東京の記録その1
演劇を観るために東京へ。
いつもは夜行バスとかで早朝に着いて、
駅近くのカフェテラスで朝ごはんを食べながら、
丸の内に出勤する人たちの列と、
だんだんと多くなっていく観光客の様子を見ていた。
今回は正午に到着して、駅はすでに人で溢れている。
圧倒されて、出口も間違えて、目的地まで1時間以上かかってしまう。
丸の内駅舎のドーム天井。
行き交う人の流れの中で見上げる。
私の定番の観光場所、KITTE内インターメディアテクの展示場へ。
外はあれだけ人が多いのに、静かで人がまばら。
みんな思い思いの過ごし方をして、ソファで居眠りするおじさんもいる。
地下鉄で神保町駅へ。
去年、とても良い本が見つかった田村書店。
入り口は開いてるのに店主が阻むようにじっと外を見て座っている。
声をかけて中へ入ると、
とうとう店内の客は私ひとり。
あれだけの喧騒と雑踏をくぐり抜けて、
行き着いた場所は、
本の呼吸が聞こえそうなほど静かで、
古い紙の良い匂いがする。
ここが私の求めていた東京。
2024.9.13
1 note
·
View note
夏の間ぜんぜん更新していないのは、
毎日電車に乗らなくなるから。
通勤電車は嫌だと思う反面、
この時間に色々無駄な考えごとをしている。
充足すると消えるものがある。
あっという間に夏が過ぎて、
海の家も解体されて、
バラバラの組み木になって浜に横たわっている。
2024.8.29
0 notes
昨日、海の家の骨組みが建ち始めていた。
もう夏が準備している。
2024.6.10
1 note
·
View note
帰り道を歩いていると、
むこうのほうで赤いリボンタイに紺色の制服を着た高校生2人が何かを見ている。
曲がり角にある生垣のほうに視線を向けながらゆっくり近づいている。
私からはちょうど見えない。
しばらくして、ひそひそ言い合いながらまた歩き始めた。
「ぜったい居たよね」
「あそこに見えたよね」
「うん、見えたよね」
「ぜったいそうだよね」
そう言い合いながら過ぎ去っていった。
猫なら猫と言うはず。
なにかがいたんだと思う。
ぜったい。
2024.5.29
1 note
·
View note
工事中の道端を歩くと、夏の匂いがした。
熱くなったコンクリートの匂いだった。
2024.5.18
0 notes
Simon and Garfunkel “Scarborough fair”
Elvis Presley “Love me tender”
Beatles “Blackbird”
これまで少しずつ色々な音楽を聴いてきたけれど、
好きな曲は何かと聞かれると、
この3曲が思い浮かぶ。
幼い頃の私たち姉妹を眠らせるために、
父が弾いてくれていたアコースティックギターの音が染み付いてしまっているのだろうか。
大学の頃は、生楽器と電子音を上手く混ぜ合わせられたらいいなと思っていたけれど、
結局は混ざることなく機械のほうに寄ってしまった。
どんなツールを使っても、良い曲はある。
それでももしかして、
口ずさむことができる曲を
今は必要としているのかもしれない。
2024.5.15
1 note
·
View note
大河小説とは真反対の話を小川小説と呼びたい
0 notes
今日は通勤の選曲が上手くいって、
改札を通る前に一回転して出たくなるような気分だった。
ミュージカルの人みたいに。
映画が終わって、シアターから出た瞬間に
主人公のアクションだったり、ダンスを真似している子どもを今までに何度か見かけた。
言ってみれば、まさに私もそういう子どもだった。
主人公気質というか、
真似しているというよりは、本当になりきってしまう。
もちろん再現力は無いので、周りが見ても変な動きをしているだけの恥ずかしいアレ。
そういう手放しで自分をステージへのし上げてくれるような性格は、
いつからか雲隠れしてしまった。
覚えてる限りでは中学になってからだろう。
それでも、本当に無意識の瞬間に
そういう自分が顔を出すことがある。
それは、人目のない、誰のことも気にしなくていい状況が多い。
人前では出てくることのないそういう自分の一部を、
ある種の妖怪なんかと同じように密かに愛でてあげたい。
2024.4.30
1 note
·
View note
誰しもちょっとした遊びをいくつか持っている。
白線の上を歩いたり、イヤホンで聴いてる音楽と同じ拍子で歩いている人を見つけたり、
