#オンフルール本
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オロンジュの名残り (3)
なにはともあれ、文字付きと呼ばれる理由が存在して、彼らは年を経るごとに
、体にアルファベットのGが浮かび上がってくるのだ。そしてそれが、ある閾値、すなわちある一定の数に達すると、死ぬとされる。すなわち、そのような医学的事実が存在する。どうしたんだい、そんな当たり前のことをわざわざ尋ねてくるとは」
「うぅん……えぇと……」
ぼくは何も言えなかった。さっき自分が見たものとの照合性を踏まえれば、店長の話は本当らしいし、嘘ついている様子でもない。となれば、この店長はやはり別世界、自分のいたオンフルールとは他の世界の住民なのだろうか。
「店長、まさか嘘ついてないよね」
「いや、嘘はついていないよ」
そう言われ��僕は確信した。ここが別世界なのだと。僕は自分の立っている床が、いや、それどころか、地面さえもがガラガラと雪崩を打って崩れ落ちていくような錯覚に襲われた。そして、そのせいで、床にしゃがみ込みそうになったが、なんとか抑制出来た。しかし何もしゃべれない。
「ありがとう、店長。一旦出るね」
僕はそう言うと荷物ともどもお店を出た。
僕は30秒ほど考えて、その文字付きなる人或いは人の形をしたものに話しかけてみることにして、海岸とは逆の方向に歩き出す。そこらにある建物はどれも僕の知るオンフルールのものに他ならなかった。どうもまた道路にしゃがみ込みたくなる気分に襲われた。すなわち、驚き、そして衝撃である。
「完全にファンタジーだな」
僕はささやいた。
路地の反対側に5人はゆうに腰掛けられるであろう、ベンチがあって、そこに例の頭部の存在しない人間が座っている。文字付きと言うのだったか。僕は決意して近寄る。
「あの、すいません」
「はい」
しゃべった。僕は驚いたが、思い切って尋ねる。
「お隣、よろしいでしょうか」
「あ、はい」
「失礼します」
僕は訝しんだ。男の声が聞こえた。ではこれは男性なのだろう。秋から冬にかけて使えそうな、作業服を着ている。それというのも今が秋だからなのだろうか。そのような生理的な常識が通用しなさそうで、はなはだ気味が悪い。
「あの、ご出身は」
僕は尋ねた。
「すぐそこの、〇〇〇〇の端の方で生まれ育ったものです。近所の方ですか」
「はい、そこなら僕もよく行くしすれ違ったこともあるかもしれませんね」
「はい、そうですね」
沈黙が続く。しゃべらなければ沈黙が続く。すべての道はローマに続く。
彼はどこから声を出しているのだろう。どこから辺りを伺っているのだろう。そもそも頭部がない人間の服に首回りが必要か。やはりこの人物は大道芸人の類ではあるまいか。どうしてもそのように思えてくる。
「頭部のない生活っちゅうのは、果たしてどんなもんなのですかねぇ」
僕は失礼にならないように、あえて俗っぽく、大人たちが時々見せる下品な態度を真似て聞いてみた。
「後悔はしていませんよ」
「後悔はしていない」
僕は聞き返す。こりゃ、まるでスパイだ。
「はい。後悔はしていません。寿命も多少伸びると聞きますし、私はもともと自分の顔がそれほど好きじゃなかったもんですから、いっそのこと気楽です」
「へぇ、そういうものですか。ほら、その、あれ。体のあれをみせてもらってもいいですか」
「あぁ、はいはい」
「彼」は右腕と左腕の裾をまくって��れた。そこにはこぶし大ほどの大文字のアルファベットGが浮かび上がっている。左腕に2つと、右腕に1つ。
大体の情報が得られた僕は満足して席を離れた。「彼」の首の辺りには通常の、周りの肌とは異なる歪んだ窪みが出来上がっており、やや痛々しい。
「わざわざどうも。失礼します。よい一日を」
「彼」は腕を上げて答えた。
僕はその場を去りながら、自分に尋ねる。お前は正気か。お前は怖くなかったか。お前はは本当に無事だったか。考えあぐねた結果、自分まともだし、自分は怖くなかった。そしてさいわいなことに自分は無事だったと考えた。
そうだ、やはり、ここは別世界なのだ。
