#うつわと暮らしの道具凛
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・ ・ 2023.3.18.sat.- 4.2.sun. 村上躍 陶展 Yaku Murakami Exhibition ・ ・ 長野県八ヶ岳にて清々とした空気の中で作陶する、村上躍さんの作品展となります。余白のある整った工房、周囲の木々や山々に動植物の音。そこは静かで凛とした空気感があります。力強さや温もり��中に静謐さを感じるのは、そんな環境で日々暮らし、��分と向き合いながら仕事をしている村上さんの空気感なのかもしれません。桜の季節、皆様のお運びをお待ちしております。 ・ close:月曜 | open:11-19:00(初日は18:00まで) | 17(金)は展示準備のため臨時休業 | 初日作家在廊予定 | 開店前にお並びの場合は整理券を配布いたします。| ・ ・ Profile | 1967年 東京生まれ | 武蔵野美術大学短期大学部専攻科工芸デザイン卒 | 98年より神奈川県にて手びねりにて作品の制作をはじめる。 | 2020年 長野県八ヶ岳に工房を移転 | 国内外で個展を中心に作品の発表を続ける | ・ ・ ・ 364-0031 埼玉県北本市中央2-64 048-593-8188 Open 11:00-19:00 close 毎週月曜・第一火曜日 JR湘南新宿ライン高崎線 北本駅西口徒歩1分 ・ ・ #yaichi #やいち #器 #うつわ #食器 #tableware #生活道具 #暮らし #cafe #カフェ #アンティーク #antique #antiques #古道具 #古家具 #oldfurniture #brocante #古物 #埼玉 #埼玉県 #北本 #北本市 #村上躍 #YakuMurakami (Gallery&Cafe やいち) https://www.instagram.com/p/CpRuf5GvPl_/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#yaichi#やいち#器#うつわ#食器#tableware#生活道具#暮らし#cafe#カフェ#ア��ティーク#antique#antiques#古道具#古家具#oldfurniture#brocante#古物#埼玉#埼玉県#北本#北本市#村上躍#yakumurakami
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5周年イベント終了しました。 馴染みのお客様からはじめましてのお客様まで、たくさんのみなさまが扉を開けてくださって、とてもとても嬉しい3日間でした✨✨ 「おめでとう。早いもんだねー」などのお言葉や、差し入れをくださったりなどなどたくさんの喜びを感じさせていただき感謝の気持ちでいっぱいです✨ そしてこれからも うつわと暮らしの道具 凛 を、私を、どうぞよろしくお願い致します! 写真は初日に撮影したものですが、今も素敵な作品が色々ありますので、また準備してネットショップにも掲載したいと思います。 ご遠方の皆様、そちらも楽しみにしていただけたら嬉しいです✨ ありがとうございました❣️
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つまさきになみのおと
そういえば、自分から電話することだって滅多になかったのだった。 ディスプレイに浮かぶ名前を、そっとなぞるように見つめる。漢字三文字、向かって右手側の画数が多いそれは、普段呼んでいるものよりもなんとなく遠くに感じる。同じ、たったひとりの人を指す名前なのに。こんな場面でやけに緊張しているのは、そのせいなのだろうか。うんと昔は、もっとこれに近い名前で呼んでいたくせに。本人の前でも、居ないところでだって、なんだか誇らしいような、ただ憧れのまなざしで。 訳もなく一度ベンチを立ち上がって、ゆるゆると力なく座り込んだ。ただ電話をかけるだけなのに、なんだってこんなに落ち着かないんだろう。らしくないと叱咤する自分と、考え過ぎてナーバスになっている自分が、交互に胸の中を行き来する。何度も真っ暗になる画面に触れなおして、またひとつ詰めていた息を吐き出した。 寮の廊下はしんと静まり返っていた。巡回する寮監が消していく共同部分の照明、それ以外は規定の中だけで生きているはずの消灯時間をとうに過ぎている。水泳部員の集まるこのフロアに関して言えば、週末の夜にはもう少し笑い声も聞こえてくるはずだ。けれど、今日は夜更かしする元気もなく、すっかり寝息を立ててしまっているらしい。 午前中から半日以上かけて行われた、岩鳶高校水泳部との合同練習。夏の大きな大会が終わってからというもの緩みがちな意識を締める意味でも、そして次の世���に向けての引き継ぎの意味でも、今日の内容は濃密で、いつも以上に気合いが入っていた。 「凛先輩、今日は一段と鬼っスよぉ」 残り数本となった練習メニューのさなか、プールサイドに響き渡るくらい大きな声で、後輩の百太郎は泣き言を口にしていた。「おーい、気張れよ」「モモちゃん、ファイト!」鮫柄、岩鳶両部員から口々にそんな言葉がかけられる。けれどそんな中、同じく後輩の愛一郎が「あと一本」と飛び込む姿を見て、思うところがあったらしい。こちらが声を掛ける前に、外しかけたスイミングキャップをふたたび深く被りなおしていた。 春に部長になってからというもの、試行錯誤を繰り返しながら無我夢中で率いていたこの水泳部も、気が付けばこうやってしっかりと揺るぎのない形を成している。最近は、離れたところから眺めることも増えてきた。それは頼もしい半面、少しだけ寂しさのような気持ちを抱かせた。 たとえば、一人歩きを始めた子供を見つめるときって、こんな気持ちなのだろうか。いや、代々続くものを受け継いだだけで、一から作り上げたわけではないから、子供というのも少し違うか。けれど、決して遠くない感情ではある気がする。そんなことを考えながら、プールサイドからレーンの方に視線を移した。 四人、三人と並んでフリースタイルで泳ぐその中で、ひときわ飛沫の少ない泳ぎをしている。二人に並んで、そうして先頭に立った。ぐんぐんと前に進んでいく。ひとかきが滑らかで、やはり速い。そして綺麗だった。そのままぼんやりと目で追い続けそうになって、慌ててかぶりを振る。 「よし、終わった奴から、各自休憩を取れ。十分後目安に次のメニュー始めるぞ」 プールサイドに振り返って声を張ると、了解の意の野太い声が大きく響いた。
暗闇の中、小さく光を纏いながら目の前に佇む自動販売機が、ブウンと唸るように音を立てた。同じくらいの価格が等間隔に並んで表示されている。価格帯はおそらく公共の施設に置いてあるそれよりも少しだけ安い。その中に『売り切れ』の赤い文字がひとつ、ポツンと浮き上がるように光っている。 ふたたび、小さく吐き出すように息をついた。こんな物陰にいて、飲み物を買いに来た誰かに見られたら、きっと驚かせてしまうだろう。灯りを点けず、飲み物を選んでいるわけでも、ましてや飲んでいるわけでもない。手にしているのはダイヤル画面を表示したままの携帯電話で、ただベンチでひとり、座り込んでいるだけなのだから。 あと一歩のきっかけをどうしても掴めない。けれど同時に、画面の端に表示された時刻がそんな気持ちを追い立て、焦らせていた。もう少しで日をまたいで越えてしまう。意味もなくあまり夜更かしをしないはずの相手だから、後になればなるほどハードルが高くなってしまうのだ。 今日は遅いし、日をあらためるか。いつになく弱気な考えが頭をもたげてきたとき、不意に今日の後ろ姿が脳裏に浮かんだ。途端に息苦しさのような、胸の痛みがよみがえる。やはり、このままでいたくなかった。あのままで今日を終えてしまいたくない。 焦りと重ねて、とん、と軽く押された勢いのまま、操作ボタンを動かした。ずっと踏み出せなかったのに、そこは淡々と発信画面に切り替わり、やがて無機質な呼び出し音が小さく聞こえ始めた。 耳に当てて、あまり音を立てないように深く呼吸をしながら、じっと待つ。呼び出し音が流れ続ける。長い。手元に置いていないのだろうか。固定電話もあるくせに、何のための携帯電話なのか。そんなの、今に始まったことじゃないけれど。それに留守電設定にもしていない。そもそも設定の仕方、知ってんのかな。…やけに長い。風呂か、もしくはもう寝てしまっているとか。 よく考えたら、このまま不在着信が残ってしまうほうが、なんだか気まずいな。そんな考えが浮かんできたとき、ふっと不安ごと取り上げられたみたいに呼び出し音が途切れた。 「もしもし…凛?」 繋がった。たぶん、少しだけ心拍数が上がった。ぴんと反射的に背筋が伸びる。鼓膜に届いた遙の声色は小さいけれど、不機嫌じゃない。いつもの、凪いだ水面みたいな。 そんなことを考えて思わず詰まらせた第一声を、慌てて喉から押し出した。 「よ、よぉ、ハル。遅くにわりぃな。あー、別に急ぎじゃないんだけどさ、その…今なにしてた? もう寝てたか?」 隙間なく沈黙を埋めるように、つい矢継ぎ早に並べ立ててしまった。違う、こんな風に訊くつもりじゃなかったのに。いつも通りにつとめて、早く出ろよ、とか、悪態の一つでもついてやろうと思ってたのに。これではわざとらしいことこの上なかった。 「いや…風呂に入ってきたところだ。まだ寝ない」 ぐるぐると頭の中を渦巻くそんな思いなんて知らずに、遙はいつもの調子でのんびりと答えた。ひとまず色々と問われることはなくて、良かった。ほっと胸を撫で下ろす。 「そ。それなら、良かった」 電話の向こう側に遙の家の音が聞こえる。耳を澄ませると、何かの扉を閉じる音、続けて、小さくガラスのような音が鳴った。それから、水の音、飲み下す音。 …あ、そっか、風呂上がりっ��ってたな。向こう側の景色が目の前に浮かぶようだった。台所の、頭上から降る白い光。まだ濡れたまま、少しのあいだ眠っているだけの料理道具たち。水滴の残るシンクは古くて所々鈍い色をしているけれど、よく手入れがされて光っている。水回りは実家よりも祖母の家に似ていて、どこか懐かしい。ハルの家、ここのところしばらく行ってないな。あの風呂も、いいな。静かで落ち着くんだよなぁ。 「それで、どうしたんだ」 ぼんやり、ぽやぽやと考えているうちに、水かお茶か、何かを飲んで一息ついた遙がおもむろに投げかけてきた。ハッと弾かれるように顔を上げ、慌てて言葉を紡ぎ出す。 「あー、いや…今日さ、そっち行けなかっただろ。悪かったな」 「…ああ、そのことか」 なるほど、合点がいったというふうに遙が小さく声を零した。 そっち、というのは遙の家のことだ。今日の合同練習の後、岩鳶の面々に「これから集まるから一緒に行かないか」と誘われていたのだった。 「明日は日曜日なんだしさ、久しぶりに、リンちゃんも行こうよ」 ねぇ、いいでしょ。練習終わりのロッカールームで渚がそう言った。濡れた髪のままで、くりくりとした大きな目を真っすぐこちらに向けて。熱心に誘ってきたのは主に彼だったけれど、怜も真琴も、他人の家である以上あまり強くは勧めてこなかったけれど、渚と同じように返事を期待しているみたいだった。当の家主はというと、どうなんだと視線を送っても、きょとんとした顔をして目を瞬かせているだけだったけれど。きっと、別に来てもいいってことなのだろう。明確に断る理由はなかったはずだった。 けれど、内心迷っていた。夏の大きな大会が終わってやっと一息ついて、岩鳶のメンバーとも久しぶりに水入らずでゆっくり過ごしたかった。それに何より、他校で寮暮らしをしている身で、遙の家に行ける機会なんてそう多くはない。その上、一番ハードルの高い『訪問する理由』というものが、今回はあらかじめ用意されているのだ。行っても良かったのだ。けれど。 「わりぃ、渚。今日は行かれねぇ」 結局、それらしい適当な理由を並べて断わってしまったのだった。ミーティングがあるからとか、休みのうちに片付けなきゃならないことがあるとか、今思えば至極どうでもいいことを理由にしていた気がする。 始めのうちは、ええーっと大きく不満の声を上げ、頬を膨らませてごねていた渚も、真琴に宥められて、しぶしぶ飲み込んだみたいだった。 「また次にな」 まるで幼い子供に言い聞かせるようにやわらかい口調につとめてそう言うと、うん、分かったと渚は小さく頷いた。そうして、きゅっと唇を噛みしめた。 「でもでも、今度こそ、絶対、ぜーったいだからね!」 渚は声のトーンを上げてそう口にした。表向きはいつものように明るくつとめていたけれど、物分かりの良いふりをしているのはすぐに知れた。��と垣間見えた表情はうっすらと陰り曇って、最後まで完全に晴れることはなかった。なんだかひどく悪いことをしてしまったみたいで、胸の内側が痛んだ。 ハルは、どうなんだ。ちらりとふたたび視線をやる。けれど、もうすっかり興味をなくしたのか、遙はロッカーから引き出したエナメルバッグを肩に引っ掛け、ふいっと背を向けた。 「あ、ハル」隣にいた真琴が呼びかけたけれど、遙は振り返らずに、そのまま出入り口へ歩いていってしまった。こんなとき、自分にはとっさに呼び止める言葉が出てこなくて、ただ見送ることしかできない。強く引っ掛かれたみたいに、いっそう胸がちくちくした。 「なんか、ごめんね」 帰り際、真琴はそう言って困ったように微笑んだ。何が、とは言わないけれど、渚の誘いと、多分、先ほどの遙のことも指しているのだろう。 「いーって。真琴が謝ることじゃねぇだろ」 軽い調子で答えると、真琴は肩をすくめて曖昧に笑った。 「うん、まぁ、そうなんだけどさ」 そう言って向けた視線の先には、帰り支度を終えて集まる渚、怜、江、そして遙の姿があった。ゆるく小さな輪になって、渚を中心に談笑している。この方向からでは遙の顔は見えない。顔の見える皆は楽しそうに、ときどき声を立てて笑っていた。 「言わなきゃ、分からないのにね」 目を細めて、独り言のように真琴は口にした。何か返そうと言葉を探したけれど、何も言えずにそのまま口をつぐんだ。 その後、合同練習としては一旦解散して、鮫柄水泳部のみでミーティングを行うために改めて集合をかけた。ぞろぞろと整列する部員たちの向こうで、校門の方向へ向かう岩鳶水泳部員の後ろ姿がちらちらと見え隠れした。小さな溜め息と共に足元に視線を落とし、ぐっと気を入れ直して顔を上げた。遙とは今日はそれっきりだった。 「行かなくて良かったのか?」 食堂で夕食を終えて部屋に戻る道中、宗介がおもむろに口を開いてそう言った。近くで、ロッカールームでの事の一部始終を見ていたらしかった。何が、とわざわざ訊くのも癪だったので、じっとねめつけるように顔を見上げた。 「んだよ、今さら」 「別に断る理由なんてなかったんじゃねぇか」 ぐっと喉が詰まる。まるで全部見透かしたみたいに。その表情は心なしか、成り行きを楽しんでいるようにも見えた。 「…うっせぇよ」 小さく舌打ちをして、その脚を軽く蹴とばしてやる。宗介は一歩前によろけて、いてぇなと声を上げた。けれどすぐに、くつくつと喉を鳴らして愉快そうに笑っていた。 「顔にでっかく書いてあんだよ」 ここぞとばかりに、面白がりやがって。
それから風呂に入っても、言い訳に使った課題に手を付けていても、ずっと何かがつかえたままだった。宗介にはああいう態度をとったものの、やはり気にかかって仕方がない。ちょっとどころではない、悪いことをしてしまったみたいだった。 だからなのか、電話をしようと思った。他でもなく、遙に。今日の後ろ姿から、記憶を上塗りしたかった。そうしなければ、ずっと胸が苦し��ままだった。とにかくすぐに、その声が聞きたいと思った。 寮全体が寝静まった頃を見計らって、携帯電話片手にひと気のない場所を探した。いざ発信する段階になってから、きっかけが掴めなくて踏ん切りがつかずに、やけに悩んで時間がかかってしまったけれど。 それでも、やっとこうして、無事に遙と通話するに至ったのだった。 「…らしくないな、凛が自分からそんなこと言い出すなんて」 こちらの言葉を受けて、たっぷりと間を置いてから遙は言った。そんなの自分でも分かっているつもりだったけれど、改まってそう言われてしまうと、なんとなく恥ずかしい。じわじわと広がって、両頬が熱くなる。 「んだよ、いいだろ別に。そういうときもあんだよ」 「まぁ、いいけど」 遙は浅く笑ったみたいだった。きっと少しだけ肩を揺らして。風がそよぐような、さらさらとした声だった。 「でも、渚がすごく残念がってた」 「ん…それは、悪かったよ」 あのときの渚の表情を思い浮かべて、ぐっと胸が詰まる思いがした。自分のした返事一つであんなに気落ちさせてしまったことはやはり気がかりで、後悔していた。いっつもつれない、なんて、妹の江にも言われ続けていたことだったけれど。たまにはわがままを聞いてやるべきだったのかもしれない。近いうちにかならず埋め合わせをしようと心に決めている。 「次に会うときにちゃんと言ってやれ」 「そうする」 答えたのち、ふっとあることに気が付いた。 「そういえば、渚たちは?」 渚の口ぶりから、てっきり今晩は遙の家でお泊り会にでもなっているのだと思っていた。ところが電話の向こう側からは話し声どころか、遙以外のひとの気配さえないよう���った。 「ああ。晩飯前には帰っていった」 「…そっか」 つい、沈んだ声色になってしまった。何でもないみたいにさらりと遙は答えたけれど、早々にお開きになったのは、やはり自分が行かなかったせいだろうか。過ぎたことをあまり考えてもどうにもならないけれど、それでも引っ掛かってしまう。 しばらく沈黙を置いて、それからおもむろに、先に口を開いたのは遙の方だった。 「言っておくが、そもそも人数分泊める用意なんてしてなかったからな」 渚のお願いは、いつも突然だよな。遙は少し困ったように笑ってそう言った。ぱちりぱちりと目を瞬かせながら、ゆっくりと状況を飲み込んだ。なんだか、こんな遙は珍しかった。やわらかくて、なにか膜のようなものがなくて、まるで触れられそうなくらいに近くて、すぐ傍にいる。 そうだな、とつられて笑みをこぼしたけれど、同時に胸の内側があまく締め付けられていた。気を抜けば、そのまま惚けてしまいそうだった。 そうして、ぽつんとふたたび沈黙が落ちた。はっとして、取り出せる言葉を慌てて探した。だんだんと降り積もるのが分かるのに、こういうとき、何から話せばいいのか分からない。そんなことをしていたら先に問われるか離れてしまうか。そう思っていたのに、遙は何も訊かずに、黙ってそこにいてくれた。 「えっと」 ようやく声が出た。小石につまづいてよろけたように、それは不格好だったけれど。 「あ、あのさ、ハル」 「ん?」 それは、やっと、でもなく、突然のこと、でもなく。遙は電話越しにそっと拾ってくれた。ただそれだけのことなのに、胸がいっぱいになる。ぐっとせり上がって、その表面が波打った。目元がじわりと熱くなるのが分かった。 「どうした、凛」 言葉に詰まっていると、そっと覗き込むように問われた。その声はひどく穏やかでやわらかい。だめだ。遙がときどき見せてくれるこの一面に、もう気付いてしまったのだった。それを心地よく感じていることも。そうして、知る前には戻れなくなってしまった。もう、どうしようもないのだった。 「…いや、わりぃ。やっぱなんでもねぇ」 切り出したものの、後には続かなかった。ゆるく首を振って、ごまかすようにつま先を揺らして、わざと軽い調子で、何でもないみたいにそう言った。 遙は「そうか」とひとつ返事をして、深く問い詰めることはしなかった。 そうしていくつか言葉を交わした後に、「じゃあまたな」と締めくくって、通話を切った。 ひとりになった瞬間、項垂れるようにして、肺の中に溜め込んでいた息を長く長く吐き出した。そうしてゆっくりと深呼吸をして、新しい空気を取り入れた。ずっと潜水していた深い場所から上がってきたみたいだった。 唇を閉じると、しんと静寂が辺りを包んでいた。ただ目の前にある自動販売機は、変わらず小さく唸り続けている。手の中にある携帯電話を見やると、自動で待ち受け状態に戻っていた。まるで何ごともなかったみたいに、日付はまだ今日のままだった。夢ではない証しのように充電だけが僅かに減っていた。 明るさがワントーン落ちて、やがて画面は真っ暗になった。そっと親指の腹で撫でながら、今のはきっと、「おやすみ」と言えば良かったんだと気が付いた。
