#スポケーンの左手
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「スポケーンの左手」 作 マーティン・マクドナー 翻訳・演出 小川絵梨子 出演 蒼井優 岡本健一 成河 中嶋しゅう
2015.11.20 シアタートラム
疾走感があった。 夜、車のライトが人や物の影をパアッと映し出して走っていった、そんな感じだ。
登場人物は四人。アメリカの田舎、安いホテルの一室。 逗留しているのは、37年前に切り落とされた自分の左手を探す男(中嶋しゅう)。そこへ偽の手を売り込みにやって来た若い詐欺師カップル(蒼井優・岡本健一)、時々部屋に顔を出す暇そうなホテルマン(成河)。
すでに男と詐欺師たちの間に一悶着起きたところから芝居は始まる。 左手を探しているということ以外に不可思議な設定は何もなく、人物の言動や事物の状況は現代社会に照らして非常に現実的だ。
中嶋しゅうの雄弁に語る瞳の素晴らしさを思う。 強い憤りを全面に表しながら、こびりついた厭世観、隠せない孤独とやるせなさを滲ませ、台詞以上にこの男という人間をまざまざと感じさせた。
成河の役どころは独特で、ス��ーリーの展開には一切影響せず、茶々を入れるように場面に顔を出してくる。しかし序盤こそコケティッシュであったが、謎めいた独白を経て、次第に最も闇を抱える人物に見えてきた。成河の持つ透明な空気感ゆえに、尚その不気味さが引き立った。
クライマックス、二人残された男とホテルマンの短い会話、それまで常に周囲を威嚇していた男の瞳からふとそれが消えて、真っすぐに視線を交わしていたのが非常に印象的であった。不意にお互いの何かを理解し合った瞬間か。
男は到底あるとは思えない左手を探し続けている。だがその行為を笑うことができるだろうか。 失くした自分の片手に至上の価値を与え、それを探し続けることで、彼は自身の存在を認め、守り、保って生きてきたのだと思われる。 人は、その大半が自覚の有無、事の大小深浅に関わらず、各々に「スポケーンの左手」を持っているのではないか…。
狭い空間で起きた短時間の出来事の中に、そしてまた一人の人間の内に、 緊迫と弛緩、静寂と騒々しさ、高尚と卑俗が、 同居あるいは対比されつつ、スピードの中に流れ去った舞台だった。 去りながら、凹凸にひっかかって残る、砂金のようなものがあった。
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"Piano Playhouse" featuring Carl Perkins, Jimmy Rowles, Paul Smith, Gerald Wiggins, Lou Levy 1955年前後モダン・ジャズの前期で、渋めのマニア受けするアルバム2枚目はこちらもマイナー・レーベルで質の高いModeレコードからの得意の重量盤。 1957年9月13日、Radio Recorders Studio, Hollywood, CA. での5人のピアニストによるソロ演奏集と言う非常に珍しい作品。 そして、前出のPacific Jazzレコード設立の理由であるジミー・ロウルズも登場します。 #ModeRecords (MOD-LP 128) 本作はディスコグラフィーでは存在の可能性が言及されていたにも関わらず、財政的な問題のためモード・レコーズが活動を休止し発売されなかった幻の名演。 ソロ・アルバムは案外退屈しがちですが、個性豊かな才能あるピアニスト達によるコンサート・グランド・ピアノでのソロ・パフォーマンスは、実に楽しい。統一性とか一体感がないと評する方もいるようですが、これだけのピアニストが、東西を越えて目の前に順に現れソロ演奏、「今度は、誰?」などとライナーを見ながら、何て贅沢で幸せなことだとは思いませんか。 #JimmyRowles ...さて、そのジミー・ロウルズです。1918年8月19日、ワシントン州スポケーンの生まれ。40年代初頭から活躍、ジャズ・ピアノだけでなく、ウィットで深みのある歌手の作詞家としても認知。近年では、Xanadu, Columbia, Choice, Blue Angleで自身のアルバムをリリース。多くのジャズの偉人達のサイドマンとして活躍。 #PaulSmith ...1922年4月17日カリフォルニア州サンディエゴの生まれ。ジョニー・リチャーズのオーケストラと共に1941年にジャズ・プロダクションを開始。1946-47年にレス・ポールとメアリー・フォードと活動、1949年からハリウッドのサウンドスタジオでキャリア開始。