crossmodal-design
URCF クロスモーダルデザインWG
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人間の感覚��もつクロスモーダルな特性をインタフェース応用する技術の調査と体系化を中心として,新しい種類の五感技術の将来展望を議論するための会です.
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crossmodal-design · 3 years ago
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第18回 クロスモーダルデザインワークショップ「機械的なフィードバックを必要としない触覚提示方法はどのように設計するか?」
日時
2022年3月23日(水) 15:30~17:00
会場
Zoom
参加方法
下記URLよりお申し込みください。
https://forms.gle/Li5xNgZ3uKToU8a97
多感覚の相互作用に着目し,目で見たり,耳で聞いたり,手で触ったりといった感覚を組み合わせることで,それぞれの感覚の情報だけでは得られない,全く新しい体験が得られます.そうした新しい方法論による体験の作り方は,ものづくりやサービスデザインに活かすことができます。
第18回クロスモーダルデザインWSは,Survey of Pseudo-Haptics: Haptic Feedback Design and Application Proposalsの著者の一人である伴先生に、機械的な触覚提示装置を使用せずに、触感覚を生起させるpseudo-hapticsの研究に関して、この20年間の発展の整理と、視覚刺激の設計に関してご解説いただきます。
今回の内容が、今後のリモートワーク環境での触覚提示手法の検討や、pseudo-hapticsを利用を考えるアプリケーション開発を考えるきっかけになれば幸いです。
論文に関して:
Y. Ujitoko and Y. Ban, "Survey of Pseudo-Haptics: Haptic Feedback Design and Application Proposals," in IEEE Transactions on Haptics, vol. 14, no. 4, pp. 699-711, 1 Oct.-Dec. 2021
https://doi.org/10.1109/TOH.2021.3077619
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crossmodal-design · 5 years ago
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【開催レポート】第17回 クロスモーダルデザインワークショップ「没入型多感覚体験のデザイン」
12月14日に、第17回クロスモーダルデザインワークショップ「没入型多感覚体験のデザイン」を開催しました。会場は立教大学 池袋キャンパスで、多感覚研究会との併催での開催です。企業や大学の研究者、学生らが参加しました。
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第17回クロスモーダルデザインWSは,「没入型多感覚体験のデザイン」をテーマに,多感覚を刺激する体験のデザインに関して議論を行います。Head Mounted Displayの高性能化と低価格化に伴い、VR体験が設計しやすくなってきています。一方で視覚のみの没入では、明らかに体験としての”面白さ”が不足しており、多感覚提示の設計の重要性が増しています。このような状況の中で、触覚の提示を活用して圧倒的な没入型多感覚体験をデザインしている企業研究者をお迎えし、多感覚体験の設計の手法と、今後の多感覚体験の設計に必要なことはなにかを考えます。本ワークショップでは,小型電気自動車をベースにしたVRモーションプラットフォームを研究されている豊田中央研究所の小玉亮氏,共感覚体験装置「シナスタジア X1 - 2.44」のHaptic designを担当した花光宣尚氏をお招きし,それぞれの取り組みについてご紹介いただくとともに,パネルディスカッションをおこないます.
最初の講演は、豊田中央研究所の小玉亮氏に、小型電気自動車とヘッドマウントディスプレイを利用したエンタテイメントシステムの設計に関してご紹介頂きました。小型電気自動車の制御による触覚提示において、加速度・ジャーク(躍度, 加加速度)などをどのようなアルゴリズムで再現したのか、体験の向上の比較などの設計評価の詳細に関してお聞きすることができました。また体験評価において、「この体験1回につき、いくら払えるか?」という評価で定量化を試みている点などが印象的でした。また工学的実装の内容だけではなく、今後の展開に向けた議論もされており、自動車の新しいあり方を知る刺激的なトークになりました。
続いての講演では、enhanceの花光宣尚から、共感覚体験装置「Synesthesia X1 - 2.44」のHaptic designについてご紹介いただきました。これは44個の振動子を組み込んだ装置に横たわり、音と光と振動の共鳴を体感するインスタレーション作品です。使用されている振動子の設計など、装置を���から見て体験するだけではわからない設計の技術的側面を紹介頂きました。またMedia Ambition Tokyo 2019にて展示した際の経験や体験者との議論を紹介いただきました。自己の身体の境界を喪失するような感覚、身体移動感覚、臨死体験を彷彿とした人など様々な感覚を想起した人がいたことが紹介されました。没入型多感覚体験のデザインは、現実には体感したことのない、全く新しい刺激を設計できうることを強く印象づけられる内容でした。
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その後、会場との質疑を行いました。特に印象的な点は、体験の設計で得た多感覚提示設計のノウハウがいくつかあるものの、それの心理学的な裏付けがないという点でした。ゲームやアミューズメントシステムでは、心地よく面白く作ることが大変重要になります。まだ多感覚の組み合わせの設計はエンジニアやデザイナが設計時にノウハウで決めてしまっている点も多いようです。没入体験の設計と評価を科学的に整理していくことで、没入体験のデザインガイドラインが整理されていくことが、今後のクロスモーダルデザインに必要なことが見えたワークショップになりました。
*1 小玉氏の研究詳細に関しては、下記文献に記載があります。
* 小玉 亮, 高下 昌裕, 田口 峻, 藤枝 延維, 梶本 裕之. 小型電気自動車とヘッドマウントディスプレイを用いた体感型エンタテインメントシステムの体感向上効果検証, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 24 巻, 1 号, pp. 103-112, 2019. https://doi.org/10.18974/tvrsj.24.1_103 
* 小玉 亮, 高下 昌裕, 田口 峻, 梶本 裕之. 小型電気自動車とヘッドマウントディスプレイを利用した体感型エンタテインメントシステム, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 21 巻, 3 号, pp. 529-532, 2016. https://doi.org/10.18974/tvrsj.21.3_529
*2  Synesthesia X1 - 2.44 の説明は下記のサイトにございます。
   https://enhance-experience.com/ja/synesthesia-lab 
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crossmodal-design · 5 years ago
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第17回 クロスモーダルデザインワークショップ「没入型多感覚体験のデザイン」
【日  時】 2019年12月14日(土) 14:15-15:45 【会  場】 立教大学池袋キャンパス 【参加方法】 多感覚研究会にご参加下さい。事前申し込みは必要ございません。
【概  要】 第17回クロスモーダルデザインWSは,「没入型多感覚体験のデザイン」をテーマに,多感覚を刺激する体験のデザインに関して議論を行います。Head Mounted Displayの高性能化と低価格化に伴い、VR体験が設計しやすくなってきています。一方で視覚のみの没入では、明らかに体験としての”面白さ”が不足しており、多感覚提示の設計の重要性が増しています。このような状況の中で、触覚の提示を活用して圧倒的な没入型多感覚体験をデザインしている企業研究者をお迎えし、多感覚体験の設計の手法と、今後の多感覚体験の設計に必要なことはなにかを考えます。  本WSでは,小型電気自動車をベースにしたVRモーションプラットフォームを研究されている豊田中央研究所の小玉亮氏,共感覚体験装置「シナスタジア X1 - 2.44」のHaptic designを担当した花光宣尚氏をお招きし,それぞれの取り組みについてご紹介いただくとともに,パネルディスカッションをおこないます.
・登壇者 小玉 亮(こだま りょう) 花光 宣尚(はなみつ のぶひさ)
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crossmodal-design · 6 years ago
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【開催レポート】クロスモーダルデザインミニワークショップ  Carlos Velasco氏講演会
多感覚マーケティングの研究者であるBI Norwegian Business SchoolのCarlos Velasco氏の来日に合わせ,2018年11月5日に東京大学で講演会がおこなわれた.
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講演では,体験の流れと五感との関わりについてまず紹介され,商品イメージを抱き手に取るまでの過程における五感の役割と,商品を体験する際に感じる五感とイメージとの対応の重要性という観点からさまざまな事例が紹介された.
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前者としては,たとえば店内BGMのピッチがフローズンヨーグルトショップにおける購買行動に影響することを示した研究などが紹介された.
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後者としては,実際に食品を摂取している際に音が味覚や触感の知覚,おいしさの認知等に与える影響に関する研究が紹介された.また,そうした知見を活用した事例として,FINNAIRで提供されているスマートフォンアプリでは,機内食をおいしく食べられるように,機内食の内容とマッチしたサウンドスケープを再生する機能が取り入れられていること等が紹介された.
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更なる可能性として,宇宙旅行が可能になったとき,五感の体験がどのようにかわるのか,そしてそういった環境下において五感体験デザインの可能性はどのように拡がるのかに関しても議論がなされた.
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講演後は多くの質問が寄せられ,多感覚マーケティングの可能性に関して活発な議論が交わされた.
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crossmodal-design · 6 years ago
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クロスモーダルデザインミニワークショップ  Carlos Velasco氏講演会開催のご案内
【日  時】 2018年11月5日(月) 15:00~16:00 【会  場】 東京大学本郷キャンパス工学部2号館9階92B講義室 【参加方法】 事前申し込みは必要ありません.
多感覚マーケティングの研究者であるCarlos Velasco氏の来日に合わせ,東京大学で講演会をおこないます.奮ってご参加下さい.
