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小さなこころをぶら下げて 恐れずに素直でいること それはほんとうに難しいことだから 自分の奥深い 根のような場所にある とても頼りなく 弱々しいこころの芯が ときにわたしを怯えさせたり 高慢な気持ちにさせてしまう 自分が特別だと思いたがったり あなたがわたしだけを見つめていると そんな想像をして安心したり そのすべてが否定されることを思って
恐ろしく感じてしまうこと それらはいつも裏返し 春の埠頭のさきで 誰かが海辺にやってきて 零れてしまったものを捨てていく 置き去りにされたたくさんの思いは すべて海に還ったのだろうか 曇った浜辺の空のしたの うみのそこではきっと綺麗な珊瑚が生い繁っているだろう 僕はほんのすこしだけやわらかい気持ちになり 絆された深い感��の糸屑を潮にひたして かわりに愛おしい巻き貝のひとつをみつけてきた
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思い出していた 朱い風を摘んで 錫白灯の子 腕を出して見上げた 生活が 孤石を 絶てながら 夕立が もう一度 嘆く 聡明で 駆け 離す だけの 軽薄に 俯く きりの 君を 欲しがる この街を攫って 銀の路を渡ってく 鵜呑みにしていた 鋼の島を見たよ 水平線に 後ろ髪 ひかれ
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金木犀の芳る頃
青い色の淋しい雨が降って
あなたにたったひとつの啓示
そして
長かった旅ももうこれで終り
そう思えば
ほんのすこし救われるかもしれない
どれほどあなたのことを想ってみても
後悔すべきことはなにひとつ見つからない
この頬の縁のあたりを
優しい雨が慰めてくれるとしても
それはいつまで経ってもわたしだけのもの
それだって言うのに
これから旅立ってしまうあなたに
わがままな毛糸のささくれを紡いで
行かないでほしいと言えるだろうか
ほかならないあなたの為だと言って
またとないわたしをほくそ笑んで
あなたが抱えていたその孤独すら
最後まであなただけのものだったのに
金木犀の終る頃
やがて新しい啓示に満たされる
わたしたちの成すべきことはなにひとつない
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ひかりのうず
泣いて
いる
君
の
こころ
の
ふち
の
ところ
から
閑か
に
きらめき
の
粒
が
溢れて
零れ
落ちる
の
が
わかる
そんな
とき
僕
は
ほん
の
一杯
の
紅茶
を
淹れて
あげる
こと
しか
できない
そして
それ
を
君
の
体
の
いちばん
暖かい
ところ
まで
汲み
上げて
しまったら
すっかり
あたらしい
君
自身
に
なって
とっく
に
雲間
の
さき
に
浮かんで
いる
君
の
影
を
僕
は
ぼんやり
と
ゆっくり
と
眺めて
いる
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憧憬
俺は
芸術が好きなだけの
無邪気なこどもだった
飛行機の跡が
蒼い大気の枠を
掠め取っていく
夏
遠い
思いの
柵が
いつだって
素直が
よかった
いつのまにか
遥かに
遠く
それは
気づけないほど
速い
速度で
あまりにも
鈍い
感度で
わたしの言葉を
連れ去って
しまう
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もうひとつの願い
夕白色の大気が
渦を巻いて
立ち昇っていった
あの日
麻木色の雨が
涙のかわりに
頬を濡らした
あの日
わたしは
きっと
ひとりじゃなかった
木立の隙間から
春のはじまりを受け止めた
あの日
あなたのことが好きだと
言葉で伝えた
あの日
わたしは
実は
ひとりじゃなかった
大きな決心をして
二度と戻れない道へ
踏み出した
あの日
わたしのためだけに
あなたを
深く傷つけた
あの日
わたしは
いつも
ひとりじゃなかった
わたしは
あのときから
ずっと
自分のこころに振り回されてばかり
いまごろ東の果てで
ひとりの不幸な少年が詩を書きはじめた
この言葉が
春の風に乗って
どこか遠くの土地で
芽吹く前に
あなたに捧げよう
わたしたちが
これから
どこかに向かうのだとしても
ひとりじゃなかったのだから
たとえそれが
どこへ向かうのだとしても
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過去のことは適当にわすれて
あれはあれ
それはそれ
と
のらりくらり
生きていくのが
にんげんの賢い生き方
なのだけど
それにしては
僕たちはあまりに不器用すぎる
大事なことをすぐに忘れ
かなしかった日のことは
いつまでもわすれられない
本質ではないことに饒舌で
本当に伝えなければいけないことは
いつも煙にまいてしまう
あなたがいま考えていること
その所作から立ち顕れるなにか
それらの道筋を
辿ってみたりもするけれど
僕の物差しで測るためには
君はあまりに大きく
儚い
それに
僕の持っている物差しは
不規則に捻じ曲がっているし
生き物のように絶えず変化してしまっている
それでも
歪んだレンズ越しに視ているこの世界の
どうか君も同じ景色を見ていてくれないかと
僕は
切に願う
理性でなく
感情で生きたひとは
破滅へと向かうのだろうか
たくさんの心に導かれながら
そして
たくさんの誰かを置き去りにして
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