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モンゴリーユ
唐突だけど、お菓子って色々あるよね。歯が痛くなるくらい甘いもの。保存用にめちゃくちゃ固くしたもの。作った人の��図がまるで分からない不味そうなもの。 そういうのって実際どんな味がするんだろうって、気にならない? オレは気になる。 でも、実際に自分が試すかって言われたら、まあ容易には頷けないとこあるよね。ネットにあがってる動画で実際に食べてみた人達の感想なんか山ほどあるけど、エンタメ性を重視して脚色してある可能性もなきにしもあらずだよね。そういう疑いの目が人の購買意欲に繋がっているのかもしれないよ。世の中上手く出来てて感心しちゃうね。嘘だけど。 とにかくオレは好奇心の塊なわけ。試してみたくて反応が見たくて何ならそれが生きがい。そして、オレがいま通ってる学園にはおあつらえ向きのクラスメイトがいた。名家出身のわりに十年人間社会から切り離されて育った虫好きのでかいゴリラ。箱入りゴリラ。正式名称は獄原ゴン太。 そのゴリラもといゴン太に変なお菓子を与えて代わりに食べて貰う遊びが最近の流行りなんだ。ゴン太はいちいちリアクションが大きくて派手だし、わざとらしく演技するようなタイプでもないからね。わりと正確なデータが取れてるんじゃないかな。 今日も唐辛子を練り込んだチョコレートを食べさせたら、初めは「おいしい」って笑ってたのに段々と顔が真っ赤になって脂汗かいて思いきり舌出してヒーヒー言ったよ。ペットボトルの水を与えた後もずっと口を抑えてた。商品化されてるからには美味しいはずなんだけど騙し討ちに遭ったような心地がしただろうね。口直しにワサビ入り生クリームでデコったクッキーを渡したら「舌がからいよう」とわりとそのまんまな感想が出たよ。ワサビのことを言ってるのか未だに唐辛子がきいてるのかは不明だね。 「ゴン太はバカだなー」なんて軽薄に笑うと、クラスメイトや同級生や上級生その他諸々の鋭い視線がオレの方に注がれた。そういえばここは食堂だった。ゴン太が苦しんでいるのを見かねているようだけど言及はされない。怒っていいのか邪魔していいのか若干迷ってるのかもしれないね。 ゴン太自身もさすがに懲りつつあるのか「今度こそ口直しだよ」とイチゴパフェを持ってきても無言でいる。口の中の火事は鎮火できたっぽいのに喋らない。ただひたすらオレと視線を合わせてくる。睨んでいると言ってもいい。オレとゴン太の間に置いたパフェに一瞥もよこさないなんてよっぽどだね。誰がここまでゴン太を追い込んだんだ。絶対に許せないよ。 細長いパフェスプーンで真ん中の生クリームをすくって「あーんして」とゴン太の口の前に運んでみても態度は変わらなくて、場にそぐわない真顔にこっちも謎の緊張感が芽生えてきた。首から下が筋肉の塊のわりに顔が尋常じゃない整い方をしてるからね。海外のモデルみたいな彫りの深さと厚い前髪で顔に陰が落ちてて迫力が増してるよ。でもオレもずっとスプーン持ってる訳にはいかないし「ほーらー」と急くように唇の端になすりつけた。そうするとようやくゴン太はスプーンを口に入れたんだ。 絵に描いたような半信半疑の表情でいたけど、待っても味が変化しないし舌の上に甘味だけ広がっていったみたいで、細くなってた赤い目が段々と元通りになってさ。だめ押しにパフェのケーキ層部分をすくって口に突っ込んだら、ふっと雰囲気が和らいだ。ゴン太が満面の笑みで「おいしいよ、小吉くん!」って言ったからじゃないよ。その緩い顔を見た周りの人がオレへの警戒を解いたからだよ。オレだって命は惜しいからね。 「二人きりじゃないと呼べないって言ったのは嘘だったの?」とか言って茶化したらゴン太、唐辛子食べさせられた時より顔赤くしてさ。お、王馬くん! 王馬くん! って意味もなく連呼されちゃった。チャットログじゃあるまいし後で訂正しても遅いんだけど面白いから頷いて、おかわりをあげたよ。もちろんオレも食べておかないと損だから半々くらいにしておいた。 いやーほんと、平和だね。
作・利音様
絵・小中居 んだろぅ様
※あとがき※
