#アオマツ
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"Aomatsuri" a doujin made for the Aomatsuri event!
Available on poipiku until 2/11/24
日本語
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hey tumblr i can't take this anymore i need everyone to know i am obsessed with SAM (special archie x maxie) and that i live breathe and eat SAM content
if SAM has a million fans, i am one of them. if SAM has five fans, i am one of them. if SAM has one fan, that is me. if SAM has no fans, i am no longer alive. if the world is against SAM, then i am against the world until my last breath, i will support SAM
#most normal adri post#10PM thoughts#me#mecore#pokemon#pokevillains#magma leader maxie#aqua leader archie#spe#hardenshipping#SAM#aogiri#matsubusa#アオマツ#aomatsu#SAM(ポケモン)#there is nothing better in this world than SAM#i am not normal about this ship i will go down with it#AOGIRI IS IN DENIAL ABOUT HIS LOVE FOR MATSUBUSA ISTG AND HE DOESN'T REALIZE HE LOVES HIM UNTIL AFTER HE KILLS HIM#YOU GUYS DONT UNDERSTAND#op is okay#i think
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Day 11: Possesed
#ash star doodles#fanart#pkmn#pokemon#oras#ポケモン#マツバサ#アオギリ#アオマツ#hardenshipping#archie#maxie#do i tag groudon and kyogre too??#possesed#inktober#inktober 2020#ink2020
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protip: go on Pixiv and search アオマツ if you want to find Hardenshipping art from Japanese fans
Thank you so much, anon!!
I used to browse Pixiv for Narumitsu content a loooooong time ago so I completely forgot it existed!! aaaa you're heaven-sent!! Ty <3
#aomatsu is such a sweet ship name too!!#although i'd like maxie to have something related to akai to match archie's AOgiri but okay okay xD#definitely gonna reactivate my pixiv acc real soon wgiohoghogohooewgh oh arceus
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20:鮫兄妹 21:サトハル 22:アクジャ 23:ベジブル 24:アオマツ 24:タカマリ(双顔) 26:ベジブル 27:エーバタ 28:カイ利根(開司2) 29:ブロジャ
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港区に青松寺を発見💡 なぜか参拝しないと怒られる気がして参拝して来ました🛐⛩️💦(笑) アオマツ寺だと思ったら セイショウ寺でした(;`∀´) とりあえずSVPになれる事を祈願して来ました✨👑 #GOSVP #青松寺 (青松寺) https://www.instagram.com/p/B2HAaqHAUlq/?igshid=4ypq6wjgidnw
