#もし石膏像あげるよって方居たら連絡ください
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naoko-hasegawa · 9 months ago
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富山の美術予備校アートジム行ってきました 被災した石膏像たち… を修復しようとした痕跡…💦 モリエールが一体も無くて困っているらしいです…😭
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trpgnomimimi · 4 years ago
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【cocシナリオ】4.DA.05
人数:2〜3人(既存PCで遊べる)
シナリオの舞台:現代日本、推理系
推奨技能:目星、聞き耳、交渉系技能
準推奨技能:心理学、戦闘技能
時間:RPを楽しんで5時間ほど
美術館へ行くシナリオです。(詳しくは上の画像をご覧ください)
以下シナリオのネタバレがあります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 読み:4.DA.05(ヨンディーエーゼロゴー)
「どんなシナリオ?」
探索者たちに高校生3人のうち「誰が犯人なのか」を突き止めてもらい、暴走した生徒を(物理で)止めてもらうシナリオです。調べていけば必ず犯人に行き着くのと、戦闘も難しくないのでシナリオの難易度は低いです。
▼タイトルの由来
4.DA.05とは、石英をシュツルンツ分類というもので表したときの名前です。シュツルンツ分類とは、ドイツの鉱物学者カール・フーゴ・シュツルンツが1941年に鉱物学表で著した、化学組成に基づく鉱物の分類法のこと。(Wikipediaより)
「シナリオ全体の流れ」
探索者たちが美術教師(描本)の依頼を受けて美術館へ行く。
部員と一緒に搬入作業をする。
12時半に鐘望(かねもち)高校の鵜財が刺される「殺人未遂事件」が起きる。
警察が探索者に事件の協力を申し出る。
一通り探索し、犯人である小瀬を突き止める。
小瀬と戦闘を「する/しない」でエンド分岐。
エンディング
「登場する神話生物」
「キーザ(知性を持つ結晶)」という旧支配者が出てきます。(マレモンp157.158)
「小瀬との戦闘時の注意点」
装甲を壊してから戦う
「水」と「塩」両方を小瀬にかけて、装甲を「0」にします。
この両方を使わなければ、小瀬の装甲が破壊されず、探索者の攻撃が入らないので注意してください。「水」と「塩」はミュージアムショップに売っているので、店員NPCからさりげなく購入するようにおすすめしてください。もちろん露骨におすすめしても良いです。私が回したときは、記念にみなさん買ってくれていました。買っていない場合、クライマックス前に買いに行かせるチャンスを作っても良いかと思います。
「シナリオ背景」
昨年10月、美術館に改装工事が行われ、玄関ホールに天窓が設置される。
昨年11月冬、展示物に混じって美術館で眠っていたキーザは、改装時に設置された天窓から差す太陽光で覚醒する。その頃、有村才一(ありむらさいいち)という男子高校生が美術館に訪れていた。彼は他校の鵜財という生徒に弱みを握られている。心労でまともに寝ていなかったためにふらついて、キーザの入った展示ケースにぶつかってしまう。有村の強い負の感情を察知したキーザは、触手を伸ばして彼に乗り移る(このとき一瞬発光している)。取り憑いたキーザは、11月から日差しが強くなる夏にかけて、有村の精神をゆっくり蝕んでいく。
初夏の6月にキーザによる影響力が強くなり、7月に侵食がピークに達する。取り付いたキーザは、有村の精神に「鵜財(うざい)を殺して楽になろう」と語りかけるが、有村は強く抵抗する。勝手に動く手を押さえつけて何度も切りつけた結果、大量の血を流して失血死する。有村は自殺することで周りに被害が出る事態を防いだ。自力で動くことができないキーザは有村の体内に残る。
連絡がつかなくなった有村を心配して、杉内と小瀬が有村の家を訪れる。中学の頃から仲の良かった杉内は、渡されていたスペアキーで鍵を開ける。荒れた部屋の中心で、血溜まりの中に倒れ込んだ有村を発見する。手首には何度も切りつけた痕があり、結晶化している部分もあった。
杉内は警察と救急に連絡を入れる。小瀬が有村の体をゆすったとき、有村の体から小瀬にキーザが乗り移る(乗り移ったときに発光している)。落ちていた有村の日記を読んだ杉内は、駆けつけた刑事に見せる。だが刑事はただの自殺だと判断して適当にあしらった。警察への信用を無くした杉内は、とっさに日記を現場から持ち去る。同時刻、小瀬はキーザを通して有村の負の感情を感じ取る。有村と鵜財の取引現場を目撃していた小瀬は、後輩を助けられなかった後悔の念でいっぱいだった。キーザによって負の感情は増幅し、「後輩を死に追いやった鵜財を殺し、有村の無念を晴らす」と今回の事件を起こす計画を立てる。探索者たちは8月にちょうどその現場に居合わせることになる。
「登場NPC」
三見高校(みつみ)(高校名は探索者に合わせて変更可)
描本 紙杏(かきもと しあん)
美術部教師。33才。
美術展当日に抜けられない用事ができたので、あろうことか探索者たちに美術部の付き添いを頼む。
(読まなくてもよいキャラ設定です)
芸術一家の長男。画家の妹がいる。人並み以上に画力もあり幼い頃から絵を描くことが好きだったが、画家として大成できるほどのセンスは持ち合わせていないのだと学生時代に悟る。画家にならずとも���自分と同じように悩���学生たちのサポートに回ることはできるという考えから美術部教師になる。
有村 才一(ありむら さいいち)
最初にキーザに乗り移られていた人。故人。見る人を惹きつけるような魅力のある作品を描いていた。家庭環境が悪く、一人暮らしをしていた。仕送りも最低限で画材を買うにも一苦労だったため、気の迷いで店の商品に手を出してしまい、その現場を鵜財に見られて弱みを握られる。キーザによって精神を病み、鵜財を殺してしまう前に自殺する。
小瀬 仁也(こせ ひとや)
美術部部長。3年生。背が小さい。今回の犯人。部員を家族のように想っている。鵜財と有村の取引現場を街中で目撃する。個人的な理由から問い詰めることはできず、部員の自殺を止められなかったことを激しく後悔する。その感情を察知したキーザが有村の遺体から乗り移る。
杉内 大城(すぎうち たいき)
2年生部員。背が高い。不器用。有村とは中学の頃からの仲で、一番の理解者。シナリオ中、鵜財を問いただそうと館内を探していたが見つけた時には刺されていた。今日のために作品に細工を施し、中に包丁を隠している。
織田 夏菜子(おだ かなこ)
副部長。3年生。穏やかな子。有村とは恋人同士だった。有村の絵に影響を受けているため、絵の雰囲気が似ている。事件が起きたときは庭園で有村を思い出して泣いている。
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鐘望高校(かねもち)
鵜財 八津緒(鵜財 やつお)
鐘望高校の美術部。2年生。有村の万引き現場を目撃して弱みを握る。格安で絵を買取り、有村の絵を自分の絵だと偽って周りの評価を得ていた。キーザに取り憑かれた小瀬に刺されて生死をさまよう。とっても嫌なやつ。
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旧支配者(個人的な解釈あり)
キーザ:知性を持つ結晶(マレモンp157.158)
このシナリオで扱うときの設定です。(個人的な解釈を含む)
太陽光が当たる場所でのみ活動する。
キーザの触手に触れられた部分は結晶に変えられてしまう。
取り憑いた人や傷つけた人の「負の感情」を増幅させる。
鉱物を媒介して、己の思考と影響力を送れる。
キーザに取り憑かれた小瀬は装甲を「15」持っています。そのため、本体にダメージを与えるには「装甲を壊してから」戦う必要があります。
「タイムスケジュール」
美術館でのNPC達の動きをタイムスケジュールで表わしたものです。上の画像が本当に起きていた出来事です。
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「導入」
一人代表して描本と会話をしてもらう。(探索者全員に同じ連絡が来ています)この時点で、有村の事件から一ヶ月経っています。
8月上旬の金曜、知り合いの美術教師である描本紙杏(かきもと しあん)から着信が入る。
描本
「よお久しぶり!元気にしてたか?
いきなりで悪いんだけど、頼みたいことがあってさ。来週金曜日に東京郊外にある○○美術館で学生美術展があるんだが、そこで展示する作品の搬入と付き添いを頼みたいんだ」
「金曜日の午前中に搬入。
午後から審査員による作品の講評がある。土曜日に一般公開だから、金曜日のうちに準備と作品の講評まで終わらせるってことだな。
9時前には美術館に着くように向かってほしい。あと、午後まで作業があるから昼飯を持参してきてくれ!
一応駅の隣にコンビニがあるけど、美術館からはちょっと遠いから持ってきた方が楽だぞ」
探索者同士が知り合いでなければ、お互いの特徴が描本から伝えられる。
…美術部について知識
この学校の美術部に自殺した生徒が居た。名前は有村才一(ありむら さいいち)。
たびたび精神的に不安定な書き込みがSNSに投稿されていたという。
  
描本にその件について聞けば、
「知ってたのか。ニュースにもなってたしそりゃそうか。一ヶ月前に亡くなったんだけど、色々思い詰めてたのかな。自殺だったよ。
今日付き添い行けないのも、有村くん関係で片付いてない用事もあってさ。当日は迷惑かけちゃうけど、よろしく頼む」
「美術館に到着」
▼駅に寄る場合
駅の隣にはコンビニがあり、周りは見渡す限り田んぼか畑しかない。そこから徒歩で美術館へ到着すれば、20分ほどかかるだろう。
▼美術館に直接行く場合
車を止め、美術館前の広場へ向かう。朝と言っても��夏の8月。20分ほど歩いただけで既に汗がとまらない。じりじりと照りつける太陽を背に、探索者たちはアスファルトの上を歩いていく。美術館への門を通り石畳の道を進むと、美術館の広場に到着する。広場は美術展に参加する県内の高校生たちでいっぱいだ。
美術館に目星
…最近工事でもしたのだろうか。外壁の汚れなどもなく、とても綺麗であることがわかる。
あたりを見渡せば、正面入り口の前に目当ての高校の制服を着た美術部員達を見つける。探索者に気づいた三人の生徒が駆け寄ってくる。
小瀬
「もしかして、付き添いにきてくれた方々ですか?先生から話は聞いています。突然のことなのに引き受けてくださり、ありがとうございます!」
探索者たちにペコリと頭を下げる。物腰柔らかな話しやすい生徒で、黒いリュックを背負っている。
「僕は小瀬 仁也(こせ ひとや)です。3年生で、美術部の部長をしています。それでこちらが副部長で3年生の織田さんと、背の高い彼が2年生の杉内くんです」
織田は礼儀正しくぺこりとお辞儀をし、杉内は軽く会釈する。杉内は背が高く筋肉質だ。運動部に所属していそうな見た目をしており、白いエナメルバッグをかけている。織田は大人しい見た目の女子生徒で、小さめのショルダーバッグをかけている。
小瀬が探索者たちに説明をする。
小瀬
「今日は主に作品の搬入…展示物を運び入れて飾るまでをするのですが、中にはとても重たい彫刻とか、一人では持てないサイズの絵があるので、一緒に運ぶのを手伝っていただきたいんです」
探索者が了承してくれたところで目星
…小瀬の横で、杉内が遠くを睨みつけていることに気づく。目線の先を辿れば、富裕層が通うことで有名な鐘望(かねもち)高校の方を見ているようだ。どうかしたのか聞いても「別に。何でもない」と返され、何事もなかったかのように目線を外す。
その後、扉の奥に職員が現れ、正面入口の鍵を開ける。広場に集まった学生たちは職員の後に続いて吸い込まれるように館内へ入っていく。
職員が歩きながら説明をする。
職員
「大きな荷物は二階の休憩室へ置いてください。休憩室は広いので、みなさんでお使いいただけます。スマートフォンや財布などの貴重品は、一階にある鍵付きのロッカーへ入れるか、肌身離さず持っていてください」
「搬入」
荷物を置いた探索者たちは作品の搬入作業に入る。学生による美術展は2階で行われるそうだ。この美術館にはエレベーターがないため、階段を使って2階へ運んでいくという。
小瀬
「落としたり傷つけたりしないように、慎重にお��いします」
絵画か彫刻、探索者にどちらを持つか選んでもらう。
探索者が3名の場合は、絵画へ2名割り振ると良い。
【絵画を運ぶ】
大きな油絵。木枠が付いているためとても重い。丁寧に梱包されているため中の絵は見れないが、表の作品票に名前のみ書かれている。そこには「有村 才一(ありむら さいいち)」とあった。
疑問に思う探索者に気づいた小瀬が話しかけてくる。
小瀬
「有村くんは暇さえあれば絵を描いてた人でした。明るくて前向きな絵を描いていて、そのどれもが人を惹き付ける魅力のある作品でした。身近にすごい才能のある人がいたら描く気が起きなくなることもあるんですけど、彼の絵からは、僕も頑張らなくちゃ!って元気をもらえたんです」
「でも有村くんの最後の絵は…。見てもらった方が早いかもしれないです」
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【彫刻を運ぶ】
梱包材でよく見えないが、石膏でできた彫刻だとわかる。とても重いので、STR×3で判定を行う。
…成功
持ち上げたとき少しバランスを崩すが、しっかり支えることができた。前にいた杉内がじっとこちらを見ている。
声をかければ、
「いや、それ俺の作品なんで気になって。重いっすよね、すんません」
と探索者を気遣う。何事もなくすたすたと階段を登っていく。
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…失敗
指先が滑って階段の角に落としかけてしまう。が、間一髪で拾い上げることができた。探索者の慌てた声に気づいた杉内がすごい剣幕で振り返る。
杉内
「おいっ!!危ねえだろうが!!」
しかし、すぐにハッと我に帰ると
「俺の作品だからついカッとしちまった。…すんません、怪我とかないっすか」といって探索者を気遣う。)
杉内はバツが悪そうにすたすたと階段を登っていく。心理学を振ろうとしても、落としそうになった探索者達は動揺してできない。
「有村の絵」
絵画や彫刻が展示室へ次々に運び込まれ、所定の位置に飾られていく。絵画を運び込んだ探索者のもとに織田が近寄ってくる。(このとき、彫刻を運んできた探索者も合流する)
織田
「有村くんの作品飾るの手伝います。私はまだ見ていないから楽しみなんです」
梱包材を剥がしていく。織田の表情が曇る。
織田
「これが有村くんの絵…?」
絵画を確認すれば、それは真っ黒なキャンバスだった。執念深く塗り潰されていて、一体何を描いているのかわからない。見続けていると胸の奥がざわつくような、不安に駆られる絵だ。
0/1の正気度チェック
(有村の現場に行った小瀬と杉内はこの絵画を既に見ている)
「嫌な奴」
「なんだい?その絵は」
探索者の後ろから、突然声が掛かる。振り返れば、鐘望高校の制服を着ている男子生徒だった。彼は有村の絵をしげしげと眺めた後、小馬鹿にしたように口の端を歪めてこちらに喋りかけてくる。
鵜財 八津緒(うざい やつお)
「その作品、最後の作品にしてはずいぶんと暗いんだねえ!自分の才能の無さに絶望したのかなあ…。僕の真似しかできない、彼の無能さがよく表れてるよねえ。
(探索者の方をじろりと見て)見ない顔ですけど、あなた方は?
(返事を待って)…へえ、そうなんですねえ。こんなに大事な美術展に、顧問が不在だって!笑っちゃうね!部外者に全部丸投げってさ。
(織田を見て)もしかして君たち、先生に大切にされてないんじゃない?」
まあいいや。今日の最優秀賞は僕の絵で決まりだよ。誰が見ても、やっぱり僕の絵が一番だからね。優秀な先生方が平等に審査して��れるよ」
高笑いしながら持ち場へ帰っていく。
〜〜
織田
「あいつは鐘望高校の鵜財。相手にしないほうがいいです。有村くんに特に突っかかってきてた面倒くさい奴なの。あれだけ人間性に問題あるのに、作品の方は世界観も技術力もすごいんですよね…。お父さんが審査員だからって調子に乗ってるとしか思えないわ」
鵜財の作品を見ると、絵を描かない人が見ても上手いと思うだろう。人を引き付ける魅力があるようで、通りがかる人は皆絵を見上げて感嘆の声を漏らしている。
「作品の印象」
作品も定位置に置き、搬入が一段落する。少し時間ができ、4人の作品を見ることができる。絵について詳しく見るには、目星または芸術系技能を振る。
(有村・杉内・小瀬・織田)
▼有村の作品
黒く塗り潰されて何が描いてあるかわからない。
目星
…塗りが甘い部分を見つける。暗い絵の下にうっすらと別系統の色が見える。塗りつぶされた下に別の絵があるのではないかと思う。
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▼杉内の作品
手の石膏像。
目星
…よく見ると荒い作りだ。作り手の努力が見て取れる作品。手の形や大きさから、おそらく杉内自身の手をモデルに作られたのだろう。
「まだ勉強中なんす。オレ、絵が壊滅的に下手だったんで、先輩や有村に立体で作品つくってみたらどうかってアドバイスもらってから彫刻を学んでるんです。最近やっと楽しさがわかってきたっていうか」
心理学
…作品に自信がないのか、あまり見て欲しくないように感じる。
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▼小瀬の作品
人物と建物が描かれた油絵。
目星
…部長というだけあって絵の完成度が高い。デッサンは正確で狂いがなく、物体が細部まで描かれていることで絵に説得力が出ている。そして、絵画からどこか悲しい印象を受ける。
「も��すぐ卒業で、美術部のみんなとお別れだと思い始めたら寂しくなってしまって。それが作品にも現れちゃったんですかね」
心理学
…他にも理由があるのではないかと感じる。
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▼織田の作品
動物モチーフの可愛らしい油絵。
目星
…鵜財の絵とどこか似たものを感じる。
鵜財と似ていると言われれば、織田に
「そんな!!あいつと似てるなんて嫌です!」と返される。
鵜財を相当嫌っているようだ。
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作品を見終わると、お昼ご飯を食べに休憩室へ移動する。
「昼休憩」
時刻は12時。講評は13時半なのでまだ時間に余裕がある。みんながお弁当を広げ始めると、小瀬が立ち上がる。
小瀬
「お昼忘れちゃったからコンビニまで行ってくるね。何か欲しいものあったらお使いします。溶けそうなやつは無しだよ」
…車で送るよと探索者に言われた場合、
「無理して来ていただいたのに、そこまでお願いするのは申し訳ないです。コンビニまで歩いて片道15分くらいですし、走って行ってくるので大丈夫ですよ!」と断る。
※事前に買ってきた物しか出せないので、用意できていないお菓子以外のものを要求されたら「売り切れてた・忘れてた」と嘘をつく
小瀬は荷物を背負って休憩室を出て行く。(この後、有村のスマホを使って鵜財を呼び出す)
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続いて、織田と杉内も順番に休憩室から出ていく
織田が急に立ち上がり
「緊張をほぐすために外の空気吸ってきます…」とふらふらと出ていく。
さらに杉内が立ち上がり、
「腹痛いんでちょっとトイレ行ってきます」と出て行く。
3人とも荷物を持って出て行ってしまう。
探索者がついていこうとしても姿が見えなくなってる。
聞き耳(3人が休憩室を出た後)
…遠くの方で着信音が聞こえる。音のした方を見ると、鵜財がスマホを凝視している。恐ろしいものでも見るような引きつった表情だ。
鵜財は慌てて休憩室から出ていく。
(有村のスマホからメッセージが来ていた。鵜財を誘き出すために、有村のスマホから小瀬が送信している)
「うわさ話」
隣で他の部員がお弁当を食べながら何やら噂話しをしている。
「あれ見たかったのにまだ見つかってないんだね」
「ね、もう闇市場とかで売られちゃったりしてるのかな」
【他の部員から聞けること】
噂話をしている部員…2年生2人と話す。
・水晶について
…11月に盗難事件があった。普段は常設展示で玄関ホールに置かれていたらしい。犯人はまだ見つかっていない。
・有村について
…とても絵が上手で優しい先輩だった。
だが一部で、「鐘望高校の鵜財の絵を真似しているのではないか」という噂が立っていた。誰もそのことを口に出さなかったが、色使いや表現がとてもよく似ていたという。
・有村の自殺の原因について
…知らない。だけど11月あたりから元気がないように見えた。部活も休みがちになっていき、6月ごろ急に体調をくずしていた。それからは学校や部活に顔を出さず家で制作していたらしい。
話を聞き終えると出て行った3人がバタバタと休憩室に帰ってくるが、なぜかそれぞれ顔色が悪い。小瀬は部員に頼まれたお菓子を配っている。
そうしていると、突然展示室の方から大人の男性の叫び声が聞こえる。
「事件発生」
声のした方に駆けつけると、そこは展示会で使われていないはずの展示室6だ。入り口の周りには人だかりができていて、その奥には中年男性が尻餅をついている。全員の視線は部屋の中央に釘付けになっている。
中年男性
「や、八津緒…!!!」
展示室6の天井につけられた小さな窓から真昼の光が部屋全体に差し込んでいる。その光の下では、鵜財が無惨な姿で横たわっていた。胸部が赤く染まり、流れ出た血があたりの床を赤く染めている。凄惨な現場を見た探索者は
1/1d4+1 の正気度チェック
近づく
…微かに息をしていることがわかる。すぐに治療を受ければ助かるかもしれない。
探索者達は、警察が到着するまで現場を調べられる。
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【鵜財】
目星
…胸部に刺し傷がある。家庭で使うような包丁くらいの大きさの傷だ。しかし、刺されたにしては血の量が少ないと感じる。そう思うのと同時に不思議なことに気づく。流れ出た血液と傷口の肉が、煙がかった透明感のある六角柱状の結晶に変化していた。
明らかにおかしい現象に 0/1 の正気度チェック
【周辺】
目星
…凶器らしいものは見つけられない。制服のポケットから鵜財の端末を発見する。不用心なのかパスワードはかかっていない。開くと、死んだはずの有村からメッセージが届いている。
『展示室6に来い』
これより以前のメッセージはない。削除したような形跡が見られる。
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【中年の男性】
話を聞けば、この美術館の館長で鵜財の父親だという。
中年男性
「先生方とお昼を食べてから生徒達の作品を見てまわっていたんです。使われていない部屋も確認のために一応まわっていました。そうしたら息子がここで倒れていて…!」
「警察」
「みなさん!この美術館からは一歩も出ないでください!!」
どたどたと警察と救急が駆けつけ現場に入ってくる。鵜財は救急に運び出され、警察が現場を調べ始める。探索者たちは展示室6の前で事情を聞かれる。探索者のアリバイについては、休憩室にいた部員と話していたこともあり証明される。
目隠警部
「君たちは学生じゃないようだが、どうしてここに?関係者かい?」
(探索者達の事情を聞いた後)
すると、展示室にいた警察官や鑑識が一斉に飛び出してくる。目の前を走り去って行く彼らは、皆慌てていたりや不安そうな顔をしている者ばかりだった。
※現場を詳しく調べられないように、キーザに取り憑かれている小瀬が結晶に触った警察官たちの感情をコントロール��て部屋から追い出している描写です。
目隠警部
「な、なんだ!?一体どうしたね君たち!」
遅れて展示室から出てきた警察官が目隠警部に事情を説明する。
警察官
「け、警部ーっ!!!部下も鑑識も、急にみんな居なくなってしまいました…!外に干した洗濯物が飛んでいっていないか心配だとか、不気味で怖いから帰るって言ってるやつもいて…!捜査に人手が足りません!!」
目隠
「何だと~~!?お前たちそれでも警察官か!!!」
突然警官が「ううっ!」と頭を抱えた後、
「私も…私もなんだか家の鍵をかけてきたか心配で気が気じゃないので、帰らせていただきます警部!!」
と、許可も得ず走り去っていく。
※遅れて、この警察官もキーザに遠隔で操られています
現場を調べていた警察官は一斉にいなくなってしまい、目隠だけが残されてしまった。
〜しばし沈黙〜
目隠警部が探索者をじっと見て、何かを感じ取ったのか一人で頷いている。彼はコホンと一つ咳払いをすると、探索者に告げる。
目隠警部
「どういうわけか、私以外の警察がみんないなくなってしまった。このままでは捜査するにも人手が足りん。
…私は昔から人を見る目だけはあるのだが、君たちからは困難に立ち向かっていくようなアツい眼差しを感じる。
ぜひとも、この事件の犯人を暴いてほしい。協力してくれるだろうか」
【目隠警部から聞けること】
☆鵜財について
「犯行時刻は12時から12時半の間。つい先ほど刺されたようだ。鋭い刃物が凶器だろう」
傷口の結晶について話すと、次のように返ってくる。
「不可解な現象だったのでこの情報は一部の関係者しか知らないが、自殺した有村くんの傷口にも、このような結晶ができていたんだよ」
☆有村の事件について
・有村死体の第一発見者は?
