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noteskty · 4 years ago
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清野とツェラン
20/07/14 仲の良くしてる人がある写真集を見せてくれたことがあった。清野賀子の『至るところで 心を集めよ 立っていよ』という写真集だった。最初に表紙とタイトルをみたときに、なんだかなつかしいな、という感じがした。巻末の文章を読んだ時も、そんな感じがした。その時はなぜだか気づかなかったし、考えることもしなかった。ただ、文学とか哲学読んでる人ってこういう文章書くよね、とか思った。そしてこの写真家は自殺してしまった、という話も聞いた。その時も、まあ、いるよね、だからといってこの写真集の価値は変わらないけどねえ、とか思った。 それから少しして、なんとなくその写真集のことを思い出した。なんだかなつかしくて、もっとよく知りたい、と思った。それで覚えてもいなかった写真家の名前をもう一度聞き出して、調べてみたら、印象的なタイトルはパウル・ツェランの詩から引いたものだということがすぐわかった。そのときにハッとした。この感じはたしかにツェランだ、と思った。そういえば、ツェランの詩論、もっと言えば文学や詩に、���が支えられていた時が自分にもあったな、ということを思い出した。大学に行ってい��頃もやめた後も、ずっと図書館にいて、心がくじけそうになった時は文学コーナーに行って、美しい装丁の本を借りて、静かな場所でゆっくり読んだ。そうすると(たとえ1,2頁だけでも)心がすーっと晴れていくのを感じた。たいていその時読んでいたのは、特に何の希望もない、むしろペソアやシオランのように、絶望という言葉が似あうようなものばかりだった。けれども、そうすることでいつもまた前を見ることができた。 もしかしたら清野の写真集もそういうものなんじゃないか、となんとなく思った。なので巻末の文章もよく読みたい、と思った。だいたい自分が真面目に作品や文章を読もうとするときは、そういう直感、思い込みからはじまり、それがいかに証明できるかという不純な動機からはじまるときだ、と思った。もちろんそれはただの思い込みなのではずれる時もよくあるけれども、そういう時は他のなにかが見つかったりするので、それはそれで楽しかった。 * 清野の場合は、やはりツェランからの影響、共通点が強く感じられた。彼女は巻末の文章で、「写真の意味があるとすれば、『通路』みたいなものを作ることができた時」だ、と書いている。「『希望』を消費するだけの写真は成立しない。細い通路を見出して行く作業」、とも言っている。ここはツェランが語る詩の可能性と通じている、というより、清野はツェランの詩論=詩作の可能性を、写真を撮ることの中に見出している。まず、清野の言う「『通路』みたいなもの」とは何だろうか。言葉の通り、路ではある、けれどもただの路ではない。とおりみちである。つまり、通路は、途上にある何かを目指すものである。それでは、その途上にあるべきものとは何か。 清野の言葉を借りればそれは希望だろう。彼女は、『希望』ではなく、『通路』を見出していくことに写真の意味を見出している。しかし、その通路がつうじていると想定されるべきものはやはり希望だ。その希望は、用意された、消費されるだけの『希望』ではなく、通路の先に各人が見出すべき希望である。それは想像以上に細い通路だろう、しかも本当に希望につながっているのかも定かではない暗い通路。彼女は、そのような細い通路を作ることに写真の意味がある、ということを言っている。とすれば、この写真集は、彼女がそうした通路を作ろうとした後に残ったものであると考えて間違いないだろう。彼女は通路の先に希望を見出すことはできたのだろうか。そして彼女自身の希望は一体なんだったのだろうか。それがなにかはやはりわからない。しかし、ツェランは少しのヒントを与えてくれるように感じる。 20/07/16 佐々木中の『晰子の君の諸問題』という小説の中に、劇中劇ならぬ劇中論文が登場する。これはツェランの詩論における君(du)についての試論だが、この中��ツェランは、本質的に詩もまた、途上にある何かを目指すものだという。詩は、「いつも期待に満ちてはいないけれども、いつの日かどこかの岸辺に流れつく」投壜通信のようなものだと。ここでいう投壜通信は、船が沈没していき、絶対的な死が迫るギリギリの状況で、ほんの少しのわずかな可能性にかけて壜に手紙を詰めて海に投げいれるという行為のことだ。もちろん、実際にこれが無事に届くということはほとんどありえない。しかし、海に消えていく彼らに一体他のなにができただろうか。投壜通信はこうした、他にどうすることもできない極限の状況の中で、最後に残った言葉から生まれたものであり、詩はそのようなものだと、ツェランは言う。このような詩が歩む路の先にあるもの、つまり、希望はなにか、それは「語りかけることができる『君(du)』、語りかけることができる現実」だ、とツェランは言う。 これで清野の写真集の「なつかしい感じ」の理由がわかった、と思った。あれは手紙だったのだ、と思った。それも、結果的に投壜通信でもあった。だからこそ彼女の写真集はとても私的である。 たぶんつづく
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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noteskty · 8 years ago
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160926-02_week2