Title: Multisensory experience design
Abstract: Most of our everyday life experiences are multisensory in nature. In other words, most of the time, we interface with the world around us with many, if not all, of our senses, that is, through the way things look, sound, feel, smell, and even taste. Here, I introduce the concept of multisensory experience design, which has the aim to assemble information from the different senses, based upon their systematic connections, in order to achieve a given experience outcome. Did you know, for example, that round and angular shapes (shape curvature) seem to boost how sweet or sour we expect and perceive foods, respectively? Or that the aligning/misaligning of the affect evoked by sensory inputs can influence the valence and arousal of the output experience? Whilst one might not need (nor necessarily be able) to stimulate all of the user’s senses in a given interaction, it is nevertheless possible to capitalize on the best configuration of the available/manipulable sensory cues in order to deliver a given experience. Multisensory experience design is a growing research topic in fields such as Human-Computer Interaction (HCI, Nijholt et al., 2018; Obrist et al., 2017; Velasco et al., 2018), Consumer Psychology (multisensory marketing, e.g., Petit et al., in press; Velasco & Spence, in press), and the Arts (e.g., Vi et al., 2017). It is also a growing trend beyond the academic world as many practitioners now place the human senses at the centre of their design processes. For example, a number of consulting businesses (e.g., Nock), art collectives (e.g., TeamLab), and restaurants (e.g., The Fat Duck) are focusing on the multisensory aspects of the experiences they design for in order to enhance and transform them. Here, I’ll present some of my latest research, and some cases, on multisensory perception, marketing, and human-computer interaction (HCI).
 References
Nijholt, A., Velasco, C., Obrist, M., Okajima, K., & Spence, C. (2018). 3rd international workshop on multisensory approaches to human-food interaction. In Proceedings of 20th ACM International Conference on Multimodal Interaction (ICMI’17). ACM, New York, NY, USA, 3 pages.
Obrist, M., Gatti, E., Maggioni, E., Vi, C. T., & Velasco, C. (2017). Multisensory experiences in HCI. IEEE MultiMedia, 24, 9-13.
Petit, O., Velasco, C., & Spence, C. (in press). Digital sensory marketing: Integrating new technologies into multisensory online experience. Journal of Interactive Marketing.
Velasco, C., Karunanayaka, K., & Nijholt, A. (Eds). (2018). Multisensory human-food interaction. Lausanne: Frontiers Media.
Velasco, C. & Spence, C (Eds). (in press). Multisensory packaging: Designing new product experiences. Palgrave MacMillan.
Vi, C. T., Gatti, E., Ablart, D., Velasco, C., Obrist, M. (2017). Not just see, but feel, smell, and taste the art: A case study on the creation and evaluation of multisensory art experiences in the museum. International Journal of Human-Computer Studies, 108, 1-14.
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 Bio: Asst. Prof. Carlos Velasco
Carlos Velasco is an Assistant Professor in the Department of Marketing at BI Norwegian Business School (Norway), where he co-founded the Centre for Multisensory Marketing. He also holds a Research Fellowship at the SCHI Lab, Sussex University (UK). Carlos received his D.Phil. in Experimental Psychology from Oxford University. His research focuses on multisensory perception, marketing, and Human-Computer Interaction. His work has been presented at conferences such as IMRF, Pangborn, SenseAsia, ICMI, CHI, and TVX. It has also been published in journals such as International Journal of Human-Computer Studies, Food Quality and Preference, Journal of Business Research, Journal of Experimental Psychology: Applied, Frontiers in Psychology, Chemosensory Perception, and Attention, Perception, & Psychophysics. Carlos is also an active consultant. He has worked, and is working with, a number of companies from all around the world (e.g., Asahi Breweries, Symrise, FND, Tate Britain, Norsk Ernæringsfaglig Forening) in topics such as multisensory experience design, food and drink, packaging, branding, and consumer research. See http://carlosvelasco.co.uk/ for more information.
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crossmodal-design · 6 years ago
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【開催レポート】第15 回クロスモーダルデザインワークショップ「新しい身体の可能性は社会で活かせるか?」
10月20日に、第15回クロスモーダルデザインワークショップ「新しい身体の可能性は社会で活かせるか?」を開催しました。会場は東北大学 片平さくらホールで、多感覚研究会との併催での開催です。企業や大学の研究者、学生らが参加しました。
今回のワークショップでは、「新しい⾝体の可能性は社会で活かせるか?」をテーマに、⾃分の声や見た目をデザインできる時代に、⾃分のアイデンティティや他者とのコミュニケーションにはどのような変化が起き、それを社会の中でどのように活用していけるか、また社会活用のために必要なことは何かを議論しました。多感覚フィードバックによって⾝体イメージや⾃己像が変化することで、運動や認知が変化することが明らかになってきている一方で、実社会ではバーチャルリアリティ技術の浸透によって、バーチャルキャラクタを操って配信をおこなうバーチャルYouTuber が登場したり、バーチャル⾝体を操れるオンラインチャットがユーザ数を増やしていたりと、⾃らの⾝体とは異なる⾝体を使ってのコミュニケーションが登場してきています。本ワークショップ では、バーチャルYouTuber として活躍するリリス・AH・リリーホワイト氏、⾝体と認知・行動の関係を活用したVR システムを研究する電通大の櫻井翔先⽣、認知心理学者でフィールドワークを通じて⾝体表現の多文化比較に取り組む中京大の高橋康介先⽣をお招きし、それぞれの取り組みについてご紹介いただくとともに、パネルディスカッションをおこないました。
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最初の講演は、Vtuberとして活動を行っている、リリス・AH・リリーホワイトさんに、ソーシャルVRコンテンツであるVRChatを対象としたアイデンティティと身体所有感の実験についての実験結果の報告を行っていただきました。講演では、Vtuberの歴史や現状、それを支える技術的背景の紹介がありました。また、VRChatでの実験結果として、自己アバタと他者アバタの操作性の違い等が紹介され、アバタ身体の自己所有感に関する議論が提案されました。
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続いての講演では、「アバタが運動と身体に対する自他認識にもたらす作用」として、電気通信大学の櫻井 翔先生からアバタが自己の身体感覚や運動に与える効果を運動能力拡張手法として発展させるための方法論についてご紹介いただきました。アバタの外見に無意識的な身体感覚や態度の変化が運動として表出すると考え、アバタの外見だけでなく見た目の動作がユーザ自身の運動やアバタの動作主体の自他判断に及ぼす影響の調査をおこなった結果に関する報告をご紹介いただきました。
もう一件、「身体選択の自由と認知の恒常性」として、中京大学心理学部准教授の高橋 康介先生からアフリカでのフィールドワークを中心とした身体観に関する議論がおこなわれました。フィールドワークの場において自分自身が周りと異なる存在になる体験から気がついた、身体表現と身体所有者との間の関係性に関して話題が展開され、身体が自由になった社会における認知の恒常性の問題に関して議論されました。
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パネルディスカッションと質疑では、こうした自己と他者の身体感覚を今後の研究ツールとして取り入れるためにどのような工夫が必要か、Vtuberと実世界の人格をどう分けて考えるべきかなど、新しい人格の臨場感提示としてのVtuberの展望と初歩のつながりが見える有意義な会となりました。
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crossmodal-design · 6 years ago
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第十五回クロスモーダルデザインワークショップ 「新しい身体の可能性は社会で活かせるか?」開催のご案内
【日  時】 2018年10月20日(土) 14:15~15:45 【会  場】 東北大学片平キャンパスさくらホール 【参加方法】 事前申し込みは必要ありません.多感覚研究会と併催です.        https://sites.google.com/site/multisensejapan/
多感覚の相互作用に着目し,目で見たり,耳で聞いたり,手で触ったりといった感覚を組み合わせることで,それぞれの感覚の情報だけでは得られない,全く新しい体験が得られます.そうした新しい方法論による体験の作り方は,ものづくりやサービスデザインに活かすことができます. 第15回クロスモーダルデザインWSは,「新しい身体の可能性は社会で活かせるか?」をテーマに,自分の声や見た目をデザインできる時代に,自分のアイデンティティや他者とのコミュニケーションにはどのような変化が起き,それを社会の中でどのように活用していけるか,また社会活用のために必要なことは何かを議論します.多感覚フィードバックによって身体イメージや自己像が変化することで,運動や認知が変化することが明らかになってきている一方で,実社会ではバーチャルリアリティ技術の浸透によって,バーチャルキャラクタを操って配信をおこなうバーチャルYouTuberが登場したり,バーチャル身体を操れるオンラインチャットがユーザ数を増やしていたりと,自らの身体とは異なる身体を使ってのコミュニケーションが登場してきています.本WSでは,バーチャルYouTuberとして活躍するリリス・AH・リリーホワイト氏,身体と認知・行動の関係を活用したVRシステムを研究する電通大の櫻井翔先生,認知心理学者でフィールドワークを通じて身体表現の多文化比較に取り組む中京大の高橋康介先生をお招きし,それぞれの取り組みについてご紹介いただくとともに,パネルディスカッションをおこないます.
【タイムテーブル 】
14:15 - 14:25  クロスモーダルデザインワークショップのご紹介と企画趣旨説明         / 鳴海 拓志 (東京大学) 14:25 - 14:45  講演1:アバタ社会の到来と身体の改変         / リリス・AH・リリーホワイト 14:45 - 15:05  講演2:アバタが運動と身体に対する自他認識にもたらす作用          / 櫻井 翔 (電気通信大学) 15:05 - 15:25  講演3:身体選択の自由と認知の恒常性 / 高橋 康介 (中京大学) 15:25 - 15:45  パネルディスカッション「新しい身体の可能性は社会で活かせるか?」                & 質疑応答         司会:鳴海 拓志(東京大学)                パネリスト:リリス・AH・リリーホワイト,櫻井 翔,高橋 康介
■講演1:アバタ社会の到来と身体の改変
過去の研究では、アバタとユーザとの間に多感覚刺激を同期提示することで、そのアバタを自己の身体として認知する身体所有感の転移現象が報告されている。さらに、自分とは明らかに異なる外見に対してもこの現象を生起することができ、その際、アバタの外見に伴った態度や心理的状態の変化が報告されている。 近年では、VR装置の低廉化や3Dモデル作成の簡易化、ソーシャルVRコンテンツの充実により、気軽に身体を変えて他者とコミュニケーションをとれる時代となった。 本講演では、これらの研究的・社会的背景に基づき、双方のアバタ観をまとめるとともに、双方が抱える今後の課題について考察していく。また、Vtuber研究者として行っているソーシャルVRコンテンツであるVRChatを対象としたアイデンティティと身体所有感の実験についての実験結果の報告も行っていく。
講演者略歴  リリス・AH・リリーホワイト 魔立魔都ヨハシト小学校所属Vtuber.2018年5月Vtuberデビュー.アバタへの所有感がもたらす身体改変作用についての研究に従事.2018年9月,第23回バーチャルリアリティ学会大会 超臨場感と拡張認知インターフェイスOSにてVtuber初の学会登壇を果たす.