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知人が奄美大島に行って夏ですねとか海ですねとか言ってて妬ましさのあまりプロポーズしに行くぞ畜生とか思ってたんですけど、どこかでなにかがねじ曲がって、南の島には女子中学生がいて都会で疲れた人が行くと癒やしてくれるという都市伝説を思い出しまして、妄想がさらに発展して止まらなくなったのでなんか書いておきます。なお資料はウィキペのみなので��まり深く突っ込まないでいただけると幸いです。さすがに1記事で15000字越えはちょっと頭おかしいかなと思いました。なおまだ完成してません。気が向いたら続き書きます。
俺の名は田中(仮名)。東京の都心で働く仕事に疲れた会社員である。年齢は27歳であり、年収は550万程度であり、結婚はしておらず、彼女とかはいない。いたことがない。まあ首尾よく社員としてそこそこの企業に潜り込めたはよかったが、なんかもう疲れた。どのへんに疲れたかというと、仕事をすることになんの意味も感じられないあたりである。金を稼ぐ。自分を養う。ではその自分はそんなに大事な存在なのかというと、けっこうどうでもいい。最近ベルトがちょっときつくなっ��きたわりと死んだ目をした独身のアラサーなどこんなに真剣に養ってやる必要がどこにあるのだろうか。 そう思った俺は発作的に会社をやめることにした。やめるにあたってはけっこういろいろあったのだが、なんかもうすべてがめんどくさいので「故郷の親が危なくて」で押し切った。まあこの時代、先のことを考えておかないと、いざとなったときに社会復帰できないという恐怖がないではなかったが、いざとなれば実家に戻ってフリーターでもやりゃいいやくらいの気分しかなかった。どうせ自分ひとりを食わせればそれで充分なのである。まあ親が帰ってこいとやかましいのは事実であるし。 というわけで、必要な手続きすべてを終えた帰り、ドトールに入って、その場でスマホで航空券の予約をした。夏とはいえお盆も過ぎて八月も終盤となると、格安航空券も取り放題である。出発はあさってということになった。
「あづい……」 実のところ、南の島とかに来てもやることはなんにもないのである。空港から島いちばんの都会までは、直行のバスがある。昼下がりの南の島は、圧倒的な直射日光の下、静まり返っていた。いや、車はけっこう通るんだけど。 印象といっても、特になにかあるわけではない。いってみれば、市街地である。大きな違いといえば、建物が平均的に低いせいか空が広く思える。あと道端にも南国っぽい木が平然といることだろうか。それ以外は、見慣れないチェーンながらもコンビニもあるし、ファミレスもある。なんなら筆文字で看板書いた「こだわってます」的な雰囲気を醸し出し��ラーメン屋もある。 「でも、まあ……」 俺は目を細めて空を見上げた。 空が青い。この青さは、いっそばかげている。いくらお盆は過ぎたとはいえ、しょせん日本は高温多湿、さらにこの島は降水量がやたら多いことでも知られている。豪雨災害なんかでもよく名前が挙がる島だ。いまも空にはおそらくぼんやりと水蒸気がかかっているのだろうが、そういうことは抜きにして、純度の高い青空だと思った。絵に描いたような入道雲なんて、いったい何年ぶりで見たんだろう。東京で、あるいは関東地方で見れないということもないと思うのだが、海というのは、自分とは違う民族の半裸族が闊歩する恐怖の場所、みたいな価値観の自分では、あまり見ることはなかった。 そして空気だ。 俺には年の離れた妹がいる。その妹というのがけっこう重度の喘息持ちで、東京都内に入るとてきめんに発作を起こす。そばにそういう存在があると、空気の汚れにはかなり敏感になる。かすかな潮の香りは、都会のそれのように淀んだ感じはまったくなく、どこまでも清々しい。 どこからか子供の笑い声がする。どうやら空を見て呆然と口を開けていた俺を見て笑ったものらしい。わりと気まずい。 なので、目の前にある、なんか筆文字で「一生懸命営業中」みたいなこと書いてあるラーメン屋に入った。 「らっしゃい!」 おっちゃんの威勢のいい挨拶に迎えられた。あとエアコンのものすごい冷気。壁面には鹿児島とんこつラーメン的なことが書いてある。ふだん家系しか食わない俺ではあるが、わざわざこんな場所まで来て家系にこだわる理由はない。それに鹿児島はラーメン激戦区でやたらレベルが高いという話を聞いたことがある。 「チャーシュー麺で」 「麺と脂は」 え、選べるんだ? にしてもだ。 こういうところに来るときっと方言すごいんだろうなーとか思ってたのだが、おっちゃんの言語は別にふつうだった。ただ、イントネーションのことごとくが俺からするとおかしい。 「お兄さん、観光かい」 おかしい。圧倒的におかしい。まったく聞き慣れないイントネーションである。なんならいっそのこと異国情緒感じるレベルである。つーかおっさんの顔すごい濃い。 「まあ観光のー、人はーすぐぅわかるからねー」 な、なんとか俺のこの違和感を感じ取ってほしい。 「なんか、あるんですか。その、観光名所とか」 「うーん……地元の人間にはよくわからんな。だいたいほら、観光の人はまず鶏飯食べに行くでしょ。わざわざラーメン食べに来る人は珍しいよ」 そう言いながら、大島紬記念館、金作原生林、などとぽつぽつと観光名所らしきものを列挙してくれた。 「あそーそー。うちの姪っ子がさ」 とつぜん身内話が始まった。 