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~ 黒の振袖 ~ 「きものやまなか」にて振袖をご購入いただいたお客様のご紹介です。 黒の古典柄は重厚さと豪華さがあり、毎年人気のカラーですね。 当店では皆さまのご希望の色を、お下見当日までにご用意させて頂きます。 今回のお客様つきましては、プロフィールのURLの弊社ブログ記事にて詳しくご紹介しております。⇒⇒⇒ @furisode_yamanaka #振袖 #着物 #成人式 #きものやまなか #きものやまなか振袖 #きものやまなか振袖美人 #創寫舘鶴舞本店 #創寫舘 #黒振袖 #黒色振袖 #古典振袖 #振袖購入 #振袖販売 #伝統工芸 #手描き友禅 #京友禅 #名古屋振袖 #名古屋市振袖 #振袖名古屋 #振袖名古屋市 #名古屋市で振袖選び #名古屋市の振袖販売店きものやまなか #名古屋市で振袖購入きものやまなか #日本 #kimono #nippon #japan #japanesestyle #japaneseculture #lovejapan (名古屋市の振袖販売店【きものやまなか】) https://www.instagram.com/p/Clm8mRqLz5a/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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2024 Spring/Summer Lot 4059
こんにちは 名古屋店 コジャです。
2024 S/S Lot 4059 リンガーTEE新作も届いています。
WAREHOUSE & CO. Lot 4059 リンガーT USAFA \7.040-(with tax)
左胸にワンポイント「USAFA」。 これだけなのに存在感があるのはUSAFA」などのミリタリープリントの魔力ですねぇ。
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【Vinatge】
アメリカ空軍士官学校の生徒が着用す���トレーニングTシャツです。 言わずとしれた��リート養成学校で、将来、米空軍で活躍する若き士官候補生が学ぶ士官学校。 空軍のエリートを育成する訓練では毎年多くの士官候補生が厳しい4年間の教育プログラムを受けるため入学してきます。 大学と同じようにフットボールや野球部もあり、 陸軍や海軍の士官学校だけではなく私大とも対抗戦を行います。
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WAREHOUSE & CO. Lot 4059 リンガーT U.S.COAST GARD \7.040-(with tax)
こちらもミリタリープリントですが、 「海」を感じる爽やかさがあり、夏の季節感も漂わせてくれてます。
それも水際である港湾で任務に当たる「USCG」だからということもあるのでしょうね。
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【Vinatge】
アメリカ沿岸警備隊のロゴが胸に大きく入るリアルウェアTシャツです。 USMC,USNなどのように略される文字が「USCG」であり、「コーストガード」と日本では呼ばれることが多いようです。 文字通りアメリカの水際である港湾で海難救助、密貿易の取締りなどに当たることが任務です。 ユニフォームとしてはUS NAVYのデザインを使用することもあり、 デッキジャケットなどは稀にUSCGのものがあります。 陸海軍に比べるとその規模の関係からユニフォームも少なく全体的に希少です。
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WAREHOUSE & CO. Lot 4059 リンガーT BURINGTON \8.030-(with tax)
ここ数年振り返ってみても、 多種多様なデザインで年に1つはリリースしているデーモンフェイス。
このデーモンも趣向を変えたプリント。
マーベルのヴィランとして出てきそうですが今回は「人」要素が強め。 円らな瞳に目尻の皺がデーモンの中に可愛さが垣間見えますねぇ。
そして2024 SSにて数少ないフロッキープリントですよ~。
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【Vinatge】
アメリカで数校あるバーリントン高校ですが、 デーモンのマスコットからウィスコンシンのバーリントンハイスクールのものと判明しました。 マスコットは現代ではコミカルなキャラクターになっていることが多いのですが、 こちらも古い時代はリアルなデーモンが描かれています。 希少な大きいランタグがついた、ほぼ未着用のまま保管された状態です。
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. . . 様々なショップでも取り扱いが増えてきていて、街中でリンガーTEEを着ている方を見かけることが多いです。 WAREHOUSEのリンガーTEEはネック・袖のトリムが細くクラシカル。他ではあまり見かけないと思いますよ。 是非店頭でも御覧になって下さいね〜。
では失礼いたします。
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☞ [営業時間のお知らせ]
平素よりウエアハウス直営店をご利用頂き有難う御座います。 ウエアハウス直営店では営業を下記の通り変更しております。
《2024.5.26.現在の営業時間》
◎東京店 【営業時間:平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】無休 ◎阪急メンズ東京店 【営業時間:平日 12時~20時 土日祝 11時~20時】無休 ◎名古屋店【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】水曜定休 ◎大阪店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎福岡店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎札幌店 【営業時間: 11時~20時】 木曜定休
今後の営業時間等の変更につきましては改めて当ブログにてお知らせ致します。 お客様におかれましてはご不便をお掛けいたしますが御ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
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☞ 『WAREHOUSE直営店の LINE公式アカウント開設』
WAREHOUSE&CO.直営店からのお得な情報や、エリア限定のクーポンなどを配布しています。
LINE公式アカウント開設にあたり、 2019年3月26日(火)以降、提供しておりましたスマートフォンアプリはご利用できなくなっております。 お手数をおかけしますが、今後はLINEアカウントのご利用をお願いします。
ご利用されるエリアのアカウントを「友だち登録」して下さい。 ※WAREHOUSE名古屋店をご利用頂いているお客様は【WAREHOUSE EAST】をご登録下さい。
※直営店のご利用がなければ【WESTエリア】をご登録下さい。
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☞[リペアに関して]
弊社直営店で行っておりますジーンズ等のリペアの受付を休止させて頂いております。 ※ご郵送に関しても同様に休止させて頂いております。再開の日程は未定です。
ご迷惑お掛け致しますが、ご理解下さいます様お願い致します。 ※弊社製品であればボトムスの裾上げは無料にてお受けしております。お預かり期間は各店舗により異なりますのでお問合せ下さい。
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☞WAREHOUSE公式インスタグラム
☞WAREHOUSE経年変化研究室
☞“Warehousestaff”でTwitterもしております。
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WAREHOUSE名古屋店
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3-13-18
TEL:052-261-7889
《2024.5.26.現在の営業時間》
【営業時間:平日 12時~19時、土日祝 12時~19時】水曜定休
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五篇 追加 その六
藤屋の亭主と上方者と一緒に、古市へやってきた弥次郎兵衛と北八。
仲居が、残された弥次郎兵衛に、 「さあさあ、お前様、ちとあちらへ。」 と、案内するので、 「どれ行きましょう。どこだどこだ。」 と、いいながら立ち行く。
この弥次郎兵衛いたって見栄っ張りなので、例の醤油で煮たように汚れているふんどしを締めているのが事のほか気にかかり、見られては恥の上塗りだと、ふところから手を入れてそっと外し格子の間から庭に放り出してしまう。 それを誰にも見られていないかと辺りを見回して確認すると、安心して仲居の後に付いてく。
その後夜も更けていき、奥の間の伊勢音頭もおのづからしずまり、旅客のいびきの声が響いてくるだけだ。 そこに鐘の音が七つなって鶏の声も歌い出し、しだいに夜も白みかける。
朝の日差しが窓から差し込んでいるのにおどろき起あがって、目をこすりながら上方者が、 「なんと、もう朝かいな。どれ、いのうわいな。」 と、北八の座敷にやってきて誘う。 北八も起きだしてくると、二人で弥次郎兵衛のところに来て、 「弥次さん日が出た。帰えらねえか。」 と、声をかける。 「やれやれちょっと寝すぎたか。」 と、弥次郎兵衛も起きだしてきた。 「これこれ、今日もいさんせ。」 と、側でおやまの初江が言う。 「とんでもない。今度は、本当に帰る。」 と、みな支度して出かける。
おやまどもも、送りに廊下に出てくると一人のおやまが、格子から何か見えるので覗いている。 「これこれ、あれ見さんせ。庭の松に浴衣がかかってあるわいなあ。」 弥次郎兵衛の相��の女郎、初江が、 「ほんに、取��除いておきなさい。いやじゃいな。誰じゃいな。」 というと、弥次郎兵衛は自分のふんどしがかかっているのかと思って、 「ははあ、こいつはおかしい。三保の松原の羽衣の松じゃあねえ。 ふんどしかけの松とは珍しい。」 と、言ってしまう。 それで北八がよく見てみると、確かにそれはふんどしだ。 「弥次さん。ありゃお前のじゃねえのか。」 初江が何か思い出しように、 「ほんにそれじゃ。お前さんのふんどしじゃないかいな。」 と、弥次郎兵衛の顔を見て笑う。
弥次郎兵衛はさっき、つい喋ってしまったのをしくじったと思いながらも、昨日格子から捨てたふんどしが松の枝に引っかかり、ぶら下がっているのがおかしいと思っていたが、さすがにそうだとも言えずに知らないそぶりで、 「なんて事をいうんだ。あんな汚ねえふんどしを俺がするものか。」 というと、初江が、 「いいや、そうおっしゃても、昨夜わしゃこのお客さんの着物を脱がそうとした時に、よう見たがあないな色のまわしじゃあったわいな。」 と、思い出しながら言う。 上方者も、 「おお、そうじゃあろぞい。」 と、あおる。 「ばかいうな。俺は、木綿のふんどしは嫌いだ。 いつでも、超高級な羽二重をしめている。」 と、弥次郎兵衛は下手な言い訳をする。 「おほほ、うそやの。あれじゃいな。」 初江はすっかりわかってしまったといわんばかりである。 「弥次さん。あれがどうして木綿だとわかる。 それにあんな汚いふんどしに俺も見覚えがある。たしかにあれだろう。 そうじゃないならお前今裸になって見せなせえ。 大名行列の先頭を歩くやり持ちのように、ぶらぶらしているに違いない。」 と、北八が詰め寄る。
初江はこの騒ぎに出てきた男に話しかける。 「そうじゃいな。おほほこれこれ、久助どん。そのまわしはお客さんのじゃ。 取ってくだんせ。」 久助と呼ばれた男は持っている竹ぼうきの先で、例のふんどしを起用に取ると初江のところまで持ってきて、 「さあ、ふんどしがやってまいりましたぞ。 それ、取らんせ。取らんせ。」 初江が、それを摘み上げると、 「おお、臭い。」 と、思わずそこにほっぽり出してしまう。 「ははは。弥次さん、ほれ、拾ったらどうだ。」 と、ふんどしを指差しながら言うと、 「ええ、情けないことという。俺のじゃないというに。」 と、弥次郎兵衛は、そっぽを向いてしまう。 北八が、 「そんなら、お前、前をまくって見せろ。」 と、弥次郎兵衛を捕まえると帯を解こうとする。 弥次郎兵衛はそんな北八から逃れると、そのままにげ出して行く。 皆々は、 「おほほほ。 「わははは。」 と、大笑いして送り出る。
三人とも、ここを立ち出ると、 「ええい、いまいましい。北八が俺に赤恥をかかしやがった。」 と、弥次郎兵衛が北八に言い、 「確かに、松にふんどしがぶら下がったのをみたのは初めてだ。」 と、一首詠む。
ふんどしを 忘れて帰る 浅間山 万金丹が 古市の町
さて妙見町に帰ってきた三人はいい天気なので、急いで内宮と外宮のお宮参りしようかと簡単に支度して、先程の古市の入��口に戻ってきた。 ここには、露天が店をだして、客を呼び込んでいる。
そこに有名なお杉とおたまのような女たちが、やや高い音調の三味線を弾いている。 「べんべら、ちゃんてん。」 しかし、弾き方が無茶苦茶で何の歌かわからない。
行き交う旅人の一人がこの女の顔にお金を投げつけると、うまい具合にそれぞれに顔をふりよける。 それを見ていた弥次郎兵衛が、 「あっちの若い方に、ぶつつけてやろう。」 と、金を二、三文投げるとさっとよけてしまってあたらない。 「べんべら、べんべら。」 と、女らは馬鹿にするようにやたらと三味線を弾いている。 「どれ、俺が当ててやろう。」 と、今度は北八が投げるがやっぱりあたらない。 上方者が、 「いくらやっても、お前がたではどないに放りさんしても、相手は、当てさせるものではない。」 と、言う。
ちょっと考えて、弥次郎兵衛が、 「今度は見てろ。これでどうじゃ。」 「おやおや、あんなでかい物もあたらんか。」 と、弥次郎兵衛が銭をとめている紐ごと投げつけたのを見ていて北八は、 「こりゃ、あんまりしゃくにさわる。」 と、小さな石を拾って投げた。 例の女らはその石を器用にばちで受けるとひょいと投げ返す。 するとその石は弥次郎兵衛の顔にぴっしゃりと、あたってしまう。 「あいたたた。」 と、弥次郎兵衛が顔を抑えるのをみて、 「ははは、こいつは大わらいだ。」 と、北八は笑っている。 弥次郎兵衛は、 「ああ、痛え、痛え。」 といいながら、一首詠む。
とんだめに あいの山とや 打ちつけし 石返したる 事ぞおかしき
また、先に歩いて行くと中之町に着いた。 左の方には本誓寺という勝景の地がありまた、寒風という名所もあるそうだ。 五知の如来や中河原など書こうと思えば、枚挙にいとまがない。
それより牛谷坂道を通りかかると、女乞食が化粧して飾り立てていて行きかう旅人に錢を乞う。 又、他にも、十二、三の女子どもが紙にてはりたる色とりどりの笠をかぶっていて、 「銭おくれ。お江戸さんじゃないかいな。 そこの旦那様。頬かぶりした旦那様。銭おくれ。放うらんせ。」 と、掴みかかってくる。 「やかましい。つくなつくな。」 と、弥次郎兵衛が突き放すと、 「そういわんで、お江戸さんじゃろ。ちと、くだんせ。」 と、乞食が袖をひく。 仕方がないと、北八が、 「ええい、引っ張るな。それ、まくぞまくぞ。」 と、いい加減にばらばらと金をまくと乞食は、めいめいに拾って、 「よう、くだんしたや。」 と、ひとりひとりが礼を言う。
この先に又、七八才ばかりの男の子が白い鉢巻をして、そでのない羽織に膝のところでくくりつけた袴をはいて、手に扇を持って踊っている。 その後ろで編み笠をかぶっている男がささらという、竹を細かく裂いて擦ったり振ったりすることで音を出す物を振りながら歌っている。 「やれ、ふれふれ。 五���鈴川~、ふれやふれや、ちはやふる~。 神のお庭の~、あさ清め。 するやささらの~、えいさらさら、えいさらさ~。 それ、てんじょうじゃ。 ゆかしたじゃ。 やっていきなされ。やっていきなされ。」
北八はふところから金をだすと、 「そりゃやっていかんすぞ。しかも、四文錢だ。」 と、そこに放りだすと乞食が、 「四文ぜになら多すぎる。こりゃぜひ、釣りに三文くだんせ。」 と、いうので弥次郎兵衛が、 「こいつ自分勝手なことを言う。」 と、笑って行き過ぎる。
つづく。
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蜃気楼の境界 編(一二三四)
「渦とチェリー新聞」寄稿小説
連載中のシリーズ、第一話からの公開、第七話まで。第八話以降、朗読版に繋がり、最新話に辿り着けます。
蜃気楼の境界 編(一)
序件
赤に黄を混ぜると橙になるとか、分子だとか原子だとか、決まりごとで世界を理解した気になれるとしている人達の視た光景が世界の基準になっていることがそもそも気に食わないと、二〇一六年春、高校一年生になったばかりの渡邉咲は思っている。彼女はやがてクラスに、背が高く視力の悪い市川忍という一見平凡な男子生徒がいることに気づくだろう。麗らかな新大久保、韓国料理店をはじめとした多国籍渦巻く通り、彼女よりも背の高い通行人達の隙間を縫いながら気分よく和楽器専門店へ向かう道すがら、迷いのない機敏さですれ違った、いつだったか見たような気のする少女��勘が働き、あとを追うと、二人の男が対立していたのだ。さっぱりとした面立ちの男が軽やかに束感ショートの若い警部補に、これは高橋さんお久しぶりです、と話しかけるが、その警部補は、探偵に用はないよ、と軽くあしらう。少女は、この探偵と警部補の間を通り過ぎ、可憐に立ち止まり、一、三、三十、千五百と口にしたのだ。新規上場企業連続殺人事件の際はな仲本慧きみのお世話になったが、警部補がいう、本当に高くついたよ闇のポケットマネーだった、今回の捜査はもう済んでいる高知県岡内村の淵に発見された男の水死体はここのホステスとの恋の縺れで半グレが実行したと調べがついている。ところが、探偵仲本慧は、隠れて話を聞いていた渡邉咲が耳を疑うようなことを坦々と喋りだしたのだ。少女崔凪が口にした数から推理するに、彼女の身長百五十センチが百五十万μm(マイクロメートル)だね、目視可能な基準五十μmより小さい花粉が三十μmで飛沫や通常マスクの捕獲サイズが三μmで細菌は一μm、零点三μmはN95マスク捕集サイズ、零点一μmはインフルエンザやコロナのウイルスサイズつまり著名なウイルスは人間の千五百万分の一の小ささでその一回り大きい細菌が百五十万倍の少女を視れば頭は火星にあり地球からの距離十三光分だね月までなら一点三光分、符号、十三、仲本慧が楕円を描くようにぐるぐる歩く、火星は周期七百八十日で地球に近づき月との接近を天上で愉しめるわけだが今年はそれに当たる、七百八十と十三に関係する郵便番号が高知市青柳町で、そこに住む犯人は七百八十日周期で男を殺しに東京を訪れる。
雑居ビルの階段下で警部補は少女崔凪を見、腰を低くし、初めまして警部補の高橋定蔵だ、二年前はお世話になったがきみは知ってるのかな、という。崔凪は強い瞳のまま無言。警部補は探偵に、依頼はしてないから助言と受け取るがどうして事件を追ってる。陰で話を聞きながら、渡邉咲は胸を熱くしている。着信音がする。それを無視した仲本慧、曰く、単なる不倫調査で慧探偵事務所の探偵チームはターゲットの男がある女とホテルへ入るところを写真に収めたが依頼の追加でその女のプロファイルを求められたという。追加依頼を探偵チームに投げようとしたとき事務所に遊びにきた崔凪が、一、三、三十、千五百と自ら口にしたのだ。推理から、と仲本慧はいう、写真に収めた女は、蜃気楼だと気づいた、真の不倫相手の女、つまり犯人が、���の像を追わせたのさ、ここのホステスは事件の蜃気楼、無関係だね。渡邉咲は、どういうこと、と驚くが、何度か鳴っていた事務所からの着信を仲本慧が受けて、崔凪に、さぁ行こう、と告げ、去り際、ふと足元を見、ツバキの花は境界に咲くというが、現世と魔界の境界にも咲くんだね、と笑みを浮かべる。警部補は二人を追わず高知警察署へ連絡しているらしい。数日後、高知の青柳町に住む女、宮地散花が連続殺人容疑で逮捕されたことを渡邉咲はニュースで知り、午前の授業中はずっと雑居ビルの階段下でのやりとりの記憶に捕らわれ、探偵仲本慧の絡んだ事件の真相って境界の狭間に咲く花のよう、と夢見心地になるが、少女崔凪による真相は、甲乙ムの三文字の一体である鬼を抱く宮地散花が千五百年つまり明応九年に践祚した後柏原天皇の詠んだ歌、心だに西に向はば身の罪を写すかがみはさもあらばあれ、に心打たれるも意味を取り違え、三十人の男の供養を願ったことに始まる。その鬼の念、情景を歪ます程に強く、探偵や警察を巻き込み、一高校生渡邉咲さえ巻き込んだが、彼女は探偵仲本慧による更なる次元さえ加わった渦の中でときめいている。その様は、クラスメイトの市川忍の何かを揺るがしたのだ。窓の下、体育館でのバスケの授業をずっと眺めていた市川忍は、突然渡邉咲の存在に気づき、それは彼のもう一つの人格、仟燕色馨の方が先だったかもしれない。胸騒ぎだ。
蜃気楼の境界 編(二)
書乱
春の夕、上海汽車メーカーの黒い車が高田馬場駅は西、高校の校門を通過し、停車する。奇妙な車がよぎった、脳裏より声。授業も聞かず窓の下、体育館でのバスケの授業をぼんやりと眺めていたが、脳裏に響く声に高校一年生の市川忍、カジョウシキカ唐突に何だよ、と聞く。一昨年にきみを冗談交じりに犯人と疑ってみせた探偵がいたのを覚えてないか。そう問われたものの市川忍は思いだせず、それがどうかしたのと内側へ声を。すると、微かなタイヤの摩擦音と停車音の比較から目的地はすぐ側の一軒家だろうちらと見えた、運転手がその探偵だ、という。この七年前は二〇〇九年五月、関西の高校生から広く流行した新型インフルエンザ以降雨の日以外つねに窓が少し開けられている。空気は生ぬるい。チョークの音。市川忍、幾つか机の離れた席に座る渡邉咲に視線を送る。チャイムの音が鳴り、放課後、別のクラスの生徒、石川原郎がやってきて無造作に横の机に座り、市川おまえ高校はバスケ部入らないの。まあね。受け応えしながら机の中の教科書類を鞄にしまっていく。渡邉咲立ち上がり、教室の外へ。一書に曰く(あるふみにいわく)と仟燕色馨の声が響く、混沌のなか天が生まれ地が固まり神世七代最初の神、国常立尊が生まれたが日本書紀に現れない五柱の別天津神がそれより前にいて独神として身を隠したというのが古事記の始まりということは教科書にも書かれていたが先程の古文の教師はイザナギとイザナミの二神から説明した、これもまた一書に曰く、数多の異神生まれし中世ではアマテラスは男神ですらあり中世日本とは鎌倉時代からつまり末法の世まさに混乱した世の後で超自然思想は流行り無限の一書織り成す神話に鎮座し人々は何を視ているのか、きみが気にしている渡邉咲、退屈そうに探偵読本を机の中に置いていった、大方、探偵に夢を見、探偵業に失望したのだろう、数分の場所に探偵がいる。市川忍は脳裏に響くその声をきっかけにし会話一つ交わしたことがない渡邉咲のあとを必死で追う。走りながら、どう呼びかけるのかさえ決めていない。仟燕色馨のいう一軒家は平成に建てられた軽量鉄骨造で、渡邉咲が通り過ぎた頃合いで咄嗟にスマホを耳に当て、探偵が入っていった、と強く言う。驚き、振り返る渡邉咲。