あの信号が赤になる前に渡りきれたら今日はラッキーな日にしたり。
私が最近気に入っている遊びは、
①なるだけ遠くの何かを見つける
(遠くの船とか、飛行機とか、向こう島の灯台とか)
②そこにいる人の目線から
自分の今いるほうを想像して見つめ返す
という方法。
通勤電車から釣りをしているおじさんが目に止まる。
いいな、朝から海で気持ちよさそうだな。
おじさんの目線になって自分のほうを眺めると、
電車の中に自分が見えて、一瞬で過ぎ去っていく。
波の音が戻る。
2024.4.24
1 note
·
View note
三宮の雲井通にあるサンパルという
いかにも古い商業施設が、
新たなビル建設のために壊される。
私のいちばんお気に入りの喫茶店も一緒に。
コーヒー330円。
メニューも縦長の1枚だけで、
飲み物だけだった。
内装はすっきりしていて、
通りに面した広い窓際に座って、
2階から通行人を眺めるのが良かった。
お昼に行くと、近所の会社から来たであろう
枯れたサラリーマンが何組かいて、
こういう人たちで支えられているお店だろう。
店主の妻らしき人が注文を聞いてくれて、
何も喋らない店主がコーヒーを淹れる。
60代くらいのご夫婦だった。
とにかく整っていた。
店内は古いのに埃が無くて、
喫茶店にありがちな意味不明な置物もない。
テーブルに出されるお手ふき、水のコップ、
コーヒーカップ、ストローなどを、
その人なりの美学で置いているのが分かった。
最後に行くことはできなくて、
すでに工事のシートに包まれたビルの前で唖然とした。
入り口に立っている現場の人に聞くと、
移転はせずに、これを機に閉めてしまったという。
少しの間足を運べなかったことがくやしい。
2024.3.21
1 note
·
View note
今日は青かった。
空は薄雲が広がっていたけれど、青い部分も見えていたし、
海も青かった。
昨日の不思議な真っ白は、特別だったのかもしれない。
それでも、全体に靄がかかったような春の海には違いなかった。
2024.3.15
0 notes
真っ白だった。
黄砂なのか、薄い雲なのか、
晴れているのに空も海も真っ白で、
境目もほとんど見えない。
遠くの船が空中に浮いている。
春先の海は特に不思議。
2024.3.14
0 notes
アイディアは長く温めすぎると腐ってしまう。
姉から借りた楠本まきさんの漫画で、
そんなことが書いてあった。
そのとき16歳くらいの私は、
確かにそうかもしれない。と思って、
それから何年か経ってからは、
実際にそれを感じるようになり、
今となっては、
いったい今までいくつアイディアを腐らせてしまったのだろうと、
半ば途方に暮れている。
今、賞味期限が近づくアレは、
どうにか間に合ってほしい。
2024.2.27
0 notes
50分の3。
私を含めて、通勤列車から海を眺めていた人の数だ。
須磨から塩屋にかけて、
海の上を走っているように思えるほど美しい景色が見える。
もちろん、明け方まで起きていたとか、
朝のミーティングまでに原稿を仕上げたいとか、その日だけの様々な理由はあったかもしれない。
それでも、朝の満員列車で、
海が見える側に座ったり、立ったりしている人たちの中で、
その眺めを見つめていた人は、3人だった。
50分の3。
唯一無二ではないけれど、
かといって多数かと言われれば違う、
その感じが、私の世間的な立ち位置にも通じるように思えた。
2024.2.17
1 note
·
View note
まだ薄く明るい時間帯に、
外灯がともる瞬間を見るのが好きだ。
ペールブルーやサーモンピンクの空を背景に、
遠くに見える集合住宅の廊下とか、
どこまでも続く道路とか、
駅のプラットホームとか、
浜辺沿いの遊歩道とか。
何時からが夕方で、何時からが夜だと思うのか、
人によって少しずつ違う。
前に、夕方くらいに会おうと話していて、
19時はどうかと伝えたら、
それはもう夜だと言われた。
私は夏の感覚を、年中採用しているようだ。
夕方なのか、夜なのか、
曖昧な時間帯に外灯がともる。
その瞬間に立ち会えたら、
ラッキーなのは間違いない。
2024.2.10
1 note
·
View note
君は、青春映画の少年たちと同じ目をしている
脆くて
胸が痛くなるほど澄んでいて
どこまでも孤独
2014.3.20のメモ
0 notes