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ハイブリッド青白磁技法8_Hybrid Technique for Pale-Blue Glaze on White Porcelain (Seihakuji) Ⅷ
1 ハイブリッド青白磁技法8とは
ハイブリッド青白磁技法4は極く薄い磁器の外面にレリーフする技法であった。石膏鋳込型から排泥後すぐに型に入れたままで、石膏スタンプで内中にレリーフするアイデアがハイブリッド青白磁技法8である。
2 モティーフ
図1 沢山の種がついた楓
楓は4月から5月に沢山の種を実らせる(図1)。楓を観察すると木によって葉が様々に異なることがわかった。葉の切れ込みを深くはっきりさせたほうが良いパターンデザインになる。
3 石膏原型
器外側のレリーフを見せるようある程度高さがあり、器内側に石膏印が押せる器形を考えた。しかし細長い楕円の鉢は正円に比べ、非常に制作が困難なことが焼成してわかった。
図2 基本の楕円柱
長方形に流した石膏を楕円の型紙シートに合わせて手作業で削った(図2、3、4)。
図3 底面の削り出し
図4 原型
図5 ニス塗りした石膏原型
レリーフを貼ってから石膏取りした。
図6 二つ割の石膏型
楓パターンを器の両面に表現した。
図7 素焼き
楕円の鉢は同時に2種類制作したが、図7手前の日本たんぽぽパターン鉢は本焼成で全て大きく変形した。
図8 釉薬
青白磁釉を素焼きに吹き付けした。素焼きが大変に薄く吸水力が弱いため充分に乾燥させてから何回も繰り返した。
図9 口辺の小さな亀裂から焼成で大きく損傷した
図10 窯出し
図11 青白磁楓組鉢
第65回日本伝統工芸展入選
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ハイブリッド青白磁技法10_Hybrid Technique for Pale-Blue Glaze on White Porcelain (Seihakuji) Ⅹ
1 ハイブリッド青白磁技法10とは
ハイブリッド青白磁技法4から薄手レリーフ蓋物に展開した方法が、ハイブリッド青白磁技法10である。
2 厚手の陶匣
図1は石膏型圧力鋳込み後に桜の石膏印を用いてレリーフしている。
図1 青白磁桜陶匣 w322×d120×h100
3 排泥鋳込みの蓋物
排泥鋳込み石膏型内面に2種類のレリーフを刻んだ蓋物を制作した。
図2 日本たんぽぽ
日本たんぽぽと外来種の西洋たんぽぽの見分け方は、萼はモサモサと茂っているものが外来種で、日本たんぽぽの萼Φ107×h80㎜はスッキリしまっている。図2は自宅前の田の畦道の日本たんぽぽである。県道を渡ってJR駅周辺は西洋たんぽぽばかりになっている。
図3 青白磁日本たんぽぽボンボニエール
図4 楓
岡山県立大学構内に楓は沢山のタネをつける。楓の葉の形は大変多様である。
図5 青白磁楓文ボンボニエール
蓋を共土で作られたハマ(使い捨ての平らな焼成用敷台)に乗せて身と別に焼成する方法と、蓋と身の合わせ目の釉薬を剥がして水酸化アルミニウムを塗り、身に蓋を乗せて焼成する方法で試みた。ハマにのせて別焼きしたものはす蓋が合わなかった。
図6 青白磁日本たんぽぽボンボニエール Φ107×h80㎜ 2018年
青白磁楓ボンボニエール Φ107×h80㎜ 2018年
内側にも青白磁技法8と同様にレリーフを施すこともできる。
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花文様乳白瓷2
研究の目的
絵付けを工夫して遠近感を出し、奥行きを感じさせるデザインに仕上げたい。ある種の風景のようなイメージを思い浮かべて、梅の木独特の枝ぶりやつぼみの存在感を楽しめるような作品づくりを試みた。
図1 梅の木
スケッチからデザイン完成
梅の木をひとつのデザインとして完成させるには描いたスケッチを細部まで分解し、再構成しなければならない。草花のデザインをする上でほとんどこのプロセスを通るが、今までで一番時間のかかるデザインとなった。遠景・近景、そして中間にあるつなぎの空間を違和感なく描き分けることが重要ポイントである。枝の重なり合いの描き方次第で、いろいろな図形が見え隠れするところが面白い。最後には必要のない部分を取り除きながら、すっきりさせる。見る人に違和感を与えない、混乱させないデザインを心掛ける。
下絵具による絵付け:枝部分