■講演2:アバタが運動と身体に対する自他認識にもたらす作用
 VR空間において自己の代替身体となるアバタは,単なる身体表現の手段であるだけでなく,新たな身体の獲得を可能にする.このアバタの外見が,そのアバタを操るユーザ自身の身体感覚や態度に作用するが報告されている.我々の研究グループでは,無意識的な身体感覚や態度の変化が運動として表出すると考え,アバタの外見だけでなく見た目の動作がユーザ自身の運動やアバタの動作主体の自他判断に及ぼす影響の調査を行っている.本講演では,これらの研究調査に関する報告を行なうとともに,アバタが自己の身体感覚や運動に与える効果を運動能力拡張手法として発展させるための方法論について提起したい.
講演者略歴 櫻井 翔(さくらい しょう) 2007年群馬大学社会情報学部社会情報学科卒業.2014年東京大学大学院工学系先端学際工学専攻博士課程修了.同大学院情報理工学研究科知能機会情報学専攻特任研究員,首都大学東京システムデザイン学部知能機械システムコース特任助教を経て,2016年より電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻特任助教(現職).人間の情報処理メカニズムを利用した拡張認知インタ��ェースの研究に従事,博士(工学).マンガ家.
■講演3:身体選択の自由と認知の恒常性
さまざまな地域・文化の人々と接する中で、顔身体表現の多様性、そして顔身体表現が伝える情報の豊かさを感じる。このような身体を媒介とした情報伝達は身体表現と身体所有者の間に一定の関係性を要請する。さてアバタ社会の到来により人々は身体選択の自由を手にするとしよう。身体選択の自由は身体表現と身体所有者の関係性を破り、身体表現により「個」としての他者を知る「恒常性(constancy)」の規則から逸脱するため、身体に関する価値観は根底から揺らぐ。その結果、身体はこれまでのような形では、「個」としての他者を知るための手がかりにはならない。一方で、人々が身体選択の自由を手にした社会では、選択というメタな行為そのものが表現手段にもなり得る。あるいは、アバタ社会においては恒常性が仮定する「個」など意味のないものになるのかもしれない。身体選択の自由の先に新しい価値観が生み出されるのか、身体選択の自由が恒常性を前提とする認知との不整合を起こして社会から拒絶されるのか。今はまだわからないが、常識や固定観念を捨て去り未来について議論することはいつだって楽しい。フィールドワークにも行く認知心理学者の視点から、そのような議論の一助になるネタを投入したい。
講演者略歴 高橋 康介(たかはし こうすけ) 中京大学心理学部准教授.京都大学文学部宗教学専修卒業,京都大学情報学研究科知能情報学専攻修了.博士(情報学).JST ERATO下條潜在脳機能プロジェクト技術員,日本学術振興会特別研究員SPD,東京大学先端科学技術研究センター特任助教を経て2016年より現職. 専攻は認知心理学.関連分野は認知神経科学,認知科学.実験を通して心を生み出す脳の仕組みを探求している.現在は錯視や錯覚などの現象を利用して主観的な世界と物理的な世界をつなぐ脳の働きをモデル化することを目指し,文化人類学,霊長類学,計算機科学といった異分野研究者との学際的研究も進めている.
【企画】 URCF クロスモーダルデザイン WG     http://crossmodal-design.tumblr.com/ 【共催】多感覚研究会 【後援】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム (URCF)
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crossmodal-design · 7 years ago
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第十四回クロスモーダルデザインワークショップ 「多感覚知覚と機械学習」開催のご案内
【日 時】 2017年12月18日(月) 9:30~11:00 【会 場】 熊本大学くすのき会館
多感覚の相互作用に着目し,目で見たり,耳で聞いたり,手で触ったりといった感覚を組み合わせることで,それぞれの感覚の情報だけでは得られない,全く新しい体験が得られます.そうした新しい方法論による体験の作り方は,ものづくりやサービスデザインに活かすことができます. 第14回クロスモーダルデザインWSは,「多感覚知覚と機械学習」をテーマに,多感覚知覚を理解して活用するために機械学習がどのように活用できるのかについて議論��ます.機械学習を活用したデータ駆動型のアプローチによって,複雑な知覚や認知を扱えることを示す事例が現れ始めています.本WSでは,多様な触覚を扱う熊本大学の嵯峨智先生と,視覚からの質感認知を扱うNTTコミュニケーション科学基礎研究所の澤山正貴さまをお招きし,それぞれの取り組みについてご紹介いただくとともに,パネルディスカッションをおこないます. 【タイムテーブル 】 9:30 -  9:40  クロスモーダルデザインワークショップのご紹介 / 鳴海 拓志 (東京大学) 9:40 - 10:10  講演1:触覚情報と機械学習 / 嵯峨 智 (熊本大学) 10:10 - 10:40 講演2:生物の質感認知機構を明らかにするためのデータ駆動型アプローチ            / 澤山 正貴 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 10:40 - 11:00 パネルディスカッション「多感覚知覚と機械学習」& 質疑応答         司会:鳴海 拓志(東京大学)/ パネリスト:嵯峨 智,澤山 正貴 ■講演1:触覚情報と機械学習 機械学習でなんでも実現される今日このごろ,触覚情報も機械学習してみたくなりました.今回は,そもそも触覚情報ってなんだろうというところからはじまり,触覚情報にふさわしい情報を考える手段として機械学習を利用してみたり,機械学習につかえるような触覚情報ってどうやって集めるのよっていうところから,触覚情報収集システムの話をしてみます.このような考え方は,現象自体をうまくパターン認識の枠組みにのせられれば,多感覚知覚の理解の一助になると考えています. 講演者略歴 嵯峨 智(さが さとし) 1998年,東京大学 工学部 計数工学科卒業.2000年,同修士課程修了.2000年から2004年まで,セコム株式会社にて研究員として在籍.2007年,東京大学大学院 情報理工学研究科 博士後期課程終了,博士(情報理工学).2007年から東北大学 工学研究科 助教,2008年4月から同大学 情報科学研究科 助教,2012年4月より6月までマサチューセッツ工科大学客員助教兼任.2013年5月より筑波大学 システム情報系 准教授,2017年10月より熊本大学 大学院先端科学研究部 准教授,現在に至る.力覚教示,触覚センサ,触覚ディスプレイをはじめとした,人間中心の触覚インタフェースに関する研究に従事.日本バーチャルリアリティ学術奨励賞,Emerald Literati Network Outstanding Paper Awardなど,各賞受賞.情報処理学会,日本VR学会,計測自動制御学会,IEEE 各会員. ■講演2:生物の質感認知機構を明らかにするためのデータ駆動型アプローチ ヒトや動物の知覚・認知科学研究では、物理的な線分の長さに対する知覚的な長さを測定するような、物理次元と直接対応する知覚次元の存在を仮定した検討が古典的には行われてきた。しかし、質感認知研究に代表されるように、多次元の物理現象から引き起こされる多様で複雑な認知の内的過程にも、近年多くの関心が集まっている。本講演では、生物の質感認知における入出力関係の複雑さを読み解くために、データ駆動型アプローチを用いて検討した著者らの近年の研究を紹介する。 講演者略歴 澤山 正貴(さわやま まさたか) NTTコミュニケーション科学基礎研究所人間情報研究部感覚表現研究グループ・研究員。2013年千葉大学大学院融合科学研究科情報科学専攻修了。博士(学術)。2013年NTTコミュニケーション科学基礎研究所にてリサーチ・アソシエイトとして勤務。2016年より現職。専門は心理物理学。現在は特に質感認知科学研究に従事している。 【企画】 URCF クロスモーダルデザイン WG http://crossmodal-design.tumblr.com/ 【共催】多感覚研究会 / 後援 超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム (URCF)
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crossmodal-design · 7 years ago
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【開催レポート】第十三回クロスモーダルデザインWS「道具とクロスモーダル」
9月20日に、第十三回クロスモーダルデザインワークショップ「道具とクロスモーダル」を開催しました。会場は、原宿にあるコクヨによるTHINK OF THINGSの2階にある多目的スペースTOT STUDIO。1階には文具や家具などのショップ、カフェも併設されているおしゃれなスペースです。企業や大学の研究者、学生らが参加しました。
■クロスモーダルと道具で、新しい体験を
まず、URCFクロスモーダルWGリーダーで電気通信大学の小泉直也氏から、クロスモーダルデザインワークショップについての紹介がありました。今回のテーマは「道具とクロスモーダル」。「クロスモーダルを上手く使うことで、感覚をコントロールできる。これと道具を組み合わせて、新しい体験をどう作っていくのか、というのが今日のワークショップの趣旨です」と小泉氏。
 小泉氏自身の研究も道具に関わるものです。「ちょっとデジタルの技術を入れてあげて、普通の道具を拡張する研究をしている」(小泉氏)。デジタル技術で紙の可能性を拡張する研究などを紹介しました。 続いて「クロスモーダル」について、「五感のうち、複数の感覚を掛け算することで、新しい効果が生まれる」と説明。例えば、同じ糖度の味でも見た目の色を変えることで「イチゴ」や「メロン」といった異なる味がするように感じさせるかき氷のシロップも、クロスモーダルの作用を上手く使ったものだといいます。「こうした感覚同士の相互作用を上手く使うことで、ちょっとした変化で最大限の効果を引き出すことができます」(小泉氏)  
小泉氏自身によるクロスモーダルを上手く使った研究も紹介しました。食べている人に自身の咀嚼音を変化させて聞かせ、食感を変化させるという研究です。具体的には、例えばポテトチップスなどを食べている時の「パリパリ」という咀嚼音をマイクでとり、その音を大きくしてその場で聞かせると、食べている食感も変化するといいます。
■道具によって人の行動が変わる
次に、クロスモーダルWG幹事で東京大学の鳴海拓志氏から、「クロスモーダルでつなぐ道具・からだ・こころ」と題した講演がありました。 
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 「人のことを『ホモ・ファーベル』と呼ぶが、人は道具を作り、使うことで賢くなり進化をしてきた。どうやったら人の知性を引き出す道具を作れるかが今日のテーマです」として、VRなどの情報技術を使った”道具”による人の感覚や、行動、感情の変化についての研究を紹介しました。