なんだか全身が火照っているような気がして、屋外で涼んでから部屋に戻ることにした。同室の宗介は、少なくとも部屋を出てくるときには既に床に就いていたけれど、この空気を纏って戻るのは気が引けた。 寮の玄関口の扉は既に施錠されていた。こっそりと内側から錠を開けて、外に抜け出る。施錠後の玄関の出入りは、事前申請がない限り基本的には禁止されている。防犯の観点からも推奨はできない。ただ手口だけは簡単なので、施錠後もこっそり出入りする寮生が少なくないのが実情だった。 そういえば、前にこれをやって呼び出しを受けた寮生がいたと聞いた。そいつはそのまま校門から学校自体を抜け出して、挙げ句無断外泊して大目玉を食らったらしいけれど、さすがに夜風にあたる目的で表の中庭を歩くくらいなら、たとえばれたとしてもそこまでお咎めを受けることはないだろう。何なら、プールに忘れものをしたから取りに行ったとでも言えばいい。 そうして誰もいない寮の中庭を、ゆっくりと歩いた。まるで夜の中に浸かったみたいなその場所を、あてもなくただ浮かんで揺蕩うように。オレンジがかった外灯の光が点々とあちこちに広がって、影に濃淡をつくっている。空を仰ぐと、雲がかかって鈍い色をしていた。そういえば、未明から雨が降ると予報で伝えていたのを思い出した。 弱い風の吹く夜だった。時折近くの木の葉がかすかに揺れて、さわさわと音を立てた。気が付けば、ほんの半月ほど前まで残っていたはずの夏の匂いは、もうすっかりしなくなっていた。 寝巻代わりの半袖に綿のパーカーを羽織っていたので、さして寒さは感じない。けれど、ここから肌寒くなるのはあっという間だ。衣替えもして、そろそろ着るものも考えなければならない。 夏が過ぎ去って、あの熱い時間からもしばらく経って、秋を歩く今、夜はこれから一足先に冬へ向かおうとしている。まどろんでいるうちに瞼が落ちているように、きっとすぐに冬はやってくる。じきに雪が降る。そうして年を越して、降る雪が積もり始めて、何度か溶けて積もってを繰り返して、その頃にはもう目前に控えているのだ。この場所を出て、この地を離れて、はるか遠くへ行くということ。 たったひとつを除いては、別れは自分から選んできた。昔からずっとそうだった。走り出したら振り返らなかった。自分が抱く信念や想いのために、自分で何もかも決めたことなのに、後ろ髪を引かれているわけではないのに、最近はときどきこうやって考える。 誰かと離れがたいなんて、考えなかった。考えてこなかった。今だってそうかと言えばそうじゃない。半年も前のことだったらともかく、今やそれぞれ進むべき道が定まりつつある。信じて、ひたむきに、ただ前へ進めばいいだけだ。 けれど、なぜだろう。 ときどき無性に、理由もなく、どうしようもなく、遙に会いたくなる。
ふと、ポケットに入れていた携帯電話が震え出したのに気が付いた。メールにしては長い。どうやら電話着信のようだった。一旦足を止め、手早く取り出して確認する。 ディスプレイには、登録済みの名前が浮かんでいる。その発信者名を目にするなり、どきりと心臓が跳ねた。 「も、もしもし、ハル?」 逡巡する間もなく、気が付けば反射的に受話ボタンを押していた。慌てて出てしまったのは、きっと遙にも知れた。 「凛」 けれど、今はそれでも良かった。その声で名を呼ばれると、また隅々にまで血が巡っていって、じんわりと体温が上がる。 「悪い、起こしたか」 「や、まだ寝てなかったから…」 そわそわと、目にかかった前髪を指でよける。立ち止まったままの足先が落ち着かず、ゆるい振り子のように小さくかかとを揺らす。スニーカーの底で砂と地面が擦れて、ざりりっと音を立てた。 「…外に出てるのか? 風の音がする」 「あー、うん、ちょっとな。散歩してた」 まさか、お前と話して、どきどきして顔が火照ったから涼んでるんだ、なんて口が裂けても言えない。胸の下で相変わらず心臓は速く打っているけれど、ここは先に会話の主導権を握ってしまう方がいい。背筋を伸ばして、口角をゆるく上げた。 「それより、もう日も跨いじまったぜ。なんだよ、あらたまって。もしかして、うちのプールに忘れもんしたか?」 調子が戻ってきた。ようやく笑って、冗談交じりの軽口も叩けるようになってきた。 「���ールには、忘れてない」 「んだよ、ホントに忘れたのかよ」 「そういうことじゃない」 「…なんかよく分かんねぇけど」 「ん…そうだな。だけど、その」 遙にしては珍しい、はっきりとしない物言いに首を傾げる。言葉をひとつずつひっくり返して確かめるようにして、遙は言いよどみながら、ぽつぽつと告げてきた。 「…いや、さっき凛が…何か、言いかけてただろ。やっぱり、気になって。それで」 そう続けた遙の声は小さく、言葉は尻切れだった。恥ずかしそうに、すいと視線を逸らしたのが電話越しにも分かった。 どこかが震えたような気がした。身体の内側のどこか、触れられないところ。 「…はは。それで、なんだよ。それが忘れもの? おれのことが気になって仕方なくって、それでわざわざ電話してきたのかよ」 精一杯虚勢を張って、そうやってわざと冗談めかした。そうしなければ、覆い隠していたその存在を表に出してしまいそうだった。喉を鳴らして笑っているつもりなのに、唇が小さく震えそうだった。 遙はこちらの問いかけには返事をせずに、けれど無言で、そうだ、と肯定した。 「凛の考えてることが知りたい」 だから。そっとひとつ前置きをして、遙は言った。 「聞かせてほしい」 凛。それは静かに押し寄せる波みたいだった。胸に迫って、どうしようもなかった。 顔が、熱い。燃えるように熱い。視界の半分が滲んだ。泣きたいわけじゃないのに、じわりと表面が波打った。 きっと。きっと知らなかった頃には、こんなことにも、ただ冗談めかして、ごまかすだけで終わらせていた。 ハル。きゅっと強く、目を瞑った。胸が苦しい。汗ばんだ手のひらを心臓の上にそっとのせて、ゆるく掴むように握った。 今はもう知っているから。こんなに苦しいのも、こんなに嬉しいのも、理由はたったひとつだった。ひたひたといっぱいに満たされた胸の内で、何度も唱えていた。 「…凛? 聞いてるのか」 遙の声がする。黙ったままだから、きっとほんの少し眉を寄せて、怪訝そうな顔をしている。 「ん、聞いてる」 聞いてるよ。心の中で唱え続ける。 だって声、聞きたいしさ、知りたい。知りてぇもん。おれだって、ハルのこと。 「ちゃんと言うから」 開いた唇からこぼれた声はふわふわとして、なんだか自分のものではないうわ言みたいで、おかしかった。 できるだけいつも通りに、まるで重しを付けて喋るように努めた。こんなの、格好悪くて仕方がない。手の甲を頬に当ててみた。そこはじんわりと熱をもっている。きっと鏡で見たら、ほんのりと紅く色づいているのだろう。はぁ、とかすかに吐き出した息は熱くこもっていた。 「あのさ、ハル」 差し出す瞬間は、いつだってどきどきする。心臓がつぶれてしまいそうなくらい。こんなに毎日鍛えているのに、こういうとき、どうにもならないんだな。夜の中の電話越しで、良かった。面と向かえば、次の朝になれば、きっと言えなかった。 「こ、今度、行っていいか、ハルの家」 上擦った調子で、小さく勢いづいてそう言った。ひとりで、とはついに言えなかったけれど。 「行きたい」 触れた手のひらの下で、どくどく、と心臓が弾むように鳴っているのが分かる。 無言のまま、少し間が開いた。少しなのに、果てしなく長く感じられる。やがて遙は、ほころんだみたいに���く笑みを零した。そうして静かに言葉を紡いだ。 「…うん、いつでも来い」 顔は見えないけれど、それはひらかれた声だった。すべてゆるんで、溢れ出しそうだった。頑張って、堪えたけれど。 待ってる。最後に、かすかに音として聞こえた気がしたけれど、本当に遙がそう言ったのかは分からなかった。ほとんど息ばかりのそれは風の音だったのかもしれないし、あるいは別の言葉を、自分がそう聞きたかっただけなのかもしれない。あえて訊き返さずに、この夜の中に漂わせておくことにした。 「それまでに、ちゃんと布団も干しておく」 続けてそう告げる遙の声に、今度は迷いも揺らぎも見えなかった。ただ真っすぐ伝えてくるものだから、おかしくてつい吹き出してしまった。 「…ふっ、はは、泊まる前提なのかよ」 「違うのか」 「違わねぇけどさ」 「なら、いい」 「うん」 くるくると喉を鳴らして笑った。肩を揺らしていると、耳元で、遙の控えめな笑い声も聞こえてきた。 いま、その顔が見たいな。目を細めると、睫毛越しに外灯のオレンジ色の光が煌めいて、辺りがきらきらと輝いて見えた。 それから他愛のない会話をひとつふたつと交わして、あらためて、そろそろ、とどちらともなく話を折りたたんだ。本当は名残惜しいような気持ちも抱いていることを、今夜くらいは素直に認めようと思った。口にはしないし、そんなのきっと、自分ばっかりなのだろうけど。 「遅くまでわりぃな。また連絡する」 「ああ」 そうして、さっき言えなかったことを胸の内で丁寧になぞって、そっと唇に乗せた。 「じゃあ、おやすみ」 「おやすみ」
地に足がつかないとは、こういうことなのかもしれない。中庭から、玄関口、廊下を通ってきたのに、ほとんどその意識がなかった。幸い、誰かに見つかることはなかったけれど。 終始ふわふわとした心地で、けれど音を立てないように、部屋のドアをいつもより小さく開けて身体を滑り込ませた。カーテンを閉め切った部屋の中は暗く、しんと静まっていた。宗介は見かけに反して、意外と静かに眠るのだ。あるいは、ただ寝たふりなのかもしれないけれど。息をひそめて、自分のベッドに潜り込んだ。何か言われるだろうかと思ったけれど、とうとう声は降ってこなかった。 横向きに寝転んで目を閉じるけれど、意識がなかなか寝に入らない。夜は普段言えない気持ちがするすると顔を出してきて、気が付けば口にしているんだって。あの夏にもあったことなのに。 重なったつま先を擦りつけあう。深く呼吸を繰り返す。首筋にそっと触れると、上がった体温でうっすら汗ばんでいた。 なんか、熱出たときみてぇ。こんなの自分の身体じゃないみたいだった。心臓だって、まだトクトクと高鳴ったまま静まらない。 ふっと、あのときの声が聞こえた気がした。訊き返さなかったけれど、そう思っていていいのかな。分からない。リンは奥手だから、といつだかホストファミリーにも笑われた気がする。だって、むずかしい。その正体はまだよく分からなかった。 枕に顔を埋めて、頭の先まで掛け布団を被った。目をぎゅっと瞑っても、その声が波のように、何度も何度も耳元で寄せては引いた。胸の内側がまだ���っぱいに満たされていた。むずむず、そわそわ。それから、どきどき。 ああ、でも、わくわくする。たとえるなら、何だろう。そう、まるで穏やかな春の、波打ち際に立っているみたいに。
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(2018/03/18)
両片想いアンソロジーに寄稿させていただいた作品です。
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目次
Usick(カニ)の小説を保管しています
作品はジャンル→CP、キャラクター→時系列の順におおむね並んでいます
タイトルをクリックすると作品ページへ移動します
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一次創作
ニーナの旅立ち:百合文芸4、おねロリ、ペドフィリア
イクサ:百合文芸4、人石、コーギー
ニーナの復活:百合文芸3、おねロリ、懐胎
世界に木はもうない:百合文芸、義手、サッカー
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二次創作
〇アイドルマスターシャイニーカラーズ
・まどこい
円香ちゃんの瓶詰め:背中の穴、瓶詰め
小糸ちゃんと、町の小さな映画館:まどこい、TS
グッドガール! 小糸ちゃん!:まどこい、イヌ、とおまど
・にちみこルカ
subdominant:誕生日、手紙とクマのオルゴール、川
火を消して帰って:テニス、写真、灰
喜びの国:にちみこルカ、家
・other
さよならいろいろ:とおまど、ふっ飛ぶ歯、私たちのプロデューサー
通り雨だったね:市川雛菜、誕生日
ノクチルと、絶対に割れるガラスキュー:ノクチル、ガラスの球体
ノクチルと人形たちの森:ノクチル、ホラー
数えて:杜野凛世、怪奇幻想
目、口:まみきり、怪奇幻想
〇アイドルマスターシンデレラガールズ
・しきフレ
こんな夜:愛、受容
おお、マリア!:ねこ、ミア
きみとはニースで夏のあいだ暮らした:しきフレ合同誌「Coffret」寄稿、ニース、記憶
ラブランド:『一時間前までセッしてた合同「気持ちいいよね一時後!」』寄稿、幻想、ようこそ愛の国
バースデイ:背中の羽根、生きる
La La La:シンデレラガールズ×ララランド小説本「Stars Who Dream」寄稿、夢と愛
(till) vanilla twilight:ありがとうセレンディピティパレード
新世界より:鍵、隕石、メリークリスマス
Baby so long:「ベイビー」④、長いお別れ
ベイビー・コーリング・ユー:「ベイビー」③、兆し
ベイビー・マイ・スウィート:「ベイビー」②、過去
ベイビー・アイ・ラブ・ユー:「ベイビー」①、あたし宮本フレデリカ
What a wonderful worldend:ポストアポカリプス、旅
私の神様:殺害した
残光:一瞬の感覚
・奏周子
「寛容」:ビデオカメラ、記憶
あじさい②:快復、怖くなかった
ベイビー・イン・カー:のせ塩、あかちゃんが乗っています
ダンサー:出会い、ロストイントランスレーション
ラブラ:サメのぬいぐるみ、青い空
しずかに愛して(Love me softly):日々
もうくさくなっています:シャベル、埋める、氷
あじさい:日々、スイカ
恋愛映画:奏周子合同誌「群青ストライド」寄稿、青春
死体袋の記憶:デレマスマフィアパロ、ロシむす、「Galway Girl」
Sugar:おタバコ、電話、月
行ける:消失、幻想、愛になる
海と恋人:「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」
Arterial:吸血、夏、夕日
bullseye:ダーツ、魔性
・かなふみしゅーこ
鼻血:鼻血を拭う、見る
千年あとまで:鎌倉、メリークリスマス、永く続いた
ラブリー・ラブリー・フィーリング:絵を描く、絵を贈る
しおりづくり:「海の見える家」サブエピソード
海の見える家:鎌倉、家族、消滅、ポリアモリー
・なおかれ
窓をあけて:北条加蓮さんお誕生日、感染症
さよなら恋人:別れ、劇中劇、ずっと仲良し
四月になれば彼女は:渋谷、キットカット
私から生まれて:妊娠出産、おめでとう
恋のほのお:燃える、燃え上がる
融雪:列車、雪景色
・かえみゆ
抜け道:秘密の道、差し出す
ニーナ:三船美優さんとニーナちゃん
雪に花、愛には指環:ご実家、祝福、「The Rose」
結婚しよう:指輪、そこへ行きましょうね
星はどこへ落ちた?:深夜、お散歩
・うづりん
南ゆき: うづりん小説合同誌「カラフルドロップス」寄稿、南へ
散文詩:散文詩、光景
見て、雪が降ってるよ:回想、手をつなごう
グッドモーニング、あるいは一部の不幸も立ち入ることのない幸福:朝、幸福
・奏加蓮(モノクロームリリィ)
セカンダリ・ラバーズ:新生活、サーフィン、色のない都市
十七歳:女子寮、ごまかし、喪失
水の中の幸せの国:生理食塩水、溺水
わたしを葬くる:埋める、ウェディングドレス、誰も知らない
・かなふみ
いない:奏さんがいない
イルクーツクにて:喪失、逃避
よんで:読書会、私たちもそうだったの
・新田ーニャ
不治の星:2020と2016、私のかわいい
あなたは私の白い兎:デレマスマフィアパロ、雪、逃避行
スカイフォール:大人、盲目
・白菊ほたる
黒髪の奇蹟:カーゴカルト、ホタル
不幸な者へ:老婆、BLS、行け
白い:プロデュンヌさん、シンデレラガール
いつかのきみに:ご両親、お手紙
かがやき:全身不随のPさん、ステージ、連れていく
宝石: 右ひ骨遠位端及び脛骨遠位端の開放骨折、不幸
君は、幸福:賭け、オーディション、カスミソウのティアラ
君のための花:前プロデューサー、最後のステージ、スズラン
・北条加蓮
ジャンクフードをめぐる冒険:加蓮ちとせ志希、冒険、P字頭の狂人
顔のない女:怖い夢、過去
加蓮ママ:カンクンビーチ、ベイビー、マヤ民族文化
おもいでを聞かせてください:体育用具室、破る
ママ:しきかれ、看病
Dive(あるいはこの世界のヒロイン):ベッド、さまざまな北条加蓮
・other
りんみお浮気紀行!:りんみお、百合浮気、コヨーテ
Gon宮本フレデリカ:宮本フレデリカさんお誕生日、「ソ」の音
まるい角:りょううめ、角の夢
ゴオォォーーーン:ちと千夜、魔女、炎
いつでもおいで:のせ塩、飲酒、いつでも
あいびき:加蓮と楓、なおかれかえみゆ前提、フード理論
たくさんかわいがってね:しゅうさえ、金魚、心は
無題h:加蓮、ほたる、人殺しの邂逅
南極観測隊:焼きそばハロウィン、閉塞、フ���ンになる
『シネマ・パラダイス』:りょううめ、デレマスマフィアパロ、ロシむす
初恋:志乃礼子、怒り、ダンス、出会う
ペーパー・ムーン:志乃礼子、雨、最後のひと
場面:デレマスマフィアパロ、ロシむす、カエデタカガキ
アテナイの幽霊:しきふみ、図書館、謎を追う
a Housework:家事、しきフレ、かえみゆ
羊たちの沈黙パロ:奏、文香、ありす、志希、フレデリカ
Sugar.Bride.Strawberry.:ときのりこ、ご結婚、嘔吐
Paradise(for life):周子、美嘉、ゾンビパロ
窓辺の花:タケバネ、名前
さよなら、かぶとむし:城ケ崎莉嘉、城ヶ崎美嘉、世界は変わる
〇ゾンビランドサガ
腕が旅をした話:純愛コンビ、消えた腕、引力
少女(リリィ):ゆうぎリリィ、ホラー、花火
少女(ゆうぎり):ゆうぎリリィ、かつての習慣
〇アイドルマスター
Inferno:ちはゆき、人魚姫
赤い糸:ゆきまこ、五年後の世界
Star,visual binary star:亜美真美、大人になっても
Kluuvikatu Helsinki Finland:あずりつ、フィンランド、雪だるま
運命の人:ひびたか、太陽と月、撫子
〇魔法少女まどか☆マギカ
Life, after life:ほむマミ、魔獣、離れない
白紙:雪��、ループ
〇らき☆すた
光の速さで1.2秒:かがみ、みゆき、月へ移住
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09191717
ゴネて柳島に差し入れさせた本もとうに読み終わってしまった。視線だけ動かして部屋の隅を見れば、積まれた用済みの本達。一度目を通せば文章は全て脳に記録される。それが常人には起こり得ないことだと知ったのは、いつだっただろうか。
不便���指錠と足錠の重さにも慣れた。首に這う金属はまるでネックレスかのように自然と馴染んで心地良い。俺の生死を握ってるのがあの男だと思うとゾクゾクする。そう、俺は世間が思うよりずっと愚直で、策士でもなんでもなく、普通だ。
俺のコレクションは無事だろうか。耳に入る情報は少ない。新聞は貰えない。ま、不機嫌な柳島が俺に八つ当たりしてこないところを見る限り、最後のアレ以外はバレていないんだろう。分かりやすい男だ。
スン、と鼻を鳴らしても小さな俺の城、世界から隔離されたコンクリートの小部屋じゃ無機質な匂いしかしない。土の匂いが恋しい。ああ。
その凛とした白シャツに包まれた背中を、今でも思い出せる。教室の一番後ろ、出席番号はいつも最後だった俺は、中学の入学式の日、目の前に座る男のか細い首と肩甲骨を嫌と言うほど見つめていた。何か惹かれるものがあったんだろう。流石に直感、としか言いようがないが、俺は机に置かれた座席表を見て、そいつの名前を指でなぞった。
柳島、懍。
柳島、懍。か。珍しい漢字だ。懍。意味は確か、おそれる、つつしむ、身や心が引き締まる。振り向かないか、と目線を送るが男は目の前をじっと見据えたまま、背筋を緩めない。
担任から回ってきたプリントを渡す為振り返った奴の顔を見て、目を見て、無意識に舌舐めずりをしていた。同じ世界に生きる奴を見つけた。そう思った。俺の勘は外れたことが���い。気味悪そうに俺を見た柳島は、プリントを受け取らない俺に顔を顰め、机にザラ半紙のソレを置いた。
馴れ合わない俺と柳島が連むようになるのは、時間の問題だった。ま、柳島にも何か俺に感じるところがあったんだろう。教師はもっぱら柳島を心配していたのが笑える。それもそのはず、柳島は成績優秀、品行方正で、自由主義かつ成績も良くない俺とは側から見ればまるで合いそうにない。教師の評価とは裏腹、柳島は笑わず近寄り難い冷徹な男だと、遠巻きに女が噂しているのを俺は聞くともなく聞いていた。その評価は正解であり、間違いだ。教師の上っ面な評価よりもよっぽど近いだろう。
