#たまに「近ちゃんでずっぱり、他の選手も見たい」と言���れてそれでも近ちゃんを出し続ける近ちゃん大好きマンこと私です
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Take Me Out To the Ball Game - Music Video
#youtube#へへへ…流れ着いてました…🚣⚾️今生まれて初めて野球漫画(WBCの大谷君主役の)描いてて ユニフォームのシワと防具(道具)の省略の仕方とか勉強になっとりやす😂#う、嬉しい、実は、わたくしも、近藤選手🦊大好きで…(ちばあきおの漫画感とクリリン感がたまらんて)#野球漫画読んで下さる皆さま🙏とても優しく生きがいです#たまに「近ちゃんでずっぱり、他の選手も見たい」と言われてそれでも近ちゃんを出し続ける近ちゃん大好きマンこと私です#漫画を描くにあたりブックマークした写真大谷近藤コンビ一番多いです だって観てるだけで幸せになる… リヴァエレだったんか…!!#クリリンかと思ってたのに確かに 栗山監督ジーク、大谷君エレン(栗谷クサヴァージークみもあるが) 二人のヤバさを苦々しくでもきっと一番分かってる人間#近ちゃんリヴァイは頷ける!! WBCで分かったのは 大谷君がいかに近ちゃんが好きか 栗山監督と近ちゃんと野球出来て嬉しいって デカいからだで表現しまくってて#昔近ちゃんが面倒見てた、仔犬がものすごくでかくなって🐻🐺熊犬になって帰ってきた感 もたまらんです WBC優勝は近ちゃんなくしてはあり得なかった#来られなかった選手がいかに凄くても 野球の神様は栗山監督を通じて大谷君の為に近ちゃんを選びました (大谷君は近ちゃんの実家にはピンでも泊まるし )#色々恵まれてもいると思うし、 愉しい事も嬉しい事もたくさんあるのだけど、 それでもたまに何が愉しくて生きているのだろう?#と思う瞬間もある、しかし… POBIちゃまがこのような事を言うことがあるから 人生やめらんねえすわ! 無茶苦茶うれしい、#はじめてPOBIちゃまと完全一致同担と化したてこと?! 🥹 💖💖💖💖 同担拒否らないでほぢ!!
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-ご挨拶-
ご無沙汰しております。演奏動画を投稿いたしましたので、いつものお知らせの記事です。動画���方、ご覧いただけましたでしょうか?
ご覧いただけました......よね?
恐らくいただけたでしょう。圧倒的感謝。
何から申し上げればヨイか迷うところではありますが、こんな辺境の地にいらっしゃっている方でしたら、これまでに私の動画を僅かながらにでも見ていただいたり、知ってもらっている方かとお見受けしますのでひとまずこちらから言及いたしますが、
「お前3連続でINTERVALSやっとるやん」
と思ったでしょう。Aaron大好き芸人かよと。いや事故って言い方もアレなんですけど当初はそんなつもりでは無かったんですよ。
きっかけは今年の6月に、今回一緒にギターを弾いてくれている後輩君(と数少ない飲み会でよく声をかけてくれる後輩その2)から、宅録関連について色々聞きたかったらしく酒の席を共にしたのですが、その際「一緒に何かやりましょう」とお誘いしていただいた訳です。
我々は音楽の趣味が一致するってほどではないため選曲問題が出たのですが、数少ない共通して聴いている音楽がINTERVALS(と一応CHON、でも僕は全然聴いてない)のため候補として挙がり、多く再生されそうな有名曲として、その2の彼から「Touch and Goとかいいんじゃないっすか?」と言われ、その後1週間検討の時間を設けましたがそのまま決定の運びとなります。
以上が3連続の理由です。前回の演奏動画の記事で>今後INTERVALSはやりませんと書いていましたが、もう本当に!自分からはやりませんので!でももし誰かに「コラボしてINTERVALSやりましょう」とか言われたら、それはありがたくお引き受けいたしますよ。
まあそうだナァ......STRING THEORYのMarcoパートみたいなゲストソロみたいなのだと非常にヨイですね。Epiphanyも可です。うーん贅沢。
上記の曲が決まったのが6/25、Sheet Happensにて楽譜とバッキングトラックを買ってパート振り分けと練習を開始したのが翌週7/1、8月中に各自REC、9/3からミックスを開始(と自分は初めての手法で音作りをしていたためこっそり再REC)、9/18にミックス完了したので音源を確認して&してもらいつつ9/23まで修正を重ね、以降10月から撮影場所をどうするかの検討を重ね、2週ほどお互いの都合が合わず、10/21に撮影、以降映像編集し10/28の日付変更と共に投稿、が事の顛末です。思った以上に時間が掛かってしまい4ヶ月超えのプロジェクトとなりました。個人的には前回の動画から約7ヶ月になりますね。
で言及すべき今回ご一緒した後輩の彼は大学のサークルの1個下の学年で、現役当時からGALNERYUSやらANGRAやらを何度も演奏してたんですが「実績としてやっていた」ではなくて、難易度の高い楽曲をクオリティ高く弾けるバリ巧スーパー早弾きマンなので、こんな私を誘っていただけるとは。この度のお誘いは大変恐縮でした。
彼の異常エピソードとしてはSymphony XのSEVENなる楽曲のイントロおよびアウトロの超絶シュレッドパートをその場で駆け足しながらノールックで完璧に弾いていまして、何故そのような状況になっていたのかは不明なのですが、その現場を生で見て、ヤバすぎて流石にちょっと引きましたね。ギターはラルクのKenモデル(全体的に赤いアレ)だし、先日動画撮った時に尋ねたら親指反らないから弾く時は握り込むフォームだし、そもそもL'Arc〜en〜Cielが好きなのでメタル一辺倒ではなくカッティングなどのポップス的なプレイも問題なく出来るので知り合いの中でも中々にハイスペックなギタリストです。
今後も色々演奏活動していくそうなので動向を追ってあげてください。今回の動画の説明欄に彼のInstagramがありますのでフォローなどよろしくお願いいたします。
動画は私の部屋にて撮影しています。数年ぶりに人を呼びました。実は設定ミスにより4Kではなく1080p60fpsでの撮影となってしまったのですが、自分の一番再生数が多いダンエタも1080p60fpsなのでそこにあやかった体裁にしておきます。2人での撮影は初めてなのですが、演奏者の他に撮影者がいる利点を活かして手持ちカメラでの撮影もしてみたりしました。我々としては映え動画になったと思っているのですが皆様的にはいかがでしょうか。
ちなみに私のピッキング、少々綺麗になったと思いませんか?振りが汚いのがコンプレックスだったのですが、最近コンパクトに振るよう心掛けたり手の置き場所の工夫などを意識して基礎練習している成果が出ていると思います。そう思います。そう思ってくださりませんか?
前置きはこんな所で。
-使用機材-
・Sugi DS496 - BKP - Nailbomb/The Mule
竿はいつものSugiです。動画の通りなのですが実はPUをSugiオリジナルのLH-35に戻しました。最初に載せ変えたのが6年前でしたが音楽的な好みの変化や音楽スキルの成長(していると信じたいです)に伴いBKPとお別れをいたしました。本件に関しては別途記事にしたいと考えています。動画音源はBKPとなりますので彼らの最後をお楽しみください。
その他はGruvGear製品をつけています。REC時はFretWrapsで余弦ミュートなど、その後の音作りにてハイカットの必要性を感じたため最近はFretWedgeを付けたりなどしています。Perfomaxeは最高ですよ。ゲージはElixirのOptiweb09-42です。
使用ピックはJim DunlopのPrimetoneとFRED KELLYのSpeed Pick Lightです。動画ではサムピックオンリーにしました。映え?
そもそもは普通のピックで弾くつもりでしたが、動画のタイムスタンプで言うと2:04からのリードパートに自分の苦手な1音毎に弦を動いていくフレーズがありまして、あまりにも自信が無さすぎてハイブリッドで弾こうとしても5弦→2弦までの4音の上昇によりガッツリ小指を使うため綺麗に弾ける自信がなく、それでもピックを口に咥えて親指→薬指にするつもりでいたんです。しかし直前のフレーズを弾いてからの猶予と自分の余裕が無いため間に合わず「さてどうするか......」といった時にふと頭をよぎったのがサムピックだった訳です。試してみるとまあラクでして。弾き心地や弦のアタックの感触などは通常のピックとは異なるため戸惑う部分は少なくありませんでしたが、最終的には慣れちゃいましたね。ハイゲインでのサムピックユーザーといえば元MEGADETHのChris BroderickやImpact Fuzeおよびソロ活動を行うFeodor DosumovやAndre Nieriなどが思い浮かびましたので、演奏している時の気分は彼らと同じです。ハイブリッド指弾きマンだぞ〜。
ここも前回と変わりません。最短でバッファーに入れてFM3に入力します。シールドは50cmですがそんな短さでも種類変えたら音に変化ってあるんですかね?レンジ広すぎるかと思ってBelden8412などを検討していたりします。試してみたいです。最近はもっぱらLimetoneのFocusを繋いでいます。
・タツタ立井電線TP7182(シールド)
・TC Electronic Polytune 3 MINI(バッファー)
・Fractal Audio Systems FM3
今回は初の取り組みとなるリアンプにて音を作っています。シグナルとしては下記スクショを見ていただきたいのですが、
ポイントはIn1からすぐOut2に繋いでいる部分です。これはS/PDIFの出力ソースを設定しているためドライ音をApogeeを通してLogicに送ります。Out1はXLRでApogeeと接続していまして、マルチトラック録音にて自分のテイクがどうかを聴くモニタリング用のシグナルチェーンです。
その後DAW上からFM3にUSBで音を戻し、In1から入ってきた音を......多分USBでDAWに戻したはずです。ここちょっと備忘録作り忘れて覚えてないです。ここからApogeeにはS/PDIFのソース変えても送れなかった気がするんですよね。何か方法は無いかと悩んでAppleサポートと電話で1〜2時間話しました。結局その時は解決できずに後日自分でどうにか解決しました。リアタイでリアンプする方法が後日偶然できた気がしましたが、基本的にはリアンプ→録音止めて聴き直しの過程が必要だったため途中からはIn1の後にルーパーを入れて音作りをしていました。
本家に似せるようにしたかったのですが......うーん無理!PT-100の音で、この時代のライブではFriedmanのモデリングを使っていたらしいのでモデリングはFriedmanをチョイスしていましたが、意外と3+SEとかの方が似たのかもしれません。
同じFriedmanでも数種類のモデリングがありますが長時間��聴き比べの結果、HBE V3(ダークなトーンでミドルが多い)を使用しました。MVをあげてミドルを稼ぎつつネガティブフィードバックをMAXにしてタイトさを出したりプリ管はECC83で空気感を似せるようにしてみたりなどしましたが、それでもアンプ部の工夫はその程度です。プレゼンスはギャリ感を稼ぐためです。ローは結構スカスカですがオケ馴染みはよく聴こえるので、恐らくAaronもそんなにローは出していないはずです。
ドライブはPeripheryのミーシャシグネイチャーのPrecision Driveのモデリングです。このブースターはかなり迷いました。ローは削りつつどちらかといえばハイ上がり、でもTS系のミドルブーストの質感は欲しいためあれやこれやと試していましたが、ふと閃いた本機がヨイ質感を出してくれた気がします。ブーストしても歪みがタイト過ぎずジャリ・ギャリ感を出せるようにゲインをあげています。クラシックなTSと違ってモダンなキャラクターになったのはINTERVALSっぽい(別に似てないですけど)かなと。ツマミはJason Richardsonのデモを参考にしています。終売したみたいですが欲しくなってきました。
キャビネットはIRを卒業しまして、FM3にも搭載されたキャビネットマイキングシミュレートシステム?(勝手に名付けました)のDynacabを��用しています。レクチのV30×4発ストレートキャビのモデルにSM57とリボンマイク(モデル元が明かされてませんがRoyer R121なのかなと思っています)を立てました。青点を好き勝手動かして音を調節可能です。数値的には距離があるのですが必ずしもマイキングは近ければ良いわけではないようですね。実際のキャビに自分でマイクを立てて音がどう変わるかの経験が無いのでl、この辺りはチャレンジでした。
その他前段コンプにMXRのDyna Compのモデリングを使っています。後ろのゲートが正直あまり効いておらずちょっとノイジーだと感じているのですが、それでもいい味付けになったと思います。
アンプとのキャラクターの組み合わせでいえばミドルもっこり系のアンプに上下がよく出るキャビの組み合わせとなりました。逆にギャリ感を強くしたFriedmanの他モデルに同じレクチのスラント仕様(こっちだとミドルがもっこりします)も試していますが、個人的には前者が近いかもと感じています。
その他マイクプリアンプはチューブ、3 Band EQはB:-2.00, M:+3.00, T:-2.50としたり、Airパラメータはガッツリ37.7%まであげたり(正直ミドル寄りのサウンドになったのはこのおかげですが似ていない原因もコレだと思っています)、アンプよりもキャビしっかりいじるのが大事だと再認識しました。
同じくクランチもリアンプにて音を作っています。モデリングは本家と同じくMESAのTriple Crownのch2です。比較的ニュートラルなEQのペダルコンプレッサー1でオクターブでの弦音��と整えつつ、DriveはPrecision Driveのゲインを下げて各トーン関連も動かし、アンプ部はギャリギャリしすぎないようトレブル〜プレゼンスはガッツリ下げてミドルあげています。ゲインはもうちょっと下げてもよかったですかね。さらに2段階のブーストとなっておりMid Boostを0.00dBでオンにしていたようです。パワー管は6L6 GC、プリ菅は12AX7AでどちらもJJ Electronicのモデリングです。若干トレブル寄りのカラーになります。その他全体的としてはミドルを押しまくるサウンド傾向でした。
キャビはハイゲインと変わらず同じキャビとマイクで、その他パラメータを変更いたしました。マイクプリはFET IIです。EQでトレブルは-7.75とかになってるのでかなりのハイカットですね。でも丸くならないようにアンプ部でブライトスイッチはONにしています。
・Universal Audio 1176 Classic Limiter Collection
※左上のです。
ミックスにあたりと申しておけば聞こえは良いのですが、単純に今年はコンプレッサーに興味があったので調べていまして、ギターにかけるならFET系コンプと知り、ならばと遂に私もUAD製品デビューを果たしました。Fractal製品は1176モデリングが無いので......。これ本当に良いです。露骨に音がランクアップしますので、迷われている方はブラックフライデーにでも買うと幸せになれそうです。
自分が使ったのは1176AEなるモデルです。Slowアタックや2:1レシオなどが他機種との差別化となっているコンプですが、ベーシックに4:1でかけ「アタック最遅&リリース最速」の定番セッティングとしています。ニュートラル特性だけどコンプ感もあって非常に好きなモデルです。
ついでにプラグイン類の説明ですが、FM3で音作りが完結出来なかったためEQを挿しています。モダンハイゲインらしく10000hzを削���ていましたが耳障りの良さを追求し最終的には9000hzからのカットで落ち着きました。EQはハイカットオンリーの用途です。
ディレイはH-Delayをピンポンしています。後にテクニックとして判明しましたがもっとロー削ってもよかったです。リバーヴはLogic付属のものです。DAWプロジェクト内のギタートラックが多いため、リバーヴを増やす度にプロジェクトがクラッシュしないか気が気じゃなかったです。BUSを使っても何個も立ち上げていました。今夏も室内でクーラーがついていましたが、それでもしっかりファンが回っていたため怖かったです。今年のプライムデーでメモリ買って増築したいと思います。
後輩君の音は彼自身がNeural DSPで作成した音を送ってもらっていたため最小限のイコライジングとし空間はこちらで設定しています。
コンプは1176 Rev Aを使いました。ギターでは本機が一番使用されているようであのJens Bogrenもコレをよく使うらしいです。自分の音にはこちらを使うつもりだったのですが、持ち上がったミドルのキャラクターと自分の音が合わず、しっくりきていない所で他機種を試した結果1176AEがハマったためRev Aは使用しませんでした。
逆に当初は後輩君の音にAEを使っていたものの、AEがニュートラル特性とはいえ味付け過多になるのは申し訳ないと感じていた所に、Rev AとRev Eモデルはコンプ部のオフ設定が出来るためそれならばと試した所、音質のランクアップをしながら元の作ってくれた音を邪魔しすぎない結果となったために採用しています。EQは若干だけハイカットをしてみましたが気に入ってくれたみたいです。空間系は一緒のセッティングです。
クランチパートに関してもほぼ同一です。ただ設定は変えています。また音源の通りフィルターがかかった部分はLogic付属のフィルターでローパスをかけています。飛び道具的に空間系がかかっていたりフィルターのかけ具合もパート・フレーズによって異なっていたり、本家の音源に合わせて音量の調節やパンの振り分け(特に序盤の��から右に移動して最終的に真ん中に戻るアレとか��)もぜーーーーーーーんぶやりました。完遂した時は「コレもうMIX師名乗ってよいのでは......?」と思っていました。ですので素人仕事でよいのであればやりますよ。歌い手でも何でも。お金になるのであれば。
ではプロジェクトのスクショあげて機材編は終わります。
不要なのが3つありますがトラック数......。こんな感じです。中央がバッキングトラックで上が自分、下が後輩君です。自分に関してはリアンプ前のドライ音が各トラックにあるため倍の量でした。完成したので大体削除してます。えげつない。
-あとがき-
ここまで4〜5時間くらいかけて書いています。客観的に「異常者かな?」と思います。大丈夫ですよ。文才は全く別として、こうやって物書くのは好きなのですが、使う時間が多すぎて貴重な休みを消費してしまうのが悲しく、書きたい物事が溜まり、いずれ消えゆくのが私の常です。
そんなところでしょうか。ではまたお会いしましょう〜。
次回作......は実は決まっています。諸事情と言いますか、ちょっとした機会があり年末までに1〜2曲弾く用事が出来ましたので、それが終わったらそのままそれをそれするつもりでいます。それそれ。
上手くいかなかったら......次はどうしましょうかね。とりあえず年末〜年明けでの退職予定(上司から時期の引き留めくらってますが早めに辞めたい)なので2024年は人生にちゃんと向き合う年になりそうです。そうなったら動画投稿もちょっとお休みするかもしれません。しかしギターは弾き続けますよ、そりゃあね。
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ考察④ キャラクター別考察その1 ヌードルスについて❷
ご注意!
女性へのレイプを話題にしています
キャラクターをけちょんけちょんにしています
❶に引き続きお付き合いください。述べた通り今回は前回のヌードルスポジティブキャンペーンに対して、「ここを直せヌードルス」の話題で行かせていただきます。まず早速、一挙に一覧にしてしまいます。全部私個人が「駄目だろ」って思ったことなので主観だし、そもそも私の常識がずれていて「あれはいいんだ……」と思わせてしまうこともあると予想できます。
・そもそも犯罪者
・厚かましい
・女性をレイプする
・怪しい
・情けない
・嫉妬の表明方法がカス
・ここぞという時の言葉選びが最悪
・密告する
・クソ鈍感
・謝らない
これまた長くなりそうですが、とりあえずひとつひとつ解説していきます。
・そもそも犯罪者
言うまでもありません。非合法のギャングに身を置く社会の敵です。禁止されている酒類の取引はもちろん、殺人一件(二件?)の前科者で、出所後も普通に人を殺しています。更生とは何なのか。それ以前に逮捕される前の少年期でも、命令とはいえ人の店に放火して楽しむような倫理観です。育ちが悪かったといえばそれまでですが。加えて違法薬物の阿片にも手を出し、後述しますが女性へのレイプもする。かなりの数の赤ん坊をいたずらに取り替えても罪悪感なし(これも彼らの生まれた環境が大きな要因でしょうが)。本編でやっていることほとんど犯罪���ゃないか。
・厚かましい
❶でもちょっと触れましたが、ヌードルスは35年ぶりに会ったモーに割と厚かましいです。「酒は?」じゃないんだよ。あとたぶん老年期ヌードルスはモーのひと部屋に寝泊まりしているけど絶対この人宿泊費払ってない(決めつけヨクナイ)。しかしこれは少年期の頃から。ヌードルスがぶつかったせいでモーが料理を落としてしまったのに悪びれた様子はなし。「悪いなデブ」じゃないんだよ。厳密にはモーに対してはやたら厚かましい、という感じですね。他の仲間と異なりパワーバランスが明確です。
・女性をレイプする
駄目ですね。この事実だけでヌードルスというキャラクターが受け入れられなくても仕方ないと思います。ヌードルスは体格もよくて力が強いので、大抵の女性は彼に比べれば弱いでしょう。抵抗できない弱者に対する卑劣な暴力であり犯罪です。しかもこれらのヌードルスの罪は法的に罰せられることもなければ、彼の所属するコミュニティから責められることもない(そもそもキャロルの時はマックスの言がきっかけ)。ヌードルスに加えて、当時の社会とホモソーシャルの有害さがおわかりになるでしょう。しかしこの描写が「ワンアメは女性を蔑ろにしている映画」という批判につながるとは言い切れず(私個人としてはそれ以外の描写が問題と考えています)、事実レオーネ監督はレイプシーンが原因で「レオーネは女嫌いだ」というレッテルを貼られましたが、私は的外れだと意見します。元々二つのレイプシーンは原作にあった話であり、監督はこれらをヌードルスというキャラクターが時に直情的な、一般人ではない犯罪者なのだと表現するために入れた、つまり映画にするにおいて欠かせない要素として取り入れた、と私は考えています。もちろん女性への性暴力ならびに犯罪をただ「物語の要素」として考えるのはまさしく暴力的であり、かつ演じた役者さんの心情を蔑ろにするあってはならない思想です。私に当時の撮影状況を知る術は皆無に等しく、せめて役者さんへのケアが行われたことを祈るしかできません。
・怪しい
やたら抽象的ですみません。エクステンデッド版で追加された墓地の詳細を聞くシーン、ヌードルスは怪しい車のナンバーを書き留めますがお前も大概やぞって感じです。「アーロンソン氏と連絡を取りたいが、連絡先を紛失してしまって……」は怪しさ全開すぎて私だったら知っていても教えたくない。
・情けない
デボラに振られた挙句彼女をレイプしてそのあと飲んだくれて阿片に溺れて仕事ほっぽかす、もう情けない以外の一言もないですね。加えてエクステンデッド版で追加されたシーン、イヴとのファーストコンタクトです。出会うなり「デボラと呼ぶ��じゃないんだよ。まあいいか、500ドル払ってるし……でもそのあと結局何もしないのは情けないな〜としかなりません。でも筆者は不覚にもキュンと来ました(顔のいい情けない男大好き部)。たぶんイヴも同じだったんじゃないかな、と。ヌードルスのタチ悪いとこって、ロバート・デ・ニーロの身体持っている点だと思います。ルッキズム的ですみません。
・嫉妬の表明方法がカス
久々にヌードルスが葬儀屋オフィスに来たシーンです。ヌードルスはマックスから仕事をすっぽかした件を責められます。マックスの言は妥当。でもヌードルスは傷ついた自分を慰めてくれない上に、気に入らない女を職場に連れ込んでいるマックスに苛ついたのかキャロルのことを引き合いに出します。ここ責めたとしたら絶対ヌードルスは「からかっただけ」とか抜かすのですが、実際はさまざまなことが上手くいかない状況への不満をマックスに対し、キャロルの存在を否定することでぶつけているだけ。マックスを責めながらキャロルに責任転嫁しているという、自覚していないでしょうが本当に卑怯な手を使っています。そしてマックスはすべてにおいてヌードルスを優先するマンなので、怒鳴り散らしてキャロルを追い出します。これで満足か、デイビッド・アーロンソンさんよォ……。項目こそ「嫉妬」としましたが、どちらかというとこの時のヌードルスの感情は「拗ね」に近いと思われます。
・ここぞという時の言葉選びが最悪
これがどこのシーンを指しているのかは、本編をご覧になった方はわかるでしょう。はい、フロリダにてマックスが連邦銀行襲撃を提案した際の、ヌードルスの返答ですね。「狂ってる」じゃないんだよ!!!! これは原作にもあるシーンです。経緯は異なりますが、原作のマックスは本気で連邦銀行襲撃を企て、ヌードルスに「狂人のやることだ」と言われて激昂します。このシーンの何が悲しいって、連邦銀行襲撃は少年時代の原作マックスの夢だったんですよね。この時もマックスは本気にしないヌードルスに怒っていました。私は映画のマックスは、のちの考察で触れますが連邦銀行襲撃は本気じゃないけど本気だった、と考えています。まるでわけがわからないと思いますがここはスルーしてください。たぶん特に脚本でシーンが描かれた様子はないけど、原作と同じように映画のマックスもヌードルスに連邦銀行襲撃の夢を語ったことがあったんじゃないかな、と私は妄想しています。幼い頃語った夢を、もしも「狂ってる」なんて、肯定どころか否定ですらなくただ拒絶されたら、怒って当然だと思います。それでもってマックスにとってその言葉は、幼い頃のトラウマを呼び覚ますものなのです。
はいでは予想以上にマックスからキレられたヌードルスくん。「二度と言うな」とも言われたし反省してもうそんなひどい言葉をマックスに投げかけたり��ないでしょう。言うんだなこれが。それはただでさえ最後に過ごせた日。そしてその言葉がヌードルスにとって最後にマックスに投げかけた言葉。国語が苦手か? でもたぶんわざと言ったんだろうな、と私は考えています。親友のマックスが本気で自分を捨てるような言い草をして、ヌードルスもカチンと来たのでしょう。つまり売り言葉に買い言葉。結果はマックスの勝利(本当に?)。ただ擁護すると、もしヌードルスがマックスの父親の事情を知っていたらきっと言わなかったと私は信じたいです。
・密告する
実はこれに関しては私の意見でなく知り合いのものです。私としては、「密告をするにはしたが友の命を救うためならば仕方ない」というものでしたが、知人曰く「ホモソーシャルにおいて理由が何であろうと密告は絶対に許されない」とのことでした。たしかに言われてみると、私がこれまで見てきたホモソーシャルを舞台にしたフィクションないしノンフィクションも、密告という行為はかなりタブー視されている印象でした。だとしてもヌードルスが友の命を救おうとしたのはやっぱり否定したくありません。きっとヌードルスは現代に生きる我々よりもずっと、密告の代償を覚悟していたと思います。しかしその代償は想像をはるかに超えるものでした……。
ただ彼がホモソーシャルでタブーとされる密告行為をし、さらに逃げ場の無くなる刑務所に行く覚悟もあったこと、これらはヌードルスが有害なホモソーシャルから抜け出せる気概も持ち合わせている証左かもしれません。私がそう信じたいだけではありますが。
・クソ鈍感
まあこれには色々言いたくはあるのですが、とりあえずここでは一例だけ。クリストファー・ベイリーについてです。本編の通り、ベイリーの正体は死んだはずのマックスでした。ここで突っ込みをひとつ。こいつ隠れる気まるでない……。それもそのはず、ぶっちゃけマックスはばれても構わなかったのだと思います。何だったらヌードルスに手紙を出した時点でまあもしかしたら気づいてるかもな、くらいの気持ちではいたのかもしれません。しかしまたしても何も知らないヌードルスさんです。年取ってダンディズム増したジミーのことは一目でわかったのに、ベイリーのことは見てくれなかったんですか? こればかりは少なくとも数ヶ月はテレビと新聞見ていなかったレベルだと思います。もはや鈍感というかすごい世間知らず。逃亡生活が興に入りすぎて外界と関わりを絶っていた可能性があります。鈍感さを指摘したかったのに脚本の甘さを指摘したみたいになっちゃった。でもワンアメはすごい映画なのでここも何気に説明はつくんですよね(後述)。
・謝らない
人として駄目な条件ベスト10には入りますね。料理をひっくり返させたモーには「悪いな(Sorry, Fat)」とは言いましたけど謝る態度ではない。仕事を失恋ですっぽかしても謝らない。何より35年ぶりに会ってかつあんなことをしたデボラに対して挨拶の次が「何か言うことはないのか」。お前だろ!! 何か言うべきなのは!! 謝れや!! となったのは私だけではないと信じたいです。
とりあえずこれで以上です。❶と❷を見ると、ヌードルスは善悪入り混じった、ではなく善性の要素も悪性の要素も併せ持ったキャラクターなのだと伺わせます。ただ思うに、もしも完全に混じっていたらある部分だけを取り除くのはできないけれど、混じっていない状態だからこそ悪いものをまだ捨てることができるのではないでしょうか。私がヌードルスに嫌いなところがたくさんあっても好きなキャラクターであるのは、そういう箇所を直せる人間だと信じたい節があるという理由があります。希望的観測かもですね。でもヌードルスはそんな小さな望みを抱かせるキャラクターです。
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日記とアメリカのソフトウェアエンジニア面接で聞かれたテクニカルな質問メモ
備忘録です。アメリカの中小IT企業を2社受けて、結果的に両者からオファーを頂けました。
私のスペック
最終学歴は国際信州学院大学理学部電子機械学科卒業です。大学入学時のセンター試験の英語の点数は196点で、国際信州学院大学に合格したのも英語の試験でほぼ満点を取れたことが大きいと思います。大学在学中は、大学で独自に行われた英語のテストで1番上のクラスに分類されたため、英語の授業は帰国子女と一緒に受けていました。TOEICやTOEFLは必要に駆られなかったため受けたことがありませんが、周りの人を見ているとTOEIC800点くらいなのかな?と思います。当然ですが、日本で上の方の英語力だったからと言って、アメリカでネイティブとバリバリ話せるわけがありません。アメリカでお仕事をする際に英語力の欠乏にはかなり苦労を強いられましたが、幸いエンジニア職の面接では英語力はそこまで問われませんでした。なんとなく考えていることが伝えられれば大丈夫なようで、重要なのは技術力の面なのだと感じました。
中学生の頃には将来プログラマ〜になりたいな〜と考えていましたが、わかりやすく言うと両親が毒親で家庭が終焉(オワ)っていたので、本当にComputer Scienceを学び始めたなという実感が持てるようになったのは大学3年生の頃です。もちろんそこから満足にコーディングインタビュー対策をすることはできず、大学在学中にはデータ構造やアルゴリズムをほとんど理解することができませんでした。競技プログラミングもかじりましたが、なにせ前提知識がなく、数学的な閃き力もなかったため自分なりにいくら頑張っても上手くはなりませんでした。過去問を解きまくっても自分が成長している実感がわかず、競技プログラミングが嫌いでした。競技プログラミングくらいできろよ、みたいな圧力がとても不快だった記憶があります。延々と身長190cmのバスケ選手とバスケをさせられている気分でした。
日本でのコーディングインタビュー経験
日本ではコーディングインタビューを受けたことは1度しかありません。大学3年生時に、国際信州学院大学に広報に来ていたIT企業の方が「バイト感覚でインターンに来てくれたらいい」と宣伝していたのを鵜呑みにして面接を受けにいった結果、普通に落ちました。問題を与えられて何も思い付かずに面接官3人と自分全員が無言の状態でただ時間が過ぎていくあの経験はトラウマです。
私も単純にコーディング能力が足りなかったのと、何も思い付かなくても自分の思考プロセスを口に出す等のセオリーを知らなかったのも悪かったと思いますが、今考えると面接官の方々も不慣れだったのかなと思います。出された問題が、All or Nothing型の問題で、部分点が存在しなさそうなものでした。私経験・調査上、実装できるか実装できないかの問題を出されることは稀だと思っていて、例えばO(n^2)で全探索できるけれども、それをもっと速くO(nlogn)やO(n)にするにはどうしたらいいか面接官とやりとりをしていく中で答えにたどり着くような問題が好まれていると感じています。また、私が発言しなかったのも今思えば悪かったのですが、コーディングインタビューは基本的に対話なので面接官側からの発言が普通ならもっとあるだろうなと思います。
なんにせよ、この経験でコーディングインタビューへのトラウマが植え付けられました。
コーディングインタビュー対策
皆さん「Leet Code」か「Cracking the Coding Interview」でコーディングインタビュー対策をするとおっしゃるので真似してみるのですが、さっぱり自分が前に進んでいる気がしません。色々模索したところ、やはり基本的なデータ構造とアルゴリズムの知識がないとそれらを活用できないと思い、基礎がために注力しました。他にも色々あるのですが、割愛します。時系列が分からなくなっていると思うのですが、コーディングインタビュー対策を真面目にやり始めた時点で大学を既に卒業しており、アメリカの非エンジニア職で食いつないでいました。なので、コーディングインタビュー対策は働きながら17時くらいに仕事が終わってから喘ぎながらしていました。
ビザとか
私は幸運にもグリーンカードを所持しているため、ビザには困りませんでした。どの企業に連絡しても、アメリカで合法で働ける資格を持っているのか確認されました。日本人向けに就労ビザを発行するのは骨が折れるようですね。私は就労資格で振るいに落とされる可能性がなかったのはかなり幸運でした。身の回りのアメリカへの移住に成功した人は、私の観測範囲内では(偽装も含め)結婚という手段で永住権を獲得しているので、アメリカに移住する場合はまず留学か短期の駐在でアメリカに来て配偶者を獲得するのが主な手段かと思われます(ちなみに私に配偶者はいません)。米系企業にスポンサーしてもらえるような天才気質の方は、そちらで良いと思われますが、スポンサーしないといけないような日本人とスポンサーが必要ないアメリカ人では後者の方が優遇されやすいのは想像に難くなく、実際に米系大企業に入社できたものの、数年でスポンサーを解除されてしまった方を2人知っています。日本の企業からの出向で、グリーンカードを得て、アメリカに永住という方は個人的な経験では見たことがないですね。
とにかく、私はビザの面では運が良かったと言えます。なので日本人の方が私以上の実力を持っていたとしても、私よりも就職するのは難しいと思われます。
というか、日本良い国ですよ。医療制度やらなんやらが確立していて、普通に暮らす分には申し分のない国だと思います。あと、多分ご飯が世界で1番美味しいです。あの値段であの美味しさのものが買える国はまぁないと思います。丸亀製麺、てんや等、びっくりするくらいコスパが良いご飯が少し出歩けばあるのはやばいです。犯罪率も低く、アメリカにいると子供が誘拐される事件を結構耳にしたりし、近所のモールで銃発砲事件があったり、夜に出歩かないように親戚に注意されるなど、日本って安全だったんだなという気持ちによくなります。多分日本にいたのが人生で1番長かったからなのかもしれませんが、日本人の感覚がとても好きで、例えばアメリカ人はガンガンごみをポイ捨てするので(体感、ポイ捨てする人の比率が日本より多いという意味)道路脇はかなりゴミだらけです。日本ではあまりそのような光景を見ません(高速道路付近を除く)。アメリカだと本当に関わったらヤバイやつもよく見かけますし、日本良いですよ。確かに日本には、ちゃんと利益を出して成長している会社が少なく、私たちの下の世代が苦労しそうな感じはしますが、今生きている人たちが安全に死ぬくらいまではなんとかなりそうな気がします。
アメリカで出会う日本人の方が「アメリカLOVE」な人ばかりなのは、アメリカが合わなかった人が日本に帰っちゃうからなんだろうなと思います。
面接まで
Resume(日本で言う履歴書、ただしフォーマットが決まっていないのでやりたい放題)、LinkedIn(転職のデファクトスタンダード���を(自称)プロにお金を払って見てもらったりして準備しました。私はエンジニア職の経験が少ないので、Junior Software Engineerというjob titleに絞りLinkedInで片っ端から応募してみたのですが、Resumeの時点で落とされて不採用メールが来るのはまだマシで、だいたいの場合は音信不通でした。LinkedInのDMでそれなりの大企業に「あなたの経歴に興味があるから履歴書を送って」と言われて、メールを送ったらそのまま音信不通になったのはなかなか印象深いものでした。生活がかかってる+誰からも必要とされていない感覚はかなりメンタルに来ましたね。
IndeedやMonsterという就活サイト?にも登録していて、よくそこから翻訳の仕事の声がかかりました。エンジニア志望とはっきり書いてあり、Resumeもエンジニアに絞ったものにしてあるのに非エンジニア職の求人ばかりが来るのはなかなか精神にこたえました。日本人の人材仲介会社みたいなのからもよくお声がかかり、全体的に応対が高圧的で不快だったのを記憶しています。不快だったなと思ってレビューを見て見ると案の定レビューがボロクソ書かれています。特にActiv8という会社は、希望の職ではない求人を断り、Activ8さんに掲載されている求人に現時点では興味がない旨を伝えたところ、「年収1000万超えのソフトウェアエンジニアの求人もあったのですが、残念ですね(あ〜あ)」のようなメールが送られてきて、私はかなりlevel-headedな人間なので憤ることはしないのですが、すごい会社だなと思いました。逆にやりとりが好印象だったのはQuick USAという会社さんですね。そこでの機会には恵まれませんでしたが。
そんな中、Indeed経由で初めてJunior Software Engineerの募集を送ってきた仲介会社さんがあったので、そちら求人に応募してみる運びとなりました。
また、LinkedInは、DMに返信をちゃんとしていると「DMに応答しやすい人」みたいなタグ?が裏でつくことを知っていたので、どんなDMでも返信するようにしていました(こっちが返信したら音信不通の場合が多い)。そんな中、ある企業からお声がかかって、「どうせ音信不通になるんだろうな」と思いつつホイホイ返信していたら、いつの間にか面接の日程が決まっていました。これにはかなり驚きましたね。
面接の流れ
A社は(イントロ+面接+技術面接:2時間)+(最終面接:40分)で内定をいただける運びとなりました。
B社は(イントロ:20分)+(技術面接+イントロ:2時間)+(技術面接:2時間)+(最終面接:30分)でofferをいただける運びとなりました。
流石にコーディングインタビューまで詳細に書いていたら気が触れてしまうので、コーディングインタビューは触りだけで、テクニカルな質問を中心に覚えている限りまとめたいと思います。
コーディングインタビューの方針
これは私の方針であって正解ではありません。
基本方針として、まずは全探索(brute force)の解法に最初に言及するようにしました。そうすることで、最悪ブリリアントな解答が思いつかなかった場合も1番簡単な全探索と実装してお茶を濁すことができます。
また、自分の思考プロセスを逐一口に出すことを徹底しました。そこで面接官との対話が産まれます。
分からないことは分からないときちんと言うようにしました。どうしてもとっかかりが分からない時は「何かヒントをくださいませんか?」と正直に聞きました。この姿勢の良し悪しは企業にもよるのでしょうが、2社からかなり評価されたようです。(そもそも私は嘘をつくのが嫌いで、証券マンになってお客さんを騙してこれ絶対儲からないだろって金融商品を売りつけるみたいなことは多分できません)
気をつけたのはこんなところでしょうか。
テクニカルな質問集
自分の回答をメモ書きしておきます。回答であって解答ではないので、厳密には正しくなかった可能性が高いです。Junior Software Engineerだったらこのくらいで受かるのか、というくらいの参考にして頂ければと思います。これはもっとこう言った方が良かったかもね、という指摘を歓迎します。
A社
O記法とはなんですか?
