、ベランダ」
三階の廊下、帆高は非常用と書かれた扉を開けた。それは避難訓練の時に利用する、三階の全ての教室のベランダと繋がっている通路に続くドアだ。もちろん、普段は生徒の使用は禁止されている。と思う、たぶん。
「行こうぜ」
��帆高が先を行く。僕がそれを追う。
日が傾いてきたこともあり、風が涼しかった。空気の中に、校庭の木に咲いている花のにおいがする。空は赤と青の絵具をパレットでぐちゃぐちゃにしたような色だった。あちこちの教室から、がやがやと文化祭の準備で騒がしい声が聞こえてくる。ベランダを歩いていると、なんだか僕らだけ、違う世界にいるみたいだ。
「よいっ、しょっと」
がたんがたんと立て付きの悪い窓をやや乱暴に開けて、帆高がひょいと資料準備室の中へと入る。僕も窓から侵入する。
「窓、閉めるなよ。万が一開かなくなったらやばいからな」
「わかった」
「さて、資料準備室、右上、大学ノート、だったっけ? 右上、ねぇ……」
資料準備室の中は、物が所せましと置かれていた。大きなスチールの棚から溢れ出した物が床に積み上げられ、壊れた机や椅子が無造作に置かれ、僕らの通り道を邪魔している。どんな物にも等しく埃が降り積もっていて、蜘蛛の巣が縦横無尽に走っている。
「右上っちゃー、なんのことだろうな」
ズボンに埃が付かないか気にしながら、帆高が並べられた机の間を器用にすり抜けた。僕は部屋の中を見回していると、ふと、棚の中に大量のノートらしき物が並べられているのを見つけた。
僕はその棚に苦労して近付き、手を伸ばしてノートを一冊取り出してみる。
「……昭和六十三年度生徒会活動記録」
表紙に油性ペンで書かれた文字を僕が読み上げると、帆高が、
「生徒会の産物か」
と言った。
「右上って、この棚の右上ってことじゃないかな」
「ああ。どうだろうな、ちょっと待ってろ」
帆高は頷くと、一番下の段に足をかけて棚によじ登ると、最上段の右側に置いてあるノートを無造作に二十冊ほど掴んで降ろしてくれた。それを机の上に置くと、埃が空気に舞い上がる。ノートを一冊一冊見ていくと、一冊だけ、表紙に文字の記されていないノートがあった。
「それじゃね?」
棚からぴょんと飛び降りた帆高が言う。
僕はそのノートを手に取り、表紙をめくった。
うーくんへ
たったそれだけの、鉛筆で書かれた、薄い文字。
「……これだ」
次のページをめくる。
うーくんへ
きみがこれを読む頃には、とっくに僕は死んでいるんだろうね。
きみがこのノートを手に取ってくれたということは、僕がきみの時計の中に隠したあのメモを見てくれたということだろう? そして、あの図書室の本を、ちゃんと見つけてくれたということだろう?
きみがメモを見つけた時、どこか遠いところに引っ越していたり、中学校を既に卒業していたらどうしようかと、これを書きながら考えているけれど、それはそれで良いと思う。図書室の本がなくなっていたり、このノートが捨てられてしまったりしていたらどうしようかとも思う。たとえ、今これを読んでいるきみがうーくんではなかったとしても、僕はかまわない。
これでも考えたんだ。他の誰でもなく、きみだけが、このノートを手に取る方法を。
これは僕が生きていたことを確かに証明するノートであり、これから綴るのは僕が残す最後の物語なのだから。
これは、僕のもうひとつの遺書だ。
「もうひとつの、遺書……」
声が震えた。
知らなかった��
あーちゃんがこんなものを残しているなんて知らなかった。
あーちゃんがこんなものを書いているなんて知らなかった。
彼が死んだ時、僕はまだ小学校を卒業したばかりだった。
あーちゃんは僕にメモを仕込んだ腕時計をくれ、それを使い続け、電池が切れたら交換すると信じていた。僕が自分と同じこの中学校に通って、メモを見て図書室を訪れると信じていた。あの古い本が破棄されることなく残っていて、貸出カードの文字がそのままであると信じていた。この部屋が片付けられることなく、窓が壊れたままで、ノートが残っていることを信じていた。
なによりも、僕がまだ、この世界に存在していることを信じていた。
たくさんの未来を信じていたのだ。自分はもう、いない未来を。
「目的の物は、それでいーんだろ?」
帆高の目は、笑っていなかった。
「じゃ、ひとまず帰ろうぜ。俺の英語の課題、まだ終わってない」
それに図書室の鍵も、返さなくちゃいけないし。そう付け加えるように言う。
「それは後でゆっくり読めよ。な?」
「……そうだね」
僕は頷いて、ノートを閉じた。
うーくんへ
きみがこれを読む頃には、とっくに僕は死んでいるんだろうね。
そんな出だしで始まったあーちゃんの遺書は、僕の机の上でその役目を終えている。
僕は自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がって、天井ばかりを眺めていた。ついさっきまで、ノートのページをめくり、あーちゃんが残した言葉を読んでいたというのに、今は眠気に支配されている。
ついさっきまで、僕はその言葉を読んで泣いていたというのに。ページをめくる度、心が八つ裂きにされたかのような痛みを、繰り返し繰り返し、感じていたというのに。
ノートを閉じてしまえばなんてことはない、それはただの大学ノートで、そこに並ぶのはただの筆圧の弱い文字だった。それだけだ。そう、それだけ。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ「それだけ」であるという事実だけが、淡々と横たわっている。
事実。現実。本当のこと。本当に起こったこと。もう昔のこと。以前のこと。過去のこと。思い出の中のこと。
あーちゃんはもういない。
どこにもいない。これを書いたあーちゃんはもういない。歴史の教科書に出てくる人たちと同じだ。全部全部、昔のことだ。彼はここにいない。どこにもいない。過去のこと。過去のひと。過去のもの。過去。過去そのもの。もはやただの虚像。幻。夢。嘘。僕がついた、嘘。僕がひーちゃんについた、嘘。あーちゃんは、いない。いない。いないいないいない。
ただそれだけの、事実。
あーちゃんのノートには、生まれ育った故郷の話から始まっていた。
彼が生まれたのは、冬は雪に閉ざされる、北国の田舎。そこに東京から越してきた夫婦の元に生まれた彼は、生まれつき身体が弱かったこともあり、近所の子供たちとは馴染めなかった。
虫捕りも魚釣りもできない生活。外を楽しそうに駆け回るクラスメイトを羨望の眼差しで部屋から見送る毎日。本屋も図書館もない田舎で、外出できないあーちゃんの唯一の救いは、小学校の図書室と父親が買ってくれた図鑑一式。
あーちゃんは昔、ぼろぼろの、表紙が取れかけた図鑑をいつも膝の上に乗せて熱心に眺めていた。破けたページに丁寧に貼られていたテープを思い出す。
学校で友達はできなかった。あーちゃんはいつもひとりで本を読んで過ごした。小学校に上がる以前、入退院を繰り返していた彼は、同年代との付き合い方が���かっていなかった。
きっかけは小さなことだった。
ひとりの活発なクラスメイトの男の子が、ある日あーちゃんに声をかけてきた。
サッカーをする人数が足りず、教室で読書をしていた彼に一緒に遊ばないかと声をかけてきたのだ。
クラスメイトに声をかけられたのは、その時が初めてだった。あーちゃんはなんて言えばいいのかわからず黙っていた。その子は黙り込んでしまったあーちゃんを半ば強引に、外に連れ出そうとした。意地悪をした訳ではない。その子は純粋に、彼と遊びたかっただけだ。
手を引かれ、引きずられるようにして教室から連れ出される。廊下ですれ違った担任の先生は、「あら、今日は鈴木くんもお外で遊ぶの?」なんて声をかける。あーちゃんは抵抗しようと首を横に振る。なんとかして、自分は嫌なことをされているのだと伝えようとする。だけれどあーちゃんの手を引くそのクラスメイトは、にっこり笑って言った。
「きょうはおれたちといっしょにサッカーするんだ!」
ただ楽しそうに。悪意のない笑顔。害意のない笑顔。敵意のない笑顔。純粋で、率直で、自然で、だから、だからこそ、最も忌むべき笑顔で。
あーちゃんの頭の中に言葉が溢れる。
ぼくはそとであそびたくありません。むりやりやらされようとしているんです。やめてっていいたいんです。たすけてください。
しかしその言葉が声になるよりも早く、先生はにっこり笑う。
「そう。良かったわ。休み時間はお外で遊んだ方がいいのよ。本は、おうちでも読めるでしょう?」
そうして背を向けて、先生は行ってしまう。あーちゃんの腕を引く力は同い年とは思えないほどずっと力強く、彼の身体は廊下を引きずられていく。
子供たちの笑い声。休み時間の喧騒。掻き消されていく。届かない。口にできない言葉。消えていく。途絶えていく。まるで、死んでいくように。
あーちゃんは、自分の気持ちをどうやって他者に伝えればいいのか、わかっていなかった。彼に今まで接してきた大人たちは、皆、幼いあーちゃんの声に耳を傾けてくれる人たちばかりだった。両親、病院の医師や看護師。小さい声でぼそぼそと喋るあーちゃんの言葉を、辛抱強く聞いてくれた。
自分で言わなければ他人に伝わらないということも、幼いあーちゃんは理解していなかった。どうすれば他人に伝えればいいのか、その方法を知らなかった。彼は他人との関わり方がわからなかった。
だからあーちゃんは、持っていた本で、さっきまで自分が机で読んでいた本で、ずっと手に持ったままだったその分厚い本で、父親に買ってもらった恐竜の図鑑で、その子の頭を殴りつけた。
一緒に遊ぼう、と誘ってくれた、初めて自分に話しかけてくれたクラスメイトを。
まるで自然に、そうなることが最初から決まっていたかのように、力いっぱい腕を振り上げ、渾身の力で、その子を殴った。
あーちゃんを引っ張っていた手が力を失って離れていく。まるで糸が切れた人形のように、その子が倒れていく。形相を変えて駆け寄って来る先生。目撃した児童が悲鳴を上げる。何をやっているの、そう先生が怒鳴る。誰かに怒鳴られたのは、初めてだった。
倒れたその子は動かなかった。
たった一撃だった。そんなつもりではなかった。あーちゃんはただ伝え���いだけだった。言葉にできなかった自分の気持ちを、知ってほしいだけだった。
その一撃で、あーちゃんの世界は木っ端微塵に破壊された。
彼の想いは、誰にも届くことはなかった。
その子の怪我はたいしたことはなく、少しの間意識を失っていたけれど、すぐに起き上がれるようになった。病院の検査でも異常は見つからなかった。
あーちゃんの両親は学校に呼び出され、その子の親にも頭を下げて謝った。
あーちゃんはもう、口を開こうとはしなかった。届かなかった想いをもう口にしようとはしなかった。彼はこの時に諦めてしまったのだ。誰かにわかってもらうということも、そのために自分が努力をするということも。
そうしてこの時から、彼は透明人間になった。
「ママがね、『すずきくんとはあそんじゃだめよ』って言うの」
「うちのママも言ってた」
「あいつ暗いよなー、いっつも本読んでてさ」
「しゃべってもぼそぼそしてて聞きとれないし」
