Tumgik
#数坂隧道
kkagtate2 · 5 years
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お地蔵様
里帰りした男の話。
これは実に二十年ぶりに里帰りした時の話である。思ひ立つたのは週末の金曜日、決行したのは明くる日の土曜日であつたが、何も突然と云ふことではなく、もう何年も昔から、今は無き実家の跡地を訪れなければならないと、漠然と思つてゐ、きつかけさへあればすぐに飛び立てるやう、心の準備だけはしておいてゐたのである。で、その肝心のきつかけが何なのかと云へば、私が小学生の時分によく帰り道を共にした女の子が手招きをするだけといふ、たわいもない夢だつたのだが、私にとつてはそれだけで十分であつた。一泊二日を目安に着替へを用意し、妻へは今日こそ地元の地を踏んでくると、子供へはいゝ子にしてゐるんだよと云ひ残し、一人新幹線に乗り込んだ私は、きつかけとなつた夢を思ひ出しながら、生まれ育つた故郷へ真直ぐ下つて行つた。
実のことを云ふと、この時にはすでに旅の目的は変はつてゐたやうに思へる。私の故郷といふのは、周りを見渡せば山と川と田んぼしかないやうな田舎で、目を閉じてゆつたりと昔を懐かしんでゐると、トラクターに乗つてゆつくりとあぜ道を走るお爺さんだつたり、麦わら帽子を目深に被つてのんびり畑を耕すお婆さんだつたりと、そんなのどかな光景が頭に描かれるのであるが、新幹線のアナウンスを聞きながら何にも増してはつきりと思ひ出されたのは、一尊のお地蔵様であつた。大きさはおよそ二尺程度、もはや道とは呼べない山道の辻にぽつんと立つその地蔵様には、出会つた時から見守つていただいてきたので、私たちにとつてはもはや守り神と云へやう。私たちはお互ひ回り道になると云ふのに、道端で出会ふと毎日のやうにそのお地蔵様を目指し、ひとしきり遊んだ後、手を合はせてから袂を分かつてゐた。さう云へば最後に彼女の姿を見たのもそのお地蔵様の前であつたし、夢の中でも彼女はそのお地蔵様の傍にちよこんと座つて、リンと云ふ澄んだ鈴の音を鳴らしながら、昔と同じ人懐つこさうな目をこちらに向けてゐた。ちなみにこゝで一つお伝へしておくと、彼女の夢を見た日、それは私が故郷を離れ、大阪の街へと引つ越した日と同じなのである。そしてその時に、私は何か大切なものをそこへ埋めたやうな気がするのである。――と、こゝまで考へれば運命的な何かを感じずには居られまいか。彼女が今何処で何をしてゐるのかは分からない。が、夢を通じて何かを訴へかけてきてゐるやうな気がしてならないのである。私の旅の目的は、今は無き実家を訪れるといふのではなく、彼女との思ひ出が詰まつたその地蔵を訪れること、いや、正確には、小学校からの帰り道をもう一度この足で歩くことにあつた。
とは云つても、地元へは大阪からだと片道三四時間はかゝるので、昼過ぎに自宅を出発した私が久しぶりに地に足をつけた時にはすつかり辺りは暗くなりつゝあつた。故郷を離れた二十年のうちに帰らなかつたことはないけれど、地方都市とは云つても数年と見ないあひだに地味に発展してゐたらしく、駅周辺はこれまで見なかつた建物やオブジェがいくつか立ち並んでゐて、心なしか昔よりも賑やかな雰囲気がする。駅構内もいくつか変はつてゐるやうであつたが、いまいち昔にどんな姿をしてゐたのか記憶がはつきりしないため、案内に従つてゐたらいつの間にか外へ出てしまつてゐた程度の印象しか残つてゐない。私は泊めてくれると云ふ従妹の歓迎を受けながら車に乗り込んで、この日はその家族と賑やかな夜を飲み明かして床についた。
  明くる日、従妹の家族と共に朝食をしたゝめた私は、また機会があればぜひいらつしやい、まだ歓迎したり無いから今度は家族で来て頂戴、今度もまたけんちやんを用意して待つてゐるからと、惜しまれながら昨晩の駅で一家と別れ、いよ〳〵ふるさとへ向かふ電車へと乗つた。天気予報の通りこの日は晴れ間が続くらしく、快晴とはいかないまでも空には透き通るやうに薄い雲がいくつか浮いてゐるだけである。こんな穏やかな日曜日にわざ〳〵出かける者は居ないと見えて、二両しかない電車の中は数へられるくらゐしか乗客はをらず、思ひ〳〵の席に座ることが出来、快適と云へば快適で、私は座席の端つこに陣取つて向かひ側の窓に映る景色をぼんやりと眺めてゐたのであるが、電車が進むに連れてやはり地方の寂しさと云ふものを感じずにはゐられなかつた。実は昨晩、駅に降り立つた私が思つたのは、地方もなか〳〵やるぢやないかと云ふことであつたのだが、都会から離れゝば離れるほど、指数関数的に活気と云ふものが減衰して行くのである。たつた一駅か二駅で、寂れた町並みが現れ始め、道からは人が居なくなり、駅もどん〳〵みすぼらしくなつて行く。普段大阪で生活をしてゐる私には、電車に乗つてゐるとそのことが気になつて仕方がなかつた。さうかと云つて、今更故郷に戻る気もないところに、私は私の浅ましさを痛感せざるを得なかつたのであるが、かつての最寄り駅が近づくに従つて、かう云ふ衰退して行く街の光景も悪くは無いやうに感じられた。それは一つにはnostalgia な気持ちに駆られたのであらう、しかしそれよりも、変はり映えしないどころか何もなかつた時代に戻りつゝある街に、一種の美しさを感じたのだらうと思ふ。何にせよ電車から降り立つた時、私は懐かしさから胸いつぱいにふるさとの空気を吸つた。大きいビルも家も周りにはなく、辺り一面に田んぼの広がるこの辺の空気は、たゞ呼吸するだけでも大変に清々しい。私はバス停までのほんの少しのあひだ、久しく感じられなかつたふるさとの空気に舌鼓を打ち続けた。
