22012
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22012 · 4 years ago
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感想『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 / My Impressions: Violet Evergarden The Movie
書いた理由と注意点
頭の中がぐしゃぐしゃなので、気持ちを整理するためにも書きました。
劇場版だけでなく、TV シリーズや外伝、原作小説のことも思い浮かべながら書いたので、もうよく分からない感じになりました。
ネタバレがあります。鑑賞後に読むことをおすすめします。
自分への慰めも多分に含んでいます(後半へ行くほど)。 関西弁も含まれます。
きれいな感想
作品として
ストーリー、アニメーション、演技、音楽、演出すべてが素敵だった。 全てのクオリティが高いからこそ、王道で普遍的な物語を表現しきれたように思います。
本当に本当に素晴らしい作品でした。
感じ取ったこと
大切な人に想いを伝えることの尊さが作品には溢れていた。
送り主がこの��にいなくても受け取ってくれる人がいれば、想いは繋がる。アンの母のように。
伝える方法は別に手紙じゃなくても構わない。電話でユリスは想いを伝えることができてよかった(アイリスとベネディクト、ほんまええ仕事したわ)。
大事なのは想いをちゃんと繋げること。道具はなんでもいい、手紙でも電話でも。 デイジーは電話もある時代の中で、自分が上手に想いを伝えられる手紙で両親へと手紙を書いていた。
このメッセージと同時に、受け取る人が今を生きていないと届かないんだということも理解した。 石立監督が「未来のひとへ」を何回も聴いていたというエピソードを聞くと、胸が苦しくなりました。 それでもその事実と向き合って、大切なメッセージを表現しようとしていたと思う。
彼女の人生
ヴァイオレットは本当にまっすぐに生きていった。
「あいしてる」という言葉があったから、彼女はこの人生を生きていっただけで、 「あいしてる」がなければ、真っ白な彼女はまた違う人生を歩いていたのかもしれない(小説を読むとなおさら)。 「あいしてる」は本当に彼女にとって生きていくみちしるべだったんだと思う。
彼女は代筆を通して、たくさんの人の想いを繋ぎ、彼女自身も成長していった。 彼女の芯はぶれることがなかった。ただ楽な生き方ができないだけなのかも。真っ白だし。 だけど、その生き様がたくさんの登場人物の人生を良い方向へ導いていったのだと思う。
きっと、島に移ったあとも、一生懸命働いたんだろう。 だから、記念切手にもなったんだろう。 だから、彼女がいない今でも、島の民家にリボンが結ばれたり、スミレの花が咲くんだろう。
エカルテ島が「国内」で一番手紙が多いという話が出たり、彼女が C.H 郵便記念財団の記念切手になったことを考えると、エカルテ島はライデンシャフトリヒと統合されたのかな?と思った。
映画の後でも、C.H 郵便社や TV シリーズの登場人物と交流してるといいなと思った。 (1 回見ただけでは、寂しさいっぱいで、そんな優しい未来を想像することができなかった)
自分はこの作品の何に感動したんだろうか
自分はこの作品で、依頼人の人生に思いを寄せては泣き、 彼女の成長を見て、親心のような感情になり泣いていた。
物語には生きることの難しさだったり、想いを伝えることの尊さが描かれていた。 どの物語でもそうだった。
伝えたくてもうまく伝えられない難しさ。 もう届かない想いを抱える辛さ、そしてそれを昇華させること。 送り主のいない世界から届く愛の言葉。幸せと届けること。
普遍的なテーマを代筆を通して描いていた。
代筆という仕事のユニークさがすべてを成立させていたように思う。 本当に良いモチーフだと思う。
演出について
気付かれないかもしれない細かな演出や設定や表現を積み重ねていくことで、作品としての説得力や重厚感が増すのだなと、TV シリーズを見て感じました。
自分なりにメモや気付きを書き連ねます。 パンフレットや舞台挨拶からも引用しています。
冒頭〜中盤
デイジーがアン役の諸星すみれさん
Extra Episode のイルマ・フェリーチェに最初気付かなかった
デイジーの時代は 60 年後の世界
郵便博物館 のおばあちゃん、ネリネ
デイジーが見ていた集合写真にテイラーがいる
