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2024-9月号
アンビグラム作家の皆様に同じテーマでアンビグラムを作っていただく「月刊アンビグラム」、主宰のigatoxin(アンビグラム研究室 室長)です。
『アンビグラム』とは「複数の異なる見方を一つの図形にしたもの」であり、逆さにしたり���返したりしても読めてしまう楽しいカラクリ文字です。詳しくはコチラをご参照ください⇒アンビグラムの作り方/Frog96
◆今月のお題は「くりかえし」です◆
今月は参加者の皆様に「くりかえし」のお題でアンビグラムを制作していただいております。今月もバリエーション豊富なアンビグラムが集まっておりますので、ごゆるりとご鑑賞ください。
今号も失礼ながら簡易的なコメントとさせていただいております。皆様のコメントがいただけますと幸いです。
「人間関係RESET症候群」 鏡像型:かさかささぎ氏
何度も繰り返し人間関係をリセットするような行動・心理状態のこと。 長い言葉をうまく配置して対称形に落とし込んでいますね。「RESET」部分が難しいと思いますが矢印を含んだ図案的な解決方法がステキです。
「別れの幸せは誰のものでもない」 回転型:結七氏
谷川俊太郎「くりかえす」の一節。 ドット表現が可読性を高める良い効果を出していそうです。行頭に可読性のアクセントがあると解読しやすくなりますね。
「この広告ばかりだ」 回転型:T.A.氏
ターゲッティング広告の仕組みにより同じ広告が繰り返し表示される事はよくありますね。 殴り書きのような書体のおかげで読みやすくなっているようです。文字送り方向の工夫も申し分ないですね。
「同じ過ち」 図地反転型:ヨウヘイ氏
繰り返すものの代表格。 塗りつぶしても問題なところをうまく処理すると「同/過」がぴったり図地反転の関係になることに驚きです。
「4サイクルエンジン」 図地反転回転型: いとうさとし氏
吸入・圧縮・爆発・排気の4工程を繰り返す内燃機関。 濃度が滑らかに変化しているように見えるデザインのせいか図地反転の切り替わりが見えにくく、アンビグラムと分かりにくいですね。
「RECYCLING/りさいくりんぐ」 振動型:kawahar氏
資源を回収して再利用すること。 氏得意のバイリンガルアンビグラム。複数の言語でそのまま読めるアンビグラムは実用性が高いです。
「不老不死」 回転型:ラティエ氏
いつまでも老いもせず、死なないこと。 かすれ表現が言葉の雰囲気に合っており、字画の余り部分の処理としてもマッチしています。
「反復記号」 回転型:Jinanbou氏
楽譜で使用される、リピート、ヴィーデ、ダルセーニョなどの記号。 繰り返し記号のほか音符も使用して文字を表現した楽しい作品。記号もヒントとして読み解くタイプですね。
「雪片曲線」 回転型:lszk氏
コッホ曲線を三つ繋げたものをコッホ雪片・雪片曲線と言ったりします。 コッホ曲線になっている線分の箇所が直線と曲線で振動するため、脳が自動的に読みたい方で読んでくれます。
「敷詰回転」 敷詰回転型:ちくわああ氏
自己言及的な作品。 回転も含んだ二次元敷詰は設計が難しいのですが、少し離れたところから文字を拾うときれいに敷詰できるのが面白いところです。
「不敗神話」 回転型:.38氏
とある選手に関わる特定の事象が発生すると試合に負けない、という結果が繰り返されることで言われることになります。 氏らしい楽しい書体で4文字とも絶妙な調整で読めるのがさすがです。「∞」のような部分はいつまでも続いてほしい祈りのようにも見えます。
「個体発生/系統発生」 回転共存型:うら紙氏
「生物発生原則」を簡単に「個体発生は系統発生を繰り返す」と言うところから。 言葉のチョイスが面白いですね。ドット表現に加え文字の変形の工夫も見所です。
「100万回生きたねこ/佐野洋子」 回転共存型:兼吉共心堂氏
輪廻転生を繰り返す猫が主人公の絵本。 「100万」がかわいらしいです。「生きた/野」のハマり具合が自然ですね。