入力されたデータサイズに対して計算時間がどのように変化するかを表す指標、みたいに答えた記憶があります。どう説明したら良かったのでしょうかね
What is the object oriented programming?
関数型プログラミング言語では、プログラムが関数で構成されている。それと同様で、オブジェクト指向ではプログラムがオブジェクトという箱の組み合わせで表現されている
ErrorとExceptionの違いを教えてください
これは正直分からなかったので、今まで書いてきたコードを思い出して、I guess exceptionはコード中でcatchできるある意味dynamicなもので、Errorはある種staticなもの、と苦し紛れに回答しました。
ExceptionはrecoverbleでErrorはunrecoverbleなものだね、と面接官の方が教えてくださいました。
HTTPについて知っていることを教えてください
「正直に申し上げるとあまりプロトコルについて詳しくないのですが、ユーザがリクエストをサーバーに送ってサーバーがユーザにリクエストされたコンテンツを送り返す際に使用するもの」、と回答しました。
今考えると、最初に公開鍵暗号で共通鍵を交換して、共通鍵暗号でデータのやりとりを行う、みたいなことは言えたのかなと思います。
GETメソッドとPOSTメソッドの違いについて教えてください
GETメソッドはサーバーの状態に影響を与えないが、POSTメソッドはユーザーデータの登録等でサーバーの状態を変更しうる、と回答しました。
B社
StackとHeapについて説明してください
StackはFILOで、データにアクセスする時には1番上の値にしかできない。Heapは、min-heapの場合は、1番小さい値がHeapの頂上に残り続け、新たに値を挿入する等してHeapの状態が崩れた場合も、その形を変えて1番小さな値を頂上に残し続けるデータ構造です。みたいに回答したと思います。
StackとHeapが実際に使われている例を思いつきますか?
StackとHeap両方が使用されている例を思いつかなかったので、Stackが使われていそうなBrowser Historyを挙げました。Browser Historyは、ここではブラウザ左上のページに戻るボタンと前に進むボタンのことです。訪れたURLをStackに積んでいくことで後ろに戻るボタンを実装できると考えたのでそのように回答しました。面接官に言い忘れていたのですが、もう一つStackを用意して、後ろに戻るボタンが押された時に後ろのURLを保持しているStackからpopしてもう片方にpushすれば前後移動が可能になるのかなとも考えていました。
Stackだと後ろに戻ることはできるが、後ろに戻った時に前にもいけるデータ構造を思いつきますか?(話題がBrowser Historyに移行)
(沈黙)
Linked Listについて説明してください
値を保持したNodeが次のNodeへのポインタを持つことでNodeが繋がっており、全体の走査等が可能なデータ構造
Doubly Linked Listについて説明してください
Nodeが次のNodeへのポインタだけでなく、前のNodeへのポインタも保持することでNode間の行き来ができるデータ構造
Doubly Linked ListからNodeを削除する時はどのようにすれば良いですか?(1,2,3,4,5のNodeがあるとする)
2のnextを4に、4のbackを2に付け替えてから、3を削除する
Browser HistoryをDoubly Linked Listでどう実装すれば良いですか?
あるNodeへのポインタをユーザが保持し、後ろに戻る時は後ろむきのポインタを辿り、前に進む時は前向きのポインタを辿れば良い。
Googleで何かを検索する時、今までの履歴からvisit回数が多い順?にURLが表示されます。これはどのように実装すれば良いですか?
(沈黙)
keyとvalueをpairにして保持するデータ構造を知っていますか?
(Pythonで言う)dictionary(HashMapと回答すべきでした)
HashMapですね、HashMapとDoubly Linked Listを併用すれば良いです。
ソートアルゴリズムを可能な限り列挙してください
shell sort、insertion sort、selection sort、merge sort、quick sort、bubble sort(shell sortだけは理解してなくて実装できないので、shell sortには触れないで欲しいなぁと思っていました)
それらのソートアルゴリズムで1番速いのはどれですか?
merge sort、quick sort。間があいたので、説明しろとのことかと思い、merge sortはin-placeなソートアルゴリズムで、quick sortはin-placeではないソートアルゴリズムです。quick sortはextra spaceが必要なくて、merge sortはspaceが必要です、と説明した記憶があります。今考えたら下手すぎますね。
英語が下手すぎて、イヤイヤ、quick sortはspaceはいらないんだよ、値を交換していくだけだから、と面接官の方に言われ、誤解を与えたと思って「quick sortはspace必要ないですよね、値を交換するだけなので」とかぶせに?いったけど、ちゃんと伝わったか不明。
merge sort とquick sortの計算量は?
O(nlogn)
Quick sortがnlognの理由を説明してください
Quick sortは配列をどんどん半分にしていって処理します。半分の半分の半分の半分の...と続けていくと、その半分にする回数はlogn(基数2)です。そして一回ごとに値の走査O(n)が必要なのでn*lognでO(nlogn)です。
Gitのコマンドを可能な限り列挙してください
(最初質問が分からなくて、他のVersion Control Systemとの違いを説明しろとのことかと思って、Gitでは全てのファイルをハッシュで〜みたいに回答したところで止められました。add と��〜と言われて、なるほど理解)
add commit stash reflog branch checkout switch pull merge fetchあたりを答えた気がします
fetchとpullの違いはなんですか?
pullは他のブランチをmerge commitでもって取り入れることで、fetchは現在の作業ディレクトリに影響を出さずにremote repositoryの状態(なんとも歯切れの悪い)をlocal repositoryに反映させること、みたいに回答しました。
cherry-pickとはなんですか?
特定のcommitだけを取り入れること(フワフワした回答)
AuthenticationとAuthorizationについて説明してください
Authorizationはユーザになんらかの権限を与えることで、Authenticationはユーザが権限をもっているか確認すること
InheritenceとCompositionについて説明してください
InheritenceはIs-A relationshipとして知られているように他のクラスから要素を継承することで、CompositionはHas-A relationshipと知られているように他のクラスを内部にattribute(という表現を使ってしまったが厳密には違うかも)として持つこと、と答えました。
InheritenceとCompositionのどちらが良いと思いますか?
InheritenceとCompositionのことを、どちらの方が良いか判断できるほど理解していません、すみません
Singleton Patternについて何か知っていますか?
デザインパターンの記事において読んだことはあるのですが...(思い出し中)...すみません、忘れてしまいました。
Web ApplicationにおけるEncryptionとHashについて説明してください
ユーザのパスワードをデータベースに保持する際に、データベースを見られたら危険なため、パスワードをそのまま保持するのではなくそのハッシュを保持する。インターネット経路は傍受可能で安全ではないため、ユーザとデータをインターネットを介してやりとりする際には暗号化が必要になる。基本的に、最初に公開鍵暗号で秘密鍵を交換してから、もっとデータ交換に効率の良い共通鍵暗号でデータのやりとりを行う。
公開鍵・共通鍵のくだりは、そうだね、それがHTTPで行われていることだね、と教えていただきました。
SQLインジェクションの(自分でどこかで言及済み)他に知っているサイバー攻撃をできるだけ列挙してください
DoS・DDoS攻撃(しかその場では思いつかなかった)
今考えると、有名どころだとクロスサイトスクリプティングって言えば良かったなと思います。
プログラミング以外の趣味はなんですか?
これは本当に困りました。最近何をしても人生おもんないな〜という感覚が拭えなかったので、特に趣味という趣味はありませんでした。趣味を聞かれて即答できる人っているのでしょうか?そんなに全人類土日になったらやりたいことが決まっているようなものなのでしょうか?
全く役に立たない・非論理的だと分かっていながらも余暇で自己啓発本を読んでいること、ゲームも結構やっていてSkyrimは500時間以上遊んだ、と回答しました。
インタビューにおける誠実さについて
前職を辞す際に上司の方から「アメリカでの就職はかなり自分の能力��大袈裟に言わなければならない」とアドバイスをいただきました。例えば「フランス語を少し勉強したことがあるならフランス語ができるって言ってしまう」みたいな感じです。もはやアメリカ人みんなそんな感じで大袈裟にアピールするので、HR(人事)もそれもそれを分かっててResumeを見たりするらしいです。これは前職の先輩方からのアドバイスだけではなくて、アメリカに無数に散らばっている親戚や知人(元Apple、Tesla、IBM等がいる。プレッシャーかけてくんな。)にアメリカでの就職のアドバイスをもらいにいくとみんな口を揃えて「自分を大きく見せろ」「ハッタリをかませ」と言ってきました。
私はこの風潮が嫌いです。10の仕事しかできないのに100の仕事ができると言って会社に入り、後々問題になったらどうするのでしょうか?就職はそういうゲームなんだと言われればそれまでですが、単純に誠実でない人と仕事したくないと思うのは私だけでしょうか?
エンジニア就職だと、面接でいくら天才アピールをしたってコーディングインタビューでほとんどバレると思うので、上記のアドバイスは無視しました。私はまだ精神的に幼稚なので、人を騙してお金を稼ぐような行為が全体的に嫌いです。まだ社会経験が少ないよちよち歩きの赤ちゃんなので、他人に対しても自分に対してもできるだけ誠実に生きたいと思ってしまうのです。
後からわかったのは、この私のできる限りの誠実さは2社のソフトウェアエンジニア職で非常に評価された点だったとのことです。文系就職のことはさっぱり分からないのですが、エンジニア職ならどうせハッタリはバレるので、実力で勝負した方が良いんじゃないかなというのが私の個人的な考えです。といっても、私はJunior Software Engineerのポジションを、それも2社というごく少ないサンプル数受けただけなのでmid-levelから上の世界は全く分かりませんし、Resumeスクリーニングで落とされないように自分がやってきたことを少し良い感じに書いているのは私も同じなので、そこも含めて嘘ついているじゃないかと言われると苦しいところがあります。このへんは人によって信念があるでしょうから、私が何かを断言することはできません。
結果
2社両方からofferを頂くことができました。2社ともかなり良い条件(当社比)をご提示頂いたので、あとは色々と条件を比較して結論を出そうと思います。すぐさまクビになるんじゃないかとビクビクしているのですが、私を面接で通した会社の方が悪いと思って、自分なりに頑張っていきたいと思います。
nere9について
私がいくら内向的な人間で、四六時中他人と過ごすことを嫌っていたとしても、アメリカで孤立している中、どうしても微かでも良いから人との繋がりが必要でした。前職を辞すタイミングでmastodonを始め、LTLを眺めているだけでまだ社会から隔絶されていないと思うことができました。
妹とパブに行った際に、1人で来ていたおじいさんが周りの家族連れ・カップルを眺めながらお酒をちびちび煽っていた光景をよく思い出します。あの��じいさんの心情を完全に推し量ることはできないのですが、私にはあの光景は、まだ社会の一部に自分が存在してる実感を得たかったように見えました。
私にとってLTLは、あのおじいさんにとってのパブみたいなものでした。本当にありがとうございました。(と書くとラブレターを書いているみたいでなんだか恥ずかしいのですが)
その他
まだ人生経験が豊富ではないのですが、何か個人的な質問等があればいつでも受け付けております。
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Ghost of Tsushima (2/2)
「Ghost of Tsushima(ゴーストオブツシマ)」のプレイ記録です。
新年あけましておめでとうございます。 前回の記事から、しばらく時間が空いてしまいました。
Ghost of Tsushimaは、自分のやってきたゲームの中でもかなり非常にハマった作品だったので、急がず時間が取れるときにゆっくり書き進めて行こうと考えていたのですが、なかなかまとまった時間が取れず…。
やっと本編についてじっくり文字に起こせるぞ~!
今回の記事ではストーリー全体を思い出しながら、個人的に好きだった場面やキャラクターを振り返っていきたいと思っております。 まさにプレイ記録。自己満足のための備忘録です。最近記憶力の低下が著しいので。
※ネタバレ含みます。 ゲームをやってみようと思っている方は、是非クリアしてから読んでほしいです。
いや、もう正直、初っ端からラストまで衝撃の連続。
仲間たちとの出会いや別れ、裏切り。大切な人との対峙、葛藤。蒙古への復讐心…。 完成された対馬の物語に、もう心を打たれっぱなしでした!
この物語は、対馬国・小茂田での戦にて、コトゥン・ハーン率いる蒙古軍に志村率いる武士軍が完敗するところから始まります。
志村は囚われ、他に生き残った武士はただ一人。 主人公「境井仁」のみでした。
仁之道を彩る、個性的で情熱的な仲間たち
蒙古に敗れ、気を失っていた仁を救った女野盗「ゆな」。
彼女の物語は本当に壮絶でしたね。 そして、その彼女がいなければ、仁は冥人の道を歩むことは決してなかったでしょう。
浮世草で知れる彼女の人生、胸を痛めながらもしっかり見届けましたよ。 幼いころにゆなと弟たかを苦しめたあの三兄弟を暗殺して生首を串刺しにしたときはめちゃめちゃスッキリしたわ。
最後の最後まで仁とともに戦い抜いてくれた、立派な女性です。
他にも、 血の気が多く仇を討つ為なら手段���選ぼうとしない「安達政子」、 巴巴とうるさい「石川先生」、 飲んだくれ酒売りの「堅二」、 優しそうに見えてやっぱり血の気が多い若き僧兵「典雄」…などなど、個性的で愉快なキャラクターが登場します。
まあそうは言っても皆それぞれ、ゆなと同じように辛く壮絶な過去を持つ者たちばかり。
私は特に、典雄の物語には涙なしではいられませんでしたね。 大切であるはずの家族と、そんな終わり方ってあるかよ~。っていう、もうそんなんばっか(泣)
先程少し触れた「志村」は、対馬の武士軍の大将でもあり、仁の伯父でもある、武士の誉れを重んじる男。 簡単に言えば、古い会社によくいる昭和の考え方が抜けないウザイ上司みたいな感じだよね(経験談)。 「会社のために働け!」「誉のために戦え!」みたいな。
でも、決して悪いやつではないんです。 そういう生き方しかしてこなかったのだから仕方ないんだよね。うん。
そんな志村はコトゥン・ハーンにあっけなく捕まってしまい、序盤はひたすらぐぬぬしている姿がムービーに映るだけでした。
のちに仁とその仲間たちによって無事に救出されますが、その後のドラマを思うと何とも表し難い気持ちになりますね… この件については後述します。
そして、ゆなの弟である「たか」。
たかとの出会いは、たかが蒙古に囚われているところからでしたね。
鍛冶職人として腕のなるたかは"志村奪還の作戦に必要不可欠な存在"であるとし、一緒に助け出してほしいというゆなの頼みを受け入れた仁は、ゆなに協力し、無事にたかを救出。
ゆな曰く、「虫も殺せないほどに気弱」であるというたかは、その後仁に深く感謝し、「冥人様」と慕い始めました。 命の恩人でもあり憧れでもある仁のために、志村奪還に必要不可欠となる道具を作るなど、 戦いに参加出来ない代わりに職人の才能を発揮し、裏方で仁を支える存在となっていきます。
正直、ここまででは私なんの不安も感じていませんでした。
まさかあんなことが起こるなんて… 今作で一番衝撃的だったな。
仁への憧れが強くなっていったたかは、仁やゆなの言いつけを破り、一人で敵陣に乗り込んだ仁を追いかけて来、またしても蒙古に捕まってしまいます。 そのとき、仁もまた古き友であった竜三にハメられ囚われていました。
仁とたか、同じ場所で縛られている二人のもとにやってきたのはコトゥン・ハーン。 本気で寒気がしたのを覚えています。
縛られていてまったく身動きのとれない状況で、敵陣の大将出てきちゃったんですよ。 どう考えてもヤバイやろ。 でも、仁は死なない��ろう、とどこかで安心はしていたんです。何せ、主人公ですから。
では何故、寒気がしたのだろうか…。
もうこの時点で察しがついていました。
ハーンはたかに、「仁を殺せ」と刀を渡します。 もちろん、たかにそんなことなど出来るはずがありません。
大声をあげながら、その刀をハーンへ向けて斬りかかります。そして、返り討ちに合い…。
…言葉にしたくないほど辛く悲しいシーンでした。
にやりと笑いながらその場を立ち去るハーン。 無惨に血を流し転がっているたかの首。 怒りと悲しみに震える仁。そして、ゆなとの合流。
「たかは!?たかはどこ!?」というゆなと、なんとか冷静に状況を話す仁。 映像も、声優さんの演技も本当に素晴らしいものでした。
ゆなにとってはかけがえのないたった一人の家族、 そして仁にとっても大切な友となったばかりのはずのたかを失った悲しみ。 絶対にハーンを許さないという二人の強い思いが溢れ出ていましたね。
その時の私はとにかく衝撃的で、しばらく放心状態でした。
立ち直れず、涙も止まらず、なかなか先に進むことが出来ず。 仲間が亡くなったのがこれほどショックだったのは龍が如く3以来ですw
とにかく恐ろしいほどに辛すぎてどうにかなりそうでしたが、その分仁やゆなと気持ちは同じ。
ハーン絶対殺すマンと化した私は、震える手でふたたびコントローラーを握りしめ、ゲームを再開することに成功したのでした。(何の話?)
…というわけで、ほぼほぼたかのシーンの話になっちゃいましたが、ここキャラクターの魅力を書きたかったんですよ本当は。 魅力じゃなくてただただ死に様の説明してるだけになっちまった。
ほんとに良いヤツだった、たか!お前はがんばったよ、たか!
あとは竜三も先程少しだけ触れましたが、まあ良いキャラしてましたね。 菅笠衆という牢人たちを率いる彼は、その部下らを食わすために友であるはずの仁を裏切り、蒙古に寝返った人物。
竜三とは二度戦うことになるのですが、そのどちらもシチュエーションがすごく切ないんです。 こんな奇麗なところで友と戦うなんて…!みたいな。
ああ…あと、仁の乳母である百合の話も本当に素晴らしいものでした。 認知症の祖母がいる私にとって、百合の最期はなんとも胸に来るものがありましたね。
主要キャラクターたちの物語はもちろん、 サブストーリーで出会う対馬の人々、
また縁はあっても助けることが出来なかった人々…
その一つひとつの物語も細かく作られていて、とても考えされられました。
生かすか殺すか… "最期"の選択は自分で
やっぱり好きなのがラストシーン。
毒や暗殺を覚え、どんどん誉れある武士の戦い方とはかけ離れ「冥人」となっていった仁。 誉れを重んじる志村は、仁を武士の道へ呼び戻そうとしますが、結局二人はすれ違うことに。
それでも��後は仁の要請に応じて、志村軍が加勢してくれていましたね。結構うれしかったです。
そんなこんなでハーンを打ち破った仁ですが、そこで物語は終わりませんでした。
志村に呼び出され、最後の決着を前に辞世の句を詠む仁。涙が止まらない志村を見て私もすでに涙ぐんでましたw
しかし、蒙古はまだ対馬から完全に退いているわけではない状態。
民から「冥人様」と期待されている仁も、ここで死ぬわけにはいきません。
――激闘の末、敗北した志村。
「誉れある最期を遂げたい」
と、仁に伝えます。
この後思わず「えっ!?」と声が出た私ですが、なんとドドンと選択肢が現れたのです。
「生かす」か、「殺す」か。
究極の二択きましたね。
しばらくひとりで悩みまくり、結果、私は「殺す」選択をしました。
なぜなら志村は最後の最後まで武士の誉れを貫き通した漢。 彼の意志を尊重すべきだと、単純な答えが浮かんだからでした。
あとは、たぶんその方が作品的にもより良いエンドが見れるのではないかなと思って。
仁は震える声で、涙をこらえながら
「その名を語り継ぎましょう。猛き武者。聡き長。我が父……」
と志村に告げます。私もこの時点でもう涙出そうになってました。
「我が父…」っていうセリフがもう震えてて凄いのよ。中井さんが仁を演じてくれて良かったと思った瞬間でした。
その答に志村は、「息子よ………」と。
表情がね、これでいいんだ…!っていう、なんというか誇らしげと言いますか、そのセリフを吐きながら仁の両肩をガシッと掴むんですよ。
頼んだぞ、とでも言いたげな強くて優しい表情だったんです。
そして仁は志村に刀を突き刺しました。
手元のコントローラーが、心臓のようにドクッドクッと強く振動し、 それがだんだんと弱くなっていって…。なんなんだいその演出は。泣くやん。
仁の悲しい慟哭とともに、エンディング「冥人の道」のイントロが流れ始めます。
ハァ~~~~…………。って感じ。
ただただ涙が止まらない、素晴らしいエンドでした。
ちなみにその後、生かすエンドも見ましたが、私は殺すエンドの方が断然好きでしたね。 どちらにしろハッピーエンドではないのなら、より悲しみに溢れている方がやっぱり物語としてはしっくり来るなぁと感じました。
本当に本当に感動でした。 間違いなく2020年一番の名作であったと思います。 プレイして本当に良かった。
以上、ざっと流してしまいましたが、私のGhost of Tsushimaプレイ記録とさせていただこう。
はぁ。こんなに良い作品、またしばらく出会えないんだろうな��
では。
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『心射方位図の赤道で待ってる』読書会レジュメ
この記事について
この記事は、文芸同人・ねじれ双角錐群が、2019年の第二十九回文学フリマ東京にて発表した第四小説誌『心射方位図の赤道で待ってる』について、文学フリマでの発表を前に同人メンバーにて実施した読書会のレジュメを公開するものである。メンバーは、事前に共有編集状態のレジュメに自由に感想や意見を書き込み合った上で読書会を実施した。読書会当日の熱気は残念ながらお伝えできないものの、レジュメには各作品を楽しむための観点がちりばめられているように思われる。『心射方位図の赤道で待ってる』読者の方に少しでもお楽しみいただけたならば幸いである。
『心射方位図の赤道で待ってる』についてはこちら
神の裁きと訣別するため
一言感想
実質まちカドまぞく
岸部露伴とジャンケン小僧的な
サウダージを感じる
むらしっと文体はミクロとマクロをシームレスに語るのに向いている、というか何を書いても神話っぽい感じがする。神待ちという地獄に誘う詩人ウェルギリウス的なポジとして冒頭に置かれているのがとてもいい。読者は思わず一切の望みを捨ててしまうだろう
いつもよりむずかしくなくて(?)そのぶんむらしっと文体の魅力に意識を割いて読めた
一読した印象として、古川日出男っぽいなというのがあった
完全なグー まったき真球〜チョキまでのくだり、かっこよさの最大瞬間風速
細部
箇条書きって進むポイントというか切れ目が明確? みたいな感じはあって、ノベルゲー(いや別にノベルゲーでなくても良い。ゲームで)で次のテキストに進むために決定ボタンを押すじゃないですか。なんかそういう感覚がある。箇条書きが一つ一つ切れていることが。
連打していく感じになる
それが後半で長いのがでてきたときに効いてくる
あとなんか連打のだるさみたいなのがあるじゃないですか? 別に箇条書きじゃなくてつながってるのと負荷変わってないはずなのに。ゲームもつながった文章を読むのと変わらんはずだが決定ボタンを押すリズムがこう負荷を作ってるよな。
上記は箇条書きがあげている効果について書いたんだけれども、そもそもどうしてこの作品は箇条書きなんだろうか? その意図というか、狙ったことがあるんだろうか? そこまでないにしてもなぜ箇条書きにしようと思ったんだろうか?