「『ヨソモノにろくなやつはいない』ってじーちゃん言ってた」
「ヨソモノって?」
「なかまじゃないってことでしょ」
あーちゃんが人の輪から外れたのか、それとも人が離れていったのか。
あーちゃんはクラスの中で浮くようになり、そうしてそれは嫌がらせへと変わっていった。
眼鏡。根暗。ガイジン。国に帰れよ。ばーか。
投げつけられる言葉をあーちゃんは無視した。まるで聞こえていないかのように。
あーちゃんは何も言わなかった。嫌だと口にすることはしなかった。けれど、彼の足は確実に学校から遠ざかっていった。小学二年生に進級した春がまだ終わり切らないうちに、あーちゃんは学校へ行けなくなった。
そしてその一年後に、あーちゃんは僕の住む団地へとやって来た。
笑うことも、泣くことも、怒ることもなく。ただ何よりも深い絶望だけを、その瞳に映して。ハサミで乱暴に傷つけられた、ぼろぼろのランド��ルを背負って。
彼のことを、僕が「あーちゃん」と呼んでいるのはどうしてなんだろう。
彼の名前は、鈴木直正。「あーちゃん」となるべき要素はひとつもない。
あーちゃんの弟のあっくんの名前は、鈴木篤人。「あつひと」だから、「あっくん」。
「あっくん」のお兄さんだから、「あーちゃん」。
自分でそう呼び始めたのに、僕はそんなことまでも忘れていた。
思い出させてくれたのは、あーちゃんのノート。彼が残した、もうひとつの遺書。
あーちゃんたち一家がこの団地に引っ越して来た時、僕と最初に親しくなったのはあーちゃんではなく、弟のあっくんの方だった。
あっくんはあーちゃんの三つ年下の弟で、小柄ながらも活発で、虫捕り網を片手に外を駆け回っているような子だった。あーちゃんとはまるで正反対だ。だけれど、あっくんはひとりで遊ぶのが好きだった。僕が一緒に遊ぼうとついて行ってもまるで相手にされないか、置いて行かれることばかりだった。ひとりきりが好きなところは、兄弟の共通点だったのかもしれない。
あっくんと遊ぼうと思って家を訪ねると、彼はとっくに出掛けてしまっていて、大人しく部屋で本を読んでいるあーちゃんのところに辿り着くのだ。
「いらっしゃい」
あーちゃんはいつも、クッションの上に膝を丸めるようにして座り、壁にもたれかかるようにして分厚い本を読んでいた。僕が訪れる時は大抵そこから始まって、僕の��訪を確認するためにちらりとこちらを見るのだ。開け放たれた窓からの逆光で、あーちゃんの表情はよく見えない。かけている銀縁眼鏡がぎらりと光を反射して、それからやっと、少し笑った彼の瞳が覗く。今思えば、それはいつだって作り笑いみたいな笑顔だった。
最初のうちはそれで終わりだった。
あーちゃんは僕がいないかのようにそのまま本を読み続けていた。僕が何か言うと、迷惑そうに、うざったそうに、返事だけはしてくれた。それもそうだ。僕はあーちゃんからしてみれば、弟の友達であったのだから。
だけれどだんだんあーちゃんは、渋々、僕を受け入れてくれるようになった。本や玩具を貸してくれたり、プラモデルを触らせてくれたり。折り紙も教えてもらった。ペーパークラフトも。彼は器用だった。細くて白い彼の指が作り出すものは、ある種の美しさを持っていた。不器用で丸々とした、子供じみた手をしていた僕は、いつもそれが羨ましかった。
ぽつりぽつりと会話も交わした。
あーちゃんの言葉は、簡単な単語の組み合わせだというのに、まるで詩のように抽象的で、現実味がなく、掴みどころがなかった。それがあーちゃんの存在そのものを表しているかのように。
僕はいつの頃からか彼を「あーちゃん」と呼んで、彼は僕を「うーくん」と呼ぶようになった。
うーくんと仲良くできたことは、僕の人生において最も喜ばしいことだった。
それはとても幸福なことだった。
うーくんはいつも僕の声に、耳を傾けようとしてくれたね。僕はそれが懐かしくて、嬉しかった。僕の気持ちをなんとか汲み取ろうとしてくれて、本当に嬉しかった。
僕の言葉はいつも拙くて、恐らくほとんど意味は通じなかったんじゃないかと思う。けれど、それでも聞いてくれてありがとう。耳を塞がないでいてくれて、ありがとう。
ノートに記された「ありがとう」の文字が、痛いほど僕の胸を打つ。せめてその言葉を一度でも、生きている時に言ってくれれば、どれだけ良かったことだろう。
そうして、僕とあーちゃんは親しくなり、そこにあの夏がやって来て、ひーちゃんが加わった。ひーちゃんにとってあーちゃんが特別な存在であったように、あーちゃんからしてもひーちゃんは、特別な存在だった。
僕とあーちゃんとひーちゃん。僕らはいつも三人でいたけれど、三角形なんて初めから存在しなかった。僕がそう信じていたかっただけで、そこに最初から、僕の居場所なんかなかった。僕は「にかっけい」なんかじゃなくて、ただの点にしか過ぎなかった。
僕が死んだことで、きっとひーちゃんは傷ついただろうね。
傷ついてほしい、とすら感じる僕を、うーくんは許してくれるかな。きっときみも、傷ついただろう? もしかしたら、うーくんがこのノートを見つけた時、きみは既に僕の死の痛みから立ち直っているかもしれない。そもそも僕の死に心を痛めなかったかもしれないけれどね。
こんな形できみにメッセージを残したことで、きみは再び僕の死に向き合わなくてはいけなくなったかもしれない。どうか僕を許してほしい。このノートのことを誰かに知られることは避けたかった。このノートはきみだけに読んでほしかった。
きみが今どうしているのか、僕には当然わからないけれど、どうか、きみには生きてほしい。できるなら笑っていてほしい。ひーちゃんのそばにいてほしい。僕は裏切ってしまったから。あの子との約束を、破ってしまったから。
「約束」という文字が、僅かに震えていた。
約束?
あーちゃんとひーちゃんは、何か約束していたのだろうか。あのふたりだから、約束のひとつやふたつ、していたっておかしくはない。僕の知らないところで。
うーくん。
今まできみが僕と仲良くしてくれたことは本当に嬉しかった。きみが僕にもたらしてくれたものは大きい。きみと出会ってからの数年間は、僕が思っていたよりもずっと楽しかった。うーくんがどう思っているのかはわからないけれどね。
ひーちゃんも、よくやってくれたと思ってる。僕が今まで生きてこられたのは、ふたりのおかげでもあると思ってるんだ。
けれど僕は、どうしようもないくらい弱い人間だ。弱くて弱くて、きみやひーちゃんがそばにいてくれたというのに、僕は些細な出来事がきっかけで、きみたちと過ごした時間を全てなかったことにしてしまうんだ。
気が付くと、自分がたったひとりになっているような気分になる。うーくんもひーちゃんも、本当は嫌々僕と一緒にいるのであって、僕のことなんか本当はどうでもいい存在だと思っている、なんて考えてしまう。きみは、「そうじゃない」と言ってくれるかもしれないが、僕の心の中に生まれた水溜まりは、どんどん大きくなっていくんだ。
どうせ僕は交換可能な人間で、僕がいなくなってもまた次の代用品がやってきて、僕の代わりをする。僕の居た場所には他人が平気な顔をして居座る。そして僕が次に座る場所も、誰か他人が出て行った後の場所であって、僕もまた誰かの代用品なんだ、と考えてしまう。
よく考えるんだ。あの時どうすれば良かったんだろうって。僕はどこで間違えてしまったんだろうって。
カウンセラーの日褄先生は、僕に「いくらでもやり直しはできるんだ」って言う。でもそんなことはない。やり直すことなんかできない。だって、僕は生きてしまった。もう十四年間も生きてしまったんだ。積み上げてきてしまったものを、最初からまた崩すなんてことはできない。間違って積んでしまった積み木は、その年月は、組み直すことなんかできない。僕は僕でしかない。鈴木直正でしかない。過去を清算することも、変更することもできない。僕は、僕であるしかないんだ。そして僕は、こんな自分が大嫌いなんだ。
こんなにも弱く、こんなにも卑怯で、こんなにも卑屈な、ひねまがった僕が大嫌いだ。
でもどうしようもない。ひねまがってしまった僕は、ひねまがったまま、また積み上げていくしかない。ひねまがったままの土台に、ひねまがったまま、また積み上げていくしか。どんなに新しく積み上げても、それはやっぱりひねまがっているんだ。
僕はもう嫌なんだ。間違いを修正したい。修正することができないのなら、いっそなかったことにしたい。僕の今までの人生なんてなかったことにしたい。僕にはもう何もできない。何もかもがなくなればいい。そう思ってしまう。そう思ってしまった。泣きたくなるぐらい、死にたくなるぐらい、そう思ったんだ。
うーくん。
やっぱり僕は、間違っているんだろうと思う。
もう最後にするよ。うーくん、どうもありがとう。このノートはいらなくなったら捨ててほしい。間違っても僕の両親や、篤人、それからひーちゃんの目に晒さないでほしい。きみだけに、知ってほしかった。
きみだけには、僕のようになってほしくなかったから。
誰かの代わりになんて、なる必要ないんだ。
世界が僕のことを笑っているように、僕も世界を笑っているんだ。
そこで、あーちゃんの文字は止まっていた。
最後に「サヨナラ」の文字が、一度書いて消した痕が残っていた。
あーちゃんが僕に残したノートの裏表紙には、油性ペンで日付が書いてあった。
あーちゃんが空を飛んだ日の日付。恐らく死ぬ前に、これを書いたのだろう。そして屋上に登る前にこのノートを資料室の棚の中へと隠した。その前に図書室の本に細工し、それ以前にメモを忍ばせた時計を僕に譲ってくれた。一体いつから、あーちゃんは死のうとしていたんだろう。僕が思っているよりも、きっとずっと以前からなんだろう。
涙が。
涙が出そうだ。
どうして僕は、気付かなかったんだろう。
どうして僕は、気付いてあげられなかったんだろう。
一番側にいたのに。
一番一緒にいたのに。
一番僕が、彼のことをわかったつもりになっていて、それでいて、あーちゃんが何を思っていたのか、肝心なことは何もわかっていなかった。
僕は何を見ていたんだろう。何を聞いていたんだろう。何を考えていたのだろう。何を感じていたのだろう。
僕は何を、していたのだろう。
何をして生きていたんだろう。
あーちゃん。
あーちゃんあーちゃんあーちゃん。
僕は彼のたったひとりの友達だったというのに。
言えばよかった。言ってあげればよかった。言いたかった。
あーちゃんはひねまがってなんかないって。
あーちゃんはひとりなんかじゃないって。
あーちゃんは、透明人間なんかじゃ、ないんだって。
今さらだ。ほんとうに今さらだ。
僕は知らなかった。わからなかった。気付いてあげられなかった。最後まで。本当に最後まで。何もかも。
わかっていなかった。何ひとつ。
ずっと一緒にいたのに。
僕があーちゃんをちゃんと見ていなかったから、僕があーちゃんを透明にして、彼の見る世界を透明にしたのだ。
僕が彼の心に触れることができていたならば、あーちゃんはこんなもの書かなくても済んだのだ。わざわざ人目につかないところに隠して、こんなものを、こんなものを僕に読ませなくても済んだのだ。
僕は、こんなものを読まなくても済んだのに!
