#櫂三和
Explore tagged Tumblr posts
Text
みんなが好きな「『百年の孤独』みたいな大河小説」ベスト10|秋永真琴
『楡家の人びと』北杜夫
『チボー家の人々』ロジェ・マルタン・デュ・ガール
『ブッデンブローク家の人びと』トーマス・マン
『大地』パール・バック
『千年の愉楽』中上健次
『べっぴんぢごく』岩井志麻子
『笛吹川』深沢七郎
『ルーツ』アレックス・ヘイリー
『アブサロム、アブサロム!』ウィリアム・フォークナー
『永遠の都』加賀乙彦
『警官の血』佐々木譲
『天冥の標』小川一水
『紀ノ川』有吉佐和子
- - - - - - - - - - - - - - - - 「響け!ユーフォニアム」も部活の年代記なのかも。
(順不同)
『ときめきトゥナイト』池野恋
『精霊たちの家』イザベル・アシェンデ
『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
『炸裂志』エン・レンカ
『大聖堂』ケン・フォレット
『警察署長』スチュアート・ウッズ
『枯木灘』中上健次
『奇蹟』中上健次
『ワイルド・スワン』ユン・チアン
『邯鄲の島遥かなり』貫井徳郎
『平家物語』古川日出男/訳
『血脈』佐藤愛子
『源氏物語』紫式部
『奏で手のヌフレツン』酉島伝法
『俺の屍を越えてゆけ』桝田省治(ゲームデザイン)
『助左衛門四代記』有吉佐和子
『指輪物語』J・R・R・トールキン
『チグリスとユーフラテス』新井素子
『星へ行く船(他、コバルト文庫のシリーズ)』新井素子
『彼方なる歌に耳を澄ませよ』アリステア・マクラウド
『火星夜想曲』イアン・マクドナルド
『黎明の王 白昼の女王』イアン・マクドナルド
『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ
『ジョイ・ラック・クラブ』エィミ・タン
『ウォーリアーズ』エリン・ハンター
『異形の愛』キャサリン・ダン
『王朝四代記』ククリット・プラモート
『ベルリン三部作(1919・1933・1945)』クラウス・コルドン
『六道ヶ辻シリーズ』栗本薫
『鳥の歌いまは絶え』ケイト・ウィルヘルム
『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド
『征途』佐藤大輔
『あすなろ坂』里中満智子
『ケインとアベル』ジェフリー・アーチャー
『ゲームの達人』シドニィ・シェルダン
『氷と炎の歌』ジョージ・R・R・マーティン
『エデンの東』ジョン・スタインベック
『グリークス』ジョン・バートン/ケネス・カヴァンダー(編)
『リーマン・トリロジー』ステファノ・マッシーニ
『雪の練習生』多和田葉子
『鯨』チョン・ミョングァン
『火の山-山猿記』津島佑子
『レオポルトシュタット』トム・ストッパード
『地の果て至上の時』中上健次
『岬』中上健次
『彼女はマリウポリからやってきた』ナターシャ・ヴォーディン
『九時半の玉突き』ハインリヒ・ベル
『土地』パク・キョンニ
『レ・ミゼラブル』ビクトル・ユゴー
『棺のない埋葬』 ファン・ファン
『楊家将演義』作者不明
『デューン砂の惑星』フランク・ハーバート
『ゴッドファーザー』フランシス・フォード・コッポラ監督
『北京から来た男』ヘニング・マンケル
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』堀井雄二(ゲームデザイン)
『舟を編む』三浦しをん
『櫂』宮尾登美子
『孟夏の太陽』宮城谷昌光
『血族』山口瞳
『華麗なる一族』山崎豊子
『大奥』よしながふみ
『血脈 西武王国・堤兄弟の真実』レズリー・ダウナー
『シンセミア』阿部和重
『流離譚』安岡章太郎
『雲の都』加賀乙彦
『ロマンシングサ・ガ2』河津秋敏(ゲームデザイン)
『サガフロンティア2』河津秋敏(プロデューサー)
『颶風の王』河﨑秋子
『リア家の人々』橋本治
『アラビアの夜の種族』古川日出男
『聖家族』古川日出男
『白夜を旅する人々』三浦哲郎
『導きの星』小川一水
『地図と拳』小川哲
『機動戦士ガンダムAGE(小説版)』小太刀右京
『われ逝くもののごとく』森敦
『本格小説』水村美苗
『始まりの魔法使い』石之宮カント
『夜明け前』島崎藤村
『カムカム・エヴリバディ』藤本有紀(脚本)
『男樹』本宮ひろ志
16 notes
·
View notes
Text
0012 名無しどんぶらこ 2024/10/03(木) 11:59:13.95
●選ぶ人正しければ 選ばれる人正し(昭和二年)
●投票の一瞬は 国家の百年(昭和二年)
●国政は船のごとく 一票は櫂(かい)のごとし(昭和二年)
●善政も悪政も 一票から(昭和二年)
●裏も表も 明るい人を(昭和三年)
●軽く選ぶと 重い荷を負う(昭和三年)
●投票は 主義と主張を 聞いてから(昭和三年)
●投票買いの 良心売り(昭和三年)
●嫁と議員は 調べた上で(昭和五年)
●政治は 国民の色に染まる(昭和五年)
●政治の明暗 この一票(昭和十年)
●金で選ぶな 心で選べ(昭和十年)
●売るな魂 捨てるな一票(昭和十一年)
●義理は禁物 人物本位(昭和十四年)
●人をよく見て よく選べ(昭和十六年)
●国思う一票 国思う人に(昭和十七年)
●世界が見ている この選挙(昭和十七年)
4 notes
·
View notes
Text
「虚子への俳話」169
「花鳥」令和5年3月号より転載
自画自賛をしたい。次はいまから二十二年前、私は四十五歳くらいの頃の近詠である。 この頃は前職の保険会社を辞めて、乳飲み子を抱えつつ俳句の道に入り十年過ぎの伝統俳句協会勤務のころであったと思う。
俳句を見ておどろいたことは現在の自句とあまり変わらない俳句をすでに作っていたことであろう。いやむし��この頃の方が鋭い感性が見えているようである。すでに主客混淆の描写をしているのである。 このころは、「花鳥」「玄海」などへ俳句や文章そしてこれらを出してはいたが、主宰でも編集長でも無く、いわばフリーランスの俳人なのであった。
2002年・平成14年
俳句研究4月号 寒鴉やさしき屍より翔てり 団子虫似非団子虫穴を出づ 法鼓熄む氷柱雫はせつせつと 水隠れの魔羅しづかなる鳴雪忌 かまくらを磨き上げたる天狗風 大浅蜊ほうらと気宇を吐き出せり
俳句研究5月号 指に触れて氷柱雫の白濁す 破れ軒を氷柱擬きと氷柱かな 流れたき方へ流れて春の川 蟻穴を出でその穴を失へり
俳句研究6月号 女下駄朧なるまで虚子を待つ 亀鳴けり甍の獅子は唸りもし
ホトトギス8月号 悴みて輪禍の供花を見てをりぬ
花鳥6月号 一山を一宇を越えてつばくらめ
花鳥7月号 苗物を夕べの方へ売りにゆく
台湾句集・花鳥8月号 台湾を噛んでをるなり夏怒濤 父祖の代の櫂に夏潮遠くあり 白雨来る貧しき窓は檻めきて
花鳥9月号 原爆の忌に失ひし栞かな
花鳥11月号 猫抱いて子規忌を知らぬ女かな
以上の俳句はそれぞれ各句集に収録されているのでご存じの方もおられるだろう。 そしてこれらの句はその当時のいわゆる「伝統俳句」の世界ではホトトギスを初めあらゆる結社の支持を得られなかったのが特徴的であった。当時ホトトギスの首脳を筆頭にこれは伝統俳句では無いとして糾弾された。 一方でしかし当時のホトトギスの藤崎久を、依田明倫、深見けん二、あるいは他派である藤田湘子、金子兜太、三橋敏雄、阿部完市、有馬朗人、黒田杏子などからは一定の評価をいただいた。虚子や茅舎、朱鳥や碧梧桐がいたらなんと言ったであろう。 「わからないから伝統俳句では無い」「わからないから客観写生ではない」「わからないから虚子派ではない」。 解らないのは知識や学習、才能への努力、感性への努力が無いからなのである。そして何より俳句を日本最高の文学としようとする気概が無いからなのである。そう���岡子規が俳諧��要で示したあの気概が無いからなのである。