なにごとかと思って身構えると、ラーメンの丼が出てきた。ものすごい腰の折られかたである。 出てきたラーメンは、白濁したスープでいかにも豚骨風。そこに大量のネギ、豚バラっぽいチャーシュー。れんげはカウンターに立ててあるから、それを使ってスープをすくって飲む。 「うわ、うっま」 思わず声に出た。 豚骨の臭みはある。あるのだがコクがやばい。そしてコクがあるのにあっさりとスープが喉を通る。 「いや、うまいっす」 「ありがとう。都会の人なんかもっとうまいラーメン屋いくらでも知ってるだろうに」 謙遜も甚だしい。固めの細麺はスープとの相性もばっちりであり、なによりチャーシューがやばい。なにこのやわらかさ。しばらくは俺が麺をすする音だけが店内に響く。 「あ、それでな。うちの姪っ子が」 「はいはい」 ラーメンに夢中なので話半分にしか聞いていない。 「あの、ほら、MPS? ボランティア?ってのやってて」 なんの略だろう。ボランティア……まさかNPOじゃねえよな……。 「土日に、地元の中学生が観光案内するっつー、なに、その企画みたいなのあんのよ。社会勉強みたいなもんかね」 「はあ」 「行くとこ決まってないなら、そういうの、どうかね」 まあ子供のやることなんだから、素人同然なんだがね、などと付け加えながら、なんかこう、某いらすとが有名ないらすと屋さんの絵とかワードとか使ったような素朴な味わいのA4のチラシをいただく。出現!創英角ポップ!! 「ごちそーさんでした」 「あぃやとーざいゃした!!」 代金900円を払いつつ、元気のいい声に送られて店を出る。 そしてまた灼熱の地獄である。エアコン効きすぎの店内で食ってたせいか、汗ひとつかいていなかったものが、ここに来てどっと汗が出た。喫煙者の俺としては一服したいところだったが、あいにく見える範囲に吸えそうなところはない。もっとも自転車のじーちゃんめっちゃタバコ吹かしながらふらふら走ってるけど。あれいいのか。 裏道では人もあまり通らないことであるし、ガードレールなんぞに腰掛けて、もらったチラシを見る。 地名はよくわからない。が、市街地からはそこそこ距離があるようだ。 少し考えてから、スマホの検索ウィンドウに「レンタルバイク」と入力する。結果、1件ヒット。 とりあえずの行動方針が決まった。あとはスマホの電源を切ればいい。もう、俺を束縛するものは、なにもない。
「ああああああああ……きーえるひこーきぐもー……」 バカみたいに声が出る。 海辺の道やばい。夏の空気突っ切って原付で走るのまじやばい。もうこれはほぼセックスといっていい。夏とセックス。セックス。煮詰まった独身男の思考はろくな方向に向かわない。ここには女性はいない。 気分いいなんてもんじゃない。 そもそも原付なんてものに乗るのが学生以来だから、もう10年近くだ。最初はおそるおそるアクセルを回していたものの、慣れてきたらコツを思い出した。そして市街地を出ると車の数は激減する。幅の広い二車線道路、路面状態も良好。車も少ない。そんな海辺の道を風を切って走ってたら国歌のひとつも口をついて出そうになるというものだ。いや、出てた。 もう、やばいの。濃密な緑色と、そこから飛び出しように生えているバナナみたいな木。エメラルドグリーンの海。スクーターで曲がるにはちょうどいいカーブで少し内陸に入ると、山のあたりでは切通しがある。その切通しを抜けると、また眼下には海が広がる。海に飛び込むようにまっすぐ下りていく道路。 とうの昔に営業をやめたような食堂めいた建物があって、その前に、こちらはぴかぴかの例の赤い自販機がある。ラーメン食ってからなにも飲んでいなかったので、そこにスクーターを横付けにして、飲み物など買う。 携帯灰皿は持参しているし、これだけ人がいないのなら、まあ一服くらいしても文句は言われないだろう。スクーターのシートに横向きに腰掛けて、海を見ながらタバコに火をつける。目線の高さに、海がある。とても近い。 チラシに目を通す。「わたしたちが、ご案内します!」という文字と、制服姿の女の子のイラスト。学校やPTAの名前も並んでいる。ぶっちゃけ最初に「姪っ子の中学生がご案内」という文字列を聞いたときには、迂闊に乗ったらそのまま交番に連れていかれる系のやつかと思ったが、地域ぐるみともなれば、そういうこともないのだろう。それにまあ、中学生といってもかならずしも女子が出てくるとも限らない。つーか年齢関係なく女子と名がつくものは苦手なので、積極的に避けていきたいスタイル。 どのみち予定なんか決まってない。なんなら帰りの切符の手配すらしてない。だとしたら、なりゆきで行動を決めてしまってもいいわけだ。なぜなら俺は自由なのだから。 ……などと言いつつ、やはり連絡が入ってないかどうか不安になって、スマホの電源を入れてしまうのは現代人の悲しい習性である。 「……」 着信6件。 え。 めったに見ない数字を見て呆然としていると、すぐにスマホが震えた。 「はい?」 『お兄ちゃん!?』 「え、ええ、ああ、おう!?」 切羽詰まった声にスマホを取り落としそうになった。 電話は、妹からだった。 『いったいいまどこにいるの!? 連絡しようと思ったらつながらないし、会社に電話したらやめたっていうし、心配したんだからね!?』 「あ、ああ、すまん……」 『法に触れるようなことはしてないんだよね!?』 「安心しろ��そんな度胸はない。