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パンの何が好きって、美味しくて良い香りがして見た目も素敵でものすごく色々な種類があって歴史もあるところです。あと“パン”っていう響きがもう好きです。
そんなパン好きにとって、初めてのパン屋を訪れる時間は何より幸せです。しかし、あるとき私はパンの本質に大いに悩まされることになりました。
パン好きの俳優数名が集まった“パン部”なるものがあります。パンに関する情報を交換したり、不定期にパン屋巡りをしたりする、なんとも平和な部活です。
季節は食欲の秋。気温も涼しく、パンを片手に歩き回るにはうってつけであるということで、先月久々にパン屋巡りが開催されました。今回の目的地は恵比寿。我々が以前から注目していた食パンの店があるのです。
そこはテレビでもよく紹介されている行列のできる店で、特に一日一回しか焼かれない食パンは、開店時に行かないと売り切れてしまうであろうという前情報がありました。私達が狙うのはもちろんその数量限定食パン。朝8:40に恵比寿駅に集合し、店を目指しました。
到着すると既に数人並んでおり、あの人気店にやって来たのだという高揚感と、この程度なら確実に目当てのパンを買えるだろうという安心感を得ました。
開店と同時に列はサクサクと進みます。私達の番が来てメニューを見ると、食パンだけでなく、トーストやサンドイッチなどがありました。カフェが併設されており、食パンを使ったメニューを食べられるのです。それらを素通りすることなど出来るはずがなく、我々は食パンの他に玉子焼きのサンドイッチとあんことバターのサンドイッチを購入しました。
店の外に置かれたテーブル席に座り、さっそく皆で頬張りました。朝。美味しいサンドイッチ。秋晴れ。手元には焼きたての食パン。最高です。
食べ終えてこの日一番の目的は達成しましたが、時間はまだまだあります。恵比寿駅周辺には他にもいくつか気になるパン屋があったので、行ってみることにしました。
2軒目の店はデパートのパンイベントにも出店する有名店です。初めての店なので、ここではクロワッサンを購入しました。
3軒目も某有名店のシェフがプロデュースしたという店でした。流石は恵比寿、ハイレベルです。こちらでもまずクロワッサン、そして見つけたら買わずにはいられないゴルゴンゾーラチーズが入ったパンを選びました。さらにイートインが出来るとのことなので、バゲットのサンドイッチを注文しました。ハード系のパンが美味しそうな店なので、バゲットの味も知りたかったのです。
もちろん全てその場で食べたわけではありません。この時点で食べているのは1軒目の食パンのサンドイッチ2種と3軒目のバゲットのサンドイッチ。どちらもなかなかのボリュームなので、かなり満腹でした。私以外のパン部員達も別のサンドイッチなどを注文していたので、同じく満腹でした。
3軒目を後にしたところで、部長が用事のため離脱。残されたメンバーでこの後どうするか話し合いました。我々の選択肢は3つ。
1、恵比寿駅近くのコッペパン専門店に行く。
2、浅草の食パンのカフェに行く。
3、帰る。
そう、私達はまだパンを食べようとしていたのです。全員お腹いっぱいなのに。
しかしせっかく来たのだからという気持ちもあり、覗いてみるだけでも、と言ってコッペパンの店に行くことになりました。
店に入るや否や店員さん��人気商品を次から次へと教えてくれたため、やはり見るだけで済むはずはなく、季節のおすすめである鯖が入ったコッペパンサンドを買いました。が、本当にお腹が苦しかったので、部員と半分ずつにして食べました。
いよいよ限界を越えてきています。ここでまた一人帰宅し、私とあと一人だけが残りました。私達は迷っていたのです。浅草に行くか行くまいか。お腹いっぱいなのに。しかし満腹すぎてもはや眠くなってきたのと、歩き回って疲れたのとで、ひとまず近くにあったカフェに入りました。
お茶を飲んで、冷静に自問自答を繰り返します。浅草の食パンカフェはずっと行きたかった店です。しかし行ったとして、そこで食べるのはフレンチトーストやサンドイッチ。またもやボリューミーなメニューです。果たして今の胃袋の状態で美味しく食べられるのか?その後さらに先ほど買ったクロワッサンなどもなるべくなら今日中に食べたい。美味しく食べられるのか?ていうか食べられるのか?
