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ゆっくりさん
「人口増による昆虫食の奨励か、いっその事今一番食料に向いてるのは人間かもしれないな」
そう呟いたのは、特に深い意味を含んだ物ではなかった、 大���の動物を低品質の餌で育て、過密飼いを行って食料を賄う国に生まれ、それに疑問を感じるわけでもなく―――当然だ、店に並んでいる食材に何の疑問を抱く事がある、国家が国民の為にと元はといえば「良かれと思って」構築されたシステムの延長線上に家畜がスーパーに並んでいる現状はある、国は自身を永らえる為に常に「家畜」を飼わなければならず、その為の物が豚から昆虫に変わっただけの事だ、チキンは野菜だろと嘯きヴィーガンコップにドアを蹴破られて制圧されるヴィーガンプレイヤーが今度からコオロギと言う事になるだろう
慈しむべき理性ある隣人が食べる側より増え続ける事によって無理が出てきている、我々はこのまま自らの偽善によって滅びるのだろうか、などと考えられていたのも、部屋の隅でテレビも見ずにその辺の道草でスィーをデコろうと音楽性の違いをぶつけ合っていたゆっくりれいむとゆっくりまりさのバッググラウンドボイスが聞こえなくなっており、二体がこちらをじっと見ているのに気付くまでだった
白い丸に黒い穴が3つ開いている というのは髪を毟り取られたゆっくりのデフォルメ表現としては適当な物ではあるが、そのゆっくりまりさの目は黒い穴としか見えないほどに光彩が見えず、その目玉はすべての光を飲み込むように何も映していなかった 何も映さない目玉を通してまりさは俺を見ていた。奴は微動だにせず、俺も動かなかった、その目玉は俺をこの場に縫い留めていた 同じ目玉をしたゆっくりれいむの目玉と開かれた口が泡立ち始める、 胴体の円球は不自然に動かぬまま、餡子が泡立ち続け、目玉からは黒い突起が見えた、突起はうねりながら伸び、曲がり、伸び、こちらを「指差した」、指だ、と思った ゆっくりまりさは大口を開け、その黒い舌から何かを喋ろうとしていた、いけない、と思った
「ゆっくりしていってね!」 れいむの両目から自身を引き出そうと蠢いていた『指』が止まった
「ゆっくりしていってね!」 まりさの口腔から顔を引き出した『もう一人』が止まった
『ゆっくりしていってね!』 『もう一人』は俺に続けそう叫び、弾け飛んだ
『指』は不満げに指を立てた後、れいむの中へ消え、それをきっかけとしたようにれいむの目玉には光が戻った
「ゆっくりしていってね」「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」『ゆっくりしていってね!』 俺達はそのまま叫び続けた、失った自分自身を��り戻すようだった、『ゆっくり』を疑ってはならない、昔先輩にそう言われた事がある。ゆっくりを忘れた時彼らはゆっくりではなくなる、幻想を投影したような彼らが自らのアイデンティティを忘れた時、それは―――
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ゆっちゅーばー
「おにいさん、れいむはヴいちゅーばーになるよ!」
そのれいむの渾身のアイデアを聞いたお兄さんは読んでいたペーパーバックから顔を上げてれいむを見た、そしてペーパーバックに顔を戻し、やはりこちらをもう一度見やり、息��吐きながらペーパーバックを机の上に置いた、やばいパターンだとは思ったがれいむのヴいちゅーばーあまあま大作戦の為には邪知暴虐なるお兄さんを打倒せねばならない、これは全ゆっくりに対し避けられぬ闘争であるのだ
「れいむ、vTuberというのは顔出しが何らかの理由、まあポジティブな理由もネガティブな物もあるだろう、それによって顔出しを避けて『皮を被って』ゆっちゅーばー活動を行う者たちの事だ、お前のような根底からフリー素材である潰れたド饅頭には必要のない概念であるしお前の喋りごときで人が集まる訳ないだろうが、調子に乗るなよ下等生物」
れいむはいわれのない誹謗中傷によって三日三晩にも感じられる程に咽び泣いた
撤回を何度も求めてはみたがお前の頭の中があまあま大作戦だよ、へらへらした顔しやがって信用できねえんだよデブなどとさらなる言葉の暴力の嵐が襲い掛かった、ちなみにれいむはお兄さんの厳格な死なない程度に規則正しい食生活を強いられておりBMI数値はそこそこ下の方に優秀だ
5分後、目下34度に達する気温と合わせた砂糖水切れにより動きが鈍くなり始めたゆっくりれいむに与える水の量を計算していたお兄さんは、そう――ゆっくりれいむは水とドッグフードを与えておけば砂糖と餡子を生産するのだ――、段々作り物としての色を増してきたゆっくりれいむの顔を見て唐突に天啓走る、俺自身がゆっくりれいむになれば良いのでは?
「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」
先制のゆっくりしていってねを受ける事により全ての動きをキャンセルしたゆっくりれいむのラブハンドルを素早く掴み取ったお兄さんはゆっくりれいむを自らの頭上へと両手を真っすぐに伸ばし掲げて部屋の天井を見上げ、叫ぶ
「合体!」
両手を畳み、ゆっくりれいむを勢いよく自らの登頂へと―――
「――待つんだぜおにいさん」
スィー、キッ
ゆっくりれいむのあんよさんがお兄さんのモヒカンに両断されるその時、
押し入れに設けられたスィー口からスィーに乗って帰ってきたゆっくりまりさがそれを止めた、れいむの命は風前の灯だ!
「何故止める!まりさ!」
「『おにいさん』が『れいむ』となること、なるほど確かにそれはお兄さんは顔出しせずにれいむの着ぐるみを被ったゆっちゅーばーだぜ」
まりさはれいむのデッドオアアライブなど気にしていないように唄い始める
「だがおにいさん、おにいさんがれいむを被ってもそれはれいむのデスマスクだぜ、vTuberの画面の向こうに��アルタイムで表情を変える『彼女』が居るという体験には程遠いんだぜ、おにいさん」
モヒカンがれいむのあんよさんに食い込む
「クッ・・・、薄々分かってはいた、いくら俺がれいむを被ろうともそれは有機的な融合ではなくただのれいむの剥製を被ったいいとこ『馬男』だと・・・、外から表情を直接変えるリンダキューブ方式は規約違反になるとも・・・!」
「いいとこ融合じゃなく消化になるんだぜ」「紙面のカラー的にダメだよ!」
「そうか・・、俺は、ゆっちゅーばーにはなれないんだな・・」
そうお兄さんは呟き、モヒカンを避けて逆凹の形となっていたゆっくりれいむを床に転がした、闘争は終わったのだ。
いつの間にかれいむの希望がお兄さんの希望にすり替わり、思惟の合一が強く図られている事態に完全なる融合、ゆっくりにんげんが生まれる可能性があった事を『常識的にあり得ない』という事にして言葉には出さず、ゆっくりまりさは全てを区切る口笛を吹いた。
「まったく、れいむとおにいさんは世話が焼けるんだぜ」
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