「お前、どこ受験すんの。」
「○○高。」
「都内一の偏差値じゃねえか。」
「母さんが受けろと言うから受ける。」
「ふーん。じゃあ俺もそこ、受けるかね。」
「好きにしろ。」
「......お前の頭じゃ無理、って言わねえ辺り俺好きだわ、お前のこと。」
「お前が日頃嘘ばかりついて、テストでも適当な返答してるの知ってるからな。」
恐ろしい程の知識に対する執着と、学校という小さな社会に順応しようと警戒を解かない姿はいつ見ても感服する。
何、理解するのは難しいことじゃない。奴が求めるのはいつだって理路整然とした理屈と、己が納得出来る結論だけ。引き出した話から、家庭環境がそうさせるんだろう、と、俺は自分を棚に上げ気の毒にすら思った。
高校の入学式の後、俺はまた奴のブレザーに包まれた背中を見つめていた。相変わらずすっと伸びた背筋と、綺麗に整えられた襟足。3年前の衝撃は、まだ昨日のことのように胸の中にいた。
ま、想像通りといえばそれまでだが、高校でも俺への風当たりは強かった。同調圧力が高い日本の学校だ。仕方がない。俺は気紛れに嘘を重ね、退学にならない程度に遊び、テストだけは結果を出す嫌な生徒だった。いい成績をつけざるを得ない教師の顔を見る度に笑えた。ざまあみろ。ざまあみやがれ。他人の評価なんて、まるで耳には入らなかった。
「お前、昨日渋谷で何してた?」
「...えっ、何、ストーキングしてたの?やだ、懍ちゃんったら大胆ネ。」
「何してた?」
「無粋な質問すんじゃねえよ。渋谷の円山っつったらヤること一つだろ。」
「まぁ、それもそうか。」
「父親も死んだし、世の中金がねえとどうにもならねえからな。」
「お前の行動力には脱帽するよ。」
「楽しいんだわ、人間捨てて、獣に戻るのがさ。孕まねえし、金貰えるし。」
柳島は俺を反面教師にすることを覚えたらしかった。俺が他人を欺けばそれを見て学習し、俺が乱れればアレはいけないことだと自分に言い聞かせているように見えた。奴は一度だって世間で言う"正論"を俺にぶつけたことはなかった。一度だってあれば、俺は笑って柳島を屋上から蹴落としただろう。互いに分かっているからこそ、踏み込まない。その関係性が堪らなく心地よかった。柳島だけは、俺を哀れまない。常識とか倫理観が無い人間が、これ程までに合理的で優しいことを俺は知らなかった。
「懍、進路どうすんの。」
「そうだな。まだ決めてない。」
「とりあえず国総受けられるレベルの所には入っとけよ。」
「国総?なぜだ。」
「お前は絶対後々俺に感謝することになる。」
「自分の道は自分で決める。」
「はは、それがいい。」
俺の予想通り、奴は日本の最高峰を誇る大学に合格した。後を追った俺も合格した。俺は理学部、奴は法学部。学部は違えど、その先の未来を歩くにはお誂え向きの選択だった。
奴は変わらず��仮面のまま、自分自身のことにはまだ気付かない。勿体ねえな、その素質を押し殺したままにすんのは。そう思っていた俺に、女神は突如として微笑んだ。
卒業証書を放り投げた俺は暇を持て余して、前々から場所を知っていた柳島の家に向かった。神の采配か勘の良さか分からないが、一度も訪れたことのないその場所になぜか足が向いた。
古びたアパートの2階の角部屋、隣の家も、その隣の家も、玄関のポストから新聞が何日分もはみ出ていた。汚い扉の前で息を潜めていたら、中から微かに、ギッ、と、確かに縄の軋む音が聞こえた。ポケットを探り見つけた針金で簡単に開くほど、奴の家の鍵は簡素だった。
聞こえるように足音を立ててゆっくり部屋へ入った俺が見たのは、女の首にかけた縄を梁に通し、無心で引っ張る柳島の姿だった。
「不法侵入だ。」
「鍵、今時あんな玩具みてえなの付けんなよ。」
部屋は若干タバコ臭い。柳島は俺のことを一瞬見て、また作業に戻った。畳の上のちゃぶ台にはマイルドセブンと睡眠薬、血塗れの小さな人形に錆びた口紅、男の写真の入ったスタンドが置かれている。男の目元は、柳島によく似ていた。
部屋の中は簡素で、無駄な物は何もない。開け放たれた襖から隣の部屋を覗き見れば、和蝋燭に照らされた祭壇が見えた。
あまり好きじゃない、と思いながらも残されたマイルドセブンを一本拝借して、床に転がっていたコンビニライターで火を付ける。一瞬顔を顰めた奴は梁へと縄を固定し終えたのか、珍しく汗の滲む額を拭って、女の足元に椅子を置き、蹴り倒した。
「死因は。」
「睡眠薬を摂取した上での首吊り。縊死だ。」
そこから5分、俺も奴も無言のまま、ただ壁にかかった古時計の針が古臭い音を立てていた。手の中の煙草は吸われることなく燃えて、フィルター手前で燻っている。弔いなんて笑える理由じゃない。吸う気分じゃなかった、それだけだ。
「もう、死んだぞ。」
「ああ。」
「......俺の母親さ、ガキの頃、男作って出てったんだわ。幼稚園で描いた絵見せようと思って、教えられた住所に行ったら、母親は綺麗な下着着て、成金の卑しい顔したおっさんに抱かれてた。」
「......。」
「最っ高にイイ声上げてたよ。堪らねえって感じでさ。俺は帰り道絵を捨てて、そっから親父と暮らしてた。この親父ってのがまた厄介で、高学歴とプライドだけが取り柄の男だった。俺はあの男が、プライドを保つ為だけのパーツだった。俺が成長するにつれて、落ちぶれてくんだよ。俺がいれば満たされるからな。だからさぁ。」
「だから?」
「高一の夏、殺したんだ。プライド高いのに惨めなまま生きるの、可哀想だろ。救ってやったんだ。この世界から。」
「そうか。」
運命か宿命か、父親を殺した手段は、今奴が女にした方法と同じだった。違うのは煙草の銘柄と、外には桜が咲き誇っていることくらいだった。耳の奥からジワジワと煩い蝉の声の幻聴が、聞こえる気がした。
「この女、誰だ。」
「母親。」
「......。」
「なぁ。」
「ん?」
「俺は、お前なのか。」
「そうとも言えるし、違うとも言える。お前は俺になれるし、俺にならずにも済む。」
思い詰めたような表情は、きっと世間が計り知れない所へ向かった意識のせいだろう。こいつの脳内は、俺にしか分からない。今一度部屋を見回し、立ち上がって携帯を操作した。
「お前、泣けるか。」
「恐らく。」
「じゃ、今から俺の芝居に付き合え。お前は主演だ。最初で最後の芝居だ。アカデミー狙うつもりで演じろ。分かるな?」
「あぁ。分かる。」
「...『もしもし、消防119番で「おっ、お母さんが、と、友達の、首、帰ったら、っひ、人が、」落ち着いて、何がありましたか?』」
「母さん、母さん!!!どうして!!!!ぅわぁぁああぁぁああああ!!!」
大学3年、奴の進路を聞いた俺は高笑いしそうになって、慌てて表情筋を殺した。予想通り、というかなんというか、奴の人生のレールがひん曲がっていることを本人が気付いてない状況が嫌に哀れに思えた。
「国総で公安、しかも刑務官志望ねぇ。ま、珍しいから希望は通りそうだな。」
「お前も公安だろ。警察庁は色々縦割りだと聞くが。」
「議員に媚び諂って書類と添い遂げるなんざこっちから願い下げ。権力のない人生なんて味気がなさ過ぎて反吐が出るね。」
「相変わらず口が汚いな、愀。」
「お褒めに預かり光栄です。」
卒業式の日、俺は奴の連絡先を消し、家も引き払って奴の目の前から姿を消した。と言っても名前は知られているから、会おうと思えば逢えるはずだった。でも俺も奴も、会うつもりはなかった。言葉にはしなくとも、そういう結末になると互いが理解していた。
警察にいる以上、犯罪の痕跡を消すことは容易かった。俺は片っ端から前科者、身寄りのない人間、幸せな人間、とにかく隙のある人間を探して、連れ去った。
悶える姿を見る度、脳裏に吊るした親父の姿が蘇った。剥製を机に並べれば、幸せな家族の絵が俺の脳内で動き始めた。
俺は俺を客観視していたから、行動の理由は分かる。寂しかったんだ。分かり合えた奴とは同じ世界にはいられない。愛して欲しかった母親は知らない男に抱かれるただの女だった。守って欲しかった父親はプライドにしがみついて生きる可哀想な男だった。縋る場所をなくして尚生きる為には、暖かい家族を、愛に溢れた家族を、沢山作りたかった。辻褄は��っている。理解されずとも、これが俺の世界を守る為の唯一の秩序だ。
扉を開けた瞬間のプロデューサーの顔、今思い出しても笑える。俺を異常な人間だと認識し、この狂った屋敷を映さなければ、という欲と、映してはいけないという人としての倫理観。鬩ぎ合った挙句カメラを回し続けた姿に国民は拍手喝采しただろう。画面越しじゃ暫く人形に見えていたらしいから。地下の美術倉庫を映した時漸く、その吊るされた生肉から漂う腐臭と夥しい蠅の数で察したクルーは軒並み嘔吐し、程なくして警察が来た。
そこからの流れなど既定路線過ぎてつまらないが、ここ、東京拘置所で随分と偉くなった柳島と対面した時、漠然と、俺の物語が完結したような気がした。笑いがこみ上げ、溢れ、腹を抱えて笑う俺を、刑法39条を思い浮かべ顔を顰めて睨む連中の中で唯一、柳島だけは、微かに笑みを浮かべていた。
過去を思い返していたら、もう、17時30分になっていた。窓のない部屋では夕日も朝日も見えないが、この時期ならとうに太陽は沈んで、暗い夜が押し寄せて来ているだろう。
部屋の奥から、物音が聞こえる。カツ、カツ、今日は比較的穏やか、ってことはS案件じゃなく新作の本の差し入れか。奴の足音を聞くだけで機嫌が分かるのは、俺の特技だ。壁に背を付け、姿勢を正す。奴の秩序を守る為、俺は奴の前で今日も"拘置所で初めて出会った模範囚"を演じる。
「S4番、立て。」
「はい。」
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相手はあの勝生勇利
ここ数日のことではなく、もうずっと前からそうなのだけれど、ヴィクトルにはある衝動があった。毎回きまった衝動ではないが、衝動の「種類」は同じだった。しかしそれに従うわけにはいかない。なぜなら──。 「やっぱり夜はちょっと寒いね」 ロシアに来てから幾日も経つというのに、練習から帰るとき、勇利はいつも珍しそうな顔で風景を眺めている。彼にとっては、ヴィクトルの町というものがいつまでも新鮮で、新しいものに思えるのかもしれない。 「そうだね。まあ暖かくはないよね」 ヴィクトルはあいづちを打った。勇利はヴィクトルを見てかすかにほほえんだ。 「ヴィクトルでも寒いなんて思うことあるの?」 「もちろんあるさ……勇利は俺をどうも一般から外して考えがちだな」 「だって、あんまり厚着しないよね。よくあんなかっこうでいられるなってぼくはずっと前から思ってた。ロシアの人はみんなそうなのかって納得してたんだけど」 「そのとおりだ」 「うそだよ。こっちへ来て生活するようになってわかったけど、ロシアの人だってもこもこしたかっこうをするし、冬が嫌いだって言う人のほうが多いよ」 勇利は、ぼくを騙そうとしてもだめだよ、というようにおとがいを上げ、指を一本振り立てて得意げに言った。たったそれだけの彼のしぐさに、ヴィクトルはたまらない気持ちになった。なんてかわいいんだ……。 「そうかな。勇利が会ったのはめったにいない手合いじゃないか?」 「そんなことない。いろんな人から聞いた」 「勇利、そんなに知り合いいないだろう」 「いないからだよ」 ヴィクトルは意味がわからなかった。知り合いがいなければそういう会話もできないのではないか。ふしぎそうなヴィクトルに、勇利は簡単に言った。 「リンクでいろんな人が話しかけてくるけど、話題がないから、みんなに同じ質問をした」 「冬が好きか嫌いかって?」 「そう。寒いのは好きかって」 勇利はそこで「冬は好きですか?��寒い時期についてどう思いますか?」ということをロシア語で表現した。たどたどしいけれど、確かにヴィクトルにも通じる、かわいらしいロシア語だった。 「それがいまのとこ、ぼくのいちばん上手く話せるロシア語」 「…………」 ヴィクトルは噴き出した。肩をふるわせて笑いながら、彼はまた同じことを思った。なんてかわいいんだ。なんてかわいいんだ……。 「あと、ヴィクトルって薄着だよねっていうことも言った。そうしたらみんな、ぼくと話すと最終的には絶対ヴィクトルの話になるってからかってくるんだ。そうかもしれない」 勇利は考え深そうな表情で口元に手を当て、幾度かうなずいた。ヴィクトルはどきっとしてまた思った。なんてかわゆいんだ……。 「やっぱりヴィクトルが変わってるんだよ」 勇利は勝ち誇ったように宣言し、満足そうだった。もうたまらなかった。本当に、なんてかわゆいのだろう。ヴィクトルは衝動をおさえられなくなりそうだった。いますぐに……。 いますぐに、勇利の手を握りたい。 さっきから、並んで歩いていると、手の甲や指先がふれそうになっているのだ。それだけでももう、いきなりぎゅっと握りたくなるのに、こんなにかわゆいことを言われては……。 しかしヴィクトルはどうにかこらえた。そんなことはできない。してはならない。 ヴィクトルは普段から、勇利を抱きしめたり、彼にふれたり、寄り添ったり、そういうことをひんぱんにしている。勇利もそれでなんとも思っていないようである。最初のころはいちいちおどおどしたりまっかになったりびくついたりしていたけれど、近頃ではヴィクトルはそうするのが当たり前と受け止めているようだ。だから、突然手を握っても、問題はないように思われる。 だが、そこが勝生勇利の難しいところなのだ。「いつもさわられているからヴィクトルがどんなふうにふれてきても平気」とは彼は思っていないようだ。想像や推測ではない。ヴィクトルはそれを体験している。あからさまなことではなかったけれど……。 じつは、勇利にふれたいというこの衝動が最初はおさえられず、自然と手を伸ばしたことが幾度かあった。抱きしめたり手を握ったりしたわけではないが、そうしようとする気配はおそらく伝わっただろう。そのとき、勇利がどうしたか。 「えっ、あの……」 彼は戸惑ったようにヴィクトルを見、何も言えなくなってしまった。そんなそぶりを見せられて、初めてヴィクトルは自分のしようとしたことに気がつき、「なんでもないんだ」と言い訳をしなければならなかった。勇利は伏し目がちになり、「そう……」とつぶやいた。そういったことが数回あった。偶然ではない。勇利はあきらかに、ヴィクトルの行動に対して反応しているのだ。 普段にふれることはなんとも思わないのだろう。しかし、ヴィクトルのしぐさに特別な意味がこもれば、勇利は驚いたような顔をする。彼自身、はっきりと感じ取っているのかはわからないが、とにかく敏感なのだ。「なんとなくヴィクトルがいつもとちがう」ということにまごついている。感受性が豊かなのである。 こうなると、ヴィクトルはうかつなことができなくなる。勇利のことだから、ヴィクトルがしたことに対して何を言いだすかわからない。あきれるかもしれないし、笑うかもしれない。怒るかもしれない。感心するかもしれない。もしかしたら──泣くかもしれない。こういったことに関する勇利の感じ方はまったくの未知だ。 うっかり何かしでかして、また無視されたらどうしよう……。ヴィクトルは長谷津でのことを思い出し、そっと溜息をついた。あ��ときは、勇利のことがわからず、どうすればよいのかとそればかり考えていたけれど、いまならひどく落ちこんでしまいそうだ。好きな子にふれようとした結果無視されるというのはせつないものである。加えて勇利のことだから、何かヴィクトルのこころをぐさっと刺すひとことを言うかもしれない。ヴィクトルはそれがおそろしい。 「そうかな」 勇利に対するさまざまな感情と勇利の心情について思案しながら、ヴィクトルは短くつぶやいた。勇利は可笑しそうだ。 「自覚がないのがヴィクトルらしいよね」 「そうかな」 「うん」 勇利はくすっと笑ってうなずいた。ヴィクトルは、本当に手を握りたくて仕方なかった。さりげなくつないで、家までの道のりをいちゃいちゃしながら歩きたい。しかしそれはできない。 「ヴィクトルって宇宙人だから」 勇利は相変わらず得意げだった。確かに、とヴィクトルは思った。確かに俺は、以前は普通の人とはちがっていたかもしれない。だがいまはそうじゃない。好きな子に対してこんな気持ちになるのは、いたって自然な、人間的──勇利ふうに言うなら「地球人的」なことだ。おかしいのは勇利のほうだ。俺のファンなのに無視したりするからな。 勇利はヴィクトルを異星人だと断じて、かなり機嫌がよいようだ。川沿いの道を歩きながら、きらきらと輝く対岸から届くひかりを頬に受け、ほほえんでいる。こういうとき、彼からは日常的な野暮ったさが消えて、このうえなく清楚でうつくしい、みずみずしい青年になる。それでいて、「異星人、異星人」と子どもっぽく言っているのだからたまらない。ヴィクトルは衝動をおさえているつもりであるにもかかわらず、知らず知らずのうちに手を伸ばしており、指先が勇利にふれそうになっていた。 「ヴィクトルの星ではさ──」 「俺の星?」 「そう。ヴィクトルの暮らす星では──」 「俺は地球に住んでる」 「表向きはね」 表向きってなんだ? 勇利の言い分がかわいくてたまらず、ヴィクトルはふれそうになっている指がふるえるのを感じた。 「もしヴィクトルの暮らす星に──」 そこで勇利の言葉が途切れた。ヴィクトルははっとした。指先がふれた。とうとう──とうとう、勇利の手にさわってしまった。一般的な接触ではない。ヴィクトルが特別な気持ちを持っているときに──手を握りたいと思っているときにふれたのだ。 ヴィクトルはうろたえた。まずい。勇利は絶対に感じ取る。いまのふれあいが普通のものではないと理解する。なんとかごまかさなければ。そうではないと言わなければ。 「あ、ごめんね」 ヴィクトルはいかにも気軽に、なんでもないことのように謝った。 「手がぶつかっちゃったね」 「…………」 勇利はしばらく返事をしなかった。彼はうつむきがちになり、いつもより多く瞬きをして黙っていた。ヴィクトルは、やっぱりばれた! とますます慌てた。どうにかして──どうにかして切り抜けなければ。 「痛かったかい?」 ヴィクトルは勇利の顔をのぞきこんだ。 「本当にすまない。爪が当たった?」 「……ううん」 勇利はふれあった手を胸に引き寄せ、もう一方の手で包みこみながら、ちいさな声で答えた。 「大丈夫。痛くないよ……」 「本当に?」 「うん」 勇利はそれ以上何も言わなかった。偶然当たったのだと納得してくれたのだろうか? ヴィクトルははらはらした。勇利、どうして黙ってるんだ。手を握ってくるいやらしいやつだと思ったのか。ちがうんだ。いや、勇利に特別な気持ちを持っていることはちがわないが──そうじゃない! 俺は真剣に──。 「……たまたま当たっちゃったんだ」 勇利がつぶやいた。ヴィクトルは急いでうなずいた。 「そうだよ。そうなんだ」 「そっか……」 勇利が顔を上げると、彼の頬はほんのりとさくら色に染まっていた。彼は気恥ずかしそうな初々しい笑みを浮かべてささやいた。 「手を握られるのかと思っちゃった」 ヴィクトルは一瞬心臓が止まったかと思った。なんてことを言うのだ、勇利。どうして言い当てるのだ。 「そんなわけないのにね」 勇利は照れたようににこにこ笑った。 「ヴィクトルがぼくの手を握るなんてね。まさかね。そんなこと」 「そ……、そうだよ」 ヴィクトルは自分が何を言っているのかわからなかった。 「そうだ」 「うん」 勇利はこっくりうなずいた。 「まさかね」 あれはどういう意味だったんだ……。ヴィクトルはそれからしばしば、そのことで悩んだ。もっとも、悩むほどのことではないのかもしれない。勇利の言葉どおりなのだ。「ヴィクトルがまさかそんなことをするはずがない」──ただそれだけのことだろう。だが、彼はどういう気持ちからそう言ったのだろう? 「まさかね」のあとに続くのはどんな感情なのだ。「そんなことをヴィクトルくらいすてきなひとが望むわけがない」なのか。それとも、「ぼくはそれでもかまわなかったけど」なのか。 「あとのほうじゃないな……」 ヴィクトルは溜息をついてつぶやいた。勇利はヴィクトルのことが好きなのだから、そういうことを言ってもよいような気がするのだけれど、彼の場合、うぬぼれてしまうのはあまりにも危険だ。ヴィクトルは彼に対してはもうのんきな心構えではいられなかった。勇利は世界一ヴィクトルを愛しているが──「宇宙人」とヴィクトルのことを表現するのに合わせるのなら宇宙一ヴィクトルのことを愛しているが──結局、宇宙一わけのわからない性質をしているのだ。 勇利はかっこいい俺が好きだからな……。 