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오리지널 북스 수채화 컬렉션. The original books watercolor collection. オリジナルブックス水彩画コレクション。 2018년 11월 첫번째 책. 「도쿄 TOKYO」 를 출간. 2019년 5월 두번째 책. 「옹플뢰르 HONFLEUR」 출간. 2020년 4월 세번째 책. 「코츠월드 COTSWOLDS」출간. 처음 책을 만들어 보기로 마음먹었을적엔 그저 막연하게 ‘그냥 한번 내 마음대로 해보자!’ 라는 생각에 시작했지만 지금 이렇게 3권의 출간된 책을 보고 있으니 앞으로 더 신경써서 잘 만들어야겠다는 욕심과 각오가 생깁니다.😤 이제 저는 또다시 4번째 책에 대한 준비에 들어갑니다. 동시에 지금까지 나온 3권의 책 도쿄📗, 옹플뢰르📘, 코츠월드📕의 관심과 사랑도 잊지말아 주세요.🤗 그럼,세번째 책 「코츠월드」에 대해 간단하게 설명드리겠습니다. 📕 책소개 - 영국 중심부 글로스터셔주에 위치한 비도시 자치구 「코츠월드」. 「Bourton On The Water」, 「Moreton In Marsh」 소박한 마을의 풍경을 담은 수채화 화집. 동화의 세계처럼 사랑스럽고 아름다운 마을 풍경이 담겨 있습니다. 저자 / 김성진 출판사 / 오리지널 북스 ISBN / 9791196531379 페이지수 / 96p 사이즈 / A5 210*148 가격 / 10,000원 ————————————- 책의 구매를 원하시는 분들 계시면 저에게 DM 보내주세요. 구매방법 알려드리도록 하겠습니다~😉 감사합니다. #도쿄수채화집 #옹플뢰르수채화집 #코츠월드수채화집 #오리지널북스 #김성진작가 #tokyo #honfleur #cotswolds #cotswoldsbook #코츠월드책 #코츠월드수채화 #수채화 #풍경수채�� #독립출판 #독립출판물 #水彩畫 #オンフルール #コッツウォルズ #コッツウォルズ本 https://www.instagram.com/p/B_sVKVXHPGN/?igshid=kppm6n2h77g8
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[Post訳][The Package] モン.サン.ミッ.シェル F4の ハードデスクのデータを放出させろ!(サン・マロ(Saint Malo)&オンフルール(Honfleur)プレビュー)
今日はモン.サン.ミッ.シェル F4 ジョン・ヨンファ、チェ・ウシク、リュ・スンス、ユン・バクの4人の俳優が 実際に撮った写真を公開します! 見ないともったいない 今週の旅行地まで、 ご一緒に出発致しますよ~
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”フランスは俳優たちをカメラマン (またはモデル)にさせ��!”
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ガイドのソソもカメラを持たせて
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マルをセルカ中毒にさせて、
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ススも追跡者ではなく カメラマンにさせてくれる場所!
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どんなカメラで撮っても
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どこで、どうやって撮っても
作品が誕生する場所 = ��ランス
※The Package 旅行の常識※
’モン.サン.ミッ.シェル F4’とは、 フランス撮影の思い出を記念して モン.サン.ミッ.シェルの一文字ずつタトゥーを入れようと 約束したのに、みんなすっかり忘れていた ジョン・ヨンファ、チェ・ウシク、リュ・スンス、ユン・バクの4人の俳優を意味します。
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旅行中カメラを 手から離さずに
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熱心にモデルまでなってくれた
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モン.サン.ミッ.シェル F4のハードディスクを
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余すことなくごっそり放出致します
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「Photograph by スス(=ユン・バク)」
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絵葉書ではなく、ススが実際に撮影した写真!