つーかおまえは自分の兄をなんだと思ってるんだ……」 『ロリコン』 「ちげーよ!」 二次限定だし。 『シスコン』 「そっちはもっと違う」 『死ね!』 なんでいきなりキレるんだよ……。 「つーか用事なんだよ」 『お母さんが、週末には帰って来いって』 「あ、無理。いま俺、南国の島」 『どういうこと……』 「アローハー」 『うっざ……。ていうか、ちゃんと説明してよ……なにやってんのお兄ちゃん』 「あーうん、まあ……」 確かに実家への連絡を忘れていたのは俺の落ち度だった。ここまでの事情をかいつまんで説明する。が、やめた動機については、自分でも曖昧すぎてうまく説明できない。 『……なんか、よくわかんないけどさ』 妹が電話の向こうで深々とため息をつく。 『実家、戻ってきてもお兄ちゃんの居場所なんてないからね』 「そんなんわかってるよ。ただでさえ敷居高いんだし」 実家に戻るのは、あくまで最終手段である。 『……』 「なんだよ」 『お兄ちゃんのバカ!』 電話が切れた。 意味がわからない。 思春期? 17歳にもなって思春期はねーよな……。 「でもまあ……」 俺はスマホをポケットにねじ込む。 なんか少し、ほっとした気がする。遠く離れた南の島で、聞き慣れた声を聞く。ここもまた、日常と地続きである。考えてみれば、なんだか俺は無理にはしゃいでいた気もする。 そりゃまあ、特に問題なく勤めていた会社をやめて、不安がないといったら嘘になるのだ。不安をごまかすいちばんよい方法はなんであるか。 そりゃ、不安なんて存在しないんだと、なかったことにしてしまうのがいいに決まっている。 また、スマホが震えた。LINEの着信である。 妹さまからだ。 『バカ!』 と書いてあった。だからなんなんだよおまえは。
目的地はまでは40キロほど。車だと1時間弱の道のりだが、スクーターだともう少しかかる。通年で営業している民宿があるようだったから、予約の電話を入れる。今日は金曜だから少し不安はあったが、問題なく予約できた。そして電話越しに聞くとイントネーションの不思議さは決定的である。 現地に着いたのは夕方の5時。 そこには、ちょっと冗談のような光景が広がっていた。 海岸線ぎりぎりのあたりを、緩やかなカーブを描いて貫く、真新しい舗装の道路。その海岸線まで山が迫っていて、わずかな平地に家が一列に建ち並んでいる。どこまでも続く石塀と、低くて黒ずんた屋根の平屋建て。海側にはさほど高くない堤防があり、堤防の向こうには、真っ白な砂浜が広がっている。その向こうには、こんな時間だというのに真昼の輝きを失わない、透明度の高い海が、どこまでも、本当に見渡す限りどこまでも広がっていた。 「おあー……」 堤防に座った俺は、なぞの呻きをあげた。 海を抱くように、両側に長く岬が伸びている。その岬が太陽の光を遮り、海を二色に分��ていた。透明度の高い海は、光の乱反��で、なんの色ともいえない複雑な色味を呈していた。ただ、圧倒的で、きれいだった。日差しはかなりやわらいでいて、海から吹く微風がここちよい。 「夏だわ……」 正しい夏。本当の夏。 学生のころに思うぞんぶん夏を楽しまなかった、楽しめなかった人間は、すぐにそういうことを言い出す。それが幻想だということを百も承知でだ。 なんだ、あるじゃん、ここに。 これが本物でなくて���いったいなんだというのだろう。 宿さえ予約していなければ、ここでこのまま眠ってしまいたいくらいだった。 大学を卒業して、働きはじめて、長期休暇は混雑がいやだからどこにも行かず、冷静に考えてみれば、俺をそこまで束縛するものはなにもなかったかもしれないのに、それでもなにもせず。穴蔵みたいなワンルームで腐っていく。そんな妄想をいつもしていた。 飛行機に乗って、ここにたどりつくまで、半日も経っていない。 俺はいったいなんのために、なにに束縛されていたのだろう。 背後に人家さえなければ、俺は力の限り、大声で海に向かって叫んでいたと思う。それくらい、なにかの箍が外れたと思った。 てゆうか、その人家のほうに人影がある。数人が集まって、俺のほうを指差してなんか言ってるのが見える。 あ、これ知ってる。たぶん不審者扱いだよね。 俺は堤防から身軽に飛び降りたつもりで運動不足の下半身がしたたかなダメージを受けたのを感じつつ、道路の反対側にいる人たちに手を振った。小走りで走ったつもりになりつつ重力をその身で感じながら、道路を横切りつつ、声をかける。 「すいませーん、よしだ旅館ってこのへんですかー?」 警戒もあらわにしていた人たちが、その名前を聞いて、お互いの顔を見合わす。構成メンバーは、ばーちゃん一人、中年のおばちゃん二人、あと中学生くらいの女の子が一人である。 「まあまあ、それじゃあなたが予約の方ですか?」 「はい。って、え? じゃああなたが」 「はい。よしだ旅館の女将です」 よかった……名乗ってよかった……これから世話になる民宿の女将に不審者扱いされかけてた……。