目黒にて桜まじ、遊歩す影二つ。吹く風に逸れ、冷たし。怪異から死者が幾人、立入禁止とされた日本家屋をちら見し、一つの影、あァお兄様さらなる怪奇物件作りどういたしましょうと口元を手で隠し囁く明智珠子に兄、佐野豊房���陽炎のごとき声で私達はね共同幻想の虚空を幽霊のように漂っているんです、井戸の中で蛙は鬼神となりたむろする魍魎密集す地獄絵図の如き三千大千の井戸が各々の有限世界を四象限マトリクス等で語る似非仏陀の掌の架空認識から垂れ下がる糸に飛びつき課金ならぬ課魂する者達が世を牛耳りリードする妄想基盤の上で生活せざるを得ないならば、宇宙に地球あり水と大地と振動する生命しかない他のことは全て虚仮であるにもかかわらず。明智珠子がその美貌にして鼻息荒く、あの探偵とだけは決着を付けなければいけませんわ、家鳴の狂った解釈で恐怖させる等では物足りません残酷な形で五臓六腑ぶちま��させなければ気が済みません。佐野豊房は、だがただ凍風を浴びるがままである。翌週は春暑し、件の探偵仲本慧はそれでも長袖で、奇妙な失踪調査依頼で外出している。我が探偵チームが二日で炙りだしたターゲットの潜伏ポイントは男人結界つまり男子禁制の聖域だからねと探偵事務所二番窓口女性職員橋本冷夏にいう、琉球神道ルーツの新興宗教だそうだ。いつも思うんですが年中長袖で暑くないんですか。東京中華街構想があった年と探偵仲本慧プロファイルを口にする、同士と約束したんだねハッタリ理由に青龍を肌に翔ばす気がなかったから年中長袖を着る決着にしたわけだ。えっ、一体何が。その会話を引き裂かんとついてきていた少女崔凪、突飛な言葉を口にする、卑弥呼は、自由じゃない。ハッとし振り返った仲本慧問いかける、今回の件、どう思う。崔凪、気分良さげにいう、男子禁制だから教えられない。生暖かい風が東京湾から。晴海アイランドトリトンスクエアをぐるっと回ってみたわけだが、と元の駐車場に踏み入った仲本慧、あれはかつて晴海団地があった土地だね、我が探偵チームが弾き出した潜入ポイントにも寄った方がいいかもしれないね。そうして訪ねた一軒家の門の外、仟燕色馨を秘める二重人格者は市川忍と、探偵仲本慧を気にする渡邉咲、二人の高校生が現れたのだ。
蜃気楼の境界 編(三)
朔密
白雨あったか地が陽を返す。探偵との声に驚き振り返る渡邉咲の前に市川忍。彼をクラスメイトと理解する迄に数秒。バスケ部上がりの忍は別世界の男子生徒に見えたし圧も弱く視野外にあったのだ。水溜りを踏んで市川忍は彼のもう一つの人格仟燕色馨と心の内側で会話をしている。探偵が入っていったとスマホを片手に口にしたが通話はしていない。咲に向け、ここで事件が起こっているから静かに、俺には知り合いに探偵カジョウシキカがいて今彼と話していると囁くように言い、表札にある「朔密教」と火と雫の紋章、白い香炉を模った像をちらと見、呼び鈴を鳴らす。片や探偵仲本慧はその軽量鉄骨造の一軒家の門の斜め向かい、車中にいる。突然現れた高校生の男女がターゲットの家の呼び鈴を鳴らしたことで注目する。ガチャと鳴り玄関から高齢の女、倉町桃江が姿を見せ咲を見ると、何か用ですか、と聞く。戸惑う咲の前に出、忍、朔密教の見学に来たのですが、というと、男子禁制ですから、そちらのお嬢さんだけでしたら。運転席の仲本慧とともに慧探偵事務所窓口職員橋本冷夏が後部座席から降りるが助手席に座る少女崔凪は出てこない。通り雨は天気予報になかったねと口にしながら歩み寄る仲本慧を間近に見た咲が紅潮する。仲本慧が高校生二人を一瞥し、倉町桃江をじっと見つめ、貴女がここの教主ですか、��ちらの橋本冷夏が見学に来たのですが。ぬるい風に織り混ざる卦体。そうですか。倉町桃江は表情一つ変えず、弥古様はおられませんが、さ、どうぞ、屋内へ消える。門前に探偵と忍と咲が残る。脳裏の声に促されて忍、何か事件でもあったんですか、と慧に。素性を見抜かれた質問を受けた慧はほんの僅か忍を見、ああきみは以前事件のときに少し話かけた学生だね、とにっこり笑いながら名刺を差し出し、慧探偵事務所の仲本慧だ、困ったことがあればいつでも訪ねてくるといい金額は安くはないけどね、そう話を逸らす。スマホを耳にあてた忍は仲本慧の目をじっと見て、知り合いの探偵と連絡を取りあってるところでもしかしたら同じ事件を追ってるのかも、弥古様を、と挑発する。ここに、咲の目前で、二人の探偵の戦いの火蓋が切られたのだ。咲の気をひく為に市川忍によって仟燕色馨が探偵とされた顛末である。
門と玄関の境界の片隅、雨露に濡れるツバキの花に気づくのは、仲本慧のスマートフォンに朔密教内部に潜入した橋本冷夏から失踪調査対象は石文弥古の姿見当たらずとのメッセージが届き、車内の崔凪に視線を送った直後、片や、市川忍の視界には、はらはら雪が舞い、脳裏に津軽三味線の旋律流れ、声響く、曰く、表札に火と雫の紋章があったがイザナミが命を落とすきっかけ火の神カグツチを当てれば雫はその死悲しむイザナギの涙から生まれしナキサワメであり白と香炉を模った像から琉球の民族信仰にある火の神ヒヌカンを合わせれば朔密教の朔は月齢のゼロを意味し死と生と二極の火の神を炙り出せるだろう男子禁制からヒヌカンによる竈でのゼロの月の交信を弥古様は隠れて行い目的はイザナミの復活か、次元異なる宗教織り成す辺りの新宗教らしさから朔密の密を埋没神と見るなら竈は台所更には死した大いなる食物の神オホゲツヒメの復活とも関連し故に弥古様は台所を秘めたる住処、家としている。この象徴的絵解きのごとき推理の意味が市川忍は何も分からなかったが解が台所であることのみ理解しスマホへ向け成程仟燕色馨、君の言う通りだ敢行するしかないねと言い渡邉咲を見、ねぇ仟燕色馨から君にお願いがある、この中は男子禁制、だから、と耳元に。咲はこのとき、心を奪われたのだ、市川忍ではなく、仟燕色馨の方に。現場が男子禁制ゆえに崔凪の手助けが得られず動揺して仲本慧は自力で推理する。ここへ来る前に出向いたかつての晴海団地はダイニングキッチンが初導入されそれを一般家庭に普及させた歴史的土地で朔密教が琉球神道ルーツの新興宗教であることは調査班の報告で分かっているから潜入した橋本冷夏は台所へ案内されている筈、儀式は日々そこで行われるが石文弥古の姿はないという、ならどこに。その事務的に戸惑った様子が渡邉咲��は探偵読本にもあった只の組織である商売人の探偵にしか見えなかったのだ。咲は仲本慧を背にして走り、玄関をくぐり、朔密教内部に潜入する。だが、濡れた車、助手席から出てきた少女崔凪が数字の羅列を呟き、仲本慧は、そうか分かったぞ、と声をあげて橋本冷夏に通話する。崔凪が、涼しい顔でのびのびと呟く、負けるくらいなら今だけ男子禁制じゃなくてもいいかな。
蜃気楼の境界 編(四)
你蜃
燻銀の月が空に二人の高校生公園で座る。笙の天音が鳴り、お母さんだ、とラインの返信をしながら渡邉咲、探偵カジョウシキカは推理で勝っていた、と市川忍を見、探偵仲本慧に出会ったきっかけはそもそもあの少女崔凪だったと思いだす。一昨年にこの公園で鼻歌交じりハーブの栽培をしてた子だ、だから見覚えがあったんだ、と。軽量鉄骨造一軒家、朔密教本部から出てきた探偵職員橋本冷夏に、今宵は重慶三巴湯と青島ビールで宴会だね、と上海汽車メーカーの黒い車へ去る仲本慧の側にいた少女崔凪が高校生の二人をちらと見ふっと笑う。市川忍は悔しがるだけで、だがその内側に潜むもう一つの人格仟燕色馨は市川忍の瞳を通し崔凪をじっと見つめる、夜の公園で仟燕色馨、只の勝負なら勝敗などは所詮遊戯それに君も渡邉咲と親しくなり目的は果たしているだろうしかし慧探偵事務所は現世と魔界裏返りし境界ありこれは魔族の矜持に触れるゆえ既に仕掛けをしている君も再戦を覚悟してほしい、と。その脳裏からの声の本意を掴めない市川忍に、咲、貴方のお知り合いの探偵さんはどう言ってるの。その輝く瞳妖しく、市川忍はときめく反面恐怖を覚え、無意識にポケットから作業用の黒ゴム手袋をとりだす。刹那、何故か海峡で波を荒らげる雪景色に鳴り響く津軽三味線の調べが聞こえ、再戦を望んでると伝えると、只ならぬ興奮を見せて咲は喜ぶのだ。先刻、朔密教内部へ駆けていった咲は、仟燕色馨の伝言、台所の真下に女の住居有り、を忍から受け儀式行われし白い炊事場を目指したとき、倉町桃江の脇で動揺する橋本冷夏の姿を見たが、その元に着信が入り中国語で会話を始め、瞳に青龍の華が光れば、香炉、水、塩、生花を払い除け床下収納庫の先に階段を見つけると、独房のような地下室で失踪調査対象である石文弥古を発見、最早咲は事の成り行きを見届けるのみ、異変の只中で、少女崔凪の存在が頭によぎったのだ、確かに探偵仲本慧は推理が届かず動揺していた、何か得体の知れない事が起きたのだ。それにしても、咲は思う、探偵仟燕色馨どのような人なのかな、市川忍という同級生がどうして魅力的な探偵さんとお知り合いなの、ふふ、取りだしたその黒ゴム手袋は何、月がきれい、まるで、私の住む世界のよう。
朔密教、明治に明日香良安が琉球神道系から分離し設立した新宗教である。分離したわけはスサノオに斬り殺されたとされるオホゲツヒメの復活を教義の核に据えた故で、同時期に大本で聖師とされる出口王仁三郎が日本書紀のみ一書から一度だけ名が述べられるイヅノメ神の復活を、同様に一書から一度だけ名が述べられるククリヒメの復活を八十八次元の塾から平成に得た明正昭平という内科医が朔密教に持ち込み妻の倉町桃江を二代教主に推薦し本部への男子禁制を導入、女埋没神の全復活によりイザナミ復活へ至る妻のお導きを深核とし今の形となる。女埋没神はイヅノメ神、オホゲツヒメ、ククリヒメの他に助かったクシナダヒメを除くヤマタノオロチの生贄とされた八稚女らがあり、更には、皆既日食により魔力が衰え殺されたとされる卑弥呼を天照大神と見定めての復活とも融合している。それらを依頼主に説明しながら仲本慧は殺風景な部屋で分厚い捜査費用を懐に入れ、他の探偵にも依頼してないかな、と冷えた目を向ける。依頼主である小さな芸プロのマネージャーは、業界に知られたくない件だから貴方を紹介して貰ったんだ、深入りはしない彼女どういう様子でしたと聞く。調査ではと仲本慧、社会にある数多の既存の道筋を歩めないという認識から石文弥古は芸能に道がないか訪ね、今は朔密教を訪ねているのだろうね、弟以外の人の来訪を絶ち鬼道を続けたとされる卑弥呼の形式で、倉町桃江の最低限の関わり以外を完全に断って地下で儀式を八十八日間続ける任務を受け入れた石文弥古は、我が優秀な女子社員いわく、自らの意志とのことだ。屋外へ出、仲本慧、通話し、高校生市川忍を調査して、という。崔凪の口にした数は、四四八、二四七、一三七。仲本慧はタワマン供給実績数を推理し晴海団地へ出向いたわけだがその推測は二〇二一年の上位三都府県に予知のごとく一致し、崔凪はの��に数列に隠していた八十八を付け足し、慧の推理は台所の地下へと変化したが、二四七が卑弥呼の日食の年を指すように、海とされるワタツミ三神がたとえ人智の蜃気楼であってもなくても推理と崔凪の真意とが違っても。仲本慧は思う、人々は、この街は大地は、紀元前、胡蝶の夢は一介の虚無主義ではない知が、華が、騒いでいる。
by _underline
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2022年11月16日
crap dollyさん「妖狐さんはコンと鳴く「2nd Anniversary Movie」を製作しました🎥 https://t.co/7h0tMHrijt MOVIE:crap dolly DIRECTOR:源 依織 @prin_guitarist https://t.co/PA96dKqS9G」https://twitter.com/crap_dolly_/status/1592412237746307072
Jさん「あと3日!!!!!まだ間に合う!!!!!🔥🔥🔥🔥🔥🧨」https://twitter.com/J_wumf/status/1592470186736910338
アーバンギャルド URBANGARDEさん「🗾アーバンギャルドは全国ツアー中🗾 #アーバンギャルドのディストピア2022 今週末は 大阪🐙 岡山🍑SOLD 名古屋🏯 ツアーファイナル東京🗼 クリスマスホールライヴ神奈川🎄 学割もあります👩🎓 https://t.co/GqD3iL42Us https://t.co/FSOA1U6Fg5」https://twitter.com/urbangardestaff/status/1592434294164959232
Drum 篤人さん「【機材 / ライブレポート掲載】 https://t.co/DbeuzWOhkS」https://twitter.com/atsuto0107/status/1592470780033765376
Deshabillz2023年4月29日(土) 名古屋 MUSIC FARMさん「遊んでるバカ達、ヤニ切れたバカ2人 チェキ撮影邪魔する妹もいるな 押忍!なにしてんすか! 知らん暇だったんちゃう? https://t.co/qysJ3X24qD」https://twitter.com/Deshabillz2022/status/1592471745898119168
nono@くま&ぷーbuhiさん「今日は晴れてきましたが気温が低めで寒くなっています。 くまちゃん捜索のご協力��りがとうございます。 毎日、くまちゃんの手がかりを探していますが、情報もなく見つかりません。 今日もご協力よろしくお願いします。 #フレブル #迷子犬 #佐世保市 #フレブルくまお #探しています https://t.co/EnjbLyochl」https://twitter.com/emacoro/status/1592341234462650371
nao 首振りDollsさん「動画がアップされました。」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1592472724395675649
川崎りょうさん「わたくし的2022年ベストアルバム候補の最右翼、首振りDolls 『DOLL!DOLL!DOLL!』から新MV“童”が公開となりましたー! サイケでめちゃくちゃかっこいいー! ていうか、アルバムが本当にすっごいので騙されたと思って頭3曲だけでも聴いてほしい。よろしく哀愁です。 https://t.co/mJ4OhLpZEo」https://twitter.com/R__Y__O/status/1592462576998572032
長谷川すずなさん「#常盤響 さんにアー写を撮って頂きました。 ホノオミカの時から本当に良くして頂いています。今回もめちゃめちゃにカッコ良い写真を、ありがとうございます! https://t.co/GkrUWQzJJH」https://twitter.com/hsgwszn/status/1592461262889578498
nao 首振りDollsさん「もう一度ピアノで歌う機会を頂きました。 もう少しチケットあるそうです。 ソロで自ら企画して動く余裕がないところ引っ張り出してもらえて感謝しかない。 立って歌う、私が好きな歌を歌う。 セッションもあるらしい。 動画見て、生で感じたくなったらぜひ。 https://t.co/XWdgRF8O90 https://t.co/D1Yqu8iR14」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1592476960118427649
NEIN_OFFICIALさん「[拡散希望] dps30th year 「攻撃」~博多ファミリーと爆弾投下~」 2023/2/4(sat) 博多DRUM LOGOS 開場未定/開演未定 前売3500円/当日4000円 ・THE DEAD P☆P STARS ・グリム ・NEiN ・BEAT LOOSE ・ASHURA ・タラれば ・VIOLET-NARCISSUS 博多行きます!!」https://twitter.com/nein_official/status/1592486834613145601
舜(NEiN,覇叉羅,MIRAGE🎸✨)さん「2年ぶりに博多公演\(´ω`)/✨ 偉大なる先輩の30周年を精一杯お祝いしますよ🙇♂️🎸✨」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1592488880783360004
Ryuichi Kawamuraさん「https://t.co/HJXwHyg4MT」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1592490285095092226
Ryuichi Kawamuraさん「ビルボードツアー✨ ブログ更新しました! https://t.co/M3swRG6fye」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1592493991991578626
Crazy☆Fest by 狂☆爺さん「【クレイジー☆フェスト】 タイムテーブル公開! 本年ラスト❗️ よろしくお願いします🤗 EXTRA6 Grand Final2022 12/11(日)赤羽ReNYα 10:50/11:20〜 4000/4500+ドリンク代 来場🎫👉e+(整番順) https://t.co/7CCduqZZ6z 配信🎟👉 https://t.co/acFDOcwOdk *販売・アーカイブ共に12/ 18・23:59まで https://t.co/rjJqkdGaGo」https://twitter.com/crazyfest_2017/status/1592487742252142593
Lebbyさん「Usually I’ve only been drawing from plays that I actually saw, but I have the CD so I feel like that counts hahah I have an idea that I hope I’m able to do without it looking like shit lolol https://t.co/6qtm6dom8y」https://twitter.com/IndigoMagnolia/status/1592413159343919105
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「こんばんわ🙋♀️ 23:00過ぎくらいからツイキャスでちょっと歌おうかな😊 お時間あれば覗いちゃって下さいな✌」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1592502263171649539
航跡kou-seki(大概 梶原航)さん「開場中は女物の着物を羽織っていて、袖は元の衣装(大陸形の特注)の柄。迷彩っぽくてバンドメンバーの衣装の生地が使われているというこだわり! 今回、照明がとにかく雄弁で凄かったですね。。全編を前から味わいたかった気持ち! #仮面劇犬神」https://twitter.com/wataru_kaji/status/1592500143546601479
nao 首振りDollsさん「新中野のSeaってJAZZ BARに迷い込んだらうっかりこの時間だよ。」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1592504506281267200
HYDE ACE 666さん「ラルクのおかげで嫁と結婚できて、なかなか授かれ無かったのに、HYDEさんのソロライブに嫁と初めて行った夜に娘を授かり、その記念すべきライブでHYDEさんが着ていたジャケットが我が家に来て、そのジャケットがお爺ちゃんの命を繋いでくれた!ライブに行けた!僕にとってHYDE様は神様です!#HYDE」https://twitter.com/jNEyITlzL01OKC1/status/1368361303551533062
Ryuichi Kawamuraさん「https://t.co/fyiHTl1DxP」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1592508580246454274
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「【概念/CHIC BOY】 7曲入りの配信アルバム。 表題曲は2年前の楽曲の新バージョンにて、前身バンドからの再録曲も合わせ新旧入り混じったラインナップ。昨今のV系ではあまり見��くなったキラキラ系直系の音で、既存のフルアルバムも合わせ、CHIC BOYとしての歴史を辿るにはちようどいい一作。 https://t.co/OxOAATUlLM」https://twitter.com/vr_noru/status/1592509021868920832
タカツキさん「あ、明日ツアーファイナルのグッズ発表と同時に通販で先行販売開始します。おたのしみに。」https://twitter.com/attsu_of_death/status/1592497161631334400
【Phobia】 KISUIさん「2022.11.12 Phobia LIVE in名古屋ZION https://t.co/f2NMIgWPhz」https://twitter.com/KISUIxxx/status/1592510597010436097
ヴィジュアル博士のる@監修オムニバスCD2種発売中さん「Pierrotフォロワーの話、完全に個人的な贔屓目な蛇足話だけど、フリや変拍子、難解さのある歌詞なんかをV系オールドスクール、洋ロック、椎名林檎のような純文学ロックを織り交ぜつつ継承していったのはヴィジュアル系を音楽的な観点から語られることの少ないお洒落系やコテオサ系です。以上。寝ます」https://twitter.com/vr_noru/status/1592510599925469184
MIYAVI STAFF【Official/公式】さん「/ いよいよ来週リリース! 「#MIYAVIVERSE – Anima -」 リリックビデオ第3弾 #銀河鉄道999 公開🎸 \ 近未来を走る鉄道車両に乗り、窓の外を眺める #MIYAVI がイラストで描かれている今回のリリックビデオ👀 是非ご覧ください🙏💙 ▼銀河鉄道999 Lyric Video Short Ver. https://t.co/KTASaw3vzV https://t.co/iCsK1Yil9O」https://twitter.com/MIYAVI_STAFF/status/1592476422815514625