ヴィクトルはまた溜息をついた。手なんか握ってくる俺は彼の中では何かがちがうん��ろう。 しかし、それがわかっていても、ヴィクトルの例の「衝動」は簡単におさえられるものではない。 「勇利、どうしたんだい?」 ソファの上で膝を抱え、雑誌を眺めていた勇利が、突然それを閉じてテーブルの上に置いたので、ヴィクトルはすこし驚いて顔を上げた。そしてもっと驚いた。勇利の頬が赤くなっていたのだ。 「なんでもない」 あきらかになんでもなくはなさそうな表情で彼はつぶやき、立てた膝におとがいをのせて黙りこんだ。ヴィクトルは彼が読んでいた雑誌に問題があったのだろうと思い、それを取り上げた。 「ちょっと、見ないでよ」 「何が書いてあるんだ?」 珍しくヴィクトルの載っている本ではない。ひらいてみると、勇利の写真が何ページにも渡り掲載されていた。昨日日本から荷物が届いたから、その中に入っていたのだろう。日本で発売された雑誌で勇利の特集が組まれたということか。 「いやなことを書かれたのかい?」 ヴィクトルは尋ねながら、そういうわけでもなさそうだと見当をつけた。うつくしい、すばらしい勇利の写真ばかりだ。この記事を書くとしたら、賞賛しか執筆できないだろうと思わせる。 「いい写真じゃないか」 演技中の凛とした一瞬や、やわらかで美々しい表情、しなやかな姿勢──それらを切り取った写真だ。このカメラマンは、勇利の演技と容姿、どちらにおいても魅力をよくわかっているとヴィクトルは感心した。こういう仕事は簡単にはできない。 「だから困るんだよ……」 勇利が溜息をついた。ヴィクトルはわけがわからなかった。彼の視線に気がついて、勇利がしぶしぶというように説明した。 「いいことを書かれすぎてるんだ」 なんだ、そんなことか。ヴィクトルは���ってしまった。 「うれしいじゃないか」 「恥ずかしいんだよ」 「悪く書かれたいのかい?」 「そうじゃないけど、おおげさっていうか、あんまりにも過剰っていうか──」 「氷の上にいるときは、最高にうつくしいと思ってもらわなくちゃ」 「でも、写真を見るのは氷を降りたぼくだからね」 「この写真なら、詩的な表現をしたくなる気持ちはわかるよ。カメラマンも記者もいい仕事をしてる」 「ヴィクトルはなんて書いてあるか読んでないからそんなことが言えるんだよ」 「なんて書いてあるんだい?」 「『漆黒の中に輝く、極限まで研ぎ澄まされた凛とした美』──」 勇利は答えさして慌てて口を押さえた。ヴィクトルは陽気に笑った。 「何もまちがってない」 勇利はまっかになってヴィクトルをにらみ、それからまたちいさく息をついた。 「もっと普通でいいのに」 「普通に見えなかったんだろう」 「恥ずかしいよ」 勇利は氷の上に立っているときは、だいたいわがままで誇り高く、高潔なのだけれど、普段にはこうだ。ヴィクトルは、勇利は正しく自分のうつくしさを知っておくべきだと思った。もっとも、自分の魅力をわかっていないところがなおさら勇利の魅力になっているのかもしれない。 「勇利」 ヴィクトルは雑誌を置き、勇利におもてを近づけた。勇利が顔を上げた。 「きみはうつくしいよ」 勇利はちょっと目をみひらき、それから困ったようにまつげを伏せた。 「からかわないでよ」 「本気で言ってる」 ヴィクトルは熱心にささやいた。 「おまえはうつくしい」 「…………」 「俺が夢中になって愛してるんだから、それくらいのこと、わかるだろう?」 勇利は答えなかった。彼はただ気恥ずかしそうに瞬き、じっとしているだけだった。勇利はどんなときでも常にうつくしいわけではない。普段はごく平凡で、どこにでもいる、ありふれた様子をしている。だからこそ、一瞬のきらめきにはっとさせられるのである。それはスケートをしているとき──そしていまだ。 「勇利……」 清楚な勇利の姿に耐えきれず、ヴィクトルは指先で彼の頬にふれた。勇利が首をもたげてヴィクトルをみつめ、ゆっくりと目を閉じ、そしてひらいた。彼の黒い瞳は清廉なひかりをたたえ、星のように輝いていた。勇利のまなざしはヴィクトルをふらふらにさせる。いちずで、あどけなく、あまりに可憐だ。 ヴィクトルは思わず顔を寄せた。勇利が大きく瞬いた。ヴィクトルはそのままキスしようとし──はっとして動きを止めた。勇利を見ると、彼はふしぎそうにヴィクトルをみつめたまま、わずかにくちびるをひらいて何か言いたげにした。 「あ……、すまない」 ヴィクトルは慌てて謝った。 「勇利の目をよく見たくて……」 俺は何を言ってるんだ? ヴィクトルは自分の弁解がまったくつじつまの合わない、ばかみたいなものであることに気づいていた。しかしどうしようもない。まさにいま、彼はばかになっているのである。 「あ……うん」 勇利はヴィクトルをばかだと思ったのかどうか、相変わらずふしぎそうな表情でこっくりうなずいた。 「そう……」 「ごめんね。びっくりしたかい?」 まただ。またあの衝動が……。ヴィクトルは自分にうんざりした。いい加減にしなければならない。勇利はかっこうよいヴィクトルが好きなのだ。いきなりキスしてくるような危険な男は好きではないにちがいない。 「びっくりしたっていうか……」 勇利はちょっと笑い、さらに頬を赤くしてつぶやいた。 「キスされるのかと思っちゃった……」 ヴィクトルは思わず噎せそうになった。どうしてこう勇利はヴィクトルの知られたくないことを言い当てるのだ。 「まさか」 ヴィクトルは急いで言い訳のように口早に言った。勇利はにこにこ笑った。 「まさかだよね」 「ああ……」 「そんなわけない」 「そうだね……」 ヴィクトルはめ��いをおぼえた。 どうしよう。このままではいつか何かしてしまいそうだ。勇利はあまりにもかわゆいし、綺麗だ。 もし本当にキスしていたらどうなっていたのだろう? ヴィクトルはたびたびそのことを考えた。いつかリンクでしたキスとはまったくちがうキスだ。敏感な勇利のことだ、泣いていたかもしれない。しかし、正反対にきょとんとして、「ヴィクトルでもキスするんだ」とふしぎがったかもしれない。そんなことになったら立ち直れない。ヴィクトルはくらくらする頭をまっすぐにすることにかなり苦心した。ああ、勇利は、言ってもいない言葉でどうしてこうも俺をめちゃくちゃにするんだ? ヴィクトルは、勇利が悪くないことを知っていながら、彼がいままで「まさかね」「まさかヴィクトルが」と言ったことをすべてしてやりたい気がした。 だが、結局彼は、そののちも、例の衝動をどうにかおさえこんで過ごした。どうしてそうできるのか自分でもふしぎだった。そうできていると思っているのは自分だけで、本当はもう、勇利の手を握っているし、彼を抱きしめているし、キスだってしているのかもしれない。──そんなふうに考えてしまうほど、ヴィクトルは勇利にまいっていて、頭が変になっていた。 勇利は取材があると言ってさきに帰った。昼間よりはクラブから人が減っている。もう自分の終了時間を過ぎていたけれど、どうにも落ち着かず、ヴィクトルはリンクを去ろうとしなかった。どうせ帰っても勇利はまだいないと思うと、帰宅する気になれなかった。勇利のことでこんなにせつない思いをしているのに、どうしても勇利と一緒にいたいし、彼のことを想わずにはいられないのだ。 ヴィクトルは氷に立ち、「離れずにそばにいて」を踊った。最初にこの曲ですべろうときめたとき──完成させたとき──試合で完璧な演技ができたとき──そのどの瞬間とも、いまの「離れずにそばにいて」はちがっていた。ヴィクトルは勇利のことを考えながら踊った。勇利がこのプログラムをすべっていたことを思い出した。そして、ふたりでデュエットしたときのことを。 ヴィクトルは、「愛について考えたことはあるか」と尋ねたことがある。ヴィクトル自身は考えたことがあった。振り付けをするときに思案しなければならないことだった。言葉にはならなかった。フィーリングでわかっていればよかった。しかし、あのとき考えたアガペーやエロス──それだけではない、さまざまな──フィーリングで理解していると思ってきた「愛」とはなんだったのだろう? 勇利が教えてくれたものはそのどれともちがう。いまもヴィクトルは愛を言語化できない。けれど──けれど、勇利へのこの想い──苦しく、せつなく、甘く、いとおしく、くるおしく、たまらなくしあわせであたたかな──これこそが──。 ──勇利。 最後の姿勢を解き、ヴィクトルはゆっくりと振り返った。誰も氷にはのっていない。リンクサイドからぼうぜんとしたような顔で見ているだけだ。ヴィクトルは向きを変えて出口へ向かった。そして──はっとした。 勇利がいた。 「勇利……」 戻ってきたのか。忘れ物でもしたのか、ヴィクトルと一緒に帰ろうと思ったのか。ヴィクトルはうれしい気持ちで彼に近づいた。勇利は頬を上気させ、目を星のようにきらきらと輝かせ、くちびるを可憐にすこしだけひらいてヴィクトルをみつめていた。 「どうしたんだい? 忘れ物?」 「ヴィクトル……」 勇利はささやいた。それだけでもうヴィクトルはくらっとした。 「すごいね……」 「何が?」 「いまのプログラム。『離れずにそばにいて』」 「ああ、久しぶりにすべったよ」 ヴィクトルはほほえんだ。 「どうだった?」 「あの……、誰かのことを考えてすべってたの?」 ヴィクトルはどきっとした。彼は言葉につまり、とっさにごまかそうとした。 「いや……、ただ、夢中で……」 「そう……」 勇利はほうっと息をつき、それから優しく笑ってヴィクトルを見た。 「ぼくのこと考えてすべってくれたんじゃないかって……」 彼の表情は、このうえなく清楚だった。 「期待しちゃった……」 ヴィクトルの呼吸が止まった。勇利が何を言ったのかよくわからない。理解できない。 「あ、ごめん。変なこと言っちゃった。だってヴィクトル、よくぼくをじっと見てるときみたいな顔してたから……だからそうなのかなって……、ごめん、すごいうぬぼれ……」 勇利は気恥ずかしそうに笑って黒髪にふれた。 「そんなわけないよね。いまのは本当になんていうか……どきどきする……熱愛みたいなすべりだったし……そんなわけない。そんなわけない……。ヴィクトルがまさかね……」 「…………」 「ね」 ヴィクトルは答えられなかった。 期待しちゃった。期待しちゃった。 リンクから家に帰るまでも、帰ってきてからも、ヴィクトルはずっと夢見心地だった。 「期待しちゃった……」 彼はぼんやりとつぶやいた。もし──もし、いままでの勇利の言葉からそれが続いているとしたら? 手を握られるのかと思った。期待しちゃった。 キスされるのかと思った。期待しちゃった……。 「──いや」 あまり浮かれるのはよそう。相手はあの勝生勇利だ。おお��しゃぎで喜んでいたら、何かとんでもないことが起こるのだ。だって勇利は勝生勇利だ。勝生勇利だ……。 「ヴィクトル、なに、ぼんやりして」 ソファで脚を伸ばして背もたれにもたれかかり、ぼうっとしているヴィクトルに勇利が近づいてきた。彼は隣に座ると、「具合でも悪いの?」と首をかしげた。ああ、なんてかわゆいんだ。なんてかわゆいんだ。期待しちゃった。期待しちゃった……。 勇利、期待しちゃったって本当かい? 「勇利」 ヴィクトルはぱっと身体を起こし、勇利のチョコレート色のとろけるような瞳をのぞきこんだ。勇利の目はきららかに輝いている。貴方しか見えない、貴方に夢中、と言っているみたいだ。 「勇利……俺は思うんだが……」 「なに?」 「きみの瞳はまるで……俺しか見ていないかのようだ……」 勇利が目をまるくした。 「貴方しか見えない、貴方にこころを奪われてる、貴方だけ、貴方を──貴方を愛してる……」 「…………」 「そう言ってるみたいだ……」 ヴィクトルは、彼こそ、勇利しか見えない、勇利にこころを奪われている、勇利だけを愛している、という目つきで熱心に言いつのった。 「期待しちゃうよ……」 勇利はぱちぱちと瞬いた。彼はふしぎそうに「期待?」とつぶやいた。 「期待とかそういう問題じゃないでしょ……」 「それは俺が愚かだっていうことかい」 「そうだよ」 勇利は可笑しそうに笑った。 「そんなの、ヴィクトル、期待するまでもなく知ってるでしょ?」 ヴィクトルはものが言えなくなった。彼はしばらく黙りこみ、まるで永遠かと思うような時間が──ヴィクトルにとっては──経ったころ、勇利の手を握った。勇利はほほえんでヴィクトルに手をあずけた。ヴィクトルはそれから、夢のような気持ちで勇利を抱きしめ、優しく接吻した。勇利はまぶたを閉じてされるがままになっていた。 「……こんなの、次はぼくのこと考えて『離れずにそばにいて』をやってくれるんじゃないかって、期待しちゃうよ」 ヴィクトルは、いままででいちばん、くらっとして、ふらふらになった。 相手はあの勝生勇利だ。ヴィクトルを宇宙一愛しているし、ぐっさりと胸を刺すすてきなことを、当たり前のように言うのだ。
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やるしかないやろ。うーやんの、あつあつ出前大作戦
『うどんのうーやん』 作:岡田よしたか
恋人の宇宙飛行士から、国際宇宙ステーションで君の作ったおにぎりが食べたいなとリクエスト。楽天で買ったくまモンのおにぎり型を使って、顔は焼きのり、目鼻口はチーズ、ほっぺたはハム、ご飯のなかに「やまや」の特製たらこをしのばせて、愛情たっぷり心をこめて作ったから元気でお仕事がんばってダーリン♡ とあなたが渡したおにぎりを恋人が食べることはできません。絶対に。
地上から400km上空、地球をまわる軌道上に浮かぶ国際宇宙ステーションには、地球から出張した宇宙飛行士が暮らし、重力のない環境を利用して地球ではできない特殊な実験を行っています。半年〜1年間を閉鎖空間ですごす宇宙飛行士にとって、食事は数少ない楽しみのひとつ。好きなものをいろいろ食べたいところですが、宇宙で食べる食事=宇宙食には、厳しい条件がつけられています。あなたの作ったおにぎりはのっけからNGです。
・1年以上の長期保存ができること。
・食中毒などを起こすリスクがゼロに近いこと。
・重力のない環境でも簡単に飲んだり食べたりできること。
・包装から有害なガスが出ず、燃えやすい材料を使っていないこと。
実際に宇宙食用のおにぎりを開発したメーカーは非常用食品を手がける老舗で、ごはんを腐らずに長期保存できる技術や、水分をなくして軽くコンパクトにする技術、食べるときに水を加えれば炊きたてのおいしさがよみがえる技術を持っていました。厳しいテストを順調にクリアし、宇宙食として合格目前に問題発生。原因は、焼きのりでした。
焼きのりは、おにぎりに巻くときにパリパリ折れますね。このときに出る細かなのりの粉が、重力のないステーション内に散らばって浮かび、思わぬ事態をまねく危険性があると判断されたのです。たかが粉ですが、逃げ場もなく助けもこない宇宙では、宇宙飛行士の安全が最優先です。結局、焼きのりは無しになり、シャケおにぎりに落ち着きました。
もし、あなたの恋人の宇宙飛行士から宇宙でラーメンが食べたいとリクエストがあれば、まったく問題ありません。すでに宇宙食用ラーメンが開発されています。ただし、スープは飛び散らないように粘り気を強くして麺にからめ、麺も飛び散らないよう一口サイズのかたまりにした無重力仕様。すするのではなく、フォークで突き刺して食べるのが、宇宙流です。
さて、あなたの恋人の宇宙飛行士から宇宙でうどんを食べたいとリクエストがあれば、どうでしょうか。今のところ宇宙食にうどんはありません。でも大丈夫、彼にお願いすれば、幾多の試練をのりこえて、かならず宇宙へうどんを届けてくれるはずです。
これは、あつあつのうどんを美味しく食べてもらうことに命をかけた、うどんのうーやんの物語です。
●●●
人手不足のうどん屋さん。うーやんは今日も自分で出前にでかけます。大急ぎで走っていると、お腹をすかせたネコが。
「ふわー めがまわる。もう みっかも たべてへんねん」 「そら えらいこっちゃ。ちょっと このうどん たべ」
中身が半分になってしまったうーやんは、そうめんさんに中に入ってほしいと頼みます。
「そうかあ。けど ぼくら ほそいでえ」 「かめへん かめへん。そんなん まぜてしもたら わからへん」
久しぶりに水の中に入りたいというメザシを入れてあげ、足腰が弱くなったとなげくウメボシおばあさんをおつゆであったまりと入れてあげ、木綿豆腐にいじめられてしょんぼりしている絹ごし豆腐を入れてあげ、舟がこわれて困っているたこ焼きと、弁当箱に入れてもらえなかったエビフライとコロッケとミニトマトにも、
「まあ ええわ。おきゃくさんも よろこぶやろ。よっしゃ はいり!」
と神対応。
お客さんのもとへと急ぐうーやんの前に、突如、行く手をはばむ大きな川が。しかし、うーやんはひるみません。
「わたるしかないやろ」
ごらんください。いまだかつて、こんなに凛々しいどんぶり姿があったでしょうか。
さらに行く手に立ちふさがる大きく急な山。しかし、うーやんはあきらめません。仲間たちを叱咤激励し、チームプレイで乗りこえます。
「みんな がんばって いこな!」 エンヤコラセー ドッコイセー 「そうめんさん しっかり! 「ふえ〜」
そして絶対絶命のピンチ! 薄揚げを狙ってトンビが襲ってきます。うーやんの出前は阻止されてしまうのか。あつあつのうどんをお客さんに届けることはできないのか。ここでジ・エンドなのか。
●●●
1970年、ケネディー宇宙センターから3人の宇宙飛行士をのせたアポロ13号が打ち上げられました。人類史上3度目の月面着陸を目指して順調に飛行をつづけていましたが、打ち上げから2日後に酸素タンクが爆発。電力と酸素が足りなくなり、月に着陸は不可能、地球へも戻れないかもしれないという絶望的な事態���おちいります。
このとき、NASAの地上管制センターで指揮をとったのが主席管制官のジーン・クランツでした。「3人を生きて地球にもどす。それがわれわれのミッションだ」
ジーン・クランツは、自身の経験をもとに、物事にのぞむときの10箇条をまとめています。
1.先を見こして動け
2.自分の担当は自分で責任をもて
3.きれいになるまでやり通せ
4. 不確実なものはその場で質問をして把握せよ
5. 考えられることはすべてためし、確認せよ
6. 連絡も記録もすべて書きだせ
7. ミスを隠すな、仲間の教訓にもなる
8. システム全体を掌握せよ
9. つねに、先を意識せよ
10. 仲間を尊重し、信頼せよ
あつあつの一番おいしい状態のうどんをお客さんに食べてもらうために、麺がのびないよう先を見こして猛ダッシュするうーやん。お腹をすかせたネコに自己責任でうどんをあげるうーやん。そうめんをプラスして、不足分をきれいにおぎなううーやん。ウメボシおばあさんや絹ごし豆腐やたこ焼きやエビフライやコロッケやミニトマトに質問して状況を把握するうーやん。どんぶりの中に入るという解決策を提案し、すぐさま試してみるうーやん。お客さんにうどんを届けるというミッションを常に意識して、大きな川も急な山も仲間といっしょにのりこえていくうーやん。
わたしは声を大にして言いたいのです。うーやんこそ、うどん界のジーン・クランツであると。
それでは最後に、無重力3分クッキングをお楽しみください。今日の献立は「ターメリックチキンとマッシュルームのグリンピースクリーム添え」です。ふわふわ浮かぶトルティーヤにどうやって具をサンドしていくのか、グリーンピースやライスやチキンがそこらじゅうに飛び散って大惨事にならないのか。国際宇宙ステーションの食堂からサマンサ宇宙飛行士を講師におむかえしてお届けします。
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※文中の太字は本文より引用
『うどんのうーやん』 作:岡田よしたか ブロンズ新社
