#白黒病棟
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rmerurinl · 1 year ago
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出口は何処と聞いたら
『其処』
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kennak · 3 days ago
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66年前の1958(昭和33)年。午後4時5分ごろ、東京・大田区雪ヶ谷町(現・東雪谷)の進化製薬工業株式会社(高園善次社長)の工場が突然爆発。燃えやすい薬品が多かったため、一瞬のうちに火の海となり、木造2階建ての工場と同平屋の工場の計3棟の72坪と、高園社長の自宅(木造平屋建て1棟=21.5坪)が全焼。女子従業員12人が死亡。重傷が14人、軽傷9人という大惨事となりました。 現場は東急池上線の石川台駅から東南へ約1km入った希望ヶ丘商店街の裏手で、工場の周囲は高級住宅街が建ち並んでいる立地です。 この日、工場には従業員43人(うち臨時4人)が全員就業。2階建て工場が突然、ポーンという大音響とともに爆発し、従業員が気がついた時点で、すでに火に取り囲まれてしまいました。最近、アルバイトとして働きに来ていた女子高生らも多く、まだ工場内の経路に不案内だったことも災いとなりました。 現場から逃げ出すことができた人たちは「ピカッと光ったと思ったら、もう火のだった。夢中で逃げ出すのが精一杯。同僚を助けることができなかった」と、恐怖の瞬間について語っています。 爆発地点と、すぐ上の包装室にて作業中の従業員たちは爆発の一瞬で猛火に飲み込まれて即死。逃げ延びた従業員のほとんどは酷い火傷を負い、救急車で近隣の荏原病院、佐藤病院、柿原病院へと収容されましたが、1人は病院で死亡が確認されました。 警視庁東調布署では警視庁の鑑識課、第三機動隊の一個中隊の応援を求めたうえで午後6時すぎに、焼け落ちた工場内から遺体の発掘作業を開始。次々と黒こげとなった遺体が運び出され、夜10時10分の段階で11人の遺体を収容。棺で東調布署へと運び出され、近所の人たちが涙を浮かべつつ見送ったそうです。 爆発の原因は「錠剤室でガスバーナーを使って作業中、そばにあった溶剤のベンゾールかアルコールに引火、爆発したものとみられる。同室の作業員に過失があったことは明白、会社側の責任は(7月)16日から本格的に追及する」(東調布署長)としています。  犠牲となった従業員は15歳の少女をはじめ、年齢の若い人がほとんどでした。事故現場は現在、すっかり閑静な住宅街となっていますが、66年前にこのような悲劇があったことを知る人も少なくなっています。  参照 : 昭和33年7月16日付の毎日新聞朝刊     文 / 高木圭介
【今日は何の日?】7月15日=製薬工場爆発で少女ら12人が死亡・東京都大田区(1958年)/ 雑学ネタ帳|明日の介護をもっと楽しく 介護のみらいラボ(公式)
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gupaooooon · 2 years ago
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ジェイクのステレオタイプ描写などについて
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・ジェイクのステレオタイプ描写についてを主に。ジェイクというキャラクターについて、自分なりに考えていることを。以下、だらだらと。かなりとっ散らかった書き方になってし��いましたが、残します。
・MCUムーンナイト。ジェイクが現状は……DIDのステレオタイプ描写に収まっている部分があること、その批判と懸念について。製作陣から、批判についての言及、問題意識の共有などがインタビューで為されていることが。大事なことだし、安心する。
ということを前提に、現状はステレオタイプに寄ってる/収まってしまっていることへの批判点注意点というか。自分なりの不安や考えなどを書きたい。
・↑このインタビュー記事の最後に、記事を書いたライター側によるジェイクの感想/予想があるのだけど。
ジェイクがもし、仮に「兄のような役割」なキャラクターだとしても……それはステレオタイプ描写の解消や帳消しにはならないよな、と思っている。
繰り返し出てくる「マーク達が困惑し恐れるほどの苛烈な殺人描写」、「病棟でハロウを捕まえるために罪人ではなさそうなスタッフが殺害されてる描写」……などが「暴力的/他害を厭わない」「ことフィクションで“サイコパス”(この用語の使われ方自体に問題あり)と名指されがちなキャラ造形」という偏見、ステレオタイプ描写に掛かっているのが問題の肝であって、
そこに「交代者を守るため」という理由が付け加えられたとしても、↑の解消にはならないというか。
あの問題点が非常に多い「スプリット 」だって、“守ること”が動機のひとつだったし……からの「Mr.ガラス」だった訳で。
ジェイクの描写の肝は���彼が何故その苛烈な役割を引き受けているのか」と同時に、「制裁の拳という役割、そこにある抑圧や支配」の構造……のようなものが描かれないと……ステレオタイプの脱却には遠いんじゃないかな……と。
・病棟で殺されていたスタッフは、実は酷い罪人だったという事実などが後から明かされる可能性もあるけれど、
例え相手が“罪人”だろうが、人を殺し続けることは、その役割は、辛いことであり。自分が殺した人間を「忘れられない」マーク・スペクターの姿が描かれたことが重要だし、MCUムーンナイトの好きなところなので。
コンスによる、“罪人の裁定”と“死で贖う”という手段について。そもそもの、その定まりについて。
アメミットの“剪定”の暴力性の次は……コンスの定める“制裁の拳”という在り方についてを問う,コンスという“父/支配者”の姿を問う話を……見たいんですよねほんと……続編………
・ジェイク、作中で散りばめられた要素が複雑で。
シーズン1では明かされなかった物語の多くの空白部分や時系列に。アーサー・ハロウの生死についても製作陣によって捉え方が異なっていたり。
ジェイクはほんと、まだまだ謎だらけで、それ故にステレオタイプ描写が印象深くなりがちだけれど。
以前↓の関連記事にも書いた、ジェイクと「子供の死の描写(子供を死に追いやるような描写は、ハロウやコンスとは異なり、ジェイクにはない)」 や「マークの自傷描写との繋がり」は、大事なんじゃないかなと。考えている。
・マークの自傷(を思わせる)描写とジェイクとの繋がりについては特に。「迫害者人格」を意識した、丁寧なキャラ造形が考えられていたりしないかな、とも思っている。
虐待者/加害者から身を守るための、予測と学習、模倣から。虐待者との同一化が起きること。身を守るための学習が、自らへの攻撃/自虐/自傷に転じていくことがあること。
保護者であり攻撃者でもある、そういった複雑な側面を持つ交代者がいたりすること。“迫害者人格”と呼ばれたりすること。
ジェイクにとって、マーク達は保護すべき存在であると同時に。彼にとっての、憤りや苛立ちや悲しみの対象/要因にもなりえたりしないか……と、いろいろ考えてしまう。
・コンスが封印されてからは……ほとんどジェイクが現れずにいたことも、いつか何かしら明かされるのか否か、気になる
(コンスが封印されていた状況では出てこない?ただ間が悪かった?コンスとの依存や信頼?それとも、ハロウが言うような解放の静寂/自由なるものを真に実感していたのはもしかしてジェイク?)
(Twitterに2022年7月に書いた感想の一部。抜粋/少し書き足したり整えたりしてまとめたもの。後から更に書き足したり他記事と繋げたりするかもです
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tsuntsun1221ts · 20 days ago
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2024.08 モンゴル(ウンドゥルシレット)
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海外旅行がしたいと思っていた頃、欧米は円安&物価高で高いためアジアにしぼり、せっかくならあまり人が選択しないであろうモンゴルへ。
ツアー会社
大手旅行会社でもモンゴルツアーは扱っておらず、またネット上でも情報はかなり少ない。いろいろ探したところ「ファイブスタークラブ」というツアー会社がモンゴルツアーを取り扱っていたので今回はそこにお世話になることに。
ちなみに現地では英語がほぼ通じない。また現地空港ではCIMカードやPocket WiFiの貸出が見当たらずネットも通じない。したがってガイド同伴のツアー旅行を強くオススメする。
4泊5日のツアーを申し込み、全てコミコミで一人当たり19万円-24万円(時期による)。今回の旅の目的のひとつでもある、遮るものがなにもない大草原の星空を満喫するためには満月は絶対NG。日程調整で最優先したのは、月齢や月の出が星空観賞に影響を与えないこと。
移動(飛行機)
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成田や大阪からウランバートル空港へ毎日直行便が出ている。成田からだと搭乗時間は5-6時間。韓国でトランジットした方が安い場合がある(モンゴル旅行は特に韓国人に人気だとか、実際ウランバートルでは韓国人をよく見かけた)。ツアーで用意された航空会社はMIAT Mongolian Airlines。エコノミーではコンセントやUSB充電なし、モニターなし。飛行機のWi-Fiに接続すれば現在位置などは確認できるが、自分の携帯はなぜか繋がらなかった。まずおやつに何かの種(美味しい)が配られ、その後機内食でビーフorチキンが1回、ビールやワインの提供も可能。ビールはモンゴルのもので、サッポロ黒ラベルみたいな味で美味しかった。
飛行ルートは韓国→北朝鮮を避けるように国境すれすれを通過→中国→内モンゴル自治区→モンゴルという順。上空から北朝鮮の領土が見えたが、韓国・中国では当たり前のようにある建物が、全く何も無いさら地で興味深い。また内モンゴル自治区からモンゴルにかけても同様に何も無い草原が広がっていた。延々と同じ平らな大地が広がるのみ。
入国審査は顔写真と指紋登録(両親指・左手指)と宿泊場所確認くらいで、笑顔で「サンバエノー(こんにちは)」て言えば温かく対応してくれる。日本への入国よりかなりザルで、入国カードも書かなかったし荷物検査もされなかった。モンゴルは犯罪の温床になりにくいのか?
移動(車)
まず空港で出迎えてくれたのが、英語が話せる通訳(日本語は☓)と運転手の2名。本来なら日本語話せるスタッフが来る予定だったのだが、あとからきいていろいろトラブルがあったらしく、この日だけの代打。空港からウランバートル市内まで車で1時間(空いていれば40分だが渋滞のため)。空港の周囲は大草原。
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ウランバートルが前方に見えたときは、まるで砂漠の中のオアシスのように突然と大都市が現れる。1日目はウランバートル市内のホテルに宿泊し、移動のみで終了。
2日目以降は日本語が話せる本来のガイドさんが案内してくれた。ウンドゥルシレットへは当初の予定だとウランバートルから4時間(200km)とのことだった。実際は幹線道路を2-3時間、そこから外れて不整地の道を2-3時間。ガイドさんも初めて訪れる場所とのことで、特に不整地の道で迷い6時間以上かかったような。
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幹線道路。ウランバートルからまだ近いため道路脇にポツポツと建物が建っている。離れると草原しかなくなる。ちゃんと舗装されている真っ直ぐな一本道で、80-120km/hと高速道路並みにスピードを出している。
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幹線道路とはいえ周辺には当たり前のように家畜が放牧されている。もちろん道路と草原を隔てる柵のようなものは無い。ご覧の通り道を塞がれることも(対向車が)。
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不整地の道は大草原のど真ん中を突っ切る。周囲には何も目印など無いのに、どうして行きたい方角がわかるのか不思議に思うが、初めて通る道でも勘でなんとなくわかるらしい・・・マジで理解不能。
ガイドは見ていなかったようだけど、こんな道でもGoogleマップにはちゃんと登録されているのがまた面白い。
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不整地でもマシになるとこんな感じで平坦な箇所あり60km/hほど出せるが、基本的には凸凹が激しく20-40km/hがやっとのノロノロ運転である。このため不整地の道は幹線道路よりも距離が短かったにもかかわらず通過にかなりの時間を要した。
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周辺に家畜は当たり前のように存在する、慣れて全然めずらしく亡くなった。
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牛に道を塞がれた。牛は車を認識しているがびくとも動こうとしない。だけど車から人が降りて追い払うと動いてどっかへ行く。
ウンドゥルシレット
モンゴルの草原への旅先として最も有名なのがテレルジ。大体の観光客はそこへ行く。一方ウンドゥルシレットは旅行客の中でも日本人しか知らないとのこと。クボタのCMや、椎名誠監督の白い馬という映画のロケ地になったことから日本人の間でのみ知られうようになったらしい。このことからキャンプ場を管理しているのもここで10年以上暮らす日本人で(経営はモンゴルの会社)、食事も日本人の好みに合ったようなものが出てくる。ただし案内してくれたガイドはいろいろ気に食わないところあるみたいで、例えば本来ならもう少し気をかけてくれるはずだとか(日本人特有の、他人との適切な距離感によるもの?)、食事も高すぎるとか(一食あたり1500-2000円、市内の2-3倍、まあ辺境の地だし)
延々と広がる草原を車で駆け抜け、ウランバートルから6時間ほどかけて到着し、まずは遅い昼食。自分たちがシーズン最後の客とのことで貸し切りだった。自分たちの滞在中、ガイドさんも同様にゲルで過ごし、食事も一緒に。
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宿泊者様のゲルは14棟。これとは別にスタッフ用のゲル、トイレ・シャワー棟、食事棟がある。トイレは水洗、シャワーの水流は極めて弱いがお湯はちゃんと出る(夕方の指定時間のみ)。
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周囲は山(というより丘?)
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キャンプ場のすぐ近くにはトーラ川が流れる。離れてみるとキレイだが、近くまで寄ると薄茶色に濁った濁流。流れは意外と早く、日本の大きな河川と同じくらいだった。数日前に大雨が降って増水しているらしい。この川は遠くウランバートル市内を経由しロシアの方まで流れているらしい。
山と川に囲まれキレイだが、このような地はモンゴル内であれば他にいくらでもあるような?もっと市内に近��ところとか。なぜこんな僻地がロケ地になったのか。でもこんな広大な大地で良く見つけたな。ウンドゥルシレットには2泊3日の滞在だったが、雨・晴れ・快晴と異なる気候で光景は異なる。登山時の景色のように、ずっと見ていても飽きない、とても美しい場所。
乗馬
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2日目ウンドゥルシレットに到着した日と、3日目は一日中乗馬。モンゴルですることと言えば、乗馬しかない。キャンプが近くの遊牧民から馬を借りてきて、遊牧民が乗る馬に先導され後ろをついていく。ヘルメットとゲイターは貸出あり。ゲイターをはめるため底が平べったい靴は☓。
馬の後ろには絶対に立たないこと。乗馬中に草を食べようとしたら手綱を強く引っ張り阻止し、上下関係を叩き込む必要あり(馬が歩かなくなる)。
アブミは足のつま先と中央の間くらいで踏むとちょうど良い。鞍の前の方に座ることを意識。少し空気椅子みたいにすればおしりは痛くならない。
基本は常歩で、速歩を通り越して駈歩は慣れた頃にすこしだけ(人間の方が疲れるので初心者は1分くらいが限界か)。大草原を馬で自由に駆けれたらすごく気持ちいいのだが、それができるのは一瞬。
往復2時間でくらいでゲルから2-3km歩いたか。往路よりも復路の方が1.2倍ほど速度が早くなる(馬が早く帰りたくなるため、とのこと)
乗馬中、バイクに乗って馬を探している遊牧民と出会う。よくどこかへ行ってしまうらしい。人にも夜が、遊牧民は馬を100頭とか多く飼っていても、顔を見れば自分の馬か判別がつくんだとか。一応焼きごてで体に印はつけている。遊牧民でもお金持ち多いみたい、車やバイクは当たり前に持っている、むしろゲルを移動させるために今は必須アイテム?家畜の迷子以外でも草原で出会った遊牧民とは必ずと言っていいほどおしゃべりする(おそらく初対面でも)登山で挨拶するみたいなものか。
最初はゲルも家畜も珍しかったが、ここで1日過ごせばそれが当たりまえの生活だと気がつく。
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どこからか犬が湧いて現れた(牧羊犬?)。だいぶ人懐こく遊んでほしそうにちょっかい出されるのだが、病気など持っている可能性もあるので残念ながら触れ合ってはいけないとのこと。自分たちと遊んでもらえない代わりに、馬の行く先に先回りして自分たちが来るのを待っている。
1kmくらい離れたところのゲルに遊牧民訪問、ミルクティーとお菓子、酸っぱい何か(現地の食べ物、ホエイを固めたもの?)でおもてなし。水はどこでも掘れば地下水が湧くらしい。ここのお父さんは30年前日本の仙台で2年間ジョッキーやっており、ごく僅かな日本語なら話せた。日本の写真も何枚か飾ってあった。多い人は年4回とかゲルを移動させる人もいれば、まったく移動しない人などそれぞれ。モンゴルでは役所が今どこに誰がいるか一応把握しているとのこと。これから移動をするため場所を予めとっておくこともするらしい。
ゲルを出るとき頭をぶつけ��、いいことが起きるという言い伝えがあるらしい(やはり昔からみんなよくぶつけるということか)。
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気球
0600集合し気球の準備。トラックからバスケットを下ろし、バルーンと接続→バルーン広げる→風を送る→燃焼でさらに広げて立ち上げる。4人乗りでも気球自体は20数mの高さ、ビル6-7階の高さと大きい。8人乗りバスケットもありその場合はバルーンの体積も3倍(高さ1.5倍)の大きさとなる。スタッフが準備している間は周囲のモルゲンロートを眺めている。
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3人で乗り込み、とてつもない高度感、今年最高高度1500mまで上昇したが、言われるまで気が付かなかった。知らない間にそこまで上がっていた。
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トール川の蛇行、もともと川が流れていたであろう地形跡、丘、ゲルなどを一望。ゲルは周囲より少し高い場所に建てているのがわかった(遊牧民も初めて来る場所はどこが浸水するなどわからないため)。遠くには途中で通過したウンドゥルシレットの小さな村、朝日などなど。
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風に乗って移動するためどれだけ速い風でも相対速度ゼロで無風。高度差による気温変化はあるが風は感じないため、そこまで寒さを感じない。
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車で気球や人間を回収するため、地上では運搬トラックが追尾している。
上昇下降も気球が反応するまで一定の時間差あり、強制ベントでも同じ。高度によって風の向きや速さ異なり、それを読みながら運転する。今回の気球のパイロットは女性、旦那さんと一緒に競技気球をやってるとのこと(決められたゴール地点にいかに早く精度良く着陸できるか競う)
着陸時が最も危ない。地面と接地する際「想像の5倍は衝撃が来るからとにかく注意」とのこと��実際ドカンと何度もバウンドして、地上スタッフ総掛かりで気球を抑え込んでようやく停止。落ち着くまではバスケット内にしゃがんで固定器具をしっかりと掴む。横転する車の中にいるかのような感じ(実際横転して止まった)。
気球をトラックに収納し、自分たちも同じトラックに乗ってゲルへ戻る。気球はオプションでひとり3万円と最初は高いと感じたが、終わってみれば十分に3万円の価値あり、係留気球とは全く異なる世界。滞空時間40分くらいだったか?ただしめちゃくちゃ怖い。バスケット内で人が移動すると高高度でグラグラ揺れる。
星空
モンゴル旅行の大きな目的のひとつ、周囲にひとつも光源なく、遮るものがない草原で真の満点の星空を見る。気象に恵まれ雲ひとつもない快晴、新月ではないものの、月はまだ出ていない時刻。360度の地平線まで星が見えるのはモンゴルならでは。流星が3-5分に1つ流れる。ゆっくり移動する人工衛星は5つほど発見した。1時間くらい眺めていた。重要なのは月光で、満月の有り無しで見える景色はだいぶ違うかも。満月でなくても月の明かりの影響は多少あるため、月齢や月の出の時刻を確認して日程調整するのが良い。ゲルより銀マットの貸出あり。草原は冷えやすく時期によってはひざ掛けなど持っていったほうがいい。
ウランバートル観光へつづく
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bearbench-3bun4 · 4 months ago
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猫は知っていた プロローグ
7月4日(土)から7月9日(木)までのたった6日間の話です。
それよりも数日前から始まります。 これから惨劇の起こる箱崎医院(外科病院)と主な登場人物の紹介というところでしょうか。 仁木雄太郎の友人、牧村の世話で箱崎という医院の病室を借りることになって、訪ねて行くところです。
地図のせいか道に迷っている仁木兄妹が偶然声をかけた青年が、これから下宿することになる箱崎医院の長男の箱崎英一で、箱崎幸子にピアノを教えるということがこの時点でなんとなくわかります。 そのまま、箱崎英一と箱崎医院に行くことになります。
氷屋の角を曲り、公衆電話とラジオ屋の前を通りすぎ、電信柱の角を曲がってすぐという表現ですけど、氷屋、公衆電話、そしてラジオ屋です。 ラジオ屋って何でしょう? その頃は、ラジオが主流だったので、ラジオや無線機、真空管などの関連部品を扱う店が多くあったようです。 それが、いわゆるラジオ部品販売の「ラジオ屋」だそうです。
箱崎医院は、門から玄関まで、白っぽいきれいなじゃりが敷いてあり、どっしりした木造の二階建て、右手に別棟で古びた平屋があります。左の方が病院で、右手の平屋がはなれで皆こちらに住んでいます。
当然ように、英一は、はなれの玄関に入っていきます。 出てきたのは、幸子の祖母で桑田ちえでした。箱崎敏枝夫人の母親です。 そして、お茶を運んで来たのが桑田ちえの孫で、両親に死なれたためにこの家の世話になっている桑田ユリです。 英一たちの従妹ですね。 で、桑田ちえの身の上話が有りますが、このあたりは本編と関係あるのか、ないのか?