「前任からの引き継ぎがうまく行っておらず名前がすぐに出てこない。申し訳ないが、追って連絡する」
※第一発見者は小瀬と杉内です。
 序盤から犯人の目星がつかないように
 後から情報を出してください。
・ほんとに自殺?
「カッターナイフで手首を切ったことによる失血死。SNSには去年の11月頃から『不安でたまらない、どうしたらいいのかわからない』といった書き込みもあり、精神的に不安定だったようだ」
「現場はめちゃくちゃで、部屋の物が散乱していた。財布などの貴重品は残っており、盗まれた形跡がなかったことから、有村君自��が暴れたあとだと思われる。事件性が見られないことから、自殺だと判断された」
「それと、有村は軽い日焼けをしていた。窓辺に置いてあった物が日焼けしていたことから、長い間カーテンが開きっぱなしで生活していたと思われる」
※キーザの動力源は太陽光だというヒント
最後に付け加える
「役に立つかわからんが、鑑識が置いて行ったこいつも持っていくと良い」
…ルミノール判定試��が入ったスプレーをもらう。
(血液が付着していればその箇所が暗闇で光るというもの。)
※後に出てくる杉内の包丁が、事件に使われた物でないと判断するためのもの。実際の凶器は小瀬から出たキーザの触手のため、シナリオ内で反応が出る物は無い
「聞き込み」
アリバイのとれていない3人が犯行時刻にどこにいたのか話していく。
小瀬
「コンビニまでお菓子を買いに行っていました。頼まれたものならすでに部員のみんなに渡しています。急いでいたのでレシートはありませんが…」
杉内
「この美術館ぼろいんで、1階の綺麗なトイレに行ってました。腹が痛かったんでかなり長いトイレになっちゃいましたけど」
織田
「午後の講評のことを考えたら緊張して、いてもたってもいられなかったので、外の空気を吸いに行っていました」
以下の6箇所を探索できる
庭園 / 休憩室 / 玄関ホール 
ミュージアムショップ / 展示室1 
展示室6の前(学生3人・目隠と話をする場所)
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探索者が行く場所を決めた後で
聞き耳
…窓の外でぽちゃんという音が聞こえた。
(小瀬がみんなの目を盗んで庭園の池に有村の携帯とロッカーの鍵を投げた音)
「庭園」
最初に集まった広場を出て左にまわると、そこには小さな庭園がある。綺麗に剪定された木々に囲まれた池には何匹もの鯉がスイスイ泳いでいる。休館日でも散歩に訪れる人もちらほら見える。
その中で気になる人影を発見する。そこには身を乗り出して池を見つめている子どもと、それを止めようと引っ張っている母親がいる。
母「危ないし汚いからやめなさい!」
子「だってあそこらへんになんかあるもん!」
(探索者が声をかける)
母「この子が池に入ろうとするんですよ」
子「さっき、キラキラしたなんかがあそこから落ちてきてポチャンってなったんだよ」
 「あそこの窓からだよ」
子どもが指を指した先を確認すれば、先ほど自分たちがいた展示室6の前だ。
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子供に物が落ちた先を教えてもらうと、横切っていく鯉たちの間に光る物が見える。しかし、池のふちから3mほど先にあるため、ここからだと腕を伸ばすだけでは届かない。
▼池にある物を自由な発想で取ってもらう。
(例)
池にそのまま入って行って取る
周辺に幸運をし、網を見つけて取る
館内のトイレからモップを持ってきて取る
芸術:投げ縄を振って取る
どうにかして取る
…光るものを2つ拾い上げる。
①濡れたスマートフォン
電源は入らない。(美術部のみんなに見てもらえば有村のものだとわかる)
②小さな鍵
「056」と書かれたプレートがついている。→「ロッカー」が探索可能になる
子「なにそれ、キラキラの玉かと思ったけど違うのかあ。いらね〜。���兄さん(お姉さん)たちにあげるよ」
▼親から聞ける情報
(織田のこと。亡くなった恋人である有村のことを思い出して泣いている)
「休憩室(荷物を調べる)」
休憩室の荷物を調べる。判定無しで気になるものを見つけられる。
白いエナメル、黒のリュックサック、ショルダーバッグ
▼白いエナメルバッグ
…定規サイズのL字に曲がった「金属製の薄い板」が見つかる。使用方法は不明
▼黒のリュックサック
…ノートが見つかる。内容は、講評で言われた作品の良いところ・改善点などが忘れないようにメモ書きされている。その他、美術部の活動記録から部員の悩み相談まで書かれている。部員を非常に大切に想っていることがわかる。
リュックサックにアイデア
…朝見たときよりもリュックの膨らみが小さい。荷物が少なくなったのではないかと思う。
▼ショルダーバッグ
…気になるものが2つ見つかる。
①塩アメが入っている。熱中症対策だろうか。
②有村と織田の写真。背景は観光地のようで、二人の距離は近く親しげに写っている。服装を見れば春先くらい
(今年の春に撮った写真。デートで撮ったもの)
「玄関ホール」
搬入のためにすぐ二階へ上がったので、詳しくは見ていない。受付には女性と、少し離れたところにカラの展示ケースがある。
▼玄関ホールを見渡す
…吹き抜けのさらに上にある天窓から午後の光が差している。天窓は最近取り付けたもののように綺麗だ。そこから差し込む太陽の光が、カラの展示ケースに当たっている。
▼カラの展示ケース
…上部の空いた、大きめの展示ケースだ。作品説明を読むと「スモーキークォーツ」という結晶が飾ってあったことがわかる。前代の館長が一般の方から寄贈されたものを気に入り、それからずっと展示していたようだ。
▼「スモーキークォーツ」について知識
…水晶の一種。色彩は茶色や黒色をしており、煙がかっている。また、パワーストーンとしても有名な物だ。それを踏まえてネットで検索すれば、詳しい情報が出そうだと思う。
調べる
…以下のような情報が得られる。
パワーストーンは数多くの人の元を訪れており、その過程で様々な気を浴びているので定期的な浄化が必要。浄化をすると、石の持つ力はより強力になる。
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スモーキークォーツの効果
・精神の安定
・恐怖や不安の解消
・マイナスエネルギーをポジティブエネルギーに変換 
スモーキークォーツの浄化方法
[ 効果的な方法 ]
・水をかける
・塩をかける
[ 劣化してしまう方法 ]
・太陽光をあてる
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※キーザの効果はパワーストーンとは真逆。そのため、キーザに効果的なのは水・塩。
▼受付の女性
女性は俯いたまま視線を机の下に向けている。近づいてみればスマートフォンでゲームをしているようだ。話しかけると手で端末を隠しつつ、ばつが悪そうに対応する。受付の内側には小さなモニターがあり、そこから防犯カメラの映像が流れている。
・犯行時刻、誰か外に出て行った?
「今日は搬入で一般の人は入れないから、注意深く見てなかったわ。防犯カメラを見ればわかるかもしれませんけど…」
探索者が警察の手伝いをしていると伝えれば、防犯カメラの映像を見せてくれる。
▼防犯カメラ
…正面入り口に設置された一台のみ動いている。犯行時間、織田だけが外に出ているのが確認できる。美術館にお金がないため、他の監視カメラはダミーだという。
【以下、職員から聞ける情報】
・盗まれた作品ってどんなやつ?
…色彩は茶色みがかった黒色で、縦横50cmくらいの大きさ。この大きさではバレずに持ち帰るのは難しそうだ。
・盗まれた時の状況は?
…盗まれたのは11月。特にあやしい人物は写っていなかった。だが、一瞬だけ防犯カメラの映像が強い光で見えなくなる瞬間があった。
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※キーザが有村に乗り移ったときの光。その際、自身の大きさを変えて小さくなっているので、周りからは水晶が忽然と消えたように見える。
 
・美術館について
「10月に美術館の改装工事をしたの。通常なら、作品の保護のために人工照明をよく使うんだけど、玄関ホールにも自然な光を取り入れようって話が出てね。そのとき玄関ホールの天井にも天窓をつけたのよ」
・なぜ天窓の下に水晶を置いたのか
「通常なら水晶に太陽光なんで浴びせたら良くないのだけど、移動中にうっかり太陽の光を当ててしまったときがあってね。そうしたらなんと結晶の輝きが増した気がしたのよ。太陽光で輝く姿がとても美しいからって、あえて天窓の下に置くことにしたの」
その結晶を見に訪れるお客さんが押し寄せるぐらいには好評だったわよ。盗難にあってからはそんなこともないけどね」
・職員に起こった話
「去年の冬に友達と海外に行く予定だったんだけど、私ってばドタキャンしちゃったのよね。飛行機が墜落するかもって急に不安になっちゃって。今は大丈夫なんだけど」
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※活性化したキーザの近くにずっといたため、影響を受けてマイナス思考になっていた。キーザが消えてからは元通り。
「ミュージアムショップ」
レジには暇そうにしている店員がいる。ずっと暇をしており窓の外を見ていたので、この店員から情報を引き出すことはできない。
バイト
「本当は休みなんですけど、今日は学生向けに開けてるんです。警察の人が出て行ったり騒がしかったですけど、上で何かあったんですか?
(探索者の話を聞いて)
それは大変そうですね、警察のお手伝いか…。まあでもせっかくなので、何かお土産に買っていくのは���うですか!?」
商品を見れば、美術作品をグッズに落とし込んだものや、芸術家と地域の特産品とコラボしたパッケージの商品などが売っている。
▼ミュージアムショップの商品
・美術館オリジナルウォーター(500ml)…150円
・絵はがき…110円
・海の塩…500円
・手鏡…500円
・びじゅつかんちゃんキーホルダー…750円
・美術館オリジナルトートバック…1500円
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※商品の解説
水・塩
…戦闘時に装甲を剥がすために両方必要です。NPCからぜひおすすめしてください。
手鏡
…太陽光をこれで当てたりすると、小瀬による攻撃のダメージが倍になってしまう。買わなくて良いものです。
びじゅつかんちゃんキーホルダー
…白い長方形のぬいぐるみに、素朴な笑顔がついたもの。あまり売れない。
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「ロッカー」
細長いスペースにあるロッカー。突き当たりの小さな窓から光が差している。
詳しく調べるには、「池で拾った鍵」が必要となる。
056の扉を開けると、ロッカーに押し込まれた黒い手提げ袋がある。引っ張り出せばとても軽い。中身を確認すると、入っていたのは大量のお菓子だった。スナック菓子やガム、飴、おつまみまで様々。
お菓子の山に目星
…お菓子の山の中にくしゃくしゃになったレシートを見つける。広げれば驚くほどに長いレシートが出てくる。購入した日付は一ヶ月前で、散らばっているお菓子の品名がズラリと並んでいる。
お菓子にアイデア
…チョコ系の溶けそうなものはない。
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※小瀬がアリバイ作りのために用意したお菓子。コンビニに行かなくてもいいように大量に買っている。手提げ袋の中には大量のお菓子の他に、キーザ本体の欠片も入っている。
お菓子が見つかった時を考えて、あらかじめ手提げ袋に忍ばせているもの。
〜水晶の欠片イベント〜 
探索を終え、次の探索箇所が決まり次第イベントを起こしてください。
調べ終えたところで、背後でコロンという音がする。振り返ってみると、小さな結晶の欠片が落ちていた。突き当たりの小窓から午後の光が差し込んで、透き通った水晶はうっすらと輝いている。
よく見る
外の光で照らされているだけでなく、結晶の内側からも光っていることに気づく。結晶自ら光るなんて聞いたことがない。
そう思った瞬間、欠片からキチキチと石同士が擦れる音がする。探索者が危険を感じた瞬間、細長い霜のような形の鋭い触手が
勢い良く探索者に向かって伸びてきた。
DEX×5 または 回避
▼成功
ロッカーの入り口まで逃げると、触手の動きが途端に鈍くなる。雲で日差しが遮られたのだろうか、結晶のある場所が日陰になっている。シュルシュルと触手を引っ込めるとそのまま沈黙する。
これを見た探索者は、不可解な現象に1/1d5 の正気度チェック
次の探索場所へ
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▼失敗
逃げ切れず、触手からの攻撃を受ける。
①触手が1d7の場所に巻きつく
【目、胸、右腕、左腕、腹、右���、左足】
触手に傷つけられた箇所が凍りつくように煙がかった黒い鉱物組織へと変わっていく。
これを見た探索者は不可解な現象に1/1d5 の正気度チェック
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※一時的狂気に陥った場合は以下の狂気に陥る。
「極度のマイナス思考になる or 小さい悩みや不安に思っている気持ちが増幅する」
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ロッカーの入り口まで逃げると、触手の動きが途端に鈍くなる。
雲で日差しが遮られたのだろうか、結晶のある場所が日陰になっている。シュルシュルと触手を引っ込めるとそのまま沈黙してしまう。
▼結晶ができた箇所に塩/水をかけてみる
内側の光が弱まっていく。しかし結晶自体は消えることはない。
※効いてはいるが、本体である小瀬を倒さない限り探索者の結晶は消えない
「展示室1」
探索者たちが手伝った三見高校の作品が展示してある部屋。搬入の時は梱包材に包まれていたのと急いで設置していたので、作品を触ってみたり注意深く見ることはしなかった。
作品全体に目星
…杉内の彫刻が気になる。ぐるりと回してみれば、石膏像の底に細長いすき間がある。
専用の何かを差し込んで引っ掛ければ開きそうだ。
金属の板を使う
…石膏像の中は空洞になっており、そこに新聞紙で包まれた何かが入っている。
取り出すと包丁が入っている。
包丁にスプレーを吹きかける
…ルミノール判定試薬が入ったスプレーを吹きかけ、暗所で見てみるが特に反応はない。(犯行に使われたものではないとわかる)
「展示室6(殺害未遂現場)」
展示室の前には警察と学生3名がいる。各々と話ができる。
※犯人である小瀬が、杉内や織田よりも早く聞きこみされた場合は少し会話をしたあと、核心に迫られるより前に「少し休ませてください」など言い訳をして、他のNPCに聞き込みするよう促してください。
▼織田
・鵜財と絵が似ている気がするけど…
「あいつとですか!?私はあんな人の絵を真似したりしません!」
・誰かの絵を参考にしているのか?
「尊敬していたのは有村くんですね。彼には基礎的なことから、どうしたら良い絵になるのかなどたくさん教えてもらいました。でも、彼の真似をするのではなくて自分なりに落とし込んで描いています」
・写真を見たけど、有村とどういう関係だったのか?
…驚いた表情を見せると、照れた表情で話し出す。
「有村くんとは恋人でした。みんなに知られると恥ずかしいので、このことは誰にも話していません。でも突然有村くんが死んじゃって、一ヶ月経っても気持ちの整理がつかなくてどうしようもなかったから、犯行時刻は庭園に行って誰にも見られないように木の下で泣いていました」
「その写真は、今年の春に遊んだ時に撮ったものです。少しでも元気になるかなと思って…。何に悩んでいるのか聞いたのですが、教えてくれることはありませんでした」
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▼杉内
・有村について
「中学校からの付き合いだった。俺がやりたいことなくて部活迷ってたら、あいつが一緒に美術部でもどうだって誘ってくれたんだよ。俺自身絵は下手くそだったけど、先輩たちにアドバイスもらって彫刻に挑戦したりできた。有村のおかげで高校生活楽しく過ごせてたんだ」
ナイフ��話を杉内に振られたら以下のイベントが起きる
〜杉内のナイフイベント〜
「俺は鵜財をやってない!…だけど」
目隠警部の様子を伺っている。どうやら探索者たちだけに話したいらしい。
「警察の捜査は適当だから、あの警部には話したくねえんだ。…あんたたちは信用できるのか?」
話していいものか警戒しているようだ。
交渉系技能に成功
…杉内の鋭い視線が和らぐ。
「包丁は俺が用意した。だけど本当に殺してなんかいない。鵜財を脅して、話を聞こうとしたんだ。でも見つけたときには誰かにやられてた。
それと…あいつの傷口にもよくわかんねえ結晶ってのがあったんだろ?有村のと一緒だ」
「俺、有村を見つけた第一発見者なんだよ。連絡が取れなくて心配したから、小瀬先輩と見に行ったんだ。そしたらあいつ手首切って死んでて…」
「あんたたちに見せたいものがある。有村の部屋で見つけた日記だ。あんたたちなら、ここに書かれている話を信じてくれるかもしれない」
そう言って、後ろのポケットから小さめの手帳を取り出す。
有村の日記を公開する
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有村の日記
「昨年9月
また賞を逃した。
今回は自信があっただけに残念だ。でも賞をもらえない理由はわかっている。全て自分のせいだ。思いつめないでおこう。
10月
鵜財へ作品を渡しに行った。代わりに金を貰う。これで何度目だろうか。
金が無く、気の迷いで画材を万引きしたところを鵜財に見つかってからこの取引を持ちかけられた。
弱みを握られているから仕方がないとは言え、金のために絵を鵜財に売っていることは杉内にも部活のみんなにも絶対知られたくない。
この生活を続けて良いことはないなんて自分でもわかっている。でもこれ以外に手っ取り早く稼ぐ方法なんてない。
もし置かれた環境が違ったなら、まともに生きていけたんだろうか。
渡してしまった作品も、 いつか自分の名前で出してみたい。
大学の学費を稼ぐまで我慢だ。
 
11月
気分転換に美術館へ行ってきた。
展示物が飾ってあるケースにぶつかってしまったのでヒヤリとした。帰る頃に美術館が騒がしくなっていたけど、何かあったんだろうか。
ひどい夢を見た。鵜財を殺す夢だ。
交わした会話や刺した感触がとてもリアルな夢だった。先輩たちや杉内に話すわけにもいかないので、黙っておく。
(日付が空いて)
6月 
あんなに好きだった絵が思い通りに描けない。美術展が来月に差し迫っているというのに。先月から悪夢を見る回数が増えつつある。全て鵜財を殺す夢だ。頭がおかしくなる。悩みの元凶を殺せと命令されているみたいだ。殺して解決だなんて冗談じゃない。 
最近は窓からの強い日差しで目が覚める。
そういえば、いつカーテンを開けたんだろう。覚えがない。
7月(自殺する前日)
あいつをころしてしまう
そうなるまえにぼくがぼくをころさないと」
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・なぜ警察に見せなかったのか?
