Vol.01【2020SS】風を感じる春夏。
ーー明けましておめでとうございます。
辻 ��いやろ(笑)。
ーー今年初めての更新なので一応(笑)。
辻 展示会の準備とか東京店の引っ越しとかでバタバタしてて、なかなか公開トークができなくてすみません。3月のどこかではやりたいと思ってますので、もう少々、お待ちください。
ーーそんな中、春物がどんどんデリバリーされてますね。
德田 されてますよ~。店がどんどん華やかになっていく感じは、やっぱり春ならではよね。
辻 そうですね。春物の革とかはなかなか好評で、もう結構動いてますよ。
ーー革と言えば、新しいデザインのジャケットが今シーズンはありますね。
德田 『スカイジャケット』でしょ。久しぶりに革でデコラティブなデザインをしたよね。
辻 とことんデザインしました。左右非対称の。もともとインスピレーションを受けたのが凄く無骨なモーターサイクルジャケットだったんですけど、それをファニーにしたというか、洗練させたというか。
德田 パッと見た瞬間に「あ、カッコいい!」ってなるデザイン。そういう強さのある革ジャンって久しぶりに作った。
ーー『アランジャケット』とは対照的ですもんね。
德田 『アランジャケット』は静かに革の魅力を引き出してたけど、『スカイジャケット』にはディテールが多いっていうカッコ良さがある。
ーー確かにディテールが多いですね。
德田 ベルトもあって、ちっちゃいポケットもあってさ。フロントの折り返しもピタッと折れるわけじゃないから、ボタンを留めても立体的になる。なんかこう、ファッションしてる! って感じがあるよね。
辻 あるある。街で着てたら目立つやろしね。
ーーグリーンはもちろんなんですけど、黒もなんか雰囲気ありますよね。
辻 革と縫製糸の色が違う、配色ステッチにしてるっていうのもあるんちゃうかな。
德田 革で配色ステッチって、なかなかやらないもんね。
ーー難しいんですか?
辻 難しい。同色とは比べものにならないぐらいアラが目立つからね。革って縫い直しができないのよ。特にシームをまたいで2本ステッチを入れる部分とかは、左右をバランスよく揃えるのが難しい。
德田 デニムとかだったら2本針のミシンがあったりするけど、そうじゃないから。
ーーえ、2本針で縫ってないんですか!?
辻 全部シングルステッチ。1台のミシンで全部縫う。
ーーそれはかなり腕が問われますね。
辻 めちゃくちゃ問われる。失敗したらもう一回、革を裁断してやり直さなあかんから。ようやってくれはったと思うわ。裁断も革を一枚一枚見て、ここのパーツにはこの部分をとか、もの凄く細かくやっていただいてる。
德田 お安いジャケットではないのでね、その辺はキチッと丁寧に作らせていただいております。ちなみに裏地はレオパンダちゃんです。
辻 革と言えば、BUTも新作がございますねん。
德田 そうそう。革のベスト(BRITT)とスエット(BEHATI)が。
ーーなかなかファンキーなチョイスですね。
德田 でしょ(笑)。特に革のベストが思ってた以上に好評で。
辻 フロントに飾りが付いてるんです。民族衣装みたいな。
德田 面白いのは、BUTの革って製品にしてから洗い加工をかけるんだけど、その飾りも一緒にエージングされるから、いい表情が出てくるのよ。
ーー革のベストって無骨なイメージがありますけど、ちょっといままでにない感じですよね。
德田 でしょ。ルックブックでも革のベストでスタイリングを組んだけど、Tシャツに羽織るだけでも雰囲気出たもん。
ーースエットはどうですか? 革のスエットって、なかなか聞いたことないんですけど。
辻 ぶっちゃけ展示会では、まったく評価してもらえませんでした(笑)。でも『アランジャケット』も、11年前に初めて作ったときはそんな感じやったわ。「何これ?誰が買うん?」みたいな。ファーストオーダーなんか笑ってしまうぐらい少なかったし。
ーーそれがいまや「ブルーナボインの革と言えば」なアイテムですもんね。
德田 革のスエットってだけ聞くと「?」だけど、着るとほんとにカッコいいのよ。個人的にも、これは欲しい!
ーーそもそもどうして革でスエットを作ろうと思ったんですか?