完成したデザイン画をもとにカーボン紙と鉛筆で下書きする。大皿全体に描く。写真ではわかりづらいが、曲面に描いているため必ずレイアウトに狂いが生じる。まずは枝の部分から着色しながら調節する。今回は筆で彩色。近くに見える太い枝、遠くにのびる細い枝を複数の絵の具を使って濃淡を付ける。力強い印象を与えるため、立体感が出るように何度も重ねて着色する。
図2��大皿の素地に枝のみ彩色
下絵具による絵付け:花とつぼみ
枝の彩色後、はみ出た部分を削り取ったら、花とつぼみを筆で彩色する。焼くまでわかりにくいが、枝部分と同様に遠景、近景にあるもので濃淡に差をつける。できるだけ美しいグラデーションを作りたい。
図3 さらに梅の花とつぼみを彩色
掻き落としによる細部表現
針で掻き落とすことにより、枝の光が当たる箇所や光沢感、一枚一枚の花びらの重なりやおしべの形までも表現できる。枝は円柱の丸みを意識し、タッチを変える。鉛筆やカーボン紙による下書きは焼成すると消えるので気にしない。
図4 絵付け完成後の素地 部分拡大
焼成
素焼き後、透明の釉薬を薄掛けして本焼きする。下絵具の濃淡の付け方は経験によって習得できるものである。この作品を完成させるまでにもちろん失敗もしている。私にとって不慣れな筆を使用することで、エアブラシとは全く異なる感覚が鍛えられて良い経験になった。
図5 完成した作品 部分拡大
結語
作り手として当たり前のことだが、手を動かした分だけ自分の身に付く作業であるため常に感覚が冴え渡る状態を保っておきたいものである。今後も描くモチーフのバリエーションを増やし、いろいろな技法を使って制作に励みたい。見る人を一瞬で惹き込めるような作品を、失敗しながらも生み出したいと強く思う次第である。
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積層で作る造形2_Form From Laminating 2
作品名「Form183From13」磁器、2018年制作
はじめに
石膏型に鋳込んだ粘土を積層させることでまっすぐな境界線を持つストライプ模様の陶磁器造形を制作しており、本研究ではかたちを分解し再構成するという技法の良さを生かし、2つの輪の形状が繋がった作品を制作しました。
成形について
楕円の断面が横から縦に徐々に変化する輪の形を原型として制作しました。単体ではなく、立体として見たときに2つが重なって心地よく完成する形を目指しました。1つの輪の作品を成形、乾燥、焼成させた後、もう1つの輪をその輪の中に通すようにして成形しました。本論では、成形と焼成法について説明します。
図1:1つ目の焼成済み作品を成形用の土台に固定したところ
先に1つ目の輪の形状を焼成し完成させ、それに2つ目の生地を通して成形していきます。生地が焼成前のままだとこの工程は生地が壊れやすく扱いづらいのですが、最初に焼成を済ませてしっかりと焼き固まっているため、固定が容易です。
図2:2つ目を乗せる場所
パーツごとに鋳込んだ粘土を貼り合わせて平らな面に乗せられるよう土台を作っています。
図3:2つ目の半分を貼りあわせたところ
図4:もう半分を貼り合せたところ
1つ目の輪を通すように設置します。石膏原型ではぴったりと繋がっていましたが、鋳込んだ粘土を数多く貼り合わせていくと、どうしても角度のズレが生じます。右半分、左半分を別々に繋げて最後に輪にする際にはまだ柔らかい生地を少しずつ曲げながら境界線がしっかりと密着するように調整します。
図5:左右を接着したところ
泥漿にCMCを加えた糊で接着します。最後に接着した場所は特に切れやすいので、竹べらなどでしっかりと押さえておきます。このままの状態でゆっくりと1ヶ月ほどかけて乾燥させます。
図6:表面を削って仕上げたところ
焼成済みの一つ目の作品にぶつからないように注意しながら、表面をのこ歯で削り、スポンジやすりで磨いて滑らかに仕上げます。
焼成について
2つの作品を同時に焼成するためには、窯詰めをどのようにするかが問題になってきます。作品同士がくっつかないように成形に用いた土台をそのまま窯の中に再現できるよう試みました。レンガを組んで作品を固定できる場所を作り、床になる面には珪砂を敷いて丸みのある形を保てるようにしました。
図7:窯の中の土台のレンガ
図8:窯詰めしたところ
1つ目の輪は1度焼成しているため、2度目の焼成で歪みが生じないよう、深めに硅砂の中に埋めるようにしました。
図9:硅砂に埋めた状態
作品が高温焼成により棚板にくっつかないようにするための材料は様々あり、一般的には水酸化アルミニウム(アルミナ)がよく使われますが、自身の作品はニューボンを生地にしており、アルミナだと白い粉状が溶着して色味に影響することがあったため、砂状の硅砂が有効でした。硅砂は号数に応じて粒の大きさが変わっており、3号、5号、7号と番数が大きくなるにつれて粒が小さくなります。陶磁器材料店だけではなく、庭園などに使う白砂としても流通しており、粉状とまでならない砂状でかなり細かい7号が作品に跡がつかず扱いやすいと感じました。焼成後は作品に付着していますが、砥石やスポンジやすりで落として完成しました。