そうこうしているうちに、敏枝夫人と幸子ちゃんが帰ってきます。 そこに、小さな黒ネコが登場します。「チミ」ですね。 この小説のタイトルでもある猫の登場です。 人なつこいネコで、人の行く所、行く所とついて歩くとありますが、いかにも伏線らしいいですね。
この猫なのか、別の猫なのかいったいどう猫が絡むのか楽しみですね。
さて、「医院」の方の棟の説明です。 図が付いているから関係あるんでしょう。
廊下の右側にならんだドアの上には、それぞれ、看護婦室、レントゲン室、診察室、手術室とあり、左側は応接室と薬局および玄関になっています。 玄関をはいった所に籐のテーブルや長いす、雑誌類をのせた小机が配置されて待合室に利用しているらしいです。 二階へ上がる途中で、院長の兼彦氏にあいます。 敏枝婦人と幸子ちゃん、そして兼彦が二階を案内してくれます。
二階は、広い廊下が中央をつらぬき、その両側に入院用の病室が並んでいて、つきあたりのには「ふとん部屋」があります。 病室は、左側に3つ、右側に4つあって、仁木兄妹は一番西側の8号室に案内されます。 病室が7つしかないのに8号室まであるのは、4号室がないからです。 イメージとしては、病室に下宿しても生活できるのかどうか不思議でしたけど、この当時は、こういうことは結構あったのかしれませんね。
8号室は案外広々として、明るい感じです。 窓に近い方に白ぬりのベッド、反対側の壁に畳が一畳、ベッドは患者用で畳は付添用だと思われます。 また、部屋の中には、小さいテーブルといす、腰ぐらいの高さの戸棚もあります。
ここを購入したのが昭和24年となっていますから、それから4年後の昭和28年というよりも、10年後の昭和34年の7月4日からの出来事と考えたほうがいいのかもしれませんね。
そこへ野田看護婦が兼彦氏を呼びに来ます。 それで、兼彦が出ていきます。 はっきりとは書かれていませんが、敏枝夫人と幸子ちゃんそれから「チミ」がそこに残っていたみたいです。
そのまま玄関まで降りてきて、はなれから入ってきたことを思い出します。 そこで、敏枝夫人がはなれに靴等を取りに行っている間に、平坂という患者のことが話題に上がります。 靴がないから待たされる。そこに、平坂という患者の話題。 このあたりはかなり伏線ぽいですね。
これで、プロローグは終わりです。
7月4日 土曜日に続きますが、推理小説として、犯人は最初に出てくるというのが有ります。 そのためのプロローグだとすると、この中に犯人がいるかも。
このプロローグで紹介されている登場人物です。
仁木悦子(にきえつこ)…主人公です。17、8の桑田ユリと1つ2つしか違わないらしいとあるので、20歳くらいですか。箸が転がってもおかしい年頃は、2年半前に卒業したという表現からもそんな感じですね。音楽大学の師範科に行ってるみたいです。 仁木雄太郎(にきゆうたろう)…主人公の兄です。大学生で植物学を専攻しています。 牧村…仁木雄太郎の友人です。
箱崎兼彦(かねひこ)…医院長 箱崎敏枝夫人…医院長の奥様で、小太りの気のよさそうな人です。 桑田ちえ…夫人の母親、幸子の祖母。65、6で小太りの世話好きそうな老婦人です。 箱崎英一(えいいち)…長男で医科大学に行っています。21、2で、きれいな一重まぶた、青白い顔と注意深い目をしたやせ型の引きしまったタイプで、頭はいいが、気さくにつきあえる相手ではなさそうです。 箱崎敬二(けいじ)…次男、医科大学に行っています。(厳密には登場していませんね) 箱崎幸子(さちこ)…幼稚園に通っているおかっぱ頭の女の子です。 桑田ユリ…17、8の少女。私立高校に通っているちょっとキツネに似た顔立ちのやせた少女です。桑田ちえの孫で、両親に死なれたためにこの家の世話になっていて、英一たちから見れば、従妹(いとこ)にあたります。
平坂氏(患者)…四十に近くかた幅の広いたくましい体格をしています。目も口もなみはずれて大きく、鼻は肉が厚く、まゆ毛は墨でぐいと引いたように濃く、一種独特な印象を与える精力的な顔です。 平坂夫人(患者の奥さん)…小柄で、目も口もこまこまと性質も内気そうに見えます。整った可憐な顔立ちにもかかわらず、疲労のせいかあまり生気がありません。
家永看護婦…細おもてですらりとしていて、度の強い近眼鏡の中の目を光らせています。 野田看護婦…ほんの子供といってもいいような少女で、左右の目が思いっきりとび離れた、人のよさそうな丸い顔をしています。
チミ…黒ネコ。人の行く所、行く所とついて歩きます。
登場人物はあまり多くありません。 じっくり追っていけば比較的かんたんにわかるかもしれませんね。 楽しみです。
つづく。
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wabisukepons25 · 8 months ago
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2.5頁
ーーー 7年前。
明朝、A病棟にけたたましくモニターのアラーム音が鳴った。「あぁ、やっと死ぬのか」と思いキャスターから腰を上げる。先輩に救急カートを押せと押し付けられ、そのまま早足で先輩の後に次ぐ。カートを押しながら落ち着けと心の中で唱える。
ベットについて患者の顔を見る。当直医を呼ぶも、見ればわかる。あと心拍さえ止まれば…。
眠たげな若い当直医が病室に辿り着いた。「ライトー」気だるげな声にさっとペンライトを渡す。むしり取る様に奪われ、死に向かう光の無い目に向けられる。「散瞳。聴診器。…呼吸停止。心拍も、止まった。記録しといて」
はーだる。と漏らしながら当直医はダラダラと詰所へ戻っていく。感情が湧くもどういった形にすればいいのか分からず、ただ胸がモヤモヤする。整理し終わる前に、相勤の先輩から声をかけられた。
「狼くん、もうちょっとドクター��フォローしなよ。あの先生、男性看護師嫌いだし後々めんどくさいよ?…はぁ。戻って死亡診断作成しといて、こっちのエンゼルやっとくから」
ーーー
この仕事に就いて1年が経った。もう何人もこうやって送ってきた。
死が美しいものでは無いと、ここで知った。
オレの友人は「死にたがり」だ。過去に負った心の傷が深すぎて修復不可能。ふとした時にぼそりと「死にたい」と呟く。…自殺は明け方に多いという。
夜勤明けの家路に着く時いつも思う。鼬が家に居なかったらどうしよう。探しても居なかったら。アパートの脇の道路で、風呂場で、寝室で、動かなくなっていたらどうしようと考えが巡ってしまう。
鼬は死んだら楽になるとよく呟く。が、死は…美しくない。そうだ。全くもってうつくしくなんかは無い。今まで経験した死の形が頭を巡る。
「この時間に…」「あーやっぱ林さん持ってますね〜」「家族来ないってさー」「よく死にかけてんのに本人の前で遺産の話しできるわ」「若いのにバカだねぇ」「そんな理由で飛んだの?私なんか100回飛んでるわ」「手首切って大出血。ショック状態だって」「あーなんで市販薬ちゃんぽんするのさ。効きすぎてもうダメだよこれ」
2月。5時ごろまで降っていた雪は止まり、道の上には多くの人に踏まれ大方溶けてしまった雪が残っている。朝の10時になると出勤や通学をする人々はいなくなり、買い出しの為に歩いている主婦や外回りのリーマンがちらほら見えるくらいだ。手をジャケットのポケットに突っ込み、疲れ切ったオレは足早に家路につく。早く。早く帰らなきゃ。
雪が解けた階段を、重い足だがこれで最後だ早く帰らなきゃと足早に3階まで上がる。口から白い湯気がリズムよく生み出されていく。やっと自宅の青いペンキの塗りたてのドアの前についた。換気扇がカラカラと音を立てて部屋に置いたホワイトムスクの芳香剤の匂いをばらまいている。手早く背中に背負ったリュックのサイドポケットから鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。鍵はすっと開いた。ドアノブを握る。急に握った手から心臓、全身にかけて痺れるように恐怖が湧き出る。まるで蛇に睨まれた蛙のように。手に汗が染み出て、息が止まり、冷や汗が湧き出る。
ドアを開けるのが怖い。ドアを開けて、その先にもし…。もし。もし。そんなわけない。いやでも…。
鼬が死んでたら。
恐怖ですべてが包み込まれていく。視界も黒く狭くなっていく。「どうか、どうか。神様、いつもと同じでありますように。」祈りながら重いドアを開ける。
「おかえり狼ちゃん。夜勤お疲れ様ー。朝ごはんあるよ」
優しげな鼬の顔が見えた。嬉しくて嬉しくてたまらなかった。目が熱い。顔は見られたくない。鼬に飛びつくしか無かった。
「どうしたん?急に抱きつ……泣いてん?…よしよし。辛いことあったんやね。大丈夫、ウチがおるさかい。ね?」
言いたい事が言えない。「誰のせいで泣いてるのか」「誰のせいで毎日心が細くなっていってるのか」「風呂場で一人どれだけ泣いたか」ぶつけてしまいたい。楽になりたい。けど、きっと。ぶつけてしまったら意図も容易く、この抱きついた暖かい闇は壊れてしまう。絶対に。
ーーー
遮光カーテンから昼間の光が透け入る。部屋にオレの情けなく漏れ出た声が響く。さっきまで喉でつっかえていた言葉が、墨を水に溶かしたように溶け忘れ去られていく。
死にたがりから嫌という程に与えられた楽欲は甘美で脳が麻痺する。思考が鈍り、考えは湧き上がるも程なく霧散する。
上がる吐息。甘い声。絡まる指。腹が熱い。
ーーー
シワの寄れたシーツから起き、散らばった服を集める。服に袖を通し、幸せそうに眠る鼬の隣に横になる。気だるさはあるが気は晴れている。徐々に痛みが生まれだした腹をさする。好かれたその「証」に悦びを感じる。証をくれた本人の寝顔を覗く。まだ思考がまとまらない。少しづつ整理していく。
何が言いたかったんだっけ。何を伝えたかったんだったっけ。…そうだ。確か言ったらダメだと思ったんだ。だからこうしてまた確かめあって…。そしてオレは納得したんだ。
生きている。って。
鼬もまだ生きている。オレの隣でスースーと寝息をたてて、生きている。
二人とも生きている。いいじゃないか、それで。
そう無理にでも納得する事にした。
ーーー
しばらくして仕事を辞めた。あそこはあまりにも死に近かった。もう死について考えたくなかったってのもある。丁度いい頃合いだったのかもしれない。クソ勤務、クソマニュアル、クソクレーマー、クソ先輩、クソドクター。クソブラック病院め、くたばりやがれ。最後の勤務の帰りに、鼬が食べたいと言っていたちょっと高めのイタリアンを二人で食いに行った。
普段食べないような料理に二人で喜びながら、退職祝いをした。鼬は手際よく謎の横文字料理にナイフを入れ、器用に口にそれを運ぶ。その作法の整った綺麗な食べ方に���を奪われる。そうだよな、お前の実家は所謂セレブって奴だもんな…。
一通り出された食事を食べ終えた所で鼬がにこにこしながら白ワインをくゆらせる。
「無職ニート記念おめでとう!あーあ。これで2人とも無職だよ〜。どうすんの?」
イタズラに微笑んでワインを1口飲む。オレは急に顔が熱くなるのを感じ赤ワインをあおった。強いブドウの匂いにむせる。
「ゴホッ…どうするって、また仕事探すしかない…やろ?でも…これからどうしようか…?」
「へへ、しばらく二人でダラダラニートしよーよ!あ!狼ちゃん、憑き物落ちたみたいな顔してるね。病院、辞めて良かったね。」
「…うん!」
きっとオレは死に目を覆われていたんだ。仕事で死を経験する度に思い詰め、その度に擦り切れていった。死が身近だったからこそ、鼬が死んでしまうと思うことも多かったんだろう。鼬は今日も生きようと頑張っているのに。頑張っている本人を見ずに、死ばかり見ていた。
けど、今は死の事なんて考えなくっていいんだ。お互いジジイになってから考えても遅くはない。だってそうだろ?オレ達は今日も楽しく生きているんだから。
生きている事に乾杯。
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kachoushi · 11 months ago
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各地句会報
花鳥誌 令和6年1月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年10月2日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
日本海見ゆる風車や小鳥来る 泰俊 駅近の闇市跡に後の月 同 山門を標とするや小鳥来る 同 師の墓の燭新涼のほむらかな 匠 渡り鳥バス停一人椅子一つ 啓子 紫に沈む山河を鳥渡る 希 ひらひらと行���知らずや秋の蝶 笑 なりはひの大方終了九月尽 数幸
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月4日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
朱の色に蝋涙たれし日蓮忌 ただし コスモスのたなびく道を稚児の列 洋子 抱かれて稚児は仏よ日蓮忌 同 めらめらと朱蝋のうねり日蓮忌 同 ピストルの音轟ける運動会 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
友の墓秋空の下悠然と 喜代子 棟上げの終はりし実家や竹の春 由季子 菊人形幼き記憶そのまゝに さとみ 長き夜や楽し思ひ出たぐり寄せ 都 強持てに進められたる温め酒 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月6日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
蜜と恋どちらも欲しく秋の蝶 都 八幡の荘園かけて飛ぶばつた 美智子 彼岸花軍馬の像を昂らせ 都 露の手に一度限りの炙り文 宇太郎 杖の歩や振返るたび秋暮るる 悦子 露けしや既視感覚の病棟に 宇太郎 コスモスの乱れ見てゐて老いにけり 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
天高く誇り高きは講談社 きみよ 華やかに滅びゆく香や秋の薔薇 和子 秋冷を暗くともして華燭の火 千種 白帝は白い梟従へて きみよ 薔薇は秋その夜会より咲き続け 順子 肘掛に秋思の腕を置いたまま 光子 爽やかや罅ひとつなきデスマスク 緋路 一族の椅子の手擦れや秋の声 昌文 邸宅の秋に遺りし旅鞄 いづみ 洋館に和簞笥置いて秋灯 荘吉
岡田順子選 特選句
栗の毬むけば貧しき実の二つ 瑠璃 流星を見ること永きデスマスク いづみ 正五位のまあるき墓を赤蜻蛉 小鳥 秋天の青は濃度を増すばかり 緋路 月光の鏡の中で逢ふ二人 きみよ 聖堂は銀に吹かるる鬼芒 いづみ 実石榴をロイヤルホストで渡されて 小鳥 石榴熟る女人の拳より重く 光子 秋の灯を落して永久のシャンデリア 俊樹 毬栗を踏み宰相の家を辞す 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
コスモスの島にひとつの小学校 修二 檸檬の香そは忘れざる恋なりき 美穂 嫁がせる朝檸檬をしぼりきる 朝子 母乳垂る月の雫のさながらに 睦子 タンゴ果て女は月へ反りかへる 同 護送車の窓には見えぬ草の花 成子 やはらかく眉をうごかし秋日傘 かおり 天と地を一瞬つなぐ桐一葉 朝子 流れ星太郎の家を通り過ぎ 修二 正面に馬の顔ある吾亦紅 朝子 傘たゝみ入る雨月のレイトショー かおり 幾千の白馬かけぬく芒原 成子 古備前に束ねてさびし白桔梗 睦子 糸芒戻れぬ日々を追ふやうに 愛 黒葡萄いつもの場所の占ひ師 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
新生姜甘酢に浸り透き通り のりこ 風を掃き風に戻されむら芒 秋尚 足音にはたと止まりし虫の声 怜 朝露に草ひやひやと眩しかり 三無 出来たての色の重たき今日の月 秋尚 徒競走つい大声で叫びたり ことこ 秋落暉炎のごときビルの窓 あき子 秋祭り見知らぬ顔の担ぎ手に エイ子 秋霜や広がる花を沈ませて のりこ 面取ればあどけなき子や新松子 あき子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
万葉の歌碑一面に曼珠沙華 信子 金木犀優しき人の香りかな みす枝 昇る陽も沈む陽も秋深めゆく 三四郎 廃線の跡をうづめて草紅葉 信子 駅に待つ猫と帰りぬ夜寒かな 昭子 天の川下界に恋も諍ひも 同 ひらひらとバイクで走る盆の僧 同 蟋蟀の鳴く古里や母と歩す 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月10日 萩花鳥会
夜鴨なく門川暗くひろごれり 祐子 サムライ衆ナントで決戦秋の陣 健雄 これ新酒五臓六腑のうめき声 俊文 露の身や感謝の祈り十字切る ゆかり 虫食ひのあとも絵になる柿落葉 恒雄 すり傷も勲章かけつこ天高し 美惠子
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令和5年10月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
魁の櫨紅葉の朱句碑の径 三無 花よりも人恋しくて秋の蝶 幸子 咲き初めし萩の風呼ぶ年尾句碑 秋尚 女人寺ひそと式部の実を寄せて 幸子 豊年の恵みを先づは仏壇へ 和代 篁を透かし二三個烏瓜 三無 日の色の波にうねりて豊の秋 秋尚 曼珠沙華に導かれゆく道狭し 白陶 二人居の暮しに適ふ豊の秋 亜栄子 林檎好き父と齧つたあの日から 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
ガシャガシャと胡桃を洗ふ音なりし 紀子 秋日和小児科跡は交番に 光子 歩かねば年寄鵙に叱咤される 令子 稲の秋チンチン電車の風抜けて 実加 不作年新米届き合掌す みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
街騒も葉擦れも消して秋の雨 三無 大寺の風を擽る榠櫨の実 幸風 尾を引きて鵯のひと声雨の句碑 秋尚 水煙に紅葉かつ散る結跏趺坐 幸風 菩提樹を雨の宿りの秋の蝶 千種
栗林圭魚選 特選句