表題モンゴリーユはMon gorille(モン ゴリ-ュ)で“私のゴリラ”。パフェがフランス産だったのでフランス語です。 まくし立てる感じを出したかったので改行を最低限にしたらすごくうるさくなりました。 セリフも地の文に入れて一直線に読みきって「聞き流していたら案の定のろけだった」みたいな感じを出せるかなとか、いつもだいたい一人称混じりの三人称で書いてるので完全一人称にすれば紛らわしいかとか、色々試してみました。希望ヶ峰学園なら食堂でパフェが秒で出てきてもおかしくない(?) 王獄はいいぞ。
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無題
白の空間に獄原と王馬は佇んでいた。こうなる前後の記憶は曖昧模糊としていて、はっきりと思い出すのが難しい。重力の概念と一面の床だけが存在するここにただ二人きりでいる。まるで、上手に眠れなかった日の夜に見る夢のようだと獄原は思う。 「おはよう、ゴン太。」 にししと笑ってみせる隣の彼のことは、脳が認識している。だが頭にうっすら霞がかかっているかのようで、記憶と事象を結び付けることができない。 「…王馬君、」 「嫌だな、知らない人を見たみたいな顔するなよ。」 残念そうにぐすぐすと鼻を鳴らす王馬を宥めようと思うのに、頭を撫でようとする手が動かない。もどかしさを覚えている獄原を尻目に、王馬は床に腰を下ろした。獄原もつられて向かいの方に膝を抱えて座る。自分が自分の体ではないみたいに、思考と動作が切り離されていた。 「ここまで手がかりがないと出る気にもならないや。話でもして適当に時間を潰そうぜ。」 「お話、するの?」 「つまらなくない話ならいっぱい持ってるよ。どれからにしようか?外国で宝石をたんまり盗んだ話とか、カジノで大暴れした話とか。博物館で恐竜と追いかけっこした話でもいいよ。どれから聞きたい?」 王馬はチェシャ猫のように口許に大きな弧を描く。獄原はそれに魅せられたように、こくりと一つ頷くだけだった。 王馬の語り口は巧妙で雄弁だった。王馬が語る物語の中で、一緒に冒険をしているかのような錯覚に獄原は身を浸す。彼の甘やかなテノールは子守唄のように耳触りが良い。脳髄を犯されるような快楽にも似た感覚を、獄原は気持ち良い眠気と勘違いしている。ゆるやかに王馬の世界に取り込まれていく。 「さあ、これでこの話はお仕舞いだよ。」 「…うん」 「次は何を話そうか?」 王馬が問いかけれど、獄原の唇は震えるだけで音を紡がない。何かを言わなきゃ、返事を返さなきゃと焦るほどに喉がきゅうと絞まるような心地がした。 「ぁ、」 「………と、思ったけど、ちょっと休憩したいかな!飲み物も無しで喋りっぱなしじゃ、さすがにオレも疲れるんだよねー…」 獄原を見守る瞳はいっそ恐ろしいほどの熱を帯びている。しかし、その熱に浮かされた獄原はやはり何も言えないままだ。 どれくらい経っただろう。王馬ももう何も語らなくなり、心地よい静寂に身を任せていた頃。獄原の視界の端を何かが横切る。おもむろに体を向ければ、一匹の金色の蝶々がそこにいた。きらきらと黄金の光を発するそれが、獄原の網膜を焼き、意識を覚醒させる。 追いかけなければ。 獄原は本能的にそう直感した。泥のように重い体を引きずって立ち上がり、吸い寄せられるようにして一歩足を踏み出す。 「こらこら、どこ行くの?」 「だって、虫さんが」 すぐに左腕を抱え込まれ、獄原は虚ろな目で不規則に羽ばたく蝶々を眺める。どうして行かせてくれないんだろうと、純粋な疑問が獄原の脳裏をよぎった。 「…そっちはだめ。」 「どうして?」 「どうしても。」 王馬は理由を口にしない。振りほどけそうなほどの、本当に僅かな力しかこもっていない二本の細腕で獄原を掴まえているだけだ。 そうこうしている間に、先程獄原の視線を奪ったあの綺麗な色を見失ってしまった。もしかしたらまだお話をしたことのない種だったかもしれないというのに。名残惜しさに地平線の彼方をぼうっと見ていると、突然獄原を引き止める手にきゅうと力が込められた。 「王馬君?」