さいごに
陶磁器作品の1つの作品の大きさには自身の技術的にも限界があり、ひび割れや歪みなどの問題にどのように対処していくかい��も考えをめぐらしています。本研究での試みは、1つの作品はそれほど大きくなく制作しやすい大きさであり、複数組み合わせることで成り立つ作品を目指しました。このことは、新たな方向性のきっかけになったと考えます。
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ハイブリッド青白磁技法11_Hybrid Technique for Pale-Blue Glaze on White Porcelain (Seihakuji) Ⅺ
1 ハイブリッド青白磁技法11とは
青白磁のミニチュアー食器をハイブリッド青白磁技法11とした。
2 ミニチュア磁器制作の動機
2019年1月13日から2月3日の瀬戸内市立美術館「現代日本陶芸のデザインと技法2019」・「東京藝大×中四国大学 学生陶芸作品展」のワークショップを企画した。美術館来場者に1日限りで完成してもらえる陶芸技法として、ミニチュア陶器制作を考えたことが動機である。
3 ワークショップ
一般に陶磁器は素焼する。しかし素焼は固定観念に過ぎないと気づいた。素焼しない生素地に直接釉薬を塗って本焼きできないか実験した(図1、2、3、4)。その結果十分に可能だった。
図1 指作り成形
図2 焼成作品
図3 小さなクリーマー
図4 小さな洋食器セット
4 ミニチュア青白磁
陶器とは違い磁器の手びねりは困難なので石膏鋳込で制作した。作業工程は大きさに関わらず同じである。そのためごく小さい磁器は難しかった。
図5 青白磁ミニチュア洋食器
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冷熱カップ&ソーサー_Cup&Saucer
1 冷熱カップ&ソーサーとは
冷熱カップ&ソーサーは、口辺を広げその下は絞っているので、猫舌でも熱々コーヒーが飲める。この形のため最初は冷めやすく、後半は熱さを保てる。
2 石膏型作り
カップの石膏原型は逆さの状態で削り出し(図1)、外型は3つ割りの排泥鋳込みにした。同時にハンドルの石膏型も作った。ソーサーは圧力鋳込み石膏型を作った(図2)。
図1 カップ石膏原型の制作
図2 ソーサー石膏型の制作
3 鋳込み
カップの石膏型を組んで泥漿を流し、20分後に排泥した。ハンドルも鋳込みして、カップにハンドルをつけた。ソーサーは石膏型に水圧を��けた泥漿で成形した(図3)。
図3 ソーサーの鋳込み
4 素焼き
鋳込みしたカップとソーサーを仕上げし(図4)、900度で素焼きした。
図4 乾燥後の状態
5 本焼き
薄い有田磁器は釉薬が厚いと冷め割れするので、釉薬に厚みを持たせた冷熱カップ&ソーサーは(図5)最大限徐冷した。
図5 釉薬をかけたところ
図6 本焼き還元中の電気炉
図7 冷熱カップ&ソーサー
厚みのある磁器透明釉が柔らかいフォルムを作り出している。
カップ w92×d73×h75 ソーサー Φ145×h14
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じゃがいも模様リム皿 Potato pattern plate
1 はじめに
じゃがいもを見たことはあるだろうか。そう聞かれて想像するのはじゃがいもの根っこ、食べる部分だと思う。では葉は?花は?私の家では祖父がじゃがいもを育てている。その花は白く美しく、その葉は一本の茎から左右と先端に伸びる。上から見ると丸く伸びて見える葉を、丸い皿のデザインにした。
2 じゃがいも模様デザイン
じゃがいもの葉が丸く伸びて見えたことから、その葉を中心にデザインを考えた。葉の丸みを意識しながらスケッチし、葉の隙間から花が覗くようにコラージュした。
図1 デザイン画
3 下書き・削り
ろくろで引いて型に合わせて叩いた皿にデザインを下書きし、撥水剤を塗った後下書き部分だけを削った。
図2 削り途中
4 線画色つけ
削った線に色を流し込む。素焼きをして撥水剤を飛ばし、線だけが残る。
図3 色を流し込んだ後
5 染付
素焼き後、ベルベット釉を水で薄めたものを筆から垂らして染付した。葉自体の丸みを意識して濃淡をつけた。
図4 染付後
6 おわりに