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君、先生ではなくカメラマンだったのかい?
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マルと争いばかりしているわけでなく 写真も撮ってあげます^0^
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ススが撮ったマルとヨンソンの人生ショット
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作品名:フランスは 一人一ピザ
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ギョンジェとソランはカップルだからワンカットに!
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世界で一番美しいナヒョンの写真まで! 我らがススの写真の実力に称賛
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「Photograph by ギョンジェ(=チェ・ウシク)」
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ギョンジェのカメラにはソランとの写真も、 パッケージ旅行者たちとの写真も収められています。
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さすがモン.サン.ミッ.シェル F4のメンバーらしく マルも撮ってあげて、
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雰囲気あるヨンソン(&ソラン)も カメラに収めたギョンジェ
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絵のように美しい風景写真も ギョンジェっぽく、ギョンジェらしく撮る!
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「Photograph by ヨンソン(=リュ・スンス)」
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フランスの秋の感性まで盛り込んだ
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ヨンソンのカメラには やはりナヒョンの写真がいっぱい~
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少女のようなボクジャさんの写真と
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ご飯を食べる準備をしているパッケージ旅行者たちまで 細かいところまで収めました
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夜はさらに素敵なマル&モンサンミッシェル
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自然なときはさらに美しい
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ソソガイドさん♥
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自分の人生ショットもセルフで収めるというヨンソンのセンス
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団体縄跳びではなく、ジャンプショット…☆ ミッションではなく、旅行写真
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パッケージ旅行者たち~こっち見てください! 「そして、モデルを夢見るマル(=ジョン・ヨンファ)」
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写真はやっぱり撮るより撮られるものでしょ!
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今からフランスに旅行ではなく グラビア撮影に来たマルを公開します!
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やはりセルカの妖精らしくプロフェッショナルなポーズ
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oh 僕たちがまさに oh モン.サン.ミッ.シェル F4
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ススがこんなに幸せそうな理由は?!
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”助けてください!” ’スミマセンXX’の設定に亀裂
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写真はやっぱり交代で撮らないとでしょ!
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猛烈な努力の末に誕生した設定ショット フランス旅行に行くならぜひ真似してみてください(本気)
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その代わり、携帯電話を忘れないように注意! ”これから見逃すともったいない サン・マロ(Saint Malo)&オンフルール(Honfleur) LANケーブル旅行に出発します!”
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モンサンミッシェル トンブレーヌ島で お互いの気持ちを確認したソソとマル、
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そして同病相憐れむことから友情が生まれた ソランとボクジャ、
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一晩中ただお姉さんを待っていたススまで、
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今週一緒に旅立つ旅行地は 海賊の都市サン・マロ(Saint Malo)と 光の都市オンフルール(Honfleur)です♬
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サン・マロは、別に特別なものはないように見えますが、 滞在すればするほど離れたくなくなるところです
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美しくて静かに見えますが 知ってみると海賊の都市というのに すごく矛盾を感じます!
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その次に参りますオンフルールは 元々戦争の都市でした。 百年戦争のときに英国とフランスが熾烈な 戦争を繰り広げた場所なんです!
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その後、画家たちが日差しがすごく良くて 外に出て絵を描き始めて 芸術の都市となったそうです!
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オンフルールは、夜歩くとさらにロマンチックです
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こんな風に美しいところですが 今日も私たちのツアーがと~んでもない
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再び出会った!
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スミマセンと チュノバクの心理戦も続いて、
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ソソのパッケージ旅行者たちのケアも終わりのない サン・マロ&オンフルール
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それにもかかわらず、
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私たちの旅行はハッピーハッピー!
