l0ll0x
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l0ll0x · 2 months ago
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重い足取りでいつものコンビニへ通いカゴを取り温かさなど微塵も感じない496円の弁当とミルクチョコレート、チョコレート菓子。奮発して高めのバニラアイスに、ふと目に付いた抹茶の新作スイーツを迷うことなくカゴの中に入れた。店の中で流れる軽快なリズムとは裏腹なこの感情を鎮めるには甘いモノに頼るしか無かった。仕事終わりのスーツ姿の人や、土方姿の人、イチャイチャカップル。部屋着で寝起きのままの髪の毛にサンダルの俺。さっさと会計を済ませて、普段よりも早足で家に帰った。
沈む気持ちはドーパミンが下がっている為の症状
そんな記事を何かで読んだことがあった。ドーパミンを上げるには自分へのご褒美を上げること=チョコレートの大量摂取に至った訳で。普段は板チョコ3分の1で我慢していたものを我慢せずに頬張ってやろうっていう幼稚な考え。「ハア、」 玄関のドアを開けるなりため息がひとつ。扇風機は付けずに外から入る風を頼りに過ごす夏ももうすぐ終わる。電気も付けずソファに座ってレジ袋を漁るようにチョコレートを。罪悪感は感じなくもないけど、罪悪感よりもドーパミンを上げることに夢中で弁当より先に口にした。「 ハーア、」 2回目のため息。口いっぱいに広がる甘さに幸せを感じすぎて自然と。たったこれだけの行為がご褒美になるなんて。なんて簡単な男なんだろう。いちごのチョコレートに、チョコレートクッキー。ひとつ開けたら、またひとつ。さらにひとつ。若干溶け始めてるバニラアイスも一口。幸せすぎる。喉を通る冷たさが体を犯していく。幸せ中の幸せ。カロリーが高かろうが、体に悪かろうが正真正銘の幸せ。この幸せを永久に保存しておきたくて、シャットダウンしかけている脳が考えた結果は眠ることでした。
__ 寝すぎた。完全に寝すぎた。外は薄らと明るくなりかけていて、最近機種変したばかりのスマホの画面には5:32表記。バキバキの体を無理矢理起こしたら視界に入ったお菓子のゴミやチョコレートの包装紙、空のアイスカップ。吐き気がした。あんな短時間でこんな量を?この体の中にこの量が?吐き気が止まらなかった。寝起きの脳ミソは役立たず。トイレに駆け込んで今まで体を満たしていた全ての幸せを吐き出した。胃酸に溶かされたソレは俺の幸せなんかじゃなかった。空っぽになるまで、背中をさすってくれる人も居らずただ憎悪へ変わり果てたモノを吐き出していた。
496円の弁当は一切手を付けずゴミ箱へ捨てた。新作の抹茶スイーツは水のペットボトルだけの冷蔵庫に入れた。きっと食べることは無いんだろうけど。忘れよう。コレは忘れるべき出来事であって永遠にしようとした俺が馬鹿だったってだけ。得意な二度寝をして何事も無かったかのようにまたコンビニに行こう。また目が覚めた時。目が覚めたらの話だけど。
( ハア、幸せになりたい )
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l0ll0x · 2 months ago
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八月某日、ツキアカリ。ベランダで黄昏る。
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