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2ヶ月ぶりくらい?に、目覚ましをかけずに、寝られるだけ寝てみた休日。ワンコと暮らしてた時は出来なかった朝寝坊。 . . . ちなみに起きたのは9:00でした⏰昨晩は仕事で0時帰宅で、寝たの2時だから、いつもより少し多めに寝れたくらい。 . . . そこから朝ごはん食べて、洗濯&掃除をして、サンルームのぽかぽか具合に誘われて、再びまんまと力尽きた人...😪 . . . 気づいたら14:00すぎー。 . . . 最近忙しすぎ&予定が詰まりすぎてて今日は休息日と言う名の、何もしないDAYのはずだったのですが、買い物に出るついでに、ご近所ライドへレッツゴー🚲 . . . よく凛と散歩に行ってた、めちゃくちゃ近所の里山へ。ハイカーが減る夕方日没前後に行ったので、案の定すれ違うのはワンコ連れな方々ばかりでした。 . . . もちろん、ワンコと人優先!ですから、視界に入った時点で自転車から降りて、挨拶しながらゆっくり通過してます🐾🐾🐾ドッグファースト! . . . 実はこの自転車を買った理由の一つ。→こうやって🐶凛とよく遊んでたフィールドに出かけるきっかけになるかな、と思ったからなんです。 . . . 海岸や里山、傾斜の緩い林道、低山などなど。犬のためならサクッと行けた(ワンコが連れ出してくれてた?)場所を一人で歩くにはなんとなく手持ち無沙汰だし、ロードを走るようなモチベーションは昔からあまりないので、考えた結果、ファットバイクに落ち着いた次第。 . . . 10枚目の動画見て貰えば分かりますが、ほぼ犬連れで歩いたり走ったりしてたくらいの、のんびりとしたスピードで走ってます。 . . . 犬の散歩って365日1日も休みなく、朝や夕方、外に出るキッカケをもらってたことは、イヌと暮らしてた頃からありがたいなぁとずっと思ってました。 . . . 朝の日の出と夕方の日の入りは一番好きな時間でした😌 . . . もれなく外へ連れ出してくれてた存在がなくなり、下手したら家から一歩も出ない日が1ヶ月に一日くらいはありましたがら自転車となら、これから近場のトレイルをまた楽しめそうな気がします😎 . . . ちなみにこの話をあか姉にしたら、自転車を「さりんちゃん」と呼び出した。笑 (surly+凛) . . . 茶凛と書いてサリンちゃんと呼ぶことにしよう🤓 . . . うちの茶凛ちゃんは、やっぱり森にいるのが似合うなぁと、改めて、しみじみ思いました。またご近所オフロードを開拓しよっと◎ . . . 夕焼けを見ながら近所の里山でゆるっとカラダをほぐし、気持ちのいい汗をかいて、温泉行ってほっこりして、静かな夜カフェで動画を編集して帰宅🚗本日の出費は温泉代だけ。 . . . やっぱり睡眠や休息だけでなく、自分が好きなことを自分のペースで楽しむと、カラダがすごく整う感じがする。よき休日になりました。 . . . 茶凛ちゃん、これからもよろしくねー!😊 https://www.instagram.com/p/B49yqaUAdf3/?igshid=h7ehim1oh09a
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役者紹介
どうもらっしーです。
妄想した似合いそうな場所と共に役者とオペさんを紹介していこうと思います。
中津川つくも
素敵すぎる先輩。かわいい動きするトロンさんに困惑する私に、対応するイケメンな動きをつ��てくださってありがとうございます。つくもさんがぱっとする動きが役にぴったりで、いつもすごいなぁと眺めていました。
仕込み期間中指示出しまくってバリバリ仕切ってる印象が強かったけど、今回一緒に稽古してそのあたたかさと天真爛漫さに衝撃を受けました。厳しさと優しさ両立するのかっこよすぎて…。今回役者をした理由の一つに、32期の皆さんが今回で引退される寂しさがあったので、最後につくもさんとたくさん関われて嬉しかったです。そんなつくもさんにはキラキラにぎやかな台北(夜)が似合います。昼はなんか違います。夜だけ行ってすぐ帰ってきてください。
ベジータベジ子
アキぴっっっっったりですね!!!エチュードうまくて尊敬します、その対応力は努力と分析によって得たものだということが何となく感じられてそこがさらにかっこいいです。そんなベジさんにはピラミッドに行っていただきたいな。ラクダに乗って法外な値段ふっかけられてほしい。
佐々木モモ
ころねさんもA脚オペ兼B脚役者で、ずっと同じ場所にいたので勝手に仲間だと思ってました。でも私よりずっとたくさんの仕事を抱えてずっと大変な役をやっているころねさんはすごい。すごすぎる。ころねさんはブリュッセルで一旦のんびりチョコレートを食べるだけの生活を送りましょう。大好きです。
坪井涼
付け替え可能なかわいさとかっこよさを持っているアイドル。今回ご一緒するの初めてなのに自然に仲良くしてくださってありがとうございます。ゴコさんが話しやすすぎるあまり失礼なことを口走ってないといいのですが…。そんなゴコさんにはアラジンの舞台のようなガンジス川沿岸の町が似合いそう。
ζ
戦闘シーン作ろーとりあえずやってみよーの時、既に完成された動きをされていた。どうしたらそんなかっこよく動けるんでしょうか…?ベータさんはメキシコのサボテン生えてる荒野に行って、西部劇ちっくなピストルを持ったカウボーイと素手でやり合っていただきたいです。それかスペイン語で和解してもよいです。
緒田舞里
キャスパー!!まず15〜20人をいい感じに動かすのがすごい、全員が踊れる振りを考えて、それを全員の前で教えたり入りハケ指示して仕切ったりするのもすごい、総じてそれをやりきったまりお、君はアムステルダムに行って美しい街並みの中黄昏るべき人材だ!!キャスパ前目が覚めた人たちで会話するの好き。
三一三
オブリビオン波かっこいいね!自分の攻撃でみんなが斃れるの気持ちよさそう。最後フユコにヘッドギアつけられるからロキもロボ仲間だと思ってる。ロキはどっかあったかいところでおおらかな人たちに囲まれて俗世の悩みを忘れてほしい。しらんけどいつも何かに悩んでそう。タヒチとかどうですか。
トロン
オムニの時からファンだったので今回ペアになれて光栄です。ロボ1のかわいさったらもう!!面白いのになぜかかわいくてずるいです。稽古の前半すれ違い続けてたから、トロンさんに初めて会えた時めちゃくちゃテンション上がりました。トロンさんはスペインのかわいらしい田舎町でフラメンコ踊ってる。多分。
えどいん
B脚では殿にしか見えないしA脚ではてんとう虫にしか見えなくてどっちも魅力的に演じてらっしゃるのすごい。2脚本で役者やってコントやって絶対忙しい。でもなぜかエドウィンさんを見ていても大変そうに見えない不思議。そんなエドウィンさんは長崎とかに行ってほしい。国内の異国情緒あふれる場所でお願いします。
荻野琥珀
稽古でもほとんど会わなかったし役で絡むこともなかった。悲しい。結婚式のシーンでおしゃべりできたからいっか。ネギとアスパラの話をするハクさんの笑顔がとても素敵でした。ニュージーランドという人の数より羊が多い美しい国がありまして、ハクさんにはそこの南島にぜひ行って欲しいです…。
かの
福岡弁話者なの初めて知りました。良いですね。木漏れ日の中を歩くすふれさんは美しいしきゃっきゃするすふれさんは面白いし殺陣をするすふれさんはかっこいいです。すふれさんは天才だと聞いているのでナイアガラの滝みたいな人間の力の及ばない雄大な自然に圧倒されるような場所が似合いそう。
ふぉにゃ
統括のふぉにゃ、当制のふぉにゃ、閻魔のふぉにゃ、色んなふぉにゃが見れて今公演は楽しかった!!役者バチバチにやってるのにスタッフワークやりたがってくれて根っからのスタオンからしたらとても嬉しいよ。ふぉにゃはね、ダイナミックだからサバンナが似合うと思う。絶対生きていけるよ。うん。
たぴおか太郎
「閻魔さまぁ…♡」になすかの、死亡フラグの魅力が詰まってる気がする。インターホンにしたい。それか冷蔵庫開けっぱなしにした時のピー音の代わりとか。演技が本当にうまい。演劇ほぼ未経験ってマジか…幼少期おままごとのママ役とかに真剣(マジ)だったんだろうな…。なすかは王道にニューヨーク。
水琴冬雪
初めて役者をする私を気にかけて、丁寧に発声方法教えてくれたり、たくさん演技指導してくれたりした。もう本当にありがとう。あなたのおかげで私は役者っぽくなれた気がします。稽古場でめちゃくちゃ笑ってて意外だった。もっと早くその無邪気な笑みを見せろよ!!君は芸名が冬っぽいからストラスブール!
かけうどん
私にアイさんブレードと丸ノコとインパクトの使い方を教えてくださった恩師。ロッドさんとゆるあさんがいなければ私はナグリしか使えない仕込み照明班員という無価値な物質になるところでした。尖ろうと頑張るけど最後はいい感じに収まってるの面白いです。ロッドさんは東尋坊ですいすい崖上り下りしてた印象が強いのでスイスの高めの山とか登ってみませんか?
Aru=R
天国に振り分けられるシーン、短いのに笑いをかっさらってて流石です。殺陣あり、特殊衣装有りで楽しそうな役だなぁ。特に理由はありませんがホバさんがマーライオンがいる広場にいるのが見たいです。そしてあの王道の写真を撮ってる人たちを30分くらい小馬鹿にした後ノリノリで同じ写真撮ってほしい。
アリリ・オルタネイト
袴姿かぁわいいぃねぇ。殺陣ですふれさんに攻撃交わされて、無防備なハクさんをわたわたさせるところ好き。すふれさんと闘う時の凛々しい表情も好き。袴も日本刀での戦闘も馴染みないだろうに挑戦してやりきっちゃうのすごい。そんなイルルはもう地球じゃ収まりきらないから月くらいまでは行ってほしい。
杏仁アニー
照明オペありがとうございます!アニーさんに頼めば何とかなる!の流れの中で本当に何とかしちゃうのかっこよすぎますね。照明オペとしてB脚の場当たりにずっといるのにA脚の場当たりでもずっと演補としていて、それでいて疲れを見せることなく振る舞ってるなんて本当に人であらせられるのか…?と疑いの目で見てしまいます。私にとっては照明にとっても詳しい先輩だけど、同時に舞台にとっても詳しい先輩であり小道具にとっても詳しい先輩であり…なんだと思うともうなんか凄すぎて恐ろしいです。そんなアニーさんにはウィーンが似合います。これはみんなにも賛同してもらえる自信がある。
荷電レプトン
もうすっかり映像チーフだね!テンション上がってるレプトンはみんなを笑顔にするからレプトンには死海に行ってほしいな!
梅本潤
「しょうがねぇなぁ〜」最高でした!音響オペ未知の世界だけどめちゃくちゃ大変そう、お疲れ様ですオアフ島で疲れを癒してください。
夕暮児
初めて役者をしたのがこたちの脚本で良かった!!ずっと楽しかったですありがとう。演出の人にとっては当たり前なのかもしれないけど、演出をつけてほしいって頼まれた時にすぐにこうしたらいいと思うって具体的な指示を出せるのすごいと思う。こたちはどこでも似合いそうだけどモンゴルがいいかな!どこまでも続く草原、���つぽつとある白いゲル、そしてこたち。
役者紹介で、誰かを何かに例えるのいつかやってみたいなと思っていたのですが、もうえもい方面にも面白い方面にも達人が溢れているので困りました。悩んだ末、旅(に行くのを妄想)するのが好きなのでこんな感じにしてみましたがどうだったでしょうか。
みなさんが自分の場所について検索したり、Google Earthで歩いてみたりしてくれたら嬉しいです。もちろん実際に訪れてもいいんですよ。
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2022.10.6 2022秋冬 あたらしいもんこしらえました。 . ポイしゃくし ブラックチェリー 生漆3回拭き . . 匙面を浅めに削りあげ、生漆を木地に染み込ませる程度の3回だけ塗って拭いて乾かしてのうっすら塗膜で仕上げています。柄は細く、持ち手の先端はネギ坊主型。 . たかがしゃくしの話をさっとシンプルに書けなくてちょっと長くなります。記録のためにつらつらと考えてるまんま書いてゆきますので、興味ある方だけ読んで頂けたらなと思います。 . . ............. 来週から二人展をするファブリルのオーナーとのなんてないおしゃべりの時間の中で、かき揚げを揚げる時、私のおかず取り分け匙で種を掬い、それを菜箸でスっと油へ滑らせるのが便利だと言ってくださったことがあったんです。もうだいぶ前のお話。 . どうやら匙面を浅く掘っているので、種の滑りがよいんだと。自分の中ではそのお話が新鮮で、印象に残ってて。それならもっと柄が長い方が油も飛ばないよねとか、匙面が浅いと揚げ物だけじゃなく他にもいろんな用途で使いやすそうだしいいなとか、制作の合間に時々思い出して考えていました。 . また別の時だったか、お好み焼きをご馳走になり、コテでひっくり返す時、いろんな木べらを見せてもらって、その中に昔漆が塗られたものがありました。それは塗られていたとわからないくらいで、漆はもうすっかり取れてしまってるんだけど、木地はしっかりしているし、経年で凛とした飴色の道具に育てられていたのです。 . それまで調理道具に漆って、どうせ酷使されてハゲるだけなのに、はたして意味あるのかな?と考えていたのですが、塗膜をつくるために漆を重ねるというよりも、染み込ませて固めて木地を補強することを塗装の目的と考えたら、水分も染み込みにくいし、食べものの匂いや色も付きにくいし、木も強くなるしで、見せてもらった木べらに近い形に育つのではないか、そうなれば調理道具に漆という組み合わせも惹かれるなぁと思いました。 . 今回使っているブラックチェリーは、木工から離れられた方にお譲り頂いたもので、なにか自分なりにいい形に残せないかなと考えていた時、このしゃくしだと思いつきました。本当は山桜で考えていたのですが、ブラックチェリーは経年で山桜より深い飴色に育つため、しゃくしの使用を重ねて表面の漆が薄れてしまっても、その頃にはブラックチェリーの木肌も飴色に育って、さり気なく変化してゆく様子もいいなぁと考えました。そのため漆で塗膜を付けるというより、染み込ませ、うっすら載せる気持ちで仕上げようと、いつもスプーンに施す時は5.6回拭き漆をするのに対して、こちらはあえて少なめの3回拭きにしています。 . 柄の先端はどうしようかと最後まで迷いましたが、ひと手間かけてネギ坊主のような丸い玉に削りました。軽くて取り回しやすいよう柄を細めに削りあげている分、勢いあまってスっと指の間から抜け落ちず、指に引っかかっるようにしました。結果、親しみやすい形になったなぁと気に入っています。 . 最後にポイしゃくしって名前について。金魚すくいで使う紙の張ってあるアノ道具は、ポイって言うんですよね。わたしの暮らす奈良市のお隣りにある大和郡山市は、昔から金魚の養殖がさかんな地域で、近鉄電車に乗っていると車窓から養殖池があちこちに見えます。そんな訳で、金魚って小さい時から馴染み深い。町内のお祭りの準備で、ポイの紙張りを手伝ったことがあるんですが、ピンと張るのは結構コツが必要なんです。 . このしゃくしが出来上がった時、なんて名前にしようと考えていたらふとその事思い出して、そういえば形がポイに似てるやんと。だからポイしゃくし。30秒くらいで決まった。単純だけど覚えやすい。音の響きも軽いタッチでスキ。肩肘張らずに使ってほしいと願いを込めて。 ............. . . ここまで読んでくださった方ありがとうございます。長かったでしょ?ひと通り読んで、なんやねん、そんなことかいなと思わはったかもしれません。でも私はいつもこんなことばっかり考えて道具をこしらえています。ワクワクします。幸せやなと思います。 . 絵になる景色になるかたちを追うというよりも、その先に立ち上がる湯気とか、ほくほくとした美味しそうなものが目に浮かんできそうな道具をこしらえる人になりたいです。 . そんなポイしゃくし。 どうぞよろしく。 . https://www.instagram.com/p/CjWccDvvxmF/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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・ ・ いよいよ明日より村上躍さんの作品展が始まります。 定番から一点ものまで、点数としても 見応えのある展示となっています。 初日は村上さんも一日在店下さいます。 皆様のお運びをお待ちしております! ・ ・ ・ 村上躍展 作品紹介 ・ 白灰化粧横手片口 size : w135 d90 h78mm ・ ・ 2023.3.18.sat.- 4.2.sun. 村上躍 陶展 Yaku Murakami Exhibition ・ ・ 長野県八ヶ岳にて清々とした空気の中で作陶する、村上躍さんの作品展となります。余白のある整った工房、周囲の木々や山々に動植物の音。そこは静かで凛とした空気感があります。力強さや温もりの中に静謐さを感じるのは、そんな環境で日々暮らし、自分と向き合いながら仕事をしている村上さんの空気感なのかもしれません。桜の季節、皆様のお運びをお待ちしております。 ・ close:月曜 | open:11-19:00(初日は18:00まで) | 17(金)は展示準備のため臨時休業 | 初日作家在廊予定 | 開店前にお並びの場合は整理券を配布いたします。| ・ ・ Profile | 1967年 東京生まれ | 武蔵野美術大学短期大学部専攻科工芸デザイン卒 | 98年より神奈川県にて手びねりにて作品の制作をはじめる。 | 2020年 長野県八ヶ岳に工房を移転 | 国内外で個展を中心に作品の発表を続ける | ・ ・ 展示会特設ページ www.yabedesign.com/yaichi/gallery/2023/murakami/index.html ・ ・ 364-0031 埼玉県北本市中央2-64 048-593-8188 Open 11:00-19:00 close 毎週月曜・第一火曜日 JR湘南新宿ライン高崎線 北本駅西口徒歩1分 ・ ・ #yaichi #やいち #器 #うつわ #食器 #tableware #生活道具 #暮らし #cafe #カフェ #アンティーク #antique #antiques #古道具 #古家具 #oldfurniture #brocante #古物 #埼玉 #埼玉県 #北本 #北本市 #村上躍 #YakuMurakami (Gallery&Cafe やいち) https://www.instagram.com/p/Cp4SARiP_ZJ/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#yaichi#やいち#器#うつわ#食器#tableware#生活道具#暮らし#cafe#カフェ#アンティーク#antique#antiques#古道具#古家具#oldfurniture#brocante#古物#埼玉#埼玉県#北本#北本市#村上躍#yakumurakami
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※※ 今年最後のイベントは、初めて店外でのイベントに参加させていただきます。 クリスマスシーズンの神戸にて。 華やかな街並みとともに、素敵な作り手の皆さまとご一緒させていただきます✨✨ 出展者さまのページもぜひチェックしてみてくださいね✨ そして、お近くにお住まいの方はぜひ凛のブースにも遊びにいらしてくださーい💕 華やかなイベント会場、私も楽しみです✨ よろしくお願い致します✨✨ 【NOEL】 ・ FLORE Artist Gallery @floreartistgallery 神戸市中央区山本通り1-7-9 12/17 sat 11:00-17:00 12/18 sun 11:00-16:00 ・ Flower Arrangement by Bijoux @bijoux_6290 Pottery by Kazuhito Azuma @kazuhito__azuma Pottery by Kazumi Kinoshita @kazumi__kinoshita うつわと暮らしの道具 凛 @utsuwaya_rin Cartonnge & Home Decor by Maison Vianne maisonvianne Soap &Candle Carving by ATUDIO SUK CAI @sukcaiseven_carving Chinese tea by Gingetsu Salon @gingetsusalon Fabric Flowers by Anry & Co. @anry.co Accessories by Y´s arrange @ysarrange_accessory Holiday sweets by deux petit sucrey @deuxpetitsucrery ★Special thanks Makiko Asada @makiko555 インスタ・フライヤー等の制作をしてくださいました。ありがとうございます✨
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RDR2:21:ショーだ! 天使だ!(?) また決闘だ!