バス停、……と云つてもバスらしいバスは来ないのであるが、兎に角私はバスに乗つて、ちやつとした商店に囲まれた故郷の町役場まで行くことにした。実のこと、さつきまで故郷だとかふるさとだとか云つてゐたものゝ、まだ町(ちやう)すらも違つてをり、私のほんたうの故郷へは駅からさらに十分ほどバスに揺られ無ければ辿り着けず、実家へはその町役場から歩いて二十分ほどかゝるのであるが、残念なことにそのあひだには公共交通機関の類は一切無い。しかしかう云ふ交通の便の悪さは、田舎には普通なことであらう。何をするにしても車が必須で、自転車で移動をしやうものなら急な坂道を駆け上らねばならず、歩かうものならそれ相応の覚悟が要る。私は自他ともに認める怠け者なので、タクシーを拾はうかと一瞬間悩んだけれども、結局町役場から先は歩くことした。母校の小学校までは途中まで県道となつてをり、道は広く平坦であるから、多少距離があつても、元気があるうちはそんなに苦にならないであらう、それに何にも増して道のすぐ傍を流れる川が美しいのである。歩いてゐるうちにそれは美化された思ひ出であることに気がついたけれども、周りにはほんたうに田んぼしか無く、ガードレールから下をぐつと覗き込むと、まだゴツゴツとした岩に水のぶつかつてゐるのが見え、顔を上げてずつと遠くを見渡すと、ぽつぽつと並ぶ家々の向かうに輪郭のぼやけた山々の連なる様が見え、私はついうつかり感嘆の声を漏らしてしまつた。ほんたうにのどかなものである。かうしてみると、時とは人間が勝手に意識をしてゐるだけの概念なやうにも思へる。実際、相対性理論では時間も空間的な長さもローレンツ変換によつて同列に扱はれると云ふ。汗を拭いながら足取りを進めてゐると、その昔、学校帰りに小遣ひを持ち寄り、しば〳〵友達と訪れた駄菓子屋が目に入つて来た。私が少年時代の頃にはすでに、店主は歩くのもまゝならないお婆さんであつたせいか、ガラス張りの引き戸から微かに見える店内は嫌にガランとしてゐる。昔はこゝでよく風船ガムであつたり、ドーナツであつたり、はたまた文房具を買つたりしたものであつたが、もう営んではゐないのであらう。その駄菓子屋の辺りがちやうど田んぼと人の住処の境で、県道から外れた一車線の道先に、床屋や電気屋と云つた商店や、古びたしまうたやが立ち並んでゐるのが見えるのだが、どうもゝうあまり人は居ないらしく、その多くはピシャリと門を締め切つてゐる。中には荒れ屋敷化してしまつた家もあつた。
と、そこでやうやく母校の校庭が見えて来た。町役場からゆつくり歩いて二十五分と云つたところであらうか、時刻を確認してみるとちやうど午前十一時である。徐々に気温が上がつて来てゐたので、熱中症を心配した私は、適当な自販機を見つけるとそこで水を一本買つた。小学校では何やら催し物が開催されてゐるらしく、駐車場には何台もの車が停まつてをり、拡声器を通した賑やかな声が金網越しにぼや〳〵と聞こえてきたのであるが、何をやつてゐるのかまでは確認はしてゐない。おそらく子供会のイベントでもやつてゐたのであらう。さう云へば私も昔、めんだうくさい行事に参加させられた憶えがある。この学校は作りとしてはかなり平凡であるのだが、さすがに田舎の学校ともあつて緑が豊富であり、裏には先程沿ひながら歩いて来た川が通つてゐる。久しぶりにその川にまで下つてみると、記憶とは違つてカラリと乾いた岩がゴロゴロと転がつてをり、梅雨時のじめ〳〵とする季節でも涼を取るには適してゐるやうに感じられた。一体、こゝは台風がやつて来ると自動的に被害を受ける地域で、毎年子どもたちが夏休みに入る頃には茶色く濁つた濁流が溢れるのであるが、今年はまだ台風が来てをらず、降水量も少なかつたこともあつて、さら〳〵と小川のやうな水の流れが出来てゐる。昔、一度だけ訪れたことのあるこの川の源流部でも、このやうな流れが出来てゐたやうな憶えがある。が、源流のやうに水が綺麗かと問はれゝば、決して肯定は出来ない。手で掬つてみると、太陽の光でキラキラと輝いて一瞬綺麗に見えるけれども、じつと眺めてゐると苔のやうな藻がちらほら浮いてゐるのが分かり、鼻にまで漂つて来る匂ひもなんだか生臭い。それにしても、この手の中で漂つてゐる藻を藻と呼んでいゝのかどうかは、昔から疑問である。苔のやうな、とは形容したけれども、その色は生気を感じられない黒みがかつた赤色で、実はかう云ふ細長い虫が私の手の上で蠢いてゐて、今も皮膚を食ひ破つて体の中に入らうとしてゐるのだ、と、云はれても何ら不思議ではない。さう考へると、岩に引つ付いてうよ〳〵と尻尾を漂はせてゐる様子には怖気が走る。兎に角、話が逸れてしまつたが、小学生の時分に中に入つて遊んだこの川はそんなに綺麗では無いのである。むしろ、影になつてゐるところに蜘蛛の巣がたくさん巣食つてゐたり、どす黒く腐つた木が倒れてゐたりして、汚いのである。
