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歩いて行くと
大きな岩
そこから生えた木々
巨木と鳥居
そして
取水のために
コンクリートが介入された
川
工事のあと、大きく崩れた跡もある
--
山の奥に入ると
落ち葉だらけだった
宝の山にしか見えないね
そう言いながら奥へゆく
水神さまのところまでくると
心が落ち着き
重心が上がっていたことに氣付く
鳥居の中へは入らない
巨木の根本には
重い空氣が漂っている
水神さまは女の神様だから
男の人しか行っちゃだめだよ
若しくは
行ってもいいけれど
けがれ(生理)でないときに
と太夫のおじいちゃんから
言われている
歓迎を感じない なら
入っていいのは
その手間まで
鳥居の前の少し若そうな木に
手を当てて
何て言っているか感じてみる
親しみ 愛情 友 喜び …
ともに暮らすねこの風ちゃんのような
明るくて身軽な陽氣さを感じていたら
パートナーもおなじようなことを
言っていた
---この子はまだ若くて
ここに根をはったばかりで
ここも人も好きだよって言ってるね---
彼は鳥居の中に入って
御神体となる巨木に手をあてる
なかよしになった若い木と一緒に
それをみまもっていた
「すべてのものに命があることを
忘れないで」
人が植えた植林の杉
堰き止められた川
昔からここにいる存在たち
--- 植林を切るとしても
その木にもすでに意志が宿ること
いのちあるものだということを
忘れずにすごして ---
彼が鳥居から出てくると
場がすこし明るくなっていた
古くからある木や祠が
怖いと感じることがあるのは
そこを見守り 赦し
塞がれ 唯ならぬ場の想いが
滞っているからかもしれない
力ある神様がいる
きっとここ一体をなくしてしまうことなんて
何でもないことなんだけれど
それでも見護ってくれている…
お隣の太夫をしているおじいちゃんが
神さまたちにいつもいつも
手を合わす姿が思い出される
少なからず人を許し
愛おしみ
怒りながらも微かにまだ
信じてくれている
人も自然
植物とおなじように
わた��たちにも意志があり
ことばを持ち
うごくことのできる
身体をもらった
昔昔から
見護ってくれている存在たちに
わたしができること …
赦しをこうてもきりはなく
思いの丈を捧げていこうと
真ん中が見えました
.✴︎
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雨上がり
山の中へ入る
細い山道に続くのは
杉、杉、杉
足下には降り積もった干葉
これが広葉樹だったらと想像する
一方で それでもここを
護ってくれている存在たち
かたい意志のもと佇む岩
道なき道を歩いて行くと
心身が潤い
概念がかるくなる
いい悪いも意図も減って
ただ全てがここに在る
それだけになっていく
先を歩くパートナーは
柏手を打ちながら
独自の即興民謡をうたい続けている
可笑しいけれど
場がよろこんでいるのが分かる
ぱんぱんと手をうてば
氣がととのい
揺れるこぶしは振動となり
固まりはじめた場をゆるめてくれる
ひとと神さまはこんなふうにして
となりあっていたのかな
手を離せば真っ逆さまな
急斜面を抜けて さらに奥へ
水神さまの場所に近づくほど
雑木がふえていく
大きな岩 流れる水
息を深めて手を合わす
すべての鼓動が呼応して
共に揺れ続けている
元来た道を辿るとき
夕映えした若木の葉が煌めいて
ありがとうと聴こえた
.
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朝、畑帰りの洋明くんから
贈りもの と渡された
うこんの枯れ葉
うこんは去年、
焚き火に焚べると
とてもいい香りがして
何かに出来ないかなと
度々考えていた
先日、
撮影のお手伝いに行ったとき
尊敬する方がお料理に使った
ローズマリーの残りの枝を
そのままコンロでぱちぱちと焼いて
フライパンにぽんと乗せ
「お香…!」と見せてくださって
あまりにもかろやかな
倖せと驚きが弾け出て
感動してしまった
手をくわえてもいいけれど
このままでもいいことに
ふわりとよろこびがあふれ出て
部屋に飾ってある
干し花や木木の葉も
これまでそのまま土に還していたけれど
焚いてみたらたのしいかもしれない
雑貨と習慣が
何気なく日常に溶けたとき
暮らしのなかで
愉しみと循環が生まれるようで
うれしいな
.
.
✴︎𓈒
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まり、帰ってきてくれた…!