ポールはジャズの偉人の多くに関わってきましたが、Verveの"Ella in Berlin"を含むElla Fitzgeraldの伴奏者として活動、Tampa、Verve、Capitol、Savoyなどで自身のアルバムをいくつか録音。 #CarlPerkins ...1928年8月16日、インディアナ州インディアナポリスで生まれ。左手が不自由で前腕をキーボードと平行にして特定のコードを指で押さえ演奏する奇跡のピアニスト。Miles Davis、lllinois Jacquet、Clifford Brown & Max Roach、Dexter Gordon、Curtis Counce、Harold Land、Chet Baker、Art Pepperなど著名なジャズ・リーダーと共演、即興のブルージーなスタイルが魅力。 #GeraldWiggins ...1922年5月12日、ニューヨーク生まれ。1944年にコメディアンの #StepinFetchit とプロの音楽キャリアを開始、1944年にはLes HiteとLouis Armstrongとツアー、戦争後、ロサンゼルスに定住する前にベニー・カーターのオーケストラと活動。Lena Horne、Francis Fay、Ella Mae Morse、Kay Starr、Marilyn Monroeなどのボーカリストの熟達した伴奏者としても認知。 #LouLevy ...1928年3月5日生まれのシカゴ出身。1947年にGeorge Auldと一緒にSarah Vaughanと共に活動、1948年にChubby Jacksonの "Bop for the People"ユニットでスカンジナビアをツアー。それ以後数年間はHerman Herdと。1954年までミネアポリスの広告分野で勤務、RCAとレコード契約を締結し音楽活動を再開。いくつかのソロとトリオのアルバムを制作、トランペッターのConte Candoliと一緒にAtlanticのクインテット・デートを共同制作。1958-61年にはElla Fitzgeraldと、1960年代後半にはSupersaxで頻繁に働いていたPeggy Lee、Nancy Wilson、近年ではボーカリストのPinky Winters、Jazzlzz、Dobre、Interplayのでジャズ・トリオ作品を録音。 Producer - #RedClyde Engineer - #BonesHowe Liner Notes - #JeffBarr Cover Design - #ZimCraus #jazz #fuzey #vinyl #jazzvinyl #vinylcollection #jazzrecords #recordcollection #ジャズ #スイングジャーナル #レコード ※作品を知り、ジャズの素晴らしさを伝えたい。様々なソースをアレンジ、先輩諸氏に感謝。 https://www.instagram.com/p/B46opM2JVOn/?igshid=1d5hrkn1egz8t
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「CRIMES OF THE HEART 〜心の罪〜」@やまと芸術文化ホール 知らない土地で芝居を見るのが好きなので、はるばる大和市まで行ってきた。オシャレな複合施設の1階にある、千席もあるホールでやる芝居ではなかったなぁ、やっぱりトラムで見るべきだったなぁ、と思いながらも、ともかくこの芝居を見逃さなくてよかった。 トラムで見なかった(見られなかった)理由はいくつか��るけど、バイトのない日に��っくり見たくて、結果的にバイトのない日に見てよかった。この芝居を観た後では仕事が上の空になっていたこと間違いなし。事実、今日も雨の中、大和駅まで半べそで歩き、駅で滑って頭打ちそうになり、しゅうさん、しゅうさん、と大して思い出もないくせに思いながらこれを書いている。トラムでは、「アンサンディ」の初演と再演それぞれ、それから「スポケーンの左手」でしゅうさんを見たなぁ。「たしかに、たしかに」っていうしゅうさんの声が耳にこべりついて離れない。ほんとうに、役者って死んじゃうんだよなぁ。切ないけど、だからこそ、意地でも見なきゃいけない。今日も見に行って本当に良かった。 さてさて、とはいえ、知名度的には安田成美が必要だったのかもしれないが、やはり那須さんと伊勢さんと歴然とした芝居の差が。それがかえってトラムでは、一見華やかに見える次女の空虚さに繋がって効果的だったと思われるけれども、このような大きなホールに虚しく響き渡る安田成美の声よ…。
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