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7月日曜日
前日の夜に、クララさんから明日昼飲みするから、一緒にどうですか?というお誘いをもらった。魅力的なお誘いに二つ返事で行くと答える。最近の体調不良からやっと調子を少し取り戻したところだったので、タイミングも良かった。
久しぶりにお化粧をし、会社には着ていかない服を着る。完全なるいつもの自分の姿に心は軽く、少し浮かれた。オフィスカジュアルって何であんなに着ていてつらくなるのだろう。服装が持つ力の大きさを、今の生活になってから実感した。
バスに乗って、座席に座り顔を上げると、お相撲さんが目の前に立っていることに気が付く。黒く艶やかな髪が美しく結い上げられていた。
待ち合わせ場所に着き、詩人のあおいさんとは、2度目まして。でもほとんど初対面。えんがわさんやKちゃんとははじめましての挨拶をする。クララさんのるるるるん日記にも書かれていたが、本当に3秒くらいで打ち解けた。
前を歩くあおいさんの服装が素敵で気になる。出会ってすぐは、照れてしまい写真を撮らせて欲しいと言いたかったが言えず、一度諦めるも、後で勇気を出して写真を撮らせてもらった。ワンピースの柄は和柄で、ペディキュアの色味や下駄やかごバッグが涼やか。よく似合ってらした。
網焼きのお店で、海鮮を焼く。大きなホタテやハマグリが、ドンと桶に入ってやってきた。景気の良い見た目に沸き立つ。文芸という共通項の繋がりだけれど、本や文章の話よりも生活の話をしていた気がする。
焼いて話して食べて焼いて飲んで、話して。火から立ち昇る熱気に、頬が火照った。
流れるように続く楽しいだけの時間。
網焼きのお店を出てKちゃんとは別れ、他の4人でコメダ珈琲の和喫茶、おかげ庵へと行く。メニューにはきし麺、団子、抹茶味の甘味や飲み物、それに雑炊までもあった。
ついさっきまで散々焼いていたのに、ここでもわたしは網焼きをする団子を選んだ。それに飲み物も温かいモーニング。モーニングという飲み物を初めて見た。飲んでみるとミルクコーヒーと似ていた。
お腹が満たされ眠気に翻弄さるクララさんを横目に、お喋りを続ける。
熱いコーヒーに熱い団子。
熱い網焼き。
外は猛暑。
夏休みのような浮かれた気分。
おやつの時間を終え、えんがわさんとあおいさん、わたしとクララさんで分かれて解散。
クララさんと二人で丸善へ行き、文芸コーナーをうろうろする。気になっていた本が発売されていたことに気が付いた。普段は新刊のハードカバーは滅多に買わない。けれど、少し悩んだが思い切って買うことにした。きっとこの本を開くたびに、今日の楽しかった時間を思い出すと思う。その度にふふ、と少し笑ってしまいそう。あまりにも楽しかったから。
無印良品にも寄る。観葉植物のコーナーに置かれた植物は、見たことのないものばかりだった。しばらく植物観察をする。涼しくなったら、東山動植物園へ行きたいな。
今日は屋外を歩いている間、ずっとクララさんが日傘に入れてくれた。以前ご飯を食べに行った時や、バーに連れて行ったくれた時にも世話を焼いてくれたことを思いだした。一緒にいるときはいつも、さりげなく世話を焼いてくれる。ありがたく優しさに甘える。
翌日のるるるるん日記を読んだらようこちゃんと書かれていた。ようこさんからの、マイナーチェンジ。嬉しい。温かで満たされた気持ちと共に、ベッドに潜り込んだ。
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7月月曜日
寝る前にタバコが吸いたくて、一本分の距離だけ散歩をすることにした。友人Tと話したくなったので、タバコに火をつけながら電話をかける。
最近どう?ぼちぼちやなぁ。そっちは?色々あったけど、なんとかやってる。あんたはいつも本当によくやってるよ。偉い。お互いね。
彼女と少し話しただけで、自分は素晴らしい人間なのに、今いる場所でそれを発揮できなくて残念だ、という気持ちになった。話し相手をそんなふうな気持ちにする、彼女こそ素晴らしい人間だ。
しばらく話していると、Tは飲み会を抜けて電話に出てくれたことを知った。よう子元気ないでしょ?楽しみにしていた集まりの最中なのに、自分に時間を割いてくれたことを知り、ますます彼女のことが好きになった。
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7月日曜日
目が覚めたら人との約束の時間を悠に超えていた。一瞬で青ざめる。こんなことしたことがない。謝りの連絡を入れた後も、自責の念が酷くて自分の行いを省み、反省し続けた。