観音の小さき御足やそぞろ寒 三無 絵手紙の文字の窮屈葉鶏頭 要 駐在も綱引き離島の運動会 経彦 小鳥飛び雨止みさうにやみさうに 千種 秋霖や庫裏よりもるる刀自の声 眞理子 句碑の辺に秋のささやき交はす声 白陶 秋黴雨だあれもゐない母の塔 亜栄子 梵鐘の撞木の先や秋湿り 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
考へる事に始まる端居かな 雪 おは黒を拝み蜻蛉と僧の云ふ 同 道草の一人は淋しゑのこ草 同 朝霧の緞帳上がる音も無く みす枝 秋灯火優しき母の形見分け 同 役目終へ畦に横たふ案山子かな 英美子 孫悟空のつてゐるやも秋の雲 清女 穴感ひ浮世うらうら楽しくて やす香 栗食めば妹のこと母のこと 同 天高し飛行機雲の先は西 嘉和 屋根人を照らし名月たる威厳 和子 秋深し生命線の嘘まこと 清女 蜩に傾きゆける落暉かな かづを
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
枯れて行く匂ひの中の秋ざくら 世詩明 一声は雲の中より渡り鳥 同 見えしもの見えて来しもの渡り鳥 同 菊まとひ紫式部像凜と 清女 越の空ゆつくり渡れ渡り鳥 和子 秋扇に残る暑さをもて余す 雪 山川に秋立つ声を聞かんとす 同 鳥渡る古墳の主は謎のまま 同 鳥渡る古墳は謎を秘めしまま 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月20日 さきたま花鳥句会
SLの汽笛を乗せて刈田風 月惑 寝ころびて稜線を追ふ草紅葉 八草 残る海猫立待岬の岩となる 裕章 大夕焼分け行く飛機の雲一本 紀花 曼珠沙華二体同座の石仏 孝江 白萩の花一色を散り重ね ふゆ子 秋の野や課外授業の声高に ふじ穂 秋寒し俄か仕立てのカーペット 恵美子 秋空や山肌動く雲の影 彩香 爽籟や赤子よく寝る昼下り 良江
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令和5年10月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
生身魂梃子でも動かざる構へ 雪 古団扇此処に置かねばならぬ訳 同 飾られて菊人形の顔となる 同 亭主運なき一枚の秋簾 一涓 菊の香に埋り眠る子守唄 同 叱りてもすり寄る猫や賢治の忌 同 友の家訪へば更地やそぞろ寒 みす枝 叱られて一人で帰るゑのこ草 同 朝霧が山から里に降りて来し やすえ 隣家より爺の一喝大くさめ 洋子 菊師にも判官贔屓あるらしき 昭子 人の秋煙となりて灰となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年10月27日 月例会 坊城俊樹選 特選句
靖国の秋蝶は黄を失ひて 愛 柿に黄をあづけ夕日の沈み行く 緋路 神池の何処かとぼけた鯉小春 雅春 細りゆく軍犬像や暮の秋 愛 うらがへり敗荷の海のなほ明し 千種 英霊の空はまだ薄紅葉かな 愛
岡田順子選 特選句
秋蝶に呼ばれ慰霊の泉かな 愛 鉢物はしづかに萎れ秋の路地 俊樹 年尾忌も近し小樽の坂の上 佑天 道幅は両手くらゐの秋の路地 俊樹 秋天へ引つ張られたる背骨かな 緋路 老幹の凸凹としてそぞろ寒 政江 板羽目の松鎮まれる秋の宮 軽象 御神樹の一枝揺らさず鳥渡る かおり
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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disolucion · 1 year ago
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05 争奪戦
朝食を済ませて辞書をパラパラと眺めていた。 トイレ行こうと廊下に出ると、 部屋の目の前に、パイプ椅子に腰かけた警官がいた。 不法入国者、逃亡の恐れあり、といったところか。
トイレに向かって歩き出すと後ろを付いてきた。 さすがに中にまでは入って来なかったが 監視下に置かれているということがよくわかった。
―――――
昼食をパウラさんが運んできた。 ひとまず日本語で話しかけてみよう。 彼女はいつも通りテーブルの上にトレイを置いて なにか言いたげなおれを見て言葉を待っている。
「少し、話をする、時間はありますか?」
「Si」
お互いの日本語と英語、 そして西和辞書を使ったスペイン語を繋ぎ合わせて、 いまの状況についてパウラさんに説明してもらった。 三十分ほどかかったが、自分が置かれている状況がわかった。
まず、ここは大学病院の脳神経外科の病棟。 老医師が責任者であり、法的な執行力でもなければ おれは病人として、どこへも連行されないらしい。
軍服の連中はウルグアイ海軍で、 おれを海軍病院に移送させようとしていた。 なぜ海軍なのかは、発見したからだそうだ。 きっと黒い穴のことを探知して 偵察ドローンを飛ばしたら男が浮いていた。 そいつを追跡したらここにいた。 尋問するため海軍病院に移送したいのだろう。
パウラー!と廊下の方から彼女が呼ばれた。 お喋りもここまでだ。 後でね、というような一言を残して彼女は去ってしまった。
確かに老医師は海軍を追い払ってくれていた。 ただ、彼がおれを守りたいというよりは、 なにか事情があってここに留めているような気がする。
ぼんやりと考えながら、 トレイの上のすっかり冷めた昼食を胃袋に押し込んだ。
―――――
午後、辞書をパラパラと眺めていると、ドアをノックされた。 シーツの中に辞書を隠して返事をする。 水色のシャツを着た長身の男が入って来た。白人だった。
「初めまして、ハナダさん。私、ヨハンソンといいます」
パウラさんよりも流暢な日本語で彼は挨拶をしてきた。 情報量が多すぎる。頭の中で事態の処理が追い付かない。
「私、アメリカのNSAの者です。海軍からあなたを守りに来ました」 「NSA?」 「はい。国家安全保障局です」
無理だ。理解しようとする方が無理だ。 ひとまず彼に喋らせよう。それから考えよう。
「で?」 「あなたは、日本とアメリカにとって重要人物です。  ここで拘束されては、両国や同盟国が困ります」 「守るっていうのは?」 「明日の夜、ここからあなたを逃がします」
廊下をパタパタと歩く音がした。看護師だろうか。 ヨハンソンは物音を気にして椅子から立ち上がった。
「また明日来ます。明日の午前中に説明します」
早口でそう言うと、彼はそそくさと部屋を出て行った。 ドアが閉まる前、彼が警官に軽く頭を下げるのが見えた。 とにかく情報量が多すぎて処理が追い付かない。
海軍、警察、パウラさん含め病院の人、ヨハンソン。 選択を間違えてタイムリープするのがわかっていれば どのルートが正解なのかシラミ潰しにできるのに。
中年の転生は残機ゼロっぽいのが辛い。
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shingoiwasaki-blog-blog · 1 year ago
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【神の導きにそって、生きる、生き方の伝承。あのへ】
林檎、佳子、あの、そろそろ、「神の導きによって生きる」ということが、どのようにしたら、実践できるのか?ということを、「伝授」する時期がきたので、ここに記す。まず、たとえば、何かの情報を知りたいと願い、インターネットで情報を集めるために、検索したり、図書館に足を運んだとする。まぁ、三人は、後者はまずないと思うが。インターネットで説明すると、たとえば、親の認知症について、気がかりで、「認知症」とインターネットで検索したとする。しかし、その時に、知りたかった情報が見つからなかったとする。それで、普通の人であれば、「自我」があるので、もっと、検索ワードを絞って欲しい情報にヒットするように検索かけるよな?👀しかし、違うのだ。この、知りたい情報を、とことん追求していく行為は人間の「自我」によって生きる「行為」であり、せっかく「神様」が「新しい方向へ導いて」あげようとしてくださっているのに、「人間の自我」によって、邪魔されているのだ。たとえ、自分の知りたかった情報がその時、見つからなかったとしても、その時、出てきた、あまり関係のなさそうな情報で、少しでも気になる情報が目についたら、(まったく、気になる情報がなければ読む必要はなし、知りたい情報を絞って次の検索をかけてよし)迷わずそのページを開き、読んでみること。本当は、早く、「認知症」についての詳しく、知りたいと思う気持ちがあり、さっさと、最初開いたページを閉じて、次のサイトにいきたい気持ちをぐっと我慢して欲しいのだ。最初、開いたページの角に、「認知症」については、まったく関係のない事柄が記入されているむしろその文章の中に、「神の導き」が「隠されている」のだ。だから、人生の軽い寄り道と考えて、そのページに記載された文章に目を通すこと。勿論、すぐに、その読んだ文章が、今の自分にとって必要なこととは、限らない。しかし、実は、あとあと重要になってくる。でも、その時、読んで、感じた感情や、文章は、特に暗記したり、覚えておく必要はない。しかし、もし、その文章が自分にとって「大切な情報」と考えるなら、ブックマークなり、ホーム画面に落とすなりして、保存しておくことはOK。とにかく、自分の「自我」である、知りたいと思っている「認知症」についての感情を少し「我慢」して、「関係のないページ」に目を通す。これが、「自分本位」の生き方ではなく、「神の導き」によって生きるという生き方なのだ。つまり、早い話が、「一つの知りたい情報にこだわらず」、毎日毎日ネットサーフィンしまくれって話😂村上春樹先生の「海辺のカフカ」に登場する、猫と話せる、知的障害の「中田さん」の行動がお手本。彼の生き方こそ、「神の導き」によって、「素直に」生きているのだ。で、他には、自分が望んでいる方向に物事が進まなかったとする。たとえば、髪の色を変えたとする。しかし、自分が思った髪の色とは違っていたとする。そこで、普通なら美容師に腹を立てるだろう。「人間本位」のものの考え方であれば。じゃないのだ。「神の導き」によって生きるという考え方であれば、「神様は、今の自分には、自分が思いえがいていた髪の色ではなく、この、今、美容師の手によって染められた髪の色こそ、今の自分に必要な色であって、これでいいのだ」と、最初は無理矢理でもいいから考える癖をつけること。で、実際、その「神の導き」によって、染められた新しい「髪色」を見た、あの、林檎のファンのなかには、自分(あの、林檎のこと)にとって、必要のないファン(あの、林檎をマイナスな方向に向かわせる、鬱陶しいファンのこと)は幻滅して、離れて行き、(ありがたや、ありがたや)自分(あの、林檎)にとってプラスになるファンが、あのや、林檎に新しく、つくのだ。勿論、佳子の着る服、ヘアースタイルも同じことが言える。で、もし、仮に、自分が最初思いえがいた、髪色��こだわり、美容師に憤慨して、クレーム、もしくは、美容室を変えて、自分の求めてる髪色に再度染め直ししたとしたらどうだろう?👀勿論、林檎、あのにとって、鬱陶しいファンは、いつまでもついてくるし、あのや、林檎にとってプラスになるファンは新しく加わってこんよな?👀つまり、こういう生き方をしてる「自我」たっぷり、「自分本位」たっぷりの生き方が人生を狂わせていくんよ。つまり、「結論」で言うと、「自分がかわいくなることがすべてではないんよ👀」だから、あのが金髪になったのも、イエス様のお導きなんよ👀だから、時期がくれば、黒髪に戻るから、今は、我慢して、金髪を受け入れろな👀あの👀それに、結構、かわいいやんな、あの?👀実際、俺、昨日、林檎、あの、佳子に、この「はてなブログ」に書きかけの、野生動物たちの続きの文章を書きたいんやけど、「神の導き」によって生きる生き方を、俺は実践してるから、我慢してこの「神の導き」によって「生きる」という文章を、林檎、あの、佳子に共有するために「今」書いてるんよ👀勿論、今、ムズムズしてて気持ち悪いよ👀だって、昨日の野生動物たちの文章、書きかけなんやからね👀でも、その欲求を満たすことを「主」が「今」は、臨んでおられないから、複雑な気持ちでこの文章を書いてるんよ👀そう、野生動物たちの続きの文章は、あとで書いていいんやけど、「今」じゃないんよ👀もっと、言うなら、俺、さっきまで「zshingoの日記」書いてる途中やったんよ👀でも、デイケアのメンバーで、やりともないゲーム我慢してやってたら、ふと、林檎とあのと佳子に、【「主」の導きによって生きる生き方】を共有せなあかん気持ちが、何故か?このタイミングでムクムクって湧き上がってきたから、書きかけの日記を中断してこの文章を書いてるんよ👀つまり、イエス様から俺に司令がくだされたんよ👀そう、【自分の自我を優先せんで、「神様」の導きに沿って生きるつまり、禅仏教で言うところの、『行雲流水』の「生き方」を実践して、貫くことは、「楽じゃない」のよ👀】もっと、言うなら、俺、精神病院に入院している時に、林檎には前、話したけど、俺のお気に入りのピンクのクリアフレームのメガネを、イエス様から、ある時に叩き壊せって言われたから、叩き壊したんよ👀で、そのあと、長かった髪もバッサリ切れって、精神病院入院中の時にイエス様に言われたんよ👀(病院に2週間にいっぺん床屋くるんよ👀)で、俺、切りとうなかったから、それだけはカンベンしてくれ、そもそも、イエス様だって、髪長いじゃないですか?って言ったんよ👀そしたら、精神状態どんどん悪くなって、一般病棟から、PICUって言う、「緊急治療室」(精神病の重症者が閉じ込められる、鍵のかかった部屋、共同のフロアで飯を食う時なんか、重症の精神病者がそこらへんで垂れ流した糞や小便の臭いかぎながら飯を食うことが日常茶飯事のとこ)ところ入れさせられて、勿論、PICU入ることは、任意だから拒むこともできたんやけど、主治医にうまいこと丸め込まれて強制的に入れられたんよ👀あとからわかったことなんやけど、本当は、入る時には、受領書って紙に、患者のサインして、患者の印鑑もらってはじめて、PICUに入れることが、医師の責務らしいのよ👀でも、俺、そんなこと何も告げられず、PICUに叩き込まれたんよ👀そして、そこに入れられて、重度の認知症のおじいちゃんがいたのよ👀で、俺、もう一発で見抜いたんやけど、その人、わけのわからんたわごとブツブツ言って、そこらへんで、糞したり、小便も、ズボンおろして食堂でジャージャーするような重症患者なんやけど、ちゃんと「霊天上界」の人と交信してるのがわかったんよ。こんなこと、よう言うてたな、そのおじいちゃん。「私は、今日、どこで待っていれば、いいのですか?今日は、私は行くつもりがありません。時期を見合わせようと考えているのですが?」てきな、独り言を大声でブツブツブツブツ言ってるんよ👀もう、めちゃくちゃ、うるさいんよ👀で、話しはもとに戻すと、そのおじいちゃんと、PICUで、俺が、はじめて出会った時に、最初、そのおじいちゃん面白そうな人やなと思って、おじいちゃんが座っている向かいのテーブルの席に座ったんよ👀俺から👀で、途中から、おじいちゃん、なんも喋らんくなったから、なんとなく、気まずくなって、俺、立ち上がってテーブル離れたんよ👀で、俺、お決まりの、同じところぐるぐるまわってたんよ👀(アカシジアの影響)食堂付近を。そしたら、おじいちゃんが、手招きしてきて、さっき俺が座ってた、おじいちゃんの向かいの席にもう一度、座れって言うてきたんよ👀勿論、座ったよ👀そしたら、おじいちゃんまた、わけのわからんたわごとブツブツブツブツ言い出して、ある時、俺の方を向いてこう言ったんよ『これからは、あんたが、「中心」になっていくんやから』って👀そう、イエス様は、はじめから、その認知症のおじいちゃんと俺を出会わせて、おじいちゃんが言った言葉(これからは、あんたが、中心になっていくんやから)を俺に伝えたかったんよ👀イエス様は👀そのために、俺が、精神状態悪くなるような、メガネを叩き壊させたり、髪を切れって言ってきたのよ👀イエス様は👀イエス様は、俺が、髪を切りたくないって、反発してくることもお見通しやったんよ👀で、俺、イエス様の司令に反発したって罪悪感で精神状態どんどん悪くなっていったんよ👀で、もっと言うなら、叩き壊されたメガネを見た看護師がちゃんと、報告書(主治医が患者の状態を把握するためのもの)に、メガネが叩き壊されていたことを書いてるのよ。それで、PICUへ入る道がどんどん開けていったんよ👀だから、最初から、イエス様のご計画は、俺の精神状態狂わせて、認知症のおじいちゃんと俺を出会わせて、俺が、これから担う仕事を認知し、理解してもらいたかったんよ👀
⭐まだ、文章は、続くからな👀
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zubaban · 2 years ago
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ニュース 03/01〜03/03
俺もゼネコンと取引していた過去があるが、横柄、金払い悪い、現場を知らない。結局派遣業と変わらないパソナ式中抜き団体。 クズ。潰れろ。
→名門ゼネコン・戸田建設が22億円「支払い踏み倒し」トラブル! “黒幕”創業一族副社長は直撃に「知らない」と逃亡(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
中抜き業者は潰せよ 特に電通は韓流も絡んでいるし全く必要ない
→【速報】五輪談合、電通グループなど6社と組織委元次長ら7人を起訴 東京地検特捜部(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース
当たり前。無駄金は��庫に返納して防衛費に使え。それなら増税する必要もない
→【速報】「アベノマスク」単価の"黒塗り"は違法 大学教授が国に「勝訴」 マスクに関する情報開示をめぐる裁判  大阪地裁「情報公開しても業者に不利益が生じることを危惧させる事情はない」(関西テレビ) - Yahoo!ニュース
こんなニュースしかねーな。
→日本電産で大量退職 元幹部社員が告白「永守重信会長への過剰な忖度が蔓延している」(マネーポストWEB) - Yahoo!ニュース
はぁ… はぁ?