0 notes
Text
【宣伝】
弊社制作の本 堀三千三氏(堀潮 共作)「デザイナーからの返事」
Amazonにて販売中。
「仁義なき戦い」「極道の妻たち」など昭和・平成初期の東映黄金時代を支えた、元東映宣伝部デザイナー・堀三千三の、未来のデザイナーに送りたい思いで作り上げた作品集。 「仁義なき戦い」「極道の妻たち」「吉原炎上」などのポスター作品はもちろん、それらの下絵・ラフ画なども一挙公開。それらを目にすることができる唯一の作品集。もう二度と公開することはありません。
そして、混沌とした昭和の時代に、魂を削り落としながら、燃え上がるパッションで描きあげた画家としての堀三千三の作品も多数掲載。 ■掲載作品
仁義なき戦い ©東映 仁義なき戦い 広島死闘篇 ©東映 仁義なき戦い 頂上作戦 ©東映 河内のオッサンの唄 ©東映 悪魔が来りて笛を吹く ©東映 野獣死すべし ©KADOKAWA1980 青春の門 ©東映 鬼龍院花子の生涯 ©東映 魔界転生 ©東映 里見八犬伝 ©KADOKAWA 陽暉楼 ©東映 北の蛍 ©東映 夢千代日記 ©東映 櫂 ©東映 極道の妻たち ©東映 極道の妻たちⅡ ©東映 極道の妻たち 三代目姐 ©東映 吉原炎上 ©東映 華の乱 ©東映 遺産相続 ©東映 女街 ©今村プロダクション・東映 動天 ©東映 江戸城大乱 ©1991フジテレビジョン・東映 寒椿 ©東映 私を抱いてそしてキスして ©東映 極東黒社会 ©東映 民暴の帝王 ©東映 継承盃 ©東映 未知への旅人 ©東映 東雲楼女の乱 ©東映
その他、オリジナルの絵画など多数
#東映#東映ビデオ#仁義なき戦い#極道の妻たち#映画#昭和#昭和レトロ#作品集#movie#デザイン#illustration#創作#アート#絵画#painting#三田佳子#菅原文太#南野陽子#薬師丸ひろ子#小林��
0 notes
Text
花鳥撰集
花鳥誌 令和5年11月号
同人作品巻頭句
坊城俊樹選
巻頭句
小川 笙力 暁天に秋立つ鐘を放ちけり 神仏の宿る星々星月夜 手花火を闇に散らして曼荼羅絵
藤原 寛 大望に適ふ願の糸太め 天上の子らの七夕踊かな お忍びの星合叶はざる人出
宮崎 悠紀子 崩れつつ峰雲高くなりにけり 艪櫂いまふたりで漕ぐや天の川 おもかげの遺句に重なり銀河濃し
増田 さなえ 産土の海平らかや夏の果 遠富士にまづ手を合はす墓参り 天狗住む裏山の待つ墓参かな
小県 孝子 三伏や蛍光放つ夜の時計 瀬音涼し来し方を聞く離れかな 終の笑み胸にあふるる藍の花
平出 紀花 灼熱や錆びた鉄路の無人駅 恩師乗せ熱波に消ゆる小海線 晩涼や馳走の極み山の宿
0 notes
Text
24 notes
·
View notes
Photo
三十石 2/2
「もうし、お客さん、まことにすまんが、もうひとりさんだけじゃ、そこへおたのぎ(おたのみ)申しますがな」 「おい、船頭はん、もう乗られへんで」 「そこをひとつ、お女中やで、おたのぎ申します」 「なんぼおたのぎ申しますいうても、この通り、一ぱいやがな」 「お女中やけに、どうぞ……」 「なんぼお女中かて、もうあかんがな」 「もし」 「なんや?」 「あない船頭がたのんでます。お女中やいうてます。乗せてあげまひょ」 「そないいうたかて乗られしまへんがな」 「よろし。ほな、わたいの膝の上へ坐らします」 「あんたの膝の上へ?」 「そうでんねん。二十二、三の別嬪《べつぴん》だすさかいな」 「ほんまか?」 「はいな……『もし、ねえさん、ねむとうなったら、わたいへもたれて寝なはれ』『そんなことをしたら、あんたはんの着物に油がつきます』『いえ、だんない(��まわない)。あんたの肩をうしろからつかまえたげますさかい、ゆっくり寝なはれ』……船がでて、櫓《ろ》にかわると、船がかぶる。それにつれて、女《おなご》はんは、うつうつと寝ます」 「へーえ、うまいことしなはるねんなあ」 「船が八軒家へつきますと、『兄《にい》さん、えらいお世話になりましたなあ』『どういたしまして……』『兄《にい》さん、どっちへお帰り?』『へえ、久宝寺町へ帰りますが、ねえさんはどちらへ?』『わたしは、上町の和泉町へ帰りますねんが、おんなじ方角でっさかい、ごいっしょに帰りまひょか?』『そんならお供いたします』『ほな、人力車《くるま》いいまひょ。あの……人力車屋《くるまや》はん! 人力車屋はーん!』」 「わあ、びっくりした。あんた、大きい声やなあ」 「『人力車屋はん、合乗り一台』『へい、どうぞ……』『兄さん、お乗り』『いえ、ねえさん、お乗り』『兄さんから……』『ねえさんから……』『ほな、ふたりいっしょに乗りまひょ。ひい、ふう、みい。やっ、乗ったわ……人力車屋はん、母衣《ほろ》かけてんか?』 合乗り母衣かけ頬ぺたひっつけ、テケレッツのパー!」 「おい、船頭はん、気ちがいが乗ってるで、投《ほ》りあげてしまい」 「とたんに人力車がガラガラガラ……」 「わあ、まだやってるわ」 「人力車がとまる。『人力車屋はん、おおきにごくろうはん』、帯のあいだから銭入れをだして、人力車屋に銭をやると一軒路地。表の戸をトントンとたたくと、なかから女中《おなごつ》さんがでてきて、『あら、お帰りあそばせ』『ただいま……これ、お梅、ここにござるおかたは、船でご厄介になったおかたや。お礼いうとくれ』『まあ、さよでござりますかいな。主人が、船でお世話になったそうで、ありがとうさんでござります。さあ、どうぞこっちへおはいり』『いえ、これでおわかれいたします』『そんなこといわんと、おはいりあそばせ、おはいり、おはいり……』」 「もしもし、なにをしなはんねん、あての袖をひっぱって……もし、これ、はなしなはれ! 袖がちぎれるがな。はなしなはれ!」 「『そうでっか。ほな、せっかくやさかい、一服さしてもらいまひょ』と、あがり口へ腰をかけると、『そこは端近《はしぢか》、どうぞこっちへ』……上へあがると、お茶がでてくる。女中《おなごつ》さんに目で合図すると、女中さんがすぐに表へとびだす。しばらくすると、若い衆が、提箱《さげばこ》さげて、『毎度おおきに』『ごくろうさん』……料理がとどく……酒のしたくができて、女中さんがはこんでくる……チャプ、チャプ、チンチロリン、チャプ、チャプ、チンチロリン、チャプン、チリンのトプン」 「もしもし、そのチャプ、チャプ、チンチロリン、チャプン、チリンのトプンちゅうのはなんだす?」 「女中さんが気取《ようす》して歩きますさかい、盃洗《はいせん》の水が、チャプ、チャプ、チャプンといいます。そのひょうしに、さかずきがあたって、チンチロリン、チリン、底へ沈んでトプン」 「わあ、こりゃ、いうことがこまかいわ」 「『さあ、なにもございませんが、ほんのお口よごし……どうぞ、召しあがってくださりませ』『このようなご厄介かけましてすんまへん』『さあ、どうぞ』『へえ、さようなれば、せっかくのご心配、ひとついただきます』……わたいが飲んで、『ねえさん、あんさんもひとつどうだす?』『わたしは、よけいはいただけまへんが、お相手いたします』……やったりとったりしてる間《ま》に、相手の女子はんの目のふちがほんのり桜色……わてもほんのり桜……」 「ちょっと待ってんか」 「なんや?」 「そりゃ、相手の女子はんは、色が白いさかい、桜色やろうけど、あんたはだめや」 「わてはだめ?」 