月曜は学校でレジストレーションの手続きと内覧と大容量の写真の整理と送信。火曜は午前library tour。昼に学生証の受け取りに再度学校へ。夕方にalternative studioの授業に途中から参加。テーマはsurrender/resistance。先生のシンギュラリティに関する発表の後、学生の発表開始(初回なのに)。主旨がイマイチつかめず。教室内には多数のプロジェクターでsurrender/resistance的な画像が映写され、異様な雰囲気が漂っていた。水曜は朝からスタジオのイントロ。ブリュッセル校の交換留学生のためのスタジオはアーバンスケールのものが多く、とりあえず第2志望でcollective infrastructureというテーマのスタジオに決定。どうやらETHのスタジオバーゼルで行われているような都市リサーチ的な課題+設計をするよう。昼に急遽Building Technologyの授業。三人一組のチームを組んで、その中から過去に設計した作品をひとつ選んでその構造や動線、熱環境や排気等、実現可能なレベルにまで高めて再設計するというもの。木曜に作品の選定。ヘテロトピアをやることになった。金曜、スタジオやBTの準備。土曜、ついに携帯とSIMカードを手に入れる。WikoのSunny、59EuroとLycaMobileのプリペイド、10Euro。ついでにヴィクトル・オルタの漫画博物館、百貨店の改装らしい。夜、Amazonで電源とCPUクーラーとコード類購入。
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noteskty · 8 years ago
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160919-25_week1
ブリュッセル到着1週目。木曜ののLUCAのイントロダクションセッションまでは部屋や携帯をさがして北駅周辺を徘徊する。木曜夜、バスでロンドンへ向かう。途中、バスごと船に乗りドーバー海峡を渡る。早朝、russel squareのbrunswickのピロティ部分に増築?された島崎さんのcurzon theatreへ向かうが閉館。その後AAスクールへ。ブックショップでメランコリー購入。優秀作の展示もみる。shadow architectureがあったがこれは不在のメタファーとしてのshadowっぽかった。それからジョンソーンミュージアム、そしてt-saの講評会を見学した後木内さんと合流し、夜はmusselとchicken。土曜はcaruso st johnのnewsport street galarieとtate modernへ。moodの翻訳の話を少し。厳密化しなければいけない。Sを見送り、ヴィクトリア駅周辺をブラブラして最後にfish&chips。夜、バスでブリュッセルへ。
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noteskty · 8 years ago
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160917_day12
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noteskty · 8 years ago
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160916_day11
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noteskty · 8 years ago
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160915_day10
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noteskty · 8 years ago
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160914_day9
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noteskty · 8 years ago
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160913_day8
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noteskty · 8 years ago
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160912_day7
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noteskty · 8 years ago
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160911_day6
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noteskty · 8 years ago
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160910_day5
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