BARKS編集部さん「MIYAVI、アニソンカバーアルバムより「銀河鉄道999」リリックビデオ公開 https://t.co/hgrD5FKy75 #MIYAVI」https://twitter.com/barks_news/status/1592492917423505408
HOLLOWGRAMさん「本日2022年HOLLOWGRAM最終公演 本年もありがとうございました! 2023年1月は9周年公演より開幕! 2023.1.21(土) 下北沢 ReG 2023.1.22(日) 下北沢 ReG OPEN - START 17:00 - 17:30 Ticket: adv. ¥5,000- / door.¥5,500- D別 day1 https://t.co/mYcY2RaIOM day2 https://t.co/Op5O3fA3vL https://t.co/3GuWsEl4qY」https://twitter.com/HOLLOWGRAM_info/status/1592512160269504512
遊ずどカンパニーさん「久しぶりに倉庫整理したら DEAD ENDさんの見た事もない ジャケットで一瞬えっ🫢㊗️👏 っと思ったらゴダイゴさんでした。 昼間、スタッフと丁度、西遊記の話を してたのでこんな事あるんだな~と🤔 ゴダイゴさんも小学生の頃から好きです😆 シングルとベスト盤CDしか持ってないから 知らなかった😄 https://t.co/TLwa2I9aaX」https://twitter.com/Yu_zd_company/status/1592452753661788161
ryoさん「HOLLOWGRAM 2022ファイナル ウホホホウホウホ また来年🥷 https://t.co/7OxPIuCYxM」https://twitter.com/ryo_dalli/status/1592515442605961218
ドラマー名鑑【2021】さん「Ryojiro Furusawa Quartet - Acoustic Chicken♪ https://t.co/Sd3qaD8btY 古澤良治郎は日本のジャズドラマー。モダン、フリージャズ、フュージョンと、様々なセッションに参加。作曲も行い演劇や映画などにも音楽を提供した。」https://twitter.com/drummers55/status/1592515524248113152
キリ(luin) 2023/1/20池袋手刀単独公演さん「【luin】 ◆2023/1/20(金)_ネオ東京池袋手刀 ◆luin単独公演『十三月、王莽が時』 ◆出演;luin ◆オープン19:00/スタート19:30 ◆チケット前売3,400円+1d/当日3,900円+1d ◎前売パー券予約制;*12/3(土)23:00〜受付開始。 https://t.co/XLhRkfYd62 https://t.co/xBG1Nf8BHM」https://twitter.com/kiri_drums/status/1592516405194526723
Rayflower_Officialさん「ツアー2日目・愛知公演終了いたしました。 名古屋にお集まりくださった皆様、ありがとうございました‼️ 次は明日、大阪・UMEDA CLUB QUATTROです。 大阪の皆様、一緒に楽しみましょう❗️ #Rayflower #Snowdrop https://t.co/BeNfux6T26」https://twitter.com/RayflowerSTAFF/status/1592502687865532417
稲葉@水戸ライトハウスさん「清春さん配信ライブ2days!でした。 昨年10月、今年3月、そして昨日今日、これで3度目(計6公演)。ライブハウスとファンへの愛でしかない。毎回二日間一緒に居るのに時間が過ぎるのが早過ぎる。それだけ濃く楽しく幸せな時間ってことだな。最高の兄貴に感謝‼️ #清春 https://t.co/xccRF9ErRF」https://twitter.com/178mito/status/1592510178284670977
キリ(luin) 2023/1/20池袋手刀単独公演さん「Shibuya Milkyway🌃 初めてyosugalaを観に行ってきました◎1番良いと思ってた曲始まりで嬉 可愛いし表情豊かで歌唱力素敵✨お話ししたら親切なまといちゃんでした。 また行こう…🐈 #汐見まとい #yosugala https://t.co/dL6ZCSmkpT」https://twitter.com/kiri_drums/status/1592516899539419136
MIYAVIさん「This train is departing soon 列車が〜まもなく〜出発します お乗り遅れないように〜お願い〜します 2022.11.23 “MIYAVIVERSE - ANIMA” (ミヤビバース) カバーアルバム〜発売 他も名曲ばかり〜なので、チェックしてみて〜ください💿 https://t.co/KSPWG9rovj https://t.co/5SoUJs2Cm0」https://twitter.com/MIYAVI_OFFICIAL/status/1592517142016319488
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「イケると思ったけど、23:30くらいかな😅😅😅」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1592517397063561216
koumei_Lucifer's undergroundさん「またまたお呼ばれしましたー♪ 朝まで楽しく飲みましょう!」https://twitter.com/KoumeiLucifer/status/1592518422323433473
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「籠もってました。 https://t.co/3iNTK7lNBD」https://twitter.com/lucy_peter/status/1592521955399569411
こもだまり|昭和精吾事務所さん「週末忙しいと聞いていたのに駆けつけてくれた燭台(怪)の蜻蛉さん。 ありがとうございました!! カゲロンとも長いお付き合いになりましたね。」https://twitter.com/mari_air/status/1592522230894055424
こもだまり|昭和精吾事務所さん「ご来場ありがとうございました!」https://twitter.com/mari_air/status/1592522470485282816
こもだまり|昭和精吾事務所さん「初日を見て、最終日も応援に来てくれたShinpei Mörishige氏! 主題歌『隠れ鬼』の演奏参加、レコ発ライブでPalastlebenメンバーとしての参加、#仮面劇犬神 projectを支えてくれた1人です。 ありがとうございました!」https://twitter.com/mari_air/status/1592522934845075460
こもだまり|昭和精吾事務所さん「我々の直前のザムザ阿佐谷、B機関「狂人教育」ご出演の村上和彌さん。点滅さん達と一緒に見に来てくださいました。 お話できて面白かったです!」https://twitter.com/mari_air/status/1592524267794890753
こもだまり|昭和精吾事務所さん「わたしの至らなさで、初日に「開場時間と終演後は撮影OK」って言いそびれたし、「#仮面劇犬神 つけてね」も伝えそびれました、ごめんなさい! おそらくこれからもいつもそのスタイルです。 (もしアナウンスしてなかったら恐れずお尋ねくださいませ)」https://twitter.com/mari_air/status/1592525583116029955
KINGRYOさん「ヒマワリちょい見せキャス https://t.co/nkaXWLQqRn」https://twitter.com/kingryoworld/status/1592525689130868736
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「夜中ですが、少し歌おうと思います🙋♀️ https://t.co/AIMnkTAHpg」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1592525789203161088
Deshabillz2023年4月29日(土) 名古屋 MUSIC FARMさん「バサラデザビエより 11月12日の配信シビィ側音がごみ過ぎてみんなに失礼な為急遽音差し替えたぞ 押忍!大変申し訳ありませんでした! あと、期間を1週間延長したからな! 押忍!です! 綺麗な音になったから楽しんでくれ ごめんな!申し訳ない しゅん https://t.co/wTlArAAAIK」https://twitter.com/Deshabillz2022/status/1592525852319059970
首振りDollsさん「どうやら全部同じバンド、同じアルバムの曲達らしい。これが首振りDollsか。 ①Walk on the Wild Side https://t.co/yciyslVx84 ②ウォンテッド https://t.co/O0SzhZHFhb ③童 https://t.co/7L3FNDTPt6 https://t.co/k9wwhWOTTf」https://twitter.com/KubihuriDolls/status/1592526145060491264
crap dolly 黒川優一さん「我がcrap dollyの全勢力を費やして制作に参加させていただきました お恥ずかしながら完成品を見返して何度も涙しました。」https://twitter.com/yuri_silence/status/1592507608388472839
ゆさん「世界一カッコ良いカズー演奏の動画はコチラです。 カズーは声で演奏するってこう言うことか。」https://twitter.com/Pleasemrsky/status/1592519487370432512
Shinyaさん「2022年おつかれっした。 2023年のHOLLOWGRAMは、今からイロイロと企んでおりまする。 まずは9周年2daysで楽しもう。」https://twitter.com/shin_ciao0520/status/1592532698270244865
タカツキさん「チケット取れなかったとか都合がつかなかったとか色んな人がいると思いますがこの"DOLLS!!DOLLS! DOLLS!!"ツアーに参加したDOLLSの皆さんも記念にもどうぞ。してなくても勿論どうぞ。」https://twitter.com/attsu_of_death/status/1592498006108278784
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Kanazawa-Kuruwa
郭の中の金沢、辺京の小宇宙
郭_この辺京の遊郭には、金沢の美しさと醜さがくるわれている。
郭は...
北陸の美学の結晶であった。 卯辰山へまっすぐ伸びる石畳、黒光るボッテリとした能登瓦、弁柄色の木虫籠(きむすこ、細い桟の出格子)。九谷の襖の手掛けや輪島塗りの調度品、べっ甲のかんざしや色とりどりの菓子や酒、夜遅くまで鳴り響く唄、笛、鼓の音色。
同時に人身売買の巣窟でもあった。 極めて幼い頃に身売りされた少女は、楼主と養子縁組を結び、自らにかけられた身代金を返すまで拘束を受け、芸妓・娼妓として働いた。町を彩った女のいくらかは楼主となった。
今回は、金沢の光であ���影である茶屋街について、制度・人びと・建物・遊び・性の観点から明治・大正の茶屋を前提にご紹介する。
(参照:『金府大絵図』金沢市立玉川図書館所蔵)
明治に生まれた主計町を除けば、ひがし・にし・きた・愛宕の郭は2つの大きな川、犀川と浅野川の金沢城から見て外側に位置している。(これは、江戸の吉原が常に皇居から見て川向いに建てられて、都市の外周部に位置していたこと同様の理由で、穢の場所を都市の外側に配置するためであろう。)
その中でも、金沢人が憧れと嫉妬を込めて名付けた東の廓(言うまでもなく京都の祇園・東山にかけている)であるひがし茶屋街は、北陸の最も代表的な茶屋街であった。
(参照:『金府町絵図』金沢市立玉川図書館近世資料館所蔵)
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A:郭の制度
金沢の花街の仕組みは京都と同様にお茶屋が客の要望に応じて、芸妓を置屋か ら呼ぶ方式である。芸妓は置屋に所属し、お茶屋から依頼があれば、料亭やホテルなど地域外へも出張することが可能なのも、京都と同様の取引制度である。 さらに金沢の三茶屋街の特色として、お茶屋と置屋の兼業が挙げられる。つまり、お茶屋は場所を提供するのだが、同時に芸妓を抱え、他のお茶屋に派遣することもでき、食事は飲食店から取り寄せることとなる。
お茶屋には上茶屋、中茶屋、下茶屋の3つがあり、上茶屋は5等級に格付けされていた芸者の中でも、一等級のものしか置かなかった。上茶屋は農家の出や他国の婦女は抱えたがらない気風があり、それを誇りにしていた。加賀血筋を大事にし、みっちり芸と作法を仕込むとのこと。明治時代には能登半島をはじめ、日本全国から身売りされた少女が芸妓として所属しており、朝鮮出身の芸妓の記録もある。
郭では「旦那」は芸妓の経済的な保護者であり、後援者であった。旦那は月々お手当を置屋の女将に渡すかわりに、贔屓の芸者を自分一人のものにすることができた。女将は抱え芸者の旦那から一ヶ月の手当をもらうこと大きな収入源であった。ある置屋の抱え芸者が、別の置屋の客を旦那としている場合、旦那はその置屋の女将に毎月の斡旋料を支払うこととなっていた。
お茶屋では客は一見の客は挙げない。理由は、遊興費が後でもらえるか不安なことと、もう一つは酒癖が悪い客を案じてであった。たちの悪い客の中には、火鉢の中に小便をしたり、掛け軸に盆をぶつけたり、美人画を盗む客もいたという。二度目から置屋は電話で芸者の予約を受付け、時間の打ち合わせをする。客は遊興費を何ヶ月に一度、現金で女将に直接手渡しでまとめて払っていた。
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B:郭のひとびと
お茶屋に以下の人々が住み込んでいた。どこの家もかなりの大所帯で、大抵は十数人で寝ていた。
①女将:
多くは元芸者で、お茶屋の経営をするとともに芸妓と養子縁組を組み芸妓を育てるとともに労働者として管理する。
②芸妓、娼妓:
女将と養子縁組を結び、芸者として客に奉仕する。住み込みと通いがあったが、殆どが住み込みで、通いは芸者でも年季明けの終わった歳高の人たちだけだった。年季明けや旦那がお金を支払った場合は妾として茶屋街の周辺に暮らしていた。
③たあぼ:
行儀見習いと諸芸習得の傍ら、日中は走り使いの雑用、夕方からは芸者衆の座敷勤めな三味線をもって供をなし、供先きの置き屋とか料亭では家族用玄関の片隅で芸者衆の座敷終わりを待つ。12歳になると振り袖芸者と呼ばれ見習いの芸者とみなされ、さらに15,6歳になると留め袖芸者と呼ばれ水揚げが行われた。このころには体だけではなく、三味線・踊り包などの芸も一人前の扱いを受けた。
④ばんば:
年寄りが多く、飯炊賄いが主な仕事。
⑤べえべ:
10-40代、女中、下働きの女で賄い全般、掃除洗濯、女将の身の回りの世話をした。やりてばばあと呼ばれるべえべは客から以下にして金を使わせるか、寝床での振る舞いを芸妓に教え込んだとのこと。
男衆:
登楼のの客引き、芸者の世話役として付き添い、用心棒兼見張り役をする。
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C:郭の建物
(参照:金沢「東の郭」の復元 平井聖・大林組)
茶屋は2つの大門を持ち、文字通り塀によってくるわれていた。門の外には妾宅が並んでいた。2本の大通りは卯辰山に向かい、卯辰山がアイストップの役割を果たしている。かつては壱番町へは小川を越えてアクセスするようになっていた。
(参照:『浅野川茶屋町創立之図』文政3年(1820年) 石川県立図書館蔵 「旧東のくるわ」伝統的建造物保存地区保存対策事業報告書 1975年 金沢市教育委員会)
建物の外観は、1階は出格子となっており、木虫籠と呼ばれる細い縦格子がはめてある。縦桟は断面が台形になっており、外から中が見えにくい仕掛けとなっている。2階は今では小窓付きの雨戸になっており、全て開け放てる仕組みになっている。祭りの際には大通りにステージが設けられ、開け放した2階の座敷から芸者の踊りを見下ろしていたのだという。現在では失われているが、かつては木部分に紅殻色の塗装が施されており、赤い色彩と卯辰山の緑が生えたことだろう。また、屋根はかつて石置き板葺きであったが、今では釉薬を全面に施した北陸特有の黒く厚い瓦が葺かれている。
平面は時代を経て大幅に変更されており、機能上の要求から下記図面の小さい方の平面図(明治以降)へと変更されていったようだ。
明治以降の平面図を前提に話すと、まず玄関を入ると黒漆塗りの大きな階段があり、ハイサイドライトから薄光が差し込んでいる。階段の横は長火鉢が置かれた茶の間であり、女将が座って一切を指示していた。奥座敷と茶の間は主に女将が使用する部屋で、奥座敷は仏間、寝室として使用していた。
みせの間は支度部屋で、芸妓が詰めていたから、街路には芸妓の声がよく聞こえていたことだろう
2階は大きく表(前2階)・中・奥(広間)の3室に分けられ、表と奥を座敷とし、中はロビーのように使用されていた。間口が大きい場合は表と奥は2室に分けられ、4畳の部屋を芸妓が踊り演奏するステージのように使用していた。2階の更に奥には廊下や小階段を隔てて「離れ」があり、数寄屋風のしつらえとなっている。水揚げや日中の娼妓の使用にはこの部屋は人目につかないので都合が良かった。
3階はどの家にもあるとは限らないが、座敷を1間もつ場合がある。
(参照:金沢「東の郭」の復元 平井聖・大林組)
座敷の土壁は紅殻色が用いられる場合が多く、柱は紅殻と灰をあわせて塗装されている。金沢では紅殻色や群青色が来客の場所に使用されることが多いようである。
(参照:https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/spot/detail_10094.html)
(参照:https://www.pinterest.de/pin/523332419194794021/)
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D:廓遊び
(参照:金沢「東の郭」の復元 平井聖・大林組)
宴会は夜だけではなく、遊びなれた客は深更にきて朝帰りということも珍しくなかったし、庄屋の番頭などが小僧の手前もあって夜抜け出せないために早朝に密かに遊びに来ることもあったし、昼遊びの客もあった。これらの時間の揚げ代は夜よりもむしろ高かったとのことである。
客としては、加賀友禅などの伝統工芸の職人の親方や商人、旅の客などがいた。
廓の花代の1単位は45分だった。1時間を1番木と言って、拍子木が隣の控えの間で打たれた。合図の1番木で、芸者は時間切れを伝えて帰り支度をはじめ、そこから客を送り出すまでを15分と見ていたようだ。これは線香1本が燃えるまでに40分かかったことからきていると聞いた。
婚礼の祝宴が夜通し続いたりすると、芸者たちは三日三晩睡眠を取ることもできないこともあった。
芸妓は昼に芸を磨いた。自由を厳しく制限された分、芸に自らの存在価値をかけたからなのであるが、当時の売れっ子は芸を磨くだけの時間的な余裕がなかった。遊客は気に入った芸妓がいると追い回し、昼夜となく名指しをしたため、彼女らは歌や踊りの稽古などしている暇がない。流行りっ子ほど無芸という結果になったのであった。しかし、芸に精進することは文字通り体をいじめ抜くことになり、体の形を崩してしまったようで、例えば、笛の達人と言われた美津は増えをあてがう下唇がミミズ腫れのように腫れ上がっていたとのことである。
お茶屋遊びは数多くあるが、ここで流行ったものに「かんざしえらび」がある。座敷で客と芸妓は輪になって歌った。
お姫さんと寝るがに かんざし引こう お姫さんを抱くがに かんざし引こう 人のかか抱きゃ せわしない ほれ せっせっせ せっせっせ
黒く塗った丸い盆の縁にかんざしが10〜20本、妓の数だけ放射状に置かれ、客たちはじゃんけんをして勝ったものからかんざしをとり、そのかんざしの持ち主と一晩寝ることとなった。
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E:郭の性
中店以下にいる芸者は、多くは二枚鑑札を持っていた。芸者と娼妓を使い分けなくては前借りを支払うことができなかったからである。上店では芸者と娼妓の区別が一応はひかれていたが、明治から大正にかけてはほとんど建前になっており、体を張ることによって何十円と貰いが増え、前借金を返すことができたから、体を張る者も多かった。
朝から夜まで客が来た。一人は娼妓を置かなくては営業許可が降りなかったため、芸妓は自分の代わりに一日中客の相手をしてくれる娼妓には感謝していたとのことである。
日露戦争の折には、松山、習志野、大阪に加えて金沢もロシア人俘虜の収容地となり、4000人近くの俘虜が寺院などに収容された。彼らは「大切に」扱われたというが、国から通達を受けた市当局が置き屋の女将に協力を要請し、廓の芸者らがロシア人の相手をしたそうだ。廓には梅毒の予防のために「下洗い」する建物が設置され、性的搾取の対象となった。
第二次世界大戦の際には、芸者は三味線を弾くことや太鼓を禁じられ、専ら復員や動員に押しかける兵隊を相手に慰安婦、接待婦として働いた。
15歳ほどになると水揚���がある。水揚げの相手の旦那は、女将同士であらかじめ相談し、決められ多くは老人だったとのことである。若者では手荒く、過ちがあると良くないと考えられたためと、水揚げをするには大金が必要だったからである。相手が年寄りであることは女たちは皆嫌がった。水揚げというものは一回きりで一人前の女になるというわけではなく、二度も三度もしなければならない。水揚げは特別に料金が高いからお茶屋が儲かったとのことである。場所は自分の住むお茶屋とはとは限らず、離れの間が使用される事が多かった。
(旦那衆が人目を避けて利用した梅ノ橋とかつての妾邸)
金沢の芸妓の生涯を描いたノンフィクション小説である『郭の女』(井上雪著)には花街の美しさと醜さがよく描かれている。
読者は気がつく。 あの美しく見えた芸妓は木虫籠という籠に囚われているのだと。
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雨二唄エバ
みなさま、こんにちは。東京鹿踊です。 今月も、天神様の日、25日がやって参りましたね!(菅原道真公の誕生日 6月25日と薨去された2月25日に由来し、毎月25日は天神さまの日らしいです)いかがお過ごしでしょうか?
