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ルーチェさんもリュートスさんも亡くなって、彼女をゆるすことができるのはフィール姉妹しかいなくて、でもアイリィはなにも覚えてないから、シャリィが紫苑と面と向かって向き合う時こそが紫苑さんが救われる時でもあるんだよね
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いつか自然に笑えるような日が来るのだとしたら、その頃には、きっとあいつとも向き合える気がするのだ
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運命だと、思ったんだ。
これはきっと、僕にとって、とても大事な出会いだったんだって。
彼女の力強い真紅の瞳が、目に焼き付いて離れない。
この日の出来事を、僕は一生忘れないのだろう。
そう、きっとこれは、運命だった。
CLEAETE
ドン、ドン、ドン。
決して良心的とは言えない、力強く扉の叩かれる音に、眠りについていた意識が覚醒する。むくりとベッドから起き上がり時計を���認すると、まだ早朝のようだった。依然扉は鳴っている。
──まだ寝れる。
そう判断し、もう一度毛布にくるまると、先程よりも強い力で扉が叩かれた。
「おい、カルテ!お前起きてるんだろ?二度寝決め込む前にいい加減出てきたらどうだ!」
扉の向こうからハキハキとした男性の声がかけられる。どうやら扉の向こうの男性は、かなりご立腹らしい。加えて、こちらの考えていることなどお見通しのようだった。
自然と深いため息が漏れる。これ以上寝たふりを決め込めば、彼に更に怒られるのは目に見えていた。
「はいはい、朝から何の用?レン」
扉を開けると、やはりご立腹の様子の青年が立っていた。燃え立つような赤い髪とは逆に、落ち着いた翡翠の瞳。黒髪や青髪、黄色の瞳が多いこの国では珍しいカラーリングだ。
「何の用ってな……。お前、昨日言っただろ!今日は折角のクメヒュトス祭なんだから、いい加減引きこもりはやめて外に出るぞって」
「そんなこと言って──……た……ような気もしなくはない……かも?」
──そんなこと言ってたっけ?と言おうとして、訂正する。たしかに昨日会った時、そのようなことを言っていた気がする。
整った顔を大いに歪め、彼は呆れた様子で長く、そして大きなため息をついた。
「とにかく、今日はしっかり外出してもらうからな。外で待ってるから、早く準備して来いよ」
「えっ、まだ早朝だよ?せめてもうひと眠りぐらい……」
「駄目だ。お前、そうやって前に夜まで寝てたことあるだろ。ほら、分かったらさっさと着替えてこい」
有無を言わせぬ表情でそう言い放つと、レンは外に出ていった。足音が聞こえないので、どうやら宣言通り外で待っているらしい。
──これは早く準備しないとまた怒られるなあ……。
彼は優しいが、怒ると容赦をしないタイプだ。仕方ないと腹を括り、僕は準備を始めた。
レン。それが僕のたった一人の親友の名だ。遠い東の国出身だが、幼い頃からこの都市で暮らしている。彼はとても面倒見が良く、そして優しい。年がら年中引きこもって変わり者と呼ばれている僕にも対等に接してくれる、数少ない人物だ。彼がしっかりとした性格の分怒られることも多いが、僕はこの関係を気に入っているし、彼も多分そう思ってくれていると思う。
着替えを終え、閉じられていたカーテンを開ける。ここ数日ずっと閉め切っていたため、この部屋に��の光が差し込むのは実に久しぶりだ。
窓の外を見下ろすと、まだ朝早いのに外は賑やかで、どこか浮足立っていた。
窓に背を向け、財布をズボンのポケットに突っ込み部屋を出る。さっきからそんなに時間は経っていないはずなので、きっと彼は怒りはしないだろう。
それに、なんていったって、今日は年に一度のお祭りなのだ。
この世界には、全ての生き物が共通で崇める神が存在する。クメヒュトス。この世界を創造したといわれる、赤き竜の神だ。
この神の存在は、彼(もしかしたら彼女かもしれないが)が創り出したという語り部達が証言している。
彼ら語り部は何千年も昔から存在する種族で、世界の歴史を語り継いでいる。その中で、彼らはたしかに、クメヒュトスという神の存在を明確に語っているのだ。
語り部は絶対に噓を語らない。ある世界的に有名な魔法使いがそれを明言したこともあり、この世界に生きる者でそれを信じないなんて者は、よっぽどの天邪鬼ぐらいだ。