●のシーン。ナツキ(本田圭佑)が導入されてじゃんけんの話をしてこの時点でギミックと言うか、じゃんけん強いというのが、すでに引き込む力がある。じゃんけんからの視点の飛躍、特に蝉が木から落ちる下りで「次の年」っていきなりなるのは良いなと思った。
池袋西口、昔のおとぎ話、宇宙、キムチチャーハン、みたいな、遠近が入り乱れている世界観に特色がある気がする
★の家族のところが印象強くて、いたりいなかったりする兄とか、石を食べて予言をする姉っていうのが、マジックリアリズムな感じもありつつ、グラース家的なイメージも感じたりした。
▲のところで、つまり地の文のまなざしは父性だったということになるんだけど(実質)、それが変質していくというか、悪夢が変形する感じがちょっとあって。おとぎ話はグイグイ来て良い。
じゃんけんに関する要素が入れ子みたいになっている
完全なグー、外界を寄せ付けない孤独の象徴
P16「完全なグーについて」「ナツキの孤独について」で、ナツキがじゃんけんに絶対に勝ってしまい疎まれることが語られる。孤独。
●の部分がグーということなんだろうけど、ここでナンパの男にじゃんけんで勝ち続けて気味悪がられるナツキの孤独が語られている
完全なパー、記録すなわち過去の象徴
P18「完全なパーについて」「ナツキの記憶について」で、ナツキ(というより、「ぼく」)のナツキのはじめてのじゃんけんの記憶が語られる。
★の部分が(この完全なグーチョキパーを語っているところを含めて)ナツキの過去を語っており全体が記録、過去になっている
完全なチョキ、繋がりを切断する、他者との関係の象徴
P21「完全なチョキについて」ここはグーとパーと異なり「ナツキの●●について」という言葉は続かないんだけど、他者との関係、そしてそのつながりの切断についてということになるんだろう。家族のことが語られる
▲の部分が、逆に★の部分で語られなかった相手である「ぼく」、父親との関係とその断絶になっている
P21ではじめてのじゃんけんでナツキに無意識に出された手が、完全なチョキであったことの意味を噛みしめてる感
我が子に関係を「切断」されたということを否定したくて(その完全性を壊したくて)、躍起になったのかな
ところどころナツキが負けたがっている��とを知っている描写があり、自分がナツキの完全性を否定することが彼女の救いになることもわかっているはずだ
でもなんか挑発的だし、やっぱり負けたのがすごく悔しかったのかもしれない
官吏(仮)も天体望遠鏡の順番決めでじゃんけんをしていた。むしろじゃんけんのほうをたのしみにしているようにも読める(P14)。
父もナツキに負けたことで、宇宙をいくつかまわって再び勝負をしかけるくらい入れ込んでいた。
父も実はじゃんけん自信ニキだった?
本田圭佑vs本田圭佑
全然関係ないが、じゃんけんする人の国民的ポジションを一瞬で本田圭佑がサザエさんから奪い去ったのすごいな
自信ニキにしてはパー(過去)を出すのにも「失敗したキムチチャーハン」で負けるあたり、舐めていたのか、地力が低かったのか、ナツキが強すぎたのか。
父は抱きしめてやるべきだったんだよこれ。
おとぎ話、これなんなんだ?
最強の手「グーチョキパー」と、官吏が囚人とのじゃんけんで出した手が官吏にしか分からない(グーとチョキとパーいずれかを事後報告できる)ということは、似ている
並行宇宙の話をしてたから、つまり重ね合わせの状態の手を出しているということか(???)
��の宇宙でも勝つように収束する
やけに星がよく見える池袋でナツキたちのちょうど反対側にいた男の故郷(この国でいっとう星がよく見える土地)と、官吏の故郷(星がいっとうよく見える土地というのがこの世界にはある。おれの故郷はそんな場所の一つだ)の類似
わからん。もう少し考えたい
それはちょっと意識してるのかなーとおもったけど、おもったけど、その先がわからなかったな
よく側を通り過ぎている女二人は官吏の妻と、彼女と密会していた女っぽい(P33)?
あの二人はなんか意味はありそうなんだけど、そうなんですかね? なんか手がかりある?
そもそも官吏の妻が密会していた女っていうのがよくわからん。p33「隣の独り身の女と、三日にいっぺんは会っていた」も最初は読み方がわからないというか、男の誤記か、会っていたの主語は官吏の方かとか考えてしまったから、でもここでその目立つ書き方をしているってことは、通り過ぎている女二人なのかもしれないな、必然性があるはずだと考えるならば。
「~しあわせな結末が待っている/そのまえにすこしだけの試練~(P12)」「おれの女房が、じつはおれのことを好いていない~(P33)」
同性愛で、片方には少なくとも家庭があり云々っていう話で素朴に読んでました。おとぎ話と「現実」が地続きなことを示唆する描写っぽいけど、地続きだとしてどういうことになるのかはまだよくわかりません。
反対側に官吏(仮)がいるので、当然彼女たちのことも見かけているはずだけど、そういうところには踏み込んでいない。
「塔のまわりをぐるぐる回るわたしにまとわりついて、しゃべりはじめた(P30, L9)」
ナツキの父の一人称は��わたし」じゃなくて「ぼく」
ここの「わたし」が「ぼく」の誤りだったら、「実は父の回想でした」筋が通る気がするんだけど
だとしたら反対側にいる男がおとぎ話の官吏で、囚人がナツキの父親なら、ふたりともここにいる/そこにいないのはどういうことかってなるし
おとぎ話パートに一人称が出てきてもなんらおかしくないという当たり前の結論に達した
これがただのおとぎ話だとしたらやっぱり、上記の類似はなに?ってなるな
「官吏のいかさま/それを覆す方法」のどちらかが、ナツキに「勝てる方法(P30, L2)」と対応する?
「つまらない方法」でも「教訓がない」と強調されている
P16で完全なグーチョキパーと「昨日見た夢」が並列に扱われている
おとぎ話との関係ありそうか?
最後のじゃんけんのところ
「親指をひろげて」「人差し指をひろげて」「中指をひろげて」「薬指をとじて」「小指をとじて」なんかじゃんけんの最強の裏の手みたいなやつか?
『ラッキーマン』で勝利マンがじゃんけんで出す最強の手「グーチョキパー」の印象が強かったので読みながらウフフとなった
指を家族にたとえる歌「おはなしゆびさん」
「中指をひろげて おにいさんゆび」って言ってるけどこの宇宙には、もうおにいさんは「すでにいない(P22)」はず
ナツキはおにいさんが「すでにいない」ことを知らないのか
「だからおおむね、いるのだといっていいのだろう(P22)」で解決か
小指=あかちゃんゆび=ナツキ自身
「わたしはもういなくなるから」の意味とは?
めっちゃかっこいいんだが、なんで勝つと神の不在を証明できるんだ?
自分を負かす存在を待っている→やってきた男に勝つ、という構図で、テーマが神待ちだから?
(1)完全性の自覚を打ち砕いてくれるくらい完全なもの(神)に出会いたい→満を持して史上最も期待できそうなやつ(父)が現れるが、勝ってしまう→神の不在に感じ入る
(2)「勝てる方法」を使用してくる父に勝つには「最強の手」を使うしかない→勝つために「最強の手」を使った自分は完全ではなくなった→「じゃんけんの神」であるナツキはいなくなった。(※「最強の手」には完全性が宿らないという前提)
後者だと「わたしはもういなくなるから」に若干繋がりそうな気配があるが……。
「気に入らない男だけれど、負けるのはほんとうらしい(P30)」
実は勝ってないけど負けることによって勝利しているとかそういう話の可能性は、ないか。
なにもわからなくなってきた。
最後のビュレットがないことの意図
ここまでの文が全部、ナツキが最後に出した「最強の手」の動線ってことなのか。
山の神さん
一言感想
広瀬の(声 - 小野大輔)感
笹さんは本当にエッチな男だなあ
広瀬の絶妙なすけべ感がすごいいいんだよな
舞台が大正時代なのもあって、なんとなく森見登美彦風味も感じた
実質ヤマノススメ
過去と未来、機械と人が「重なって」ゆき止揚される様がいい。
私は毎回打倒笹さん��目指してカワイイ女の子を描こうと四苦八苦しているのだが、そんな私の苦闘を尻目に笹さんは毎回さらりと可憐な少女を書いてしまう。私がシャミ子なら笹さんはさながらちよももといえるのではないか? この観点からね群とまちカドまぞくの類似点について指摘したい。
ね群とまちカドまぞくの類似点について指摘するのはやめろ
おもしろい小説を書くのってむずかしい(今回なぜかとくに思った)んだけど(隙自語)笹さんはすごいよ
時代は姉SF
対比的な文体芸が楽しい
ちゃんとそれぞれの文体の思考法でおのおのの結論に至るという意味での必然性もあり
短文が素打ちされていき、隙間にとぼけた感じが挟まれるこの手の文章が自分は好きなんだよなと思った。というか、思えるくらいに自然でうまいというのがある
p58で一瞬ネタにして明示してくれるの親切というか、やっぱりそうなんだ!っていううれしさがあり、かといってそれ以上しつこくネタにしない慎み深さがある
「機械の身体」にたいする各々の対照的な考えが、登山という身体性をともなう行為によって止揚される云々!テーマの消化のしかたがきれい
おれは登山をしたことはほとんどないが……
とまれ、こういう短いキャッチフレーズにまとめられるくらいの主題があるのは大事だよなあといつも思うんですよね……
会話が四コマ漫画を連想させてまんがタイムきららだろ、これ。
意識して読んだらマジでまんがタイムきららが脳内展開された。
ドキドキビジュアルコミックス
SF的な設定について
ものすごく複雑なことをしてるわけでもないと思うんだけど、人間と機械のきょうだいってのはちょっといろいろ考えがいがありそうなんだよな
血縁がないにもかかわらず姉妹を擬制するというのはひとつの伝統なので……
義姉妹の約を結んだのか……
単純にスペア的な存在のような気が(名前が神籬だし)
医王山登りたいな
プロットで動機や結末などを「重すぎず、軽すぎず」っていう思案してたっぽいけど、それがちゃんと活かされててよいな。
細部
大正15年、大正デモクラシーの流れで前年に男子普通選挙法、昭和が目前、世界恐慌前だしそんな世情はギスギスしてない感じだろうか。張作霖爆殺が昭和3年とかなので徐々に種が撒かれてた感もあるか
舞台は金沢らしい。旧制高校のエリートである
転移時の文章のくずれのかっこよさ、これなにか書くコツとかあるのかな……
実質パプリカ(映画)なんだよな
今敏監督で映画化だ
p52で先を歩かせてるときにスカートがちらちらするのぜったい気にしとるやろがそれを明らかにせず別の理由をつけるあたりのむっつり感
「��ったく許しがたいことだ」じゃあないんだよ
p.72「広瀬は次に登る山のことを考え始めた」の爽快感がすごくよかった。
でもじつは神籬のことをめっちゃ考えてたんだけど、私小説的な照れ隠しでこの書きっぷりだった可能性もあるな
エピローグ(p.72の※以降)で広瀬たちと神籬の後日談があることが最高の読後感を提供してくるんだよな
囚獄啓き
一言感想
夜ごと街を走って体力を高めるの草
え、なんで妻は罪を犯したの?
愛だ。小林さんは愛の輪郭線をたどることで愛を浮かびあがらせるのが巧い。直江兼続の兜を想起させる。そして銀河犬が気になる。
いつもよりギュッとしてる
ぼくも同じ印象を持って、最初は漢字のとじひらきがかなり過剰に閉じ寄りになってるからかなと思ったんだけど、むしろいつもより地の文が多く、強めの短文を連打してるからなのかな
どこかに魚が出てくるかなと思ったけど、なかった
ところどころに小林さんの昏い性癖が出てる気がします
冒頭にある「地獄とは心の在り方ではないか」がポイントなんすかね
平等な地獄を作ったはずの主人公が、また別の、その人固有でしかありえない、妻の不在という地獄に……という、やっぱ愛か……
刑罰ってのがそもそも歴史がありその意義などいろいろな話があり現代に照らし返せるものの多い、したがって近未来の世界の「当たり前」がどうなっているかを描くまっとうなSFに向くテーマで、そのへんを上記の愛の話のもう片手として簡潔にまとめてるので、SF!って感じがするのだよな
理屈づけのおもしろさで魅せてく鴻上さんのとか、未来ならではの思索で魅せてく笹さんやばななさんのとあわせて、SFらしさのバリエーションがでてると思う
初読時には時系列というかエピソード間の間隔のことあんま意識して読んでなかったんだけど、妻が事件を起こしてから刑を執行されるまでにけっこう時間が経ってるのがわかって、なかなか大変やなというきもちになった
と言いつつ実はちょっとわかってないんですが、二人称で語られる断章は(多少その前な箇所もあるとして、おおむね)妻が捕まって以降の話ということでいいのかな?p85の妻への言及とかも相まって自信がないんですが
そもそもそのへんの語り全体が妻の見ている地獄という解釈もあるんだろうけど……(でないとなんで語り手がこんな詳らかに知ってるのかが説明できないというのもあり)
「牛乳を含んだ雑巾」みたいな独特の比喩から小林節を感じる。
SFってガジェット自体の新規性や利便性から話の筋���作るというのもあるんだけど、そういう未来を描くことで(かえってその迂回が)現在に通用する倫理とか問題意識を切実にさせる側面もあるんじゃな��か、みたいなこと考えることがあり、これはすごくそれよりな感じがします(感の想)。時代によらず共感しうるものだったり、いま揺れている倫理に地続きの問いだったりが中心に据えられている。んじゃなかろうか。
「あなた」の作る地獄(への道)を「無関心」で舗装していたのは、むしろ妻のほうか(P79の後ろからL5、あるいは全体に漂うフラットな語り口から)? 舗装、とは言い得て妙かもしれない。その下に押しつぶされているもののほうをこそ俺はなんとなく想像してしまう。
妻の犯した過ちには子供の死と、ひょっとしたら、球獄とそれを取り巻く感情が関係している。いる?
平等であるというのは、ある意味残酷なことだ。だからこそふさわしいのだろう。意思が介入せず、全くぶれない罰を与える球獄だからこそ、罪の清算(救済)が可能である。それがどんなに償い難い罪だろうと、いやむしろ償い難いものであるほどそう感じられるのかもしれない。「あなた」による偏執的な研究の日々の傍で失われていったものがあるならば、それらの重さは球獄という完全性への期待に加担する。その信仰は、妻の中にも「あなた」の中にも、いつからかあるはずだ。
「神待ち」に関して
これから堕ちる地獄(世界)の創造主(=神)に「そこで待っている」という発言をしたことが、テーマに沿っている気がしたんだけど、どうなんだろう。
こういう発言にも妻の「あなた」への共犯意識が垣間見れるし、なんかやっぱり妻の罪の動機と球獄の製作って関わってるよね。そこをあえてすっぽり省いてる気がして。
脳波の逆位相を……という発想がよく考えたみたらどういうことだってところではあるんだけど、とくに瑕疵にらなないのはいいなというのがある
性的快感の逆位相=性的快感以外のすべてがある
妻がいない世界に生きる「あなた」=妻以外のすべてがある世界に生きる「あなた」
ということで、妻の地獄と、それ以降の「あなた」の生活は相似しており、このことがp.90「僕たちは二人並んで閻魔様に裁かれて、それから長い長い地獄に落ちるんだ」に繋がるところがうまいと思った。
細部
終盤で語り手が妻だとわかるみたいな仕掛けはやっぱりグッときちゃうんだよな
p80 パパ活やってて喫茶店のスティックシュガーパクる?と思って笑ってしまった
p81 京文線、なぜか印象に残る。急に架空の(だよな?)固有名詞が差し込まれるのが異質っぽいのかな?(ワイン、とか、省、とか、固有名詞が割と排除されている空気の中で)
「顔が見えていても私はいいんだけどね」「また来ても良い?」普通は、三倍払うと言われてそれに釣られてやってきた女は、こんな好意的な反応を返さないだろうから、そこに都合の良さというか、あるいは記録者による逆のバイアスがあるのかなとか思ったりする
p82「再び端末のキーを押下」エンジニアし��さ
p84「君の身勝手な自棄で何人の未来を奪ったんだ」なにやらかしたの?
p.86「銀河犬」「(おばあちゃん)その辺で見ませんでしたか?」の台詞がすごく好き。小林さんは一作目からこの手のシュールさを志向している印象がある
記録の語り手が妻っていうのはなるほどねと思った
p.85「それから数年にわたって女はあなたの研究室に通い続けた」以降は、妻が罪を犯した後?
p.88「語りが過ぎた。ここで記録は結ばれ、以降は記録ではなく〜」記録3の後の最後の断章は、妻が地獄執行される場面であり、妻はその場面の記録を執筆できないということを意味している
p.89「私の心は現在どのレイヤーにあるのだろうか。」レイヤー?わからなかった
杞憂
一言感想
中盤からの加速感
これ絶対あれだろと思って読んでたのにやられた
デジタルタトゥーとかそういう意味じゃないけどわかる単語がずるいよな
インディアンのネーミングについて調べてしまった(おもしろい)
この手の一般名詞(?)をそのまま訳して名前として表すやつがなんか知らんが妙に好きなんだよな
ナツメもライチも中国原産っぽい?
原産というか縁がありそう
両方とも滋養強壮できるらしい
ちゃんと資料にあたり、ネイティブアメリカンの習俗とかJKリフレの店内の様子とかそういう細かいところをしっかりさせてて、小説の足腰ができている、見習いたいんだ……おれは……神は細部に……
SF的な理屈をいかに飽きさせずに読ませるかってところで、JKリフレとの強引な対応関係をつくる手つきがすげえ上手いんだよな
馴染みのある語彙に変な言葉を紛れさせて地の文で展開する、みたいな
オーバーロードが中年男性に……(さらにはそれがエルクに……)っていう絵面的なおもしろさと設定的な必然性を両立してるのとか、漫才っぽいプレイの流れのなかでちゃんと話進めるところとか
文化盗用とかアーミッシュへの皮肉っぽい視線みたいなのは前回の感動ポルノに通じるところあるよな
バトルシーンの手の込みようとおっぱいで窒息するくだらなさの融合だけで“勝ち”なんだよな……
もしかしてこれをやりたいがためにここまでの全部を作り込んできてないか!?!?!?
古事成語オチをつけてなんかやっぱネイティブアメリカンの伝承の話だった?みたいにするふざけかたも好き
あ、ここから怒涛のあれが来るんだって予感でわくわくしてやはり来て、凄かった。
SF的な設定、未来の世界での娯楽・趣味的的な観点がけっこうよくて
意図されたであろう魅力が初読で存分に伝わるつくりで、かつ細部に注目する部分がたくさん残されているのがめちゃくちゃつよい。
人物やガジェットのネーミング、その他取り扱われている文化へのリスペクトなど。
細部
p97「俺たちの世界の理にして〜」、読み返してみると、焼き脛は序盤からちゃんとわかって言ってんだな……
侍ミーて
「ひょっとするとお忍びで欲望を満たしにきた元老院議員の可能性さえある。」ここクソ笑うんだよな。千と千尋のあれかよ。
「あれこれ無駄な心配をする痴れ者をさして杞憂と呼ぶ習慣」これ文脈的に杞憂じゃなくてマウンティングベアって呼ばれるんじゃないの??
なんか笑った
略されて使用されていくうちに逸れていく、みたいな、なんかそういう言葉いくつかある気がする。いまは思いつかないけど
用語について調べて/考えてみる
赫の終端(レッドコーダ):ハンドラ族の長
赫は赤いこと、勢いが盛んであること。コーダは音楽で終わるあれ。なので日本語とルビは直訳的に対応しているっぽい。レッドコーダーだと、競技プログラミングのあれになる。プログラミング力が高いから長なのか?
ポアソンの分霊獣
ポアソン:名前。有名どころだと数学者? ポアソン分布の。
分霊獣:分霊は分け御霊。獣?
分霊という言葉のもともとの意味は、分け御霊ということで、コピーして増えるという意味の分けるなんだけど、作中でこの獣の動きとしては、流れを分ける、分配するという意味の様子。
っていうかロードバランサだよな? だからポアソン分布なのか! 待ち行列だから神待ちなんだ!(今更気づいたの俺だけか?)
待ち行列SFらしいということは垣間みえていたんですけど、まさかこんなん出てくると思わんやろ
杞憂(キユー)
杞憂は空が落ちてくることを心配した故事成語。カタカナでキユウではなくキユーなのはなにか意味あるのかな。待ち行列のキュー?
あー!なんで杞憂なのかと思ってたら、そうか、queueか!気づかなかった……
キューとかレッドコーダーみたいな二重の意味、他のやつにもそういうのあるんじゃないかと思ったけどわからんな
キノコジュース
一言感想
光――
初手「ふざけるなよ」と感想を書こうとしていたんですが、本人がふざけているつもりないとしたらめちゃくちゃ失礼になってしまうな、と口をつぐんでいました。やはりふざけるなよでよさそうです。
そういう意味では、我々としてはかなり楽しく読めるんですが、どこまで本気でやってるのか測れない距離の読者からすれば、読んでいて不安になる可能性もあるのかもですね
購入者の感想がたのしみです(なんなら自分の作品よりも)
ふざけどころの緩急がすき
ナンセンス漫画ってやっぱ絵があるからこそギリギリ成り立つもんなのかなあと思っていたところ、それを小説で成り立たせてる腕力がすごい
理路のつながらなさをゲーム的な世界観と苦しむ顔がかわいい女を好きな思い込みの激しい男とでギリギリもたせている感じというか、一般のナンセンス文学の退屈さを補う怒涛のクリシェというか
ほかの人のはそれぞれに「自分もこういうのできるようになりたい」という部分があり、その一方で「だけど本当にそれが書けるようになることを自分は求めてるのか?」という立ち止まりもあるなかで、国戸さんのは心情的に共感みがすごいんだよな。「これをやりたいし、これをやればおれのやりたいことができるのか!」みたいな
好き。酒呑みながらブコウスキー読んだときとおんなじ仕合わせな気持ちになる作品。
実際完敗した感じはあるんだよな。旋風こよりを前にした上矢あがりみたいな。
国戸さんの料理好きな部分が出てるのか。登場する食べ物飲み物が気になる。苔とか。
笑えすぎて本当にずるい
細部
すべてが細部なので読みながら挙げていきます(正直一文一文挙げてきたいところはあるんだが……)
そもそも冒頭の大剣のくだりからしていきなりバカにしてて、そこから「エロい体」の「悪魔系の魔物」が出てきて(系ってなんだよ)、ハートがパチン、そして光——の畳み掛けで完全に引き込まれちゃうんだよな
本当に最初の3行ですごいじわじわきたところに「セクシーで人間と同じ形状をしたエロい体の悪魔系の魔物」でトドメ刺されるんだよな。笑えすぎる。
くっそお、俺はこいつが好きだ
「大型魔物」、「の」を入れないのが良い
最強の二人のもう片方、だれだっけて
双剣を捨てる言い訳から店主を攻撃して半殺しってところまで一文一文笑いどころしかない
全体的にそうだという気もするんだけど、とくに「ルシエは用心棒で〜」からのくだり、なんか妙にサガフロ2を思い出したんだよな
キノコジュースのくだり正直まったく不要で、リアリティを増すための習俗の描写を馬鹿にしまくってる感がある
そういう意味ではその前の鴻上さんの緻密さと対比的でおもしろいな
「戦闘で、全力でしゃべってるんだと感じた」突然詩的になるな+ペンダントのくだりの思い込みの激しさ
いきなり世界が壊れだしてから第三世界の長井みがこれまでにも増して、ちゃんとゲームの世界なんですよという無用の目配せに笑ってしまうんだよな
素直に強く反省する主人公
p136の唐突な暴力描写の投げやりっぷり
「まさか点滅して消えるだなんて」ほんと好き
「その勢いは凄まじく、まるで矢のような勢いで飛び込んで来たのだ。」ここも好き
ひかりごけをいきなり食って、しかも飢えた人間へと連想をつなげるのをやめろ
もうこのあたり完全にゾーン入ってるんだよな、一文一文が常に笑える
「強い恐怖は、それまで持っていた弱い恐怖を克服する」の決め台詞感に至るまでの思考回路がくだらなすぎる
玉ねぎの連想から無理やり涙につなげて、象徴にもなってない象徴を引っ張り出したうえで「確かに」と結論づけさせるのすごすぎる
「過去の出来事が現在の状況を暗示している」みたいなありがちなアレをばかにしてる
いきなり寝ている、いきなり寝るな
「すると〜」からの段落の描写の雑さが主人公の現実認識の雑さを象徴しててめちゃくちゃいいんだよな
ダグラスの登場あたりからやにわに話が盛り上がるのだが(そもそもこれで盛り上がってる感がちゃんと出てるのがまずすごい)、インベントリがいっぱ���なことを心配したり速い虫の話をしたりさらには親の回想がはじまったりしてこいつ集中力がなさすぎないか?
とても速いなにかしらの虫ってなんなんだよ、ほんとに。何回読んでも笑ってしまう
でもなんかちょっとかっこいいんだよな
p140からのなんかいいこと言ってる感の空虚さがすごいし、そもそもなんでダグラス現出してんだよだし、それらすべてが学校の机でガタンの恥ずかしさとなんかしらんが妙にリンクしてる感じがして凄みがすごい
「あれ、これだいぶ前にもやらなかったか?」で突然我に返って、読んでる方も一瞬我に返り、ページをめくると最終ページの登場である
「苦しそうな顔が〜」で最後までふざけて、ロケットが開くのもなんか勢いで、それから光——ではないんだよ
まさしく腕力
リュシー (Lucie)は、フランス語の女性名。 ラテン語の男性名ルキウス(Lucius)に対応した女性名ルキア(Lucia)に由来し、『光』を意味する。
蟹と待ち合わせ
一言感想
マァンドリン
わりと文章が硬質なんだけど擬音語擬態語とか、こういう音声的な話を印象的に使ってくる印象がばななさんにあったけど今回それが強まっている気がする
いつもより書いてて楽しそうな印象をうけた
どこかでも書いたがばななさんの導入いつもよいと思う(導入以外が、という話ではなく)
今作はわりとエキゾチックなんだよな。キャノンビーチの鳥居を蟹がくぐる光景がエモい。
全体的にアルカイックなのは意識の誕生以前の世界への回帰だからか。
おなじ文献に着想を得てるのに杞憂との落差よ。
御神体フェチ
毎回SFギミックがハードコアではあるのだけど今回もそうで、そのうえ↓の書き手の感想にあるとおり、実際書き方がより挑戦的になってる
んだけど、それなのに!夏の島のバカンスの雰囲気に包まれててめちゃくちゃさわやかなんだよな、なんなんだよ
そう、すごくさわやかなんだよな……本当に
ずっと空と海を描いていて、そのうつくしさは質感としては憧憬に近いんだけど、ラストで急にその突き抜ける青さが手元に戻ってきて調和するのがすきなんだ
人類補完でなにが起こるかのところにこの回答持ってきたのは(↓で書いた情報の出し方のおかげもきっとあるんだけど、個人的な考えとしても)個人的にはめちゃくちゃ納得感がある
収録作のなかでもアジテーション的で、わりと全体通してゆっくりアジってくるので「たしかにそうだよな……」みたいな納得感がある。あるよな?
「鯨」で強めの主張をしてからの「石球」での転調、そこからラストの「蟹」で落とす流れがきれい
というか、全体的に情報の出し方のコントロールという基本ががうまいんだよな。我慢できなくて設定語りしちゃわない?おれは我慢汁出ちゃう!
細部
ちょっと入り組んでいるので整理を試みます(みなさん適宜修正してくれ):
人類
全体と言語野を共有している
読む限り電脳である以外、形としては「普通の人間」でよさそう?