→議員宿舎の家賃、値下げして2LDK月9万円…「自分たちには甘い」「やりたい放題」国民の怒りの声を聞け!(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
歴史改竄したいようにしか思えない 原発推進の伏線でしょ?
→第五福竜丸の記述も教材から���除 はだしのゲンに続き、広島市教委(共同通信) - Yahoo!ニュース
おい!w 神の生まれ変わりのエル・カンターレが勝手に死んでんじゃねーよwww
→【速報】幸福の科学・創始者で総裁の大川隆法氏(66)が死去 都内の自宅で倒れる(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース
んー。宗教と同じだな
→自分の感情をうまくコントロールできない人は陰謀論の罠に陥りやすいという研究結果 : カラパイア
これを「陰謀論」と一蹴するのもどうかと思うね。どちらも根拠となる論文も研究もないのだから
→「ワクチン接種で文章が読めなくなった」…京大のウイルス学者が絶句した、ワクチン接種後の「ヤバすぎる症状」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
この発想ができるのが恐ろしい。 税は国の収入と勘違いし、貰ったものはタダでは絶対に還元しない、という強い意志を感じる
→出産条件に奨学金の返済減免 教育費軽減で提言へ 自民調査会(時事通信) - Yahoo!ニュース
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crystallizedheaven · 2 years ago
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現代日本クトゥルフもの、最新話更新しました。
発狂して長期入院中の親友を救うため、武闘派刑事・岩淵光紀は、邪神娘・相馬星美を伴って、親友が入院している病院へ向かう。
そこで彼らが目の当たりにしたものは?
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guragura000 · 4 years ago
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手綱 (2016)
「パート社員になれないか」
 上司は開口一番私にこう言った。私は、やっぱりそうか、と思った。私の頭がおかしいからだ。
 事の始まりは大学一年生の時だった。人混みにいると「バカ」「くせーよ」等の悪口が聞こえるようになり、たまらず精神病院に駆け込んだ。
「あんたは病気です」
 医師からあっさり太鼓判を押された。何種類か薬を処方される。それらを飲み続け、はや五年になる。
 そういうわけで仕事中も私の疳の虫はてんで落ち着かない。体のどこかに暴れ馬が住んでいるのではないかと錯覚するくらいだ。
私は突然どこかに向かって飛び出そうとするし、実際に飛び出したりもする。先輩に連れ戻され、パンを買い与えられ、同情からの貰い泣きまでされてしまう。
また前ぶれなく涙腺が崩壊する。涙が止まるまでの三十分間、業務そっちのけでトイレに引きこもる���
朝、憂鬱で体が強ばり、片道徒歩十五分の通勤に四十分もかかってしまった。医者に相談するとマジかよと漢方を処方されるが、その対処法だけではやはり限界があるようだ。私の暴れ馬の手綱はどこへいってしまったのか。
というわけで私は自分が会社のお荷物だと知っていた。ポンコツをここまで使っていただいたのだから、むしろ感謝しなければなるまい。己の使えなさを自覚しているのにも関わらず図々しく居座るとは、全く迷惑な社員である。そんなわけで私のノーミソはクールにクビ宣告を受け止めた。かっくいい。
 だがしかし。アパートのドアをくぐった瞬間、私はぶっ壊れてしまった。腕を切り刻むのがやめられなくなってしまったのだ。暴走する体に反し、頭は冷静だった。この状況を馬鹿馬鹿しいと俯瞰する余裕があるくらいだ。いつもそうなのだ。唐突に私の体は突拍子もないことを始めやがるのだ。このドス黒い暴れ馬、こんちくしょうめ。
 右手が頑なにカッターを放そうとしないので、たまらず病院に駆け込んだ。ふらふらして椅子に座っていられない。そういえば七日間ほど物を食べていないような気がする。看護師に具合が悪いので寝かせてほしい旨を伝えると、優しくベッドまで案内してくれた。真っ白な布団に寝転がる。すぐに見知らぬ顔の男性医師がやってきて、カーテンを閉められた。穏やかな声で質問される。
「どこを切ったの?」
「お腹と腕と太腿です」
「見せてもらうね」
 あっさり服をめくられた。腕をまじまじと観察され、恥ずかしさがこみ上げた。誰かにリストカットの傷を見せるのは初めてだ。
「結構ひどいね」
と医師は言った。
 嘘だろう。ネットに転がっていた画像で、私より深い傷をこしらえた人々を嫌というほど見た。自傷というワードで検索をかけると、全世界の目立ちたがり屋が血液を搾り出しているところを容易く見物できる。本気で苦しむ彼らに比べて、私は甘えている。私は演技をしている。本当は辛くなんてないはずなのに、同情を買うためにパフォーマンスをしている。だから私は傷跡を隠す。自分の卑怯さを誰かに見られないように。十代の娘でもあるまいし、この年になって自傷しているなんて情けない。この程度の生活など皆容易くこなしているのだから、私も追いつかなくてはならない。私は不登校をして、ただでさえスタートダッシュに遅れているのだから、倍速で走らなければならないのだ。けれど、と私は思う。私が走った分だけ、皆は先に進んでしまう。私は一生彼らに追いつけない。それって、まるでアキレスと亀ではないか。
 医師は私を見た。悲しげな眼差しだった。そんな目で見ないでくれ。自分がいかに哀れか思い知りたくない。
「入院ですね」
と告げられた。
「どうしてだ」
と私は思った。私の頭頂部のコックピットの操縦士がケロッと言い放った。
「まだ大丈夫でしょ」
 私の心の声が反発する。
「いや大丈夫じゃないだろ、正気か。また体調を崩すぞ」
「甘ったれたこと言って。そんなんじゃ今に社会に適応できなくなるよ」
「もうなってるよ。それに仕事に戻ってまた腕を切り刻むはめになるのなんてごめんだね」
「自分の体よりも常識的に暮らす方が大事でしょ! だから今までガンガンいこうぜモードで運転してきたんじゃん。やっと人間のふりが板についてきたというのに、その努力を無駄にするの?」
 自分同士が問答している。全く私の操縦者は信用ならないやつだ。放っておいたらどこまでも無理をしようとする。だから私は医師に従った。これで私も完全なるキチガイだ。
 サインバルタ、メイラックス、ラミクタールにレクサプロ。そのような薬を飲み続けてもまだ大丈夫だろうと思っていた。自分のおかれている状況を説明することができたし、暴れ馬が顔を出しても誘因を突き止めようと頭を絞ってきた。使える手段なら何でも使った。本を読み、過去を分析し、自分の感情を書き出して整理し、思いの丈をぶちまけた動画を撮り何度も見返した。
 手に取った精神医学の本には、情緒不安定には少なからず親の愛情不足が影響していると書いてあった。何百回も読み返し考えたが最終的に出た結論は「アホか」。それだけである。過去はどうしようもないのだ。消えようのない記憶を突っつき回したところでどうなる。親を許そうとすればするほど憎らしくなるだけだった。精神医学者は揃いも揃って私に親殺しを勧めたいらしい。
自己カウンセリングなどといううさん臭い儀式も一応試した。「心の中でヨウショウキの自分を抱きしめてあげましょう」? できるか! そんなものただの茶番だ。抱きしめたところでどうなるというのだろう。イメージした幼い私には表情がなく、手触りもない。今の私と同じで「だからといって何なのだ」と呆れているようにも見える。お前が私の馬をギャロップさせるのか?可愛い悪魔め。
幾ら「客観的に」分析しようが、元の認知が歪んでいては意味がない。お手上げだ、と本を放り投げる。私一人ではどうしようもない。私は何とか自分を説明する術を手に入れた。暴れ馬に手綱を付けさえすれば完璧に手懐けられると思い込んでいたのだ。��かしそれは錯覚だった。手綱は、手綱はどこにある。
 緊急病棟に入れられた。割腹のいい主治医は、
「自主入院という扱いになるから、あんたがもう大丈夫だと思ったら退院していいからな」
と言った。何じゃそりゃ。あっさりしたものだ。
「とりあえず今週末まで居とくか?」
「じゃ、そうします」
「分かった、手続きしておく。⋯⋯もう絶対に自分を傷つけるな。傷つけたくなったら看護士に声をかけるんだぞ。いいな。これは忠告じゃない。約束だ」
 どうしてだろう。どうして人は口を揃えて自傷をやめろと言うのだろう。私は「やめます」と微笑みながら首を傾げ続けた。自ら死ぬのは悪いこと。自分を粗末にするのは悪いこと。言葉の意味は理解している。けれど感覚として分からないのだ。
 誰かと会話をし、笑顔で家に帰る。ドアがバタンと閉まった瞬間、私の何かが爆発する。狂ったように酒を飲み、ぶっ倒れゲロを吐き、またはカッターで腕を切り始める。翌日、何事もなかったかのように同じ相手と談笑をする。私は皆の笑顔を壊さぬために自分を傷つけていた。ストレスを自分にぶつけて発散していれば誰も傷つけずに済むからだ。私は自己犠牲的な精神を誇りさえした。思慮深い思いやりのつもりだった。だが私の心がけは、どうやら愛ではなかったようなのだ。私はいつの間にか間違った方法で人を愛そうとしていたらしい。
「お前、またやっちまったなァ」
 私の天使が頭上をひらひら飛び回り、笑う。悪魔は黙っている。もう笑い疲れたんだろう。
 自傷をしない。やればできるとたかを括っていた。ところがどっこい、すぐに切りたくて仕方がなくなり頓服をもらうはめになった。漢方だ。苦いくせに全然効かない。
 二日目、見えない手が私の頭を撫でる。気持ち悪くてライブ会場さながらにヘッドバンキングをする。看護士が頓服を持ってきてくれる。ホリゾンと書いてある。
 三日目、野獣のように唸りながら転げ回る。腕を切る以外の怒りの発散方法が分からない。ベッドを殴る。壁に這いつくばって拳を叩き付ける。天使が「クソくらえ!」と叫ぶ。随分口が悪い。冷静な私が部屋の片隅で「あーあ、外に聞こえちゃうかもな」と溜め息をついている。私が粉々だ。
 四日目、医師が診断書を持ってくる。「重篤な障害がある」と書いてある。「イカれちまった!」うるせぇ、三月兎はディズニーの中に引っ込んでろ。
 五日目、ようやく落ち着くものの、休む暇もなく色欲まみれのオヤジ、いや失礼、年配の男性患者に付きまとわれる。気安く名前で呼ぶな、と思いながら柔らかな笑顔で追い払う。病室のベッドでぼーっとしていると、
「ねえ!開けてよ!開けてよ!」
とドアをバンバン叩かれた。恐ろしくなって看護師に相談する。すぐに対応してくれたらしくオヤジの姿が消えた。主治医がやってきて、
「何があってもぜっっっったいに扉を開けるなよ」
と言い残し去っていった。もし鍵をかけ忘れていたらどうなっていたのだろう。私、結構ピンチだったのでは。ゾーッと鳥肌が立った。
 夜、どこかの部屋の婆さんが声を張り上げて泣き始める。何がそんなに悲しいのだろう。遠吠えのような悲鳴の中、私は睡眠薬漬けの眠りに沈んでゆく。
 六日目。外出申請の書類を記入する。ここでは書類を提出し許可が降りなければ外出できない。病棟の入り口に鍵がかかっているのだ。以前から知識として知ってはいたけれど、実際に体���してみるとひどい閉塞感だ。無事外出を許されたのでアパートに帰り、シャワーを浴び、パソコンを申し訳程度に触って病院に戻る。外出時間は一時間だけなので大したことはできない。
 消灯時間になっても眠れず、窓枠に腰掛け景色を眺めた。下方を車のライトがきらきらと駆け抜けてゆく。あれらはどこからやってきて、どこへ向かうのだろう。私はどうしてここにいるのだろう。私の人生はどこへ向かっているのだろう。健康体であるはずなのに、わざわざ薬を飲み腕を切り入院までしている。許可が出なければ外出すらできない。私は閉じ込められている。どこに。どこだろう。私の馬は、忘れようと押しやった私の痛みそのものなのだろうか。存在を思い出してほしいがため、何度も暴れるのだろうか。
 入院中、私は一度も泣かなかった。泣くような出来事は何一つ起こらなかった。私は不味い昼食を口に運びながら「仕事辞めよう」と思った。
 何日目か数えるのをやめる。ここでは食べ物しか娯楽がない。昼食にオレンジが出る。かぶりつくと爽やかな香りが口内に広がり、甘酸っぱさに舌がキュウキュウと悦ぶ。私は果実を見つめる。何てきれいな色なんだろう。じんわりと黄色い幸福に包まれる。ふいに、子供の頃オレンジをよく食べたことを思い出す。今では皮を剥く面倒さが先立ち手をつけなくなってしまった。私は青い匂いを嗅ぎながらふと「海に行きたい」と思った。それから花を見たいと思った。大きな大きな木の下で寝そべりたい。どこまでも続く草原に佇み、ざわめきに耳を傾けていたい。それか湖でもいい。凪いだ水面に滲む杉の木を見つめていたい。私はどうしてこんなところにいて、どうでもいいものに囚われているのか。
 大切な人々を戸惑わせてしまう、言うことをきかない私の体。本当は薬を飲みたくなんかない。体を傷つけたくなんかない。自室で腕を切る度に思うのだ。誰かあのドアを開けて入ってきて。カッターを取り上げて、暴れる私を思い切り抱きしめて。誰か私の血の、魂の流れ落ちるのを止めてほしい。この傷跡にキスをしてほしい。当然ながらそれが叶ったことは一度もない。
 私の天使が言う。
「問題を片付けるのはさァ、自分なんだからネ」
 そうっすね。
「最後に頼れるのはお前自身なんだって。分かってるんだろ」
 悪魔が言う。そうっすね。そうですよね。
 SOSの旗をあげたとする。だがここは海のど真ん中だ。船の航路からは外れている、誰にも気付かれやしない。泳いで陸まで辿り着くしかないのだ。あるいはここは地中深いトンネルだ。私のいる場所がどの地点かなんて自分にしか分からない。ここがどこなのか分からなくても、歩き続けなければならないのだ。どこかに辿り着くために。生きてゆくために。長い道のりだったように感じていたけれど、まだ人生の半分も歩いていなかったなんてね。
 病室を移される。同じ年頃の女性と同室になる。彼女の手首にも規則正しく傷が並んでいる。
 最終日、何となく話をする。
「どこかに行っちゃいたいなあ。何もかも捨ててさ」
 彼女は薬でもつれる舌で言った。私は頷く。
「ああ、分かります。私も出社する道すがらよく考えました。このままバスに飛び乗れば、二時間で東京に行ける。このまま引き返して車に乗れば、三時間で海に行けるって。そうして、できればいなくなってしまいたいんです」
 どうしてだろう?
