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つつじを食んでわらった日のかさぶた 風が 抱えた荷をうたう いとおしいくるぶし まぶた まばゆさの縁取り すべての距離をつなぐと、信じているということ 正しい言葉がつかえなくても だれも傷つけたくはないんだ
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きこえますか、わたしを生かしたひと。
遠くいつかの星々、雨音がよぶゆめ、朝焼けのいとしさとおそろしさを、ただ叫んでいたころ。宛名のないまま行き交うことばたちが、確かにわたしの影をつくっていた。
手探りも大人のふりもやめられずにいる、けれども知っていたはずのうたは、神さまではなく灯りになった。さみしさは決してこわくない、それを伝えるすべがないことばかりが、ときどき後ろを���り向かせる。
わたしの底にかけらを埋めた、なつかしいひと。いまなにを見ていますか、孤独にふるえる日はありますか。いのちが、こころが、健やかであることを、あなたに宛てて祈ります。
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緩やかに落ちた瞼は祈りだと勘違いしそうになる、そういう虚像を結んで、ひとはみな遠くへ行くらしい。かなしいのですか、かなしいのですか、その傷は、どこまで抱きしめていられますか。名前を知らない花が胃袋に居座って、背骨に埋まった青色に木霊する。イルミネーションの白々しさに慣れるのは幸福だ。わたしが忘れたことをきっと誰かは覚えている、思い出は海で、だから寒さに震えながら見つめてしまうのだ。
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手を伸ばすには勇気がいる、そのことを知っているから歩ける夜にいて、わたしはいつだってみんな健やかでいてほしいと思っている。秩序と平和をいっぺんに抱きしめたい。重力の狂った天秤にきみをのせて、飛べない翼に口づけたい。誰もいない森に耳をすませる時間で、すくわれる昨日があると信じてみたい。触れて、なみだを零すだけですぐに思い出せる春、そんなものただの不健康に決まっているだろ。こっちを見てよ。風があまりにも強いから、呼ばれているように感じるだけだよ。
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青白く積もった朝を見上げて、思い出す、無事を祈るときの肌寒さ。季節をまたひとつ拾ったの、 たったそれだけを大切にできていたあなたに会いたい、いますぐに。
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夜を歩くリズム、しっぽのない野良猫、雫の封印、歯車だらけの情熱、死んでしまった残像、齧りかけのクッキー、どこまでも明るい絶望
眠ればゆるされるといつか知るでしょう、誠実さを諦めて前を向けるほど強くはなれない
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はじめまして のない世界で、どうやってきみを描いたらいい 夜はさみしい、朝はかなしい 沈黙は約束 生まれなかった涙の名前
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じぶんのからだの在処がゆるやかに曖昧になってゆく月曜日の午後、むずかしい言葉を注意深く避けたって、誰にでも届くものはそうそう生まれないけれど、わらってほしいひとがいる、それはとても幸福なことだ。春になったよ、ほのかな灯りに浮かぶ細いみち、きょうもちゃんと生きています。春になったよ、見つめなくてはいけないものを探しながら、かかとにうずまく夜を撫でる。
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ため息のような小石のような雨に濡れた花びらのような、それをやさしさと呼んで抱きしめたら、あなたの隣に立てるのでしょうか。春を忘れるほどの温度が足首にまとわりつく、明日はめぐってきます、あなたの赤色が絶えるまでは。
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いつか、ほんの少しのあいだだけ話をしたお姉さんを、ふとしたときに思いだす。泳ぎ疲れてプールサイドで休憩しているみたいな空気、お互いの言葉を持ち寄ってかじった夜、お姉さんの孤独はさむくて花が降ること。わたしはまだおぼえているし、きっと忘れられない。どこかで、生きて、できれば健やかに、毎日を歩いていられますように。わたしの背骨にはあなたのかけらがいくつも埋まっていて、ときどきやさしくひかっています。
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ひとりの部屋、むやみにおはようを言いたくなって胸がつまる、ささやかな日差しを暴力に感じてしまうそばから、あてもなくただ慎重に、呼吸、いいでしょう、見よう見まねのステップでマグをゆらし、まだとおくの後頭部に星をとばす魔法、蛇口からおそるおそる顔をだした滴が跳ねて、やわらかな手首の波と共鳴する、ゆうべのささやきを連れてどこへ行こう、やさしくなれたかどうか、あとでこっそりおしえてね、
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春の満月と秋の毛布でできているわたしはきみの名前を知らない
ため息が耳のうしろをかく癖をなぞって眠る夢は忘れる
食べかけのおにぎりのようないとしさを爪を切るときふと思いだす
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