民宿ってのは初めて泊まった。あんまりプライベートが確保できなさそうなイメージだったが、まあだいたいそのとおり。食事は食堂というよりほとんど居間みたいなところで、経営している家族と一緒に食べる。メンツは、さっきの女将と、その旦那さん(やっぱり顔が濃い)。あと、さっき一緒にいた中学生の子は、ここの子だったらしい。そんで宿泊客は俺だけ。 つーかやばいのはメシ。魚介類まじやばかった。俺は本来あまり海鮮は好きじゃないのだが、好き嫌い無関係にうまいものはうまいのだと今日知った。女将さんいわく「急だったから大したものは用意できなかった」とのことだったけど、あれが大したものじゃないのだとしたら、大したものはいったいなにが出てくるんだ。想像がつかない。黒糖焼酎なるものを生まれて��じめて飲んだ。もともと酒は強いほうではないし、飲むとしてもチューハイくらいである。とうぜんストレートやロックはきつかった。そこで出てきたお湯割りってやつが、意外なくらいうまかった。クセはあるのだが、なんというか、まろやかで、香ばしい感じがする。 というわけで俺はいま、自分の部屋としてあてがわれた6畳間でひっくりかえっている。食い過ぎである。飲み過ぎというほどではないが、めったにないこと酔った。 時間は7時半。驚くべきことに、窓の外の海は、まだぼんやりと夕暮れの名残がある。窓を開けると、意外なくらい涼しい風と、奇妙な虫の声が聞こえてきた。あれはセミ……なんだろうか? 俺の知ってるセミと違う……なんかこう、セミ?的な。電子音っぽい……。 そして潮騒の音がここまで届く。 ときおり、車のエンジン音がして、セミが鳴きやむ。車が通り過ぎると、またセミの声。それ以外は、本当の無音である。 と、思いきや、なにか太鼓のような音が響いてきた。闇夜を揺るがすくらいの大音量だ。それに続いて、民謡の節回しが聞こえる。かなりの人数で歌っているのだろうか、太鼓に負けないくらいの音量である。メロディとしては、沖縄の民謡というよりは、俺が知っているふつうの「民謡」に近い。ただ、メロディが実に陽気だ。太鼓のリズムはどんどん速くなっていき、それに応じて歌も高揚していく。 ほとんど、異国に来たような気分だった。 俺は、呆然と、その響くような音楽を聞いていた。 ぎし、と背後で音がした。 思わず振り向く。 その音そのものには心当たりがあった。というより、古い木造家屋で育った人間なら、その音は馴染みが深いものだろう。 廊下へと続く襖は開けっ放しだった。そこに、ぎくりとした顔で立ち止まっている少女がいる。食事のときも見かけた、この宿の娘さんだった。 部屋の蛍光灯に照らされたその顔は、よく日焼けしていて、ぽかんと開いた口から覗く歯が、やけに白く見えた。 「あ、ども」 曖昧に挨拶をする。 ぺこりと、娘さんは首だけを曲げた。そのまま立ち去ろうとするのを、なんとなく呼び止めてしまった。 「あの、音楽って」 娘さんは振り返る。 「いま鳴ってる、太鼓の音、あれ、なに?」 体ごとこちらに向き直すと、つまらなさそうに答えた。 「八月踊り」 こちらがまったく理解してないのを察してくれたのか、ぽつぽつと続けた。 「八月に、踊る」 「ああ、うん……」 「ごはん食べたり」 「うん」 「お酒飲んだり」 「うん」 「屋根に上ったり」 「……うん?」 「なんか、お祭り」 「そ、そうなんだ……」 ぺこっと頭を下げて、娘さんは床を軋ませながら走り去る。 なんか、ぜんっぜんわかんねーな……。 ちなみに、この宿の娘さんがなぜこの廊下を通っていたかは、酔いが覚めてめっちゃトイレ行きたくなったら判明した。そうよね……古い木造家屋ってトイレっていちばん奥まってる場所にあるもんな……。
���は、起こさなくてもいいと伝えてあった。 が、自然に6時くらいに目が覚める。つーか暑い!! エアコンなしでもあんがい寝れるもんだなーとは思ったけど、朝になったらこの日差しである。太陽まじ容赦ねえ。 セットしてあったスマホのアラームも意味がなかった。ちなみにスマホだが、驚くべきことに、こんな海辺の小さな漁村であるにもかかわらず、ちゃんと電波は来る。そしていつ届いたのだろう、妹からは「実家にはもう、お兄ちゃんの居場所なんてないんだからねっ」というツンデレのようなメールが入っていた。なんのキャラを演じてるんだろう……いや待て、もともとそういう傾向あったような気がする……。 その後、軽く調べてみた。 八月祭りというのはなんちゃらペディア様ほかを参照すると、鹿児島から沖縄にかけてよく行われる祭りであるらしい。動画もあったので確認してみたが、まさに昨日聞こえてきたアレである。BPMは最終的には相当のレベルまで上がる。日本の民謡のようだといったが、ものによっては指笛なんかも入っていて、そのへんはやはり沖縄の雰囲気を感じる。このあたりでは旧暦の8月、つまり9月の末から10月の頭にかけておこなわれることが多いようだった。 朝食は8時からとのことだったので、顔を洗って、周囲を軽く散歩してから宿に戻る。 食堂には女将だけがいて、食事は俺のぶんだけが用意されていた。どうということのない旅館朝食メニューだが、中央にどっかーっとなんか巨大な白身魚の焼いたやつが置いてある。あと娘さんがテーブルの反対側に用意されている。別に俺のためじゃないからこれは関係ないか。あいかわらずむすっとしてるのでちょっと気まずい。 「この魚……なんですか?」 「ん? アオマツだよ」 「ほー」 聞いてもわからん。すぐにでもウィキペ先生に聞きたくなるが、まああとでいい。 そんでまあ、うまい。白身魚っていうと、すぐにぼろぼろとなるような印象があるんだけど、噛みごたえがしっかりしていて、旨味すごいある。必死に食ってると汗が出てくる。