「俺はこの日記を読んで、有村は自殺なんかじゃない。
何か別の物が有村の中にいたんじゃないかって思った。だからすぐに刑事にこれを読ませたんだ。
でもその刑事、最低な奴でさ…
『芸術家ってのはみんなどっかおかしいもんだろ。こいつも精神的におかしくなって壊れちまったんだよ』って言って全く相手にしてくれなかった。だから日記はとっさに隠して持ち帰った。
有村は中学の頃に両親を亡くして遠い親戚に引き取られたけど、そいつらは有村の養育費目当てだった。ずっとほったらかしにされて、今まで一人暮らしをしてたんだ。
有村は気楽でいいって言ってたけど、鵜財と取引して金を作ってたなんて知らなかった。
昔から一緒にいたのに、俺は気づいてやれなかったんだ」
杉内は最後に付け加える
「小瀬先輩が有村の体を揺すったときに、一瞬部屋が光った気がした。ちゃんと見ていたわけじゃないから見間違いかもしれないけど」
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▼小瀬
・ノートについて聞く
「部員のみんなが楽しく活動できるように配慮するのも部長の役目なので、ああやってまとめているんです。有村くんが苦しんでいたことには気づいていたのですが、深く問い詰めるのは逆効果だと思って聞き出せませんでした。でも今は、もっと話を聞いておけば良かったと本当に後悔しています」
心理学
…本当のことを言っていると思う。
・リュックの中に大量のお菓子を入れていたんじゃないか?
「そんなお菓子僕は知らないです。リュックの中には、搬入で必要な道具などを入れていたんです」
心理学
…嘘をついているように思う。
・正面入り口の防犯カメラに映っていなかったよ
「僕はこの通り背が低いので、大きな人に隠れてしまって見えなかっただけだと思います」
心理学
…嘘をついているように思う。
反論に苦しくなってきたら、「犯人の特定」へと移ってください。
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「犯人の特定」
探索者が犯人を特定した後、1つだけ行動ができます。
小瀬に塩/水をかける
突然のことに小瀬は呆然として水・塩を浴びると、胸を押さえて苦しみだす。
しかし、一瞬の隙をついて探索者達の間を抜けて廊下のさらに奥にある、空き部屋になっている「展示室5」へと駆け込んで行く。
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※戦闘前に装甲を壊せるチャンスになります。
ここで「水または塩をかける」と、装甲値が半分削れるので残り「7」。
それ以外の行動をとった場合、装甲値は「15」のまま進めてください。
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「展示室5」
探索者達が小瀬を追いかけると、その展示室には大きな窓がありそこからオレンジ色の夕日が差し込んでいる。逆光で照らされた小瀬が振り返れば、肩口から何かが勢いよく伸びる。
それは霜のような触手で壁や床を傷つけると、黒い結晶が凍りつくように広がって部屋の入り口を塞いでしまった。探索者達の後を追いかけてきた警察も足止めされてしまい、部屋には小瀬と探索者達だけが残されている。
小瀬がぽつりと話し始める。
小瀬
「去年の冬、学校の帰り道に有村くんが鵜財に絵を渡してるのを見たんだ。
その後、鵜財が財布からお金を抜き取って、有村くんに渡しているのも見た。
その現場を見て、鵜財の絵は有村くんが描いたものだって確信したんだ。
だって鵜財と有村くんの絵は、違うものを描いていても絵の共通点があまりにも多かったから。
でも僕は有村くんを問い詰められなかった。
もし二人のやり取りを先生に伝えてしまったら、美術館館長が父親の鵜財によって、僕の絵が正当に評価されなくなってしまうと思ったから。
 
だけど有村くんの死体を目の前にして、後悔しか残らなかった。
あのとき相談に乗っていれば、僕が保身に走らなければ、有村くんは死ななかったかもしれない。
有村くんに触れて気づいたんだ。
全部鵜財くんが悪い、彼を殺せば有村くんも報われる。僕にできることは鵜財くんを殺すこと、それしかないってわかったんだ」
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暑い夏の日だというのに、小瀬の吐く息が次第に白くなる。小瀬が呻き体を抱え込むと、露出した肌から凍りつくようにピキピキと黒色の透明な結晶が咲き始める。
知性を持つ結晶体に取り憑かれた人を見た探索者は1d2/1d8 の正気度チェック
小瀬
「ここで見逃してくれたら探索者に危害は加えません」
- 見逃す -
「Bのエンディング」へ移ってください
- 見逃さない -
戦闘に入る。
戦闘終了条件は小瀬を戦闘不能にすること。
【塩か水をかけていた場合の描写】
小瀬の肌を見れば、塩/水をかけられた部分が爛れている。ぜえぜえと息を吐き苦しみながら探索者たちを睨みつける。
装甲値「7」からスタート。
※水を買っていない場合、展示室5に目星をして、スプリンクラーを見つけても良いです。投擲で壊したり、煙を出してスプリンクラーを反応させ、部屋に雨を降らせるなどしても大丈夫です。  
------------------------------------------------------
小瀬 人也(こせ ひとや)
DEX:11
CON:11
SIZ:10
HP:11
攻撃方法(2種類)
○触手    45% 1d3のダメージ
…霜のような触手が伸びて切り裂いてくる。
 切られた箇所は結晶化する。
○押しつぶし 30% 1d4のダメージ
…固い触手を振り上げて殴りつけてくる。
------------------------------------------------------
▼小瀬に勝つ
口から黒みがかった透明の水晶を吐き出して倒れる。探索者の結晶化した部分から輝きが失せ、ゆっくりと煙になって霧散していく。
結晶のあった部分はしもやけのように赤い痕が残っていた。
入り口を塞いでいた結晶も煙になって消滅すれば、向こう側にいた警察と救急隊員が駆けつけてくる。そのまま探索者達は病院へと運ばれていく。
…Aのエンディングへ
▼小瀬に負ける(探索者が戦闘不能になる・見逃す)
小瀬は探索者を一瞥した後、展示室の窓を割って飛び降りた。探索者たちが窓の下を確認しても、そこに小瀬の姿は無かった。
入り口の結晶が急にガラガラと崩れ、向こう側にいた警察と救急隊員が押し寄せてくる。
そのまま探索者達は病院へと運ばれていく。
…Bのエンディングへ
「Aのエンディング」
病院に運ばれた探索者たちは治療を受ける。
体にできた結晶は全て消え失せ、しもやけのような赤い痕が残っていた。医者からは、その傷も数日すれば綺麗に消えるだろうと診断される。
後日、探索者達は事の経緯を説明しに警察署へ訪れていた。警察からも以下のような情報が伝えられる。警察の中に科学や常識では説明できない奇妙な事件を取り扱う組織があるらしく、そこが小瀬の精神に干渉した謎の結晶について調べているらしい。
小瀬の犯行については、情状酌量の余地があると見て捜査が進められるそうだ。
長い拘束から解放され、警察署の正面入り口を出たとき、探索者のうちの一人に電話がかかってくる。
電話口から聞こえる声は描本だった。
描本
「変な事件に巻き込んじまって、本当に申し訳なかった。体調の方は大丈夫か!?」
(会話した後)
「そうだったのか…。ああ、今日電話した理由は他にもあって、お前らに直接���礼したいって生徒がいてさ」
描本が言い終わるのと同時に、電話口からガタガタとスマホを持ち替える音が聞こえ、声の主が変わる。
杉内
「探索者さん達大丈夫っすか?
あの事件ではお世話になりました。
…あの後、鵜財の野郎が一命を取り留めたんで、小瀬先輩も殺人犯にならずに済みました。先輩はしばらくの間、気持ちを落ち着ける時間が必要らしくて、病院で治療を受けています」
「それともう一つ、探索者さん達に伝えたいことがあって。あの後、油絵の修復家に有村の絵を直してもらったんです。
そうしたら、あの暗い絵の下層から別の絵が出てきたんだ。その絵には美術部のみんなが…、小瀬先輩と織田先輩と俺が笑ってる絵が描かれててさ。
それ見て俺、有村のやつは最後に描きたいもん描けたのかなって思ったんだ。黒い絵の具も、絵を傷をつけないようにあえて塗りつぶしたのかなって。
あんたたちが来なかったら、あの絵の存在にも気づかなかったし、小瀬先輩もよくわかんねえヤツに取り憑かれたままだったかもしれない。付き添いに来てくれたのが探索者さん達でよかった。
本当にありがとう」
杉内は描本に電話を代わる。
描本からも以下のような話を聞かされる。
鵜財は有村の弱みにつけこんで格安で彼の作品を買い上げていた事、父親に頼んで、美術展の審査で自分の作品が優位になるように不正を行っていたことを白状した。今までの受賞経歴も見直されるらしい。杉内と織田は有村が残した絵と一緒に部長の帰りをゆっくり待つそうだ。
彼らは探索者の懸命な捜査によって救われたのだ。
[san値回復]
1d10
[結晶ができた箇所]
数日できれいに治る。
「Bのエンディング」
探索者は病院で数週間の治療を受けることになる。事情を聞いた描本が二人の見舞いに来て、「事件に巻き込んでしまい、本当に申し訳なかった」と詫びた後、その後について語る。
運び込まれた鵜財は一命は取り留めたものの、意識が戻らないということ。
そして、小瀬の行方は誰もわからないという。医師からは、結晶に変わった箇所の治療法がわからないと言われた。取り除こうにも結晶は恐ろしく硬く、傷一つつけられないという。
探索者達はあの日以来、突然不安に苛(さいな)まれる瞬間がある。しばらくすると落ち着くが、いつか自分もあの時の小瀬のように
行き過ぎた行動をとってしまうかもしれない。それでも、この結晶と上手く折り合いをつけて生きていくしかないのだ。
結晶はあなた達の体から消えることはなく、今も内側で不気味な光を放っている。
[san値回復]
1d5
[後遺症]
消えない結晶体
…時々恐怖や不安に苛まれ、感情が不安定になることがある。キーザに触れられたことによるものなので、別シナリオでキーザを倒すか眠らせるかすればどうにかできるかもしれません。
~~~~~~~~~~~~~~~~
▼あとがき
この度はシナリオをお手に取っていただきありがとうございます。初めて作ったシナリオのため、色々抜けているところがあるかと思いますが、説明されていない細かい部分はKPさんの考えで進めていただいて大丈夫です。改変はしていただいて構いません。大きく改変する場合はPLさん達に改変していることをお伝えください。
既存で遊べるシナリオになりますので、この探索者さん達が探偵っぽいことやってるの見たいな〜という時にでも遊んでいただけたらとても嬉しいです。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!
シナリオ製作者:みみみ(@trpgnomimimi)
0 notes
n0-l · 5 years ago
Text
2019.07.09
7月6日、幸せな気分になってそのあとなにかできるんじゃないかって思ったから! でもしにたいなと歩きながらスマホにメモした。 17時、海賊酒場バッカニア、コロナビールの瓶のネック部分を4本の指で持ちながら、飲んだ。 その前、池袋マルイに行った。おそらく7Fまである、上から下って行った。薬局に入った。地元の友達五人と飲みに行こうということになっていた。 どんな効用があるのかわからない試供品であるフェイスクリームを一人の友達が僕の手の甲に塗った。薄緑色の液体が過剰に飛び出て、両手の甲で合わせこすったらペンキで塗ったようになった。それを顔に塗ると泥パックみたいになった。白塗りの歌舞伎役者かよと思った。みんな笑っていた。愉快であった。そんな風にして薬局を練り歩いていると、一閃、やはり商品が欲望を持っているのだ、ある薬品、友達はロキソニンを探していた。ある薬品が頭の中を通り過ぎた。その薬局にいなかったら思いもつかなかったことだ。だが買わずにみなと下に降りて行った。友達もロキソニンを見つけることはできなかったのかそこでは買わなかった。 予約していた17時が近くなったのでバッカニアに向かった。そこで小さい薬局を通り過ぎた。まだ17時になっていなかったため、店のビルの前で逡巡していたから、友達に「ここならロキソニンあるんじゃない?」と言って、その薬局に入ることになった。僕は先に見たマルイの薬品と頭の中で随伴した状態であった、だが買わなかった、しかし、友達が出ていくと、急いで一人で引き返し、どうせ場所はわかっているのだから、僕はレジの後ろに並んでいた薬品を買うことにした。水も。そして店員に肝臓に効く薬を聞き、肝臓水解物とサイコエキスが入った薬品も買った。友達から「〇〇バッカニアきて」というラインが来ていた。僕はこれから酒を飲むから、その肝臓に効くサプリをだけを買って来たという風にその薬品を友達に見せながら店に繋がる地下の階段を降りて行った。そして僕は席に着くと、すぐさまトイレに行き、買った水とそのコデインの含まれている薬品を貪るように一気に飲んだ。その薬品の瓶と酒を一緒に写真で撮りたかったため、少しだけ残しておいた。席に座り、酒を頼み、酒がくると、そそくさと友達にバレないようにその酒の瓶と薬品を一緒に写真で撮った。それから84錠の薬品は空になった。瓶をすぐさまカバンに入れた。 コンセプトに合ったクラシカルなデザインをした女性店員にオススメの酒を聞いた。友達が「ここはラム酒じゃない?」と言うから、「ラム酒だったら、甘いのとか飲めます?」と言うから、「飲めます」って言ったら、「マイヤーズダークラムが好きなのでそれでいいですか?」と言うからそれにした。腹のなかには薬品が入っているし、ガバガバ飲むということはしなかった。その店の予約していた時間は19時までだった。薬による著しい気分の変調というものは見られなかった。店を出て、夜の池袋を徘徊した。二軒目に行こうという話だったが、土曜日ということ���あって店がいっぱいだったため、とりあえず地元に帰ることにした。歩いている時、ゆれるの0.03が頭の中で流れていた。
1943 ただ一人きりだ。ただ一人! 効いてない!駅のホームで友達にお腹を突っつかれて太ってるじゃんと言われても気にならない。なぜなら一人きりなのだから 嬉しいね、集団の中にいながら、一人きりだ
2048 電車の中で僕はカナル型のイヤホンを耳にいれ、ゆれるの0.03を聴いたが、何か違った。言葉は原理的に空虚な音で、その機能的ではないシニフィアン(音の連なり)の連鎖によって意味が形成される、超自我によって規定されている言葉だが、薬と酒の作用にて、超自我を修正する作用が働いていたような気がする、その中で、僕は符合するとにかく意味を持たないような音楽ジャンルであるアンビエントを聴いて目を瞑ることにした。少し気持ち悪さを覚え、それは吐くまでに至らない微小の吐き気なのだが、僕は座席に座っている男にこの気持ちが伝わってくれ、とにかくその座席に僕を座らせて欲しいと思った。そこで大宮でその男が降りたので僕は座席に座り、寄りかかり、目をつぶり、空虚な聴覚風景に身を委ねていた。
ひょっとしたら楽しい瞬間はここかもしれぬ 失いたくない みんないっしょ 喋らない 楽しい 全てが 溶解するこの空間に 返事も返さない返さなくていい この瞬間において自由だ! バシンスキありがとう もうつくのか また池袋からスタートでもいい 何回も シニフィアン状態だ 中央自由道路にて つなぎとめて死ぬものよ わりと不幸な
2128 地元に着くと、声がかすれていて、友達が「寝起きで声ガラガラじゃん」と言って来たが、それは明らかに薬によるものだった。パブか、相席屋にでも入ろうということになったが、パブは満席で30分ほど待つとのことだった。相席屋ならいいや、と一人の友達が言ったので帰るか、ということになったが、一品300円の居酒屋に行くかということになり歩いていたら、キャッチに捕まった。そこで話をしていると、友達が居酒屋の店の前にいる、同級生の女性と話をしていた。その女性は二人組で、一人の女性は学校が一緒で知っていたが、もう一人の女性は知らなかった。その学校が一緒の女性の友達の知り合いということで友達になったらしかった。話し込んでいると、その二人組も僕らが一緒に行く店が目的らしかったが、その店はいっぱいだよと伝えて来た。彼女らは天の川を見ることが目的らしかった。そこで、僕らは急調子であるかのようにその女性二人組と共に前の店に入ることになった。
ここで僕は狂うよに、自分の思いついた言葉、なんの関連性もない想起の断片をただただスマホのメモ帳にメモしていった。 あらゆる存在は関係存在だという。「並存としての他在と継起としての他在とがある。 意識は少なくとも、主体と客体と並存、つまり空間次元における他在���前提としている」と、ヘーゲル関連の本に書かれていたように思う。 「他のものであることの意味にも用いられているが、 とくに、或るものがその本来の姿でない形で存在していること」=疎外 「疎外感とは自己自身の志向性や行為が疎外されている過程に自己が囚われている時の感覚(反精神医学 クーパー)」 物理的な公共空間でみんな楽しく喋っている中で僕は押し黙っている。楽しく喋る、それは瞬間的なものだ、僕はスマホの中のメモというテクノロジーという持続性の中にいる、テクノロジーは持続性を実現させるように設計されているらしく、それは異なる種類のインタラクションを可能にするらしい。他在=自分ではない自分、のもとで自分自身のもとにいることこそ生きる目標というが、或るものがその本来の姿でない形で存在していること、僕のここでの本来の姿とは84錠の空き瓶だった。84錠の空き瓶から出た尊詠、書くこと、それが自分自身を見失わないこと、今、書くこと、様々な線分の交錯の中で書くこと、とにかくスマホにメモを打ち込むこと、空っぽな瓶から出た空っぽな言葉を書くこと、それによって保たれる平衡状態、見つかってはならない、書くこと。書いた言葉を載せるが本当に意味がわからない。僕は一つの断片を書き終えると、すぐにスマホを置き、また数秒も経たないうちにスマホを取り戻し、打ち込むという行為を何十回も行った。僕は相変わらず酒を飲んでいるが、量の少ないワインを飲み、酩酊発作など起こるはずもなく、ただただ理性的だった。友達たちとは、午前3時くらいに解散した。
錯綜する読んだ日よ 自分がわからなくなることがない 菊を売る 得る 帰るかという声 忘れようと思う 欲望はただ一人になりたいということ ただ自殺の日は欲望 レベル2の要素 そうかいのきおく 欲のレベルの記憶 記事書きは異邦人 夜の歯 たしかに青はなく 自分の容姿などまったく気にならない 石剣 これは、これが後悔する日はくるだろうか セルガン工房 ドミートリー ただ言葉だけがあり、そこに意味はない あ、空虚だ! 僕はこの場において眠っている タバコの煙を肺に入れてないことがわかった
2230
この時間が永遠に続けばいいのに インスタの話 僕はここにいない アーカイブとしての自己 私であるとはどういうことか xxをやることにより重なる 自分が自分に ラブラブラブ 腹が動いてないタバコを吸うとき もう二度とこんな体験はしたくないが 今がいまだ 連合解体 なにもかも思い出せる 月並みすぎる会話 見せて あぶなスマホがとられたのかと思った 死にたいことが起きるようだ ただ文脈だけがあり、意味がない レベルの中になにもないことに 明け方サイファ なんでこんなにみんな喋れるのだ? 喋ってなにが楽しいというのだ? ぬいぐるみを買い、飾るのが楽しみな友達よ タバコももう吸いたくない 懐古 ハイタッチをするおまえらよ レベルに酔うアヤワスカよ もはやここに価値なし 冷凍放送 アルトーの層 かいげきしんこう 憎きメルベー コートラせんじゅうし エンジェほしか なんでこんなに意味のない言葉を記録しなければならないのだろう? なんでそれでいいのだろうか? 日常が吹き飛ばされた 既存の生活がいまない まるで虫 僕は気持ちが悪い 誰からも相手にされないされない 黙ってたほうがさわやか ろっけんのほうそう 人との会話において、ヨーゼフKしか言いたくない らきこ ニコ先 なんで価値がないことに必死に!? 手が震えいるが全く気にならない 自意識がない 「なんのために」 すごい!全部この���題だ。 おれは解釈されズタズタに解体 それでしかない レクス2の8 もう2時間半!? ソレルスの数、読みたい ジズー六個 もうすぐ意味を付与強烈な付与が来る 実存はいい しかし、ほんとに一人になったとき 10匹のクマ せくろく 情報は虚しい 強迫意味付与社会 りくろくのガーナカルチャー なぜ酒を飲まない?馬鹿か? すごく楽しそうにいられる能力? これは消えるのに?いま消えているのにか? 金森まりあ 見ちゃった。 もう会わなくなる人よ? 海ぶどうのしょっぱさをワインで消す 馴染みの味 あ、これは意味のない言葉だ すごい疎外 あいくおおがえし 私はでぶ ギンズバーグアレント アルギスの戯れ 天井を見て煙を見ることで自分を客観視できた 女の子というくくり レクスは死に、僕もしぬ 全ては客観的なもの 裁きを 眠りよ 自己嫌悪の涙よ トロント 頭の中に何回も出てくるからメモするしかない 本質は変わらない 会話において出てくる言葉、それが印象づける、それが空間になき主観を発生させ、発見する雪のように降り、領土を作り、増やし、溶け、落ち、死ぬ レベルにおける感興の踊りよ 落ち、町田に記憶を変える レクスも出てくる 全ては耳打ちのそばに レベルにおけるかんそうの怒りよ ただただ酔っ払いを、放っておく テキーラを乾杯して飲みほすもの 私を見て私を無視する友達よ 私はただただ酒だ マイスリーと酒 私の友はこれ 幻覚者 僕はただものではない 怒りはただメジコン以外odしない メジコンが最強 レベルにおける三角よ お、パーカー レクガン 二面のこうかく けびれば 寝たら怒る6人が 外在化された魂と自己疎外の問題! うおあ!うおあ!うおあ! やったぞ! レベルにおけるさんた目録 地面タクス 紅茶の香りか 軽いガラス キューバリブレ挟まないと飲めないから ああなるほどねと一度きりの女 まるで人生よ 発汗する幸せよ かぎりなきれんごうこうきゅう 哲学塾における投げ出された顔 アルバス600 やたら数字が出てくる 永遠に終わることがないが早く終わってほしい ホワイティレインボー プリチャンをユリカと見ていたときよりまともで硬直だ ガラム、舌の刺激 素晴らしいガラムよ 限りないるはん れんじょうさくげきよ 言葉の強度の平坦化よ たらい回し編 レベルにおける カンサーよ にげんむげきよ さよならよ 記憶よ ピースフル6よ 中しぃからの連絡よ オルデレス 会話に意味がないから会話しない 沈黙ではない沈黙よ 夢を食う歯ぎしりよ 夢に来る。あ!全てが無理になりそう ふときた レベル9 ただならぬスマホの箱 蜃気楼 俺を疎外するな!享楽社会論よ! マイスリーは全てを癒す 素晴らしいなにもない無言な私よ レベルの二撃よ 指を動かするはんの光よまさにレベルよ かいそうの喜劇よ フリ倒される私よ 地面に落ちてしまう! コカレロを飲み干しガラムを吸う 私よ レベルのなくよんさよ 激しく慰め私の返しよ りくげきの賛歌よ レベルなきためしがき 和らいだ歯 死ぬ妄想 どれだけなにを飲んでも酔うことはない そしてわたしはここに 出る?悲しい言葉 xxを買ってよかった タバコを吸うたびまぶたが落ちる落ちそうになる機先を制するわかるか?僕は帰りたくないから帰らないのだ一人で このbgm充電器、その言葉を聞いて安心した 長崎のよ ツイッターみたくない 既存の生活だからさ なにも伝わらないから自分だけに伝えさせるのだ レベルのユーカリよ きみのなかにある全てが価値 レベルのよくげきよ 反撃の無プールサイド トラップカード発動��った
独軍 毒蜘蛛タランテラ きみのなかに徘徊する勇気の言葉よ 神楽坂駅 なやめ 記憶がねえや くっさ レベルの道よ街よ! ふわふわしてたら僕はいまここにいるのか?と思えてきた レベル2の蜂 ツイッターは開かないよ!理由は詳しく説明できないけど レッドゴー 眠らないようにスマホを取り上げる エフェドリンが効いてるのだろうなあ
0129
これは違う 前の時間だ なにも辛いことなんてない バシンスキが一番いいよ ダルトー もう4時間!? 吸うと火花が見える 私はいえにかえり、やっと目を閉じる それが至福の時間だ 目をつぶらないという役割を付与されているやったあ役割だ 青柳の春よ レベルxの胸像 自殺ちょーしたい 究極系の自己疎外だね どこで働いてるの? 文章に価値をつけるため、聞いた 僕にはないから ツイッターに呟いた瞬間全てが嘘になってしまう 年少解雇がよく笑うよく笑う 赤いキティできるだけ情報を xxの瓶を転がした 僕は何回ガラムを吸うんだろう 家に帰ってチェの一本を吸うとき… 219に解放 歩きの会話の脳内の音楽でかきけすが どっちみちバシンスキ エスカレーターの下 幸せは消えていく また意味を喋らなくてはならない 風呂には絶対に入らないバシンスキを聴いて目を瞑るやっと目が瞑れる はやくトイレ終われ 僕は暗闇に
0316
これ、これが最高なのよ フルニトラゼパムを飲んで後は寝るだけ 他の奴らは横浜だろうがはははは 声が鳴り止まない
0444 ねれない。俺に全てを任せてくれ 俺以外全員一端の人間なんだが 涼しい風よ吹く かゆい^_^ 雪よ てすかよ 長い狂いよ やっぱりバシンスキを吸おう ジオラマ模型もある 考えなかった 根幹がいない
0521
孤独だ 解釈かれ解体された残りカス 俺はこれからどう生きていけばいいの おまえはワンタン俺は適当に、
0530
猫の鳴き声 バシンスキも消した。僕は僕と一人きり わけのわからないものを作り、外在化させたい きょじんたちぜろ はるき?エレベーターで? 白い空 思考が再生これを切るためにはそれを書くことだ いつぶりだろう?この格好 昨日のこと思い出す ただいまおかえりなどと言ってもここは居酒屋ではないし返事もない 笑い声やりたきゃやってんだよなと 蛇だ蛇がいる 用意できましたらくらんボタンはは
0600
細切れに意識落ちる、だがねれない 自分の身体やたらと触る 後悔しかない。また通常意識に戻りました 既存の生活それがなにより耐えられない うるせーと猫にあたる父忘れてた幻聴か なにものみくいしたくない はははプリパラの地下見るよ 蜘蛛がいる バーモルサ
0631
加速か沈黙か 自分は醜い、がゆえの寵愛 カーテンがゴミ箱のビニールに触れる音 僕は醜い 別にネットにあげるわけではないのだから
0647
行ってらっしゃい
おはよう
遅かったね
楽しかった?