「あんたは色が黒いさかい、桜の木の皮の色や」 「ややこしい色やな……『えろう長居をいたしました。これでおいとまいたします』『まあ、よろしいやおまへんか……そら、どうでもお帰りにならぬと、お宅には、角《つの》の生《は》えるおかたがござりますねやろ?』『そないなものがござりますかいな。雨がふったら、でんでん虫が角を生やすぐらいのことですがな』『そんなら、今晩、おとまりやすな』……うわーい!」 「なんや? 踊ってはるがな……おい、船頭はん、なんとかしてんか?」 「もし、あんた、いまのおはなしはなんのことだす?」 「へえ、お女中を膝へ乗せて、大阪へ帰ったときのつもりだす」 「わあ、えらいつもりやなあ……しかし、もしもそううまくいかなんだら、どうしなはるねん?」 「へえ、うどん食べて寝ます」 「えらいちがいやなあ」 「お客さん、お女中の荷物や」 「おっと、船頭はん、お女中の荷物は、わたいがあずかります。どなたもさわりなはんなや。大阪へ帰って、一ぱいよばれる、これがまず手付けや。色男はつらいなあ……さあ、どなたもあやかるように、あたまの上へこの荷物、吊《つ》っておこ」 「はいはい、どなたか存じまへんが、ご親切に、年よりを……ありがとう存じます」 「こら、なんや? えらいばあさんやな。おい、船頭はん、お女中は?」 「はい、そのお女中をおたのぎ申します」 「この人、おばあんやないか。おまえ、お女中やいうたろ?」 「そりゃいうたわ。おばあんかてお女中じゃ」 「わい、こんなしわくちゃのお女中きらいや」 「あんた、膝の上へ乗せて、よう抱いて大阪までいきなはれ」 「そんなあほな! あっ、おばあん、そばに坐ってしもうた。もっとむこうへいってんか。もっとむこうへいけ! フウー!」 「吹いたかて、とびやせんがな」 「もし、まことにすみまへんが、わたしの荷物をとっとくなはれ」 「おばあん、心配しいな。あたまの上に吊ったるわ」 「こりゃ、どうも、おおきに……ちょっとおろしてんか?」 「おばあん、これなんや?」 「年よるとなあ、もう、しっこが近うなるよってに、便器《おまる》持って歩いてまんねん」 「なんや、これ、おばあんの便器《おまる》か!?」 「こら、そんなもん、いただかしやがったんか」 「おばあん、これ、新しいやろな?」 「はい、いま、宿屋でいっぺんつかいました」 「わあ、もう、いっぺんつこうたんやと……早よおろしいな」 「やっ、割れたがな、あははは……」 「おい、早よう船をだし」 「おう、だしますぞ!」
わあわあいうておりますうちに、赤樫《あかがし》でこしらえた三間柄《さんげんえ》の長い櫂《かい》がザブーン……舟が淀川へでますと、櫂が櫓とかわります。 三十石の舟というものは、長さが五丈六尺���胴の間の広いところが八尺三寸、笹葉形の苫《とま》舟でございます。 二挺の櫓には、四人の船頭がついて漕ぎます。 「おーい、喜惣次よ、お客さんがたに一文ずつおたのぎ申せよ。これは、船頭がもらうのではござりませんて、船魂《ふなだま》さまへお神酒《みき》をあげんと、舟が速《はよ》う走りまへんからちゅうてな、ええか? お客さんがたにようおたのぎ申せよ…… いやれ、伏見、中書島なあ……泥島なあれどよ、なぜに撞木町《しゆもくまち》やなあ……藪《やぶ》のなかよー、ヤレサよいよいーえ」 船がでますと、かならず船頭が唄をうたいます。いま船がでたという知らせにそうしたのやそうで…… 「おーい、お客さんがたから一文ずつおたのぎ申したか? なに? もう寝とる人がある? 遠慮はいらんで、寝とるやつあ起こせ、起こせ、死んどるんじゃあるまいし……もし、お女中さん、おまえさん、なにしとんじゃ? そんなとこからくぐりでて……あぶないことしとると、川へはまるぞ、それっ、なにをするんじゃ? ……へへへへ、なんじゃい、小便《ばり》はじきなさるのか……もし、舟べりへ小便《ばり》かけると、船魂さまの罰があたりますぞ。夜のことじゃ、だれもみとりゃせんで、やるなら、ぐっと尻まくって、川へつきだしてやんなされ。なに? はずかしい? はずかしいことありゃせんわな。夜のことじゃ、だれもみとりゃせんで、ぐっとまくってやんなされ、ええか? ぐっとまくって、ぐっと……おう、色が白いなあ!」 ドブーンとだれか川へおちたようすでございます。 「なにをしとんのじゃ? 色が白いちゅうて川へはまっとるやつがあるかい。早よあがってこいよ……」 船がでますと、中書島に、船頭さんのなじみの女子はんが橋の上へきて、 「勘六さんいなあー。上《のぼ》りかいな? 下りかいな?」 「なにをぬかすぞい。年中、船頭を相手にしくさって、上り下りのわからんやつがあるかい。船が下《しも》をむいておりゃ、下りにきまっとるぞ、くそっ……」 「あのなあ、勘六さーん、大阪へいってやったらなあ、小倉屋の鬢《びん》つけ買うてきておくれ」 「なにをぬかす。おのれが頭《どたま》に鬢つけが性《しよう》にあうか。馬のくそをぬすくっておけ! ……おのれはなあ、町にいるでええが、山におれば、狩人《かりうど》が、猪とまちごうて鉄砲で撃《う》つぞ!」 「待っててやわいなあ」 「われのようなかぼちゃをだれが待ってるかや」 「これ、清三、あの衒妻《げんさい》(娼妓などをいやしめ呼ぶことば)は、われの衒妻か? このあいだ、大阪へ行たとき、国もとの妹に櫛買うてやるで、銭貸せいうたが、おおかたあの衒妻に買うてやったんじゃろ。おーい、衒妻! 清三に櫛買うてもろうたかよー……やあ、顔をかくしよった。おかしやな、おかしやな…… やーれ、抱いて寝もせにゃなあー、いとまもくれずよー、それじゃ港のな、つなぎ船よー、ヤレサよいよいよー」 上り船とすれちがいますと、むこうの船から声がかかります。 「おー、いま下りかな?」 「ああ、下りますじゃ。伏見についたらな、万屋《よろずや》��おっかあに、わしがたばこいれをわすれておいたで、とっておいてくれと、ことづけをしてくれよー」 「早よう上がっといでよー…… いやれ、淀の町にもなあ、すぎたるものはよー、お城櫓となあー、水車よー、ヤレサよいよいよー」
船中の人たちは、みな白川夜船の高いびきで寝入っております。 東が白むと、鶏の声が聞こえてまいりまして、ほうぼうの茅葺《かやぶ》きの屋根からは、煙りがもうもうとでております。 お百姓の朝夜業《あさよなべ》、藁《わら》を打ってる音がかすかに聞こえてくる。 チワイナレナ、ワラバイ、ワイナアズキ、サンガデチバラレタン、フハイ なんやわけのわからん唄をうとうております。 おばあさんは、糸車をしている。妹娘さんは機《はた》を織ってる、姉さんは、気取《ようす》をして、 おまえ紺屋か、紺屋の手間か、お手が染まればあいとなる 枚方《ひらかた》の十五丁手前で、ひとり、ぽいとあがった男がござります。 「あーあ、大津からつけてきて、わずか五十両の金で骨を折らしよった。まあええわ、今晩は、橋本か中書島で、ひさしぶりに女郎買いをして、あすは、芝居か落語《はなし》へでもいってやろうかい」 堤を歩いておりますと、下からでてきた犬が、盗人ということを知っておりますものか、 「ウムーゾク、ウムーゾク、ドロボー」 てなことをいってほえかかりますと、わきの犬がもらい鳴きで、 「ウムワン、ウムワン」 こっちでは、年をとった犬が、つきあいに鳴かんわるいとおもうて、歯がぬけてあるのに、 「ウムバン、ウムバン、バウバウバアー、アーアー」 しまいには、あくびをまぜて鳴いております。 船中では、五十両の金がなくなったというので、主船頭《おもせんどう》の勘六が、 「わしの船で、五十両の金がなくなっては、三十石の名折れや」 と、申しまして、船をまわして、上りにいたしました。 綱を陸へほうりあげると、四人の船頭が、土手へあがりまして綱をひきます。だんだん上ってまいりましたが、もとの船とは知りません最前の盗人、 「おい、ひとり乗せてんか?」 「おう、上りじゃ」 と、うまく乗せまして、首尾よく賊をつかまえました。 聞いてみますと、盗まれたのは、京都の大仏前、こんにゃく屋の権兵衛と申します男で、五十両の金をとりもどし、 「これも船頭はんのとんちのおかげや」 と、お礼として五両を船頭におくりました。 盗人は苦労して三文にもならず、船頭が五両もうけましたので、権兵衛ごんにゃく船頭が利。