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ススがスーツまで着て 追いかけてきた理由が気になるなら、
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甘さ溢れるソソと
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マルが見たいなら、
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ロマンチックな夜のツアー…いや、 夜のデートが気になるなら、 今週も一緒に旅行しましょう~
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’The Package’の制作陣が選んだ 最高の名場面&最高のキスも オンフルールで見ることができます!
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我らのガイド ソソ &パッケージ旅行者たちと一緒に
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サン・マロ&オンフルールに旅立ちましょう! http://tv.naver.com/v/2224916 11月3日(金)~4日(土)夜11時 JTBC [The Paclage]と一緒に 出発致します~ http://naver.me/xCRDmPjr
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【展覧会】(中止のお知らせ)ギャラリートーク「再興 第104回 院展 富山展」/髙島 圭史(芸術文化学部 教授)、竹原 美也子さん、松下 紅葉さん(造形芸術コース卒)
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(中止のお知らせ)ギャラリートーク「再興 第104回 院展 富山展」富山県民会館美術館 展覧会「再興 第104回 院展 富山展」において、髙島 圭史(芸術文化学部教授、日本美術院同人)と、芸術文化学部 造形芸術コース卒業生の竹原 美也子さん、松下 紅葉さんがギャラリートークを担当します。 *再興第104回院展富山展におけるギャラリートークは、全て中止となりました。 PDFはこちらをご覧ください。 [日時] 2020年3月14日(土)14:00 〜 [会場] 富山県民会館美術館 富山県富山市総曲輪4番18号 [参加料] 無料 * 別途入場料が必要となります。 イベントの内容は予告なく変更・中止となる場合がございます。 あらかじめご了承ください。 再興第103回院展 富山展 [会期] 2020年2月29日(土)〜 3月15日(日)会期中無休 9:30 ~ 18:00(入場は17:30まで) [会場] 富山県民会館美術館 富山県富山市総曲輪4番18号 [入場料] 一般 800円(640円) *( )内は20名以上の団体及び前売料金 高校生以下無料 [主催] 公益財団法人富山県文化振興財団 富山県民会館、公益財団法人日本美術院、北日本新聞社、北日本放送 [共催] 富山県 [後援] 滑川市、(一社)富山県芸術文化協会、富山県美術連合会、富山県民会館文化友の会、オンフルールの会
[関連リンク] 【イベント】ワークショップ「ふれてみよう!日本画の技法」/髙島 圭史(芸術文化学部教授) 【展覧会】サンクスの会 - 花 -/竹原美也子さん(造形芸術コース 卒) 【展覧会】 「きょうは晴れの日」竹原美也子 日本画展/竹原美也子さん(造形芸術コース 卒)
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【閉店】オンフルール アピタ本庄店
埼玉県本庄市 2018年3月下旬(-)閉店
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関悦史 × 小津夜景「悦子の部屋・番外編 フラスコワークの実験室」 『フラワーズ・カンフー』(ふらんす堂)田中裕明賞受賞記念
俳人の小津夜景さんが、『フラワーズ・カンフー』で田中裕明賞を受賞されました。