 降っては上がる雨、途切れ途切れのトンネル、夏の台風、たまに鳴る電話、寄せては返す波、私の不健康な心臓、ころころ変わる処方。四季が一ヶ月に六十回やってきて、私はめくるめく美しさと乱暴さにすっかり目を回してしまう。どこにでも行ける。けれどどこに行っても、世間体と、金と、自分の体からは逃れられない。私の体は私の檻だ。私は、私の体と手を繫ぎたい。彼女は、私は、一体どこに歩いてゆこうとしているのだろう?
 机と椅子だけが置かれた、がらんとした診察室。浅黒く熟したエネルギーのカタマリが私に問いかける。
「いけるか?」
 私は主治医に頷いてみせる。
「いけます」
 先生は忙しくカルテをめくり、
「退院予定日は今日だよな。じゃ、午後には出ていいよ」
と言った。やっぱりあっけない。
 荷物をまとめる。同室の女性から退院祝いをもらった。ブルボンのプチチョコチップクッキーだった。私達は手を振り合って別れた。どこにも行かないで、と私は彼女に念じた。どこかに行っても、どこかで生きていて。
 天使が内臓の壁に寄りかかり、もの憂げにこちらを見ている。
「自分の体にどこにも行くなと言えるようになることが、あんたの馬の手綱なんじゃないの?」
 私は荷物をガサガサ言わせながら返事をする。
「分かってる」
「分かってないよ」
 私は、そうだよな、と思う。今まで形ばかりの「分かってる」を繰り返してきた。今回も本当にそれを理解しているのかと問いただされたら、怪しい。
 でも、分かりたい。
 外は暑かった。蝉が鳴いていた。車はキーを回せばたやすく走り出す。私はどこにでも行ける。けれど、今はとりあえず家に帰ろう。
 空に、狂いもなく正確な夏が来ている。
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hananien · 4 years ago
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【SPN】庭師と騎士
警告:R18※性描写、差別的描写
ペアリング:サム/ディーン、オリキャラ/ディーン
登場人物:ディーン・ウィンチェスター、サム・ウィンチェスター、ボビー・シンガー・ルーファス・ターナー、ケビン・トラン、チャーリー・ブラッドベリー、クラウス神父(モデル:クラウリー)
文字数:約16000字
設定: 修道院の囚われ庭師ディーン(20)と宿を頼みに来た騎士サム(24)。年齢逆転、中世AU。
言い訳: 映画「天使たちのビッチナイト」に影響を受けました。ボソボソと書いてましたがちょっと行き詰まり、詰まってまで書くほどのものじゃないので一旦停止します。
 自分のことなら肋骨の二本や三本が折れていたとしても気づかないふりをしていられるが、部下たちを休ませる必要があった。
 王国騎士の象徴である深紅のマントは彼ら自身の血に染められ、疲労と傷の痛みとで意識がもうろうとしている者も数名いた。何よりも空腹だった。狩りをしようにも、矢がなく、矢を作るためにキャンプを張る体力もない。  一度腰を下ろせばそこが墓地になるかもしれなかった。  辺境の村を救うために命じられた出征だった。王はどこまで知っていたのか……。おそらくは何も知らな���ったのに違いない。そうだと信じたかった。辺境の村はすでに隣国に占領されていた。彼らは罠にかけられたのだった。  待ち構えていた敵兵に大勢の仲間の命と馬を奪われ、サムは惨めな敗走を余儀なくされた。  森の中を、王城とは微妙にずれた方向へ進んでいるのに、サムに率いられた騎士たちは何もいわなかった。彼らもまた、サムと同じ疑いを胸に抱いていたのだ。全ては王に仕組まれたのではないかと。  誰一人口には出さなかったが、森の中をさ迷うサムに行き先を尋ねる者もいなかった。  なけなしの食糧を持たせて斥候に出していたケビンが、隊のもとに戻ってきた。彼は森の中に修道院を発見した。サムはその修道院に避難するべきか迷った。森は王国の領内だ。もしも王が裏切っていた場合、修道院にまで手を回されていたら彼らは殺される。  だが、このままでは夜を越せない者もいるかもしれなかった。サムは未だ六人の騎士を率いていて、王国よりサムに忠実な彼らを何としても生かさなければならない。  サムはケビンに案内を命じた。
 ディーンは自分の名前を気に入っていたが、今ではその名前を呼ぶ者はほとんどいなかった。  修道院では誰もがディーンのことを「あれ」とか「そこの」とか表現する。もしくは彼自身の職業である「庭師」とか。彼自身に、直接呼びかける者はいない。なぜなら彼は耳が聞こえないし、口も利けないから。  ディーンは今年で二十歳になる……らしい。彼は子供のころに両親を盗賊に殺されて、もともと身を寄せる予定だったこの修道院に引き取られた。ただし支払うべき寄付金も盗賊に奪われたので、修道士としてではなく庭師として働いて暮らしている。  夜中、ディーンはフラフラになりながら修道院を出て、納屋に帰り着いた。家畜小屋の横の納屋が彼の住処だ。神父が彼に酒を飲ませたので、藁の下に敷いた板のわずかな段差にも躓いてしまった。  そのまま藁の中にうずくまって、眠ってしまおうと思った時だ。納屋の戸の下の隙間から、赤い炎の色と複数の人影がちらついて見えた。  ディーンは、静かに身を起こした。少し胸やけはするが、幻覚を見るほど酔ってはいない。ディーンがいる納屋は、修道院の庭の中にある。修道士たちをオオカミやクマから守る塀の、内側だ。修道士たちは夜中にうろついたりしないから、この人影は外部からの――塀の外、森からの――侵入者たちのものだ。  門番の爺さんは何をしていたのか。もちろん、寝ているんだろう、夜更かしするには年を取りすぎている。今までも修道院が盗賊被害には遭ったことはあるが、こんな夜中じゃなかった。オオカミにとってはボロを着ていようが聖職者のローブを着ていようが肉は肉。強襲も山菜取りも日差しの入る間にやるのが最善だ。  では何者か。ディーンはそっと戸を開けて姿を見ようとした。ところが戸に手をかける間もなく、外から勢いよく開けられて転がり出てしまう。うつ伏せに倒れた鼻先に松明の火を受けてきらめく刃のきっさきを見て、そういえば、神父に持たされたロウソクが小屋の中で灯しっぱなしだったなと気づく。  「こそこそと覗き見をしていたな」 ざらついて低い声がディーンを脅した。ディーンはその一声だけで、彼がとても疲れて、痛みを堪えているのがわかった。  「やめろ、ルーファス! 何をしている」  若い男の声がした。ディーンを脅している男は剣のきっさきを外に向けた。「こいつが、俺たちを見張っていた。きっと刺客だ。俺たちがここに来るのを知っていて、殺そうとしてたんだ」  刺客、という言葉に、側にいた男たちが反応した。いったい何人いるんだ。すっかりと敵意を向けられて、ディーンはひるんだ。  「馬鹿な、彼を見ろ。丸腰だ。それに刺客なら小屋の中でロウソクなんて灯して待っているわけがない」 若い声の男が手を握って、ディーンを立たせた。俯いていると首から上が視界にも入らない。とても背の高い男だった。  「すまない、怖がらせてしまった。我々は……森で迷ってしまって、怪我を負った者もいる。宿と手当てが必要で、どうかここを頼らせてもらいたいと思って訪ねた」  背の高さのわりに、威圧的なところのない声だった。ディーンが頷くのを見て、男は続けた。  「君は――君は、修道士か?」 ディーンは首をかしげる。「そうか、でも、ここの人間だ。そうだろ? 神父に会わせてもらえるかい?」 ディーンはまた、首をかしげる。  「なんだ、こいつ、ぼんやりして」 さっき脅してきた男――闇夜に溶け込むような黒い肌をした――が、胡乱そうに顔をゆがめて吐き捨てる。「おお、酒臭いぞ。おおかた雑用係が、くすねた赤ワインをこっそり飲んでいたんだろう」  「いや、もしかして――君、耳が聞こえないの?」 若い男が自分の耳辺りを指さしてそういったので、ディーンは頷いた。それから彼は自分の口を指さして、声が出ないことをアピールする。  男の肩が一段下がったように見えて、ディーンは胸が重くなった。相手が自分を役立たずと判断して失望したのがわかるとき、いつもそうなる。  彼らは盗賊には見えなかった。何に見えるかって、それは一目でわかった。彼らは深紅の騎士だ。王国の誇り高い戦士たち。  幼いころに憧れた存在に囲まれて、これまで以上に自分が矮小な存在に思えた。  「聞こえないし、しゃべれもしないんじゃ、役に立たない。行こう、ケビンに神父を探させればいい」 疲れた男の声。  抗議のため息が松明の明かりの外から聞こえた。「また僕一人? 構いませんけどね、僕だって交渉するには疲れ過ぎて……」  「一番若いしまともに歩いてるじゃないか! 俺なんか見ろ、腕が折れて肩も外れてる、それに多分、日が上る前に止血しないと死ぬ!」  ディーンは初めて彼らの悲惨な状態に気が付いた。  松明を持っているのは一番背の高い、若い声の男で、彼はどうやら肋骨が折れているようだった。肩が下がっているのはそのせいかもしれなかった。ルーファスと呼ばれた、やや年配の黒い肌の男は、無事なところは剣を握った右腕だけというありさまだった。左半身が黒ずんでいて、それが全て彼自身の血であるのなら一晩もたないというのも納得だ。女性もいた。兜から零れた髪が松明の炎とそっくりの色に輝いて見えた。しかしその顔は血と泥で汚れていて、別の騎士が彼女の左足が地面に付かないように支えていた。その騎士自身も、兜の外された頭に傷を受けているのか、額から流れた血で耳が濡れている。  六人――いや、七人だろうか。みんな満身創痍だ。最強の騎士たちが、どうしてこんなに傷ついて、夜中に森の中をゆく羽目に。  ディーンは松明を持った男の腕を引っ張った。折れた肋骨に響いたのか、呻きながら彼は腕を振り払おうとする。  「待って、彼、案内してくれるんじゃない? 中に、神父様のところに」 女性の騎士がそういった。ディーンはそれを聞こえないが、何となく表情で理解した振りをして頷き、ますます騎士の腕を引っ張った。  騎士はそれきりディーンの誘導に素直についてきた。彼が歩き出すとみんなも黙って歩き出す。どうやらこの背の高い男が、この一団のリーダーであるらしかった。  修道院の正面扉の鍵はいつでも開いているが、神父の居室はたいていの場合――とりわけ夜はそうだ――鍵がかかっている。ディーンはいつも自分が来たことを示す独特のリ���ムでノックをした。  「……なんだ?」 すぐに扉の向こうで、眠りから起こされて不機嫌そうな声が聞こえてほっとする。もう一度ノックすると、今度は苛立たし気に寝台から降りる音がした。「なんだ、ディーン、忘れ物でもしたのか……」  戸を開いた神父は、ディーンと彼の後ろに立つ騎士たちの姿を見て、ぎょっとして仰け反った。いつも偉そうにしている神父のそんな顔を見られてディーンは少しおかしかった。  ディーンは背の高い男が事情を説明できるように脇にのいた。  「夜半にこのような不意の訪問をして申し訳ない。緊急の事態ですのでどうかお許し頂きたい。私は王国騎士のサミュエル・ウィンチェスター。彼は同じく騎士のルーファス。彼は重傷を負っていて一刻も早い治療が必要です。他にも手当と休息が必要な者たちがいる」  神父は、突然現れた傷だらけの騎士たちと、さっき別れたばかりの庭師を代わる代わる、忙しなく視線を動かして見て、それから普段着のような体面をするりと羽織った。深刻そうに頷き、それから騎士たちを安心させるようにほほ笑む。「騎士の皆様、もう安全です。すぐに治癒師を呼びます。食堂がいいでしょう、治療は厨房で行います。おい」 目線でディーンは呼びかけられ、あわてて神父のひざ元に跪いて彼の唇を読むふりをする。  「治癒師を、起こして、食堂に、連れてきなさい。わかったか?」  ディーンは三回頷いて、立ち上がると治癒師のいる棟へ駆け出す。  「ご親切に感謝する」 男のやわらかい礼が聞こえる。「……彼はディーンという名なのか? あとでもう一度会いたい、ずいぶんと怖がらせてしまったのに、我々の窮状を理解して中へ案内してくれた……」  ディーンはその声を立ち止まって聞いていたかったが、”聞こえない”のに盗み聞きなどできるはずがなかった。
 明け方にルーファスは熱を出し、治癒師は回復まで数日はかかるだろうといった。サムは騎士たちと目を合わせた。今はまだ、森の深いところにあるこの修道院には何の知らせも来ていないようだが、いずれは王国から兵士が遣わされ、この当たりで姿を消した騎士たち――”反逆者たち”と呼ばれるかもしれない――がいることを知らされるだろう。俗世から離れているとはいえ修道院には多くの貴族や裕福な商家の息子が、いずれはまた世俗へ戻ることを前提にここで生活している。彼らの耳に王宮での噂が届いていないことはまずあり得なく、彼らがどちらの派閥を支持しているかはサムにはわからない。もっとも王が追っている失踪騎士を庇おうなどという不届きな者が、たくさんいては困るのだった。  出征の命令が罠であったのなら、彼らは尾けられていたはずだった。サムの死体を探しに捜索がしかれるのは間違いない。この修道院もいずれ見つかるだろう。長く留まるのは良策ではない。  かといって昏睡状態のルーファスを担いで森に戻るわけにもいかず、止む無くサムたちはしばらくの滞在を請うことになった。  修道院長のクラウス神父は快く応じてくれたが、用意されたのは厨房の下の地下室で、そこはかとなく歓迎とは真逆の意図を読み取れる程度には不快だった。彼には腹に一物ありそうな感じがした。サムの予感はしばしば王の占い師をも勝るが、騎士たちを不安させるような予感は口には出せなかった。  厨房の火の前で休ませているルーファスと、彼に付き添っているボビーを除く、五人の騎士が地下に立ち尽くし、ひとまず寝られる場所を求めて目をさ迷わせている。探すまでもない狭い空間だった。横になれるのは三人、あとの二人は壁に寄せた空き箱の上で膝を枕に眠るしかないだろう。  「お腹がすいた」 疲れて表情もないチャーリーが言った。「立ったままでもいいから寝たい。でもその前に、生の人参でもいいから食べたいわ」  「僕も同感。もちろんできれば生じゃなくて、熱々のシチューに煮込まれた人参がいいけど」  ガースの言葉に、チャーリーとケビンが深い溜息をついた。  地下室の入口からボビーの声が下りてきた。「おい、今から食べ物がそっちに行くぞ」  まるでパンに足が生えているかのように言い方にサムが階段の上に入口を見上げると、ほっそりした足首が現れた。  足首の持ち主は片手に重ねた平皿の上にゴブレットとワイン瓶を乗せ、革の手袋をはめたもう片方の手には湯気のたつ小鍋を下げて階段を下りてきた。  家畜小屋の隣にいた青年、ディーンだった。神父が彼を使いによこしたのだろう。  「シチューだ!」 ガースが喜びの声を上げた。チャーリーとケビンも控え目な歓声を上げる。みんなの目がおいしそうな匂いを発する小鍋に向かっているのに対し、サムは青年の足首から目が離せないでいた。  彼はなぜ裸足なんだろう。何かの罰か? 神父は修道士や雑用係に体罰を与えるような指導をしているのか? サムは薄暗い地下室にあってほの白く光って見える足首から視線を引きはがし、もっと上に目をやった。まだ夜着のままの薄着、庭でルーファスが引き倒したせいで薄汚れている。細いが力のありそうなしっかりとした肩から腕。まっすぐに伸びた首の上には信じられないほど繊細な美貌が乗っていた。  サムは青年から皿を受け取ってやろうと手を伸ばした。ところがサムが皿に手をかけたとたん、びっくりした彼はバランスを崩して階段を一段踏みそこねた。  転びそうになった彼を、サムは慌てて抱き止めた。耳元に、彼の声にならない悲鳴のような、驚きの吐息を感じる。そうだ、彼は耳が聞こえないのだった。話すことが出来ないのはわかるが、声を出すこともできないとは。  「急に触っちゃだめよ、サム!」 床に落ちた皿を拾いながらチャーリーがいう。「彼は耳が聞こえないんでしょ、彼に見えないところから現れたらびっくりするじゃない」  「ディーンだっけ? いや、救世主だ、な��ておいしそうなシチュー、スープか? これで僕らは生き延びられる」 ガースが恭しく小鍋を受け取り、空き箱の上に並べた皿にさっさと盛り付けていく。階段の一番下でサムに抱き止められたままのディーンは、自分の仕事を取られたように見えたのか焦って体をよじったが、サムはどうしてか離しがたくて、すぐには解放してやれなかった。  まったく、どうして裸足なんだ?