3 notes
·
View notes
Text
「#アルキメデスの大戦 まとめ」平成世代が戦争知るきっかけに 「アルキメデスの大戦」主演の菅田 ...・エンターテインメントで〝反戦〟打ち出す 「アルキメデスの大戦
「#アルキメデスの大戦 まとめ」平成世代が戦争知るきっかけに 「アルキメデスの大戦」主演の菅田 …・エンターテインメントで〝反戦〟打ち出す 「アルキメデスの大戦
「アルキメデスの大戦」に関する情報をまとめています。お探しの「アルキメデスの大戦」は、見つかりましたか? アルキメデスの大戦(1) (ヤングマガジンコミックス) | 三田紀房 … や Amazon.co.jp: アルキメデスの大戦を観る | Prime Video などもあるんですね。少しはお役に立ちましたでしょうか? アルキメデスの大戦 第 1 位 平成世代が戦争知るきっかけに 「アルキメデスの大戦」主演の菅田 … 平成世代が戦争知るきっかけに 「アルキメデスの大戦」主演の菅田 …:Google 映画「アルキメデスの大戦」(7月26日、東宝系で全国公開)では、太平洋戦争へと向かう時代の流れにあらがい、戦艦大和の建造を阻止しようとする若き天才数学者、櫂 … 映画『アルキメデスの大戦』予告【7月26日(金)公開】 – YouTube:Youtube 2019/05/16 ……
View On WordPress
0 notes
Text
「虚子への俳話」163
「花鳥」令和5年8月号より転載
この号と季節は違うのであるが、先日の大会において中子の追悼会をしていただいたということもあり、彼女が一番愛した看護への道、つまり聖路加看護学院に入ったところから出発した事実を改めて検証したい。
そしてそれを一番祝福したのは虚子であったという。女子も男子と同様に教育し、且つ仕事を持つべきだという虚子の考えは当時とてつもなく新しかった。
春潮にたとひ艪櫂は重くとも 虚子
昭和二十年二月十五日年尾長女中子、興健女子専門学校に入学の志望あり。そして中子は試験を受く。
春の潮はこれからの暖かな���来へと続く。そうであっても、いまだ未熟で若い漕ぎ手は時として重く辛く感じるものである。だから、仮にそう思っても、自身のためにその艪や櫂のあゆみを怠ったり、留めてはならない。 それが、祖父から孫へのこれからの船出への祝いと叱咤激励の言葉なのであった。
興健女子専門学校はいまの聖路加看護大學の前身となる看護学校である。そこを受けてまがりなりにも合格した本人はやがて看護婦への道を歩む。その道は結局六十年以上にも及び、去る平成二十三年の三月をもって終了した。 勤務としての最後は東京渋谷区の内藤病院というこじんまりとした病院。それまでにもいくつかの病院を渡り歩いたが、本人の看護の思いというものはなまはんかなものではなかったはずである。
でも家族が病気になると、この看護婦はわりあいオロオロとする。患者が家族であるからふだんとは勝手が違うのかもしれぬ。しかし、そのオロオロこそがナースとしての適性なのかもしれぬ。というか、その情がもっともナースにとっての慈愛の発露なのだろう。
それを、虚子や年尾はすでにして一族の長女であった中子に見いだしていたはずである。
吹く風は寒くとも暖遅くとも 虚子 昭和二十年二月十一日
「春潮」の句の数日前に似たような句がある。二月のそのころの暦を詠った句だが、季節の変わり目であり、この年の一向に進まぬ春の訪れを恣意的に句とした。中子の人生の旅立ちもこのようなところからスタートした。そして、日本の戦時下の状況もいよいよ激変の予兆にあったはずである。
虚子は、いつも俳句をその歴史とともに歩ませる。それが国家であろうと、自然であろうと、孫の個人的なことであろうと。ここに、虚子の大きな情が隠されている。
余談であるが、私もここで昭和三十二年七月十五日に産まれた。先日吟行会で聖路加を尋ねてそこのチャペルで独り俳句を作った。昔見た既視感がそこにあった。母の仕事が終るのをよく聖路加で待っていたから。
廊下に過去の聖路加看護学院の卒業生の名前が掲示してあったので母を探したが「高濱中子」の名は無かった。それもそのはず、彼女はその前身の「興健女子専門学校」に入ったのだから。
何か余りに昔の映画を観ているような既視感のようなものに襲われた。
0 notes
Text
零の会
2021年3月6日
坊城俊樹選 岡田順子選
於:武蔵野公会堂 第二会議室
井の頭公園周辺の吟行
坊城俊樹出句
坊城俊樹出句
恥かしきスワンボートや囀りも 朝東風に仏蘭西料理店は消え 少女うつむき三椏の花嫌ふ 亀鳴くかモネの��かと俳徒らは 遠足子ひようたん池を懇ろに スワンボートを漫画にしたる霞かな 残された貌をしてをる鴨ひとつ 春日傘揺らし手漕のボートへと スパニッシュギターに濡れて囀れる 露店消ゆ春の落葉をうち重ね
坊城俊樹選 ◎特選句
坊城俊樹選 ◎特選句
ふつくらと日当たる乙女椿かな 小鳥 春の池ぐちやぐちやにスワンボートかな 和子 落つる時少しあからむ椿かな 三郎 ひたひたと岸をゆたかに春の水 悠紀子 春禽と真正面よりみつめ合ふ 久 切り株の洞に雨水の匂ひかな 要 マネキンの裸身をなぞりゆく春日 順子 子の櫂に春の一日を委ねをり 久 落椿白より赤の朽つる日に 和子
坊城俊樹選 ▲問題句
吉祥寺パルコに春と来てゐます 荘吉 裸婦像は悶えにも見え老いの春 きみよ
岡田順子出句
岡田順子出句
電話室残る寒さに囲まれて 鳥曇スワンボートは軋み鳴り マネキンの裸身をなぞりゆく春日 涙目の佳人にさせて杉の咲く 春の星くばりて静か花辛夷 山高帽ちらと辛夷を流し目に 水温むひらがなだけの絵馬掛けに 撫でられに寄り来る犬や草芳し 話しつつ遠き目をやり柳の芽 なにかけ��聞きたき声や鳥雲に
岡田順子選 ◎特選句
岡田順子選 ◎特選句
銭洗ひ丁か半かよ春の水 きみよ 橋渡りしはとしあつ師かと亀の鳴く 瑠璃 水温むちよつと先行きや神田川 荘吉 白き空吸ひこむやうに鳥帰る 三郎 切り株に集め積まれし落椿 小鳥 古着屋の中東の香の春ショール きみよ 武蔵野や鳥の繋いでゆく木の芽 千種 鳥交るベンチに人はものを食ふ 和子 少女うつむき三椏の花嫌ふ 俊樹 スワンボートを漫画にしたる霞かな 俊樹 ひらり乗る赤い自転車受験果つ 光子
岡田順子選 ▲問題句
吉祥寺パルコに春と来てゐます 荘吉
0 notes
Photo
三十石 3/3