天神様ご縁日ですから…ここはやはり、毎年5月に奉納のご縁を頂いております、新宿 西向天神社さまのことを綴りたいと思います。
はじめて奉納のご縁を頂いた2016年。そこから数え、5年目の奉納となるはずだった昨年…コロナ禍で祭礼中止に。今年もその状況は変わらず、二年連続で祭礼中止となりました。
鹿しながら。巡る5月のたびに。 踏み清めさせて頂いたご縁の土へと心は向かうものです。 昨年同様、首都圏在住のメンバーにて、参拝と唄あげをして参りました。
唄あげ当日(5/20)は、えぇもちろん、トーシカあるある雨模様(笑) 神社下の鳥居より褒め唄をあげ、石段を登り境内、本殿へ。祭礼の時と同じ巡りをしつつ、雨音に包まれながら4つの唄を奉じさせて頂きました。
本殿に参じたメンバーが、皆、欠けることなく健やかに、唄で心を合わせられること。それが、昨年より続く何よりの��謝と、感じる晩でした。
そしてそして、無事唄あげが終わった後… いつも演舞をさせて頂く境内の大樹にて、雨をしのぎつつ、こんな風景が…
はい、見てってね~ 安いよ、安いよ~~
あぁ、そうかー「天神さまの日に市がたつ」、そんな神社もあるんだよね、ここ西向天神社でも立つようになったんだあぁ…って
違あぁあう (;´Д`)
これはですねー、トーシカ恒例の! 『袖むすびの儀(勝手に命名 笑)』なのです!
東京鹿踊の演舞や写真などご覧頂いてる時、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが…実は、我らの装束で、唯一、一人一人違うのが袖の部分なのです。様々な端切れがパッチワークのように繋がって、筒状の片袖となっています。
この片袖、様々なご縁から目の前にやってきた初見の端切れたちで構成されています。希望があれば、自分が小さな時に着ていた浴衣の一部や、思い入れのある着物・洋服の一部を入れたりすることも。
トーシカの門戸を叩いた方が、ある程度の期間を経、今後もメンバーとして担われていくだろうタイミングで、用意させて頂きます。 たくさんある袖候補の中から、当人が気に入ったものや、その方のイメージにあうシンボルが入ったものを他メンバーが勧めたりして、一対を選びます。ワイワイ皆で囲む楽しい瞬間です♪
昔から「形見の衣」「形見の袖」といった言葉があるように…遠く離れた方や亡くなった方の思い出として残された衣服、その一部をよすがに、気持ちを込めたりしますね。 浄瑠璃『御所桜堀川夜討』では、 弁慶が、稚児の着る紅の大振袖の片袖を見せて、親子の証としています。
その他、戦でなくなった愛しい人の忘れ形見として片袖を大切に持っているお姫様など、袖という部分に気持ちをこめた芸能作品も数多くあります。あ、「袖にする」なんてつれない言葉もありますっけね(笑) トーシカをご覧頂く方にとって、袖で各個人と繋がりその目印となるのも…なんだか道理のように思えます。
この袖を選ぶ過程の中に、袖にまつわるそんな古来からの感性、日本の情緒も少しだけ、振り返れるように思うのです。
この袖に決めた!
おっと、彼女が自分の袖を選んだようです。 おのおの、自分でマイ半纏に縫いつけますよ。 片袖を一対とするとき、筒の上下や左右の置き方でまた違った表情になります。端切れの良いところですね。 端切れから袖、半纏へ… 前後の姿も考えながら、 どんな全体像にするかは個人の感性の見せ所! さて、彼女はどんなふうに縫いつけるでしょうね…笑
衿に本家と東京鹿踊の名を染めた、京屋半纏
袖以外の身頃の部分は、東京鹿踊の本家 舞川鹿子躍保存会(岩手県一関市舞川)の装束を作られている、 京屋染物店(一関市)さんです。 そうそう、本家 舞川鹿子躍保存会といえば… 奉納されている地元のご祭神も、天神様なんですよ! ちょうど1カ月前の4月25日、天神様の日。 舞川地区 菅原神社さまが3年に一度の例大祭を執行されました。 本家による神社での褒め唄奉納、地域での演舞もありましたが、時節柄、事前告知をせず、神職・関係者のみでの実施でした。 なお、演舞では初本番に挑まれた方もいた模様…その方は、今日の記事にも繋がるかも??以下、本家ページにてお確かめくださいね♪
舞川鹿子躍保存会フェイスブックページ
3年に一度の大祭ということもあり、本来であればトーシカも岩手 舞川に馳せ参じたかったのです…それが叶わぬ世ながら、Zoomにて繋がり、本家の演舞を鑑賞。交流もいたしました!そう!
本家 小野寺重次前会長(左上)に製作途中の鹿鼻をみせたり(左下)ね…笑
…鹿っぽい交流の仕方ですか、ね…
画面越しながら、久しぶりにお会いした本家の皆さま。 奉納のお忙しい中、zoomでの共有や交流を頂き、ありがとうございました! さて、天神の日によせて、本家岩手と東京とのW奉告とあいなりましたが…いかがでしたでしょうか? いずれまた、本家+トーシカが岩手にて集える日のことを、また記事をお読み頂いてる皆様とお会いできますことを、楽しみに思っています。 鹿るべき時にまた、お会いしましょうね どうぞご無事に、お過ごしくださーーーーい♪
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【小説】The day I say good-bye (1/4) 【再録】
今日は朝から雨だった。
確か去年も雨だったよな、と僕は窓ガラスに反射している自分の顔を見つめて思った。僕を乗せたバスは、小雨の降る日曜の午後を北へ向かって走る。乗客は少ない。
予定より五分遅れて、予定通りバス停「船頭町三丁目」で降りた。灰色に濁った水が流れる大きな樫岸川を横切る橋を渡り、広げた傘に雨音が当たる雑音を聞きながら、柳の並木道を歩く。
小さな古本屋の角を右へ、古い木造家屋の住宅ばかりが建ち並ぶ細い路地を抜けたら左へ。途中、不機嫌そうな面構えの三毛猫が行く手を横切った。長い長い緩やかな坂を上り、苔生した石段を踏み締めて、赤い郵便ポストがあるところを左へ。突然広くなった道を行き、椿だか山茶花だかの生け垣のある家の角をまた左へ。
そうすると、大きなお寺の屋根が見えてくる。囲われた塀の中、門の向こうには、静かな墓地が広がっている。
そこの一角に、あーちゃんは眠っている。
砂利道を歩きながら、結構な数の墓の中から、あーちゃんの墓へ辿り着く。もう既に誰かが来たのだろう。墓には真っ白な百合と、あーちゃんの好物であった焼きそばパンが供えてあった。あーちゃんのご両親だろうか。
手ぶらで来てしまった僕は、ただ墓石を見上げる。周りの墓石に比べてまだ新しいその石は、手入れが行き届いていることもあって、朝から雨の今日であっても穏やかに光を反射している。
そっと墓石に触れてみた。無機質な冷たさと硬さだけが僕の指先に応えてくれる。
あーちゃんは墓石になった。僕にはそんな感覚がある。
あーちゃんは死んだ。死んで、燃やされて、灰になり、この石の下に閉じ込められている。埋められているのは、ただの灰だ。あーちゃんの灰。
ああ。あーちゃんは、どこに行ってしまったんだろう。
目を閉じた。指先は墓石に触れたまま。このままじっとしていたら、僕まで石になれそうだ。深く息をした。深く、深く。息を吐く時、わずかに震えた。まだ石じゃない。まだ僕は、石になれない。
ここに来ると、僕はいつも泣きたくなる。
ここに来ると、僕はいつも死にたくなる。
一体どれくらい、そうしていたのだろう。やがて後ろから、砂利を踏んで歩いてくる音が聞こえてきたので、僕は目を開き、手を引っ込めて振り向いた。
「よぉ、少年」
その人は僕の顔を見て、にっこり笑っていた。
総白髪かと疑うような灰色の頭髪。自己主張の激しい目元。頭の上の帽子から足元の厚底ブーツまで塗り潰したように真っ黒な恰好の人。
「やっほー」
蝙蝠傘を差す左手と、僕に向けてひらひらと振るその右手の手袋さえも黒く、ちらりと見えた中指の指輪の石の色さえも黒い。
「……どうも」
僕はそんな彼女に対し、顔の筋肉が引きつっているのを無理矢理に動かして、なんとか笑顔で応えて見せたりする。
彼女はすぐ側までやってきて、馴れ馴れしくも僕の頭を二、三度柔らかく叩く。
「こんなところで奇遇だねぇ。少年も墓参りに来たのかい」
「先生も、墓参りですか」
「せんせーって呼ぶなしぃ。あたしゃ、あんたにせんせー呼ばわりされるようなもんじゃございませんって」
彼女――日褄小雨先生はそう言って、だけど笑った。それから日褄先生は僕が先程までそうしていたのと同じように、あーちゃんの墓石を見上げた。彼女も手ぶらだった。
「直正が死んで、一年か」
先生は上着のポケットから煙草の箱とライターを取り出す。黒いその箱から取り出された煙草も、同じように黒い。
「あたしゃ、ここに来ると後悔ばかりするね」
ライターのかちっという音、吐き出される白い煙、どこか甘ったるい、ココナッツに似たにおいが漂う。
「あいつは、厄介なガキだったよ。つらいなら、『つらい』って言えばいい、それだけのことなんだ。あいつだって、つらいなら『つらい』って言ったんだろうさ。だけどあいつは、可哀想なことに、最後の最後まで自分がつらいってことに気付かなかったんだな」
煙草の煙を揺らしながら、そう言う先生の表情には、苦痛と後悔が入り混じった色が見える。口に煙草を咥えたまま、墓前で手を合わせ、彼女はただ目を閉じていた。瞼にしつこいほど塗られた濃い黒い化粧に、雨の滴が垂れる。
先生はしばらくして瞼を開き、煙草を一度口元から離すと、ヤニ臭いような甘ったるいような煙を吐き出して、それから僕を見て、優しく笑いかけた。それから先生は背を向け、歩き出してしまう。僕は黙ってそれを追った。
何も言わなくてもわかっていた。ここに立っていたって、悲しみとも虚しさとも呼ぶことのできない、吐き気がするような、叫び出したくなるような、暴れ出したくなるような、そんな感情が繰り返し繰り返し、波のようにやってきては僕の心の中を掻き回していくだけだ。先生は僕に、帰ろう、と言ったのだ。唇の端で、瞳の奥で。
先生の、まるで影法師が歩いているかのような黒い後ろ姿を見つめて、僕はかつてたった一度だけ見た、あーちゃんの黒いランドセルを思い出す。
彼がこっちに引っ越してきてからの三年間、一度も使われることのなかった傷だらけのランドセル��物置きの中で埃を被っていたそれには、あーちゃんの苦しみがどれだけ詰まっていたのだろう。
道の途中で振り返る。先程までと同じように、墓石はただそこにあった。墓前でかけるべき言葉も、抱くべき感情も、するべき行為も、何ひとつ僕は持ち合わせていない。
あーちゃんはもう死んだ。
わかりきっていたことだ。死んでから何かしてあげても無駄だ。生きているうちにしてあげないと、意味がない。だから、僕がこうしてここに立っている意味も、僕は見出すことができない。僕がここで、こうして呼吸をしていて、もうとっくに死んでしまったあーちゃんのお墓の前で、墓石を見つめている、その意味すら。
もう一度、あーちゃんの墓に背中を向けて、僕は今度こそ歩き始めた。
���最近調子はどう?」
墓地を出て、長い長い坂を下りながら、先生は僕にそう尋ねた。
「一ヶ月間、全くカウンセリング来なかったけど、何か変化があったりした?」
黙っていると先生はさらにそう訊いてきたので、僕は仕方なく口を開く。
「別に、何も」
「ちゃんと飯食ってる? また少し痩せたんじゃない?」
「食べてますよ」
「飯食わないから、いつまでも身長伸びないんだよ」
先生は僕の頭を、目覚まし時計を止める時のような動作で乱雑に叩く。
「ちょ……やめて下さいよ」
「あーっはっはっはっはー」
嫌がって身をよじろうとするが、先生はそれでもなお、僕に攻撃してくる。
「ちゃんと食わないと。摂食障害になるとつらいよ」
「食べますよ、ちゃんと……」
「あと、ちゃんと寝た方がいい。夜九時に寝ろ。身長伸びねぇぞ」
「九時に寝られる訳ないでしょう、小学生じゃあるまいし……」
「勉強なんかしてるから、身長伸びねぇんだよ」
「そんな訳ないでしょう」
あはは、と朗らかに彼女は笑う。そして最後に優しく、僕の頭を撫でた。
「負けるな、少年」
負けるなと言われても、一体何に――そう問いかけようとして、僕は口をつぐむ。僕が何と戦っているのか、先生はわかっているのだ。
「最近、市野谷はどうしてる?」
先生は何気ない声で、表情で、タイミングで、あっさりとその名前を口にした。
「さぁ……。最近会ってないし、電話もないし、わからないですね」
「ふうん。あ、そう」
先生はそれ以上、追及してくることはなかった。ただ独り言のように、「やっぱり、まだ駄目か」と言っただけだった。
郵便ポストのところまで歩いてきた時、先生は、「あたしはあっちだから」と僕の帰り道とは違う方向を指差した。
「駐車場で、葵が待ってるからさ」
「ああ、葵さん。一緒だったんですか」
「そ。少年は、バスで来たんだろ? 家まで車で送ろうか?」
運転するのは葵だけど、と彼女は付け足して言ったが、僕は首を横に振った。
「ひとりで帰りたいんです」
「あっそ。気を付けて帰れよ」
先生はそう言って、出会った時と同じように、ひらひらと手を振って別れた。
路地を右に曲がった時、僕は片手をパーカーのポケットに入れて初めて、とっくに音楽が止まったままになっているイヤホンを、両耳に突っ込んだままだということに気が付いた。
僕が小学校を卒業した、一年前の今日。
あーちゃんは人生を中退した。
自殺したのだ。十四歳だった。
遺書の最後にはこう書かれていた。
「僕は透明人間なんです」
あーちゃんは僕と同じ団地に住んでいて、僕より二つお兄さんだった。
僕が小学一年生の夏に、あーちゃんは家族四人で引っ越してきた。冬は雪に閉ざされる、北の方からやって来たのだという話を聞いたことがあった。
僕はあーちゃんの、団地で唯一の友達だった。学年の違う彼と、どんなきっかけで親しくなったのか正確には覚えていない。
あーちゃんは物静かな人だった。小学生の時から、年齢と不釣り合いなほど彼は大人びていた。
彼は人付き合いがあまり得意ではなく、友達がいなかった。口数は少なく、話す時もぼそぼそとした、抑揚のない平坦な喋り方で、どこか他人と距離を取りたがっていた。
部屋にこもりがちだった彼の肌は雪みたいに白くて、青い静脈が皮膚にうっすら透けて見えた。髪が少し長くて、色も薄かった。彼の父方の祖母が外国人だったと知ったのは、ずっと後のことだ。銀縁の眼鏡をかけていて、何か困ったことがあるとそれをかけ直す癖があった。
あーちゃんは器用だった。今まで何度も彼の部屋へ遊びに行ったことがあるけれど、そこには彼が組み立てたプラモデルがいくつも置かれていた。
僕が加減を知らないままにそれを乱暴に扱い、壊してしまったこともあった。とんでもないことをしてしまったと、僕はひどく後悔してうつむいていた。ごめんなさい、と謝った。年上の友人の大切な物を壊してしまって、どうしたらよいのかわからなかった。鼻の奥がつんとした。泣きたいのは壊されたあーちゃんの方だっただろうに、僕は泣き出しそうだった。
あーちゃんは、何も言わなかった。彼は立ち尽くす僕の前でしゃがみ込んだかと思うと、足下に散らばったいびつに欠けたパーツを拾い、引き出しの中からピンセットやら接着剤やらを取り出して、僕が壊した部分をあっという間に直してしまった。
それらの作業がすっかり終わってから彼は僕を呼んで、「ほら見てごらん」と言った。
恐る恐る近付くと、彼は直ったばかりの戦車のキャタピラ部分を指差して、
「ほら、もう大丈夫だよ。ちゃんと元通りになった。心配しなくてもいい。でもあと1時間は触っては駄目だ。まだ接着剤が乾かないからね」
と静かに言った。あーちゃんは僕を叱ったりしなかった。
僕は最後まで、あーちゃんが大声を出すところを一度も見なかった。彼が泣いている姿も、声を出して笑っているのも。
一度だけ、あーちゃんの満面の笑みを見たことがある。
夏のある日、僕とあーちゃんは団地の屋上に忍び込んだ。
僕らは子供向けの雑誌に載っていた、よく飛ぶ紙飛行機の作り方を見て、それぞれ違うモデルの紙飛行機を作り、どちらがより遠くへ飛ぶのかを競走していた。
屋上から飛ばしてみよう、と提案したのは僕だった。普段から悪戯などしない大人しいあーちゃんが、その提案に首を縦に振ったのは今思い返せば珍しいことだった。そんなことはそれ以前も以降も二度となかった。
よく晴れた日だった。屋上から僕が飛ばした紙飛行機は、青い空を横切って、団地の駐車場の上を飛び、道路を挟んだ向かいの棟の四階、空き部屋のベランダへ不時着した。それは今まで飛ばしたどんな紙飛行機にも負けない、驚くべき距離だった。僕はすっかり嬉しくなって、得意げに叫んだ。
「僕が一番だ!」
興奮した僕を見て、あーちゃんは肩をすくめるような動作をした。そして言った。
「まだわからないよ」
あーちゃんの細い指が、紙飛行機を宙に放つ。丁寧に折られた白い紙飛行機は、ちょうどその時吹いてきた風に背中を押されるように屋上のフェンスを飛び越え、僕の紙飛行機と同じように駐車場の上を通り、向かいの棟の屋根を越え、それでもまだまだ飛び続け、青い空の中、最後は粒のようになって、ついには見えなくなってしまった。
僕は自分の紙飛行機が負けた悔しさと、魔法のような素晴らしい出来事を目にした嬉しさとが半分ずつ混じった目であーちゃんを見た。その時、僕は見たのだ。
あーちゃんは声を立てることはなかったが、満足そうな笑顔だった。
「僕は透明人間なんです」
それがあーちゃんの残した最後の言葉だ。
あーちゃんは、僕のことを怒ればよかったのだ。地団太を踏んで泣いてもよかったのだ。大声で笑ってもよかったのだ。彼との思い出を振り返ると、いつもそんなことばかり思う。彼はもう永遠に泣いたり笑ったりすることはない。彼は死んだのだから。
