Tumgik
#ブドウビール
hh1987zhonguo · 4 years
Text
西寧 標高2,275m
前日、列車が西寧駅到着まであと10数分ぐらいだったと思う。 華やいだ日本語が僕の席の近くで突然聞こえた。声のほうを振り向くと若い日本人の女の子が、遠くにいる相手に向かって大きな声で楽しそうに何かを伝えていた。 それがトシコちゃんとの最初の出会いだった。彼女は当時、北京に留学中、卒業後に大手商社に入社し、以来、世界をホームグランドに繊維畑を一貫して歩き、今は香港に駐在する才色兼備の人だ。 知り合ってから30数年、今でも時折、交流がある。うれしいことだ。
8月16日(日) 11日目
朝起きて冷水のシャワーを浴びた。 西寧賓館のシャワーも温水は無い。8月中旬であっても標高2,275mと、日本で言えば北アルプスの尾根伝いにある山小屋と同じ高さ。冷水シャワーを浴びれば、一発で目も覚めるが、体も震える。 昨夜、この西寧賓館のドミトリーにチェックインした(1泊7元、約315円)。 同部屋の関大生男子、陶山さんとは到着した西寧の駅で知り合った。その前には上述のトシコちゃんと友達の柴田さんという女子二人組とも言葉を交わし、一緒に西寧賓館へ行こうということになった。 列車が西寧に到着したのは夜8時近かったが、まだ明るかった。こんなに広大な中国も、全てが北京・上海時間で動いており、国内に時差も無い。 チェックイン後は陶山さんと連れ立って市内の羊肉シャブシャブ店へと向かった。 ここは熊大の先生に教えてもらったおススメ店。先生曰く、肉が新鮮、鍋は中心に円柱の煙突のようなものがついたもので、タレも数種類あって美味、ということだった。 「夕飯、どうする?」という話になった時、僕は陶山さんにここを勧めた。陶山さんは「その店の料理は、中国で食べるから美味いと言えるのか?それとも日本で食べても美味いと言えるのか?」と、割と真剣に尋ねてきた。 面倒くさいことを言う人だなと思ったが、彼は中国を旅する中で、「美味い」と勧められたけど「残念」という経験が幾つもあり、こう尋ねない訳にはいかないということだった。まぁ、そんなもんは「旅をすること」とイコールで「自分で試してみないことにはわからないもの」である。 これも中国個人旅行者たちがほぼ経験することだが、陶山さんも体調を崩していた。彼は鑑真号という当時、バックパッカーなどに人気のあった低料金の客船で日本から上海へ入り、いくつかの街をまわって西寧に辿りついた。この先はチベットのラサに行き、隣国ネパールまで行くとのことだったが、体調不良時に中国の薬局で買った薬で手足が痺れ、「中国は信用ならん」という状況だった。そんなこともあって「美味い」と言われてもマユツバ、ということだろう。 実際、その羊肉のシャブシャブ屋は完璧で西寧滞在中のお気に入りとなった。 朝の冷水シャワーのあと、洗濯をした。 日記には「中国での初めての洗濯。なんか新鮮な気持ち!」とある。10日以上も洗濯してないなんて、一体パンツはどうしてたんだろう??と自分でもゾッとする♪ 昼飯はSWANという洋食屋へと出かけた。 同じく賓館に泊まっている宝塚市から来た女性と小学生の息子2名とも知り合い、陶山さんと5人で出かけた。8割関西人の賑やかなグループの完成だ。 高地、西寧は初秋の風情、日差しは強いものの少しひんやりと乾いた空気がうまく、賓館の前庭にはコスモスが咲き乱れていた。
Tumblr media
古来より中国内地とチベットを結ぶ要衝の地であり、今も青海省とチベットを結ぶ青蔵公路の起点であるこの街には、フェルトの帽子や鮮やかな民族衣装を纏ったチベット族やチベット仏教徒が多く、当時は純然たる人民と言える漢民族の割合はそんなに多くなかったかもしれない。
若いあんちゃんたちが路上で声をかけてきた。「チェンジ・マネー」だ。 当時の中国は人民が使用する「人民弊(レンミンピー)」と外国人旅行者などが使用する「外匯(ワイフイ)」の二重通貨。 外国人旅行者が外貨を元に両替する場合、外匯となる。そして 外匯は外貨のような扱いで、人民には購入が難しいテレビ等の贅沢品も買うことがでるため、中国人は外匯を欲しがり、路上で「Hello Mr.! Change Money! Change Money!」と通貨交換目的にすり寄ってくる。加えて人民幣と外匯は通貨価値も同じではなく、両者間に交換レートがあるので、これを交渉するという作業がある、もちろん違法で闇取引だ♪僕の記憶では当時おおよそ、 外匯 100元に対し人民幣140~160元ぐらいだったと思う。知り合った日本人旅行者にはこの「チェン・マネ」連中がどこに行ってもしつこく付いてくるので、ホテルから出るのが怖いという人もいた。 陶山さんはさすが関西人という感じで、巧みに交渉を操り、良いレートでチェン・マネをしていた。なかなかの人である(^^♪ 日記にはこの日、僕は西寧駅前で156元でチェン・マネしたと書いてあるから、陶山さんは160元は行っただろう。