現代から100年後が舞台であること(そう遠くなく、まだ最後の電脳化が終わって間もない)、人間の肉体として考えて不自然な描写が出てこないこと
もし「異形」であるなら、相応の描写があっていいはず
自然な人間の形であるからこそ「四本足」や「七つの目」という描写が活きているんじゃないかと思って
しかし、なんでもいいというのも、この話の主題のひとつだ
「アラスカやシベリアの軍事拠点と並び、地球上で全住民の接続を完了した最後の地のうちの一つだった(P152)」
語り手たちはまだ完全に統合しておらず「人間らしい」雑念に溢れている(ように語っている、が)
笠木
御神体「ヘイスタック・ロック」
「キャノンビーチ」
笠木グループ:腕が各2本、脚が各2本の3体か
彼らの姿を想像することにあまり意味はなさそうだがいちおう
肉体(?)の数と一人称複数形のバリエーションの数は一致しない
p146で「三つの肉体」とあるから上記の解釈をしたんだと思うけど、最初読んだときそう読み取っていなかったのでなるほどと思った。何故かはよくわからないが、6本腕(兼ねる、脚)がある物理的には1つの塊を最初イメージした。p145で「七つの瞳」(3では割り切れない)とか、「三つの声、四つの声」とか書いてあるのを読んで、あまり整合的にわかりやすい体の形をしたものが何体かいるみたいな状況じゃないんだろうなと思ってしまったので。
でも油圧ショベルを操縦してるから、人間みたいな形をしているのだろうか(人間向けの油圧ショベルなのかどうかは定かではないが)
瞳のひとつは「対流圏から熱圏にいたる範囲を巡航する種々の飛行撮影機と衛星によって構成された視線(P163)」とのこと
なるほど!!
どうも彼らは記録をしているらしいことがわかる
マンドリングループ(たぶん)とは異なる一人称複数的な主体を維持しており、(一方的であれ)独立性を保てるらしいことがわかる
性交は非対称的な行為であること
「私たちは背中が三つある獣(P147)」すごいな
マンドリン
御神体「鯨→海自体へのイメージ」(仮)
マンドリングループ:腕が計6本、脚は計4本
……とあるけれど、海岸を歩んでいない2本があったりするかもしれないか
人類全体の意識(というべきではないかもしれないが)が共有されており、各々の肉体は物理的な入出力器官として位置付けられている、入れ替わることもあるていど自由っぽいことがわかる
「四本の足(P150)」という表現、ひとりはかならず共用スペースで開発をこなしているという描写(ここすき)
「肉体と精神の求めに応じて」とあるので海岸を散策する肉体も実際に交代してそうな雰囲気がある
「巨大な一つの意思たる海、それを身に纏う美しい惑星(P154)」(『ソラリス』だ)に自分たちの集合知としての存在を重ねる
パレイドリアがそれなり大事そうな概念として導入される
大戦があったこと、舞台が太平洋の群島であることなど、若干の歴史や場所の情報
環礁・核実験・地形などの情報からビキニ環礁だと思われる
鯨
鯨グループ:7つの眼
あとの「蟹」を読むかぎりでは笠木グループと同一であると思われるが……
パレイドリアの話の続きとして:自他の境界がない(このへんが神々の沈黙っぽい)→パターンを形作ることができず、生の感覚(?)としてしか受容できないみたいな話になってくる(現代的に見れば統合の失調ではある)
人間の意識(?)が完全に同一化するまでの過渡期らしいことがわかる
石球
御神体「石球」
「2121年9月のアラスカ」と明確に述べられている
時系列的にはちょっと前のように見えるが、正直よくわかってない
夢:イリアスっぽい描写
このへんも神々の沈黙で、ゆうたら「自他の境界がない、昔バージョン」の話
「開いた」球
視覚的な描写ができない、よね?
蟹
笠木グループっぽい
7つのうちのひとつの瞳が別の夢を見たらしい
俯瞰することの話ふただび
ここまでときどき出てくる語りのアップロードなどなどの話から徐々に彼らの生態の全体像が見えてくる形になってる
小さなボートのなかに女
「人類すべての言語野がつながったのが、いまからちょうど半年前(P152)」で七つ目の瞳は「一年以上にわたって(P160)」漂流していた女を見ていた(という夢を見ていた?)
P158で大地が揺れたことと関係がありそうなんだけど
鳥居をくぐる。今まで、あえて鳥居をくぐることはしなかった(P161)
純粋な観測者であるはずの7つ目の瞳が女をとらえて震える
「間近で見た御神体の岩肌は、海鳥の糞にまみれて白く汚れていた(P164)」は単純に美醜の描写を行ったり来たりすることで対象の存在感が強まるという効果もあるんだけど、もしかしたら「岩→女」への神性の移行ともとれる
女は一人称単数でしゃべる
濃い日焼け、脇毛ぼうぼう、乳に蟹
その前の段落の「あたしはようやく目を覚ます」の主体がちょっとあいまいで、おそらくこの女なのだけど、どうもここまでの一人称複数であった人間たちのうちの一個体のようにも読める……読めない?
むずかしい……最後の台詞の読解にかかっている気がする
ここで個としての人間が復活しているらしく、たしかにしているっぽいのだが
システムの「手足」に回収されつつある在りかたを、独立した「動物」のほうに引き戻してくれたらということなんだろうけど、この言いかただとそういう流れは止まらないと展望している
しかし七つ目の瞳のほうは、純粋な観測者としてあるまじき挙動をしていて……
もはや個を剥奪された端末になりつつある人間から全体への、人間性の逆流? といえばいい��か?
鳥居(文脈から切り離された木一般の意味が異邦で再構築される)というのが、いや鳥居に限らず漂着物の再構築などが(マンドリンもそうだ)、女の登場と構造的に対応しているように思う
単純な近似ではなく、その異質さを強調するための
イリアスパートの「怒り」は、システムに回収されつつある生の叫び(全体的な語りから読み取れる)に沿っている気がする(捕らわれたクリューセーイスの奪還と、漂着した「女」の物語的な関係やいかに。未読なので詳しくはわかりません)
鯨も同様、またソラリスの話も寓意に富む
女、オフラインなのかな(最後の台詞からははっきりと推測できない)
書こうか迷ったが、もしかしたら「正体」があるんじゃないか
P150の環礁・核実験・軍艦というワード(七つ目の瞳では観測できない海底)
ビキニ環礁のクロスロード作戦
鳥居への祈りから、日本の軍艦を連想
クロスロード作戦で沈没した日本艦は長門・酒匂
軍艦の擬人化と言えば艦これ・アズレン
双方のキャラクターの特性に照らす
「あたし」という一人称と「ささやかな乳房」という情報
「酒匂」ちゃん??
艦これの話か?
なんかこうもっとロジカルに導きたいんだけど、まだひらめきに近い
でもこう読むとすっと入ってくる描写とかある気がするんだよ
海への柔らかい執着とか、肉体の話とか
深海棲艦説としか思えなくなってきた
あー、なんかそっちっぽい!
最後の台詞がわかった気がする
元の肉体(艦)が(七つ目の瞳以外に)憧憬?をもって観測されつづけたことによって顕現できた、みたいなことか?
どうなんや
元あたし(傍点)じゃん?
いくつもあった「すれ違う」描写、しかし最後に「越境」して交わり、岐路に立つ!
つまり女の漂着は人類にとっての“クロスロード”だったんだよ!!!(キバヤシ)
ブロックバスター
一言感想
コインを振る。裏。←かっこいい
まったくわからないんだけど、いつもよりわかるよな
Cの盛り上がりがBとDのクライマックスと呼応していく感じが好き
読後感すごくいいからやっぱりこれ最後配置で正解なんだよな
津浦さんの作品一番難解なんだけど、なんか童話的な柔らかさがあるんだよな
ポリフォニック(ね群���ンバーの作品は全体的にそうかもだけど)
こーしーもう一杯
王の祈る姿が比例して増えた←感謝の正拳突きしそう
細かな表現のかっこよさはもはや言うに及ばずなんだよな
Aの語りに出てくるモチーフの並置の伸縮自在さとか
あと「その大きさはもはや比喩の範疇を超えて唯一だった」がめっちゃ好き
挙げてくとキリがないのでやめます
細部
こっちもまずは整理してみる(修正求む)構成:4幕。
(1) p.168「「世界」という言葉がきらいだった」
(2) p.171「「世界」という言葉は、ずっと昔のあいまいな約束だった」
(3) p.174「「世界」という言葉は、その実なにも説明できていない」
(4) p.177「「世界」という言葉が薄い殻から芽吹くとき、その平熱の期待を逃してはならない」
語りの種類:5種類。
A:ほかと同じ明朝体のやつ
各挿話の最初に置かれ、「「世界」という言葉」からはじまる
p.168は病院に行く(お見舞い?)シーン?
p173「恋人の手」と「犬のクソ」は素晴らしいものと価値のないものを表しておりそれらを混同しないとみんな言いはるんだけど実際には紙一重だ、みたいなことを言っているように読み取れる、一方でp174では「生きている私たち」の強調によって、両者はいずれも生命を示しているというふうにも止揚されてくる
p.177「意味のある対象が〜
B:丸ゴシックのやつ
母を知らず、物語を作るハルと、魚から這い出したところを見つかった、八つ目の毛玉のキャット
八つ目!魚から!Cの「ものども」あるいは王だ!
母を知らないっていう宣言的な言い方がDとの関係というか、そういうものを感じる
p171「私は無垢を演じているのではないかと~」からも、直截的にはそういう読み方が誘発されると思った。Dの母との問題を無視した空想の世界。p171の描写は作り物感を補強している。p172「自身のスペアを要請」
世界の果てでコインを投げる
世界の果てが出てきて殻を破るって実質ウテナじゃん
p.180「あるいは誰かのその前駆が私と私の世界を作ったのだとしたら〜」エフェメラルな雰囲気がする
最後に揺れて、そのあと魚、でもって「彼」は(世界の)棘を持つ、(Cの)大亀だわな…
C:教科書体(?)のやつ←例のクレー
彷徨し、「世界の棘」を持つ大亀、王とものども
p.183より、ものども(たぶん王も)八つ目である
最後、魚がめっちゃとんできて世界の殻が壊れる
p.183Bによれば、Bにおける「物語」が世界と同一視できそうではある
D:薄めの丸ゴシックのやつ
現代劇っぽさのあるわたし(空想が好き、大学は文学部、就職に困る)と母。二人は折り合いが悪い
p178「世界に目を向けて」という母親の言葉とそれに従わずに目を閉じる私。「世界」という言葉への反発はAにつながっているように思う。
目を閉じて以降、空に魚が出現し母が消えるので、ここで世界に背を向けたように感じられる。というかp182のBにシーン的には合流しているように読める。丸ゴシック繋がりもあり。
ふと思ったがここの「わたし」が神待ち行為を行なっていた可能性があるぞ!!!!(ないです)
最後、やっぱ空に魚(バラクーダ!)が出現する。母はいなくな
E:薄めの明朝体のやつ
わたしと「彼女」(母性を感じはする)、あやとり
p.174「わたしは彼女の暇潰しの相手に過ぎない」が、その前のp.173B「気晴らし」につながらなくはなくて、そうなると物語自体ってことになるのか?
p.183「名づけたのは他でもない、わたしだ」。「世界」を?「世界の棘」を?
「ふだん浮遊している〜彼の棘はもたらす」らしいぞ!(だいじそう)
ストーリー性は希薄で、間投される語り
p.183、やっぱ魚は大亀の斥候なんだよな
あ、ここに寝室(Dの末尾の舞台)出てくんじゃん
あえて階層構造を仮定するなら、基底から順にD→B(Dのわたしの空想あるいは物語)→C(Bのハルの物語)で、大亀による崩壊がC→B→Dと還流してるように読めなくはない気はするんだけども……(BとDは……つーか、いうたら全部上下がなく並列でもいけるか)。で、それで世界がつながるのはわかる。じゃあ「その外に残された」の外って?(火じたいは王の演説にも出てくる)
レイヤーを想定しちゃうのは悪い癖だな。読み返してたらあんま上下関係ない説の方が強まってきた
自分だったらレイヤーを想定して書くのだろうが、多分作風的にはレイヤーとかじゃないんだと思う。しかし相互の関係性とかが変奏していく感じがあって良いんだよな
テーマ��ついて
神待ち
神の裁きと訣別するため:自分を負かす誰かを待っている→勝って神の不在を証明
山の神さん:神待ちアプリ
囚獄啓き: 「地獄とは神の不在なり」なので、不在なんじゃないかな
杞憂:中年男性(世界を維持するための計算資源→神?)待ち、待ち行列理論
キノコジュース:ルシエが宮殿で完全性を持つであろう存在を待っていたこと
蟹と待ち合わせ:蟹待ち
ブロックバスター:亀待ち
むりやりまとめると、神待ちの「神」を、原義側に寄せた、圧倒的なものとか完全なものとかでとって書いたのが多数派、という感じだろうか
とどのつまりは祈りだ。
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新ALIS運営に贈る7つの正論
📷仮想通貨市場の熱気が別次元のように何もなかったALISですが、代表取締役 安昌浩氏の辞任というニュースが入ってきました。理由は事情は知りませんが、直近のAMAやインタビューを読んで「え?」って思ったことを書きます。以下記事より一部引用しています) 【2021-04-29】ALIS AMA議事録メモ | ALIS ALIS is Japan's First Social Media Using Blockchain Technology 📷alis.to ALISの今後について水澤さん・石井さんに直接話を伺った! | ALIS ALIS is Japan's First Social Media Using Blockchain Technology 📷alis.to また私が過去に書いた主張(記事)は以下の2つです。 なぜユーザーはALISで失敗し、ALISメディアは失敗し、法人ALISは成功したのか | ALIS ALIS is Japan's First Social Media Using Blockchain Technology 📷alis.to Discordでジミーさんが意見を書いていたのてそれに対する返答 | ALIS ALIS is Japan's First Social Media Using Blockchain Technology 📷alis.to 1.代表取締役がノーコメント辞任は無責任では? ・安さん → 本人の意志で辞任。それ以上のことは弁護士の影響もあり、一切言えない。追求されても困ってしまう(私のコメント:これ以上ALIS運営に、安さんに関することを追求しても無駄なので、控えるべきです)別に理由は何でも良いんですが、何かしらコメントあっても良いんじゃないでしょうか?もちろん投資という側面があったにせよ、多くの人がプロジェクトの信念に賛同して多くのお金を集めたわけです。そのICOを成功体験として色んな場で語ったにもかかわらず、それが辞めるときにはコメントが一切ないというのは率直に無責任だと感じました。2.AMAはやる必要がなかったのでは? ・なぜ今になってAMAを再開したのか → 無言だと悪く思われやすいため。また、自分たちの想いをしっかり伝えたいため(AMAをやらないのは悪手だったと考えている)「AMAを何故やらなくなったのか?」「AMAは定期的にやるんじゃなかったの?」そんな声が割と多くあったと記憶しています。 それに対する運営の考えは「何回も同じ質問が繰り返されるならしないほうが良い」「AMAをしなくてもコミュニケーションが良くなった」という返答で、定期的なAMAは基本的に必要ないとの考えでした。それが急に「悪手だった、自分たちの想いをしっかり伝えたい」と言われても「じゃあこれまで頑なにやらなかった数年間はなんだったの?」と言いたくなりますね。3.取引所上場しなかったら価値はないのでは? ・国内上場 → 白紙(価値があるなら目指すが、新生ALISでは、あまり必要性を感じていない)国内上場をしないということは方針的に海外上場も特に目指さないと思われます。となると多くの仮想通貨(暗号資産)のように取引所での売買による利益を前提にしないのでしょう。そうなるとよくあるアプリ内で○○と交換できる、○○を利用できるみたいなサービスになる気がしますが…必要性を感じないのは良いですが、むしろ難易度としては茨の道を選ぶようにも思えます。4.信頼の可視化の白紙化は懸命 ・信頼の可視化 → 白紙(ALIS.toの理念、目的も一旦白紙)・ホワイトペーパー → 白紙これは良い判断だと思います。正直、信頼の可視化は無理でしょう。ちなみに私は去年9月の時点でもう辞めるべきだと以下のように提言しています。こ��記事を書いていて思ったんですが、もう信頼を可視化したメディアとかどう考えても実現不可能ですよね。 私には「ALISに有名人や多くの人が集まってユーザー数が爆発的に増えて且つインフルエンサーよりも名もなき一般人の記事が上位に来て評価される」という夢物語のような未来が全く想像できません。そんな夢物語に意固地になるよりも企業向けサービスを基本にしながら他の方向性でトークンエコノミーとかを実現する方が、トークンの価格にもよっぽど期待ができます。 なぜユーザーはALISで失敗し、ALISメディアは失敗し、法人ALISは成功したのか | ALIS ALIS is Japan's First Social Media Using Blockchain Technology 📷alis.to ただALIS運営の反応として「ALIS実現のために企業向け活動をしているんだ!」みたいなのがあった気もするんですが、予想通り「信頼の可視化の終了」になってしまったのはちょっと残念でもあります。5.ALISは失敗してなかったのでは? ・旧ALISは失敗という認識どういうニュアンスで話していたのかは分かりませんが、私は上の方にある前回の記事で「ALISは失敗だった」と書いたところジミーさんから次のような返答がありました。大前提ですが、ALISが終わっていないのにALISが失敗したとは言えないと思います。自分なりの期待を持って、888さんがALISに投資していただきました。しかし、その期待が888さんが望んでいた期間で答えられていないからALISが失敗したと彼が考えており、まだALISに期待をしている方になぜ期待しちゃいけないかを話している風に僕が捉えています。ジミーさんは矢面に立って批判を受けてきたので、別に責めることも非難する気持ちも全く無いのですが…まあやっぱり失敗だったでしょ?っていう気持ちです。※ちなみに私はICOには参加せず、バブル期にクリプトピアで買って売ってトントンくらいだったので特に投資したという気持ちはありません。6.旧ALISに足りなかったのは速さです ・新生ALISでは、速さは求めない・ALISの失敗の要因には、行きあたりばったりや、速さを追求してしまったところもあると思うこれは私の意見では全く逆です、旧ALISに足りなかったのは「スピード感」です。もし旧ALISがスピード感をもって様々なことに取り組んでいたと考えるのであれば、それは大きな過ちです。ALISが2017年にICOを行って資金を集めてから何年間が過ぎたでしょうか? そしてファーストペンギンともてはやされてから何を成し遂げたでしょうか?そして約4年という月日の間に、どれだけのプロジェクトが生まれて追い抜いていったか?それを考えるとむしろブロックチェーンという世界で置いて行かれたように見えます。7.ALISが成功するには… ここまで好き放題書かせて頂きましたが私よりALISが成功するための提言を申し上げます。①価格を上げるためのトレンドを追いかけよう最近は御存知の通りDeFiが非常に流行っており、多くのお金が流れ込んでいます。 私も今年は多くの資金をそちら方面に投入しています。 やはりALISの価格を上げるためにはどうしたらお金が入ってくるかを考えて動くべきです。ということを伝えるとALIS運営は「価格よりも価値を上げることが大切」「トレンドで上げることに意味はない」というようなことを言う気がしますが(笑)でも価値に見合わない価格がついたプロダクトは、価格が付かないけど価値のあるプロダクトよりもずっとマシだと思います。価格は無いけど価値はあると信じてる…と言い続けることは辛くありませんか? それが1,2年なら良いですがもう4年もの月日が流れてしまうのです。②価値を上げることも並行して取り組むだから価格だけを上げるのではなく、同時に価値も上げることに取り組めば良いのです。高品質な商品を作れば宣伝をしなくても売れる…というのが夢物語であるように、プロダクトそのものの価値を上げれば価格も後からついてくる…というのは夢物語です。新ALIS運営に期待はしてませんが応援はしてます 正直なところ新ALIS運営に「も」、特に期待はしていません。やはり旧ALISが予想通りに失敗し過ぎたのと、新ALIS運営の様子を見るに革新的なサービスが生まれるとは思えないからです。ALISがこれまで生み出したものと言えば、誰とは言いませんが某逆神ハメコミ煽りマンという哀しきモンスターくらいでしょう…
ALISAMA
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📷📷📷📷 公開日いいねによる獲得投げ銭による獲得サポーター ::: 2021/05/0382.40 ALIS95.20 ALIS
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アカデミー賞のない3月(2021年3月の日記)
■2021/3/1 月曜日。金曜に仕事を休んだので急ぎの対応をしているだけで大変。ぜんぜん時間が足りない。TIFFとフィルメックスの開催期間が発表されたけど去年に続き同時期開催。むむむ。しかし去年と違う点はTIFF側もオンライン上映をやりそうですな。僕は良いと思います。1ヵ月以上ゲームを禁止されていたうちの娘ですが本日より解禁。1日1時間のマインクラフトの楽しそうにやっている。また禁止にされないと良いね。夜、WOWOWオンデマンドで『108 海馬五郎の復讐と冒険』を観る。
■2021/3/2 火曜日。ミーティングの準備で疲れ、ミーティングの発表で疲れ。夜は映画を見ながら寝落ち。たぶん30分ぐらいのところで寝た。
■2021/3/3 水曜日。もうぜんぜん映画観れないので午前半休を取って吉祥寺へ。UPLINK吉祥寺で『春江水暖~しゅんこうすいだん』を観る。観て良かった。せっかくの吉祥寺だがコロッケを買う時間もなくすぐ帰宅。午後からは在宅仕事。どうやら東京の緊急事態宣言はさらに2週間延長になりそう。はー。試合は見れなかったけどヤング東京で挑んだルヴァン杯の初戦は勝ったようだ。夜、Netflixで『星の王子ニューヨークへ行く』を見る。
■2021/3/4 木曜日。かなり集中して仕事した感。シネマシティの『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のスケジュールがやっと出た。初回は7時!早い。しかしこれを観れればなんと午前半休を使わずに映画を観に行ける。娘の朝の支度が最後までできなくなりそうだが、まぁそれはチケットを取ってから考えよう。とゆうわけで今日だけは寝落ちするわけにはいかない。Netflixで『ユ・ヨルの音楽アルバム』を見る。「京浜ネバーランド」を聴いたり、光岡先生がゲストのラジオを聴いたりしながら24時を待つ。日付変更と同時に『エヴァ』のチケ取り。本当は最後列を狙いたかったが取れず。それでも後方通路側が取れたので良かった良かった。映画のチケ取りでこんなに気合を入れたのは久々だ。
■2021/3/5 金曜日。Disney+の『ワンダヴィジョン』E9を見る。ついに完走。いやー毎週楽しかった。夜、鳴瀬聖人監督のClubhouseを聴いていたらいつの間にか寝てしまった。成瀬監督の新作観たい。
■2021/3/6 土曜日。早起きしてNetflix『同級生マイナス』を見る。本日は月一の土曜登校日ってことで娘は学校へ。これは映画鑑賞チャンス。MOVIX昭島で『あのこは貴族』鑑賞。午後はDAZNでFC東京×セレッソの試合を見る。逆転勝利嬉しい。夜はAKIRA君たちがゲスト出演の札幌のラジオを聴く。楽しそう札幌。あと今泉監督がインスタLIVEで『あのこは貴族』について話すというので見る。これが超面白かった。ナイスタイミング。
■2021/3/7 日曜日。娘と実家へ遊びに行く。のんびり。Amazon Prime Videoで『グッド・ストライプス』と『そこにいた男』を見る。夕飯までご馳走になってから帰宅。夜はシネマクティフ東京支部の音声配信を収録。久々にmatsuさん、まるゆさんと3人で。『あのこは貴族』についてがっつり。エヴァの配信イベントで『シン・エヴァ』の冒頭12分を見てから寝る。明日は早起きだ。
■2021/3/8 月曜日。もう4時半ぐらいに起床。いろいろ準備して、娘にもいつもより早い5時に起きてもらい朝の英会話勉強とか朝ごはんとか。ごめんよ。娘の支度も無事終わり6時には家を出て立川シネマシティへ。シネマツーの開場が遅くて焦ったけど『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』aスタ極上爆音上映で鑑賞。いやー集中して観たな。グッズなど見る余裕もなく即帰宅。10時半前には帰ってこれた。休暇を使わずすんで嬉しい。11時にはもうミーティングに出てました。夜はオンライン試写で『サンドラの小さな家』を視聴。24時に宇多田ヒカルのMVがプレミア公開だったがその前に寝てしまった。
■2021/3/9 火曜日。一年前の今の時期は手術のために休職していた。4月で復帰後1年となるので、それを前に産業医の先生とオンラインでミーティング。うちの娘の英検3級、無事に二次(面接)も合格していたとのこと。しかも結果に対しておおよその順位が出るんですけど「東京都内の受験者の上位8%」となっていた。幼稚園から英会話を真面目にやっていると小2でこんな感じでできるんですよね。しかも筆記の方とか知らない単語がたくさんあるんですようちの娘。文脈とかで意味を把握して解けているらしい。英語がんばってるもんな。お父さんは羨ましいよ。大変だろうけど。シネマクティフ東京支部の音声配信『あのこは貴族』のミニMCT回を配信。感想とかいただけて嬉しい。夜はラロッカさんとDiggin' Netflix収録。このラロッカさんと月一でNetflix作品の話をするのはペース的にちょうど良い感じ。
■2021/3/10 水曜日。札幌のAKIRA君から届いたスガラムルディなどを読む。いやー良い活動だ。夜はDAZNでFC東京×神戸戦。負けた。。Netflixで『モキシー ~私たちのムーブメント』を見る。MCTOSお題作品。
■2021/3/11 木曜日。思わず10年前の自分のツイートとかを検索してしまった。まだ高尾に住んでいたころで、電車が動かず会社の先輩に自転車を借りて帰ったのを思い出した。都心で働いていた妻は夜中に帰ってきたんだっけな。まだ子供が生まれてなかった頃だけど、不安だったな。夜はオンライン試写で『水を抱く女』を視聴。
■2021/3/12 金曜日。早起きできたのでU-NEXTで『東京原発』を見る。僕モテメルマガで伯周さんが取り上げていた作品だけど、これもっと注目されて良かったのでは?という映画。『ワンダヴィジョン』のない金曜ではあるが、見るものは山ほどある。夜中に映画パンフは宇宙だ!のClubhouseがあるとのことでいくつかアリ・アスターの短編を見直す。楽しみにClubhouseの開始を待っていたらなかなかはじまらない。まだかなぁと待っていたらいつの間にか寝てしまった。。無念。
■2021/3/13 土曜日。朝から娘を習い事に送り、僕は映画を1本観れるチャンス。UPLINK吉祥寺にて『DAU.ナターシャ』を観る。電車移動中、落雷による信号機故障ってことで中央線が長時間停車。いろいろ買い物とかしたかったんだけどな。娘を迎えに行くのには間に合って良かった。帰りに立川の伊勢丹による。娘にホワイトデーのお返しを買う。バビと『鬼滅の刃』コラボのやつ。本来娘が欲しかった時透無一郎はもうなかったんですけど、不死川実弥で許してくれた。夜、オンライン開催の「ええじゃないかとよはし映画祭2021」のコンペ作を見はじめる。これは見切れないやつだな。
■2021/3/14 日曜日。予定では映画を2本観れる予定でそれはそれは楽しみにしていて、何を観るかもかなり迷って決めていたのですがそれがゼロとなってしまった。いろいろ我慢と努力を重ねて、こういうチャンスを楽しみにしているだけにかなり落胆。本来であれば『夏時間』と『ビバリウム』を観ているはずだったんですがね。あーしんどい。風邪ぎみの娘と家で過ごす。鼻水は出てるけど熱が上がらないのがありがたい。食事ももりもり食べれるようなのしっかり食べさせる。娘と家で二人で過ごすのは楽しい。家から出れなくてかわいそうなので図書館でたくさん本を借りてくる。いっしょにDAZNでJリーグを見たりもできるようになった。引き続きとよはし映画祭のコンペ作を見れるだけ見る。夜、Amazon Prime Videoで『星の王子ニューヨークへ行く2』を見る。鈴木敏夫のClubhouseは『あのこは貴族』回。なかなか面白かったが内容は書けない。まるゆさんがツイートしてた春本雄二郎監督、藤元明緒監督のYouTube番組を見る。なかなか面白い。シネマク���ィフの名前も挙げていただき恐縮です。
■2021/3/15 月曜日。娘は鼻水が出てるけど発熱がないので学校へ。自分は今日も在宅仕事ですが、メインで使っているアプリケーションの不具合でまぁまぁ仕事にならない。TIFFとフィルメックスについていろいろ発表される。これはどうなるんだろうな。まったくわからない。市山さんは信頼しているけど、矢田部さんのTIFFも好きだったんだよな。そして市山さんが去ったフィルメックスはどうなるのか。そしてメインエリアが日比谷・銀座へ。かつての渋谷から六本木に移り、すっかりTIFFのイメージは六本木になっていた。カレー食べたりおでん食べたりするの楽しかったんだけどなぁ。しかもTOHO日比谷とかピカデリーは使わないのかな。いろいろ変わりますね。夜、娘とひと悶着あり疲弊する。娘を寝かしつけながら矢田部さんが去るTIFFのことを考えていたらじわじわきてしまった。矢田部さんのTIFFコンペ、楽しかったな。感謝の気持ちでいっぱい。
■2021/3/16 火曜日。3月ももう半分か。朝、時間があったのでApple TV+『チェリー』を見る。口ひげありのトム・ホランドはベグビーのときのロバート・カーライルに似ている。夜、入江監督と大川編集長の書評対談をYouTubeで見る。こっそり『ネメシス』情報も話しているから櫻井翔ファンもチェックした方が良い。限定配信されている『僕の帰る場所』を見る。移民申請か。
■2021/3/17 水曜日。朝、時間があったのでWOWOWオンデマンドで『劇場版 おいしい給食 Final Battle』を見る。AKIRA君の2020年ベストだったので気になっていた映画だが面白かった。市原隼人ベスト作品かもしれない。夕飯はピザ。うまいうまいと食べていたらFC東京戦がはじまっていたのに気づかず。18時キックオフだと忘れちゃう。後半だけ見る。逆転勝ちやったぜ。シネマクティフ東京支部のメンバーとグループDMでいろいろ話す。あまり映画を観に行けなくても、できることはいろいろありますね。夜、けんす君と東京支部の音声配信をリモート収録。新企画「Diggin' Amazon Prime Video」だ。収録終わってから近況もちょっと話す。僕も映画はあまり観れていないが、けんす君はもっと観れていないようだ。楽しく話してSkype切って、気分が上がったからこりゃすぐに寝れないかもな、と思いながら横になったら即寝た。
■2021/3/18 木曜日。朝から昨夜収録した音源を編集、配信準備。お昼にはもう配信しちゃう。夜、藤元明緒監督が参加したClubhouseを途中まで聴く。娘が寝てからMCTOS『モキシー』回に参加。僕が今回あまり作品を掘り下げられていなかった(自覚してます)ので他の方の感想を聴いていてなるほど、と。終わって横になったらそのまま寝てしまった。
■2021/3/19 金曜日。あまり仕事の問い合わせがこないので嬉しい。普段時間がなくてできないことがいろいろ進められます。Disney+にて『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』S1E1を見る。『ワンダヴィジョン』が超変化球だったのに対し今度はストレート。この幅。でも時間に余裕がある分、ヒーローのプライベートをじっくり描く。本来であればこっちがドラマの1作目になるはずだったのも納得。オンライン試写にて『騙し絵の牙』視聴。夜、vimeoで『灼熱のドッジボール』視聴。Clubhouseで知人の多い部屋があったので楽しく聴いていたけど、途中から手を挙げてしまい結局まぁまぁ喋ってしまった。Clubhouseは短時間で見たい映画やドラマが増えるから危険。
■2021/3/20 土曜日。久々に映画を観れる時間ができたので渋谷へ。ユーロスペースで『夏時間』鑑賞。観て良かった。食事する時間もなく吉祥寺へ移動。吉祥寺プラザにて『野球少女』鑑賞。吉祥寺プラザに行ったのが久々すぎる。たぶん10年以上ぶりだったはず。WOWOWオンデマンド『リズム・セクション』視聴。春本監督らのゆるっと雑談YouTubeの前半をLIVEで見る。今週も面白い。トークイベントやるのかー。行きたいなぁ。MCTGM『野球少女』回に参加。少人数回だったけど僕以外が野球に詳しい。完全に『野球狂の詩』プレゼン回と化していた。ゆるっと雑談YouTubeの後半を聴きながら寝てしまった。
■2021/3/21 日曜日。娘と実家へ遊びに行く。DAZNでFC東京×仙台戦を見る。本当に1点取られるまで本気にならない今年のFC東京。逆転勝ち。夕飯までご馳走になってから帰宅。うまいキムチをお土産にもらって嬉しい。夜、鈴木敏夫のClubhouseを今週も聴く。さらにシネマクティフ東京支部の3人で音声配信をリモート収録。僕の思いつきでの企画回だったけでmatsuさんもまるゆさんもすぐにのってくれてありがたい。ついにApple TV+にて『ディキンスン』S1E1を見る。ついに。
■2021/3/22 月曜日。ミーティングの連続で忙しい。夜、「プロフェッショナル」の庵野秀明回を録画で見る。面白かった。Apple TV+『ディキンスン』S1E2を見る。前野健太の配信ライブも見たかったけどうっかりClubhouseでしゃべってしまい。。
■2021/3/23 火曜日。朝一で僕モテの情報コーナーを仕上げ、お昼は集中して仕事。午後、娘が下校。転校しちゃう子と最後に公園で遊びから行きたいという。仕事が暇なら送ってやりたいがちょうど自分もしゃべるミーティングがあり家を出れない。キッズ携帯を持たせ行かせたがまぁまぁ不安である。しかも電話してもすぐに出ないし。ハラハラしたがミーティングの途中で帰ってきてくれてホッとする。僕のミーティングもうまくいってさらにホッとする。娘はもうすぐ春休みである。Apple TV+『ディキンスン』S1E3を見る。順調。がしかし娘を寝かしつけながら寝てしまった。映画1本は見ておきたかった。
■2021/3/24 水曜日。早寝したのにいつもの起床時間まで寝てしまった。娘はついに2年生の終業式である。『ブラック・ウィドウ』の公開日が延期。元のスケジュールだと『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』S1最終エピソードの翌週というあがる感じの公開日だったんですけどね。今度のスケジュールは配信も同時(追加料金あり)と発表されてるからもうやるんだろうな。NYなどの映画館も再開しはじめたからもう5月の映画は公開してくれるかと思っていたけどまだダメなのか。『ブラック・ウィドウ』の公開は大きな指針だと思うので、他の(ディズニー以外の)ハリウッド作品公開にも影響あるだろうな。ピクサー作品の劇場公開なし、についてはもうある程度仕方ないと思っている。これは自分が今、あまり映画館に行けない状態からなのかもしれない。最低限これだけは観たい、という映画すらも観に行けない状態だと、はっきり云って配信してもらった方が良いのです。これは環境とか住んでいる場所のよっても違うのでしょうけどね。娘の春休み突入、ということで義母がきてくれた。しばらく泊まってくれるという。昼間、娘の相手をしてくれるのでありがたいです。僕は家にいるんですが仕事なのでずっと娘を見ていられないんすよ。Apple TV+『ディキンスン』S1E4を見る。Disney+『エージェント・オブ・シールド』S7E2を見る。WOWOWオンデマンドにて『サイキッカー 超人大戦』を見る。オンライン試写にて『パーム・スプリングス』視聴。アーカイブにて、前野健太第三回無観客生配信ライブ【歌のぶん回し】を堪能。その配信ライブを見てる途中、ある方から嬉しい報告のメールを受信。めでたい!