なら良かった
慟哭の地獄よ
0717
悪意はない 全くない
0732
もう言葉もでなくなりましたか
1001
博物誌とはなんだったんだ、ソネーズ レベル9のなくしんさよ
1153
動けない。動けないのが心地いい。半睡状態
1228
幸せだ、なにもしなくていいんだもん 幸せだ、適度に眠い
2100
ずっと寝ていた 爆竹の音、内臓に響く クズの本懐で二人が分かれた意味 疲れてんだよ、実際のところ また飲もうってよ 俺はいまただ眠いよ
「いつ俺の存在に気づくのか」
人生に倦み疲れたものが集まる場所…
そこでは膏薬が…
存在を発見されなかったもの…
頭が壊れちまいそうだよ! 俺はただ強迫を感じたくないだけ そういうところ嫌なんだよねと言われるやつ
0015
しまわれてるその舌で目を舐められ、すぐに洗った
0059
大変なんだ��って無意識に口に出した
0332
まさか一日中倒れてるとはな 自分の身体にある小さい小さい部屋に入って出られない感じ マイスリーも飲まないすぐ寝るだろうし なにも行動ができない 肝臓を疑うつらい外部が辛い脅威だから 異にする辛い 腹が鳴る一日中なにも食べてないからな今日も食べないだろうなにかを口にすることが罪責を促す 疲れてんだよ人生にほんとに疲れた 求めてるのは変性だけ 髪が長いし清潔感ないデブ なにも載せるな混乱の銃器よ 正常な細胞が脂肪に置き換わる つらい、寒いな 他作品を見てたら気持ち悪くなってきた 雰囲気を作れ雰囲気を もっと光を少なくしたい
加工せよ軍隊よ
ズボボボボという音楽なんだっけ ケッテルみたいな人が出してた気がするけど なにもすることない ただただ外界が怖いよ外界に自分がいることを意識するのも怖いよ酒が飲めないよ畜生変性は?変性は?変性は?変性は? メジコンodとは違った良き倦怠感だが それはもうしにたいよ 一番意味のない行為 でも割れてるじゃん わかった!
0543
かゆいから掻いている副作用だ 猫が前に来たので抱きしめた 思い浮かべてた映像がきえた
0636
猫の声でかき消された 猫を見るとほかのものも生きてるんだろうなあと感じる
0738
きらきら いい笑顔でした さよなら アニメイトの話?ローソンあるよって言われている誰に? さくやさんのあれを捨てたのは確かに悪い 作業している犯罪者 夢のxxは俺を拒んでくる 一緒のクラスなのに あまり美人とは言えない顔 教室に友達がいないが、〇〇ってよくない?と同調したりしている 俺が話しかけると俺が俺だとわかるみたい 四人の女の子から本気で無理と思われている 施設制度分析 涅槃よ え?って思う もう学校も終わるから学校にきてみたが 君は人のこと差異化の手段としか思ってないのか
1016
強迫に見つかった
1028
深刻な鬱だ… 外界がつらいんだ 精神はまだ安定しているかもしれないが、 外界に触れるのが嫌になってきた… あああの穴の空いた石壁!あのときはもう二度と来ない!そしてなんて気持ち悪いんだろう! グループラインのトークを見返してる… 病ませてはくれない… 存在→空の薬品の瓶 みんな仕事か笑うわ なにかが終わりました 薬を飲むことくらいしかやることがないです 本を読むかなんだか泣きそうな気分になってきたな 全人間に否定されている 無だ…こわ… どこでも自分自身となれない。だから作品を書くことだ 今となってはなにもつまらない 酔っ払ってるxx、君みたいな人がいい
1130
だめだ、動くと四肢がはちきれそうだ ツイッターに埋め込まれている画像を見ることとそうでないこと 内面化された規律が���しすぎたxxちゃん メードザン 放射させること、できませんでした ゆれる0.03を聞いてるとき 自分のツイッター見てたけど寝てるなこいつ、抑うつだよ
1141
苦しくなってきた つらい 気力がない なんか食べて気分変えるか なにかすがるものあるか人物? 感情が消えた ゆでたまごとジャガイモとわかめとたまねぎの味噌汁を飲んだ氷はうまい 穏やかだ穏やかすぎるほど穏やかだ しにたいしにたい
はやく!はやく家から出ないかなあ 一人になりたい
1245
また目を瞑る、これしかできないつらい
1532
情報 インプットとアウトプットしかない
1825
夢の中にまた魚。助けを求めるかのように叫んでた、多分現実でも。魚がいておぞましい感触がある。安定剤服用。直近の夢の内容を思い出せず。 生贄。システムへの懐疑。まだ解釈され解体されている、自分の作品を持たない限りはずっとこれだ。早く治療しないと。また寝る。精神を保てない。 多層。xx、四階のマンション。 xxにプレゼント送ったことあったよなとまどろみの中で。しかしそれはxxがどういう反応をするか、想像することでそれはないとわかる。声によって 言葉に触れるのも嫌で、 まじで疲れた pupgやった、やられるタイミングの美学 俺はなにをしているんだ とにかく疲れた 酒を持ってきたが飲む気にならない
0220
pubgまち、天海春香しね 三階のブランコでずっと とにかく外部に居座る 外部に居座る 三階の霊的なもの たがわから連絡きてたがいくらなんでもおそすぎだろ 寝てることにしよう 頭蓋を差し出そう しろいもの とっちゃいなよ くろいもの、つけじるにつけて ピンクのもの れいします いつまでも絡んでくるアメリカ なにするの? 修行を 集団に修行なんてないんだ、思いよそのげんきょうよ
0449
なんでこんなに寝ちまう 風呂も入る予定だったのに もうどうでもいいや全ては虹色へ 頭の中がいきなり切れて誰かに対して申し訳なくなる
0602
私も傘が吹き飛ぶほど喜んでしまった メキシコのサイトを見ていたら私は私であることが困難で、今までの私が否定されてくる この上なく精神不安定なので安定剤を飲んだ 僕は今日これからなにをすればいいですか コデインビール228 住み込みで働くところから物語は始まる? 薬物で幽体離脱するスレとメキシコ旅行のサイトを同時に見たらつらい しにたいしにたいつらい。つらいくるしい お願いだから助けてほしい オペラ?コンサート?美術館?まるで興味ないしにたい モンテベルデ雲林保護区 息ができない。白ワインを持ってきた 全ては想像のために想像が全てを作る 些末なことで思い悩む人生やめたいがそこに文学があるの�� 銃使うか、どうするか あー俺はどうすればいいのだろう 今日はなにもしなくていいか まあ思想として扱うのはガタリやラッツァラート、ビフォなんだけど 人々に睨まれている 想像に対しては意欲的にならないとだめだ 俺はなにもかも自分でやってきた、それだけは誇れる、失敗はしたが… サンホセ・デ・パシフィコ メキシコに行っても物語が書けなかったら意味がない。本当にそれは意味がないから 山間の小さな集落を舞台にしよう! 反動。結婚式の反動。なにが楽しいのだ 強迫、他者、それが喜びなのだが、苦しみのが大きい。 政令によって僕はメキシコに行くことができる 僕を自分が不幸であることを見せ付けなければ、それが僕なのです。作品を。プリチャンを。 ツイッターでの自己発信、脳髄をツイッターの形式に入れ込むということ 中枢神経系だけよ 既存意識にいることが多すぎて超意識は排除される
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y24klogs · 6 years ago
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白そびえる鎮魂町
秋の月末に町をあげての祭をやっていたのは、 鎮魂を謳う町。白がそびえる、死を隣にする町。
町の周りには、南瓜やぶどう畑が広がっている。 辛気臭いわけでは無いが、牧歌的とも言えない。 人が集まる忙しい場所という訳でもないのに。
今、空は赤味を残している。夜も近い。 ・・・さあ、行ってみようじゃないか。
町の中心部へやって来た。 蝋燭と蛍鉱ランタンで彩られた広場だ。
薄暗くはあるものの、足元は見える。 普段ならば避けて当然の灯りの弱さが、 今は、亡くした何かの安眠を誘うものだった。
それはただただ、白かった。 ぬっぺりとした、無機質な存在感がある。
特に美しい細工が施されているわけではない。 せいぜい、根元に飾りが施されている程度だ。 ヨルド : ……
それなのに、何故だろう。 つい、見てしまう。見上げてしまう・・・。 ヨルド (凝視している。) 【売り子くん】 鎮魂の町へようこそー!! お菓子やスナックはこちらで売ってるよ! 取引をしました。 15ルド失った。 [サラダ・ボウル] を手に入れた。 [レンガ・ブラウニー] を手に入れた。 [干しエノキ肉] を手に入れた。 ヨルド (色々買ってしまった。つい) ヨルドは、サラダ・ボウルを使った。 ぱりっぱりのヘルシーという概念。    ヨルドは4回復した。  ([1]+3) ヨルドは、干しエノキ肉を使った。 アゴが割れても当店は保証しかねます。    ヨルドは5回復した。  ([2]+3) 【売り子さん】 いらっしゃい、弔いにようこそ。 お腹を満たすものをお探しかしら? (視界の隅に、なにか)
少し先に、酒場が見えた。 腰を落ち着けて飲むのも、良いかもしれない。 ヨルド (ふらっと酒場に寄った)
酒場内は、流石に明るかった。 薄暗さに慣れた目には、強く思えるほどに。 ヨルド : うぐ ヨルド : まぶしい・・・ 【酒場の主人】 ・・・いらっしゃい。 うちは、そこまで品ぞろえが良くねえんだ。 あんまり難しい注文は、勘弁してくんな。 ヨルド : ああ 【酒場の主人】 ウチの名物といやぁ、そうだな・・・。 揚げたカブと、ブラックエールくらいなもんだ。 ヨルド : それで 【酒場の主人】 じゃが芋揚げろっつぅんなら、そのくらいは出来る。 アイスは出せるが、パフェ?とかいうのも無理だ。 ヨルド : 構わん。 【酒場の主人】 ・・・んま、名物���聞くってこたぁさ、 なんか注文してくれんだよな? 【酒場の主人】 ・・・いらっしゃい。 うちは、そこまで品ぞろえが良くねえんだ。 あんまり難しい注文は、勘弁してくんな。 【酒場の主人】 依頼?あんた冒険者か、賞金稼ぎか? こんな町に大きなモンは転がってないよ。 ヨルド : そうか…… 【酒場の主人】 妙な現象とも仲良くやってきてんだ。 除霊だの、物騒な事は考えないでくれよ。 ヨルド : わかった。 【酒場の主人】 ・・・いらっしゃい。 うちは、そこまで品ぞろえが良くねえんだ。 あんまり難しい注文は、勘弁してくんな。 【酒場の主人】 ・・・嫌いだよ。大っ嫌いだ。 こんなに思い出の詰まった町はねえ。 ヨルド : そうか 【酒場の主人】 だからこそ、ここで酒場やってんのさ。 親も友人もツレも、みんなここで寝てるかんな・・・。 ヨルド : じゃあな
町の中心部へやって来た。 蝋燭と蛍鉱ランタンで彩られた広場だ。
薄暗くはあるものの、足元は見える。 普段ならば避けて当然の灯りの弱さが、 今は、亡くした何かの安眠を誘うものだった。
人気のない道が続いている。 喧騒から外れた、この町の墓場への道だ。
目ぼしい灯りも無い、町の墓場。 この土地だけではない人々も、共に眠るという。 ヨルド : …… ヨルド (墓石には見慣れない名前が並んでいる。) 自動スクロールを解除しました。
広場へ戻る? 自動スクロールを有効にしました。
町の中心部へやって来た。 蝋燭と蛍鉱ランタンで彩られた広場だ。
薄暗くはあるものの、足元は見える。 普段ならば避けて当然の灯りの弱さが、 今は、亡くした何かの安眠を誘うものだった。 自動スクロールを解除しました。
この先を行くと、町の通りに出るらしい。 少し毛色の違う店があると聞く。 自動スクロールを有効にしました。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。
桃色と蜂蜜色が混ざった、花のような龍のはく製。 さほど大きくはない。3mあるか程度の身体だ。 ヨルド : ・・・
片目は龍眼そのものが残っているが、もう片方は宝石だ。 出来るだけ同じ色であるようにと、苦心されたのが察せる。 ヨルド (目が合ったような気がした)
この死体は愛されている。 誰が最初に、愛し始めたのだろう。 【鎮魂の教会】 青を基調としたステンドグラス。 にじむ蝋燭のひかり・・・。 【盲目のシスター】 ・・・おや、お客さんでしょうか? わたくし共に出来る事は、少ないけれど。 どうぞ、ゆっくりしていってくださいね。 ヨルド : ああ 【シスター】 静謐の教会へ、ようこそ。 ・・・男のわたしがシスター服は、まあ目立ちますよね。 ヨルド : ?そうか 【シスター】 この教会では、性別の垣根なくシスターなのですよ。 身は神に仕えし器。男も女も、色の違いでしかありません。 【シスター】 植物はとっても素直です。 この辺りに植えてあるのは、全て薔薇ですけれど。 【シスター】 広場の方から、花園にいけるのはご存知ですか? 我が教会も世話の一端を担っております。 ・・・是非、見ていってくださいね。 ヨルド : そうか 【シスター】 お祈りですか?それとも、呪い避けでしょうか。 怪我があるならば、微力ながらもお手伝いしましょう。 【シスター】 では、ささやかながら清めの祝詞を。 ・・・その後に、聖水に手をつけてくださいね。 ヨルド (じゃぽっ) 【シスター】 ・・・この辺りでは、あまり見ない方ですね。 落ち着かぬ事もありましょう。せめて肩の力を抜いてください。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。 【惡喰の蟒蛇】 あくじきのうわばみ、と読むらしい。 濃厚なスープの香りがする。 【惡喰の蟒蛇】 どうにも、特殊な食事処らしい。 ���人を選ぶ内容です。ご注意ください) 【ア・ルヴィーシカ】 (店主の顔は非常に見づらい) (店主はただただ、灰汁を取っている・・・) 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・あん?ああ、すまんな。 喰いに来たのか?それとも提供か? ヨルド : 食いに来た 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・今日はアリアヴィル。 アリアヴィルのスープ。 ヨルド : アリアヴィル? ヨルド : 頼もうか。
店主は黙ってキッチンに籠る。 ・・・しばらくして、あなたの前に食事が置かれた。
深皿に、沢山の野菜がはいったスープが盛られている。 ・・・あなたは、それが根野菜のみだと気づいただろうか? ヨルド : ん。
明るいところで見れば彩も悪くはない、そのスープの奥。 野菜に埋められるようにして出て来た、小さな骨つきの肉…。 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・今日はアリアヴィル。 アリアヴィルのスープ。 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・今日はアリアヴィル。 アリアヴィルのスープ。 【ア・ルヴィーシカ】 それで、何のご用かね。 うちはそこまで飯は豊富じゃないよ。 【ア・ルヴィーシカ】 その日のスープ。それか、ステーキ。 どっちかだよ。そのどちらかしか、無いよ。 【ア・ルヴィーシカ】 材料を持ってきてくれるヤツ次第なんだよ。 そいつがどっちで喰いたいかで、メニューが決まるのさ。 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・何の肉か、だって? 誰かが愛した血肉さ。愛しくてたまらない何かだ。 ヨルド : あ ヨルド (食べちゃったな。と思った) 【ア・ルヴィーシカ】 それで、何のご用かね。 うちはそこまで飯は豊富じゃないよ。 【ア・ルヴィーシカ】 最低限の灯りだけにしてるんだ。 当たり前だろ。・・・喰う時は静かにするもんだ。 【ア・ルヴィーシカ】 誰かの情と年月の詰まった肉を喰うんだ。 派手な灯りなんか必要ねーんだ。 【ア・ルヴィーシカ】 それで、何のご用かね。 うちはそこまで飯は豊富じゃないよ。 【ア・ルヴィーシカ】 死んだ動物を卸してくれる事さね。 一応、人間は避けてるよ。一応・・・ね。 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・愛おしすぎて、離れがたくて、 自分じゃ燃やすことも埋める事も、出来ないヤツ。 そういう苦しみを、誰かの胃で片づけるとこだ。 【ア・ルヴィーシカ】 大事な者の死を、食べて受け止めるヤツもいる。 血肉とすることで前に進めるヤツも存在する。 そういう思いにすがるヤツだって・・・。 【ア・ルヴィーシカ】 ・・・気持ち悪いと思ったなら、向いてねーから。 主義が違っただけ。普通の店を紹介してやるよ。早く出な・・・。 ヨルド : そういう風習もあるか。 ヨルド : どうも。悪くなかった。たまには来る。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。 【ナイン・ソウルズ】 扉には鎖が交差していた。 鎖の中心に、絵筆がぶら下がっている。 言わんとすることは、分かる気がした。 【アトリエ・死生】 あなたを迎えたのは、画材の詰まった棚だった。 絵筆、彫刻刀、ノコギリ、にかわの元・・・。
小型のキャンバスや紙が詰まっている。 よく叩いた木の皮なども乱雑にまとめられていた。 ヨルド : 絵を ヨルド : 描くのか? 【シトー】 ・・・いらっしゃい。 あんまバタバタ走ってくれるなよ。 ヨルド : 走りはしない。無意味だろう 【シトー】 見ての通り、画材屋だよ。 大事なアトリエを兼ねている。 【シトー】 買うものがあるなら、そこらから持ってこいよ。 値段はいちいち覚えてられない。その場でつける。 【シトー】 ・・・いらっしゃい。 あんまバタバタ走ってくれるなよ。 【シトー】 死んだ生物の絵を描いてる。 誰かの伴侶だったり、長年連れ添った犬だったり・・・。 【シトー】 想い出を描き留めてるんだよ。文字通り。 ・・・アンタも��いてやろうか?(ニヤリ) ヨルド : 俺はまだ止まっていないが。 【シトー】 ・・・いらっしゃい。 あんまバタバタ走ってくれるなよ。 【シトー】 いいよ。でっけえ火は使うなよ? そっちの棚の奥、青い階段を下りてくんな。 【シトー】 画材は持ちこむなり、ここの使うなりしてくれ。 でも、そこに入る時は絶対オレに話しかけろ。いいな? ヨルド : わかった。
階段を下りていくと、作業場に出た。 僅かながら、地下室らしい空気の重さがある。
換気はできるし、床は石造りだ。 しんと静かな空間・・・。 自動スクロールを解除しました。
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:9([1,3,5]) ヨルド : 何故だ
あなたは作業を始めた。 判定に成功しました 目標値:12 達成値:12([6,5,1]) ヨルド : 問題無い
良い具合に集中できている。 もっと手を動かせそうだ。
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:7([2,1,4]) ヨルド : 何故だ
想像していたよりも小さくまとまっている。 これではいけない。修正しなくては。 ヨルドは1のSPを失った  
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:5([1,2,2]) ヨルド : 何故だ
違う。違う違う違う。 こうじゃない。これじゃない。どこで間違った? ヨルドに1のダメージ   ヨルドは2のSPを失った  
あなたは作業を始めた。 判定に成功しました 目標値:12 達成値:13([6,2,5]) ヨルド : 問題無い
良い具合に集中できている。 もっと手を動かせそうだ。
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:8([4,3,1]) ヨルド : 何故だ
イメージ通りに手が動かせない・・・。 あなたは産みの苦しみに浸った。 ヨルドは2のSPを失った   ヨルド : ……!!!