ねぇ、あーちゃん。今のきみに、僕はどんな風に見えているんだろう。
僕の横で静かに笑っていたきみは、決して透明なんかじゃなかったのに。
またいつものように春が来て、僕は中学二年生になった。
張り出されていたクラス替えの表を見て、そこに馴染みのある名前を二つ見つけた。今年は、二人とも僕と同じクラスのようだ。
教室へ向かってみたけれど、始業の時間になっても、その二つの名前が用意された席には、誰も座ることはなかった。
「やっぱり、まだ駄目か」
誰かと同じ言葉を口にしてみる。
本当は少しだけ、期待していた。何かが良くなったんじゃないかと。
だけど教室の中は新しいクラスメイトたちの喧騒でいっぱいで、新年度一発目、始業式の今日、二つの席が空白になっていることに誰も触れやしない。何も変わってなんかない。
何も変わらないまま、僕は中学二年生になった。
あーちゃんが死んだ時の学年と同じ、中学二年生になった。
あの日、あーちゃんの背中を押したのであろう風を、僕はずっと探してる。
青い空の果てに、小さく消えて行ってしまったあーちゃんを、僕と「ひーちゃん」に返してほしくて。
鉛筆を紙の上に走らせる音が、止むことなく続いていた。
「何を描いてるの?」
「絵」
「なんの絵?」
「なんでもいいでしょ」
「今年は、同じクラスみたいだね」
「そう」
「その、よろしく」
表情を覆い隠すほど長い前髪の下、三白眼が一瞬僕を見た。
「よろしくって、何を?」
「クラスメイトとして、いろいろ……」
「意味ない。クラスなんて、関係ない」
抑揚のない声でそう言って、双眸は再び紙の上へと向けられてしまった。
「あ、そう……」
昼休みの保健室。
そこにいるのは二人の人間。
ひとりはカーテンの開かれたベッドに腰掛け、胸にはスケッチブック、右手には鉛筆を握り締めている。
もうひとりはベッドの脇のパイプ椅子に座り、特にすることもなく片膝を抱えている。こっちが僕だ。
この部屋の主であるはずの鬼怒田先生は、何か用があると言って席を外している。一体なんの仕事があるのかは知らないが、この学校の養護教諭はいつも忙しそうだ。
僕はすることもないので、ベッドに座っているそいつを少しばかり観察する。忙しそうに鉛筆を動かしている様子を見ると、今はこちらに注意を払ってはいなそうだから、好都合だ。
伸びてきて邪魔になったから切った、と言わんばかりのショートカットの髪。正反対に長く伸ばされた前髪は、栄養状態の悪そうな青白い顔を半分近く隠している。中学二年生としては小柄で華奢な体躯。制服のスカートから伸びる足の細さが痛々しく見える。
彼女の名前は、河野ミナモ。僕と同じクラス、出席番号は七番。
一言で表現するならば、彼女は保健室登校児だ。
鉛筆の音が、止んだ。
「なに?」
ミナモの瞬きに合わせて、彼女の前髪が微かに動く。少しばかり長く見つめ続けてしまったみたいだ。「いや、なんでもない」と言って、僕は天井を仰ぐ。
ミナモは少しの間、何も言わずに僕の方を見ていたようだが、また鉛筆を動かす作業を再開した。
鉛筆を走らせる音だけが聞こえる保健室。廊下の向こうからは、楽しそうに駆ける生徒たちの声が聞こえてくるが、それもどこか遠くの世界の出来事のようだ。この空間は、世界から切り離されている。
「何をしに来たの」
「何をって?」
「用が済んだなら、帰れば」
新年度が始まったばかりだからだろうか、ミナモは機嫌が悪いみたいだ。否、機嫌が悪いのではなく、具合が悪いのかもしれない。今日の彼女はいつもより顔色が悪いように見える。
「いない方がいいなら、出て行くよ」
「ここにいてほしい人なんて、いない」
平坦な声。他人を拒絶する声。憎しみも悲しみも全て隠された無機質な声。
「出て行きたいなら、出て行けば?」
そう言うミナモの目が、何かを試すように僕を一瞥した。僕はまだ、椅子から立ち上がらない。彼女は「あっそ」とつぶやくように言った。
「市野谷さんは、来たの?」
ミナモの三白眼がまだ僕を見ている。
「市野谷さんも同じクラスなんでしょ」
「なんだ、河野も知ってたのか」
「質問に答えて」
「……来てないよ」
「そう」
ミナモの前髪が揺れる。瞬きが一回。
「不登校児二人を同じクラスにするなんて、学校側の考えてることってわからない」
彼女の言葉通り、僕のクラスには二人の不登校児がいる。
ひとりはこの河野ミナモ。
そしてもうひとりは、市野谷比比子。僕は彼女のことを昔から、「ひーちゃん」と呼んでいた。
二人とも、中学に入学してきてから一度も教室へ登校してきていない。二人の机と椅子は、一度も本人に使われることなく、今日も僕の教室にある。
といっても、保健室登校児であるミナモはまだましな方で、彼女は一年生の頃から保健室には登校してきている。その点ひーちゃんは、中学校の門をくぐったこともなければ、制服に袖を通したことさえない。
そんな二人が今年から僕と同じクラスに所属になったことには、正直驚いた。二人とも僕と接点があるから、なおさらだ。
「――くんも、」
ミナモが僕の名を呼んだような気がしたが、上手く聞き取れなかった。
「大変ね、不登校児二人の面倒を見させられて」
「そんな自嘲的にならなくても……」
「だって、本当のことでしょ」
スケッチブックを抱えるミナモの左腕、ぶかぶかのセーラー服の袖口から、包帯の巻かれた手首が見える。僕は自分の左手首を見やる。腕時計をしているその下に、隠した傷のことを思う。
「市野谷さんはともかく、教室へ行く気なんかない私の面倒まで、見なくてもいいのに」
「面倒なんて、見てるつもりないけど」
「私を訪ねに保健室に来るの、――くんくらいだよ」
僕の名前が耳障りに響く。ミナモが僕の顔を見た。僕は妙な表情をしていないだろうか。平然を装っているつもりなのだけれど。
「まだ、気にしているの?」
「気にしてるって、何を?」
「あの日のこと」
あの日。
あの春の日。雨の降る屋上で、僕とミナモは初めて出会った。
「死にたがり屋と死に損ない」
日褄先生は僕たちのことをそう呼んだ。どっちがどっちのことを指すのかは、未だに訊けていないままだ。
「……気にしてないよ」
「そう」
あっさりとした声だった。ミナモは壁の時計をちらりと見上げ、「昼休み終わるよ、帰れば」と言った。
今度は、僕も立ち上がった。「それじゃあ」と口にしたけれど、ミナモは既に僕への興味を失ったのか、スケッチブックに目線を落とし、返事のひとつもしなかった。
休みなく動き続ける鉛筆。
立ち上がった時にちらりと見えたスケッチブックは、ただただ黒く塗り潰されているだけで、何も描かれてなどいなかった。
ふと気付くと、僕は自分自身が誰なのかわからなくなっている。
自分が何者なのか、わからない。
目の前で展開されていく風景が虚構なのか、それとも現実なのか、そんなことさえわからなくなる。
だがそれはほんの一瞬のことで、本当はわかっている。
けれど感じるのだ。自分の身体が透けていくような感覚を。「自分」という存在だけが、ぽっかりと穴を空けて突っ立っているような。常に自分だけが透明な膜で覆われて、周囲から隔離されているかのような疎外感と、なんの手応えも得られない虚無感と。
あーちゃんがいなくなってから、僕は頻繁にこの感覚に襲われるようになった。
最初は、授業が終わった後の短い休み時間。次は登校中と下校中。その次は授業中にも、というように、僕が僕をわからなくなる感覚は、学校にいる間じゅうずっと続くようになった。しまいには、家にいても、外にいても、どこにいてもずっとそうだ。
周りに人がいればいるほど、その感覚は強かった。たくさんの人の中、埋もれて、紛れて、見失う。自分がさっきまで立っていた場所は、今はもう他の人が踏み荒らしていて。僕の居場所はそれぐらい危ういところにあって。人混みの中ぼうっとしていると、僕なんて消えてしまいそうで。
頭の奥がいつも痛かった。手足は冷え切ったみたいに血の気がなくて。酸素が薄い訳でもないのにちゃんと息ができなくて。周りの人の声がやたら大きく聞こえてきて。耳の中で何度もこだまする、誰かの声。ああ、どうして。こんなにも人が溢れているのに、ここにあーちゃんはいないんだろう。
僕はどうして、ここにいるんだろう。
「よぉ、少年」
旧校舎、屋上へ続く扉を開けると、そこには先客がいた。
ペンキがところどころ剥げた緑色のフェンスにもたれるようにして、床に足を投げ出しているのは日褄先生だった。今日も真っ黒な恰好で、ココナッツのにおいがする不思議な煙草を咥えている。
「田島先生が、先生のことを昼休みに探してましたよ」
「へへっ。そりゃ参ったね」
煙をゆらゆらと立ち昇らせて、先生は笑う。それからいつものように、「せんせーって呼ぶなよ」と付け加えた。彼女はさらに続けて言う。
「それで? 少年は何をし、こんなところに来たのかな?」
「ちょっと外の空気を吸いに」
「おお、奇遇だねぇ。あたしも外の空気を吸いに……」
「吸いにきたのはニコチンでしょう」
僕がそう言うと、先生は、「あっはっはっはー」と高らかに笑った。よく笑う人だ。
「残念だが少年、もう午後の授業は始まっている時間だし、ここは立ち入り禁止だよ」
「お言葉ですが先生、学校の敷地内は禁煙ですよ」
「しょうがない、今からカウンセリングするってことにしておいてあげるから、あたしの喫煙を見逃しておくれ。その代わり、あたしもきみの授業放棄を許してあげよう」
先生は右手でぽんぽんと、自分の隣、雨上がりでまだ湿気っているであろう床を叩いた。座れと言っているようだ。僕はそれに従わなかった。
先客がいたことは予想外だったが、僕は本当に、ただ、外の空気を吸いたくなってここに来ただけだ。授業を途中で抜けてきたこともあって、長居をするつもりはない。
ふと、視界の隅に「それ」が目に入った。
フェンスの一角に穴が空いている。ビニールテープでぐるぐる巻きになっているそこは、テープさえなければ屋上の崖っぷちに立つことを許している。そう。一年前、あそこから、あーちゃんは――。
(ねぇ、どうしてあーちゃんは、そらをとんだの?)
僕の脳裏を、いつかのひーちゃんの言葉がよぎる。
(あーちゃん、かえってくるよね? また、あえるよね?)
ひーちゃんの言葉がいくつもいくつも、風に飛ばされていく桜の花びらと同じように、僕の目の前を通り過ぎていく。
「こんなところで、何をしていたんですか」
そう質問したのは僕の方だった。「んー?」と先生は煙草の煙を吐きながら言う。
「言っただろ、外の空気を吸いに来たんだよ」
「あーちゃんが死んだ、この場所の空気を、ですか」
先生の目が、僕を見た。その鋭さに、一瞬ひるみそうになる。彼女は強い。彼女の意思は、強い。
「同じ景色を見たいと思っただけだよ」
先生はそう言って、また煙草をふかす。
「先生、」
「せんせーって呼ぶな」
「質問があるんですけど」
「なにかね」
「嘘って、何回つけばホントになるんですか」
「……んー?」
淡い桜色の小さな断片が、いくつもいくつも風に流されていく。僕は黙って、それを見ている。手を伸ばすこともしないで。
「嘘は何回ついたって、嘘だろ」
「ですよね」
「嘘つきは怪人二十面相の始まりだ」
「言っている意味がわかりません」
「少年、」
「はい」
「市野谷に嘘つくの、しんどいのか?」
先生の煙草の煙も、みるみるうちに風に流されていく。手を伸ばしたところで、掴むことなどできないまま。
「市野谷に、直正は死んでないって、嘘をつ��続けるの、しんどいか?」
ひーちゃんは知らない。あーちゃんが去年ここから死んだことを知らない。いや、知らない訳じゃない。認めていないのだ。あーちゃんの死を認めていない。彼がこの世界に僕らを置き去りにしたことを、許していない。
ひーちゃんはずっと信じている。あーちゃんは生きていると。いつか帰ってくると。今は遠くにいるけれど、きっとまた会える日が来ると。
だからひーちゃんは知らない。彼の墓石の冷たさも、彼が飛び降りたこの屋上の景色が、僕の目にどう映っているのかも。
屋上。フェンス。穴。空。桜。あーちゃん。自殺。墓石。遺書。透明人間。無。なんにもない。ない。空っぽ。いない。いないいないいないいない。ここにもいない。どこにもいない。探したっていない。消えた。消えちゃった。消滅。消失。消去。消しゴム。弾んで。飛んで。落ちて。転がって。その先に拾ってくれるきみがいて。笑顔。笑って。笑ってくれて。だけどそれも消えて。全部消えて。消えて消えて消えて。ただ昨日を越えて今日が過ぎ明日が来る。それを繰り返して。きみがいない世界で。ただ繰り返して。ひーちゃん。ひーちゃんが笑わなくなって。泣いてばかりで。だけどもうきみがいない。だから僕が。僕がひーちゃんを慰めて。嘘を。嘘をついて。ついてはいけない嘘を。ついてはいけない嘘ばかりを。それでもひーちゃんはまた笑うようになって。笑顔がたくさん戻って。だけどどうしてあんなにも、ひーちゃんの笑顔は空っぽなんだろう。
「しんどくなんか、ないですよ」
僕はそう答えた。
先生は何も言わなかった。
僕は明日にでも、怪人二十面相になっているかもしれなかった。
いつの間にか梅雨が終わり、実力テストも期末テストもクリアして、夏休みまであと一週間を切っていた。
ひと夏の解放までカウントダウンをしている今、僕のクラスの連中は完璧な気だるさに支配されていた。自主性や積極性などという言葉とは無縁の、慣性で流されているような脱力感。
先週に教室の天井四ヶ所に取り付けられている扇風機が全て故障したこともあいまって、クラスメイトたちの授業に対する意欲はほぼゼロだ。授業がひとつ終わる度に、皆溶け出すように机に上半身を投げ出しており、次の授業が始まったところで、その姿勢から僅かに起き上がる程度の差しかない。
そういう僕も、怠惰な中学二年生のひとりに過ぎない。さっきの英語の授業でノートに書き記したことと言えば、英語教師の松田が何回額の汗を脱ぐったのかを表す「正」の字だけだ。
休み時間に突入し、がやがやと騒がしい教室で、ひとりだけ仲間外れのように沈黙を守っていると、肘辺りから空気中に溶け出して、透明になっていくようなそんな気分になる。保健室には来るものの、自分の教室へは絶対に足を運ばないミナモの気持ちがわかるような気がする。
一学期がもうすぐ終わるこの時期になっても、相変わらず僕のクラスには常に二つの空席があった。ミナモも、ひーちゃんも、一度だって教室に登校してきていない。
「――くん、」
なんだか控えめに名前を呼ばれた気はしたが、クラスの喧騒に紛れて聞き取れなかった。
ふと机から顔を上げると、ひとりの女子が僕の机の脇に立っていた。見たことがあるような顔。もしかして、クラスメイトのひとりだろうか。彼女は廊下を指差して、「先生、呼んでる」とだけ言って立ち去った。
あまりにも唐突な出来���でその女子にお礼を言うのも忘れたが、廊下には担任の姿が見える。僕のクラス担任の担当科目は数学だが、次の授業は国語だ。なんの用かはわからないが、呼んでいるのなら行かなくてはならない。
「おー、悪いな、呼び出して」
去年大学を卒業したばかりの、どう見ても体育会系な容姿をしている担任は、僕を見てそう言った。
「ほい、これ」
突然差し出されたのはプリントの束だった。三十枚くらいありそうなプリントが穴を空けられ紐を通して結んである。
「悪いがこれを、市野谷さんに届けてくれないか」
担任がひーちゃんの名を口にしたのを聞いたのは、久しぶりのような気がした。もう朝の出欠確認の時でさえ、彼女の名前は呼ばれない。ミナモの名前だってそうだ。このクラスでは、ひーちゃんも、ミナモも、いないことが自然なのだ。
「……先生が、届けなくていいんですか」
「そうしたいのは山々なんだが、なかなか時間が取れなくてな。夏休みに入ったら家庭訪問に行こうとは思ってるんだ。このプリントは、それまでにやっておいてほしい宿題。中学に入ってから二年の一学期までに習う数学の問題を簡単にまとめたものなんだ」
「わかりました、届けます」
受け取ったプリントの束は、思っていたよりもずっとずっしりと重かった。
「すまんな。市野谷さんと小学生の頃一番仲が良かったのは、きみだと聞いたものだから」
「いえ……」
一年生の時から、ひーちゃんにプリントを届けてほしいと教師に頼まれることはよくあった。去年は彼女と僕は違うクラスだったけれど、同じ小学校出身の誰かに僕らが幼馴染みであると聞いたのだろう。
僕は学校に来なくなったひーちゃんのことを毛嫌いしている訳ではない。だから、何か届け物を頼まれてもそんなに嫌な気持ちにはならない。でも、と僕は思った。
でも僕は、ひーちゃんと一番仲が良かった訳じゃないんだ。
「じゃあ、よろしく頼むな」
次の授業の始業のチャイムが鳴り響く。
教室に戻り、出したままだった英語の教科書と「正」の字だけ記したノートと一緒に、ひーちゃんへのプリントの束を鞄に仕舞いながら、なんだか僕は泣きたくなった。
三角形が壊れるのは簡単だった。
三角形というのは、三辺と三つの角でできていて、当然のことだけれど一辺とひとつの角が消失したら、それはもう三角形ではない。
まだ小学校に上がったばかりの頃、僕はどうして「さんかっけい」や「しかっけい」があるのに「にかっけい」がないのか、と考えていたけれど、どうやら僕の脳味噌は、その頃から数学的思考というものが不得手だったようだ。
「にかっけい」なんてあるはずがない。
僕と、あーちゃんと、ひーちゃん。
僕ら三人は、三角形だった。バランスの取りやすい形。
始まりは悲劇だった。
あの悪夢のような交通事故。ひーちゃんの弟の死。