■2021/3/25 木曜日。数は少ないが難題な感じの仕事ばかり。どうしよう。家庭でもどうしたらいいのかわからないことがありなかなかに困っている。Apple TV+『ディキンスン』S1E5を見る。Disney+『エージェント・オブ・シールド』S7E3を見る。オンライン試写で『BLUE/ブルー』を見る。TIFF Studioの冒頭だけ見る。矢田部さん、冒頭で自分の退任を発表していた。なかなかにしんどいだろうな。3月末でTIFFの仕事を離れるということで、TIFF Studioはもう1回あるとのこと。最後、どんな配信になるのだろうか。Apple TV+『ディキンスン』S1E5を見る。Disney+『エージェント・オブ・シールド』S7E3を見る。
■2021/3/26 金曜日。午前半休で病院へ。とりあえず9月頃までは月一の通院が続くようだ。病院終わって丸亀製麺でランチ。うまい。午後から会社へ。まともに出勤するのは今年はじめてだ。いやーオフィスで仕事すると集中できるな。なんかいろいろ家のことが心配で早めに帰宅。U24のアルゼンチン戦を見たり、映画『僕の帰る場所』のYouTube LIVEトークを見たり。オンライン試写にて『ブータン 山の教室』を見る。Apple TV+『ディキンスン』S1E6を見る。Disney+『エージェント・オブ・シールド』S7E4を見る。
■2021/3/27 土曜日。朝から娘を習い事へ送る。束の間の自由時間。映画観るぞ。ランチを食べる時間がないので立川の一蘭で朝9時台からラーメンを食べてしまう。シネマシティで『モンスターハンター』を極爆で鑑賞。すぐに移動。TOHO立川立飛にて『ノマドランド』鑑賞。すぐに娘を迎えに行く。Apple TV+『ディキンスン』S1E7を見る。Disney+『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』S1E2を見る。
■2021/3/28 日曜日。朝から家族で立川市役所へ。マイナンバーカードを発行してもらう手続き。めんどくさいですね。立川周辺は桜が綺麗だ。娘と実家へ。お昼はスシローへ。娘は寿司を9皿も食べた。過去最多。むらがあるけどよく食べるようになったなぁ。午後は娘を両親に見ていてもらいキンザザの収録にリモート参加。今まで誰とも話せなかった『シンエヴァ』の話をできて満足です。夜、鈴木敏夫のClubhouse『ミナリ』回、若手国際映画監督たちが21時からゆるっと雑談YouTube、che bunbunさんのClubhouse、と映画話の配信をハシゴ。Netflix『赤い光点』を見る。さらに何か見ようと思ったが眠くて寝てしまった。しまった、『ディキンスン』を見ていない。。
■2021/3/29 月曜日。朝から「キン肉マン」の最新回を読む。マンモスマンの戦う姿をもっと見たかったけど数年ぶりにあの超人が復活しそう。夜、U24のアルゼンチン戦を見たり、根矢涼香さんのラジオを聴いたり。Netflix『バーシティ・ブルース作戦:裏口入学スキャンダル』を見る。Apple TV+『ディキンスン』S1E8とE9を見る。
■2021/3/30 火曜日。午前中は集中して仕事。午後はとある理由で病院へ。いろいろしんどい。夜は久々のW杯予選を見る。WOWOWオンデマンド『国家が破産する日』を見る。『野球少女』のお母さんがここにも出てた。やはり金の心配をしていた。Apple TV+『ディキンスン』S1E10を見る。これでS1完走。すぐにS2を見るぞ。
■2021/3/31 水曜日。もう3月も終わりとは。。夕方、退職する2名の大先輩の送別会をオンラインで。送別会もオンラインとは切ないが、オンライン上でも顔を見れて、声が聞けて良かったと思うことにする。Apple TV+『ディキンスン』S2E1を見る。Amazon Prime Video『タイム』を見る。録画しているTV番組もたまっている気がするが追いつかない。そんなこんなで3月も終わり。
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索引
高校生が描いた夢の施設Homedoorが作る、ホームレス状態脱出の仕組み ICC サミット FUKUOKA 2019に登壇する企業のひとつ、Homedoorは、大阪市北区を拠点にホームレスの人たちへの生活支援を続けています。14歳の頃からホームレス問題に関心を抱き、川口加奈さんが2018年に設立した施設「アンドセンター」を、今回ICCサミット運営チームメンバーとともに初訪問。活動の内容と、実際に施設に暮らし、再出発を目指す方にお話をうかがいました。 ICC サミット FUKUOKA 2019のカタパルト・グランプリで登壇する川口加奈さんが、19歳で設立した Homedoor は、今年で9年を迎える。 誕生から現在までの道のりは、ぜひ当日のプレゼンテーションやホームページをご覧いただきたいが、大阪市北区を拠点とし、「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくる」をビジョンに、ホームレスの人や生活困窮者への就労支援、生活支援を行っている。 2018年は、ホームレス状態で危険な生活を続ける人たちが駆け込める「アンドセンター」を設立した。この宿泊機能を備えた、ホームレス状態からの脱出をサポートする施設は、14歳の頃からホームレス問題に関心を抱いていた川口さんが高校3年生のときに描いた絵が基になっている。 ICCパートナーズ と運営スタッフメンバーは、「アンドセンター」を訪問し、川口さんや実際に住んでいる方にお話を伺った。 川口さんが高校3年生のときに描いた、夢の施設の間取り図
「アンドセンター」の外観
大阪市北区の「アンドセンター」入り口から入ると、冷蔵庫、キッチン付きのリビングルームのようなスペースが広がる。川口さんは、ホームレスの人たちを親しみを込めて”おっちゃんたち”と呼ぶが、おっちゃんたちが訪れて、食事をしたり、交流したり、ゲームを楽しんだりすることができる場所だ。訪問したときには、インターネットをしていたり、お湯をもらいにきたおっちゃんがいた。
正面ドアから入ったところ。温かいお湯やお茶、軽食が用意されている 「ここでは、ごはんを作って食べてもらえます。今日はおっちゃんが鴨そばを作っていましたね。食品は企業から賞味期限が迫ったものをいただいたり、一般の方からご寄付でいただいたりしています」 奥にはこじんまりとしたキッチンがあり、��まざまな備品が部屋を囲むように収納されている。生活感のあふれる食卓テーブルのある空間は、この時期、寒い外から入ってくると、温かく感じられる。 川口さん「ずっと施設を作りたいという目標があり、土地を探していました。2年前にこの物件は一度空いたのですが、そのときは私たちも準備ができていませんでした。それに一度、住居提供をトライアルしてみて、本当に宿泊施設が必要かどうか試したかったのです。 それでやっぱり住居提供が必要だと判明し、物件を探していたのですが、2年前に見たこの物件以上のものがなく、悔しがっていたところ、昨年(2018年)の2月にまたここが空いたので、逃すまいと思いました。 一般的にNPOはこういう場合に助成金を取るのですが、間に合わず自費です。1970年に建てられたビルなので暖房が古く、使い物にならないので改めて設置しています。完備できた部屋から入居していただいています。 現在、年間で300名ほど新規で、路上で生活している方をはじめとする生活にお困りの方々からご相談いただいています。今日も1人入居して、3人が次のステップにと退去されました。部屋は多めに用意しているので、待機が生じることは今のところありません」
衣類や防寒具、救急箱や食品の備蓄など この建物は5階建て。隣の敷地と合わせて借りた家賃は月100万円だ。以前は韓国人留学生用の寮で、全室が同じタイミングで空いたため、一般のアパートよりも借りやすかったという。1階と2階の共有スペースはリフォームし、個室は短期利用が5室、長期利用が15室用意されている。ベッドや布団は一般の人からの寄付によるものなので、各部屋ばらばらだ。
現在空室のある3階。階段の奥には共同利用の洗濯機がある うかがったときは10室に入居者がいて、そのうち長期利用している方が半数。長期利用については、その人の収入に合わせて家賃をもらっているという。その一人、4階に住む吉岡さんの部屋を見せていただいた。 長期利用者に聞く
お話をうかがった吉岡さん 吉岡さんが住んでいる部屋は、4.5畳程度の居住スペースに、シングルベッド、小さな棚、テレビ、冷暖房にユニットバスがついている。整頓された部屋からは、几帳面に暮らしている様子が伝わってくる。 吉岡さん「ここに来るまでは西成のドヤ(簡易宿泊所)にいました。1泊1,000円でしたが、暖房もなく、お風呂も別だったのですが、ここは暖房、ユニットバス付き。居心地は最高です」 吉岡さんは西成からHomedoorまで往復540円かけて通い、自転車の啓発員として働いていた。そのうち上に住んでもらうのはどうかということになり、2018年9月から長期利用第一号として住み始めて半年近くになる。 吉岡さん「ぶっちゃけの話、西成のドヤにはおりとうなかった。 1000円はそんなに高くなかったから、金だけのことを考えたらいいけど、環境がよくない。隣がやかましいし、部屋はこれより狭く、汚い。あげていったらきりがない。 啓発員としての仕事は、自転車が道路にはみ出ていたら、通行人の邪魔にならないよう片付けたり、不法駐輪があったら警告の紙を貼ったりします」
個室にはユニットバスや石鹸類が備えられ、すぐ生活をスタートできる 吉岡さんは72歳。岡山県出身で、技術系のサラリーマンを3年、パチンコ店勤務を10年などずっと働いてきた。最後の10年は住宅リフォームの営業マンとして勤務し、最終的に支店長を務めた。家族もいたが、現在は一人。ホームレスになってもうすぐ2年になる。 Homedoorを知ったのは、川口さんたちが行っている夜回りでチラシを見たことから。夜回りは冬の間は毎月2回、ボランティア、Homedoorのスタッフ、元ホームレスの人など約20人で4つのルートを回る。路上に暮らしている人に声をかけ、お弁当と、路上からでも仕事があることを知らせるチラシを渡す。
冬は毎月2回、お弁当や寝袋を持って夜回りを行っている 吉岡さんは、お弁当をもらった翌日にHomedoorを訪れた。その頃、路上で生活するようになって1ヵ月ほどたっていた。吉岡さんのいた梅田は、大阪市で2番めにホームレスが多いが、とくになりたての人が多く、そういう人たちに訴求したいと川口さんたちは夜回りしている。 吉岡さん「私はまだ短いけれど、もう10年近く無職で路上生活の人もいる。なかにはもう自分はいい、普通の世界の人と関わりを持たないといって、声をかけても逃げていく人も多い。そういう人は心を開くのは難しい。 西成のドヤには半年いたけれど、隣の部屋のおっちゃんとは交流が一切なかった。お互い避けるというか、挨拶すらない。ほかの階の人の顔もようわかりません。 三畳一間の汚いところで、生活保護をもらいながら生活するだけです。仕事もやることもないから、結局飲むか、ギャンブルに行くしか楽しみがなくなります。生活の向上自体が絶対ありえない」 路上のコミュニティのほうが実際仲がよかったりするそうで、一旦生活保護を利用してドヤに入っても、孤独を理由に半分ぐらいがホームレスに戻るそうだ。 「アンドセンター」では、忘年会、餅つき、節分など季節のイベントが企画され、再出発を目指す利用者たちの間で交流がある。吉岡さんも、30代や50代の入居者と仲がいいそうで、夜回りのお弁当を作ってくれるおっちゃんに、一緒にごはんを作ってもらって食べることもあるという。 吉岡さん「なんとか、2月いっぱいには出られるようにします! もう年ですから、これからはなんとか年金内でやっていこうと思います」
2階にある入居者たちが共有するキッチン&冷蔵庫 快適に暮らすことができ、交流もある。すると、この場所から出たくないとはならないのだろうか? 川口さん「一応最初に2週間が期限だと決めるのと、相談員が何度も面談を重ねていって次の進路を見つけていくことになるので、あまり出たくないということはないですね。むしろ、早まったりする人のほうが多いです。 ただ職員が5名と少ないので、キャパ的にも年間300人が精いっぱい。もう少し体制が整ってきたら、宿泊数がもっと増えるのではと思っています。 出戻りはまだないですが、一度うちで働いて次で働いたけどうまくいかず、戻りたいという人はいます。プライドもあると思いますが、気にせず戻っておいでよということにしています」 6つのチャレンジでよりよい支援を目指す
施設を一通り見学したあと、Homedoorの取り組みをさらに詳しく伺うことにした。現在は5割がネット検索、3割が夜回り、2割が口コミでHomedoorの存在を知り、ドアを叩く。 川口さん「私たちは6つのチャレンジと読んでいますが、ホームレス支援を6段階に分けていて、毎年アップデートしています。 よりよい形を模索して、ゆくゆくは行政に制度として取り入れてもらうようになる支援のあり方を考えていきたい。 1つ目のチャレンジは『届ける』。 存在を知ってもらうために、従来は夜回りを行っていました。昨年度の新しい取り組みとしては、電通さんと新しいキャッチコピーを考えていただいています。 電通でコピーライターとして活躍されている並河 進さんたちが手がける、人工知能の コピーライターAICO というのがあります。AIは人の仕事を奪うといわれがちですが、その逆はできないだろうかというコンセプトで一緒に考えてくださっています。 ネット検索のリスティング広告や、ネットカフェにポスターやバナー広告を掲示いただいたり、イートインスペースのあるコンビニに地道に営業に行ったりしています。
いろいろな質問に答えてくれた川口さん(写真右) 2つ目のチャレンジは『選択肢を広げる』。 Homedoorに来てくれれば、路上生活を脱出できるいろいろな選択肢があります。さきほどの吉岡さんのように、ここに住まれながらお金をためて次の家を探すとか、生活保護を利用するとか、年金を受けられるように住民票を設定するなど、その人に応じた選択肢を提供します。 最近は、女性や親子での相談者もおられました。 昨年は289名が新規で相談に来てくださって、平均44.6歳。女性が全体相談者の11%ぐらいです。 ちなみに厚労省が出しているホームレスの人の平均年齢は、61.5歳です。日本だとホームレスの定義にネットカフェ難民、24時間のファストフード店で夜を明かす人などは含まれていません。 ▶ ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査):結果の概要 平成28年 – 厚生労働省 私たちはそういうところにアプローチしているので若くなっています。諸外国と比べると、日本のホームレスの定義は狭く、路上で寝泊まりしているのを確認されないと、そう認定されないのです。 行政がテントを撤去しているので、わかりづらくもなっています。それで余計支援の手が届かなくなるというのがあります」 HUBchariなど4種類の仕事を提供 取り組みの幅の広さと、問題の深さに驚かされる。川口さんの説明は続く。 川口さん「3つ目は『暮らしを支える』。生活の形を整えていくということで、イベントを実施しています。衣服や食事、シャワーの提供をやっています。 人気なのがカットモデルの生活支援。近くの理容師の専門学校にご協力いただいて、専門学校生のカットモデルになってもらい、モデル料ももらえるので人気です。
カットモデル募集の告知などが1階の冷蔵庫に貼られている 相談には来ていないけど、カットモデルには行きたいとか、シャワーは使いたいとか、そういうことでうちを知ってもらえるので、関係性がスタートするきっかけになります。 4つ目は『”働く”を支える』。 就労支援として現在、4職種を提供しています。吉岡さんのような啓発員と、商業施設の駐輪管理の受託、大阪市内86箇所で展開しているシェアサイクル HUBchari (ハブチャリ)のメンテや再配置、内職などの軽易な作業です。相談に来た人全員が働くわけでなく、働きたいという方にご提供しています。
自転車修理講習なども行っている 仕事の合う合わないは必ず出てくるので、配置換えもしやすいように、いろいろ職種は広げていきたいと思っています。 一方、有料の職業紹介の資格も得ているので、次の職業へのマッチングもしています。ただ、有効求人倍率が上がっているので、うちもおっちゃん不足で悩んでいます(笑)。若いホームレスの人が増えていますが、家族関係が原因の人がほとんどです。虐待を受けてきて、精神疾患を抱えてしまい、すぐには就業できない状況にある人も多いです。
「アンドセンター」の隣にあるHUBchari拠点 5つ目は『再出発によりそう』。 家を探すお手伝いをし、引っ越しのサポートもしています。相談者は、家賃や初期費用をためることで精一杯なことも多く、家具家電は極力プレゼントやレンタルできるように、リサイクルショップさんと提供して モノギフト というサービスをしています。ボランティアさんに手伝ってもらいながら、引っ越しのサポートもしています。 また、うちの特徴としては、Homedoorを卒業した相談者たちが、ボランティアで夜回りなどのサポートを支えてくれています。季節のイベントに、卒業後は顔を出してもらい、ゆるやかな関係性を継続して築いていきたいと思っています」 6つ目は、「伝える」。 川口さんは講演やワークショップで全国を飛び回っている。こうして訪問した私たちのさまざまな問いに答えてくださることも、現場を知る人が正しく伝えるという意味で非常に大きい。 過酷な生活環境を支える
アンドセンターでは、元料理人のホームレスの人が夜回り用のお弁当を作る ホームレスの人の6割近くが、精神や知的障害を持っている方が多いことから、路上生活者が「アンドセンター」を訪れたときの相談員として、精神病院に勤めていた専門家をスカウト。他の団体とも連携しながら、相談者に向き合っている。 川口さん「毎月第3木曜日に健康相談会をやっていて、訪問看護の看護師グループにきてもらい、必要であれば病院につなぐこともしています」 環境を整えても、夜回りでいくら顔見知りが増えても、みんながすぐに利用してくれるわけではない。はじめはシャワーや仮眠室だけの利用から関係を築き、ふと会話の中で出た体調不良の言葉などから、相談につながるケースもあるそうだ。この冬、毎日お湯をもらいにだけやってくるおっちゃんは、知り合ってから通うようになるまで3年かかったという。
川口さん「70〜80歳ぐらいの人で、公園で寝泊まりしている方の中で、足は骨と皮のようなおっちゃんがいます。寝ているそばで炊き出しがあるので食いつないでいるのですが、先日寝床を撤去されてしまいました。うちから提供していた寝袋もすべてです。 そのあと夜回りで会ったときは、公園の奥のスロープで、冬だというのにダンボールだけで寝ていました。認知症を患われているようで、意思疎通はほとんどとれません。
夜回りの様子 現在、看護師さんにもボランティアで夜回りに参加いただいていますが、いずれはお医者さんにも関わってもらい、もっと医療体制も整えられたらと思っています」 公園だけでなく、他の場所でも路上生活者の寝床を撤去されることは多い。時間がたって廃棄される弁当を目当てに集まられないように、薬剤を撒く店もある。かくいう自分も、路上でホームレスの人を見ると、反射的に目を反らしてしまう。 淡々と話す川口さんだが、活動を続けるなかで、憤りを感じることも当然あるだろう。しかし、40代の女性が病気のために就業が難しく、翌日の生活費も尽きたため生活保護を申請すると「女性ならできる仕事がある」と窓口の人に告げられたエピソードを話した時が、唯一わずかに感情の揺れがうかがえた時だった。 結局、川口さんは弁護士を呼び、その場を解決したという。個人の感情よりも、自分の責任ではないのに大変な現実に向き合っている人たちがいるという意識のほうが強いのだろう。
おっちゃん手作りのHUBchariの看板。手先が器用な人も多いという お話をうかがったあと、別の席で川口さんとお会いした。Homedoorでやるべきこと、実現したいことをたくさん伺ったが、あえて、今の仕事でなかったら、何をやりたかったかを尋ねてみた。 「私、スタジオジブリが大好きなので、大学を卒業するときに、就職しようかと思っていたんです」 意外な回答。実際応募はしたのですか?と聞くと、 「どう思う?と、おっちゃんに聞いてみたら、『ハヤオはスタジオジブリに入りたがる奴は採用したくないと思うで』と言われて『それもそうだな』と思ってやめました」 「知り合いでもないのに、呼びすて」と笑いながら、あっさりとそう答えた川口さん。この見極めの速さ、そしておっちゃんたちと築く信頼関係が、Homedoorをより強固なものにしていくのだろう。 ホームレス問題は、海外の問題��子ども関連の支援活動に比べると、人気や注目度も低く、本人に問題があると考えら���がちで、世間からの風当たりも強い。そんな「誤解と偏見」を「理解と関心」に変えるべく、川口さんたちはひとつひとつ課題に取り組み、再出発する人たちを増やしていく。 「 アンドセンター 」が初めて迎える冬。「 家賃に加え、光熱費がどれだけかかっているか怖い 」とのこと。
「最近、このあたりからおっちゃんたちが、一掃されたんですよね」 人気のない広い公共施設のエントランスをぐるりと一周し、隅々まで目をこらした。駐輪場の端や建物の裏側などで暖をとっているおっちゃんがいないか、確認するのである。「おっちゃん」とはホームレスの人のことだ。
焼き鳥屋、居酒屋、百均ショップにたこ焼き屋。庶民的な店が軒を連ねる、大阪の中心部から歩いて20分の商店街。 週末の夜、安く飲ませる店の軒先はくつろぐ人たちで賑わうこの商店街から、脇に抜けた公共施設の前でのことだ。 現在、路上で暮らす人の数は全国に4555人(2019年1月、厚生労働省調査)。 病気、人間関係のトラブル、家族の介護などで仕事を失うことは珍しくない。現金収入が途絶え、家賃が払えなくなり、住む家を追われ、路上に居場所を求める —— 。それは誰にでも簡単に驚くほどあっけなく起こり得る。 そしてこの人は、路上生活に陥った人が再び生活を立て直すまでを、5つのステップによって支える活動を行っている。川口加奈、29歳。 就職せずにホームレス支援の道を
川口がホームレス支援に関わって15年になる。 川口がホームレス支援を始めたのは14歳のときだ。 中学から私立ミッションスクールに通うような恵まれた家庭に育った女の子が、大学卒業後も就職せず、ホームレスの人たちと関わり続けている。 19歳、大学2年で任意団体「Homedoor(ホームドア)」をつくった。大阪駅やその周辺など、北区に暮らす路上生活者を支援する。 現在は認定NPO法人となり、事務局スタッフが6人、当事者スタッフが20人、相談ボランティアは15人、ボランティア登録者は1158人にのぼる。ビジョンは「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくる」だ。 川口はいつものように、弁当を持って夜回りを始めようとしている。 本格的な冬を迎えようとする、夜9時。 「よかったら遊びに来てください」
川口はボランティアとともに早足で大きな公園に向かった。東京ドームがすっぽり収まる広い敷地にはジャングルジムや長い滑り台などの大型遊具、卓球場、充実した���設に、芝生、噴水まで備える。 商店街の喧騒とは裏腹に静かな公園内をひんやりとした夜露が覆う。 ずんずんと歩いて行く川口の前方に、荷台にこんもりと荷物を積み上げた自転車が見えた。自転車の脇のベンチで中年の男性が仰向けになって文庫本を読んでいる。 「お弁当、渡しましょう」 川口がささやき、ボランティアがバッグの中から弁当とスナックを小分けに入れた袋をそっと取り出した。 「こんばんは」 ゆったりとした関西弁で川口が声をかけ、男性が身を起こした。がっちりとした肩は、50代に差しかかった頃だろうか。 「何の本、読んではるんですか?」 穏やかな川口の口調につられるように、 「東野圭吾は全部読んだよ」 と返した男性の言葉には南国の訛りがあった。 ひとしきり言葉を交わし、「Homedoor」の案内を書いたニューズレターを手渡した。 「体に気ぃつけてくださいね。よかったら、うちにも遊びに来てください。推理小説とかいっぱいあるし」 「ありがとう。寄らせてもらいます」 弁当は知ってもらうための手段
公園の内外のどこに誰の棲み家があるのか、川口の頭の中には顔と名前と場所が一致する地図ができあがっている。 歩道橋のたもとや商店街の端に寝床を敷いて暮らす人たちは、川口を見ると笑顔になった。 「今日のおかず、何?」 と、ヤマさん。路上生活歴は10年を超える。 「ヤマさん、爪伸びとるなあ。お風呂、入りにきてくれたらええなあ。爪切りもあるし」 噛み合わないかけ合いが、どこかあたたかい。 「もうすぐ、カレーが食べられる忘年会なんで、よかったら来てくださいね」 安否確認をしながらこうして弁当を配り、声をかけ、別れ際にはHomedoorに来てみないか、と誘いの言葉は忘れない。 出発して1時間半、夜10時半を回る頃、20個��弁当はすっかりはけた。これからの厳しい寒さをどのようにしのぐのか。2時間の夜回り「ホムパト」は路上生活者の立場を具体的に想像させる体験だった。 弁当はおっちゃんたちにHomedoorを知ってもらう手段だ。 食事、寝る場所、仕事、人との関わり。Homedoorにはホームレスが生活を再建するために必要な手段がさまざまな形で用意されている。この仕組みを川口は8年かけて整えた。ホームレス支援の団体がさまざまあるなか、トータルな仕組みはホームドア独自のものだ。 だが、Homedoorとつながって生活を変えるかどうかは、本人の意思に委ねられている。 それぞれに事情ある人たち
キビキビと弁当づくりの場を仕切る弦さん。 玉子焼き、煮物、魚の切り身の唐揚げ。テーブルいっぱいに並べられたおかずとバットに広げられた白飯を、10人ちょっとのボランティアが流れ作業で詰めていく。米は寄付、食材はフードバンクからの提供だ。ごはんにシャケのふりかけをかけて、焼き海苔を被せると完成する。 ホムパトに出かける1時間ほど前、Homedoorの事務所にはこんな風景があった。 おかず作りに腕をふるった弦さん(仮名)は、60代の後半、元料理人だ。 関東のある町で生まれ、中学卒業後に都内で料理の修業をした。結婚して名古屋に移り住んだが、愛妻を亡くし50歳目前でひとり大阪へ流れた。興した事業がうまくいかず、数年前から川に近い路上に生活の場が移った。 「ホムパト」中の川口に出会ったのは2年前。弦さんは、後日Homedoorの事務所を訪ねた。そこで路上生活から抜け出るための「相談」をするようになり、Homedoorに「居場所」を得て、また、食事のサポートを受けた。ほどなく、自転車整理やビラ配りの仕事を紹介され「働く」ことが可能になった。住民票登録や保証人のサポートを受けて、現在住むアパートの契約にこぎつけた。 ホムパトのある日、弦さんはアパートから45分かけて電車を乗り継いで事務所へやってくる。Homedoorに集まる人たちと冗談を言い合い、料理に腕をふるって感謝されるひとときは、弦さんにとって大切な時間だ。 川口のそばでホームレスの人たちを眺めていると、それぞれのホームレスがひとりの人として立ち上がってくる。「ホームレス」という単語ではくくることのできないそれぞれの事情や生い立ちの物語があることが、ぐっと身近に思えてくる。
ご批判、ご指摘を歓迎します。 掲示板 に 新規投稿 してくだされば幸いです。言論封殺勢力に抗する決意新たに!