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:10([5,2,3]) ヨルド : 何故だ
想像していたよりも小さくまとまっている。 これではいけない。修正しなくては。 ヨルドは1のSPを失った  
あなたは作業を始めた。 判定に成功しました 目標値:12 達成値:12([2,4,6]) ヨルド : 問題無い
良い具合に集中できている。 もっと手を動かせそうだ。
あなたは作業を始めた。 ファンブル! 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:6([2,2,2]) ヨルド : 何故だ
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標��:12 達成値:11([3,6,2]) ヨルド : 何故だ
あなたは作業を始めた。 判定に失敗しました 目標値:12 達成値:10([1,6,3]) ヨルド : 何故だ
冷たい水が出てくる。 道具を洗うもよし、水を飲むもよし。 ヨルドは5回復した。  
冷たい水が出てくる。 道具を洗うもよし、水を飲むもよし。 ヨルドは5のSPを回復した。  
階段を登れば、店に出る。 自動スクロールを有効にしました。 【アトリエ・死生】 あなたを迎えたのは、画材の詰まった棚だった。 絵筆、彫刻刀、ノコギリ、にかわの元・・・。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。 【納本堂】 扉の横に、看板がぶら下がっている。 開かれた本が描かれていた。 自動スクロールを解除しました。 【ガーディー】 ・・・納本しにきた訳ではなさそうだね。 何か、お求めの遺本でも? ヨルド : 気になっただけだ。何だここは 【ガーディー】 そのままの意味だよ。本を納めるのさ。 ここは、納骨堂ならぬ納本堂。故人の書物が集う。 ヨルド : ?理解しがたい 【ガーディー】 古い本から個人出版、手記まで。 値段がつけられないものに、値段をつけている。 【ガーディー】 ・・・つまり、ここにある紙束たちはね。 一度は死を記憶したもの、ってわけだよ。 ヨルド : そうか。 【ガーディー】 ・・・納本しにきた訳ではなさそうだね。 何か、お求めの遺本でも? 【ガーディー】 ボクかい?しがない活字中毒者だよ。 足をダメにするまでは、冒険者をやっていた。 あちこち駆け回ったもんさ。 【ガーディー】 今はこうして、隠居生活と本屋を営んでいるよ。 ああ、鑑定も多少はかじってるから、何かあったら持っておいで。 料金はもちろん頂くけれどね。 ヨルド : ああ 【ガーディー】 ん、ちょいと待つんだ。 この先は勝手に入られちゃ困るよ。 【ガーディー】 ・・・ああー、知ってるなら良いか。 通すのは構わないけど、奥の本は"強い"ぞ。 持ち出しは許可出来ないから、そのつもりで頼むよ。 自動スクロールを有効にしました。
扉が背中で閉められた。 ほんのりと照らされる本棚と、肌に刺さる魔の意思。 怨念じみたものも感じ取れるそこは、異空間���
随所に見られる封印や封鎖魔法には、苦労の痕がある。 どうかあなたが、この本達に魅入られませんように。
この棚の書籍は、装丁に皮が使われていた。 ネズミ、コボルト、オーク、ハーピィ、人間、獣人・・・。
顔の皮や手足の皮など、分かりやすい"アイコン"にされている。 内容もあまりよろしくないものばかりだ。強い薬草の匂いもする。
この棚にある書物は、大小バラバラで素材にも統一がない。 ただ、どれをめくっても中身は真っ白だった。
勘のいい冒険者ならば、それの一枚を光にかざすかもしれない。 極薄に掘られた文字共が、直接脳内に入って、く   る 。
気になった一冊を広げてみると、錆びのような匂いがした。 呪文が書き連ねられているが・・・これは、インクではない。
体液だ。ありとあらゆる体液が混ぜられたインクだ。 血や涙だけではない。脳髄、骨髄、唾液、それから・・・。
知性あるもの、二足歩行をするもの、身近に存在するもの。 それらを捕らえて閉じ込め、育て、好みに太らせた時・・・。
訪れるのは、食事の時間である。 この棚にあるのは、飼育のススメ。調理指導。皮や骨の活用。 味の詳細や街の死角を細かに書いた手記ばかりだ。
鎖や魔封じの紐に巻かれた本…ではなく、 巻物や板、竹などに書きつけられた文章たちの群れ。
どこかの貴族の手紙だったり、王族の証明書だったり。 しかし、眉唾にも思える。疑心暗鬼と策略の山が、詰まっている。
宗教の本だろうか? なかには遠い昔に弾圧された教祖のものまである。
しかし、危険■無いと思いこんではいけない。 不用心に読めば読むほど、あ■■の思■は蝕まれ、■■■■. ■脳ト魅子が詰ね■まれな*&■■■■■。ああ!素晴らしき■
禁書の棚から抜け出しますか?
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。 【アトリエ・死生】 扉前の看板には、そう書かれていた。 混ぜ物をした蝋で作成された、精巧な面。 それらが並ぶガラス窓。
小さめの薪釜だ。 奥で炎がごうごうと燃えている。
金属のマスクが焼かれている。 熱をあまり感じないのは、何故だろう・・・。
釜で焼く前のマスクだ。 ただの灰色じみた塊に見える。 【カプラキャスタ】 ああ、ちょっと、そこ、きをつけて。 蝋がまだ柔らかいの。振動を与えると骨格が・・・。 ヨルド : っと、すまん。 【カプラキャスタ】 ・・・デスマスクって、知ってる? ひとが最後に残せる、数少ない面影よ。 ヨルド : 聞いたことはある。 【カプラキャスタ】 死人の顔を、石膏や金属葉で模るの。 出来るだけ差異の無い様に作り、遺す・・・。 何に使われるかは、知らない��ど。 【カプラキャスタ】 ・・・いちおう、普通のマスクも受け付けてる。 生きてる人のためにも、仮面を遺したいしね。 ヨルド : そうか 【カプラキャスタ】 ああ、ちょっと、そこ、きをつけて。 蝋がまだ柔らかいの。振動を与えると骨格が・・・。 【カプラキャスタ】 デスマスク職人。名前は、カプラキャスタ。 この仕事について・・・ようやく十何年?かな。 【カプラキャスタ】 ・・・ね、あなたの眼幅、測って良い? 結構好きかも。あなたの目元、ユニークだわ。 ヨルド : そう、か? 【カプラキャスタ】 ああ、ちょっと、そこ、きをつけて。 蝋がまだ柔らかいの。振動を与えると骨格が・・・。 【カプラキャスタ】 ・・・ええと、普通の仮面がほしいの? それともデスマスク?詳しい話を聞かせて・・・。
蝋で作られた老人の顔がある。 しわくちゃだらけの表情は、穏やかな雰囲気だ。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。
沈香通りよりも、空気が重く沈んだ道。 沼の水のようによどんではいない。ああ、静寂。 【グリザイユ・キアロ】 黒い扉にかかる看板は、美しかった。 小粒の宝石が、キラキラしている・・・。 【グリザイユ・キアロ】 いわゆる宝石商なのだろう。 分厚いカーテンが閉じているところをみるに、店主は外出中らしい。
近日、引っ越します。 そう書かれた紙が貼ってあった。 【苔枕】 大きな宿屋が見える。 そこの扉だけは、白かった。 【苔枕】 なんてことはない、ただの宿屋だ。 値段も良心的だが・・・満室らしい。 【未亡人】 あら、見かけない人・・・。 どうしましたの?この先へ行きたいのかしら。 【未亡人】 ごめんなさいね、この先はちょっと閉鎖してて。 大掃除中なの・・・ええ、そうよ。葬儀場・・・。 【未亡人】 大掃除というより除霊に近い、なんてぼやいてたけど。 ・・・私?葬儀屋のいとこ。今は・・・お手伝い中。 ヨルド : そうか。
どこからか香を焚く匂いがする。 その匂いは優しい。線香というほどではない。 石造りの中を、香が満たしていく・・・。
この町の扉は、黒塗りばかりだ。 ・・・広場に戻ろうか。
町の中心部へやって来た。 蝋燭と蛍鉱ランタンで彩られた広場だ。
薄暗くはあるものの、足元は見える。 普段ならば避けて当然の灯りの弱さが、 今は、亡くした何かの安眠を誘うものだった。 (視界の隅に、なにか)
お菓子や蝋に混ざった香とは違う匂いがした。 道や柵に絡まるツルを見るに、花園への道だろうか。
咽そうなくらいの薔薇が咲いていた。 アーチや天蓋の輪、または高壁のように剪定されている。 ヨルド : う、
町の人々が丁寧に世話をしているのだろう。 花弁の膨らみも棘の鋭さも、美しい。
そういえば、青い薔薇がどこかにあると聞いたが。 一体どこに咲いているのだろう……。 自動スクロールを解除しました。 ヨルド (薔薇だ。本当にどこを見ても薔薇ばかりだ。) ヨルド (どうにも目が疲れてしまう。ゴーグルを降ろした。)
薔薇と蝋で根元が彩られた、白い塔だ。 薄明りの中にぬぼっと建つ姿は、不気味さすらある。 ヨルド (この部分だけ、浮いているようにも見えるが薔薇に突かれてしまった目には優しい) カサッ....         ガサッ   ガサッ…… ヨルド (棘が、少しだけ指に当たった。)
蒼黒い月桂樹と骨で根元が埋まった、白い塔だ。 月桂樹の別名はローリエ。こんなに蒼黒い葉だったろうか? (何かの囁きが聞こえる……)
広場へ戻る? ヨルド (出よう) 自動スクロールを有効にしました。
町の中心部へやって来た。 蝋燭と蛍鉱ランタンで彩られた広場だ。
薄暗くはあるものの、足元は見える。 普段ならば避けて当然の灯りの弱さが、 今は、亡くした何かの安眠を誘うものだった。 (今、誰かにぶつかったような)
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watari-gitsune-bookshelf · 6 years ago
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 やっと見つけた。
 少年は緊張と興奮で弾んだ息を整えながら歩調を緩めた。街の中央、噴水広場の一角にある豪奢な石造りの邸宅。あの男は口からでまかせなどではなく本当に有力で財力のある人物なのだろう。今からお前が馬鹿にしたこの魔具(マグ)で自慢の家が木端微塵になるのを見て自分の愚かさを思い知るがいい。土下座させて店から巻き上げた金を返させてさらに迷惑料ももらおうか。
 手の震えをおさえつつ布袋から金属のコップを取り出す。一見すると装飾の一切無いシンプルな日用品だがこれは正真正銘父の工房でつくられた19+の魔具だ。向きをあわせて後は力をこめるだけ……。
「はいストーップ」
 突然スーツの男が出現しさっと魔具を取り上げた。そしてもう一人、メガネの男がバインダーにはさまれた紙をめくって読み上げる。
「魔具NO.2253『缶砲台』の使用には兵士資格が必要です。無資格使用は魔具法80条に則り……」
「おい返せよそれ!」
「無資格のまま所持している魔具については発見次第こちら、魔具管理所にて一時預かりとの規定が……」
「なーなーおーいアンペル」
 魔具をとった方の男が困惑といった感じで少年を下から見下ろしながら口を挟んだ。
「これ資格以前の話っ」
「ああ、そういえばこの魔具は19+だな。キミまだ12ぐらいだろう」
「15だ。返せ」
「年齢違反には違いない。魔力(マーリー)不足が観測されていないことには疑問が残るが……。まあいい、大人しく署まで……」
 そこでやっと黒いバインダーから顔を上げて少年と目が合う。点になった目で少年を眺め回してから気まずそうな表情の相棒と顔を見合わせる。スキあり、とばかりに缶砲台に手をのばすと意外にも身軽なシルクハットの足さばきでひょいと避けられ足払いをかけるとタイミングよくジャンプされ失敗に終わった。
「金髪黒目に浅黒い肌……。キミ、流者(ルシャ)だよな?」
「なーなーおいアンペル!流者(ルシャ)って魔具をつくれるけど使えないんじゃなかったっけっ」
 上からと下からとそれぞれ眺めまわされて不愉快に思いつつ少年は自分も相手の片方――魔具を取り上げた男を眺めまわしていた。ぴしっと体にフィットしたスーツを着ているのも、高級そうな革靴を履いているのも、かっちりしたシルクハットも、いかにも街(バージス)の貴族といった感じで魔具管理署という職業にふさわしいと思うのだが問題はそれが逆さまだということだ。つまり、シルクハットから黒く細い脚らしきものが生えて体を支えていて、本来の足はというと天に向かってV字開脚。なんだこいつ。
 一方アンペルと呼ばれたメガネの男も書類と目の前の実物に困惑していた。本来魔力(マーリー)を持たないはずの部族の子供が魔具についてよく知らないまま並みの術師以上の大魔力を使う……なんだこいつ。
  「氏名、アス・フェン。歳は15。流者(ルシャ)。無資格使用未遂の魔具は『缶砲台』。間違いないか」
 口をとがらせてうなずき、アスは差し出されたカップを手にとった。同時に空の陶器の表面にオレンジの光紋が広がり底から湯気をたてるコーヒーが湧き出る。
「お? 驚かないのかーい?」
「父さんが魔具師だから。こういうのは見慣れてる」
 父、魔具師と書類に書き込むアンペル。一応魔具使用違反の取り調べだ。うっかり答えたアスは上目づかいにアンペルをにらんでカップを置いた。
「魔具法って、何だよ。街(バージス)にはそんな法律があるのか」
「お前、魔具師の子なのに知らねえのかっ。なーなーアンペル説明してやって」
 テーブルにシルクハットで立ち至近距離で唾をとばす逆さま男(さっきヴォルターと名乗った)をうっとうしげに追い払いアンペルは例えば、とポケットから水道の蛇口を取り出した。ハンドルをひねるとアンペルのコップにとぷとぷと水が注がれた。
「これは5歳から使えて資格も要らない魔具だ。誰が使っても問題ない。だがキミが使おうとした缶砲台は19歳以上、さらに兵士資格が必要だ。これは内戦を防ぐため。わかるな?」
「19+って魔具の強さの目安じゃないのか」
「年齢制限表示だ。どんな魔具でも一定以上の魔力(マーリー)を必要とする。個人差はあるが魔力(マーリー)は年を取るとともに強くなるものだから、年齢で規制されている」
 アンペルが自分のメガネを指さすとふちが端から一気に青く光り、レンズがキラリと不透明になった。そのままあちこちを見回してまたスッと透明に戻す。
「これは23+の千里眼鏡(テレスコープ)。キミの家の夕食は羊肉の包み焼きだな。豪華な夕食じゃないか」
 千里眼鏡(テレスコープ)で何を見てきたのかまた書類に何か書き込むアンペル。覗き込もうとするとバインダーの端が突然伸びて危うく額に刺さりかけた。これも魔具か。
「魔力(マーリー)が十分ねーのに魔具を使おうとするとな、こーなる!」
 書棚で何か探していたヴォルターがシルクハットでぴょんと器用に脚立から飛び降りてくるっと回る。顔面すれすれを通過する靴を避けつつヴォルターのシルクハットが魔具なのだと理解する。
「いやーガキの頃両親が空間転移魔具(テレポーター)でほいほいあちこち出かけるのがうらやましくってさっ。オレも行くーってろくに知識もないまま力をそそいでボーン、だ」
 ぎょろっとした目でシルクハットを見上げて(見下げて?)にやりと歯を見せる。頭は完全にそれと融合してしまい、さらに足が生えて代わりに自前の足は動かなくなったらしい。暗い話を陽気にしつつ、でも便利だぞこれーっとぴょんぴょん跳びはねまくってみせる。その手にはカラフルな袋。
「あっ! ……ヴォルター、それは私の大事なスイーツだ! 返せ」
「職場に自分用スイーツとは感心しないなあアンペルさんっ」
「頭を使う職業柄スイーツは必要不可欠!」
「ほらほらまだ取り調べ中だろっ! これは食っといてやるからさっさと済ませて取りに来���い」
「おまこらまて」
 ぴょんぴょんとおちょくるようにテーブルの周囲をぐるっと回って腰から先を振りながら出て行った。アンペルは肩をいからせてそれを見送り、突然スイッチでも切り替えたように真顔で椅子に戻った。
「で、ろくに知識もないままキミが噴水広場でこの魔具を使おうとした目的は何だ」
「……」
「手短に話してほしい。早くあれを奪還しなければ私のアフタヌーンティーが糖質ゼロになってしまう」
 前言撤回全然切り替わってなかった。
「……あの野郎が、うちの魔具はどれも何の役にも立たないガラクタだ、って馬鹿にしやがったんだ。とっとと店閉めちまえって」
「ただの悪口だろう。相手にせず放っておくのが一番だ」
「それだけじゃねえんだよ。あの野郎裏で手ぇ回してて、あいつが来た翌日から銀行屋は金おろさせてくれねえし身に覚えの無い借金をとりたてに金貸しが来るし、その金貸しの連中は店の品物に手ぇ出すし。街中じゃあうちの悪評をばらまきにばらまいて、おかげで昨日もまともに商売できやしねえ」
 アンペルはわずかにまゆをひそめた。
 流者(ルシャ)は魔具をつかえないことを理由にたびたび街者(バジャ)から差別を受けている。しかし街者(バジャ)は街者(バジャ)で自分たちが使う魔具を自分ではつくれないため流者(ルシャ)は大事にされる傾向にあり、流者(ルシャ)が実際に迫害をうけたという報告は今までにも無いはずだ。銀行屋が絡むとなれば相手は財力がある。財力のあるものが流者(ルシャ)差別に動いたのか。人は金に弱い。その財力に操られて流者(ルシャ)差別が進めば最悪……
「おいアンペルさん。取り調べしてるのに上の空かよ」
「ああ、すまない。……“あの野郎”の名はわかるか?」
「セレスト・クロンだよ。高名な魔導師なんだってな。そいつがうちに来て、今まで色々な魔具を使ってきたがこんなにひどい魔具は初めて見たとかぬかしやがったんだ」
  「帰ったよ」
 アスが自分のテントに戻った頃にはもう夕暮れ時になっていた。お帰り、と玄関布の向こうから声だけ聞こえてふわっと暖かい香りがする。いつものスープのにおいだ。
「夕食、もうすぐできるから店の人呼んできてもらえるかしら」
 店のテントはもう少し街(バージス)に近い通りにある。夕食の買い込みでにぎわう露店の通りを抜けて、営業を終えテントが仮畳みされた道具街(バージス)へ出た。
 “流者(ルシャ)”というのはその呼び名通り流れ者で、それぞれ決まった季節に街(バージス)に立ち寄り露店を開いて生活している。例えば干物商なら冬直前期に保存食の買い込みを狙ってやって来るし、織物商もこの時期は毛皮商人がほとんどを占める。アスたちの一族は夏に北の山で魔具の材料となる石や金属などを採り、山が雪で閉ざされる冬にこの街にやってきて魔具を制作しながら売る。今年は良質の石がとれたから良い魔具ができて繁盛しているはず……なのだが。
 急ぎの注文でも請けたのだろうか、テントを畳まずたいまつの下で剣を鍛えなおしている鍛冶屋の向かいに、肩をおとして品物を片付ける集団を見つけた。
「おーい、お疲れ」
「ああ、アスか。何してたんだ今まで。もう閉店だぞ」
「悪い悪い。ちょいと野暮用が。夕食、できたってさ」
 おお、と男たちの疲れた顔が少し緩んだ。その中に唇をかんで箱に魔具をしまう父の姿を見つけた。今日も奴らは来たのだろうか。店の男たちの表情からするに、噂のせいでろくに売れなかったのだろう。父の頬に今朝は見なかったうすい傷があるのが見える。刃物で脅されたのだろうか。話しかけようと近くへ行ったが言葉が見つからず黙々と片付け作業を手伝う。許せない。あの野郎。今度会ったらぶっとばしてやる。
「あー……。まだいいか。もう閉店時間か」
 振り返ればスイーツメガネ男。
「げ」
ごつっ
 条件反射で出した声の直後に頭上から拳襲来、その場で悶絶。
「痛ってえな兄貴!何すんだ」
「『げ』は無えだろ。失礼だ」
 失礼もくそもあるか散々個人情報引き出した後三時間もの焼き菓子トークにつき合せやがって。また会ったな、とひらひら振る手にこの魔具の先っぽ刺してやりたい。
「何しに来たんだよ……」
「何って、魔具を返しにだ。そちらが店主か。私は魔具管理署調査官のジム・アンペルと申します。本日昼過ぎ、噴水広場にてアス・フェンさんがこちらの魔具を使用しようとされました。資格違反、年齢違反ということで魔具法に則り署で一時預かりとさせていただきました」