あーちゃんがたとえ、ひねまがっていても、ひとりぼっちだったとしても、透明だったとしても、それがあーちゃんだったのに。あーちゃんはあーちゃんだったのに。あーちゃんの代わりなんて、どこにもいないというのに。
ひーちゃんは今も、あーちゃんのことを待っているというのに。
あーちゃんはもういないのに。全部嘘なのに。僕がついた嘘なのに。あんなに笑って、でも少しも楽しそうじゃない。空っぽのひーちゃん。世界は暗くて、壊れていて、終了していて、破綻していて、もうどうしようもないぐらい完璧に、歪んでしまっているというのに。それでも僕の嘘を信じて、あーちゃんは生きていると信じて、生きているというのに。
僕はずっと勘違いをしていた。
あーちゃんが遺書に書き残した、「僕の分まで生きて」という言葉。
僕はあーちゃんの分まで生きたら、僕があーちゃんの代わりに生きたら、幸せになるような気がしていたんだ。あーちゃんの言葉を守っていれば、ご褒美がもらえるような、そんな風に思っていたんだ。
あーちゃんはもうい��い。
だから、誰も褒美なんかくれない。誰も褒めてなんてくれない。褒めてくれるはずのあーちゃんは、もういないのだから。
本当の意味で、あーちゃんの死を理解していなかったのはひーちゃんではなく、僕だ。
ひーちゃんはあーちゃんの死後、生きることを拒んだのだから。彼女はわかっていたのだ。生きていたって、褒美なんかないってことを。
それでも僕が選ばせた。選ばせてしまった。彼女に生きていくことを。
あーちゃんの分まで生きることを。
褒美もなければ褒めてくれる人ももういない。
それでも。
でもそれでも、生きていこうと。生きようと。この世界で。
あーちゃんのいない、この世界で。
いつだってそうだ。
ひーちゃんが正しくて、僕が間違っている。
ひーちゃんが本当で、僕は嘘なんだ。
「最低だな……僕は」
あーちゃんにもひーちゃんにも、何もしてあげられなかった。
「あーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
廊下どころか学校じゅうにまで聞こえそうな大絶叫を上げて、帆高が大きく伸びをした。
物思いにふけっていた僕は、その声にぎょっとしてしまった。
「終わったあああああああああああああああーっ!」
「うるさいよ……」
僕が一応注意しておいたけれど、帆高に聞こえているかは謎だ。
「終わった終わった終わったーっ!」
ひゃっほぉ! なんて言いながら、やつは思い切り保健室のベッドにダイブしている。舞い上がった埃が電灯に照らされている。
「帆高、気持ちはわかるけど……」
「終わったー! 俺は自由だああああああああーっ!」
「…………」
全く聞いている様子がない。あまりにうるさいので、このままでは教師に怒られてしまうかもしれない。そう、ここはいつもの通り、保健室だ。帆高のこの様子を見るに、夏休みの課題がやっと終わったところなのだろう。確かにやつの手元の問題集へ目をやると、最後の問題を解き終わったようだ。
喜ぶ気持ちはわかるが、はしゃぎすぎだ。どうしようかと思っていると、思わぬ人物が動いた。
すぱーんという小気味良い音がして、帆高は頭を抱えてベッドの上にうずくまった。やつの背後には愛用のスケッチブックを抱えた河野ミナモが立っている。隣のベッドから出てきたのだ。長い前髪でその表情はほとんど隠れてしまっているが、それでも彼女が怒っているということが伝わる剣幕だった。
「静かに、して」
僕が知る限り、ミナモはまだ帆高とろくに会話を交わしたことがない。これが僕の知る限り初めてふたりが言葉を交わしたのを見た瞬間だった。それにしてはあまりにもひどい。
ミナモはそれだけ言うとまたベッドへと戻り、カーテンを閉ざしてしまう。
「……にてしても、良かったね。夏休みの宿題が終わって」
「おー…………」
ミナモの一撃がそんなに痛かったのだろうか、帆高は未だにうずくまっているままだ。僕はそんなやつを見て、そっと苦笑した。
僕は選んだのだ。
あーちゃんのいないこの世界で、それでも、生きることを。
※(4/4)へ続く→https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/649989835014258688/
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ドライバッグ用バックパック・本体部分完成
前回の記事はこちら
制作中だったドライバッグ用のハーネスが完成しました。
ドライバッグを入れた状態
正面についたパラコードは反射材入りの丸ゴムです。まだ実際に荷物を挟んだことはありませんが余裕を持たせた状態でコードロックをつけてあります。
蓋部分
ハーネスの蓋部分にもベルトを付けてサイズ調整ができるようになっています。今回のハーネスは背中に付く部分以外はベルトの集合体のような作り。
底部分
底の部分はクッションを内蔵しており、また側部からベルトを伸ばして荷物下部の安定を図っています。
完成までに随分時間をかけてしまいましたが、これから付属のポケットを製作していきます。
いろいろな大きさ・場面に対応して使えるものを目指して製作しましたが、主人が背負うと少し小さく感じてしまう為そもそも全体的な寸法の面で不安が残るものとなってしまいました。
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NEW YEAR’S FIRST SALE / 2020.01.03
こんにちは。
そして明けましておめでとうございます。
旧年中の御愛顧を感謝申し上げますとともに、本年もペースを崩さず粛々と、をモットーに頑張っていきたいと思います。
早速ですが明日1月4日は当店の初売り日ということで、皆様へリマインダーの意味も込めてのBLOGアップ。
今年の初売りの縛りは、買い付け時に半分私物として購入してきた物。
当然オンラインショップにお出しする商品は全て気に入っている訳ですが、
その中でも一線を越えてくる物ってあるじゃないですか。
そういうのです。
では少し長いブログになりますが、ご紹介致します。
80’s KELTY Ripstop Nylon Puffer Jacket [About XL]
POST JUNKの前年度ベストバイはコレ。
得体の知れない異様な迫力に圧倒されました。
この生地って服に使うものなの? と思うほどにハリの強いリップストップナイロン。
丸さを極めたボリューミーなシルエット。
その他にもポケットデザイン、大ぶりのハイネックフード、唐突に付くナイロンパッチ、
ドスの効いたブラックカラー、蛍光イエローのジップ紐。
これらの全てが完璧に噛み合って、まるで怪物のような風貌に。
2020年、何がこれを超えるのか楽しみです。
70’s GERRY Trucker Type Nylon Down Jacket [L]
初めて見るトラッカータイプ。
ヤバイ。
GERRYは目から鱗を落とされる事が良くありますが、これもそうでした。
デザインの落とし込み方が凄く現代的、でもちゃんと古いというのが心をくすぐる。
突飛で余計な遊び心もないですし、ユニークだけど芯が固い。
これぞ正にGERRYの真骨頂。
古着好きかどうかは関係無く、反射的にクールだと感じてもらえるアイテムだと思います。
00’s CHAMPION “1999 HOME TOWN” Spray Painted Reverse Weave [XXL]
ペンキじゃなくて、スプレーでのペイントカスタム。
しかも絵心がある系のペイントではなく、適当に書き殴ったようなラフい勢い。
このアプローチは本当に新鮮。
またXXLのオーバーシルエットという点もクレイジーなルックスの一要因。
ボディは近年の物ですのでまだ古着的価値は無いですが、一つのデザインとしての魅力はズバ抜けています。
70’s DERBY OF SAN FRANCISCO “HAYWARD MAJESTICS / BLACK” Car Club Jacket [42]
一つの文化が乗っかった、歴史的な重みを感じる事ができるダービージャケット。
古い、ブラック、カークラブ刺繍のスペシャルピース。
案の定値段はそれなりになってしまうのですが…
でも、これを目の前にして日本に持って帰らぬ訳にはいかないじゃないですか。
写真撮っててほんと楽しかったです。
90’s TRAIL DESIGNS Multi-Pocket Black Nylon Anorak [XL]
テクニカルなディテールワークが秀逸なナイロンアノラック。
まるで特殊部隊的なコンバット感が最高にクール。
こういったトレイル系のアウトドアウェアでソリッドブラックというのは案外少ないです。
何色であっても即買いレベルのルックスではありますけれども。
あと、 オーバーサイズウェアの上からでもガバッと被れるサイズ感が凄く良い。
これが使い勝手の良さを滅茶苦茶高めてます。
90’s CALVIN KLEIN KHAKIS “SPEC INFORMATION PRINT” Rain Coat [L]
何だこれは。
しっとりしたゴム引きナイロンに施されたスペックプリント。
生地的にはレインコートで間違いないと思いますが、それにしてもユニーク。
フードは取り外し可ですので、コーチジャケット感覚で着用可能。
実験的だけどあくまで実用的。
このデザインで着やすい、ってのが本当に素晴らしいと思います。
00’s PATAGONIA “ACU DIGITAL CAMO” Reversible Snap-T Special [About L]
モデル名の通り、スペシャルなスナップT。
アポイントを取っていたディーラーに会いに行ったら、これ着てた。
で、当然それ欲しいと言ったらMaybeの一言。
ハラハラしながらその他アイテムの交渉を終え、最後にはちゃんと売ってくれました。
ちなみに襟タグはそのディーラーが自分で切ったと言っていて、サイズはLとのこと。
実寸からして本当だと思います。
90’s PATAGONIA Cobalt×Teal Super Alpine Jacket [About L]
迷って迷って結局仕入れたSUPER ALPINE JACKET。
スルーしてもどうせ誰かに買われるんだよなと思ったら、もう買っちゃえと。
とにかくコンディションが良かったので最終的にはそれが決め手になりました。
ただ襟下と内ポケ横のタグが切られてますが、93年製のLで間違いなかろうと思います。
70’s MONTGOMERY WARD “INSIDE OUT” Cotton Twill Jacket [M]
チャレンジングなインサイドアウトシーム。
このデザインでMONTGOMERY WARDという意外性にやられましたね…
そもそもストアブランドの中ではぶっ飛んだ事をするイメージはありますが、これほどスマートに飛ぶとは。
決して大味ではなく着ると非常にクリーンで、パンクとモードの雰囲気が一つに収まってる。
それはボディのショート丈に対して、袖丈がしっかり確保されている所が肝になっていると思います。
一目でスマートだな、って。
是非着用写真を見ていただきたいアイテムです。
MAISON MARTIN MARGIELA 10 / 07AW V-Neck Knit [XL]
インサイドアウトと言えばMARGIELA、という事でこちらを。
無駄な装飾は一切施されずに仕上げられたミニマルなデザイン。
強いて言えば、襟リブ底の付き方が少し変わってるな、くらい。
そしてこのネックの深さが絶妙で、単体で着るにも深すぎず浅すぎずの最高なバランスとなっています。
これは長く付き合えますね。
00’s UNDERCOVER “SCAB / ONE OFF” Black-Dye Customized Jacket [About XL]
私にとって、UNDERCOVERの特別なアーカイブ。
実物のジャングルファティーグJKTをベースとした、ONE OFFシリーズのコレクタブルピース。
SCABシーズンの大きな特徴であるモン族の刺繍生地に、ボディ黒染め、ICONOCLASTのアイコンを抜き出したバックプリント。
これがどうやら海を渡っていたようで、逆輸入の形で保護してきました。
私的には美術品を買ってきた様なものです。
収めておきたいけど写真にしっかり残したので販売します。
00’s CRYPTOPSY “AND THEN YOU’LL BEG” Damaged L/S T-Shirt [L]
一つの完成品。
ちょうど一線超えて、最早美しいタイプのフェード。
グレイッシュなブラックカラー、霞んだプリント、各所のリアルなダメージと手縫いのリペア。
左肩は安全ピンで穴を塞いでる。
安全ピンが付いてる服を初めて格好良いと思ったかもしれないです。
この雰囲気、決して真似しては作れません。
グラフィックのレイアウトもセンス抜群です。
90’s FRUIT OF THE LOOM “BLACK & BLANK” Hoodie [XL]
今回の初売りラインナップで、完全私物ならば着用頻度が最も高いのは間違いなくコレ。
90's FRUIT、”黒無地” フーディー。
この黒無地、無い訳ないのにTEEとスウェットに比べて少な過ぎだろって位、出ない。
ほんとにやっと見つけたの一言。
幸運なことにサイズもXL、フード紐付き。
100点!