辻 德田さんのリクエスト(笑)。
德田 そうなんです。どうしてかって言うとね、子供の頃に祖父母が海外旅行のお土産に、スエットみたいなプルオーバーの革のジャンパーを買ってきてくれたの。それがあまりにもカッコよくて、凄いお気に入りだったんだけど、その当時の革って「革です!」みたいな独特のニオイがあったのよ。
辻 あったあった。
德田 それが子供の頃は耐えられなくて、お気に入りなのにあんまり着れなかったの。で、そのニオイが大丈夫になったときには、もうサイズが小さくなってて…。だからいつか革のスエットが欲しいってずっと思ってたので、今回ラインナップに入れてみました。
ーーまさにBUTの真骨頂的なアイテムじゃないですか! 面白いことに、とにかくチャレンジしてみるっていう。
辻 ただ、「革でスエット作ろ」って言われても、そんなに簡単にできるものではないんですよ。
德田 スエットのカタチをそのまま革に落とし込むだけではできないから。
ーー革でスエットを作るっていう案が出たとき、「これは難儀やぞ」って思いました?
辻 いや、革の取り方とかはちょっと工夫がいったけど、心が動かされたから楽しかった。
ーーどういうところに心が動かされたんですか?
辻 革でスエット、なるほどな。誰も作ってないわな、って。でも春夏やしな。ちょっとでも長く着てもらえるにはどうしたらいいのかな。あ、そうや風が通るようにしよ。というわけでスエットなんですけど、いろんなとこが開くようになってます。
ーーどこが開くんですか?
辻 肩も開くし、脇も開くし、腕も開く。あとは背中も。
德田 これはゴツめのストールとかとコーディネートしてもらったら抜群よね。
辻 抜群です。革はいいよ。真夏以外いつでも着れるしね。特にいまからゴールデンウィークぐらいまでは、革を着るのに一番いい季節。
ーー開くと言えば、今シーズンは背中にベンチレーションの付いたアイテムが多いですよね。
辻 そうなんです。『ウエンティ ゴッサマージャケット」とか、アイテム名に「ウエンティ」ってついてるのは全部、背中が開いてるんです。
ーー「ウエンティ」ってどういう意味なんですか?
德田 ローマ神話に登場する風の神の名前で、古典ローマ語では「風」っていう意味がある。
ーーどうしてまた、いろんなアイテムにベンチレーションを付けたんですか?
辻 背中開いてたら、なんか楽しいでしょ。バックプリントのTシャツが見えたりして。尚且つ去年の夏ってめちゃくちゃ暑かったやん。
ーー暑かったですね。
辻 もちろんTシャツとかシャツ1枚でも、それはそれでいいんですけど、やっぱりファッションって楽しんでなんぼですからね。だからもうちょっと重ね着を楽しみたいとも思ってて、じゃあ背中開いてたら涼しいんちゃうかと。それやったらベンチレーション付けたら風も通るし、服の表情も変えられるし、着こなしの幅も広がるし、いいこと尽くめ。岡本太郎じゃないけど、"背中にディテールがあってもいいじゃないか"というね。
德田 だから今年は『ブレーメン ロンT』とか、バックプリントが入ったアイテムもいろいろ作りました。
辻 みんな鏡に向かっても、ほとんど前しか見ないでしょ。でも、背中からプリントが見えたりしたら楽しいから。1回試してみて。
德田 あとウエンティシリーズには『ウエンティ ストレージャンパー』とか『ウエンティ メルシュベスト』みたいに、丸カンが付いてるアイテムがあってね。そこにじゃらじゃらとキーホルダーを付けてもらっても楽しいよ。
ーーそのためにキーホルダーもいろいろ作ったんですよね?
德田 作ったよ。『ドリームホルダーシリーズ』っていう。
辻 やっぱりメンズのアクセサリーって、リングとかバングルが多くなってしまうでしょ。でも、キーホルダーってアクセサリーになるなと思って。で、パンツにはベルトループがあるからすぐ付けられるけど、トップスに付いてた方が面白いやん。
ーー確かに。
辻 そんなことをいろいろ考えてるうちに、そういえばフィッシングジャケットとかベストってDカンが付いてて、いろいろ装備できるようになってたなぁ…ていうところからのインスピレーションです。
德田 『リアルシュリンクバッグ』に付けても可愛いし、楽しい用途は他にもいろいろとございますので。
ーーそろそろお時間ですね。東京店の移転以外で、なにか近々にイベントの予定とかないんですか?
辻 あります! 4月の上旬に大阪店でワコールのイベントやります。
ーーワコールって、女性用の下着メーカーじゃないんですか?
辻 それがメンズもあるのよ。ボクも愛用してるんですけど、もの凄くいい。詳しいことはまたSNSか次回のスペシャルページで告知するけど、どっかでパンツを買おうと思ってた人は、ちょっと待っててください!
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