集合写真はパンフレットに掲載されてるから、ゆっくり見れる
ヴァイオレットがいないけど、エリカは写っている。去ったあとなのかな。
ギルベルトを尋ねる前の「気持ち悪くないでしょうか」に成長を感じた
ラスト
最後の手紙を少年に託した後、ホッジンズより前を歩いていくヴァイオレットがとても印象的だった
ヴァイオレットが送ったギルベルトへの手紙の最後の一行が気になる
台本を当てるか、BD 特典などで手に入れば読みたいな
ヴァイオレットが船から飛び降りるシーンで「授けられた翼を羽ばたかせて、飛ぶことをやめないと約束しよう。ひとりじゃない」はずるい
再会シーンの演技は、原作小説に似ている
「あいしてる」と言っていない。手紙では言えるのに
エンドロール後のシーンは、原作小説下巻のイラストのような雰囲気
60 年後
デイジーの時代のエカルテ島に、ヴァイオレットのリボンが結ばれる風習があったり、ブーゲンビリアとスミレが寄り添っている咲いている様子があったり
パンフレットにある石立監督のイラストは移住後の様子。彼女の笑顔が柔らかくて良い。
京アニ映画 year 限定特典付きペア前売券 についてきたイラスト 4 枚は全部エカルテ島移住後のヴァイオレット
2019 年タペストリーのブドウ畑もおそらく
全体
海や水の描写が多い
ギルベルトが砂浜から島を見つめるシーン
ヴァイオレットが夜に屋根の上で海の向こうを見つめるシーン が印象的だった
背中を映すシーンが多い
タイムラプスの表現がなかった。時間が跳躍してないのだろう
その他
外伝監督の藤田さんの参加が原画のみ。気になる
街灯を見つめるおじいちゃんが持ってる長い棒はランプを取り替えるための道具か
曲の歌詞全てが刺さる
外伝と比較して
外伝の方が演出は見つけやすいように感じました。明快、爽やかという感じで。 同じ��リーズでも監督が違うとこう変わるのかと驚きました。
石立監督の演出は、全部見終わったあとにじんわり、重たさを感じるような印象を持ちました。
反省とだらしない感想
ここからはだらしない感想を書いていきます。 言葉遣いも荒くなります。
自分は TV シリーズからこの作品が好きになり、アニメはもちろん、原作小説、特典小説を(おそらく)全部読みました。
そういうこともあって、過度な想像を抱いて劇場版に臨んでしまったように思います。
ごめん、ギルベルトがそんなに好きじゃないんだ
TV シリーズでは、ギルベルトは美化された回想シーンだけだったので、好感度プラスマイナスゼロだった。だけど、TV シリーズ後に読んだ原作小説で、ギルベルトにあまり好感を抱けなくなってしまった。
小説ではギルベルトは(劇場版でも)意固地で、ヴァイオレットのためとはいえ、自分勝手に見えました(もちろん、そこがかっこいいと思う人もいると思います)。
小説を通して、自分はギルベルトよりも、ホッジンズやベネディクト、リオンがヴァイオレットに見せる愛情に好感を抱いていました。親心や兄妹愛であったり。恋心であっても、リオンの内心の描かれ方の方が好きだった。
ギルベルトに好感を持てなかったことが自分自身の反省点でもあるけど 「ギルベルトじゃないと絶対にだめだ」と思えるようなエピソードがアニメでも小説でももっと欲しかった。
TV シリーズではギルベルトは美化されたまま終わり、小説でもヴァイオレットの性質上、たまたまギルベルトが主になっただけのように感じる。特典小説のようなディートフリートとの IF が成立して、特典小説にまでなるところを見ると尚更。
自分がギルベルトに好感を持っていれば、再会シーンをもっと感動できたのでは...と思う。 反省しています。
(小説の話)戦争が終わったあと、ヴァイオレットを大切に見守ってきたのは、C.H 郵便社の仲間なわけで。それなのにベネディクトにその態度はないでしょ、ギルベルトさんよと思うことがあったりで、印象が悪くなっていったんです。
小説ではギルベルトは、ヴァイオレットのために精神的に回復した状態で再会します。 だけど、アニメのギルベルトは弱さを残しています。 弱くないと、物語が成立しないからかなとも思う。 石立監督が劇場版でギルベルトが嫌われないように苦心していたのが少しわかる。
小説とアニメでは世界線が違う
そう、そもそも小説とは世界線が違うんです。 小説、アニメそれぞれの世界にしか存在しないキャラクターがいます。 両方出ているキャラクターでも設定が微妙に違ったりする。
だから、小説を読んで膨らませた想像は一旦端に置いておくべきでした...!!