再び母校へと登つて、先程通つて来た道に戻り、私は歩みを進め初めた。学校から出るとすぐに曲がり角があつて、そこを曲がると、右手には小高い山、左手にはやはり先程の川があり、その川の向こう側に延々と田んぼの並んでゐるのが見える。この辺りの光景は今も昔も変はらないやうである。道の先に見える小さな小屋だつたり、ガードレールだつたり、頼りない街灯も変はつてをらず、辛うじて残つた当時の記憶と綺麗に合致してゐる。私は変はらない光景に胸を打たせつゝ、右手にある山の影の下を歩いていつた。そして、いよ〳〵突如として現れた橋の前に辿り着くや、ふと歩みを止めた。彼女と学校帰りに会ふのはいつもこゝであつた。彼女は毎回リンリンと軽快な鈴の音を辺りに響かせながら、どこからともなく現れる。それは橋の向かふ側からゆつくりと歩いて来たこともあれば、横からすり寄つて来たこともあつたし、いきなり背後を取られたこともあつた。私はゆつくりと目を閉じて、ゆつたりと深呼吸をして、そつと耳を澄ませた。――木々のざわめきの中にかすかな鈴の音が、確かに聞こえたやうな気がした。が、目を開けてみても彼女はどこにも居ない。今もどこかから出てきてくれることを期待した訳ではないが、やはり一人ぽつんと立つてゐるのは寂しく感じられる。
橋の方へ体を向けると、ちやうど真ん中あたりから強い日差しが照りつけてをり、反射した光が目に入つて大変にまばゆいので、私はもう少し影の下で居たかつたのであるが、彼女がいつも自分を待たずに先々行つてしまふことを思ひ出すと、早く歩き始めなければ置いていかれてしまふやうな気がして歩き始めた。橋を渡り終へてすぐに目に飛び込んで来たのは、川沿ひにある大きなガレージであつた。時代に取り残されたそれは、今も昔も所々に廃材が積み上げられてゐ、風が吹けば倒れてしまいさうなシャッターの中から、車だつたり、トラックの荷台だつたりがはみ出してゐるのであるが、機材や道具などが放りつぱなしになつてゐることから、未だに営んではゐるらしい。何をしてゐるのかはよく知らない。が、聞くところによると、こゝは昔からトラックなどの修理を行つてゐるところださうで、なるほど確かにたまに危なつかしくトラックが通つて行つてゐたのはそのためであつたか。しかし、今見ると、とてもではないが生計が成り立つてゐるやうには思へず、侘しさだけが私の胸に吹き込んで来た。二十年前にはまだ塗料の輝きが到るところに見えるほど真新しかつた建物は、今では積み上げられたガラクタに埋もれたやうに古く、痛み、壁なぞは爪で引つ掻いたやうな傷跡がいくつも付けられてゐる。ガレージの奥にある小屋のやうな家で家族が暮らしてゐるやうであるのだが、その家もゝはや立つてゐるのが限界なやうである。さて、私がそんなボロボロのガレージの前で感傷に浸つてゐたのは他でもなく、彼女がこゝで遊ぶのが好きだつたからである。する〳〵と積まれたガラクタの上を登り、危ないよと云ふこちらの声を無視して、ひよい〳〵とあつちこつちに突き出た角材に乗り移つて行き、最後には体を蜘蛛の巣だらけにして降りてくる。体を払つてやらうと駆け寄つても、高貴な彼女はいつもさつと逃げてしまふので、仕方なしにそのへんに生えてゐる狗���草(エノコログサ)を手にして待つてゐると、今度はそれで遊べと云はんばかりに近寄つて来ておねだりをする。その時の、手にグイグイグイグイ鼻を押し付けてくる仕草が殊に可愛いのであるが、だいたいすぐに飽きてしまつて、気がついた時には喉をゴロゴロと云はしながら体を擦り寄せて来る。これは愛情表現と云ふよりは、早く歩けと云ふ彼女なりの命令で、無視をしてゐるとこちらの膝に乗つてふてくされてしまふので、帰りが遅くならないようにするためには渋々立ち上がらなければならない。