「もうし、お客さん、まことにすまんが、もうひとりさんだけじゃ、そこへおたのぎ(おたのみ)申しますがな」 「おい、船頭はん、もう乗られへんで」 「そこをひとつ、お女中やで、おたのぎ申します」 「なんぼおたのぎ申しますいうても、この通り、一ぱいやがな」 「お女中やけに、どうぞ……」 「なんぼお女中かて、もうあかんがな」 「もし」 「なんや?」 「あない船頭がたのんでます。お女中やいうてます。乗せてあげまひょ」 「そないいうたかて乗られしまへんがな」 「よろし。ほな、わたいの膝の上へ坐らします」 「あんたの膝の上へ?」 「そうでんねん。二十二、三の別嬪《べつぴん》だすさかいな」 「ほんまか?」 「はいな……『もし、ねえさん、ねむとうなったら、わたいへもたれて寝なはれ』『そんなことをしたら、あんたはんの着物に油がつきます』『いえ、だんない(かまわない)。あんたの肩をうしろからつかまえたげますさかい、ゆっくり寝なはれ』……船がでて、櫓《ろ》にかわると、船がかぶる。それにつれて、女《おなご》はんは、うつうつと寝ます」 「へーえ、うまいことしなはるねんなあ」 「船が八軒家へつきますと、『兄《にい》さん、えらいお世話になりましたなあ』『どういたしまして……』『兄《にい》さん、どっちへお帰り?』『へえ、久宝寺町へ帰りますが、ねえさんはどちらへ?』『わたしは、上町の和泉町へ帰りますねんが、おんなじ方角でっさかい、ごいっしょに帰りまひょか?』『そんならお供いたします』『ほな、人力車《くるま》いいまひょ。あの……人力車屋《くるまや》はん! 人力車屋はーん!』」 「わあ、びっくりした。あんた、大きい声やなあ」 「『人力車屋はん、合乗り一台』『へい、どうぞ……』『兄さん、お乗り』『いえ、ねえさん、お乗り』『兄さんから……』『ねえさんから……』『ほな、ふたりいっしょに乗りまひょ。ひい、ふう、みい。やっ、乗ったわ……人力車屋はん、母衣《ほろ》かけてんか?』 合乗り母衣かけ頬ぺたひっつけ、テケレッツのパー!」 「おい、船頭はん、気ちがいが乗ってるで、投《ほ》りあげてしまい」 「とたんに人力車���ガラガラガラ……」 「わあ、まだやってるわ」 「人力車がとまる。『人力車屋はん、おおきにごくろうはん』、帯のあいだから銭入れをだして、人力車屋に銭をやると一軒路地。表の戸をトントンとたたくと、なかから女中《おなごつ》さんがでてきて、『あら、お帰りあそばせ』『ただいま……これ、お梅、ここにござるおかたは、船でご厄介になったおかたや。お礼いうとくれ』『まあ、さよでござりますかいな。主人が、船でお世話になったそうで、ありがとうさんでござります。さあ、どうぞこっちへおはいり』『いえ、これでおわかれいたします』『そんなこといわんと、おはいりあそばせ、おはいり、おはいり……』」 「もしもし、なにをしなはんねん、あての袖をひっぱって……もし、これ、はなしなはれ! 袖がちぎれるがな。はなしなはれ!」 「『そうでっか。ほな、せっかくやさかい、一服さしてもらいまひょ』と、あがり口へ腰をかけると、『そこは端近《はしぢか》、どうぞこっちへ』……上へあがると、お茶がでてくる。女中《おなごつ》さんに目で合図すると、女中さんがすぐに表へとびだす。しばらくすると、若い衆が、提箱《さげばこ》さげて、『毎度おおきに』『ごくろうさん』……料理がとどく……酒のしたくができて、女中さんがはこんでくる……チャプ、チャプ、チンチロリン、チャプ、チャプ、チンチロリン、チャプン、チリンのトプン」 「もしもし、そのチャプ、チャプ、チンチロリン、チャプン、チリンのトプンちゅうのはなんだす?」 「女中さんが気取《ようす》して歩きますさかい、盃洗《はいせん》の水が、チャプ、チャプ、チャプンといいます。そのひょうしに、さかずきがあたって、チンチロリン、チリン、底へ沈んでトプン」 「わあ、こりゃ、いうことがこまかいわ」 「『さあ、なにもございませんが、ほんのお口よごし……どうぞ、召しあがってくださりませ』『このようなご厄介かけましてすんまへん』『さあ、どうぞ』『へえ、さようなれば、せっかくのご心配、ひとついただきます』……わたいが飲んで、『ねえさん、あんさんもひとつどうだす?』『わたしは、よけいはいただけまへんが、お相手いたします』……やったりとったりしてる間《ま》に、相手の女子はんの目のふちがほんのり桜色……わてもほんのり桜……」 「ちょっと待ってんか」 「なんや?」 「そりゃ、相手の女子はんは、色が白いさかい、桜色やろうけど、あんたはだめや」 「わてはだめ?」 「あんたは色が黒いさかい、桜の木の皮の色や」 「ややこしい色やな……『えろう長居をいたしました。これでおいとまいたします』『まあ、よろしいやおまへんか……そら、どうでもお帰りにならぬと、お宅には、角《つの》の生《は》えるおかたがござりますねやろ?』『そないなものがござりますかいな。雨がふったら、でんでん虫が角を生やすぐらいのことですがな』『そんなら、今晩、おとまりやすな』……うわーい!」 「なんや? 踊ってはるがな……おい、船頭はん、なんとかしてんか?」 「もし、あんた、いまのおはなしはなんのことだす?」 「へえ、お女中を膝へ乗せて、大阪へ帰ったときのつもりだす」 「わあ、えらいつもりやなあ……しかし、もしもそううまくいかなんだら、どうしなはるねん?」 「へえ、うどん食べて寝ます」 「えらいちがいやなあ」 「お客さん、お女中の荷物や」 「おっと、船頭はん、お女中の荷物は、わたいがあずかります。どなたもさわりなはんなや。大阪へ帰って、一ぱいよばれる、これがまず手付けや。色男はつらいなあ……さあ、どなたもあやかるように、あたまの上へこの荷物、吊《つ》っておこ」 「はいはい、どなたか存じまへんが、ご親切に、年よりを……ありがとう存じます」 「こら、なんや? えらいばあさんやな。おい、船頭はん、お女中は?」 「はい、そのお女中をおたのぎ申します」 「この人、おばあんやないか。おまえ、お女中やいうたろ?」 「そりゃいうたわ。おばあんかてお女中じゃ」 「わい、こんなしわくちゃのお女中きらいや」 「あんた、膝の上へ乗せて、よう抱いて大阪までいきなはれ」 「そんなあほな! あっ、おばあん、そばに坐ってしもうた。もっとむこうへいってんか。もっとむこうへいけ! フウー!」 「吹いたかて、とびやせんがな」 「もし、まことにすみまへんが、わたしの荷物をとっとくなはれ」 「おばあん、心配しいな。あたまの上に吊ったるわ」 「こりゃ、どうも、おおきに……ちょっとおろしてんか?」 「おばあん、これなんや?」 「年よるとなあ、もう、しっこが近うなるよってに、便器《おまる》持って歩いてまんねん」 「なんや、これ、おばあんの便器《おまる》か!?」 「こら、そんなもん、いただかしやがったんか」 「おばあん、これ、新しいやろな?」 「はい、いま、宿屋でいっぺんつかいました」 「わあ、もう、いっぺんつこうたんやと……早よおろしいな」 「やっ、割れたがな、あははは……」 「おい、早よう船をだし」 「おう、だしますぞ!」
わあわあいうておりますうちに、赤樫《あかがし》でこしらえた三間柄《さんげんえ》の長い櫂《かい》がザブーン……舟が淀川へでますと、櫂が櫓とかわります。 三十石の舟というものは、長さが五丈六尺、胴の間の広いところが八尺三寸、笹葉形の苫《とま》舟でございます。 二挺の櫓には、四人の船頭がついて漕ぎます。 「おーい、喜惣次よ、お客さんがたに一文ずつおたのぎ申せよ。これは、船頭がもらうのではござりませんて、船魂《ふなだま》さまへお神酒《みき》をあげんと、舟が速《はよ》う走りまへんからちゅうてな、ええか? お客さんがたにようおたのぎ申せよ…… いやれ、伏見、中書島なあ……泥島なあれどよ、なぜに撞木町《しゆもくまち》やなあ……藪《やぶ》のなかよー、ヤレサよいよいーえ」 船がでますと、かならず船頭が唄をうたいます。いま船がでたという知らせにそうしたのやそうで…… 「おーい、お客さんがたから一文ずつおたのぎ申したか? なに? もう寝とる人がある? 遠慮はいらんで、寝とるやつあ起こせ、起こせ、死んどるんじゃあるまいし……もし、お女中さん、おまえさん、なにしとんじゃ? そんなとこからくぐりでて……あぶないことしとると、川へはまるぞ、それっ、なにをするんじゃ? ……へへへへ、なんじゃい、小便《ばり》はじきなさるのか……もし、舟べりへ小便《ばり》かけると、船魂さまの罰があたりますぞ。