答えは否でした。美味しいパンを美味しく食べられないことほど悲しいことはありません。浅草はあきらめ、家路につきました。
パンは主食ですから、一度にそればかり食べるものではなく、食べればお腹は膨らみます。そんなごく当たり前の事実に改めて気付かされた次第です。今までもパン屋をはしごすることはありましたが、ここまで短時間で多くの店を回り、食べたのはおそらく初めてだったのです。
一度にたくさん食べられない。この非常に馬鹿馬鹿しくも深刻な問題を如何に解決し、パン屋巡りをより充実したものにするか。今後の課題が出来ました。今のところ考え付いている解決策はただ一つ、“我慢”です。
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嗚呼。 胸がいっぱいです。 パンで、おなかじゃなく胸がいっぱいになるなんて。
“あの大ヒット漫画にも登場した某パン屋が明日で閉店になる”という情報をくれた人がいました。無知な私はまずその店が実在するということを初めて知り、慌てて調べると、1973年創業、今年44年目を迎える老舗店のようです。メニューはあんぱん、ジャムパン、コロッケパン、やきそばパン…といった、まさに町の素朴なパン屋さん。是が非でも行かねばならないと思い、手帳を開くと奇跡的に明日はお休み。行列ができるため、朝早くに行かないと売り切れてしまうとのアドバイスも受けていたので、早起きして買いに行くことに決めました。
そして今朝。6時に起きて家を出ました。パンを買いに行くためだけの早起き、なかなか良い気分です。ばっちり目も覚めています。普段あまり縁のない通勤ラッシュでしたが、私の心は爽やかでした。
地図を調べたところ、どうやらお店は駅からすぐ近くにあるようです。出口を出て、反対側の道に渡るとすぐに行列が目に入りました。あそこに間違いありません。どきどきしながら近付いていくと、そこはショーケースにパンが並べられた対面式。昔ながらの看板と店のおばあさんと若い奥さんが切り盛りしている姿に、初めて来たにも関わらず、つい懐かしさを覚えてしまいました。
行列を辿って店の角を曲がり、最後尾に並んだところで時計を見ると、時刻は8時ちょっと前。駅前だからか、通勤・通学途中の人々がひっきりなしに行き交います。お店の開店は6時30分。きっと皆、毎朝ここでパンを買って出掛けて行ったのでしょう。 最後を惜しむように、行列の外から店員さんに声をかけていく人がいました。並んでいる人と「おはよう」「今日で最後だね」とお喋りする人や、「いってきまーす!」と挨拶していく小学生。お店の写真を撮りに来る人も。店頭からは、おばあさんがお客さん一人一人に「長い間ありがとうございました」と言う声が聞こえてきます。ほんの10分ほど並んだだけで、この店が如何に人々から愛されており、無くなってしまうことが如何に大事件であるかがわかり、ちょっと泣けてしまいました。初めて来たというのに。
順番が近付いてきたのでショーケースを覗いてみると、4種類ほどの惣菜パンがわずかに残っているだけでした。端の方には“最終日のため皆さんに食べて頂きたいのでお一人10個まででお願いします”という貼り紙が。しかし、後ろにはまだまだ列が続いています。並んでいる間になにやら優しい気持ちになっていた私は、たくさん買いたいところをグッとこ��え、魚のフライを挟んだフィッシュサンドと、やはり食パンの味を知りたかったので三角サンドの2つを注文しました。 奥の厨房では、ご主人がこちらの様子を見ながら忙しそうに作業をしています。おばあさんも手を休めることなく、しかしお客さんと楽しそうに会話もしています。パンだけでなく、このお二人に会うのが楽しみで店に通った人もいるのかもしれません。なんだか胸がいっぱいです。繰り返しますが、初めて来たというのに。昨日まで存在すら知らなかったというのに。
パンを買えた嬉しさとこれが最後になってしまう寂しさという、複雑な思いを抱えつつ店を後にしました。駅に着くと、まだ通勤ラッシュの時間帯です。せっかくのパンが潰れてしまう危険を察知しました。お店のおばあさんとご主人の顔が頭をよぎります。どんなに足を踏まれても、辛い体勢になっても構わない。このパンだけは。その一心で、全力で守りました。
満員電車から無事生還し、家に帰って早速食べました。 三角サンドのタマゴサラダはまさに手作りの優しい味。食パンはふわふわです。フィッシュサンドも一口頬張るとほっとしてしまうような、懐かしいおいしさでした。
ある店の最後の日に足を運ぶという、初めてのパン体験。私の見知らぬパン屋がまだまだたくさんあるのです。でもいつ食べられなくなってしまうかもわからないから、出来る限りたくさんの店と出会わなければ。そう決意し、希望とちょっとした使命感に満ちた朝でした。
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特にパンには興味がない。 ごはん派。 パン?