そんなこんなあって、僕らはクメヒュトスという神の存在を信じ、崇めている。そうしてできたのが、クメヒュトス祭と呼ばれる年に一度の祭事だ。
この世界に戦争は存在しない。かなり昔は頻発していたようだが、現在は全ての国が和平を結んでおり、国同士の争いというものはもはや空想の存在とまで呼べるものとなっていた。
クメヒュトス祭は、年に一度どこかの国で必ず行われる、クメヒュトスに感謝を捧げる祭りだ。行われる国は毎年違い、国ごとに特性が良く出るため、遠い国から祭りのためにわざわざ訪れる者も多い。勿論、信仰心の高い者も同様に集まる。もし戦争が頻発していたのなら、有り得ない光景だっただろう。戦争と呼べるものがなくなった今、それは一種の平和の象徴となっていた。
「お、やっと出てきたな」
再び扉を開けると、先程とは違い柔らかい雰囲気をまとったレンがいた。先程は中々起きてこなかった僕にややご立腹されていただけで、普段はとても優しい、気のいい青年だ。
「あんまり待たせると、また怒られちゃうからね」
「さすが、分かってるな」
「伊達にいっぱい怒られてないからね!」
そりゃ良かった、と笑うレンに、なるべく早めに行動しておいて正解だったと判断する。
「でも、こんな早くからお祭りってやってるものなの?やっぱり、もう少し時間置いてからの方が良くない?」
「そこは問題ない。たしかに朝早いけど、もうやっている露店も少なくないらしいからな。外からの客も多いし、毎年どこもそんなもんらしいぞ。それに、いつもより何倍も町が華やかになっているから、見ているだけでも飽きはしないだろ。中心街に行く頃にはだいぶ日も上がってるだろうしな」
レンの言う通り、窓から見た町はたしかに華やかな雰囲気をまとっていた。僕達が住んでいるところはこの都市でも少し郊外の地域だから、きっと中心街へ出たら窓から見た景色よりもすごいことになっているのだろう。
ラルサイド。世界で一番小さな国といわれるノアローチの首都であり、僕の住む都市の名だ。世界で一番小さな国の首都となると、やはり首都も世界で一番小さかったようで、かなり狭苦しい。土地の広さに反して人口は無駄に高いため、そこら中に建物が敷き詰められているのだ。複雑怪奇と化した通路で迷う者も少なくなく、地元の者でも迷子が発生するほどのこの都市では、迷子の依頼が後を絶たない。勿論今日も例外ではないだろう。正直、こんなところでよくクメヒュトス祭を開こうとしたと思う。
狭い通路を抜け大通りへと出ると、やはり予想通りかなり華やかな雰囲気へとなっていた。家を出た時より時間は経ったものの、まだ朝にも関わらず紙吹雪が宙を舞い、屋台には人が賑わい、この国の外から来たであろう者達が溢れ返っていた。
外に出るのは数日ぶりとはいえ、いつもの雰囲気とはかなり一変していたため、つい圧倒される。
「うわ……本当に今日お祭りなんだね。僕、クメヒュトス祭を実際に見るのは初めてなんだ」
「俺もだ。びっくりするほどお祭り騒ぎって聞いてたけど、まさにその通りだな」
クメヒュトス祭の中での一番の重大なイベントは、夜である。僕も話でしか聞いたことがないが、祭りの参加者全員が街の中心部に集まり、クメヒュトスへの祈りを捧げるという。それまでは文字通りのお祭り騒ぎらしく、例年凄まじい盛り上がりをみせるらしい。どうやら、その盛り上がりに時間はあまり関係無いようだった。
「今日は色々な国から露店も出てるらしいし、カルテのペースで見たいところに寄っていいぞ」
「本当!?」
「ああ。カルテはラルサイドから出たことないんだろ?良い機会だし、まあ誘ったのは俺だからな」
「さすが、持つべきものは友達だね!」
こういう時だけは調子いいよな……と苦笑するレンの言葉は聞かなかったことにして、意識を路上へと向ける。露店を回りながら向かえば、ここから中心街までは大体一時間もすればたどり着けるだろう。その頃には日も十分にのぼり、ちょうどいい時間になるはずだ。
外出は嫌いというわけではない。それよりも、部屋の中で本を読んでいたり、何かを研究したりすることの方が性に合っているのだ。だが、たまにはこんな日も悪くないだろう。
ファイルを漁ってたら見つかったいつ書いたか分からない本編冒頭
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「エテルニカ殿……ほ、本は……」
「ええ、ここにありますわ」
先程レベリオにとられた本を片手に、イリアが微笑む。いつの間にやら取り返していたらしい。