また、同じく俳人の関悦史さんは、句集『花咲く機械状独身者たちの活造り』(港の人)、評論集『俳句という他界』(邑書林)の2冊を出版。
今回B&Bでは、お二人をお迎えしてトークイベントを開催します。
お互いの著作のお話はもちろんのこと、突如俳壇に現れ話題を集めた小津夜景さんの来歴、また普段どのように俳句をつくっているのかなどについても迫っていきます。
また受賞記念として著者本人による作品朗読(「オンフルールの海の歌」)もおこなう予定です。
どうぞお楽しみに。
【出演者プロフィール】 小津夜景(おづ・やけい) 俳人。1973年生まれ。2013年「出アバラヤ記」で攝津幸彦賞準賞。2017年『フワラーズ・カンフー』で田中裕明賞受賞。現在ウェブマガジン「週刊俳句」にフランスの俳句事情を紹介する「みみず・ぶっくすBOOKS」を不定期連載中。
関悦史(せき・えつし) 俳人。1969年生まれ。句集『六十億本の回転する曲がつた棒』(田中裕明賞)、『花咲く機械状独身者たちの活造り』。評論集『俳句という他界』。共著『新撰21』『超新撰21』『俳コレ』他。芝不器男俳句新人賞奨励賞、俳句界評論賞。「BLな俳句」(『ふらんす堂通信』)、共同通信社の俳句時評他連載中。
■時間 15:00~17:00 (14:30開場)
■場所 本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
■入場料 1500yen + 1 drink order
チケットのご予約はこちら
イベント情報の詳細はこちら
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出会い
その絵に出会ったのは、先週、画材店笹部に行った帰りだった。 なんばウォーク地下商店街東の端にある絵画販売店に、「閉��セール」の看板が出ていたのである。 20㎡ほどの店に入ると、人一人がやっと歩けるほどの広さを残して、壁にも床にも大小さまざまな絵が所狭しと積み上げられていた。 店の入り口付近には、ポスターで小さいもので片岡鶴太郎の派手な色の海老や鯛が1,000円、大きいものでは笹倉鉄平のオンフルールが5,000円と額付きで滅茶苦茶安い。 最近流行りのパソコンで複製した、ジクレー���かの絵は、ビュッフェやラッセンなどの作品も5,000円で売っていた。 これで客を惹こうとしているのだろう。
はたして奥の方まで足を運ぶと、この店の本命作品、藤田嗣治の猫や山下清の花火、平山郁夫のシルクロードなど、作家のサイン入りの高額版画が並んでいた。 そこで私の目にとまったのが、ヒロヤマガタの版画の「フォギー デイ ウェディング」である。 正札は216,000円で、98,000円の赤札が付けられていた。 他の作家の版画に比べて、かなり安い。 しかも、前から気になっていた作家だった。
「これ、今持っているお金全部出すから、少し足りないけど売ったって!」 私は思わずそう言って、ショルダーバックの内ポケットのチャックを開け、お金の入った小袋を全部取り出していた。 展覧会でいただいた絵の賞金やら頼まれて描いた何点かの絵の代金等だ。 その一つ一つを開けてお札を重ねた。 ビックリして私の行動を黙って見守る店長。 全部袋を開けると、35,000円あった。 この1年間、私がこさえたへそくりの全額である。
「話にならん」 乱暴でお客様に対する言葉とは思えなかったが、彼は今、閉店に追い込まれている。 どんな行動にも、その人の事情があるのだ。
「じゃ、これでどうですか?」 私は、更にショルダーバックの内ポケットから、財布を取り出し、有り金を全部引っ張り出した。 10,000円札1枚に、5,000円札2枚、1,000円札が5枚あった。 「全部で55,000円!」 「・・・・・・・・」
店長は半分口を開けたまま、数秒間惚けたような表情で静止した。 それから、ふと我に返ったように、奥にいた店員に叫んだ。 「だいぶ値え切れるけど、この人にヤマガタの絵、55,000円で包んだって!」 「その代わり持ち帰りやで」 「ありがとう」
絵にも、出会いがある。 その絵は今、我が家のリヴィングルームを、明るく賑やかな空間にしてくれている。
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オロンジュの名残り