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special interview ハバナミュージアム・平手千博氏に聞く アイウェアのセレクトとは? バイイングとは?
みなさんご無沙汰しています。“あの”メガネ対談が帰ってきました! 今回は1994年に名古屋にオープンし、テオをはじめ、数々のハウスブランドをいち早く仕入れてきた「ハバナミュージアム」の平手千博氏が登場。アイウェアのセレクトやバイイングをテーマに、ガチなトークを繰り広げます。
うちのようなメガネ屋は“スキマ”なんです 決してメインストリームじゃない
宮崎:今回、平手さんと話をしたいと思ったのは、最近、セレクトショップのバイイングやブランドへの考え方が変わってきたと感じることが多くなってきたからです。平手さんといえば、創業から現在までセレクトがまったくブレていなくて、これって非常に希なことなんですよ。でも、ハバナミュージアムは創業当初からブランドがかなり変わってますよね?
平手:変わっています。最初の面影が一切ありません。
宮崎:テオやアラン ミクリなど後に一世を風靡するブランドをいち早くセレクトしていたと思うんですが、驚いたことに今はそれらのブランドが一掃されています。テオはもう1本もない��すよね?
平手:ないですね。テオっていうのは良くも悪くもうちの店を形づくってきたブランドです。それで有名にもなったし、売上的にもすごく良かったんですけどね。
宮崎:それが、どうして今は扱っていないんですか?
平手:そもそもこういう店は他と商品がカブらないことが大事なんです。でもブランド側としては、ある時期を境に拡販に走っちゃう。特に名古屋ではテオの取扱店がパッと増えた時期があったんです。うちがいっぱいテオを売っているという噂が広まると、近隣のメガネ店はテオをやりたくなりますよね?
宮崎:これは売れるぞってことで。
平手:そう。で、いろんな店にテオが置かれるようになると、当然うちの売り上げが減っていく。でも、結局は名古屋で限定すると、「名古屋全体でのテオが売れた総本数はあまり増えてない」んですね。
宮崎:意味ないですね。
平手:でしょ。長くやっていて思うのは、うちのようなメガネ屋は、“スキマ”なんですよ。メインストリームじゃない。なのに、今はどうかな。みんなメインストリームのようにいこうとしてませんか? たとえば数字で計算すると、総人口の0.5%を獲得できれば成り立つと。名古屋の人口が約200万とすると、うちの顧客リストは約1万人なので、それだけあればやっていけます。僕らが好きなハウスブランドも、やっぱり“スキマ”なブランドなんですよ。
宮崎:いま、そういうブランドがメインストリームを狙っていて、量販店とかにも卸そうとするわけですよね。
平手:ブランド側がよく勘違いするんですが、決まって「日本というマーケットのなかで200店舗やりたいって」言うんですよ。200店舗やるとして1店舗で年間100万円を売り上げたい。それで2億の売り上げが欲しいと。でも“スキマ”なので、2億円にはならない。
宮崎:そうなのか、みんな200店舗とか言うんだ。
平手:言うんですよ。昔はテオもアラン ミクリも200店舗もちたいって言っていました。
宮崎:僕は200店舗あったら嬉しいけど、たぶんできないな。
平手:いろんなブランドの栄枯盛衰を見ていくと、日本のマーケットで僕が思うベストな感じは、50〜70店舗くらいで1店舗あたり月10万円くらい売り上げが欲しいかな。“スキマ”のブランドってそんなものがいいんですよ。
ブランドがダメになる瞬間を 見分けるのがバイヤーの仕事です
宮崎:どんなブランドでも最初は小さく始まって、それを熟成させながら大きくするのはいいと思うんですが、いまそこらへんをはしょるブランドが出てきている気がします。“ケミカルなブランディング”をしちゃうというか、さも凄く売れているような雰囲気をつくろうとしている気がしていて、その雰囲気やブランドネームにつられて、お店側が仕入れているように見えるんです。
平手:僕はブランド名とかぜんぜん気にしないですけどね。
宮崎:平手さんはブランド名よりもメガネそのものを見ているんですよ。多くのバイヤーはブランド名までは見ていて、それが雑誌に出ているのかとかは気にしていても、本質である物そのものを見ていないように感じます。平手さんは、「ピーー(自主規制)」の取り扱いもやめたんですよね。
平手:はい。ブランドがダメになる瞬間を見分けるのがバイヤーの仕事ですから。最初は熱心にやってたんですけど、ちょっと拡大路線に走って、デザインがマンネリ化してきたのを感じたので「これはもうやめ時だな」と。今日もみんな一生懸命、ネットで「『ピーー』の新作をローンチしました!」とかやってましたけど、やっぱり、どの店も扱っているブランドが似ていますよね。
宮崎:勇気あるな〜。
平手:売れ筋は曲者なんですよね。外しはしないけど止めどきかが難しい。
宮崎:止めどきを逃して続けていくとどうなるんですか?
平手:そうするとお店のフェイスの鮮度がまったくなくなりますね。大事なのは鮮度の保ち方。もちろんリスクは高いですよ。在庫は残るしね。でもうちのやり方としては店頭にダラダラと残さない。むしろ不良在庫化する(笑)。
宮崎:不良在庫はバイヤーとしての勉強代ですね。
平手:モットーがあるんですよ。どこよりも最初にやる。それはハイリスクハイリターンだけど、うちはここ1件だけだし、リスクも僕が追えばいい。
宮崎:だからハバナミュージアムは、いつ来ても凄く店のテンションが高いんだ! 置いてあるメガネも他の店のものとは違って見えるし、実際に違うんですよね。でも、イマドキのお店はみんなほかと同じものを買おうとするんです。「◯◯の店でやっているからうちも入れました」、みたいな。「売れる物だけ買いたい」「リスクを減らしたい」っていう気持ちの現れだと思うんだけど、果たしてそれでセレクトショップと言えるのだろうかって。でも平手さんはリスクを率先してとっていて、それがお客様に対する提案につながっている気がするんです。
平手:やっぱり長年やっていて思うんですけど、“売れそうなものほど売れない”んですよ。振り切っている物は意外に売れます。
宮崎:お客さんは平手さんの選んでくれるものを信用しているんですよ。昔からのお客さんは20年以上もハバナミュージアムでメガネを買っているわけでしょう。20年以上も同じ店でものを買えることって、メガネでも洋服でもそうそうないですよ。
平手:ただ、顧客は大事にするけど、お客さんに商品は合わせませんよ。その変わり、海外まで行って、日本にはまったくないとかこれから来るであろうというブランドを仕入れてくる。そこはブレないようにしています。
宮崎:僕が見て不安に思うのは、海外の展示会に行っても、取り扱っているブランドだけを見て帰る人がいることかな。それはもの凄くもったいないなと。海外に行ったなら、新しいものを見て欲しいと思うんですよ。
平手:まぁ、僕が店を始めた頃は代理店もレップもなかったから、メーカーと直接売買をして、それをお客さんに直接売る。このダイレクトさは洋服屋とかにはないじゃないですか。これがバイヤーの醍醐味というかね。そもそも昔の話に戻ると、こういう店を立ち上げるきっかけになるのは、日本にはライセンスもののメガネしかなかったからでしょう。
宮崎:日本にハウスブランドなんてなかった。
平手:結局、ライセンスにいいものがなかったから、自分たちで店をやろうとしたんです。だから、僕はライセンス系のメガネは、いい悪いに関わらずやらない。それは時代が変わっても変わらないし、こういう店の存在意義はそういうところにあるんじゃないのって? 思うんですよ。いまはみんながやってますよね。でも純粋に物だけを見ると、申し訳ないけどライセンスは所詮ライセンスなんです。
これからのアイウェアは 樹脂やシートメタルが面白い
宮崎:そう考えると、平手さんの店はライセンスもオリジナルも卸もやっていない。これって本気の本当のバイヤーにしかできないことですよ。大きな店は自分のところでブランドを抱えて卸したり、オリジナルをつくってビジネスをしたりするんですけど、ハバナミュージアムだけは、仕入れたものだけを売るっていう、いちばんハードコアなことをやっている(笑)。ちなみに、平手さんがセレクトをするときに、どこを重視しているんですか。
平手:自分の原点になるんですけど、私が強度近視なんですよ。だから、お客さんの主軸も強度近視の人においていて、軽くて掛けやすいメガネがいい。
宮崎:そこからいま、��手さんが見出したのが樹脂のメガネ?
平手:樹脂って凄いですよ。軽いし、変形しないし。スタファン プロイツ デザインやリンドバーグとか。あとはシートメタルも侮れない。ステンレスシートが廃れたっていう人もいるけど、メタルのなかではまだどこもシートメタルを超えていないですね。
宮崎:ヨーロッパはいま完全にメタルが中心で、トレンドは「薄い軽い」、新素材もきていますね。今日、平手さんが掛けているハイブリッジのメガネも樹脂系ですよね?
平手:これはモノクール。凄く軽いし、変形しませんよ。
宮崎:ここにきたかー。
平手:そうそう。やっぱり日本のメガネもいいんだけど、海外はまだまだ捨てたもんじゃないですよね。���ルモやミドにはまだ知られていないいいメガネがたくさんある。去年のシルモでも新しいのを仕入れましたが、3Dプリンターやいろんな樹脂があって面白いですよ。で、ほかのメガネ屋さんにも樹脂を勧めるんですけど、みんなやらないねー。不思議なんですけど……。
宮崎:たぶん、売れてから買いたいんじゃないですかね。あとは知名度がないから売れないとか。
平手:うちは基本、知名度ゼロから始めてばっかりなので知名度はいらない。むしろないほうがいい。いまも忘れないようにしているんですが、マニアが好きでやっている感じを大切にしたいんです。いまの時代そういうのが大事なんじゃないですか。
宮崎:お店のブランディングとしては大事ですよね。店主のポリシーがちゃんと伝わる。
平手:“スキマ”のビジネスってそういうものですよ。それに世のビックブランドも、最初にマニアがはじめて広がるんです。
��セレクトショップの原点に戻って ブランド名よりも“メガネ”を見よう!
宮崎:ただ、会社として数字をあげることを重視するとビジネスのやり方がかわってきますよね。
平手:そう。わからなくもないんですよ。多店舗展開しているお店を見ていると、あのやり方だとああなっちゃうよなって。お店も増えて、人も増えて、お金もかかるし、品揃えはリスクもあるので、ああなるかなと。
宮崎:多店舗展開すると、お店のコアの部分が残りにくいでしょう。だって、20年くらい前は明確な違いがあった気がするんですが、いまはセレクトショップにあるものと量販店にあるものが似てきている気がするんです。大手が手を出せないメガネを扱っているのが武器なのに、大手が売っているメガネと同じ物を売るのはどう考えても効率が悪いし、勝てない。僕はそこに大きな危機感をもっていますね。
平手:やっぱり、好きだから続けられるってことじゃないですかね。何回も言っていますが、みんな“スキマ”だってことを認識したほうがいいんじゃない(笑)。
宮崎:“スキマ”であることを認識しないと、バイイングが中途半端になると。つまりセレクトショップの原点に戻って、差別化できる商品を置いてお店の特徴をつくるってことですね。そのためにはどうすればいいと思います?
平手:とにかくメガネをよく見るしかない、これに尽きますね。営業マンが持ってくるメガネばかり見るんじゃなくて、海外の展示会にも足を運んでいろんなメガネをしっかりと見ることが大切です。
宮崎:ブランド名よりも、“メガネそのもの”を見ようってことですね。よくわかりました。今日はありがとうございました。
平手:こちらこそどうも。って、余計なこと言い過ぎたね……。適当にカットしておいください。
宮崎:いや、全部そのまま載せちゃいます(笑)。
<SHOPインフォメーション> ハバナミュージアム http://www.havanamuseum.jp/
<クレジット> 取材・文・写真/藤井たかの
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以前、ユニセフを支援するオークションに、SKAMがいくつかスクリプトを出品したことがありました。そこでは、Vilde役のUlrikkeが書いたファンフィクションも出品されており、それを落札した方がご厚意でシェアしてくださっているので訳します。「Vildeを主役に据えたSeason5」という体裁でUlrikkeは執筆しています。ちゃんとIsakとEvenも出てくるよ。
Scene 1
Magnusの部屋のベッドの上にViledeとMagnusは座っている。家には誰にもいない。Vildeはダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』(訳注:これ)を読んでいる。硬派で難しい本だ。Magnusは教科書から顔を上げ、Vildeに微笑みかける。
彼はブックカバーを声に出して読む、「なぜ我々は間違いを犯すのか?そしてなぜ同じ間違いを繰り返すのか?ダニエル・カネ―マンは思考をつかさどる2つの仕組みを説きあかす。その1…」
「Magnus、やめて」Vildeは遮った。そして笑う、なぜならMagnusがそんなことでは怒らないことをわかっているから。MagnusはVildeをぎゅっと抱きしめた、お互いのほっぺたが触れ合うまで。
Vildeは声を上げて笑う、「ねえ、宿題やったほうがいいんじゃないの?」 Magnusはため息をついて諦めたような声で「自分の彼女が美しい姿で自分のベッドに座ってるときに勉強に集中なんてできないよ」
Vildeは笑うのをやめ、Magnusを見つめる、「私にはもったいないくらい。大好き。」 MagnusはVildeの手をとり、長々とキスをする、「知ってる」
彼らはお互いにほほえみあう。MagnusとVildeはエスキモーキス(訳注:鼻をくつけあうやつ)をした。
[BGM:フローレンス&マシーンのNever Let Me Go]
Scene 2
ChrisとVildeはオスロのボタニカルガーデン(訳注:ここ?)を散歩している。 Chrisは、いとこのネコを見ている。時間をかけVildeとChrisはついにネコにリードを付けることに成功した。ネコは明らかに不満げでクリスとヴィルデがしゃっべいる間、同じところを行ったり来たりして意固地だ。
Chris:Evaが失恋を乗り越えるには、その人を忘れるっきゃないって言ってた。私も前にそう考えてみようと思って頑張ったんだけど結局うまくいかなかったんだよね。忘れることじゃ失恋は癒えないんだなー。
Vilde:じゃあ何が失恋を癒すの? Chris:私は、お互いの生活の一部としてお互いを分かろうとしようとすることかなって思うんだよね。愛し合っていたふたりが、別れた途端にお互いの存在を記憶から消し去ろうとするなんて、なんだかゾっとする���。 Vilde:でもそれが一番カンタンなやり方かもよ? Chris:でも愛を前にカンタンも何もないと思うんだよね。愛とは常に困��な道のりなの!近道なんてないわけ! Vilde:最近彼と話したの? Chris:夏休みのあと一度会ったんだけど、でもやっぱ変だったわ。他の人って別れた後も友達でいるためにどうやってるんだろ。 Vilde:もし私がMagnusを失ったら、どうしていいかわかんないなー。 Chris:でもそれこそが二人が分かれる理由になるかもよ。だってVildeはめっちゃMagnusに依存してるじゃん。 Vilde:誰かに依存するのがどうしていけないわけ? Chris:いけないわけじゃないけど、ただ危険だってこと。あんたを傷つけたいわけじゃないけど。 Vilde:私たちは一緒にいる限り、傷つけあうことなんてないもん。
Chrisは心配そうにVildeを見つめる。ついにネコは立ち上がり歩きはじめたが、 しおれた花にぶち当たりChrisはゲラゲラ笑った。
Scene 2
Isak、Even、Mahdi、Jonas、MagnusそしてVildeは食堂のテーブルを囲んで座っている。Mahdi、Jonas、Evenは、映画「Space Jam(訳注:これ)」についてをIsakに熱く講釈を垂れている。 Even:マグシーボーグスはたったの160cmなんだ、それなのにダンクできる! Mahdi:奴とマイケルジョーダンはスターだったんだよ!俺は、あの映画をきっかけにバスケを始めた友達をたくさん知ってる。たぶんMagnusは今ノルウェーのバスケリーグでプレイしてるよ。 Jonas:兄弟もだよ。ほんとにマジで。
IsakはEvenにしたのと同じように、周りにいる友だちへ優しく笑いかけた。EvenもIsakに笑いかけ、ボーイズたちは話し続ける。IsakはVildeとMagnusに向かって、
Isak:金曜のメシは? Vilde:うん、いくよ。でもWilliamは来れないって。だからNooraだけ。 Isak:Noora、さみしくないかな。 Vilde:まって。Nooraはうまくやれるから。彼女、パスタサラダか何か持ってくるって。 Magnus:俺たちはローストポテトとBYOB持ってくよ! Isak:BYOB? Magnus:自分の酒(bring your own booze) Isak:OK,OK。おれたちはなんか作るよ。 Vilde:だめ!豆系のものか何かにして。ノーラはべジタリアンなんだから。 Isak:あー、はいはいわかったよ。いろんな奴がいて楽しみだよ。
VildeはMagnusにキスをして別れる。彼女はIsakの両頬にもキスしようとするも Isakは彼女の意図が読み取れなかったためにひどく気まずい感じになる。彼女は笑ってごまかす。
Magnus:彼女はお前と、「親友のゲイ」みたいな関係になりたいんだよ。 Isak:はいはい。でも俺は嫌だけどね。
Conversation between Chris and Eva
(ChrisとEvaの会話。※メール画面のことです。Chrisは白、Evaは青) Eva:あたしCezinando(訳注:おなじみのこの人)とセックスしようする夢見たんだけど。 Chris:は? Eva:でも目は覚めてるわけよ。 Chris:あーヤバいねそれ。 Eva:だから夢の中に戻らなきゃって集中したわけ。 Chris:まあ実現することを願うわ。 Eva:でも夢は最初っから始まってんの。だからうちらはちょっとだけヤレたの、 Chris:まあヤレるんなら何よりで。 Eva:Fornebu(訳注:場所の名前)のちっちゃな弱虫君と。うん、でもでもあたし自転車のヘルメット被ってて。 Chris:だってcezと寝るとかあんた頭イッちゃってるもんね。 Eva:ひど! Chris:でもカッコいいじゃん、彼、私も彼とヤレたらな(:
Scene 3
Vilde、Mugnus、Isak、Even、Nooraがテーブルの周りに座っている。Evenはワインを注いでいる、ホストは完璧で、ナプキンが置いてあり、テーブルの真ん中にはカトラリーと2つのキャンドルに火が灯っている。
Even:Williamが来れないなんて残念だねNoora。 Noora:でもお互いにひとりで過ごす時間ができてよかった。私たちいつも一緒にいるから。 Magus:俺も一緒に住みたくてVildeを説得してるんだ。 Vilde:お金はどうするの? Magnus:俺はテレマーケター(訳注:電話で勧誘するやつ)のバイトできそうなんだよ。
Vildeは笑ってため息をつく。彼女はMagnusと一緒に引っ越せたらいいとは思う。VildeはIsakに聞く、
Vilde:あなた達ふたりはどうしてるの?お互いが嫌になったりしない? Isak:わっかんね、全然そんなふうにはならないな。たぶんあんまりイライラするような質じゃないし俺。 Even:俺らはいっぱい話すからだと思うよ。だから誤解を避けられるんだよ。
VildeはIsakとEvenに刺激を受けたようで、携帯を取り出し、何かメモをしだす。 Vilde:なんて言った?「いっぱい話す」のあと。
Evenは同じ言葉を繰り返し、Vildeが携帯にメモする。
Vilde:私、ロマンティックな関係になるような考え方を書き留め始めたの。 他人の間違いから学ぶのと違って傷つかないから。 Isak:どういうこと?他人の間違いって? Vilde:あ、他人ってそういうことじゃないのよ、Magnusのご両親や私の親は離婚してるからってこと。私たちは遺伝的にそういうの受け継ぎそうでしょ? Noora:それは遺伝云々じゃないでしょ。 Vilde:ま、少なくとも起こる可能性はあるでしょ、だからお役立ち情報とかは書き留めたいの。 Noora:愛に関するお役立ち情報?そんなのないんじゃない?愛は愛、でしょ? Even:どういう意味? Noora:どんなに困難な関係でも、もしお互いに深く愛し合っていれば困難に立ち向かえるってこと。 Even:その認識は全然現実的じゃないよ。愛はそんな精神論的なもんじゃない、「選択」なんだ。自分が選んだ愛なら、良い時も悪い時も一緒にいられる。 Noora:たぶんそれはあなたが経験した愛し方でしょ、でも私は違う感じ方をしたの。
テーブルの周りの全員がお互いを見た。雰囲気はやや気まずくなり、Vildeはどうにか場をとりもとうとする。
Vilde:今まで結婚を考えたことある?IsakとEven。 Isak:俺たちはネパールで同性婚が認めらえるようになるまで結婚しないんだ。Eskildと約束したから。
テーブルの周りの全員が笑う。彼らは大声で話しそして笑いあう。そこにいる全員が一体感を感じる。Vildeはふと、彼女に心酔するMagnusに気づく。IsakとEvenはあれから成長して、お互いを愛し尊敬しあっている。Nooraはついにひとりでやっていこうと感じた。
Scene 4
全員がハグをし別れの挨拶をし、IsakとEvenがドアを閉める。 NooraとVildeは帰路に就く。Nooraはバスを使えるがそうはしなかった、Vildeを夜にTøyenまでひとりで歩かせたくなかったから。
VildeとMagnusはお休みのキスをしていた、何度も何度も:愛してる!私のほうが愛してる!違う俺のほうがもっと愛してる! Nooraはひたすら耐えていた。最後のキスのあと、VildeはNooraのもとへ走ってきた。とても寒かった。地面には氷がはり、はスカーフをきっちりしめコートの前を閉じた。そして一緒に暗闇を歩く。
Vildeの家の前につき、Vildeは鍵を探すために立ち止まる。鍵が見つからないがためにイライラが募る。彼女は座り込んでカバンの中身を取り出し始めた。 Nooraはなんと声をかけたらいいか分からない。
Noora:だれも家にいないの?ドアベルならすとか? Vilde:だめ!私ひとりだから。ママは友達のところにいるから私ひとりなの、 毎週金曜なのよ。 Noora:じゃあお母さんに電話すれば?鍵渡しに来てくれるかもよ。 Vilde:だめなの!Noora!だめ!私たち鍵はひとつしか持ってないの。だから私が鍵見つけなきゃ!ちょっとそこどいてくれる?
Vildeはポケットの中身を探し始めた。コートを脱いでNooraに渡す。VildeはTシャツ 姿で立っている。凍えるほど寒いのに。Nooraは心配し始める。Vildeはパニック状態でさらにイライラは増してい��。どうすればいいのか途方に暮れ、目には涙が浮かぶ。
Vilde:Noora、お願い、泊めて。鍵見つからないの!
Vildeは階段に座り込んでバッグをガサゴソし続ける。カバンをひっくりかえして逆さに振ってみたが空っぽ、そして泣き始める。NooraはVildeのとなりに座り彼女を抱きしめる。
Noora:ね、おかあさんに電話しようよ? Vilde:1週間やってる、でもお母さん電話に出ないの。 Noora:え?Vilde、お母さんどこにいるの?どこにいるか知らないの? Vilde:全然分からない。
Nooraは心配する。彼女はVildeの手と背中をさすってあげる。
Noora:今は疲れたからもう私のところにおいでよ、一緒に寝よう。朝ごはん作ってあげるから、休んだらもう一度鍵探してみようよ。 Vilde:でも私Magnusのところに行きたい。私あそこでなら寝れる。 Noora:ちょっと!私の親切は受け取ってくれないわけ?!助けてあげたいのに。
VildeはNooraを見つめ、そしてうなずく。立ち上がり、ふたりは手をつないでバス停へと向かっていく。
以上でしたー!