そんな人はたくさんいます。しかし、本当においしいパンには人の心を動かす力があるようです。
昨年、ある劇団の芝居を観に行くために奈良に弾丸旅行をしました。急遽夜中0時過ぎに集まり、夜通し車を走らせて早朝に奈良到着。その日の夜に公演を観て、即帰京という、絵に描いたような弾丸旅行でした。
舞台の当日券発売の時間が昼だったので、少し時間に余裕があります。ひとまず朝ごはんを食べようという話になり、すぐさま私はとあるパン屋のことを思い出しました。
その店は奈良から程近い、京都府宇治市にあります。実は日本一のパン消費量を誇る京都。そんなパン激戦区の中、「京都 パン屋」で検索すれば必ず出てくる有名店です。 その存在を知ったのは2年前でした。仕事で京都���訪れた際、帰る前にパン屋巡りをしようと意気込んでおり、中でもそこは少し遠いけれど絶対に行きたい店の一つでした。しかし、季節は夏。8月の京都の暑さは観光の意欲を削ぎ落とします。パンへの情熱をもってしても盆地の夏には敵わず、泣く泣く諦めていたのです。
そんな雪辱をはらす絶好のチャンスを目の前にした私は、迷わず「行きたいパン屋があるんです」と提案しました。私以外のメンバーは特別パンが好きというわけでもない人達でしたが、絶対においしいからと言い張り、皆同行してくれることになりました。
少し離れた駐車場で車を停め、店の方へ歩いていくと、その店の名前が入った袋を提げている人をちらほら見かけました。皆幸せそうです。いやが上にも期待値が上がります。 到着すると、店の前には車の誘導をしているおじさんがいました。どうやらここのパンを求める人々が全国からやってくるらしく、専用の駐車場がいくつもあるのだそうです。パンを食べる前からレベルの高さを思い知らされました。
幸い、少し並んだだけで店に入れました。素晴らしい香りが鼻孔をくすぐります。店内はわりと広さがあるものの、後ろにもお客さんが列をなしているので、引き返すことは出来ません。少しでも気になったパンはトレイに載せておかないと後悔することになります。パン屋巡りをするようになって、こういった行列必至ゆえに逆走不可能な店は、往々にして品数が豊富であるということに気が付いてきました。この店も例に漏れず、たくさんの種類のパンが所狭しと並んで我々を誘惑してきます。初めて行く店ではほぼ必ず食べることにしているクロワッサンと食パン、その他あらかじめ調べていた看板メニューなど、厳選に厳選を重ね、さらにテンションが上がってオリジナルグッズのキーホルダーを買い、店を出ました。
ちょうど道の反対側に大学があり、とても良い感じに座れる芝生スペースがあったのでお邪魔することにしました。 晴れ上がった空の下、芝生に直に座り、気温もちょうど良く、目の前には買ったばかりのおいしそうなパン。最高です。それぞれパンを食べ始めると、歓声が上がります。最高です。ちょっと信じられないくらいおいしいのです。特にクロワッサン。今まで食べてきた中でも、No.1であると言えます。パン好きではないメンバーも驚いており、「パン屋巡りをする気持ちがちょっとわかった」と言ったほどです。朝日とパンと仲間達の笑顔が輝く、幸せな時間でした。
つい先日、その旅行のメンバーの一人と偶然会ったのですが、やはりあのパン屋の話をしており、非常に嬉しい気持ちになりました。おいしいパンって、本当においしいのです。
ここまで書きましたが、あくまでも自分が食べたいという理念の下、このパンブラーでは今までもこれからも店名を明かして紹介はしません。もしも直接私に会って聞いて頂けたら、おすすめのパン屋、お教えしま��。
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パンシェルジュ検定3級、合格しました。 ざっくりと自己採点した段階でまあ落ちることはないだろうとは思っていたのですが、100点中94点というなかなかの高得点を叩き出しており、ちょっとほくそ笑みました。 昨年の大晦日にテキストを購入し、3級取得を新年の目標に掲げて元旦から勉強開始。そして迎えた3月19日、試験当日は大学受験以来のマークシート形式に動揺を隠しきれず、100問60分、時間目一杯使って解答し、私の3ヶ月間の挑戦は幕を下ろしました。 晴れて、パンシェルジュです。 このパンシェルジュ検定、合格すると認定グッズ(有料)を手に入れることができます。 まず1つ目は合格認定カード。表面に名前と合格認定番号、認定日が入ります。