 黒いバインダーにはさんだプリントを淡々と読み上げて缶砲台を手渡す。早口でまくしたてられた文言に父は目を白黒させてそれから軽くアスをにらんだ。他の男たちの目も集まって気まずくなり肩をすくめてそっぽを向く。
「ところで、つかぬ事をきくが……。お子様の親戚に街者はいるか?」
「? いや、ワシの知る限り一族はみな流者(ルシャ)だ。……何か?」
「彼、魔力(マーリー)があるようだが」
「……」
「……」
 しばらくの沈黙の後父とその他大半の目が不審者を見る目に変わった。気圧されたアンペルが慌てて持っていた小箱をアスに投げてよこす。使って見せろ、と言われたがどう見ても拳大のただの箱で開かないし使い方もわからない。見たことの無い魔具だ。
「うちは武器系専門の魔具屋だから武器以外の魔具はよく知らない」
「それはランプだ。貸せ。ほら、ここを開いてここに魔力(マーリー)を」
 立方体の箱の金具をいくつかいじると箱の角の一つが欠けるように開き、アンペルが魔力(マーリー)をこめるとその中央部分があわく光った。渡されたそれを眺めまわしてからアスもそれを適当に手の中で転がし、トントン、と箱の中央部を指でつついてみる。
 パン
 乾いた金属音とともに指さした部分がはじけとんだ。金属片が首筋をかすめてアンペルも冷や汗をたらす。半信半疑どころか全疑に近かった父と店員たちは目を丸くして破裂した箱を凝視した。
「……アス君、力こめすぎだ」
「使い方知らねえって言っただろ。見よう見まねでやったらこうなっただけだ」
 父がアスの手から今や残骸となったランプをひったくるように奪い取り、しげしげと眺めまわす。信管や火薬の類が入るようなスペースはもちろんそこには無い。
「ええと、アピールさん、じゃったかな?これはどういう……」
「アンペル。ご覧のとおり、息子さんには魔力(マーリー)がある。それも同い年の街者(バジャ)ならわずかに明るくするのがやっとのレベルの魔具を、破壊してしまうほどの」
「……」
「これほどの魔力(マーリー)だ。コントロールする術を学ばないとうっかり魔具を暴走させかねんし、魔導師資格の方に師事されることをおすすめする」
 残骸を受け取り、ポケットにしまいながらメガネを直して笑う。
「すぐにとは言わない。ゆっくり考えて、心が決まったら魔具管理署まで来てほしい」
 言い終わると同時にカチッと音がしてアンペルの姿が掻き消えた。呆然と虚空をながめて立ち尽くす父の前でアスは握った手に目を落とす。
――バージス、クリオロ通り北361番地リント国魔法省魔具管理署調査官、ジム・アンペル
 渡された紙切れにはそう書かれていた。
   夕食後(腹立たしいことに羊肉の包み焼きだった)、父に呼ばれてテントを抜け出し露店街へ向かった。もうすぐ深夜という時間だが酒場の多い通りはまだまだにぎわっていた。
「アス。こっちだ」
 飲屋(クワス)から父が手招きするのに気がついて中に入る。カラカラン、と入店を知らせるベルが店内の話し声にすいこまれていった。仕事を終えた魔具師や露天商が思い思いのベンチやソファに腰かけて近くに座った他の客と語り合う、そんな感じの店だった。見れば街者(バジャ)も数人話の輪に混じっている。広間の奥のステージで見世物が始まったらしく客がそちらへ集まっていく。店員と二言三言軽口を交わして父は果実酒を手に戻ってきた。
 多くの客とは反対側、ステージから離れるように丸太に腰かけて渡されたコップをすする。ほわりと甘い香りがのどから体にひろがる。まだ冬は序の口とはいえ最近かなり冷えてきている。温かい飲み物は指先をあたためるのにうってつけだった。
「あのクロンとかいう野郎、まだ店に来てんのか」
 グラスを手に飲みもせずうつむいたままの父に耐えかねて話を振る。父はああ、と一言うなずいてやっと一口酒を口にふくんで背筋をのばした。
「今日は借金の利子だと言って自在剣をとって行きおった」
 あの店の隅に置いてあったシンプルな短剣のことだな、と脳裏に店内図を描く。装飾は少ないものの剣先の湾曲が美しく、気に入っていたのでそんな奴の手に落ちたのが非常に腑に落ちない。それを使おうとして魔力(マーリー)不足でリバウンドでも起こせばいいのに。腕が剣と融合してうまく食器を持てない“あの野郎”を想像してみたが剣がもったいないのでやめた。家を爆破してさっさと取り戻してしまいたい。
「アス、お前を���晩ここに呼んだのはその話ではない。魔力(マーリー)の話だ」
「わかってる。魔力(マーリー)が、どうしたんだよ」
「魔力(マーリー)を持つ者は魔具をつくれない。これは知っておるな」
「いや知らない」
 言葉を続けようとしていた父、絶句。親戚に魔力(マーリー)を持つ者は居ないし一族と街者(バジャ)の交流もそんなに深くはないがしかしどこかで耳にする話のはず、というか数年前に説明したぞ息子よ。
 父に軽くにらまれてアスは目をそらす。いちいち覚えてねえよそんなこと。
「……理由はわかっておらんが、魔力(マーリー)持ちは魔具をつくれない。つまりお前は魔具師にはなれぬということだ」
「その台詞前にもきいた。父さんが教えてくれた通りに作っても魔具にならなくて」
「そ・れ・が・お前が魔力(マーリー)を持っとるせいだと言っとるんだ!」
 つい声が大きくなり、ステージの方には届かなかったがカウンターの店員の白い目が刺さる。父は肩をすくめて平謝りし、腹いせとばかりにアスの頭をこづく。
「……アス、お前は店を継げない。今までいつかお前も魔具をつくれるようになると信じて魔具づくりを教えてきたが、お前にはその素質がない」
「いーよ、別に。店を継ぐとか魔具師になるとか、そんな深く考えてなかったし」
 物覚えが妙に悪いと思っていたら案の定だった。このバカ息子、父は心中で罵倒しておく。
「オレは魔術師になればいいんだろ? 明日アンペルさんの所に行って魔導師資格の人紹介してもらう」
 父は降らすの酒をぐいっと一気飲みしてから勢いよくアスの頭にチョップをくらわせた。頭悪くなるじゃねえか、と頭をおさえて文句を言うアスの頬を今度は軽くはたく。
「自分の将来を甘く見るな。お前が思っているよりずっと大きなことなんだぞこれは。真面目に考えておるのかお前は!」
「な……んだよ考えてるに決まってんだろ。魔具師にはなれないけど魔術師にはなれるってきいて今ちょっとほっとしてんだよ」
 いつのまにか双方立ち上がってにらみ合う形になり、いつ手放したのか二人のグラスは中身を床にぶちまけて転がっていた。まだかなりの身長差のある父を見上げる。いつもはどこか穏やかな光のあるその目がいつになく鋭く厳しいものになっているのに気が付いて若干ひるんだ。
「アス。魔術を選ぶなら一族を抜けなさい」
 表情とはかけ離れた穏やかな言葉が父の口から紡がれる。しかし内容は鋭く耳に突き刺さった。
「魔術の先生のところへ行ったら、もう二度と一族の元へ戻ってはならん」
 語尾がふるえ、続けかけた言葉を一旦飲み込む。どういうことだよ、と開きかけたアスの口を片手でふさいで後は畳み掛けるように早口になる。
「魔術を使うお前はもう家族ではない。ワシはもうお前の父親ではないし、お前はもうワシの子を名乗ることはできん。よいな」
「……、何言ってんだよ……どういう意味だよ、父さん」
「……」
 父は何も言わずに立ち上がり、グラスを拾い上げてしかめ面の店員に返しにいく。アスが追いすがるとうっとうしげに振り払い、たたらを踏んで尻もちをついたアスを蹴飛ばして床に転がした。グラス返却のついでに酒代とチップの支払いを終えて足早に出口に向かう。
「待って、父さん」
「もう二度と父と呼ぶな」
 早口が最後一言返ってきて直後に父の姿が消え、アスはあわてて出口周辺に群がる客を押しのけて店を飛び出した。
 ほとんどの店が明かりを落とし、街路灯も一部消えた酒場街。どこを曲がって行ったのか、人通りの少ない道に父の姿はもう見当たらなかった。
   翌朝、目を覚ましたアスは自分の寝具を直してからあくびをかみころしつつ食堂を兼ねているテントへ向かった。寝違えたらしく首が痛くて左を向けない。ふああ、と今度はかみ殺し損ねてあくびがもれる。もう他の店員たちや女たちは食事を終えて出かけて行ったのかテントには誰も居らず、部屋の真ん中に空の鍋だけが残されていた。食器を手にあれオレの分、と頭をかいて舌打ち。誰だ朝っぱらから食い意地張ってる奴。他人の分まで食ってんじゃねえ。
「アス」
 テントの玄関布をわずかにめくって母が覗き込んでいた。その手にはスープの入った食器。
「はやく食べちゃって。お父さんやお店の人に見つかったら、お母さんが怒られるから。ほら早く」
「どういうことだよ」
「……私からは言えない。はやくして。人が来る」
 渡されたスープを行儀悪くかきこんで飲み込む。とっくに冷めて冷たく、あまりおいしくなかった。母はアスが平らげるのを見届けるなりテントを出ろと急かし、外を気にするそぶりを見せる。何を急いでいるのかわからないままに玄関布に手をかけると母がその手を握りしめ入れ替わるように中に入った。
「行きなさい。戻らないで。でも忘れないで。父さんも、母さんも、本当はあなたを愛している」
 すれ違いざまに耳元でささやき声がきこえドンッと背中を突き飛ばされつんのめるようにテントを追い出される。ちょうどテントの前を通りがかった通行人にぶつかってしまい、慌ててあとずさって平謝りした。いつもなら見ず知らずの人間でも気をつけろよ、ぐらいで済むのだが今日は違った。ぶつかった相手は父の店で昔から働く者で、顔見知りだったのでほっとした直後その男は予想だにしない言葉を吐いた。
「触んじゃねえ穢らわしい!」
 さらにその場で印を結び、とっとと出て行けの一言を置き土産に去って行く。何だっけあの印。山で採掘初めの儀式で見たような。……悪霊払いの印だ。
「ちょっとおい、待てよ」
 追いかけようとすると道ゆく人々が顔をしかめて過剰に広く道をあけた。なんだよ、と顔を向けると目を伏せて決して合わせないようにする。一歩近づくと二歩下がる。露店の通りにさしかかった所では生卵や腐った野菜が飛んできて上着や髪を汚した。
「何するんだ! いたずらじゃすまねえぞおい!」
 声を張り上げると近くにいる人がみな耳を塞ぎ悪霊払いのまじないが合唱される。一歩進めば商いの場を穢すなと罵声がとぶ。
 ようやく道具街に入り、父の店に着いた。露店街の連中が追って来ていないのを確認してほっと胸をなでおろす。
 今朝はずいぶんと冷えている。手がかじかんだのか袋から魔具を取り出す兄の手つきが緩慢で頼りなく、小型魔銃を取り落としそうになった。アスは横からさっと手をだして受け止め、手伝う、と他の袋を手に取った。
「触るな泥棒!」
 ドッ
 一瞬聞こえた衝撃音がどこで聞こえたのかわからなかった。とにかくえぐられるような痛みが腹部にじりじりと走り始め地面に転がったまま背を丸める。もう一発同じ場所に一撃。ようやくそれが自分に突き込む音だと理解した。身をよじって次の一撃を避けようとすると今度は背中に痛みが走った。
「やめろ、オレだ、アスだ!」
「誰だそれは! 街者(バジャ)が勝手に商品を触るんじゃねえ!」
「オレは流者(ルシャ)だ! 髪と肌見りゃわかるだろ!」
「流者(ルシャ)になりすますあくどい街者(バジャ)め……! その口にどとしゃべれねえようにしてやる!」
「みんな来てくれ!この穢らわしい餓鬼がうちの商品に手を出しおった!」
 父の声に反射的に顔を上げる。そこを蹴り飛ばされ、吹っ飛んで別のテントに衝突する。陳列棚を崩された鍛冶屋の店主は怒りの声をあげて手に持っていた何かをアスの腕に押し当てた。
「−−−−っ!!!」
 熱い。痛い。熱い。熱い熱い痛い痛いいたいいたいいたいあ゛あ゛あ゛あ゛あ���あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
   戸口で音がした気がしてアンペルは読みふけっていた資料から顔をあげた。ヴォルターが調査を済ませて戻ってきたのだろうか、と考えてからすぐに打ち消す。彼ならノック以前に部屋の中に直接ドロンするに決まっている。
 コンコンコン
 今度ははっきり聞こえた。呼び鈴ではなく戸をたたいているということは訪問者は流者(ルシャ)か。今日流者(ルシャ)と会う約束はあっただろうか。
 ばんばんばんばんばん
 いい加減うるさくなってきたのでとりあえず思考停止で玄関に向かう。ドアを開けると体当たりしようとしていた少年が勢い余って転がり込んできた。
「アス君?」
「アン……ペル……さん……」
 見上げてきた目に一瞬息をのむ。つい昨日見たやんちゃそうな強い光はその瞳には無く、見開いた目は焦点が定まらないまま右往左往していた。見れば服はズタズタ、体のあちこちにあざが浮き浅い切り傷が走っている。さらに左腕はひどい水ぶくれで腫れ上がっていた。
「入れ。すぐに手当てする」
 半ばひきずりこむようにアスを招き入れて棚から治療道具を出す。あざには湿布、切り傷には絆創膏で半日もすれば元通りになるが火傷についてはそうもいかない。スプレー式の消炎魔具はヴォルターがやかんをひっくりかえした時に使い切ってしまって手持ちがなかった。とりあえず状態を見ようと腕をつかむとぐにゃりと嫌な感触。折れている。
 さっきからやたらと背をまるめて腹部をおさえる仕草も気になる。少し迷ってから内視眼鏡(エンドスコープ)にかけかえて確認し、薬をのませて処置した。かなりの大魔力なので魔力監視に引っかからなければいいが。
「……何があった?」
 服を着替えさせて落ち着いたのを見計らって声をかける。アスはそれに答えず目をふせてしまう。食べ物で釣ってみようとラスクと紅茶を出すと飛びつくようにかぶりついた。
「うまいか」
「うん。……このラスクが特に」
「わかるか?それはこの前教えた店のラスクでな。全粒粉の白パンをよく焼いて……」
「あーはいはい」
 バターのこだわりから砂糖の産地までまだまだいくらでも伝えるべき魅力が詰まっているのだが昨日も最後まで聞いてもらえなかったので断念する。次はチョコレートの話にでも変えてみるべきかもしれない。
「……流者(ルシャ)の街から追い出された」
 菓子袋をあさる手が止まった。
「流者(ルシャ)のふりした街者(バジャ)だって、父さんが周りの人をあおって、みんな穢らわしいとか言って悪霊扱いして」
 アスはうつむいてソファの上で膝をかかえた。アンペルはそれを見つめて唇をかんだ。事態は予想以上に早く進行しているようだ。こちらも早く手を打たなければ。
 ポケットから円盤(ハンドル)を取り出す。それと菓子袋をお供にアスが座るソファに座った。振動に驚いたアスが顔を上げると同時にソファが床から浮き上がる。
「わっわっわっ……」
「動くな。これはバランスをくずしやすい」
 円盤表面のボタンをいくつか押すとソファは器用に部屋の調度品をよけて階段へ移動して二階へ上がり、開いた窓から横向きに外に出た。それから自動操縦に切り替えるとゆっくりと前へ加速していく。
「これも魔具かよ!」
「東部の民間伝承を魔具に応用してみたそうだ。もっともあれは絨毯だが」
 空中は地上よりも寒く、しばらくすると手がかじかんできた。あいにく手袋を忘れてきたので息をふきかけ、さすってほぐす。
「やっほアンペルっ!」
 キッ
 いきなり眼前にヴォルターが現れて思わず緊急停止ボタンを強打してしまった。運転手であるアンペルはソファとリンクしている操縦盤のおかげで落下をまぬがれたが、アスは慣性の法則に従いそのまますごい声をあげながらふっ飛んでいく。
「……何だ、ヴォルター。調査は終わったのか」
「……先に同乗者回収っ!」
 ソファを急発進させ落ちていくアスを追う。最終的には屋根の上に墜落する直前にヴォルターが持っていた容疑者捕獲網でなんとか回収。
「てめおま何いきなり死ぬかと思ったぞおい!」
 さっきの落ち込みはどこへ行ったやら眉をつりあげてぎゃんぎゃんわめくアスの相手をお前のせいだと押し付けておいてヴォルターが持ってきた資料に目を通す。
「アス君。セレスト・クロンという男が最初に来た時の店主とのやりとりを知っているか?」
「あ? ああ。あの野郎、何かごっつい魔具を買おうとしてて、父さんは証明証が無いと駄目だと言ったんだ。そこからもめて」
 やはりそうか。
 眼下に広がっていた街がとぎれ、代わりに水が広がる。アスがこれが海か!と興奮して叫んでいるが残念、湖だ。湖のほぼ中央に城がにょっきり生えており、アンペルはそれめがけてハンドルを切った。
「アス君。キミが会ったセレスト・クロンは偽物だ」
「は?」
「本名ロード・スレイバー。首都(キャピタル)で有名な富豪だ。魔導師資格を持っていないから欲しい魔具が買えず業を煮やしたんだろう」
「魔導師資格?」
「魔力(マーリー)の大きさには個人差があるっ!魔力(マーリー)の特別強い奴だけがゲットできる資格っ!魔導師資格があれば自分の歳より上の魔具を買ったり使ったりできるのさっ!」
 城の中庭にゆっくりと着地し、円盤にロックをかける。長方形の建物にカラフルなキノコがにょきにょき生えたような奇妙なこの建物は魔具管理署の入る魔法省本庁舎だ。
「魔具管理署調査員ジム・アンペル、ただいま戻りました」
 呼び鈴に話しかけて緑の木戸を開ける。アスとヴォルターを招き入れ、会議室へ向かう。
「ああ、アンペルか。ちょうどいいところに」
 会議室はちょうど会議中で並べてくっつけられたテーブルの中央に資料を山と積んでスーツの署員たちが何やら議論していた。資料の上には画面が浮かんでいて資料の一つと見られる魔具を映し出してゆっくり回転していた。
「うちの魔具だ!」
 思わず出した声に署員の目がいっせいにアスに集まる。ヴォルターにアスを捕まえさせておいて席につき、配布資料にざっと目を通す。
 今回の事件の発端は隣国で使用者未登録の資格必須魔具が押収されたことだ。南にあるその国と北方を行き来する魔具師系流者(ルシャ)との交易は乏しいのでこの国の人間が魔具を横流ししている可能性が高い。資格の無い者が魔具を購入・使用することはもちろん違法だ。それでここ数週間にわたり調査を続けてきたがようやく首謀者とその協力者を絞り込めたようだった。
「犯人らの目星はつきましたが、どうしますか。泳がせておいて購入現場で現行犯逮捕しますか」
「いえ、違法入手のために流者(ルシャ)差別を行って流者(ルシャ)を奴隷化しようとする動きがあります。すぐにでも手を打つべきだと思います」
 会議は犯人逮捕の計画へと進み、アスとヴォルターは退出となった。
   食堂でパンとスープの簡単な夕食をもらってからアスは庁舎の仮眠室に通された。固いベッドに毛布と簡素な寝床だ。自分は流者(ルシャ)のテントを追い出された身、寝床が確保できたのは幸運だった。贅沢を言えば枕が欲しいところだ。
 ため息をついてアンペルからもらったミニ扇風機を手の中で転がす。暇なら魔力(マーリー)のコントロールの練習でもしておけと渡されたもので、網の中に回転羽が入った赤子用玩具のガラガラのような形をしている。最初は案の定大魔力(マーリー)をぶち込んで室内で竜巻を起こしてしまいひっくり返った簡易ベッドやテーブルをすべて直すはめになったが大分慣れてきた今ではテーブルの上に畳んで置いた服が吹っ飛ぶ程度でおさえられている。この数時間の成果としては上出来なんじゃないだろうか。
 つまるところ眠れないのだった。窓の外は真っ暗で何も見えず壁時計はとっくに深夜をまわりもうすぐ早朝という時刻だ。
 部屋の外が急に騒がしくなったのはそれから数分後だった。ばたばたと慌ただしい開閉音に、ようやくうとうとしかけていたアスは寝ぼけ眼をこすりながら起きあがり、仮眠室の外に顔を出した。
「おや、アス君。すまない、起こしてしまったかな」
「起きてた。魔具持ってみんなどうしたんだ?」
「容疑者ロード・スレイバーを発見した。今から逮捕に向かう」
 署員たちがそれぞれ思い思いの装備を身につける中アンペルも魔銃や捕獲網など必要になりそうな魔具を身につける。もちろん空間転移(テレポーター)であるシルクハットも忘れずに。
「オレも行く」
「アス君はヴォルターと一緒に留守番しててくれ」
 言うと思った。軽くにらむとヴォルターがひょーいと肩に乗ってきて意味ありげに超至近距離でウインクしまくってきた。うぜえ。あと重い。
「……あー……。わかったよ。大人しくしてる」
 白々しく目をそらしながら言うとアンペルも