さう云へばその時に何かを食べてゐたやうな気がするがと思ひ、私は彼女との思ひ出を振り返りつゝ辺りを見渡してゐた。するとガレージの横に鬱蒼と生い茂る草木の中に、柿の木と桃の木の生えてゐるのが見つかつた。だが、ほんたうに一歩も入りたくないほどに、大葉子やら犬麦やら髢草が生えてをり、当時の私が桃やら柿やらを毟り取つて食べてゐたのかは分からない。しかしさらに見渡しても、辺りは田んぼだらけで実のなる木は無いことから、もしかしたら先程の橋を渡る前に取つて来て、彼女の相手をしてゐるあひだに食べてゐたのかもしれない。先程道を歩いてゐる時にいくつかすもゝの木を見かけたから恐らくそれであらう。なるほど、すもゝと云ふ名前にはかなり聞き覚えがあるし、それになんだか懐かしい響きもする。それにしてもよく考へれば、そのあたりに生えてゐる木の実なぞ、いつどこでナメクジやら毛虫やらが通つてゐるのか分からないし、中に虫が巣食つてゐたのかもしれないのに、当時の私はよく洗いもせず口にしてゐたものである。今思ふとものすごく怖いことをしてゐたやうに感じられる。何にせよ、彼女はいつももぐ〳〵と口を動かす私を不思議さうに見てきては、差し出された木の実を匂ふだけして興味のなさゝうな顔をしてゐた。なんや食べんのか、お前いつたい、いつも何食べよんな。と、問うても我関せずと云ふ風に眼の前で伸びをするのみで、彼女は彼女でしたゝかに生きてゐるやうであつた。
気がつけば私は座り込んでゐた。眼の前では彼女が昔と同じやうに、なんちやら云ふ花の前に行つては気持ちよさゝうに匂いを嗅いで、恍惚とした表情を浮かべてゐる様子が繰り広げられてゐた。少しすると彼女の幻想は私の傍に寄つて来て、早く行きませう、けふはもう飽きてきちやいました、と云ふ。そして、リンと鈴の音を立たせながらさつと身を翻して、私の後ろ側に消えて行く。全く、相変はらず人を全く待たない子である。いや〳〵、それよりも彼女の亡霊を見るなんて、私は相当暑さにやられてゐるやうであつた。すつかりぬるくなつた水を口に含むと、再び立ち上がつて、田植えが行われたばかりの田んぼを眺めながら、彼女を追ひかけ初めた。
ところで、もうすでに読者は、延々と続く田んぼの風景に飽きてきた頃合ひであらうかと思ふ。が、そのくらゐしか私のふるさとには無いのである。私ですらこの時、懐かしみよりも飽き〳〵としてきた感情しか沸かなかつたので、もう今後田んぼが出てきたとしても記さないと約束しよう。だが歩いてゐると、いくつか昔とは違つてゐることに気がついたので、それは今こゝで記しておくことにする。まず、田んぼのあぜ道と云ふものがアスファルトで鋪装されてゐた。それも最近鋪装されたばかりであるらしく、未だにぬら〳〵と黒く輝いてをり、全くもつて傍に生えてゐる草花の色と不釣合ひであつた。かう云ふのはもはや都会人である私の嘆きでしか無いが、こんな不自然な黒さの無い時代を知つてゐるだけに残念である。二つ目は、新たに発見した田舎の美しさである。これはガレージの道のりからしばらくして空を仰いだ時に気がついたのだが、まあ、順を追つて説明していかう。断末魔のやうなツクツクホーシの鳴き声を聞くために足を止めた私は、ぼんやりと眼の前にある虎杖(いたどり)を眺めてゐた。ゆつくりと目を動かすと、崖のような勾配の向こう側に田んぼがだん〳〵になっているのが見える。決して棚田と云へるほど段と段が詰まつてゐる訳ではないが、その棚田のやうな田んぼのさらに向かふ側に、楠やら竹やら何やらが青々と茂つてゐるのが見え、そして、もう少し見渡してみると空の上に送電鉄塔がそびえているのが見えた。この鉄塔が殊に美しかつたのである。濃い緑色をした木に支へられて、淡い色の空をキャンバスに、しつかりとした質感を持つて描かれるそれは、赤と白のしま〳〵模様をしてをり、おそらく私は周りの自然とのコントラストに惹かれたのだらうと思ふ。この旅で最も美しかつたものは何ですかと聞かれたならば、空にそびえ、山と山を繋ぐ鉄塔ですと答へやう、それほどまでに私はたゞの鉄塔に感銘を受けてしまひ、また来ることがあるならば、ぜひ一枚の作品として写真を撮りたいと思ふのであつた。
ところで読者はその鉄塔の下がどのやうになつてゐるのかご存知であらうか。私は彼女と一緒に足元まで行つた事がある。行き方としてはまず田舎の道を歩くこと、山の中へ通ずる道なき小さな道を見つけること、そして藪だらけのその道に実際に飛び込んでみることである。もしかすると誰かのお墓に辿り着くかも知れないが、見上げて鉄塔がそびえてゐるならば、五分〳〵の割合でその足元まで行きつけるであらう。お地蔵様へ向かふために山道(やまみち)に入つた私は、その小さな道のある辻に来た時、つい鉄塔の方へ足を向けさうになつた。が、もうお昼時であるせいかグングン気温が上がり始め、路端(みちばた)の草いきれが目に見えるやうになつてゐたので、鉄塔の下で足を休めるのは次の機会にと思ひ、山道を登り始めた。別に恐ろしいと云ふほどではないけれども、車の音がずつと遠くに聞こえるせいか現世から隔離されたやうで、足取りはもうずいぶん歩いて来たにも関はらずかなり軽快である。私は今頃妻が子供と何をしてゐるのかぼんやりと想像しつゝ、蔓のやうな植物が、にゆる〳〵と茎を伸ばしてゐる柔らかい落ち葉の上を、一歩〳〵よく踏みしめて行つた。日曜の夕食時、もしかするとそれよりも遅くなるかもしれないが早めに帰ると云ふ約束の元、送り出してくれた妻は、今日はあなたが行きたがつてた王子動物園に行つてくるからいゝもん、と仰つていらつしやつたから、思ふに今頃は、子供を引き連れて遊びに行つてゐるのであらう。