自分はなんて最低なやつなんだとぐるぐると考える中で、もしかしたらわたしのこの自分を責める習性が、メンタルヘルス悪化の要因の��つなのではないかと思い至った。反省したし、謝ったし、これ以上できることはない。何かできるとすれば、次回会ったときに再度謝るくらいだ。
明日から仕事だと思うと更に抑うつ感が高まり、動けないまま午後を過ごす。洗濯だけはして、ベッドの上に転がっていたが、このままでは本当に一日が終わってしまうと思い、大型商業施設にパソコンを持って出かけた。細々とした必要なものを買い、夜になり人がまばらなカフェで勉強を始める。パソコンを開くと、開けたままにしていたブラウザが表示された。続きを眺めていると、少し気持ちが軽くなっていることに気がついた。
気分の波はほんの些細なことでアップダウンする。煩わしくて仕方がない。ロボットのようにプログラムされた通りに、疑問やためらいを挟むことなく動けたらいいのに、と今まで何度も思った。実際そうなったらつまらないのかな。でもつまらなさを感じることもないだろう。
家に帰り、何となくルームメイトに転職活動の相談をする。会話の中で新しい選択肢が増え、一瞬前向きな気持ちになる。自室に戻り1人になったところで、抑うつ感が増した。
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7月火曜日
調子が悪いから、久しぶりに心療内科行った。初診なのでどんな先生が出てくるのか分からず、少し不安だった。いざ会ってみると、今まで会った事ないタイプの先生だった。お金払って来てもらうんだったら、話聞くだけでなく本当に調子が良くなるためにできることをしよう、みたいなこと言ってはって泣けて来た。
病院を出て、カフェでサンドウィッチと一緒にカプチーノをぐいぐいと飲む。帰りがけに写真の現像をすることを忘れていたことに気がついて、ビックカメラに行きフィルムを現像に出した。
家に着き、少し休憩したら転職エージェントととの面談に向けて準備をした。物が散乱していた机の上を片付け、集中できる準備を整える。約束の時間の少し前にはパソコン前で待機し、面談のスタートを待つ。
感じのいい方だなあと思いながら面談を受ける。必要情報から、わたし自身への寄り添いまでしてくれて、ありがた過ぎる面談だった。
話をしている中で、何度か涙が出た。担当者によって、今まで否定してきた自分が肯定された。苦しかった時間が報われた気がした。自分は無能ではないのかもしれないと、そう思えた。
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7月木曜日
カレー屋だと思っていた店に行くと、沖縄とネパール料理の店だった。組み合わせがわからないが、まあいっかと思って入る。メニューにお好み焼きがあったから頼んだ。ネパール料理でも沖縄料理でもない。この前から食べたかってん、お好み焼き。
カウンター席に座った。目の前の鉄板で、海外出身だと思われるスタッフが慣れた手つきでお好み焼きやだし巻き卵、チャンプルーを作っていく。全く迷いのない見事な手さばきが美しくて見惚れた。あんな風に自由にヘラや鉄板を使って料理ができたら、気持ちがいいだろうなあと思う。
お好み焼きにはベーコンが入っていた。沖縄、と言うか西洋文化と関西文化のマリアージュ?美味しかった。
帰宅し、風呂に入ってストレッチをしていたら、日本に住んだ経験のあるアメリカ人の友人からスケバンって知ってるか、というチャットが来た。知ってるで。ここでは有名な文化だよ。と気楽に返すと、独立し、権力に抗う女性像は肯定するが、その思想から男性が言うことは何でも女性をコントロールすことを意図している、といった考えに辿り着くのは良くないと思うんだ、という言葉から始まり、彼の目に映る現在のアメリカ社会についてチャットが来た。こんな繊細なトピックに関する英語能力は持っていないと思い怖気付くが、逃げたく無い話題でもあった。むしろ仲の良い友人とは話したい。お互いの考えてることを知りたい。
ざっくりと英語で自分の考えを書いた後、グーグル翻訳とかChatGPTを使って推敲する。お互いのことをbff/best friends foreverと呼び合う彼と、拙い英語が原因で仲がこじれなければいいな、と少し不安になりながら、でも彼とこの手の話ができるのはなんて喜ばしいことなんだ!と思いながら、テキストを送り合った。
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7月水曜日
少し前からメンタルヘルスの調子が酷く悪かった。何も考えられない。何もできない。1週間近くベッドの上にただ横たわってスマートフォンを見続けた。具合が悪いと、SNSを眺め、電子コミックを読み続けることしかできない。何も求めない時間。
悲しいほどの時間の浪費。