家のなかは意外なくらいに涼しくはあるのだが、しょせんは夏である。南国である。ちなみにこの食堂、エアコンあるんだよね……なんでつけてくれないんだろう……。 なんとか食い切ると、女将さんが麦茶を持ってきてくれ。礼を言ってコップを持つと、手を思わず引っ込めるほどキンッキンに冷えている。飲むと体からすーっと熱さが抜けていく感じがする。なお娘さんはプリンをちまちまと食っている。こればかりには日本全国どこでも同じ、例の底の穴がプッチンするとプリンが出てくるやつだ。 「お客さん、今日は?」 「いや、特に予定ないです」 宿はいちおう2泊取ってある。つまり、今日一日はまるごとフリータイムである。 「じゃあさ」 女将さんが、娘さんの肩に手を置いた。 「今日は、この子がガイドやるから」 「はい?」 「だから、ボランティア」 「……え?」
実はもらったチラシは、昨日の夜に女将さんに渡してあった。わざわざ書くまでもないだろうと思ったのは、もう実質的にその制度は廃止になっ��いたからだ。 「田舎の人間はねえ、こういうのぱーっとやりたがるんだけど、反響がないとすぐに放り出すんだよー」 まあ田舎に限らずそんなもんであろう。 俺としては、別にそれ目当てで来たわけではない。単にきっかけに過ぎない。女将さんもその話はそれで切り上げてしまったので、まあそういうもんだろうと思っていた。 そんで、なぜかいま、炎天下、俺は宿の娘さんと二人で立っていた。 この子、ちっこい。中学生にしてもちっこい。さらに日焼けした肌と、わりとてきとーに短く切った髪と、アディダスとか書かれたどうでもいいTシャツにハーパンで子供っぽさ役満である。どうかすると小学生に見える。虫取り網似合いそう。俺と並ぶとほぼ親子である。 ……親子ならまだしも、犯罪臭漂ってねえよな? 親子と言い切るにはちょっと微妙な感じだ。俺が27歳。この子が中学生。お兄ちゃんでギリギリ行けるでしょうか。 奇妙な電子音っぽい鳴き声のセミが鳴いている。潮騒の音と、背後の山が風でざわめくかすかな音。圧力すら感じる直射日光。ここは静かだ。すっげえ間がもたねえ。 「あ、あのさ、その、俺、別にひとりでかまわないし、女将さんにそう言ってくるから」 「……」 娘さんは首を横に振った。 「お母さん、怒ると怖いから」 「あー」 うん……なんか断れない雰囲気あるっていうか、押し強そうだしね……。 「おじさん」 「……」 「……おじさん」 「……俺?」 「うん」 俺は思わず娘さんをガン見した。 つむじ見えた。 ……ですよね。ええ。うん。いいんだけど別に。わかってるから。これくらいの年の子から見たら俺もうおっさんですよね……。でもなあ、同期のなかじゃ比較的童顔で通ってるんだけどなあ……。 「おじさん、どこ行くの?」 「どこって……え、それはガイドさんが案内してくれるのでは?」 「だって、観光しないし」 「ですよねー。あと俺は27歳です」 「……?」 「27歳は、世間的にはおじさんかなー?」 「うん」 「あーうん。そうですか……。ちなみに君は……えっと……」 「中2」 「まじで!?」 言った瞬間、抗議の視線が飛んできた。踏んじゃいけないもの踏んだらしい。まあデリカシーのなさには自覚がある。まあ自覚あったところで治るものでもないんですけどね! ともあれ、場の空気はもっと悪くなった。 「んー、じゃあさ、とりあえずふだんよく行くところとか案内してよ。こっちはなにも知らないし、こんな場所まで来たの初めてだから、なに見たって退屈しないし」 「私がつまんない」 「いや、そこは折れようよ……」 「……」 娘さんは、ちょっと考えたあと、学校、店、海、おじさんち、むらかみさん、などの単語を挙げた。後半ちょっとよくわからないな。 「ほんとに、こんなんでいいの?」 「なんでもいいって。ほら、君だって別に来たくて来てるわけじゃないし、俺も無理させてるようで気が引けるし、ちゃっちゃと済まして、やることやったよーってお母さんに報告すればいいじゃん」 「別に、いやなわけじゃない」 ふてくされた顔で言った。あ、いちおうそういう建前を言う感覚はあるんだ。 娘さんが歩き出す。俺もそのあとをついていく。 ゴオオと空気を切り裂くような重低音が響いてきた。思わず空を仰ぐと、かなり低い空を飛ぶ飛行機が見えた。その金属質のボディと、轟音と、夏の空とは、なぜか調和しているように見える。
人っ子ひとり通らない海沿いの道を淡々と歩く。セミの声となんかよくわからんけどとにかくやかましい鳥の声。ときたま通りかかる車の音以外はほんとうに自然の音しかない。こんな場所を知らない人間と二人で歩いていると、現実感みたいなものが失われてくる。あと娘さん、歩くペース速い……。 ふくらはぎが痛くなってきたのを自覚しつつ、俺は娘さんに話しかけた。 「そういえば、名前聞いてなかった」 「……?」 娘さんは振り返った。振り返って、不思議そうな顔をした。 「おじさん、足遅いの?」 「……ハハハハおじさんだからね」 いま気づいたけど、人に言われるより自分で名乗るほうがグッサリ来るなこれ……。 「もうちょっとゆっくりしたほうがいい?」 気遣われました。ありがとうございます。死にたい。 そうは言ってもこの直射日光、けっこう来るものがある。気温そのものは、たとえば東京都心の昼下がりなんかと比較すると、そこまでやばくはない。