普段は賑やかな彼が、今はただ静かに獄原の腕を抱く。俯いたその表情はここからではよく分からない。甘えるかのようにすりと頭を肘の辺りに押しつけて、まるで子猫のように縋る様は獄原の胸中をざわつかせた。 「ね、そんなことより話の続きをしようよ。」 本当は、蝶々のことがまだ気にかかっているけれど。こんなに寂しげな子どものような声を出されてはたまらなかった。 「…わかった。いいよ。」 こんな場所に王馬を一人で置いてはいけない。王馬には獄原しかいないのだから。 「悲しい思いをさせて、ごめんね。」 驚くほどすらすらと、その言葉は口から吐き出された。ようやく体が思い通りに動くようになったと感じた。獄原は俯いたままの彼の方に向き直って、その小さな体を正面から抱き締める。 「バーカ。これくらいで悲しくなんかならないよ。」 王馬は聞こえるか聞こえないかくらいの声でぼそりと呟き、両腕をゆるゆると獄原の背に回した。それから獄原の厚い胸板に顔を埋めて、浅く呼吸をしている。 その姿に庇護欲と得体の知れない何かを掻き立てられて、獄原は指で王馬のしなやかな髪を梳き、瞼を閉じる。 だから獄原は、自らの腕の中で王馬がどんな笑みを浮かべているかなんて知る由もない。
作・漬物石様
絵・ぼぼこ様
※あとがき※
せめてもの抵抗として書式を一部変えました。擬態なんて高度な技は使えませんでした。無念。書けば書くほど露呈していくスタイル。 お声かけありがとうございました。
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花の色は移りにけりな白色に
王馬は森の中を歩いていた。木々の隙間からさす光は淡く、体を吹き抜ける風は程よく涼しくて心地良い。足取りは軽くてここ数日なかったくらい心は凪いでいた。やがて視界に広がりを感じて目を細める。深い森の中とは思えない不自然に空いたその更地で、背中を丸めてしゃがみこむ見知った大男を目に留めて自然王馬の���元が歪んだ。 「ゴン太じゃん!���うしたのさこんな所で。」 「王馬君…」 揶揄うような声に顔を上げた獄原は、その目にたっぷりと涙を湛えて王馬を見た。ああこいつはまた泣いているのか。 「あーあ、今度は何泣いてるの。」 「あのね、ゴン太、これを作っていたんだ。」 獄原の視線が背後に滑る。釣られてそちらを見ると掘り返されたばかりの盛土に供えられた白い花、刺さった枯れ木に草を燻す独特の香り。 それは、墓だった。小さくて精々うさぎが眠るくらいの大きさでしかなかったが、確かにそこに建つのは墓標だった。 「お墓?」 「…うん、たぶん。」 「たぶん?」 「…どうしてこれを作っていたのか、覚えていないから。」 切なそうに瞳を伏せて瞬き一つ。その拍子にぽたりと雫が零れ落ちた。堰を失ったそれは留まる事を知らず溢れ出て、獄原の足元に染みを作る。 「お墓なのは、間違いないと思う。でも、これが誰のお墓なのかわからないんだ。気が付いたらもう完成していて…最後に手を合わせようと思ったら名前が出てこなくて…」 ぽつりぽつりと吐くように話す獄原。王馬が軽く腕を引くと目線を近付けようと屈んでくる。その赤眼を潤す泉は止まらない。 「きっと…作ってあげたいって思う程、ゴン太が大好きだった人のお墓のはずなのに…何も思い出せないんだ。…ゴン太は、バカだ。」 「ふぅん。」 そこまで聞くと、目元を拭う大男をその場に残して王馬は小さな墓もどきの前に立った。不器用ながらに心を込めて作ったのだろう、それは気持ち悪い程の優しさと愛を感じるものだった。乱暴に、添えられた花を掴む。まだ咲きたての月見草が目に眩しい。 「ねぇゴン太、この花もお前が供えたの?」 「えっ…う、うん。…なんだかね、このお墓にはこのお花が似合う気がしたから。」 ふわり、と。一瞬くしゃくしゃの泣き顔が柔らかく微笑ったような気がして思わず舌打ちをする。リラックス効果のあるという強い花の香りも意味を成さない。 何が似合う気がしたから、だ。無意識に供えていたのならこの上ないタチの悪さだ。咲いたばかりの真っ白な月見草。これは、この花は。 「ゴン太。」 少し経ってからぼそり漏れた声は変に明るくて、薄ら寒いくらいだった。