絶望的な状況だったが、最強の魔法使いと畏れられる彼女が来たことによって、この状況にも少しは希望が見えてきた。ネール達も未だ顔は険しいが、ほっとしているように見える。
「わたくしが来たからには、もう安心してくださいな」
「すまない、エテルニカ殿……。ご迷惑をおかけする……」
「迷惑だなんてとんでもありませんわ、タグラス卿。だって……」
そう、僕らは安心していた。きっとこの状況も一変し、彼らも捕らえられ、タグラスも傷を癒し一件落着するものだと、誰もがそう思っていた。何故なら……
「──もうこれで終わりですから」
彼女が味方であると、信じて疑っていなかったのだ。
何かが落ち、何かが噴き出る音が響く。この一瞬、誰もがまさに時が止まってしまったかのような感覚だった。いや、彼らはそうではなかったかもしれない。レベリオがうげ、と顔を顰めた。
「迷惑ならもう十分被っていましてよ、タグラス卿」
「ぱ、ぱ……?」
何事もなかったかのようにイリアが立ち上がると、ネールが信じられない、というような顔で呟く。その声に弾かれたように、僕らも我に返った。
イリアの足元には、首が転がっていた。他の誰でもない、タグラスの首だった。魔法による切断だったらしく、とても滑らかな断面だった。しかし血はとどまることを知らず、今もなお流れ続けている。
「──パパ!!」
ネールの悲痛な叫び声が響く。足をもつれさせながら父親だったものに近づき、首に触れようとし、やめる。当たり前だ。彼女はそこまで死体に慣れているわけではない。イリアは何事もなかったかのようにレベリオ達の方を向き、睨む。
「あなた達、仕事が遅すぎる。いつもこうなの?ちゃんと遂行してくれればやり方に文句は言わないけれど、何故私が直に手を下さなければならないのかしら?」
「ほら、お前がちゃんと結界張ってれば……」
「ちょっと、僕のせいにしないでよ。デインだって早くこいつら仕留めてれば良かったじゃん。そしたらその間に……」
「言い訳無用!」
「すんませーん」
「すいませーん」
イリアの一言に、二人が声を揃えて謝罪の声を出す。
──グルだったのか。
その話し方から、この三人ははじめから仲間だったことを察する。いや、四人か。クバーレの方を恐る恐る見やると、彼は我関せずといった様子で、入ってきた時と変わらずアイリィの後ろに立っていた。アイリィは逃げるに逃げられずかなり困った表情をしている。助けてあげたいのは山々だが、今不用意に動けば即座に殺されてしまう気がして、声を出すことすらも躊躇われる。
そんな中、ネールだけは違った。
「どうして……どうしてこんなことを……!」
ボロボロと涙を零しながらネールが訴える。彼女は未だ、父の首には触れられていない。
イリアはネールを一瞥するが、答えない。
「どうして父は、殺されなきゃいけなかったんですか……!!」
──僕も詳しい事情はいまいちだけどさ。相当何かやらかしたんでしょ、そのおじさん。
似た質問をされたレベリオが答えた言葉を思い出す。
何かをやらかした。タグラス・ローザンヘルツは、イリア・エテルニカの気に障るような何かをやったというのだろうか。僕らが彼と関わったのはこの一日だけだが、少なくとも彼が他人に対して何か不快にさせるような言動をするような人物とはとても思えなかった。とても温厚で、娘想いの優しい父親だ。そんな彼が、あの大魔法使いに殺されてもおかしくないような何かをやっただなんて、到底信じることができない。
不意に、イリアがネールから目を逸らした。
気まずくて逸らしたとか、そういうものではない。他に見るものがあって、逸らしたのだ。
「えっ……」
彼女の吸い込まれるような紫の瞳は、たしかにアイリィを見つめていた。そして、彼女の方へと歩みを進める。
タグラスが殺されたとき、一番近くにいたのはアイリィだ。それが衝撃的だったのか、彼女は怯えたように数歩後退る。が、後ろにはクバーレがいるため、その距離もほんの少しのものだった。
「アイリィ・フィール」
気付けば、彼女の目の前にはイリアがいた。僕らが動かなければいけないのは分かっているのに、まるで金縛りに遭ってしまったかのようにピクリとも動かない。
「────」
「え……?」
ふと、クバーレがアイリィに何かを耳打ちした。ここからだとなんと言っているのかは聞き取れなかったが、それはアイリィを落ち着かせるには十分だったらしく、目を丸くしてクバーレを見返していた。そして、ゆっくりとイリアさんに視線を移す。
「これはあなたにあげるわ。元々、あなた達の物だから」