今日ものんびり一人旅(´ω`*) 魚マップを手に入れるついでにエメットなんちゃらいうガンマンとの決闘もしておいたアーサー、本日はこの旅の第二の目的、逃げ出した奇術師捜しに向かいます。 ちょっと遠いけど、のんびり街道を馬で行くのも楽しいわけで。拠点から町への一通FTならできますし、駅馬車・列車を使う金もありますけど、ストーリーの先が知りたくてとにかく待ちたくない!! とでもならないかぎり、たぶんのんびり道を進んでると思います。
エメラルド牧場の近くを通ったので、ついでにシェイマスのところ(盗品商)を見てみましたが、売り物は他の場所と共通なのかな。 わんこのチェックは忘れません。アーサーが善人プレイだからなのか、「蹴られるからよしなさいって!!」て言いたくなるくらい、しっぽぶん回しながら近づいてくるんですよねぇ。それで蹄にかけても名誉レベル下がるんだから、もうちょっと待てと言うんだ。そしたら下りてちゃんとなでてやるんだから。 ただ、この時代の馬は今で言うバイクなので、人通りの多いところとかこういう生き物のいる場所で乱暴に乗るほうが悪いわけで。下りて引く、最大限徐行する、当然ですな。
マージョリーの捜してた奇術師マグニフィコは、小人症の男でした。 大男バートラムは知能足りなくて子供みたいですが、マグニフィコの内面は普通。見世物同然の巡業暮らしに嫌気がさせば、逃げようとも思う普通の神経をしています。マージョリーのことは、字幕では「魔女」、台詞ではサキュバスだと言ってますね。 素直に戻ってくれるわけもなく、奇術師らしく姿を消したりしながら逃げていきます。���ーサー、ここは徒歩で追跡! マグニフィコが使う色煙つきの爆竹のせいで、馬がおびえて近寄ってこない、て感じかなw しかしその色つき煙があるため、追いかける方向は簡単に分かります。 ちなみにアーサーが頼まれたのは、「騒ぎを起こして」。つまり、捕まえなくても、こんな具合に派手に逃げることはマージョリーにはお見通しだったのでしょう。
馬車でやってきたマージョリーと挟み撃ちとなりました。 アーサーを思いっきり「そこのバカ」と言うマグニフィコw 「そいつはなんだ? (新しい団員の)猿人か!?」とか言うし。 口に気をつけろよ、と言うアーサーですが、なんかこう、本気でイラッとか来ない相手ですね。小人だからというのではなくて、悪意や卑屈さがないから、かな。憎めない奴というか。
3人のコントみたいなやりとりの間、馬車の馬をなでてるアーサー(´ω`*) おまえほんと動物好きだな? そして3人は無事、サンドニに向かって出発しました。別れ際に、サンドニのショーに来てくれたら売上の一部をあげるわ、とマージョリー。ほー? それなら、この先は決めてなかったし、位置的にも……ふむ、よし。 四人のガンマンのうちの一人、ブラック・ベルが通り道にいるから、そこに寄って、サンドニに行こう! そんでショーを見てみるのだ!
というわけでやってきた湿地。ブラック・ベルは銃を持つ貴婦人。エメットがクズだった反動かってくらいに凛々しくてかっこいいおばちゃん!(´ω`*) あんた賞金稼ぎかい、と言われ銃をつきつけられるも、「今は違う」、そのつもりで来たわけじゃないとアーサー。
なぬ? 後ろを見ればぞろぞろとやってきた賞金稼ぎたち。ブラック・ベルを手伝って奴等を一掃することになりました。 こういうこともあろうかと、各所に爆弾を仕掛けておいたベル婦人。合図されたら、敵がいるあたりのスイッチを押し込むと、その爆発で二人くらい倒せる感じです。 「あたし一人に全部始末させる気かい!?」とか言われたりしつつ、俺だって精一杯やってるって!!∵;. *┳┓o (ʘ皿ʘ ╬)
よっしゃガトリング野郎一発消去! ガトリングのところに向かう奴を仕留めたり、増援を片付けたり。ううむ、おばちゃんの賞金もかなりのものなんだろうな。とはいえ無駄にホットな俺の5000$を超えるとは思えないが……:( •ᾥ•):モット ヤスクテ イイヨ
敵を一掃した後、ちゃんと話を聞いてくれます。 しかしベルいわく、「あいつは虚仮威し、いつも逃げてた」とのこと。おやぁ? 伝説のガンマン、一度の決闘でたくさん倒したとかいうのは嘘なのかな? それとも、強いからこそ無駄な相手とは戦わなかった?
ベルは居所を変えるようです。いつでも移動できるよう、荷物はいつも常にまとめてあるのか、大きな頭陀袋一つ、アーサーが持とうとした(善人プレイだからか??)のを制してさっと肩に担ぎあげ、
昔も今と変わらないよ、と言いながら桟橋を渡り愛馬のほうへ。 写真を撮らせてほしいと頼むと、「こんな感じでいいかい?」とポーズをとってくれました。……なに、このかっこよすぎるおばちゃん…… ⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ それにしてもアーサーよ、この後の日記では「彼女がもう少し若くて、俺が相棒だったら」みたいなこと書いてますね。おまえ女に惚れやすすぎるんとちゃ��か?( ・ὢ・ ) メアリーにアビゲイルにこのおばちゃんに、それにおまえ、後で判明するらしいけど(ピ―――)なんだってか? まあ、ブラック・ベルはめっちゃかっこいいし、すげぇ女もいたもんだなと惚れ惚れするのも分かりますけどね(´ω`*) でもざんねーん、戦闘中に言ってたけど、既婚者なんだよねぇ。
湿地にはこんなふうに板の通り道も作られていたり。
サンドニについたらとりあえずお風呂だぜぇ(´ω`*) 最後までお風呂すると、去り際にちゅっ( ˘ ³˘)❤してくれるからな(๑ ิټ ิ) そして劇場へ。終わったら近くの事務所で指名手配の張り紙も見てこよっと。
例の3人は……芸なのか? ただいつものどたばたをそのまんま舞台でやってるだけなんじゃないのか? それから、銃弾を歯で受け止めるという男。これ、もちろん手品なら弾は出ておらず、受け止めて悶えるような仕草をしてる間に持ってた弾を出すだけでしょう。しかし、どうせトリックだとケチつける→ではお客様のどなたかが→じゃあ俺がやると言う市民はサクラだとしても、アーサーがやると言い出して撃っても、止めるそうです。ひえぇぇぇ〣( ºΔº )〣
それから火吹き芸と、シンプルに歌姫。 今の感性で見ればどれも古い芸、子供だましみたいなものですけど、当時は斬新だったり、迫力感じたんだろうなぁ。 ちなみに見ている最中、アーサーは応援することも、ヤジを飛ばすこともできましたw 外に出たら朝9時……そらぼけーっと4幕全部見たらリアルでもけっこう時間だったから、ずっとゲーム内の時間は気になってたけど、半日かかっとるやん……。
指名手配、お、デッド・オア・アライブだ。しかも100$!。サンドニからローズあたりのギャングであるルモワン・レイダーズの親玉か……。手ごわそうだけど、ころころしてもいいってならなんとかなるかな。 とりあえず今回の旅はそろそろ終わりにして、拠点に帰るとするか。 ―――とローズへの道を進んでいると、林の陰からよろよろと出てきた男に助けを求められました。騙そうとしてるだけなこともあるけど、まあそれはそのときに戦うなりすればいいので、素直に馬から下りて話を聞くと、家にならず者が押し入ってきて、妻を人質にとっているとのこと。 「おまえは法執行官を呼びに行け。とりあえず俺は先に行く」とほぼ正義のヒーロー状態なアーサーです。 沼地の先の小さな家からは、ならず者の声と女性の声が。間違って女性撃ったらどうなるんだろ((((;゚Д゚))))と思ったりもしたけれど、腹をくくって突撃じゃオリャアァァァヽ(#゚Д゚)ノ┌┛・;' からの、デッドアイ発動! 相手は二人ぽっち、どっちも野郎、よっしゃこれなら余裕!!
無事に奥さん救出し、手を貸してベッドに腰掛けさせます。 ありがとう、命の恩人よ、もうダメかと思った……というのはいいとして、うむ? 字幕には出てこないけど……「あなたまるで天使様みたいだわ」とか言ってない……か? エンジェル、ゆうてるよな? しかも繰り返し。 エ ン ジ ェ ル ・ ア ー サ ー ⁽⁽ଘ( ・ὢ・ )ଓ⁾⁾ これこそ絶対に仲間には知られたくない場面だろうな、とか思ってしまいましたw そしてこれを実はこそっと誰かが見てて、後でからかったりしたら面白いのになw 面白いのはこの奥さん、そう言う一方でアーサーに、「死体が腐ると嫌だから外に出してほしい」とも頼むんですよ。この現実感がまた良いですな(´ω`*) どんな危機的な状況にあっても、そういうことに気が行ってしまうというのが、家を預かる女性らしくて。そして天使様みたいだわと思っていたって、頼むことは頼むw ちなみに、そこの袋の中にお金隠してあるから、全部持っていってね、と言われたのは、ありがたくいただくことにしました。このうえ無視して出て行ったら、なに言われるか分かったもんじゃねぇ:((((( ・ὢ・ ))))): しかも50$。なかなかのヘソクリ。
ローズではまたギャビン捜しくん。毎回白丸点滅するので、話しかけていくとなにか起こるのかなぁ。 ローズに来たなら、駅でガンマンの一人、ビリーの消息でも聞いてみる流れ。 いつも列車のラウンジで酒飲んで酔っ払ってるとのこと。 次の列車にはタダで乗り込んで探せるようになってます。 話しかけると、聞いてもいないこと勝手に喋った挙げ句、逃げ出しやがる……。どうも、ガンマンらしくなく、寝込みを襲うとかして相手を倒してたみたいですね。最前のブラック・ベルとは大違いだな……。あのおばちゃんは、爆発物とかは使ったとしても、全部ある意味ちゃんと真正面から粉砕してきたろうに。 話をしたいだけだと言ってももはや聞く耳ナッシンで、列車の屋根の上で決闘となりました。 で、実はここで4回失敗してます。うーむ、やっぱり決闘のコツというか、ルールというか、仕組みがよく分からない……。 R2半押ししないで撃っちゃダメなの? 押してる時間が長いとなにがいいの? しかし何回か繰り返したおかげで、銃を狙うこともできると気付きました。というか、操作しないでいると自動的に、まず右手の銃に照準が合うみたいです。誤解でパニクって逃げたるだけのおっさんだし、だったら武器をなくせば諦めて話を聞く気にもなるかと、五回目の正直! だがしかし。
もう一丁持ってた銃で、自殺……:( •ᾥ•): さすがにこんな騒ぎなので様子を見に来た人がいましたが、これは通報とかされないみたいです。 そして並走してる愛馬に……とぅ!! って普通にジャンプしたらただ落ちるのかあぁぁぁぁ!?。゚(゚´ω`゚)゚。イタイ
ともあれ、ビリーのピストルげっとー。金色で派手なだけの虚仮威し銃ってことかな。
やれやれ……残すガンマンはあとひとりだけど、北のほうにいるんだよなぁ。 それに、四人倒しても、キャロウェイがどうのと続きができるのは4章に入ってからだそうです。だったら慌てて行かなくてもいいかな。
ローズに戻って、ホテルでごはん。ナマズフラーイ(๑´ڡ`๑) そうだ、各町の観光案内するなら、酒場のメニューも調べないとな。あと、雑貨屋・仕立屋で買えるセットコスチュームも。ブラックウォーター以西は……まあ、クリア後にでも。
お部屋はシンプル質素でした。1Fにあることもあってラウンジの喧騒が聞こえてきますが、それもまた旅情というヤツです。 それにしてもこのホテル、風呂は2F、部屋は1F。ちと使いづらいですな。風呂はサンドニで入ってきたから今回は入らなかったけど、どっちも使いたいってときにはわざわざ行き来しないといけないのか。 ともあれ、今日もいっぱい働いたなぁ!(´ω`*)(←
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四月になれば彼女は
(夢)
あたたかい雨の中を奈緒と歩いていた。傘も差さずに、渋谷の雑踏で私たちはふたりきりだった。 ツタヤから道玄坂の方へ向かって、信号に引っかかる。言葉も交わさずに待って、青に変わったのを確かめて歩き出すと、交差点のまんなかで奈緒が私にキスをした。 私たちは、しばらくそうした。 誰も気にも止めず通り過ぎていくので奈緒の頬に手のひらをそえると、そこがひどく冷たいことに気付く。それが勘違いで、奈緒には温度がないとすぐにわかる。唇の味も、肌の香りも愛のような手触りも何も感じないから、ちょうどいいかなと思って道路に奈緒を押し倒した。そこは流れ落ちる水でとても柔らかくて、なにより温かいのが私には嬉しかった。 懐かしいブレザーを脱がすと濡れたシャツの下に女の子おんなのこした奈緒の体がよく見えたけど、それでおしまいだった。その先は、っていうかなんならキスさえ私はぜんぜん知らなくて、それがどういうふうに心を動かすのかなんてもしかしてこのまま知ることもなく一生を終えるのかも、そんなことを考えた。 信号が、警報を鳴らしはじめる。顔を上げると点滅していた青色が赤くなって、足を止めた誰もが私たちを見ていた。私は、せめて奈緒のことだけは見られないようにと体ごと覆いかぶさろうとした。アドトラックにはね跳ばされた体が宙を舞うと、遠くにほころびかけの桜の花を見つけて、もう、そんな季節なんだと思う。
(西新宿)
長かった冬を過ぎても奈緒とは思うように会えなかった。私はさっさと進路を決めたのに、そのぶんだけ早くたくさん仕事が入ってきて、望んだこととはいえ複雑だった。できることといえばたまに会った西新宿のカフェでこうしてパスタをゆっくり食べたり、それとなく予定を聞き出しては後でスケジュール帳に書き加えたり、面倒がって帰りを渋りながらトレーをおさえつけたり、それくらいだった。 帰らないでとか、もうちょっと一緒にいたいよとか当たり前みたいに言える関係だったなら、せめて私がそういうふうに生まれていたら、良かった。 「行っちゃうんだ」 「明日も早いからさ」 「ふうん」 「なんだよ」 「べつにー」 「ほら、かたすから手あげて。ばんざーい」 「なにそれ、ばかみたい」 私がむっとして離したトレーを奈緒はあっという間に奪い取って、返却コーナーへ持っていく。ちゃんと「ごちそうさまでした」と言う声が聞こえて、そういうところが好きだった。つややかで、屈���のない奈緒の心を見るとき私はいつも自分のでこぼこが気になって、最近は、もしかしてこの気持ちはただの憧れなんじゃないかとさえ思う。 なにしろ、奈緒はきれいだった。 少し早足でお店を出る背中を追いかけながら、眺めていた。どうしてそんなに急ぐの、と目でかけた言葉は私を追い越したショートヘアの男の子にぶつかって、ぽとんと落ちる。ヨドバシから出てくる人たちに次々と踏まれて、ぼろぼろに壊れていく。私は足を止めて、じっと見ている。いっそ潰れてなくなってくれたらなあと思うのにそれはずっと地面の上であわれな姿をさらすから、ぬるい風が吹いて飛んでいってしまうまで、じっと見ていた。 私はそれでやっと顔を上げると、奈緒の姿を確かめた。奈緒はちゃんと待ってくれていて、私たちは、雑踏の合間で少しだけ互いを見つめた。 「いなくなってるって、思ってたよ」私はそう言った。充分に距離が離れていて、ちっとも聞こえないのをいいことに「前は、つかまえにきてくれたよね」と続けた。 もう、嫌われているんだろうなと思う。それはあんまり悲しいから、諦められてるんだろうな、と思い直す。私は自分がめんどくさいことなんて本当に、いやになるくらいよく知っていて、なのに、そういうふうにしか生きられない。奈緒といる間だけでいいから素直でいたいなんて奇跡を願うのも、もうやめた。 せめて、一緒にいたかった。どんな形でも一緒にいられたらいいと思うのに、それが心の形とぜんぜん違うから、願いは私をもっとめんどくさくてわけのわからない女に変えてしまう。 そしたら、奈緒は雑踏の少し向こうへ行った。私を待ってくれるけど、つかまえにきてはくれなくなった。 私はどうしようもないくらいに泣きたくなる。泣いたら全部終わりだとわかっているから、駆け出して奈緒の腕をつかまえると、「見た?」と高揚したみたいな声をあげた。「ネズミ、すっごい大きいの」 「うええ、やだやだ。なんで嬉しそうなんだよ」 「だって、初めて見たから」 「だからって、いいもんでもないだろ」 「うん。なんかぜんぜんキモかった」 そうやって笑いながら、京王線の改札前で自然に別れた。私は時間を確かめながらホームに上がるまで、一度も振り返らなかった。その間中ずっと、私が見えなくなるまで改札の向こうから見送ってくれる奈緒のことを思い描いていた。 各停を逃してすぐに急行がくると、私は停止線から一歩踏み出した。間近を過ぎる電車の重みやかたまりみたいな風はちゃんと恐ろしくて、死にたいだなんて少しも思わないことに安堵する。体はひどく疲れていて、運良く席に座るとうつらうつらしながら、それでも駅を乗り過ごしたりは���なかった。家に帰るとしっかり支度をして、それから眠って、朝になれば時間通りに目を覚ます。すっかり春めいて優しくなった朝の光を浴びながら体が目を覚ましていくのに、生きている心地がまるでしなかった。体が動くことと生きることはぜんぜん違うのに、そんな大切なこと、忘れさせてくれたのも思い出させたのもぜんぶ奈緒だった。
(家)