昼飯を食べたSWANでも関西人の陶山さんと宝塚の親子の関西弁トークで賑やか。口数の少ない僕は圧倒されながら魚をケチャップかトマトソースで煮込んだ料理をモグモグ食べた。この店にはカツレツもあった。 店内では酔っぱらった人民がラップのようなノリの良いテンポで、ジャンケンをしていたのが面白かった。 食後に街中の百貨店へと行った。 朝晩はかなり涼しいので、僕は羊毛のカーディガンを買った。色はベージュ、価格は46.5元、約2,070円で、中国では良い値段の部類だ。対応した店員小姐は面倒くさそうで、商品も釣り札、釣銭も全部投げてよこした上に、不機嫌な顔。 一方、陶山さんはカッコイイ人民服の上着を購入。こちらはニタニタとはいしていたが、小姐の笑顔つき。なんだこの差は?? そして店内には日本語で「たのしい」と刺繍されたセーターが売っていた。一体何がたのしいんだ、えっ!?と独り、突っ込みを入れて笑っていた。 他の街でも日本語で「美しい汗」と縦書きされた妙なTシャツを着た人民が路上に突然現れ、思わず笑ってしまい睨み付けられたこともある。
Tumblr media
↑街中の百貨公司(デパート)
その後はお約束の駅での切符購入。これもまたお約束で、購入できそうにない雰囲気。 もう、こういうことにも慣れてしまい、諦めて街中をぶらぶらと歩いた。 「ヨーグルトが美味い!」 「イスラム教徒、チベット族がたくさんいて、店の商品も変わっていて面白い」 「キリンの絵が描かれたアルミの弁当箱を買ってしまった!」 などなど日記には書かれている。 夕飯はトシコちゃん、柴田さんも誘って、4人で昨夜の羊肉シャブシャブへと行った。女の子たちがいるとまた華やかだ。 この店は入り口を入ると帳場があり、その後ろには皮を剥された羊が食材としてぶら下がっている。リアルだ。。。それを眺めながら階段を上り、2Fのテーブルで食事をとる。どんな羊肉を食べたのか覚えてはいないが、何を食べても美味かったことは覚えている。ただ、残念なのはビールがないことだ。イスラム教徒の店だったのかな??なんとなく店員は白い帽子を被っていたような気がする。 食事中、2Fから見える夜の袋小路のような街並みは突然やって来た嵐に襲われたが、それはあっという間に去っていった。不思議天気。 腹いっぱいになって階段を下り、会計を済ませると、ぶら下がっている羊は明らかに小さくなり、自分たちは今夜、このあたりとあのあたりを食べたんだと実によくわかった。 宿に戻ってビールでも飲もうという話になり、途中の小さな食品店でビールを買った。「葡萄啤酒=ブドウビール」という名前に惹かれ、それを買った。もちろん冷えていない。後で知ったのだが、この近辺は乾燥した大地、高地でもあるためブドウ栽培に適していてブドウは名品のようだ。 この店に先客としてチベット族の大きな体つきのおじいさんがいた。民族衣装、フェルト��、腰には剣を差していた。そして酔っていた。 何があったか記憶には無いが、陶山さんがこのじいさんに絡んでいった。「I don’t like you! I don’t like you!」を連発。酔ったおじいさんは何が起きてるのかよくわからん、何だこいつはという憮然とした表情でいたが、態度は泰然としていた。陶山さんは何が気に入らなかったんだろう。 宿の西寧賓館にはバーがあり、そこで飲んだ。持ち込んだブドウビールを飲んだが、店員には文句言われなかったと思う。おおらか、アバウト(^^♪  味は名前の通り、ブドウの味のするビールで美味いというものではなかった。それでも標高2,000mを超える場所で飲む酒は酔いも早い。
4人で旅のよもやま話や、トシコちゃんたちの北京留学生活について話が盛り上がった。 ここでも陶山さんの切れ味するどいトークが炸裂。僕が静岡出身と知ると、過去に一人の女性を巡って、静岡の男と争った話を始めた。夜の公園で二人はいかに自分が彼女のことを愛しているかを熱く語り、勝利を収めたという類の話だったと思う♪こちらは吉本新喜劇を見ている気分でニヤニヤとその話を聞いていた。関西人のトークにはかなわない♪ 賑やかな話声は続いたが、標高2,275mの西寧の夜は、それとは関わりの無いように静かに過ぎていった。30数年が過ぎた西寧の夜も静かだろうか?そう願いたいものだ。
0 notes
appyxx · 10 years
Photo
Tumblr media
#マンゴービール #ブドウビール #パイナップルビール #アスパラジュース #パパイヤ牛乳 (at 歐華酒店 The Riviera)
0 notes