00’s HELLS ANGELS SUPPORT 81 Multi-Print Damaged Hoodie [3X]
アートピース。
00’s SPITFIRE Black Cup Shoulder Jacket [XL]
深い所で眠っていた、SPITFIREカップショルダージャケット。
夜明け前に発見し、ヘッドライトに照らされて胸の刺繍が見えた時はテンション上がりました。
厚手のコットンツイルを使用し本家ダービーよりもヘビーでタフな作りに。
その分あの繊細さはありませんが、また違った魅力があるのは間違いないです。
これもXLですしね。
00’s HANNIBAL T-Shirt [XL]
まだ局所的な感じですが、2000年以降のムービーTEEでは非常に上玉と言える一枚。
HANNIBALと言えばこの写真、プリントサイズが絶妙ですね。
デカいと怖いと思いますので。笑
さらに背中にはあのキャッチコピーを背負ってます。
ボディも面白いの使ってて、後染めならではの荒い風合いとくすんだ色味が魅力となっています。
80’s BURBERRYS Harrington Jacket [16-R]
出た!しかも肩にベルト付いてる!
これが率直な感想。
このアジャストベルト使いはユニークで上品、ここを絞ることで袖丈の調整が可能です。
しかし誠に数の少ないハリントンタイプ。
ちゃんと古さもありますし。
カジュアルだけどシャツINのカタい装いにも十分対応可能という秀才です。
BOTTEGA VENETA Quilted Wool Jacket [46]
こちらも古めのBOTTEGA VENETA。
おそらく80'sくらいかなと思います。
甘く柔らかいウールメルトンに深いオリーブカラー。
もっさりしてるんだけど品の良さが滲むところは流石の一言。
今でこそ洗練し切ったブランドイメージではありますが、こういった古着的要素の強いアーカイブにも魅力があります。
持ってると頼れるタイプのアイテムです。
90’s BOOTLEG GUCCI GG Monogram Knit [About XL]
グッドブート。
この品行不良な雰囲気、そして着やすさで言えばむしろ上を行くルーズフィットシルエット。
それグッチ? いやブートだよ。
より良いじゃん!
まで想像できる一品です。
90’s MARC NEW YORK Black Nylon Fireman Jacket [XL]
大味かと思いきや、着用すると驚くほどにシック。
これはSICKの方のニュアンスもあり。
おそらく、ダウンJKT以外なら何を着てても上から羽織れるオーバーサイズ。
逆に薄手でもガッツリ肩が落ちて今度はエレガントなルックスに。
こういうストリートスタイルはずっと格好良い気がします。
80’s WRANGLER “3 TONE COTTON TWILL” Western Shirt [15-1/2]
SICK!!!!!!!!!!
70’s~ UNKNOWN Non-Stitch Mustard Down Jacket [About L]
出ましたよ、私が愛してやまないこのデザイン。
ノンステッチのマスタード、そして何故か袖先にエスニックテープ。
たまらんわコレは。
以前にFROSTLINEの同型・同色を販売し、その後も探し続けてコレが出ました。
ブランドは不明ですが、自信を持っておすすめできます。
是非とも細身のブラックジーンズで羽織ってみてほしいです。
80’s DERBY OF SAN FRANCISCO “BLACK” Derby Jacket [42]
オールドのブラック。
実はネイビーでした~のオチは無く、ちゃんとブラックです。
裏地破れやボタン欠損、ポケットジップスライダー欠損どころか、襟元のレザーテープまで残るグッドコンディション。
レザーテープに関しては最早無いのが当たり前ってレベルなのでマイナス判定してませんが、付いてるとやっぱ嬉しいです。
文句無しの上玉です。
00’s~ DERBY OF SAN FRANCISCO “BLACK” Derby Jacket [XL]
こちらは比較的最近のDERBYオリジナルモデル。
同じくソリッドブラック。
裏地が強度のあるサテンに変わってますので、スレに強く破れにくいです。
ちょっとだけ袖先リブに汚れありですが、着用回数は少ないと思われるグッドコンディションです。
90’s RUSSELL ATHLETIC Painted Black Hoodie [XL]
これ、ちゃんと本物。
本職が絵描きの人から譲ってもらいました。
ひょんな事から知り合って初めて会いに行った時、これが椅子に掛かってました。
この他に幾つか購入しましたが、これがダントツに格好良かった。
やっぱ人の私物を見るのが一番面白いんだよな…
90’s BRITISH POLICE Reflective Patch Gore-Tex Jacket [2]
英国警察GORE-TEXジャケット、with POLICE PATCH !
しっかりリフレクター仕様のビニール製パッチ。
街で見かけたら一瞬緊張が走るデザインであり、またギャグでもある。
これ着て自分の子供を抱っこしたら頼れるパパの完成です。
UNKNOWN “BASE” Boa Liner Low Gauge Cardigan [M]
頑張って調べても詳細が掴めず、滅茶苦茶気になっているカーディガン。
知ってる方は是非教えて欲しいです。
とりあえずそれは置いといて、前後とも最高にPOPなデザインに一目惚れ。
ボア仕様のボリューミーな所もまた可愛くて。
ブランドはどこでも良いんですが、やっぱ知ってる方は是非ご一報を。笑
90’s PARAGRAFF “MADUROS FUNERAL HOME” Black Bowling Shirt [M]
棺桶の中からこんにちは。
その棺桶にはFUNERAL HOME(=葬儀場) の文字が。
こんなクレイジーなボーリングシャツ、見たことないよ。
黒×白のレーヨンボディもスタイリッシュで、単純に着たいなと。
モノトーンスタイルが最高にクールです。
00’s BART SIMPSON “CAN’T SLEEP, CLOWNS WILL EAT ME...” T-Shirt [XL]
これも探してた一枚。
前に同ワードのデザイン違いは見つけましたが、こっちのグルグルタイプをずっと探してました。
昔インスタか何かで見て欲しいなと。
やっと出てきました。
90’s REMO “DRUMS WITH AN ATTITUDE” T-Shirt [XL]
ベスト。
直近の買い付けで見つけたTEEの中では、これが最強。
70’s NEW YORK MAGAZINE Logo Print T-Shirt [L]
大好きなテキストデザインの一つ、NEW YORK MAGAZINEロゴ。
いつ見ても綺麗だなと惚れ惚れ。
服好きからしたら、それらがTシャツに乗っかるのが最も上等というもの。
ボディも古めの良い奴、UNION UNDERWEAR。
正にTシャツをキャンバスに見立てた様な、アート要素の強い一枚です。
80’s~ CHROME CRANKS T-Shirt
バンド良し、デザイン良し、ボディ良しの全部入り。
注目せざるを得ない、脳味噌へダイレクトに訴えかけてくる最高のグラフィック。
ぶっ飛んだ音楽性だとTシャツもこうなるのか。
次出る気がしないレアピースです。
90’s GERRY Black Ripstop Nylon Down Coat [L]
昨今のパチパチスロープコート人気の中、当店ではこちらをピックアップ。
まぁスロープが見つかってたらそっち出してると思いますが…笑
でもこっちだって負けてないですよ。
むしろこっちのがオラオラ感無くてスタイリッシュじゃね?
ブラックだし?
いやぁ、今だと何言ったって負け惜しみにしか聞こえないですね。笑
ただ格好良いよ、という事だけは胸張って言えます。
80’s MILLET Colorblock Pullover Fleece Jacket [L]
良質なデザインのフランス製MILLET、プルオーバーフリース。
見ませんねこれは。
クレイジーだけども品よく着地させる力量に感服。
クソ無地野郎の私でもこれは着たいと思いました。
袖で隠れてますが、しっかり両サイドにポケット完備で使い勝手も◎。
70’s~ WRANGLER 4-Pocket Denim Jacket [About M]
編み編みのモチーフが4個。
なんだそれは?笑
HOBOとした風貌もやけに破天荒だし、シャーシャーの縦落ちが実に見事。
これは完全に70′sラバーの為の服ですね。
ランチャーやコーデュロイでこってり、もしくはスリムパンツでモードにも。
実は着やすい素直なヤツです。
70’s LEE Cotton Suede Jacket [About M]
太いステッチワークが最高にクールなコットンスエードジャケット。
ブラウン×イエローのカラーリングが冴え渡ってます。
そして、ワイドめだけどコンパクトなグッドシルエット。
荒いようでビシッと綺麗目に収まる、 先のMONTGOMERY WARDと同感覚のギャップあり。
アメリカっぽい上品さが引き出された一品だと思います。
80’s ATLANTIC Nylon Motorcycle Jacket [DEAD STOCK] [L]
随所のカッティングの良さが光る、ATLANTICモーターサイクルジャケット。
イカツさは無く極めて街着的で、着るとよりその魅力が実感できます。
そしてばっちりタグ付き、型名はCONTINENTALとの事です。
90’s JAY Y. KO Optical Pattern Velvet Shirt [About XL]
視覚に訴える大好きな柄。
ベルベットの生地感は非常にグラマラス、さらには開襟のセクシーさもプラス。
でもちゃんとドン臭い所もあるのが良く、それらの塩梅が絶妙なんです。
単体での着用はもちろんですが、少し縦長のシルエットですのでレイヤードも捗るという。
ガウンコートやコーチジャケットなんかのインナーに仕込んだら即お洒落です。
90’s STONE ISLAND “BLUR COMPASS LOGO PRINT” L/S T-Shirt [L]
国内外問わずの人気っぷりが凄いSTONE ISLANDから。
胸にアイコンをひと刷り。
当ブランドでこのシンプルさは逆に新鮮。
ボヤけたグラフィック事体も格好良いんだこれが。
シルエットもやっぱ綺麗だな、と思っていただけるはずです。
00’s TIFFANY & CO. “BELLEVUE AQUARE” L/S T-Shirt [XL]
TIFFANYらしさ溢れるロマンティックなグラフィック。
でもボディはHANES BEEFYのロングスリーブというのが刺さったポイント。
いつも通りの着方で大丈夫だ。
80’s HOLLAND MILITARY Chemical Protective Parka [S]
私の中では最強のケミカルプロテクティブアイテム。
アメリカやイギリスのも格好良いけど、ファッションとして見た場合には断然オランダ軍のこれが好き。
アメリカ買い付けなので当たり前ですが、これあんま出ないです。
胸ポケにはステンシル入りですし。
ミディアム丈のシルエットも非常に着やすく、バランスが綺麗に整った良い個体です。
80’s U.S. ARMY M-65 3rd “LA COUNTY JAIL” Prisoner Jacket [About XS]
M-65ベース!
これは嬉しい。
色々あるプリズナー物の中でもレアい一枚。
サイズは多分XS、タイトなパンツで羽織りたいコンパクトなシルエット。
右胸にもLA COUNTY JAILのプリントが入ります。
これ当分出せないと思います。
80’s LEVI’S “70506 / STRIPE DENIM” Trucker Jacket [About 44]
70506の珍モデル。
人とはちょっと違うのが良いという方へ。
私は古着かサラ着かは問わず、こういった形同じの生地違いって服に惹き付けられます。
形は結局、オリジナルに戻っちゃうから。
やっぱり長く着れるんです。
90’s SIK WORLD “FUCK YOU YOU FUCKIN’ FUCK” T-Shirt [L]
爽快な口悪シリーズの中で一番好きなデザイン。
ほぼFUCKしか言ってないですからね。
ちゃんとSIK WORLD製の品を見つけてきました。
90’s EARLY WINTERS Switching Boa Pile Knit [XL]
ユニークなEARLY WINTERSパイルニット。
一見フリースっぽいですが、これボアパイルニットなんです。
ほんと急所を付いてくるブランドですね…
アウトドア好きだけでなく、単純に洋服好きの人達へもアプローチしてくる。
緩めのサイズ感が最高にキュートですよ。
90’s EARLY WINTERS Ripstop Nylon Pullover Jacket [M]
お次もEARLY WINTERSから、薄手のリップストップナイロンプルオーバー。
ミッドレ��ヤーな仕様ですが、単体でも様になるカッティングの面白さ。
明るすぎず暗すぎずの綺麗なパープルも魅力的。
あと背中にジップポケットのパッカブル機能付きです。
90’s MARMOT T-Shirt [XL]
極上コンディションの90’sオリジナル。
アウトドアブランドのオールドTEEには特別な存在感があります。
特にこういったアイコニックで分かりやすいデザインは尚の事。
サイズもGOODです。
90’s IMMACULATE CONCEPT “広げると T の字形になることからこの名称がある。” T-Shirt [M]
またクセ強いの出てきたなぁ…
Tシャツについて教科書的な口調で説明するグラフィック。
フロントは英語で同内容のワードが腹部にON、あと襟下にブランドアイコン?