 修道士たちが詩を読みながら朝食を終えるのを交代で横になりながら過ごして待ち、穴倉のような地下室から出て騎士たちは食堂で体を伸ばした。一晩中ルーファスの看病をしていたボビーにも休めと命じて、サムが代わりに厨房の隅に居座ることにした。  厨房番の修道士は彼らがまるでそこに居ないかのように振る舞う。サムも彼らの日課を邪魔する意思はないのでただ黙って石窯の火と、マントでくるんだ藁の上に寝かせた熟練の騎士の寝顔を見るだけだ。  ルーファスは気難しく人の好き嫌いが激しい男だが、サムが幼い頃から”ウィンチェスター家”に仕えていた忠臣だ。もし彼がこのまま目覚めなかったら……。自分が王宮でもっとうまく立ち回れていたら、こんなことにはならなかったかもしれない。  若き王の父と――つまり前王とサムの父親が従弟同士だったために、サムにも王位継承権があった。実際、前王が危篤の際には若すぎる王太子を不安視する者たちからサムを王にと推す声も上がった。不穏な声が派閥化する前にサムは自ら継承権を放棄し、領地の大半を王に返還して王宮に留まり一騎士としての振る舞いに徹した。  その無欲さと節制した態度が逆に信奉者を集めることとなり、サムが最も望まないもの――”ウィンチェスター派”の存在が宮殿内に囁かれるようになった。国王派――この場合は年若き王をいいように操ろうとする老練な大臣たちという意味だ――が敵意と警戒心を募らせるのも無理はないとサムが理解するくらいには、噂は公然と囁かれた。何とか火消しに回ったが、疑いを持つ者にとっては、それが有罪の証に見えただろう。  自分のせいで部下たちを失い、また失いつつあるのかと思うと、サムはたまらないむなしさに襲われた。  ペタペタと石の床を踏む足音が聞こえ顔を上げる。ディーンが水差しを持って厨房にやってきた。彼は石窯の横に置かれた桶の中に水を入れる。サムは声もかけずに暗がりから彼の横顔をぼうっと眺めた。声をかけたところで、彼には聞こえないが――  床で寝ているルーファスが呻きながら寝返りを打った。動きに気づいたディーンが彼のほうを見て、その奥にいるサムにも気づいた。  「やあ」 サムは聞こえないとわかりつつ声をかけた。まるきり無駄ではないだろう。神父の唇を読んで指示を受けていたようだから、言葉を知らないわけではないようだ。  彼が自分の唇を読めるように火の前に近づく。  「あー、僕は、サムだ。サム、王国の騎士。サムだ。君はディーン、ディーンだね? そう呼んでいいかい?」  ディーンは目を丸く見開いて頷いた。零れそうなほど大きな目だ。狼を前にしたうさぎみたいに警戒している。  「怖がらないでいい。昨夜はありがとう。乱暴なことをしてすまなかった。怪我はないか?」  強ばった顔で頷かれる。彼は自らの喉を指して話せないことをアピールした。サムは手を上げてわかっていることを示す。  「ごめん――君の仕事の邪魔をするつもりはないんだ。ただ、何か困ってることがあるなら――」 じっと見つめられたまま首を振られる。「――ない?」 今度は頷かれる。「――……そうか、��かった。邪魔をしてごめん」  ディーンは一度瞬きをしてサムを見つめた。彼は本当に美しい青年だった。薄汚れてはいるし、お世辞にも清潔な香りがするとは言い難かったが、王宮でもお目にかかったことのないほど端正な顔立ちをしている。こんな森の奥深くの修道院で雑用係をしているのが信じられないくらいだ。耳と口が不自由なことがその理由に間違いないだろうが、それにしても――。  水差しの水を全て桶に注いでしまうと、ディーンはしばし躊躇った後、サムを指さして、それから自分の胸をさすった。  彼が動くのを眺めるだけでぼうっとしてしまう自分をサムは自覚した。ディーンは何かを伝えたいのだ。もう一度同じ仕草をした。  「君の? 僕の、胸?」 ディーンは、今度は地下に繋がる階段のほうを指さして、その場で転ぶ真似をした。そしてまたサムの胸のあたりを指さす。  理解されてないとわかるとディーンの行動は早かった。彼はルーファスをまたいでサムの前にしゃがみ込み、彼の胸に直接触れた。  サムは戦闘中以外��初めて、自分の心臓の音を聞いた。  ディーンの瞳の色は鮮やかな新緑だった。夜にはわからなかったが、髪の色も暗い金髪だ。厨房に差し込む埃っぽい日差しを浴びてキラキラと輝いている。  呆然と瞳を見つめていると、やっとその目が自分を心配していることに気が付いた。  「……ああ、そっか。僕が骨折してること、君は気づいてるんだね」 ”骨折”という言葉に彼が頷いたので、サムは納得した。さっき階段から落ちかけた彼を抱き止めたから、痛みが悪化していないか心配してくれたのだろう。サムは、彼が理解されるのが困難と知りながら、わざわざその心配を伝えようとしてくれたことに、非常な喜びを感じた。  「大丈夫だよ、自分で包帯を巻いた。よくあることなんだ、小さいころは馬に乗るたびに落馬して骨を折ってた。僕は治りが早いんだ。治るたびに背が伸びる」  少し早口で言ってしまったから、ディーンが読み取ってくれたかはわからなかった。だが照れくさくて笑ったサムにつられるように、ディーンも笑顔になった。  まさに魂を吸い取られるような美しさだった。魔術にかかったように目が逸らせない。完璧な頬の稜線に触れたくなって、サムは思わず手を伸ばした。  厨房の入口で大きな音がした。ボビーが戸にかかっていたモップを倒した音のようだった。  「やれやれ、どこもかしこも、掃除道具と本ばかりだ。一生ここにいても退屈しないぞ」  「ボビー?」  「ああ、水が一杯ほしくてな。ルーファスの調子はどうだ?」  サムが立ち上がる前に、ディーンは驚くほどの素早さで裏戸から出て行ってしまった。
 キラキラしてる。  ディーンは昔からキラキラしたものに弱かった。  木漏れ日を浴びながら一時の昼寝は何物にも得難い喜びだ。太陽は全てを輝かせる。泥だまりの水だってきらめく。生まれたばかりの子ヤギの瞳、朝露に濡れた花と重たげな羽を開く蝶。礼拝堂でかしずいた修道士の手から下がるロザリオ。水差しから桶に水を注ぐときの小気味よい飛沫。  彼はそういったものを愛していた。キラキラしたものを。つまりは美しいもの。彼が持ち得なかったもの。  サムという騎士はディーンが今までに見た何よりも輝いていた。  あまりにもまぶしくて直視しているのが辛くなったほどだ。彼の瞳の色に見入っていたせいで、厨房で大きな音に反応してしまった。幸いサムは音を立てた騎士のほうに目がいってディーンの反応には気づかなかったようだ。  もう一度彼の目を見て彼に触れてみたかったが、近づくのが恐ろしくもあった。
 ディーン何某という男の子がこの世に生を受けたとき、彼は両親にとても祝福された子供だった。彼は美しい子だと言われて育った。親というのは自分の子が世界で一番美しく愛らしいと信じるものだから仕方ない。おかげでディーンは両親が殺され、修道院に引き取られる八つか九つの頃まで、自分が怪物だと知らずに生きてこられた。  修道院長のクラウス神父は親と寄付金を失った彼を憐れみ深く受け入れてくれたが、幼い孤児を見る目に嫌悪感が宿っているのをディーンは見逃さなかった。  「お前は醜い、ディーン。稀に見る醜さだ」と神父は、気の毒だが率直に言わざるを得ないといった。「その幼さでその醜さ、成長すれば見る者が怖気をふるう怪物のごとき醜悪な存在となるだろう。無視できない悪評を招く。もし怪物を飼っていると噂が立てば、修道院の名が傷つき、私と修道士たちは教会を追われるだろう。お前も森に戻るしかなくなる」 しかしと神父は続けた。「拾った怪物が不具となれば話は違う。耳も聞こえなければ口もきけないただの醜い哀れな子供を保護したとなれば、教皇も納得なさるだろう。いいかね、ディーン。お前をそう呼ぶのは今日この日から私だけだ。他の者たちの話に耳を傾けてはいけないし、口を聞いてもいけない。おまえは不具だ。不具でなければ、ここを追い出される。ただの唾棄すべき怪物だ。わかったかね? 本当にわかっているなら、誓いを立てるのだ」  「神様に嘘をつけとおっしゃるのですか?」  まろやかな頬を打たれてディーンは床に這いつくばった。礼拝堂の高窓から差し込む明かりを背負って神父は怒りをあらわにした。  「何という身勝手な物言いだ、すでに悪魔がその身に宿っている! お前の言葉は毒、お前の耳は地獄に通じている! 盗賊どもがお前を見逃したのも、生かしておいたほうが悪が世に蔓延るとわかっていたからに違いない。そんな者を神聖な修道院で養おうとは、愚かな考えだった。今すぐに出ていきなさい」  ディーンは、恐ろしくて泣いてすがった。修道院を追い出されたら行くところがない。森へ放り出されたら一晩のうちに狼の餌食になって死んでしまうだろう。生き延びられたとしても、神父ですら嫌悪するほど醜い自分が、他に受け入れてくれる場所があるはずもない。  ディーンは誓った。何度も誓って神父に許しを請うた。「話しません、聞きません。修道院のみなさまのご迷惑になることは決してしません。お願いです。追い出さないでください」  「お前を信じよう。我が子よ」 打たれた頬をやさしく撫でられ、跪いてディーンを起こした神父に、ディーンは一生返せぬ恩を負った。
 ぼんやりと昔を思い出しながら草をむしっていたディーンの手元に影が落ちた。  「やあ、ディーン……だめだ、こっちを向いてもらってからじゃないと」 後ろでサムがぼやくのが聞こえた。  ディーンは手についた草を払って、振り向いた。太陽は真上にあり、彼は太陽よりも背が高いことがわかって、ディーンはまた草むしりに戻った。  「あの、えっと……。ディーン? ディーン」  正面に回り込まれて、ディーンは仕方なく目線を上げた。屈んだサムはディーンと目が合うと、白い歯をこぼして笑った。  ああ、やっぱりキラキラしてる。  ディーンは困った。
 サムは困っていた。どうにもこの雑用係の庭師が気になって仕方ない。  厨房から風のように消えた彼を追って修道院の中庭を探していると、ネズの木の下で草をむしっている背中を見つけた。話しかけようとして彼が聞こえないことを改めて思い出す。聞こえない相手と会話がしたいと思うなんてどうかしてる。  それなのに気づけば彼の前に腰を下ろして、身振り手振りを交えながら話しかけていた。仕事中のディーンは、あまり興味のない顔と時々サムに向けてくれる。それだけでなぜか心が満たされた。  ネズの実を採って指の中で転がしていると、その実をディーンが取ろうとした。修道院の土地で採れる実は全て神が修道士に恵まれた貴重なもの――それがたとえ一粒の未熟な実でも――だからサムは素直に彼に渡してやればよかった。だがサムは反射的に手をひっこめた。ディーンの反応がみたかったのだ。彼は騎士にからかわれて恥じ入るような男か、それとも立ち向かってくるか? 答えはすぐにわかった。彼は明らかにむっとした顔でサムを見上げ、身を乗り出し手を伸ばしてきた。  サムはさらに後ろに下がり、ディーンは膝で土を蹴って追いすがる。怒りのせいか日差しを長く浴びすぎたせいか――おそらくそのどちらも原因だ――額まで紅潮した顔をまっすぐに向けられて、サムは胸の奥底に歓喜が生まれるのを感じた。  「ハハハ……! ああ……」 するりと言葉がこぼれ出てきた。「ああ、君はなんて美しいんだ!」  ディーンがサムの手を取ったのと、サムがディーンの腕を掴んだのと、どちらが早かったかわからかない。サムはディーンに飛びつかれたと思ったし、ディーンはサムに引き倒されたと思ったかもしれない。どっちにしろ、結果的に彼らはネズの根のくぼみに入ってキスをした。  長いキスをした。サムはディーンの髪の中に手を入れた。やわらかい髪は土のにおいがした。彼の唾液はみずみずしい草の味がした。耳を指で挟んで引っ張ると、ん、ん、と喉を鳴らす音が聞こえた。とても小さな音だったが初めて聞いた彼の”声”だった。もっと聞きたくて、サムは色んなところを触った。耳、うなじ、肩、胸、直接肌に触れたくて、腹に手を伸ばしたところでディーンが抵抗した。  初めは抵抗だとわからなかった。嫌なことは嫌と言ってくれる相手としか寝たことがなかったからだ。ところが強く手首を掴まれて我に返った。  「ごめん!」 サムは慌てて手を離した。「ご、ごめん、本当にごめん! こんなこと……こんなことするべきじゃなかった。僕は……だめだ、どうかしてる」 額を抱えてネズの根に尻を押し付け、できるだけディーンから��れようとした。「僕はどうかしてる。いつもはもっと……何というか……こんなにがっついてなくて、それに君は男で修道院に住んでるし――ま、まあ、そういう問題じゃないけど――ディーン――本当にごめん――ディーン?」  ディーンは泣いていた。静かに一筋の涙を頬に流してサムを見ていた。  「待って!」  またも彼の身の軽さを証明する動きを見届けることになった。納屋のほうに走っていく彼の姿を、今度はとても追う気にはなれなかった。
 夜、クラウス神父の部屋でディーンは跪いていた。  「神父様、私は罪を犯しました。二日ぶりの告解です」  「続けて」  「私は罪を犯しました……」 ディーンはごくりとつばを飲み込んだ。「私は、自らの毒で、ある人を……ある人を、侵してしまったかもしれません」  暖炉の前に置かれたイスに座り、本を読んでいた神父は、鼻にかけていた眼鏡を外してディーンを見た。  「それは由々しきことだ、ディーン。お前の毒はとても強い。いったい誰を毒に侵したのだ。修道士か?」  「いいえ、騎士です」  「騎士! 昨日ここに侵入してきたばかりの、あの狼藉者どものことか? ディーン、おお、ディーン。お前の中の悪魔はいつになったら消えるのだろう」 神父は叩きつけるように本を閉じ、立ち上がった。「新顔とくれば誘惑せずにはおれないのか? どうやって、毒を仕込んだ。どの騎士だ」  「一番背のたかい騎士です。クラウス神父。彼の唇を吸いました。その時、もしかしたら声を出してしまったかもしれません。ほんの少しですが、とても近くにいたので聞こえたかもしれません」  「なんてことだ」  「あと、彼の上に乗ったときに胸を強く圧迫してしまったように思います。骨折がひどくなっていなければいいのですが、あとで治癒師にみてもらうことはできますか?」  「ディーン……」 神父は長い溜息をついた。「ディーン。お前の悪魔は強くなっている。聖餐のワインを飲ませても、毒を薄めることはできなかった。お前と唯一こうして言葉を交わし、お前の毒を一身に受けている私の体はもうボロボロだ」  「そんな」  「これ以上ひどくなれば、告解を聞くことも困難になるかもしれない」  ディーンはうろたえた。「神父様が許しを与えて下さらなければおれは……本物の怪物になってしまいます」  「そうだ。だから私は耐えているのだ。だが今日はこれが限界だ。日に日にお前の毒は強くなっていくからな」 神父はローブを脱いで寝台に横たわった。「頼む、やってくれ、ディーン」  ディーンは頷いて寝台に片膝を乗せると、神父の下衣を下ろして屈み込んだ。現れたペニスを手にとって丁寧に舐め始める。  「私の中からお前の毒を吸い取り、全て飲み込むのだ。一滴でも零せば修道院に毒が広がってしまう。お前のためにもそれは防がなくてはならない」  「はい、神父様」  「黙りなさい! 黙って、もっと強く吸うんだ!」 神父は厳しく叱責したが、不出来な子に向けて優しくアドバイスをくれた。「口の中に、全部入れてしまったほうがいい。強く全体を頬の内側でこすりながら吸ったほうが、毒が出てくるのも早いだろう」  心の中でだけ頷いて、ディーンはいわれた通り吸い続けた。もう何度もやっていることなのに、一度としてうまくやれたことがない。いつも最後には、神父の手を煩わせてしまう。彼は自分のために毒で苦しんでいるのにだ。  今回も毒が出る前に疲れて吸う力が弱まってしまい、神父に手伝ってもらうことになった。  「歯を立てたら地獄行きだからな。お前を地獄に堕としたくはない」 神父は忠告してから、両手でディーンの頭を抱えて上下にゆすった。昨夜はワインを飲んだあとにこれをやったからしばらく目眩が治まらなかった。今日はしらふだし、神父がこうやって手を借してくれるとすぐに終わるのでディーンはほっとした。  硬く張りつめたペニスから熱い液体が出てきた。ディーンは舌を使って慎重に喉の奥に送り、飲み込んでいった。飲み込むときにどうしても少し声が出てしまうが、神父がそれを咎めたことはなかった。ディーンが努力して抑えているのを知っているのだろう。  注意深く全て飲み込んで、それでも以前、もう出ないと思って口を離した瞬間に吹き出てきたことがあったので、もう一度根本から絞るように吸っていき、本当に終わったと確信してからペニスを解放した。神父の体は汗ばんでいて、四肢はぐったりと投げ出されていた。  ディーンはテーブルに置かれた水差しの水を自分の上着にしみこませ、神父の顔をぬぐった。まどろみから覚めたような穏やかな顔で、神父はディーンを見つめた。  「これで私の毒はお前に戻った。私は救われたが、お前は違う。許しを得るために、また私を毒に侵さねばならない。哀れな醜い我が子よ」  そういって背を向け、神父は眠りに入った。その背中をしばし見つめて、ディーンは今夜彼から与えられなかった神の許しが得られるよう、心の中祈った。