それも惜しいが、ペットたちとのんびりと過ごせなかつたのはもつと惜しい。特に、未だに懐いてくれない猫と共に週末を過ごせなかつたのは、もうかれこれ何年ぶりかしらん? あの猫を飼ひ始めてからだから、恐らく六年ぶりであらう。それにしてもどうして猫だけは私を好いてくれないのだらうか、家で飼つてゐる猫たちは、もう何年も同じ時を過ごしてゐるのに、私をひと目見るや尻尾を何倍にも膨らませて威嚇をしてくる。そんなに私が怖いのか。――などと黙々と考へてゐたのであるが、隧道のやうな木の生い茂りが開けた頃合ひであつたか、急に辺りが暗くなつて来たので空を仰いで見ると、雨の気配のする黒い雲が太陽を覆ひ隠してゐた。私は出掛けに妻に、どうせあなたのことだから雨が降ると思ふ、これを持つていけと折り畳み傘を一つ手渡されてゐたものゝ、これまで快晴だつたからやーいと思つてゐたのであるが、次第に埃つぽい匂いが立ち込めて来たので急いで傘を取り出して、じつと雨の降るのを待つた。――さう云へば、昔も雨が振りさうになつた時には彼女も傘に入れて、かうしてじつと佇んでゐたな。たゞ、そのまゝじつとしてゐてはくれず、雨に濡れると云ふのに、彼女はリンリンと軽やかな鈴の音を云はせながら傘の外に飛び出してしまふ。そして早く行かうと云はんばかりに、山道の少し上の方からこちらを見下ろして来くる。――懐かしい。今でもこの赤茶けた落ち葉と木の根の上に、彼女の通る時に出来る、狼煙のやうな白い軌跡が浮かび上がつてくるやうである。と、また昔を懐かしんでゐると、先程の陰りはお天道様のはつたりであつたらしく、木の葉の隙間から再び太陽が顔を覗かせるやうになつてゐた。私は傘を仕舞ひ込むと、再び山道を練り歩いて行つた。
だが、雨が降らなかつたゞけで、それからの道のりにはかなり恐ろしいものがあつた。陽が辺りに照つてゐるとは云へ、風が出てきて木の影がゆら〳〵とゆらめいてゐたり、ふつと後ろでざあつと音がしたかと思ひきや、落ち葉が何枚も〳〵巻き上げられてゐたり、時おり太陽が雲に隠れた時なぞは、あまりの心細さに引き返さうかとも思つた。そも〳〵藪がひどくて木の棒で掻き分けなければまともに進めやしない。やい〳〵と云ひながら山道をさらに進んで行くと、沼のやうにどんよりと暗い池が道の側にあるのだが、物音一つ、さゞなみ一つ立てずに、山の陰に佇んでゐるものだから、見てゐないうちに手が生えて来さうで、とてもではないが目を離せなかつた。そんな中で希望に持つてゐたのは、別の山道を登つても来ることの出来るとある一軒家だつたのだが、訪れてみると嫌にひつそりとしてゐる。おや、こゝはどこそこの誰かの父親か親戚かゞ住んでいたはずだがと思ひつゝ窓を覗いても誰もをらぬ。誰もをらぬし、ガランとした室内には酷く傷んだ畳や障子、それに砕けた天井が埃と共にバラバラと降り積もつてゐる。家具も何もなく、コンロの上にぽつんと放置されたヤカンだけが、寂しくこの家の行末を見守つてゐる。――もうとつくの昔にこの家は家主を失つて、自然に還らうとしてゐるのか。私は急に物悲しくなつてきて手の甲で目元を拭ふと、蓋の閉じられた井戸には近づかずにその家を後にした。行けば必ずジュースをご馳走してくれる気のいゝお爺さんであつた。
私の憶えでは、この家を通り過ぎるとすぐに目的のお地蔵様へと辿り着けたやうな気がするのであるが、道はどん〳〵険しくなつて行くし、全く記憶にない鉄製の階段を下らなければいけないし、どうやらまだ藪と戦はねばならないやうであつた。もうかうなつてくると、何か妖怪的なものにお地蔵様に行くのを拒まれてゐるやうな気さへした。だが、引き返す気は無かつた。記憶はほとんど残らなかったけれども、体は道順を憶えてゐるのか、足が勝手に動いてしまふ。恐怖はもはや旅の友である。先の一軒家を超えてからと云ふもの、その恐怖は猟奇性を増しつゝあり、路端(みちばた)にはモグラの死骸やネズミの死骸が、何者かに噛み殺されたのかひどい状態となつて散乱してゐたのであるが、私の歩みを止められるほど怖くは無かつた。途中、蛇の死体にも出くわしたけれども、どれも色鮮やかなアオダイショウであつたから、全く怖くは無い。そんなものよりよつぽど怖かつたのは虫の死骸である。私の行く手には所々水たまりが出来てゐたのであるが、その中ではおびただしいほどのカブトムシやカマキリが、蠢いているかのやうに浮いてゐて、ひやあ! と絶叫しながら飛び上がつてしまつた。別にカブトムシの死骸くらゐ、夜に電気をつけてゐると勝手に飛んでくるやうな地域で幼少期を過ごしたから、たいしたことではない。問題は数である。茶色に濁つた地面に、ぼつ〳〵と無数の穴が開いて、そこから黒い小さな虫が目のない顔を覗かせてゐるやうな感じがして、背中がゾク〳〵と殺気立つて仕方がなかつた。かういふ折には、ぼた〳〵と雨のやうに蛭が落ちてくるのが御約束であるのに、まつたく気持ち悪いものを見せてくるものである。