アメリカにあったのが不思議ですが、これどうやら日本のブランドのよう。
アート畑の方が90年代からやってたみたいです。
薄薄な情報ですみません、とにかくグラフィックが良いってだけで買いました!
70’s~ ELY “CHEST POCKET & JACQUARD BICYCLE PATTERN” T-Shirt [L]
かなり笑った一枚。
これほんと好き。
藪から棒なチェストポケットに整然と並ぶ自転車ジャガードパターン。
もう狂ってるとしか。笑
しかもポケット口にボタン付きですからね。笑
ディスってるみたいになっちゃいましたが、大真面目に良いと思ってます。
80’s CHAMPION “SHOWBOATERS / BIG MAC 12” Flocky Print T-Shirt [L]
プリントレイアウトが非常にユニークな80′sトリコTEE。
しかもこれフロッキープリントで、さらにバックにもプリントが入ります。
ボディは横割りの少し珍しいタイプ、汚れ一つ無い極上コンディション。
良いですよコレ。
90’s COMPLETELY KLUELESS Glitter CK Print T-Shirt [XL]
愛のこもったラメ+発砲ロゴプリントのCKパロディ。
調べて初めて知りましたが、どうやらフリスビースポーツ(?)のチーム名らしいです。
おしゃれセンス高めですね。
このラメTEEならば是非とも着たいと思い、個人的にとても気に入っている一枚です。
00’s SCANDIA WOODS Black W-Pocket T-Shirt [XL]
私の大好きなSCANDIA WOODSのWポケットTシャツ。
このマヌケ極まりないルックスがすごく好き。
古くなくこれくらいのライトな感覚が丁度良い。
ブラックは無いかと探してて見つけましたので、この度の初売りラインナップ入りとなりました。
90’s TITANIC T-Shirt [M]
味わい深いTITANIC TEE。
ブートだからこそ出せるこのシュールさ。
タイタニックのイメージとは真逆の、不穏でしかないルックス。
オーソドックスでは満足できないという好き者の為のTシャツです。
00’s ST MICHAEL “DENNIS THE MENACE AND GNASHER” U.K. Made T-Shirt [M]
MADE IN UKのST MICHAELという点がグッとくるDENNIS TEE。
比較的新しくヴィンテージ要素が無いのも好きな所。
モチーフが良ければが結局どっちでも構わないんですね。
また着抜プリントですので色合いも非常に綺麗です。
90’s~ NUCLEAR RABBIT T-Shirt [XL]
国内ではまず見かける事の無いグッドバンドTEE。
BAD BRAINSやPRIMUS等の狂った音楽が好きな方は100%好きだと思います。
これに関しては、病んだアートワークとクタったボディの組み合わせが最高。
バックプリントも秀逸ですよ。
90’s OASIS “(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?” T-Shirt [XL]
さぁラストはこちら。
ロゴだけで押し切れるバンド、OASIS。
説明不要のグラフィックです。
以上、2020年初売りアイテムのご紹介でした。
当記事内でご紹介した全アイテムは明日1月4日(土)の12:00から、
POST JUNK ONLINE STORE と Houyhnhnmʼs の2ショップで同時発売となります。
よろしくお願い致します。
POST JUNK Used & Vintage Online Store
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「あの衣装が勇利に似合うとは意外だったよ」 ショートプログラムが終わったあと、クリストフがそう感想を述べた。 「それも今日で見納めというわけだね」 ヴィクトルはほほえんだ。彼は、自分も勇利も成績が満足ゆくものだったので、機嫌がよかった。 「そうそう、グランプリファイナルのとき、ロビーに飾ってあった勇利のパネル、見たかい? あの女王様。中国大会でも変貌ぶりに驚いたけど、どんどんみがかれてるよね。ヴィクトルが仕込むとああなるんだ。ヴィクトルがあの衣装を勧めたの?」 「いや、勇利が自分で選んだんだよ」 クリストフと肩を並べて歩きながら、ヴィクトルは陽気に答えた。 「かなり確固たる意思だったな」 「ヴィクトルが着たのは十六のときだっけ? まだ髪が長いころだよね。あれが勇利に似合うのはすごい。ヴィクトルの中性的な容貌に合わせてつくったものでしょ?」 「勇利はその気になればなんでも着こなせると思うよ」 ヴィクトルは自慢げに言った。クリストフはあきれたように笑った。 「勇利と親しくなってそろそろ一年? 変われば変わるものだね」 「俺の勇利はいくらでも輝くんだ」 「君のことだよ」 「え?」 「まあ勇利も勇利だけどね……。ヴィクトル、自分の好みにしすぎじゃない?」 「口出しはしてるけど、従順に俺に染まってるような子じゃないよ、勇利は」 「それはそうだけどね……。でも、勇利がひとりで立っていても、必ずヴィクトルの気配が残るようなことしてるでしょ?」 「大切な相手がいるなら、まわりに牽制を入れるのは当たり前だ」 ヴィクトルはとりすまして言った。 「それだよ。そういうのがヴィクトルが変わったところだって言ってるの。どうせ今回のバンケットだって、ヴィクトルが選んだスーツで来るんでしょ、勇利は。君が離れてても君の匂いぷんぷんさせてさ。比喩的に言ってるんじゃないよ。本当に君の匂いがするんだ。勇利が通り過ぎたのに、ヴィクトルだと思って呼びかけたことがあるんだからね」 「スーツを買うのはやめろと言われている」 ヴィクトルはまじめに言った。 「ヴィクトルの趣味が気に入らないんじゃないの」 「でも勇利はほうっておいたらダサいかっこうしかしないからね。彼がどれだけうつくしいか、見せつけなくちゃ」 「そんなことしたら敵が増えるよ」 ヴィクトルはきょとんとした。 「敵?」 「……君に言った俺がばかだった。ヴィクトルに敵うやつなんていないな」 「勇利がどれほど価値のある子か見せびらかして、この子は俺のだ、って抱き寄せるのが気分いいんだ」 クリストフは溜息をついた。 「勇利いやがるんじゃない?」 「そんなことはない。──スイッチが入っていればね」 「スイッチ?」 「その気になってたら、俺にしなだれかかって君の言う『女王様』の顔をしてくれるよ」 「そのスイッチはどうやって入れるわけ?」 「さあ……」 それがわかれば苦労はしない、とヴィクトルは言い切った。 「自慢するところじゃないぞ」 「いいんだよ。どっちにしても俺の勇利なんだから」 「なんだかね」 クリストフはうそぶくように言った。 「そのうち、下着までヴィクトルの色に染まりそうだな」 「ああ……」 「え? まさかもうやってるの?」 「いや、やっていない。でもそれいいね。下着は重要だからね。最後の一枚だし、取り扱うときには気合いが入るよ」 「何の話をしてるんだ」 「さきに脱がせるのも好きだけどね」 「何の話をしてるんだ」 そのとき、廊下のさきにピチットと談笑している勇利を見かけ、ヴィクトルは目を輝かせた。 「勇利!」 勇利が振り返り、にっこりする。ヴィクトル、とくちびるが動いた。 「見た? 見た? 見たかいクリス? かわいいだろ」 「ヴィクトル、ばかみたいになってるよ」 勇利がピチットと一緒に近づいてきた。彼は眼鏡をかけており、レンズ越しにヴィクトルを見上げた。 「ヴィクトル、早く着替えて帰ろうよ」 「うん、そうだね。勇利……」 勇利はずるいなあ、とヴィクトルは思った。眼鏡をかけたり外したり、前髪を上げたり下ろしたり、さまざまな見目でヴィクトルを誘惑してくるのだ。 「どうしたの?」 ヴィクトルは手を上げると、勇利のナショナルジャージのファスナーのつまみをつまんだ。不思議そうにしている勇利にほほえみかけ、一気に下まで引き下ろす。 「えっ」 そしてジャージを左右に勢いよくひらいた。下に着ていたヴィクトルの黒い衣装があらわれる。そばを通りかかった若い選手が赤くなり、ピチットが口元におおげさに手を上げ、「わっ、やらし!」とつぶやいた。 「な、な、何がやらしいの!?」 勇利がまっかになってピチットに抗議した。 「ただファスナー下ろされただけじゃん! ヴィクトルはすぐ意味わかんないことするんだから!」 「そんなこと言って、なんで勇利赤くなってるの? 何か想像したんじゃないの? たとえば、ホテルの部屋に帰るなり、せっぱつまって乱暴に……」 「なに言ってんの!?」 勇利はヴィクトルに向き直り、「突然なんなの!?」と怒った。彼がジャージをかき合わせて隠そうとするので、ヴィクトルはそれより先にファスナーのあたりをつかんで防いだ。 「なに? なに?」 「勇利、綺麗だ」 「は?」 「その衣装、とてもよく似合ってるよ」 「ヴィクトルのなんですけど……」 「似合ってる」 ヴィクトルは勇利を抱きしめた。 「あ、あの……」 勇利がどうすればよいかわからないというように戸惑ってきょろきょろする。ヴィクトルは溜息をついた。 「あぁ、いいなあ。下着まで俺に染めたいなあ」 「な、なんか言ってる……クリス助けて。どうしたのこのひと」 「さあ……」 勇利に解決を頼まれたクリストフは、どうしようもないというようにかぶりを振った。 「仕方ないよ。勇利がヴィクトルをこうしたんだろうし……」 「なにそれ?」 シャワーを浴びて着替えたら、クロージングバンケットに出なければならない。勇利はヴィクトルが贈ってくれた三つぞろいをベッドにならべ、ワイシャツに皺がないか確かめ、靴下もその上に投げ出しておいて、最後に下着をひっぱりだした。 「あ」 「なんだい?」 「なんでもない。ぼくシャワー浴びるね」 勇利は下着とスラックスを抱きしめ、そそくさと浴室に駆けこんだ。 「勇利、なんでスラックスを持っていく?」 閉めた扉の向こうからヴィクトルが尋ねる。 「穿くからだよ。ほかに何か使い道がある?」 「そこで穿かなくてもいい」 「ここで穿いてもいいでしょ。ぼくの手順のことはほうっておいて」 ヴィクトルが黙ると、勇利は息をついた。とんでもないことになってしまった。いや、たいしたことではないのだけれど。でも……。 勇利は持ってきたボクサーパンツを取り上げ、まじまじとそれを見た。荷造りのとき慌てていたので、まちがえて入れてしまったのだ。なんということだろう。 それはファンからの贈り物だった。最初は、おもしろいものをくれる人がいるなと感心したものだが、柄を見てぎょっとした。その下着は、後ろ側にかわいらしい字体で文字が入っていたのだ。 『Victor, strip me!』 ──ヴィクトル、脱がせて! 丁寧にハートのマークがいっぱいついていた。勇利はどうしようと迷ったけれど、捨てるわけにもいかず、かといって穿くことなんてとてもできなかったので、ほかの下着と一緒にしまっておいたのだ。下のほうへ押しこんだつもりだったのに、着替えを入れるときにつかんでしまったらしい。こんなものをヴィクトルに見られたら大変だ。いやというほどからかわれるし、彼のことだから、軽はずみにも、撮影してSNSにアップロードするかもしれない。そんなことをされたら生きていけない。 「まったく……」 しかし、いまはこれを身につけるしかないのだ。大丈夫。バンケットのあいだだけである。