夜のことじゃ、だれもみとりゃせんで、やるなら、ぐっと尻まくって、川へつきだしてやんなされ。なに? はずかしい? はずかしいことありゃせんわな。夜のことじゃ、だれもみとりゃせんで、ぐっとまくってやんなされ、ええか? ぐっとまくって、ぐっと……おう、色が白いなあ!」 ドブーンとだれか川へおちたようすでございます。 「なにをしとんのじゃ? 色が白いちゅうて川へはまっとるやつがあるかい。早よあがってこいよ……」 船がでますと、中書島に、船頭さんのなじみの女子はんが橋の上へきて、 「勘六さんいなあー。上《のぼ》りかいな? 下りかいな?」 「なにをぬかすぞい。年中、船頭を相手にしくさって、上り下りのわからんやつがあるかい。船が下《しも》をむいておりゃ、下りにきまっとるぞ、くそっ……」 「あのなあ、勘六さーん、大阪へいってやったらなあ、小倉屋の鬢《びん》つけ買うてきておくれ」 「なにをぬかす。おのれが頭《どたま》に鬢つけが性《しよう》にあうか。馬のくそをぬすくっておけ! ……おのれはなあ、町にいるでええが、山におれば、狩人《かりうど》が、猪とまちごうて鉄砲で撃《う》つぞ!」 「待っててやわいなあ」 「われのようなかぼちゃをだれが待ってるかや」 「これ、清三、あの衒妻《げんさい》(娼妓などをいやしめ呼ぶことば)は、われの衒妻か? このあいだ、大阪へ行たとき、国もとの妹に櫛買うてやるで、銭貸せいうたが、おおかたあの衒妻に買うてやったんじゃろ。おーい、衒妻! 清三に櫛買うてもろうたかよー……やあ、顔をかくしよった。おかしやな、おかしやな…… やーれ、抱いて寝もせにゃなあー、いとまもくれずよー、それじゃ港のな、つなぎ船よー、ヤレサよいよいよー」 上り船とすれちがいますと、むこうの船から声がかかります。 「おー、いま下りかな?」 「ああ、下りますじゃ。伏見についたらな、万屋《よろずや》のおっかあに、わしがたばこいれをわすれておいたで、とっておいてくれと、ことづけをしてくれよー」 「早よう上がっといでよー…… いやれ、淀の町にもなあ、すぎたるものはよー、お城櫓となあー、水車よー、ヤレサよいよいよー」
船中の人たちは、みな白川夜船の高いびきで寝入っております。 東が白むと、鶏の声が聞こえてまいりまして、ほうぼうの茅葺《かやぶ》きの屋根からは、煙りがもうもうとでております。 お百姓の朝夜業《あさよなべ》、藁《わら》を打ってる音がかすかに聞こえてくる。 チワイナレナ、ワラバイ、ワイナアズキ、サンガデチバラレタン、フハイ なんやわけのわからん唄をうとうております。 おばあさんは、糸車をしている。妹娘さんは機《はた》を織ってる、姉さんは、気取《ようす》をして、 おまえ紺屋か、紺屋の手間か、お手が染まればあいとなる 枚方《ひらかた》の十五丁手前で、ひとり、ぽいとあがった男がござります。 「あーあ、大津からつけてきて、わずか五十両の金で骨を折らしよった。まあええわ、今晩は、橋本か中書島で、ひさしぶりに女郎買いをして、あすは、芝居か落語《はなし》へでもいってやろうかい」 堤を歩いておりますと、下からでてきた犬が、盗人ということを知っておりますものか、 「ウムーゾク、ウムーゾク、ドロボー」 てなことをいってほえかかりますと、わきの犬がもらい鳴きで、 「ウムワン、ウムワン」 こっちでは、年をとった犬が、つきあいに鳴かんわるいとおもうて、歯がぬけてあるのに、 「ウムバン、ウムバン、バウバウバアー、アーアー」 しまいには、あくびをまぜて鳴いております。 船中では、五十両の金がなくなったというので、主船頭《おもせんどう》の勘六が、 「わしの船で、五十両の金がなくなっては、三十石の名折れや」 と、申しまして、船をまわして、上りにいたしました。 綱を陸へほうりあげると、四人の船頭が、土手へあがりまして綱をひきます。だんだん上ってまいりましたが、もとの船とは知りません最前の盗人、 「おい、ひとり乗せてんか?」 「おう、上りじゃ」 と、うまく乗せまして、首尾よく賊をつかまえました。 聞いてみますと、盗まれたのは、京都の大仏前、こんにゃく屋の権兵衛と申します男で、五十両の金をとりもどし、 「これも船頭はんのとんちのおかげや」 と、お礼として五両を船頭におくりました。 盗人は苦労して三文にもならず、船頭が五両もうけましたので、権兵衛ごんにゃく船頭が利。
2 notes
·
View notes
Text
敵のタイプ別攻略方法 敵の値踏みとタイプ別の攻め方
市営住宅集会所へ講演会を聞きに行った。 演題は「 兵法書 ( へいほうしょ ) を読んで『生き方』を考える」。内容の要点は次の通りだった。 呉起 ( ごき ) は、今から2400年ほど前に、 魯 ( ろ ) ( 斉 ( せい ) の近隣諸侯国)、 魏 ( ぎ ) 、 楚 ( そ ) と転職をくり返し各国で華々しい軍功を挙げながら、素行の悪さで定着できず、最後には、富国強兵策で特権を奪った貴族たちから恨まれて殺された 軍略家 《 ぐんりゃくか 》 。
以下は、呉起が説いた兵法の要旨。 〖国を治める〗 〔不和〕 1_国内が不和であれば、軍を発することはできない。 2_軍内が不和であれば、陣を組むことができない。 3_陣営内が不和であれば、進撃することができない。 4_兵士が不和であれば、勝利を収めることはできない。 〔���目〕 1_道:根本原理に立ち返り、始まりの純粋さを守る 2_義:事業を行い、功績をあげる 3_謀:禍を避け、利益を得る 4_要:国を保持し、君主の座を守る 〔戦の原因〕 1_名誉欲 2_利益 3_憎悪 4_内乱 5_飢饉 〔軍の名目〕 1_義兵:無法を抑え、乱世を救う兵⇐礼をもって和を求める 2_強兵:兵力を頼んで戦を仕掛ける兵⇐謙虚な態度で説得 3_剛兵:私憤から戦を仕掛ける兵⇐外交折衝 4_暴兵:礼節を棄てて略奪をほしいままにする兵⇐策略 5_逆兵:国内が乱れ、民が苦しんでいるのに戦に駆り出される兵⇐臨機応変の処置 〔百人部隊の編制〕 1_肝のすわった勇者の集団 2_好んで戦い全力を挙げて武功を立てようとする者の集団 3_高い障壁を飛び越えたり遠い道を踏破したりできる者の集団 4_位を失って再起を図ろうとしている者の集団 5_城や陣地を棄てて敗走した汚名をそそぎたいと思っている者の集団 [注 伍は五人、両は伍が五つで二十五人。 卒 ( そつ ) は四両で 百人 ( ・・ ) 。旅は五卒で五百人。師は五旅で二千五百人。軍は五師で一万二千五百人] 〔必勝法〕 日ごろから、優れた者を高い地位につけ、無能な者を低い地位にすえる。 民の生活を安んじ、役人に親しませる。 百官がみな、わが主君を正しいと信じ、隣国を悪いと考えるような政治を行う。 〖他国を評価する〗 斉:人は剛毅で、国も富んでいるが、主君も臣も驕り高ぶって、民をないがしろにしている。その政治は寛大だが、俸禄は公正でなく、軍は統一しておらず、先陣がしっかりしていれば後陣は手薄になる。⇐必ず兵を三分して敵の左右を脅かした上で追撃する。そうすれば敵軍を破ることができる。 秦:人は強靭で、地形は険しく、その政治は厳しくて、信賞必罰で、人も功を競い合い、みな闘争心が旺盛で、勝手に戦おうとする。⇐必ずまず利益を見せびらかせて釣り、兵を引く。そうすれば敵は功をあせって統制を乱す。これに乗じて伏兵を繰り出し、機会を捉えれば、敵の将を虜にすることができる。 楚:人は軟弱で、国土は広く、政治は乱れ、民は疲弊している。そのため規律があっても持久力が乏しい。⇐本陣を襲撃して敵の戦意を削ぎ、機敏に行動して敵を翻弄し、疲れさせる。 