真っ白なワンピースが汚れることにも気付かないまま、真っ赤になった弟の身体を抱いて泣き叫ぶひーちゃんに手を伸ばしたのは、僕と一緒に下校する途中のあーちゃんだった。
お互いの家が近かったこともあって、それから僕らは一緒にいるようになった。
溺愛していた最愛の弟を、目の前で信号無視したダンプカーに撥ねられて亡くしたひーちゃんは、三人で一緒にいてもときどき何かを思い出したかのように暴れては泣いていたけれど、あーちゃんはいつもそれをなだめ、泣き止むまでずっと待っていた。
口下手な彼は、ひーちゃんに上手く言葉をかけることがいつもできずにいたけれど、僕が彼の言葉を補って彼女に伝えてあげていた。
優しくて思いやりのあるひーちゃんは、感情を表すことが苦手なあーちゃんのことをよく気遣ってくれていた。
僕らは嘘みたいにバランスの取れた三角形だった。
あーちゃんが、この世界からいなくなるまでは。
「夏は嫌い」
昔、あーちゃんはそんなことを口にしていたような気がする。
「どうして?」
僕はそう訊いた。
夏休み、花火、虫捕り、お祭り、向日葵、朝顔、風鈴、西瓜、プール、海。
水の中の金魚の世界と、バニラアイスの木べらの湿り気。
その頃の僕は今よりもずっと幼くて、四季の中で夏が一番好きだった。
あーちゃんは部屋の窓を網戸にしていて、小さな扇風機を回していた。
彼は夏休みも相変わらず外に出ないで、部屋の中で静かに過ごしていた。彼の傍らにはいつも、星座の本と分厚い昆虫図鑑が置いてあった。
「夏、暑いから嫌いなの?」
僕が尋ねるとあーちゃんは抱えていた分厚い本からちょっとだけ顔を上げて、小さく首を横に振った。それから困ったように笑って、
「夏は、皆死んでいるから」
とだけ、つぶやくように言った。あーちゃんは、時々魔法の呪文のような、不思議なことを言って僕を困惑させることがあった。この時もそうだった。
「どういう意味?」
僕は理解できずに、ただ訊き返した。
あーちゃんはさっきよりも大きく首を横に振ると、何を思ったのか、唐突に、
「ああ、でも、海に行ってみたいな」
なんて言った。
「海?」
「そう、海」
「どうして、海?」
「海は、色褪せてないかもしれない。死んでないかもしれない」
その言葉の意味がわからず、僕が首を傾げていると、あーちゃんはぱたんと本を閉じて机に置いた。
「台所へ行こうか。確か、母さんが西瓜を切ってくれていたから。一緒に食べよう」
「うん!」
僕は西瓜に釣られて、わからなかった言葉のことも、すっかり忘れてしまった。
でも今の僕にはわかる。
夏の日射しは、世界を色褪せさせて僕の目に映す。
あーちゃんはそのことを、「死んでいる」と言ったのだ。今はもう確かめられないけれど。
結局、僕とあーちゃんが海へ行くことはなかった。彼から海へ出掛けた話を聞いたこともないから、恐らく、海へ行くことなく死んだのだろう。
あーちゃんが見ることのなかった海。
海は日射しを浴びても青々としたまま、「生きて」いるんだろうか。
彼が死んでから、僕も海へ足を運んでいない。たぶん、死んでしまいたくなるだろうから。
あーちゃん。
彼のことを「あーちゃん」と名付けたのは僕だった。
そういえば、どうして僕は「あーちゃん」と呼び始めたんだっけか。
彼の名前は、鈴木直正。
どこにも「あーちゃん」になる要素はないのに。
うなじを焼くようなじりじりとした太陽光を浴びながら、ペダルを漕いだ。
鼻の頭からぷつぷつと汗が噴き出すのを感じ、手の甲で汗を拭おうとしたら手は既に汗で湿っていた。雑音のように蝉の声が響いている。道路の脇には背の高い向日葵は、大きな花を咲かせているのに風がないので微動だにしない。
��信号に止められて、僕は自転車のブレーキをかける。
夏がくる度、思い出す。
僕とあーちゃんが初めてひーちゃんに出会い、そして彼女の最愛の弟「ろーくん」が死んだ、あの事故のことを。
あの日も、世界が真っ白に焼き切れそうな、暑い日だった。
ひーちゃんは白い木綿のワンピースを着ていて、それがとても涼しげに見えた。ろーくんの血で汚れてしまったあのワンピースを、彼女はもうとっくに捨ててしまったのだろうけれど。
そういえば、ひーちゃんはあの事故の後、しばらくの間、弟の形見の黒いランドセルを使っていたっけ。黒い服ばかり着るようになって。周りの子はそんな彼女を気味悪がったんだ。
でもあーちゃんは、そんなひーちゃんを気味悪がったりしなかった。
信号が赤から青に変わる。再び漕ぎ出そうとペダルに足を乗せた時、僕の両目は横断歩道の向こうから歩いて来るその人を捉えて凍りついてしまった。
胸の奥の方が疼く。急に、聞こえてくる蝉の声が大きくなったような気がした。喉が渇いた。頬を撫でるように滴る汗が気持ち悪い。
信号は青になったというのに、僕は動き出すことができない。向こうから歩いて来る彼は、横断歩道を半分まで渡ったところで僕に気付いたようだった。片眉を持ち上げ、ほんの少し唇の端を歪める。それが笑みだとわかったのは、それとよく似た笑顔をずいぶん昔から知っているからだ。
「うー兄じゃないですか」
うー兄。彼は僕をそう呼んだ。
声変わりの途中みたいな声なのに、妙に大人びた口調。ぼそぼそとした喋り方。
色素の薄い頭髪。切れ長の一重瞼。ひょろりと伸びた背。かけているのは銀縁眼鏡。
何もかもが似ているけれど、日に焼けた真っ黒な肌と筋肉のついた足や腕だけは、記憶の中のあーちゃんとは違う。
道路を渡り終えてすぐ側まで来た彼は、親しげに僕に言う。
「久しぶりですね」
「……久しぶり」
僕がやっとの思いでそう声を絞り出すと、彼は「ははっ」と笑った。きっとあーちゃんも、声を上げて笑うならそういう風に笑ったんだろうなぁ、と思う。
「どうしたんですか。驚きすぎですよ」
困ったような笑顔で、眼鏡をかけ直す。その手つきすらも、そっくり同じ。
「嫌だなぁ。うー兄は僕のことを見る度、まるで幽霊でも見たような顔するんだから」
「ごめんごめん」
「ははは、まぁいいですよ」
僕が謝ると、「あっくん」はまた笑った。
彼、「あっくん」こと鈴木篤人くんは、僕の一個下、中学一年生。私立の学校に通っているので僕とは学校が違う。野球部のエースで、勉強の成績もクラストップ。僕の団地でその中学に進学できた子供は彼だけだから、団地の中で知らない人はいない優等生だ。
年下とは思えないほど大人びた少年で、あーちゃんにそっくりな、あーちゃんの弟。
「中学は、どう? もう慣れた?」
「慣れましたね。今は部活が忙しくて」
「運動部は大変そうだもんね」
「うー兄は、帰宅部でしたっけ」
「そう。なんにもしてないよ」
「今から、どこへ行くんですか?」
「ああ、えっと、ひーちゃんに届け物」
「ひー姉のところですか」
あっくんはほんの一瞬、愛想笑いみたいな顔をした。
「ひー姉、まだ学校に行けてないんですか?」
「うん」
「行けるようになるといいですね」
「そうだね」
「うー兄は、元気にしてましたか?」
「僕? 元気だけど……」
「そうですか。いえ、なんだかうー兄、兄貴に似てきたなぁって思ったものですから」
「僕が?」
僕があーちゃんに似てきている?
「顔のつくりとかは、もちろん違いますけど、なんていうか、表情とか雰囲気が、兄貴に似てるなぁって」
「そうかな……」
僕にそんな自覚はないのだけれど。
「うー兄も死んじゃいそうで、心配です」
あっくんは柔らかい笑みを浮かべたままそう言った。
「……そう」
僕はそう返すので精いっぱいだった。
「それじゃ、ひー姉によろしくお伝え下さい」
「じゃあ、また……」
あーちゃんと同じ声で話し、あーちゃんと同じように笑う彼は、夏の日射しの中を歩いて行く。
(兄貴は、弱いから駄目なんだ)
いつか彼が、あーちゃんに向けて言った言葉。
あーちゃんは自分の弟にそう言われた時でさえ、怒ったりしなかった。ただ「そうだね」とだけ返して、少しだけ困ったような顔をしてみせた。
あっくんは、強い。
姿や雰囲気は似ているけれど、性格というか、芯の強さは全く違う。
あーちゃんの死を自分なりに受け止めて、乗り越えて。部活も勉強も努力して。あっくんを見ているといつも思う。兄弟でもこんなに違うものなのだろうか、と。ひとりっ子の僕にはわからないのだけれど。
僕は、どうだろうか。
あーちゃんの死を受け入れて、乗り越えていけているだろうか。
「……死相でも出てるのかな」
僕があーちゃんに似てきている、なんて。
笑えない冗談だった。
ふと見れば、信号はとっくに赤になっていた。青になるまで待つ間、僕の心から言い表せない不安が拭えなかった。
遺書を思い出した。
あーちゃんの書いた遺書。
「僕の分まで生きて。僕は透明人間なんです」
日褄先生はそれを、「ばっかじゃねーの」って笑った。
「透明人間は見えねぇから、透明人間なんだっつーの」
そんな風に言って、たぶん、泣いてた。
「僕の分まで生きて」
僕は自分の鼓動を聞く度に、その言葉を繰り返し、頭の奥で聞いていたような気がする。
その度に自分に問う。
どうして生きているのだろうか、と。
部屋に一歩踏み入れると、足下でガラスの破片が砕ける音がした。この部屋でスリッパを脱ぐことは自傷行為に等しい。
「あー、うーくんだー」
閉められたカーテン。閉ざされたままの雨戸。
散乱した物。叩き壊された物。落下したままの物。破り捨てられた物。物の残骸。
その中心に、彼女はいる。
「久しぶりだね、ひーちゃん」
「そうだねぇ、久しぶりだねぇ」
壁から落下して割れた時計は止まったまま。かろうじて壁にかかっているカレンダーはあの日のまま。
「あれれー、うーくん、背伸びた?」
「かもね」
「昔はこーんな小さかったのにねー」
「ひーちゃんに初めて会った時だって、そんなに小さくなかったと思うよ」
「あははははー」
空っぽの笑い声。聞いているこっちが空しくなる。
「はい、これ」
「なに? これ」
「滝澤先生に頼まれたプリント」
「たきざわって?」
「今度のクラスの担任だよ」
「ふーん」
「あ、そうだ、今度は僕の同じクラスに……」
彼女の手から投げ捨てられたプリントの束が、ろくに掃除されていない床に落ちて埃を巻き上げた。
「そういえば、あいつは?」
「あいつって?」
「黒尽くめの」
「黒尽くめって……日褄先生のこと?」
「まだいる?」
「日褄先生なら、今年度も学校にいるよ」
「なら、学校には行かなーい」
「どうして?」
「だってあいつ、怖いことばっかり言うんだもん」
「怖いこと?」
「あーちゃんはもう、死んだんだって」
「…………」
「ねぇ、うーくん」
「……なに?」
「うーくんはどうして、学校に行けるの? まだあーちゃんが帰って来ないのに」
どうして僕は、生きているんだろう。
「『僕』はね、怖いんだよ、うーくん。あーちゃんがいない毎日が。『僕』の毎日の中に、あーちゃんがいないんだよ。『僕』は怖い。毎日が怖い。あーちゃんのこと、忘れそうで怖い。あーちゃんが『僕』のこと、忘れそうで怖い……」
どうしてひーちゃんは、生きているんだろう。
「あーちゃんは今、誰の毎日の中にいるの?」
ひーちゃんの言葉はいつだって真っ直ぐだ。僕の心を突き刺すぐらい鋭利だ。僕の心を掻き回すぐらい乱暴だ。僕の心をこてんぱんに叩きのめすぐらい凶暴だ。
「ねぇ、うーくん」
いつだって思い知らされる。僕が駄目だってこと。
「うーくんは、どこにも行かないよね?」
いつだって思い知らせてくれる。僕じゃ駄目だってこと。
「どこにも、行かないよ」
僕はどこにも行けない。きみもどこにも行けない。この部屋のように時が止まったまま。あーちゃんが死んでから、何もかもが停止したまま。
「ふーん」
どこか興味なさそうな、ひーちゃんの声。
「よかった」
その後、他愛のない話を少しだけして、僕はひーちゃんの家を後にした。
死にたくなるほどの夏の熱気に包まれて、一気に現実に引き戻された気分になる。
こんな現実は嫌なんだ。あーちゃんが欠けて、ひーちゃんが壊れて、僕は嘘つきになって、こんな世界は、大嫌いだ。
僕は自分に問う。
どうして僕は、生きているんだろう。
もうあーちゃんは死んだのに。
「ひーちゃん」こと市野谷比比子は、小学生の頃からいつも奇異の目で見られていた。
「市野谷さんは、まるで死体みたいね」
そんなことを彼女に言ったのは、僕とひーちゃんが小学四年生の時の担任だった。
校舎の裏庭にはクラスごとの畑があって、そこで育てている作物の世話を、毎日クラスの誰かが当番制でしなくてはいけなかった。それは夏休み期間中も同じだった。
僕とひーちゃんが当番だった夏休みのある日、黙々と草を抜いていると、担任が様子を見にやって来た。
「頑張ってるわね」とかなんとか、最初はそんな風に声をかけてきた気がする。僕はそれに、「はい」とかなんとか、適当に返事をしていた。ひーちゃんは何も言わず、手元の草を引っこ抜くことに没頭していた。
担任は何度かひーちゃんにも声をかけたが、彼女は一度もそれに答えなかった。
ひーちゃんはいつもそうだった。彼女が学校で口を利くのは、同じクラスの僕と、二つ上の学年のあーちゃんにだけ。他は、クラスメイトだろうと教師だろうと、一言も言葉を発さなかった。
この当番を決める時も、そのことで揉めた。
くじ引きでひーちゃんと同じ当番に割り当てられた意地の悪い女子が、「せんせー、市野谷さんは喋らないから、当番の仕事が一緒にやりにくいでーす」と皆の前で言ったのだ。
それと同時に、僕と一緒の当番に割り当てられた出っ歯の野郎が、「市野谷さんと仲の良い――くんが市野谷さんと一緒にやればいいと思いまーす」と、僕の名前を指名した。
担任は困ったような笑顔で、
「でも、その二人だけを仲の良い者同士にしたら、不公平じゃないかな? 皆だって、仲の良い人同士で一緒の当番になりたいでしょう? 先生は普段あまり仲が良くない人とも仲良くなってもらうために、当番の割り振りをくじ引きにしたのよ。市野谷さんが皆ともっと仲良くなったら、皆も嬉しいでしょう?」
と言った。意地悪ガールは間髪入れずに、
「喋らない人とどうやって仲良くなればいいんですかー?」
と返した。
ためらいのない発言だった。それはただただ純粋で、悪意を含んだ発言だった。
「市野谷さんは私たちが仲良くしようとしてもいっつも無視してきまーす。それって、市野谷さんが私たちと仲良くしたくないからだと思いまーす。それなのに、無理やり仲良くさせるのは良くないと思いまーす」
「うーん、そんなことはないわよね、市野谷さん」
ひーちゃんは何も言わなかった。まるで教室内での出来事が何も耳に入っていないかのような表情で、窓の外を眺めていた。
「市野谷さん? 聞いているの?」
「なんか言えよ市野谷」
男子がひーちゃんの机を蹴る。その振動でひーちゃんの筆箱が机から滑り落ち、がちゃんと音を立てて中身をぶちまけたが、それでもひーちゃんには変化は訪れない。
クラスじゅうにざわざわとした小さな悪意が満ちる。
「あの子ちょっとおかしいんじゃない?」
そんな囁きが満ちる。担任の困惑した顔。意地悪いクラスメイトたちの汚らわしい視線。
僕は知っている。まるでここにいないかのような顔をして、窓の外を見ているひーちゃんの、その視線の先を。窓から見える新校舎には、彼女の弟、ろーくんがいた一年生の教室と、六年生のあーちゃんがいる教室がある。
ひーちゃんはいつも、ぼんやりとそっちばかりを見ている。教室の中を見渡すことはほとんどない。彼女がここにいないのではない。彼女にとって、こっちの世界が意味を成していないのだ。
「市野谷さんは、死体みたいね」
夏休み、校舎裏の畑。
その担任の一言に、僕は思わずぎょっとした。担任はしゃがみ込み、ひーちゃんに目線を合わせようとしながら、言う。
「市野谷さんは、どうしてなんにも言わないの? なんにも思わないの? あんな風に言われて、反論したいなって思わないの?」
ひーちゃんは黙って草を抜き続けている。
「市野谷さんは、皆と仲良くなりたいって思わない? 皆は、市野谷さんと仲良くなりたいって思ってるわよ」
ひーちゃんは黙っている。
「市野谷さんは、ずっとこのままでいるつもりなの? このままでいいの? お友達がいないままでいいの?」
ひーちゃんは。
「市野谷さん?」
「うるさい」
どこかで蝉が鳴き止んだ。
彼女が僕とあーちゃん以外の人間に言葉を発したところを、僕は初めて見た。彼女は担任を睨み付けるように見つめていた。真っ黒な瞳が、鋭い眼光を放っている。
「黙れ。うるさい。耳障り」
ひーちゃんが、僕の知らない表情をした。それはクラスメイトたちがひーちゃんに向けたような、玩具のような悪意ではなかった。それは本当の、なんの混じり気もない、殺意に満ちた顔だった。
「あんたなんか、死んじゃえ」
振り上げたひーちゃんの右手には、草抜きのために職員室から貸し出された鎌があって――。
「ひーちゃん!」
間一髪だった。担任は真っ青な顔で、息も絶え絶えで、しかし、その鎌の一撃をかろうじてかわした。担任は震えながら、何かを叫びながら校舎の方へと逃げるように走り去って行く。
「ひーちゃん、大丈夫?」
僕は地面に突き刺した鎌を固く握りしめたまま、動かなくなっている彼女に声をかけた。
「友達なら、いるもん」
うつむいたままの彼女が、そうぽつりと言う。
「あーちゃんと、うーくんがいるもん」
僕はただ、「そうだね」と言って、そっと彼女の頭を撫でた。
小学生の頃からどこか危うかったひーちゃんは、あーちゃんの自殺によって完全に壊れてしまった。
彼女にとってあーちゃんがどれだけ大切な存在だったかは、説明するのが難しい。あーちゃんは彼女にとって絶対唯一の存在だった。失ってはならない存在だった。彼女にとっては、あーちゃん以外のものは全てどうでもいいと思えるくらい、それくらい、あーちゃんは特別だった。
ひーちゃんが溺愛していた最愛の弟、ろーくんを失ったあの日。