「5万円のペンを使っている人は、100円のペンとは何かが違うという価値を見いだしている。良いペンを使うことは単なるファッションではなく、気持ちが引き締まって、きれいな字がかけているのかもしれない。道具によって人の行動が変わっていく可能性を考えたい」と鳴海氏。  
”道具”によって人の行動が変わることを、自身の研究を例に説明をしました。「拡張満腹感」の研究では、HMDを使って目の前にある食べ物のサイズを変えることで、食べた時の満腹感が変わり、食べる量が変わります。同様に、テーブル上にプロジェクションマッピングしたお皿のサイズを変えることで、そのお皿を使って食べたときの満足感や食べる量が変わります。 
「情報技術を使うと、状況に応じてインタラクティブに効果を変えたり、人が不得意なことでも自然にできるようにサポートしたりすることができる。これは情報と接続された道具によって人が賢くなるということ」(鳴海氏)  
■道具が身体を拡張する 
ところで、クロスモーダルには起きやすい条件があると鳴海氏は言います。人の身体とそれを取り巻く世界を考えると、空間は身体そのものが占めている空間である「個人内空間」、だいたい手(身体)が届く範囲内である「身体近傍空間」、身体から離れた「身体外空間」に分けられますが、「身体近傍空間」でクロスモーダルが起きやすくなります。「近くに蚊が飛んでいると、触れられていないのに触れられている感じがする。こうした、見ているだけで触れられた感じがするといった現象は日常的に起きているので、クロスモーダルも起こしやすくなる」(鳴海氏)  
こうした知見はすでにゲームなどのデザインにも取り入れられていると言います。例えば、バンダイナムコエンターテインメントのPSVR向けゲームである「サマーレッスン」は、女子高生に家庭教師をするコミュニケーションゲームですが、女子高生が近づいた時に、実際は感じないはずの熱や香りを感じることがあります。こうした現象が起こりやすくなるように、ゲームではわざと近づくような設定がされているのだと言います。 
こうしたことを踏まえて、「道具を考える上で、単純にものだけを考えるのではなくて、身体との関係がすごく大事ということを最近考えている」と鳴海氏は言います。「道具は身体を拡張するもので、人間の身体は実はかなりフレキシブルに拡張される」 成長に伴い自身の身体が変わっても、人はその変化に順応しています。また、怪我などで身体の一部を失った時も同様です。身体には可塑性があり、変化したり一部が失われたりしても、その機能が補完され、支障なく日常生活を送ることができます。 
それだけではありません。もともと身体ではない道具でさえも、使い慣れることで身体の一部になると鳴海氏は言います。そこで、道具の使用によるサルの脳機能を���べた海外研究者による研究を紹介しました。この研究では、サルの手の一部を刺激したときに反応する脳の部位が、熊手を使い慣れたサルでは、手に持った熊手を刺激したときに、あたかも手の一部を刺激したかのような脳機能の反応が見られました。  
こうした現象も身体の可塑性によるものです。身体の可塑性を示した有名な例では「ラバーハンド錯覚」という錯覚があります。自身の身体ではないゴム手袋の手でも、あたかも自身の手のように錯覚してしまうというものです。 
また「皮膚兎錯覚」という現象からも、道具が身体の一部になりうることがわかります。もともとは、腕などで少し離れて2点をトントンと刺激すると、実際は刺激されていないその2点間の点で刺激を受けているように感じる錯覚として知られていましたが、最近では、これは身体と道具の区別なく起きることもわかってきたと言います。 
「使い込んだ道具が自分の身体のようになるのは、人本来の機能です。では、どのようにしてこうした自身の身体の一部になりやすいような道具を作るかがこれからの新しい課題になる」(鳴海氏) 
 ■身体自身も新しい道具になる 
鳴海氏は、ピアノを弾く指が伸びたり、複数に分かれたりするといった、VRを使い身体を変える自身の研究を紹介し、こうした研究領域である「身体性認知科学」について紹介しました。身体と環境、人の行動の間には強い関連があり、「身体も新しい道具のひとつとしてデザイン可能になると僕は思っている」と言います。 
 そこで「攻殻機動隊」(士郎正宗)の劇場版アニメ「GHOST IN THE SHELL」(押井守監督、1995年)のラストの場面を紹介しました。主人公の草薙素子の身体は義体でできていますが、ラストにはこれまでの成人女性ではなく子供の義体で登場、聖書の言葉を引用し「童のときは語ることも童のごとく、思うことも童のごとく、論ずることも童のごとくなりしが、人となりては童のことを捨てたり(『コリントの信徒への手紙 ー』13章11)」と言って去っていきます。この時の素子は、ネットワーク内の存在と融合し、人間ではなく新しい存在になったという設定。「この場面は、身体が変わると思考が変わることを示していておもしろい。それと同様に、VRによって大人が子供の体験をしたり、子供が大人の体験をしたりと、身体を(擬似的に)変えることで、思考の仕方や行動をうまく変えられるようになるかもしれない」(鳴海氏)  
鳴海氏自身、テレプレゼンスロボットを使って遠隔から、美少女キャラクターのアバターとボイスチェンジャーで自身の見た目や声を変えて講演をするといいます。「そうすると参加者が質問で優しく喋ってくれたり、それに対して自分も『俺』ではなく『私』と言ったり、行動が変わってくる。自分の見た目が変わることでインタラクションを通じて相手が変わる。それによって僕も変わる。コスプレなども同様だが、こうしたことを情報技術を使うともっとうまくできる」(鳴海氏) 
 ■身体の拡張によってこころをデザインする 
身体を変えることで、行動だけでなく、心のあり方もデザインできるようになります。従来は、「身体」と「心」は分かれていると考えられていましたが、最近では、身体が変わることで心も変わり、心が変わることで身体が変わるといった、両者はお互いに強く関連しているものだと考え��れるようになってきました。  
鳴海氏らによる研究でも、ディスプレイを使った「鏡」に映った人の顔を、画像処理で笑った顔や悲しい顔に変化させることで、その人の気持ちに影響を与えることがわかっています。前出の「攻殻機動隊」では、「こころ」を指す概念として「ゴースト」という言葉が使われています。鳴海氏は、従来の「身体」と分離した概念である「心」と区別して、「身体」と切っても切れない「心」を「ゴースト」と呼び、「身体がゴーストにどういった影響を与えるかという『ゴーストサイエンス』を、VRを使うことで研究できる」と言います。
鏡で表情を変える研究のように、自分の見え方を変えることで、自分の気持ちが変化をする例は、VRやゲームではよく知られています。VRでバットマンに変身できるゲームでは、プレイヤーは変身した瞬間に背筋がしゃんと伸びると言います。またVRでドラムを叩くゲームでは、アフロヘアでノリのいいお兄ちゃんの見た目だとリズム良く叩けるようになります。スーパーマンで子供を助けるVR体験後には、現実でも人助けをしやすくなるという研究もあります。  
以上を踏まえて、「新しい道具によって人は賢くなれるし、心の状態を上手く持っていくことができる。そのために感覚の設計は重要だが、単に感覚を作るということではなく、身体と心の関係を作るためにクロスモーダルを考えないといけない。その点を留意して道具のデザインを考えて欲しい」とまとめました。 
■道具や体験をコクヨ自身が見直す場 
続いて、コクヨ株式会社の安永哲郎氏による、「「もの」と「こと」を考える〜コクヨの取り組みの紹介〜」と題した講演がありました。  
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人や社会は大きく変わっていきます。こうした中でコクヨは、例えば「人は紙を使い続けていくのかどうか」といったことも考えていく必要に迫られています。。そのひとつの取り組みとして作ったのが、今回のワークショップの会場にもなったTHINK OF THINGS。
「あらゆるものごとについて考え続ける場を作っていきたいと、ここをオープンしました。いろいろな人々の働き方や考え方の方向性に寄り添っていきたい」
例えば手帳サイズのノート。最近の人気商品ですが、もともとは、測量士用のノートでした。ところが、「この機能性と軽やかさが全く違う形で再発見され、学校や仕事でも使われるという転換が起きた」と安永氏は言います。
例えば手帳サイズのノート。最近の人気商品ですが、もともとは、測量士用のノートでした。ところが、「この軽量さが全く違う形で再発見され、学校や仕事で普通の文具として使われるという転換が起きた」と安永氏は言います。 
次に、参加者全員に、それぞれ2枚のルーズリーフが配られました。見た目は同じですが、それぞれ触り比べてみると、少しずつさわり心地が異なります。実は一枚は「さらさら」と名付けられたで、コクヨで一般的に販売されている定番商品です。紙の密度が高く、表面がさらさらで滑らかな書き心地です。一方、もう一枚のルーズリーフは「しっかり」という特徴がネーミングされた商品。もっと書いている実感が欲しいという消費者からのリクエストに応えて作った商品といいます。「他の製品ですが、以前、紙の仕入れ先を変えた時に、『書き心地が違う』というお客様からの電話もあったくらい、慣れ親しんだものへのこだわりは大きい」(安永氏)。
安永氏は他にもルーズリーフの種類を紹介。「さらさら」「しっかり」「きっちり」「すっきり」。このようにルーズリーフひとつをとっても、書き心地や機能性はさまざまです。これらはすべてオノマトペで表現されていることにも着目しました。
「日本語にはオノマトペが多い。日本語は動詞の数が限られているので、そこにオノマトペがくっつくことで、意味を多様化して伝えやすくするためと言われています。日本人には『その感覚わかるわ』という心地を共有する文化性があるだと思っています」と安永氏。
その「心地」を捉えて何かできないかと思っていると言います。「心地」を「感性」に収斂させるのではなく、創造性とつなげて考えてみたいとと安永氏は言います。「気持ちよさや、何かから開放されるといった『消費』の方向ではなく、『生産』の方向に心地を振りたいと考えている。そのためにどうしたらいいか今はまだわからないが、取っ掛かりとしてクロスモーダルはおもしろいと思っている」(安永氏)
■書くことはクロスモーダル
さて、コクヨは文具メーカーです。紙とペンで書くことが文具の基本です。そこで参加者のテーブルに配られたのがマーカーペン。書き心地はまるでクレヨンです。これは固形化した水性インクによって作られているため、ぬるっとした触感を感じながら書くことができます。「大人にも気軽に絵を描いてほしいと思い、このようなマーカーを作った。道具の感覚によって、出て来るアウトプットも変わるのではないか」と安永氏。
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「書くことはクロスモーダル」と安永氏は言います。書くことには、複数の要素が含まれます。デジタル化が進み、書くことがかつてよりも減っている現在ですが、今後の書くことについて安永氏は今考えていると言います。
