#アメリカの無償援助の批准を巡って議会紛糾
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)2月22日(火曜日)
通巻7227号
親日国家ネパールで奇妙な暴動 政権は極左マオイストと左派の連立
米国の3億ドル援助の批准を巡って議会が紛糾
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2月20日、カトマンズで暴動が起きた。
警官隊が出動し、催涙ガスで鎮圧したが、彼らが掲げたのは「米国の3億ドル無償援助が問題だ」と言うのである。「反対」ではなく、問題というのは、ネパールの主権に拘わるからと主張している。
じつはアメリカの3億ドル援助は紐の付かない、無償援助でMCCプログラムと言い、2017年に決定している。ネパール議会の少数政党乱立による大混乱で、まだ批准がなされていないのである。
人口およそ3000万人。一人あたりのGDPは1200ドルそこそこで、山岳地方へ行くと貧困家庭が目立つ。山を越えると部族がことなり、政党政治というより部族政治の側面が強い内陸国家である。
ネパールが王制から民主選挙の下、民主主義体制に移行したが、投票結果はマオイスト、マルクスレーニン主義政党、人民党、社会党と少数乱立。なにしろ政党が25前後あり、このうちの23政党がマオイストか、もっと左。議席のない極左セクトが多い。
元国王は旧王宮にいるが、王制支持の保守は議会で少数に転落している。ならばマオイストは暴力革命を目指しているのか? というとそうでもないらしい。
カトマンズの町は中国人に溢れているが、最大援助国は米国、ついで旧宗主国の英国。三番目が日本だ。日本食レストラン、居酒屋は殆どが中国人となった。
ネパールの親日ぶりは、町を歩くとすぐに分かる。在留邦人は千名そこそこだが、日本に出稼ぎに来ているネパール人は十万人近い。
マオイスト国家なのに、ヒンズー教徒が圧倒的。ネパールの北西ルンビニでお釈迦様は誕生したが、仏教徒はすくない点でインドの宗教分布と似ている。
ネパールは独立後、インドの保護国というイメージだったが、反インド感情が強い。グルカ兵を国連に出しているので、「世界平和を維持している貢献国」と、カトマンズ空港の大看板がある。
現在のデウパ首相は、過去に四回首相を歴任しており、今回が五回目の首相就任で連立与党を引っ張る。来日歴が二回。ヨガの達人ともいう。
ならば現在の大混乱をヨガで乗り切れるか?
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