右足に怪我をしていたので
どこかの罠に引っかかっていたのかな…
うれしくて抱きしめて
すぐにお魚とお野菜を
ことこと煮込んであげました ☺︎
土曜日の一日仕事を終えて、
暗い山道を帰っていると
玄関で待つまりの姿がうかび
今日はまりが帰ってる氣がするねえと、
二人で話してた矢先のことでした
ふうちゃんも顔をしかめながら
おかえりなさい
彼等がいることで
買ってきたお魚も
用意したお布団も、
意味をなしている
生かされているなあ
ありがとう
.
.
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まりがいなくなってしまった
いつもなら遠くへ出かけても
朝すこししたら帰ってくる
どんなに遅く帰宅しても
夜にはかならず家にいるのに、
いつまで経っても帰らない
人に聞いたり山や街方面も
探してみたけれど見つからない
玄関を出たとき
畑に向かうとき
柚子畑まで軽トラで走って、
お風呂を炊いて、
布団に入った障子の向こうにも
いつもそばにまりがいて
当たり前に聞こえていた
生活の音がひとつ止んでいることに
何度もはっとしてしまう
山から聞こえる
動物の短い鳴き声に、
一瞬 胸がきゅっとなる
薪を焚べてお風呂を炊く
いつもなら後ろにいるのにな
庭に残った焚き火を目にして
ふっとなみだが出てきた
ここ三日なんだかんだ
戻ってくるとどこかで信じてた
熾の燈がふいに
心をゆるめてしまう
知らずのうちに
ほんとはとてもさみしくて
気付かないうちに
悲しかった
昔のひとだったら
もっと感じる力があったんだろなと
目を凝らして耳を澄ますばかり
まりが表にいなくなって
ふうちゃんがのびのび
庭で遊ぶようになった
焚き火のそばにも駆け寄ってくる
ごめんね
どうかまりが無事でいて、
平穏な時間を過ごしていますように
いつでも待ってるよ
帰ってこられなくっても
どうか無事でいてくれますように
まだしばらく探してみます
祈りを込めて.
・✴︎・
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感情がうごくので
ゆっくり話してみる
* ◌
いつもあなたに話しかけてるよ
わたしはあなたのもとで
あなたのために
あなたがいるゆえに
わたしがいる
わたしはそんなかんたんに
消えないよ
あなたのこと
どんなにすきかわかる?
あなたのことが
とてつもなくたいせつ
いつでも これまでだって
ずっと見てきたの
この宇宙でいちばんたいせつ…!
すべてのはじまりは
わたしとあなた
この世界がひろがるのは
わたしとあなたのすれ違いでもある
たのしんで
あなたがいるゆえに私がいる
生まれてくれてありがとう
こんかいの この身体はどう?
かんたんじゃないね
でもたのしんでくれてうれしい
わたしと��つながりを
もっと強く信頼して大丈夫だよ
あなたのこと 大丈夫
あいしてるから
◌ ° *
心の深い場所と繋がる
天頂から降りる心の声
✎𓂃
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旅にでる
突然のこと
満ち満ちた月の光にさそわれて
泉からぽこぽこ
水が湧くように
気持ちのままに動き出す
ひとつの目的地と
ほかは決めずに
四国を出て 橋を渡る
空が 雲が 樹木が
ちがう ...!
車窓からの景色にあわせて
世界がさらさら広がっていく
陽射しが 季節が 空気 水が
とりまく世界を包んでいる
それでもいつもと おなじ月を
見上げている不思議
手づくりのちいさな幼稚園
集いのある場所に泊めてもらう
言葉や肌よりもっと奥で
安心した血の繋がりを感じるような
あたたかな場所だった
目が覚めて
朝焼けを見に行く
広がる空 真っ直ぐ続く道
少し遠くを 山々が囲む
朝ごはん前
山羊たちとともに
猛ダッシュする 後ろ姿
道ゆく自転車の青年たちが
挨拶してくれる
こころひらけた
秋が広がり
優しい心とつながる世界
背中に羽があったらすこし
あたらしい風を受けて
お気に入りの羽ばたき方を
見つけにいくような
はなれたいまも あの場所が
季節とともに すくすく育ち
たわわに実りゆくじかんとともに
しあわせでありますように.