 修道士たちが寝静まった夜、一人の騎士が目を覚ました。  「うーん、とうとう地獄に落ちたか……どうりで犬の腐ったような臭いがするはずだ」  「ルーファス!」 ボビーの声でサムは目を覚ました。地下は狭すぎるが、サムがいなければ全員が横になれるとわかったから厨房の隅で寝ていたのだ。  「ルーファス! このアホンダラ、いつまで寝てるつもりだった!」 ボビーが歓喜の声を上げて長い付き合いの騎士を起こしてやっていた。サムはゴブレットに水を注いで彼らのもとへ運んだ。  「サミュエル」   「ルーファス。よく戻ってきた」  皮肉っぽい騎士は眉を上げた。「大げさだな。ちょっと寝てただけだ」 ボビーの手からゴブレットを取り、一口飲んで元気よく咳き込んだあと、周囲を見回す。「それより、ここはどこだ、なんでお前らまで床に寝てる?」  「厨房だよ。他の皆はこの地下で寝てる。修道院長はあまり僕らを歓迎していないみたいだ。いきなり殺されないだけマシだけどね」  「なんてこった。のん気にしすぎだ。食糧をいただいてさっさと出発しよう」  「馬鹿言ってないで寝てろ。死にかけたんだぞ」 起き上がろうとするルーファスをボビーが押し戻す。しかしその腕を掴んで傷ついた騎士は強引に起きようとする。  「おい、寝てろって」  「うるさい、腹が減って寝るどころじゃない!」  サムとボビーは顔を見合わせた。
 三人の騎士は食堂に移動した。一本のロウソクを囲んで、鍋に入れっぱなしのシチューをルーファスが食べるのを見守る。  「で、どうする」 まずそうな顔でルーファスはいう。もっともルーファスは何を食べてもこういう顔だから別にシチューが腐っているわけではない。例外が強い酒を飲む時くらいで、一度密造酒を売って儲けていた商売上手な盗賊団を摘発した時には大喜びだった(酒類は国庫に押収されると知ってからも喜んでいたからサムは心配だった)。  修道院にある酒といえば聖体のワインくらいだろう。ブドウ園を持っている裕福な修道院もあるが、この清貧を絵にしたような辺境の修道院ではワインは貴重品のはずだ。ルーファスが酒に手を出せない環境でよかった。しかし――サムは思い出した。そんな貴重なワインの匂いを、あのみすぼらしい身なりの、納屋で寝ている青年は纏わせていたのだった。  「どうするって?」  ボビーが聞き返す。ルーファスは舌打ちしそうな顔になってスプーンを振った。「これからどこへ行くかってことだよ! 王都に戻って裏切者だか敗走者だかの烙印を押されて処刑されるのはごめんだぜ」  「おい、ルーファス!」  「いいんだ、ボビー。はっきりさせなきゃならないことだ」 サムはロウソクの火を見つめながらいった。「誤魔化してもしょうがない。我々は罠にかけられた。仕掛けたのは王だ。もう王都には戻れない――戻れば僕だけでなく、全員が殺される」  「もとからお前さんの居ない所で生き延びようとは思っていないさ。だが俺とルーファスはともかく……」  「若くて将来有望で王都に恋人がいる私でも同じように思ってるわよ」 チャーリーが食堂に来た。ルーファスの隣に座って平皿に移したシチューを覗き込む。「それおいしい?」  「土まみれのカブよりはな」  「なあ、今の話だが、俺はこう思ってる」 ボビーがいった。「この状況になって初めて言えることだが、王国は腐ってる。王に信念がないせいだ。私欲にまみれた大臣どもが好き放題している。民は仕える主を選べないが、俺たちは違う。もとから誰に忠義を尽くすべきか知っている。もう選んでいる。もうすでに、自分の望む王の下にいる」  「その話、なんだか素敵に聞こえる。続けて」 チャーリーがいう。  「いや、まったく素敵じゃない。むしろ危険だ」 サムはいったが、彼の言葉を取り合う者はいなかった。  ゴブレットの水を飲み干してルーファスが頷いた。「サムを王にするって? それはいい。そうしよう。四年前にあの棒みたいなガキに冠を乗せる前にそうしとけばよかったんだ。野生馬を捕まえて藁で編んだ鞍に乗り、折れた剣を振りかざして、七人の騎士で玉座を奪還する!」 そしてまた顔をしかめながらシチューを食べ始める。「俺はそれでもいいよ。少なくとも戦って死ねる」  ボビーがうなった。「これは死ぬ話じゃない。最後まで聞け、ルーファス」  「そうよ、死ぬのは怖くないけど賢く生きたっていい」 チャーリーが細い指でテーブルを叩く。「ねえ、私に案がある。ここの修道院長に相談するのよ。彼から教皇に仲裁を頼んでもらうの。時間を稼いで仲間を集める。探せば腐った大臣の中にもまだウジ虫が沸いてないヤツもいるかもしれない。血を流さなくても王を変える手はある。アダムだって冠の重さから解放されさえすればいい子に戻るわよ」  「それよりウィンチェスター領に戻ってしばらく潜伏すべきだ。あそこの領民は王よりもサムに従う。俺たちを王兵に差し出したりしない」  「だから、それからどうするのかって話よ。潜伏もいいけど結局王と対決するしかないじゃない、このまま森で朽ち果てるか北の隣国に情報を売って保護してもらって本物の売国奴になる他に���!」  「ちょっと落ち着け、二人とも。修道士たちが起きてくる。それから僕の計画も聞け」  「ろくな計画じゃない」  「ルーファス! ぼやくな」  「そうよルーファス、死にかけたくせに。黙ってさっさと食べなさいよ」  サムはため息を吐きそうになるのを堪えて皆に宣言した。「王都には僕一人で行く」  「ほらな」とスプーンを放ってルーファスが特大のため息を吐いた。「ろくな計画じゃない」
 行商売り��見習い少年と仲良くなったことがあった。同年代の子と遊ぶのは初めてだったから嬉しくて、ディーンは思わず自分の秘密をもらしてしまった。自分の口で見の上を語る彼に、少年はそんなのはおかしいといった。  「君は神父に騙されているんだよ。君は醜くなんかない、夏の蝶の羽のように美しいよ」  「神様の家で嘘をついちゃいけないよ」  「嘘なんかじゃない。ホントにホントだよ。僕は師匠について色んな場所へ行くけれど、どんなお貴族様の家でだって君みたいな綺麗な人を見たことがないよ」  ディーンは嬉しかった。少年の優しさに感謝した。次の日の朝、出発するはずの行商売りが見習いがいなくなったと騒ぎ出し、修道士たちが探すと、裏の枯れ井戸の底で見つかった。  井戸は淵が朽ちていて、遺体を引き上げることもできなかった。神父は木の板で封印をした。ひと夏の友人は永遠に枯れ井戸の中に閉じ込められた。  修道院は巨大な棺桶だ。  ディーンは二度と友人を作らなかった。
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kachoushi · 1 year ago
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零の会
2023年6月3日
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於:川崎市多摩市民館 会議室 ~年尾句碑 
坊城俊樹選 岡田順子選
坊城俊樹出句
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坊城俊樹出句
稲毛氏の墓そのものが滴りぬ 胡蝶らをすべて受け入れ花菖蒲 見失なふ陽子の墓をさみだれに 紫は立子の色の花菖蒲 嘗て見たあの梅雨蝶と巡りあふ 観音の指が放てり梅雨の蝶 観音の指の隙間をさみだるる 薫風を纏ひて嬉し年尾句碑 眼をうすく瞑る菩薩の単衣とも 病棟は黒南風に消え年尾句碑
坊城俊樹選 特選句
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坊城俊樹選 特選句
病院の跡へ南風の吹き抜ける 季凛 梅雨の石積むもののふの墓暗く はるか 十薬とは屍を小さく包む花 和子 もののふの山が鳴るなり青葉風 はるか いとけなき蜘蛛も浄土を知りつくし 順子 菩提寺は城を見上ぐや男梅雨 慶月 ナースらの谺を追うて枇杷熟るる 順子 階段をのぼるつま先街出水 小鳥 青梅雨のしづくすべてが弥陀のもの 光子 罠であり結界であり蜘蛛の糸 光子
坊城俊樹選 ▲問題句
若竹の空を線状降水帯 いづみ
坊城俊樹選 並選句
猛るかに吹かるるままに夏の蝶 和子 蚊を叩く観音様の笑みの下 緋路 野の仏梅雨の重さの風纏ふ はるか もののふへ薄暑の風は笹の音 きみよ 閼伽桶に銀の道絶えなめくぢり 順子 甘酒と地酒城主へ誰ぞかし 慶月 まだ濡れて暗闇坂の五月晴 光子 滴りて病院跡の駐車場 小鳥 梅林のありし辺りも梅の雨 きよみ 五月雨の筋もて伝ふ黒みかげ 眞理子 立葵紅きを透かす線路へと 季凛 行き先を告げよ泰山木咲けば 和子 夏蝶の青し天水浴びながら 光子 黒南風や山門に天狗を見たり きみよ 寄せ墓の欠けしところに苔の花 小鳥 青梅雨の苔を法衣といたすかな 光子 夏の蝶闇より出でて日を零す 緋路 もののふの哀史の墓へ暴れ梅雨 はるか 天水は青葉伝ひにみ仏へ 光子 昼顔は悩める人のロザリオに きみよ まつすぐを崩さず倒る立葵 千種 武士の鎌倉へ向く大南風 慶月 黒南風の竹林に空なかりけり きみよ 七変化して観音を惑はせり 慶月 誰からも指差されずにカンパニュラ 順子
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岡田順子出句
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岡田順子出句
アトリエに提げたる小籠枇杷熟るる ナースらの谺を追うて枇杷熟るる 閼伽桶に銀の道絶えなめくぢり 誰からも指差されずにカンパニュラ いとけなき蜘蛛も浄土を知りつくし 白重し泰山木の花へ向く 祈り解くかに泰山木の散華 霽れてゆく登戸の空ジギタリス 滴りや句碑あいまに五角形 野薔薇また雨の軌道を描いてゐる
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岡田順子選 特選句
墓守のアパート三棟蕗の雨 風頭 眼をうすく瞑る菩薩の単衣とも 俊樹 アトリエへ傾るる大樹枇杷たわわ 眞理子 真夜中の泰山木の花は鳥 いづみ 青梅雨のしづくすべてが弥陀のもの 光子 昼顔は雨の列車にゆらされて きみよ 行き先を告げよ泰山木咲けば 和子 夏菊や南無遍照と一家臣 慶月 梅雨出水過ぎて正気を歩きをり いづみ 青梅雨の真黒き句碑が街映す 小鳥
岡田順子選 ▲問題句
日の差して梅雨の雫にある地球 緋路
岡田順子選 並選句
句碑近くひたひの汗の冷え心地 軽象 観音の指が放てり梅雨の蝶 俊樹 夏野菜ごろごろチーズドリア食む 眞理子 菩提寺は城を見上ぐや男梅雨 慶月 山寺にまくなぎ陣をなさんとす 千種 寄せ墓の隙間埋めし夏落葉 季凛 青梅雨に頬ふくらめて野の仏 小鳥 紫は立子の色の花菖蒲 俊樹 くらやみ坂なんじやもんじやの暴れ咲く はるか 桜の実雨にこぼるる磴けはし 昌文 今はなく虹の向かうの観覧車 きみよ ありし日の師の笑みとどむ梅雨の蝶 眞理子 稲毛一番なり泰山木の花 千種 なめくぢの跡の直線葉の曲線 緋路 黒南風や山門に天狗を見たり きみよ 梅雨晴や吾が顔映る年尾句碑 昌文 十薬とは屍を小さく包む花 和子 もののふの山が鳴るなり青葉風 はるか 青梅雨の苔を法衣といたすかな 光子 陽子さん句碑の実梅を供へます 慶月 落ちさうなしづくの光カンパニュラ 千種
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nyantria · 4 years ago
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2020.1.26~27にかけての深夜、急性カフェイン中毒でのワンチャンを狙ってカフェイン錠を80錠、ハイボール缶でOD(のちのち致死量の倍だと知る。)本当は200錠の予定だったが、買いだめている最中に希死念慮が強くなってしまい、確実に死ねるかはわからなかったが120~140錠飲むことにする。しかし気分が悪くなって喉が受け付けなくなり80でしか飲めなかった(錠剤もでかかったし)。
ところでまわりに高いマンションもない一軒家住みなので突発的に飛び降りはしなかったが、以前諸事情で月の半分くらいを過ごしていた単身の20階建てマンションに今もまだすんでいたら、飛び降りていたかもしれない(14階くらいに住んでいたし)。
80錠のんでぼーっとしてムカムカしてくる。わたしここで死ねないことを悟り親を起こす。服薬から1時間~1時間半経って救急車に乗る、心拍数などはわからないが若干胸がドキドキする、ここで吐き気と嘔吐(夕飯のぶん)。
服薬2時間くらいで病院に到着、嘔吐がとまらず、内容物は薬と血のみ(食べたものは全てもうでた)。インフルエンザのひどいときみたいな吐き気と嘔吐が2時間半後くらいからずっと続く、意識が朦朧としてきて、死ねなさげなのにいたらずらに苦しくて後悔してくる。2時間~2時間半後にかけて先生や看護師さんに質問されるが返せない。2~3時間後から嘔吐をする際に自分の意思で袋にはいたりできなくなりそのへんに吐き散らかす(看護師さんごめん)。
視界がぐらぐらしてブラックアウトする。意識の覚醒と消失を繰り返す(薬が抜ける数日後までこれが続く)。
筋肉の硬直が始まり自分で動けなくなる。わたしの場合は右半身が固まり眼球も右のほうしか向かなくなる。まばたきができなくなり白目を向きながら嘔吐を繰り返す。
3~4時間後から体が完全に固まり、寝たりたったりができず座ったまま硬直する(イメージは重度の脳性まひの人のかたまり方)(指摘をいただいたので訂正します)。思考はまだ動いているので予想以上の後遺症の可能性に怯える。周囲の様子や質問はほぼわからない。
ここでトイレに行きたくなり看護師さんと母に抱えられて行く。体がまっすぐ硬直しているのでズボンと下着は脱げず、脱がしてもらう。排尿の際に筋肉が動いてないのか5~10分かけて垂れ流しのような状態。わたしは女性ですが、ここでおりものが茶色くなる。(もし男性が見ていたときのための補足ですが、おりものは膣からの分泌物で、基本的にはさらさらと白かったり黄色かったりします)
ここからあまり記憶がないがそのまま6~8時間経つ。場所や時間がわからずうわ言を繰り返す。苦痛から気をそらそうと看護師さんたちがわたしの赤い髪やネイルを誉めてくれるが、なにも返せない。
カリウム?などの値が異常になり、一般的な総合病院から死にかけの人間が運ばれるデカイ救急の総合病院(病院からの紹介���がないと入れない、一般的な外来のないところ)に搬送が決まる(おそらく服用から10時間後くらい)。
看護師さんに「もうすぐ迎えがくるからね」と励まされるが、わけがもうわからないので、「死神………………?うれ……しい……」と途切れ途切れに返して「ちがうよ!」と言われてしまう。
全身の硬直、過度の痙攣、暴れがある。暴れているため体を拘束具で拘束される。わけがわからず救急車に乗せられ瞳孔確認されるが眩しいと思えない。
服用から12時間くらいでその病院に着き、尿道にカテーテルをいれられオムツをさせられたりレントゲンとられたりするが恥ずかしいという感情も体のうごきもない。自力で体が動かせないため、レントゲンをとるのも一苦労。3人かかり。
体温計で体温をとられるが、体温計が何なのか理解できず、「なんでこんなもの脇に挟むの?」と真剣に疑問に思う。また、「みんななんでか白い服で不思議だなあ。おそろいなのかな」とも思う。ダメージを得て、知能が著しく下がり始める。
太い動脈に点滴とか採血とか数種類の管をつけられるが痛みもなく、視界が白黒になる。この場所がどこかもわからないがなぜか頭の中で好きなバンドである神聖かまってちゃんが流れ始める。なぜか暗い曲ではなく『彼女は太陽のエンジェル』だった。
嘔吐、吐血、硬直、痙攣が続く。尿は白くて、なんか栄養が全くなさそう(血尿はなぜかなかった)。
とにかく苦しい殺してくれ以外の感情が消え、場所はおろか昼夜の感覚もなく、目の前の人間の性別の区別もあまりつかないし年齢もわからない。
頭の中で音楽とフィクションの映像がとまらなくなる。
胃と食道なども傷つけて血しか吐けなくなる。よくわからないので自分が吐いているという感覚すらなくなり、全身の硬直と痙攣のせいでずっと噛み続けていた口の中と顎が非常に痛くなる。支離滅裂なうわ言しかつぶやけなくなる。
ここから水分を飲むことを禁止され点滴に頼るしかないが水分禁止すら理解できず看護師さんに対して怒りをあらわに暴れだす。体をふたたび拘束具で拘束される。
涙と唾液がとまらなくなる。支離滅裂なうわごととなんだかすごい脳内妄想で無敵感を得はじめる。そこからほぼ意識ないが眠っているのではなく意識レベル低下(おそらく嘔吐、吐血、硬直、痙攣、たまの暴れが続く)。 
服用後1日経つか経たないかくらいで氷水によるうがいを許可される。その頃には暴れがおさまり、自分の水分禁止を理解できはじめるので、飲まないように懸命にうがいをする。が、吐き出すためのトレーには手が届かず、ベッドの上に吐き散らしてしまうことを繰り返す。全身の激しい痛みにより、寝返りはおろか、手を動かすこともできない。看護師さんが忙しいためなかなか口に氷水をいれてくれず泣いたりする。このとき看護師さんに対して怒りより悲しみをなぜか覚える。