「じゃあ留守の間頼む。くれぐれもヴォルターの目を盗んで勝手に外にでることのないように」
 物わかりの良い少年ですな、と他の署員が感心したようにつぶやき、シルクハットをかぶって消える。他の署員に続いてアンペルも空間転移(テレポート)した。全員が出発してしまうと日の出前の中庭は急に静かになる。
「……」
「……」
「さてアス君っ。準備準備っ」
 ぴっと投げられた物を受け取ると見覚えのあるラスクだった。ヴォルターの手にはカラフルな袋。またスったのか。ありがたく頂いてから部屋着の上に支給されたコートを羽織る。
 アンペルに言われたのはヴォルターの目を盗んで勝手に出るな、これだけだ。一緒に出てしまうことには全く問題ない。
 空飛ぶソファはヴォルターにとっては魔力(マーリー)不足で使えなかったのでボートで湖を越えて馬車で出立した。ヴォルターはその形態上、馬を御せないので手綱はアスが握っている。
「お前の魔力(マーリー)は何のためにあるんだよ……」
「えーと、空間転移(テレポート)っ?」
 ヴォルターの道案内を頼りに右へ左へ暗い森を縫うように走って行く。暗すぎてアスには何も見えないがヴォルターは双眼鏡を目にあてて的確に指示を出す。それも魔具か。森を抜けて田舎道に出た頃にはもう空が白み始めていた。もうすぐ日の出だ。
「ロード・スレイバーだっけ、あの野郎どこに居るんだって?」
「街(バージス)の北部、鐘楼付近」
 そっちがあの野郎の家か。噴水広場の邸宅は他人の家だったわけだ。無関係どころか名前を騙られたという点で被害者に当たる人間の家を危うく木っ端みじんにするところだったのだと思うとアンペルたちに感謝の気持ちがちょっとわかないでもなかった。
「あ、移動したっ。そこ左に曲がって、あ、右行って」
「どっちだ!直進するぞ!」
「容疑者が空間転移(テレポート)したっ。……俺だけなら空間転移(テレポート)でついていけるのになーっ」
「……」
 街に入り、噴水広場に着く。ロード・スレイバーが街じゅうを空間転移(テレポート)しまくっていて方角が定まらずそこで停車。
「……っていうか空間転移(テレポート)するんじゃ捕まえても逃げられちまうだろ」
「錨(アンカー)っていう魔具があるのさっ。さっきの網もそれっ」
 言いながら積んできた荷物から弓を取り出して矢をつがえる。噴水の真上に狙いを定めて弦を引く。
 ズドン
 突然突き上げるような衝撃があって馬車から放り出された。驚いて逃げ出した��に気をとられてから噴水の方をふりかえるとさっきまでちょうどヴォルターが狙っていたあたりに黒服の男が出現していた。ロード・スレイバーだ。すぐさま体勢を立て直してヴォルターは弓を引こうとする。
「危ねえっ!」
 馬車が爆発して炎に包まれ、爆風で数メートル飛ばされる。
「おいヴォルター!貴様何をやっているんだ!」
 どうやら最初からここに誘い込んでヴォルターが錨を撃ち込む作戦だったらしく、複数の署員がロード・スレイバーを取り囲むように現れる。しかしそれは相手にはお見通しだったようで彼ら目がけて噴水広場のあちこちから迎撃の矢が火を吹いた。矢にあたり墜落しつつ署員の一人が放った魔銃がロード・スレイバーの手をかすった。それに気をとられたところを別の署員がシルクハットに狙撃してふきとばす。
「ヴォルター、やれ!」
 言われるより先にヴォルターは矢を放っていて、それは火矢ひょいひょい避けながらありえない距離を飛んでシルクハットを貫いた。その間に署員たちは次々に火矢に射落とされて着地する。どうやら火矢は浮遊魔法を無効化するものらしい。地上に何人協力者が居るのか噴水広場周辺の建物の影から水や風の塊もさっきからひゅんひゅん飛んできている。
「なーなーアンペルはっ」
 飛んできた水の塊が直撃してずぶぬれになりながら近くの署員にきくと他の署員が放った錨にあたって陸路で向かっているとの返答があった。相変わらずのドジっ子め。ドジっ子は向こうも同じだったようでロード・スレイバーも協力者が放った火矢にあたって墜落しているが。
「容疑者確保っ!」
 署員が声をあげて一斉に飛びかかり網を放つ。
 ズッ ゴオォォォオン
 大きな音をたてて噴水が爆発した。飛びかかった署員たちがふきとばされて水をかぶる。
「ははっ。ははははははははっ」
 爆発の中央、噴水のあった所に男が立っていた。さりとて特徴のない、強いて言うなら高級そうな服を着ている事が特徴の男は間違いなく父の店の品物にケチをつけ強奪していったあの野郎だった。
「見ろ。やはりあの店主の言葉は嘘だったのだ。資格がなんだ、数値がなんだ。使えるじゃないか、僕にも」
 男が持っているのは陶器製のつぼ。もちろんただのつぼではなく魔具の一種で、アスが使おうとした缶砲台の上位互換、40+の『壷砲台』だ。男の年齢は外見からして30代前半といったところだから男の魔力(マーリー)は平均より少しは上といったところなのだろう。男はさらに広場の一角にある露店の並びを次の標的に定めて魔力(マーリー)を込める。
「馬鹿やめろ!」
 止めようと飛び込もうとしたヴォルターをスーツのすそをひっぱって引き戻し、一拍遅れて発射された空気の塊がうなりをあげて飛来し着弾する。避難した露店商の代わりに露店に潜んでいた署員らが崩落する店からあたふたと逃げ出すところに水砲が襲いかかる。
「何っ!止めんなよっ」
「あの魔具は着弾点で大爆発をおこすタイプなんだよ!直撃したら怪我じゃ済まねえぞ!」
「何売ってんだお前の店っ!危なすぎっ!」
「元々は穴堀り工事の魔具なんだよ!工程について文句はあるけどとりあえず何とかしろあれ」
 ピキッ
 固い音がしてヴォルターが不自然につんのめり、その場に鋭い氷を残して空間転移(テレポート)した。周りを見ればさっき水をかぶっていた署員たちが氷でその場に縫い付けられて身動きできなくなっている。
「一人逃したか……。彼は火矢にあたっていなかったんだな。まあいい、これで邪魔はなくなった。さあみんな、僕らに魔具を売らない流者(ルシャ)たちを潰しに行こう。次はテント街だ。魔具師を採りに行くぞ!」
 おおおおお、と広場に面した建物の窓という窓から鬨の声があがる。
「彼らに罰を!我らには魔具の自由を!」
 それぞれ低級の砲撃魔具を手にした服装もバラバラな一般街者(バジャ)たちの歓声に包まれて、タイミングを見計らったように魔動車が広場に滑り込んでくる。待っていたとばかりに男はつぼを肩に担ぎあげ、
 ゴン
 にぶい音がして飛んできた鉄塊でつぼが粉々に砕けた。自分の肩口を見つめて呆然とする男目がけて車は突進する。
「アンペルっ!遅いっ」
 魔動車に乗っているのはアンペルだった。運転士を魔銃で脅しつつもう一方の銃でロード・スレイバーに狙いを定める。
「アンペル危ねえ!」
 直後車がスレイバーの協力者の集中砲撃に遭い、あっという間に煙に包まれた。駆け寄った所に空気砲をつっこまれ逸れたそれが建物にあたってバラバラと壁材が降ってくる。なんとか近づいてひしゃげた魔動車のドアに手をのばす。これは開かないかもしれないと思っているとすぐ真横にヴォルターが現れて車の一部を切り崩した。気絶している運転士をひきずりだしてさらに中をのぞくがアンペルの姿が見当たらない。
「おい、アンペル!返事しろ!」
 呼びかけたが答えは無く、声に反応して飛んできた水砲が背後で破裂してずぶぬれになる。
「……相変わらず無茶苦茶っアンペルっ……!」
 砂けむりの向こうに目をこらしたヴォルターがあきれたようにため息をついた。あの砲撃をどう避けたのかロード・スレイバーに肉迫し喉元に魔銃を突きつけていた。アンペルがにやりと口角を引き上げ、スレイバーはバッと飛び退る。
「お、お前なんかに……」
 往生際悪くベルトに挿していた金属を構える。『自在剣』だ。剣先に灯った火で剣が鈍く光る。それをふりかざし、
「よせっ!」
 叫んだのはヴォルターだった。地面に氷で繋がれたシルクハットを外そうとじたばたするがびくともしない。スレイバーは全く気に留めずそのままアンペルに飛びかかる。
 ゴォッ
 スレイバーが一気に火に包まれた。盛大に炎を吹き出し燃え上がる剣がぬめぬめと形態を変え使用者であるスレイバーに襲いかかる。スレイバーは慌てて剣を捨てようとするが引っ付くどころか触れている所からじわじわと浸食していく。リバウンドだ。
 さっきまで署員たちを狙っていた水砲がスレイバーに集中し署員たちも噴水があった所から湧き出る水で消火にあたる。しかし自在剣の炎は使用者を包むだけでは飽き足らず水砲の魔力(マーリー)をたどって広場に面した家々へ燃え移っていく。スレイバーの協力者たちが次々に逃げ出して消火作業が止まり、火は一気に勢いを増した。熱で氷が溶けて動けるようになった署員も火や煙に巻かれて立ち往生する。
「アスっ!ぼさっとすんなっ!消火っ!」
 ヴォルターがバケツに汲んだ水を手近な火にばしゃばしゃかけ始めて、はっと我に返る。だからお前の魔力(マーリー)はなんのためにあるんだ。まあ自分も他人のこと言えないけど。手の中にある魔具に目を落としてちょっとため息をつく。
「……」
 ひらめいた。
「ヴォルター、ちょっとそれ貸せ」
   昼前に街(バージス)の噴水広場で大規模な爆発と竜巻があり広場周辺の建物が浸水&半壊したというニュースをラジオで聞きながらアスはホットケーキを口に運んだ。噴水に爆発物でも仕掛けられたのかしら、怖いわねえとの店員の世間話を聞き流してシロップに手を伸ばす。
「美味いか?」
「美味いっていうか物珍しい。初めて食べる味だ」
 アンペルの行きつけだという菓子屋、ハーミルンではホットケーキ等軽食も出していて、アスたちは昼食代わりにホットケーキを食べながら休息をとっていた。浸水被害は極局地的なもので、噴水広場に面した建物だけで済んでいたので広場からちょっと離れたこの店には全く影響はみられない。店員も客もどこか遠くで起こった超常現象のように聞き流し次に入った、街(バージス)の大富豪が逮捕されたというニュースに耳を傾ける。
「時にアス君。魔導師資格者に師事する心構えはできたか」
「……独学でも結構コントロールできるようになったし何も師事しなくても」
「どこがコントロールできてるんだっ!」
 すかさずヴォルターの魔具が降ってきてゴーン、と衝撃が頭に響く。床に落ちたそれを拾ってみると木製の腕だった。何に必要と思ってこんな魔具持ち歩いてるんだ……。ご丁寧にも指を揃えてチョップの形に仕上げてある。
「……アス君。わかっているとは思うがこれはその……竜巻を起こすような魔具じゃない」
 テーブルの上に置いたミニ扇風機をつつきながらアンペルが額をおさえてため息をつく。正しくは竜巻を起こせるような魔具じゃない。扇風機というからには風があたって涼しい程度に中の羽が回転するものだ。
 さっきからラジオで流れている噴水広場浸水事件は実はアスが主な原因だった。広がる火事を一瞬で終わらせようと水の入ったバケツにミニ扇風機を突っ込んで思いっきり魔力(マーリー)をぶち込み洗濯器よろしく広場に巨大な水竜巻を発生させ豪快に水浸しにしたのだ。スレイバーの一味と魔具管理署署員の魔具戦を見た周辺住民が避難済みだったから良かったものの、今後何かあるたびに今回のような大掛かりなことをされてはたまらない。魔具管理署会議室では今まさに噴水広場周辺住民への手当金や建物の修復代金の予算組みが行われている最中なのだ。
「あれはさすがにやり過ぎたと思ってる。本当はこれくらい抑えられる」
 と言うがそっと魔力(マーリー)を注がれたミニ扇風機は羽を高速回転させて近くにあった焼き菓子の箱をあっさり吹き飛ばした。アンペルが即座に腕を伸ばして捕まえたので店員からにらまれることは無かったが。代わりにアンペルがアスをにらみつけると不満そうに口を尖らせて目をそらせた。
「……その、魔導師資格の奴って、誰だよ」
「……私だ」
 細い目でアンペルを見上げる。そういえばアンペルの家は魔具だらけだったしそのほとんどがヴォルターには扱えないほど大きな魔力(マーリー)を必要とする物だった気がするが。
「セレスト・クロンは知っているな?」
「知ってるさ。ロード・スレイバーが名前を騙った、国有数の魔導師だろ。あの野郎のことを指してるのかもしんねえけど最近は首都じゃなく街(バージス)に来てるって……」
 言いながらアンペルを二度見する。まさかそんなはずは。資料はやる気無さげに棒読みしてだいたい偉そうでスイーツ好きの男が大魔導師って、……嘘だろ。だいたい魔力(マーリー)が年齢とともに強くなるものなら目の前に居るこの男は見た目まだ30にもなってないじゃないか。
「呼び方は変わらずアンペルでいい。その名前は有名すぎるのでな」
「……アンペルっ。もう隠しても無駄っ。多分」
 カラン、と客の来店を知らせるベルが響き白いスーツ姿の男たちが入ってくる。店員のいらっしゃいませの言葉を無視してリーダー格らしいずんぐりとした背の低い男を先頭にまっすぐアスたちのテーブルにやって来る。
「セレスト・クロン氏。お迎えにあがりました。至急首都(キャピタル)にお戻りくださいませ」
 アンペルはさっきより盛大にため息をついて頭をかいた。やっぱり内視眼鏡(エンドスコープ)なんて大魔力を使うんじゃなかった。あれを感知されたに違いない。
「首都(キャピタル)に戻られましたらひきつづき現在進行中の事業へ御尽力頂きますが、その前に魔法省からも呼び出しがございます。今回の公共建造物破壊の件、納得のいく説明を期待しておりますとのことです」
「……」
「……」
 一同沈黙の後アスに視線が集まった。
 何でオレなんだよと騒いで抵抗するアスをひきずってアンペルが退出し、店内に静けさが戻る。
「……また来るかねえ、アンペルさん」
「来るさっ。もう一人魔導師をつれてねっ!」
   そして数年後。
 大魔導師セレスト・クロンに並んでアス・フェンの名がリント国に知れ渡ることになるが、これはまた別の話。
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ama-gaeru · 8 years ago
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パンドラ、その箱を開けて2
 大人と子供の大きな違いの1つは、大人にとって子供の抱える怒りなど「遠い昔に自分も通過してきた、取るに足らないくだらない怒り」でしかないが、子供にとってはそうではないということだ。
 大人は子供の怒りを軽視しがちだ。
 昨夜の出来事などすっかり忘れたように振る舞う両親を前に、眠りを経て一旦は落ち着いていたルネの怒りは乾燥した藁に火種が落とされたように燃え上がった。
 彼は両親の「おはよう」の声も、テーブルに並んだ朝食も無視して家を出た。ドアを閉める直前に聞こえた両親の「あんなくだらないことでまだ怒ってるのか」という笑い声が、怒りに油を注いだ。ルネは思いっきりドアを蹴り飛ばし、学校へと駆け出した。
 怒りは学校に行っても収まらなかった。
 その不貞腐れた態度や刺々しい物言いを教師達に注意され、廊下に立たされたりもしたが−−これはルネには極めて稀な出来事だった−−それでもルネの纏う怒りは少しも薄まらなかった。
 クラスメイト達は親や教師達よりは幾分まともに状況を判断できるので、ルネの怒りが落ち着くまでは彼になるべく近寄らないようにと決めた。
 結果、隣席のブノアがルネに「今日は随分怖い顔してんじゃん? 何かあったの?」と声をかけたのは、全ての授業を終えた放課後になってからだった。
 適切なタイミングだった。
 クラスメイト達はルネの怒りの原因を知りたいと思っていたし、ルネ自身も自分の抱えている怒りを誰かに愚痴りたいと思っていたからだ。
 だからルネはブノアが些か身を引くくらいの勢いで、昨晩から胸に抱えていた怒りを一気に吐き出した。
 部屋に勝手に入られたこと。
 貯金箱代わりに使っていたオモチャを捨てられたこと。
 ゴミ収集場まで走ったのに結局取り戻せなかったこと。
 追いかけてきた親に一方的に怒られたこと。
 父親に殴られたことなどなど。
 ずっと前から部屋を掃除しろと言い続けられていたことや、貯金箱代わりに使っていたのが可愛いぬいぐるみであることや、母親を罵ったことなどは言わなかった。ほんの少しでも自分に非があると思われる部分は黙っておいた方がいいのだ。特に、大勢の同情を引いて共感を得たい時などは。
 ルネの怒りの訴えにブノアだけではなく、他のクラスメイトも彼の周りに集まってきた。
 親の悪口を言いたくてたまらない年頃の少年達は、口々にルネに同情の言葉を寄せた。それで、ようやくルネの怒りは0に戻った。可哀想だと言われ、辛いだろうと慮れることこそ、彼に必要なものだった。
 「家出しちゃえば?」
 皆の視線がドミニクに集まる。
「1週間くらいどこかへ消えちゃうんだ。きっとおばさんもおじさんも反省するよ」 「何? 何の話?」  掃除道具を手に教室に入ってきたフェリシーがドミニクの後ろから顔を出す。
 少年達の半分はフェリシーに「お前には関係ないだろ」という態度を示し、もう半分は素直に彼女の問いに答えた。フェリシーは「あんた達って本当にバカね」という表情を浮かべた。 「そんなの危ないじゃない。お父さんやお母さんとちゃんとお話すればいいのよ」  ルネも少年達も彼女の正論に飽き飽きとした顔を浮かべた。 「私の友達のお姉さんも一度家出したけどすぐに戻ってきたのよ、変なおじさんに追いかけられたって。世の中って私達みたいな子供にはすごく危ないんだから」 「そんなの女だったからだろ。もう黙れよフェリシー」  なーと男の子達は顔を見合わせる。
「男を追いかけるおっさんなんかいるわけねーじゃん」
 フェリシーは自分の提案が受け入れられなかったのに気分を害し、「そう! じゃぁ勝手にすれば!」とロッカーに乱暴にモップを叩き込んで教室を出て行った。何人かの少年が「うぜー」「お節介女」とクスクス笑いを浮かべる。 「えーと。あいつの味方するわけじゃないけどさ」と前置きしてブノアが口を開く。ルネはブノアがフェリシーの悪口を聞きたくないからわざわざ前置きするのだと知っていた。恐らくブノア自身は気がついていないだろうが、彼はいつも少年達がフェリシーを悪く言おうとすると話を変える。つまり、そういうことなのだ。
「ここら辺って多いよな」 「何が?」 「失踪事件。子供の」  ブノアの言葉に皆が頷いた。 「でも殆ど外から来た奴らじゃん。失踪とは違うだろ? 夏休みとかにたくさん働きにきて、そんで金盗んで消えちまうんだ�� 「キャンディ工場とか毎回盗まれてるよな」  子供達がゲラゲラと笑う。 「あそこの親父バカなんだよ。いい加減、外の人間なんか雇うのやめりゃいいのにさ」 「でも本当に行方不明になった奴もいたじゃん」 「あれだろ。ジョゼット・ジュネの兄ちゃん」   ジョゼット・ジュネは最高学年の女生徒だ。街に住んでいれば誰もが彼女を知っている。もしもこの街に住んでいない誰かに「そこで凄く可愛い女の子を見かけたんだけど誰だか知らない?」と聞かれたら、街の住人であれば全員が「それはジョゼット・ジュネだよ」と応えるだろう。多少、気の利く人間ならば「彼女は色々複雑だから、軽々しく近づかないように」と忠告するかもしれない。
「レナルド・ジュネだ」  レナルド、レナルドと皆が口々にその名を呼ぶ。  レナルド・ジュネ。
 彼の名前と顔を知らない人間はこの町にはいないだろう。皆が彼を知っている。電柱や壁や町の伝言板に貼られたポスターで。  拡大コピーされたレナルドの写真は彼が忽然と姿を消したその日から年をとらない。ジョゼットに良く似ていて、違うのは髪の毛の長さと目の色だけだ。  レナルドは12歳の時、学校帰りに行方不明になったのだ。そして今も帰ってこないでいる。生死すらわからない。  子供達は無言になった。レナルドのポスターの隣にルネのポスターが貼付けられる未来を想像したのだ。
「……じゃぁ、嘘の家出は?」  いい事を思いついたという顔でシルヴァンが指を立てる。 「俺の家の倉庫に泊まるんだ。そこなら変な奴も入ってこれないぜ」  ルネは感嘆の声をあげた。  シルヴァンの家の倉庫は2階建てで地下室もある。
 地下はギタリスト志望だったシルヴァンの兄の部屋で、その兄が結婚して家を出てからは子供達のたまり場になっていたのだ。トイレとシャワーとベッドもある。TVとレコードもだ。