と、怒つたやうに足を進めてゐると、いつしか私は恐怖を乗り越えてゐたらしく、勇ましい足取りで山道を進んでゐた。するとゞうであらう、心なしか道も歩きやすくなり、轍が見え始め、藪もほとんど邪魔にならない程度しか前には無い。モグラの死骸もネズミの死骸も蛇の死骸も、蓮の花のやうな虫の死骸も、気がつけば道からは消えてゐた。そして一軒家を後にしてから実に二十分後、最後の藪を掻き分けると、そこには確かに記憶の通りのお地蔵様が、手をお合はせになつて私をお待ちしていらつしやつた。私は地蔵様の前まで来ると、まずは跪いてこゝまで無事に辿り着けたことに、感謝の念を唱へた。そして次々と思ひだされる彼女の姿に涙をひとしきり流し、お地蔵様にお断りを申し上げてから、その足元の土を手で掘つて行つた。冒頭で述べた、かの地蔵の傍に埋めたなにか大切な物とはこのことである。二十年のうちに土がすつかり積み重なつてしまつてゐたらしく、手で掘るのは大変だつたし、蚯蚓やら蟻やらよく分からない幼虫やらが出てきてゾツとしたけれども、しばらくするとペットボトルの蓋が見えてきた。半分ほど姿を見せたところで、渾身の力を込めて引き抜き、私は中にあつた〝それ〟を震へる手で握りこんでから、今度は傍にあつた漬物石のやうな大きな石の前に跪いた。手を合はせるときに鳴つた、リン、……と云ふ可愛らしい鈴の音は、蝉の鳴き声の中に溶け込みながら山の中へ響いて行き、恰も木霊となつて、再び私の手の中へ戻つてくるのであつた。
  帰りの道のりは行きのそれとは違つて、かなり楽であつた。恐らく道を間違へてゐたのであらうと思ふ。何せ、先程見たばかりの死骸も無ければ、足をガクガクさせながら下つた階段も無かつたし、何と云つても二三分としないうちに例の一軒家へとたどり着いたのである。私は空腹から元の道へは戻らずに一軒家の近くにある道を下つて県道へ出、一瞬間今はなき実家の跡地を眺めてから帰路についた。いやはや、なんとも不思議な体験であつた、よく考へれば蝮に噛まれてもおかしくないのによく生きて帰れたものだ、とホツとすると同時に、なんとなく肩が軽くなつたやうな心地がした。――あゝ、お前でも放つたらかしにされるのは嫌なんだな。――と、私はもう一度顔が見たいからと云つて、わざ〳〵迎へをよこしてくれることになつた従妹を小学校で待ちながら、そんなことを思つた。
結局あのペットボトルは再びお地蔵様の足元に埋めた。中に入つてゐたものは私のものではなく、彼女のものであるから、あそこに埋めておくのが一番であらう。元はと云へば、私のなけなしの小遣ひで買つたものであるから、持つて帰つても良かつた気がしないでもないが、まあ、別に心残りはない。
さて、ふるさとに帰るとやはり思ふものがありすぎて、予定してゐたよりも大変長くなってしまつたけれども、これで終はりである。ちなみに、こゝにひつそりと記した里帰りの話は、今の今まで誰一人として信じてくれてはゐないので、もしどなたか一人でも興味を引き立てられた者がいらつしやれば本望である。
 (をはり)
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ikuroe · 6 years
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“希望を抱えている限り 微笑みがそこにある My story Forever 〜 🎵”
2018 年 9 月 3 日,这是行程的最后一天了。今天的巡礼点比较多,可以说是东京市区一日暴走。不过核心主题就是两个作品,从本篇的标题和题头也看出来了……《你的名字。》和《偶像大师 灰姑娘女孩》。
嗯,虽然说都在东京市区里面巡礼难度倒是挺低的,但一个个都是货真价实的重量级场景啊。
惯例先来看一下巡礼地图。因为东京的地图密密麻麻的电车、道路、地标太多了……所以用笔划了一道。这么一看其实路线还挺顺的。🤓
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Emmm…. 我寻思这可能不能叫两个作品,里面好像混入了奇♂怪 的 东♂西。(你 打 字 带 空 格 😂
  – Part 1  Your name.
嗯,从酒店出发 JR 中央本线直达 JR 四谷站。美好的一天从你名。开始。在女主三叶的努力下,男主和奥寺前辈初次约会的见面地点。
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……唉不过,依旧是阴雨绵绵的天气,一点都不美好。从 JR 四谷站出来旁边的跨线公路桥上可以捕获到跟动画里完、全、一、致的站房场景。
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从这里开始的路程就要靠步行了,东京市区一日暴走,出发��震惊・意外的第一站就是名场景——须贺神社!