さすが、実際にスクリプトを読んで演技をしていた人が書いてるだけあって、映像が目に浮かぶ。 (Isakの雑な性格と、やっぱり彼よりも2年多く生きているだけあるEvenの周りを見通せる力があるのにも関わらずIsakに盲目的な性格が、私の中ではクリティカルヒットポイントだった。余談)
どうかNRKには一刻も早くSkam全シリーズのスクリプトを出版してほしい。
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自転車屋の楊さん
今もそうだが、旅に出るとして間違いなく行こうと思わないのは「無人島」だ。理由は僕にとっての「旅」は「そこで暮らす誰かに会うこと」だからである。 この中国旅でも、僕はいろんな人に出会った。いい人、そうでない人、でも、いい人、いい人民が圧倒的に多かった。人生などまるで分らない当時の若造の自分には得難い経験となった。
8月8日(土) 3日目
中国人民チャリの重たいペダルと裏腹に僕は��やかな気分で北京の街を走っていた。目指すは最初に泊まった華都ホテルだ。 昨日の万里の長城ツアーでは人民パワーに驚きの連続、そのせいでもないだろうが、僕は中国2日目にして自分のカメラを紛失してしまった。気づいたのは市内、前門近くの安ホテル、恵中飯店にチェック・インした時だった。まだ始まったばかりの旅でカメラ紛失に気は動転した。 可能性としては華都ホテルの部屋か、ツアーバス車内での置き忘れ。ホテルへ連絡してみよう!でも、どうやって?当時、携帯電話はある訳もなく、言葉の問題もある。恵中飯店のスタッフに下手な中国語、筆談で事情を説明し、お願いして華都へ電話をかけてもらった。結果は「没有(メイヨ―)」、つまり「無い」だった。当然、簡単にあきらめるわけにはいかず、華都へ直接行くことにした。さっきは公共汽車(路線バス)を乗り継いでここまで来たが、それも面倒、時間がかかるので、スタッフに勧められたホテル前の貸し自転車屋のチャリを借りて行くことにした。 中国人民チャリ、3時間、3元(約135円)。これをこいで僕は華都を目指した。途中、世界最大級の広さを誇る天安門広場を走り抜ける。傾きかけた夏の西日に照らされた広大な広場の眺めは感動的に美しく、中国を代表するこの場所を、中国人民のようにチャリで行くことに感激し、僕は友人たちへの絵葉書に書き記した。 たぶん、華都まで1時間近くかかったと思う。それでも湿度は低いから汗があまり出ないのは気分良かった。 カメラ紛失について相談すると、日本語OKの袁さんというスタッフが対応してくれ、再度、あちこちに問い合わせてくれ、ツアーバスに置き忘れていたことが分かった!明朝、ホテルに届けてくれる手配をしてくれ、僕は一安心し、何度も袁さんにお礼を言って華都を後にした。 そして翌朝、早速、また自転車を借りて華都へと向かい、カメラは無事、手元に戻った。この日も袁さんは出勤していて、改めて謝々謝々とお礼を言って市中へと戻った。
↑華都ホテル前の道路で人民チャリとの写真。戻ったカメラでパチリ チャリをこいでいると腹が減ってきた。カメラが戻った安心感もあるけれど、恵中飯店の朝食が、味の無いものばかり、不味くてあまり食べなかった。それはお粥であり、中国蒸しパンの饅頭(マントウ)だった。あとで分かったのだけれど、テーブルのどこかに醤油や豆板醤、包菜(漬物)などがあって、それらをうまく使えば、もうちょっとマシに食べられたのだと思う。 なので道端で売っている包子(肉まん)らしい形状のものに食欲が反応し、買い求めた(1個、0.2元、約9円)。早速かぶりつくと、なんとそれはまた饅頭(マントウ)だった。味もない、中身もない、ただの蒸しパン。。。 空腹を抱え、天安門広場に戻り、屋台で売っている辛そうな冷麺を速攻で食べた。日本人の僕には辛い、が、美味い!(0.9元、約41円)↓
腹も少し満たし、これで普通に観光もできるぞと、毛沢東の肖像がかかる天安門を潜り抜け、故宮を目指す。近代中国の歴史のメイン舞台、毛沢東が1941年10月1日に中華人民共和国樹立を宣言した天安門。藤子不二雄の劇画「毛沢東伝」ではクライマックスの舞台となる。そして、この中国旅の2年後の6月4日には、人民解放軍が民主化を求めた人民を弾圧した天安門事件の舞台にもなる。 明朝、清朝の王宮である故宮(紫禁城)は1988年に公開された映画「ラストエンペラー」で、その壮大美麗な木造建築の佇まいが印象的。入場券(0.7元、約33円)を買って、いざ観光。
しかし、ここでも僕を圧倒するのは万里の長城同様、史跡や建造物、歴史の光と影ではなく、賑やかで多数の中国人民の大声、笑顔、謎の振る舞いである。人民チャリで街中を走っている時もそうだった。とにかく、人、人、人、その数と川のような流れ。そこに渦巻く、貧しそうな暮らしぶりと笑顔、喧騒。良くも悪くものそのパワーは、日本で僕が経験したことは無く、圧倒されっ放しであった。 そして、ここ北京で、中国人民の象徴のようにパワフルな楊さんと、その仲間と出会った。 楊さんは、僕が自転車を借りた貸し自転車屋のオバサンである。昨夜、華都ホテルから戻り、人民チャリを楊さんに返却した時、隣から背の高い勤め人風情の若い男性が現れ、日本語で「私ノ名前ハ、トウダイセイ」と少しはにかみながら声をかけてきた。 トウダイセイ、ん?東大生?なんだろ、この人??と思いつつ、怪しげな日本語を操る70年代の日本フォークシンガーのような人民と視線を真っすぐに交わした。 気が付けば、僕は楊さんの家に招き入れられ、勧められるまま椅子に座り、間髪入れず水とスイカが出てきて、あれやこれやと言う間に熱烈歓迎モード。 こちらは何が何やら理解が追い付かないも、悪い人たちでないことは理解できたので、自分の旅のポリシーでもある「旅先では人の好意に甘えるべし」に従って、その流れに任せた。 そこには4人の中国人がいた。楊さん、トウダイセイ(後で名刺を渡され分かったのだけれど、彼は 佟 大成という氏名だった♪)、それからトウダイセイの彼女と、これまた少し日本語を操る肖銘という丸刈りの青年。 この4人が家族なのか、親戚なのか、友達なのか、まったく良く分からなかったが、皆が皆、楊さんの店舗兼自宅の狭いタイル張りの居間でニコニコしながら、日本人旅行者の僕を上から下までシゲシゲと見つめていた。 怪しげな日本語、中国語、筆談が飛び交う中、まず分かったのが、楊さんの一人娘が、元、体操選手で現在、東京に留学中であるとのこと。なるほど、それで楊さんは日本に関心があるわけだ、と合点が言った。その娘さんを北京空港で見送る写真を見せてもらったが、なかなか可愛い小姐だった(帰国後、僕は彼女が暮らす都内の十条で会い、以後、彼女が日本人の国鉄マンと結婚し、新潟に引越すまで交流は続いた)。そんな北京の前夜であった。
↑自転車屋の楊さん
↑トウダイセイと彼女(^^♪ この日の昼、天安門、故宮観光経由で華都から楊さんのところへ人民チャリで戻った僕は、彼女に北京ダッグの旨い店を尋ねた。楊さんは快くおススメ店を教えてくれ、遅い昼飯に向かった。 前述のとおり、当時の中国のレストランは外国人用と人民用があり、一つのレストランが1F,2Fで双方分けているところが幾つもあった。前門街にある楊さんのおススメ店も同様だった。 店員は1Fの人民用に入店しようとする、顔立ち、いで立ち外国人の僕に対し、あなたは2Fへ行くように指示した。でも、味は同じ(と思われる)で値段は2倍以上違う外国人用へ行く気はせず、店員に1Fへの入店をお願いした。しかし、彼は「衛生的でない、汚い、うるさい、だから2Fへ行け」を繰り返した。それでも、こちらは学生の貧乏旅行、それだけの理由ならと、なんとかゴリ押しをし、向こうも面倒くさくなったのか入店を認めてくれた。 そこはやや広めの空間、ぼんやりとした照明��下に雑然とテーブルが置かれ、人民のグループがいくつか賑やかに食事をしていた。言われた通り床は汚れ、濡れ、ゴミは落ち、虫は飛んでいたが、あまり気にもせず、僕は北京ダッグ、麻婆豆腐、その他もろもろと瓶ビールを注文し、満腹となった(19元、約850円)。 経験して分かったことだが、冷えたビールは無い(外国人用はちゃんと冷えている。。。)。それから、ぐちゃぐちゃと音を立て口を開けて食べる人民が多い。そして食べながら床にガッ!ペッ!と痰を吐き、手鼻をブシュ!と鮮やかに飛ばす人民が多い。これはオッサン限定など生易しいものではなく、可愛い顔した小姐も目の前で例外なくやる。。。 以上の災難を受け入れることができれば、味は普通に美味く、値段も安いので良いところである・笑。 他にも当日のことで記すべきは、 郵便局から日本への絵葉書エアメール切手代が0.94元(約44円) その郵便局前にチャリを停めたら駐輪代徴収、0.2元(約9円) 市内の芝生に入ったら罰金0.5元(約23円) いろいろあった♪ そして、驚いたことに食事を終えて楊さんちに立ち寄ると、恵中飯店で無駄に宿泊費用をかけることは無い、うちに泊まりなさい!という申し出であった。というより、かなり命令に近かったかな・爆 「好意に甘える・・・」がポリシーのため、二つ返事でこちらは荷物をまとめ、楊さんちに転がり込んだ。何とものどかな時代だったもんである。 そして大変ありがたいことに、楊さんは僕の明日の北京から次の目的地、洛陽までの夜行列車の切符を、北京駅に出向いて買ってきてくれたのである!もう至れり尽くせりではないか。。。恐るべし有難き親切(^^♪ そして今日も何の理由かは謎であるが、トウダイセイも、その彼女もいて、みんなで夕飯となった。楊さん手作りのめちゃめちゃ美味い包子(肉まん)をご馳走になった。不思議だったのが、生のカットしたトマトに砂糖をかけて食べるのである。塩じゃないんだ、と尋ねると、トウダイセイはソビエトではコショウかけるよ♪と教えてくれた。ところ変わればである。 飲み物も最初はビールであったが、途中から中国の蒸留酒、白酒(パイジュウ)となった。これはコーリャンやトウモロコシを原料としているが、アルコール度数は40度以上、ショットグラスでクイッとやる「キツ酒」である。 酔っぱらった僕は、楊さん、トウダイセイらに、しきりに「好朋友、好朋友」を連呼しながら、人民宅に宿泊するというまさかの展開に驚き喜びながら、とてもシアワセな心もちで深夜の北京の街かどで深い眠りに落ちていった。旅はまだ始まったばかりである(^^♪
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6.幸福
①
名古屋市天白区。そこで咲桜の一人暮らしが始まった。
新しい住所。新しいアルバイト。新しいアルバイト仲間。新しい客。
全てが新鮮だった。
着付け、接客、礼儀作法、酒の種類と作り方、料理の出し方。
毎晩、高級な着物に身を包み、美容院で髪を整え、彫りの深い顔に厚化粧を施し、銀行で店のお金全てをピン札に替えてから出勤する女将。
金持ちのスケベジジイ達が綺麗なお姉さん達を同伴し、 高級料理に高級酒にと一晩で大枚を叩く。
製薬会社の過剰な医者達への接待。
一生知り合うことがなかったであろう大手総合商社マン、俗に言う一流企業の社長、会計士、弁護士、ホステスとママ。
そんな人間達と毎晩その場だけの会話をした。
毎週の様に美容院に行き、百貨店で流行りの靴や服を買い漁った。
オーストラリア留学を目標に立て英会話の習い事を始め、タバコを吸い、海外を旅行し、それなりの恋をした。
平日の早朝には栄の地下街にある喫茶店でも働いた。喫茶店のバイトの無い日の午前中と週末は英会話に通った。
枕に頭を付けた途端、泥沼みたいな深い眠りに誘われていった。そこには夢も現実も無い。
咲桜のそんな生活が1年近く続いた頃、モモカという16歳の女子が母親に連れられ料亭に面接にやって来た。
小太りでまん丸な顔にファンデーションを塗りたくり、一重の瞼に極太のアイライナーを入れ、くたびれたシャネルのショルダーバッグからマルボロメンソールを出し気だるそうにそれをふかしているその姿は、40代のホステスそのものだった。
女将は料亭一軒の他に、居酒屋一軒とスナック一軒も錦三丁目で経営していたが、 モモカはそのスナックの方でホステスになりたいのだと言う。と言うよりは、モモカの母親が彼女の面倒を見切れないので、知り合いから紹介された女将に何処でも良いから働き口を面倒見てやってくれと頼み込みに来たという方が正しいのだが。
モモカは17歳になるまでは料亭で働き、その後はスナックで働くこととなった。
彼女は無口で無愛想だったが、咲桜は親切に色々教えてやった。女将も彼女を可愛がり、ハイブランドの化粧道具一式を買い与え、髪のセットの仕方などを手取り足取り教えてやると、モモカはたちまち、料亭にやってくる豊乳好きなロリコンジジイの客達から人気を博すようになっていった。
しばらくすると、モモカは舌足らずな幼稚な喋り方で、13歳で妊娠したが流産した事、15歳で年を偽り姉の名前でキャバ嬢をやっていた事などを少しずつ咲桜に話すようになった。
咲桜は彼女のたまに見せるあどけない笑顔が好きだった。その時だけ本来の彼女、16歳の彼女を垣間見られる気がした。
そんなある日、ふらりと男性2人組のお客が料亭にやって来た。
一人は短身の小太りで、剥きたてのゆで卵みたいなつるんとした顔をしていた。もう一人は長身でがたいが良く、浅黒い顔にギョロっと目をしており、どちらも60歳前後、アルマーニのスーツにヴィトンのセカンドバッグを小脇に挟んでいた。
モモカが2人のいる個室にお酒を持って行くと、ゆで卵顏の男は彼女を一目見るなり言った。
「君、いくつ?」
「16歳ですぅ」女将が何度注意しても彼女の語尾を伸ばす癖は直らない。
「えーー!!16?!16はないでしょう?」
「えーなんでですかぁ?」
「16でそのおっぱいは無いでしょう。何カップ?」
「いやいや、カップ数の前に名前聞かなきゃ」浅黒男が割って入った。
「そっかそっか。そうだな。名前は?」
「モモカですぅ」
「モモカちゃーーん。で、モモカちゃんは何カップ?」
「Gですぅ」
「はい!電話番号教えてー」
「じゃあ、お客様の番号を先に教えて下さらなくっちゃぁ」
「いいよー」
彼は中村と、もう一人の男は安井と名乗りモモカにそれぞれ名刺を渡した。
名刺には彼等一代で築き上げたという株式会社の名前が記されていた。
モモカが女将にその名刺を渡すと、女将はチラリと会社名を見、軽蔑した様にフンッと言って着物の胸元にそれらを仕舞った。
その日以来、中村と安井はほぼ毎日料亭に通うようになった。
中村はモモカにゾッコンで、安井は咲桜に猛アタックを仕掛けた。
金と時間の有り余ったジジイ達の中には、金を積めばすぐに落とせる様なホステスなんかを彼女と呼ぶよりも、普通の若い女子を口説き落として本命とする事の方に価値を見出だす人がかなりの数存在する。
モモカの17歳の誕生日が近付いたある土曜日。中村はモモカを誕生日祝いと託つけデートに誘った。
同じ土曜日。彼氏と別れたばかりの咲桜も安井とデートに出かけた。
国産車に目が無い安井は、最近買い変えたばかりのレクサスで咲桜を迎えに来た。助手席に乗り込んだ彼女が連れて行かれたのは、トヨタ車のディーラーだった。
店内に入るや否や、やたらに光沢のあるスーツにポマードべったりの黒髪の若い男が、「安井様、こちらにどうぞ」と、奥に置かれたソファの方へと2人を案内した。
「新しいお車は如何ですか」
「最高だね。今日はね、新車でこの子とドライブデートなの。」
「安井様はおもてになられて羨ましい」
「いやいやそんなこと言ったら、他にも女の子をここに連れてきてるみたいじゃないのよ」ガハハと安井は成り上がり特有の下品な笑い方をした。
「これはこれはとんだ失礼を」不気味な微笑みを浮かべたポマード男は跪きながら運ばれてきたアイスコーヒーを安井に手渡すと、隣の咲桜に「お連れ様は何をお飲みになられますか」と聞いた。
「あ、この子サクラちゃんって言うの」
「失礼いたしました。サクラ様は何をお飲みになられますか」
咲桜はふかふかのソファの上で作り込まれた微笑みを返しながら、「私もアイスコーヒーを」と言った。
安井はホープをふかしながらアイスコーヒーを飲み、
「今日はね、なんかそんな大きくなくて運転しやすそうな車って何がいいのかなーと思って」などと踏ん反り返っている。
なんともくだらない単純明快な世界だった。
「サクラちゃんこれどう思う?」
カタログを見ながら安井が聞いた。
「私、ペーパードライバーだもの。よく車の事は分からないわ」
「じゃあ僕が車買ってあげたら、サクラちゃんに運転教えるってことで料亭以外でも毎日会ってくれる?」
「え!!く、車なんて私…」
「いいですねえ。安井様は運転がお上手だから」
「はい!じゃあこれで決まり!」
安井はその場で600万円の車を購入した。
その後の晩御飯は、安井の行きつけの焼肉屋に行った。店内には野球選手のサイン色紙や写真が所狭しと貼られていて、多くの客で賑わっていた。
安井は肉には殆ど手を付けずホープを吸いながら、ずっと野球が好きなので野球選手の知り合いが多い事、今は仕事に行くのは週に2日くらいでほぼゴルフ三昧の毎日である事などを、一方的に喋った。
満点な作り笑顔で咲桜は黙って肉を食べ続けた。
ようやく安井は、「大学も行かないで何したいの」と彼女に話を振った。
「お金を貯めて海外に留学したいんです」
「料亭なんかで働いてたってお金貯まらないでしょう。あんなとこ辞めてさ、一緒にゴルフ行こうよー。僕と一年ちゃんと付き合ってくれたら留学のお金出してあげるよ」
そう言って煙を吐き出した安井のギョロッとした目がヤニ色に鈍く光っていた。
「考えてみるわね」咲桜は、笑顔を貼り付けたままラークを口に咥えた。
晩御飯の後は当然の様にホテルに行った。
モモカと中村のデートはホテルに直行だった。4階のフレンチレストランに行き、中村はワインをガブガブ飲みながら、昨日2人目の孫が産まれたという話を嬉しそうにした。その後は最上階のスイートルームが予約されていた。
中村は孫が2人もいるとは思えない精力でモモカを何度も抱き、何度も射精した。
1ヶ月後、咲桜の新車の納車日。安井と咲桜が向かったのは、栄にある高層マンションの21階だった。
2LDKの角部屋の鍵と安井名義のクレジットカードを咲桜に渡すと、「今日からここに住みなさい」と、安井は言った。
最新の家電にハンサムな家具…生活に必要な物は全部揃っていたが、毎週火曜日に掃除婦が来て隅々まで綺麗にしていく為、生活感は全く無い。
地下の駐車場に無事新車が届けられたのを見届けると、安井は大事な用があると言い出かけて行った。
一人になった咲桜は、リビングルームでバカラの灰皿にラークの吸い殻をぐしゃっと潰した。
埃一つ無い家の中に精液の匂いが染み付いている気がした。
その日の夕方、定刻に出勤した咲桜に板長が薄ら笑いを浮かべながら話し掛けた。
「おい。巨乳女と女将がもめてるぞ」
咲桜が忍び足で店の奥に行くと、襖が閉められた個室から女将の怒鳴り声が聞こえた。
「あんたはバカだね!!あんたが17になったらスナック行きたいっていうから他にも女の子何人か見つけてきてお店大きくしたっていうのに、今更何言ってるの!あんなジジイと本気で付き合えるわけないでしょ!不幸になるだけだよ!はっきりしなさい!あのジジイと仕事どっちとるの!!!!」
「ジジイです!!!!」
勢いよく襖が開いてスッピンのモモカが飛び出してきた。
「サクラちゃーん。モモカにいつも優しくしてくれたこと忘れないからねー」
唖然としている咲桜を横目に、17歳になったばかりの彼女は、たわわな胸を揺らしながらドタドタと走り去っていった。
その晩、深夜過ぎに仕事を終えると、女将は錦三丁目で一番美味しいという高級寿司を仲居たちに振る舞った。
咲桜は毎日の様に新しい友人達と買い物に出かけ、安井のクレジットカードでハイブランドを手当たり次第買う様になっていった。安井の知人達とゴルフをしたり、高級レストランで食事をしたりすることが愉快だった。
“寿司を奢る”と言えばスシローにしか行けない両親も、しがない田舎町で時給700円のアルバイトをしている飛鳥も、無難な大学生をやっているアカリも、陳腐な恋愛に必死になっているサユリも、みんなみんなあの日のクリームシチューと化した。便器に嘔吐して、1フラッシュでさようなら。
咲桜が安井から与えられたマンションに住み始めて半年近くが経とうとしていた。
朝から美容院に買い物にと栄中を闊歩してから帰宅した咲桜は、珍しく午後からは家に一人でいた。
インターホンが鳴った。
モニター画面の中で、緊張した面持ちの少年と、彼の母親であろう女性が1階の正面玄関に立っている。
咲桜は一目で彼等が何者なのか分かった。
「はい」
「こんにちは。僕は坂本雄介と言います。今日は学校の無い日曜日を利用して、お母さんと一緒にエホバの証人の伝道活動に参加しています。今月号のものみの塔と目ざめよ!を宜しければここの郵便受けに入れておきますので、是非お時間ある時にお読み下さい」丸暗記した文を一語一句間違えずに彼はそう言った。
「直接受け取りたいので上までどうぞ」咲桜はオートロックを解錠した。
咲桜が玄関を開けると、さっきインターホンの画面越しで見たよりもずっと幼く見える坂本雄介が母親と立っていた。
「こんにちは。上まであげていただいてありがとうございます。是非この雑誌をお読みください」
ものみの塔と目覚めよ!を雄介の手から受け取ると、咲桜は「ありがとう」と彼の目をしっかり見てにこっと笑った。
「私は黒河咲桜って言うの。雄介くんはいくつ?」
「10歳です」
ここで脈があると思った母親が喋り出した。
「黒河さん。宜しかったら雄介に少しこの雑誌の内容について説明させて頂けると嬉しいのですが」
咲桜は母親には一瞥もくれず言った。
「この雑誌、雄介君も読んだの?」
「はい。黒河さんは真の幸福とはなんだと思われますか」
咲桜が手元のものみの塔誌に目を落とすと、「真の幸福-どうやって手に入れられますか」という題が見えた。
「さあ。雄介君はどう思うの?」
「僕はエホバ神を信じているので、エホバが喜ばれる事をしていると幸せだと思います」
咲桜の手の中で雑誌が握りつぶされたが、顔は笑顔のままだった。
「…そう。雄介君。私もね、10歳だった時はあなたと一緒だったわ。いつも母親と共に奉仕に出かけて、不特定多数の大人たちに向かって神の愛とは何なのか、真の幸福とは何なのかを論じたりして。でもね、雄介君。22歳になった今、私は真の幸福が何かなんて分からないの。皮肉でしょう。幸福どころか私が誰なのかも分からないのよ。どうしてかしら。正解を頭に叩き込まれてきたはずなのに。私、今ここで父親よりも年の離れた男にお金払ってもらって住んでるのよ。この今着てる服も全部彼に買ってもらったの。それって真の幸福では無いわ。どうして私は幸福じゃないのかしら。私はあなたと一緒だったのよ。幸福とは何か、どうしたら幸福になれるか全部分かっていたわ。なのに今私はどうしてここにいるの」
完全に狼狽した母親が、「今日はこの辺で失礼させていただきます」と、雄介の手を引いてエレベーターの方に向かおうとした。
咲桜は雄介の腕に咄嗟にしがみ付き、顔をぐいと近づけた。
「雄介君。あなたも真の幸福が何かなんて分からない。分かるはずないもの。あなたもどこかで気付いてる。この先何か思い悩むことがあったら、その時は私を思い出すのよ。答えが分からなくてもいい。あなたは決して罪人なんかじゃないわ。あなたはがむしゃらに生き抜こうとしただけなんだから。恥ずかしくなんかないわ。私にはあなた自身そのものが見えてる。あなたはここにちゃんといる。いつの日か自分の生まれ育った環境を恨めしく思い、自分を憎悪する時、私���思い出しなさい。その小さな肩に全てを担おうとしなくてもいい。全部投げ出しなさい。私が受け止めてあげる。絶望に打ちひしがれて誰もあなたを愛してくれないと感じたら、私を思い出しなさい。私が何度でも言ってあげる。私はあなたを愛してる!!」
咲桜の手が母親によって物凄い力で振りほどかれた。
「雑誌を受け取って頂きありがとうございました。また雑誌の感想などお聞かせください」母親は雄介の手をものすごい力で引っ張ると、足早にエレベーターに乗り込んだ。
「サークーラーちゃーん。今からそっち行っていいですかーーー?」酔っ払って上機嫌な安井から電話があったのは、その日の23時頃だった。
電話を切った咲桜はメイクを直し、冷蔵庫にはおしぼりが、冷凍庫にはロック用の氷があるかを確認した。
30分後に鯖寿司のお土産を持ってやって来た安井はソファにどかりと座り、咲桜が差し出したおしぼりで顔を拭き、咲桜の��った響のロックを一口だけ飲むと酒臭い息で脈絡も無く喋った。
「で、いつサクラちゃんはバイト辞めるのよーー」
「えー辞めなきゃ駄目かしら」安井にどれだけ言われても、頑なに料亭のバイトは続けていた。留学の費用だけは自分で貯めたかったのだ。あともう少しで目標額に到達しそうなところまで来ていた。
灰汁みたいなセックスの後、咲桜はベッドから滑り出ると地下の駐車場にある車に乗り込んだ。
行くあても無く、香水と生ゴミの匂いが充満した夜の街を走った。
車内のテレビ画面には9.11テロのニュースが流れている。
エンパイアステートビルディングに飛行機が激突するのを見ながら、啓示の書の大患難を思った。
家に戻ると安井のイビキが寝室から聞こえてきた。
咲桜はベランダに出てタバコを吸った。
名古屋市を見下ろすと、車のヘッドライトやビルの灯りで埋め尽くされており、それらが咲桜を嘲笑っていた。
ねえ、あんたまだ生きてるの?
ここがどこだと思う?
ここは六本木や銀座じゃないんだよ。ましてラスベガスやハリウッドでもない。
世界中には安井より金持ちのやつなんか掃いて捨てるほどいるよ。
何をこんな小さく四角く切り取られ街ででかい面してるんだ。
あんたは誰の優位にも立ってなんかないからね。あんたが彼等を見捨てたんじゃない。彼等があんたを捨てたんだよ。学歴も無い、なんの取り柄も無い、とことん無能なあんたなんかに誰も興味なんて無いの。みんなから足蹴にされてんだよ。
そんでもってみんなからの一瞬のアテンションの為に学校までやめて、生き恥なんだよ。こんな愚鈍な人間見たこと無いよ。
その高級な服さ、全然あんたに似合ってないの知ってるんでしょ?馬鹿の一つ覚えみたいに誰でも知っているハイブランドばかり買い揃えたって、どうせ中身すっからかんじゃん。ダサすぎんだよ。
醜い体に醜い顔に醜い脳。
中途半端に意固地で留学の金だけは人に頼らないとか無様なんだよ。なんだそのヘドロみたいなプライド。
嘘ついて見栄はってなんでも正当化してあんたの父親そっくりじゃん。
あんたの母親も最低だけど、ある意味彼女は初志貫徹なんだよ。
あんたはどうなんだ。軸がブレブレで宙ぶらりんで一体全体何がしたい訳?
住所を変えようがバイトを変えようが電話番号を変えようが髪型を変えようが、何にも変わっちゃいない。
全部中途半端でお前何がしたいの?誰なんだよ?
人の粗探しばかりして、当のあんたは彼等の足元にも及ばないところでみっともなくジタバタしてるだけだろ。
なんだ。今度は外国に逃亡か?
逃げて逃げて逃げまくって、このままいくと逃げ場が無くなっちゃうよ。で、どうすんの?最後は姑息に生きることからも逃げ出すのか?
そんなの腐敗していく死体と何も変わらない。
ねえなんでまだ生きてるの?
ねえなんでまだ生きてるの?
ねえなんでまだ生きてるの?
誹謗中傷が四方八方の建物から浴びせられる。
ありとあらゆる罵声が舗装された道路の表面からふつふつと湧き出て巨大な波を形成し押し迫ってくる。
侮辱や侮蔑があらん限りの大声であたり一面の木々から投げつけられる。
咲桜は、ベランダの欄干に手を掛けて下を覗き込んだ。吸いかけのタバコがスーッと闇の中に消えていった。
血管が破裂するかと思う程に両手に力を入れた。
ーーー本当はこんな風になりたかったわけじゃないのに……
このまま上半身を乗り出せば自然に体は落ちていく。
束の間の恐怖心にさえ打ち勝てばもうこれ以上苦悩することは無いのだ。
さあ、飛べばいいだけさ!
なんて簡単じゃないか!
見渡す限りの平穏が向こうには広がっている。
さあ!
飛びたまえ!!
さあ!!!
死ね
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いばらきx立命館DAY 2019
2019年5月19日(日)
立命館いばらきフューチャープラザ グランドホールで行われた
いばらきx立命館DAY 2019
伊東歌詞太郎 Special Live
に参加してきました!
⭐︎Intro
「しらゆり」に引き続き今回もこの曲からスタートだったの嬉しい。
これは私の勝手な深読みだけれど、
全てが「今」の歌詞太郎さんに繋がっているんだなって、
「この曲から始める」ってことがそう言っているような気がして、グッときてしまうところがある。
Introのイントロ(ややこしい)が流れ始めてすぐ客席全体がバッ!と立ち上がったのもさらにテンションが上がった理由の一つ。
たまに周りの方がなかなか立ち上がらなくて
「お?立っていい…んよね?え、立たない?立つ?立たない?わたし立ちますよ??」
みたいな感じで脳内一人スクワット大会が始まってしまうときもあるので周りとテンポが合うのはとても有り難い。
周りを気にせず率先して立てればいいんだけれど、性分的に難しく。
こういう小さなところからでも少しずつ変わっていけたらいいなぁとかなんとか思いつつ。
⭐︎夢地図
「Intro」から「北極星」への繋ぎが好きなんだよなぁとワクワクして待ってたら、まさか��繋が…らない。
終わってしまった。あれ?
と思ってるところに流れる軽快なギターの音。
なんの曲かを理解した瞬間、全身にぶわぁっと鳥肌が立つのが分かった。
まさか、ここで聴けるなんて。
私、初めはこの曲、歌詞太郎さんが作詞作曲したんだと思ってて。
だから40さんの曲だって知ったときはビックリした。
めちゃくちゃ歌詞太郎さんぽいというか、歌詞太郎さんにピッタリすぎる曲だから。
いま改めて歌詞を読んでるんだけれど、
この曲を「今」の歌詞太郎さんが歌うってことが、なんというかもう最高にエモい……。
自分がめちゃくちゃ深読みマンだから一つ一つの歌詞をいちいち彼の境遇に重ねて聴いてしまうという自覚はあるけれど、
そうでなくても一発目にこの選曲は……ズルイな、と思った。
⭐︎It’s all right!
嬉しい!楽しい!大好き!!
(それ違うやつ)
いやでも、手拍子とコーレスがほんっとに楽しいんだ。
CDにも手拍子の音が入ってるから一人で聴いてるときでも無意識に合わせてリズムとってしまう。
最後の「さーんさーんななびょうーし」という掛け声の来るぞ来るぞ感が最高に好き。
⭐︎小夜子
歌い出し聴いてビックリしてしまった。
これを、歌うんだ。
いつかのツイキャス…違った、ツイットキャスティングで歌ってたのはこの日に向けた伏線だったのか?と無理矢理こじつけの理由を探してしまうほど、
ステージ上でこの曲を歌うことは、個人的にはとても意外だった。
いや、むしろこの曲も
「今」の歌詞太郎さんだから歌える歌なのかもしれないなぁ…。
ニコ動に上がってるのを久しぶりに聴いたけれど、ライブで聴いたのとはまったく違った印象で驚いた。
ライブはもっと力強くて、荒々しくて。
「死にたくて 死にたくて」
そう歌いながらも
「ここで死んでたまるか」
とでも言いたげな鋭い視線でまっすぐに前を見つめて歌っていたのがとても印象的だった。
2年前、私が初めて彼の歌を聴いた時に見たのと同じ視線。
今も、あの時も、やっぱり彼はステージ上で「戦って」いるんだな。
「人生変えた音楽でさえ 何故に僕の事を否定するの」
この後、クルッと後ろを向いておもむろにマイクスタンドに手をかけたかと思ったら、それを床に叩きつけるように勢いよく倒したから目を疑ってしまった。
暗かったから一瞬見間違いかとも思ったけれど、演奏が終わった後にスタッフさんが直しに走ってきたから
「あ、この人やりよったんやな」と。(言い方)
優しすぎるほどに優しいこの人がステージ上でのみ時折見せる激しい姿は
彼が間違いなく今この時を生きているということと、
自分と同じ一人の人間であるということを改めて感じられて、
少しだけホッとしてしまうのは私だけだろうか。
以前は分からなかったこの曲の良さが、最近になってようやく分かってきた気がする。
⭐︎MC
こんなにも感謝の言葉をいつも真っ直ぐ伝えてくれること、本当にすごいなと思う。
あなたの前には、いつだってお客さんがたくさんいるのに。
埋まらないライブハウスも、
目の前を足早に通り過ぎていく人たちも、
今ではもう、ないはずなのに。
「初心を忘れない」って、言うほど簡単なことじゃない。
だから「歌を歌うことが楽しい」「歌を聴いてもらえることが嬉しい」
そのシンプルな言葉を変わらぬ温度で伝えてくれることが、伝えられることが、本当に、心の底からすごいなと思う。
こんなに感情鷲掴みにされたらさ、
ライブ終わってすぐ
「はぁ、かしたろさんにまた会いたくなっちゃったな(裏声)」
って思うよ、そりゃ。
メンヘラ女にもなっちゃうよ。
(”メンヘラ女”の意味が微妙に違うような気がするけれども)
そういえば、この「メンヘラ女」発言のときちょうど私の横を通ったカメラマンのおじ様が「フハハッww」って声出してめちゃくちゃウケてたの、なんか嬉しくなっちゃったな。
スタッフさんをも笑わせられる推しの言語センス、良き。
⭐︎さよならだけが人生だ
イントロが流れた瞬間、「あぁ…」と漏れる声が会場中から聞こえた。
手拍子をするタイプの曲ではないから野鳥の会できるかな、と双眼鏡を構えたけれど、すぐにやめた。
集中できなかったのだ。
レンズを覗いた方が、確かに表情はよく見えた。
新調した双眼鏡がとんでもなく優秀な子だったというのもあって、見えすぎるほど見えた。
だから単純に、普段はそのほとんどを耳からのみ取り入れている情報に視覚からの情報も加わって私のキャパを超えそうになってしまったから、というのもある。
でも、それ以上に
歌っている彼の真っ直ぐな姿勢に対して、
「歌に集中できていない自分」というのがとても失礼であると感じた。
うん、自分はそんなに器用じゃなかったな。
⭐︎その暖かな手を
私はこのとき、かつてないほどに集中していたのかもしれない。
初めての感覚だった。
ずっと「無心だな」と感じていた。
大きく感情が動くわけではなく、ただただ歌を聴き、歌う彼を見つめていただけ。
でも右眼からは絶えず涙が溢れていた。
後で調べてみたら右眼の涙は「嬉し涙」らしい。
私はあの時、嬉しかったのか。
それすらも分からないほど、ひたすら「無心」だった。
⭐︎小さなころから
「空が高かったからなぁ」
その歌い出しにようやく感情が動き出した気がした。
どうしたって僕たちは
「誰かを愛さずにいられない」し
「誰かに愛されず生きられない」
そう歌う伊東歌詞太郎が最高じゃないわけある……?