プラスチック製の運転免許証サイズで、お財布に入れて常に持ち歩くことが可能です。そしてなんと、1級合格者のみに与えられる1級限定デザインなるものがあります。1級限定では顔写真を入れることができ、裏面のデザインを4種類(バゲット/パン・ド・ミ/パン・オ・ショコラ/ブリオッシュ・ア・テット)から選ぶことができるのです。これはもう、1級を目指すしかありません。私もカードに顔写真を入れたい。裏面のデザインをどれにするか迷いたい。 2つ目のグッズは合格認定名刺。名前や住所、連絡先などの一般的な情報の他に合格級と合格認定番号、さらに好きなパンの名前まで入れることができます。パンが好きだと話すと「何パンが好きなの?」と大抵聞かれるものですが、この名刺さえあればにっこり微笑んで手渡すだけ。スマートに質問に答えることが出来ます。 そして最後は合格認定バッジで、これも級ごとにデザイン格差があります。1級はパンシェルジュ検定のロゴと『Grade 1』の文字。洗練されたデザインです。2級ではロゴだけという、ちょっと味気ない感じになります。3級にいたっては、ありません。そう、バッジは1・2級合格者のみのグッズなのです。 受験する前は、合格したらカードを作って何かと人に見せびらかしたり、バッジを胸に付けて街を歩いたりしてやろうと意気込んでいたというのに。3級で喜んでいる場合ではありません。すぐにでも1級を、と思ったものの、2級を合格した者でなければ1級の受験資格はないという、意外な厳格さのパンシェルジュ検定。明日、2級のテキストを買っ��こようと思います。
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よく晴れた暖かい日は、去年の春のある一日のことを思い出します。 2016年の3月末、私は舞台に出演していました(全く触れていませんでしたが、俳優をやっております)。冬の間ずっと稽古をして、桜の開花と共に初日を迎え、千秋楽の頃には花も散っていた、そんな記憶があります。 本番を終えて数日経った頃です。気が抜けたのと身体の疲れと、数ヵ月を共に過ごした共演者たちと離れた寂しさとで、どうにも訳がわからなくなり、とにかく外に出よう、と思いました。4月が始まったばかり、寒いんだか暑いんだか、何を着ていいのかわかりません。とりあえず冬のコートを羽織って電車に乗り、街に出てみたのですが、暑い。私の予想を遥かに越えて春はやってきていたようです。 そこで、春物のコートを買うことにしました。前々から欲しかったし、何故だか本番を終えた後は散財したくなる傾向があるのです。 LUMINEに入り、店の鏡に映る暗くて重たいコートを着た自分に嫌々しながら物色し、値段も手頃な薄手のコートを見つけました。試着→店員さんのコメントという試練を終えてお会計をしているとき、自分でも思いがけない言葉が口をついて出ました。「今着て行ってもいいですか?」と。店員さんはにっこり笑ってそれまで私が着ていた冬のコートを紙袋にしまってくれました。 春のコートを羽織った瞬間、これ以上ないくらい晴れやかで、もう、なんでも出来る気になってしまって、鎌倉に行こう、と思い立ちました。すぐさま駅のコインロッカーに冬のコートが入った紙袋を押し込み、身軽になって、鎌倉方面の電車に乗り込みました。春の力です。 なぜ、鎌倉か。もちろん、目当てはパンです。出演していた舞台の稽古中、パンが好きな人達で大いに盛り上がり、鎌倉にめちゃくちゃおいしい食パンの店があり、そこのフレンチトーストが絶品であるという情報を得ていたのです。 期待に胸を膨らませ、駅に降り立ちました。さっきまであんなに晴れていたというのに、鎌倉、曇天、暴風です。なんならちょっと雨も降っています。しかし私はもうパンまっしぐらだったので、気にせずお店を探して歩き出しました。 目的のお店はいわゆる古民家を改装した建物で、一見わかりづらい、住宅地を入ったところ��あります。前情報では行列必至とのことでしたが、流石は暴風雨の平日、お客さんは一人もいませんでした。食パンの食べ比べなどのメニューもあり、大いに気持ちが揺らぎましたが、やはり当初の目的である『究極のフレンチトースト』を注文しました。 ある程度予想していたものの、テーブルに届くまで時間がかかります。しかし、いくらでも待てました。だって、『究極』なのだから。 やっと運ばれてきたそれは、今までの概念を覆すフレンチトーストでした。外側さっくり中じゅわりとか、そんな生ぬるい擬音で表現するのが憚られるほどです。