みつからないだろう。ヴィクトルの前では着替えないようにしなければ。 勇利は手早くシャワーを浴び、身体のしずくをタオルでぬぐって下着に足を通した。寸法はぴったりで、穿いたここちもよかった。よい生地でも使っているのだろうか。柄がこれでさえなければ、と勇利は悔やんだ。後ろを向いて鏡に映してみる。自分がばかのように思えた。これを見たらヴィクトルはなんと思うだろう。考えたくない。勇利はのろのろとスラックスを取り上げ、ひろげて足を入れようとした。と──。 「勇利、入るよ! 一緒にシャワーを浴びよう!」 いきなり扉がひらきさし、勇利は仰天して取っ手に飛びついた。 「ちょっとヴィクトル!」 「なんで閉める!? 入れて!」 「だめだよ! ぼくもう浴びたよ! ひとりで入って!」 「もう一度一緒に浴びよう」 「いいってば! ドアから離れてよ!」 「勇利こそ。なんでそんなにいやがる?」 「なんでって──いま裸だからだよ! これから服を着るの!」 「いいじゃないか。勇利の身体なんて何度も見たよ。こぶたちゃんのときも、しっかり体脂肪を落とした清楚でえっちな身体つきも──」 「なに言ってんの!? と��かくあっち行ってよ! 告訴するよ!」 「告訴とは物騒だな。いったい何を興奮してるんだ? もしかして無理に押し入られたい願望でもあるのかい?」 「入ってきたら一週間口利かないから!」 ヴィクトルはしぶしぶ戸から離れ、なんだい勇利、つめたいな、とぶつぶつ言った。勇利はほっと息をつき、急いでスラックスを身につけた。油断も隙もあったものではない。 「いいよ。ヴィクトル、シャワー使って」 扉を開けると、ヴィクトルがうらめしそうに勇利を見ていた。 「お風呂くらいひとりで入れるようになってよ」 「入ろうと思えば入れる。勇利とがいいから言ってるんだ」 「帰ったらいくらでも一緒に入ってあげるから」 「なんで今日はだめなんだ?」 「時間がないからだよ。早くして」 「勇利」 「なに?」 「そうやって上体には何も着けないですらっとした姿で立っているのもいいね。なんだか官能的だ。とくに腰のあたりがすてきだよ。撫でまわしたい」 「さっさと入って!」 どうしてああいう変なことを言うのだろう。冗談にしても行きすぎである。勇利は頭痛を感じた。 しかしこれで安心だ。バンケットのあいだに服を脱ぐなんていうことはあり得ない。終わって部屋へ戻って来たら、きっとヴィクトルは酔っていて、勇��の下着を気にするどころではないだろう。勇利はほっとして胸に手を当てた。 「勇利、今回はダンスバトルしないの?」 「しない」 「お酒飲まないの?」 「飲まない」 「すこしくらいならいいだろう?」 「いらない」 「勇利、一緒に飲もう! これ美味しいよ!」 「ひとりでどうぞ」 バンケットのあいだじゅう、ヴィクトルは勇利を飲ませようとやっきになっていた。飲むわけないだろ、と勇利は思った。また脱ぎ散らかして変なことをしてしまってはたまらない。下着のことがなかったとしてもいやだ。あんな醜態はもう間に合っているのである。 「勇利がつめたい。俺はただ勇利と楽しみたいだけなのに」 ヴィクトルが文句を言った。勇利はにっこり笑った。 「ぼくはじゅうぶんに楽しいよ。ヴィクトル、お酒飲まないと楽しいと思ってくれないの? ぼくさびしいな」 「…………」 ヴィクトルは引き下がった。クリストフが、「勇利、ヴィクトルの取り扱いに長けてるね」とこっそり褒めた。 しかし、しばらくするとヴィクトルが新しいグラスを持ってきた。 「勇利、これすごく飲みやすい! 勇利のためにもらってきたんだ。飲んでみて!」 「お酒じゃないの?」 「ちがう。ジュースだ」 「本当だろうね」 勇利は疑いの目を向けながらグラスを受け取り、ちょっと口をつけた。甘い。ジュースのような口当たりだ。でもわかる。アルコールが入っている。 お酒じゃん、という目でにらみつけると、ヴィクトルが優しい顔でにっこり笑った。勇利は溜息をついた。ヴィクトルにこういう瞳をされると拒絶できない。 まあ、一杯くらいはいいか。勇利はグラスを呷り、ピンク色の液体を飲み干した。ヴィクトルはにこにこしている。 「ね、美味しいでしょ?」 「はいはい」 「もっと喜んでよ」 「うれしいうれしい。ヴィクトルがぼくのために美味しい飲み物選んでくれてうれしいなー」 ヴィクトルは機嫌よく笑った。勇利も苦笑を浮かべた。 だが、すこし時間が経つとなんだかおかしいという気がしてきた。頬が熱い。胸がどきどきする。 「ヴィ、ヴィクトル……」 「なんだい?」 「さっきのやつ、度数高いの?」 「ジュースだよ」 「ちがうでしょ」 「俺にとってはジュース」 「ヴィクトルにはね!」 「あ」 「なに?」 「勇利、いま手に持ってるやつ、お酒だよ。わかってる? わかってるならいいんだけど」 「うそでしょ」 勇利はおおかた空になったグラスをぼんやりと見た。ジュースだと思ってほとんど一気に飲んでしまった。会場は熱気があるため、喉が渇くのだ。 「気分悪い?」 ヴィクトルが心配した。 「大丈夫……」 「吐きそう?」 「わ、わかんない」 「勇利はその場で気分が悪くなることあんまりないよね。でもいまは試合後で疲れてるだろうし……、体調が万全ではないね。一応お手洗いに行く?」 そのほうが安心だ。勇利はこっくりうなずいた。ヴィクトルが勇利を抱き寄せて連れていってくれる。彼は途中、給仕のトレイから水の入ったグラスを取り上げて勇利に渡した。 「飲んで」 「ん……ありがと……」 ふたりで手洗いに行き、個室へ入った。 「吐き気は?」 「わかんない。どきどきしてるけど、たぶん大丈夫だと思う」 「座るかい?」 「座ると立てなくなりそう」 「いいよ。抱いていってあげるから」 「いや」 「わかった。じゃあ俺に寄りかかって」 「うん……」 勇利はヴィクトルに抱きつき、身体をあずけた。ヴィクトルは揺らぎもせず受け止め、背中に手をまわして抱擁してくれる。ヴィクトルあったかい、と勇利は肩口にもたれかかった。 「苦しくなったらすぐに言うんだよ」 「うん……」 「すこし待って吐き気が出ないようなら部屋へ戻ってもいいね」 「ん……」 「とにかく、したいこと、してもらいたいことがあったらなんでも俺に言うこと」 ヴィクトル、優しい……。勇利はぼうっとした頭でそんなことを考えていた。 「……勇利?」 ヴィクトルが呼びかける。 「平気かい? 寝ちゃってる?」 「ううん……」 「部屋へ戻る?」 「でも……」 「吐かないんじゃないかな? だってもう三十分経ってるよ」 「え、そんなに……?」 時間の感覚がなかった。勇利は驚き、そのあいだ、ずっとヴィクトルはじっと待っていてくれたのかと感激した。 「ごめん……疲れたよね……?」 「俺のことはいいけど、勇利は大丈夫?」 「うん……」 まだとろんとしているけれど、どきどきする感覚はおさまったようだ。すこしさめたのかもしれない。もう寄りかからなくても立てるし、支えてもらわなくても歩ける。きっと。 「ごめんヴィクトル、もう平気だよ」 「本当に? 無理はしなくていいよ」 「ほんとに。ごめんね、ぼく……」 勇利は目を上げた。ヴィクトルが優しい澄んだ瞳で勇利をみつめていた。勇利は、さっきとは別のどきどきを感じた。また頬が熱くなる。 「勇利?」 「あ、あの……」 勇利はどぎまぎして視線をそらした。ヴィクトルが不思議そうにする。 「……もう会場に戻ろうよ」 「いいのかい?」 「うん……」 勇利はうつむいた。ヴィクトルのよい匂いがした。ヴィクトルはしばらくなにごとか考え、急に勇利のおとがいを指で持ち上げると、上向かせてくちびるを重ねた。 「え……」 「勇利、かわいい」 さらにくちづけされる。勇利は驚いてよろめいた。足がたたらを踏む。ヴィクトルは勇利の背から臀部へ手をすべらせた。 「ちょ、ちょっと……」 「さわらせて」 「でも」 「さわるだけだから」 「だめ……」 「ね?」 「だめだったら……」 勇利はヴィクトルにしがみついた。抵抗しろよ、と自分で思った。くちびるを吸われ、頭がぼうっとなる。ふいに上着の内側にヴィクトルの手が入り、スラックスの隙間から忍びこんできた。 「!……」 勇利は息をのんだ。ちょっと。何してるの。そんなことまで許可してない。もっとベルトきつく締めとけばよかった。ごはんいっぱい食べるかもとか考えるんじゃなかった。このくいしんぼうめ。だからこぶたになるんだ。 ヴィクトルが下着のゴムを指でもてあそんでいる。左手では、スラックスの上から臀部を撫でている。ちょっと気持ちいいかも……。勇利はうっとりした。しかしすぐに我に返った。そんなこと思ってる場合か! こんなところで初体験なんてぼくやだ……じゃなくて! 下着!! ようやく思い出した。下着。いま身につけているのはとんでもない下着だ。ヴィクトルに見られるわけにはいかない。 「ヴィ、ヴィクトル……」 勇利はくちびるを合わせたままささやいた。 「もう、ほんとに戻らないと……」 「もうすこしだけ」 「だめだよ……みんなに変に思われる」 「部屋へ帰ったと言われるだけさ」 「だめだってば。長いあいだ姿が見えないのに、いきなり会場に戻ってごらんよ。何してたんだって訊かれるよ……」 「そのときは正直に教えてやればいい。トイレでお尻さわりながらキスしてたよってね」 「ばか!」 ヴィクトルはなおもくちづけをし、あちこちを撫でている。勇利はいつスラックスを下ろされるかと気が気ではなかった。 「ヴィクトル、おねがい、もう……」 「んー?」 「だから……ね……」 「勇利のお尻、引き締まってていいね。俺以外の誰にもさわらせちゃだめだよ」 「わかったよ。わかったから、ヴィクトル……」 「ねえ……、ベルト外していい?」 「だめ!」 ようやく手洗いから出たとき、勇利はひどく汗をかいていた。下着を見られるという事態は避けられたけれど、ずっと緊張して大変だった。もうこの下着は絶対に穿かない。 「やあ、おふたりさん。どこに行ってたんだい?」 クリストフが近づいてきた。 「あ、ごめんね、ちょっと気分が悪くて……」 「トイレで勇利のお尻──」 勇利はヴィクトルの口を手でふさいだ。本当に言わないでよ! なに考えてるんだこの皇帝! もう部屋へ戻りたかったが、ふたりでいなくなった直後にそういうことをすると、余計な想像をされてしまう。勇利はどうにかこらえた。もう本当にジュースしか飲まなかった。ヴィクトルは機嫌よくいろいろなグラスに手を伸ばしていた。 「ヴィクトル、ぼくもう戻りたい」 「うん? いいとも。連れて帰ってあげる」 一時間ほど耐え、ようやく勇利は部屋へ帰ることができた。「連れて帰る」などと言ったけれど、ヴィクトルはずいぶんと酔っていた。もっとも、いつかの勇利のように泥酔はしていない。ヴィクトルは上機嫌になるとたいていこんな調子になるのだ。 「ヴィクトル、ほら、今日はもうお風呂はだめだよ。寝て。服は脱いで。皺になるから」 「ああ……」 ヴィクトルがベッドの上でもぞもぞしている。無意識にか、ちゃんと脱ぐべきものは脱いで、下着一枚になって寝息をたて始めた。勇利は彼に上掛けをかけてやり、衣服も片づけてようやくほっと安堵の息をついた。 よかった……これで切り抜けることができた……。 勇利のほうはそれほど酔っていない。あれは一時的なものだったようだ。シャワーを済ませてさっさと寝よう。もう新しい下着に替えていい。勇利は服を脱ぎ捨て、着替えを抱えて浴室へ入った。 そういえば、今日はヴィクトルにたくさんキスをされてしまった。キスは初めてじゃないけれど、そんなにたびたびするものでもないし、今夜のは特別情熱的だった。