獄原は未だ瞳に涙を湛えていたがさっきよりは落ち着いたらしい、いつも通りのきょとんとした表情で王馬を見つめている。いつも通り。そう、いつも通りなのだ。 「向こうにも綺麗な白い花がたくさん咲いてたからさ、一緒に摘みに行こうよ。」 「え、でも、」 「オレってば優しいからね!ゴン太がお墓を作る程大好き���った人に花でも手向けたくなったんだよ。」 嘘だけど、と心の中でだけ呟いて獄原の手を取り歩き出す。もう獄原の表情は見えなくなったが、困惑しているのはあり��りと伝わってきた。 王馬は再び森の中を歩く。後ろに重たい荷物を引き連れて。少し歩くとまるで雪が積もったような一面の花畑が見えてきた。するりと獄原と絡めていた指を解き、王馬は徐ろにその白い花を摘む。 「王馬君、そのお花…」 後ろから獄原の強ばった声が聞こえてくるが、王馬は答えない。ぶち、ぶちと茎を手折る音だけが二人の空間に響く。 「王馬君。…そのお花、誰にあげるの?」 獄原の声が震えている。王馬は答えない。王馬の小さな手では多くの花束を掴みきれず、ぱさりと数本が零れ落ちる。 「王馬君、」 「これはね。」 三度呼ばれた名前に今度は反応してやった。視線だけはあぶれた白を見つめながら、静かに答える。 「ゴン太にあげるんだよ。」 「……ゴン太、に…?」 「そうだよ。だってこれ、ゴン太の誕生花でしょ? スノードロップ。」 綺麗な笑顔を貼り付けて振り返る。そこにはぼさぼさ頭の大柄な紳士の少年は既に無く、 壊れてぼろぼろになった虫かごだけが木漏れ日に照らされて佇んでいた。 その笑顔がもはや意味を成さないと知るや王馬は表情を消し、虫かごの所まで歩を進める。爪先でこつんと蹴ってみても、困ったような制止の声は二度と聞こえることはなかった。 「…なーんだ。覚えてたんだったら『嘘だよ!』まで聞いていけよバカ。」 誰に向けた訳でもない呟きはそよ風に溶けて霧散する。ふわりと髪が揺れるのも自分のものだけだとただ鬱陶しいだけだった。 わかっていた。わかっている。月見草も、スノーフレークも、スノードロップも。全てを獄原に教えたのは王馬だったのだから。それらの意味も、全て。バカではあるが頭は悪くない獄原のことだ、きっと王馬が教えたことをちゃんと覚えていたのだろう。だとしたら先程の涙も嘘だったのだろうか。今となってはもう知る術がないのだけれど。 思えば獄原は白に縁のある男だった。穢れなき心。一面の銀世界。トイレットペーパー。死んだ入間の白い顔。そして、王馬の白い服。そんな獄原がこの世界で最期に見た景色がスノードロップの花畑というのはなんと皮肉なことだろうか! 虫かごの中に摘んだばかりの花束を乱雑に放り込み、ついでに近くの木に咲いていた桑の花も添えてやる。真っ白な即席ブーケの完成だ。これで寂しくないだろう? 「待っててねゴン太。オレもすぐ行くから。にししっ!」 酷く幸せそうな笑い声と共に響く、ぱしゃりという重い水音。少年達がいたはずの大地はもう何の音もせず、虫かごの他に立つものもない。ただその赤く染まった土と虫かごの中の白が寄り添う様がどこか厳かで、ここが二人の『本当の墓』であることを確かに感じさせるだけだった。
作・けるくっく
絵・くまころ様
※あとがき※
月見草は6/21の誕生花で、花言葉は『無言の愛』です。さてこの花が供えられていたお墓、読まれた皆さんは誰のお墓だと思いましたか?入間?王馬?それとも、ゴン太? 普段は全ての人に同じ情景が浮かぶような文を心掛けている私ですが、今回は利き小説ということであえて読み手によって解釈が変わるような文章を書くことを目標にしました。行間もなるべく空けず、本編軸に見合った文体に近付けるよう意識したつもりです。正直めっちゃ難しかったです。くまころ様のイラストのドラマ性が素晴らしくこの世界観を壊さないようにどう料理したものかと悩みましたが、なんとか形に出来てほっとしております。初めの問いに戻りますが、今回は『誰のお墓と感じるか』によってその後の2人の行動意図、心情変化、花言葉の受け取り方など微妙に違って見えるように工夫してみたつもりです。少しでも掴み所のない本編の王獄を表現出来ていたら幸いです。 …とかなんとか言いつつもその後答えを知っている参加者様と少しお話してみたところ、文の終わり方、平仮名の小文字、表題などに私の癖が存分に出ていたらしいので次回またこういう機会がありましたらそこも含め徹底的に偽装してみようと思います(笑) 読んで頂いた皆様と素敵なイラストを描いて下さったくまころ様にたくさんの感謝を。本当にありがとうございました。