続いて、クロスモーダルWG幹事で博報堂の金ジョンヒョン氏が「道具がもたらす人の可能性について」として学習支援プロダクト「Write More」の紹介をしました。「Write More」は、紙に線や文字を書くときに出る筆記音を増幅することで、「書く」や「描く」を効率よく楽しくするという、金氏の研究をもとに開発されたプロダクトです。 
金氏は研究として、漢字のなぞり書きやアニメ制作者に絵を書いてもらうといった作業でこの筆記音を増幅したところ���作業が楽しくなったり、きれいな線を描けるようになったりするといった効果がありました。これを元に「Write More」として製品化。子供の学習支援やワークショップなどで利用されていると言います。 
 ■道具の可能性ワークショップ
休憩を挟んで、金氏がファシリテーターを務め、「道具の可能性ワークショップ」が参加者全員によって行われました。「道具」と言えば、ドラえもんのひみつ道具。そこで、ワークショップでは、のび太君の悩みを解決する、ドラえもんのひみつ道具をグループごとに考えました。
あらかじめ座っていた4〜5人からなる5つのグループごとに作業をしました。まずはグループ内で自己紹介。次に、全員で付箋に「のび太くんが困っていること」「のび太くんでもできるようになること」「どのような道具があればそれができるのか」をそれぞれ書いていきます。しばらくそれぞれで作業をしたら、ほかのグループの様子を見に行きます。さらにまた自分のグループに戻って、グループ内でそれぞれのアイデアを共有。最後に、大きなホワイトボードにそれぞれのグループで出たアイデアをまとめて、グループ内で一番若い人が発表しました。 
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最初のグループは、社会人になってしずかちゃんと結婚したのび太君が主人公。悩みは上司に怒られること。そこで作ったのが「ペコペコくんくん」という道具です。家に帰る途中で、家でしずかちゃんがご飯を作っている匂いが「ペコペコくんくん」から漂ってきて、家に帰ると、しずかちゃんが美味しいご飯を用意して待っていてくれます。道具そのものではなく、しずかちゃんという人から元気をもらいますが、道具がそのためのきっかけになるというものです。
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次のグループは、のび太君の悩みは「夜は眠れない。朝は起きられない」。そこでグループが考えたのが、「ゆらグラゆりかご」。夜はゆらゆらゆりかごで心地よく、ゆっくり眠れます。朝になると、自身のような揺れや怒った声が聞こえてくる、グラグラゆりかごになります。 
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 次のグループも悩みは朝起きられないということ。このグループでは3つの解決方法から道具を考えました。ひとつは自分を上げて目を覚まさせる方法。具体的な道具は、たとえ嘘であってもその日の楽しい予定をみせて起こす「夢目覚まし」や、パジャマからスーツに自動的に着替える「着替えシーツ」です。もうひとつは、ベッドを操作するもの。「カチコチ布団」や、日曜夕方の虚無感を再現する「黄昏ベッド」のアイデアが出ました。最後に朝の光や朝食の匂いといった外を見��るものです。これは「お家布団」という道具のアイデアにつながりました。
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次のグループは3つの悩みについてそれぞれ道具を考えました。最初の悩みはやはり朝顔切れないこと。これに対して道具は2種類。ひとつは、しゃきっと起きるために、ベッドの上からパックが降ってくるという、美容と目覚めの一石二鳥の道具です。もうひとつは、一生起きなくても布団の中が学校や会社になるという「ふとん in WORLD」。続いて2つ目の悩みは集中力が続かないこと。これはリフレッシュをするために、勉強中の机から、南国のビーチが見えるといった、VR窓のような道具のアイデアが出ました。最後の悩みは、モテたいし、いじめられたくないというもの。これに対して、VRやARで見た目を変えてしまう道具が出ました。
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最後のグループは、のび太君の悩みは、「ドラえもんなしでは何もできないと国民から思われていること」。でも実際は、特に映画版などではしっかり活躍もしていて、何もできないわけではありません。一方、のび太君の顔とドラえもんの顔の構成は、見方によっては似ています。特に、ドラえもんの特徴的な赤い鼻をのび太君に付ければ、そっくりという見方もできなくもありません。そこで、道具「自己肯定ドラいばー」として、赤い鼻をのび太君に付けることで、のび太君とドラえもんが融合し、のび太君の能力を補完して拡張します。 
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ワークショップでは、その前の講演での内容を踏まえながら、課題解決をする道具の可能性をそれぞれのグループで考えました。具体的な課題(悩み)をもとに道具を考えてみることで、講演の内容を咀嚼しながら、クロスモーダルと道具について考える機会にもなりました。その後は、同じ会場で懇親会が開かれ、参加者同士で意見交換が行われました。
 <開催概要>
【日 時】 2017年9月20日(水) 14:00~17:30 
【会 場】 TOT STUDIO(THINK OF THINGS 2F)
【タイムテーブル】
 14:00-14:15 クロスモーダルデザインワークショップのご紹介 
      講演者:小泉 直也(電気通信大学)
14:15-15:00 クロスモーダルでつなぐ道具・からだ・こころ 
      講演者:鳴海 拓志(東京大学)  
15:00-15:30 「もの」と「こと」を考える〜コクヨの取り組みの紹介〜 
      講演者:安永 哲郎(コクヨ株式会社)
15:30-15:45 道具がもたらす人の可能性について 
      講演者:金ジョンヒョン(株式会社 博報堂) 
16:00- 17:20 道具の可能性ワークショップ 
      金ジョンヒョン(株式会社 博報堂)
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crossmodal-design · 7 years ago
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身体運動に伴う遅延聴覚フィードバックの知覚順応
人間の感覚器に対する信号入力が脳に届くまで、それぞれが異なる遅延があります。しかし我々は楽器を弾いたりという運動を行い、異なる感覚器情報を同一時間のイベントとしてみなす事ができます。これは、脳が異なる時刻に入力される感覚情報を同一のイベントとして対応付け する何らかのしくみがあるためと考えられます。
明治大学の嶋田先生たちはこの問題に取り組んでいらっしゃいます。実験ではスイッチをおした後に音がなるまでのタイミングを変化させることで、順応に関して調査を行なっています。この結果、遅延を伴う外部システムに適応的に対処できるのは、300 ms 程度の遅延までであり、それ以上ではズレを認識してしまうことが分かりました。
■ 文献情報 樋田浩一、上野佳奈子、嶋田総太郎(2013) 身体運動に伴う遅延聴覚フィードバックの知覚順応. 認知科学, 20(4), 493-497. http://www.jcss.gr.jp/meetings/JCSS2012/proceedings/pdf/JCSS2012_P2-4.pdf
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crossmodal-design · 7 years ago
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顕著特徴に基づいた視聴覚の同期知覚
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   クロスモーダルのシステム設計における、感覚の知覚の同時性の研究において、産総研の藤崎先生の成果をご紹介します。  藤崎先生は、同時性の基準として約4Hzという視聴覚同期判断の低い時間限界が、時間周波数によってではなく密度によって規定されていることを明らかにしました。さらに密度が高い背景刺激の中に、密度の低い「図」となる刺激を埋め込むと、信号全体の密度は高いままであっても視聴覚の対応付けが再び可能になることを示しました。また「顕著特徴」の選択は、ボトムアップの分節化によっても、トップダウンの注意によっても可能であることを示しました。
■ 文献
Fujisaki, W. & Nishida, S. (2007). Feature-based processing of audio-visual synchrony perception revealed by random pulse trains. Vision Research,47(8):1075-93. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0042698907000144
Fujisaki, W. & Nishida, S. (2008). Top-down feature-based selection of matching features for audio-visual synchrony discrimination, Neuroscience Letters, 433(3):225-30. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304394008000566
■ 参考サイト https://staff.aist.go.jp/w-fujisaki/Research.html
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crossmodal-design · 7 years ago
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視聴覚同期探索
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 クロスモーダルの効果を設計する際に、複数の感覚への同時性の設計は重要な指標です。産総研の藤崎先生は検出課題における視聴覚の同時性に関する研究を行っています。
 視覚探索のパラダイムを用いて視聴覚で同期したターゲットの検出課題を行い、視聴覚の同期性が並列的には検出できないことを明らかにしました。このことは視聴覚の同時性判断が、注意資源を必要としない低次の専用メカニズムによってではなく、注意資源を必要とする比較的高次の汎用メカニズムによって行われていることを示唆しています。
■ 文献
Fujisaki, W., Koene, A., Arnold, D.H., Johnston, A. & Nishida, S. (2006). Visual search for a target changing in synchrony with an auditory signal. Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Science, 273, 865-874. http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/273/1588/865.abstract