色々としたいことはあるけれど、何にも興味が持てなかった。時間が過ぎていくことを待つしかできない。いや、待ってもいない。ただそこに「ある」ことしかできない。
仕事は休んだ。行けなかった。ご飯も大して食べなかった。食べ物を獲得する気力が湧かなかった。家にあったバナナを食べ、カップ麺を食べ。少しあったお菓子を食べた。それでおしまい。
動かず、食べもしなければ、気力が無くなっていくことは明らかだ。しかし、分かっていても気持ちが向かない。
精神的な具合が悪い時は、やる気や意志を能動的に獲得することが難しい。本当にそこにあることしかできない。面倒だけどやるしかない。だから行動する、というのはわたしの精神状態が悪くない時にできること。選択肢として具合が悪い時は持ち得ないのだ。
朝、会社に欠勤の連絡を入れ、また眠った。夢を見た。現実には存在しない、夢の中の親しい友人の父親が妊娠し、臨月を迎え、いつ子供が産まれてもおかしくないという状況だった。なぜかわたしは彼に寄り添い、混沌とした周囲の状況��ら彼を守っていた。不意に自分の足を見ると、よく日に焼けていてゾッとした。なるべく肌を焼かないようにしていたのに、なんで。でも仕方がないか、と無理やり思い込もうとした時点で目が覚めた。
男性も妊娠する世界は現実ではない、ということに驚き、そして少し打ちのめされた。望む人が望む通りに生殖行為を行えないのが現実だ。
熱中症になることが怖くて、豆腐とか果物を食べて水分を取る。電子書籍の漫画を読み、役所に確認したいことがあったので、電話をかけた。4回かけたが、話し中で自動的に電話は切られた。少し時間をあけてかけ直したら繋がった。担当者が確認作業をしているとき、スマートフォンのスピーカーから保留音が流れる。
何年も前にAppleのカスタマーセンターへ電話をかけた時に、しばらく話した後担当者が少々お待ちください、と保留音を流した。そしてその音楽はポップスだった。今まで聞いたことのないタイプの保留音に驚いた。日本では大概クラシック調の音楽が流れることが多い、というかそれしか聴いたことが無かった。こんなささいなところにまで、わたしたちの文化や規範の違いは現れる。
保留音でさえ、規範がある。社会とは規範の塊だ。和を乱さないって、つまりは規範から逸脱しないということ。じゃあその規範の見直しはしなくていいの?時間は流れ、時代が形成され、どうしたって人は変わっていくのに、規範だけ取り残されて、それに従う人もまたその時点に留まり続けることになる。それって変わることが面倒だからだよね。変化を起こしたり、その変化に合わせていくことはとても疲れることだから。でもその規範で苦しむ人がいるよ?それなら変えてしまう以外の選択肢はないんじゃない?
会社員になってから、規範が一つの生活のテーマのようだ。知人が会社には規範しかない、と言っていて同意だった。業務内容も、人間関係も規範に従わなければ、面倒でおかしな人間だというラベリングがなされる。でもその守っている規範のどれほどが、本当に業務を円滑に行う上で必要なんだろう。
クラシック調の保留音を聴いている途中、メンタルヘルスの調子が突然良くなったことに気がついた。思考がクリアになる。わたしはわたしの望むことができる。
ご飯を食べよう。1週間分の固まった体をほぐすために散歩をしよう。何とかなるさ。大丈夫。
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7月晴れ 友人の家に遊びに行く約束をしていた。その友人の家の近所まで行き、連絡をすると約束の日にちを間違えていたことがわかった。うっかりにも程があった。
優しいMさんは今から来ても良いと言ってくれたので、遊びに行くことにした。仕事のことで落ち込んでいるから、自分のことを受け止めて��れる人と同じ時間を過ごせることがありがたい。話しながら少しずつ気持ちを落ち着けていった。
Mさんが、モデルのミチさんは彼女のテーマとして「期待しない」「気にしない」「私は悪くない」だ、と話していたことを教えてくれた。落ち込む心に沁みた。これからの人生この三本柱でいこう。どうせほっといても自分はミスやミスとも言えないことですら反省するのだから、これくらいのテンションでいることがちょうど良さそうだ。
ご飯を食べさせてもらい、22時半ごろまでダラダラと過ごして帰る。家の外に出ると嫌になるような暑さだった。名古屋の夜の暑さは今まで経験した暑さと違う。湿気を含んだ熱い空気の塊が体に押し寄せ、全身に張り付いて行くかのような熱気だ。
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珍しく明け方に何度か目が覚めた。