なにしろここでは心地よい風が吹く。ただ日差しな。直射日光ってのがここまで人体にダメージ与えるものだとは思ってなかった。 「暑いの?」 「暑い。つーか君、よく平気だね」 「だって、10月くらいまでずっとこんな感じだし」 「南の島やべー。あーコンビニとかないのかな」 タオルとか飲み物とかすっげー欲しい……。 「あるよ。町に」 「歩いていける範囲には……」 「ない。お父さんの車で30分くらい。お母さんだと20分」 女将さん、やばい。そもそもさっき地図見たときに、ここまで1時間弱って出てた気がするんですが。どこかほかの場所にコンビニがあることを祈ろう。 タオル欲しい。あと飲み物欲しい。まじで熱中症心配になってきた。 「自販機とかは?」 「あと10分とか、15分くらい」 「おー……」 がんばろう。行軍再開である。 「あ、よしだ」 「……え?」 「名前。よしだ」 「ああうん。よしだ旅館の娘さんだもんね……」 なんだろう、名字呼びしたほうがいいんだろうか。 俺にペースをあわせると退屈なものらしく、歩道の縁を歩いたり飛び降りたりしている娘さんに呼びかけてみた。 「よしださん」 「ぅえー」 露骨にいやな顔をされた。 「どう呼ぼうか」 「梨衣でいいよ」 果物の梨に、衣類の衣で、りえ。そう説明してくれた。 「梨衣ちゃん」 「……」 梨衣ちゃんとやらの動きが落ち着かなくなった。もじもじとあっち見たりこっち見たりしたあげくに、 「ちゃんとか、恥ずかしい」 ぷい、と視線を逸した。 やだなに、かわいいこのいきもの……。 まあそういえばこの梨衣ちゃんとやら、あまりに素材そのまんまなものでうっかりスルーしてたが、けっこうかわいいのである。髪の毛はバサバサだし、日焼けしまくりだし、眉毛はしっかり主張してるんだけど、目元とかぱっちりしてて、わりとアイドル顔っぽい感じである。ただし80年代くらいの。でもまーかわいいものはかわいい。そういや女将さんからして、鄙には稀な、といってはアレかもしれないが、まあちょっと目を引く感じの美人さんではある。 「なんとかそれで慣れてください。俺も呼び捨てとか気がひけるんで……」 「……なんかやだ」 「まあ、観光客だから。すぐいなくなるから」 「……」 唇をとがらせて黙り込む。いちおー承諾と受け取っていいんだろうか。
歩くこと15分ほど。 道路は海沿いから内陸に入っていた。この見るからに山だらけの島で、内陸に入るということは、つまり上り坂ということである。トンネルなんかも潜った。すでに路肩に車道はない。とはいえ、道はあいかわらずの高規格で、車もめったに通らないから、不安はない。でも人家まったくない。なんとかヤマネコとか出てきて食われそう。やっぱ怖い。 問題は俺の体力である。つーかさすがに30分ばかり歩いた程度でここまでバテるとは思ってなかった……。 もうだめだ。 そう弱音を吐きそうになったときに、先を進んでいた梨衣ちゃんが呼びかけた。 「おじさん、自販機」 「おお……」 よろよろと前のめりに速度を上げる。 山側を大きく削りこんで、車の10台は止められそうな砂利敷きのスペースがあった。そのいちばん奥に、例の真っ赤な自販機が1台、ぽつんと立っている。そしてそのワキにプラスチック製のベンチが5台くらいずらずらと並んでいる。なんだこのシュールな光景。 「す、すぽど……」 500円玉ぶちこんで、アクエリアスのボタンを連打。ガコンと音がして出てきたペットボトルを速攻で取り上げて一気飲み。 「ぷっはーーーー生き返るわーーーー」 もちろん梨衣ちゃんが物欲しそうにこちらを見ている。 「梨衣ちゃんは? なに飲む?」 「え、いいの?」 「そりゃまあ、ガイド代払うわけでもなし、飲み物くらいは……」 「じゃ、じゃあ……」 梨衣ちゃんは、周囲を窺うようにしてから、こっそりと言った。 「コーラ、飲んでいい?」 「? いいんじゃない? 真っ赤な自販機のアレだし」 ぱーっと梨衣ちゃんの表情が明るくなる。怪訝に思いながら自販機に200円を投入。梨衣ちゃんが、祈りでも込めるようにボタンを押す。 黒い液体の入ったボトルを見て、感動の表情を浮かべる。 「……コーラ、そんなに好きなの?」 「えっと……飲んだことない」 「え」 なにこれ。若者のコーラ離れ? 「お母さんが、骨溶けるからって……。でもお父さん、いっつも飲んでるし」 女将さん……まじか……いつの時代の話だよ。 まあ飲みすぎていいもんではないだろうが、よそから来た人間がこっそり飲ませるくらいはいいだろう。 「お母さんには、内緒だからね」 真剣な顔で梨衣ちゃんが言った。 ウッ。かわいい……。 俺は、追加でアクエリを買って、ベンチにどっかと腰掛ける。梨衣ちゃんがちょっと距離を開けて、ベンチに座る。神妙な顔でキャップを開ける。すると、コーラ最初の儀式が始まった。 「あわっ、あわっ、あわすごいっ」 ベンチに���ットボトルを置いて、飛び退る。泡はじきに収まる。梨衣ちゃんは、おそるおそる近��って、俺を見上げて不安げに聞く。 「爆発しない?」 なんかもう、純朴そうな日焼け少女がそんな顔でこんなこと言ったら反則である。 コーラで汚れたぶん、もうちょっと俺の近くに座る。べたべたするのか、指で支えるようにして両手でペットボトルを持って、慎重に飲む。 「ぴりぴりする」 「炭酸だからね」 「変な味」 舌をべっと出す。