「頻繁」 図地反転回転型: いとうさとし氏
物事がとぎれずに重ねて起こる様子。 読みやすくて素晴らしいですね。「糸」部分がかわいいです。
「循環小数」 敷詰回転型:繋氏
小��点以下のある桁から先で同じ数字の列が無限に繰り返される小数のこと。 どの文字も読めるのに作字的に面白い形状になっていますね。この対応を設計するのがすごいです。
「反復試行」 鏡像型:オルドビス紀氏
同じ条件のもとで同じ試行を繰り返すことで、確率論で出てきます。 「復/試」は一目斜め対応は無理そうに見えますがストロークの長さの調整でしっかり読めるようになっていますね。
「急速充電器」 図地反転回転型: いとうさとし氏
充電器はとにかく繰り返し使われますね。 こちらも読みやすいですね。「器」のような特徴的な文字は「口」を塗りつぶしてしまっても読みやすさは変わりませんね。
「ことばのおばけがまどからみている」 回転重畳型:つーさま!氏
フロクロ氏の楽曲より。左右のコーラスが入れ替わって繰り返されるところからの連想でしょうか。 これだけ長いと流れで読ませることになることが多いですが、一文字ずつ見てもほとんど読めてしまうのが驚異的です。
「永劫回��」 回転型:lszk氏
ニーチェの思想で、この世界は全てのものが全く同じように永遠にくり返されるとする考え方。 読める字にするための文字の大きさのバランスのとり方が巧みです。
「禍福は糾える縄の如し」 回転型:douse氏
災いと幸せとは表裏一体であり、ぐるぐると交互にやってくるもの、という意味。 偏と旁のずらし具合も計算されていて、絶妙に読めるバランスになっています。糸偏の入れ替わりが楽しいです。
「単純作業」 旋回型:螺旋氏
流れが決まっている作業で、多くはルーチンワークでしょうか。 字形の統一感が素晴らしいです。「単」の字形に驚きました。
「もしかして:盥回し」 回転型:超階乗氏
「たらい回し」で検索して表示されるものを想定。結局たらいまわしされているというやつですね。 ゲシュタルトの統一がされていてよいですね。この文字列で回せることが素晴らしいと思います。
「ニュートンの揺籠」 回転型:Σ氏
運動量保存則と力学的エネルギー保存の法則の実演のために作られた装置。衝突球とかカチカチ玉と言ったりします。 姫森ルーナ型できれいに対応付けされていますね。カチカチ玉を彷彿させる円形のモチーフがデザインに生きています。
最後に私の作品を。
「堂々巡り」 敷詰鏡像型:igatoxin
���さになったり裏返しになったり堂々巡り。 縦書き0度と180度を適切に並べて斜めに裏返すと同じ敷詰図形になります。
お題 くりかえし のアンビグラム祭、いかがでしたでしょうか。御参加いただいた作家の皆様には深く感謝申し上げます。
さて次回のお題は「読書」です。読書の秋、小説、文学少年、芥川賞、積読、感想文、速読、擬似体験、知識、読書離れ など 参加者が自由に読書というワードから発想 連想してアンビグラムを作ります。
締切は9/30、発行は10/8の予定です。それでは皆様 来月またお会いしましょう。
——————————–index——————————————
2023年 1月{フリー} 2月{TV} 3月{クイズ} 4月{健康} 5月{回文} 6月{本} 7月{神話} 8月{ジャングル} 9月{日本史} 10月{ヒーロー} 11月{ゲーム} 12月{時事}
2024年 1月{フリー} 2月{レトロ} 3月{うた} 4月{アニメ} 5月{遊園地} 6月{中華} 7月{猫} 8月{夢}
※これ以前のindexはこちら→《index:2017年~》
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「戻る」「分かる」「塗る」「眠る」「誤る」「偽る」「去る」 180°回転型アンビグラム
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2024-8月号