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最近じぶんの
作るものがすき
こう在りたい の輪郭が
前よりすこし
はっきりしたからかもしれない
だれかになりたくて
すてきだと思うものが
たくさんあって
そのたびにもう
足りきっているような
余白のなさを感じていたけれど
すき
こんなわたしで
なんとなく定まっていく
腑に落ちるような
心地いい落とし所に出逢う
表現として手をうごかす
いいもわるいもなく
ただ表現であるという
安心のなかにある
日日 感性 うつろい 祈り
芸術、制作とよばれるものたちは
心の内のなんて大切な部分を
担っているのだろう
違う から 出逢う ことができて
心の余白を広げていく
椅子に座って体操座りする
裏口から帰ってきたねこが
わたしの膝の中に飛びこむ
毛並みについた
雨粒と腐葉土の匂い
静かにただ手を動かして
心地よくくたびれて
今日もぐっすり眠ろう
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貉 ムジナ
あなぐまに逢いたい…!
山に住むひとから
あなぐまもきっとそばに
住んでるよと聴いてから
いつか逢えるととても
たのしみにしていたひと
昨日の夜
ねこが裏口で威嚇の声をあげて
大急ぎで帰ってきた
犬もかけつけ
吠えてなにかとよろこんでいる
見たこともない
黒いふわふわの背中が見えて
前からのぞくと
伸びた鼻に白い線のはいった
穴熊さんだった
迷い込んだ場所に
思いがけず動物たちがいて
とても参ってたので
犬を諭してそっとしておく
次の日の朝には
ちゃんといなくなっていた
いまごろおうちの穴の中で
安心して眠っていますように
あなたにもわたしにも
ここがしずかな優しい世界で
ありますように
(でもほんのときどきでいいから
またあいたいな … )
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瞬き
ふと思いついたことがあって
叶うととてもすてきなじかん
でも憧れのかたに
お願いごとをしなきゃいけなかった
ほんとうに ふと
思い浮かんだことだったから
よぎったとなりを いつものように
ふわ〜 と通り過ぎていたけれど
∙︎˚✴︎∙︎
受けとる ⇒ うごく
毎瞬 ちょうどぴったりのときに
ひらめいているから
丁寧に向き合う
つまりは 後まわしにしない
∙︎˚✴︎
今じぶんの前に来たとびらを
丁寧にひらく
˚✴︎∙︎˚
そうしようと決めた後だったので
連絡することにしました
すぐにお返事をくださって
想いとかさなることはなかったけれど
あたたかなことばと
かろやかなお誘いをいただいて
いまとてもうれしい気持ちでいる◌
勇気を出してよかったな
知らぬ間にひとつ
大きな壁に思えていた隔たりを
登ろうと手をかければ
上がれていた少しの段差
このまましばらく
受けとって 手ばなしてを
続けていきます◌
今日のじぶんに あなたに
とてもありがとう✴︎
おやすみなさい
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光
迷っていた
したいこと
こころの喜び
心地のよさ
忙しい、忙しいと
いつしか心を失って
足もとの向く先を
すこしかえれば
心すこやかにめぐるとわかっても
正解なのか 甘えなのか
無意識のなかで
葛藤していた
摩擦 は宇宙から見れば
光 だそう
しっくりとくる「答え」が見つかるまで
とどまろうとしていたけれど
摩擦を抱えながら
進めばいいと
摩擦で生まれたちいさな星屑が
ひとつの光を宿すまで
重たく感じた羽車が
風に吹かれるようにまわるまで
いいも わるいも
正解も 過ちも
なにもない
すべてはあって
なにもない
そこにそれがある そう見えている
それだけ
身体のあるいまさえも
一瞬の光
少しずつ ◌
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家
二泊三日 家を空ける
山に帰り空気のおいしさに驚く
手植えした田んぼに飛び交う
蛍の光を愛おしむ
家の中も外のような通気性の山小屋
冬は極寒、けれど常に全身が
呼吸し続けていることに氣付く
一週間 入院する
届けてくれる山水に
身体の中の生命が息吹く
よどみない流水は命を繋ぐ
命が弱ると人には
お茶さえきつくなる
いつもそばにある
生命の水
一ヵ月ぶり 家から出る
帰宅より先に崩れ落ちる
家という場所にわたしは
だいじに護られていた
山々を見上げれば
大自然に抱かれる小さな自分に安堵して
虫の声 樹々と風 あたたかな声
森羅万象に囲まれて
この星の上にわたしも家も
ただぽつんと立っている
床を窓を 壁を棚を
意識が巡れば
心安らぎ人が集う
家は私の身体であり
魂の休む場所
帰路の先にある灯火は
生まれたての命のよう
儚く 小さく でもたしかに
いまを燃やして揺れている
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