燕:人はまじめで、民は慎重であり、勇気や義理を重んじて、策をめぐらすことは少なく、ゆえに守りを固めて逃げ出したりしない。⇐近づいたと見せて急に攻め、攻めるとみせて退き、追うとみせて背後にまわるなど、神出鬼没に行動する。そうすれば必ず敵の指揮官はこちらの意図がわからず、部下は不安になる。兵車や騎兵を伏せ、敵をやり過ごして襲えば、敵将を虜にすることができる。 三晋:性格は穏やかで、政治は公平。しかし民は戦に疲れ、兵事に慣れている。そのため指揮官をあなどり、俸禄が少ないと不満をもらし、死ぬまで戦おうとしない。ゆえに統制は取れているが、実戦の役には立たない。⇐対陣して相手を圧倒する。攻めてくれば阻み、退けば追撃するといったようにして、戦に嫌気を起こさせる。 〔敵情:攻撃適機〕 1_風が強く、厳しい寒さで、敵が早朝に起きて移動したり、氷を割って河を渡り、難儀を顧みないでいる 2_夏の真っ盛りの炎天下に、日が高くなっても起きず、起きると間もなく行軍し、飢え渇きながら行動している 3_軍が長い間戦場に止まり、食糧は欠乏し、百官の間に不満の声が高まり、奇怪な事件がしばしば起こっていながら、指揮官がこれをおさえきれていない 4_軍の資材がつき、薪やまぐさも少なくなり、雨が続き、物資を略奪しようにもその場所がない 5_兵数も多くなく、水地の便も悪く、人馬ともに疲れ、どこからも援軍がこない 6_行軍が長く日も暮れ、兵士は疲労と不安におそわれ、うんざりして食事もとらず、鎧を脱いで休息している 7_指揮官の人望が薄く、参謀の権威も弱く、兵士の団結力が弱く、全軍がおびえていて、援軍がない 8_布陣が完成せず、宿舎が定まらず、また険しい坂道を行軍して、到着予定の半分も着ていない 9_敵の進軍がしまりがなく、旗が乱れ、人馬とも振り返ることが多い 10_同盟する諸侯が到着せず、臣君が和せず、陣地も完成しておらず、禁令が施されておらず、全軍が戦戦兢兢として進もうにも進めず、退くこともできない 11_敵が遠くから来て、到着したばかりで、まだ陣地も整わない 12_食事をし終えて、まだ防禦態勢が整っていない 13_あちこちと走り回っている 14_疲れている 15_有利な地形を占領していない 16_時勢を失っている 17_長距離の行軍で、遅れた部隊が休息できていない 18_河を渡ろうとして、軍の半分しか渡り終えていない 19_険しい狭い道を行軍している 20_旗が乱れている 21_陣営が忙しく移動している 22_将と兵士の心が離れている 23_兵士がおじけづいている ―敵の充実したところを避け、手薄なところを攻める― 〔戦を避けるべき相手〕 1_土地が広大で民が豊かで、人口が多い 2_君主が下々の者を愛し、恵みが国中に行き渡っている 3_賞罰が公平であり、発する時期も時を得ている 4_功績のある者に高い地位を与え、賢者や能力のある者を重用している 5_軍団の兵士が多く、装備が整っている 6_隣国や大国の助けがある 〖軍隊の管理〗 〔四軽〕 1_地形をつぶさに見極めたうえで馬を走らせる 2_まぐさを適当に与える 3_車に油を十分注す 4_武器を鋭く、甲冑を堅固に整える 〔二重〕 1_進んだ者には重い賞を与える 2_退いた者には重い罰を加える 〔勝敗の要因〕 1_平生の訓練で、礼節を守り、行動を起こすときには威厳があり、進むときには阻むことができず、退く時には追撃できず、進退に節度があり、左右両翼の軍も指揮に呼応し、分断されても陣容を崩さず、分散しても隊列をつくることができ、安全な時も危険な時も、将兵が一体となって戦い、いくら戦っても疲労すしないような軍隊を作れるかどうか 2_飲食を適切に取り、人馬の力を消耗させていないかどうか 3_将が、穴のあいた舟に乗り、燃えている家で寝ているように、必死の覚悟をしているかどうか 4_優柔不断に陥るかどうか 5_訓練が良くできているかどうか(近くにいて遠くの敵を待ち、余裕を持って敵の疲れるのを待ち、満腹の状態で敵が飢えるのを待つ。円陣を組んだかと思えば方陣を組み、座ったかと思えば立ち、前進したかと思えば止まり、左に行ったかと思えば右に行き、前進したかと思えば後退し、分散したかと思えば集中する。様々な変化に対応できるよう習熟させる。) 6_戦の訓練で、背の低い者には長い矛を持たせ、背の高い者には弓や弩を持たせる。力の強い者には旗を持たせ、勇敢な者には鐘や太鼓を持たせる。力の弱い者は雑用に使い、思慮深い者は参謀とする。同郷の者で 伍 ( ご ) を編成し連帯責任を持負わせる。 7_一度目の太鼓で武器を整え、二度目の太鼓で陣立てを整え、三度目の太鼓で食事をとり、四度目の太鼓で武器を点検し、五度目の太鼓で進軍の状態にさせ、そして太鼓の音が揃ってはじめて、旗をかかげる。 〔行軍の定石〕 1_深い谷間の入口や大きな山のふもとを避ける。 2_青竜の旗を左に、白虎の旗を右に、朱雀の旗を前に、玄武の旗を後ろに立て、招搖の旗を中央にかかげて、その下で将が指揮を執る。 3_順風のときは敵を攻め、逆風のときは陣を固めて待機する 〔軍馬の飼育〕 1_環境を良くし、水や草を適度に与え、腹具合を調整し、冬は厩舎を温め、夏にはひさしをつけて涼しくし、毛やたてがみを切りそろえ、注意深く蹄を切り、耳や目をおおって物に驚かないようにし、走り方を学ばせ、留まりかたを教育し、人と馬がなれ親しむようにする。 2_鞍、おもがい、くつわ、手綱などはしっかりとつける。 3_馬は、仕事の終わりや腹が減ったときよりも、仕事の始まりや食べ過ぎたときに駄目になる。 4_日が暮れてもまだ道が遠い時には、時には降りて休ませる。人はくたびれても馬を疲れてさせてはならない。いつも馬に余力をもたせ、敵の奇襲攻撃に備える。 〖将軍のあるべき姿〗 〔心得〕 1_管理:大部隊をあたかも小部隊を治めるように掌握して統率する 2_準備:門を出れば、いつ敵に襲われてもいいように備える 3_決意:敵を眼の前にして決死の覚悟を持つ 4_自戒:勝っても戦を軽々しく考えないように自らを警戒する 5_法令簡略化: 6_形式的な煩雑さを避けて分かりやすくする 7_命令を受ければ家人に別れを告げることもなく、敵を撃ち破るまで家人のことを言わない 〔好機〕 1_精神:全軍兵士の動きを充実させる将軍の気 2_土地:道が狭く険しい高山の要塞では、十人の兵卒でも千人の敵を防ぐことができる 3_状況:間諜を放ち、軽装備の兵を発して敵の兵力を分散させ、君主と臣下の心を切り離し、将と兵がお互いに非難しあうようにしむける 4_力:車の楔を堅固にし、舟の櫓や櫂を潤滑にし、兵士をよく訓練させ、馬は良く走るように調教しておく 5_将の威徳や仁勇:部下を統率し、民を安心させ、敵をおののかせ、疑問が生じても迷うことなく判断する。 〔軍の威信を兵卒に伝える戦具〕 1_太鼓・鐘:耳から 2_軍旗・采配:目から 3_禁令・刑罰:心から 〔敵将のタイプ別対応策〕 1_愚直で軽々しく人を信用する⇐だまして誘い出す 2_貪欲で恥知らず⇐賄賂で買収する 3_状況の変化を軽く考える無思慮⇐策をつかって疲れ苦しめる 4_敵将が富んで驕り高ぶり、部下が貧しくて不満をもっている⇐これを助長し、離間させる 5_優柔不断⇐驚かせて敗走させる 6_兵が敵将を軽んじて帰郷の心がある⇐逃げ易い道を塞いで険しい道を開いておき、迎え撃って殲滅する 〔敵将タイプ判別法〕 1_身分は低いが勇気のあるものを選び、敏捷で気鋭の兵士を率いて試みる。彼らにはもっぱら逃げさせ、勝利を収めさせない。敵が追ってくるのを���察し、兵卒の一挙一動を見て軍規がゆきわたっているかを見る。