「おじゃまします」と言った卯月が立ったままでいるので、私は体を起こすと壁の方へ体を寄せて「よかったら、座って」と手のひらでベッドを叩いた。「病人の近くで悪いんだけど」 「平気ですか?」 「うん。やっぱ一人で寂しかったから、話し相手になってくれたら嬉しいな」 「じゃあ、失礼します!」 「はい、どーぞ。合同レッスン、せっかくなのに休んじゃってごめんね」「まだ最初だもん、平気ですよ。そう��、みんなから」 卯月がくしゃくしゃのコンビニ袋をひっくり返すと、キットカットやカントリーマアム、チロルチョコ、甘いおかしの雨が毛布に降り注ぐ。これは未央ちゃん、これは奈緒ちゃんと一つひとつを指でさして卯月が言うから、私は休憩中や練習後のレッスンルームの光景を鮮やかに思い描くことができたし、早くそこに混じりたいなあと、心の底から思った。 「あはは。嬉しいけど、今ぜんぜん食べれないよ」 「……そっか、そうですよね。ああ、私ばかでした」 「ありがと。治ったら、みんなで食べようね」 「加蓮ちゃん、ごめんなさい……もう、私、お姉さんなのに」 「平気だよ。ね、レッスンのこと教えてくれる?」 しばらくは落ち込みながら、だけど卯月はレッスンのことを話すうちにいつもの卯月に戻っていく。春そのものみたいに優しく、まぶしく笑うから、私は緑が芽ぶくみたいに笑って話せた。 だから、卯月の季節が変わりはじめるのにもすぐ気付いた。言葉の流れが滑らかさをなくしたり、なんとなく視線が泳ぎだしたり、指先がふわふわ居場所を探したり、私はそれで、卯月みたいになれたらもっと幸せになれるのかなと思った。こんなふうに生まれてたらなんて最低なことを考えてしまうのが、ひどく、耐えられないくらいにつらかったから、話がちょっと落ち着くのを見はからって「同棲はどう? 順調?」と訊ねた。 「えっと……同棲じゃなくて、ルームシェアです」 「もう、私なんだからいいじゃん。聞かせてよ」 「でも、話すことなんて」 「調子悪いとやっぱり落ち込んじゃってさ、なんか甘い話とか聞きたい気分なんだよね。ね、おねがい!」 そう言って私が手を合わせると、たっぷり一分はためらってやっと、卯月は話しはじめる。「家具を、ふたりで買ったんです」と、やわらかな記憶の手触りをたしかめるみたいに、そっと笑う。 「私はそういうの苦手で、凛ちゃんがすごくてきぱき選んでくれるからほとんどお任せにしちゃったんですけど、ダイニングテーブルを、私が選んだんです。ココアブラウンの、二人暮らしにはちょっと大きすぎるなあってくらいのテーブルで、なんでなのかぜんぜんわからないのに、ひとめぼれでした。でも、それがわかったんです。二日前、でした。凛ちゃんが、私より先に起きてすっかり朝ごはんを準備して、笑ったんです。『どうかな』って、なんだか恥ずかしそうに、嬉しそうに、待ってるみたいに、加蓮ちゃん、ごめんなさい、やめます。やっぱり」 「いいの、お願い。お願いだから、聞かせて」 「でも、加蓮ちゃん」 「ごめんね。話しづらいよね。でも、聞きたいよ。私のために、聞かせて。お願い」 卯月はそれで、また迷った。だけど、意を決したみたいに私のそばに座りなおすと、髪を撫でながら続きを聞かせてくれた。 「……二人で朝ごはんを食べながら、思ったんです。この瞬間のために、このテーブルを選んだんだなって。そのときはわからなかったけど、ベッドにもソファにも、フライパンにも、きっとボディクリームにも毎日食べるごはんにだって、そういう瞬間があるんです。いちばんの、かけがえのない瞬間が、あるんだと思います」 「うん」 「この、さくら色のキットカット、奈緒ちゃんが選んだんですよ」 「うん、うん」 「奈緒ちゃんにとって、これがそうなんだと思うんです」 「ありがとう。卯月、ほんとに」 ごめんねと、言おうとした。ごめんね、でも、私は違うと思う。 だけど卯月が抱きしめてくれたから、そんなこと言わなくて良かったと思った。 しばらくして気持ちが落ち着くと私は全部を体調のせいにして、卯月から体を離した。ちょっと信じられないくらいに寂しくなったけど、凛に悪いし風邪を移したりしたらそれこそおおごとだから、病院仕込みの手洗いうがいの指導をした。 「早く、元気になってくださいね」と卯月は言う。「みんな、待ってますから」 「大丈夫。すぐに治るよ」と私は答えて、別れ際にお願いをする。「ねえ。よかったらでいいんだけど、笑ってみせてほしいな」 卯月は今度は少しも迷わず、ピースサインと笑顔を見せてくれた。「加蓮ちゃんも」と言うから、私もまねして同じようにした。 たぶん、すごくへただったと思う。 それなのに、笑顔には救われるような心地があって、私は卯月がいなくなった部屋でまた少し泣いた。そうしながら、卯月と凛がずっとずっとうまくいきますようにと祈った。
(渋谷)
いつか夢で見たような雨が降っていた。温かい春の雨を眺めて、私たちは別々の傘を開くと渋谷の雑踏に紛れ込んだ。 109にいいショップがオープンしたからと、奈緒を誘ったのは私だった。そのときはこんなに早く一緒に行けるなんて思わなかったし、まさか雨が降るだなんてわかるはずもなかった。 スクランブルを過ぎるとツタヤから道玄坂の方へ向かって、信号に引っかかる。なんてことない言葉を交わしながら待って、青に変わった信号を確かめて歩き出す瞬間に、束の間の夢を見る。 交差点の真ん中で、奈緒が私にキスをする。傘が、色とりどりの傘が一斉に宙を舞って、誰もが雨にうたれながら愛そのものみたいなワルツを踊る。信号や街灯がきらきらと光って、信号待ちをする車のクラクションが調子外れの歌を歌う。私たちは、そうやってこの街のすべてに祝福されながら、この世界でいちばん幸せなキスをする。見つめ合って、何度もするキスに飽きてしまうと踊りはじめる。いつまでも。いつまでも、踊っている。 交差点の真ん中で、現実の私は一人立ち止まっている。信号が変わると、クラクションが鳴り出すより早く奈緒が私をそこから連れ出してくれた。手を繋いでくれた。つかまえてくれた。 奈緒の手のひらが、私の手のひらを、ちゃんとつかまえてくれた。 奈緒は私の手を引いてずかずかと、109を無視して道玄坂の方へ登っていく。私は抵抗する力もなくして、うええ、と泣いていた。つないでくれる奈緒の指があんまり温かいから、期待させないでと言おうとした。それで実際は、「うええ」と言った。 「なんか、おかしいって思ってたんだ」と奈緒は言う。「ぜんぶ、吐いてもらうからな」 いいよ別に、私もずっと話したかったし。 「言いたいこと、隠さないでくれ」 はあ? こっちのセリフなんだけど。 「このまま代々木まで抜けるから。公園、この天気じゃ人もいないだろ」 桜も散ってるしね、ちょうどいいんじゃない。 「加蓮。あたしはさ、加蓮がたいせつだよ」 なにそれ。 「だから、聞かせてくれよ。加蓮の大切なこと、ぜんぶ」 なにそれ。 なにそれ、と私はくり返し思う。そんなこと言って期待させるから、涙はもっと止まらなくなる。すれ違うみんなが私たちを好奇の目で見るのに、とどめるなんて少しもできなくなる。 期待させないで。期待なんてさせるくらいならいっそいなくなって。だけどもし、もしもそばにいてくれるなら、お願い。確かになってよ。 私は、そういうことを思う。それでやっぱり、「うええ」と言う。 坂を登り終えると、代々木公園の緑が見えた。その葉陰から散り残った桜の色が覗いて、私はなんだか、急になにもかもすべてがうまくいくような、根拠もないのにそんな心地になった。 かばんのポケットには、卯月から、奈緒にもらったさくら色のキットカットがあって、私は、私たちが同じ気持ちでいますようにと祈った。さくら色のキットカットを半分こして食べる、その瞬間の私たちがおんなじように笑っていたらいいなと、心から思った。
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. 今週水曜日から、いよいよはじまります。 東京 西小山 Parque @parque.tokyo での個展。 . 先日の素敵なビジュアルに続き 美しい耐熱木瓜深皿バージョンです。 . 私のことを気遣いの人と言ってくれる店主。 だけど本当は気遣いなんて、何にもできてなくて ただただ目の前のことでいっぱいいっぱいで。 . 店主夫妻の築いたこのParque(スペイン語で公園の意)という場所は そんな私をもあたたかく包んでしまう おおらかで豊かな「広場」のようなところ。 . またこの場所に戻って来れたことを 心から感謝しつつ 日々の暮らしを愉しくするための 道具のようなうつわたちを揃えました。 . 是非、この愛すべき「広場」で ご覧いただければ嬉しく思います。 . #Repost @parque.tokyo with @make_repost ・・・ 冬の日。 食卓や、厨房に 立ちのぼっていく湯気が しっとりと温かく、 顔だとか 手元だとか 撫でてくれるとホッとする。 熱を帯びた器にて沸々と、静かに沸き立ち 立ちのぼる湯気は、力強く、優しい。 器ごとオーブンに入れて仕上げた 熱々のメニュー 最後のひと匙のあとも器は、ほんのり温かい。 - 石渡磨美 陶展 / 沸々 石渡磨美さんは、私が尊敬する気遣いの人。 目の前にいる誰のこともよく見ていて、細かいことも聞き逃さないように、全力で話を聞いて寄り添ってくれる。 出会った時からいつも、変わらずに。 陶芸のお仕事についても 器の仕様ひとつひとつに、まだ見ぬ誰かや、食いしん坊のあの人を浮かべて工夫してくれた様子が浮かぶ。 そのための、大変な手間を惜しまないで。 熱っぽくてあったかくて凛と美しい、 石渡磨美さんという女性。 器は作るひと そのものに似ていると思う時がある。 一月、最後の水曜日からです。 待っててくださいね。 ---------------------------------------------------- exhbition 「石渡磨美 陶展 / 沸々」 2021/1/27 wed. 〜 2.14 sun. ※会期中 月火店休 12:00-20:00 会場: Parque 東京都品川区小山6-21-20 東京目黒線「西小山」駅 / 徒歩4分 ※各駅停車にご乗車下さい https://parque-tokyo.com/access/ ---------------------------------------------------- <作家プロフィール> 石渡磨美 Mami Ishiwata 大分県南海部郡(現 佐伯市)生まれ。 1998年 会社勤めの傍ら陶芸と出会う。 2008年-2017年 東京都武蔵野市の『陶芸教室むさしの』勤務。 2011年-受注生産にてオーダーメイドのうつわ制作を開始。 2019年末より、拠点を兵庫県神戸市に移し活動を続ける。 (Parque) https://www.instagram.com/p/CKd7f5zMH4n/?igshid=1kh4j1c1j88x2
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ぷんぷん
その日はすこし早めに取材が終わったので、ヴィクトルはいろいろなものを眺めながら街を歩いていた。考えているのは、次は勇利をここへ連れてこようとか、あれは勇利に似合うとか、いきなりこれを買って帰ったら勇利は怒るだろうなとか、勇利のことばかりだった。今日の彼は、ヴィクトルが前もって言っておいた項目に従って練習をしているはずだ。もうすこし仕事が早く終わればリンクへ行くこともできたのにとヴィクトルは溜息をついた。思ったよりは早かったけれど、いまからコーチをするには遅すぎるという頃合だった。 まあいい……こうして次に勇利とデートするときの計画を考えられる時間は貴重だ。ヴィクトルは新しくできた店の前で立ち止まり、窓越しに店内を観察して、どのような雰囲気かを調べた。静かでよさそうなところだ。 そのとき、向かいからやってきた女性が足を止め、「ヴィクトルじゃない」と声をかけた。ヴィクトルは顔を上げ、笑みを浮かべて挨拶した。 「やあ。久しぶりじゃないか。元気かい?」 以前からの仕事上の知り合いで、気さくで気持ちのよい女性だ。このところは会うこともなかったけれど、昔のままの明るさだった。 「まあね。楽しくやってるわ。ヴィクトルは去年はほとんど日本にいたんですってね? かわいい男の子を連れて帰ってきたってニュースになってたわよ。たぶらかしてさらってきたんでしょう」 「とんでもない。たぶらかされたのは俺のほうさ。もうあの子にめろめろなんだ」 彼女は可笑しそうに笑った。 「今日は一緒じゃないの?」 「俺は仕事だったんだ。勇利はリンクで練習。そばにいられなくてさびしいよ」 「ずいぶんご執心ね。今度ぜひ紹介してよ。どんなにかわいい子か、ひと目見てみたいわ。ニュース映像ではひかえめでおとなしそうな子に思えたけど……」 「実際もひかえめでおとなしいよ。地味だし目立たない。でもね、それが氷の上に立つとぱっと変わるんだ。もう輝くほどのうつくしさで……」 「あー、いいわ。訊くんじゃなかった。ヴィクトル、なんだか雰囲気がちがうんじゃない? 前はもっと落ち着いてた」 「勇利の前では落ち着いてなんかいられないんだ。いいかい、あの子はね……」 「どんな会話でも好きな子につなげようとするのやめて」 ふたりはそれからしばらく共通の知り合いについて話し、五分ほどで別れの挨拶をした。ヴィクトルは、勇利のことを自慢し足りなかったけれど、彼女は約束があるらしく、時間を気にしていたのであきらめた。そのあと、またひとりでゆっくりと店を見てまわり、家に帰ると、すでに勇利が帰宅していた。 「おかえり。早かったんだね」 「ああ、予定よりね。もっと早かったらリンクに行けたんだけど」 勇利はにこっと笑った。ヴィクトルは胸がきゅんとなった。ああかわいい。俺の勇利はかわいい……。 「ごはんはまだつくってない。買い物だけしてきたよ」 「じゃあ一緒につくろう。もう先日のような失敗はしない」 ヴィクトルは数日前、鍋の底のあたりを焦がしてしまったのだった。勇利は楽しそうに笑い、「ぼくも野菜はもうちょっとちいさく切るよ」と誓った。彼は彼で昨日失敗し、野菜の火の通りが悪くて、芯のほうが硬かったのだ。ヴィクトルは、ああ、勇利と暮らしてるって感じがするな、と感激した。目を閉じて静かに喜んでいると、「何してるの?」と勇利がふしぎそうにした。 「勇利との生活についてじーんとしてる」 「意味がわからない」 今日はとくに目立った失敗はなかった。勇利は適切な大きさに野菜を切ったし、ヴィクトルも鍋の中身を底のほうからかきまぜてしっかりと全体的に温めた。そうしてできあがった夕食は美味しく、勇利と向かいあって食べるのがヴィクトルにはひどくしあわせだった。 「今日の練習はどうだった?」 ヴィクトルは上機嫌で尋ねた。 「ヴィクトルに言われたとおりのことをしたよ。まじめに」 「俺が言った以上のこともしたんじゃないだろうね」 「してないよ。いい子にしてたよ」 「勇利は油断するとすぐ長く練習するからな」 「ぼくは模範生だよ」 「よくもそんなことが言える」 ヴィクトルはからかうように言ってくすくす笑った。勇利もにこっと笑った。 「ヴィクトルは? 取材どうだった?」 「ああ、勇利のことをたくさんしゃべってきた」 「ヴィクトルの取材でしょ? なんでぼくのことしゃべるの?」 「俺は勇利のコーチなんだから勇利のことをしゃべって当然だ」 「よくわからないんだけど……」 「道理じゃないか。真理だ」 「たぶん取材先の人が望んでるのはそういうことじゃないと思う」 勇利はくすっと笑った。その笑い方がたまらなく上品でかわいらしかったので、ヴィクトルはまぶたをほそめた。勇利、なんてかわいいんだ。なんてかわいいんだ……。 「……ヴィクトル」 勇利がパンをちぎって呼んだ。 「なんだい?」 ヴィクトルはうっとりと勇利をみつめながら、可憐な俺の勇利はどんなことを言いだすのだろうと、すべての気持ちを集中させて耳を傾けた。 「今日、デートしてたよね」 「え?」 すべての気持ちを集中させていたにもかかわらず、ヴィクトルは何を言われたのかよくわからなくて、ぽかんとしてしまった。勇利は英語とはちがう言語でしゃべったのではないかと彼は疑った。デート? なんだ? 「ほら、新しくできた店の前で……」 「店の前?」 「店の前」という意味はわかったけれど、相変わらず、「デート」とはなんだろうと悩んでいた。俺の知ってるデートとはちがうんだろうか? 俺の知識にある「デート」は勇利と出歩くことなんだが……、ほかにも意味があるのか? 「女の人といたでしょ」 「え? ああ」 知り合いと話していたのは事実なので、ヴィクトルはうなずいた。勇利もうんとうなずいた。 「あの人さ…���」 勇利がすこしテーブルに身を乗り出した。彼は真剣にヴィクトルをみつめ、チョコレート色の瞳をまじめにきらめかせた。 「ぼくより見ていたい?」 「え!?」 ヴィクトルはびっくりした。質問の意味がしばらく理解できなかった。勇利より見ていたい相手なんているわけがない。訊くまでもないことだ。ヴィクトルは聞き間違えたのかと思ってちょっと考えたけれど、やはりどう思案しても「ぼくよりみつめていたい相手がいるの?」と尋ねられているとしか思えなかった。そう判断した瞬間、ヴィクトルは鋭い勢いで叫んだ。 「そんなわけないさ!」 ヴィクトルの剣幕に勇利は目をまるくし、それから頬をばら色に染めてふふっと笑った。 「そっか」 「そうだよ!」 「そう……」 「当たり前だよ!」 ヴィクトルは熱心に、ほとんどむきになって宣言した。 「勇利だけだよ!」 勇利はさらに赤くなり、ちょっと目を伏せてうなずいた。 「わかりました」 「本当にわかってる!?」 「わかってる……大きな声で言わないで」 勇利はつぶやくように言い、上目遣いでヴィクトルをちらと見た。甘えるような大きな瞳に、ヴィクトルはほとんど殴られたような衝撃を受けた。なんてかわゆいんだ……。 「ヴィクトル、どうしたの?」 「いや……」 「大丈夫?」 「いや……」 「大丈夫じゃないの?」 「ああ……」 「大変だ」 「いいんだ……大丈夫じゃないのが正常なんだ……」 「どういうこと?」 勇利は、相変わらずヴィクトルはわけがわからないことを言う、という目をしたけれど、ヴィクトルとしては自然の摂理を口にしているつもりだった。勇利といて平然となんてしていられるだろうか? 彼といるとヴィクトルはいつもめちゃめちゃにされてしまう。それがなんともここちよい。 ヴィクトルは勇利をみつめた。勇利はヴィクトルの視線に気がつき、にこっと笑った。ヴィクトルは胸を押さえて倒れこみそうになった。 「ヴィクトル、具合が悪いなら洗い物はぼくがするから……」 「いや、いい。一緒にする」 「ごちそうさまでした」と挨拶したふたりは立ち上がって流しに食器を運んだ。 「そういえば、食器洗い機を買いたいって言ってたのはどうしたの? べつに買ってもらいたいわけじゃないけど、ヴィクトルって思いついたらすぐ買うからちょっとふしぎだった」 「あれはやめた。俺は勇利と並んで食器を洗うのが好きなんだ」 いちゃいちゃできるから、とヴィクトルは思った。 「そっか」 勇利はあっさり答え、仕事に専念した。ふたりはしばらく、ヴィクトルが食器を洗い、勇利がそれを水で流してゆくという作業に没頭した。 