あの日から、ひーちゃんの心にぽっかりと空いた穴を、あーちゃんの存在が埋めてきたからだ。
あーちゃんはひーちゃんの支えだった。
あーちゃんはひーちゃんの全部だった��
あーちゃんはひーちゃんの世界だった。
そして、彼女はあーちゃんを失った。
彼女は入学することになっていた中学校にいつまで経っても来なかった。来るはずがなかった。来れるはずがなかった。そこはあーちゃんが通っていたのと同じ学校であり、あーちゃんが死んだ場所でもある。
ひーちゃんは、まるで死んだみたいだった。
一日中部屋に閉じこもって、食事を摂ることも眠ることも彼女は拒否した。
誰とも口を利かなかった。実の親でさえも彼女は無視した。教室で誰とも言葉を交わさなかった時のように。まるで彼女の前からありとあらゆるものが消滅してしまったかのように。泣くことも笑うこともしなかった。ただ虚空を見つめているだけだった。
そんな生活が一週間もしないうちに彼女は強制的に入院させられた。
僕が中学に入学して、桜が全部散ってしまった頃、僕は彼女の病室を初めて訪れた。
「ひーちゃん」
彼女は身体に管を付けられ、生かされていた。
屍のように寝台に横たわる、変わり果てた彼女の姿。
(市野谷さんは死体みたいね)
そんなことを言った、担任の言葉が脳裏をよぎった。
「ひーちゃんっ」
僕はひーちゃんの手を取って、そう呼びかけた。彼女は何も言わなかった。
「そっち」へ行ってほしくなかった。置いていかれたくなかった。僕だって、あーちゃんの突然の死を受け止めきれていなかった。その上、ひーちゃんまで失うことになったら。そう考えるだけで嫌だった。
僕はここにいたかった。
「ひーちゃん、返事してよ。いなくならないでよ。いなくなるのは、あーちゃんだけで十分なんだよっ!」
僕が大声でそう言うと、初めてひーちゃんの瞳が、生き返った。
「……え?」
僕を見つめる彼女の瞳は、さっきまでのがらんどうではなかった。あの時のひーちゃんの瞳を、僕は一生忘れることができないだろう。
「あーちゃん、いなくなったの?」
ひーちゃんの声は僕の耳にこびりついた。
何言ってるんだよ、あーちゃんは死んだだろ。そう言おうとした。言おうとしたけれど、何かが僕を引き留めた。何かが僕の口を塞いだ。頭がおかしくなりそうだった。狂っている。僕はそう思った。壊れている。破綻している。もう何もかもが終わってしまっている。
それを言ってしまったら、ひーちゃんは死んでしまう。僕がひーちゃんを殺してしまう。ひーちゃんもあーちゃんみたいに、空を飛んでしまうのだ。
僕はそう直感していた。だから声が出なかった。
「それで、あーちゃん、いつかえってくるの?」
そして、僕は嘘をついた。ついてはいけない嘘だった。
あーちゃんは生きている。今は遠くにいるけれど、そのうち必ず帰ってくる、と。
その一週間後、ひーちゃんは無事に病院を退院した。人が変わったように元気になっていた。
僕の嘘を信じて、ひーちゃんは生きる道を選んだ。
それが、ひーちゃんの身体をいじくり回して管を繋いで病室で寝かせておくことよりもずっと残酷なことだということを僕は後で知った。彼女のこの上ない不幸と苦しみの中に永遠に留めておくことになってしまった。彼女にとってはもうとっくに終わってしまったこの世界で、彼女は二度と始まることのない始まりをずっと待っている。
もう二度と帰ってこない人を、ひーちゃんは待ち続けなければいけなくなった。
全ては僕のついた幼稚な嘘のせいで。
「学校は行かないよ」
「どうして?」
「だって、あーちゃん、いないんでしょ?」
学校にはいつから来るの? と問いかけた僕にひーちゃんは笑顔でそう答えた。まるで、さも当たり前かのように言った。
「『僕』は、あーちゃんが帰って来るのを待つよ」
「あれ、ひーちゃん、自分のこと『僕』って呼んでたっけ?」
「ふふふ」
ひーちゃんは笑った。幸せそうに笑った。恥ずかしそうに笑った。まるで恋をしているみたいだった。本当に何も知らないみたいに。本当に、僕の嘘を信じているみたいに。
「あーちゃんの真似、してるの。こうしてると自分のことを言う度、あーちゃんのことを思い出せるから」
僕は笑わなかった。
僕は、笑えなかった。
笑おうとしたら、顔が歪んだ。
醜い嘘に、歪んだ。
それからひーちゃんは、部屋に閉じこもって、あーちゃんの帰りをずっと待っているのだ。
今日も明日も明後日も、もう二度と帰ってこない人を。
※(2/4) へ続く→ https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/647000556094849024/
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~ 振袖お下見受付中!~ 「きものやまなか」では、3月1日より新作振袖の展示会を開催しております。 2022年・2023年に成人式をお迎えになる方は、ぜひこの機会にお越し下さい。 詳しくはプロフィールのURLより当社ホームページをご覧下さい ⇒ @furisode_yamanaka #振袖 #着物 #成人式 #きものやまなか #きものやまなか振袖 #kimono #日本 #japan #japon #japanesestyle #japaneseculture #lovejapan #japanlife #instagramjapan #名古屋振袖 #名古屋市振袖 #振袖名古屋 #振袖名古屋市 #名古屋市で振袖選び #振袖展示会 #新作振袖 #古典振袖 (振袖 名古屋市 きものやまなか) https://www.instagram.com/p/CLlA2E6nXB3/?igshid=qyxeq4y3qgtg
#振袖#着物#成人式#きものやまなか#きものやまなか振袖#kimono#日本#japan#japon#japanesestyle#japaneseculture#lovejapan#japanlife#instagramjapan#名古屋振袖#名古屋市振袖#振袖名古屋#振袖名古屋市#名古屋市で振袖選び#振袖展示会#新作振袖#古典振袖
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こんにちは 名古屋店 コジャです。
2ND-HANDのLot 4104 半袖SWも入荷しております。
WAREHOUSE & CO. Lot 4104 ΔΣφ \10.450-(with tax)
大学サークル間で作られる友愛団体で作るギリシャ文字シリーズ。
そんなシリーズは、 このプリントのようにお酒のような飲み物を持っている人のようなキャラ等がプリントされているのを見かけます。 所謂、《モンスタープリント》と言われるヤツですね。
振り返ってみると、 過去にWAREHOUSEからも数々リリースしているので《お馴染みのヤツ》として浸透してきたのではないでしょうか?
昨年もLot 409でコンプラギリギリアウト!?なこれもそうでしたよね。
そして今回半袖SWで入荷したこちらも、 モンスタープリントにカテゴライズされるのかと。
ビール片手に既に酩酊?で気分の良さそうな表情の人?
…お猿??
半袖ということもあり夏の陽気に合いますねぇ。 呑みの場がお好きな方も如何でしょう??
. . .
WAREHOUSE & CO. Lot 4104 CENTRAL BEARS \10.450-(with tax)
熊をマスコットに用いたカレッジ物。 ボディの色味で好みが分かれるかと思いきや、BLUEが頭一つ抜けていますね。
個人的にはSAXやGRAPEに目がいきます。
CHARCOAL×REDの配色も安定の格好良さですね~。
. . .
WAREHOUSE & CO. Lot 4104 RANCHO LA PUERTA \10.450-(with tax)
当時、 このエリア(TECATE, MEXICO)でスーベニアとして販売されていたものか 《Rancho La Puerta》という施設のユニフォームもしくはそこで販売されていた土産物か。
と、「これだ!」という決��手は無かったのですが、 太陽の素敵なスマイルが土地柄を表しているかのようですね。
おそらくスペイン語であろう《Rancho La Puerta》表記も情熱の国感があって、 こちらも夏の陽気にピッタリ◎
. . .
無地も少量ですが入荷しています。
WAREHOUSE & CO. Lot 4105 半袖SW(ポケット付き) 無地 \10.450-(with tax)
WAREHOUSE名古屋店にて無地はクリームのみ取り扱っていますよ~。
. . .
※半袖SWは店舗によって入荷状況が異��り、少量の入荷の為、 WAREHOUSE名古屋店でも各プリント全色・全サイズ揃っていません。 気になる商品のカラー・サイズが御座いましたら気軽にお問い合わせ下さい。
着る時期を迷って中々手が出ないという方もいらっしゃいますが、 冬の終焉後から気温が上がっていくまで(今時期も)重ね着などで調整して楽しめますよ。
173cm,60kg SIZE:XL
私も所有していますが真夏でも着ているので、 Tシャツと同じ感覚で取り入れて頂いていいんじゃないかな~と思います。
173cm,60kg SIZE:M
173cm,60kg SIZE:L
179cm,69kg SIZE:XL
半袖TEEとはまた違った見せ方の出来る半袖SWも是非御検討下さいね。 では失礼いたします。
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平素よりウエアハウス直営店をご利用頂き有難う御座います。 ウエアハウス直営店では営業を下記の通り変更しております。
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伽藍 01
伽藍 がらん
宮古藍的屏風之下,一只金魚缽放置於檜木紋的櫃檯。
簷廊,彼岸花綻放著,凜冽的鮮紅倒映於三途川的水紋粼粼,錦鯉悠游在水中,和室的琉璃光院,窗櫺懸掛著一只鳥籠,神的使者,八咫烏鴉在籠中啞鳴。
這裡,是「伽藍」,梵語為saṃghārāma,靈魂修習神道的清淨居所。
「今天入住了128個靈魂,出走了56個靈魂。」
低沉嗓音輕聲說,一手托著臉,了無興致的登記於宿泊者名簿。
深藍色髮絲飛舞於風中,俊俏白皙的容顏抬起,幽深的玄黑色眼眸望著入口處,他穿著昭和時代的黑色排釦立領襯衫,一只軍帽斜戴於髮絲之間,斗篷翻飛。
宇智波佐助閉眸,煩悶的嘆了口氣。
此岸與彼岸之間,往生的純淨靈魂會來到伽藍,修行神道,作為「神器」的備選。
「今天也很努力的贖罪呢,佐助。」
一名黑髮的男人微笑著,以雙手揉握著米飯,製作飯糰。
俊秀白皙的容顏映照著晨曦,柔和的黑眸斂下目光,黑長髮於肩膀紮成了一束,他穿著火扇的立領上衣、圍裙,一道「鼬」字的小篆文體刺青,銘刻於頸項之間。
宇智波鼬站在廚房,以飯匙在竹筒掬起了另一斛米飯,回眸,笑彎了眼。
伽藍,因為是靈魂暫住修行的清淨居所,被稱為是「彼岸的酒店」。
大正浪漫時代的木造建築物坐落於石磚街道,紙燈籠搖曳著,燈火照亮了藤屋,男女、老少的靈魂完成了今日的修行,享受著銀山溫泉,一起浸泡於露天風呂。
「啊、好想回到高天原。」
一名黑捲髮的男人打著哈欠,拿起了清掃用具,刷洗著公共澡堂。
俊朗白皙的容顏一臉無奈,英氣的眉宇之間,黑瞳抬起,微捲的黑髮飛舞於風中,他從和室取下了鳥籠,手背,是一道「水」字的小篆文體刺青,作為神明的契約。
宇智波止水打開了鳥籠,以神饌的果物餵食著八咫烏鴉。
伽藍神(がらんじん),是伽藍的守護神,八百萬神明之末,被稱為「酒店經理」。
「這樣的日子不知道還要多久呢。」
止水一手托著臉,似乎是想捉弄佐助,閉眸,故作無奈的嘆了口氣。
「因陀羅的轉世神明,宇智波佐助,觸犯了天條,被貶謫到伽藍作為守護神……
我們這些神器也要跟著一起受罪,擔任酒店經理的侍者。」
他吐了吐舌,眨眼,開朗的漾笑,鼬在一旁也忍不住笑了出聲。
……….。
佐助沉默著,有些心虛的低下頭,兩位哥哥看著他的背影不自覺掩面偷笑。
*
海霧之彼方,低沉的雷鳴隱沒於天空,灰暗厚重的雲靄掩去了陽光,山雨欲來。
煤氣街燈之下,北野町的洋房渲染了異國的風情,摩耶山的纜車搭載著觀光客,神戶港的觀景鐵塔坐落於岸邊,明石海峽大橋下的船隻揚起了風帆,駛入碼頭。
這裡,是明治時代知名的港灣,神戶市。
一名粉緋色髮少女回眸,以雙手提著書包,聽見了隱約的雷鳴。
絕美白皙的容顏抬起,澄澈的翠綠色眼眸望著天空,細雨霏霏,濡濕了鳥囀鶯鳴,她穿著粉色系的高中制服,繫上了格子紋的領結,裙瓣飛舞著,走出三宮車站。
春野櫻旋身,臨風佇立於石階上,雨水碎落於石磚地,暈開了濕潤的痕。
......下雨了?
她以雙手舉起了書包,慌亂的躲進一間神社,雨水濺濕於鞋襪。
明明是晴朗的天氣呀,怎麼會突然......
此時,莊嚴的太鼓聲響錯落於耳畔,似遠似近,神秘、儼然,繚繞於霧隱之森。
「那是......?」
櫻不自覺止步,澄澈的翠綠色眼眸看著神社的鳥居之下,模糊的影子逐漸靠近。
狐狸娶親(狐の嫁入り)。
依據《古事記》的記載,如果晴朗的天氣下雨,就是狐狸舉行婚禮儀式的日子,下雨是為了提醒人類迎親隊伍即將出發,請別任意打擾,也有另一個說法是為了不讓人類看見狐狸新娘的面貌。
紙傘下,一名穿著白無垢的女性走入神社,純潔、典雅,雪白的綿帽掩去了臉龐。
神前式的隊伍演奏著雅樂,另一名穿著紋付羽織袴的男性與新娘並肩,接受祝福,紙燈籠的幽光搖曳著,穿著和服���孩子們走入神社,以雙手捧著一束栀子花。
櫻屏息著,穿著白無垢的新娘抬眸,長睫之下,細長的黑瞳與她對視。
……那不是人類的眼睛。
「唔......」
櫻不自覺掩口失聲,踉蹌著,手中的書包掉落,雙腳癱軟,失去了意識。
宿泊者名簿自動翻閱到最後一頁,“春野サクラ”的名字浮動於半空中。
「人類……?」
佐助低聲說,看著浮動於空中的名字化作墨水,浸入紙張中,綻放了光芒。
「……為什麼人類會出現在這裡?」
宿泊者名簿的備註欄位下方,寫著“人類”。
伽藍的入口,一道朱紅色鳥居佇立於碧藍的海洋之中,刻畫了潮汐的痕跡。
彼岸的酒店於大海延伸了水紋粼粼的倒影,燈影泅沉著,好似永無止盡的迴廊,滿潮,赤紅的朱砂鳥居倒映於水中,退潮,海水退去的岩岸沖蝕了生苔的石階。
一名粉緋色髮的少女閉眸,沉睡著,側躺在海上鳥居的圓柱旁,濕髮散落於水中。
「應該是神隱,誤入了彼岸吧。」
止水俐落的躍上了枝梢,眺望於伽藍的入口,思忖著,環抱雙臂。
「人類在神域是撐不過七天的,必須要趕快送小女孩回去才行,否則她在此岸的緣分會逐漸消失,最後就沒辦法回到此岸了。」
神隱,在日語中的意義是“被神明、妖怪隱藏起來”。
「此岸與彼岸的入口,七天才會再次開啟。」
佐助煩悶的咬牙,一手拋開了宿泊者名簿,走出和室。
「……真的很煩人。」
「這名人類女孩的年紀似乎和佐助相近呢。」
鼬看著佐助的背影,嘴角,是一抹好看的輕哂。
*
夕染暮色的天空之下,穿著和服的孩子們牽起了手,圍繞一圈,唱著童謠。
「籠の中の鳥は(籠中的鳥兒)
いついつ出やる(什麼時候能出來?)
夜明けの晩に(黎明將至的夜晚)
後ろの正面だあれ?(背後的那個人是誰呢?)」
栀子花搖曳著,小男孩、小女孩牽著手,人影錯落,圍繞的圓圈中央,沒有人。
「背後的那個人,是誰呢?」
孩子們回眸,白狐的側臉映照了夕陽的微光,細長的黑瞳半掩,咧嘴笑了。
櫻不自覺瑟縮著身體,驚醒,冷汗濡濕了髮絲,喘息著,以指尖緊抓於床褥。
「……妳醒了?」
低沉嗓音輕聲說,佐助坐在和室的一隅,幽深的玄黑色眼眸抬起,與她對視。
「這裡是……?」
櫻抬眸,看著和室的琉璃光院,在床緣坐起,雪白側顏映照了柔和的微光。
「伽藍,是一個靈魂暫住的地方。」
佐助閉眸,一手摘下軍帽,以指尖輕撥了深藍色髮絲,淡然的開口。
「神明與靈魂簽訂契約,以靈魂作為“神器”,伽藍就是靈魂修行神道的居所,靈魂完成修行之後,神明就會來挑選與自己契合的神器,靈魂就會離開……」
「佐助,你這樣解釋,人類的女孩聽不懂吧?」
鼬忍不住掩嘴,失笑,穿著立領上衣的背影坐在榻榻米的圓墊,砌了一壺茶。
「伽藍,就是彼岸的酒店哦。」
止水坐在簷廊,回眸,開朗的笑了,肩膀上的八咫烏鴉,鳴叫了幾聲。
「各種設施���有,客房、餐廳、健身房,還有風呂,像是人類的五星級飯店一樣,以前是神明的招待所,現在是靈魂實習如何好好當一個神器的地方。」
「你說,彼岸……?」
櫻輕聲說,一臉困惑的以雙手抱著枕頭,看著和室、以及三名陌生的男人。
「還有神明,靈魂,神器?」
「妳的名字是櫻吧?宿泊者名簿是這樣寫的。」
鼬輕聲說,將茶壺放上火缽,柔和的微笑著,散發了成熟的風雅氣質。
「妳失去意識之前的事情,還記得嗎?」
「我記得是放學後,一開始是晴朗的天氣,卻下起了雨。」
櫻回憶著,澄澈的翠綠色眼眸斂下目光,幾綹粉髮滑落於白皙的側臉。
「為了躲雨,我跑進了一間神社,然後聽見奇怪的太鼓聲響,濃霧中,看到一名穿著白無垢的新娘,我不自覺和新娘對上了視線,發現不是人類的臉,是狐狸……」
「啊啊,稻荷神,那傢伙……」
止水忍不住出聲抱怨,似乎是恍然大悟、又惱怒的拍了一下額頭。
「每次都這麼任性,竟然看到想捉弄的人類就丟到這裡來!」
「誒?」
櫻抬眸,長睫之下,清澈的碧綠眼瞳好似花間彌生的湖影,粼粼而動。
「……聽起來,似乎是稻荷神讓妳神隱了呢。」
鼬取下火缽的茶壺,一手斟壺注入茶水,無奈的笑了。
「妳看到了狐狸娶親,是不祥之事。」
佐助輕聲說,反手戴上了軍帽,幽深的玄黑色眼眸與她對視,嘆了口氣。
「稻荷神那傢伙,似乎是覺得妳很有趣,就丟到這裡來了。」
「……誒誒誒誒誒?」
櫻不自覺往後跌落於床邊,以雙手緊抓著枕頭。有、有趣?