アンビグラム作家の皆様に同じテーマでアンビグラムを作っていただく「月刊アンビグラム」、主宰のigatoxin(アンビグラム研究室 室長)です。
『アンビグラム』とは「複数の異なる見方を一つの図形にしたもの」であり、逆さにしたり裏返したりしても読めてしまう楽しいカラクリ文字です。詳しくはコチラをご参照ください⇒アンビグラムの作り方/Frog96
◆今月のお題は「夢」です◆
今月は参加者の皆様に「夢」のお題でアンビグラムを制作していただいております。今月もバリエーション豊富なアンビグラムが集まっておりますので、ごゆるりとご鑑賞ください。
今号も失礼ながら簡易的なコメントとさせていただいております。皆様のコメントがいただけますと幸いです。
「夢灯籠」 回転型:KSK ONE 氏
RADWIMPSの楽曲より。 「夢/籠」は下側が重要な文字なのでそういう文字設計になっており、読みやすいですね。
「眠り/夢」 図地反転回転共存型:ぺんぺん草氏
「目/ 罒 」の対応が目につきますが、図地反転でも対応付けできることに気付くとより自然な対応付けができるわけですね。
「夢ひとり」 交換式旋回型:結七氏
美空ひばりの楽曲名から。 夢の省略が大胆ですがドット表現により不自然さが薄らぐようです。
「壊された夢」 回転重畳型:T.A.氏
「夢」から文字列生成。 「壊/夢」の対応付けの際に生じる不都合を、文字を壊すような表現できれいに解決している良作です。
「将来の夢」 旋回型:ヨウヘイ氏
子供のころの不可避な問い。 文字を並べたときに「夢」がどうしても歪んでしまいそうなので全体的に歪んだ設計にすることで不自然さを減らしています。
「夢幻泡影」 図地反転回転型: いとうさとし氏
「むげんほうよう」は人生が儚いことのたとえ。 「夢/影」が見事な対応。図形の足し引きが職人芸です。
「愛/夢」 交換型:kawahar氏
愛と夢のサ(差)の(優先順位の)違い。 うまく振動するように図形が調整されていて交互に見ていると不思議な感覚になります。
「二度寝」 振動式複合型:ラティエ氏
二度寝は夢の続きを見やすいと言われていますね。 ZZZも意識されています。パースの効果も生かされているためフラクタル型の方が適切かもしれません。
「今日も煩く夢を幻に消す音が」 回転型:Jinanbou氏
いいところを邪魔する目覚まし時計、ありがちです。 隅々まで見ていただきたい素晴らしい作品です。全体的に無駄がないですね。
「虚実」 鏡像型:lszk氏
虚と実のすり合わせとしての夢。 シンプルな図形で読みやすくする素晴らしい技術。中間表現がステキですね。
「夢と希望」 回転型:ちくわああ氏
夢と希望では実現性に違いがあります。 遊びのあるストロークを生かしたデザインであまり部分の字画が気になりにくくなっていますね。
「多重夢」 フラクタル型:松茸氏
夢の中で見てしまう夢。 それぞれの文字が重畳型にできるのに敷詰方向が異なるのでフラクタル型にすることで解決した、という面白い作品です。
「妖精の粉」 回転型:.38氏
ピーターパンに出てくる、夢見る心を信じることで空を飛べるようになるアイテム。 解読が楽しいです。変形も大胆で面白い作品です。
「うつつまくら」 重畳型:無限氏
夢と現実を入れ替えることができる、ドラえもんに登場するひみつ道具。 「く」を裏返したデザインにしても読めるのは活字ベースの文字組にしているからでしょう。
「浅い眠り」 回転共���型:うら紙氏
眠りが浅いと夢を見やすいと言われています。 「浅/眠」が90度、「い/り」が180度なので絶妙に角度調整されているのが分かります。
「絵空事/眉唾物」 図地反転鏡像共存型: いとうさとし氏
荒唐無稽な夢物語といったところでしょうか。 「空/唾」が密度差の解決が必要そうですがうまい省略によって良い落としどころになっています。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 回転型:繋氏