イリアはそう言うと、先程の本を差し出した。アイリィは何か言��たげだったが、おずおずとそれを受け取る。
「あなたはまだちゃんと中身を見ていないようだったけれど、少し読めばその意味もすぐに分かるはずよ」
目で催促され、若干の気まずさのような表情を浮かべながら、アイリィはページを捲る。最初はゆっくりだったが、ページを捲る度にその一連の動作はどんどん早くなっていく。
「アイリィ、読めたの……?」
その様子を見て、僕は呆然と呟いた。たしかにあの時、彼女はその本が日記のようなものだということを当てていた。だが、それはあくまで彼女の勘であると本人も言っていて、僕らも特に疑わなかった。それは皆思っていたらしく、レンがどういうことだ、という表情でこちらを見つめていた。僕は彼に向って首をぶんぶんと横に振る。
「イリア……エテルニカ……」
「何かしら?」
アイリィが彼女の名を呟く。ゆっくりと顔を上げたアイリィの顔を見て、僕はぎょっとした。
「──あなた、どこまで知っているんですか」
彼女のその様子には見覚えがある。ダズの館の地下室で、ネロと対峙した時の彼女の様子と同じものだった。つまるところ、かなり怖い顔をしていた。
「さあ……どこまでかしら」
イリアは特に何も気にしていない様子で、うっすらと笑みを浮かべている。
「でもあなたももう気付いているんでしょう?──私がタグラス卿を殺した理由」
ネールがはっと息を呑む気配がした。アイリィはバツが悪そうに目を逸らす。いよいよわけが分からなくなってきた。
「さあ、戻るわよ」
「え、もういいの?」
「もうここに用はないわ」
言いたいことは言った、といった様子でイリアが身を翻し、クバーレが彼女の後ろをついていく。アイリィは黙ってその姿を見つめていた。
「──待ってください!」
声を張り上げたのは、またしてもネールだった。
「まだ質問に答えてもらっていません!」
「あら、今の回答じゃ不満だった?」
「当り前です!」
感情を爆発させたように食い下がるネールに、イリアは深いため息を吐いた。
「残念だけど、これ以上私の口から答えることなんてないわ」
「殺すだけ殺して、それがあの稀代の大魔法使いのやることなんですか」
「そうね。私はとっても臆病な卑怯者だもの」
「っの……!!」
軽くあしらうイリアに、ネールはもうかなり限界のようだった。
「理由が知りたいならその子にでも聞いてみたら?まあ、多分答えてくれないとは思うけど」
そう言うと、彼女達の足元から風が吹き出し、魔法陣が浮かび上がった。恐らく、転移魔法なのだろう。
「逃げるんですか!!」
「殺人犯がいつまでも殺人現場にいたらおかしいでしょう」
イリアはそう微笑むと、またアイリィの方を見つめた。
「どうするかはあなた次第よ。あなたがどんな選択をしようと、私にはそれを止める権利は無い」
「……イリア、さん」
「それじゃあ、縁があったらまた会いましょう」
そう言う��否や、イリア達の姿は跡形もなく消え、魔法陣もすぅ、と溶けるように消えていった。
ファイル漁ってたら見つかったいつ書いたか分からないタグラス編
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ファイル漁ってたら書いた覚えのないノイスさんの独白メモが出てきていつ書いたかも分からないけどとても興奮したからやっぱりわたしの趣味はわたしが一番知ってるな
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これはすっごく不思議な話なんですけど、シャリィを左右反転するとアイリィだ!ってなるのにアイリィを左右反転するとシャリィだ!とはならないんです なんでだろう
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自分ならソルテールに入学できる!って自信を持ってやってくる魔法使いが多いけどその9割はアレン先生の一言感想で折れる。平気で不合格ですって言ってくるし実際不合格
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ソルテールの受験、アレン先生が実技試験担当してるけど心ない言葉をかけてくるから自信を持って試験に臨んでくる少年少女の心がバキバキ折れるおかげで待機会場がお通夜状態
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