勇利は指先でくちびるにふれ、それから頬に手を当ててぼうっとした。ヴィクトルのくちびる、あったかかったな。いい匂いしたな……。それに、お尻もすっごくさわられたし……。 鏡にちらと下着を映してみた。Victor, strip me! この文字の上からヴィクトルは撫でまわしていたのだ。なんだか可笑しくなってきた。変なの。それにしてもファンは妙な贈り物を考えつく。これはどこかの業者に注文してつくったものだろう。そういう商売があるのか、と感心した。 「さてと」 シャワーを浴びるため、下着を脱ごうと手をかけたときだった。 突然さっと戸がひらき、ヴィクトルが中に入ってきた。 「あ、ごめん勇利、いたのかい? 喉が渇いたから水……を……」 ヴィクトルの視線が、勇利の下着に釘付けになった。彼は目をみひらいた。勇利は動けなかった。頭の中が真っ白になった。 「あ、いえ、あの、これは──」 いきなり手首をつかまれた。浴室からひっぱり出され、ベッドに投げ出される。起き上がろうとしたらヴィクトルがのしかかってきた。 「勇利」 「ヴィ、ヴィクトル、酔ってる! どうしたの!」 「酔ってるけど起こっている事象の認識は問題ない。勇利、いけないよ」 「何が!?」 「自分で脱ぐなんて」 ヴィクトルがにやっと笑った。 「俺に脱がせてって書いてあるじゃないか」 「ち、ちがう! ちがうんだ、これは──」 「勇利ってずいぶん大胆なんだね。今日ずっとその下着だったの?」 「ずっとじゃない! バンケットのあいだだけ……」 「へえ。ますますいやらしい。そんな下着を着て俺の隣で笑ってたんだ。トイレでは……」 「い、言わないで」 「すてきな下着だね。とてもかわいい。どきどきするな。すごくえっちだ。何がえっちかって、それを勇利が自分の意思で身につけたというのがえっちだよ。どんな覚悟で、どんな顔をして穿いたんだ? 何か想像した? 部屋へ戻って、せっぱつまって、俺が乱暴に勇利の服を脱がせるよりえっちだよ。ねえ、穿いてるあいだ興奮した? 俺も知らないひみつを持ってさ……。それ、どうしたの?」 「ファンの人がくれたんだ。ぼくが買ったんじゃないよ。まちがえて持ってきちゃったんだよ。ヴィクトルには知られたくなかったのに。ねえおねがい、ばかだって言って笑わないで。あと、ネットにもアップしないで。うちの生徒は頭がおかしいですなんてみんなにひろめないで」 「そういうことを考えるのがばかだよ。かわいい勇利。俺はそんなことはしない。するのは──」 ヴィクトルは勇利の下着をひとつかみにした。 「そこに書いてあることだけさ」 「ヴィクトル!」 「大丈夫。酔っていない。さめてるよ。勢いでもない。ずっとそうしたいと思ってたんだ。勇利の下着を脱がせたいってね。いいだろう?」 「勇利のファンはすばらしいね。もっと親切にしなきゃだめだよ。そうだ、俺もお礼を言いたいな。どこの誰だかおぼえてるかい?」 「そんなのわからないよ……」 「そうか。残念だ。その下着、これからは積極的に穿いてくれ」 「穿くたびに脱がせるの……?」 「いや。勇利がそういう下着を着けて日常生活をいとなんでいると思うと、ぞくぞくしてたまらない」 そののち、ファンからのたくさんの贈り物を開けているとき、ヴィクトルがうれしそうな声を上げた。彼は「勇利、見て! 俺ももらった!」と目をきらきらさせながら示した。ヴィクトルの手には下着が握られていた。それには日本語が書いてあった。 「なんて書いてある?」 「……かっこいい男、って」 「本当だろうね? SNSにアップしてなんて書いてあるのか質問してみよう。勇利はかっこいい男って言うけど本当かなって」 「ヴィクトル!」 勇利は半分泣きながらヴィクトルを止めた。日本語の下には矢印があり、その矢先はちょうど股間をさしていた。少ない布地、狭い面積に達筆な文字で書いてあったのは──。 『勝生勇利専用』 教えるとヴィクトルは大喜びし、「正しい!」とはしゃぎ、その下着を愛用するようになった。
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WAREHOUSE&CO. / Lot 6038 TURN OF CENTURY SUSPENDERS
Size:FREE
Color:BROWN
Price:¥16,225-(in TAX)
ど~も、福岡店 隠塚(おんづか)です。
雪が降ったかと思えば、初夏を感じるような気温になったりと寒暖差が激しいですね~。まぁ、昔から『三寒四温を繰り返しながら・・・』と言われていますから、季節が巡っている証拠なんでしょうね。花粉症の方(私もですが)にはツライ季節の到来でもあります。頑張って乗り切りましょう~
さて、久しぶりに入荷した”サスペンダー”をご紹介しますっ!!
20世紀初頭のサスペンダー(ブレース)のディテールを再現する為、型を起こし、オリジナルで製作したアジャスターには、”DIGGER”のアイコンである<ステッチデザイン>を打刻しています。
また、オリジナルのゴム入りベルトは、裏地が<パイル状>になっており、適度なキックバックはもちろん、シャツや肌着を傷つけない仕様を再現。
色、ラインのパターンも全てオリジナルですよっ!!
新品のサスペンダーにありがちなオーバースペックな硬すぎるレザーや肩が凝りそうな太い吊りバンド生地ではなく、サスペンダーがある程度馴染んだ状態が理想と考えます。
このため、WAREHOUSEのベルトを手掛けるマニュファクチュアに依頼し、たっぷりとオイルが入ったオリジナルレザーを製作。
さらには、<金具>、<スナップ>、<レザー>から<ゴムバンド生地>まで、全てのディテールに【加工】を施しています。
シャンブレーシャツの<ブルー>やダックの<ブラウン>、デニムの<インディゴ>に最も相性の良いサスペンダーに仕上げました。
この文章の流れからすると、トップスには、<シャンブレー>や<ドビー>生地などのワークシャツを合わせた着用画像がベターだと思いましたが、何となくイメージが出来るスタイルなので、ココはあえて、”スウェットでハズす”のも個人的にはアリじゃないか、と。
自由に組み合わせて、いろんなスタイルで楽しんで下さいね~
使い方は、アナタ次第ですっ!!
それでは、今週も元気に営業しておりま~す
☟☟☟☟ ☟☟☟☟☟☟お知らせ ☟☟☟☟☟☟ ☟☟☟ ☟
2020年2/8(月)~当面の間、ウエアハウス各直営店では 『LINEフェア』を開催中です。
店頭でお買い物の際、ご精算の前に《WAREHOUSEの公式LINEアカウント画面の提示》で税込み価格から『10%OFF』にて販売させて頂きます。
当面の間、期間を設けずに開催致しておりますので、”慌てずに”どうぞご利用下さい。
※フェアの期日が決定しましたら、改めてお知らせ致します。
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メモ 2019年11月26日
十年以上住んでいた筈の祖父のマンションはいつまでも新築のような匂いがした。最後まで小綺麗な空間だった。流しには湯呑みが置いてあって、ジュースでも時々作っていたのかミキサーが出ていて、手拭きも台拭きも入院前に使っていたのが掛かったままだった。
私が洟をかんで捨てたゴミ箱は祖父が手作りした木製だった。老人大学で習ったという油絵も、彼の手作りの額縁に入れて壁に掛かっていた。飾りきれない絵は空いた部屋の隅に積んであった。
客間のガラス棚にはいつも正月に使う大人数用の食器と、古そうな酒が並んでいた。立て掛けたギターの横の譜面台には書き込みのある楽譜が開いてあった。物心ついた時から置いてあったが使っているのを見たことがない巨大な羽ペンと、カラオケの教本と、ペン字のテキストとバルーンアート教室の書類と無数の啓発本の横には、ハーモニカが二つ並んでいた。
毎年夏にはこの場所に集まって、墓参りに行く時間になるまで甲子園を見ていた。
全部そのままだった。
葬式で祖父に着せる服を選ぶため寝室に入った。部屋はベッド以外のもの殆どが服だった。
私なんかは最近まで気付けなかったほど、さりげなく、本当にさりげなくお洒落な人だった。色シャツを重ねたり、柄もののベストを着たり、ベルトや帽子にも拘っていた。
���義兄さん随分衣装持ちだったんだねえ、それでも処分は始めてたんだねえと、伯母と大叔母が喋りつつ箪笥を開ける。クローゼットからも積んだ衣装ケースからも、きちんと畳まれた仕立ての良い服が出てくる。いつか集まった時の記憶にあったような服も何着か見つかる。
これだけたくさんの服から、お洒落な彼に丁度良いコーディネートを考えるのは難しかった。結局は先週入院する日にも着ていたという、見慣れた紫のシャツに濃い緑を合わせて、真新しそうな靴下と一緒に纏めて葬儀屋に預けた。
手狭な寝室だけで時計が三つもあったが、そのうち二つは既に動いていなかった。
「あれさあ、昔かなり怖かった」
枕元にある黄緑の丸い置時計を見て姉は言った。言わなかったが私も当時同じことを思っていた。がちん、がちんと音を立てて震えながら静寂の中動く針が恐ろしかった。祖父が今のマンションに越す前は、広い広い家の一室の布団の脇に、必ず置いてあった時計だった。
今はひたすらに静かだ。その反対側の壁には10時で止まった掛け時計が、中身だけをかちこちと鳴らしている。
腕時計のことも書きたい。それだけは思い出が濃すぎてまだひとつも整理がつかない。装飾した創作話みたいにしてしまいそうで怖い。
あまりに突然の死で遺書はなかったのだが、大事な戸棚の鍵の場所は手書きのメモで分かりにくく残してあった。それを読みながら親族総出で探し回った。
合計4本の鍵がそれぞれ全然違う場所に隠してあって、まるで宝探しだった。『テーブル横の荷物入れのわきにある小さい茶色い鞄の中』茶色い鞄てどれだよ、どのくらいを小さいって言うんだよと皆笑いながらあちこちの鞄という鞄を漁って回った。一番わかりにくかった一文をなんとか解読して、湯たんぽの空箱から最後の鍵を発見したときが笑いのピークだった。
祖父が最晩年一緒にいた人(父は愛人と呼んでいた。伯母は怒って話題にも出さなかった。私はやっぱり何も聞かされないままだった)の家からも回収してきた鞄を開け終わると、また少し家族達は静かになった。
一見普通の人に思えるが妙に謎の多い人だった。いつも人好きのする顔で笑い、ゆっくりと話す。生き字引のような人だった。
生き字引が過ぎてほらまたいい加減な事を言っているよとも言われていた。外反母趾が輪ゴムで治るなんて聞いたこともない。いいや、治る。これをここにこうして、ちょっちょっちょ、とやると、治る。
どうせ本当に治ったことがあるんだろう。風邪の治し方にしたって、虫退治の方法にしたって、突拍子もないことを小学校の恩師のような謎の老獪性と信頼性で話すものだからいちいち耐えられなくて笑ってしまった。
金庫漁りついでに発見された戸籍謄本を見たら、苗字の漢字が今と違うわ下の名前も聞いていたのと違うわで場は一時騒然となった(私たち全員の苗字が間違っていたことになるからだ)。俺は誕生日が二つあるんだと言っていた証拠もちゃんと見つかった。出生の届け出がひと月遅れたらしい。
長男なのに家を追い出されて継げなかったのはもらい子だったからではとも噂されていたが、これは書類上間違いなく当家の長男だった。そもそも大叔父と似過ぎているのだから親戚筋には違いないのだが、それにしたって妙なエピソードは多い。