ちなみに自分はこういう順番で準備してから劇場版を迎えました。
TV シリーズ
Extra Episode
外伝
原作小説 上・下・外伝
外伝特典小説、外伝 BD 小説
原作小説 エバー・アフター
劇場版
小説を読めば読むほど、ホッジンズやベネディクトが好きになった(えーギルベルト?ってなる)
特典小説のベネディクト、最高だったろ!?兄妹みたいだろ!?みんな原作小説も読んで!!
世界線が違うものという割り切りが、心の準備として必要でした。
物語を終わらせるためには、こうするしかない
小説の影響でギルベルトをあまり好きになれていない自分ですが、物語としては再会しないと終わらない。
〜〜〜〜〜〜 ヴァイオレットはギルベルトと再会するしかない。 そうしないと、物語は結末を迎えない。
再会するためには、ギルベルトが生きている必要がある
でも、ギルがヴァイオレットにすぐに会えなかった理由も必要になる ※理由は小説と大体同じ。
再会するためのトリガーや心理描写、説明が必要になる(特にギルベルト側の) 〜〜〜〜〜〜
だから、再会シーンまでの段取りが必要になる。
そういうこともあってか、再会シーンの後の世界、エピローグについて物足りなく感じた。尺がほしい。
全てのカットシーンは意味のあるもので、これ以上切り捨てることはできないだろうけど、 時間を伸ばしてくれても構わないので、エピローグをもっと見たかった。
お別れの準備ができていない
正直、見ているこっち側の「お別れの準備」ができないまま終わってしまった。 膨らませてきた想像を消化しきれず終わってしまった。 (鑑賞 → 一人反省会 を繰り返すことで、心を整えてやっと落ち着いてきた)
花火のシーンはあれはあれで最高に素敵だったけど、C.H 郵便社のみんなの会話も無音ではなくセリフとして聞かせてほしかった(パンフレットにある Evan さんのインタビューでの解説を読んだとしても)。
ホッジンズとヴァイオレットの別れの抱擁くらいあってもええやん。
もっと続きがみたい
冒頭に「18 歳でドールを辞めて」と聞いて、すごくショックを受けてしまった。
「彼女の世界を広げるためにもドールの仕事は素敵な仕事で続けてもいいのでは」 「彼女の人生のために離れてたんと違うんか、ギルベルトさん」と思ったけど、 ヴァイオレット自身が選んだことなら仕方ない。
監督がやりたかった「彼女の人生を描き切る」という目標は、未来のデイジーが登場してヴィオレットの人生の軌跡を追う形で表現できた。だけど、デイジーのペースで、ヴァイオレットの人生がクローズしてしまった。
彼女が島に移り住んでから死ぬまでの余白はファンに残されてはいる。 だけど、お別れの準備も十分でない状態で大きな余白をもらって、呆然としている自分がいる。
救い
石立監督のパンフレットのイラストなど、移住後のイラストを見ることで、穏やかになる自分がいます。
KA エスマ文庫のキャンペーン小説ももう少ししたら届く! それを読んでまた気持ちを整理しよう。
気持ちの整理
物語は終わってしまうもの。
だけど、物語を通して感じた気持ちやキャラクターの生き様は自分の中に残り続ける。 気持ちの整理には時間が掛かるだろうけど、少しずつやっていこうと思う。
ヴァイオレットのようにまっすぐ、真っ白に生きることは自分にはできない。 だけど、時折思い出しながら、彼女に習って生きていきたい。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン、ありがとう。
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