*
「佐助是一個神明哦。」
止水佇立於湖畔,以手上下拋擲著一個石頭,似乎在瞄準著最佳的角度。
「伽藍是彼岸靈魂修行的清淨居所,佐助做了一些事情讓其他的神明不太高興,所以呢,就被流放到這裡來了,守護著伽藍的神明,被稱為“伽藍神”。」
鳶尾花綻放著,龍鳳錦鯉泅泳於水紋粼粼之中,柔和的擺尾、悠游,湖光瀲灩。
「那麼,止水哥和鼬哥哥也是神明嗎?」
櫻坐在和室的簷廊,玻璃風鈴旋轉著,清脆的鈴音迴盪於紫藤花飄落的庭園。
「不,我和鼬都是佐助的神器。」
嘿、止水俐落的反手,以準確的20度夾角拋擲出石頭。
「……神器嘛,以人類的語言來說,就是神明的武器吧?」
打水漂的石頭在水面彈跳了一次、兩次、三次、四次、五次,接著,沉入水中。
「伽藍神的工作是登記入住、退房的靈魂。」
止水回眸,一臉開朗的笑了。
「因為工作的內容就像是管理著彼岸酒店的經理一樣,所以又被稱為酒店經理。」
紙拉門被推開,一名黑髮男子探首,俊秀白皙的容顏映照了湖水的微光。
「啊、小櫻,妳在這裡。」
鼬微笑著,拿著親手做的三色丸子,招了招手,示意她過來。
「……我幫妳做了點心,還有一些東西要給妳。」
和室,三色丸子吃完的竹籤擱置於瓷盤中,火缽的茶壺飄散了縈迴繚繞的煙縷。
「……這件穿起來合身嗎?」
鼬欠身,在收納箱翻找著,一手拿起了小紋和服、浴衣。
「如果要在這裡留宿的話,還是要有替換的衣服比較好呢,可以掩蓋人類的氣息……所以,我在倉庫找到了一些女性的衣物,妳試試看哪一件合身,就換上吧。」
鏡中,花樣年華的少女,從紙拉門半掩的另一間和室走了出來。
粉緋色髮絲之下,絕美白皙的容顏抬起,澄澈的翠綠色眼眸望著全身鏡中的自己,她穿著撫子色的振袖和服,華麗的繪羽圖案垂墜於袖口,繫以立矢結的腰帶。
櫻回眸,旋身、原地轉了幾圈,和服的振袖好似吹雪般散落的花舞,如夢似幻。
「看起來很適合妳呢。」
鼬笑了,俊秀白皙的容顏勾起了一綹柔和的弧度,面色溫煦的為她整理衣袖。
「哇啊,好可愛呢。」
止水從廚房拿著另一盤三色丸子,走入和室,回眸,笑彎了眼。
「吶,佐助,你覺得小櫻穿這件好看嗎?」
……….。
佐助不語,軍帽之下,俊俏白皙的容顏沉著臉,環抱著雙臂,煩悶的嘆了口氣。
櫻抬眸,與鏡中的佐助對視,可愛白皙的容顏渲染了淡淡的紅暈,一臉羞怯。
唔……
兩人驚覺對上了視線,羞紅著臉,神色慌亂的別開了目光。
簷廊,八咫烏鴉於鳥籠中啞鳴了幾聲,不安的騷動著,曜黑的羽翎散落。
「......啊啊,今天又出現了呢。」
鼬回眸,俊秀白皙的容顏輕哂,黑瞳望著天空,似乎感受了某種不祥的氣息。
「誒,是什麼出現了嗎?」
櫻看著鼬的側臉,澄澈的翠綠色眼眸倒映了好看的輪廓。
「哼。」
佐助走出和室,俊俏白皙的容顏斂起了神色,幽深的玄黑色眼眸抬起,目光一凜。
「……人類的氣息會吸引妖怪。」
伽藍的入口,一只蜇伏的魔物蠢動著,蛇妖般的身體纏繞於海上鳥居。
妖異舞魅的魔物泅沉於海水中,面色猙獰的咧開了大口,百目鬼的眼睛轉動著,牠嗅聞著人類的氣味,一臉癲狂、嗤笑的以頭部衝撞於神域鳥居所劃下的結界。
「時化了嗎?」
鼬輕聲說,俐落的躍上了瓦簷,黑髮紮起的馬尾飛舞於風中。
棲息於人類的死角之中,那就是……妖。
妖魔身負怨念和詛咒,大小、姿態不一,但是全都沒有生命,是彼岸的謎樣存在,此岸的人類是看不見妖魔的,可以看見它們的是動物與孩童,以人類為食。
「看來是晚了一步,已經時化了。」
佐助望著妖魔身旁的黑暗氣息,一臉淡漠。
妖魔相當喜歡陰鬱的氣氛,斬殺牠們的神明,將之稱為“時化”。
「那麼,只能斬開它了?」
止水輕咬著三色丸子的竹籤,伸了伸懶腰,回眸,自信的一笑。
「但是這種大小的妖怪,佐助應該兩三下就解決了吧。」
「那個是……」
櫻走出了和室,澄澈的翠綠色眼眸望著妖魔,顫然的低語著。
「妳待在這裡。」
佐助旋身,修長指尖握緊了櫻的手,幽深的玄黑色眼眸與她對視,神色凜然。
「那東西是為了妳才出現的,不要靠近它。」
櫻屏息著,絕美白皙的容顏羞紅了臉,感受著指尖的溫度,一時語塞。
「佐助,發動一次讓小櫻看看吧。」
止水微笑著,看著佐助的眼神,像是一名對於後輩感到驕傲的兄長。
「你可是因陀羅,雷電暴風之武神,別忘了,伽藍神只是暫時的職稱而已。」
佐助以指尖解開了頸項之間的鈕扣,黑色斗篷彷彿脫籠之鳥,飄然的飛落風中。
逆光之中,伽藍神的服裝似是流沙般的消散,一瞬幻化為白練色的立領和服。
神器(しんき),就是得到神許可的武器。
往生的靈魂徘徊於彼岸之時,被神召喚,而與神明簽訂契約,賦予其容身之所,從此長久留在該名神明身邊,平時是人類的姿態,主人呼喚時會變化為某種武器,侍奉不同的主人則作為武器的型態也會不同。
神明擁有賜名的權力,賜名會以漢字的形式銘刻在身體上,名為訓讀,器為音讀。
掌管雷電與戰事的武神、軍神,宇智波佐助的目光一凜,深藍色髮絲飛舞於風中。
「獲持諱名,止於此地。」他閉眼,抬起手。「假名已稱,為吾僕眾。」
低沉嗓音在嘴邊輕喃未知的咒文,白練色和服繫著注連繩的腰帶,穿戴了長靴,修長指尖的前端燃起了靛藍色光芒,俐落、傲然的以指尖於風中劃開光之軌跡。
「從此尊名,其皿以音,謹聽吾命,化吾神器。」
佐助睜開了雙眼,以指尖在面前結成刀印。「鼬器、水器。」
此時,銘刻於兩名黑髮男子頸項與手背的漢文「鼬」、「水」二字,綻放了光芒,止水與鼬對視著,微笑,神之契約,具像化的小篆字體躍然的浮動於半空中。
柔和的白色光芒包覆了止水與鼬的身體,化作光箭直抵於佐助的手心。
深藍色髮少年俐落的揮袖,一只火紋的草薙劍於風中閃動著凜然的鋒芒。
「神明、因陀羅……」
櫻不自覺低喃著,澄澈的翠綠色眼眸望著佐助的背影,無聲顫動。
_待續
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こんばんは🌟 #タツノコホーム です🏠✨ 本日は【番外編】 姫路市にある老舗の和菓子屋さん 【杵屋】さんの 【アマビエ】の生菓子です✨ 杵屋さんには、この他に千年杉や、色々なお菓子が有名です! そして、喫茶スペースでは、昔ながらのランチや、ハイカラなケーキセットがいただけます♡ そして✨‼︎ なんと、和菓子作り体験もできちゃいますよ(o^^o) (要予約) 職人さんが凄く優しく分かりやすく教えてくださって、なんともいい感じです(=´∀`) 因みに、6/16は和菓子の日っていうのはご存知でしたか? 西暦848年(承和15年・嘉祥元年)の夏、仁明天皇が御神託に基づいて、6月16日に16の数にちなんだ菓子、餅などを神前に供えて、疫病を除け健康招福を祈誓し、「嘉祥」と改元したという古例にちなみます。 「嘉祥」とは文字通り「めでたいしるし」であり、鎌倉時代には、のちの後嵯峨天皇が東宮となられる前に、6月16日に通貨16枚で御供えの菓子などを求めて献じそれを吉例とし、皇位継承の後もこのことが続けられました。 その後、室町時代の『嘉祥の日』には、朝廷で主上に「かづう」(女房言葉・かつう、かずうともいう=「嘉祥の祝」の菓子のこと)を差し上げるのが吉例であったことが『御湯殿上日記』に記載されています。 また、慶長の頃、豊臣秀吉が「嘉祥の祝」を恒例として行っていたことが『武徳編年集成・四十四』に記載されています。江戸幕府においては、この日、大名、旗本など御目見得以上の諸士に大広間で菓子を賜り、これを「嘉祥頂戴」といい、菓子は白木の片木の上に青杉の葉を敷いてその上に積んであり、一人一個ずつ取らせたといわれます。 民間においても、「嘉祥喰」といって銭十六文で菓子や餅十六個を求め食べるしきたりがありました。 また、この夜に十六歳の袖止め(振り袖をやめて詰め袖にする)をする「嘉祥縫」という風習があったほか、6月16日に採った梅の実でつくった梅干しを旅立ちの日に食べると災難をのがれるという言い伝えがあり、「嘉祥の梅」といいました。 このように、「嘉祥の祝」は、疫を逃れ、健康招福を願うめでたい行事として歴史の中で受け継がれ、明治時代まで盛んに行われていました。この『嘉祥の日』を現代に復活させたのが「和菓子の日」です。 モデルハウス見学も随時お問い合わせお待ちしております🎵 お問合せの際は『インスタを見た!』と言ってくださいね(〃ω〃) 🌟タツノコホームHPブログも更新中🌟 http://tatsunokohome.com/category/blog ーーーーーーーーー★ーーーーーーーーーーーー . 《お問い合わせ》 . ☎︎ : 0120-72-8305 ☞ : http://tatsunokohome.com . . #ローコスト住宅 #モデルハウス #たつの市 #太子町 #姫路市 #三木市 #加古川市 #高砂市 #明石市 #相生市 #赤穂市 #宍粟市 #小野市 #加東市 #加西市 #インテリア #住宅 #注文住宅 #オープンハウス #かわいい家 #和菓子 #杵屋 #家づくり #土地探し #アマビエ #マイホーム計画中の人と繋がりたい #姫路の種 #instadaily #photooftheda . (杵屋二階町本店) https://www.instagram.com/p/CBQMJlYpz5B/?igshid=hg9r2zfyyqb1
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青春のバンドその2
2019年11月9日、僕のやっているバンドankが新宿ACBというライブハウスで自主企画を行う。
ank、STANCE PUNKS、OVER ARM THROW。
振り返ったときに、たまんない人生だったって思えるように、書き残しておきたい。
今回はOVER ARM THROWのことを書きます。
OVER ARM THROWのことというより、なんでバンドやってるか、そんな話になっちゃいました。だから長いです。
OVER ARM THROWとの出会いは15歳、中学3年生の時だった。
自分の人生の70%くらいを構成してる、横浜市立万騎が原中学校という中学に通っていた頃、僕は野球部だった。
野球部を引退し、イキりたい時期に、服とか音楽とかそういうものに興味を持ち出した。
当時、今思うと素晴らしい環境で、ELLEGARDEN、SHAKALABBITS、アジカンとかミスチル、その辺の音楽を好きな友達が多かった。
でもその時の僕は、「人と違う音楽聴いてるほうがイケてる...!」と信じていたので、みんながあんまり聴いていなかったジャンルを漁った。
KICK THE CAN CREWを入り口に、ライムスターとか、BY PHAR THE DOPEST、ほんとは全然ハマれてないのに、好きだったらカッコいいという感じがして韻踏合組合とかNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとか、そういうのを聴いてた。(あの時って、こう、自分の好きなジャンルとか自体がわからなくて、どういう風に探したらいいか、わかんないやん?...)普通にHYとかオレンジレンジとかも好きだったんだけど、もっと趣味的に、没頭するくらい好きになれる音楽を探してた。
KREVAとか、ケツメイシとか、JPOPに昇華したようなラップはドがつくほどハマれたんだけど、前述したような多少掘ったヒップホップ聴いてても、その音楽がもつツボがわからず、なんだかなあ、という感じだった。
話は変わり、友達に永井というヤツがいて、そいつとは3年生のときのクラスも部活も、進学する高校も同じで、よく遊んでいた。
当時2人ともお笑いがめちゃめちゃ好きで、よくそいつの家に行っては、くだらない話や爆笑オンエアバトルの話、まあ普通にゲームをしたりもしていた。
ほんとによく家に行ってたので、永井の家族とも顔見知りになり、話したりするようになった。
永井には兄貴がいた。3個上だった。
家に行き、少しだけど話をするたびに、軽音楽部でバンドをやっていることを知り、オススメの古着屋を教えてもらい、文化祭とかの話をしてくれて、当時の自分にとっては「こういう高校生活を送りたいぃ!」という全てをやっている人だった。
ある時、永井から兄貴の卒業ライブがライブハウスであるから見に行かないか?と誘われた。もちろん行くと即答し、横浜のライブハウスまで遊びに行った。初めてのライブハウスだった。(確か今思えばベイシスとかベイジャングルとか、そういう系だった気がする)
バンドってかっこいいなって思った。
もう、全てが。楽器弾けるの自体もそうだし、なにこの照明とか!!みんな髪染めてるし!!!うおーーー!!!すげーー!!みたいな感覚。
今でも思えてる。ライブハウスの原体験。
これからの人生、バンドをやればこんな風になれるのかと思ったとき、今まで感じたことない、超ド級のワクワクにぶん殴られた。酒も飲んでないのに、非現実的な興奮、ふわふわした感覚だった。
ライブハウスを出たあと、「おれ絶対バンドやるわ!!」と言った。
15歳、バンドをやる人生の、一歩目に立った瞬間だった。
中学卒業から高校入学、永井とよく遊んだ。
家に行くと兄貴ともたまに会い、「僕もバンドやることにしました!!」と伝えた。
ある時、「バンドやるんだったら、絶対かっこいいからこれ、聴いた方がいいよ」と言われ、1枚のCDを貸してくれた。
それがOVER ARM THROWだった。
”Love us, Love our tales ”という、3曲入りのEPだった。
1曲目のZINNIAを聴く。
「あれ...?これ...なんかこういうの聴いたことないぞ...これなんていうの?あれ?っていうかめちゃめちゃかっこいいぞ...!なんだこれは!!!めちゃくちゃ好きだ!!なんだこれ!!!うおー!!!」みたいな感覚だった。
没頭できる音楽を見つけた瞬間だった。
このEP、めちゃめちゃ聴いた。めちゃめちゃ。歌詞もしっかり読んで、最高にかっこいいと思った。
その時はまだ自分の中で名前が付いてない、メロディが最高に美しくて、歌いたくなる、ずっと聴いてたくなる、”こういう音楽”をやりたいと思った。
高校に入学して、待望の軽音楽部に入った。
先輩にどういう音楽が好きか聞かれた時、「えーっと...サザンとか、あの...僕も最近知ったんですけど、OVER ARM THROWってバンドみたいのやりたいです」確かそんな感じで答えた。
先輩たちにびっくりされた。なんで知ってんの!?的な興奮をしてくれた。
憧れていた、バンドをやってる高校生らしくなれた気がした。誇らしかった。
“そういう系”が好きな先輩が何人かいて、かわいがってもらうきっかけになった。
先輩から教えてもらった、どうやら”メロコア”というらしかった。
ライブをやったことがない僕に、どれだけライブが最高か、先輩たちは語ってくれた。
そしてその中でも”メロコア”というジャンルは、ライブこそが本当の姿、ライブが圧倒的にかっこよく、観ている人にとっても圧倒的に楽しく、”モッシュ”という謎の行為をするらしかった。
「今度俺らがメロコアやるから、とりあえず一番前で観て、周りの人みたいにして観たら楽しいよ」そんな感じだったと思う。
憧れてた先輩のバンドだったし、学内ライブの日、一番前を同級生と陣取った。
そのバンドは、Northern19のSTAY YOUTH FOREVERをやっていた。
もみくちゃになった。汗だらけになった。人生で一番興奮した。
俺はメロコアをやる。一番かっこいいメロコアをやる。そう決意した。
それ以来、先輩に色々なメロコアを教えてもらったり、同級生と一緒に掘ったりした。
SPACE BOYS、Boobie Trap、STOMPIN' BIRD、BASSUI、最高すぎるな〜〜〜。
どうやら横浜はメロディックの聖地とも言われているようだった。
メロコア以外にも色んな音楽を教えてもらい、たくさん音楽を聴くようになった。
でもやっぱり原点である、OVER ARM THROWが一番好きだった。
ライブに行ってみたいと思った。
先輩のライブでこんなに楽しいのに、本物だったらどうなっちゃうのん!?と、めちゃめちゃワクワクした。
今でも覚えてる。調べたら情報あった。懐かし!!
Oath and Night War Tour 2007-2008 FINAL
2008.2.21 渋谷CLUB QUATTRO
w/ STOMPIN’ BIRD / RAZORS EDGE / マキシマムザホルモン
最高の最高の最高だった。てかなにこのメンツ、最高やんけ。
やっぱり、俺の信じてる音楽は最高だ。出会えてよかった。そう思った。
中学の時から仲よかった、松崎浩二という男がいた。そう、ankの松崎。
松崎とは別の高校だったけど、たまに遊んでいた。
どうやら松崎も軽音楽部に入ったようだった。そして同じくメロコアを好きになったらしく、TOTALFATとかFOUR GET ME A NOTSの話をした。
中学から一緒のヤツと、高校になってできた新しい趣味が合うこともうれしかった。
時はたち、松崎とまやみきとankをやることになる。
マイペースな活動、でも色んな人にお世話になって支えられて、普通に聴いてたバンドとも、ありがたいことに対バンできるようになってくる。
そしてある時、まやみきがイカれたテンションでこんなLINEをしてくる。
まあ、、そりゃイかれるよね(笑)
この時の話とかしちゃうと本当に長すぎて書いてる俺が死んでしまうので、それはまた。
OVER ARM THROWとは、1番最初の対バンはリョウスケさん企画、年末のACB。
対バンとは言っても何バンドもいるイベントで、それでも夢みたいだった。
袖でキクさんが観てくれてた。(めんちゃんこ緊張した...笑)
ちゃんと「対バン」と言えるのが、LINEの話のキャ��ガワツアー。
ankを認識して、ankを呼んでくれた。最高にうれしかった。キイチロウさんが繋いでくれた。
次は俺らの番、今までは、対バンなんて考えたこともなかったけど、バンドとしての関係性ができた。
リョウスケさんがきっかけを作ってくれて、キイチロウさんのおかげで繋がって、やっと俺らが、自分たちの意思で、偶然ではなく、対バンできる日を作ることができた。
ちなみにOVER ARM THROWのCDを貸してくれた”永井の兄貴”は、
現在eggman/[NOiD]のYUMAさんです。人生おもしれ〜〜〜〜!!!
これまたちなみにOAT出演が決まったのは、キイチロウさんバースデー企画@FADの打ち上げ中で、
うれしくて撮った写真が今のankのアイコンになってます。青春のバンドだなあ。(笑)
人生は不思議だ。バンドは人だ。
こうやってちょっと振り返るだけでも、色んな顔が思い浮かぶ。
中学のやつら、高校・大学の仲間と先輩。
みんなに会いてえな。
そして、バンドで出会ったみんな。みんなのおかげでバンドやってて、そのおかげで出会えた憧れの2バンドと、ガチンコでライブできる。
ほんとに俺、対バンとかの想像できない時からこの2バンドと3マンできたら、もうやりたいことないなって思ってた。(笑)
憧れは憧れ、夢は夢、でも今、俺はankという最高で最強のバンドをやってます。
ankを観に来てください。
昨日から長々と、こんな思いを抱えた男が、メロコアからもらった最高だと思うメロディを作り、出会えたみんなからもらった魂を込めて詞をつけて、青春パンクからもらった衝動と優しさを爆発させるためにドラム叩いてます。
まやみきと松崎と、たった3人でやってます。
2019年11月9日、新宿ACBで、青春のバンドが最高のメロディと言葉を届けます。
俺が思う、1番かっこいいバンドになります。
楽しみにしていてください。
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