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锵锵锵锵!你名。巡礼完毕!可以收工回家了!😂
才怪。😂
徒步路线建议车站出来后沿着新宿大道向西走,从四谷小学校旁边的小路拐进。这条小路正对着须贺神社的阶梯,路上还有数个原场景。比如四谷小学校前的这个场景。
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嘿呀但是非常遗憾的是,到这里的时候旁边正好在施工。施工不说,还刚刚好就占住了拍摄的位置……唉这还是一个特写镜头,从别的角度根本看不出来啊!没办法,总之站在远处拍了一张。照片中混凝土车停靠的位置就是诚哥取景时的站位了。
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好嘛,让我们回头仔细说说这名场景,真实堪比镰仓高校前站的踏切。就是随时到这里,随时都有人在摆拍!嘛……不过今天毕竟星期一,而且我来的算比较早吧。到达的时候并没有其他巡礼客,只有几个工人正在给旁边的道路施工。安全员看我扛着个相机过来,估计也是见得多了,微笑示意我随便看随便拍……希望没有打扰到他们施工。😂
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顺便就在须贺神社逛了逛,简单而精致的一个小神社。里面还有一颗平成 5 年 6 月 9 日纪念皇太子成婚种下的树,长的已经郁郁葱葱了。
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从神社里出来的时候,开始有三三两两的游人出现了。基本上能一眼看出来哪些是来参拜的、哪些是来巡礼的……嗯,年轻人都是来巡礼的。那走位,那摆拍。几波人马互相都报以心照不宣的微笑,确实是当年在镰仓高校前站巡礼的感觉。😂
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唉无奈单身🐶是一个人来的,没人陪我摆拍了。
作为故事的最后主人公们从电车上下来互相找寻并最终相遇的地点,须贺神社周围也有大量的原场景。比如前述阶梯下方的十字路口,这里还挂着“须贺神社入口”的牌子。
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从神社阶梯下来在上图中的十字路口往西北走(图中的右手岔路),这是与来时不同的方向了。这条路是原作结尾男主奔向须贺神社时的来路。
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两条岔路中间的那个红色的邮政信箱,还给过一个特写镜头呢。
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好了,从小路出来回到新宿大道,继续往西走。接下来前往男主打工的咖啡厅。注意下在即将到达新宿御苑时候的岔路,左边是新宿御苑的车辆下穿隧道,沿右边岔路上坡即可看到新宿御苑的大木户门。这时从大木户门旁边的小路继续前进就能来到这个咖啡厅。
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继续前进并越过吉尼斯世界纪录记载的新宿大型迷宫站,在新宿站的西北角有一个颇大的人行天桥在原作中多次出现。男主在这儿站过,女主在这儿站过,奥寺前辈在这儿站过,最后男主和女主在大雪纷飞中擦肩而过却没有回头相认让人以为又要秒五电车了不禁想给诚哥寄刀片的场景也是这儿。
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唉,真的是很不幸了,周围又在施工……好在这次只是影响了照片的美观,至少没让我丢失站位。😑
啊好了,接下来就真的是你名。行程的最后一站了。在天桥西南方向不远处,原作 OP 中让人印象深刻的快速闪动的红绿灯也是新宿的标志之一了。这个红绿灯还有个专门的名字,叫做“新宿警察署环状红绿灯”。非常好找,只是四个路口望过去都长得差不多,要仔细辨别一下原作中的取景方向。😂
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(只有阴雨绵绵,没有蓝天白云……😂
完美,大功告成。连上之前的诹访湖行程和今天的东京市区巡礼,你名。的场景也基本上探访了大半了。还剩余飞驒高山的部分……实在是有点远啊,只能以后再找机会和富山、名古屋一起逛了。
  – Part 1.5  野 兽 宅 邸
且说刚才越过新宿大型迷宫站时,其实绕路又去见了一面东日本最高领导者。毕竟上次前往是晚间十分,无法仔细欣赏领导者的尊荣。
结果天不遂人员,领导者广场竟然围起来装修了!🙄
好吧,那真是要庆幸前日灰姑娘 VR 开演前溜过来晃了一圈了。小心的询问了现场的工作人员,人家表示并没有把领导者围住,我还可以过去参拜…… Emmm 🤔
——哇!真的没有围住耶!我们伟大的东日本最高领导者不畏风雨和施工依然屹立在那里,向来往的信徒们微笑招手!
(我信了你的邪 🙄
好嘛。从新宿站继续前进,小田急线出发,东北泽站下车。为防本游记变得 恶 臭 不 堪,这部分的巡礼不加注释,各位自行体会。🤓
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说来这也是东京一个有趣的地方。虽然大部分是人流嘈杂的闹市区,但也有一些人烟稀少而宁静的地区,宛如乡下小镇。嗯……我是指日本的乡下小镇。
到达北泽公园的时候,当地人正在准备什么祭典。怎么说呢,完全是前日乡下小镇瑞穗町的感觉,单看这张照片还真不像是东京市区。😂
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没有打扰到他们,在旁边的长椅上略作休息,继续向野兽宅邸前进。图中就会路过比北泽公园小很多的北泽三丁目公园。其实就是一块小空地,上面勉强算有些儿童游乐设施。
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继续前行,就到了……啊哈哈。
这野兽宅邸旁边也有一个小广场,叫えごのき広場。到达时正有年轻男子二人坐于长凳上聊天。我微微一笑,嗯……此事并不简单。😏
姑且当作无事发生过前往拍摄位置。刚刚站定还没举起相机,二人笑嘻嘻的走了过来。目光对上,心照不宣,随即三人放声大笑。正在犹豫如何打招呼,不想对方直接开口道……“Chinese??” 我滴乖乖。即答。“噎死!爱慕拆尼斯!!”
革命的友谊!遂互相帮助圣地留影。こ↑こ↓
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诶事后发现当时过于激动拿手机拍照 check in 发完毕后忘记用相机补张了……得了这张照片就拿手机的渣渣成像将就着看吧。
至于为何激动……革命的友谊自然是不足的。说回这互相帮助留影时,接过对方手机一看我滴麻麻耶—— Sony Xperia!索尼大法好,姨夫微笑保!别看我手上拿的 iPhone 8 Plus,包里可是还揣着一部 Xperia X Performance 呢!
还没等我开口,又看到这位仁兄竟然还是个定制主题,Home 键被��成了 765 pro 图标的那种!草(日本语)!太草(日本语)!敢情还是同僚!这是怎么样的机缘巧合!赶紧递上名片!😂
简直神操作。可惜没带红茶。😂
说来递上我那正面废狗背面拉拉的手机时还被吐槽了,嗯确实这装备太 DD 了。以及掏名片的时候仁兄一脸惊恐的问:“难道是红茶?”