動作のいちいちがかわいいなこの子。 「でも、ちょっとおいしい」 「それはよかった」 コーラ初体験の梨衣ちゃんが全部を飲み終えるまでは時間がかかるだろう。俺としても、ちょっとは休憩していきたい。水分が体に浸透してきたのか、疲れは相当にましになっている。 風が、心地よかった。 BGMは、あいかわらず謎の鳴き声のセミがメインである。昨日調べたところによると、オオシマゼミというやつらしい。このへんになると、聞き慣れたニイニイゼミだとかクマゼミの声も聞こえる。時間帯とか棲み分けとかあると思うんだけど、なんかごっちゃになって鳴いている。 ベンチにもたれかかって空を仰ぐと、あいもかわらずの容赦なしの青空である。 夏休みって、こんな感じだろうか。 子供のころ、夏休みって、なにをやってただろう。個々の記憶はあるのだが、全体のイメージは漠然としている。40日もあるあの長大な休み。あの膨大な休みは俺の記憶のどこに消えたのだろう。ただ、気分だけは残っていたらしい。こんな年になって、俺の上に夏休みが降ってくる。この瞬間が永遠に続くような錯覚を覚えた。 「おじさん、東京から来たの?」 ちびちびとコーラを舐めるように飲んでいた梨衣ちゃんが言った。 「あー、うん」 「東京って、原宿?」 把握が雑だった。 「原宿にオフィスはあんまりないなー」 「秋葉原?」 どうやら知ってる地名を言ってるだけのようである。 どうやって東京を説明しよう。 「えーと、そうだな、東京は、この島よりちょっと狭い」 「ふーん?」 「で、そこにここの200倍くらいの人が住んでる」 「にひゃくばい……」 よくわからなくなったようだ。 「そうだなー、島全部が、あの町みたいなのでべったりと埋め尽くされてて、もっとビルとかたくさんあって、人間がいる感じ」 「……」 小さく首をかしげる。 「じゃあ、どこで泳ぐの?」 「うーん……泳がねーなー」 「じゃあ、夏はなにしてるの?」 「……ゲームとか? あと……なんだろ……」 なんだろう。 いわれてみれば、俺はなにをしていたのだろう。 いったいあの町で、俺以外にも無数の人間がいるあの町で、俺は、何者だったのだろう。 「わかんねーなー」 俺は苦笑してみせた。 あまりに強い直射日光は、人から思考能力を奪う。濃い緑のにおいが、それを肯定する。おまえはちっぽけだと、大したことのないものなんだと、大きくて深い声を浴びせてくる。それを一緒に聞いているのが、たとえば将来を誓いあった女性でもなく、親友でもなく、昨日会ったばかりの見知らぬ女子中学生だというこの状況が、少しおもしろかった。少なくともここでは俺は俺以外ではありえない。なぜなら、ほかに人間がいないのだから。 「さてと」 ゴミ箱めがけて空のペットボトルを放り投げる。数メートルの距離だったが、見事に命中。目を見開いた梨衣ちゃんが真似をする。これも命中。俺に対してちょっとドヤ顔をしてみせる。やだかわいい……。
「学校」 道は海沿いに戻っていて、ちょっとした集落に差し掛かっていた。目の前の鉄筋コンクリート2階建てのごつい建物。どんな台風が来てもびくともしなさそうな重厚さがあるが、あちこちひび割れて補修の跡もある。そして敷地をぐるりと取り囲む石垣。この場所では、学校すら石垣のなかである。 梨衣ちゃんはすたすたと校門を通って敷地内に入る。俺はもちろん立ち止まる。 「おじさん?」 「部外者とか、まずいでしょ」 「? 別にいいと思うけど」 「あとで見つかって文句とか言われない?」 「なんで? おじさんうちのお客さんだよ」 すごいなー。ゆるいなー。地域全体がそうだってことは絶対にないと思う。単にこの子が警戒心ないだけなんじゃないだろうか。 地域で開放されているのかなんなのか、玄関も開きっぱなしである。梨衣ちゃんは自分の下駄箱とおぼしきところまで行き、とぼとぼと帰ってきた。 「うわばき、うちだった」 「あー、夏休みだからね……」 来客用とおぼしきスリッパを2つ持ってくる。 「ほんとにいいのかな……」 スリッパのひんやりとした感触。床の素材は、これリノリウムってやつじゃないだろうか。この妙に光沢ある感じと、ちょっとやわらかい感触。 民宿でも思ったのだが、室内はほんとうに過ごしやすい。廊下をぺたぺたと歩いていくと、梨衣ちゃんが教室の扉を開けた。 「ここが、私の教室」
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̄\_(ツ)_/ ̄
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This is the time and space where hardenshipping is idle. Don't think too much. (I am using DeepL to translate.)
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This was when the two were still young and close teammates.(I am using DeepL to translate.)
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