三、色彩と竜の変容。ロレンスはなんともすばらしい色彩の生成を展開している。というのは、もっとも古い竜は赤色、赤=金色で、螺旋状の宇宙に横たわるか、人間の脊柱にとぐろを巻いている。だが、その竜の両義性(善なのか、悪なのか?)の瞬間はいつ訪れるのか?人間にとって竜はまだ赤色だが、それに対し、善なる宇宙の竜は、春の微風のごとく、星々のただなかで半透明の緑色になった。赤色は人間にとって危険な色になった(ロレンスが喀血の合間に執筆していたことを忘れてはならない)。
‐ジル・ドゥルーズ「批評と臨床」
そしてその吉備国から上っていらっしゃる時に、亀の甲羅に乗って、釣りをしながら鳥が飛び翔るような恰好でやって来る人に、速吸の海峡で出遭った。そこでその人を呼び寄せて、「おまえは誰か」とお問いになった。答えて、「自分は国つ神です」と申した。また、「おまえは航路に通じているか」とお問いになる。答えて、「詳しく���っています」と申す。さらにお問いになる、「お供をしてお仕えしないか」。答えて、「お仕え申し上げましょう」と申した。そこで船棹を差し出し渡し、その人を船に引き入れた。その人に名をお与えになって、槁根津日子と名付けた。これは倭の国造らの祖先である。
‐「古事記」
さて、最後に、いささか個人的な感想のたぐいを書きつけて、この章のとりあえずの結びとしてみたい。例の太陽の塔のことである。
なによりも巨大で、なによりもへんちくりんだということだけで憧れていた太陽の塔を万博会場で見られなかったわたしが、その実物を見たのは、つい数年前のことである。二十年あまりが経過してはじめて訪れた万博記念公園は、かつて雑誌で穴があくほど見たあの非現実的な夢の祭典の痕跡をあとかたも残していなかった。(中略)たしかなことは、太陽の塔に付着した複数の顔が、いずれも笑っていないことくらいなのである。
‐椹木野衣「日本・現代・美術」
ー1896年、オンフルール
「ごみを出さなくてはならないから、あなたのお部屋のごみを今日中にまとめておいて。必ずよ」
僕のお母さんが言う。小学校に通いだしてから自分でやりなさい、と言われ、渋々だがやりだしたことは多い。食事の後に、食器を台所に出すこと。花壇に水をやること。我が家で飼っている犬のダニに残飯を与えること。あれに触るな、これに触るなと言われるよりもましだけど、正直めんどくさいと感じてしまう。学校から帰ってうとうとと休んでいるときなどに頼みごとをされた時には、正直に嫌だと言ったこともある。校庭で虫を眺め、いじくったり、学校の友達と追いかけっこをしていた方が気楽でやりがいがある、と感じる。
「はい」
と僕は返事をし、自分の部屋に向かう。でもすぐには作業には取り掛からないつもりだ。夕食までは時間があるし、ベッドに横になり、ぬいぐるみで遊ぼうと考えた。
30分ほど、熊のぬいぐるみをベッドで眺めていると、お母さんが僕を呼んだ。ごはんが出来たようだ。お父さんはまだ帰ってこないので、お母さんとお婆ちゃんでの三人の食事だ。お婆ちゃんは僕の学校での出来事を聞くのが好きなので、よく話してやる。今日は学校のチューリップについて話してやった。毎日お昼になると、ピエールと二人で水をやりに行くのだと話してやった。彼女はその話を面白がって聞いていた。チューリップが好きだと言った。
歯磨きをした後、部屋のごみをまとめている時に、神について考えた。教会と学校は違うと母や友達が語っていたけど、教師はよく神について話す。彼女が司祭なのではないかと思えるほどに。特に生徒に注意する際には頻繁に、だと言える。僕は神をピエール見たことがないので分からないけど、いざという時に神が助けてくれたりするだろうか。でこは、僕も敬虔なクリスチャンになれるだろう。それというのも、お父さんの同僚がギャンブルについて語りながらそのようなことを冗談めかして話していたからだ。僕はこれをいざという時の言いまわしにしようかと考えている。そのようなことを布団に入ってからも考えていた。
翌日、僕は予定通り、釣具店に向かった。学校が休みだったからだ。海が近いのだ。
財布と釣り具と細々とした日用品と弁当を持って出かける。歩きながら、天気を見ていた。ここ数日晴れた日が続いているので、暗くなるまで釣りができるだろうと考ハえた。釣具店に着くと、店長はいつも通り「ハリのいいのはいたかい」と聞いてくるので、意味の分からない冗談だと思いつつも、適当に受け流すことにしている。彼の名前はジャン=ピエール。男性である店長の顔は、月並みだけど、精悍な印象を与える泥臭い中年である。