唉真没带红茶!😂 遗憾!😂
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告别同僚继续前往下北泽站,结果又双叒叕在施工……而且是那种把整个站给围个严严实实的那种大型工程。只好在唯一剩下的进站口拍了这么一张,算是到此一游了。顺便去了趟下北泽站旁的都可 CoCo。😏
野兽宅邸巡礼完成。公交车十分钟的路程,前往三轩茶屋。
  – Part 2  My STORY
从这里踏出的小小一步,开启了我们的故事。
三轩茶屋银座公交站下车,向南步行 100 米。今天的另一个重要巡礼任务开始了。
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凛家花店。
卯月应邀成为偶像的那天晚上,她路过这里为自己挑选庆祝的花束,并遇到了凛。凛为她推荐了花语是“期待与希望”的银莲花。这便是故事的起点。
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“島村卯月、がんばります!”
在凛家花店西南方向,步行大约 10 分钟的路程。世田谷丸山公园。
在这个樱花飘落(然而并没有😂)的公园里,卯月向凛诉说了自己的梦想。而凛则终于接受了制作人的邀请。
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“那就来试一试吧,这个与现在截然不同的、更加宽广的世界。”
—— Your Story,My Story。灰姑娘的故事,开始了。
(BGM!自带 BGM《STORY》播放开始!哭!全都给我哭!😭)
哭好了吗!哭好了擦擦眼泪我们继续。😭
说真的,刚到这里的时候我是一脸懵逼的。大家都知道,我们的故事开始于一颗巨大樱花树下的长凳上。然而……这丸山公园里有一堆长凳!却根本没有樱花树!😂 这尼玛是作画欺诈啊!😂
这就不说了,这个公园,人还挺多!很多的家长带着小孩在这儿玩耍。还记得原作中,画风可疑的普罗丢色在旁边的长凳上坐着,就有宠物狗对着他汪汪叫,还有小孩子跑过去对妈妈喊“那个人好奇怪”之类。哦!这一点原作倒是很还原啊!我觉得再晃荡两圈我也要被当成可疑人士了!😂
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所以,现在我要告诉你们,拿好手机看好地图,命运的长凳是公园最西北角的那个。而上图这个普罗丢色长凳就在公园的入口,刚进公园右手边。以及……不论是哪个长凳,都没有樱花树!😂
好嘛,这一趟巡礼行程下来,本家的起点和灰姑娘的起点全都跑到了。感觉真是赚了一个逸。如果说还有什么地方要去一下的话,那就是——
  – Part 2.5  冤有头,债有主,西歪大楼认清楚。
从世田谷丸山公园原路返回至三轩茶屋车站附近,乘坐公交车往涉谷方向,仍然是 10 分钟左右的车程,在“大坂上”公交站下车。嗯……说起来这途中还有一站叫做“大桥”,大桥彩香的那个大桥……听到报站时突然一哆嗦,以迅雷不及掩耳之势拍下了这一幕。😂
好嘞,让我们看看,株式会社 Cygames 的总部大楼——
—— 哇塞好气派!西歪霸气普照,连日阴雨的东京竟然露出了蓝天!😎
Emmm…. 但是大楼竟然是租来的??🤔 走近一看牌子上立着的是住友不动产的大楼,当然大部分楼层都是 Cygames 及关联公司入驻其中。
嘛不管了,昨天刚刚进行了デレステ三周年更新(三周年曲《少女前线》真实吹爆!),现在还是干正事儿重要。正事儿!那就是,玄学抽卡——
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草(中国语)!二十连保底!😒
立刻发消息跟正在大楼内社畜的基友抱怨,结果基友表示他用公司的 WiFi 抽卡也从来都是坠机。啧啧……怕不能真是西歪工资回收术。😒
罢了罢了,跟西歪大楼合个影吧。昨天跟西歪基友一起在秋叶原买的无声铃鹿 C94 场贩衣服,穿了一天了就等着这一刻呢。嗯……讲道理去东京竞马场的时候还没这件衣服,真是亏了一个逸。😂
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行吧,溜了溜了。
随后看时间还有剩余,赌了一把能在天黑前到达略为遥远的 CLANNAD 圣地樱坂。那属于意外之喜,已经在之前的瑞穗町巡礼日记中附述,略过不表。
  – Part FIN
于是为时七天的 GO TO NIPPON 2018 圣地巡礼圆满结束。从年初以偶像大师 PMT 2018 为核心的行程计划启动,到计划取消,再到改期成行,也是充满了曲折和艰辛了。
2018 年 9 月 4 日清早,伴随着 21 号超强台风“飞燕”来袭的警报,看着大阪关西国际机场被台风虐的惨不忍睹的新闻,从成田登上了返程的飞机。
嗯,登机前让我最后再感受一下直连无延迟的爽快吧。😂
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当晚,看着手机上的交通记录,感慨万千。“啊……梦醒了”的感觉。😂
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“煌めく虹の向こう 季節の中で 新しい虹と会うために 手をつなぎ 本気で泣いたり騒いだり 舞踏会 終わらない アイドルは 止まらない My story Forever 〜 🎵”  ——「STORY」
每一次的离别,都是为了崭新的相遇。我的故事,也才刚刚开始。
  从这里踏出的小小一步,开启了我们的故事。不会止步,永不终结。 《你的名字。》与《偶像大师:灰姑娘女孩》圣地巡礼。 - Your name. with my STORY - GO TO NIPPON 2018 蝴蝶蓝的圣地巡礼日记 FIN “希望を抱えている限り 微笑みがそこにある My story Forever 〜 🎵” 2018 年 9 月 3 日,这是行程的最后一天了。今天的巡礼点比较多,可以说是东京市区一日暴走。不过核心主题就是两个作品,从本篇的标题和题头也看出来了……《你的名字。》和《偶像大师 灰姑娘女孩》。 嗯,虽然说都在东京市区里面巡礼难度倒是挺低的,但一个个都是货真价实的重量级场景啊。
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