ディックによる1968年出版のSF小説。 各所に工夫がみられる大作です。縦太横細の書体が生かされていますね。
「夢芝居」 敷詰回転型:douse氏
梅沢富美男の大ヒット曲。 「夢」の右端がかすれた状態になると「芝居」ときっちり対応付くという凄い発見の作品です。
「夢十夜」 回転型:きいろいビタ氏
夏目漱石の連��短編。 枠線と一体化した作字と少し歪んだ字形で自然な対応付けになっています。
「こんな夢を見た」 回転共存型:オルドビス紀氏
前出の夢十夜の書き出しの一文。 同語非対称の文字組は参考になります。活字様の書体でアンビグラムを作ると不思議さ・奇妙さが際立ちます。
「クロネッカーの青春の夢」 回転型:てねしん氏
ヒルベルトの第12問題「アーベル体に対するクロネッカーの定理の代数的な有理数への拡張 」のこと。 「クロネッカー/夢」はかなり自然に並べることができるのですね。「青春」も読みやすいです。
「夢想郷(ユートピア)」 回転型:peanuts氏
ユートピアは「理想郷」の表記が一般的ですがこの表記も用いられます。 アンビグラムのための作字が極まっていていますね。融合度合が素晴らしいです。
「円環の廃墟」 回転重畳型:ぺんぺん草氏
ボルヘスの短編から。夢と現実の奇妙な構造を描いた小説です。 言葉の意味に沿った環状敷詰に加え、読む方向も環状となっている恐るべき作品。「円」の処理がよいですね。
「夢の共演」 回転型:douse氏
大物同士だとよくつかわれるフレーズですね。 字画の突き出し具合と切れ目の入れ方が絶妙でとても読みやすいです。
「桃源郷」 図地反転回転型: いとうさとし氏
ユートピアとほぼ同義。 こちらも言うことがない読みやすさですが、「源」の文字としてのまとまり具合が好きです。
「夢の記憶」 回転型:つーさま!氏
夢を記憶しているときは ストレスで睡眠の質が悪い、という研究があります。
書体選択が適切で省略が自然に感じます。「の/ 忄 」の処理が面白いです。
「白昼夢」 回転型:lszk氏
夢に似た現実性を帯びた空想。 目を模したような部分が呪術的で空想の世界へ誘うかのようです。記号的なのですが読めますね。
「夢屋まさるは殺します」 回転型:douse氏
トム・ブラウンの漫才の掴みのネタ。 この長さでうまく回っていて凄いです。そこそこ字形が違う文字があるのですが形を抑えているので読めますね。
「夢想郷」 回転重畳型:螺旋氏
もう一つのユートピア。 「夢/郷」はパーツの並びから90度回転対応は見えやすいですが「想」がきれいに回転重畳分解できていて見事です。
「n人n色 色々な夢」 内包型:超階乗氏
使用例もいくつかある、十人十色の一般化。 内包関係の内側と外側の「色」が同じ形になっているのが良いですね。「∩」の形の読ませ方が切り替わります。
「夢幻泡影」 回転型:Σ氏
もう一つの夢幻泡影。 装飾をふんだんに活用して仕上げた絶品の一作。参考になるギミックがたくさんあるので何度も見直したくなります。美しいです。
最後に私の作品を。
「遊生夢死」 鏡像型:igatoxin
何かを成し遂げることもなく、ぼんやりと一生を過ごすこと。
お題 夢���のアンビグラム祭、いかがでしたでしょうか。御参加いただいた作家の皆様には深く感謝申し上げます。
さて次回のお題は「くりかえし」です。復習、定期購読、日常、無限降下法、リピーター、踊り字、回転、よみがえり、熟読、周回、リセマラなど 参加者が自由にくりかえしというワードから発想 連想してアンビグラムを作ります。
締切は8/31、発行は9/8の予定です。それでは皆様 来月またお会いしましょう。
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2024年 1月{フリー} 2月{レトロ} 3月{うた} 4月{アニメ} 5月{遊園地} 6月{中華} 7月{猫} 8月{夢}
※これ以前のindexはこちら→《index:2017年~》
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