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廻る、パンドラ
作・火薬庫様
絵・小中居 んだろぅ様
※あとがき※
こんにちは、火薬庫です。この度は文字書き枠で参加させていただきました。 「え、何でお前が文字書き様枠にいるの?馬鹿なの?しぬの?」と思われた方、あなたは正しい。 普段はどちらかというと頭がかわいそうな漫画を描く方が多いものでしたから、お話をいただいた瞬間は嬉しい気持ちと劇物が混入して場を乱さないかという不安が半々でした。とはいえワクワクには抗えず、その後3分��せずに参加を決心した次第です。ウルトラマンならもう少し粘るというのに、この即落ち2コマっぷりよ。 作品を作ってみての感想ですが、簡潔に言うと「試行錯誤」でした。 まず小中居さんの素晴らしいイラストを拝見した瞬間、語彙力が溶け、思わず自分が清少納言であると誤認したことを記憶しています。 「何を言ってるんだこいつ」「病院行ってこい」と思われた方、あなたは正しい。それだけの衝撃だったのです。既にご覧になった方はわかってくださるでしょうが、だって神絵なんだもの、しかたないじゃないか。かやを その後自分が清少納言などではなく単なる劇物であると意識を取り戻し、改めてイラストと向き合いました。 描かれた王馬とゴン太、背景、配色、構図、独特の雰囲気…。それらを全て損なわないよう注意を払い、なおかつ読み物として体をなす文章を組み立てること。 「やれるのかこれは…」と視線をさ迷わせても、目に入ったのは映画監督が「カメラを止めるな!」と吠えてる映像だけだったので、まずは妄想を止めないようにしました。 結果、「このイラストのシチュエーションは『荷物が届いた場面』にも『これから梱包する場面』にもとれるし、視点を変えれば『箱は送られたのではなく元からここにあって、それを王馬が勝手に開けようとしている場面』にも見える」等々、色んなものが思い浮かんだ次第です。ありがとう映画監督。 どの視点、どんな場面の話にするか?それは物語として面白いものなのか?王獄らしい萌えはあるのか?2人のキャラクターは生かされているのか? …ということを延々と脳内でこねくり回した結果、「あのイラストは『梱包直前の場面』と『箱を開ける場面』の2つを表現している」という骨組みができました。これが今回最大の工夫、と言えるものかもしれません。 あとは2人の関係性、文体、どんな書き出しとオチかというのを一通り決めて、文章自体は勢いで書き上げました。 ちなみに「口を塗ってやろうか」というのは完全なる誤字の賜物でございます…。 他にも例えば ・良い子は寝る時間に寝てない2人、つまりそういうことだよ ・パンドラが開けてしまった箱には様々な災厄が詰まっていたが、最後に残っていたのは希望である。ってばっちゃが言ってた ・どうしても文章の中に組み込めなかった「蛍光ピンク色の空間」。 あの色が非日常的な雰囲気を更に醸し出している、小中居さんすごい→あばばくみこめないあばば→午前二時という非日常的な時間、大きな箱に呪文を三回という非日常的な行動で、なんかこう、雰囲気出るといいないいな おうごくっていいな(逃亡)(逃げたぞ、追え!) などなどあるのですが、これ以上は冗長以外のなにものでもないので、これにて���切りとさせていただきます。 改めまして、このような素敵な企画を立案および実行してくださったけるくっく様、そして参加者の皆様。楽しい時間、素晴らしい機会をくださり、本当にありがとうございました。 それでは皆様、これからも楽しい王獄ライフを !
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