■ 参考サイト
https://staff.aist.go.jp/w-fujisaki/Research.html
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crossmodal-design · 7 years ago
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視聴覚・視触覚・聴触覚の同時性知覚
 クロスモーダルなシステムを設計する際に、利用する感覚間の同時性を考慮することは非常に重要な点です。産総研の藤崎先生は、同期のズレに関して視覚・聴覚・触覚を対象として研究を実施しています。  紹介する文献では、聴覚と触覚の組み合わせでは、視覚と触覚・視覚と聴覚の組み合わせよりも時間のずれが判りやすいことを明らかにしました。具体的には、視覚と聴覚、視覚と触覚の同期・非同期弁別閾が約4 Hzとなるのに対して、聴覚と触覚の弁別閾が約10 Hzと特異的に高くなることを発見しました。
■ 文献 Fujisaki, W. & Nishida, S. (2009). Audio-tactile superiority over visuo-tactile and audio-visual combinations in the temporal resolution of synchrony perception, Experimental Brain Research, Sep;198(2-3):245-59. Epub 2009 Jun 5. http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00221-009-1870-x
■ 参考サイト https://staff.aist.go.jp/w-fujisaki/Research.html
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crossmodal-design · 7 years ago
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第十三回クロスモーダルデザインWS 「道具とクロスモーダル」 開催のご案内
【日 時】 2017年9月20日(水) 14:00~17:30 【会 場】 TOT STUDIO(THINK OF THINGS 2F)
                東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-1 2F       http://think-of-things.com/access/
多感覚の相互作用(クロスモーダル知覚)に着目し、目で見たり、耳で聞いたり、手で触ったりといった感覚を上手に組み合わせることで、それぞれの感覚の情報だけでは得られない、全く新しい体験が得られます。そうしたクロスモーダルを活用した新しい方法論による体験の作り方は、ものづくりやサービスデザインに活かすことができます。
第13回クロスモーダルデザインWSは,「道具とクロスモーダル」をテーマに、多感覚の相互作用を利用した新しい道具の可能性について議論します。コクヨ株式会社の安永さんをお招きし、コクヨの取り組みやTHINK OF THINGSの紹介をしてもらいます。また、ワークショップを通して、道具の可能性について発見し、ディスカッションをおこないます。
【タイムテーブル】
14:00-14:15 クロスモーダルデザインワークショップのご紹介 講演者:小泉 直也(電気通信大学)
14:15-15:00 クロスモーダルでつなぐ道具・からだ・こころ
講演者:鳴海 拓志(東京大学)
15:00-15:30 「もの」と「こと」を考える〜コクヨの取り組みの紹介〜
講演者:安永 哲郎(コクヨ株式会社)
創業112年を迎えるコクヨは、「働く・学ぶ・暮らす」に寄り添う数万点のプロダクトやサービスを開発しています。本会場のTHINK OF THINGSは、働くことと暮らすことの境界を越える実験場として今春オープンしました。小さなクリップひとつから数万人規模のオフィスまで、モノが誘発する体験をつくってきた企業が寄せる、クロスモーダルへの"興味"についてお話しできればと思います。
 15:30-15:45 道具がもたらす人の可能性について
講演者:金ジョンヒョン(株式会社 博報堂)
16:00- 17:20 道具の可能性ワークショップ
金ジョンヒョン(株式会社 博報堂)
17:30 頃より 懇親会予定
(簡単な軽食をご用意いたします。)
講演者略歴
安永 哲郎(コクヨ株式会社 経営企画室 事業開発センター)
ICTソリューションや研究開発などを経て経営企画室事業開発センターに所属。経営基点のリサーチャー&クリエイティヴ・ディレクターとしてアルスエレクトロニカ、ロンドン芸術大学CCW、レッジョ・チルドレン、京都造形芸術大学などとの共同研究や、各種新規事業開発、千駄ヶ谷THINK OF THINGSのコンテンツ開発などを手がけている。また、社会福祉法人東香会の理事としてこれからの保育・福祉のあり方に取り組むほか、NPO法人CANVASフェロー、一般社団法人ボート・ピープル・アソシエイション アソシエイトメンバーなどを務めている。
【参加費】無料
【申込】下記よりご登録ください.
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeVMzvBycjNpm-i-u-XsPcpIC09jKF1oUae8Cp4xN6A5lP5Kg/viewform?usp=sf_link
【定員】30名
【案内URL】http://crossmodal-design.tumblr.com/
【後援】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)
【お問い合わせ】クロスモーダルWG 幹事 鳴海拓志
        E-mail: narumi [at] cyber.t.u-tokyo.ac.jp
 ※当会において活発な議論をしていただくために、皆様にこの場で発言頂いた、内容、アイデア等は、誰でも自由に利用することが出来る形にしたいと考えております。ご参加の皆様には,そのことをご承知置きいただいた上でワークショップにてご発言頂きたいと考えております。何卒よろしくお願いいたします。
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crossmodal-design · 8 years ago
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【開催レポート】第十二回クロスモーダルデザインWS「感覚の減算で作る新しい体験」
11月20日、第十二回クロスモーダルデザインワークショップを、多感覚研究会との共催で早稲田大学戸山キャンパスにて開催しました。テーマは「感覚の減算で作る新しい体験」。視覚表現にも関わらず「見せない」映像やグラフィクデザインを手がける多摩美術大学専任講師の菅俊一氏と、「見えない」状態で食事をする「暗闇ごはん」を主催する湯島山緑泉寺住職の青江覚峰氏が講演し、このようなあえて感覚入力を減らす「感覚の減算」によって生まれる新たな体験の可能性を議論しました。
■感覚の引き算で新しいリッチな体験をつくる
まず、幹事で東京大学講師の鳴海拓志氏が「これまでエンジニアは感覚を提示するにあたり、感覚を足す技術を主に扱ってきた。だが、あえてある感覚を引くことで、これまで感じなかった新しいリッチな体験ができるかもしれません」と趣旨を説明。その上で、介護食「あいーと」や大豆シート食品「まめのりさん」といった、「感覚の引き算」の具体例を紹介しました。
 「あいーと」は、見た目は通常の食事と同じですが、咀嚼力の弱い高齢者でも食べられるように柔らかくした介護食です。「食感を引き算」したことで、硬いものを食べられなかった人でも、食を楽しむ体験ができるようになったと言います。一方、「まめのりさん」は海苔の代わりに使われる、大豆を使ったシート。海苔の黒色に代わり、薄いピンク色や薄い黄色といった色をしています。黒い食べ物が苦手な外国人向けに、「黒色を引き算」して作られました。海苔に代わる「まめのりさん」は、海外で日本食が広まった要因のひとつになったと言います。
「他にも感覚の引き算でおもしろい体験を作り出せるはず。工学的にも、クロスモーダル知覚の仕組みを解き明かす上でも、おもしろいと思っています」と鳴海氏。
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  ■あえて「見せない」視覚表現で、頭の中で体験を作り出す
続いて菅氏が、「「補う」ことで生まれる面白さを持つ表現」とした講演を行いました。菅氏は、実際にそこには写っていない、描かれていないにも関わらず、鑑賞者が自分の頭の中で情報を「補う」ことで、新しい体験をつくり出すような視覚表現を手がけてきました。
 「普通、視覚表現と言うと、つくったもの自体を見て、となるが、僕の場合は、鑑賞者の頭の中でビジュアルやグラフィックを作り出すための表現をやっています。表に見えるものは、あくまでもそのための手がかりに過ぎないという考え方です」(菅氏)
 では具体的にどのような作品を作っているのでしょうか?菅氏らが2009年に手掛けた書籍「差分」(佐藤雅彦、菅俊一、美術出版社)から、いくつか具体例の紹介がありました。
https://www.amazon.co.jp/%E5%B7%AE%E5%88%86-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E9%9B%85%E5%BD%A6/dp/4568503655/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1479736254&sr=8-3&keywords=%E8%8F%85%E4%BF%8A%E4%B8%80
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例えばこちらでは、上で点が集まっている様子、下で点が散らばっている様子が描かれています。この2枚を順に見ることで、その間にあるはずの、点が「パーン」と散らばっていく様子が鑑賞者の頭の中で自ずと浮かび上がってくるというわけです。
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 こちらは、上では「Paul Smith」と描かれているように見せますが、下では一本の線になっています。2枚を比較すると、そこには直接描かれていないはずの、「ピンと張る」という引っ張る感じが出てきます。
「描かれていない情報を与えるために、ビジュアルを作っている。一番作りたいのは、そこに描かれていないこと。それを頭の中でどう作り出せるようにするか」(菅氏)
こちらの2枚の絵には、3匹のネズミと迷路が描かれています。上の絵では、迷路の入り口に入っていくネズミたち、下の絵では迷路から出ていくネズミたちがわかります。では、ネズミは迷路���解いて出口から出たのでしょうか?