いつも通りミミズを買って出る。前回は釣糸が切れたので少し頑丈そうなのを調達することにした。
海岸に行く前に雑貨屋へ向かうことにする。いつも行く店で名前はブランシュ・エ・フュイユ(「枝と葉」という意味)。安くて手頃な商品が揃っているのだ。テーブルクロスや花瓶を買ったのもそこだ。それに関しては母も喜んでいた。そもそも、商品を眺めるのが、好きなのだ。椅子も沢山あってくつろげる。
お店に着くまでに神について考えた。神の形状のようなものについて考える。神はどんな姿をしているのだろう、とか話した人はいるのだろうか、とかだ。そのうち分からないものは分からないとなった。
雑貨屋について棚の辺りを眺めていた。目ぼしいものは無いなぁ、と考えたけど、ちょっとぼーっとしてたら、店長が話しかけてきた。
「いいのはあるかい」
「あ、どうだろう。もうちょっと見てみる」
雑貨屋の店長は初老の男性でジョエルと言っただろうか。老人のようにも見える。
「釣りに来たんでしょ?こないだタバコ屋のせがれがひどく立派なメバルを釣っていたよ、よく来るんだ」
「それなら僕も釣ったことあるよ。大人のみんなはいろにこだわりを持っているらしい。違う生物なんだとか」
「そうだったかな、あれ、でも……」
そうして、店長は去っていった。
外が曇っている。夕方まで続けるのは無理か。
「別世界に行きたいかい」
と聞いて、僕は何か悪いものが店長に取り付いたのかと思った。「え」
僕は言う。言っている言葉が聞き取れなかったからだ。人は「止まれ」と言われて気付かない場合もある。そのようなことを僕は説明したい。
「別世界に行きたいかい、べつせかい」
「あ、え、別世界。どこか他の世界ということかな」
「そうそう、最近ちょっとした気付きがあってね」
「ふぅん、どんな」
「そこの、うちの店の暖炉。あるだろ」
「あるね」
「そこの上の端の隙間。そこが別世界に繋がってる」
別世界という言葉は妙なドライで突き放した響きを伴うものだった。山の中、みたいな。
怖い、と思った。
「怖いけど、行ってみたいかも」
と正直に話した。
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Český Krumlov scenery.🇨🇿 체스키 크룸로프 풍경. チェスキー・クルムロフ風景。 #visitcz #czech #watercolor #theoriginalbooks #kimsungjin #ceskikrumlov #cotswolds #honfleur #tokyo #watercolorbooks #오리지널북스 #김성진 #수채화 #여행드로잉책 #풍경수채화 #체코 #체스키크롬로프 #水彩画 #水彩書 #キムソンジン #コッツウォルズ #オンフルール #東京 #コッツウォルズ本 #オンフルール本 #チェスキークルムロフ #urbansketch #여행과그림 #visitczechrepublic https://www.instagram.com/p/CL62nJQHXFr/?igshid=ob393dy5re05
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Český Krumlov Castle Tower Entrence. 체스키 크룸로프 성 탑 입구. チェスキー・クルムロフ城塔入口。 #czech #watercolor #theoriginalbooks #kimsungjin #ceskikrumlov #cotswolds #honfleur #tokyo #watercolorbooks #오리지널북스 #김성진 #수채화책 #여행드로잉책 #풍경수채화 #체코 #코츠월드 #옹플뢰르 #도쿄수채화 #체스키크롬로프 #水彩画 #水彩書 #キムソンジン #コッツウォルズ #オンフルール #東京 #コッツウォルズ本 #オンフルール本 #チェスキークルムロフ #urbansketch #여행과그림 https://www.instagram.com/p/CIZuFrTHCxl/?igshid=1qwq4ckjmsdmo
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