いや、ない。(反語)
すごくすごくあったかい曲なのに、
「僕たち」には、ちゃんと彼自身も入ってるのかな。
とか考えてしまって、やっぱり私はどうしても少し切なくなってしまう。
これたぶん「歌詞太郎さんが歌うから」なんだろうなぁ。
他の人が歌ったら印象は変わりそう。
たくさんの人に聴いてもらいたい曲だな。
⭐︎Calc.
ビックリした。ビッッックリした。(2回言う)
この流れでまさかこの曲くるなんて、まったく予想してなかった。
あー好きなやつ…!と思いつつ途中まで曲名が思い出せなくて悶々としてたのだけれど
「過去も未来も無くなれば
僕も自由に飛び立てるかな
感情一つ消せるのなら
『好き』を消せば楽になれるかな」
のところでようやくアッ!と思い出した。
ここの歌詞が一番好きだ。
⭐︎MC
ワンマンライブツアー
「君住む街へ」開催決定のお知らせ。
ほんとにほんとに嬉しいんだなぁって、感じた。
もちろん私も嬉しい。
公演後に配られたチラシに書いてあった「2年ぶり」の文言。
2年と聞くとすごく長く感じるけれど、個人的には「もうそんなに経つのかぁ」という感じ。
前回の「火鳥風月」行けてよかったなぁと改めて思う。
ツアーの開催を知った時には歌詞太郎さん自身の曲をまだ全然知らなかったのだけれど
「絶対行きたい、行かないと後悔する」と思って勢いで申し込んだんだよなぁ。
生放送で東京公演だけチケ代が500円高くなることへのお詫びと説明をめちゃくちゃ丁寧にしていた話は何度でもしていきたい。
⭐︎パラボラ ~ガリレオの夢~
⭐︎ラピスラズリ
⭐︎I Can Stop Fall in Love
⭐︎magic music
⭐︎僕だけのロックスター
後半MC明け、テンション上がって楽しすぎて野鳥の会するの忘れてた。
座席が1番端っこだったからおもいっきりタオル回せたのが気持ちよかったなぁ。
「パラボラ」のサビでバッ!と一気に灯った星空のようなライトがとても美しくて印象的だった。
⭐︎EC
アンコールを受けて再びステージに登場した彼は、ジャケットを脱いでYシャツ一枚になっていた。
「意外と普段はジャケット着ないんすよ、暑いしね」
なんて笑いを誘いつつ、続けて切り出したのはこんな話だった。
自分は拠り所のない根無し草だ。
「当たり前」が「当たり前」にある人が羨ましかった。
ステージを実家のような場所だと思っていた時もあったけれど、
やっぱりそんなに生易しいもんじゃなかったと気付いた。
自分にとってステージは、自分らしく戦っていける場所なんだ、と。
私はこの話を聞くのは初めてではなかったのだけれど、
「羨ましい」と、彼が直接口に出すのは初めてのような気がして少し動揺した。
「ステージが実家」という言葉を初めて聞いたとき、それがまるで
「ステージにいない自分に居場所はない」
と言っているように聞こえてしまって、寂しくて。
最近できた不安クラブ…ではなくファンクラブを作った想いを知って、
彼にとって「故郷」と呼べるような場所ができればいいのになと、より一層願ってしまう。
⭐︎帰ろうよ、マイホームタウン ~追想~
直前のMCからのこの曲、すごく沁みた。
シャツ姿で歌う彼を見てこの曲のMVを思い出していた。
いつも以上に丁寧に、一音一音大切に歌っているように感じた。
この曲に対する歌詞太郎さん自身の解釈の変化を聞いて、
前よりもっとこの曲が好きだなと思えた。
⭐︎北極星
ここで「北極星」くるの、ほんとさ…………!
ズルイ、ズルすぎる。
これを最高と呼ばずしてなんと呼ぶ??
今まで一発目に歌ってきたこの曲を最後に歌うことが
これは終わり��ゃなくて始まりだと、
ここからまた続いていくんだって言われているような気がして最高に滾った。
こんなん、これから始まるツアーにめちゃくちゃ期待しちゃうでしょ……!
あと、これは私がまだ歌詞太郎さんの歌を聞き始めてそんなに長くないから思うことなのかもしれないけれど、
今日のはまだ序章だったんだな。
「伊東歌詞太郎の最高はこんなもんじゃねぇぞ」
って言われているような気分だった。
今まで私が参加してきたライブでは、いつも強い意思みたいなものを感じていて。
彼がいつだって音楽を楽しいと思う気持ちは本当だろうし、そこを疑ったことは一度だってないけれど、
それ以上に「確かに伝えたいことがあるんだ」って、毎回そう感じさせるライブだった。
でも今回は、本当に純粋に、楽しくて楽しくてしょうがないって感じで、
上手く言えないのだけれど、なんとなく「いつもと違うな」と感じた。
歌詞太郎さんの凄いところは
いつだってその時のライブが「最高」だと感じるのに、
それでもまだ絶対に「その上がある」って思わせてくれるところだ。
確かに満足しているのに、決して満腹にはさせてくれないというか。
次はもっとすごいものを見せてくれるんだろうなって、自然とそう思えるのはなんでなんだろう。
どこかのMCで、彼は
「いい景色を(私たちファンと)一緒に見たい」
と言った。
彼を見ていると、彼には限界なんてないんじゃないかって度々思う。
だから彼が納得する「いい景色」って、一体どんな景色なのだろう。
もしもその場に立ち会うことができたら、これほど幸せなことはないだろうなと思う。
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第28話 『ある術者の1日 (4) - “新しい夜明け”』 One day of a necromer chapter 4 - “New Dawn”
白々と太陽が夜の淵を染め、新しい朝がやってこようとする頃、屍体の兵士は美しい女性を抱きかかえて小屋に戻って来た。
「ダレン!」
待ち受けていたマルクが、ドアを開けてダレンを受け入れる���
魔法陣の向こう、椅子にもたれ目を伏せる自分が真っ先に目に入った。
意識のない自分の体を前にすると奇妙な心地になった。魂が繋がっているのが見えるが、そこで眠る自分とエミリアのには大きな隔たりがある。
ダレンはこのあとすぐに目覚めるが、エミリアは一生目覚めない。
「すまないが、マルク。エミリアに何か掛ける物を持ってきてやってくれ。俺はこの屍体を埋めてくる」
「分かった……気をつけて」
マルクが奥に引っ込んだことを確認してから、ダレンはゆっくりとエミリアを横たえさせ、外に出た。
屍体を隠すことももう慣れた手順のはずだ。地中に身体を埋め、隠すことなど、心が揺れるはずもない。
だが、今日は妙に疲れた。骨の折れる作業に思え、永遠にこの穴を掘り続けるのではないかと、絶望的な感情が湧いた。
接続を解いてダレンが自らの体に戻る。
「ダレン……」
傍に座り込んでいたらしいマルクが力なく名前を呼んだ。
振り向いたマルクは憔悴しきった表情をしていた。
ほんの数時間前、『これで生き延びられる』と瞳を妖しいほどに輝かせていた同一人物とは思えない。
この一晩でめっきり老け込んでしまった。
恐らく、それはダレンも同じだ。
「――……夜が明けきったら、ヘルマンを弔いに行こう」
ダレンの提案に、マルクは一瞬怯えたように目を丸めたが、やがて頷いた。
死は見慣れたと思っていた。
墓を暴き、死を冒涜し、それに慣れたつもりだった。
それがどうだ?
友人の死を目の当たりに――しかも凄惨な死を――した途端、心が怯んだ。
もう感じないと思っていた痛みや苦しみが込み上げて、深い悔恨がもたげる。
――人の命を弄ぶことに、何も感じないのか!?
ヘルマンの叫びが今では身に染みる。
感じなかったのは、その屍体が『他人』だったからだ。それだけ死の記憶を見ても、その個人の記憶を見ても、それは書物を読むような芝居を見るような感覚に過ぎなかった。
けれど、どうだ。
実際に目の前でヘルマンの死を見ても、同じことを言えるのか。
項垂れていたマルクはゆっくりと顔を上げた。
「……エミリアの屍体も、使うか?」
「……マルク……」
名前を呼ばうことしか出来なかった。
考えることを頭が拒否している。
「使える屍体も残り少ない……このままじゃ朽ち果てるか、掘り返されて喰われるか」
マルクの口調も流石に力がない。
「誰か知らない奴らに、エミリアを使われるだけだと思う。それに……」
その先は畳んだ。
だが、ダレンだって分かる。
微かに首を振ることしか出来なかった。
「――一晩だけでいい。一晩、考えさせてくれ」
「分かった」
マルクが去った後も、ダレンは屍体に”なった”時の座った姿勢のまま、ただただ動けずにいた。
目を背けずに見れば、エミリアは既に生前通りではないことは分かる。
美しいエミリアが、徐々に永遠に時のない眠りに蝕まれていくのは仕方のないことだった。
輝くほどに白かった肌はくすみ、ハリを失っている。
抱き上げた身体も軽かった。それはBuriedbornesで、屍体の力を上げた影響だけではないはずだ。
やがて、ダレンはぎこちなく立ち上がった。
エミリアの伏せた睫毛を見下ろす。
この面影もいずれ消え失せてしまうのか、それとも、自分達の終わりが先か……。
マルクが言い淀んだ先の言葉を、ダレンだって理解している。
「エミリア……、このままでは俺達もみんな死んでしまう」
お願いだから、目を開けて微笑んではくれないだろうか。
「そっちはどうだい? いいところか? ヘルマンとは会えたかい?」
じっと見下ろしたまま語り続ける。自分自身の手でエミリアに触れることが恐ろしかった。
エミリアの死を本当に受け入れ���ければならなくなる。
彼女は永遠に変わらない、という思い込みを捨てなければならない。
それならば、
「……せめて、僕が死ぬ前に、君の想いを見せてくれ」
僕は、ずっと君を見ていた。君を愛していた。君を守りたかった。
ダレンは言えなかった熱烈な言葉を、その亡骸を前にしてさえ、やはり口に出来なかった。
ここまで来ても告げられない自分が愚かしく思えるが、エミリアに似合う言葉を探せないのだ。
自分達を救い、光をくれた彼女に陳腐な言葉は似合わない。
ダレンは振り向いた。Buriedbornesのためにマルクが描いたその魔法陣を。
魔法陣の前、先ほどまで埋もれるように座っていた椅子に戻る。
「エミリア……」
このまま死ぬならば、僕は、君のことを、君の想いを、見てから死にたい。
「欲しいものは、何でも買ってもらえるの。だって、私のおうちはお金があるから」
私が覚えているのは、お姉様が新しいお人形を買ってもらった時に、私にそう嘯いたことだった。
お姉様はその半年後、風邪をこじらせてあっけなく亡くなり、お人形は私の物になった。「お金があっても買えないものがあるのね」ってお姉様に話しかけた。棺の中のお姉様は綺麗な白いドレスを着せてもらっていたわ。
あのドレスを着たいと言って、お母さまを困らせたっけ。
そういう意味で、私はとても恵まれた環境に育ったのだと思う。
お父様は商人をしていて、お母様はいつも窓辺でレース編みをしていらしたわ。何人ものお女中がいて、私は乳母に育てられた。
ヘルマンと出会ったのは5歳のころだった。新しいドレスをこしらえてもらって、遊びに行ったお家の子がヘルマンだったの。
ヘルマンのおうちは将軍様の家系で、立派な騎士の末裔なんだって、お庭にある馬に乗った騎士様の銅像を見ながらヘルマンは教えてくれた。
私達は子供らしい無邪気さで、1日ですっかり仲良くなったの。
今なら分かるわ、私の家は家柄が、ヘルマンの家は経済力が必要だった。そこにお誂え向きの年の近い息子と娘。願ったりかなったり。
でも、そんな思惑なんて関係なかった。
私もヘルマンも、一目でお互いを気に入ったの。お父様とお母様のように暖炉のある暖かな部屋で子供に絵本を読む、年を取ったヘルマンと私が自然と思い浮かんだわ。
だから、帰り際にヘルマンが「おとなになったらお嫁さんにしてあげる」と言ってくれた菫のお花を、押し花にしてずっと大事にしているの。
乳母も家庭教師も厳しかったけれど、お父様とお母様は『愛しいエミリア』って一人娘の私を可愛がってくださった。
お母様は教会の活動にも熱心で、レース編みのベッドカバーや刺繍入りのハンカチーフを差し入れていたわ。
そういう時は厨房でたくさんのお菓子を作るから、こっそりいただいていたの。
「可哀相な人には優しくするのよ」
大きな帽子を被ったお母様は完璧な貴婦人で、私もそうなりたいとドキドキしたものよ。
そんな中だった。
あの可哀相な子に出会ったのは。
「エミリア、何を見てるんだ」
ヘルマンがそう私に尋ねた声は、少し怖かった。
だってまるで命令するみたいだったから。
「……あの子、いつもああね」
「ああ、ダレンか」
大きな木陰に座っている男の子の名前を、何度聞いても私は忘れてしまう。
「親が殺されたんだって。孤児院に来たばかりで、全然馴染もうとしない」
「まぁ、可哀相じゃない」
可哀相だわ。
今まで風景の一部に溶け込むようにいたあの子が、急に立体的になる。
「何か読んでるのね。私、行ってくるわ」
「おい、エミリア!」
声変りを終えたばかりのみょうちくりんな声でヘルマンが咎めるけれど、私はダレンに駆け寄った。
「ねえ、何を読んでるの?」
――あら、あなた、案外綺麗な目をしてるのね。
私はそう内心で想いながら、ダレンの手元を覗き込んだ。
ダレンと一緒に遊ぶのは図書館が多かった。
ダレンは本が大好きで、孤児院の人達にもたくさんの本を与えられていたの。
そこに年下のマルクが加わって、自然と4人で遊ぶようになったわ。
図書館はいいところ。人目を忍べて、静かで、年若い恋人達にはぴったりの逢引の場所だった。
ヘルマンは時折、いきなり私を後ろから抱き寄せて、驚かせた。くすくす笑いながら抱きしめ合うことが本当に幸せだったわ。
慎み深い関係を続けていたけれど、人目を忍んで抱きしめ合うくらいは許されてもいいと思ったの。たくさんの書架は森みたいで、とてもロマンチックだった。
それに、私達は熱中していることがほかにもあった。
『医療魔術』について。
ダレンが1人で読んでいた本だったけれど、気が付けば私たち全員が夢中になった。
ヘルマンとダレンなんかはいつも話し合って、「ああでもない、こうでもない」って頭を抱えていたわ。
私が黙って見ていると、マルクが猫みたいにいなくなるの。
「……マルク?」
本の森に入り込んだマルクに声をかける。
マルクはいくつかの本を取り出して、パラパラと中を改めているところだった。
「エミリア……」
「その本、どうしたの?」
「ヘルマン達が話し合ってることの本。もう答えがここに書いてある」
私は驚いて瞬きをした。
そういえば、マルクはお医者様の息子だったことを思い出す。
「知ってたの? 教えてあげたらよかったのに」
「あの2人が話し合ってもいい案なんて出っこない。僕が新しい本を持って行かないと何も進まないんだ」
マルクは涼しい顔をして本を選び終えた。
「ヘルマンは図体はデカいし、力もある。ダレンは大人びてるよね。でも、2人ともそれだけだ」
「まぁ、マルク。そんなこと言っちゃだめよ」
私は驚いた。
いつもは2人について回っているくせに、内心では、そんな事を思っていたの?
「ふん。でも本当のことだ。僕がいないと、何も進まない、見ててごらんよ」
マルクの宣言の通りだった。
――確かに、2人だけじゃ、結論は出ないのだ。
私とヘルマンの関係はうまく進んではいかなかった。
私達は仲良くいたままだったけれど、家同士の折り合いが中々つかなかったようだ。
おかげで、私はお母様のウェディングドレスを受け継いだもののそれを眺める日々を過ごしていた。
けれど、そんな中ようやくその日は訪れた。
とてもよく晴れた日、ヘルマンの家に、一家で招かれたのだ。
母は私にとっておきのドレスを着るように言った。もう既にくるぶしの出る子供用のドレスは卒業していた私は、一生懸命ドレスを選び、侍女と浮かれながら髪を結わいた。
そっと、ドレスの胸元に子供のころもらった菫の押し花を忍ばせる。
ようやく。ようやくヘルマンと結ばれる。
夢見た幸せな生活が待っているのだと思うと、自然と微笑みが漏れた。
なのに。
「……ヘル……、マン……?」
何が起きてるの?
ねえ、ヘルマン、あなた、どうして私をそんな目で見ているの?
庭園でのお茶会。その時外から悲鳴が聞こえ、逃げるようにと従僕達が駆けつけた。
必死で逃げたの、お父様もお母様も見失って、それでもヘルマンの手を握って必死で走ったわ。
街は、見たことのないほど荒れていた。
そこかしこを歩くおぞましい屍者達の群れ、襲われた人達のなれの果て。
一体何が起きたというの?
この世の終わりが、来てしまったの?
必死で逃げたけど、限界が来て、私は転んでしまった。
あれだけしっかりと繋いでいた手が、呆気なく解ける。
「エミリア!」
あなたはそう叫んでくれたわね。
でも、すぐに立ち竦んだ。
はじめ、熱いって思ったわ。全身を貫くような熱さのあとに、壮絶な痛みが走った。
見たら、お腹から剣の先が飛び出している。
悲鳴を上げようとした口からは、かわりにたくさんの血を吐いた。
「何やってんだ!」
知らない男の人の声がして、するりと剣が背中へ抜けていった。
中年の男性が、スコップを振り回して屍者を追い払った。
胸にぽっかりと空いた穴から、湧き水みたいに血がどくどくと外へ流れていく。
「ヘルマン……助けて……」
足が動かない。必死で手を伸ばすが、動こうとするほど、もっと血がいっぱい出て、体が動かなくなっていく。
背後で、助けてくれた男性の悲鳴がした。
ヘルマンの足に私が縋りつこうとしたその時、ヘルマンは駆け出した。
駆け出し、た?
私を蹴るように振り払い、何も言うことなく、逃げ出した。
嘘。
嘘よ……ヘルマン、嘘でしょう?
私を、愛していたのではないの? ねえ、ヘルマン。痛いの、体が動かないわ。今なら許してあげる。怖かったのよね、あなたも。
だって、訳も分からない化け物が襲ってきて、驚いたのよね?
私は必死で這った。
あの木、ダレンが座って本を読んでいた木の根元、大きな根にもたれるように体を預ける。
もう動けない。寒い。
ああ、どうして誰もいないの。ヘルマン、ダレン、マルク、私はここに来たのよ。
友情のはじまりはここじゃない? だからここにきたの。
助けてもらえると思って。
ねえ、どうしていないの。
あんたちは、逃げたっていうの?
私を置いて?
ねえ?
生きてる? この街の中のどこかにいるの? 私を守りに来ないで、あんた達は逃げてるの?
ねえ。
なんで私なの。
なんで私が死ななきゃいけないの。正しく生きてきたの���。
なんで……あいつらじゃ、ないの。
優しくして、やったのに……――
マルクが浅い眠りから覚めたのは、物音のせいだった。
「……ダレン?」
すさまじくだるい。
だるい原因を思い返そうとすると吐き気がするので、慌てて頭を振って押しやった。
ただ、人影が小さい。
「……誰……?」
ふらり、と影が動き、緩慢に長い髪が揺れた。
「ダレン… …まさか、エミリ――」
マルクは最後まで口にすることが出来なかった。
影は抱き着くようにマルクの飛び込んできた。
そして、影が体を起こす――エミリアは無感動な目でじっとマルクを見つめていた。
その手には解剖用の短刀が握られ、深々とマルクの腹部に突き立てられている。
エミリアはずるりと、床に座り込んだ。
一瞬の間ののちに、糸の切れた操り人形のように、その場に倒れ込み、動かなくなった。
ダレンが研究室から、マルクの自室に移動した時、ベッドの上でマルクは痙攣していた。
それに目をやることなく、エミリアを見下ろした。
エミリアの目を通してみた過去は、ダレンの知るどの記憶とも形が違うものだった。
美しいはずのエミリアの最期は、ダレンの思っていた形とは違う残酷さを持ち、エミリアのダレンへ向けた優しさはただの自己満足だった。
「俺は何のために戦ってきたんだ」
エミリアは何と思うか、生き残ったからには恥じないように生きなければとずっと己に問うてきた。
Buriedbornesの術も、魔の契約も、『パーツ』の改造も、3人揃って生き延びるためだった。
「くふっ…… ふふ……」
ベッドに上体を横たえたマルクの体を片足で軽く小突くと、床にゴロリと転がり落ち、動かなくなる。
「何のためにィッ!」
マルクの脇腹を強く蹴り上げたが、ビクリともしない。
マルクも、ヘルマンも、エミリアさえも、僕の事を、軽蔑していたんだ、心の底で。
それが現実。
全ては幻だったのか?。
守るべき美しい記憶は、どこにもなかったのか?
守るだけの価値が、あったのか?
答えは、知ってしまった。
知らなければよかった。
でも、もう戻れない。
「ふ、ふふ、ははは」
再び乾いた笑いが、ダレンの口から零れ落ちた。
生き残ったのは自分ひとり。
この世にどれほどの価値があるだろうか?
夢も愛も信頼も、全て幻想だった。
どれもこれも、自分の都合に合わせて使うだけの詭弁だ。
人間も、地底の軍勢と何も変わらない。
誰も彼も、自分の事しか考えていやしない。
ならば、俺も、俺のために生きてやる。ここにある屍体を使って、全てを破壊し尽くしてやる。
それが生者であろうが、屍者であろうが。
もう弄ばれる側にはならないと決めたではないか。
今度は、自分が弄ぶ側なのだ。
「……なんだ、よく見たら大して美しくもないな…」
目を伏せたエミリアの目蓋はくぼみはじめ、色あせた肌は土色だ。
ダレンはエミリアを小脇に抱えるようにして、研究室に向かった。
幸い、マルクの行った処置のお陰で、死んでからかなりの時間が経ったにしては『新鮮な』屍体だ。
「俺は、生きる……」
手術台に横たえたエミリアの前に、鋸を手にして佇む。
その姿は、まるで亡霊のようだった。
空が白む。
また、ある術者の1日が、始まる。
奪い、殺し、壊すための、1日が。
~おわり~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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2021年6月14日
こんにちは。お久しぶりです。
今は23時なのでこんばんはですね。
前回の更新をみたら164日前だったので気づいたら半年経過していました。直近が26歳になってすぐだったので、そうですね、単純に26歳と半年の私です。
半年前は、ようやく仕事一色の思考から、私生活に目を向ける余裕ができてきて、元気になってきたところだったと思います。そしてテーマが自分を認めるだったと思います。半年たった今、期中評価すると、そうですね、結構受け入れられるようになって来たなあと思います。
何を持ってして受け入れられてるのかと言うと、まず、好きなものに取り組むのに後ろめたさがなくなって来た気がします。
具体的に言うと、そうですね、昔から絵を描くのが好きなんですが、ここ最近、確か去年の年末くらいから絵を習い始めました。大学時代は4年間習ってたんですが、就職して全く通えなくなってやめちゃってたんですよね。それを復活しました。大学時代に習ってた先生とは別の方です。絵の書き方も全然違って、以前は、下書きに1ヶ月位かけて、一枚の絵を描きあげるのに半年ほど掛かってたんですが、今は、2時間で1枚のペースで描きます(笑)下書きの時間が10分くらいしかないです。もちろん以前描いてた絵よりサイズが小さいと言うのもあるのですが、先生の意向が、緻密に写真みたいな絵を描くんじゃなくて、場の雰囲気を描きましょう。光を、色を見てください。みたいな感じなので、モチーフの捉え方が全然違います。どれだけ正確に描くかではなく、何を描かないかを選択するって感じですかね。まだこれが難しくて、小学生並の絵を毎週せっせと描いてます。完成度はさておき、去年の今よりは、好きなことをしていると思います。
もう少し経験を踏んだら見れるものが生まれるんだろうか…生まれるといいな。
▽
どうやら、これは多分性格なんですけど、何か作る��が好きみたいなんですよ。絵もそうだし、文章をだらだら描くのも好きだし、最近はやっと自炊を始めました。いや、ここ数年何度か自炊をやろうとはしてるんですが、なかなか続かなくて…作るの自体は嫌いじゃないんです。学生時代はアルバイトに飲食の調理やってましたし。やっぱりフルタイムで働いて、残業して、遅くに帰宅して、となると中々手が回らなくてですね、まあ言い訳なんですけど。作るのが嫌と言うより片付けが面倒なだけなんですね。とにかく、最近は少し自炊もしてます。
他には、うーん、2020年の暇な時にちょっとやってた、PCゲームの動画キャプチャを撮って、コメント打つのは楽しかったかもです。きっかけは巷のゲーム実況者がどうやって動画作ってるのか気になって自分でも作ってみたんですが、意外と面白かったです。ゲームをやるより、動画編集の方が楽しかった。どんなコメント入れようかな〜と考えるの。声とかは一切入れないので、文字入れだけなんですがね。
日常形vlogとかも撮ってみるの楽しいかもしれないですね。自分はまじで映らないけど。需要があるかは知りません。作って、自己満でいいんですよね。楽しそうだなあ、動画撮って、編集して、文字入れするの。工程が多いから、続かないかもしれないね。続かないかもしれないけど、自炊がもう少し安定したら一度試してみてもいいかも。
あ、あとは少し、二次創作のお話とか書いてみたいかもしれないですね。文章を読むのとても好きで、これは中学生時代からの長年の趣味なんですけど、ファンたちが、いろんな考察を繰り広げて書いてる小説が好きです。
公式にもスピンオフとか後日談とか、そう言うの作品があるじゃないですか、元々そう言うのを読むのが好きで、私の個人的な体感では、二次創作はそれに通づるものがあると思っています。
物語の本筋の裏で起こっていたいたかもしれないストーリー、それがたとえ公式でなかったとしても、舞台の裏側みてる感じで、お得感ないですか?お得感って言うのは少し安っぽいですね、ロマンかな?あ、そうだ、ロマンがある。これですね。あとは単純に公式の展開に対して作者さんの解釈が素晴らしいので、「こう言う解釈する人がいるんだ!」と感動します。
読み始めた頃はまだ私も少女だったもので、恋愛要素があるものが好きだったんですが、最近はもっぱら、原作の世界観だけを借りて来た、みたいな、主人公たちの華々しい活躍の裏側にいる人たちを切り取って描いたみたいなお話がとても好きです。主人公たちは、メインキャラたる由縁みたいな、カリスマ性?的なのが多分あるので、それが全くなくて、光の当たらない薄暗いところで地味に生きてます、みたいな人たちの話です��これがどうして、面白いんですよ。作者さんの腕がいいからでしょうね。面白いんです。
あとは、たくさんあるお話の中かから、好みの文体を探すのが好きです。楽しい。いつかはお話書いてみたいな、思いながら、恥ずかしくてかけてない、そんな毎日ですね。でもきっといつかやらかします。自分がやりたいことと、欲しいものは絶対に手に入れたマンなので。
多分生粋のオタク気質なんでしょうね。好きなものにとことん浸かりたい、みたいな。仕事してても言われます。没頭してると、お昼休憩出るの忘れちゃうとか。すっごい集中しちゃうんですよね。無心と言うか、頭の中のいろんな歯車が一斉に回ってる感じで、楽しい。今これ書いてるのも多分没頭してます。多分自分の中に引き篭るのが好きなんでしょうね。自己分析も好きだし。起こってる事象よりも、その原因の方に興味があると言うか。色々追求して考えたい、みたいな。そうなのかも。
▽
なんのプランもなく思いついたまま色々と書いてみましたが、どうでしょう、結構「自分を受け入れる」ができてる気がしませんか。悪いところを受け入れられているか、の話がないのは、ごめんなさい、ご容赦ください。素がマイナス思考なので、暗いところを見つめだすと、そこにのめり込んでしまってダメなんです。SAN値がすごい下がるので。あえて明るい所だけ見ました。心の健康って大事だと思うんです。自己肯定感、大事。
この調子で残りの26歳もぼちぼち過ごしたいと思います。頑張りすぎず。今日はこの辺りで終わろうと思います。明日も仕事ですし。
明日もし、余力があれば、最近ちょっと、引っかかってることと、仕事の話をしたいと思います。余力、あるかなあ。次回はまた200日後とかかもしれない。それはそれで、いいんだけど。
ではまた。
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