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実は、この迷路はよく見ると途中で行き止まりになっていて、ネズミは迷路を解くことはできません。でも、2枚の絵を見た鑑賞者は、頭の中で勝手に解釈してしまい、実際にはありえない「迷路を解いたネズミ」を体験しているというわけです。
このように、「補う」ことで、現実にはありえない体験も作り出せると菅氏は言います。ほかにも、立方体と指を描くことで、実際には触っていなくても、あたかも立方体の角を触っているような感じがするような絵の紹介もありました。このときに、立方体の角を点線や波線に描くと、その絵を見ているだけで実際には触っていなくても、あたかも「ザラザラしたもの」を触っているような感覚になります。これも頭の中で「補って」いるというわけです。
 菅氏は、こうした「差分」という表現方法を使って、実際には描かれていないものを鑑賞者の頭の中で作り出すという創作活動に取り組んできました。その後、NHK Eテレの「2355」「0655」という番組で、画面に写っていないものを視聴者が感じる映像を作っています。
例えば、画面の中央にある目の視線が指す先に番組ロゴを置き、視線が動くことでロゴが動く映像では、視線の先にロゴが写っていなくても、あたかも画面の外側にロゴがあるように視聴者は感じることができます。この時に、眼球が目から消えてあたかも眼球が裏返るといった実際にはあり得ない状況を作っても、視聴者は画面には写っていないロゴを勝手に感じとります。
また、菅氏は雑誌「BRUTUS」で連載をしている行動経済学をテーマにしたマンガで、新しいマンガ表現の探求をしていることを紹介しました。最初のページでは、絵はなしで、セリフなどの文字情報だけのマンガを提示します。「白い粉」「拳銃」などの単語が並び、あたかもサスペンスのようなストーカーを読者は頭に描きます。ところが、読み進めた次のページからは、先程と同じ文字情報の上に絵を入れた完全な状態のマンガが続きます。実は、警察官や小麦粉が登場する、警察官のゆるい日常が描かれているマンガであることを読者は知る、という仕掛け。
「文字情報だけだと、読者はこれまでの経験に基づいて、『サスペンスらしさ』を勝手に読み取ります。ところが、絵で新たな情報が与えられて本当のストーリーを知ると、もう一度文字情報だけのマンガを読んでも、知らなかった頃と同じようなマンガの体験はもうできません。このようにして一回性のある強烈な体験を作れると思っています」(菅氏)
本来のビジュアルコミュニケーションは、わかりやすく情報を視覚化して提示するのが一般的です。一方、菅氏は「僕がやっていることは、僅かな情報を鑑賞者が読み取り、そこから新たな情報を生み出させるもの。鑑賞者の脳を利用する、あたらしいコミュニケーションのあり方を目指しています。新しい情報伝達の方法として、こうした考え方でものづくりができるのではないでしょうか」と講演を締めくくりました。
 ■目隠しをして食事をとる「暗闇ごはん」
次に、「視覚のない食の体験—暗闇ごはん」として青江氏が講演���行いました。青江氏は、お寺の薄暗い部屋で目隠しをして食事をとる「暗闇ごはん」を10年以上にわたって主催しています。
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まず、青江氏は、「みなさん、1分間、何もしないでいてください」と会場に呼びかけます。
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 約80人の参加者全員が、いっせいに静かに目を閉じ「何もしない」1分間を過ごしました。1分後、「みなさん、さっきよりも背筋が伸びて、しゃんと前を向いているようになりましたね。感覚器官を一旦閉ざすことで、普段意識を向けないところにも意識を向けられるようになります」と言い、講演を続けます。
 「暗闇ごはん」では、例えば寒天で固めた野菜のテリーヌや、こんにゃくなどの食事を、薄暗い室内で目隠しをしながら食べます。青江氏はなぜこの「暗闇ごはん」を始めたのでしょうか。
 「仏教では『喫茶喫飯』という言葉があります。食事の時には食事に集中する、という意味です。ところが、普段私達は食事中に他のことを考えてしまいがち。どうしたら、食事と自分が一対一で向き合えるのか。そこで、視覚を閉じてみようと考えました。日常で体験することない、完全に視覚を奪われた状態で、残された感覚をフルに活用させて味わうのが暗闇ごはんです」(青江氏)
 続いて、会場で「暗闇」の体験が行われました。まず、近くの席の2人がペアになり、目を閉じた状態で自己紹介をします。次に、同じペアで「暗闇じゃんけん」を行いました。「暗闇じゃんけん」とは、2人が向き合った状態で、それぞれ右手で「グー、チョキ、パー」のいずれかを通常のじゃんけんと同じように出し、それぞれ左手で相手の右手に触れ、相手が出した手を識別するというものです。
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 「じゃんけんぽん」と、通常と同じように掛け声をかけます。目を閉じているので、手を出した瞬間には相手の手はわかりません。おそるおそる左手を伸ばして相手の右手に触れると、相手の手の形がわかり、「あー、勝った!」と思わず声が上がりました。目が見えないと、相手の手に触れるときの触覚が研ぎ澄まされたような気がしました。
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じゃんけんをしている間に、スタッフが全員の机の上にカップを配りました。この中に入ったスープを飲んで下さい、という青江氏の指示に従って、目を閉じたままカップを探りあて、手に取り、中にはいった���体を口元に持っていきます。
すると、つんとした酸っぱいような甘いような青臭いようなにおいが漂ってきました。「トマトかな?」と思いながら口に入れると、さらさらとした感触で、トマトジュースのような味がします。「何のスープだと思いますか?」という青江氏の問いかけに対し、会場のほとんどが、「トマト」と答えました。
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 「正解はトマトです」と青江氏。トマトを絞って濾して作った、トマトだけが原料のスープと言います。
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目を開けて見ると、このスープの見た目は、少し黄味がかった透明。トマトの皮が濾し取られているため、トマトジュースのような赤色の見た目やどろどろとした食感はありません。実はこのスープ、目を開けて飲むと、トマト以外にもきゅうりやなす、と答える人も少なくないと青江氏は言います。
 「見た目がトマトの色ではないので間違えてしまうのではないでしょうか。視覚を使っていないと、においと味でトマトだと判断しますが、視覚の情報が入ることで、赤くないものは何かと考えてしまう。情報が増えれば増えるほど、正解から遠ざかってしまいます」(青江氏)
 ただし、視覚が閉ざされたからといって、必ずしもいつも正解にたどり着くように、みんなが同じように感じるわけではありません。暗闇ごはんを体験した人たちの感想は、それぞれさまざまだと言います。実際には一般的には薄味の食事でも、「味が濃い」と言う人もいれば、「何を食べても豆腐の味がする」と言う人もいるそうです。
 例えば、食感や味が似ているさつまいもや栗、かぼちゃを、目隠しをして食べるとそれぞれ判別がつくでしょうか?「暗闇ごはん」では、同時に数人で同じ場で食事を取りますが、最初に大きな声で自信たっぷりに声を上げた人に、他の人たちも同調してしまうといいます。
 「例えば最初に誰かが『これはかぼちゃ』と言ったら、他の人も同じように言います。政治でもデマゴーグといって権力や知識のある人が声を大にして言うと、ほかの人達もそれに従って世論が流れますよね。それと同じことが『暗闇ごはん』でも起こります。視覚情報が閉ざされて、正解がわからない中では、一番力強く、はっきりと大きな声で最初に発言した人の声に、我々は流されてしまいます」(青江氏)
 当初、青江氏は、食べ物と自分が一対一で向き合うという「食育」として「暗闇ごはん」をはじめました。ところが、実際にやってみると、食育を超えたおもしろさを発見したと言います。「視覚を減らしてみることで、見えてくる世界が広がりました。コミュニケーションの流れも見えてきます。食育よりも幅広い視野を持った企画に育っています」と講演を締めくくりました。
 ■パネルディスカッション「感覚の減算による体験拡張の可能性」
最後に、これまでの菅氏と青江氏の講演を踏まえて、会場からの質疑を受けて、感覚を引き算すること��よる体験の可能性を議論しました。
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まず、会場からの「我々が得たことのない感覚にフォーカスする方法はあるのか?」という質問に対して、菅氏は映像制作を通じて得た体験から「頭の中でプリセットされているがまだ見つけられていない感覚は、たくさんあると思っている。(Eテレの)2355では、眼球を裏返すといったあり得ない状況を作り出したのはたまたまだったが、試行錯誤してあれこれやっていくなかで、作っていきたい」と回答しました。
 一方、食でのあり得ない体験はあるのかという問いに対して青江氏は、南インド料理にあるナスの天ぷらにヨーグルト、クミン、塩をかける料理を「暗闇ごはん」で出したエピソードを紹介して、「南インド料理という、日本人が体験したことがない食の感覚を視覚がない状態で与えたらどうなるのか?と思っていたが、実際にやってみるとただの混乱で終わってしまう(笑)最近は出さなくなりました」と言います。これに対して鳴海氏は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使ってクッキーの見た目とにおいを変えて味を変える自身の研究を紹介した上で、「今まで食べたことがない経験を出すのは難しい。例えば、松茸のにおいのするクッキーは、松茸味クッキーというより、まずいとしかならなかった。新しい食体験を作りたくても、これまでに体験したことがない感覚は出せないかもしれないと思ってきたが、今日の話を聞いて、今まで食べたことがないものを想像できるならそこに救いがあるのかもしれないと感じた」と語りました。
 「暗闇ごはんの参加者はどのような人か?」という会場からの質問に対して、始めたばかりの12年前はアーティスト、中でも視覚に頼らない世界を模索するミュージシャンが圧倒的に多かったが、最近では一般の人が多く、男女比は6:4、30〜40歳代が最も多いと青江氏。
 また青江氏は、全盲の障害がある方を対象に「暗闇ごはん」を開催したときのエピソードを紹介しました。全盲の方たちは、普段食事をするときにはサポートをしてくれる人が「12時の方向にお漬物が、5時の方向にご飯があります」といったガイダンスを予め受けます。ところが、「暗闇ごはん」では、一緒に食べる健常者の人も、同じ条件でゼロからスタートして一緒に食事をとることで両者の間の情報格差がなくなったということです。「フェアな状態で食事をとることができたのは人生で初めてでした」と参加者が言ったのが印象的だったと青江氏は振り返りました。
 最後に、鳴海氏は「感覚の減算がテーマだったが、人は情報が足りないと、その分、集中して感覚を体験しようとする。そこで新しいエフェクトが生じています。ここに研究の余地があるのではないでしょうか」としてパネルディスカッションを締めくくりました。