追撃するときもわざと追いつけないようにみせたり、有利とみてもわざと気づかないふりをして誘いに乗らないようであれば、智将。戦を避ける。 2_部隊がさわがしく、旗は乱れ、兵卒はばらばらに動き、隊列が縦になったり横になったりして整わず、逃げる者を追おうとしてあせり、利益があると思えばやたらそれを得ようとするのは愚将。捕虜にできる。 〔場所���対応〕 1_進みやすく退却が難しい場所では、敵が行き過ぎてきたところを討つ 2_進みにくく退きやすい場所では、こちらから討って出る 3_敵軍が低湿地に駐屯していて、水はけが悪く長雨が続いているようであれば、水攻めで溺れさせる 4_敵が荒れた沢地に駐屯していて、雑草や潅木が繁茂しておりつむじ風が吹いているようであれば、火攻めで焼き滅ぼす 5_敵が駐屯して動こうとせず、将兵ともにだらけ、軍備も十分でない場合は、深く侵入して奇襲する 〖ケースごとの対応〗 1_敵の急襲を受け、混乱して隊伍が乱れた場合 ↑←自軍に威光が行きわたり士卒が命令どおりに動くのであれば、慌てず対処する。 2_敵が大軍で、自軍が少ない場合 ↑←平坦な土地での戦闘を避け、狭く険しい地形にさそいこむ。 [一の兵力で十の敵に当たるときは狭い場所で。十の兵力で百の敵に当たるときは険しい場所で。千の兵力で万の敵に当たるときは障害の多い場所で。] 3_敵の兵力が非常に多く、武勇に優れており、大きな山を背にして要害の地に拠り、右手に山、左手に川、堀を深くして砦を高くし、強弩をもって守っており、退くときは山のように堂々としており、進むときは雨風のようにはげしく、兵糧も十分で、長期戦になってもこちらが不利になる場合 ↑←千輌の戦車、一万の騎馬兵を備え、さらに歩兵を加え、全軍を五つに分け、それぞれの道に布陣させる。五つの軍が五つの道に布陣していれば、敵は必ず迷って、どこを攻めればよいか分からないでしょう。敵が固く守るようであれば、急いで間者を送り込み、敵の意図を探る。敵がこちらの言い分を聞けば、囲みを解いて去る。聞き入れずに使者を斬って、文書を焼き捨てるようであれば、戦闘開始。勝てなければすばやく退却する。勝っても追い討ちをかけない。余力残してわざと逃げ、整然と行動して、すばやく戦い、ひとつの軍は前方の敵をくぎづけにし、ひとつの軍は後方を分断し、別のふたつの軍は、馬に枚をふくませてひそかに左右に動かして急襲し、五軍が次々に攻め立てる。 4_敵が近づいて自軍に迫り、退却しようとしても道がなく、兵卒が不安におちいった場合 ↑←もし敵が少数で自軍が多数であれば、部隊を分散して代わる代わる敵を討つ。もし敵が多数で自軍が少数であれば、策をめぐらせて相手の隙を狙い、継続的に敵を攻める。 5_敵に渓谷でぶつかり、周囲��険しい地形が多く、しかも敵が多数で自軍が少数の場合 ↑←丘陵や森林、深い谷や険しい山、大きな沼沢地にあえば、すばやく通過する。万一、深山幽谷でいきなり敵と遭遇したら、必ず先手を取って太鼓をたたいて敵を驚かせて、弓や弩を射掛けながら攻め立て、敵を捕え、敵軍の混乱を見極めたうえで、ためらうことなく追撃する。 6_左右に山がそびえ立ち、地形は狭く、身動きできないようなところで、急に敵に遭遇し、あえて攻撃もできず、退却もできない場合 ↑←味方の兵のうちから武術に優れた者を選んで敵に当たらせる。そして身の軽い兵を先頭に立たせて、戦車や騎兵を分散させて四方に潜ませる。敵との距離を数里に保ち、相手に見つからないようにする。陣を固く守り進退できない敵に対して、山かげから旗を押し立てて陣立てを現す。驚く敵に向かって、戦車と騎馬を出動させ、休む間もなく攻めかかる。 7_敵と大きな沢沼地で遭遇し、車輪はぬかるみに落ち、轅は水につかり、水は車にせまり、舟の用意もなく、進退に窮した場合 ↑←戦車や騎兵を用いることなく、しばらく待機させ、高いところに登って四方を観察し、幅の狭いところ広いところ、浅いところ深いところ、水の状況を調べたうえで策を巡らす。もし敵が水を渡って攻めてきたら、およそ半数が渡るまで待って、攻める。 8_長雨続きで、馬はぬかるみに落ち、戦車も動かないようなときに、四方から敵の攻撃を受け、全軍が驚き慌てふためいた場合 ↑←戦車は、晴れて湿気がないときに動かすもの。雨天や湿気のあるときには用いない。頑丈な戦車を走らせ、進むにしても止まるにしても、必ずその道理に従うようにする。雨天や湿気のあるときには低い土地を避け、高いところをめざす。 9_凶悪な敵がいきなり侵入してきて、わが国土を侵し、牛や馬を略奪していくような場合 ↑←昼間は守りを固めて敵に応じず、日暮れになって敵が退却するときに追撃する。敵は、帰りを急ぐが、戦利品で動きが鈍くなっているので、焦りで部隊が乱れる。 10_城邑をすでに攻略し、それぞれの宮殿に入った場合 ↑←宮殿の財貨を奪い、収用する。軍が駐屯した土地では、住民を害しない意図を示して不安をとりのぞく。自軍を厳しく取り締まり、材木を切ったり、建物を荒らしたり、食糧を盗ったり、家畜を屠ったり、財産を焼き払ったりさせないようにする。安心して投降できるよう、寛容さを示す。 〖信賞必罰〗 〔供応エピソード〕 呉王は、廟前で宴会を開き、家臣たちを3列に並べて供応した。最高の功績をあげた者は前行に座らせ上等の器に上等の料理を盛ってもてなした。それに次ぐ功績をあげた者は次の列に座らせ皿数をやや少なくした。功績のなかった者は後の列に座らせて、料理の数をわずかにした。 饗宴が終わると、功績ある者の父母妻子には、廟の門外でみやげ物を贈った。そのときも功績ある者とない者で差をつけた。 戦死した者の家族には、毎年、使者を送って���の父母をねぎらい、贈物をして、功績を忘れないでいることを知らせた。 これを行うこと3年。秦が軍を興して西河に進軍してきた。魏の臣はそれを聞くと、命令を待たずに装備を整えて奮って敵を討とうとする者が数万におよぶほどであった。 呉起は、「人には短所と長所があり、意欲には盛んになるときと衰えるときがありる。功績のなかった者を試しに五万人ほど徴集してください。五万の兵を死にもの狂いにして、戦ってみせます。」と言って、五万の兵を託された。戦いの前日、呉起は全軍に、「各吏士たちよ、戦車、騎兵、歩兵それぞれに対応して戦え。戦車隊が敵の戦車隊を打ち破れず、騎馬隊が敵の騎馬隊を打ち破れず、歩兵隊が敵の歩兵隊を打ち破ることができなければ、敵を破ったとしても、功績があったといえない。」と訓示した。そして、戦車五百乗、騎馬兵千人を含む五万の兵で、秦軍五十万を破った。
1 note
·
View note
Text
台電公司台東區營業處簡處長翠玉就職
【記者張金源/臺東報導】台電公司台東區營業處簡處長翠玉就職 台電台東區營業處四日下午三時舉辦新、卸任處長交接典禮,交接儀式由台電公司王副總經理耀庭監交,卸任處長鄭信宗榮調屏東區營業處處長,職缺由台東區營業處副處長簡翠玉榮昇。臺東縣長饒慶鈴、行政院東部服務中心執行長洪宗楷,劉櫂豪立法委員辦公室處長劉文等及臺東縣議會議長吳秀華等重要政界人士,還有台糖公司、台灣中油公司、鐵路局及各工會理、監事等貴賓,及台電公司勞工董事廖展平、彭繼宗與多位各單位主管到場祝賀,交接典禮隆重、溫馨。 卸任鄭信宗處長公司內部歷練完整,在台東服務2年4個月,任事當責、為人謙和、領導風格開明,非常重視員工及承攬商工作安全,帶領台東區營業處團隊各項績效卓著,如協助建置電動車充電站、配合道路拓寬及台東車站門戶計畫,營造台電公司為民服務之企業形象、易致災地區及風景區桿線地下化工程、配合南迴鐵路電氣化各項供電及遷移線路設備工…
View On WordPress
0 notes