植物模様の皿といえば美しい花を使ったデザインが多いイメージがある。今回題材にじゃがいもを選んだのは、あまり使われていない野菜を使うと面白くなるのではないかという気持ちと、普段あまり人の目に写らない部分に目を向けたいという考えがあった。このデザインを考えるにあたって、じゃがいもの花を見たことがない人が多いことを知った。そのため必ずデザインに取り入れようと考えた。本来のじゃがいもの花は葉の上に束になって咲くが、今回のメインはじゃがいもの葉であるため花はその隙間からのぞいているようにデザインしている。
図5 じゃがいも模様リム皿 φ255×H4.0
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源流
源流
源流は川の源となる水源のことです。
卓上から広がる飲み口のようにコーヒーを飲みながら水が湧き出るように会話が弾み、逸楽した空気感を雰囲気づけるコーヒーカップを目指しました。異なる面での構成は緊張の緩和を意味します。
図面
コンセプトにふさわしいデザインをラフスケッチを通して決め、角度や大きさの微調整を行い、図面に起こしました。
原型の製作
ろくろを使い原型を製作します。焼成後縮むことも計算します。
使用型の製作
原型を覆うように石膏を流し、使用型を製作します。
鋳込み
泥漿を使用型に流し込み、乾燥時間で厚みを調整します。泥漿乾燥後、飲み口などを磨いて整えます。
素焼き
低い温度で焼成し、焼き固めます。素焼き後、釉薬を一つずつ丁寧に塗ります。
本焼き
高い温度で還元焼成し,窯から丁寧に出します。
「源流」
カップとソーサー 2018制作 磁器
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ユウカイ_Yukai
1 ユウカイとは
窯の内部の熱量を見るための道具の「ゼーゲルコーン」をヒントに利用した作品である。磁器粘土と粉末状の釉薬を配合したもので角のパーツを作成した。同じ熱量でも配合の割合を変えることによって、変形の度合いが変化する。
2 トナカイ
図1 トナカイ
この作品のモチーフはトナカイにした。トナカイのツノは毎年生え変わり、ツノの大きさや生え方にも個体差があるために二度と同じツノは生えてこない。その有機的な形状を角の自由な変形によって表現したいと思い、モチーフに設定した。
3 ゼーゲルコーンとは
図2 焼成前のゼーゲルコーン
冒頭���述べたゼーゲルコーンである。焼成前は三角錐の形をしている。これを窯土に埋め込んで固定し、窯の内部に置いて焼成する。一定の熱量がかかると変形し倒れる。複数種類があり、どのゼーゲルコーンが倒れたかによって窯の熱量を見ることが出来る。
図3 焼成後のゼーゲルコーン
熱量がかかると図3から図4のように形状が変化する。
4 有田磁器粘土と一号石灰釉の配合
図4 配合の割合
配合の割合を7:3〜3:7から変化させ、5体作成した。1260℃まで8時間かけて昇温した後にⅠ時間キープした。
5 角のパーツの形成
図5 角の形成に使う石膏型
同一の形を作成するために石膏型を作成した。
6 胴体部分の形成
図6
図7
図8 胴体部分も同じく石膏型で作成した。
7 「ユウカイ」焼成前
図9 形成した角を胴体に埋め込む。焼成前は同じ形をしている。
8 「ユウカイ」焼成後
図10 「ユウカイ」 窯土 磁器粘土 一号釉薬
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かくれんぼプレート
かくれんぼプレート
磁器、2018年制作
お皿の中心に料理を盛ると動物たちがかくれんぼをします。
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幾何学的と有機的の出会い_Geometric and Organic Confrontation
本作品について、
『有機的な造形と幾何学的な造形の出会い』の研究から生まれた陶芸作品です。
本シリーズでは、粘土調合の比率と窯の焼成温度をコントロールすることによって、熱による立方体の変形に差をつけています。
自然界には完全な立方体はほぼないことから、幾何学的な形と有機的な形が出会うことで、コントラストのある造形が生まれます。
制作過程は以下のとおり。
原型の制作
↓
石膏型の作成
↓
粘土調合
↓
鋳込み成形
↓
乾燥
↓
窯詰め(画像①)
↓
本焼き
↓
窯出し(画像②)
焼成前の画像①
焼成後の画像②
CUBE Serie1
27cm×27cm×37cm
2002年
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