見た目も味も、数々の試行錯誤の末たどり着いたのであろう、まさに『究極』。作る際に切り落とされたパンの耳はラスクになって添えられており、しかもその味付けは塩。素材を無駄にせず、かつ甘いものを食べたらしょっぱいものが欲しくなっちゃうこちらの心を完全に満たしてくれるという、心遣いを感じます。思わず、出口まで見送ってくれた奥さんに、パンが好きで東京からこの店のためだけにやってきた旨を伝えている私がいました。 帰る前にお店の奥さんが教えてくれた近くのパン屋で食パンを買い、コインロッカーのコートも忘れずに取り出し、大満足の一日を終えました。気の赴くままに過ごした、なかなか良い思い出です。しかし同時に、その後朝食を家で食べられない日が続き、せっかく買ってきた食パンをパサパサに干からびさせてしまったという、悲しい記憶も付きまとうことになるのでした。
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家の近くの桜並木は私の地元が誇る数少ないものの一つで、桜の感じもそのすぐ下を流れる川も、目黒川とよく似ています。初めて中目黒を訪れたとき、あまりにそっくりで驚いたほどです。しかし、決定的に沿いが違います。川沿いの店が違います。というかうちの方の川沿いは住宅ばかりで生活感を垂れ流しており、中目黒に満ち溢れるお洒落さはまるでありません。
桜の季節になると地元の人達は決まってこの話をします。家族や友人、ときにはマッサージ中の整体師さんとも。普段それほど地元愛をもっている訳ではないのですが、このときばかりは皆が感じている中目黒に対するちょっとしたジェラシーと、しかし桜そのものは負けてないぞという至極���え目なプライドを共通認識できて、少しばかり嬉しくなります。
桜と共に私の地元が誇る数少ないもの。一つは私が子供の頃からずっとある洋菓子屋さんです。このお店のケーキと焼き菓子はどこにでも胸を張ってお土産に持っていけます。
そして最近になって私の個人的地元自慢ランキングに入ってきたのが、そう、パン屋です。しかも、3軒もあるのです。おいしい店が。初めての土地に行く度にパン屋を探している私ですが、地元の意外なパンレベルの高さにはようやく最近気が付きました。
駅前に、私の好きなハード系のパンがおいしい店があります。売り場が一畳分ほどの広さしかなく、お客さんは一人ずつ出入りするというシステム。パンの種類は豊富ですがやはりショーケースも小さいため、一度に並ぶ数は少なめ。さらに駅の改札の目の前という立地から、昼過ぎにはほとんど売り切れてしまう人気店なのです。
私がこの店で初めて食べたのは忘れもしない、クリームパンでした。手のような形をしたあの定番の形で、しかも焼きたての熱々だったので、迷わず選んだことをよく覚えています。あのとき、今この世で一番おいしいものは間違いなくこれだ、と思いました。あのクリームパンにはそのくらいの力があったのです。
どうも私が足を運ぶタイミングが悪いのか、そんな思い出のクリームパンも売り切れていて最近はなかなか食べられません。そこで、次の休日は早起きして朝一番に行ってみようと目論んでいます。そういえば昔から、パジャマにちょっと上着を羽織ったくらいの格好で近所のおいしいパン屋に出掛けて、お店の人と楽しくお喋りして、焼きたてのバゲットを抱えて家に帰る、というのが理想的な日曜日の朝でした。その夢に一歩前進です。ただ、パジャマで駅前まで行く勇気はないし、店の人とは全然喋ったことないし、おそらくあの店にバゲットは無いのですけれども。
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友人がパンのブローチをくれました。お手製とのことで、非常に嬉しいです。以前書いた横浜のパンフェスのことも、わざわざ連絡をくれた人がいて、私のパン好きが確実に、じわじわと、浸透しつつあります。よし。
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今週末に横浜赤レンガ倉庫で開催されるパンのフェスのことばかり考えてしまう日々です。
http://pannofes.jp/
夢の祭典ですね。
こういったパンのイベント、わりとたくさんあるんです。有名どころだと年に数回行われる青山パン祭り。メロンパンフェスやカレーパン博覧会など、一種類に特化したイベントもあります。雑誌でもよくパンの特集を見かけますし、パン好きな人ってたくさんいるんだなあと思います。