 シルヴァンの両親は倉庫には出入りしないし——稀にやってきたとしても地下までは降りてこない——短期間の宿泊にはぴったりな場所に思われた。 「なぁ、いいアイディアだろ?」  シルヴァンが得意げに胸を反らす。 「今週末から連休だ。家出してきなよ。ルネだけじゃなくて家出できる奴はみんなくればいいよ」  おー! と皆が声をあげた。 「置き手紙するんだ。『家出します。さようなら』って。居場所は書かないでさ」 「騒ぎになるんじゃないか? シルヴァンの家にいるって書いた方が……」  バカッ! とドミニクが叩かれる。 「それじゃただのお泊まりじゃないか。居場所は内緒なんだ。きっと大人達は大慌てさ」  ヒッヒッヒとブノアが意地悪な笑みを浮かべた。 「なぁ、そうしようぜルネ! 心配させてやればいいよ。やろうぜ、家出!」  ルネは力強く頷いた。
                  *
 素晴らしいアイディアは重力を軽くする。
 ルネは「家出」という反重力思想を胸に抱き、帰路についた。しかし途中で家に向かう足を止め、反対方向に向かって歩き出した。
 素晴らしいアイディアは人の気を大きくし、普段ならとらない行動をとらせる。
 ルネは店の手伝いを放棄すると決めた。どうせ家出している間は店を手伝わないのだ。それを少し早めたからといって何が悪いのだ、とルネは思った。
 彼は学校まで一度戻り、そこから更に進んだところにある公園にやってきた。いちゃつくカップルもおらず、不良の溜まり場にもなっていないそこは、今日のようなサボりにはちょうど良い場所だった。
 円形の公園の中央にはウサギを狩るハンターの銅像があり、その周囲をぐるりと花壇が囲んでいる。  ルネはその銅像の足元にあるベンチに座り、公園の外を歩いて行く人々をぼんやりと眺めていた。
 しかし、ここに来るまでに期待していたようなのんびりした気持ちには全くなれなかった。のんびりしよう、店のことは考えないようにしようと思えば思う程、自分がいない店がどんな状況になってしまっているかを考えてしまう。
 今は1日の内で店が1番忙しい時間だ。ルネは自分がいないせいで混雑してしまっているレジを思い、困り果てている両親の様子を思い、罪悪感を覚え始めた。昨夜の出来事を思い出し、親に同情する必要はないと思おうとしたが、上手くはいかなかった。
 店に走って帰るべきか、それともここでなんとかしてのんびり時間を過ごすべきかを考えていると、ガスパールが公園の前を通り過ぎようとしてるのが視界に入った。
 ルネが「おーい」と声をかけるとガスパールは周囲を見回してからルネに気がついた。
「ルネ! こんな所で何やってんだ? 店は?」 「もうやめたんだ」  ガスパールは小走りにベンチまでやってきてルネの隣にどかっと腰を下ろす。 「やめた?」 「もううんざりさ」  ルネが昨日の夜に起きた事、それから家出の計画を話すとガスパールは「お前馬鹿だなぁ」と呆れたように言った。 「何が馬鹿なのさ?」 「家出。そんなのすぐにバレて連れ戻されるぞ」 「大丈夫だよ、ずっと静かにしてればバレないさ」  ガスパールは長いため息をついて立ち上がると「ちょっと待ってろ」と言って通りの向こう側にある雑貨店に入って行った。そしてまもなくして両手にペプシの缶を持って戻ってきた。片方のペプシをルネに投げ、再び隣に腰掛ける。
「クラスでみんなに話してたんだろ?」  ルネは頷く。 「お前が家出したら親はどうする? まずお前のクラスメイトに声をかけるだろ。うちのルネを知りません? って」 「誰も喋らないさ」 「フェリシーって子は? 女の子はべらべら何でも喋るぞ」  ルネは舌打ちをする。確かにフェリシーなら喋るだろう。居場所までは知らないが、クラスの男の子達が計画していたと喋ってしまえば、あとは誰かが口を割ってしまう。 「じゃぁガスパールの家に泊めてよ」 「無理。狭いし、ジョルジュがいる。あいつ、お前みたいなガキは嫌いなんだよ」
「僕はガキじゃないし、ガスパールが言えばジョルジュも納得してくれるんじゃないの?」 「無理、無理ったら無理。お前はな、あいつがどれだけガキ嫌いかを知らないからそういう」  ガスパールが急に言葉を止めた。
 ルネが彼の視線の先を追うと、先ほどガスパールが入っていった店からジョゼットが出て来る所だった。両手に紙の束を抱えていて、歩きながらすれ違う人にそれを手渡している。 「何やってんだろ?」 「……さぁね。じゃぁ俺は行くから。おい、家出なんか馬鹿な事するなよ。わかったな?」 「最近は僕のやる事になんでも反対するね! 母さんみたいだ」  ガスパールは笑い「あなたのためを思ってなのよん、ルネちゃん。大人しくママンの言う事を聞いて頂戴ねん」とルネの頭を撫でた。ルネは気持ち悪いよと苦笑する。 「どうせならお前のばあさんに電話して迎えに来てもらえよ。そんで連休の間だけでも里帰りすりゃいいさ。父ちゃんと母ちゃんには『金返さないともう戻らないからな!』って電話してやれ」  ルネは顔を曇らせる。 「電話番号知らないんだ。父さんが教えてくれなくて。手紙は来るんだけど……」 「住所はわかるんだろ? 夜間列車に乗ればすぐさ」 「切符高いじゃないか。こっからフォルガまで200マルはかかるよ」 「じゃぁ、今から店に戻って一生懸命働かないとな! チップ貰いそこねちゃうぜ」  ルネが頬をふくれさせるとガスパールは一層高く笑って公園から去っていった。  ガスパールが公園から出た時、丁度通りを渡ってきたジョゼットが歩いてきていた。  ジョゼットはガスパールに1枚の紙を渡し、何か言葉を交わす。ルネには何を話しているのかわからなかったが、ジョゼットを見つめるガスパールの横顔はいつになく悲しそうに見えた。もっとも、この町の人間は皆、ジョゼットと言葉を交わすと自然とそういった顔つきになってしまうのだが。  ガスパールが立ち去るとジョゼットはルネに顔を向けた。公園の中に入り、ルネの方へと一直線に歩いてくる。  ルネは背中をぴっと伸ばし、無意識に両手を強く握った。
 夕日に赤く彩られたジョゼットの姿は昼間学校で見かける時ともパン屋の中で見かける時とも違う、幻想的な美しさをまとっていた。
 ルネはジョゼットの前ではきちんとした一人前の男として振る舞いたかった。 「こんにちは、ルネ」 「こんにちは、ジョゼット」 「私、これをあなたに」  ジョゼットが紙の束から1枚を手に取りルネに手渡そうとした時、彼女が抱きかかえていた束がどさどさと地面に流れ落ちた。  ジョゼットは慌てて落ちた紙を拾い集める。ルネもペプシをベンチに置いて紙を拾うのを手伝った。 「ごめんなさい、1人で大丈夫」 「いいよ、2人でやった方が早いし」 「本当にごめんなさい。私、いつもこうなの。嫌になっちゃう」  疲れ果てた声でジョゼットは言う。  散らばった紙には大きく『探しています』の文字が印刷されており、その下にはレナルドの写真が配置されている。見慣れたレナルドのポスターだったが、写真がいつもと違っていた。 「これ……少し違うね」  ジョゼットは紙を拾いながら答える。 「写真を変えたの。街に、あの、ここじゃなくてリルリヴァーの方なんだけど、その街にこういう写真を作ってくれる所があるの。写真から成長した姿を予測してくれるのよ」  よく見ると写真の下に「※写真は行方不明当時の写真を元に現在の姿をシュミレーションしたものです」と文字がうたれている。  ルネがチラシを見ている間にジョゼットは全ての紙を拾い集め終えた。集めた紙の中から20枚程を手に取り、彼女はルネに尋ねる。 「もし迷惑でなければ、これをあなたのお店に何枚か置いてもらえない? あの、本当に迷惑でなければ……ほんの少しの間でいいの。邪魔だったら捨ててしまってもかまわないから」  ルネはそのチラシを受け取る。 「大丈夫だよ、置かせてもらうから。目立つ所にね」 「ありがとう。ルネ。お父さんとお母さんによろしくね」  ジョゼットはルネに背中を向けて公園の出口に向かって歩き出した。  ルネは彼女の歩き方がおかしい事���気がつく。目線を下げて彼女の足を見ると踵のあたりに赤い靴摩れの痕が見えた。 「君、怪我してるじゃないか!」  ルネはジョゼットの側まで歩いて行き、彼女の腕を掴む。 「ただの靴摩れだから」 「だめだよ、痛いだろ? こっち来て座って。僕、絆創膏持ってるから」  強引に引っ張っていき、ジョゼットをベンチに座らせた。  その時になってルネは産まれて初めて女の子の腕を掴んだ事と、それが他の誰でもなくジョゼット・ジュネだということに気がついて言いようのない恥ずかしさと戸惑いを感じ、顔を赤らめた。今が夕暮れ時でよかったと彼は思う。夕陽に照らされて何もかもが赤いから、自分の顔の赤さなど彼女は気がつかないだろうから。 「ほら、靴脱いで。絆創膏貼るから」 「大丈夫よ。迷惑かけちゃうから。私は平気」  また立ち上がろうとするので慌ててルネは彼女を引き止めた。 「いいから! そんな状態で歩かれる方が迷惑なんだってば! ほら、足こっちに伸ばして!」  ルネが自分の太ももを掌で叩くとジョゼットは今度こそ素直に靴を脱いで、そのバレリーナのように美しい両足をそっとルネの太ももの上に乗せた。
 彼女の脹脛がルネの太ももを柔らかく押す。何もかもが赤く照らされているのに、スカートから伸びた彼女の足はそれでもなお石膏のように白く見えた。
 ルネは自分がジョゼットにはどう見えているのかが気になり始めた。彼女が足を預けてくれたのはルネを「小さくて無害な男の子」だと思っているからなのか、それともルネのことは「1人前の紳士的な男の子」だと思っているからなのか。  ルネは「そんなのどうだっていいじゃないか! これはただの足だ。ただの足だ。僕のと同じただの足。特別な物じゃないんだ!」と心の中で繰り返しながらジョゼットの踵に絆創膏を貼付ける。 「……これで大丈夫だと思うけど」 「本当にありがとう」  ジョゼットは両足をそっとルネの太ももから下ろして、小さなつま先を靴の中に入れる。 「そんなになるまで歩いてたの?」 「気がつかなくて」 「血も出てるのに……痛いだろ」  ジョゼットは曖昧に笑う。酷く疲れているように見えた。  ルネはまだ蓋も開けていなかったペプシを彼女に手渡す。 「飲みなよ」 「でも、これあなたのでしょう? いけないわ」  ジョゼットが返そうとするのでルネは「僕、炭酸嫌いなんだ。貰い物だしさ」と嘘をついた。
 ジョゼットは丁寧に礼を言い、ペプシのタブを持ち上げる。泡立った炭酸がシュッという音を上げてこぼれてきたので彼女は慌てて口をつけたが、少し手にかかってしまった。 「……本当にそそっかしいわね、私って」  苦笑しながら彼女は手にかかったペプシを舌で舐めとった。  ルネは見てはいけないものをみたような居心地の悪さを覚えて目を反らす。 「えっと……お兄さんの手がかりは何か見つかった?」  ジョゼットは首を横に振る。 「そっか……あの、きっと帰ってくるよ」 「そうね」  2人はただ黙ってオレンジ色に燃える空を見つめた。2匹の小鳥が螺旋状に旋回しながら太陽の前を通り過ぎる。 「フォルガってどんな所なの?」  唐突にジョゼットは口を開いた。 「どうって、普通だよ」 「それじゃわからないわ」  ジョゼットはくすくすと笑う。 「こことは全然違うんだ。森があって、人間より牛の方が多い。それから川が流れてて夏には魚がたくさんとれるよ。夏が素晴らしいんだ。ひまわりが爆発したみたいに咲いて、それに野生の蜂蜜花熊がいるんだよ。犬くらいの大きさで人に良く懐くんだ。ひまわりの種とか蜂蜜しか食べない大人しい熊なんだ」 「いいなぁ……行ってみたいわ」  じゃぁ今度僕と行こうよ! と言いたかったけれどあまりにも図々しいと思いルネは言葉を止める。 「そういえば今日お店はどうしたの? お休み?」 「もうお店には出ないよ」 「どうして?」 「うんざりなんだ。毎日毎日同じ事繰り返して。僕が望んだ事じゃないのに。それをしないと悪い子だって言われる。もううんざり。どこか遠くに行きたいよ」  ジョゼットは足をぷらぷらと前後に動かしながら呟いた。 「行きたいね、遠く」  その顔があまりにも寂しそうなのでルネは彼女に訊ねた。 「何かあったの?」  力なくジョゼットは笑う。 「私もうんざりなの。毎日毎日同じ事の繰り返し。もうわかってるの。兄さんはもう帰ってこないのよ。こんな事しても無駄。��部無駄よ」  ジョゼットは紙のチラシを指差して泣きそうな顔をし、それからはっと何かに気がついたようにルネに顔を向けた。 「ごめんなさい、あの、今のは忘れてね。あの、無駄だなんて思ってないわ。気を悪くしないで、折角お店に置いてくれるっていうのに失礼な事を言ってしまって、ごめんなさい」 「気にしてないよ」 「ごめんなさい、本当にごめんなさい」  ルネはジョゼットとこんなに長く話したのは初めてだったが、今まで手の届かない妖精や天使のように思っていた彼女が、なんだかとても小さくて弱々しい傷ついた動物のように思えてきた。常に何かに怯えて震えているようだ。 「何か悩みでもあるの? あの、もし僕でよければ話を聞くよ」  ジョゼットは「大丈夫」と一度は断ったが、ルネがじっと見つめているのに気がつくとしばらく口を開けたり閉めたりを繰り返した後で喋り始めた。
                   * 
 レナルドが行方不明になったその日。
 ジョゼットは兄と一緒に、学校から家までの道を歩いていた。  通学路のちょうど真ん中あたりで、ジョゼットは急にトイレに行きたくなった。  2人は通学路沿いにある喫茶店に入り、ジョゼットは従業員用のトイレを借りた。  店の中には仕事の休憩に来ていたらしいガスパールとジョルジュがいて、ジョルジュは2人を見ると手を振って挨拶してきた。
 レナルドはジョルジュに挨拶を返し、ガルパールにも「やぁ」と声をかけたが、ガスパールは明らかに聞こえているはずなのに、挨拶を無視した。ジョゼットは「嫌な人だな」と感じた。
 レナルドはトイレの前で待ってようか? と聞いたがジョゼットは「恥ずかしいからやめて。お店の中で待っててよ」と癇癪を起こした。ガスパールやジョルジュにトイレを我慢出来ない子供だと思われるのが恥ずかしかったのだ。  ジョゼットがトイレから出ると、店内にレナルドの姿はなかった。
 ジョゼットは店の電話で工場に何か連絡をしているガスパールに兄を見なかったかと聞いた。兄のように無視されるのではないかと不安だったが、ガスパールは彼女が予想していたよりもだいぶ柔らかい態度で「ごめんね、電話に夢中でよく見てなかったんだ」と応えた。
 ジョゼットはもう一度店内を見回したが、やはりジョルジュの姿は見当たらなかった。
 兄もトイレにいるんじゃないかと思い、彼女は男子トイレのドアの前でしばらく待つことにしたが、どれだけ待っても兄は出てこなかった。  床掃除をしていたスペイン系の男が酷く聞き取りにくい声で「どうかしたの?」と聞いてきたので、彼女は兄を待っているのだと応えた。すると男は「君のお兄さんかどうかはわからないけど、男の子、随分前に出て行ったよ」と教えてくれた。
 ジョゼットは兄において行かれたのだと思い、カンカンになった。
 走っていって追い付いて文句の1つも行ってやろうとドアに向かうと、ガスパールが追い掛けてきて彼女を家まで送ると言った。  ジョゼットは断ったがガスパールが「女の子1人じゃ危ないよ。もう暗いんだから」と言った。確かにその言葉の通り、空は薄暗くなりかけていた。だから彼女はガスパールの申し出を受け入れた。最初に受けた「嫌な人」という印象は幾らか薄くなっていた。   帰路の途中で道の反対から歩いてきたジョルジュとまた顔をあわせたので、彼女は兄を見なかったかと尋ねた。しかしジョルジュは「見てないよ」と応えた。ジョゼットは少し不安になった。兄が先に家に帰っているのなら、途中でジョルジュとはすれ違っているはずだからだ。不安は疑問を呼ぶ。そもそも兄はジョゼットを1人置いて、どこかに行ってしまうような人間ではないのだ。
 「本当に何もみてないのか? 心当たりはないのか?」とガスパールは更にジョルジュに聞いた。
 ジョルジュは冷たい目をガスパールに向けると「お前はどうなんだよ? 店にいたんだろ? 何か見たんじゃないのか?」とい聞き返した。ガスパールは「何もみてないから、困ってるんだろ」と応えた。ジョルジュは「お前がちゃんと見てりゃ、その子も一人で帰るはめにならなかったのにな」と鼻で笑い、横を通り過ぎて行った。
「どこに行くんだ?」とガスパールは聞いた。ジョルジュは応えなかった。
 去って行くその背中に向けてガスパールは「俺のせいじゃない」と吐き捨てた。
 ジョゼットは家に戻り、兄の姿を探したが、そこにもやはりレナルドの姿はなかった。
 既に日も沈んでいたため両親はレナルドが行きそうな場所や知っている限りの友人の家全てに電話をした。  だが、どこにもレナルドはおらず、大袈裟だと言う父親を振り切って母親は警察に連絡をした。
 その日、レナルドは見つからず、その次の日も見つからなかった。  町中に聞き込みがされ、既に死亡している可能性を含めた捜索も行われたがレナルドはやはり見つからなかった。
 彼女の両親は嘆き悲しんだ後で一心不乱にレナルドのポスターを作り、町中に貼り出した。TVのいかがわしい超能力者に頼った捜索番組にも出演したし、金属の針や水晶のペンダントを揺らす詐欺師の言葉も聞いた。  努力と呼ばれるありとあらゆる努力を彼等は惜しまなかった。頭に「無駄な」がつく種類の努力も含めて。    レナルドが消えてから2年が過ぎた頃、彼等は自覚を始めた。  レナルドが恐らく戻ってこないだろうと。  そして以前にも増して努力を続けた。まるでその努力が息子への愛情の証だと信じるように。そして努力を止める、現実を受け入れる事はつまり息子への愛情をなくすことなのだと信じるように。  コピーするポスターの枚数が彼等にとって息子への愛情の証明になった。泣きわめいた日々の数が息子への愛情の証明になった。  TVで6年間行方不明だった少女が帰宅したというニュースを見てからは増々両親の努力は節度を失い、判断も狂い始めた。もしかしてレナルドも帰ってくるのではないかという希望が彼等を壊した。  絶望の中にいる両親にはそのたったひと粒の希望があまりにも明る過ぎた。明る過ぎて、眩し過ぎて、彼等は希望以外の何も見えなくなってしまった。  靴擦れだらけの足で夜遅くまでポスターを配って歩く、娘の姿すら。    ジョゼットは家で笑う事を禁じられた。  「レナルドがいないのに笑わないで」と怒鳴られるからだ。  ジョゼットは友達を作る事を禁じられた。  「レナルドにはもう友達が出来ないのに」と泣かれるからだ。  ジョゼットは笑う事も楽しむ事も喜ぶ事も全て禁じられた。  レナルドを思う事以外、彼女には何も許されなくなった。
                 *
 「私、疲れちゃった」とジョゼットは呟いた。
「疲れちゃったって、よくないことよね。だって、これは兄さんを見つけ出すためにやらなきゃいけないことだし、兄さんを大事に思っていたら、疲れたって感じるわけないんだもの。それでも、最近、凄く疲れちゃって。酷い妹だってわかってるんだけど、凄く疲れちゃって。1日でいいから、1時間だけでいいから、自分の好きなことがしたい。好きなことをしてニコニコ笑っていたい。でもそんなことしたら、私が楽しそうにしてたら、きっと皆、こう思うの。『あの子はレナルドを忘れたんだね』って。私自身もきっとこう思っちゃうのよ。『私はレナルドを忘れた悪い妹だ』って。だから、私、こんなこと考えたりしちゃいけないのに。それでも、誰も私を知らない街に行けたらなって思っちゃうの」
 ジョゼットは疲れた老婆のように笑い、それから顔を抑えて泣き出した。   ルネはどうしていいのかわからず、ただ彼女の背中を撫でて「大丈夫だよ、大丈夫だよ」とくり返した。
 ジョゼットは嗚咽を上げながら自分は悪い子だ、兄を忘れようとしている、思いでにしようとしている、でも辛い、とても辛い、私は幸せにはなれないんだと絞り出すようにして言った。  ルネにははっきりとわかった。ジョゼットに必要なものが。    「ジョゼット。もし、君が良かったら僕と一緒に僕の生まれ故郷に行こうよ」
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