意識の消失と覚醒を繰り返し、脳内妄想、えずき(血もでなくなる)、被殺害願望の抱きを得る。
えずく元気もなくなりベッドで死んだように突っ伏す。
時折体勢を変えようと看護師さんが動かしてくれるが、仰向けになるだけで痛みのあまり手が硬直して天井を向き、勝手に「ア~~~!!」と叫んでしまう。
時間、場所、自己存在すべての感覚を失い、本能がわずかに残るのみの感覚。自覚はないがまだ激しい痙攣があり(恐らく)、母音のみの大きな声をずっとあげている。「アー!アー!アー!」を繰り返していて看護師さんに「頑張って静かにしようね」と言われるが、好きでしているわけじゃないのでできない。
とにかく水が飲みたい以外の感情がない。おそらく1日半くらい経ち毒素が抜け始めたのか苦しみを明確に得る。「こんなに苦しいなら殺してくれ」と看護師さんに懇願する。硬直はとけるが激しい痙攣と大声、妄想、えずきがとまらない。
とにかく死より後遺症が恐くてたまらなかったので、自分がまだ文字を読めるかを必死に考えて、ベッドの柵に書いてある「警告 サイドレールをベッドの内側から操作しないでください。サイドレールが急に下がり、転落し、けがをするおそれがあります」という文章を(覚えちゃいました)ずっと目で追って、まだ読める、まだ読める、と必死になっていた。 
(恐らく)医師に「最近恋人と別れたとかない?」と聞かれるが、言葉にならないが「そんなわかりやすい理由なら苦労してね~~~!!」とキレそうになる。(恋人と別れて死ぬ人もいるし辛さは人それぞれだからそれは否定しませんが、そのときは「は!?」となってしまいまし��)
その後強制的に眠らされる(透析の可能性も浮上)。
2日後~徐々によくなる、まずは妄想が消え、つぎに痙攣の過小化、吐き気の沈静化、自分のおかれている状況の理解。ベッドが少しずつ入り口に近づいていく。
看護師さんの名前が読めるようになる(発音はまだできない)。
時々激しい痙攣のぶり返し、涙、よだれ、また力の加減がまだできず人の手を怪我させてしまう。
筋肉痛の100倍みたいな全身の痛みに気づく。「はやく退院したい」と思う。
少しずつ話せるようになってくるが語彙選びや声量の調整はうまくできず、また吃音の発生。例えば看護師さんに「母は来ましたか?」と尋ねたくても「ウーッウーッ、マ、マ、マ、ママ、ママ、かんごしさん、ママ、」としか言えない状況。
点滴の量が減り料理がだされるが、薄い味噌汁を数口とお水を数口、牛乳1口が限界ですぐに吐きそうになる。
きつい後遺症を覚悟する。
時計の読み方がわからない。それが時間を示すものなのはわかるが、読み方はわからない。なのに自分が排卵期であることは把握できていて、オムツが濡れたときに「は、は、はいらんだから、血が、かも、」と伝える。が、血尿はないが子宮から出血。膣から生理2日目くらい出血があるが生理ではなく、女性にしか伝わらないだろうが、なんか感覚がちがう。内壁が剥がれたとかではなくダイレクトに血管から出ている気がする。
ODしたときの記憶がフラッシュバックし吐き気を催す。
だんだん昼夜の感覚が戻り、人の性別、名前、おおよその年齢、部屋の構造の把握などができるようになってくる。空のえずきが続き、歯磨きをしてもらうが匂いでまたえずいてしまう。楽しみにしていたぺこぱの番組見れんかったなとか考え始める(ここらへんから妄想より現実世界の把握が主になる)。
日付が気になり始める。
後悔が半端なくなり、理性的な涙を流すようになり、心の中で看護師さんの名前を呼びながら謝罪を続けるが声にはならない。あと家族に面会時間がある当たり前のことをようやく理解できるようになる。痙攣が下半身のみになり、腕はベッドの柵を掴んで歯を食い縛る。うがい用紙コップに書いてあった、Comfortableという文字が読めるか必死に考える。意味はわからないが綴りは何となく読めて、意味を理解してないことは理解できていて少し安心する。
その頃には硬直はほぼなく、柔らかい白米を一口だけ食べられるようになる。人工的な味を嫌い、母にローソンで買ってきてもらったりんごゼリーのりんごを一齧り、みかんゼリーの小さなみかんを2つ食べる。
看護師さんにリハビリの話をされるが返事はあまりできず。
1日が24時間なら時計は24表記にすべきだと真剣に考えるようになり、その場合の針の刻み方を考案し始める。「それを看護師さんに伝えなくちゃ!時計は24にすべきです!わたしが作ります!」という頭のおかしいことを真剣に訴えようとする。
だんだん痙攣が小さくなり、時折の体の硬直を除けば、一般的なくらいの痙攣になるが、痙攣のせいで点滴が抜けたり毛布に血が飛び散ったりするがまだ気にかけることができない。またずっと続いていた痙攣のせいで足の小指の爪がとれる。
えずきが時折になる。未来を考え始める。
2日かけて吐き気と嘔吐がおさまったため、全身の激しい痛みとの戦いになる。苦しいのはわかっていたが、あんなに痛いと思ってはいなかった。激しく運動したあとの筋肉痛の100倍のやつが頭皮から爪先までを支配している。メチャクチャ痛いです。人生で一番痛い。
精神科の先生に精神病棟に入院するか聞かれるが断固拒否する。 
2日半かかり痙攣が僅かになり吐き気の消失、髪と下半身洗いたいな……などを考える余裕ができる。ベッドの周囲を見渡す余裕ができ、髪が激しく抜けていることに気づく。髪ゴムはあったが髪のくくり方が思い出せなくなる。
2日半後にゼリーと汁物を半分くらいなら食べられるようになるが、腕が二倍くらいに腫れ上がっていることに気付く。看護師さんを名前で呼んだり、看護師さんによる採血の結果の数値の説明の理解などが少しずつできるようになってくる。
ストローを使って氷水が自力で飲めるようになり、風呂に入ったりトイレいったりしたいなと思うようになる。先生と看護師さんに「生きるためにがんばれ」と言われそれに素直に応じるようになる。また看護師さんの世間話に「うん」「はい」と相づちを打てるようになる。
かなり頑張ってだが、ゼリーのみかんを8割食べられるようになる。
音を消したテレビを眺め内容をおおむね理解できるようになる。林先生と伊沢さんが出ていた。おいしい唐揚げを作る裏技をしていたので、あとで母に教えてあげようと思ってメチャクチャ真剣に見ていた。
全身の痛みは消えないが痛み以外の症状はほぼなくなる。
まだ知能はおかしく、50÷25の計算をするのに何分もかかる。その一方で、暗記した覚えのない『失恋ショコラティエ』の1巻1ページ目から頭のなかで読み返す���とができた。おそらく脳の働く部位が極端におかしくなっていたのだと思う。
服薬から約3日後、昼夜を完璧に把握できるようになり、看護師さんたちに謝罪できるようになり、退院を逆に不安がるようになる。
服薬から3日後~自分で簡単なベッドの操作をしたり寝返りを打ったり声を出して看護師さんを呼んだりできるようになる。
オムツははめたままだがおしっこの管を抜き、点滴を抜き、ふやふやの野菜と豆腐と牛乳なら8割食べられるようになる。
人の手を借りて歩く練習、トイレに行き自力で排泄、時間はかかるがふくこともできるようになる。
痛みと声以外の症状はなくなり、飛び降りした向かいのベッドの別患者の心配をするようになる。
1/29、服薬から3日半くらい、きょう退院しましょうと言われる(重体重傷の人が運ばれる場所っぽいので、命の危機だけは脱したことが伺える)。退院は不安だがそれに従う。
人の手を借りて、なおかつ十メートルごとに休めば歩けるようになり、ああ血がでてるからナプキン買わないとなあとか考えられるようになる。
寝苦しさはあるので、病院では意識の混濁時以外はほぼ寝られず(カフェインだしね)。途切れ途切れだが家族に謝罪できるようになる。
自力着替えは無理だが前開きのものなら自力で着られ、疑問を先生や看護師さんに聞けるようになる。うっすいコンソメスープを濃いなと感じる。
1/29の14時頃退院、自力歩行はできないが、介助を得ればトイレでの排泄、歩行、立ったり座ったり、身の回りのことができるようになる。
生きなきゃなと思い、帰りの車でTwitterの心配をする。
15時頃、10mくらいならふらふらだが自力歩行ができ、トイレでの排泄やナプキンの交換も自力でできるようになる。処理もできるが、拭くだけで数分がかかる。
全身の激しい痛みとうめき声は相変わらずだが、15時頃~自宅ベッドで汁物を進んで摂取し、LINEやTwitterにアクセスする。思考と打つのに普段の10倍くらいかかるが、多少の誤字脱字のみとなる。
ようやく少し眠れる。
1/29(服薬から3日半すこし)、全身の痛み(少しまし)、うめき声はあるが、汁物を接種するなど食欲が少しずつ甦り、日常に戻りつつある。風呂などはまだ不可能。
以上が退院までの地獄詳細です。方法にもよるけど、これから死ぬみんなはここに引っ越すし、さらにその先に引っ越すので、わたしは「まあ……その勇気あるなら人生どうにかなるやろ」というわたし自身クソ聞きあきた陳腐なことを言いそうになりますが、とにかくやるならガッツしかない。わたしはもう二度としたくないです。
現在も子宮からの出血や全身の痛み、内臓の痛み、麻痺、うめき声、記憶の混濁などがあるので、また回復したらそちらも「地獄から生還したらそっちもまあまあ地獄だったよ編」としてアップします。
https://highb.hatenablog.com/entry/2020/02/03/155423 こちらです
これから先の人生には不安しかないけど、いまは簡単な計算をアプリでやったり文字を書く練習をしたりしています。 
ま、自殺って結局「自分を殺す」わけだからそんな簡単にはいかないですよね。当たり前。
死の否定は難しくても生命の肯定はしていきたいですね。
メンヘラがODで自殺未遂して地獄を見た(地獄編) - 現金満タン、ハイオクで。
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thinkinghotdog · 4 years ago
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まめ男過去wip
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なんやこの神絵は(HEIDEさんとさとうさんありがとう・・・・・・) 書き終えない気がする
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憂鬱な雨だ。 7月、今年の梅雨は長引いていて、窓を打つ雨音が絶え間ない。 まだ昼間の午後1時というのに、灰色で暗い空。仕事をしようにも、1ページ書いたところで、あとが思いつかなくなった。 キーボードに指を伸ばすも、書いては消し、の繰り返し。 5度目くらいで諦めて、ニコチンとタールの入り混じった、大層身体に悪いであろう煙を、肺まで届くように大きく吸い込んだ。 換気も出来ずに湿った室内で、ふかしたタバコのくすんだ臭いとコーヒーの微かな香り。 外を出るのも億劫で、溜まり行くゴミの山が1つ、2つと増えて行く。 ラップトップから流れてくる、スローテンポのピアノ曲にあわせて、灰が落ちた。
「健康推進法、クソくらえ」
つぶやいて、宙を向く。 ゆらゆら揺れるタバコの煙に雨音に、身体を委ねて目蓋を閉じた。 暗転。
25の頃、都内のベッドタウンの一角に私塾を開業した。 高校を卒業してすぐに家を出て、スーパーだとか土木だとか、とりあえず手に出来た職やバイトで食いつなぎながら資格勉強をして、派遣の事務職やらITだとかキャリアアップ、そしてやっとの独立だ。 大きな体をしているくせに、当初はガリガリで、文字通りのモヤシ。 おかげで飢えには慣れていたが、身体を使う仕事ではへばってしまい、骨折も繰り返すで身体はボロボロだった。
それでも必死に貯めた大金、自分のように義務教育の外れものにされた子どもたちの手助けになりたいという純粋な希望と、両親への幾ばくかの淀んだ復讐心を糧に形にした。 個別にカリキュラムを用意する、マンツーマンに特化したコンセプトで、業界的に見れば値段は格安とも言えただろう。 若者で、大した大学も出ていないのにと、はじめはバカにされたもの、実績さえ積めばこっちのもの。 古き良き紙媒体に合わせ、SNSなん���いった流行のメディアにも合わせ継続的な宣伝を行って、まあまあ黒字も安定で、いい業績が出せるようになった頃だ。
それが三年前。
「先生」 けたたましく鳴くセミの声が響く中でも、その女子生徒の声はよく通った。 振り向けば、透き通った大きな黒い目がこちらを見て細められる。頬に見えるえくぼが、愛らしい。 「わからない問題があるんです。」 握った手には、昨日自分が出した問題用紙。消しゴムの跡が見えて、思い悩んだ様子が想像出来る。 サラリと前に垂れたストレートヘアを人差し指でかきあげ、耳にかける。 その一連の動作が優雅で、その子の生まれの良さを語る。 「相談したくて…あとでお話できますか。」 傷一つない白い肌に、ほんのり赤い頬。 雑巾の絞りカスで濡れた頭と、青あざだらけの昔の自分とは大違いで、この子は自分なんかになんでこんなふうに笑いかけるんだろうと、頭の片隅で思う。 「いいよ」 笑って返事をしたら、少女は大きな目を輝かせて、頭を下げた。 走り去っていく後ろ姿に、出るのは一つの小さなため息。
「あんなにキレイでありたかった」とか「愛されたかった」とか「見返してやりたい」なんて、そんな重苦しい自分の願望を、子どもに投影するのは、あまりにもひどい大人のエゴ。 「わかっちゃいるけどね」と呟いて、皮肉だと自嘲する。 でも、俺だって幸せになりたいって思っていいだろ、と言い訳のように自己正当化。 そういう意味で彼女は、自分にとっても特別だったのだと、今になって思う。
そんなひどい所業。
濁った瞳ごしで、キレイなものを見ていたから、気づかなかったのだ。 「抱いてほしいです。」 後ろから抱きしめられて、今にも泣きそうな声で言われて、頭をトンカチで殴られたような気分だった。 君まで俺にそんな仕打ちをするのか、なんて自分勝手な考えを抱く。 背中から伝わる、小さな震えとシャツの湿り気。 少女は泣いていた。 「そんなの俺捕まっちゃうよ」 優しく手を解いて、自分のガサガサな手で包む。きめ細やかな肌の彼女の手の甲に一つだけキスして、「これでいい?」と妥協を求める。 振り返れば風を切る音とともに、小さな手のひらが自分の頬を打った。
思えばそんなことの繰り返しだった。
当時付き合っていた彼女にも、「あなたは私のことを、全く見ていない。私はあなたの親じゃなくて、恋人なのよ」なんて言われて、こっぴどくフラレたよね、と赤くなった頬を冷やしながらタバコの煙を吐き出した。 少し、許しすぎたのかもしれない。 彼女が欲しいものはわかっていた、それを与えることでこの子がまだもう少しでも頑張れるならと、少々教師の枠を越えたような言動をした自覚はある。厳格な両親のもとで愛情に飢え、承認欲求を満たしたがっていたのも、わかっていた。 だから殊更優しくして、彼女には成功してほしかったのだ。 自分に似ていた気がしたから。
「馬鹿だなア」
一人去った部屋はがらんどう。吐き出した煙が、ゆらりと揺蕩う。
そんなことがあってからも思ったより態度が変わらなかった相手に、大分ほっとしたというのが事実。 小さな教室に入ってきた相手に笑いかけて、教科書を開く。 「今日は苦手な物理からやろうか?」 横に座れば少し触れた肩に、少女は距離を取った。 あ、ごめん、と一言謝れば「べつに、いいです。」と短い返事が返ってきて、まあそうだよね、なんて納得しながらも進めた。 「相対速度だけど、ここ難しいよね。」 ボールが落ちるイラストを指してから顔を上げれば、大きく暗い瞳がこちらを見つめていたのに気づく。 あんなに透き通っていた黒色の瞳が、濁って、据わっていて。思わず息を呑んだ。
「先生を愛してるってお母さんに話したんです。」 続いた言葉に、時が止まったようだった。 打っていたはずの時計の秒針が聞こえない。 いろんな思考が高速で頭を回った。 観測者の速度と、運動物体の速度。 「もうここには来るなって、先生を訴えるって」 AとBが同じ落下速度ならば、その時の相対速度はゼロとなり、つまり静止しているように見えるという。 「アンタなんかに、大学のお金も出さないって」 カチ、と針の音が聞こえた。 腹部が熱い。痛い。 出刃包丁が横腹から生えていた。 「先生のばか。」 そして暗転。
示談金という形で落ち着いた、彼女の傷害罪。 不処分となったはいいものの、彼女はそのまま監視下のもと精神病棟行き。自分はといえば腹部外傷ということで、緊急手術後2ヶ月の入院。 こちらからは積極的でなかったことと、身体関係を持たなかったことで、「未成年を誑かした」証拠もなく、結局自分は罪には問われなかった。 だからこそ少女の両親から向けられる憎しみのこもった目が痛くてたまらず、頭があがらなかった。 あんな子の人生メチャクチャにするくらいなら、せめてあそこで死んであげられたら、ちょっとは彼女の気持ちでも晴れたのだろうか。
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