やはり食えない人だ。可笑しな人だ。生前の発言のどこまでが冗談だったのか、今となっては知るすべは無い。
誰も知らぬ苦労もしたのかもしれない。
いつの間にか何でもやってみてしまう人だった。そうして出来てしまう人だった。私が就学するときはヒノキを切って学習机まで作ってくれた。
今のマンションに引っ越す前のあの広すぎる屋敷も昔祖父が増築していたらしい。どうりで少し歪んでいると思った。毎日のように近所の建設現場を見にいっていたと思ったら、設計図も書かずに突然「はなれ」をつくりはじめたそうだ。
決して飽き性ではない、趣味も勉強も工作も全部納得いくまで突き詰めてきたのだろう。まだ突き詰めている最中だった。
この手術が終わればまたダンス教室に通うからと言っていた。嘘ではなかった。フラグなんかじゃなかった。本当だった。誰も疑っていなかっただけではない、経過は順調だとも聞いた。
術後まだ動けない時に父に杖を取ってくれとねだり、何をするんだと訊くと、これをこうして、ほらあそこのスイッチを押せるんだなどと言っていたそうだ。まったくもって通常運転だった。
だから離れて暮らしている姉には手術のことすら伝えられていなかった。
この日の朝電話で呼ばれ、家を飛び出して地元のバスに乗る前に、母からラインで訃報が届いた。結局何一つ間に合わなかったんだなと思いながらバス停で髪も結わず化粧もしないままで私はびいびい泣いた。隣で並んでいる人がずっと私を見ていた。
霊安室の高すぎるベッドで眠る祖父の顔は記憶と少し違った。おじいちゃんに寄ってあげて、ちゃんと触ってあげてと何度か言われたのに、迷って迷って迷って最後までできなかった。
このこともいつか後悔するんだろうか。まだ忘れないように書き留めることしかできない。通夜も葬式も何も済んでいない。
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F.LLI Giacometti (フラテッリジャコメッティ) ジャコメッティのダブルモンクをダイナイトでリソール。 ベルト部分はゴムが使われていないので、脱ぎ履きの時に手前のベルトだけでも外す必要がありますね。 正直面倒くさいと思ってします(笑 でも、こういうのが好きなんですよねー。 #shoerepair #靴修理 #中古靴 #古靴 #oldshoes #名古屋 #千種区 #本山 #四谷通 #roost #Giacometti #フラテッリ #ジャコメッティ #ダブルモンク #ベルト部分は革 #ベルトにゴムは使いません #ダイナイト #dainite #resole #リソール (ROOST shoe repair)
#ジャコメッティ#千種区#靴修理#フラテッリ#ベルトにゴムは使いません#giacometti#古靴#中古靴#ダイナイト#名古屋#oldshoes#dainite#ダブルモンク#リソール#四谷通#shoerepair#ベルト部分は革#本山#roost#resole
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+新作入荷致しました+ March 13 [Thu], 2008, 21:44本日、コルネットのブラウスとスカートが入荷致しました コーディネイト例と共にご案内させていただきます -左側ボディ- +ウエストゴムブラウス+ Col/WH *レース使いスカート* Col/RD×WH -右側ボディ- +二重襟レースブラウス+ Col/WH *ハイウエスト前開きスカート* Col/PK×WH +ウエストゴムブラウス+ Col/WH ¥14,800 ウエストがゴムシャーリング(前脇身頃~後ろウエスト全ゴム)の定番型ブラウスです 下袖お取り外し可能♪ 薔薇刺繍の綿レース&薔薇モチーフの立体的なボタンがとても可愛いですよ 細幅のウエストリボン付き(取り外しできません) 襟周りのフリルは共布&綿レースの2枚重ねで豪華な印象です +二重襟レースブラウス+ Col/WH ¥14,800 襟に2重のレースが施されたこてこてなブラウスです♪ 前たての両サイドに綿レースのフリル&サテンリボンの編み上げ(調節不可)が施されています レースはお花模様タイプ 大きめの水玉風にくりぬかれた刺繍が懐かしい雰囲気です 下袖お取り外し可能 ウエストゴムシャーリング(前脇身頃~後ろウエスト全ゴム) 細幅のウエストリボン付き(取り外しできません) とてもボリューム感のあるブラウスですので、スカートとのコーディネイトがオススメです +ジャボつきブラウス+ Col/WH ¥14,800 大きなジャボがインパクト大のシンプルなブラウスです♪ お袖は袖口ゴムシャーリングのストレートな長袖パフスリーブ パール風のボタンや薔薇レースを使用し上品な雰囲気です ピンタック&ケミカルレースを施したすっきりとした身頃のつくりは、 JSKのインナーにぴったりです +セーラーカラーブラウス+ Col/WH×WH ¥14,800 大きな襟がポイントのセーラーカラーのブラウスです お袖取り外し可能♪ 半袖の際の袖口はカフス仕様(調節不可)となっております 前身頃の飾りは"ウエストゴムブラウス"をご参照下さい (ピンタック3本、綿レースフリルなど) くるみボタンがレトロな雰囲気でセーラーととてもよく調和しています(´∀`*) 共布のリボンブローチ付き★ +レース使いスカート+ Col/RD×WHBK×WH、BK×BK ¥14,800 コルネット定番のギャザースカートです 素材はバーバリー&綿レースを使用 レースはコーディネイトしたブラウスと同じものが使われているので、 セットでお召しいただくと統一感が出ます♪ 後ろウエスト総ゴムシャーリング 取り外し可能なウエストリボン付き RDは"ワイン"というほんの少し紫がかった濃い目の色味です +ハイウエスト前開きスカート+ Col/PK×WH、BK×BK ¥15,800 前ボタン開きのハイウエストスカートです♪ 素材はバーバリー&綿レースを使用 張りのある生地でスカートのシルエットがとても綺麗ですね しっかりしたベルト芯が付けられているので、ウエストがすっきり見えます 立体的な薔薇ボタンが可愛いポイント 後ろウエスト総ゴムシャーリング 取り外し可能のウエストリボン付き スカートはどちらも52cm丈です♪ 157cm前後の方がパニエを入れてお召しになると膝が丁度見えるくらいの長さになります 是非甘ロリらしいアイスクリーム型にまあるく目いっぱい広げてお召し下さい★
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ソフトリネンキャンバスイージータックアンクルパンツ NVY ブランド:AUDIENCE(オーディエンス) サイズ:(M)ウエスト約77cm~約85cm股上約34・5cm股下約62cmわたり幅約33・5cm裾幅約16・5cm (L)ウエスト約81cm~約88cm股上約35cm股下約63cmわたり幅約34cm裾幅約17cm (XL)ウエスト約85cm~約92cm股上約35・5cm股下約64cmわたり幅約34・5cm裾幅約17・5cm 素材:リネン55%、コットン45% 価格:¥11880(税込) カラー:ネイビー 生産国:日本 温かみのあるさらりとした綿麻素材を使用したテーパードの効いたシルエットのアンクルパンツです。 ウエストはゴムを効かせたイージー仕様でベルト無しでご使用頂けます。 さらりとしたリネンコットン特有の温かみのある生地感が生むリラックスな着心地は季節を問わずご着用頂けます。 Audience(オーディエンス) 10年先の未来を想像し、新しい価値を創造する 素材選別・生産背景選定・生産管理にこだわり、ベーシックなアイテムの細かなディティールやシルエットを大切にし、「 着た人が楽しくなる 」提案をし続けていきます。 素材の持つ雰囲気、時代の流れに合ったサイズ感、着合わせの汎用性を大切にし最適なバランスを探求しています #ROCKETSHIP #ROCKET #rocketship #ship #SHIP #audience #ロケットシップ #埼玉県熊谷市 #セレクトショップ #パンツ #アンクルパンツ #リネン #服 #服好きな人と繋がりたい #服屋 #服好きと繋がりたい #服は着ないとつたわらない #服が好きな人と繋がりたい #服が好き #服好き #服好きな人とつながりたい #今日の服 #洋服 #洋服好きさんと繋がりたい #洋服好きな人と繋がりたい #洋服すきなひとと繋がりたい #洋服屋 #洋服すきな人と繋がりたい #洋服好きと繋がりたい (ROCKET SHIP) https://www.instagram.com/p/BwbvvJVlVnW/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1gern934nchem
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CTPの後継でしょうか。CTPとの比較で書いてみます。
材質はCTPと違いほとんど伸びません。CTPの生地は伸びるので動きやすいのですが、その分劣化しやすい(いわゆる「のびる」ですね。ややこしいですが笑)ので2年位履いているとだいぶくたびれた感じがでます。逆にこちらは伸びない分たぶん劣化が少ないような気がします。あとCTPはしゃがんだ時は膝の生地が伸びますが、こちらは周りの生地が引っ張られて裾が上がったりズボンが落ちやすい気がします。慣れの問題でしょうが。
形状ですが前ポケットはCTPよりも緩いので出し入れはしやすいです。CTPがきつかったので苦情でもあったのでしょうか。ただ緩い分経年劣化でズボンの形が崩れやすいかもしれません。CTPのきつさも慣れてしなえばそれほど苦でもありませんでしたが。CTPのサイドポケットに比べるとこのズボンのサイドポケットや前のメディアポケットはだいぶ浅いです。スマホを入れる用途としては使いやすいですが、生地が伸びずポケットの口が締まらない為、激しい動きや便座でズボンを降ろす時などポケット内のものを落としやすくなっています。私は深い方がいいのですが上記の用途を考えるともとに戻ることはないかなと思います。前部のベルク���で留める部分はCTPのような黒いタブがなくなった為ちょっと開けづらいです。後ろポケットのステッチはかなり豪快な大きさですよね。このデザインは好みが分かれそうです。
色は執筆時点では無いのですが無難万能なカーキ色があったら良かったですね。
個人的にはCTPがこの材質だったら完璧です(笑)
追記:厳冬期(笑)には下にタイツなどのインナーを着けるわけですが、その際静電気のせいもあるかもしれませんがズボンの生地が全く滑りません!ただでさえ伸びない生地が足に張り付くので普段に増して足が曲げづらいです。足腰が弱い人用のサポートズボンかと思うくらい腰が下げづらく、靴を履くのも大変なくらいです。この生地はダメですね。ただでさえデザインが悪いのに履き心地まで悪いのでは本当にダメです。CTPはここまで張り付かないんですけどね。
あとズボンの下がりやすさは腰のゴムにあるかもしれません。しゃがむ時に一番引っ張られる後ろに抵抗がなく腰の両脇だけでベルトが引っかかる感じなので。やっぱり駄目ですね(笑)
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