ふわりと意識を感じ、うっすら目を開けると、カーテンの隙間から入った朝日が、ぼんやりと部屋を照らしていた。白い壁がうっすらと光に反射する仄暗い部屋は、夢と現実の狭間のような儚さがあった。
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6月金曜日
会社でミスをしたことで自己嫌悪を抱えたまま退勤した。
消化不良の気持ちを持て余したまま、顔馴染みの店員さんがいるコーヒーショップへ行くことにする。カウンター席に座ってコーヒーを飲みながら、店員さんと話したり本を読んだり。
朝から降り続いていた土砂降りの雨は、会社を出る頃には降ったり止んだりを繰り返していた。お店の軒下にあるベンチに座り、街頭や車のライトに照らされた雨粒の筋を眺めながらタバコを一本吸った。久しぶりに吸ったバニラの香りがするタバコは美味しかった。煙も火も予測できないリズムでゆらゆらと揺れていて、それをただ眺めていると気分が落ち着いた。
帰りしなに、店員さんの知り合いが店に来て挨拶をした。その時、彼女がわたしを友達だと紹介していた。わたしたち友達だよね、と確かめ合うことはなかなか起こり得ないし、したいとも思わない。だけど友達だと紹介されたことは、なんだかとても嬉しかった。彼女とわたしの間にある境界線の種類が変わったような気がした。会社で沸き起こったネガティブな気持ちは随分と軽くなり、ウキウキした気持ちで歩いて帰った。雨によって冷やされた空気が、顔に当たって気持ちよかった。
帰宅して、帰り道の途中にあるコンビニで買った晩��飯を共有ルームのダイニングテーブルで食べていると、疲れ切った顔のルームメイトが斜め向かいに座った。今帰って来たんですか。長い一日だったんですね、お疲れ様です。お互い疲れた顔をしていますね。とポツポツと話す。本当に疲れていた。同じ家で生活を共にしていると、食事の内容で疲労度や切羽詰まり度、反対にゆとりがある時などが、自然とわかってくる。わたしもルームメイトもコンビニご飯。2人とも疲れていた。
しばらくすると翌日までもうすぐ、という時間に別のルームメイトが帰ってきた。緩慢な動きと、表情でわかる。疲れている。
お帰りなさい、まあこっちのテーブルへ来てください。今ここは疲れている人間用のスペースです。とかなんとか言って呼び寄せる。やはり彼女もまた長い1日を過ごしたようだった。
今週はどうでしたか。仕事忙しいんですか。え、明日朝から遠出するんです?めっちゃ元気だ。早く立ち上がって寝る準備をすればいいのに、腰が重くて立てない。みんなの表情が眠気に支配されていく。それでも立てない。日付が変わった頃、なんとか立ち上がり3人が連れ立って洗面所へ歯を磨きに行く。歯を磨く合間にもあれこれ話す。みんな洗面所での用事が同じくらいのタイミングで終わり、ゾロゾロと各自の部屋へと帰っていった。
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6月土曜日
電車に乗って岐阜に行った。岐阜県立美術館では滋賀出身のアーティストを扱った「ビロンギングー新しい居場所と手にしたものー」と言う展示を見た。横山奈美さんのネオンシリーズが目当てだったけれど、今日は女の子のシリーズ『Remembering Someone in the Distance』や『forever』に惹かれた。絵や彫像を見ているのに、ここではない、時間も場所も不確かで、だけど遠いことだけはわかるどこかに意識がいくような作品だった。
他には新たなテクノロジーや、古くからある手法を組み合わせてアートを実現させている作品や、難民キャンプで生きる女性達と共に立つ、メッセージ性の強いもの。一つのキャンパスの中で、ドリッピングやスパッタリングという現代的な描画技法と、写実的だったり日本画の要素などの組み合わさった作品など。どれもエネルギーを使って真剣に見たくなる作品だった。
特別展の会場を出て常設展に向かうと、入り口で1人の高校生がスタッフに身分証明証はありますか、と尋ねられていた。彼はその問いに少し緊張した面持ちで、「はい」と答え、お財布から学生証を取り出し、ぎこちなくも期待に満ちた表情で差し出して会場へ入って行った。その横顔や、出立ちはキラキラと輝いていた。土曜の夕方に、1人で美術館へ行く、高校生。まぶしかった。彼がこれから何を吸収し、そしてどのような道を選んでいくのか、少しだけ見てみたいと思ってしまった。
美術館を出た後は、バスに乗って本屋メガフォンへ行き、ほに『このゆるい歯茎は私のせいじゃない』を購入し、帰りの電車で読んだ。ずっと気になっていたZINE。読み始めてすぐに引き込まれた。苦しくて苦しくて、だけど幸福な日もあって、切実な言葉が詰め込まれていた。
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