そんなパン好き達の聖地と言われる店が千葉県の松戸にありまして。どうしても一度行ってみたくて、以前パン仲間と一緒に行きました。 それはもう絶品の数々で、紛れもなく聖地であると確信して帰って来たわけですが、その後特にパン好きではない知り合いに松戸のパン屋さんに行ったという話をすると、けっこう驚かれます。「パンのために千葉県行ったのか?」と。
悲しい。主食としてあまりにも生活に溶け込んでいるからでしょうか。当たり前のように食べているからこそ、本当においしいものに出会ったときの衝撃は大きいというのに。 ラーメン好きな人が全国各地行くように、好きなバンドのライブで遠征とかするように。パンも、同じです。なんなら次に私が行きたいと目論んでいるのは茨城県つくば市です。どうやらパンの街らしいのです。
そしていつの日かきっとフランス、パリに。
…そんなことを考えつつ、今朝もコンビニのパンを食べました。 コンビニパン。買うときはいつも「ああ、コンビニパン買っちゃったな…」という思いがつきまといます。決して馬鹿にしているわけではありません。「出来る限りたくさんの店の色々なパンを食べたいと思っているというのに、私ときたらまたコンビニで、しかもいつも同じやつを…!」の意です。でも、パンが食べたかったから。
とりあえず、目の前にあるパンを食べてしまう。パン好きとはそういうものでしょうか。どうでしょうか。
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最近、パンを焼きました。
既にお察しかと思いますが、パンが好きです。初めて行く土地では必ずパン屋をチェックするし、パン好き仲間とパン屋めぐりをすることもあります。おいしいお店があると聞いて、一人で鎌倉まで足をのばしたことも。
これまでも色々なパン屋さんに行って色々なパンに出会ってきたわけですが、写真撮る前に食べちゃうし、記録を付けてるわけでもないし、あれおいしかったな…という記憶だけが積み重なっていきます。 なんというか、自分はパン好きである、という確固たる何かが欲しいと思いました。今でも十分好きなのだけど。このパンに対する想いを、こう、知識とか、技術とか、そういうものに出来ないものかと。
そこで、受けることにしました。『パンシェルジュ検定』。パンシェルジュとは、「奥深いパンの世界を迷うことなく案内できる幅広い知識を持った人」のことらしいです。 3級(パンシェルジュ・ベーシック) ↓ 2級(パンシェルジュ・プロフェッショナル) ↓ 1級(パンシェルジュ・マスター) と段階があって、やはり最初なので一番下の3級から挑戦することにしました。もちろん、目指すはパンシェルジュ・マスターです。
3級ではパンの歴史から種類、材料のことなどを学びます。元々勉強することが嫌いではないので、テキストは順調に進んでいきました。 が、製造工程に関する章に入った途端、壁が立ち塞がりました。私にとってパンは食べるものであり作るものではなかったため、文字を辿っても全く頭に入ってこないのです。
なので、作りました。
作るのは基本のバターロールです。どのようにしてパンが出来るのかを知ることが目的なので、失敗してもまあいいや、くらいの気持ちでした。なにぶん、きっちり計量しなければならないお菓子づくり系の作業が苦手なのです。 その苦手な計量からパン作りは始まります。強力粉200g、バター40g…間違いのないよう、何度も確認を重ねました。 さて次はイーストだ、と思いレシピを見ると、必要な量は3g。我が家の秤で計れる最小数は10g。終わったと思いました。絶対にやってはいけないと思われる目分量で入れました。続く塩も3.6gだったので適当に入れました(※イーストと塩はパン作りにおいて非常に重要です)。
その後も生地をこねるのが楽しくなりすぎて必要以上にこねたり、オーブンに発酵機能が備わっているのに気付かずこたつで発酵したり、強力粉ぶちまけたりしましたが、結果、見た目も味も思った以上に普通のバターロールが出来上がりました。可もなく不可もなく、スーパーで売ってるやつがちょっとパサついちゃった、くらいの。 パンって作れるんだなあ、と思いました。
もう、テキスト読んだら超わかります。製造工程。
せっかくなので、人様にあげられるパンを目指してまた作ろうと思います。これから私に会う方、突然パンを渡すかも��れないので、そのときは是非食べてくださいね。
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