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crossmodal-design · 8 years ago
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第十二回クロスモーダルデザインWS 「感覚の減算で作る新しい体験」 開催のご案内
【日 時】 2016年11月20日(日) 13:00~14:30 【会 場】 早稲田大学 戸山キャンパス       hhttp://www.waseda.jp/top/access/toyama-campus       多感覚研究会と共催.多感覚研究会のサイトより事前登録が必要です.       https://sites.google.com/site/multisensejapan/
多感覚の相互作用に着目し、目で見たり、耳で聞いたり、手で触ったりといった感覚を組み合わせることで、それぞれの感覚の情報だけでは得られない、全く新しい体験が得られます。そうした新しい方法論による体験の作り方は、ものづくりやサービスデザインに活かすことができます。
第12回クロスモーダルデザインWSは、「感覚の減算で作る新しい体験」をテーマに、感覚提示のためのインタフェースだけでなく、特定の感覚の入力を減らしたり防いだりすることによって、他の感覚の感じ方に影響を与えたり、新鮮な体験を与えるための方法について議論します。湯島山緑泉寺住職で、暗闇で食事をおこなうブラインドレストラン「暗闇ごはん」代表の青江覚峰さまと、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師で、人間の知覚能力に基づいた新しい表現の在り方を研究し、映像や展示、文章をはじめとした様々な分野で活動を行なっている菅俊一先生をお招きし、講演・実演とパネルディスカッションをおこないます。
【タイムテーブル】
13:00-13:10 クロスモーダルデザインワークショップのご紹介 講演者:鳴海 拓志(東京大学)
13:10-13:40 講演「 「補う」ことで生まれる面白さ���持つ表現 」 講演者:菅俊一(多摩美術大学専任講師)
従来、映像やグラフィックデザインといった視覚表現は、「目で見えているものを設計する」表現分野だと思われていますが、現在私が取り組んでいるのは、敢 えて僅かな手がかりだけを提示することで、ディスプレイや紙には描かれていない図像を、鑑賞者の頭の中にだけ作らせるという表現です。講演では、映像や漫 画といった、これまで制作してきた作品を紹介しながら、「補う」ことで生まれる新しい面白さについて、お話できたらと思います。 
13:40-14:10 講演「視覚のない食の体験 ー 暗闇ごはん 」 講演者:青江覚峰(湯島山緑泉寺住職、暗闇ごはん代表)
薄暗闇に照明を落とした部屋で、アイマスクを着けて食事をとる。 目の前に置かれた料理を見ることのできない参加者は、おそるおそるお皿を手に取り、食材を探り、ぎこちない手つきで箸をつかった口に運ぶ。そして感覚を研ぎ澄まし、舌、唇、鼻、耳で真剣に味わう。 そんな企画が、浅草のお寺で10年以上行われています。 「暗闇ごはん」は、視覚を遮断した状態で食事をとることにより、食と自分とが一対一で向き合える場です。 食育の一環として始まったこの企画を通し、10年の間に主催者が見てきたもの、感じてきたものを、様々なエピソードを交えてご紹介します。
14:10-14:30 パネルディスカッション「感覚の減算による体験拡張の可能性」&質疑応答 司会:鳴海 拓志(東京大学) パネリスト:青江覚峰,菅俊一
講演者略歴
菅俊一(すげ しゅんいち) 研究者/映像作家。
1980年生まれ。研究者/映像作家/多摩美術大学専任講師。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、様々なメディアを用いて社会に提案するこ とを活動の主としている。主な仕事に、 NHK Eテレ「2355/ 0655」 ID映像、BRUTUS「ヘンテコノミクス」、21_21 DESIGN SIGHT「単位展」企画、著書に「差分」(共著・美術出版社)、「まなざし」(ボイジャー)。主な受賞にD&AD Yellow Pencilなど。
http://syunichisuge.com
青江 覚峰 (あおえ かくほう) 浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職
1977年東京生まれ。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。ブラインドレストラン「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー。ユニット「料理僧三人衆」の一人として講演会「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」などで料理をふるまう。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ほとけごはん』(中公新書ラクレ)、『お寺のおいしい精進ごはん』(宝島社)など。
【参加費】無料
【申込】多感覚研究会のサイトよりお申し込みください(事前登録必須)     https://sites.google.com/site/multisensejapan/
【定員】100名
【案内URL】http://crossmodal-design.tumblr.com/
【共催】多感覚研究会
【後援】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)
【お問い合わせ】クロスモーダルデザインWG 幹事 鳴海拓志         E-mail: narumi [at] cyber.t.u-tokyo.ac.jp
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crossmodal-design · 8 years ago
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クロスモーダルデザインWS x 日本基礎心理学会 心の実験パッケージ開発委員会 「子ども向け心理学実験教材の開発・ワークショップ」アイデアソン2016
【日 時】 2016年10月31日(月)10:00~19:00  【会 場】 文京シビックセンター 会議室A・B(東京メトロ 後楽園駅前 徒歩1分)       9:30より受付を開始いたします.
★子ども向けの心理学体験型教材企画アイデアソン
日本基礎心理学会「心の実験パッケージ開発委員会」では、心理学を中心に、教育工学からメディアアートまで様々な分野の研究者が集まり、子ども向けの心理学実験教材や教授法の開発を進めています。 子どもたちに、人間の知覚・認知に関する実証的な研究手法や研究の面白さを体験的に伝えることがねらいです。体験を通して、子どもたちに 「脳と身体知覚の関係」 について理解を深めてもらうと同時に、子どもたちの「科学的なものの見方」や「知的探究心」を育むことを目指しています。
今後さらに、科学教育の推進および生涯学習の充実など社会的要請に応えるべく、 ・新規教材の開発研究、 ・教材を用いたワークショップの開催・効果測定 ・パッケージのシリーズ化と普及活動、 をより充実したかたちで進めていく必要があると考え、心理学を中心に様々な分野の方にご参加いただいて、みんなでワークショップを企画するアイデアソンを実施することとなりました。
本アイデアソンでは、クロスモーダルデザインWSとの共同企画として、参加者でチームを組んで、子供が心理学について学べる体験型のワークショップの企画を立案します。本アイデアソンで立案されたアイデアのうち、優秀な企画については、ワークショップ優秀企画賞が授与されます.また、優秀企画賞受賞チームの皆様には、日本基礎心理学会心のパッケージ開発委員会の協力のもと、実際にサイエンスミュージアム等においてワークショップを実施いただく機会を設ける予定です。
・自分の研究成果をアウトリーチとリンクして発信したい! ・実験プログラムのスキルがある! ・サイエンス関係のワークショップ開催の経験がある! ・科学教育、アウトリーチ活動に関心がある! など、ご興味のある方は、ぜひご参加・お問合せください。
※アイデアソンとは、アイディア(idea)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた語
★ワークショップ優秀企画賞について
ワークショップ企画発表会を行い、審査のうえ、優秀企画については、 日本基礎心理学会心の実験パッケージ開発委員会「ワークショップ優秀企画賞」として表彰いたします。 また、受賞者には、受賞企画の教材開発および科学館等でのワークショップ実践に開発者として研究にご参加いただきたいと思います。
【タイムテーブル(予定,参加者数等によって変動あり)】
1. 10:00~12:00 導入レクチャー、参加者によるライトニングトーク 2. 13:00~14:00 昼食 3. 14:00~15:00 前半ディスカッション 4. 15:00~15:30 前半報告 5. 15:30~16:00 休憩 6. 16:00~18:00 後半ディスカッション 7. 18:00~19:00 発表・審査 8.  19:30頃より  懇親会
【参加費】無料
【申込】下記フォームよりご登録ください。申込締切は2016年9月末日です。     チーム編成の都合上、参加を希望される方には、これまでのご研究やご活動の内容が     分かる参考資料を下記リンク先よりご提出いただきます.簡単で構いませんので,     ご協力のほどよろしくお願いいたします.     https://www.dropbox.com/request/suci0o7GdJWBzGGGsvhM
【定員】20名程度(計4チーム程度) ※申込多数の場合は若手を優先させていただきます
【案内URL】http://crossmodal-design.tumblr.com/
【共催】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF) クロスモーダルデザインWG
【お問い合わせ】日本基礎心理学会 心の実験パッケージ開発委員会  委員長 池田まさみ         E-mail:  ikeda [at] jumonji-u.ac.jp
【参考URL】 ・心の実験パッケージ委員会 (過去の教材開発やワークショップの履歴が見られます)   https://sites.google.com/site/kokorojps/ ・URCFクロスモーダルデザインWG    http://crossmodal-design.tumblr.com/
【企画・ファシリテータ】 ・心の実験パッケージ委員会 渡邊  淳司 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所、副委員長),北崎  充晃 (豊橋技術科学大学),茅原  拓朗 (宮城大学),大崎 章弘 (お茶の水女子大学),吉田  成朗 (東京大学大学院),上田  祥代 (お茶の水女子大学大学院),池田 まさみ (十文字学園女子大学、委員長),川畑 秀明 (慶應義塾大学), 佐藤 隆夫 (立命館大学) ・URCFクロスモーダル設計調査分科会 鳴海 拓志 (東京大学),小泉 直也 (電気通信大学),金 ジョンヒョン (博報堂)
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