ヴィクトルは勇利の横顔がかわいらしくて浮かれていたけれど、そのうち、とんでもないことに気がついて青ざめた。 俺はさっき、「デート」というのを否定し損ねたのではないか!? 思い返してみると確かにそうだった。ヴィクトルはただ「知り合いと話していた」ことを肯定したに過ぎないのだけれど、勇利からすれば「デート」を認めたことになっているのではないだろうか。冗談ではない。たわいない立ち話をそんなふうに思ってもらっては困る。ヴィクトルはすぐにそのことを持ち出してちがうと言おうとしたが、その瞬間、ひどくためらった。いまになってそんなことを言うなんて、かえってあやしまれるのではないか? もう終わった話についてしつこく言及するのは、後ろめたいことがあるからだと思われるかもしれない。勇利は気にしていないようだし、このまま黙っているほうがよいのか。しかし勇利は、表向きは平気そうにしていても、内心ではひとつのことをくり返し考えているということがままある。本当は、「ヴィクトルは女の人とデートしてたんだ……」と思いつめているかもしれない。もしそうだとしたら……。 ヴィクトルはおそるおそる横目で勇利の様子をうかがった。勇利は口元に笑みを浮かべ、手際よく食器を洗い流していた。思いつめているどころか、むしろ機嫌がよいように見える。だが、本当にそうだろうか? 勇利はよくわからない。 ああ、どうするのが正解なんだ!? 「ゆ、勇利……」 ヴィクトルはどきどきしながら声をかけた。 「なに?」 勇利がヴィクトルのほうに顔を向けた。 「その……」 「?」 「……袖が落ちてきている。水で濡れそうだよ」 ヴィクトルは勇利の手元を指さした。勇利は「あ」と口をひらいた。彼はヴィクトルを見上げると身を寄せるようにして言った。 「ヴィクトル、上げて」 「え?」 「もう洗い終わったでしょ? 上げて」 「あ、ああ……」 ヴィクトルは最後の食器を勇利のほうへ置き、手をすすいでぬぐってから、彼の背後に立って左右の袖をまくり上げた。抱きしめるような姿勢になってまたどきどきした。 「これでいいかい?」 「うん」 勇利はヴィクトルを振り返ってにこっと笑った。 「ありがとう」 「いや……」 かわいい……。ヴィクトルはふらふらしながら居間のソファへ行き、そこにどさっと座った。かわいい……勇利……どうしよう……彼は何を考えているんだ……。 そのあとふたりでテレビを見たけれど、結局ヴィクトルは「あれはデートではない」ということを説明できなかった。時間が経てば経つほどその話をするのが不自然に思えて、どうしても切り出せなかったのだ。 勇利はむしろヴィクトルに甘えるように寄り添ってにこにこしていた。しかしそれはヴィクトルの願望だったかもしれない。 ああ、勇利に勘違いされていたらどうしよう……内心では怒り狂っていたら……ある日突然「ぼく日本へ帰る」なんて言われたら……。ヴィクトルは悩みに悩んでいた。しかし、勇利はといえばまったくいつもどおりで、そっけない態度などかけらもなかった。 「ヴィクトル、どうしたの? 最近元気ない」 「いや、そんなことはない……」 勇利は平然としている、と思っても、ヴィクトルは安心できなかった。怒っているどころか、普段より甘い雰囲気があるという気さえしたけれど、そういうときが勇利はあぶないのだ。やっぱりいまからでも説明したほうがいいのでは……いやそっちのほうが言い訳みたいで疑われるかもしれない……。ヴィクトルは苦しんだ。 悪いことは続くもので、そんなおり、元リンクメイトがクラブを訪ねてきた。そのときヴィクトルは休憩中で、勇利は地元のテレビ局の取材を受けていた。 「ヴィクトル、久しぶり」 職員たちに挨拶したあと、彼女は食堂でくつろいでいるヴィクトルをみつけて近づいてきた。 「やあ。君も元気そうだ」 「引退してから太っちゃったのよ」 彼女はヴィクトルの向かいに座って笑った。 「太るのは悪くないよ」 ヴィクトルは熱心に言った。 「俺の勇利も油断したらすぐに肥えちゃうんだ。ぷにぷにしてかわいいんだよ。こぶたちゃんなんだ。愛情のこもった愛称だろう?」 「あんなにほっそりしてるのに? さっきカフェスペースで見たわ。取材を受けてたみたい。かわいい子じゃない? ヴィクトルがさらってくるだけあるわよね。毎日いちゃついてるの? もうちょっとスケートを続ければよかった。そうしたらあなたたちの熱愛ぶりをそばでくわしく観察できたのに」 勇利と愛しあっていることを祝福してもらえたのがうれしくて、ヴィクトルは得意げに、勇利がどれほどかわゆいか、どれだけうつくしいか、どんなに凛としているか、そしてどれほどよくわからない性格かということを勢いこんで語った。途中でヤコフが通りかかって、「いつまでやすんどるんだ!」と怒るほどだった。彼女は「今度はふたりそろってるときに遊びに来るわ」と手を振って帰っていった。ヴィクトルは午後の練習では上機嫌だった。 「今日のお昼からの練習さ」 勇利は夕食のとき、そのことを持ち出してヴィクトルをじっと見た。 「ヴィクトル、すごく楽しそうだったよね」 「え? ああ! そうなんだよ!」 ヴィクトルは元リンクメイトに、勇利についてたくさん話したことを思い出し、うきうきしてうなずいた。 「昼休みに知り合いが訪ねてきて──」 「デートしたから機嫌がよかったの?」 「え?」 ヴィクトルはぽかんとした。この言葉を聞くのは二度目だ。デート。なぜデートなんて言われるのか。 「取材のあと、食堂の前を通ったら、おおはしゃぎで女の人と話してるヴィクトルがいたから」 ヴィクトルはあぜんとした。あれは勇利の考えているようなことではぜんぜんない。おおはしゃぎしていたのは、勇利への愛を語っていたからだ。 「ちがう!」 ヴィクトルは、いまこそ否定するときだと身を乗り出して叫んだ。 「勇利、俺は──」 「ヴィクトル」 勇利が静かにヴィクトルをみつめた。ヴィクトルはものが言えなくなった。勇利の黒い瞳は神秘的で、深い輝きがシリウスのようだった。この目にみつめられて口を利ける者なんているだろうか? 勇利はいつもの眼鏡をかけており、ありふれた印象だったけれど、ヴィクトルは秘められたうつくしさを感じた。勇利は目をそらすことが難しいほ��綺麗だ。 「ぼくより見ていたい?」 勇利が物穏やかな口ぶりで尋ねた。 「あのとき話してた人のこと、ぼくより見ていたい?」 ヴィクトルはすぐにかぶりを振った。そんなことがあるわけがなかった。勇利以外にみつめたい相手なんて……。 「ぼくから目を離したくない?」 ヴィクトルは大きくうなずいた。やはり口を利くことができなかった。 「本当に?」 もう一度うなずいた。 「……そっか」 勇利がにこっと笑った。 「そう。ふうん」 彼はうれしそうに頬をばら色に染めた。ヴィクトルはようやく話すことができるようになり、急いで付け足した。 「当たり前だよ、そんなの」 「そう」 「当たり前だよ……」 勇利はそれからはにこにこ笑っており、もう二度とその話は持ち出さなかった。ヴィクトルはほっとしたけれど、そのうち、だんだんと不審な気持ちがふくらんできた。 勇利はなぜ落ち着いてるんだ!? 確かにヴィクトルは勇利だけを見ていたいと言った。それはうそではない。しかし、結局また「デート」だとかいうことは取り消せなかったし、そうなるとこれは二度目の事件だ。勇利は気にならないのだろうか。「ヴィクトルは女性と楽しそうにしていた」と思いこんでいるのに、どうして、不機嫌になるどころか、かえってうれしそうなのだろう。 こんなことなら、いっそのこと、怒り狂って欲しかった。あれは誰なのだと癇癪を起こして責め立ててくれれば、ヴィクトルだってちゃんと説明をして、あんなのはなんでもないことなんだ、俺は勇利を愛しているんだ、おまえだけなんだと愛を語ることができるのに。こんなふうに静かに受け容れられたのでは、なんとも言いようがないではないか。 勇利は俺のことなんて本当はどうでもいいのでは……。そんなことを考え、ヴィクトルはひどく落ちこんだ。しかしすぐに、いや、そんなはずはないとかぶりを振った。いつだったか、ロシアの観客に愛嬌を振りまいてたとき、勇利にネクタイをひっぱられて叱られたぞ。あれは「ぼくだけにして!」ってことだ。そうだ。そうにきまってる。……あのときはよかったな……ぞくぞくした……勇利のセクシーな目つき……あんなの誘われてるみたいなものだ……。 ヴィクトルは溜息をついた。勇利を怒らせたくはないけれど、こうなってしまった以上、怒ってもらわなければ不安だ。しかしだからといって、「怒ってくれ」と頼むわけにもいかない。勇利は気にしていないのだ。いや……やはり内心では、何か思うところがあるのだろうか? こころに秘めているだけなのだろうか。ああ、勇利がわからない……。 ヴィクトルは美味しそうにサラダを頬張っている勇利を見て、もう一度溜息をついた。 「どうしたの? 最近ヴィクトルって何かずっと考えこんでるよね」 「なんでもないんだ……」 なんでもないわけがなかった。ヴィクトルはそれから数日、溜息のつきどおしだった。いったいどうすればよいのか……勇利は誤解しているのか、していないのか。しているのなら、なぜにこにこしているのか。ヴィクトルのことをどう思っているのか……。 「はあ……」 ヴィクトルは買い物に来た店の中でりんごを選びながら、憂うつそうな顔で立っていた。 「盛大な溜息ね。ユーリ・カツキが来て、彼と楽しく暮らしてるんだと思ってたのに」 脇から声をかけられてヴィクトルは驚いた。振り返ると、顔見知りの女性記者が笑っていた。 「喧嘩でもしてるの? 記事を書くから話を聞かせてよ」 「そういうのじゃないんだ」 ヴィクトルはかぶりを振った。 「でもあなたに溜息つかせるなんて、かわいい生徒さんしかいないでしょ。あんなにまじめそうな人がロシアの皇帝を振りまわすなんてすごいわね。じつは魔性なのね」 「そうなんだ」 ヴィクトルはもっともだというように大きくうなずいた。 「もう、勇利は本当に悪魔的だよ。天使みたいな顔をしてるけど、悪魔なんだ。でも悪魔っていうのはそういうものなのかもしれないね。見るからに悪いやつじゃ、悪魔とは言えない。知らないうちに完全にめろめろにしてしまうからこそ悪魔的なんだよ。そう……俺はめろめろなんだ……勇利がそばにいないと夜も明けない……。こんなに夢中になってるのに、勇利はといえば、おとなしそうににこにこしてる���けでそれ以上はないんだ。ひどいだろ? でもそれが勇利の魅力なんだ。ああ勇利……俺の天使……」 「落ちこんでたんじゃなかったの?」 彼女はあきれながら、自分のカートにぶどうを取った。 「俺を落ちこませるのもうっとりさせるのも勇利なんだ」 「にこにこしてるだけでそうできるわけね。ヴィクトル、彼とセックスしてないの?」 ヴィクトルはなにげなく向こう側の棚を見た。そしてどきっとした。ヴィクトルの視線を追った彼女が「あら」と声を上げた。そこには、家で待っているはずの勇利がいて、彼はふたりのことを静かな目でみつめていた。 「勇利!」 ヴィクトルが手を上げると、勇利はすぐにほほえんでそばまで来た。 「牛乳がないから一緒に買ってきてって伝えようと思って」 「スマホに連絡をくれればよかったのに」 「はいこれ」 勇利が何かを差し出した。ヴィクトルはきょとんとした。ヴィクトルの携帯電話だった。 「こんにちは」 勇利は記者に挨拶した。彼女も笑顔で挨拶を返し、それから、勇利を熱烈な目でみつめているヴィクトルにくすっと笑った。 「お邪魔みたいだから行くわ。またね、おふたりさん」 勇利はぺこっと日本式にお辞儀をし、ヴィクトルは勇利をじっと見ていた。 「買い物しよ」 勇利が大きな目でヴィクトルを見上げた。ヴィクトルはうなずいた。 「楽しそうに話してたね」 勇利がカートにりんごを足しながら静かに言った。ヴィクトルははっとした。勇利、やっぱり誤解してるのか!? そんなんじゃないぞ! 「勇利、俺は──」 「ヴィクトル、どこ行くつもり? そっちの売り場には買うものはないんだよ。まだ店の構造をおぼえてないみたいだね」 歩きながら勢いこんだヴィクトルに、勇利が可笑しそうに言った。 「こっちだよ牛乳は……」 彼は買い物についての話ばかりをし、ヴィクトルはやきもき、そわそわした。勇利、いま何を考えてるんだ!? 買い物袋をひとつずつ抱え、家に向かうあいだも、勇利は平凡な話しかしなかった。ヴィクトルはよほど自分から言ってやろうかと思った。しかしなんと言えばよいのだ。 「ヴィクトル……」 勇利がゆっくりとヴィクトルを呼んだ。 「なんだい」 「ヴィクトルはぼくから目を離してないんだよね?」 「もちろんだよ。ほかに何を見るっていうんだ?」 「…………」 勇利はヴィクトルをみつめた。ヴィクトルが見返すと、彼はうれしそうににこっと笑って頬を紅潮させた。 「そっか」 「…………」 勇利はにこにこしながら家路をたどった。ヴィクトルは瞬いた。え? 終わり? 終わりなのか? 話はこれで終わり? 勇利、俺に何か言いたいことはないのか!? 「ただいまぁ」 勇利が扉を開けて奥へ顔を向けた。 「マッカチン、帰ったよー」 「勇利!」 突然声を上げたヴィクトルに、勇利はびくっとして振り返った。 「えっ、な、なに?」 「勇利、どうしておまえはそうなんだ!?」 「な、何が?」 「なんで怒らない!」 勇利はぽかんとした。ヴィクトルは荷物を持ったまま、同じように紙袋を抱えたままの勇利に迫った。 「この前から、俺が女性と一緒にいても怒らない! もちろんあんなことに意味なんてない! 彼女たちはごく普通の友人だ! でも勇利はデートだと思ったんじゃないのか!?」 「ヴィクトル、どうして怒ってるの?」 「なぜ俺に何も言わない!」 ヴィクトルはむきになった。 「誤解したなら言うべきじゃないのか!? なんでむしろにこにこしてうれしそうなんだ!? 俺のことなんてどうでもいいのか!? 勇利は激怒すべきだろ!?」 「げ、激怒……?」 「勇利は!」 ヴィクトルは叫んだ。 「『ぼくだけ見ててよ! ぼくだけにして! 絶対にぼくから目を離さないで! しっかりぼくだけ見てて! 約束したじゃない! ぷんぷん!』って言うところだろ!?」 「…………」 「どうして平気そうなんだ? なんでうれしそうにしてる? しあわせそうにしか見えない! なぜなんだ? 俺に言うことはないのか!?」 「…………」 「勇利……」 ぽかんとしていた勇利は、ゆっくりと顔をそらし、口元を右手で覆った。ヴィクトルはじっと彼をみつめた。勇利の頬がほんのりと、りんご色に染まっていった。 「そ、そうだったんだけど……」 彼はぽつんと言った。 「え?」 「そういうことだったんだけど……」 「……何が?」 ヴィクトルはわけがわからず、ふしぎそうに勇利のおもてをのぞきこんだ。勇利はほっぺたをうすあかくして説明した。 「そういうことがあるたび、ヴィクトルに『ぼくより見ていたい?』って訊いたの、そうだったんだけど……」 「……そうって?」 「だから……」 勇利はまっかになった。 「ぼくだけ見ててよ! ぼくだけにして! 絶対にぼくから目を離さないで! しっかりぼくだけ見てて! 約束したじゃない! ぷんぷん!」 「…………」 「……っていう意味だったんだけど……」 沈黙が降りた。ヴィクトルは目をみひらいて勇利をみつめ、勇利は気恥ずかしそうに赤くなってまつげを伏せていた。 「……でも勇利はそれ以上言わなかった」 「だって……ヴィクトルが、ぼくしか眼中にないって……」 勇利は上目遣いでヴィクトルを見た。 「ぼく以外目に入らないって言うから……」 「…………」 「うれしくて……」 ヴィクトルはゆっくりと瞬いた。 「…………」 「…………」 「…………」 「……あの……」 ヴィクトルがいつまで経っても何も言わないからか、勇利は心配そうな表情になった。 「……ちがうの?」 「え……」 「そういうことじゃないの……?」 勇利は不安そうに尋ねた。 「おまえ以外目に入らないっていう意味じゃなかったの……?」 勇利の言うことは完全に正しいのだけれど、ヴィクトルは、自分のたったひとことに勇利がそれほどまでに安心していたと知って、かなりの衝撃を受け、たいへん喜んでいた。だからすぐに言葉が出てこなかった。その態度を勇利は何か勘違いして受け取ったらしい。彼の目つきが鋭くなった。 「……ちがうんだ」 「あっ、いや……」 勇利は上がり口に、静かに荷物を置いた。彼はじろっとヴィクトルをにらむと、腰に手を当てて言った。 「ぼくだけ見ててよ! ぼくだけにして! 絶対にぼくから目を離さないで! しっかりぼくだけ見ててよ! 約束したじゃない!」 ぷんぷん怒りだした勇利に飛び上がり、ヴィクトルは荷物をほうり出すようにして勇利を夢中で抱きしめた。 「勇利だけ見てるよ! もちろんそういうことだよ! おまえしか目に入らないよ!」 「うそ!」 「うそじゃない! うそなんかじゃないぞ!」 ヴィクトルはむきになった。 「勇利以外見てるわけないだろ!? 俺の目は勇利しか認識しないんだぞ!」 「返事にずいぶん時間がかかってたようだけど!」 「おまえがあまりに可憐すぎて、言葉が出てこなかったんだ! 俺の勇利! いつかみたいに色っぽく叱ってくるのもすごくいいけど、ぷんぷん怒るのもかわいいよ!」 「人を怒らせといてなにそのいいぐさ!」 「ごめん! 愛してる!」 ヴィクトルは勇利にキスをした。くちびるを離すと、大きなチョコレート色の瞳が、拗ねたようにヴィクトルをみつめていた。 「愛してる……」 「…………」 「セックスしよう」 「なんでいきなりそういう話になるんだよ!?」 勇利はまたヴィクトルをにらみ、ぷんぷん怒った。 「……勇利、本当に、ぜんぜん怒ってなかったのかい?」 「どうして怒るの? ぼく毎晩ベッドに入ってから、『おまえしか目に入らないだって……』『おまえ以外眼中にないだって……』『もう! ヴィクトルってば!』って浮かれて眠れなかったんだけど」 「…………」 「あ……、余計なこと言っちゃった」 勇利が赤くなって気恥ずかしそうに目をそらした。 「いまのことは一秒で忘れて」 ヴィクトルはまくらにつっぷした。今夜は「『いまのことは一秒で忘れて』だと!?」「まったく俺の勇利はかわいいな!」と浮かれて眠れないことを確信した。
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